(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008118
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】配達車管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20240101AFI20250109BHJP
【FI】
G06Q10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110010
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中西 陽平
(72)【発明者】
【氏名】福村 俊治
(72)【発明者】
【氏名】ニコル エイドリアン
(72)【発明者】
【氏名】檀野 隆一
(72)【発明者】
【氏名】木村 俊範
(72)【発明者】
【氏名】阿部 佳明
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】乗車位置から目的地まで配達車に送ってもらうサービスを利用する利用者の利便性を向上できるようにすること。
【解決手段】配達車管理システム50は、荷物の受取先の位置に関する情報を含む受取先情報を、配達車10毎に管理するデータベース56と、制御装置52とを備えている。制御装置52は、乗車希望者が乗車を希望する乗車位置と目的地とを取得することと、配達車10が乗車位置を出発して目的地に到着するまでに要する時間の予測値である予測輸送時間を、配達車10毎に算出することと、複数の配達車10の中で、予測輸送時間が最も長い配達車とは別の配達車を、乗車希望者に割り当てることとを実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を受取先に配達する複数の配達車を管理するとともに、前記複数の配達車の中から、乗車希望者の目的地まで当該乗車希望者を送り届ける配達車を決定する配達車管理システムであって、
前記配達車が配達する荷物の受取先の位置に関する情報を含む受取先情報を、配達車毎に管理するデータベースと、制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記乗車希望者が乗車を希望する乗車位置と前記目的地とを取得することと、
前記受取先情報に基づいて、前記配達車が前記乗車位置を出発して前記目的地に到着するまでに要する時間の予測値である予測輸送時間を、前記配達車毎に算出することと、
前記複数の配達車の中で、前記予測輸送時間が最も長い配達車とは別の配達車を、前記乗車希望者に割り当てることと、を実行する
配達車管理システム。
【請求項2】
前記複数の配達車の中で、前記予測輸送時間が最も長い配達車を基準配達車としたとき、
前記制御装置は、
前記乗車希望者に割り当てる配達車を決める場合、
前記基準配達車以外の複数の配達車の中で、前記乗車位置から前記目的地に向かう途中で荷物の配達を行う前記受取先の数が最も少ない配達車を、前記乗車希望者に割り当てる
請求項1に記載の配達車管理システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記乗車希望者に割り当てた配達車である対象配達車の配達スケジュールを、前記乗車位置及び前記目的地と、前記対象配達車の前記受取先情報と、に基づいて作成することと、
前記対象配達車の前記配達スケジュールに基づいて、前記対象配達車が前記乗車位置から前記目的地に向かう途中で当該対象配達車が荷物の配達を行う前記受取先の数である途中配達数を取得することと、
前記途中配達数が多いほど大きいインセンティブを前記乗車希望者に付与することと、を実行する
請求項1又は請求項2に記載の配達車管理システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
途中で前記受取先に立ち寄ることなく前記乗車位置から前記目的地に配達車が向かうと仮定した場合における当該配達車の走行ルートである基準ルートを作成することと、
前記乗車希望者に割り当てた配達車である対象配達車が荷物の配達を行う受取先の前記受取先情報と前記基準ルートとに基づいて、前記対象配達車が前記乗車位置から前記目的地に向かう途中で当該対象配達車が荷物の配達を行う前記受取先の位置の前記基準ルートからの離間距離を取得することと、
前記離間距離が長いほど大きいインセンティブを前記乗車希望者に付与することと、を実行する
請求項1又は請求項2に記載の配達車管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を受取先に配達する配達車を管理する配達車管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、利用者が希望する乗車位置から、利用者が希望する降車位置まで、当該利用者を送り届ける車両を決定する管理装置を開示している。当該管理装置は、利用者の情報端末から、乗車位置及び降車位置に関する情報を取得する。そして、管理装置は、乗車位置及び降車位置の少なくとも一方が、運送業者の営業区域内に存在する場合、利用者に車両の利用を許可する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
利用者が希望する乗車位置から利用者が希望する降車位置まで利用者を車両で送り届けるサービスを、荷物の配達で用いる配達車で実現させようとする場合を考える。この場合、配達車は、荷物を受取先に配達すること、上記の乗車位置まで利用者を迎えに行くこと、当該乗車位置から降車位置まで利用者を送り届けることの全てを行うことになる。そのため、配達車は、乗車位置で利用者を乗車させた以降では、荷物の受取先に立ち寄りつつ、降車位置に向けて走行する。この場合、乗車位置を出発した配達車が降車位置に向かう途中で当該配達車が荷物を配達する受取先の数が多いほど、乗車位置から降車位置にたどり着くまでに要する時間が長くなってしまう。その結果、利用者が不便に感じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための配達車管理システムは、荷物を受取先に配達する複数の配達車を管理するとともに、前記複数の配達車の中から、乗車希望者の目的地まで当該乗車希望者を送り届ける配達車を決定するシステムである。当該配達車管理システムは、前記配達車が配達する荷物の受取先の位置に関する情報を含む受取先情報を、配達車毎に管理するデータベースと、制御装置と、を備えている。前記制御装置は、前記乗車希望者が乗車を希望する乗車位置と前記目的地とを取得することと、前記受取先情報に基づいて、前記配達車が前記乗車位置を出発して前記目的地に到着するまでに要する時間の予測値である予測輸送時間を、前記配達車毎に算出することと、前記複数の配達車の中で、前記予測輸送時間が最も長い配達車とは別の配達車を、前記乗車希望者に割り当てることと、を実行する。
【発明の効果】
【0006】
上記配達支援システムは、乗車位置から目的地まで配達車に送ってもらうサービスを利用する利用者の利便性を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態の配達車管理システムと、利用者が所有する情報端末と、当該システムが管理する複数の配達車とを示す構成図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の配達車管理システムが備えるデータベースに登録されている情報を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の配達車管理システムにおいて、サービスを利用者に提供する際の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図4】
図4は、対象配達車の配達スケジュールの一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態の配達車管理システムにおいて、サービスを利用者に提供する際の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態の配達車管理システムにおいて、基準ルートからの受取先の位置の離間距離を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、配達車管理システムの第1実施形態を
図1から
図4に従って説明する。
図1は、配達車管理システム50と、複数の配達車10と、情報端末30とを図示している。配達車管理システム50は、荷物を受取先に配達する複数の配達車10を管理する。また、配達車管理システム50は、複数の配達車10の中から、次に示すサービスの利用者40に割り当てる配達車10を決める機能を有している。上記のサービスは、荷物の受取先に配達車10が配達を行う途中で、利用者40が希望する乗車位置から利用者40の目的地まで当該利用者40を配達車10によって送り届けるサービスである。
【0009】
<配達車>
例えば、複数の配達車10は荷物を積載可能な荷台11をそれぞれ有している。配達車10は、配達車管理システム50によって設定された配達スケジュールに従って受取先への荷物の配達を行う。
【0010】
<情報端末>
情報端末30は、利用者40が所有する通信端末である。情報端末30としては、例えば、スマートフォン、タブレット端末及びパーソナルコンピュータを挙げることができる。
【0011】
情報端末30は、通信機31と、ユーザインタフェース32と、処理回路33とを備えている。通信機31は、通信ネットワーク100を介して配達車管理システム50から受信した情報を処理回路33に出力する。通信機31は、処理回路33から出力された情報を通信ネットワーク100を介して配達車管理システム50に送信する。
【0012】
ユーザインタフェース32は、表示画面と操作部とを有している。処理回路33の一例は電子制御装置である。利用者40によって操作部が操作された場合、その操作に応じた処理を処理回路33が実行する。また、通信ネットワーク100を介して配達車管理システム50から情報を通信機31が受信した場合、処理回路33は、通信機31が受信した情報をユーザインタフェース32の表示画面に表示させる。
【0013】
例えば、利用者40は、上記サービスを利用する場合、ユーザインタフェース32の操作部を操作することによって、利用者が希望する利用日時、利用者40が希望する乗車位置、及び、利用者40が希望する目的地を入力する。すると、利用者が入力した各種の情報が、通信機31から配達車管理システム50に送信される。この場合、上記サービスを利用する利用者40が、配達車10への乗車を希望する「乗車希望者」に相当する。
【0014】
<配達車管理システム>
配達車管理システム50は、通信機51と、制御装置52と、データベース56とを備えている。
【0015】
通信機51は、通信ネットワーク100を介して外部の通信機器と情報の送受信を行うための配達車管理システム50のインターフェースである。例えば、通信機51は、通信ネットワーク100を介して受信した情報を制御装置52に出力する。また例えば、通信機51は、制御装置52が出力した情報を、情報端末30に対して通信ネットワーク100を介して送信する。
【0016】
制御装置52の一例は電子制御装置である。この場合、制御装置52は、CPU53とメモリ54とを有している。メモリ54は、CPU53によって実行される制御プログラムを記憶している。CPU53が当該制御プログラムを実行することにより、制御装置52は、配達車10の配達スケジュールSCを作成する処理、及び、上記サービスを利用者40に提供するための処理などを実行する。こうした処理の内容については後述する。
【0017】
データベース56には、複数の配達車10の配達スケジュールSCを制御装置52が作成するために必要な情報が登録されている。
図2を参照し、データベース56に登録されている情報について説明する。データベース56には、複数の受取先の受取先情報が登録されている。受取先情報は、受取先の位置に関する情報を含んでいる。受取先の位置の一例は、受取先の住所である。
【0018】
例えば、データベース56には、複数の配達車10のうち、第1配達車が配達する荷物の受取先として、N個の受取先D11、D12、…、D1Nの受取先情報が登録されている。データベース56には、複数の配達車10のうち、第2配達車が配達する荷物の受取先として、M個の受取先D21、D22、…、D1Mの受取先情報が登録されている。ここで、「N」及び「M」は、2以上の整数である。
【0019】
<上記サービスを利用者に提供する際の処理の流れ>
図3及び
図4を参照し、上記サービスを利用者40に提供する際の処理の流れを説明する。
【0020】
利用者40は、上記サービスを利用する場合、自身の情報端末30のユーザインタフェース32の操作部を操作する。これにより、
図3に示すように、ステップS101において、情報端末30の処理回路33は、利用者40が希望する乗車位置PS及び目的地PEを受け付ける。続くステップS103において、情報端末30の通信機31は、処理回路33がステップS101で受け付けた情報を、通信ネットワーク100を介して配達車管理システム50に送信する。
【0021】
配達車管理システム50の通信機51が、情報端末30から送信された情報を受信すると、配達車管理システム50の制御装置52は、ステップS201の処理を実行する。
ステップS201において、制御装置52は、利用者が希望する乗車位置PS及び目的地PEを取得する。続くステップS203において、制御装置52は、データベース56の登録情報に基づいて、複数の配達車10の配達スケジュールSCを作成する。第1配達車の配達スケジュールSCを作成する場合、制御装置52は、例えば、全ての受取先への荷物の配達が完了するのに要する時間が最も短くなるように、第1配達車の配達スケジュールSCを作成する。
【0022】
次のステップS205において、制御装置52は、データベース56に登録されている受取先情報に基づいて、予測輸送時間TMeを配達車10毎に算出する。予測輸送時間TMeは、配達車10が乗車位置PSを出発して目的地PEに到着するまでに要する時間の予測値である。
【0023】
図4を参照し、第1配達車の予測輸送時間TMeを算出する場合の一例を説明する。はじめに、制御装置52は、ステップS203で作成した第1配達車の配達スケジュールSCを、乗車位置PS及び目的地PEに基づいて修正する。すなわち、制御装置52は、配達の途中で乗車位置PS及び目的地PEに第1配達車が行くように、第1配達車の配達スケジュールSCを修正する。例えば、制御装置52は、乗車位置PSの近くの受取先に荷物を配達した後に、第1配達車が目的地PEに向かいつつ他の受取先に荷物を配達できるように、配達スケジュールSCを修正する。
図4には、このように制御装置52が修正した配達スケジュールSCの一例が図示されている。修正後の配達スケジュールSCを、「配達スケジュールSCA」という。
【0024】
そして、制御装置52は、修正後の配達スケジュールSCAに基づいて、第1配達車の予測輸送時間TMeを算出する。例えば、制御装置52は、配達スケジュールSCAに従って第1配達車が荷物の配達を行う場合における、乗車位置PSから目的地PEまでに要する時間の予測値を、予測輸送時間TMeとして算出する。この際、制御装置52は、乗車位置PSから目的地PEまでの走行ルートの走行距離が長いほど長くなるように、予測輸送時間TMeを算出するとよい。ここでいう走行ルートとは、乗車位置PSから目的地PEに向かう途中で第1配達車が受取先に立ち寄ることを考慮した走行ルートである。
【0025】
図3に戻り、制御装置52は、全ての配達車10の予測輸送時間TMeを算出すると、処理をステップS207に移行する。ステップS207において、制御装置52は、複数の配達車10の中から、利用者40に割り当てる配達車である対象配達車を決定する。すなわち、制御装置52は、複数の配達車10の中で、予測輸送時間TMeが最も長い配達車とは別の配達車を、対象配達車として決定する。
【0026】
本実施形態では、制御装置52は、基準配達車以外の複数の配達車10の中で、乗車位置PSから目的地PEに向かう途中で荷物の配達を行う受取先の数が最も少ない配達車を、対象配達車として決定する。ここでいう「基準配達車」とは、複数の配達車10の中で、予測輸送時間TMeが最も長い配達車10である。乗車位置PSから目的地PEに向かう途中で荷物の配達を行う受取先の数を、「途中配達数」という。
【0027】
次のステップS209において、制御装置52は、対象配達車として決めた配達車10が乗車位置PSから目的地PEに向かう途中で荷物の配達を行う受取先の数を、途中配達数Xとして取得する。対象配達車の配達スケジュールSCAが
図4に示すスケジュールである場合、制御装置52は、3を途中配達数Xとして取得する。
【0028】
続くステップS211において、制御装置52は、利用者40に付与するインセンティブZを算出する。例えば、制御装置52は、途中配達数Xが多いほど値が大きくなるように、インセンティブZを算出する。これにより、制御装置52は、途中配達数Xが多いほど大きいインセンティブZを利用者40に付与できる。インセンティブZとしては、例えば、上記サービスを次回以降で利用する際に使用可能な料金の割引チケット、商品の購入で利用可能なポイントなどを挙げることができる。
【0029】
そしてステップS213において、配達車管理システム50の通信機51は、対象配達車に関する情報、及びインセンティブZに関する情報を、通信ネットワーク100を介して利用者40の情報端末30に送信する。
【0030】
配達車管理システム50が送信した情報を情報端末30の通信機31が受信すると、情報端末30はステップS105の処理に移行する。
ステップS105において、情報端末30の処理回路33は、配達車管理システム50から受信した情報を利用者40に報知する。例えば、処理回路33は、対象配達車に関する情報、及びインセンティブZに関する情報を、ユーザインタフェース32の表示画面に表示させる。
【0031】
<本実施形態の作用及び効果>
(1-1)配達車管理システム50の制御装置52は、利用者40の情報端末30から送信された乗車位置PS及び目的地PEを取得した場合、予測輸送時間TMeを配達車10毎に算出する。そして、制御装置52は、複数の配達車10の中から、上記基準配達車とは別の配達車を対象配達車として決定する。
【0032】
すると、対象配達車は、受取先への荷物の配達を行いつつ、乗車位置PSに向かう。そして、対象配達車は乗車位置PSで利用者40を乗車させると、対象配達車は目的地PEに向かう。この際、対象配達車は、受取先への荷物の配達を行いつつ目的地PEに向かう。そして、対象配達車両が目的地PEに到着すると、利用者40が対象配達車から降車する。
【0033】
本実施形態では、基準配達車とは別の配達車が対象配達車として選択されている。これにより、乗車位置PSを対象配達車が出発してから目的地PEに対象配達車が到着するまでに要する時間が長くなりにくい。したがって、配達車管理システム50は、乗車位置PSから目的地PEまで配達車10に送ってもらうサービスを利用する利用者の利便性を向上できる。
【0034】
(1-2)利用者40が対象配達車に乗車してから、対象配達車が目的地PEに到着するまでの間で、対象配達車が荷物の配達を行う受取先の数である途中配達数Xが多いほど、対象配達車に乗車する利用者40が不快に感じる可能性が高い。そこで、配達車管理システム50の制御装置52は、基準配達車以外の複数の配達車10の中で、途中配達数Xが最も少ない配達車10を、対象配達車として決定している。これにより、対象配達車が乗車位置PSから目的地PEに向かう途中で、対象配達車が荷物の配達を行う受取先が少なくなる。したがって、配達車管理システム50は、利用者40が乗車した対象配達車が乗車位置PSから目的地PEに到着するまでの間で対象配達車が受取先に立ち寄ることによって利用者が不快に感じにくくできる。
【0035】
(1-3)配達車管理システム50では、上記の途中配達数Xが多いほど大きいインセンティブZを利用者40に付与するようにしている。配達車管理システム50は、途中配達数Xに応じたインセンティブZを利用者40に付与することにより、利用者40が乗車した対象配達車が乗車位置PSから目的地PEに到着するまでの間で対象配達車が受取先に立ち寄ることによって利用者40が不快に感じにくくできる。
【0036】
(第2実施形態)
配達車管理システムの第2実施形態を
図5及び
図6に従って説明する。なお、第2実施形態では、インセンティブの算出手法などが第1実施形態と異なっている。以下の説明においては、第1実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1実施形態と同一の部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0037】
図5及び
図6を参照し、上記サービスを利用者40に提供する際の処理の流れを説明する。
利用者40は、上記サービスを利用する場合、自身の情報端末30のユーザインタフェース32の操作部を操作する。これにより、
図5に示すように、ステップS101において、情報端末30の処理回路33は、利用者40が希望する乗車位置PS及び目的地PEを受け付ける。続くステップS103において、情報端末30の通信機31は、処理回路33がステップS101で受け付けた情報を、通信ネットワーク100を介して配達車管理システム50に送信する。
【0038】
配達車管理システム50の通信機51が、情報端末30から送信された情報を受信すると、配達車管理システム50の制御装置52は、ステップS201の処理を実行する。
制御装置52は、複数のステップS201からステップS207の各処理を順番に実行する。この処理の流れは、上記第1実施形態の場合と同様である。制御装置52は、複数の配達車10の中から対象配達車を決定すると、ステップS221の処理を実行する。
【0039】
ステップS221において、制御装置52は、乗車位置PS及び目的地PEに基づいて、対象配達車の基準ルートRTBを作成する。基準ルートRTBは、途中で受取先に立ち寄ることなく乗車位置PSから目的地PEに対象配達車が向かうと仮定した場合における対象配達車の走行ルートである。
【0040】
続くステップS223において、制御装置52は、対象配達車の受取先情報と基準ルートRTBとに基づいて、対象配達車が乗車位置PSから目的地PEに向かう途中で対象配達車が荷物の配達を行う受取先の位置の基準ルートRTBからの離間距離Leを取得する。
【0041】
図6には、基準ルートRTBの一例が模式的に示されている。
図6に示す例では、途中で対象配達車が荷物の配達を行う受取先として、第1受取先D1と第2受取先D2とが図示されている。制御装置52は、基準ルートRTBの位置情報と、第1受取先D1の位置情報とに基づいて、第1受取先D1の基準ルートRTBからの離間距離Le1を取得する。同様に、制御装置52は、基準ルートRTBの位置情報と、第2受取先D2の位置情報とに基づいて、第2受取先D2の基準ルートRTBからの離間距離Le2を取得する。
【0042】
図5に戻り、制御装置52は、離間距離Leを取得すると、ステップS225の処理に移行する。ステップS225において、制御装置52は、利用者40に付与するインセンティブZを算出する。例えば、制御装置52は、ステップS223で取得した離間距離Leが長いほど値が大きくなるように、インセンティブZを算出する。これにより、制御装置52は、離間距離Leが長いほど大きいインセンティブZを利用者40に付与できる。
図6に示す例では、対象配達車が利用者40を乗車位置PSから目的地PEに送り届ける途中で、対象配達車は、第1受取先D1と第2受取先D2とに荷物を配達する。そして、ステップS223では、制御装置52は、第1受取先D1の基準ルートRTBからの離間距離Le1と、第2受取先D2の基準ルートRTBからの離間距離Le2とを取得している。そこで、制御装置52は、取得した複数の離間距離Le1、Le2の中で、長い方の離間距離Le2に応じたインセンティブZを利用者40に付与するようにしてもよい。また、制御装置52は、取得した複数の離間距離Le1、Le2の和に応じたインセンティブZを利用者40に付与するようにしてもよい。
【0043】
そしてステップS213において、配達車管理システム50の通信機51は、対象配達車に関する情報、及びインセンティブZに関する情報を、通信ネットワーク100を介して利用者40の情報端末30に送信する。
【0044】
配達車管理システム50が送信した情報を情報端末30の通信機31が受信すると、情報端末30はステップS105の処理に移行する。
ステップS105において、情報端末30の処理回路33は、配達車管理システム50から受信した情報を利用者40に報知する。例えば、処理回路33は、対象配達車に関する情報、及びインセンティブZに関する情報を、ユーザインタフェース32の表示画面に表示させる。
【0045】
<本実施形態の作用及び効果>
本実施形態では、上記第1実施形態の効果(1-1)及び(1-2)と同等の効果に加え、以下に示す効果をさらに得ることができる。
【0046】
(2-1)配達車管理システム50の制御装置52は、対象配達車が乗車位置PSから目的地PEに向かう途中で対象配達車が荷物の配達を行う受取先の位置の基準ルートRTBからの離間距離Leを取得する。そして、制御装置52は、離間距離Leが長いほど大きいインセンティブZを利用者40に付与する。配達車管理システム50は、離間距離Leに応じたインセンティブZを利用者40に付与することにより、利用者40が乗車した対象配達車が乗車位置PSから目的地PEに到着するまでの間で対象配達車が受取先に立ち寄ることによって利用者40が不快に感じにくくできる。
【0047】
(変更例)
上記複数の実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記複数の実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0048】
・配達車管理システム50は、利用者40に対してインセンティブZを付与する場合、途中配達数X及び離間距離Leの何れをも考慮してインセンティブZを算出してもよい。例えば、制御装置52は、途中配達数Xが多いほど値が大きくなるとともに、離間距離Leが長いほど値が大きくなるように、インセンティブZを算出するとよい。
【0049】
・配達車管理システム50は、利用者40に対してインセンティブZを付与しなくてもよい。
・配達車管理システム50の制御装置52は、複数の配達車10の中で、予測輸送時間TMeが最も短い配達車を利用者40に割り当てるようにしてもよい。
【0050】
・制御装置52は、CPUとROMとを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。すなわち、制御装置52は、以下(a)、(b)及び(c)の何れかの構成であればよい。
【0051】
(a)制御装置52は、コンピュータプログラムに従って各種処理を実行する一つ以上のプロセッサを備えている。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROMなどのメモリを含んでいる。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリ、すなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含んでいる。
【0052】
(b)制御装置52は、各種処理を実行する一つ以上の専用のハードウェア回路を備えている。専用のハードウェア回路としては、例えば、特定用途向け集積回路、すなわちASIC又はFPGAを挙げることができる。なお、ASICは、「Application Specific Integrated Circuit」の略記であり、FPGAは、「Field Programmable Gate Array」の略記である。
【0053】
(c)制御装置52は、各種処理の一部をコンピュータプログラムに従って実行するプロセッサと、各種処理のうちの残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備えている。
【符号の説明】
【0054】
10…配達車、30…情報端末、40…利用者、50…配達車管理システム、51…通信機、52…制御装置、53…CPU、54…メモリ、56…データベース。