(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008096
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】電気ケーブルの保護管
(51)【国際特許分類】
H02G 9/06 20060101AFI20250109BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20250109BHJP
F16L 59/075 20060101ALI20250109BHJP
F16L 11/20 20060101ALI20250109BHJP
F16L 11/127 20060101ALI20250109BHJP
H02G 9/04 20060101ALI20250109BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H02G9/06
F16L57/00 A
F16L59/075
F16L11/20
F16L11/127
H02G9/04
H02G3/04 081
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109965
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000144267
【氏名又は名称】株式会社三桂製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 秀和
【テーマコード(参考)】
3H024
3H036
3H111
5G357
5G369
【Fターム(参考)】
3H024AA04
3H024AB01
3H024AB07
3H024AC03
3H036AA09
3H036AB32
3H111CA13
3H111DA01
3H111DB23
5G357DD01
5G357DD05
5G357DE08
5G369BA04
5G369DC06
(57)【要約】
【課題】内管の外面と外管の内面との間に十分なスペースを確保し且つ内管の位置を適切に維持できる保護管を提供する。
【解決手段】保護管1は、フレキシブルな外管20と、外管20の内側に配置されるフレキシブルな内管30と、外管20の内面と内管30の外面との間に位置するサポート部材50とを有する。サポート部材50は内側コンタクト部52と外側コンタクト部51とを有している。内側コンタクト部52は内管30の外面に接しており、外側コンタクト部51は外管20の内面に接している。外側コンタクト部51と内管30の中心線Cとの距離L1は、内側コンタクト部52と内管30の中心線Cとの距離L2よりも大きい。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルな外管と、
前記外管の内側に配置されるフレキシブルな内管と、
前記外管の内面と前記内管の外面との間に位置し、線材で形成され、前記内管の外周を取り囲むサポート部材と、
前記サポート部材は、前記線材に沿った方向で互いに離れている第1部分と第2部分とを有し、
前記第1部分は前記内管の外面に接しており、
前記第2部分は前記外管の内面に接しており、
前記第2の部分と前記内管の中心線との距離は、前記第1の部分と前記内管の中心線との距離よりも大きい
ケーブル保護管。
【請求項2】
前記サポート部材は、前記内管の外周に巻かれる形状のばねである
請求項1に記載の保護管。
【請求項3】
前記第1の部分と前記第2の部分は、前記中心線に沿った方向で離れている
請求項1に記載の保護管。
【請求項4】
前記サポート部材は前記内管の外周に巻かれた形状を有し、前記中心線に沿った方向で離れている大径部と小径部とを有し、
前記大径部は前記第2の部分を有し、
前記小径部は前記第1の部分を有している
請求項1に記載の保護管。
【請求項5】
前記内管の中心線に沿った方向で見たときに、前記サポート部材は多角形であり、
前記第2の部分は、前記多角形の頂点であり、
前記第1の部分は、前記多角形が有している隣接する2つの頂点の間の部分である
請求項1に記載の保護管。
【請求項6】
前記保護管の中心線を中心とする周方向における前記第1の部分の角度位置と前記第2の部分の角度位置との間の角度は、60度以下である
請求項1に記載の保護管。
【請求項7】
前記内管と前記外管は、電気伝導性を有する材料で形成されている管本体を有し、
前記内管の前記管本体と前記外管の管本体は電気的に接続されている
請求項1に記載の保護管。
【請求項8】
前記内管の外周を取り囲む導通プレートをさらに有し、
前記導通プレートは前記内管の端部と前記外管の端部とに位置し、前記内管と前記外管とに電気的に接続している
請求項1に記載の保護管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ケーブルが内側に通されて、これを保護する保護管に関する。
【背景技術】
【0002】
電気ケーブルや超伝導ケーブルなどのケーブルを外部の熱から保護するための保護管が利用されることがある。特許文献1は、このような保護管として、内管と外管とで構成される断熱管が開示されている。内管と外管との間にスペーサと耐火材とが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内管と外管とを有する保護管においては、内管の外面と外管の内面との間に十分なスペースが確保されるのが望ましい。また、内管の位置が外管の中心からずれると、局所的に内管と外管との距離が近くなり、保護性能が下がることとなる。そのため、内管の位置を外管の中心に維持するのが望ましい。
【0005】
本開示は、内管の外面と外管の内面との間に十分なスペースを確保し且つ内管の位置を適切に維持できる保護管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示で提案する保護管は、フレキシブルな外管と、前記外管の内側に配置され、電気ケーブルが内側に通されるフレキシブルな内管と、前記外管の内面と前記内管の外面との間に位置し、線材で形成され、前記内管の外周を取り囲むサポート部材とを有する。前記サポート部材は、前記線材に沿った方向で互いに離れている第1部分と第2部分とを有し、前記第1部分は前記内管の外面に接しており、前記第2部分は前記外管の内面に接しており、前記第2の部分と前記内管の中心線との距離は、前記第1の部分と前記内管の中心線との距離よりも大きい。これによると、内管の外面と外管の内面との間に十分なスペースを確保し、且つ内管の位置を適切に維持できる。
【0007】
(2)(1)の保護管において、前記サポート部材は、前記内管の外周に巻かれる形状のばねであってよい。これによれば、内管と外管の曲げに追従したサポート部材の変形を比較的容易に実現できる。
【0008】
(3)(1)の保護管において、前記第1の部分と前記第2の部分は、前記中心線に沿った方向で離れていてよい。これによると、第1の部分と第2の部分との距離が大きくなるので、外管が加熱されたとき、第2の部分と第1の部分とを介して内管に熱が伝わることを抑えることができる。
【0009】
(4)(1)の保護管において、前記サポート部材は前記内管の外周に巻かれた形状を有し、前記中心線に沿った方向で離れている大径部と小径部とを有し、前記大径部は前記第2の部分を有し、前記小径部は前記第1の部分を有してよい。これによると、内管の外面と外管の内面との間に十分なスペースを確保することが容易となる。
【0010】
(5)(1)の保護管において、前記内管の中心線に沿った方向で見たときに、前記サポート部材は多角形であってよい。前記第2の部分は、前記多角形の頂点であり、前記第1の部分は、前記多角形が有している隣接する2つの頂点の間の部分であってよい。
【0011】
(6)(1)の保護管において、前記保護管の中心線を中心とする周方向における前記第1の部分の角度位置と前記第2の部分の角度位置との間の角度は、60度以下であってよい。
【0012】
(7)(1)の保護管において、前記内管と前記外管は、電気伝導性を有する材料で形成されている管本体を有し、前記内管の前記管本体と前記外管の管本体は電気的に接続されていてよい。これによると、内管に電荷が溜まることを抑えることができる。
【0013】
(8)(1)の保護管は、前記内管の外周を取り囲む導通プレートをさらに有してよい。前記導通プレートは前記内管の端部と前記外管の端部とに位置し、前記内管と前記外管とに電気的に接続してよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示で提案する保護管の外観を示す図である。
【
図3】
図1で示す保護管の端部に設けられている継手部を示す断面図である。
【
図4A】保護管が有しているサポート部材の例を示す図である。
【
図4B】
図4Aで示すサポート部材を保護管の中心線に沿った方向で見た図である。
【
図5B】
図5Aで示すサポート部材を保護管の中心線に沿った方向で見た図である。
【
図6A】サポート部材のさらに別の例を示す図である。
【
図6B】
図6Aで示すサポート部材を保護管の中心線に沿った方向で見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示で提案する保護管の実施形態について説明する。本明細書では、実施形態の一例として、
図1等で示す保護管1について説明する。
【0016】
[外管と内管]
図2で示すように、保護管1は、外管20と、外管20の内側に配置されている内管30とを有している。内管30は外管20の内側でサポート部材50によって支持されており、内管30と外管20は共通の中心線Cを有している。サポート部材50の作用により、外管20の内面と内管30の外面との間にスペースが確保されている。保護管1の使用時、内管30の内側に、例えば電気ケーブル(不図示)が配置される。保護管1によって電気ケーブルを保護できる。例えば、外部の温度変化から電気ケーブルを保護できる。一例においては、このスペースに耐火材(断熱材)が充填される。このスペースに耐火材は挿入されることなく、空気の層が形成されてもよい。
【0017】
外管20と内管30はいずれもフレキシブルな管である。したがって、外管20と内管30は電気ケーブルの敷設場所の形状に合わせて曲げることができる。外管20と内管30は、例えば、保護管1の中心線Cを中心としてらせん状に巻かれた金属帯でそれぞれ構成される管本体21・31を有している。外管20の金属帯の一部(例えば、
図2において符号M1で示す部分)は、保護管1の中心線Cに沿った方向において隣に位置している金属帯の別の一部(例えば、
図2において符号M2で示す部分)に噛み合って、連結している。(以下では、保護管1の「中心線Cに沿った方向」を中心線方向と称する。)隣り合う2つの部分(M1・M2)の相対位置の変化が許容されるように、それらは互いに連結されている。そのことによって外管20の曲げが許容されている。同様に、内管30の金属帯の一部(例えば、
図2において符号N1で示す部分)は、保護管1の中心線方向において隣に位置している金属帯の別の一部(例えば、
図2において符号N2で示す部分)に噛み合って、連結している。隣り合う2つの部分(N1・N2)の相対位置の変化が許容されるように、それらは互いに連結され、そのことによって内管30の曲げが許容されている。管本体21・31は電気伝導性を有する材料で形成されている。管本体21・31の材料は、例えば、鉄や、ステンレスなどであってよい。
【0018】
図2で示すように、外管20の金属帯は、その一方の縁に沿った第1係合部21aと、反対側の縁に沿った第2係合部21bを有している。第1係合部21aは、例えば保護管1の内側に向かって開いた略U形状であり、第2係合部21bは、例えば保護管1の外側に向かって開いた略U形状である。互いに隣り合う2つの部分M1・M2のうち一方の部分の第1係合部21aが、他方の部分の第2係合部21bに噛み合い、連結されている。
【0019】
図2で示すように、外管20は、その外側に、樹脂で形成されている被覆層22を有してよい。被覆層22はらせん状に巻かれた金属帯の外周面の全体に形成される。被覆層22によって、外部の雨水等が外管20の内側に浸入することを抑えることができる。被覆層22の材料としては、例えば、ポリ塩化ビニルを利用できる。
【0020】
図2で示すように、内管30の金属帯は、その一方の縁に沿った第1係合部31aと、反対側の縁に沿った第2係合部31bを有している。第1係合部31aと第2係合部31bのそれぞれは、例えばフック形状である。互いに隣り合う2つの部分N1・N2のうち一方の部分の第1係合部31aが、他方の部分の第2係合部21bに噛み合い、連結されている。
【0021】
なお、外管20において互いに噛み合っている第1係合部21aと第2係合部21bとの間には隙間Sが形成されている。そのため、外管20において隣り合う2つの部分M1・M2の相対位置の変化は、内管30において隣り合う2つの部分N1・N2の相対位置の変化よりも大きく許容されている。このことによって、内管30よりも径が大きい外管20においても十分な曲げが可能となっている。
【0022】
[内管の被覆層]
図2で示すように、内管30は、その外側に、樹脂で形成されている被覆層32を有してよい。被覆層32はらせん状に巻かれた上述した金属帯の外周面の全体に形成される。被覆層32によって、例えば内管30の内部に水分などが浸入することを抑えることができる。
【0023】
[蓋組立体]
図2で示すように、保護管1はその両端部に蓋組立体40を有している。蓋組立体40は、外管20の端部と内管30の端部とに取り付けられ、外管20の内面と内管30の外面との間のスペースを閉塞する。蓋組立体40の中心部には、保護管1の中心線方向でこれを貫通する開口41gが形成されており、電気ケーブルはこの開口41gの内側に通される。
【0024】
図3で示すように、蓋組立体40は蓋本体41を有している。蓋本体41は、外管20に固定される外筒部41aを有している。外筒部41aの内側に外管20の端部が嵌まっている。外筒部41aは、例えば、外管20の外側に嵌められているナット42によって外管20の端部に固定される。外筒部41aはナット42の内側に嵌められ、外筒部41aの外周面に形成されている螺子がナット42に係合している。
【0025】
保護管1の例では、
図3で示すように、ナット42の内側にシール部材43が配置されている。シール部材43は柔軟性を有する材料(例えば、ゴムやエラストマー)である。シール部材43としては例えばパッキンを使用できる。ナット42を締め付けると外筒部41aがナット42に接近する。このとき、蓋組立体40は保護管1の中心線方向において外管20の端面(後述する端部金具23の端面23c)に押しつけられる。また、ナット42を締め付けると、シール部材43が外筒部41aとナット42とによって圧縮され、外管20の外周面に押しつけられる。これにより、保護管1の中心線方向でのナット42と蓋本体41の位置が強固に固定される。
【0026】
シール部材43が外筒部41aとナット42とによって圧縮されると、シール部材43の端部は、外筒部41aの端部41fと外管20の外周面との間に入り込む。これにより、蓋組立体40と外管20との間の隙間はこのシール部材43によってシールされる。外部の水分が蓋本体41と外管20の外面との間の隙間を通って外管20の内側に浸入することをシール部材43によって防ぐことができる。また、シール部材43が外筒部41aとナット42とによって圧縮されると、シール部材43の端部は、後述する端部金具23の外周部23dの端部を、蓋本体41の外筒部41aの端部41fに押しつけてもよい。
【0027】
外管20と蓋本体41の固定構造は、保護管1の例に限られない。例えば、外周面に螺子が形成されたリングが外管20の外側に嵌められ、蓋本体41はそのリングに係合してもよい。
【0028】
保護管1の例では、
図3で示すように、蓋本体41の内側に環状の導通プレート44が配置されている。導通プレート44は内管30の外側に嵌められている。外管20は、管本体21の端面を覆う端部金具23を有している。導通プレート44と端部金具23の端面23cは保護管1の中心線方向で互いに向き合っている。上述したナット42を締め付けると、蓋本体41によって導通プレート44が端部金具23に押しつけられ、それらが密着する。導通プレート44は、例えば蓋本体41よりも電気伝導性の高い材料で形成されている。導通プレート44の材料としては、ステンレスや銅などが利用されてよい。後において詳説するように、この導通プレート44を介して外管20の管本体21と内管30の管本体31とが電気的に接続する。なお、蓋組立体40は必ずしも導通プレート44を有していなくてもよい。この場合、蓋本体41は直接的に端部金具23の端面23cに密着してもよい。
【0029】
図3で示すように、蓋本体41は内筒部41bを有している。内筒部41bの内側に内管30の端部が嵌まっている。これにより、保護管1の端部において、外管20の中心と内管30の中心とを一致させることができる。
【0030】
また、蓋組立体40は、保護管1の中心線方向で内管30の端部に密着している。保護管1の例では、内管30は、管本体31の端面を覆う端部金具33を有している。内筒部41bは、その端部に、保護管1の中心に向かって突出し保護管1の中心線方向で端部金具33の端面33dと向き合う密着部41dを有している。端面33dは、管本体31の端面に対して保護管1の中心線方向に位置し、内管30の端面を覆っている部分である。
【0031】
内管30の管本体31と外管20の管本体21は電気的に接続している。保護管1の例では、外管20の端部金具23は、管本体21の内面に沿っている筒部23aと、筒部23aの端部に形成され管本体21に引っかかっているフランジ部23bとを有しており、この筒部23aとフランジ部23bとにおいて管本体21と電気的に接続している。また、端部金具23の端面23cと導通プレート44は密着しており、電気的に接続している。さらに、内管30の端部金具33は、内管30の内面に沿っている筒部33aと、筒部33aの端部に形成され管本体31に引っかかっているフランジ部33bとを有し、これら筒部33aとフランジ部33bとにおいて管本体31に電気的に接続している。端部金具33は、内管30の端部の外周面を覆っている外周部33cを有している。この外周部33cの端部33eが上述した導通プレート44に接触し、電気的に接続している。このように、内管30の管本体31と外管20の管本体21は導通プレート44を介して互いに電気的に接続している。
【0032】
また、端部金具33の外周部33cの端部33eは、蓋本体41の内筒部41bに接してもよい。この場合、内管30の管本体31は、蓋本体41を介して外管20の管本体21に電気的に接続する。
【0033】
蓋組立体40は、2本の保護管1を連結する継手部41eを有してもよい。保護管1の例では、蓋本体41に継手部41eが形成されている。継手部41eの外周面に螺子が形成されている。継手部41eは、例えば、
図2で示されるナット49を利用して隣接する保護管1に連結されたり、継手部41eの螺子に係合する連結具を介して隣接する保護管1に連結される。継手部41eの構造は、保護管1の例に限られず、例えば継手部41eの内周面に螺子が形成されてよい。
【0034】
[サポート部材]
図2で示すように、保護管1は、外管20の内面と内管30の外面との間に配置されている、線材で形成されているサポート部材50を有している。サポート部材50は、内管30の外周を取り囲み、外管20の内側で内管30を支持している。より具体的には、サポート部材50は、外管20の中心線(保護管1の中心線C)と内管30の中心線とが一致するように内管30を支持している。サポート部材50として機能する線材は内管30と外管20の曲げに追従して変形できる金属の線材であり、例えばピアノ線、硬鋼線、ステンレス線、オイルテンパー線、りん青銅線などである。
【0035】
サポート部材50は、保護管1の中心線Cの周りで巻かれている部材である。言い換えれば、サポート部材50はばねである。このようにばねを利用することによって、内管30と外管20の曲げに追従したサポート部材50の変形を比較的容易に実現できる。
【0036】
サポート部材50は、
図4Aで示すように、外管20の内面に接している外側コンタクト部51(大径部)と、内管30の外面に接している内側コンタクト部52(小径部)とを有している。この外側コンタクト部51と内側コンタクト部52とによって、外管20における内管30の位置を適切に維持できる。保護管1の例において、外側コンタクト部51と内側コンタクト部52のそれぞれは、中心線Cの周りで複数周巻かれた部分である。内側コンタクト部52の内側に内管30が配置されている。
【0037】
図4Aで示すように、外側コンタクト部51は、内側コンタクト部52よりも大きな径を有している部分である。そのため、外側コンタクト部51と内管30の中心線(保護管1の中心線C)との距離L1は、内側コンタクト部52と内管30の中心線(保護管1の中心線C)との距離L2よりも大きい。サポート部材50のこの構造によって、外管20と内管30との間に十分なスペースを確保できる。
【0038】
図で示す例では、外側コンタクト部51(大径部)は、保護管1の中心線方向における全体に亘って外管20の内面に接している。同様に、内側コンタクト部52(小径部)は、保護管1の中心線方向における全体に亘って内管30の外面に接している。これにより、外管20の内部での内管30の位置が安定し易くなる。図で示す例とは異なり、外側コンタクト部51は、保護管1の中心線方向における中心部において特に大きな径を有し、この中央部においてのみ外管20の内面に接してもよい。また、内側コンタクト部52は、保護管1の中心線方向における中心部において特に小さな径を有し、この中央部においてのみ内管30の外面に接してもよい。
【0039】
図4Bで示すように、外側コンタクト部51と内側コンタクト部52は、それらの間の連結部53を介して互いに連結されている。連結部53は、サポート部材50を構成する線材の一部である。したがって、外側コンタクト部51と内側コンタクト部52は、サポート部材50を構成する線材に沿った方向、言い換えれば線材が巻かれている方向で離れている。また、サポート部材50の例では、外側コンタクト部51と内側コンタクト部52は、保護管1の中心線方向においても離れている。このため、外側コンタクト部51と内側コンタクト部52との距離が大きくなり、例えば外管20が加熱されたとき、外側コンタクト部51と内側コンタクト部52とを介して内管30に熱が伝わることを抑えることができる。
【0040】
図4Aで示すように、サポート部材50は、保護管1の中心線方向で離れている複数の外側コンタクト部51を有している。同様に、サポート部材50は、保護管1の中心線方向で離れている複数の内側コンタクト部52を有している。そして、外側コンタクト部51と内側コンタクト部52は交互に形成されており、それぞれが保護管1の全体に分散している。そのため、内管30を保護管1の中心に維持しながら、保護管1を任意の位置で曲げることができる。
【0041】
なお、サポート部材50の材料や構造は、
図4A及び
図4Bで示す例に限定されない。例えば、サポート部材50は、必ずしも中心線Cの周りで巻かれるばねでなくてもよい。この場合においても、サポート部材50は、内管30の中心線からの距離が相対的に大きい外側コンタクト部51と、内管30の中心線からの距離が相対的に小さい内側コンタクト部52とを有し、それらが線材に沿った方向で離れていてよい。
【0042】
[サポート部材の変形例]
また、
図4A及び
図4Bで示す例において、サポート部材50は、保護管1の中心線方向で見たときに、円形である。サポート部材50の形状はこれに限られない。サポート部材50は、保護管1の中心線方向で見たときに、例えば、多角形であってもよい。
【0043】
図5A及び
図5Bは、サポート部材の変形例としてサポート部材150を示す図である。サポート部材150は、上述したサポート部材50と同様に、保護管1の中心線Cの周りで巻かれ、内管30の外周を取り囲む線材である。言い換えれば、サポート部材150もばねである。上述したサポート部材50と異なる点として、サポート部材150は、
図5Bで示すように、保護管1の中心線方向で見たときに、三角形状である。より詳細には、サポート部材150は正三角形である。サポート部材150は、三角形の一辺を形成する直線部150aを有している。3つの連続する直線部150aで内管30は取り囲まれている。以下では、1つの三角形を構成する線材(連続する3つの直線部150a)を単位サポート部と称する。
図5Aで示すように、複数の単位サポート部材(三角形の部分)が、保護管1の中心線方向で並んでいる。これにより、そのため、内管30を保護管1の中心に維持しながら、保護管1を任意の位置で曲げることができる。
【0044】
図5Bで示すように、サポート部材50は、外管20の内面に接している複数の外側コンタクト部151と、内管30の外面に接している複数の内側コンタクト部152とを有している。保護管1の例において、外側コンタクト部151は三角形の頂点(各直線部150aの端部)である。内側コンタクト部152は直線部150aにおける、内管30の外周面との接点であり、三角形の2つの頂点の間に位置する。したがって、内側コンタクト部152と外側コンタクト部151は、サポート部材150を構成する線材に沿った方向(各直線部150aの延伸方向)で互いに離れている。保護管1の中心線Cを中心とする周方向における外側コンタクト部151の角度位置と内側コンタクト部152の角度位置との角度(
図5Bにおいて角度θ)は60度以下であってよい。外側コンタクト部151と内管30の中心線(保護管1の中心線C)との距離L3は、内側コンタクト部152と内管30の中心線(保護管1の中心線C)との距離L4よりも大きい。
【0045】
サポート部材を保護管1の中心線方向で見たときの、サポート部材の形状は三角形でなくてもよい。サポート部材は四角形でもよいし、五角形でもよい。つまり、サポート部材を保護管1の中心線方向で見たときの、サポート部材の形状は多角形であってよい。例えば、サポート部材が四角形である場合、サポート部材は4つの直進部によって保護管1の中心線Cの周りを1周する。この場合、外側コンタクト部は直進部の端部であり、内側コンタクト部は各直進部における、内管30との接点である。サポート部材の形状が三角形とは異なる多角形である場合でも、保護管1の中心線Cを中心とする周方向における外側コンタクト部の角度位置と内側コンタクト部の角度位置との間の角度θは60度以下であってよい。例えば、サポート部材が四角形である場合、外側コンタクト部の角度位置と内側コンタクト部の角度位置との間の角度θは45度以下であってよい。
【0046】
サポート部材150において、複数の外側コンタクト部151の角度位置は、保護管1の中心線方向において同じである。例えば、内管30の上方に位置している複数の外側コンタクト部151は、中心線方向において直線的に並んでいる。同様に、内管30の上方に位置している複数の外側コンタクト部151は中心線方向において直線的に並んでいる。内管30に対して8時の位置にある複数の外側コンタクト部151(
図5Bにおいて左下にある外側コンタクト部151)は、中心線方向において直線的に並んでおり、内管30に対して4時の位置にある複数の外側コンタクト部151(
図5Bにおいて右下にある外側コンタクト部151)も中心線方向において直線的に並んでいる。同様に、複数の内側コンタクト部152も中心線方向において直線的に並んでいる。
【0047】
しかしながら、複数の外側コンタクト部の角度位置は保護管1の中心線Cを中心とする周方向で変化していてもよい。
図6A及び
図6Bは、このような形態を説明するための図である。
図6Bで示すように、サポート部材250は、複数の外側コンタクト部251(251a~251f)と、複数の内側コンタクト部252とを有している。この図では、3つの外側コンタクト部251a・251b・251cが1つの三角形(単位サポート部材)の頂点に位置している。2つの外側コンタクト部251a・251bの間に内側コンタクト部252が設けられ、2つの外側コンタクト部251b・251cの間にも内側コンタクト部252が設けられている。3つの外側コンタクト部251d・251e・251fが隣の三角形(単位サポート部材)の頂点に位置している。隣の三角形においては、2つの外側コンタクト部251e・251dの間に内側コンタクト部252が設けられ、2つの外側コンタクト部251f・251eの間にも内側コンタクト部252が設けられている。
【0048】
各単位サポート部材(三角形)の角度位置は、保護管1の中心線方向において隣に位置する別の単位サポート部材(三角形)に対して角度θだけずれている。
図6Bでは、例として3つの単位サポート部材だけが示されている。角度θは、例えば90度以下の角度である。角度θは60度以下であってよい。角度θは30度以下であってもよい。
【0049】
なお、サポート部材250は、保護管1の中心線方向で隣り合う2つの単位サポート部材をつなぐ連結部253を有してよい。
【0050】
[製造方法]
保護管1の製造方法について説明する。まず、複数の保護管の長さに相当する外管を裁断し、保護管1の使用現場で必要な長さの外管20を得る。同様に、複数の保護管の長さに相当する内管を裁断し、保護管1の使用現場で必要な長さの内管30を得る。この裁断は、保護管1の製造工場で行われてもよいし、保護管1の使用現場で行われてもよい。内管30の端部に端部金具33を取り付け、外管20の端部に端部金具23を取り付ける。そして、内管30を外管20の内側に挿入する(挿入工程)。また、外管20の内面と内管30の外面との間にサポート部材50を挿入する。これにより、内管30が外管20の中心線上で支持される。なお、サポート部材50の挿入は、内管30の挿入工程に前に行われてもよいし、内管30の挿入工程と同時に行われてもよい。例えば、サポート部材50の内側に内管30を挿入し、内管30とサポート部材50とを一緒に外管20の内側に挿入してもよい。
【0051】
最後に、外管20の他方の端部と内管30の他方の端部とに、もう一つの蓋組立体40を取り付ける。これにより、1つの保護管1が得られる。使用現場では、2つの保護管1が、蓋組立体40に形成された継手部41eを利用して互いに連結される。
【0052】
[まとめ]
以上説明したように、保護管1は、フレキシブルな外管20と、外管20の内側に配置されるフレキシブルな内管30と、外管20の内面と内管30の外面との間に位置し、線材で形成され、内管30の外周を取り囲むサポート部材50とを有する。サポート部材50は、線材に沿った方向で互いに離れている内側コンタクト部51・151・251と外側コンタクト部51・151・251とを有している。内側コンタクト部52・152・252は内管30の外面に接しており、外側コンタクト部51・151・251は外管20の内面に接している。外側コンタクト部51・151・251と内管30の中心線Cとの距離L1・L3は、内側コンタクト部52・152・252と内管30の中心線Cとの距離L2・L4よりも大きい。これによると、内管30の外面と外管20の内面との間に十分なスペースをサポート部材50によって確保し、且つ内管30の位置をこのサポート部材50によって適切に維持できる。
【0053】
なお、本開示で提案する保護管は、以上説明した保護管1に限られない。
【0054】
例えば、内管30と外管20との間に配置されるサポート部材は、必ずしもばねでなくてもよい。サポート部材50は、内管30と外管20の曲げに追従して変形できる線材であるものの、保護管1の中心線方向の方向に弾性変形可能でなくてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 保護管、20 外管、21 管本体、21a 第1係合部、21b 第2係合部、22 被覆層、23 端部金具、23a 筒部、23b フランジ部、23c 端面、30 内管、31 管本体、31a 第1係合部、31b 第2係合部、32 被覆層、33 端部金具、33a 筒部、33b フランジ部、40 蓋組立体、50 サポート部材、41 蓋本体、41a 外筒部、41b 内筒部、41d :密着部、41e :継手部、42 ナット、43 シール部材、44 導通プレート、49 ナット、50 サポート部材、51 外側コンタクト部(大径部)、52 内側コンタクト部(小径部)、53 連結部、150 サポート部材、150a 直線部、151 外側コンタクト部、152 内側コンタクト部、250 サポート部材、251、251a~251f 外側コンタクト部、252 :内側コンタクト部、C 保護管の中心線。