(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008112
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】ケーブル類保護案内装置
(51)【国際特許分類】
F16G 13/16 20060101AFI20250109BHJP
F16L 3/01 20060101ALI20250109BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
F16G13/16
F16L3/01
H02G3/04 075
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110001
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大山 絢加
【テーマコード(参考)】
3H023
5G357
【Fターム(参考)】
3H023AA04
3H023AB07
3H023AC08
3H023AC64
5G357DA06
5G357DD16
(57)【要約】
【課題】第1連結部材の係合状態を簡単に解除する。
【解決手段】ケーブル類保護案内装置は、複数のリンク20が回動可能に連結されて延びており、一対のリンクプレート11、第1連結部材12、及び、第2連結部材で囲まれた空間内にケーブル類が収容される。第1連結部材12は、板状の本体部12aと、第1被係合部30aに係合する第1係合部40と、第2被係合部30bに係合する第2係合部とを有している。第1被係合部30a、及び第2被係合部30bの少なくとも一方は、外方被係合部(外方凸部32a)を備え、第1係合部40、及び第2係合部の少なくとも一方は、本体部12aの厚さ方向に延びる垂下壁42と、垂下壁42に設けられて外方被係合部(外方凸部32a)に係合する内方係合部(内方凸部43)と、垂下壁42よりも外方に突出する外方突出壁44とを有している。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対のリンクプレートと、
一対の前記リンクプレート同士を連結する第1連結部材と、
一対の前記リンクプレート同士を連結する第2連結部材と、を備えるリンクを有し、
複数の前記リンクが回動可能に連結されて延びており、
一対の前記リンクプレート、前記第1連結部材、及び、前記第2連結部材で囲まれた空間内にケーブル類が収容されるケーブル類保護案内装置であって、
前記第1連結部材は、板状の本体部と、一対の前記リンクプレートの一方が備える第1被係合部に係合する第1係合部と、一対の前記リンクプレートの他方が備える第2被係合部に係合する第2係合部とを有しており、
一対の前記リンクプレートが互いに対向する方向を前記リンクの内方とし、その反対方向を前記リンクの外方とすると、
前記第1被係合部、及び前記第2被係合部の少なくとも一方は、外方被係合部を備え、
前記第1係合部、及び前記第2係合部の少なくとも一方は、前記本体部の厚さ方向に延びる垂下壁と、当該垂下壁に設けられて前記外方被係合部に係合する内方係合部と、前記垂下壁よりも外方に突出する外方突出壁とを有していることを特徴とするケーブル類保護案内装置。
【請求項2】
前記第1係合部は、前記垂下壁と前記本体部の間に、湾曲部を有している請求項1に記載のケーブル類保護案内装置。
【請求項3】
前記第1被係合部、及び前記第2被係合部の少なくとも一方は、外方側の表面に、前記外方被係合部と前記内方係合部の係合状態を解除するための解除用凹部を有する請求項1に記載のケーブル類保護案内装置。
【請求項4】
複数の前記リンクが延びる方向に沿う前記解除用凹部の幅は、同方向に沿う前記第1連結部材の前記内方係合部の幅と同じか、前記内方係合部の幅よりも小さい請求項3に記載のケーブル類保護案内装置。
【請求項5】
前記第1連結部材の外方突出壁の外表面は、前記第1連結部材の本体部の外表面よりも下方に位置する請求項1に記載のケーブル類保護案内装置。
【請求項6】
前記第1被係合部、及び前記第2被係合部の他方は、ヒンジ軸受部を有し、
前記第1係合部、及び前記第2係合部の他方は、前記ヒンジ軸受部に係合するヒンジ軸を有している請求項1に記載のケーブル類保護案内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル類保護案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エネルギー導通チェーンについて記載している。
図15に示すように、エネルギー導通チェーン80は、対向する一対のリンクプレート81と、一対のリンクプレート81を一体に結合する連結片82とによってリンク83が形成されている。また、一対のリンクプレート81に、保持板84が架け渡されている。一対のリンクプレート81、連結片82、及び保持板84で囲まれた空間内にケーブルやホース等のエネルギー導通体を配置している。
【0003】
一対のリンクプレート81は、上端部に保持板84を係合する係合片を有している。係合片は、一対のリンクプレート81の内方側を円周面とする半円状の棒体85で構成されている。棒体85の外方側は平面85aになっており、この平面85aにリンク83の軸方向に沿う溝85bを有している。
【0004】
保持板84は、基板86と、基板86の一端部から垂下する第1の側片87と、基板86の他端部から垂下する第2の側片88とを有している。第1の側片87は、棒体85の溝85bに係合する突片87aを有する。第2の側片88は、棒体85に嵌り合う半円状係止孔88aを有する。
【0005】
一対のリンクプレート81に保持板84を取り付ける際には、保持板84の第2の側片88が有する半円状係止孔88aに、他方のリンクプレート81の棒体85を嵌め合わせる。そして、半円状係止孔88aを中心に保持板84を回動させる。一方のリンクプレート81の棒体85の溝85bに、保持板84の第1の側片87が有する突片87aを係合させることによって、一対のリンクプレート81に保持板84は取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1等に記載されたケーブル類保護案内装置としてのエネルギー導通チェーン80は、ケーブル類の点検や交換を行うために、第1連結部材としての保持板84とリンクプレート81の係合状態を解除する場合がある。その場合、作業者は、保持板84の第1の側片87と一方のリンクプレート81の棒体85との間に治具等を差し込んで、第1の側片87の突片87aと、棒体85の溝85bとの係合状態を解除する。しかし、治具等を用いてどのように係合状態を解除するのかが作業者に分かりにくいため、保持板84の係合状態を解除することが難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
態様1のケーブル類保護案内装置は、対向する一対のリンクプレートと、一対の前記リンクプレート同士を連結する第1連結部材と、一対の前記リンクプレート同士を連結する第2連結部材と、を備えるリンクを有し、複数の前記リンクが回動可能に連結されて延びており、一対の前記リンクプレート、前記第1連結部材、及び、前記第2連結部材で囲まれた空間内にケーブル類が収容されるケーブル類保護案内装置であって、前記第1連結部材は、板状の本体部と、一対の前記リンクプレートの一方が備える第1被係合部に係合する第1係合部と、一対の前記リンクプレートの他方が備える第2被係合部に係合する第2係合部とを有しており、一対の前記リンクプレートが互いに対向する方向を前記リンクの内方とし、その反対方向を前記リンクの外方とすると、前記第1被係合部、及び前記第2被係合部の少なくとも一方は、外方被係合部を備え、前記第1係合部、及び前記第2係合部の少なくとも一方は、前記本体部の厚さ方向に延びる垂下壁と、当該垂下壁に設けられて前記外方被係合部に係合する内方係合部と、前記垂下壁よりも外方に突出する外方突出壁とを有していることを要旨とする。
【0009】
態様2は、態様1のケーブル類保護案内装置において、前記第1係合部は、前記垂下壁と前記本体部の間に、湾曲部を有している。
態様3は、態様1又は2のケーブル類保護案内装置において、前記第1被係合部、及び前記第2被係合部の少なくとも一方は、外方側の表面に、前記外方被係合部と前記内方係合部の係合状態を解除するための解除用凹部を有する。
【0010】
態様4は、態様3のケーブル類保護案内装置において、複数の前記リンクが連結される方向に沿う前記解除用凹部の幅は、同方向に沿う前記第1連結部材の前記内方係合部の幅と同じか、前記内方係合部の幅よりも小さい。
【0011】
態様5は、態様1~4のいずれか一態様に記載のケーブル類保護案内装置において、前記第1連結部材の外方突出壁の外表面は、前記第1連結部材の本体部の外表面よりも下方に位置する。
【0012】
態様6は、態様1~5のいずれか一態様に記載のケーブル類保護案内装置において、前記第1被係合部、及び前記第2被係合部の他方は、ヒンジ軸受部を有し、前記第1係合部、及び前記第2係合部の他方は、前記ヒンジ軸受部に係合するヒンジ軸を有している。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1連結部材の係合状態を簡単に解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態のケーブル類保護案内装置の斜視図である。
【
図5】リンクプレートの第2被係合部の斜視図である。
【
図7】ヒンジ軸受部にヒンジ軸が係合した状態の断面図である。
【
図8】リンクプレートの第1被係合部における外方被係合部と、第1連結部材の第1係合部における内方係合部が係合する前の斜視図である。
【
図9】リンクプレートの第1被係合部における外方被係合部と、第1連結部材の第1係合部における内方係合部が係合した状態の斜視図である。
【
図10】リンクプレートの第1被係合部における外方被係合部と、第1連結部材の第1係合部における内方係合部が係合する前の部分断面図である。
【
図11】外方被係合部と内方係合部が係合した状態の部分断面図である。
【
図12】変更例の外方被係合部と内方係合部が係合した状態の部分断面図である。
【
図13】別の変更例の外方被係合部と内方係合部が係合した状態の部分断面図である。
【
図14】さらに別の変更例の外方被係合部と内方係合部が係合した状態の部分断面図である。
【
図15】従来技術のケーブル類保護案内装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のケーブル類保護案内装置を具体化した実施形態について説明する。
図1、2に示すように、本実施形態のケーブル類保護案内装置(以下、案内装置ともいう。)10は、対向する一対のリンクプレート11と、一対のリンクプレート11同士を連結する第1連結部材12と、一対のリンクプレート11同士を連結する第2連結部材13と、を備えるリンク20を有している。案内装置10は、複数のリンク20が互いに回動自在に直列に連結されている。
【0016】
以下では、複数のリンク20が直列に連結されて延びる方向を、直列方向Xとする。直列方向Xに直交する方向であって、一対のリンクプレート11が対向する方向を、幅方向Yとする。
【0017】
図1に示すように、複数のリンク20が直線的に延びた箇所を基準にして、直列方向Xと幅方向Yの両方に直交する方向を上下方向Zとする。
連結された複数のリンク20のうち、直列方向Xの一端部に位置するリンク20は、直列方向Xに往復移動する移動体(図示省略)に連結される連結金具14を有している。直列方向Xの他端部に位置するリンク20は、固定部(図示省略)に固定される固定金具15を有している。連結金具14に連結される方向を前方とし、固定金具15に固定される方向を後方とする。
【0018】
図2に示すように、一対のリンクプレート11が互いに対向する方向をリンク20の内方とし、その反対方向をリンク20の外方とする。一対のリンクプレート11において、
図2の奥側に位置するリンクプレート11を一方のリンクプレート21とし、手前側のリンクプレート11を他方のリンクプレート22とする。
【0019】
図1、2に示すように、案内装置10は、一対のリンクプレート11、第1連結部材12、及び、第2連結部材13で囲まれた空間内にケーブル類TKを収容している。ケーブル類TKは、フレキシブルに曲げることが可能である。案内装置10は、空間内にケーブル類TKを収容して、複数のリンク20でケーブル類TKを保護しながら案内する。
【0020】
以下、案内装置10の詳細について説明する。
<リンクプレート>
図2に示すように、リンクプレート11は、直列方向Xに長い板状に構成されている。リンクプレート11における直列方向Xの両端部は、直列方向Xの両外側が凸となる半円形状となっている。
【0021】
リンクプレート11は、直列方向Xの中央部における上下方向Zの上端部に、第1連結部材12が係合する被係合部30を有する。被係合部30については後述する。
リンクプレート11は、直列方向Xの中央部における上下方向Zの下端部に、第2連結部材13が係合する被係合部を有する。この被係合部については説明を省略する。第2連結部材13は、一対のリンクプレート11の両方に接続されている。第2連結部材13によって、一対のリンクプレート11の下端部同士が連結される。
【0022】
以下では、一対のリンクプレート11のうち他方のリンクプレート22について説明する。
図2に示すように、リンクプレート22は、直列方向Xにおける中央部よりも前方側に、貫通孔23を有する。リンクプレート22は、直列方向Xにおける中央部よりも後方側に、リンクプレート22の外側から内側に向かって厚さが薄くなった外側薄肉部24を有する。外側薄肉部24の前方側の縁部は、前方側に凸となる曲線状になっている。
【0023】
リンクプレート22は、外側薄肉部24の中央部に、外方に突出する円柱状の軸部25を有する。軸部25の突出高さは、外側薄肉部24の深さと略等しくなっている。すなわち、軸部25の頂部は、外側薄肉部24を除いたリンクプレート22の外側の表面と略同じ高さになっている。
【0024】
リンクプレート22は、外側薄肉部24内において、軸部25よりも前方側に矩形凸部26を有する。また、軸部25よりも後方側に、リンクプレート22の厚さがさらに薄くなるとともに後方に向かって扇形に広がった扇形凹部27を有する。
【0025】
リンクプレート22は、直列方向Xにおける中央部よりも前方側に、リンクプレート22の内側から外側に向かって窪んだ内側薄肉部28を有する。
図2に示すように、内側薄肉部28の形状は、リンクプレート22の直列方向Xの中央部において、上下方向Zに延びる回転軸Pを想定して、回転軸Pを中心にリンクプレート22を180°回転した際の外側薄肉部24と同じ形状を有している。すなわち、内側薄肉部28は、リンク20の内方側に、矩形凸部26と扇形凹部27を有しており、外側薄肉部24における軸部25の位置に貫通孔23を有している。
【0026】
図2に示すように、一対のリンクプレート11は、左右対称になっている。言い換えれば、一対のリンクプレート11は、被係合部30の形状も含めて互いに鏡像対称になっている。すなわち、一方のリンクプレート21と、他方のリンクプレート22とは、互いに対向する方向において鏡像の関係になっている。
【0027】
図1、2に示すように、案内装置10は、複数のリンク20が互いに回動自在に直列に連結されている。複数のリンク20を連結する際には、一対のリンクプレート11の後方側と、別の一対のリンクプレート11の前方側とを連結する。具体的には、一対のリンクプレート11の外側薄肉部24に位置する軸部25を、別の一対のリンクプレート11の内側薄肉部28に位置する貫通孔23に嵌合させる。その際、外側薄肉部24の矩形凸部26を内側薄肉部28の扇形凹部27内に配置する。また、内側薄肉部28の矩形凸部26を外側薄肉部24の扇形凹部27内に配置する。
【0028】
これにより、一対のリンクプレート11の軸部25を中心に、別の一対のリンクプレート11を回動させることができる。一対のリンクプレート11の扇形凹部27内に配置された、別の一対のリンクプレート11の矩形凸部26が揺動できる範囲内において、別の一対のリンクプレート11の回動範囲が規定される。扇形凹部27における扇形の角度や向き、もしくは、矩形凸部26の形状や位置を変更することによって、回動範囲を変更することができる。
【0029】
以上のように、一対のリンクプレート11と、別の一対のリンクプレート11とを繰り返し連結することによって、複数のリンク20が回動可能に連結される。
<リンクプレートの被係合部>
図2に示すように、リンクプレート11は、直列方向Xの中央部における上端部に、第1連結部材12が係合する被係合部30を有する。具体的には、一対のリンクプレート11のうち一方のリンクプレート21は、第1連結部材12の第1係合部40が係合する第1被係合部30aを有する。一対のリンクプレート11のうち他方のリンクプレート22は、第1連結部材12の第2係合部50が係合する第2被係合部30bを有する。
【0030】
第1被係合部30aと第2被係合部30bは同じ形状を有しているため、以下では、第2被係合部30bについて説明し、第1被係合部30aについては説明を省略する。
図5に示すように、第2被係合部30bは、リンクプレート22の上端部から下方に向かって切り欠かれた切欠としての第1切欠31を有する。第1切欠31は、リンクプレート22を厚さ方向に貫通している。第1切欠31の深さ、すなわち、第1切欠31の上下方向Zの長さは、第1連結部材12の本体部12aの厚さに略等しい。
【0031】
第2被係合部30bは、第1切欠31から直列方向Xの両側に窪んだヒンジ軸受部31aを有する。ヒンジ軸受部31aは、リンクプレート22の厚さ方向においてリンクプレート22の外側の表面まで延びている。ヒンジ軸受部31aの内側の周縁は半円形状になっており、後述するヒンジ軸52が、ヒンジ軸受部31aに係合した状態で回動することができる。
【0032】
第2被係合部30bは、第1切欠31の下方に第2切欠32を有する。第2切欠32は、リンクプレート22の厚さ方向において、リンクプレート22の外側部分を切り欠いている。直列方向Xに沿う第2切欠32の幅は、同方向に沿う第1切欠31の幅と同じである。
【0033】
第2被係合部30bは、第2切欠32の内側に、外方に向かって突出した外方被係合部としての外方凸部32aを有する。
図7に示すように、外方凸部32aは、外方斜め下に向かって傾斜する傾斜面32bを有している。また、外方凸部32aは、傾斜面32bの下方に、リンクプレート22の厚さ方向に沿って延びる水平面32cを有している。
【0034】
図5、7に示すように、第2被係合部30bは、第2切欠32の下方に第3切欠33を有する。第3切欠33は、直列方向Xにおける第2切欠32の中央部から、外方斜め下方に傾斜して延びており、外方斜め下方に傾斜した傾斜面33aを有している。直列方向Xに沿う第3切欠33の幅は、第2切欠32の幅よりも短くなっている。第3切欠33は、第1連結部材12の第1係合部40をリンクプレート21の被係合部30から取り外す際に、治具や指を挿入する解除用凹部として機能する。
【0035】
<第1連結部材>
図3、4に示すように、第1連結部材12は、板状の本体部12aと、一方のリンクプレート21が備える第1被係合部30aに係合する第1係合部40と、他方のリンクプレート22が備える第2被係合部30bに係合する第2係合部50とを有している。
【0036】
(本体部)
図2、3に示すように、本体部12aは、板面が直列方向Xに沿うとともに、幅方向Yに長尺状に延びている。
【0037】
以下では、本体部12aの長手方向において、本体部12aの中央に向かう方向を第1連結部材12の内方とし、その反対方向を外方とする。
(第1係合部)
第1係合部40は、本体部12aの長手方向の一端から延びる湾曲部41と、湾曲部41の外方側の端部から本体部12aの厚さ方向に沿って下方に延びる垂下壁42と、垂下壁42の上端部から外方に突出する外方突出壁44とを有している。
【0038】
図3、4に示すように、湾曲部41は、本体部12aの一端部から本体部12aの外方に突出した後、上方に向かって湾曲し、さらに外方に向かって湾曲して延びている。すなわち、湾曲部41は、クランク状に湾曲して延びている。なお、クランク状とは、互いに反対の方向に湾曲した箇所が2箇所以上ある形状を意味するものとする。
【0039】
なお、上記垂下壁42の、「本体部12aの厚さ方向に沿って下方に延びる」とは、本体部12aの厚さ方向に完全に一致している必要はなく、本体部12aの厚さ方向に対して、若干傾斜した方向も含まれるものとする。
【0040】
図3、4に示すように、第1係合部40は、垂下壁42の下端部に、内方に向かって突出した内方係合部としての内方凸部43を有する。
図10に示すように、内方凸部43は、内方斜め上方に向かって傾斜した傾斜面43aを有している。また、内方凸部43は、傾斜面43aの上方に、本体部12aの長手方向に平行に延びる平行面43bを有している。
【0041】
図11に示すように、外方突出壁44の突出長さは、リンクプレート21の第1被係合部30aに第1係合部40を取り付けた状態で、リンクプレート21の外側の端部から、外方突出壁44の先端が飛び出さない長さとなっている。具体的には、外方突出壁44の先端は、リンクプレート21の外側の端部と面一になっている。
【0042】
図11に示すように、外方突出壁44の外表面である上方側の表面は、第1連結部材12の本体部12aの外表面である上方側の表面よりも下方に位置している。
図8に示すように、直列方向Xに沿う第1係合部40の長さ、すなわち、直列方向Xに沿う湾曲部41、垂下壁42、内方凸部43、及び外方突出壁44の幅は、同方向に沿う第2切欠32の幅より若干小さい。
【0043】
(第2係合部)
図3、4に示すように、第2係合部50は、本体部12aの長手方向の他端部から外方に突出する突出片51と、突出片51の先端から本体部12aの短手方向の両側に突出するヒンジ軸52とを有する。ヒンジ軸52の横断面は円形状になっている。
【0044】
<第2連結部材>
図2に示すように、第2連結部材13は、長尺状の板材で構成されている。第2連結部材13は、一対のリンクプレート11の下端部同士を連結している。幅方向Yからリンク20を見た際に、第2連結部材13は、上下方向Zにおいて第1連結部材12に重なる位置に取り付けられている。
【0045】
<第1連結部材の取付機構>
図6に示すように、一対のリンクプレート11に第1連結部材12を取り付ける際には、まず、第1連結部材12の第2係合部50のヒンジ軸52を、他方のリンクプレート22の第2被係合部30bにおけるヒンジ軸受部31aに外方側から挿入する。
【0046】
図7に示すように、ヒンジ軸52は、ヒンジ軸受部31aの半円形状の周縁に当接した状態で、それ以上リンクプレート22の内側に移動することが規制される。これにより、第1連結部材12の第2係合部50が、他方のリンクプレート22の第2被係合部30bに係合した状態になる。
【0047】
図7、8に示すように、ヒンジ軸52を回動中心にして、第1係合部40が、一方のリンクプレート21の第1被係合部30aに接近するように第1連結部材12を回動する。
図9に示すように、第1連結部材12の第1係合部40が、一方のリンクプレート21の第1被係合部30aにおける第1切欠31に挿入される。
【0048】
図10、11に示すように、第1連結部材12の垂下壁42の内方凸部43が、リンクプレート21の第1被係合部30aの第2切欠32における外方凸部32aに外方側から係合することによって、第1係合部40は被係合部30に対して抜け止めされた状態になる。
【0049】
内方凸部43と外方凸部32aが係合する際、外方凸部32aの傾斜面32bと、内方凸部43の傾斜面43aが当接することによって、係合時の抵抗が軽減される。また、外方凸部32aと内方凸部43が係合した後は、両者の係合状態が解除されそうになると、外方凸部32aの水平面32cと内方凸部43の平行面43bが当接することによって、係合状態が解除されにくくなる。
【0050】
また、第1係合部40の湾曲部41は、第1被係合部30aの第1切欠31の下端部に当接する。言い換えれば、第1係合部40の湾曲部41は、第2切欠32の外方凸部32a上に当接する。第1係合部40の湾曲部41が、第2切欠32の外方凸部32a上に当接することによって、第1連結部材12のがたつきが抑制される。
【0051】
図11に示すように、第1連結部材12の外方突出壁44の外表面である上方側の表面は、リンクプレート21の上端部よりも下方に位置する。また、第1係合部40における外方突出壁44の先端は、一方のリンクプレート21の厚さ方向において、リンクプレート21の外側の表面から突出せず、外側の表面と面一になっている。
【0052】
案内装置10を構成するリンクプレート11、第1連結部材12、及び、第2連結部材13の材質は特に制限されない。これらの材質としては、例えば、樹脂や金属を採用することができる。
【0053】
<作用及び効果>
本実施形態の案内装置10の作用について説明する。
図9、11に示すように、案内装置10は、リンク20の内方に位置するケーブル類が収容された空間から、第1連結部材12に対して上方に応力(矢印B)が加わることがある。例えば、案内装置10に収容されたケーブル類が、案内装置10の動きに追従できないときや、案内装置10の収容空間に余裕がないときに、上記応力が加わることがある。この応力が加わると、第1連結部材12の長手方向の中央側が上方に変位しやすくなる。
【0054】
しかし、
図11に示すように、第1連結部材12の長手方向の中央側が上方に変位したとしても、外方凸部32aの水平面32cと内方凸部43の平行面43bの接触状態が維持されるため、第1連結部材12の第1係合部40における垂下壁42は外方に変位しにくい。そのため、垂下壁42の内方凸部43と、一方のリンクプレート21の外方凸部32aとの係合状態は解除されにくい。すなわち、第1連結部材12の第1係合部40は、リンクプレート21の第1被係合部30aから外れにくくなっている。
【0055】
図11に示すように、リンクプレート21の第1被係合部30aから第1連結部材12の第1係合部40を取り外す際は、第1係合部40の外方突出壁44に対して、指や治具を用いて上方に応力(矢印A)を加える。この応力によって湾曲部41が撓むことによって、垂下壁42は外方に変位する。これによって、第1係合部40の内方凸部43と、第1被係合部30aの外方凸部32aの係合状態が解除される。
【0056】
図9に示すように、外方突出壁44は、リンク20の外方から目視で認識しやすいため、作業者は、外方突出壁44が応力を加えて第1連結部材12を取り外すための部位であることを認識しやすい。また、外方突出壁44を有することによって、作業者は、指や治具を用いて上方に応力を加えやすくなるため、簡単に第1係合部40の係合状態を解除することができる。
【0057】
図9に示すように、さらに、リンク20の外方に、第1係合部40をリンクプレート21の第1被係合部30aから取り外す際に、治具や指を挿入する解除用凹部としての第3切欠33を有する。そのため、
図11に示すように、第3切欠33の傾斜面33aに沿う方向(矢印Cの方向)に治具や指を挿入することによっても、第1係合部40の係合状態を解除することができる。
【0058】
図8、9に示すように、第3切欠33は、外方斜め下方に傾斜した傾斜面33aを有している。また、直列方向Xに沿う第3切欠33の幅は、同方向に沿う第1連結部材12の垂下壁42や内方凸部43の幅よりも小さい。言い換えれば、直列方向Xに沿う第3切欠33の幅は、同方向に沿う第2切欠32の幅よりも小さい。このように、第3切欠33が、外方斜め下方に傾斜した傾斜面33aを有していることによって、第3切欠33の位置を作業者が認識しやすくなる。さらに、第3切欠33の幅が小さいことによって、リンク20を外方から見た際に、第3切欠33の位置を作業者がより認識しやすい。そのため、作業者は、第3切欠33に治具や指を挿入して第1係合部40の係合状態を解除しやすくなる。
【0059】
本実施形態の案内装置10の効果について説明する。
(1)第1連結部材12の第1係合部40は、本体部12aの厚さ方向に延びる垂下壁42と、垂下壁42に設けられてリンクプレート21の外方凸部32aに係合する内方凸部43と、垂下壁42よりも外方に突出する外方突出壁44とを有している。
【0060】
したがって、第1連結部材12の長手方向の中央側が上方に変位しても、第1係合部40の内方凸部43と、リンクプレート21の外方凸部32aとの係合状態は解除されにくい。
【0061】
また、第1係合部40の内方凸部43と、リンクプレート21の外方凸部32aとの係合状態を解除する際は、第1係合部40の外方突出壁44を指や治具を用いて上方に変位させることによって、簡単に係合状態を解除することができる。また、外方突出壁44は、リンク20の外方から認識しやすいため、作業者は、外方突出壁44を変位させて第1係合部40の係合状態を解除することを行いやすい。
【0062】
(2)第1係合部40は、垂下壁42と本体部12aの間に、湾曲部41を有している。湾曲部41を有することによって、湾曲部41を撓ませて外方突出壁44を変位させやすくなるため、第1係合部40の係合状態を解除することが容易になる。
【0063】
(3)第1被係合部30aは、外方側の表面に、外方凸部32aと内方凸部43の係合状態を解除するための治具や指を挿入する第3切欠(解除用凹部)33を有する。したがって、第3切欠(解除用凹部)33に治具や指を挿入することによっても、第1係合部40の係合状態を解除することができる。作業者が、第1係合部40の係合状態を解除する方法を選択することができるため、作業者に適した方法で効率良く作業を行うことが可能になる。
【0064】
(4)第3切欠(解除用凹部)33は、外方斜め下方に傾斜した傾斜面33aを有している。したがって、第3切欠(解除用凹部)33の位置を作業者が認識しやすくなるため、作業者は、第3切欠(解除用凹部)33に治具や指を挿入して第1係合部40の係合状態を解除しやすくなる。
【0065】
(5)直列方向Xに沿う第3切欠(解除用凹部)33の幅は、同方向に沿う第1連結部材12の垂下壁42や内方凸部43の幅よりも小さい。リンク20を外方から見た際に、第3切欠33の位置を作業者がより認識しやすくなる。そのため、作業者は、第3切欠33に治具や指を挿入して第1係合部40の係合状態を解除しやすくなる。また、第3切欠33の幅が小さいことによって、誤って第3切欠33に他の部材等が挿入されることを抑制することができる。
【0066】
(6)第1連結部材12の外方突出壁44の外表面は、第1連結部材12の本体部12aの外表面や、リンクプレート21の上端部よりも下方に位置する。したがって、
図9に示すように、リンク20の上方側から、外方突出壁44に他の部材が干渉することを抑制することができる。
【0067】
(7)第1係合部40の外方突出壁44の先端は、リンクプレート21の外方側の端部と面一である。したがって、
図9に示すように、リンク20の外方側の端部における凹凸を小さくすることができるため、リンク20の外方側の端部に他の部材が干渉することを抑制しやすくなる。
【0068】
(8)一対のリンクプレート11は、左右対称になっている。一対のリンクプレート11に第1連結部材12を取り付ける際に、第1連結部材12の左右の向きを気にせず取り付けることができるため、作業効率を向上させることができる。
【0069】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0070】
・第1連結部材12の外方突出壁44の外表面は、第1連結部材12の本体部12aの外表面よりも下方に位置する態様に限定されない。
図12に示すように、例えば、第1連結部材12の外方突出壁44の外表面は、第1連結部材12の本体部12aの外表面と面一であってもよい。また、第1連結部材の本体部12aの外表面より上方に位置してもよい。
【0071】
・第1連結部材12の第1係合部40が有する湾曲部41の形状は、本実施形態の形状に限定されない。
図13に示すように、例えば、湾曲部41はクランク状であって、本体部12aの一端部から本体部12aの長手方向に突出した後、下方に向かって湾曲し、さらに外方に向かって湾曲して延びていてもよい。また、クランク状に湾曲した箇所は2箇所に限定されず、3箇所以上であってもよい。
【0072】
・第1連結部材12の第1係合部40が有する湾曲部41は、省略されていてもよい。
図14に示すように、例えば、第1連結部材12の第1係合部40において、本体部12aの一端部と垂下壁42との間に、本体部12aの長手方向に沿って直線状に延びる直線部45を備えていてもよい。
【0073】
・本実施形態において、第1連結部材12の第1係合部40は、垂下壁42の下端部に、内方係合部としての内方凸部43を有し、一方のリンクプレート21の第1被係合部30aは、外方被係合部としての外方凸部32aを有していたが、この態様に限定されない。内方係合部と外方被係合部は、凹凸の関係で係合することができれば、いずれか一方が凹部であってもよい。
【0074】
・本実施形態において、直列方向Xに沿う第3切欠33の幅は、同方向に沿う第1係合部40の内方凸部43の幅よりも小さく構成されていたが、この態様に限定されない。直列方向Xに沿う第3切欠33の幅は、同方向に沿う内方凸部43の幅と同じであってもよい。言い換えれば、直列方向Xに沿う第3切欠33の幅は、同方向に沿う第2切欠32の幅と同じであってもよい。
【0075】
・第3切欠33の傾斜面33aは、直列方向Xにおける第2切欠32の中央部から、外方斜め下方に傾斜した態様に限定されない。第3切欠33の傾斜面33aは、直列方向Xにおける第2切欠32のいずれか一方の端部から、外方斜め下方に傾斜していてもよい。
【0076】
・第3切欠33は、傾斜面33aが省略されていてもよい。すなわち、第3切欠33は、リンクプレート11の厚さ方向に沿って切り欠かれていてもよい。
・解除用凹部としての第3切欠33は省略されていてもよい。
【0077】
・第1係合部40における外方突出壁44の先端は、一方のリンクプレート21の厚さ方向において、リンクプレート21の外側の表面から突出していてもよいし、リンクプレート21の外側の表面より内側に位置していてもよい。
【0078】
・本実施形態において、一対のリンクプレート11の第1被係合部30aと第2被係合部30bは、ともに、外方凸部32aとヒンジ軸受部31aを有していたが、この態様に限定されない。第1被係合部30aと第2被係合部30bは、外方凸部32aを有するもののヒンジ軸受部31aは省略されていてもよい。また、第1被係合部30aと第2被係合部30bのいずれか一方のみが外方凸部32aを有し、いずれか他方のみがヒンジ軸受部31aを有していてもよい。
【0079】
・本実施形態において、第1連結部材12は、第1係合部40に内方凸部43を有し、第2係合部50にヒンジ軸52を有していたが、この態様に限定されない。第1連結部材12は、第1係合部40にヒンジ軸52を有し、第2係合部50に内方凸部43を有していてもよい。また、第1連結部材12は、第1係合部40と第2係合部50の両方に内方凸部43を有し、ヒンジ軸52は省略されていてもよい。
【符号の説明】
【0080】
10…ケーブル類保護案内装置、11…リンクプレート、12…第1連結部材、12a…本体部、13…第2連結部材、20…リンク、30…被係合部、30a…第1被係合部、30b…第2被係合部、31a…ヒンジ軸受部、32a…外方被係合部(外方凸部)、40…第1係合部、42…垂下壁、43…内方係合部(内方凸部)、44…外方突出壁、50…第2係合部、52…ヒンジ軸、TK…ケーブル類。