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特開2025-8082監視装置、制御装置、電池情報通信システム、電池情報通信プログラム、及び電池情報通信方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008082
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】監視装置、制御装置、電池情報通信システム、電池情報通信プログラム、及び電池情報通信方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/42 20060101AFI20250109BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20250109BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20250109BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20250109BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20250109BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20250109BHJP
【FI】
H01M10/42 P
H01M10/48 P
H02J7/00 Y
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L58/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】31
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109948
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】繁森 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】飯田 剛史
(72)【発明者】
【氏名】大畑 卓也
(72)【発明者】
【氏名】守屋 強夫
(72)【発明者】
【氏名】沼田 達宏
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB02
5G503CA11
5G503CB11
5G503EA08
5G503FA06
5G503GC04
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
5G503HA00
5H030AA10
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC16
5H125CC01
5H125DD01
5H125EE21
(57)【要約】
【課題】通信の信頼性を確保しながら電池情報を通信するときの通信速度を極力高速にできるようにした監視装置、制御装置、電池情報通信システム、電池情報通信プログラム、及び電池情報通信方法を提供する。
【解決手段】 監視装置40は、電池の状態を監視して電池情報とし無線通信により制御装置50に送信する。監視装置40の無線通信部46は、制御装置50の無線通信部54との間で接続処理を実行し電池情報を通信する。監視装置40の無線通信部46は、制御装置50の無線通信部54との間で接続処理の少なくとも一部の所定接続処理を実行するときの通信速度を、制御装置50の無線通信部54へ電池情報を送信するときの通信速度より低速とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の状態を監視して電池情報とし無線通信により制御装置に送信する監視装置であって、
制御装置側通信部との間で接続処理(S100)を実行し前記電池情報を通信する監視装置側通信部(46)、を備え、
前記監視装置側通信部は、前記制御装置側通信部との間で前記接続処理の少なくとも一部の所定接続処理を実行するときの通信速度を、前記制御装置側通信部へ前記電池情報を送信するときの通信速度より低速とする監視装置。
【請求項2】
前記監視装置側通信部は、前記接続処理の間に受信する接続要求(S13)の後に、前記監視装置側通信部から前記制御装置側通信部への通信速度を変更する請求項1記載の監視装置。
【請求項3】
電力供給を受けて監視装置本体を起動する起動回路(44b)を備える電池監視部(44)を備え、
前記電池監視部の起動回路は起動時に有線接続された電力供給部のみから電力供給を受ける請求項1記載の監視装置。
【請求項4】
前記監視装置側通信部は、前記制御装置側通信部との間で前記接続処理を実行するときには、前記電池監視部の起動よりも前に前記通信速度を所定速度から高速に切り替える請求項3記載の監視装置。
【請求項5】
前記制御装置側通信部は、複数の監視装置ごとに電池情報を受信するタイムスロットを割り当てるよう構成され、
前記監視装置側通信部は、前記タイムスロットに電池情報を割り当て、前記接続処理するときの通信速度より高速で通信して電池情報を送信する請求項1記載の監視装置。
【請求項6】
前記監視装置側通信部が、前記制御装置側通信部との間で非同期で実行する前記所定接続処理において自身の存在を周知させる予告検出要求(S21)を送信するときには、
前記予告検出要求を送信して同期した後に前記接続処理に必要な信号を受信するときの通信速度よりも低速で送信する請求項1記載の監視装置。
【請求項7】
前記監視装置側通信部が、前記制御装置側通信部との間で非同期で実行する前記所定接続処理において接続確立するために検出要求(22a)を送信するときには、
前記検出要求を送信して同期した後に前記接続処理に必要な信号を送信するときの通信速度よりも低速で送信する請求項1記載の監視装置。
【請求項8】
前記監視装置側通信部は、前記接続処理を完了すると前記電池情報の通信に切替えて定期通信処理(S200)を継続する請求項1記載の監視装置。
【請求項9】
前記監視装置側通信部は、前記電池情報を分割し、前記接続処理を実行している間に前記制御装置側通信部へ分割した前記電池情報を送信する請求項1記載の監視装置。
【請求項10】
前記監視装置側通信部は、前記制御装置側通信部との間で前記接続処理を実行している間においてパケットに電池情報を含ませて前記制御装置側通信部に送信する際の通信速度を、前記接続処理を実行完了した後に前記制御装置側通信部へ前記電池情報を送信するときの通信速度と同一にする請求項1記載の監視装置。
【請求項11】
車両が停止状態のときに前記監視装置側通信部が前記制御装置側通信部へ通信する通信速度は、前記車両が起動状態のときの通信速度よりも低速である請求項10記載の監視装置。
【請求項12】
車両が停止状態のときに所定のタイミングで複数の電池セル間のセル電圧を均等化する均等化処理を実行するように構成され、
前記監視装置側通信部が、前記車両が停止状態のときに前記均等化処理を実行している間に前記制御装置側通信部へ通信する通信速度は、前記所定接続処理として予告検出要求(S21)を送信する速度よりも高速である請求項1記載の監視装置。
【請求項13】
前記監視装置側通信部が、前記制御装置側通信部へ電池のセル電圧を電池情報として通信している状態のとき、
自らの監視装置側通信部から前記セル電圧が前記制御装置側通信部により一定期間受信されなかった場合、
前記監視装置側通信部は、前記制御装置側通信部が前記自らの監視装置側通信部以外の監視装置側通信部との間で通信する前記電池情報の通信速度より低速で前記制御装置側通信部との間で前記接続処理を実行する請求項1記載の監視装置。
【請求項14】
前記監視装置側通信部は、非電池情報を通信するための非電池情報通信周波数帯の1又は複数のチャンネルからなる第1チャンネル群と、電池情報を通信するための電池情報通信周波数帯の1又は複数のチャンネルからなる第2チャンネル群とを切り替えて前記制御装置側通信部との間で通信し、
前記監視装置側通信部は、前記非電池情報通信周波数帯の第1チャンネル群では前記電池情報通信周波数帯の第2チャンネル群での通信よりも低速で行い、
前記制御装置側通信部との間で前記電池情報通信周波数帯の第2チャンネル群を用いて前記電池情報を通信している際、前記自らの監視装置の前記監視装置側通信部からの電池情報が前記制御装置側通信部により受信されない場合、
前記監視装置側通信部は、前記電池情報通信周波数帯の第2チャンネル群から前記非電池情報通信周波数帯の第1チャンネル群へ切替えて前記制御装置側通信部との間で前記接続処理を実行する請求項1記載の監視装置。
【請求項15】
前記監視装置側通信部は、前記制御装置側通信部へ電池情報を送信するための電池情報通信周波数帯の1又は複数のチャンネルからなる第2チャンネル群と、自らの監視装置を周知させて存在を知らせる予告検出要求(S21)を送信するための帯域である非電池情報通信周波数帯の1又は複数のチャンネルからなる第1チャンネル群とを切り替えて制御装置側通信部との間で通信し、
前記電池情報通信周波数帯にて継続して接続するための継続接続要求(S23、S28)を送信する前に、前記非電池情報通信周波数帯にて前記予告検出要求を送信する、請求項1記載の監視装置。
【請求項16】
前記監視装置側通信部は、前記継続接続要求を前記予告検出要求よりも高速で送信する請求項15記載の監視装置。
【請求項17】
電池の状態を監視して電池情報とする一つ以上の監視装置から前記電池情報を無線通信により受信する制御装置であって、
監視装置側通信部との間で接続処理し前記電池情報を監視装置側通信部に通信する制御装置側通信部(54)を備え、
前記制御装置側通信部は、前記監視装置との間で前記接続処理の少なくとも一部の所定接続処理を実行するときの通信速度を、前記電池情報を受信するときの通信速度より低速としている制御装置。
【請求項18】
前記制御装置側通信部は、前記接続処理の間に送信する接続要求(S13)の後に、前記監視装置側通信部から前記制御装置側通信部へ前記電池情報を送信する通信速度を変更する請求項17記載の制御装置。
【請求項19】
前記制御装置側通信部は、複数の監視装置ごとに前記電池情報を受信するタイムスロットを割り当てるように構成されている請求項17記載の制御装置。
【請求項20】
前記制御装置側通信部は、前記監視装置側通信部との間で非同期で実行する前記所定接続処理において前記監視装置側通信部から送信される自身の存在を周知させる予告検出要求(S21)を受信するときには、
前記監視装置側通信部から前記予告検出要求を受信して同期した後に前記接続処理に必要な信号を受信するときの通信速度よりも低速で受信する請求項17記載の制御装置。
【請求項21】
前記制御装置側通信部は、前記監視装置側通信部との間で非同期で実行する前記所定接続処理において前記監視装置側通信部から接続確立するために送信される検出要求(S22a)を受信するときには、
前記監視装置側通信部から前記検出要求を受信して同期した後に前記接続処理に必要な信号を受信するときの通信速度よりも低速で受信する請求項17記載の制御装置。
【請求項22】
前記制御装置側通信部は、複数の前記監視装置の監視装置側通信部との間で個別に通信するように構成され、前記監視装置側通信部から前記制御装置側通信部への通信速度を個別に切替可能に構成されている請求項17記載の制御装置。
【請求項23】
前記制御装置側通信部は、前記接続処理を完了した前記監視装置から前記電池情報の通信に切替えて通信を継続する請求項17記載の制御装置。
【請求項24】
他の前記監視装置から前記制御装置側通信部へ通信速度を切り替える間、前記制御装置側通信部から前記複数の監視装置への通信速度を切り替えないようにした請求項17記載の制御装置。
【請求項25】
前記制御装置側通信部は、前記電池情報を分割し、前記接続処理の間に分割した電池情報を送信するように前記監視装置に指令する請求項17記載の制御装置。
【請求項26】
前記制御装置側通信部は、車両が停止状態のときの前記監視装置からの通信速度は車両が起動状態のときの通信速度よりも低速とする請求項25記載の制御装置。
【請求項27】
前記制御装置側通信部は、車両が停止状態のとき前記電池のセル電圧を均等化処理中に前記監視装置側通信部から受信する通信速度を、前記監視装置側通信部から前記所定接続処理として予告検出要求(S21)を受信する通信速度よりも高速としている請求項17記載の制御装置。
【請求項28】
前記監視装置側通信部から前記電池のセル電圧を前記電池情報として受信している状態であって、
前記監視装置側通信部から前記セル電圧を一定期間受信しなかった場合、
前記制御装置側通信部は、前記セル電圧を受信しなかった監視装置以外の前記監視装置側通信部との間の前記電池情報の通信速度よりも遅くして前記監視装置側通信部との間で接続処理する請求項17記載の制御装置。
【請求項29】
電池(12)の状態を監視して電池情報として無線通信により送信する一つ以上の監視装置(40)と、
前記監視装置から前記電池情報を無線通信により受信する制御装置(50)と、を備え、
前記監視装置は、制御装置側通信部との間で接続処理(S100)を実行し前記電池情報を通信する監視装置側通信部(46)を備えると共に、前記制御装置は、前記監視装置側通信部との間で前記接続処理を実行し前記電池情報を通信する前記制御装置側通信部(54)を備え、
前記制御装置側通信部及び前記監視装置側通信部は、互いに前記接続処理の少なくとも一部の所定接続処理を実行するときの通信速度を、前記監視装置側通信部から前記制御装置側通信部へ前記電池情報を通信するときの通信速度より低速とする電池情報通信システム。
【請求項30】
電池の状態を監視して電池情報として無線通信により制御装置に送信する一つ以上の監視装置に実行させる電池情報通信プログラムであって、
監視装置側通信部により制御装置側通信部との間で接続処理(S100)を実行し前記電池情報を送信する通信手順、を実行させ、
前記通信手順では前記監視装置側通信部から前記制御装置側通信部へ前記電池情報を送信する通信速度よりも、前記接続処理の少なくとも一部の所定接続処理を実行するときの通信速度を低速とする電池情報通信プログラム。
【請求項31】
電池の状態を監視して電池情報として無線通信により制御装置に送信する一つ以上の監視装置による電池情報通信方法であって、
監視装置側通信部により制御装置側通信部との間で接続処理(S100)を実行し前記電池情報を送信する送信過程を備え、
前記送信過程では、前記監視装置側通信部から前記制御装置側通信部へ前記電池情報を送信する通信速度よりも、前記接続処理の少なくとも一部の所定接続処理を実行するときの通信速度を低速で通信する電池情報通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置、制御装置、電池情報通信システム、電池情報通信プログラム、及び電池情報通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)などの車両は、例えばリチウムイオン電池など車両走行用の電池を搭載している。監視装置が電池の状態などを監視する電池監視システムが提案されている。電池監視システムは、制御装置の指令に基づいて、監視装置が電池セルの電圧などの電池の状態を電池情報として取得し、制御装置が監視装置との間で無線通信部により無線通信して当該電池情報を取得する。これにより、制御装置が電池の状態を統括的に監視できる。
【0003】
なお本願に関連する文献として、無線通信によりデータ伝送する技術が特許文献1に記載されている。特許文献1記載の技術によれば、起動部が無線起動信号の第1段階のデータパターンが所定のデータパターンと一致した場合に第1段階を受信したと判定し、無線起動信号の第2段階のデータパターンが所定のデータパターンと一致した場合に第2段階を受信したと判定するようにしている。すなわち、無線通信時においてデータパターンを用いた認証技術が開示されている。また第1段階のデータパターンの伝送速度が2段階のデータパターンの伝送速度よりも低く設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2014/132345号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、背景技術欄に記載した電池監視システムは、電池情報を通信するときに、監視装置から制御装置に向けて電池情報に関する大量のデータを送信する。大量のデータを送信する際には通信速度を極力高速とすることが望ましい。しかし、通信の信頼性を向上させるためには通信速度を遅くすることが望ましい。
【0006】
本開示の目的は、通信の信頼性を確保しながら電池情報を通信するときの通信速度を極力高速にできるようにした監視装置、制御装置、電池情報通信システム、電池情報通信プログラム、及び電池情報通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、電池の状態を監視して電池情報とし無線通信により制御装置に送信する監視装置を対象としている。監視装置は、制御装置側通信部との間で接続処理し前記電池情報を通信する監視装置側通信部、を備える。監視装置側通信部は、制御装置側通信部との間で接続処理の少なくとも一部の所定接続処理を実行するときの通信速度を、制御装置側通信部へ電池情報を送信するときの通信速度より低速としている。
【0008】
監視装置側通信部が電池情報を送信するときには通信速度を向上させることが望ましい。逆に、監視装置側通信部が制御装置側通信部と接続処理の少なくとも一部の所定接続処理を実行するときには通信信頼性の劣化を避けることが望ましい。請求項1記載の発明によれば、電池情報を通信するときの通信速度よりも所定接続処理時に通信速度を低速としているため所定接続処理時のエラー率を低減でき、所定接続処理時の通信の信頼性を確保できる。また、電池情報を通信するときの通信速度を所定接続処理時の通信速度よりも高速としているため、電池情報のデータ送信量を多くできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態における電池監視システムを概略的に示すブロック図
図2】電池パックの構造を模式的に示す斜視図
図3】電池パックの構造を模式的に示す側面図
図4】電池パックの構造を模式的に示す平面図
図5】電池監視システムの電気的構成図
図6】通信の流れを概略的に示すシーケンス図その1
図7】通信の流れを概略的に示すシーケンス図その2
図8】通信の流れを概略的に示すタイムチャート
図9】第2実施形態における通信の流れを概略的に示すシーケンス図
図10】接続処理と電池情報通信処理との時間的経過を模式的に示す図
図11】通信の流れを概略的に示すタイムチャート
図12】第3実施形態における通信の流れを概略的に示すシーケンス図
図13】パケットの内容の説明図その1
図14】パケットの内容の説明図その2
図15】第3実施形態の変形例その1における通信の流れを概略的に示すシーケンス図
図16】通信の流れを概略的に示すタイムチャート
図17】第3実施形態の変形例その2における通信の流れを概略的に示すシーケンス図
図18】第3実施形態の変形例その3における通信速度の変更方法を概略的に示すシーケンス図
図19】第3実施形態の変形例その3における通信の流れを概略的に示すタイムチャート
図20】第3実施形態の変形例その4における通信速度の変更方法を概略的に示すシーケンス図
図21】第4実施形態における通信速度の変更方法を概略的に示すシーケンス図
図22】第5実施形態における通信の流れを概略的に示すシーケンス図その1
図23】通信の流れを概略的に示すシーケンス図その2
図24】第6実施形態において示すセル電圧の均等化方法の説明図その1
図25】セル電圧の均等化方法の説明図その2
図26】第7実施形態における電池パックの構造を模式的に示す斜視図
図27】第8実施形態における電池パックの構造を模式的に示す斜視図
図28】第9実施形態における電池パックの構造を模式的に示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、監視装置、制御装置及び電池監視システムに関する幾つかの実施形態について図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態では、各実施形態で同一又は類似に構成には同一又は類似の符号を付して説明を省略することがある。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態について図1から図8を参照しながら説明する。図1に示すように、電池監視システム1は、電池パックシステム2を主として構成され車両10に内蔵されている。車両10は、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、又は電気自動車(EV)などによるもので、搭載された電池パック11の組電池12(図2参照)を駆動源の少なくとも一部として走行する。
【0012】
車体13の内部には、電池パック11、パワーコントロールユニット(以下、PCUと略す)14、モータ15、及び、上位ECU16が搭載されている。上位ECU16は、電子制御装置として構成される。電池パック11は、車体13のエンジンルームに配置されている場合もあるが、乗員、例えば運転者の座席の下、車体13のフレーム周辺、トランクルーム、などに配置されていても良い。
【0013】
図2に示すように、電池パック11は、電池セル22を複数グループ化した電池モジュール20を備える。電池パック11は、電池モジュール20を複数のグループ分備える。電池モジュール20には多数の電池セル22が収納されており組電池12を構成する。組電池12にはモータ15を駆動する電力が蓄積されることで車両10の駆動源として用いられる。図1に示すPCU14は電池パック11の組電池12に蓄積された電力をモータ15へ供給する。車両10の制動時などには、モータ15は回生電力を組電池12に戻し、電池パック11の組電池12はモータ15の発電電力に応じて充電されるように構成される。
【0014】
<電池パック11の構造>
以下、電池パック11の構造例について図2から図4を参照して説明する。
図2には、筐体30の内壁を二点鎖線で示している。筐体30は、筐体30の長手方向をX方向と示し短手方向をY方向と示す。車体13への搭載面に対して垂直となる上下方向をZ方向と示す。X方向、Y方向、及びZ方向は、互いに交差(例えば、直交)する関係を示している。筐体30は、X方向に沿う第1壁面30aを備えると共に、Y方向に沿う第2壁面30bを備えている。筐体30は、扁平型、平型、低背型の矩形箱状に成形されている。
【0015】
図2に示すように、電池パック11の筐体30には、組電池12と、複数の監視装置40と、制御装置50とがX方向及びY方向に沿った平面方向に渡って収納されている。監視装置40は、電池パック11の組電池12の状態を監視する電池監視部44(図5参照)を搭載し、サテライトバッテリ電池モジュール(SBM:Satellite Battery Module)と称される。
【0016】
筐体30のZ方向下面が車体13への搭載面となっている。本実施形態では、X方向が車両10の左右方向となっており、Y方向が車両10の前後方向となっており、Z方向が車両10の上下方向になっている。図2から図4の配置は一例にすぎない。車体13への搭載方向は一例であり、車両10に対して電池パック11をどのように配置しても良い。
【0017】
組電池12は、X方向に並設された複数の電池モジュール20を有しており、複数の電池モジュール20はX方向に複数並設して配置されている。電池モジュール20は、電池スタック、電池ブロックなどと称されることがある。組電池12は、複数の電池モジュール20が直列及び/又は並列に接続されて構成されることがあるが、本実施形態では、複数の電池モジュール20が直列接続される例を示している。
【0018】
各電池モジュール20は、それぞれ矩形箱状に構成された電池セル22を複数有している。電池モジュール20は、複数の電池セル22をあるひとまとまりのグループとした構成である。各電池モジュール20は、複数の電池セル22をY方向に並設して配置されている。複数の電池セル22は、それぞれ図示しない電池ケースに収容されており、これにより複数の電池セル22の相対位置が固定されている。電池ケースは金属製もしくは樹脂製である。電池ケースは金属製で矩形箱状に構成されている場合、電池ケースの壁面と電池セル22との間に電気的に絶縁性の部材が全体的に介在している。絶縁性部材は電池ケースの壁面と電池セル22との間に部分的に介在していても良い。
【0019】
電池モジュール20は、直列に接続された複数の電池セル22を有している。本実施形態の電池モジュール20は、Y方向に並んで配置された複数の電池セル22が直列接続して構成され、組電池12は直流電圧源を提供する。
【0020】
電池セル22は、化学反応によって起電圧を生成する二次電池であり、二次電池としては、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、有機ラジカル電池などを採用できる。リチウムイオン二次電池はリチウムを電荷担体とする二次電池である。電池セル22に採用できる二次電池には、電解質が液体の二次電池の他、固体の電解質を用いたいわゆる全固体電池も含まれ得る。
【0021】
図2から図4に示すように、各電池セル22は、電池ケースの側面同士がY方向で接するように積層されている。電池セル22は、それぞれX方向の両端に位置して、Z方向、より詳しくは上方を示すZ+方向に突出する正極端子23及び負極端子24を有している。図3に示すように、これら正極端子23及び負極端子24の突出する端面のZ方向の位置は、各電池セル22で同等高さに配置されている。図4に示すように、各電池セル22は、Y方向において、正極端子23及び負極端子24が交互に配置されるように積層されている。
【0022】
図4に示すように、各電池モジュール20の上面において、X方向の両端には、直線状のバスバーユニット25が一対に配置されている。バスバーユニット25は、複数の電池ケースの正極端子23及び負極端子24の突出する端面におけるX方向の両端に位置してそれぞれに配置されている。
【0023】
図3及び図4に示すように、各バスバーユニット25は、Y方向に交互に配置される正極端子23及び負極端子24を電気的に接続する複数のバスバー26と、複数のバスバー26を覆うバスバーカバー27とを有している。バスバー26は、銅やアルミニウムなどの導電性が良好な金属を材料とする板材である。バスバー26は、Y方向において隣り合う電池セル22の正極端子23と負極端子24とを電気的に接続している。これにより、各電池モジュール20において、複数の電池セル22が直列接続されている。
【0024】
各電池モジュール20は、複数の電池セル22をY方向に並設して構成されている。図3及び図4に示すように、バスバーカバー27は各電池モジュール20の複数の電池セル22の正極端子23及び負極端子24を覆うようにY方向に沿って配置されている。バスバーカバー27は、図3に示すように電池セル22のX方向両端に配置されており、電池セル22の上面より上方に突出して配置されている。空間S1aは、図3に示すように、電池パック11の天面11g、すなわち筐体30の上内面30cと、バスバーカバー27の内側面と、電池セル22の上面との間に囲われるように設けられる。空間S1aは、筐体30の上内面30cの下脇に位置してX方向に連通するように設けられている。この空間S1aは電磁波の伝搬経路として設けられる。
【0025】
ここで、図4を参照しながらある電池モジュール20の電気的な接続状態を説明する。ある電池モジュール20の中で、ある第1の電池セル22のX方向の一方の端部は正極とされており、他方の端部が負極とされている。電池セル22の正極には正極端子23が接続されており、負極には負極端子24が接続されている。この第1の電池セル22のY方向側部に位置して第2の電池セル22が配置されている。第2の電池セル22は、第1の電池セル22とは、正極と負極のX方向位置が互いに逆に配置されている。そして第1の電池セル22の負極端子24は第2の電池セル22の正極端子23との間でバスバー26により接続されている。
【0026】
さらに、第2の電池セル22のY方向側部に位置して第3の電池セル22が配置されている。第3の電池セル22は第2の電池セル22とは、正極と負極のX方向位置が互いに逆に配置されており、第2の電池セル22の負極端子24と第3の電池セル22の正極端子23との間はバスバー26により接続されている。このように、多数の電池セル22は正極と負極のX方向位置を入れ替えながらY方向に複数併設されており、正極端子23及び負極端子24がバスバー26により連結されている。これにより、各電池モジュール20の電池セル22は電気的には直列接続されている。
【0027】
各電池モジュール20では、Y方向に並ぶ複数の電池セル22の端部に位置する2つの電池セル22の一方は最高電位になり、他方は最低電位になる。最高電位の電池セル22の正極端子23と、最低電位の電池セル22の負極端子24のうちの少なくとも一方に図2に示すワイヤ20wが接続されている。
【0028】
図2から図4に示すように、X方向で隣り合う2つの電池モジュール20の一方において最高電位の電池セル22の正極端子23と、他方において最低電位の電池セル22の負極端子24とがワイヤ20wを介して接続される。これにより、複数の電池モジュール20が電気的に直列接続されている。
【0029】
X方向に並ぶ複数の電池モジュール20の端部に位置する2つの電池モジュール20の一方は最高電位側になり、他方は最低電位側になる。最高電位側の電池モジュール20では、複数の電池セル22のうちの最高電位の電池セル22の正極端子23に出力端子が接続される。
【0030】
最低電位側の電池モジュール20では、複数の電池セル22のうちの最低電位の電池セル22の負極端子24に出力端子が接続されている。これら二つの出力端子が、車両10に搭載されたPCU12などの電気機器に接続される。正極端子23と負極端子24は、X方向において少なくとも一部が対向してもよいし対向しなくともよい。
【0031】
なお、X方向において隣り合う2つの電池モジュール20をワイヤ20wを介して電気的に接続しなくともよく、複数の電池モジュール20の任意の2つをワイヤ20wを介して電気的に接続してもよい。
【0032】
図3及び図4に示すバスバーカバー27は、樹脂などの電気絶縁材料を用いて形成されている。バスバーカバー27は、複数のバスバー26を覆うようにY方向に沿って電池モジュール20の端から端まで直線状に設けられている。バスバーカバー27は隔壁を有してもよい。隔壁が設けられることによってY方向に隣り合う2つのバスバー26の間の絶縁性を高めることができる。
【0033】
監視装置40は、図2に示すように、複数のうちX方向に隣接する二つの電池モジュール20に対しそれぞれ一つ設けられている。ここでは隣接する一対の電池モジュール20ごとに設ける形態を示しているが、後述実施形態に示すように一つの電池モジュール20ごとに設けても良いし、三つ又はそれ以上の電池モジュール20ごとに設けても良い。
【0034】
監視装置40は、筐体30の第1壁面30aの内脇において当該第1壁面30aの延設方向(X方向)に沿って設けられると共に、X方向に沿って二つの電池モジュール20を跨って配置されている。複数の監視装置40は、電池モジュール20のY方向の一方の端部に位置してX方向に並設されている。監視装置40は、筐体30のX方向に沿う第1壁面30aの内脇に設けられている。そして、複数の監視装置40のY方向位置が同一位置に配置されている。
【0035】
図2に示す構造では、複数の監視装置40を、電池モジュール20のY方向の一方の端部に並設した構造を示しているが、この構造に限定されるものではない。例えば、複数の監視装置40を、二つの電池モジュール20ごとにY方向の一方/他方の端部に互い違いに配置するようにしてもよいし、規則的に互い違いに配置しなくてもよい。
【0036】
監視装置40は、例えば電池モジュール20に設けられた窪みに嵌め込まれており、ねじにより固定されている。監視装置40の固定方法はこの方法に限られない。例えば、熱を加えて加圧して接合、圧着を行う熱カシメを行うことで電池モジュール20に監視装置40を固定してもよい。また、金属又は樹脂材料の弾性変形を利用したスナップフィット構造により電池モジュール20に監視装置40を固定してもよい。
【0037】
監視装置40の外形寸法は、電池モジュール20に取り付けられたとき、X方向>Z方向>Y方向の関係性を備えて配置されている。監視装置40の周辺には空間S1が設けられている。空間S1は、筐体30の第1壁面30a、第2壁面30b、電池モジュール20の壁面20aに一部が囲われた空間である。監視装置40は、XYZ方向のうちY方向肉厚が最も薄く配置されている。電池モジュール20が、電池セル22をY方向に多数並べて構成されており、Y方向に幅広に構成されていたとしても、Y方向が極小となる空間S1に監視装置40を配置できる。これにより、筐体30の第1壁面30aの内脇の空間S1を有効活用できる。
【0038】
監視装置40は、その配置箇所が電池モジュール20の壁面20aのうち電池セル22の高さ中央からZ方向下側よりもZ方向上側に寄って設けられるとよい。なお、監視装置40の大部分が電池セル22の高さ中央から上側に配置されていれば、その他の一部が電池セル22の高さ中央から下側に配置されていてもよい。言い換えると、監視装置40は、その配置箇所が電池セル22の高さ中央から上側に配置される領域の方が下側に配置される領域よりも大きくなるように設けられるとよい。このとき、例えば電池モジュール20の上側から監視装置40を容易に配置でき、監視装置40を電池モジュール20に配置する際の組付性を良好にできる。
【0039】
図2に示すように、制御装置50は、全ての電池モジュール20のうちのX方向端部に位置する電池モジュール20のX方向外側端面に取付けられている。図5に示すように、監視装置40はアンテナ49を備えると共に制御装置50はアンテナ57を備えており、制御装置50と複数の監視装置40とは無線接続される。
【0040】
仮に、制御装置50を監視装置40との間を有線接続する構造を採用してしまうと、監視装置40と制御装置50との間で互いにハーネスを接続する必要を生じる。例えば、作業者が、筐体30の第1壁面30aの内脇の空間S1にハーネスを伸ばして監視装置40と制御装置50との間を結線することになると、組付性が悪く工数を多く要してしまう。この点、監視装置40と制御装置50とが無線接続するように構成されているため、監視装置40をたとえ極小の空間S1に配置しても組付性を悪化させることなく配置できる。
【0041】
なお、監視装置40を電池モジュール20に固定するための固定部材は、たとえば非磁性材料を用いると良く、これにより無線通信の性能を向上できる。電池モジュール20に設けられる部品は、特に特性上で磁性を備えなくともよい場合には非磁性材料を用いると良い。
【0042】
監視装置40は、電池モジュール20のY方向側端面に固定されている。図2及び図3に示すように、監視装置40には検出線Lが接続されている。検出線Lは、電池モジュール20ごとに構成されている。検出線Lは、監視装置40の上部から上方向に延びると共に電池モジュール20の端部で屈曲して複数の電池セル22の上面をY方向に渡って延伸している。検出線Lは、各電池セル22の正極端子23及び負極端子24の間の電圧を検出するためのハーネスを示す。
【0043】
検出線Lは、一つの電池モジュール20を構成する複数の電池セル22の上面に沿ってY方向に延伸してそれぞれ構成される。検出線Lは、各電池セル22のX方向両端に構成されるバスバーカバー27の間に渡って構成される。検出線Lは、Y方向に延伸した中間位置からX方向両脇に図示しない心線が延びることで、各電池セル22の正極端子23及び負極端子24に対しそれぞれ電気的に接続されている。
【0044】
<筐体30の構造説明>
筐体30は、EMC対策のため、たとえば電磁波を反射する性能を有している。EMCとは、Electromagnetic Compatibilityの略称である。筐体30は、樹脂材料と電磁波を反射するため磁気特性を備えた金属、すなわち磁性材料とを含んで構成されている。筐体30は、樹脂材料を含んで構成しても良いが、磁性材料は樹脂材料を覆うように構成しても良いし樹脂材料の内部に埋め込んで構成してもよい。筐体30は樹脂材料により形成されていてもよいが、EMC対策のため車両10のシャーシにより覆われていると良い。筐体30は、カーボン繊維を備えて構成しても良い。筐体30は電磁波を反射する性能に代えて電磁波を吸収する性能を有する材料を含んで構成しても良い。
【0045】
複数の電池モジュール20のY方向一端に位置する壁面20a(図2図4参照)は、X方向に渡って構成されている。壁面20aは電磁波を反射するための反射部材(例えば、磁気特性を備えた金属、磁性材料)を用いて覆うとよい。筐体30の第1壁面30aの内脇に位置する空間S1は、例えばYZ方向の縦横寸法が数mm~数cm~数十cm程度の空間となっている。
【0046】
前述したように、空間S1は、電池モジュール20の壁面20aと、筐体30の第1壁面30a、下内面30d、上内面30c、及び第2壁面30bにより一部が囲われている。空間S1は、反射部材となる金属により一部が閉塞されると共に、制御装置50が配置されているX方向の一方の空間S1b側(図4の左方向の第3壁面30e側)だけ開口した空間となる。
【0047】
複数の監視装置40は空間S1の中にX方向に渡って周期的(例えば、等間隔)に配置されている。空間S1が金属により覆われていれば、この空間S1は、いわゆる方形導波管に類似した導波路空間を構成する。図4に示すように、筐体30は、平面視で第1壁面30a、第2壁面30b、第3壁面30e、第4壁面30fにより閉塞した空間を構成している。
【0048】
第1壁面30aは第4壁面30fと対向しており、第2壁面30bは第3壁面30eと対向している。このとき、制御装置50と監視装置40とが無線通信する際の電磁波の伝搬空間は平面視でL字状になっている。制御装置50が放射する無線の電磁波は、第1壁面30aで反射して空間S1に伝搬されると共に第3壁面30eで反射して空間S1に伝搬され監視装置40に達する。
【0049】
監視装置40が放射する無線の電磁波は、空間S1内を伝搬して第1壁面30aで反射して制御装置50に達すると共に、空間S1内を伝搬して第3壁面30eに反射して制御装置50に達する。これにより制御装置50及び監視装置40が無線通信すると、電波は空間S1を含むL字状の伝搬経路を含んで伝搬する。
【0050】
本実施形態では、その他、制御装置50と監視装置40とが無線通信する際の電磁波の伝搬経路は図3に示す空間S1aも含まれる。この空間S1aは、電池セル22のX方向両端に配置されたバスバーカバー27の間に挟まれると共に、電池パック11の天面11g、すなわち筐体30の上内面30c、及び電池セル22の上面に囲われるように設けられている。空間S1aは、筐体30の上内面30cの下方に隙間を備えるように設けられる。
【0051】
空間S1aは、筐体30の上内面30cの下脇に沿ってX方向に連通している。空間S1aは、制御装置50が配置される空間S1bまでX方向に連通している。このように空間S1a、S1bは、制御装置50と監視装置40との間の無線の電磁波の伝搬経路にできるため、前述のL字状の伝搬経路に加えて通信経路を多く確保できる。
【0052】
筐体30は、電池パック11の収容空間とその外側の空間とに連通する孔を備える。孔は、通気、電力線及び信号線の通電などに用いられる。孔を有する構成の場合、孔を覆う覆部(図示せず)を設けてもよい。覆部は例えばコネクタ、電磁遮蔽部材、シール材などで構成され、電池パック11の収容空間とその外部の空間との間の孔の一部又は全部を閉塞する。
【0053】
覆部は、たとえば磁気特性を備えた金属材料を含んで構成されている。覆部は、樹脂材料を含んでいても良いが、磁性材料は樹脂材料を覆うように構成しても良いし樹脂材料の内部に埋め込んで構成してもよい。覆部はカーボン繊維を備えて構成されていても良い。
【0054】
筐体30の孔は、別途覆部を設けることなく筐体30の収容空間に収容された要素によって覆われていても良い。また、電力線や信号線は筐体30の壁部の一部をなす電気絶縁部材に保持された状態で収容空間と外部の空間とに渡って配置されていてもよい。
【0055】
<複数の監視装置40及び制御装置50の配置態様の変形例>
なお、複数の監視装置40及び制御装置50の取付構造は、図2に示す構造に限られるものではない。例えば、複数の監視装置40は、筐体30の内側の複数の電池モジュール20にそれぞれ取り付けると良いものの、制御装置50は筐体30の外側面に取付けられても良い。
【0056】
例えば、監視装置40と制御装置50との対向領域に筐体30の壁面が設けられるような取付構造であっても良い。この場合、図2に示す取付構造に比較して、監視装置40と制御装置50との間の電波の伝搬環境は悪化するものの、監視装置40と制御装置50とが互いに通信処理できれば良い。例えば、制御装置50が設けられる筐体30の壁面が電波が透過する樹脂で形成されていてもよい。また筐体30の壁面に開口が形成され、その開口を閉塞する態様で制御装置50が配置されていてもよい。
【0057】
監視装置40が備えるアンテナ49は、XY方向においてバスバーユニット25と重ならないように、つまりバスバーユニット25よりもZ方向に突出するように配置されていてもよい。制御装置50のアンテナ57は、バスバーユニット25よりもZ方向に突出するように設けられていてもよい。制御装置50に接続されるアンテナ57は、例えば監視装置40のアンテナ49と同程度のZ方向高さに配置されているとよい。なお、アンテナ49、57の配置関係はこの関係性に限られるものではない。
【0058】
<電池モジュール20の配置構造の変形例>
本実施形態では、複数の電池セル22を詰め込んだ電池モジュール20を複数用意し、筐体30に直納した形態を示すが、所謂電池モジュールレス化した構造に適用しても良い。例えば、セルトゥパックと称されるように、電池セル22の電池モジュール化を省略し、複数の電池セル22を直接電池パック11に直納するようにしても良い。セルトゥパックとはCell to Pack(CTP)をカナ表記したものである。
【0059】
電池モジュールトゥプラットフォームと称されるように、電池モジュール20を車両10のフレーム、プラットフォームに直納するようにしても良い。電池モジュールトゥプラットフォームとはModule to Platform(MTP)をカナ表記した内容を示す。セルトゥシャーシとも称されるように、車両10の車台に電池セル22を直接パック化すると共にシャーシの中に車体構造の一部として搭載するようにしても良い。セルトゥシャーシとはCell to Chassis(CTC)をカナ表記した内容を示す。
【0060】
<PCU14、モータ15、上位ECU16の構成説明>
上位ECU16及び制御装置50は、その一部又は全部を統合化して構成しても良いし別体に設けても良い。図1に示すPCU14は、上位ECU16からの制御信号にしたがって、電池パック11とモータ15との間で双方向の電力変換を実行する。PCU14は、たとえば、モータ15を駆動するインバータと、インバータに供給される直流電圧を電池パック11の出力電圧以上に昇圧するコンバータとを含んで構成される。
【0061】
モータ15は交流回転電機であり、例えばロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機である。モータ15は、PCU14により駆動されて回転駆動力を発生し、モータ15が発生した駆動力は駆動輪に伝達される。一方、車両10の制動時には、モータ15は、発電機として動作し、回生発電を行なう。モータ15が発電した電力は、PCU12を通じて電池パック11に供給され、電池パック11の組電池12に蓄えられる。
【0062】
上位ECU16は、CPU、ROM、RAM及び不揮発性半導体記憶装置などのメモリ、各種信号を入出力するための入出力ポート等を含んで構成される。メモリには上位ECU16が実行する処理プログラムが記されており、CPUはメモリに記憶されたプログラムを実行する。メモリは非遷移的実体的記録媒体として用いられる。制御装置50は、電池パック11の監視装置40から組電池12の各電池セル22のセル電圧の情報を受けてSOC(State Of Charge)を計測し、PCU12を制御することにより、モータ15の駆動及び電池パック11の充放電を制御する。
【0063】
組電池12には電流センサ17(図5参照)が直列接続されており、これにより組電池12の全体に流れる電流を計測できる。図5に示すように、電流センサ17は制御装置50に接続されている。上位ECU16は、電流センサ17による組電池12又は電池セル22に流れる電流情報を、監視装置40及び制御装置50を通じて取得できる。
【0064】
ここでは電流センサ17が制御装置50に接続されている形態を示すが、上位ECU16に電流センサ17が接続されていてもよい。制御装置50と上位ECU16は相互に通信接続できるため、何れの構成が電流センサ17の電流情報を取得しても組電池12に流れる電流情報を共有できる。
【0065】
以下、監視装置40、制御装置50の電気的ブロック構成を説明する。
<監視装置40の電気的ブロック構成例>
図5に示すように、監視装置40は、電源回路41~43、電池監視部44、マイコン45、無線通信部46、選択回路47、整合回路48、及びアンテナ49を備える。監視装置40の電源回路41は、電池モジュール20から供給される電圧を用いて動作電圧を生成し生成電圧を電源回路42、43に供給すると共に電池監視部44に供給する。
【0066】
電源回路41は、整流部41a及び起動回路41bを備える。整流部41aは電力供給部となる電池モジュール20から電源供給を受けて整流し平滑して直流電源を生成する。起動回路41bは、整流部41aにより整流して平滑化した直流電源を受けて監視装置40の一部又は全体を起動させるための起動信号を生成する。
【0067】
起動回路41bは、起動時に有線接続された1又は複数の電力供給部となる電池モジュール20のみから電力供給を受けることが望ましい。すなわち有線により電力供給を受けることが望ましく、無線により電力供給を受けないことが望ましい。有線により電力供給を受けて起動することでセキュリティを確保しやすくなる。
【0068】
また、仮に無線通信により外部から起動すると、筐体30の内部で乱反射を起こす虞があると共に、電池監視部44の起動が遅れる虞がある。この結果、電池監視部44による組電池12の監視スケジュールを管理できなくなる虞がある。有線により電源起動することで、電源起動するための無線シーケンスを不要にでき、電池監視のスケジュール管理を容易にできる。
【0069】
起動回路41bは、電池監視部44、マイコン45、無線通信部46の一部又は全部を起動させる。なお図7のS30に示すように、電池監視部44を構成する監視ICは、制御装置50の無線通信部54と監視装置の無線通信部46との間が同期する際又は同期するまでには起動しているとよい。本実施形態では、起動回路41bを電源回路41に設けた形態を示したが、後述の実施形態で説明するように、無線通信部46に設けても良い。
【0070】
電源回路42は、電源回路41の出力から動作用電圧を生成しこの生成電圧をマイコン45に供給する。電源回路43は、電源回路41の出力から動作用電圧を生成しこの生成電圧を無線通信部46に供給する。
【0071】
監視装置40の選択回路47は、電池セル22の温度を測定する温度センサ(図示せず)によるセル温度信号、及び、電池セル22の種類を判別するセル判別信号を電池情報として入力し、電池情報を選択して電池監視部44に入力させる。監視装置40の電池監視部44は、電池セル22のセル電圧、セル温度、セル判別の電池情報などをセンシングする。
【0072】
電池監視部44は、組電池12の電池セル22の電池情報を取得する監視部44aと、選択回路47を通じて入力した電池情報のアナログ値をデジタル値に変換して出力する変換部44bと、電池情報のデジタル値を記憶する記憶部44cと、を備えている。監視部44aは、1又は複数の監視ICにより構成される。電池監視部44が複数の監視ICを備えて構成されている場合、それぞれ電池情報を取得担当する電池セル22が予め定められている。記憶部44cは、レジスタなどにより構成されている。電池監視部44は、電池セル22の電池情報を記憶部44cに順次記憶させるが、メモリ容量を確保するため必要に応じて消去する。
【0073】
電池監視部44は、マイコン45を通じて無線通信部46の記憶部46aに当該電池情報、例えば、電池セル22のセル電圧の情報、電池の温度情報、電池セル22の判別情報、などを電池監視情報として記憶させる。電池監視部44は、監視装置40の回路部分の故障診断を実行しその故障診断情報をモニタし、マイコン45を通じて無線通信部46の記憶部46aに故障診断情報を電池情報として記憶させる。
【0074】
監視装置40のマイコン45は、電池監視部44から入力される電池情報を受信し無線通信部46に送信する。マイコン45は、電池監視部44の電池情報などの取得スケジュールを制御する機能を持つ制御回路を示す。
【0075】
無線通信部46は、記憶部46aを備えており制御装置50の無線通信部54との間で記憶部46aに記憶された情報を無線送信する。監視装置40の無線通信部46は、マイコン45から電池情報を受信すると記憶部46aに記憶しマスタ側の制御装置50に電池情報を伝達する。無線通信部46は制御装置50の無線通信部54に情報を伝達し、制御装置50の無線通信部54から電池情報を記憶部46aに記憶する。無線通信部46は、監視装置40と制御装置50との間の通信データサイズ、通信形式、スケジュール、エラー検知などを制御する通信デバイスを示す。
【0076】
無線通信部54及び46との間で無線通信可能な帯域として所定の周波数領域が割当てられている。この所定の周波数領域を周波数分割した複数の使用周波数帯がチャンネル毎に区分されている。複数のチャンネルは、非電池情報通信周波数帯の第1チャンネル群と、電池情報通信周波数帯の第2チャンネル群に分けられる。第1チャンネル群と第2チャンネル群はそれぞれ1又は複数のチャンネルからなっている。第1チャンネル群及び第2チャンネル群共に、電池情報、非電池情報の何れも通信可能であるものの、第2チャンネル群は主に電池情報を通信する用途で用いられると共に、第1チャンネル群では主に電池情報以外の情報を通信する用途で用いられる。
【0077】
制御装置50の無線通信部54と監視装置40の無線通信部46とは、第1チャンネル群又は第2チャンネル群の各チャンネルの使用周波数帯の中で所定のデジタル変調方式を用いて単一搬送波をデジタル変調して各情報を通信する。所定のデジタル変調方式とは、例えば、周波数変調方式によるが、その他、振幅変調、位相変調などその他の各種変調方式を適用してもよい。
【0078】
制御装置50の無線通信部54と監視装置40の無線通信部46とは、所定のデジタル変調方式の変調速度を変更することで、無線通信部54及び46間の各情報の通信速度を2以上に段階的に変更できる。本実施形態では特に、監視装置40の無線通信部46から制御装置50の無線通信部54へ送信する非電池情報及び電池情報などの各種情報の通信速度を段階的に変更可能になっている。通信速度は、エラー率が一定であると仮定した場合の単位時間あたりのデータ転送量を示す。
【0079】
本実施形態では、予め割り当てられた電池情報通信周波数帯の第2チャンネル群において比較的高速の通信速度で通信すると共に、非電池情報通信周波数帯の第1チャンネル群において比較的低速の通信速度で通信する形態を説明する。すなわち2段階の通信速度で通信する形態を説明する。本実施形態やその他の実施形態の説明では、2段階で変調速度を変更し2段階で通信速度を変更する形態を説明するが、3段階以上に変調速度を変更し3段階以上で通信速度を変更する形態に適用してもよい。
【0080】
無線通信部54の記憶部54aや監視装置40の無線通信部46の記憶部46aには、電池情報通信周波数帯の第2チャンネル群で高速通信するときには、比較的高速の所定の変調速度でデジタル変復調することが予め記憶されている。また、非電池情報周波数帯の第1チャンネル群で低速通信するときには、比較的低速の所定の変調速度でデジタル変復調することが予め記憶されている。
【0081】
したがって、制御装置50の無線通信部54は、監視装置40の無線通信部46と第1チャンネル群のチャンネルで通信するときには低速で通信し、第2チャンネル群の中のチャンネルで通信するときには高速で通信する。
【0082】
監視装置40の整合回路48及びアンテナ49は、無線通信部46の出力信号を電波に変換して空間に放射させ、空間を伝搬してきた電波を受信して無線通信部46に入力するための物理インターフェースを示す。
【0083】
前述したマイコン45は実装されていなくても良く、この場合、無線通信部46と電池監視部44とが直接通信する構成とすると良い。監視装置40の無線通信部46が、電池監視部44の電池監視情報、故障診断情報の取得スケジュール又は送信スケジュールを管理してもよい。
【0084】
<制御装置50の具体構成例>
制御装置50は、電源回路51、52、メインマイコン53、無線通信部54、サブマイコン55、整合回路56、及びアンテナ57を備える。制御装置50の電源回路51は、補機バッテリ60から供給される電圧を用いて動作電圧を生成し、電源回路52に供給すると共にメインマイコン53に供給する。電源回路52は、電源回路51の出力を用いて動作電圧を生成し無線通信部54に供給する。
【0085】
制御装置50の整合回路56及びアンテナ57は、無線通信部54が出力する信号を電波に変えて空間に放射させ、空間を伝搬してきた電波を受信して無線通信部54に入力するための物理インターフェースを示す。
【0086】
制御装置50の無線通信部54は、監視装置40の無線通信部46からの電池監視情報又は故障診断情報などを電池情報として受信し、制御装置50のメインマイコン53に情報を伝達する。また制御装置50側の無線通信部54は、メインマイコン53から送信されるデータを受信し、監視装置40の無線通信部46に向けて送信する。無線通信部54は、監視装置40-制御装置50間の通信データサイズ、通信形式、スケジュール、エラー検知などを制御する通信デバイスを示す。
【0087】
制御装置50のメインマイコン53は、無線通信部46から送信される電池セル22の電圧や温度などの情報を用いて電池セル22の状態指標となるSOCやダイアグ情報などを演算し上位ECU16に伝達する。メインマイコン53はイグニッションスイッチのオン/オフの状態に応じた切り替え制御を実施する。メインマイコン53は、電池セル22のセル電圧を均等化するための均等化制御部53aとしての機能を備える。
【0088】
メインマイコン53は、無線通信部46、54を通じて制御信号などの情報を監視装置40に無線通信により送信し監視装置40の動作状態を制御する。制御装置50のサブマイコン55は、無線通信部54とメインマイコン53との間のデータを監視したり、メインマイコン53の動作状態を監視したりする。サブマイコン55が無線通信部54の動作状態を監視しても良い。
【0089】
本実施形態では、制御装置50がサブマイコン55を備えており、サブマイコン55は、無線通信部54とメインマイコン53との間のデータを監視したり、メインマイコン53の動作状態を監視したりする。しかしながら、制御装置50の構成はこのような例に限定されない。例えば、制御装置50は、サブマイコン55を備えていなくてもよい。
【0090】
なお、前述したように監視装置40にマイコン45が実装されていない場合には、制御装置50のメインマイコン53が、マイコン45の代わりに電池監視部44の電池監視情報の取得スケジュール、故障診断情報の取得スケジュール、又は、通信スケジュールを管理してもよい。
【0091】
本実施形態では、制御装置50のメインマイコン53が、無線通信部46から送信される電池セル22の電圧や温度などの電池情報を用いて電池セル22の状態指標となるSOCやダイアグ情報などを演算し上位ECU16に伝達する。しかしながら、電池情報の演算は、このような例に限定されない。
【0092】
例えば、監視装置40のマイコン45が、電池監視部44の取得した電池セル22の電圧や温度などの電池情報を用いて電池セル22の状態指標となるSOCやダイアグ情報などを演算し、演算結果を制御装置50の無線通信部54に送信してもよい。付言すると、監視装置40のマイコン45は、演算結果を用いて電池セル22又は電池監視部44の異常診断を行ってもよく、異常診断の結果を制御装置50の無線通信部54に送信してもよい。
【0093】
また、監視装置40の電池監視部44で取得された電池セル22の電圧や温度などの電池情報は、監視装置40の無線通信部46によって演算されてもよい。さらに言えば、監視装置40の電池監視部44で取得された電池セル22の電圧や温度などの電池情報は、制御装置50の無線通信部54により演算されてもよい。付言すると、監視装置40のマイコン45は、演算結果を用いて電池セル22の異常診断を行ってもよく、異常診断の結果を電池情報として制御装置50の無線通信部54に送信してもよい。
【0094】
<無線通信>
次に、監視装置40と制御装置50との間の無線通信処理について図6図7を参照して説明する。本実施形態の電池監視システム1は、制御装置50を中心とする複数の監視装置40をスター型にネットワーク接続しておりパケット通信可能になっている。制御装置50は、複数の監視装置40のそれぞれとの間で個別に通信確立し、情報を無線通信する。
【0095】
<車両10の停車時について>
車両10の停車時は車両10が起動している起動状態よりも組電池12を監視する重要度が低い。これは走行の安全性に影響を及ぼさないためである。車両10の起動/停止状態に応じて無線通信の品質を変更するとよく、監視装置40は、車両10が停止状態の時は、車両10が起動状態の時よりも低速に通信するとよい。通信速度を低速にすることで成功率の高い通信を実行するとよい。これにより、通信の失敗に基づく再送信の数を減らすことができる。その結果、車両10の起動の遅延によるユーザの不快感を抑制できる。
【0096】
<車両10の起動時について>
図8に示すように、車両10を起動するときに、ユーザはイグニッションスイッチをオフからオンに操作するが、このとき起動信号が制御装置50に与えられる。制御装置50の起動時には、制御装置50と全ての監視装置40との間で、接続処理S100(後述の接続処理T1~T3)をそれぞれ実行する。接続処理S100が成功すると、制御装置50は接続確立された監視装置40との間で定期通信処理S200(後述の定期通信処理T4)を実行する。
【0097】
定期通信処理S200では、制御装置50の無線通信部54は、接続処理S100が完了した監視装置40に対し電池情報の取得を指示するコマンドを1又は複数のパケット内に構成して送信する。このとき、制御装置50の無線通信部54は、複数の監視装置40の無線通信部46に対し時分割のユニキャスト通信によりコマンドを送信する。複数の監視装置40は、このコマンドに応答するように制御装置50の無線通信部54に電池情報を返信する。
【0098】
<接続処理S100の詳細について>
監視装置40の無線通信部46は、制御装置50の無線通信部54から接続要求S13を受信するまで、スケジュール管理された他のタスクを処理しつつ非電池情報通信周波数帯で周期的に予告検出要求S21及び継続検出要求S22を送信する。
【0099】
図7及び図8の接続処理T1の中の予告検出要求S21は、自身の監視装置40の無線通信部46の存在を外部に周知させる周知コマンドを示す。
【0100】
予告検出要求S21には、当該予告検出要求S21を送信した後に送信する継続検出要求S22の送信タイミングを示す送信予約タイミング情報が含まれている。送信予約タイミング情報は、所定時間後に送信することなどを示すデータである。したがって、予告検出要求S21は、後述する継続検出要求S22の送信タイミングを予告するための予告コマンドとなる。監視装置40の無線通信部46は、イグニッションスイッチがオフ中であっても常に予告検出要求S21及び継続検出要求S22を定期的に送信し続ける。
【0101】
予告検出要求S21は、周辺に存在する制御装置50の無線通信部54に自身の存在を検出させるため非同期処理により定期的に送信され続ける。監視装置40の無線通信部46は、通信相手を特定していない中で予告検出要求S21を送信し続けることから接続確立しにくくなる。このため、接続処理S100の中の少なくとも一部の所定接続処理、例えば接続処理S100の当初の予告検出要求S21を送信するときの通信速度を、後述の電池情報を通信する定期通信処理S200のときの通信速度に比較して低速の通信速度で送信するとよい。監視装置40の無線通信部46は、通信相手を特定して接続確立して同期してから高速通信することが望ましい。これにより、データ量の多い電池情報の通信、例えば定期通信処理S200と、データ量が少ない接続処理S100の性質に好適な通信を実現できる。
【0102】
図7図8の接続処理T2に示すように、監視装置40の無線通信部46は、予告検出要求S21に含めて予告した送信予約タイミング情報の示すタイミングにて継続検出要求S22を送信する。監視装置40の無線通信部46は、送信予約タイミング時間だけ経過したタイミングで継続検出要求S22を送信しつつ、スケジュール管理された他のタスクを処理して監視装置40から接続要求S13を待機する。
【0103】
このとき監視装置40の無線通信部46は、前述した電池情報通信周波数帯の第2チャンネル群の1又は複数のチャンネルにて継続検出要求S22を高速で送信することが望ましい。監視装置40の無線通信部46は、非電池情報通信周波数帯の第1チャンネル群の1又は複数のチャンネルにて継続検出要求S22を送信してもよい。なお、監視装置40の無線通信部46は、少なくとも予告検出要求S21を低速で通信するとよい。図8の継続検出要求S22の接続処理T2参照。
【0104】
予告検出要求S21の送信タイミングから所定時間中、又は、継続検出要求S22の送信タイミングから所定時間中に、監視装置40の無線通信部46が接続要求S13を受信しなくても、監視装置40の無線通信部46は、予告検出要求S21及び継続検出要求S22の定期送信を継続する。これにより、いわゆる非同期処理を継続する。
【0105】
他方、制御装置50は、イグニッションスイッチがオフされている最中はスリープ状態を維持して電池監視制御を停止している。そして、イグニッションスイッチがオンに遷移すると起動する。具体的に、制御装置50は、車両10の上位ECU16からイグニッションスイッチがオンになった信号を受けて起動する。
【0106】
制御装置50が起動すると、制御装置50の無線通信部54は、周囲に存在する装置のスキャン動作を開始する(S10)。制御装置50の無線通信部54は、監視装置40の無線通信部46により送信されていれば予告検出要求S21をスキャンできる。制御装置50は、予告検出要求S21のスキャンに成功すると、予告検出要求S21に含まれる継続検出要求S22の送信予約タイミング情報を読み取る。
【0107】
これにより、制御装置50の無線通信部54は、監視装置40の無線通信部46から次に継続検出要求S22が到来することを事前に把握でき、監視装置40の無線通信部46が継続検出要求S22を送信するタイミングで待機できる。その後、制御装置50の無線通信部54は、継続検出要求S22の検出に成功すると、接続要求S13を送信する。
【0108】
監視装置40の無線通信部46は、継続検出要求S22を送信した後、当該継続検出要求S22に対応した接続要求S13を受信する。監視装置40の無線通信部46が、制御装置50の無線通信部54から接続要求S13を受信すると、接続処理を成功したと見做す。そして、接続要求S13を受信した後には接続処理の同期処理を開始する。ここで示す同期とは、制御装置50の無線通信部54、又は、監視装置40の無線通信部46の何れか一方の要求を送信すると応答を受信するまで待機する処理を意味する。図7に示す制御装置50の無線通信部54による継続接続応答S17、監視装置40の無線通信部46による継続接続要求S23参照。
【0109】
監視装置40の無線通信部46は、監視装置40の無線通信部46が接続要求S13を受信した後には予告検出要求S21及び継続検出要求S22の送信を停止する。監視装置40の無線通信部46は、接続要求S13を受信すると、継続接続要求S23を送信する。
【0110】
少なくとも同期した後には、前述の非同期処理時よりも通信速度を高速にするとよい。なお継続接続要求S23よりも予告検出要求S21の通信速度を低速とすることが望ましい。本来は、予告検出要求S21及び継続接続要求S23を全て高速通信することが望ましい。しかし、監視装置40側から制御装置50側への一方的なブロードキャスト通信となるため、通信の信頼性が低下する虞がある。したがって、継続接続要求S23よりも予告検出要求S21の通信速度を低速とすることで、接続処理T1および接続処理T2を全体で見たときの通信信頼性を向上できる。
【0111】
継続接続要求S23には、定期通信処理S200の前に接続確立を完了するために必要な情報、例えば固有の情報、鍵情報、鍵を生成するための情報、が含まれている。継続接続要求S23には、鍵情報等の情報に加えて、前述の接続要求S13に対する応答が含まれていてもよい。
監視装置40の無線通信部46は、制御装置50の無線通信部54との間で継続接続要求S23のコマンドをパケットに設定して同期通信し、継続接続応答S17を受信する。これらの継続接続要求S23及び継続接続応答S17を繰り返すことで接続処理S100を完了できる。監視装置40の無線通信部46と制御装置50の無線通信部54とは、同期通信開始後の接続処理S100の中で継続接続要求S23及び継続接続応答S17によりペアリング処理を実行する。
【0112】
ペアリング処理は、暗号化されたデータ通信を行うための処理となる。ペアリング処理は固有情報の交換処理を含み、相互が保持する固有の情報を交換して記憶部46a、54aに格納してもよい。この処理の実行後、交換した固有の情報を用いた暗号化が可能となる。この固有の情報とは共通鍵の鍵情報や鍵を生成するための情報である。これにより、図7のS29に示すように、接続処理S100を完了できる。
【0113】
<定期通信処理S200の詳細について>
無線通信部46及び54が接続処理S100を完了すると、定期通信処理S200を実行する。定期通信処理S200に移行すると、制御装置50も監視装置40も組電池12の電池状態を制御する電池制御モードに切り替わる。定期通信処理S200は、電池情報通信周波数帯の第2チャンネル群の中の1又は複数の特定チャンネルを使用して実行される。
【0114】
詳細には、制御装置50の無線通信部54が、まず取得/送信要求S18を監視装置40の無線通信部46に送信する(S15)。監視装置40の無線通信部46は、電池監視部44に電池情報の取得要求を送信する(S24)。電池監視部44は組電池12の電池セル22をセンシングし電池セル22の電圧などの電池監視情報を取得する(S25)。電池監視部44が電池監視情報を取得すると、監視装置40の無線通信部46へ電池監視情報を電池情報として送信する(S26)。監視装置40の無線通信部46は、電池情報を受信すると制御装置50の無線通信部54へ電池情報を送信する(S27)。
【0115】
制御装置50のメインマイコン53は、無線通信部54から電池情報を受信すると当該電池情報に基づいて組電池12が使用可能か否かを判定する。組電池12を使用可能でないのであれば電池情報の取得を繰り返し、組電池12が使用可能になるまで判定処理を繰り返す。制御装置50のメインマイコン53は、例えば何度実行しても電池情報を監視装置40の側から取得できない場合には、通信異常と判定し上位ECU16に通知する。組電池12が使用可能になると、制御装置50のメインマイコン53は、S19において車両10の起動許可を出力するなどの所定処理を実行する。
監視装置40のマイコン45が、組電池12を使用可能か否かを判定してもよい。この場合、監視装置40のマイコン45は、例えば何度実行しても電池情報を電池監視部44から取得できない場合には、電池監視異常と判定し、無線通信部46、54を通じて制御装置50及び上位ECU16に通知する。このような場合、その後、例えばドライバに通知する等の警告を出力する。
【0116】
制御装置50のメインマイコン53は、組電池12が使用可能であることを確認すると、S19の所定処理において電池パック11と内蔵された電気負荷(図示せず)とをつなぐコンタクタの起動を許可、又は、コンタクタの起動を許可する起動許可信号を車両10の上位ECU16へ送信する。無線通信部54が組電池12の使用可否を判断して上記制御を実行してもよい。すなわち、制御装置50のメインマイコン53は電池情報を受信したことをトリガとして車両10の起動許可信号を出力する。
【0117】
他方、上位ECU16は、起動許可信号を入力すると組電池12が正常状態であることを把握する。上位ECU16は、車両10内に搭載された他のECUやセンサ(図示せず)から受信した車両情報が起動条件を満たしたことをも他の諸条件として判断し、正常に車両10を起動可能であると判断すれば、車両10を起動させて電動走行可能にする。これにより、車両10を安全に走行させることができる。
【0118】
このような定期通信処理S200では、制御装置50の無線通信部54は、複数の監視装置40ごとに電池情報を受信するタイムスロットを割り当て、監視装置40の無線通信部46は、タイムスロットに電池情報を割り当て、予告検出要求S21に伴う接続処理T1を実行するときの通信速度よりも高速で電池情報を送信することが望ましい。このとき、タイムスロットに収まるように電池情報を送信するときの通信速度を高速に変更するとよい。ここで、制御装置50は、監視装置40を一巡するスケジュール情報、例えば送受信周期の情報を備えており、これを用いて監視装置40毎にタイムスロットを割り当てるとよい。
【0119】
具体例としては、監視装置40をn個、送受信周期をT、1周期Tの一つの監視装置40あたりのタイムスロット:T/n[sec]、通信速度:x[Mbps]、電池監視に必要な最大データ量:D[Mbits]としたとき、D < x × T/nを成立させるように割り当てるとよい。ただし、Dには無線通信に必要な管理データを含めるとよい。一つの監視装置40あたりのタイムスロットには、1つ又は複数の送信パケット及び受信パケットが収まるように設定されている。また、タイムスロットには送信パケット及び受信パケットの他に時間マージンが設けられていてもよく、時間マージンをアイドル時間として設けるとよい。また電池情報のデータ長を、タイムスロットに割り当てられるパケットの長さに合わせて調整してもよい。
【0120】
監視対象となる電池モジュール20の個数が多くなると、電池監視システム1の上で要求されるタイムスロットの中で、容量が大きな電池情報を所定の周期内で通信しきれない虞がある。制御装置50の無線通信部54が、電池情報を無線送信するタイムスロットと通信速度を制御することで、大容量の電池情報のデータを送信する際にも好適に対応できる。
【0121】
例えば、ハイブリッド自動車(HEV)はガソリンで動作するエンジンと電気で動作するモータ15を備えている。他方、電気自動車(BEV)は電気で動作するモータ15を備えている。ハイブリッド自動車も電気自動車も何れも前述した電池監視システム1を備えている。
【0122】
開発者が、例えばハイブリッド自動車で培ったノウハウなどの技術を電気自動車の開発に適用しようとする際、監視対象の電池モジュール20の個数が増大することになる。このように、異なる動力方式を用いた自動車を並行又は順次開発する場合に、前述と同様のタイムスロットの割当技術を適用することで、開発を迅速化できると共にノウハウを生かしながら開発できる。
【0123】
<本実施形態のまとめ>
以上説明したように、本実施形態によれば、監視装置40の無線通信部46は、制御装置50の無線通信部54との間で所定接続処理、例えば予告検出要求S21を送信するときの通信速度を、制御装置50の無線通信部54へ電池情報を送信するときの通信速度より低速としている。電池情報を通信するときの通信速度よりも所定接続処理時に通信速度を低速としているため接続処理時のエラー率を低減でき、所定接続処理時の通信の信頼性を確保できる。また、電池情報を通信するときの通信速度を所定接続処理時の通信速度よりも高速としているため、電池情報のデータ送信量を多くできる。特に電池情報の取得前の所定接続処理時に通信データ量が少ないときには通信速度を低速としてもよい。
【0124】
また本実施形態によれば、監視装置40の無線通信部46は、非電池情報周波数帯を用いて予告検出要求S21を送信することで、電池情報周波数帯を用いて送信する継続検出要求S22の送信予約タイミング情報を制御装置50の無線通信部54へ送信できる。これにより、制御装置50の無線通信部54は、継続検出要求S22を受信するタイミングを事前に把握でき、継続検出要求S22の受信のスケジュールを事前に確保でき、通信の接続確実性を向上できる。
【0125】
本実施形態によれば、監視装置40の無線通信部46は、接続処理S100中に受信する接続要求S13の後に、監視装置40の無線通信部46から制御装置50の無線通信部54へ電池情報を送信するときの通信速度を変更している。これにより、接続処理S100中に接続要求S13を受信すると、通信速度を高速に変更できるようになり、監視装置40の無線通信部46は電池情報を高速で送信できる。
【0126】
電池監視システム1は、全ての電池モジュール20の電池情報を監視することで車両10の安全性を確保する。この場合、制御装置50と複数の監視装置40との間の通信速度を一斉に変更すると、電池パック11の内部で電波干渉を生じる懸念を生じる。本実施形態では、監視装置40の無線通信部46が制御装置50の無線通信部54に対し通信速度を切替えし、それぞれの監視装置40の無線通信部46毎に個別に通信速度を切替えている。
【0127】
具体例として本実施形態では、複数のうち個々の監視装置40の無線通信部46が、自身のタスクスケジュールを考慮して都合のよいときに、予告検出要求S21及び継続検出要求S22を送信できる。このようにすることで、当該継続検出要求S22を送信するときには、第2チャンネル群を使用することで、監視装置40の無線通信部46側から自発的に通信速度を切替えることができる。これにより、接続要求S13を受信した後にも高速通信に切替えることができ電池情報を高速通信できる。個々の監視装置40の無線通信部46は、予告検出要求S21を送信した後、継続検出要求S22を送信する際に高速通信に切替えるだけでなく、接続要求S13を受信した後の通信において、第2チャンネル群を使用することで高速通信に切替えるようにしてもよい。したがって、複数の監視装置40の無線通信部46毎に異なるタイミングで通信速度を切替えることができ、車両10の安全性をより高めることができる。
【0128】
第1実施形態によれば、全体の使用周波数帯の中で、非電池情報通信周波数帯の第1チャンネル群と電池情報通信周波数帯の第2チャンネル群とに用途を分けて通信を実行している。そして、第1チャンネル群と第2チャンネル群とで通信速度を変更するように予め通信方式を定めている。これにより、通信速度を簡便に変更できる。
【0129】
具体的には、監視装置40の無線通信部46は、制御装置50の無線通信部54へ電池情報を送信するための電池情報通信周波数帯の第2チャンネル群と、自らの監視装置40を周知させて存在を知らせる予告検出要求S21を送信するための帯域である非電池情報通信周波数帯の第1チャンネル群とを切り替えて制御装置50の無線通信部54との間で通信する。このとき、監視装置40の無線通信部46は、電池情報通信周波数帯にて継続して接続するための継続検出要求S22を送信する前に非電池情報通信周波数帯にて予告検出要求S21を送信している。
【0130】
監視装置40の無線通信部46は、継続検出要求S22の送信を事前に予告する予告検出要求S21を非電池情報周波数帯で送信することで、制御装置50の無線通信部54は電池情報周波数帯で継続検出要求S22を受信しやすくなり、監視装置40の無線通信部46と制御装置50の無線通信部54との間の接続処理S100の確実性を向上できる。
【0131】
電池情報周波数帯の第2チャンネル群は、非電池情報周波数帯の第1チャンネル群より多くのチャンネルを備えている。電池情報周波数帯と非電池情報周波数帯の両方を用いて接続処理S100を行っているが、接続処理S100に用いる通信量は、電池情報周波数帯の第2チャンネル群での通信の方が非電池情報周波数帯の第1チャンネル群の通信よりも多い。
【0132】
非電池情報周波数帯は複数のチャンネルにより構成されており、監視装置40の無線通信部46は、非電池情報周波数帯に属する複数の使用周波数帯のうち、全てを使用して検出要求を送信する。また、監視装置40の無線通信部46は、非電池情報周波数帯に属する複数の周波数帯のうち1又は複数の周波数帯を選択して検出要求を送信してもよい。
【0133】
このとき、監視装置40の無線通信部46は、継続検出要求S22を予告検出要求S21よりも高速で送信することが望ましい。電池情報周波数帯において継続検出要求S22を高速で送信するため、通信するデータごとに通信速度を切り替える必要がなくなる。継続検出要求S22の時点で高速通信に切り替わるので、以降の通信では速度を変更する手間を省くことができる。このため、定常通信処理S200へ早期に移行できる。その結果、電池監視を実行する際の立ち上がりが早くなる。これにより、監視装置40の無線通信部46と制御装置50の無線通信部54との間の無線通信を好適に実行できる。
また本実施形態によれば、監視装置40の無線通信部46が、制御装置50の無線通信部54との間で非同期で通信を実行する際に、自身の存在を周知させる予告検出要求S21を送信するときには、予告検出要求S21を送信して同期した後に接続処理S100に必要な信号を受信するときの通信速度よりも低速で送信している。
制御装置50の無線通信部54は、監視装置40の無線通信部46との間で非同期で通信を実行する際に、監視装置40の無線通信部46から送信される自身の存在を周知させる予告検出要求S21を受信するときには、監視装置40の無線通信部46から予告検出要求S21を受信して同期した後に接続処理S100に必要な信号を受信するときの通信速度よりも低速で受信するようにしている。そのため監視装置40の無線通信部46と制御装置50の無線通信部54との間の無線通信を好適に実行できる。
【0134】
本実施形態ではイグニッションスイッチがオフしている間、監視装置40は起動状態を維持しながら検出要求を発信し続け、制御装置50はスリープしている。これにより、制御装置50がスリープしている間、接続を切断できるようになり制御装置50の消費電力を抑制できる。しかも制御装置50が起動した直後から検出要求を受信できるため、制御装置50は監視装置40との間で接続処理を素早く実行でき、組電池12の監視処理を素早く開始できる。
【0135】
<変形例その1>
例えば、イグニッションスイッチがオフの状態で制御装置50及び監視装置40が何れも起動しており、接続を維持しながら通常よりも通信の頻度を落としつつ通信速度を通常よりも低速にするようにしてもよい。この場合、消費電力を低減しつつ接続状態を維持できるようになる。この場合、イグニッションスイッチがオンになると、このオン信号を検出することで通信頻度を通常の頻度とし、通信周期を通常の周期に戻すようにしてもよい。
また、イグニッションスイッチがオフの状態で制御装置50及び監視装置40が何れも起動しており、接続を維持しながら通常よりも通信の頻度を落としつつ通信速度を維持するようにしてもよい。イグニッションスイッチがオンになったときに、通信速度を変更する処理を別途必要とすることなく、車両10の起動を高速化できる。
【0136】
<本実施形態のまとめ>
電池情報は時々刻々と変化することから、監視装置40が制御装置50に通信する電池情報の通信データ量は大量になる。このため、1回あたりの通信の信頼性を確保してパケットの再送回数を減らすよりも、パケットの再送回数が増加したとしても通信速度を高速にして送信データ量を多くするとよい。
【0137】
一般に、パケットの通信速度を高速にして電池情報の単位時間当たりの送信データ量を多くすると、パケットに発生するエラー率は高くなる。そこで、本実施形態では、接続処理時の初めの予告検出要求S21に対し、その後に継続して送信する予定の継続検出要求S22を送信するときのタイミングを示す送信予約タイミング情報を含めて送信している。
【0138】
これにより、制御装置50が、監視装置40から周知信号を受信したときには継続検出要求S22の送信予定タイミングも予め受信できる。このため、制御装置50は、継続検出要求S22の送信予定タイミングに合わせて受信待機することで、監視装置40の無線通信部46及び制御装置50の無線通信部54の間におけるデータ通信スケジュールを適切に管理でき、パケットのエラー率を低減できる。
【0139】
<変形例その2>
監視装置40の無線通信部46と制御装置50の無線通信部54とは、接続確立するための接続処理S100を確実に実行できるようにすることが望ましい。これは、停車中でも走行中でも組電池12の電池モジュール20の状態を監視し続けるとよく、組電池12に異常を生じると車両10の走行安全性が悪化してしまうためである。
【0140】
電池情報を送信しない非電池情報周波数帯を専用に用意し、接続処理S100の予告検出要求S21と継続検出要求S22の両者を送信するようにしてもよい。非電池情報通信周波数帯を用いて接続処理S100を実行すると、電池情報に関するパケットが少なく電池情報に関するパケットがトラフィックを占めることなく通信できる。この場合、接続処理S100の確実性を向上できる。
<変形例その3>
前述実施形態では、車両10が停車している状態から車両10を起動する時に接続処理S100を実行する形態を例示したが、車両10が停車状態であっても接続処理S100を実行して接続状態が維持されていてもよい。この場合、車両10の起動時には接続状態が維持されており接続確立しているため、車両10を早期に起動できる。また、接続状態が維持されているため、制御装置50が複数の監視装置40の制御を実施できる。このため、監視装置40の無線通信部46は制御装置50の無線通信部54へ電池情報を送信する通信速度を変更指示することもできる。
【0141】
(第2実施形態)
第2実施形態について図9から図11を参照しながら説明する。前述実施形態と異なる部分を説明する。本実施形態の監視装置40の無線通信部46は、定期通信処理S200において電池情報を送信するのに加えて、接続処理S100の実行期間中に電池情報を制御装置50の無線通信部54に送信する。
【0142】
前述実施形態で説明したように、監視装置40の無線通信部46は、接続処理S100において制御装置50の無線通信部54に対し複数のパケットを送信する。監視装置40の無線通信部46は、接続処理S100において送信するパケットの一部に電池情報を含ませて送信する。電池情報を含ませるパケットを一又は複数用いて送信してもよいし、送信態様は特に限定されるものではない。監視装置40の無線通信部46は、接続処理S100の中のパケットに電池情報を含ませてもよい。
【0143】
監視装置40が検出動作を実行する場合、制御装置50に対する継続接続要求S23のパケットに電池情報を含ませることが望ましい。その他、継続検出要求S22のパケットに電池情報を含ませてもよいし、継続検出要求S22のパケットと共に送信するパケットに電池情報を含ませてもよい。定期通信処理S200において電池情報を送信する前に前倒しして電池情報を通信すればよい。
【0144】
監視装置40の無線通信部46は、ペアリング処理中のパケットに電池情報を含ませてもよい。監視装置40は、固有情報の交換の完了後に送信するパケットに、電池情報を含ませてもよい。監視装置40は、接続処理S100の中の一部の接続処理T3の中で、固有情報の交換の完了前に送信するパケットに電池情報を含ませてもよいし、固有情報の交換の完了後に、電池情報を送信してもよい。固有の情報を交換するパケットに電池情報を含ませてもよい。電池情報を前倒し送信することで車両10の起動を素早くできる。
【0145】
以下、具体例について図面を参照しながら説明する。制御装置50の無線通信部54は監視装置40の無線通信部46と同期するまでは、前述の第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0146】
図9に示すように、制御装置50の無線通信部54は、接続要求S13を監視装置40の無線通信部46に送信し、監視装置40の無線通信部46は、この接続要求S13に応答するように継続接続要求S23を制御装置50の無線通信部54に送信する。ペアリング処理など様々な継続的に複数の接続処理T3を実施する間に電池情報を送信する。例えば、図9図11の電池情報通信処理T3a参照。なお接続処理T3は、図9に示す継続接続要求S23及び継続接続応答S14、又は、継続接続要求S28及び継続接続応答S17の1又は複数の往復接続を示している。
【0147】
電池情報通信処理T3aでは、制御装置50の無線通信部54がまず取得/送信要求S15を監視装置40の無線通信部46に送信する。ここで制御装置50の無線通信部54は、電池情報無線通信周波数帯の1又は複数の第2チャンネルにて高速の通信速度にて通信する。監視装置40の無線通信部46は、電池監視部44に電池情報の取得要求S24を送信する。
【0148】
電池監視部44は、S25にて組電池12をセンシングし、電池セル22の電圧などの電池監視情報を電池情報として取得する。電池監視部44が電池情報を取得すると、監視装置40の無線通信部46へ監視データとして電池情報を送信する(S26)。監視装置40の無線通信部46は、電池情報を受信すると制御装置50の無線通信部54へ電池情報を送信する(S27)。電池情報は1つのパケットにまとめて送信してもよいが、データ量が比較的多いため、パケットに分割して無線送信することになる。この場合、パケットに分割して無線送信してもよい。また分割しなくてもよい。
【0149】
このとき制御装置50の無線通信部54は、複数の接続処理T3の間に電池情報を送信するように監視装置40の無線通信部46に指令するとよい。すると、監視装置40の無線通信部46は、電池情報を制御装置50との接続処理T3を実行している期間中に送信する。接続処理T3の間に電池情報を送信することで、車両10の起動を早めることができる。その結果、車両10を起動する際の起動遅延によるユーザの不快感を抑制できる。
【0150】
監視装置40の無線通信部46は、接続処理S100を完了させる前に、組電池12の電池モジュール20を監視するために必要な情報を送信するとよい。組電池12の電池モジュール20の監視に必要な情報は、電池監視部44から取得可能な一部又は全ての電池情報を対象としている。この電池情報には、例えば、電池セル22のセル電圧の情報、温度情報、組電池12に流れる電流の情報等を挙げることができる。図10に示すように、複数の接続処理T3の間に分割して前述の電池情報を送信することが望ましい。このとき、監視装置40の無線通信部46は、割り当てられたタイムスロットに収まるように電池情報のデータを分割して送信するとよい。このとき、電池情報のデータを意味のある区切りデータ毎に分割するとよい。意味のある区切りとは、電池情報として認識できる単位のデータのことを示す。また、電池情報のデータは分割しなくてもよい。
【0151】
車両10が例えば電気自動車の場合、電気自動車は組電池12の電力を用いて走行する。このため、電気自動車を起動する際には、電池情報を必要とし、電池情報が正常動作していると判断された場合に、車両10の起動を許可することが車両10の安全性を担保するために重要である。
【0152】
制御装置50や上位ECU16は、組電池12が正常動作していることを一条件として車両10を起動するとよい。なお、図11に示すように、電池情報を受信することを条件として車両10を起動するが、上位ECU16は、組電池12の正常動作条件の他、車両10内に搭載された他のECUやセンサ(図示せず)から受信した車両情報が起動条件を満たしたことをも条件として車両10を起動するとよい。この場合、図11に示すように、接続処理T3を継続している最中に、安全性を保ちながら車両10を早期に起動できる。
【0153】
本実施形態では、監視装置40の無線通信部46は継続接続要求S23、S28においてタイミングに関するデータを設定する必要がなくなる。このため、制御装置50は、パケットのデータフィールドに電池情報を設定できるようになり、パケットのデータフィールドを有効に活用できる。
【0154】
制御装置50の無線通信部54と監視装置40の無線通信部46との間で継続接続要求S23、S28の通信スケジュールを事前に管理しているため、継続接続要求S23、S28の最中に大きなデータをパケットに含めて送信できる。その後、監視装置40は定期通信処理S200を実行するが、データ量の多い電池情報を、定期通信処理S200の実行前に前倒しして制御装置50へ送信できる。
【0155】
本実施形態によれば、監視装置40の無線通信部46は、制御装置50の無線通信部54との間で接続処理を実行している期間においてパケットに電池情報を含ませて制御装置50の無線通信部54に送信する際の通信速度を、接続処理S100の後に制御装置50の無線通信部54へ電池情報を送信するときの通信速度と同一にしている。これにより、定期通信処理S200の実行前の接続処理S100中に電池情報を送信する際にも当該電池情報を高速送信できる。
【0156】
<電池監視部44の起動タイミングの変形例>
ここで、電池監視部44の起動タイミングの変形例を図5及び図9を参照しながら説明する。図5に示すように、無線通信部46が、電池監視部44の起動回路46bとなる機能を備えていてもよい。起動回路46bは、制御装置50の無線通信部54から受信した接続要求S13を受信すると起動信号を電池監視部44に出力するように構成されている。
【0157】
つまり図9に示すように、制御装置50の無線通信部54が監視装置40の無線通信部46へ接続要求S13を送信し、制御装置50と監視装置40とが同期状態となるタイミングで、無線通信部54の起動回路46bは、電池監視部44へ起動信号を送信する。電池監視部44は、図9のS30において起動できる。
【0158】
制御装置50の無線通信部54が、接続要求S13と同時に監視装置40の無線通信部46に電池監視部44の起動指示を出してもよい。その他、無線通信部54が電池監視部44へ起動信号を送信するタイミングは、監視装置40の無線通信部46が取得指示を送信する直前のタイミング、つまり監視装置40の無線通信部46が、制御装置50の無線通信部54から要求データを受信したタイミングでもよい。
【0159】
監視装置40の無線通信部46が、制御装置50の無線通信部54との間で接続処理するときには、電池監視部44の起動よりも前に、接続処理するときの通信速度よりも高速に切り替えるとよい。電池監視部44が起動するよりも前に、通信速度を高速な通信に切り替えることで、電池情報を素早く制御装置50に送信できる。その結果、車両10の起動が速くなり、起動の遅延によるユーザの不快感を低減できる。
【0160】
なお、図9の流れでは、図9のS30に示す電池監視部44の電源起動時には、電池情報通信周波数帯の第2チャンネルを使用して既に高速通信をしていることから、特にこの前後で高速化する必要はない。仮に低速通信していた場合には、電池監視部44が起動する(S30)よりも前に、高速の通信に切り替えるとよい。
【0161】
また、図9に示すS30のタイミングより遅れて起動するようにしても良い。例えば、監視装置40の無線通信部46が、制御装置50の無線通信部54から取得/送信要求S18を受信する直前のタイミングで、監視装置40の電池監視部44に起動信号を出力し、電池監視部44を起動するようにしてもよい。
【0162】
本実施形態によっても前述実施形態と同様の作用効果を奏する。また、接続処理S100の最中に継続検出要求S22と交互に電池情報を送信する場合には、電池情報を送信する通信速度を高速にしても通信の信頼性を得られるようになる。通信スケジュールの最適化を図ることで通信回数を多くしながら通信の信頼性を向上できる。
本実施形態で説明した電池監視部44の起動タイミングの内容は、他の実施形態、例えば、第1、第3~第9実施形態の何れかの形態に適用してもよい。
【0163】
(第3実施形態)
第3実施形態について図12を参照しながら説明する。本実施形態では、通信速度の変更方法の別の形態を説明する。例えば、同一の1又は複数のチャンネルのチャンネル群を用いて電池情報や非電池情報を共に通信するような電池監視システム1を適用した場合であっても通信速度を変更できる。前述実施形態と異なる部分を説明する。本実施形態では接続処理T1、T2を、接続処理T2aに変更しているため、まずその説明を行う。
【0164】
<接続処理S100について>
監視装置40の無線通信部46は、制御装置50の無線通信部54から接続要求S13を受信するまで、スケジュール管理された他のタスクを処理しつつ所定のチャンネル群において周期的に検出要求S22aを送信し続ける。
【0165】
図12の接続処理T2aの中の検出要求S22aは、自身の監視装置40の無線通信部46の存在を外部に周知させる周知コマンドであると共に、制御装置50の無線通信部54からの接続要求S13を受信するために要求する要求コマンドを示す。監視装置40の無線通信部46は、イグニッションスイッチがオフ中であっても常に検出要求S22aを定期的に送信し続ける。
【0166】
検出要求S22aは、周辺に存在する制御装置50の無線通信部54に自身の存在を検出させるため非同期処理により定期的に送信され続ける。監視装置40の無線通信部46は、通信相手を特定していない中で検出要求S22aを送信し続けることから接続確立しにくくなる。このため、電池情報を通信するときの通信速度に比較して低速の通信速度で送信するとよい。監視装置40の無線通信部46は、通信相手を特定して接続確立して同期してから高速通信するとよい。これにより、データ量の多い電池情報の通信、例えば定期通信処理S200と、データ量が少ない接続処理S100の性質に好適な通信を実現できる。
【0167】
他方、制御装置50は、イグニッションスイッチがオフされている最中はスリープ状態を維持して電池監視制御を停止している。そして、イグニッションスイッチがオンに遷移すると起動する。具体的に、制御装置50は、車両10の上位ECU16からイグニッションスイッチがオンになった信号を受けて起動する。
【0168】
制御装置50が起動すると、制御装置50の無線通信部54は、周囲に存在する装置のスキャン動作を開始する(S10)。制御装置50の無線通信部54は、監視装置40の無線通信部46により送信されていれば検出要求S22aをスキャンできる。制御装置50は、検出要求S22aの検出に成功すると接続要求S13を送信する。
【0169】
監視装置40の無線通信部46は、検出要求S22aを送信した後、当該検出要求S22aに対応した接続要求S13を受信する。監視装置40の無線通信部46が、制御装置50の無線通信部54から接続要求S13を受信すると、接続処理を成功したと見做す。そして、接続要求S13を受信した後には接続処理の同期処理を開始する。図12に示す接続処理T3、すなわち制御装置50の無線通信部54による継続接続応答S14、監視装置40の無線通信部46による継続接続要求S23参照。
【0170】
<速度変更方法及び速度変更タイミングについて>
例えば、図12に示すように、同期した直後にパケット通信して通信速度を変更するとよい。具体的には、同期した直後に、監視装置40の無線通信部46は制御装置50の無線通信部54との間で速度変更処理Sp1を実行する。速度変更処理Sp1では制御装置50の無線通信部54は低速から高速に変更する速度変更指示Saを示すデータをフラグ用パケットPaに設定して送信する。
【0171】
監視装置40の無線通信部46は、速度変更指示Saを受信すると通信速度を高速に変更する。フラグ用パケットPaに含まれる速度変更指示Saのコマンドは、図13に示すように、複数の監視装置40の無線通信部46に対して送信する接続処理T3のパケットP1、P2の間に順次送信するとよい。また、図14に示すように、データ用パケットDにフラグFを付して送信してもよい。
【0172】
その後、監視装置40の無線通信部46は、接続処理T3でも制御装置50の無線通信部54との間で高速通信できる。図12に示すように、接続処理S100を完了した後の定期通信処理T4(定期通信処理S200)でも同様に高速通信できる。
【0173】
無線通信部46、54間の通信速度の変更タイミングは、監視装置40の無線通信部46が電池情報を送信する前であればよい。
<変形例その1>
図15及び図16に示すように、監視装置40の無線通信部46は、制御装置50の無線通信部54との間で接続処理S100を完了する(S29)前に、電池情報通信処理T3aを実行することで定期通信処理S200の前に前倒しして電池情報を送信できる。この際、電池情報を前倒しで高速通信でき、前述実施形態と同様の作用効果を奏する。なお、定期通信処理S200の前に前倒しで電池情報を通信しなくてもよい。
【0174】
<変形例その2>
その他、図17に示すように、監視装置40の無線通信部46は、制御装置50の無線通信部54との間で同期した後、複数の接続処理T3を実行する間に、速度変更処理Sp1を実施してもよい。すなわち、同期後の一部の接続処理T3として、継続接続要求S23及び継続接続応答S14を1又は複数回繰り返した後、速度変更処理Sp1を実行し、さらに他の接続処理T3の継続接続要求S28及び継続接続応答S17を1又は複数回実行しても良い。これにより、前述実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0175】
さらに、監視装置40の無線通信部46は、制御装置50の無線通信部54との間で接続処理S100を完了する(S29)前に、電池情報通信処理T3aを実行することで定期通信処理S200の前に前倒しで電池情報を送信できる。この際、電池情報を前倒しで高速通信でき、前述実施形態と同様の作用効果を奏する。なお、定期通信処理S200の前に前倒しで電池情報を通信しなくてもよい。
【0176】
<変形例その3>
その他、図18及び図19に示すように、監視装置40の無線通信部46は、制御装置50の無線通信部54との間で同期した後、接続処理S100を完了した(S29)後、定期通信処理T4、すなわち定期通信処理S200を実行する前に、速度変更処理Sp1を実施してもよい。これにより、前述実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0177】
<変形例その4>
前述では、制御装置50の無線通信部54が速度指示の主体となり、速度変更処理Sp1を実行する処理を説明したが、これに限られない。その他、速度変更処理Sp1に代えて、図20に示すように、監視装置40の無線通信部46が速度指示を要求する主体となるように速度変更処理Sp2を実施するようにしてもよい。
【0178】
すなわち、速度変更処理Sp2では、監視装置40の無線通信部46は、低速から高速に変更する速度変更指示要求Sa0を制御装置50の無線通信部54へ送信する。制御装置50の無線通信部54は、速度変更指示要求Sa0を監視装置40の無線通信部46から受信する。すると、制御装置50の無線通信部54は、速度変更指示Saを監視装置40の無線通信部46へ送信する。監視装置40の無線通信部46は、通信速度を低速から高速に変更する。これにより、前述実施形態の速度変更処理Sp1と同様の速度変更を実行できる。
【0179】
本実施形態によれば、同一の1又は複数のチャンネルからなるチャンネル群において非電池情報及び電池情報を共に通信する電池監視システム1であっても、制御装置50の無線通信部54と監視装置40の無線通信部46との間で通信速度を変更できる。
本実施形態によれば、制御装置50の無線通信部54との間の非同期で実行する際に接続確立するために検出要求S22aを送信するときには、検出要求S22aを送信して同期した後に接続処理に必要な信号を送信するときの通信速度よりも低速で送信している。この結果、前述実施形態と同様の作用効果を奏する。
また本実施形態によれば、制御装置50の無線通信部54は、監視装置40の無線通信部46との間で非同期にて、監視装置40の無線通信部46から接続確立するために送信される検出要求S22aを受信するときには、監視装置40の無線通信部54から検出要求S22aを受信して同期した後に接続処理に必要な信号を受信するときの通信速度よりも低速で受信するようにしている。この結果、前述実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0180】
(第4実施形態)
第4実施形態について図21を参照しながら説明する。本実施形態では、第3実施形態の具体例として、制御装置50の無線通信部54が、複数の監視装置40の無線通信部46との間の通信速度を主体的に変更する形態を説明する。以下の説明では、制御装置50から複数の監視装置40への情報の送信を下り通信と称し、監視装置40から制御装置50への情報の送信を上り通信と称する。
【0181】
制御装置50の無線通信部54は、複数の監視装置40との間で個別に通信するように構成されている。制御装置50の無線通信部54が、監視装置40の無線通信部46から制御装置50の無線通信部54への通信速度を個別に切替可能に構成されている。制御装置50の無線通信部54が、主体的に通信速度を切替指示する機能を備えていれば、例えばユニキャスト通信することで監視装置40毎に通信速度を個別に切替できる。制御装置50の無線通信部54が、主体的に通信速度を切替制御できるように構成されていると、図21の速度変更指示Saに示すように、例えばブロードキャスト通信することで複数の全ての監視装置40の無線通信部46に対し一斉に通信速度の変更指示をすることもできる。また、制御装置50の無線通信部54から監視装置40の無線通信部46への通信速度を個別に変更、切替可能に構成してもよい。すなわち、無線通信部54と無線通信部46との間の通信速度はいずれの方向でも変更可能、切替可能に構成されていてもよい。
【0182】
制御装置50の無線通信部54は、接続処理S100を完了した監視装置40から電池情報の通信に切替えて通信を継続し、例えば定期通信処理S200を実行するとよい。制御装置50の無線通信部54は、接続処理S100を完了した監視装置40から順次高速通信に切り替えることで、全ての監視装置40の接続処理が完了してから一斉に高速の通信に切り替える構成に比べて、電磁反射材料で形成された電池パック11の内側における電波の乱反射による電波干渉の影響を受けにくくなる。これにより、通信速度を好適に変更できる。また、全ての監視装置40の接続処理が完了した後、全ての監視装置40を対象として一斉に高速通信に切り替えてもよい。
【0183】
また他の監視装置40の無線通信部46から制御装置50の無線通信部54への通信速度を切り替える間、制御装置50の無線通信部54からその他の複数の監視装置40の無線通信部46への通信速度を切り替えないようにするとよい。
【0184】
下り通信では1対多の通信となり、個々の監視装置40との間の通信速度を切り替えるためには、個々の監視装置40ごとに切替制御を行うことが必要となる。これに対し、本実施形態では、複数の監視装置40から制御装置50への上り通信の通信速度を切替えている間でも、下り通信の通信速度を切替えることなく通信するとよい。そのため、監視装置40ごとに下り通信の完了までに時間がかかることがなく、電池監視の始動を早期に行うことができる。この結果、車両10の起動を高速にでき、使用者の不快感を抑制できる。
【0185】
(第5実施形態)
第5実施形態について図22及び図23を参照しながら説明する。本実施形態は、第1又は第2実施形態についての変形形態であるため、第1又は第2実施形態の構成を適用して説明し、当該第1又は第2実施形態と異なる部分を説明する。前述の第1及び第2実施形態でも説明したように、図22に示すように、監視装置40の無線通信部46は、接続処理S100の非同期処理にて、非電池情報通信周波数帯の第1チャンネル群に切替設定し(T0a)予告検出要求S21を送信する。
【0186】
その後、監視装置40の無線通信部46は、電池情報通信周波数帯の第2チャンネル群に切替設定して(T0b)、継続検出要求S22を送信する。監視装置40の無線通信部46は、接続要求S13を受信した場合(S22aでYES)に同期したと見做し、その後、接続処理T3を経て定期通信処理S200に移行する。
【0187】
前述の第1又は第2実施形態で説明した定期通信処理S200では、監視装置40の無線通信部46は、制御装置50の無線通信部54との間で電池情報通信周波数帯の第2チャンネル群を用いて電池情報を通信する(S33)。
【0188】
この際、監視装置40の無線通信部46は、自らの電池情報が制御装置50の無線通信部54により受信されない場合、監視装置40の無線通信部46は、電池情報通信周波数帯の第2チャンネル群から非電池情報通信周波数帯の第1チャンネル群へ切替えて制御装置50の無線通信部54との間で接続処理S100を実行するとよい。
【0189】
例えば、電波伝搬環境の悪化等の影響で通信不能になる場合、電池情報が制御装置50の無線通信部54によって受信できない場合がある。この場合、監視装置40の無線通信部46は、S33において電池情報を送信したタイミングでタイマをスタートして一定期間を計測しながら待機する。
【0190】
そして、監視装置40の無線通信部46は、T4aにおいて予め定められた一定期間を経過しても、電池情報の受領応答S33aを受信せず受領を確認できない場合、電池情報が受信されていないと判定し、意図しない通信遮断を生じたと判定する。この場合、監視装置40の無線通信部46は、電池情報通信周波数帯の第2チャンネル群から非電池情報通信周波数帯の第1チャンネル群へ切替えて制御装置50の無線通信部54との間で接続処理S100を実行する。これにより、意図しない通信遮断から回復できる。
【0191】
なお、上位ECU16がイグニッションスイッチのオフを検出し、制御装置50がオフ検出したことを認識した場合など、外的なユーザ操作などによる外的な割込要因に基づいて通信遮断を生じることもある。この場合も同様に、監視装置40の無線通信部46は、T4aにおいて予め定められた一定期間を経過しても電池情報の受領応答S33aを受信せず受領を確認できない場合、電池情報が受信されていないと判定する。
【0192】
監視装置40の無線通信部46は、電池情報通信周波数帯の第2チャンネル群から非電池情報通信周波数帯の第1チャンネル群へ切替えて制御装置50の無線通信部54との間で接続処理する。これにより、意図しない通信遮断から接続確立を回復できる。この結果、電池情報のうちでも、重要なセル電圧を一定期間受信できない監視装置40がある場合には、非電池情報通信周波数帯の第1チャンネル群を用いて予告検出要求S21を送信することで、接続処理S100を確実に実施でき高確率で再接続できる。
【0193】
また別の例では、図23に示す定期通信処理S200のように、制御装置50の無線通信部54が、監視装置40の無線通信部46から組電池12のセル電圧を電池情報として受信している状態であるときに、監視装置40の無線通信部46からセル電圧の電池情報を一定期間受信しなかった場合も同様に適用できる。この場合、制御装置50の無線通信部54は、セル電圧を受信しなかった監視装置40以外の監視装置40の無線通信部46との間の電池情報の通信速度よりも遅くして監視装置40の無線通信部46との間で接続処理S100を実行するとよい。
【0194】
制御装置50の無線通信部54は、電池情報としてセル電圧を受信していなければ、監視装置40の側の無線通信部46でも受領応答S19aを送信することもない。制御装置50の無線通信部54が受領応答S19aを送信したにも拘わらず、監視装置40の側の無線通信部46が受領応答S33aを受信できない場合も同様である。何れにしても、監視装置40の無線通信部46は受領応答S33aを受信しないため、タイムアウト、応答なしと判断することで接続処理S100へ移行する。
【0195】
電池情報の中でも電池セル22のセル電圧は特に重要な情報である。電池情報の通信が困難な際には、通信速度を遅くしてセル電圧を確実に伝送させるとよい。本実施形態で説明したように、制御装置50の無線通信部54は、T4bにおいて一定期間の間に受信できずセッション接続が切断された場合にも、接続処理S100を実行して通信速度を遅くするとよい。このように処理することで、監視装置40の無線通信部46と制御装置50の無線通信部54との間の通信の接続確立の確実性を高めることができる。この結果、電池情報の中でも特に重要なセル電圧の情報を確実に伝送できる。
【0196】
さらに、監視装置40の無線通信部46が、予告検出要求S21を再送信しても制御装置50側で受け付けられることなく通信確立できず、さらに予め定められた一定期間だけ待機しても通信確立できずタイムアウトしてしまう場合、図23に示すように、接続処理S100を自発的に切断する切断信号を送信して切断処理Szするようにしても良い。
【0197】
また、特定の監視装置40の無線通信部46が、自身の監視装置40以外の監視装置40の無線通信部46を経由して制御装置50の無線通信部54に電池情報を送信してもよい。この場合、信号伝達経路長が長距離化するため低速にはせず高速通信することが望ましい。
【0198】
(第6実施形態)
第6実施形態について図24及び図25を参照しながら説明する。本実施形態は、第1又は第2実施形態についての変形形態であるため、第1又は第2実施形態の構成を適用して説明し、第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0199】
<均等化制御>
イグニッションスイッチがオフとされている間、制御装置50は、組電池12の電池モジュール20を構成する各電池セル22に対し、当該セル電圧を均等化する均等化制御を実行する。
【0200】
制御装置50のメインマイコン53は、均等化制御部53aとしての機能を備え、タイマを用いて均等化制御用の時間周期を計測し、周期的にスリープ状態から復帰し組電池12の均等化制御を実行する。監視装置40は、電池セル22のセル電圧を均等化するための均等化回路(図示せず)を備えている。
【0201】
メインマイコン53は監視装置40からセル電圧の電池情報を受信すると、図24に示すように、セル電圧の電圧値が一番低い電圧を目標値として定めて均等化制御を実行する。またメインマイコン53は監視装置40からセル電圧の電池情報を受信すると、図25に示すように、セル電圧の電圧値の平均値を算出し、当該平均値を目標値として定めて均等化制御を実行してもよい。制御装置50は均等化制御を終了すると再びスリープモードに戻る。
【0202】
制御装置50は、均等化制御を終了するとスリープモードに戻る形態を示したが、これに限られるものではない。その他、制御装置50は、電池セル22/電池モジュール20のセル電圧の状態を監視装置40から受信し、セル電圧の目標値から一番離れている電池セル22/電池モジュール20の放電もしくは充電を終えたことを確認した後にスリープするようにしてもよい。
【0203】
制御装置50は、各電池セル22/電池モジュール20に目標値を指示する信号を送信した後にスリープするようにしてもよい。制御装置50のメインマイコン53が均等化制御部53aによる均等化制御後に、各電池セル22/電池モジュール20の電池情報の取得指示を出し、電池情報を確認後にスリープするようにしてもよい。
【0204】
イグニッションスイッチをオフしている最中には、データ量の少ない情報を比較的低速で通信することが望ましい。これは通信一回あたりのエラー率を低くするためである。しかし、制御装置50が、均等化制御を実施するときには、監視装置40の無線通信部46は、各電池セル22のセル電圧などの電池情報の送信データ量を制御装置50の無線通信部54に送信し、制御装置50が対象の電池情報を収集する。
【0205】
そして制御装置50は、その電池情報を収集した旨を示す情報を上位ECU16に伝達する。上位ECU16は収集された情報に基づく均等化指示を、制御装置50を通じて監視装置40に出力する。これにより、監視装置40が電池セル22のセル電圧の均等化を実施できる。このため、均等化処理の頻度を高めて組電池12の信頼性を高めるためには、電池情報の送信データ量の単位時間当たりの送信データ量を極力多くするとよい。
【0206】
制御装置50の無線通信部54は、車両10が停止状態のときに均等化処理を指令する均等化処理中に監視装置40の無線通信部46から電池情報を受信する通信速度が、車両10が停止状態のときに予告検出要求S21を監視装置40の無線通信部46から受信する速度よりも高速とされていることが望ましい。すると、上位ECU16が情報に基づいて素早く均等化指示を出力できるようになり、均等化処理の実施頻度を高めることができ組電池12の動作信頼性を高めることができる。
【0207】
また、均等化処理を実施するときには、監視装置40の無線通信部46が制御装置50の無線通信部54へ送信する単位時間当たりの通信回数を増加することで、通信速度を高速にするとよい。すると、単位時間当たりの均等化処理の実施頻度を高めることができ、全体の電池監視システム1で見たときのシステム信頼性を向上できる。
【0208】
車両10が停止状態であっても、均等化のために車両10が電池監視を必要とする場合には、通信速度を高速にして通信することが望ましい。また、組電池12の監視処理を必要とするのは、前述の場合に限られるものではない。このため組電池12の監視処理を必要とする際には電池情報を高速通信できるようにすることが望ましい。
【0209】
例えば、電池監視システム1にHEMS(図示せず)が有線又は無線により接続される場合には、外部のHEMSから電池監視が必要である旨のトリガが与えられるようになっていてもよい。HEMSとは、ホームエネルギーマネジメントシステム(Home Energy Management System)の略を示す。
【0210】
HEMSが、周期的に起動のトリガを車両10の上位ECU16を通じて制御装置50に出力する。制御装置50が、監視装置40から電池情報を取得することで車両10を起動できる。この際、前述実施形態で説明したように、接続処理S100及び定期通信処理S200において通信速度を調整しながら電池情報を高速通信することが望ましい。
【0211】
(第7実施形態)
第7実施形態について図26を参照しながら説明する。図26に示すように、監視装置40は複数の電池モジュール20の上面上にそれぞれ配置されていてもよい。監視装置40は、Y方向に延設された電池モジュール20の中間地点に配置されており、Y方向の両方向に検出線Lを接続している。図26には、各電池モジュール20の上面上においてY方向中央位置に位置して監視装置40を配置した形態を示しているが、必ずしもY方向中央に監視装置40を配置しなくてもよい。Y方向中央に限らずY方向の中間地点であれば何れの位置に配置されていてもよい。
【0212】
監視装置40は、それぞれ電池監視部44を搭載しており、電池監視部44にそれぞれ検出線Lを接続して構成される。電池監視部44は、1又は複数の監視ICによる集積回路装置を用いて構成される。電池監視部44は、各電池モジュール20の複数の電池セル22の電圧を検出線Lにより検出できる。監視装置40の上端はバスバーカバー27の上端よりもZ方向に突出して配置される。
【0213】
前述実施形態と同様に、制御装置50は無線通信部54を搭載しており、監視装置40は無線通信部46を搭載している。筐体30は、Z方向上内端に隙間を備えており当該隙間を無線の伝搬空間S2として備える。制御装置50は複数の監視装置40との間で伝搬空間S2を経て無線通信できる。制御装置50の無線通信部54が複数の監視装置40の無線通信部46との間で直接波により通信できれば無線伝搬環境を良好に保つことができる。
【0214】
監視装置40は、バスバーカバー27の上端より突出して配置されるため、無線がバスバーカバー27の上端より上方の伝搬空間S2を伝搬することで、制御装置50と監視装置40との間で通信しやすくなる。本実施形態によれば、監視装置40を電池モジュール20のY方向側面に配置しなくてもよいため、筐体30のY方向幅を抑制でき筐体30を小型化できる。
【0215】
(第8実施形態)
第8実施形態について図27を参照しながら説明する。図27に示すように、監視装置40は、各電池モジュール20のY方向側面沿ってそれぞれ配置されている。監視装置40は、無線通信部46及び電池監視部44を備えており、電池監視部44は、検出線Lに接続されている。電池監視部44は、各監視装置40に複数備えていてもよい。電池監視部44はY方向に延設される検出線Lの一端に接続されており、これにより、電池セル22の電圧を検出できる。
【0216】
第1実施形態と同様に、筐体30の第1壁面30aの内脇には空間S1が設けられている。制御装置50の無線通信部54は、複数の監視装置40の無線通信部46との間で空間S1を疑似導波路空間として用いることで無線通信できる。複数の監視装置40は、X方向に沿って周期的(例えば、等間隔)に配置されている。このような第8実施形態の配置態様であっても、前述の第1実施形態と同様に低背化しながら配置できる。
【0217】
(第9実施形態)
第9実施形態について図28を参照しながら説明する。図28に示すように、監視装置40は、電池モジュール20のX方向側面に沿ってそれぞれ配置されていてもよい。検出線Lは、各電池モジュール20の上面に沿って配置されているが、各電池モジュール20のY方向側面をL字型に経由してX方向側面にまで延設されており、さらにY方向に沿ってX方向側面の監視装置40まで接続されている。
【0218】
前述実施形態と同様に、制御装置50は、複数の監視装置40との間で無線接続されている。このような第9実施形態の配置態様であっても、前述の第1実施形態と同様に低背化しながら構成できる。本実施形態によれば、監視装置40を電池モジュール20のY方向側面に配置しなくてもよいため、筐体30のY方向幅を抑制でき、筐体30を小型化できる。
【0219】
しかも、監視装置40を電池モジュール20の上面上に配置しなくてもよいため、筐体30のZ方向高さを抑制でき筐体30を小型化できる。制御装置50と複数の監視装置40との間の通信接続環境を重視する場合には、筐体30のY方向端又はZ方向上端に前述実施形態に示した空間S1又はS2を設けるとよい。
【0220】
(第10実施形態)
前述実施形態では、電池監視システム1が車両10に搭載されている形態を示したが、車両10に搭載されるシステムに限定されるものではない。屋外や屋内に定置した定置式の電池監視システム1に適用してもよい。例えば、電池交換ステーション、電池ラック等に組み込まれた制御装置50と監視装置40とが無線通信する電池監視システム1を構成してもよい。
【0221】
したがって、前述実施形態では、車両10の状態や設定モードに応じて通信速度を変更し、車両10内通信に適用した形態を説明したが、本願に係る内容は車両10の搭載用途に限定されるものではなく、定置式の電池ラックを用いた電池監視システム1に適用することもできる。
【0222】
定置用の電池ラックは、住居や工場などの施設に設置されると共に家庭用交流電源又は施設の電源供給部に接続されている。そして、電源供給部が電動の車両10や電動二輪車などの車両10の交換式電池に電源を供給することで交換式電池を充電できる。
【0223】
したがって、前述実施形態で説明した監視装置40の技術的構成を交換用電池に搭載すると共に、制御装置50の技術的構成を電池ラックに搭載して前述実施形態の方法を適用してもよい。交換用電池と電池ラックとの間の通信方法は、有線通信を適用しても無線通信を適用してもよい。したがって、監視装置40の無線通信部46と制御装置50の無線通信部54との間の通信は無線通信に限られず有線通信であってもよい。
【0224】
また、定置式の電池ラックに電池モジュール20が搭載されている場合には、当該電池ラックに前述実施形態で説明した監視装置40の技術的構成を搭載させてもよいし、この場合、電池ラックとは別に家庭や工場の屋内などに制御装置50(ECU)の技術的構成を搭載させてもよい。このような方法によっても前述実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0225】
以下、その具体例を説明する。交換式電池は、電動の車両10などに取り付けて駆動用電源として使用される。ユーザにより交換式電池が車両10から取り外され電池ラックに収容されると交換式電池の充電を開始する。制御装置50が電池ラックに搭載されており、監視装置40が交換式電池に搭載されていると、電池ラックの制御装置50が、交換式電池の監視装置40と通信することで交換式電池の電池状態を監視できる。交換式電池が電池ラックに長期間収容されていると交換式電池の寿命が劣化する。電池ラックが、交換式電池の劣化状態を監視し定期的に電池状態を把握できる。
【0226】
また交換式電池には組電池12が搭載されており、組電池12の電池モジュール20には電池IDが割り当てられている。電池モジュール20に電池IDが割り当てられることで、電池モジュール20の配置場所を的確に把握でき故障時にメンテナンスを良好にできる。
【0227】
このとき、マスタとして機能する前述の制御装置50(BMU(バッテリ管理モジュール:Battery Management Unit)などとも称される場合がある)が、各電池モジュール20に電池IDを付与してもよいし、マスタ以外のスレーブ(例えば、前述の監視装置40、プロビジョニング装置と称されることがある)が各電池モジュール20に電池IDを割り当てて付与してもよい。
【0228】
このときマスタ、スレーブの何れかは、交換式電池の組電池12の電池モジュール20と接点検出することで電池モジュール20の交換の有無を検出する。電池交換を検出した後には、その旨を外部のサーバなどの外部装置(図示せず)に通知したり、図示しない他の表示装置に表示したり、または、警報を鳴動させるようにしてもよい。これにより、盗難などの異常を検知できる。
【0229】
(他の実施形態)
前述実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に示す変形又は拡張が可能である。
前述実施形態では、概ね制御装置50がマスタとなり監視装置40がスレーブとして動作する形態を説明したが、逆に、監視装置40がマスタとなり制御装置50がスレーブとして動作する形態を適用しても良い。すなわち制御装置50と監視装置40のマスタースレーブの関係については、前述実施形態に限定されるものではない。制御装置50をスレーブ、監視装置40はマスタとしてもよい。
【0230】
起動するための起動情報は、このイグニッションスイッチのオン情報に限定されるものではない。例えば、車両10の起動情報は、イグニッションスイッチのオン情報以外にも、ドライバ席の解錠情報、運転席への着座情報、キースイッチの解錠情報等を用いてもよいし、これらの情報を組み合わせて起動したことを検出するようにしてもよい。
【0231】
前述実施形態では、電池監視システム1が、制御装置50を中心とする複数の監視装置40をスター型にネットワーク接続しておりパケット通信可能になっている例を示した。しかしながら、制御装置50と監視装置40とのネットワークトポロジは、このような例に限定されない。
【0232】
制御装置50と監視装置40とは、メッシュネットワークを形成していてもよい。またスター結線のネットワーク、メッシュネットワーク、及びデイジーチェーン型のネットワークの少なくとも二つ以上を混在してネットワークを構成しても良い。ここでのネットワーク構成は、複数の監視装置40をグループ化して有線接続して1つのネットワークを構成し、このグループ化された複数の監視装置40を一つのデバイスとして機能させる構成を適用している。この際のメッシュネットワークは、制御装置50と複数グループの監視装置40とをネットワーク形成したトポロジにより構成されている。このネットワーク構成を適用しても良い。
【0233】
また、制御装置50と監視装置40とは、デイジーチェーン型のネットワーク接続をしていてもよい。スター型のネットワーク、メッシュネットワーク、及びデイジーチェーン型のネットワークの少なくとも二つ以上を混在してネットワークを構成しても良い。制御装置50と監視装置40とは無線接続ネットワークを構成する形態を例示しているが、有線接続ネットワークを混在させて構成しても良い。このように、制御装置50と監視装置40とのネットワークトポロジは特に限定されるものではない。
【0234】
例えば、無線通信部46は無線送信部と無線受信部とに機能を分けてハードウェア構成しても良い。監視装置40がマイコン45を備えない構成を適用してもよい。すなわち、無線通信部46が無線ICのみで構成されており、電池監視部44との間で通信接続するように構成しても良い。電池監視部44によるセンシング制御や、自己診断のスケジュール制御は、制御装置50のメインマイコン53が実行してもよい。
【0235】
制御装置50のメインマイコン53が、セル電圧及びセル電流に基づいて電池セル22の内部抵抗、開放電圧を推定し、推定した内部抵抗、開放電圧に基づいてSOHを算出する例を示した。しかしながら、内部抵抗の推定、開放電圧の推定、及び、SOHの算出は、このような例に限定されない。例えば、内部抵抗の推定、開放電圧の推定、及び、SOHの算出のうち、一部又は全部の処理を監視装置40の内部、例えば無線通信部46が行ってもよい。
【0236】
制御装置50からの取得要求に基づいて、監視装置40が電池関連情報を取得する例を示したがこれに限られるものではない。監視装置40が自律的に電池関連情報を取得し、制御装置50からの送信要求に基づいて、保持している電池関連情報を制御装置50に送信しても良い。
【0237】
前述実施形態では、制御装置50を中心として複数の監視装置40をスター型に無線ネットワーク接続している例を示した。しかしながら、制御装置50と監視装置40とのネットワークトポロジは、このような例に限定されない。有線接続ネットワークを混在させて構成しても良い。このように、制御装置50と監視装置40とのネットワークトポロジは特に限定されるものではない。
【0238】
組電池12を構成する電池モジュール20及び電池セル22の配置や個数は上記した例に限定されるものではない。監視装置40及び/又は制御装置50の電池パック11内における配置形態は、上記した形態に限定されるものではない。
【0239】
電池パック11に一つの制御装置50が備えられる例を示したが、これに限定されるものではなく、複数の制御装置50を備えてもよい。つまり電池パック11の中に複数の監視装置40と一つ以上の制御装置50を備えていればよい。電池パック11の中では、制御装置50と複数の監視装置40との間に構築される無線通信のシステムを複数組備えてもよい。
【0240】
監視装置40が電池監視部44を一つ備える形態を示したが、これに限定されるものではなく、複数の電池監視部44(センサIC)を備えていてもよい。無線通信部46がマイコン45を備えない構成としてもよく、この場合、メインマイコン53が上記した無線通信部46の機能の一部を構成してもよい。
【0241】
一又は二つの電池モジュール20ごとに一つの監視装置40を配置する例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、3以上の複数の電池モジュール20に対して一つの監視装置40を配置しても良い。例えば、一つの電池モジュール20に対して2以上の複数の監視装置40を配置しても良い。
【0242】
前述実施形態では、一つの電池モジュール20を一つのグループとし、このグループを複数並設して電池パック11に収納した形態を説明したが、これに限られるものではない。一つのグループは、一つの電池モジュール20、一つの電池スタック、一つの電池ブロックを単位として設けなくてもよい。一つの電池モジュール20を分割した電池セル22を一つのグループと見做しても良い。また例えば、セルトゥパック、セルトゥシャーシの形態にて、電池セル22がモジュールレスで車両10の中にパック化して収納される場合もある。このような場合には、1又は複数の電池セル22を備えた集まりをグループとして見做しても良い。
【0243】
監視装置40は、電池セル22の複数のグループに跨って構成されていてもよい。この場合、複数の電池監視部44がグループ毎に設けられているとよい。監視装置40は、グループごとに設けられていてもよく、この場合、電池監視部44はグループごとの電池セル22を監視するように構成されているとよい。各グループに含まれる電池セル22の個数は互いに同一個数でなくてもよく、グループごとに異なっていてもよい。
【0244】
本開示に記載の制御装置50、監視装置40、上位ECU16及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御装置50、監視装置40、上位ECU16及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより実現されてもよい。
【0245】
もしくは、本開示に記載の制御装置50、監視装置40、上位ECU16及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移的有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0246】
つまりプロセッサ等が提供する手段及び/又は機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェア及びそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供できる。たとえばプロセッサが備える機能の一部又は全部はハードウェアとして実現されても良い。或る機能をハードウェアとして実現する態様には、ひとつ以上のICなどを用いて実現する態様が含まれる。
【0247】
プロセッサは、CPU、MPU、GPU、又はDFPを用いて実現されていてもよい。DFPは、Data Flow Processorの略を示す。プロセッサは、CPU、MPU、GPUなど、複数種類の演算処理装置を組み合せて実現されていてもよい。プロセッサは、システムオンチップ(SoC)として実現されていても良い。SoCは、System on Chipの略称である。
【0248】
さらに、前述実施形態に説明した各種の処理を実行する部分は、FPGAやASICなどのハードウェアを用いて実現されていても良い。各種プログラムは、非遷移的実体的記録媒体に格納されていればよい。プログラムの保存媒体としては、HDDやSSD、フラッシュメモリ、SDカードなど、多様な記憶媒体を採用可能である。FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略を示す。HDDは、Hard disk Driveの略称である。SSDは、Solid State Driveの略称である。SDは、Secure Digitalの略称である。
【0249】
本開示は、特許請求の範囲の記載に加え、以下の発明も含む。
[1]
電池の状態を監視して電池情報とし無線通信により制御装置に送信する監視装置であって、制御装置側通信部との間で接続処理(S100)を実行し前記電池情報を通信する監視装置側通信部(46)、を備え、前記監視装置側通信部は、前記制御装置側通信部との間で前記接続処理の少なくとも一部の所定接続処理を実行するときの通信速度を、前記制御装置側通信部へ前記電池情報を送信するときの通信速度より低速とする監視装置。
【0250】
[2]
前記監視装置側通信部は、前記接続処理の間に受信する接続要求(S13)の後に、前記監視装置側通信部から前記制御装置側通信部への通信速度を変更する[1]の監視装置。
【0251】
[3]
電力供給を受けて監視装置本体を起動する起動回路(44b)を備える電池監視部(44)を備え、前記電池監視部の起動回路は起動時に有線接続された電力供給部のみから電力供給を受ける[1]又は[2]の監視装置。
【0252】
[4]
前記監視装置側通信部は、前記制御装置側通信部との間で前記接続処理を実行するときには、前記電池監視部の起動よりも前に前記通信速度を所定速度から高速に切り替える[1]から[3]の何れかの監視装置。
【0253】
[5]
前記制御装置側通信部は、複数の監視装置ごとに電池情報を受信するタイムスロットを割り当てるよう構成され、前記監視装置側通信部は、前記タイムスロットに電池情報を割り当て、前記接続処理するときの通信速度より高速で通信して電池情報を送信する[1]から[4]の何れかの監視装置。
【0254】
[6]
前記監視装置側通信部が、前記制御装置との間で非同期で実行する前記所定接続処理において自身の存在を周知させる予告検出要求(S21)を送信するときには、前記予告検出要求を送信して同期した後に前記接続処理に必要な信号を受信するときの通信速度よりも低速で送信する[1]から[5]の何れかの監視装置。
【0255】
[7]
前記監視装置側通信部が、前記制御装置との間で非同期で実行する前記所定接続処理において接続確立するために検出要求(22a)を送信するときには、前記検出要求を送信して同期した後に前記接続処理に必要な信号を送信するときの通信速度よりも低速で送信する[1]から[5]の何れかの監視装置。
【0256】
[8]
前記監視装置側通信部は、前記接続処理を完了すると前記電池情報の通信に切替えて定期通信処理(S200)を継続する[1]から[7]の何れかの監視装置。
【0257】
[9]
前記監視装置側通信部は、前記電池情報を分割し、前記接続処理を実行している間に前記制御装置側通信部へ分割した前記電池情報を送信する[1]から[8]の何れかの監視装置。
【0258】
[10]
前記監視装置側通信部は、前記制御装置側通信部との間で前記接続処理を実行している間においてパケットに電池情報を含ませて前記制御装置側通信部に送信する際の通信速度を、前記接続処理を実行完了した後に前記制御装置側通信部へ前記電池情報を送信するときの通信速度と同一にする[1]から[9]の何れかの監視装置。
【0259】
[11]
車両が停止状態のときに前記監視装置側通信部が前記制御装置側通信部へ通信する通信速度は、前記車両が起動状態のときの通信速度よりも低速である[1]から[10]の何れかの監視装置。
【0260】
[12]
車両が停止状態のときに所定のタイミングで複数の電池セル間のセル電圧を均等化する均等化処理を実行するように構成され、前記監視装置側通信部が、前記車両が停止状態のときに前記均等化処理を実行している間に前記制御装置側通信部へ通信する通信速度は、前記所定接続処理として予告検出要求(S21)を送信する速度よりも高速である[1]から[11]の何れかの監視装置。
【0261】
[13]
前記監視装置側通信部が、前記制御装置側通信部へ電池のセル電圧を電池情報として通信している状態のとき、自らの監視装置側通信部から前記セル電圧が前記制御装置側通信部により一定期間受信されなかった場合、前記監視装置側通信部は、前記制御装置側通信部が前記自らの監視装置側通信部以外の監視装置側通信部との間で通信する前記電池情報の通信速度より低速で前記制御装置側通信部との間で前記接続処理を実行する[1]から[12]の何れかの監視装置 。
【0262】
[14]
前記監視装置側通信部は、非電池情報を通信するための非電池情報通信周波数帯の1又は複数のチャンネルからなる第1チャンネル群と、電池情報を通信するための電池情報通信周波数帯の1又は複数のチャンネルからなる第2チャンネル群とを切り替えて前記制御装置側通信部との間で通信し、前記監視装置側通信部は、前記非電池情報通信周波数帯の第1チャンネル群では前記電池情報通信周波数帯の第2チャンネル群での通信よりも低速で行い、前記制御装置側通信部との間で前記電池情報通信周波数帯の第2チャンネル群を用いて前記電池情報を通信している際、前記自らの監視装置の前記監視装置側通信部からの電池情報が前記制御装置側通信部により受信されない場合、前記監視装置側通信部は、前記電池情報通信周波数帯の第2チャンネル群から前記非電池情報通信周波数帯の第1チャンネル群へ切替えて前記制御装置側通信部との間で前記接続処理を実行する[1]から[13]の何れかの監視装置。
【0263】
[15]
前記監視装置側通信部は、前記制御装置側通信部へ電池情報を送信するための電池情報通信周波数帯の1又は複数のチャンネルからなる第2チャンネル群と、自らの監視装置を周知させて存在を知らせる予告検出要求(S21)を送信するための帯域である非電池情報通信周波数帯の1又は複数のチャンネルからなる第1チャンネル群とを切り替えて制御装置側通信部との間で通信し、前記電池情報通信周波数帯にて継続して接続するための継続接続要求(S23、S28)を送信する前に、前記非電池情報通信周波数帯にて前記予告検出要求を送信する、[1]から[14]の何れかの監視装置。
【0264】
[16]
前記監視装置側通信部は、前記継続接続要求を前記予告検出要求よりも高速で送信する[1]から[15]の何れかの監視装置。
【0265】
[17]
電池の状態を監視して電池情報とする一つ以上の監視装置から前記電池情報を無線通信により受信する制御装置であって、監視装置側通信部との間で接続処理し前記電池情報を監視装置側通信部に通信する制御装置側通信部(54)を備え、前記制御装置側通信部は、前記監視装置との間で前記接続処理の少なくとも一部の所定接続処理を実行するときの通信速度を、前記電池情報を受信するときの通信速度より低速としている制御装置 。
【0266】
[18]
前記制御装置側通信部は、前記接続処理の間に送信する接続要求(S13)の後に、前記監視装置側通信部から前記制御装置側通信部へ前記電池情報を送信する通信速度を変更する[17]の制御装置。
【0267】
[19]
前記制御装置側通信部は、複数の監視装置ごとに前記電池情報を受信するタイムスロットを割り当てるように構成されている[17]又は[18]の制御装置。
【0268】
[20]
前記制御装置側通信部は、前記監視装置側通信部との間で非同期で実行する前記所定接続処理において前記監視装置から送信される自身の存在を周知させる予告検出要求(S21)を受信するときには、前記監視装置側通信部から前記予告検出要求を受信して同期した後に前記接続処理に必要な信号を受信するときの通信速度よりも低速で受信する[17]から[19]の何れかの制御装置。
【0269】
[21]
前記制御装置側通信部は、前記監視装置側通信部との間で非同期で実行する前記所定接続処理において前記監視装置から接続確立するために送信される検出要求(S22a)を受信するときには、前記監視装置側通信部から前記検出要求を受信して同期した後に前記接続処理に必要な信号を受信するときの通信速度よりも低速で受信する[17]から[20]の何れかの制御装置。
【0270】
[22]
前記制御装置側通信部は、複数の前記監視装置の監視装置側通信部との間で個別に通信するように構成され、前記監視装置側通信部から前記制御装置側通信部への通信速度を個別に切替可能に構成されている[17]から[21]の何れかの制御装置。
【0271】
[23]
前記制御装置側通信部は、前記接続処理を完了した前記監視装置から前記電池情報の通信に切替えて通信を継続する[17]から[22]の何れかの制御装置。
【0272】
[24]
他の前記監視装置から前記制御装置側通信部へ通信速度を切り替える間、前記制御装置側通信部から前記複数の監視装置への通信速度を切り替えないようにした[17]から[23]の何れかの制御装置。
【0273】
[25]
前記制御装置側通信部は、前記電池情報を分割し、前記接続処理の間に分割した電池情報を送信するように前記監視装置に指令する[17]から[24]の何れかの制御装置。
【0274】
[26]
前記制御装置側通信部は、車両が停止状態のときの前記監視装置からの通信速度は車両が起動状態のときの通信速度よりも低速とする[25]記載の制御装置。
【0275】
[27]
前記制御装置側通信部は、車両が停止状態のとき前記電池のセル電圧を均等化処理中に前記監視装置側通信部から受信する通信速度を、前記監視装置側通信部から前記所定接続処理として予告検出要求(S21)を受信する通信速度よりも高速としている[17]から[26]の何れかの制御装置。
【0276】
[28]
前記監視装置側通信部から前記電池のセル電圧を前記電池情報として受信している状態であって、前記監視装置側通信部から前記セル電圧を一定期間受信しなかった場合、前記制御装置側通信部は、前記セル電圧を受信しなかった監視装置以外の前記監視装置側通信部との間の前記電池情報の通信速度よりも遅くして前記監視装置側通信部との間で接続処理する[17]から[27]の何れかの制御装置。
【0277】
[29]
電池(12)の状態を監視して電池情報として無線通信により送信する一つ以上の監視装置(40)と、前記監視装置から前記電池情報を無線通信により受信する制御装置(50)と、を備え、前記監視装置は、制御装置側通信部との間で接続処理(S100)を実行し前記電池情報を通信する監視装置側通信部(46)を備えると共に、前記制御装置は、前記監視装置側通信部との間で前記接続処理を実行し前記電池情報を通信する前記制御装置側通信部(54)を備え、前記制御装置側通信部及び前記監視装置側通信部は、互いに前記接続処理の少なくとも一部の所定接続処理を実行するときの通信速度を、前記監視装置側通信部から前記制御装置側通信部へ前記電池情報を通信するときの通信速度より低速とする電池情報通信システム。
【0278】
[30]
電池の状態を監視して電池情報として無線通信により制御装置に送信する一つ以上の監視装置に実行させる電池情報通信プログラムであって、監視装置側通信部により制御装置側通信部との間で接続処理(S100)を実行し前記電池情報を送信する通信手順、を実行させ、前記通信手順では前記監視装置側通信部から前記制御装置側通信部へ前記電池情報を送信する通信速度よりも、前記接続処理の少なくとも一部の所定接続処理を実行するときの通信速度を低速とする電池情報通信プログラム。
【0279】
[31]
電池の状態を監視して電池情報として無線通信により制御装置に送信する一つ以上の監視装置による電池情報通信方法であって、監視装置側通信部により制御装置側通信部との間で接続処理(S100)を実行し前記電池情報を送信する送信過程を備え、前記送信過程では、前記監視装置側通信部から前記制御装置側通信部へ前記電池情報を送信する通信速度よりも、前記接続処理の少なくとも一部の所定接続処理を実行するときの通信速度を低速で通信する電池情報通信方法。
【0280】
本開示は、前述の実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や実施形態に記載された構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0281】
図面中、12は組電池(電池)、20は電池モジュール(電池)、22は電池セル(電池)、40は監視装置(監視装置本体)、46は無線通信部(制御装置側通信部)、50は制御装置(制御装置本体)、54は無線通信部(制御装置側通信部)、S100は接続処理、S200は定期通信処理、を示す。
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