(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025081240
(43)【公開日】2025-05-27
(54)【発明の名称】熱回収蒸気発生器(HRSG)の3次元(3D)モデルを自動生成するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06F 30/10 20200101AFI20250520BHJP
G06F 30/12 20200101ALN20250520BHJP
G06F 30/17 20200101ALN20250520BHJP
【FI】
G06F30/10 100
G06F30/12
G06F30/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024187472
(22)【出願日】2024-10-24
(31)【優先権主張番号】23306895.6
(32)【優先日】2023-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Excel
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カヌゴビ、ラマラオ
(72)【発明者】
【氏名】ラクシュマナン、サラヴァナン
(72)【発明者】
【氏名】シャトー、マチュー
(72)【発明者】
【氏名】メッディング、ジョナサン アーロン
(72)【発明者】
【氏名】バサ、キラン クマール
(72)【発明者】
【氏名】クマール、ヴィピン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】熱回収蒸気発生器(HRSG)の3次元(3D)モデルを自動生成するシステム及び方法を提供する。
【解決手段】熱回収蒸気発生器(HRSG)を設計する方法は、プロセッサを通じて、HRSGモデルの複数の構成要素に関連する複数のパラメータを含む設計入力ファイルを受け取ることと、HRSGモデルのオブジェクトモデルを選択する指示を受け取ることと、を含む。前記方法は、前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、ライブラリから前記オブジェクトモデルを検索し、ディスプレイのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)に入力することと、オブジェクトモデルの各構成要素に対応するパラメータの第1のセットを適用することでHRSGモデルを生成することと、を含む。HRSGモデルは、HRSGを構築するために使用される設計ファイルに対応する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱回収蒸気発生器(HRSG)を設計する方法であって、
プロセッサを通じて、HRSGモデルの複数の構成要素に関連する複数のパラメータを含む設計入力ファイルを受け取ること、
前記プロセッサ及びツールを通じて、HRSGモデルのオブジェクトモデルを選択する指示を受け取ること、
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、ライブラリから前記オブジェクトモデルを検索して、ディスプレイのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)に入力すること、
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記オブジェクトモデルの各構成要素に対応するパラメータの第1のセットを適用することによって、前記HRSGモデルを生成することであって、前記HRSGモデルは、前記HRSGを構築するために使用される設計ファイルに対応する、前記HRSGモデルを生成すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記HRSGモデルを検証する追加の指示を受け取ったことに応答して、前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記HRSGモデルを公開することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記設計ファイルを用いて、
前記オブジェクトモデルに基づいて第1の上部プラットフォーム補助モジュールを形成すること、及び
前記HRSGのベースに第1の上部補助モジュールを配置すること
によって、前記HRSGを構築すること
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記オブジェクトモデルに基づいて前記ライブラリから前記HRSGモデルのベースを検索すること、
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記ライブラリから、前記オブジェクトモデルを前記ベースに結合するための接続部をライブラリから検索すること、及び
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記接続部を使用して前記オブジェクトモデルを前記ベースに結合すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記HRSGモデルの追加のオブジェクトモデルを選択する追加の指示を受け取ること、
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記ライブラリから追加のオブジェクトモデルと、前記追加のオブジェクトモデルを前記ベースに結合するための追加の接続部とを検索すること、及び
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記追加のオブジェクトモデルの各構成要素に対応するパラメータの第2のセットを適用することによって、前記HRSGモデルを更新すること
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記オブジェクトモデル内の構成要素の位置を調整するための追加の指示を受け取ること、及び
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記構成要素の位置及び前記設計入力ファイルを使用して、前記オブジェクトモデルを更新することであって、前記設計入力ファイルは、前記オブジェクトモデルのレイアウトガイドラインを含む、前記オブジェクトモデルを更新すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記オブジェクトモデル内で使用するための複数の構成要素を生成することであって、
前記複数の構成要素の各構成要素の最大の大きさ及び最小の大きさを決定すること、
各構成要素の前記最大の大きさを使用して、前記複数の構成要素の各構成要素の静的モデルを生成すること、及び
前記静的モデルを前記ライブラリに記憶すること
によって、前記ライブラリに記憶され、前記オブジェクトモデル内で使用するための前記複数の構成要素を生成すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記複数の構成要素のうちの第1の構成要素の複数の変数を決定すること、及び
前記第1の構成要素の前記複数の変数の決定に応答して、前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記複数の構成要素のうちの第1の構成要素のそれぞれのサブアセンブリグループを生成すること
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記第1の構成要素の追加の変数が無いと決定したことに応答して、前記第1の構成要素を前記ライブラリに記憶することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記HRSGモデルのベースを選択する追加の指示を受け取ったことに応答して、前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記ライブラリから前記HRSGモデルのベースを検索すること、
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記オブジェクトモデルの接続部及び前記ベースの接続部に基づいて、前記ライブラリからリンク要素を検索すること、
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記リンク要素を使用して前記オブジェクトモデルと前記ベースを結合すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
熱回収蒸気発生器(HRSG)モデルを設計するためのシステムであって、
設計アプリケーションを記憶する又は設計アプリケーションにアクセスするプロセッサベースの装置を含み、
設計アプリケーションは、前記プロセッサベースの装置によって実行されると、
ツールを選択することを示すユーザ入力を受け取ることを含む動作を実行し、前記ツールは、前記プロセッサベースの装置によって実行されると、
前記HRSGモデルのライブラリからオブジェクトモデルを選択する指示を受け取ること、
前記ライブラリからベースモデル及び前記オブジェクトモデルを検索することであって、前記オブジェクトモデルは構成要素を含む、検索すること、
前記構成要素のパラメータを含む設計入力ファイルを受け取ること、及び
前記パラメータを前記構成要素に適用して前記HRSGモデルを生成すること
を含む動作を実行する、システム。
【請求項12】
前記ツールは、前記プロセッサベースの装置によって生成されると、
前記HRSGモデル内の前記オブジェクトモデルの位置を調整するための追加の指示を受け取ること、
設計入力ファイルから前記オブジェクトモデルに関連するレイアウト原理を特定すること、
前記レイアウト原理に基づいて前記オブジェクトモデルの位置を調整すること
を含む動作を実行する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記ツールは、前記プロセッサベースの装置によって生成されると、
前記構成要素の最大の大きさ及び最小の大きさを決定すること、
前記構成要素の最大の大きさを用いて前記構成要素の静的モデルを生成すること、及び
前記静的モデルをライブラリに記憶すること
を含む動作を実行する、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記ツールは、前記プロセッサベースの装置によって生成されると、
前記オブジェクトモデルの接続部と、前記ベースモデルの接続部とを特定すること、
前記オブジェクトモデルの接続部と前記ベースモデルの接続部とに基づいて、前記ライブラリからリンク要素を検索すること、及び
前記リンク要素を使用して、前記オブジェクトモデルを前記ベースモデルに結合すること
を含む動作を実行する、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記ツールは、前記プロセッサベースの装置によって生成されると、
後続のプロジェクトのために、前記HRSGモデルを前記ライブラリに保存することを含む動作を実行する、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本明細書に開示される主題は、一般には、熱回収蒸気発生器(HRSG)に関し、特に、HRSG設計に使用される3次元(3D)モデルを開発するためのレイアウトエンジニアリングのデジタル化及び自動化のためのシステム及び方法に関するものである。
【0002】
HRSGは、排ガスから熱を回収するために一般に使用される熱交換器である。この目的のために、HRSGは複数の構成要素(熱交換器、蒸気ドラム、エコノマイザ、過熱器、及び他の補助システムなど)を含んでいる。従来の実施形態では、HRSGの構成要素は、HRSGを設計する熟練したエンジニアリングチームによって、個々にモデリングされ、組み合わされるが、これには時間が掛かり、リソースが集中する恐れがある。HRSGは幾つかの要因(エンドユーザの仕様、サイト条件、地域の法規及び規制、グローバルのエンジニアリングリソースなど)に基づいて設計される。例えば、発電所産業では、HRSGは、発電所及び/又はエンドユーザの目的に基づいてカスタマイズすることができる。別の例では、HRSGは、地域の法規及び規制に基づいてカスタマイズすることができる。この場合、各HRSGはエンジニアリングチームによって個別にモデリングされるが、これでは、発電所の建設時間とコストを増加させる恐れがある。現在、HRSGの設計に掛かる時間とリソースを削減するためのシステム及び方法の改良が望まれている。
【発明の概要】
【0003】
本来の特許請求される主題の範囲に対応する幾つかの実施形態が以下に要約されている。これらの実施形態は、特許請求される主題の範囲を限定することを意図するものではなく、これらの実施形態は、主題の有り得る形態の簡単な要約を提供することのみを意図している。実際、本主題は、以下に説明される実施形態に類似する又は異なる様々な形態を包含することができる。
【0004】
第1の実施形態では、熱回収蒸気発生器(HRSG)を設計する方法は、プロセッサを通じて、HRSGモデルの複数の構成要素に関連する複数のパラメータを含む設計入力ファイルを受け取ること、及びHRSGモデルのオブジェクトモデルを選択する指示を受け取ることを含む。前記方法は、前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、ライブラリから前記オブジェクトモデルを検索して、ディスプレイのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)に入力すること、及び前記オブジェクトモデルの各構成要素に対応するパラメータの第1のセットを適用することによって、前記HRSGモデルを生成することであって、前記HRSGモデルは、前記HRSGを構築するために使用される設計ファイルに対応する、前記HRSGモデルを生成することを含む。
【0005】
第2の実施形態では、熱回収蒸気発生器(HRSG)モデルを設計するためのシステムは、設計アプリケーションを記憶する又は設計アプリケーションにアクセスするプロセッサベースの装置を含み、設計アプリケーションは、前記プロセッサベースの装置によって実行されると、ツールを選択することを示すユーザ入力を受け取ることを含む動作を実行する。前記ツールは、前記プロセッサベースの装置によって実行されると、前記HRSGモデルのライブラリからオブジェクトモデルを選択する指示を受け取ること、ライブラリからベースモデル及び前記オブジェクトモデルを検索することであって、前記オブジェクトモデルは構成要素を含む、検索することを含む動作を実行する。また、ツールは、前記プロセッサベースの装置によって実行されると、前記構成要素のパラメータを含む設計入力ファイルを受け取ること、及び前記パラメータを前記構成要素に適用して前記HRSGモデルを生成することを含む動作を実行する。
【0006】
本発明のこれらの特徴、態様、及び利点並びに他の特徴、態様、及び利点は、以下の発明を実施するための形態を図面とともに参照しながら読むことによって、更に理解できるようになる。図面中、同じ種類の文字は図面全体を通して同じ種類の部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】複合サイクル発電所(CCPP)の一実施形態のブロック図である。
【
図2】
図1のCCPPの熱回収蒸気発生器(HRSG)の一実施形態のブロック図である。
【
図3】
図2のHRSGの3次元(3D)モデルを設計するための設計システムの概略図である。
【
図4】
図3のHRSGモデルで使用することができる第1の上部プラットフォーム補助モジュールの3Dモデルの一実施形態の斜視図である。
【
図5】
図3のHRSGモデルで使用することができる第2の上部プラットフォーム補助モジュールの3Dモデルの一実施形態の斜視図である。
【
図6】
図3のHRSGモデルで使用することができる第3の上部プラットフォーム補助モジュールの3Dモデルの一実施形態の斜視図である。
【
図7】
図3のHRSGモデルで使用することができる第4の上部プラットフォーム補助モジュールの3Dモデルの一実施形態の斜視図である。
【
図8】
図4-
図7の上部プラットフォーム補助モジュールを含む
図3のHRSGモデルの一実施形態の斜視図である。
【
図9】
図3のHSRGモデルの生成及びライブラリの作成に使用される入力パラメータを生成する例示的な方法のフローチャートである。
【
図10】
図3のHRSGモデルを作成するための例示的な方法の一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
これらの実施形態は簡潔に説明することが試みられており、実際の実装の全ての特徴が本明細書に記載されているとは限らない。どのような実際の実装の開発でも、エンジニアリングプロジェクト又はデザインプロジェクトのように、実装に固有の多数の決定を実行して、開発者の特定の目標(実装によって異なると考えられるシステム関連の制約及びビジネス関連の制約の順守など)を達成しなければならないことを理解すべきである。更に、このような開発努力は複雑で時間がかかるかもしれないが、本開示の利益を得る当業者にとっては、設計、製作、及び製造の日常的な業務であることを理解すべきである。
【0009】
本発明の様々な実施形態の要素を紹介する場合、冠詞「1つ(a)」、「1つ(an)」、「この(the)」、及び「前記(said)」は、その要素が1つ又は複数存在することが意図されている。「含む、備える、有する(comprising)」、「含む、備える、有する(including)」、及び「含む、備える、有する(having)」という用語は、包括的であることが意図されており、列挙された要素以外の追加の要素が存在してもよいことを意味している。
【0010】
熱回収蒸気発生器(HRSG)は、複合サイクル発電所(CCPP)で一般に使用される熱交換器である。HRSGは、CCPPの1つ又は複数の蒸気タービンに動力を供給するために使用される蒸気を生成するために、CCPPの1つ又は複数のガスタービンから蒸発器(例えば、水コイル)を横切るように高温のガス流(例えば、排気ガス)を流す。このようにして、HRSGは、CCPPのガスタービンと蒸気タービンとの間を熱力学的に結合するものとして機能する。
【0011】
従来の実施形態では、HRSGのベース(例えば、排ガス流路、1つ又は複数の蒸発器、及び関連機器を有する部分)が設計(例えば、モデル化)及び構築され、他の構成要素(HRSGのドラム及び配管(例えば、蒸気マニホールド)など)が、HRSGの設計制約に基づいて設計及び構築される。HRSGの設計は、従来の実施形態では、複数分野に跨がり多くのステップを含む複雑なエンジニアリングプロセスである。例えば、エンジニアリングチームが、プロジェクト要件(スペース制約、環境規制、性能目標など)を集めることから開始する。次にエンジニアリングチームはプロジェクト要件に基づいてHRSGの構成要素及び/又は構成要素の構成を決定する。エンジニアリングチームは複数の構成要素の各構成要素の間の接続部を決定することもあるが、これには時間とリソースが必要となる。更に又は代わりに、エンジニアリングチームは、HRSGの熱伝達及び質量流量要件、用途と利用可能なリソース(スペース制約を含む)に基づくHRSGの種類、機械設計パラメータ(例えば、圧力定格、温度制限)、流体流量と圧力(例えば、流量分布、圧力降下、熱伝達特性)、配管設計、安全性と環境コンプライアンスなどを決定する場合がある。したがって、従来の実施形態では、HRSGの設計に多大な時間とリソースが費やされている。
【0012】
HRSGの設計は、HRSGの構成要素をモジュール化及び標準化し、必要であれば、モジュールを収容するようにベースを設計することによって改善できることが現在認識されている。例えば、上部プラットフォーム補助モジュールは、HRSGの上部に配置された又はHRSGの上部に隣接するように配置された構成要素を含むことができ、標準機能を備えるようにモジュール化することができる。別の例では、側部配管モジュールは、HRSGの側部に配置された又はHRSGの側部に隣接するように配置された構成要素を含むことができ、標準機能を備えるようにモジュール化することができる。特に、上部プラットフォーム補助モジュール及び/又は側部配管モジュールの接続点は、HRSGのベースの任意の場所に接続するように、及び/又は互いに接続されるように標準化することができる。このようにして、HRSGの設計の複雑さを軽減することができる。
【0013】
特に、本開示の実施形態は、3D HRSGモデルで使用されるスマートでインテリジェントな3次元(3D)モデルを開発するためにレイアウトエンジニアリングをデジタル化及び自動化する設計システムを対象としている。例えば、設計システムは、ライブラリに記憶された入力パラメータに基づいて3Dモデルを自動的に設計し、3Dモデルを結合して、ユーザの介入をほとんど伴わずに完全な3D HRSGモデルを形成することができる。入力パラメータは、設計ガイドライン、レイアウト原理、アクセシビリティとメンテナンスのニーズ、安全面、製品の構造(例えば、サイズ、部品数、部品間距離、重量)などに対応する。例えば、入力パラメータは、HRSGで使用される構成要素の製品コンフィグレーション(パイプの直径、2つのパイプの間の距離、補助モジュールの長さ及び幅など)を定義することができる。ライブラリは、構成要素と構成要素との間の接続部(機器、バルブ、鉄骨構造、支持部、計器、電力消費機器、ケーブル、照明システム、プラットフォーム、はしごなど)を含むこともできる。接続部は、例えば、HRSGで使用される1つ又は複数の配管システムに対応する。
【0014】
入力パラメータは、1つ又は複数の構成要素をデジタル的に関連付けることによって3Dモデルを作成するために、設計ソフトウェアによって使用されるレイアウト原理(例えば、設計ガイドライン)を含むこともできる。つまり、HRSGの構成要素は、HRSGの構成要素の位置(例えばHRSGのベース)に基づいて、それぞれの3Dモデル(例えば、補助モジュール)にグループ化することができる。したがって、各モデル内の構成要素の配置とルーティングは、モデルで制約されるので、これによって、個々の構成要素の配置とルーティングの選択肢の数を削減することができる。更に、3Dモデルは、複製、調整、再保存することができ、それぞれのモデルの新しい構成を作成する際の時間とリソースを節約することができる。更に、全体的なHRSGモデルは、HRSGモデルに組み込むための個々の構成要素を反復的に設計するのではなく、HRSGのベースのモデルの上部プラットフォームと側部構成要素の3Dモデルを構成することによって組み立てることができ、従来の方法と比較して、全体的なHRSGモデルの作成に関わる時間とコストを削減することができる。従って、HSRGの効率的な設計システムを提供することができる。
【0015】
先ず、
図1は、複合サイクル発電所(CCPP)10の一実施形態の概略図である。図示された実施形態では、CCPP10は、ガスタービンシステム14、蒸気タービンシステム16、及びガスタービンシステム14と蒸気タービンシステム16との間に配置された熱回収蒸気発生器(HRSG)18を含んでいる。HRSG18は、一般に、ガスタービンシステム14の排ガス20から蒸気タービンシステム16の流体(例えば、水22)に熱伝達を行い、それによって、蒸気タービンシステム16で使用するための蒸気24を生成するように構成されている。図に示すように、別々の蒸気の流れ24(高圧(HP)蒸気、中圧(IP)蒸気、低圧(LP)蒸気など)を生成することができ、各蒸気24は、蒸気タービンシステム16の蒸気タービン26の異なる領域又は異なる部分で受け取られる。
【0016】
ガスタービンシステム14は、圧縮機28、1つ又は複数の燃焼器30、及びタービン32(例えば、膨張タービン)を含むことができる。動作においては、圧縮機28は、酸化剤(例えば、空気、酸素、酸素富化空気、又は酸素低減空気)を受け取る。圧縮機28は、コンプレッサブレードを有する一連の圧縮気段(例えば、ローターディスク)で空気を加圧する。圧縮空気が圧縮機28を出ると、空気は燃焼器30に入り、燃料と混合される。空気と燃料の混合気は、燃焼器30で点火され、燃焼生成物がタービン32の1つ又は複数のタービン段に流れていく。燃焼生成物がタービン32を通過するとき、燃焼生成物は、タービンロータディスクに取り付けられたタービンブレード(例えば、複数のタービン段のうちの1つのタービン段のタービンブレード。各タービン段は、軸を中心に円周方向に配置されたタービンブレードを有する)に接触する。燃焼生成物がタービン32を通過すると、燃焼生成物によってタービンブレードはロータディスクを回転させることができる。ロータディスクの回転により、少なくとも1つのシャフト34が回転し、圧縮機28のロータディスク(例えば、1つのシャフト34と回転可能に結合することができるロータディスク)が回転する。ガスタービンシステム14の負荷36(例えば、発電機)は、1つのシャフト34に接続されており、シャフト34の回転エネルギーを使用して、電力網で使用する電力を生成する。燃焼生成物は排ガス20としてタービン32から排出される。
【0017】
前述したように、排ガス20はHRSG18に送られ、水22もHRSG18に送られ、これによって、HRSG18が排ガス20を利用して水22を加熱し、加圧蒸気を生成する。蒸気タービンシステム16は、蒸気タービン26、シャフト38、負荷40(例えば、発電機)を含んでいる。高温加圧蒸気24が蒸気タービン26に流入すると、蒸気24はタービンロータディスクに取り付けられたタービンブレードに接触する(例えば、タービン段)。蒸気24が蒸気タービン26のタービン段を通過すると、蒸気24によってタービンブレードがロータディスクを回転させる。ロータディスクの回転によって、シャフト38の回転が誘導される。図示されているように、負荷40(例えば、発電機)は、シャフト38に接続される。従って、シャフト38が回転すると、負荷40(例えば、発電機)は回転エネルギーを利用して電力網用の電力を生成する。加圧蒸気24が蒸気タービン26を通過すると、蒸気24はエネルギーを損失する(すなわち、膨張して冷却される)。蒸気タービン26を出た後、蒸気排気は復水器42に流入する。復水器42は蒸気排気を水22に変換し、HRSG18に戻す。
【0018】
図2は、低圧(LP)セクション50と、中圧(IP)セクション60と、高圧(HP)セクション70と、上部プラットフォーム(UP)セクション80とを含むHRSG18を示す概略図である。各セクション50,60,70,80は、蒸気24を様々な圧力で発生させるように構成することができる。例えば、LPセクション50は、LP蒸気51を生成することができ、IPセクション60は、IP蒸気61を生成することができ、HPセクション70は、HP蒸気71を生成することができ、UPセクション80は、UP蒸気81を生成することができる。
【0019】
図示された実施形態におけるHRSG18の構成要素は簡略化されたものであり、これに限定することを意図するものではない。すなわち、
図2は、LPセクション50、IPセクション60、HPセクション70、UPセクション80の相対的な順序又は位置を示すものとして、又はこれらのセクション50、60、70、80の各セクションにおける個々の構成要素の相対的な順序又は位置を示すものとして理解されるべきではない。図示されたHRSG18は、特定のHRSGシステムの一般的な動作を示唆するために示されている。上述したように、排ガス20は、第1の流路を経由してHRSG18に流れ、1つ又は複数の第2の流路を経由してHRSG18に流れた水22を加熱するために使用することができる。排ガス20はHRSG18の各セクション50,60,70,80の水22を加熱することができる。
【0020】
任意の順序で図示されているように、LPセクション50は、LPエコノマイザ52、LP蒸発器54、LPドラム56、LP過熱器58を含んでいる。LPエコノマイザ52は、水22を予熱して、水22が排ガス20から熱を受け取る準備ができるように構成された装置とすることができる。例えば、LPエコノマイザ52は、一般に、水22を理想的な温度に予熱して、蒸気24を生成するために必要な熱量を制御することができる。次に、LPエコノマイザ52は、予熱された水22をHRSG18の他の構成要素(例えば、LPドラム56)に導くことができる。LPドラム56は、水22をLP蒸発器54に供給する貯蔵容器とすることができる。LP蒸発器54は、予熱された水22を受け取り、水22を更に加熱して、蒸気24を生成することができる。一部の実施形態では、水22は、LP蒸発器54において排ガス20によって加熱される前、加熱中、又は加熱された後に、蒸気の形態とすることができる。次に、蒸気24は、LP過熱器58によって受け取られ、LP過熱器58はLP蒸発器54によって生成された飽和蒸気を過熱蒸気又は乾燥蒸気(例えば、LP蒸気51)に変換することができる。
【0021】
図示されているように、IPセクション60は、IP蒸気61を生成するために、IPエコノマイザ62、IP蒸発器64、IPドラム66、及びIP過熱器68を含むことができる。IPエコノマイザ62、IP蒸発器64、IPドラム66、及びIP過熱器68は、それぞれ、LPエコノマイザ52、LP蒸発器54、LPドラム56、及びLP過熱器58と同様の機能を有することができる。更に、図示されているように、HPセクション70は、HP蒸気71を生成するために、エコノマイザ72、蒸発器74、ドラム76、過熱器78を含んでいる。HPエコノマイザ72、HP蒸発器74、HPドラム76、及びHP過熱器78は、それぞれ、LPエコノマイザ52、LP蒸発器54、LPドラム56、及びLP過熱器58と同様の機能を有することができる。更に、UPセクション80は、UP蒸気81を生成するために、エコノマイザ82、蒸発器84、ドラム86、過熱器88を含んでいる。UPエコノマイザ82、UP蒸発器84、UPドラム86、及びUP過熱器88は、それぞれ、LPエコノマイザ52、LP蒸発器54、LPドラム56、及びLP過熱器58と同様の機能を有することができる。当然に、前述したように、本開示によるHRSG18は、上述した構成要素よりも少ない構成要素を含んでもよいし、他の構成要素を含んでもよい。例えば、UPセクション80は、UPドラム86を含まなくてもよい。更に又は代わりに、HRSG18は、蒸気24を受け取る1つ又は複数の蒸気マニホールドであって、蒸気24を
図1に示された蒸気タービンシステム16に向けて供給するように構成された1つ又は複数の蒸気マニホールドを含むことができる。
【0022】
上記の説明で述べられているように、
図2(及び
図1のCCPP)のHRSG18の設計には、時間とリソースを必要とする設計技術が伴う場合がある。従来、例えば、HRSGの設計は、様々な要因(エンドユーザの仕様、サイト条件、地域の法規及び規制、グローバルのエンジニアリングリソースなど)のため、カスタマイズを必要とする。このように設計をカスタマイズするため、熟練したエンジニアリングチームが時間とリソースを費やして、個々の3D HRSGモデルを最初から繰り返し構築する。一つの例は、3D HSRGモデルで使用される1つのHPドラム76の設計に関する。HPドラム76には、HRSG18の配管に結合された8個~12個のライザーノズルと、HRSG中心線の両側に位置し、鋼構造(ドラムサドル支持鋼など)上に配置された2個のサドルとを含んでいる。HRSGの設計において、どちらかのドラムサドルを移動させることが必要である場合、サドルサポート鋼、ライザーノズル、及び配管も移動させる必要があり、この場合、ユーザによって10回~15回の操作(例えば、CADソフトの3D操作)が必要になることがある。
【0023】
別の実施例では、HPドラム76は、手すりとはしごを有する鋼構造プラットフォームを含む側部アクセスマンホールを含むことができる。また、HPドラム76は、ドラムの両側にレベル測定装置と関連する配管とを含むこともできる。しかし、HRSGの設計においてドラムの長さを長くする必要がある場合、マンホール、レベル測定装置、及び関連する配管システムは、ドラムの長さが変更されるため、移動が必要な場合がある。実際、この変更は、ユーザが、10回~12回の操作によって手動で行うことになる。ユーザは、LPセクション50、IPセクション60、UPセクション80、ベース、各セクションの間の配管などの構成要素に対して、このような操作を行うことになる。したがって、HRSGモデルの全体の設計では、HRSG18をカスタマイズするため、時間とリソースが必要とされるプロセスになる恐れがある。
【0024】
今のところは、本開示に従って、HRSG18の構成要素(例えば、配管システム、バルブ、ドラム、タンク、ポンプ、鋼構造、支持体、計器、電気システムなどの補助ハードウェア)を、標準機能を有するようにモジュール化して設計プロセスを改善し(本明細書では「補助モジュール」と呼ぶ)、その補助モジュールを使用してHRSG18を設計することが考えられる。上記の内容を考慮して、
図3は、設計システム500を使用してHRSG18を設計する概略図を示している。
【0025】
設計システム500は、1つ又は複数のプロセッサベースの装置510を含むことができる。「プロセッサベースの装置」という用語は、例えば、任意の適切な種類のコンピューティング装置(ポータブルコンピューティング装置(例えば、スマートフォン、タブレット、コンピュータ、ウェアラブルコンピュータなど)、ワークステーション、デスクトップコンピュータ、サーバなど)を含むことができる。プロセッサベースの装置510は、通信構成要素、プロセッサ530、メモリ540、記憶された命令542、入出力(I/O)ポート、ディスプレイ(例えば、ユーザインターフェース)560、及びデータベース112などを含むことができる。更に又は代わりに、プロセッサベースの装置510は、サーバ(例えば、クラウドサーバ、データベース)と通信可能に結合され、ネットワークインターフェース580を通じてサーバから更新を受信することができる。
【0026】
プロセッサベースの装置510は、1つ又は複数の補助モジュールモデル113を使用して3D HRSGモデル114を設計するために使用されるアプリケーション550を実行するように構成される。プロセッサベースの装置510は、プロセッサベースの装置510が様々な種類のタスク及び動作を実行するのを助ける様々な種類の構成要素を含むことができる。プロセッサベースの装置510は、1つ又は複数のプロセッサ530を含むことができ、プロセッサ530は、処理装置(マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、集積回路、論理装置、及び/又は他の適切な処理装置など)を含むことができる。
【0027】
動作中、プロセッサベースの装置510は、ツール552(例えば、ユーザインタフェースプラグイン)を有するコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアアプリケーション550であって、3D HRSGモデル114を設計するために使用されるアプリケーション550を記憶する及び/又は実行することができる。ツール552は、ユーザ(例えば、プロセスエンジニア、エンジニアリングチーム)が実行する操作の回数を減らし、HRSGモデル114のカスタマイズを実行し、複数分野に跨がる操作の回数を削減し、これによって、設計作業の効率を向上させることができる。この目的のため、設計システム500は、入力パラメータ110を受信し及び/又は生成し、入力パラメータ110をライブラリ112に記憶し、ライブラリ112の入力パラメータ110を使用してHRSGモデル114を生成する。特定の例では、ツール552は、機械学習技術を実行して、ユーザ入力に基づいて1つ又は複数の構成要素を特定し、構成要素間の関係を決定し、構成要素を使用して補助モジュールモデル113及び/又はHRSGモデル114を生成することができる。別の例では、ツール552は、ユーザが構成要素に移動するために使用するクリック数を減らすために、ユーザが頻繁に選択する構成要素を特定する及び/又はユーザが頻繁に選択する構成要素をリスト(例えば、ドロップダウンメニュー)の最上位に配置することができる。
【0028】
入力パラメータ110は、HRSGモデル114で使用される構成要素に対応する値(例えば、パラメータ)を含むことができる。例えば、入力パラメータ110としては、構成要素の長さ、直径、接続点、深さ、幅など(例えば、パイプの直径、プラットホームの長さ、バルブの重量、2つのパイプ間の隙間、フレームの深さなど)を挙げることができる。更に、入力パラメータ110は、対応する補助モジュールに基づいて(例えば、1つ又は複数の設計入力ファイルに)分割することができる。例えば、IPセクション60の入力パラメータ110は、パイプの仕様が55ミリメートル(mm)であること、第1のバルブの長さが760mmであること、第2のバルブの長さが760mmであること、第1のバルブと第2のバルブとの間のギャップが1000mmであること、などを含むことができる。入力パラメータ110は、対応する補助モジュールのサイズも含むことができる。例えば、IPセクション60は、幅が3800mm(3.8m)、長さが22000mm(22m)、高さが1450mm(1.45m)とすることができる。HPセクション70、LPセクション50、及びUPセクション80の入力パラメータ110は、IPセクション60の入力パラメータと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0029】
入力パラメータ110は、レイアウト原理、設計ガイドライン、アクセシビリティ及びメンテナンスの必要性、安全性などに関するノウハウ及び経験を有するテンプレートを含むこともできる。例えば、入力パラメータ110は、製造業者によって設定された算術演算に基づいて、又はユーザフィードバックに基づいて、各補助モジュール内の構成要素を関連付けることができる。例えば、ツール552を使用して、HPドラム76のドラムサドルの位置を調整することは、上述した10回~15回の操作ではなく、2回~4回の操作で実行することができる。別の例では、ツール552よって、マンホール、レベル測定装置、及び関連する配管システムの調整は、上述した10回~12回の操作と比較して、4回~6回の操作で実行することができる。
【0030】
入力パラメータ110は、補助モジュールモデルの特定のパラメータが変更されるように及び/又は新しいモジュールモデルが作成されるように調整することができる。入力パラメータ110は、クラウドリポジトリから(例えば、ネットワークインターフェース580を経由して)ダウンロードして、ユーザが使用すること、設計ソフトウェア(例えば、アプリケーション550)にバンドルすること、メモリ540(例えば、フラッシュメモリ又はCD-ROM)に記憶することなどができる。入力パラメータ110は、製造業者、プロセッサ技術者、及び/又は他のユーザによって更新され、ライブラリ112を更新することができる。例えば、ユーザのフィードバックで更新された(例えば、調整された)入力パラメータ110を使用して、新しいレイアウト規則(概念原則を用いてテストされ、検証される3Dレイアウトエンジニアリングの原則)が確立される。別の例では、入力パラメータ110は、地域の法規及び/又は規制の変更に基づいて更新することができる。
【0031】
入力パラメータ110を使用して、補助モジュールモデル113を生成することができる。すなわち、複数の構成要素は、HRSGモデル114を形成するために使用される標準機能を有する補助モジュールモデル113にグループ化することができる。例えば、HRSG内の各構成要素の地理的位置に基づいて、複数の構成要素(例えば、機器、バルブ、鋼構造、支持体、計器、電力消費機器、ケーブル、照明システム、プラットフォーム、はしご)は、それぞれの補助モジュールモデル113にグループ化することができる。補助モジュールモデル113は、様々なHRSGの実施形態に対して使用することができる標準的なサイズ、形状、及び端子接続を有することができる。例えば、上部プラットフォーム補助モジュールは、配管又はマニホールド(例えば、蒸気マニホールド)及び対応する機器(例えば、サイレンサ、ケーブルトレイ)が配置される第1の上部プラットフォーム補助モジュール(140、
図4)と、高圧(HP)ドラム及び対応する機器(例えば、サイレンサ、ケーブルトレイ)が配置される第2の上部プラットフォーム補助モジュール(180、
図5)と、中圧(IP)ドラムと対応する機器が配置される第3の上部プラットフォーム補助モジュール(220、
図6)と、低圧(LP)ドラムと対応する機器(例えば、サイレンサ、ケーブルトレイ)が配置される第4の上部プラットフォーム補助モジュール(260、
図7)とを含むことができる。各上部プラットフォーム補助モジュールは、上述の構成要素が設置される概ね長方形のフレームを含み、概ね長方形のフレームは、HRSG18のベースに結合される概ね平坦な底面を含むことができる。
【0032】
側部配管モジュール(例えば、補助モジュールモデル113にも含まれるモジュール)は、例えば、配管又はマニホールド及び対応する機器が配置される各上部プラットフォーム補助モジュールのそれぞれの配管モジュールを含むことができる。各側部配管モジュール(例えば、
図8の306、308、310)は、上述の構成要素が設置される概ね長方形のフレームを含むことができ、フレームは、HRSG18の側部によって容易に受け入れることができる概ね平坦な側部を含んでいる。各モジュール内では、キープロパティがデジタル化され、3Dレイアウトエンジニアリング原理が関連する算術方程式で定式化され、それぞれのモジュールモデルが生成される。
【0033】
ライブラリ112は、入力パラメータ110及び補助モジュール113を記憶することができる。これを達成するために、ライブラリ112は、プロセッサベースの装置510のメモリ540に記憶されるデータベースとすることができる。メモリ540は、1つ又は複数のコンピュータ可読媒体(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体、RAM、ROM、ハードドライブ、フラッシュドライブ、及び/又は他のメモリ装置であるが、これらに限定されることはない)とすることができる。メモリ540は、1つ又は複数のプロセッサ530によってアクセス可能な情報(例えば、1つ又は複数のプロセッサ530によって実行することができるコンピュータ実行可能命令又はコンピュータ可読命令542)を記憶することができる。命令542は命令のセットのとすることができ、命令のセットは、1つ又は複数のプロセッサ530によって実行されると、1つ又は複数のプロセッサ530に動作を実行させることができる。一部の実施形態では、命令542は、1つ又は複数のプロセッサ530によって実行され、様々な動作(設計システム500によって設定される動作及び機能のいずれかの動作及び/又は機能など)を実行することができる。命令542は、任意のプログラミング言語で記述されるソフトウェアとすることができ、又はハードウェアで実装することもできる。更に及び/又は代わりに、命令542は、プロセッサ530で論理的に及び/又は仮想的に別々のスレッドで実行することができる。メモリ540は、更に、プロセッサ530によってアクセス可能なデータを記憶することができる。
【0034】
更に又は代わりに、ライブラリ112は、サーバ(例えば、クラウドサーバ)に記憶することができ、プロセッサベースの装置510にアクセス可能とすることができる。プロセッサベースの装置510は、ネットワークインターフェース580を経由してサーバと通信することができる。ネットワークインターフェース580を使用して、例えば、設計システム500の他の構成要素と通信することができる。ネットワークインターフェース580は、1つ又は複数のネットワークと接続される構成要素(例えば、送信機、受信機、ポート、コントローラ、アンテナ、及び/又は他の適切な構成要素)を含むことができる。
【0035】
ライブラリ112は、例えば、入力パラメータ110、HRSGモデル114の構成要素と構成要素との間の関係(例えば、接続部)、補助モジュールモデル113の構成要素と構成要素との間の関係、1つ又は複数の補助モジュールモデル113(例えば、製造業者によって生成されたモデル、ユーザによって生成されたモデル)などを記憶することができる。この関係には、例えば、機械的接続部、電気的接続部、流体的接続部などを含むことができる。
【0036】
ライブラリ112は、補助モジュールモデル113を記憶することもできる。補助モジュールモデル(例えば、オブジェクトモデル)は、製造業者によって事前に生成される、ユーザによって生成されライブラリ112に保存される、及び/又は他のユーザによって生成されライブラリ112保存されるようにすることができる。事前に生成された補助モジュールモデル113は、大きさを持たない共通の構成要素を含むことができ、ユーザによってカスタマイズすることができる。言い換えれば、事前に生成された補助モジュールモデル113は、ユーザによりカスタマイズするためのベースモデルとして機能することができる。補助モジュールモデルをインスタンス化するために、ユーザは、補助モジュールの各構成要素の入力パラメータ110を有する設計入力ファイルを入力することができる。ユーザは、更に、各構成要素のパラメータを調整する、補助モジュールモデル113内の構成要素を追加する又は削除する、補助モジュールモデル113内の1つ又は複数の構成要素の位置を調整するなどができる。ユーザは、ツール内のボタンをクリックして、補助モジュールモデル113をインスタンス化することができる。更に又は代わりに、ユーザは、新しく生成された補助モジュールモデル113に名前を付けてライブラリに保存し、後続のプロジェクトで使用することができる。
【0037】
ユーザは、入力パラメータ110及び/又は以前に生成された補助モジュールモデル113を使用して、新しい補助モジュールモデル113を作成することができる。例えば、ユーザは、既存の補助モジュールモデル113からパラメータをコピーし、特定のパラメータを更新し、追加のパラメータを追加し、パラメータをツールにインポートし、モジュールをインスタンス化することによって、新しい入力パラメータ110を作成することができる。新しい補助モジュールモデル113がインスタンス化される又はベースモデルからコピーされると、ユーザが使用できるようになる。新しい補助モジュールモデル113は、その後、ライブラリ112に保存され、別のプロジェクトで使用できるようにする。このようにして、補助モジュールモデル113を設計するために掛かる時間とリソースを節約することができ、これによって設計効率を向上させることができる。
【0038】
HRSGモデル114は入力パラメータ110を使用して生成することができる。例えば、HRSGモデル114のベースは補助モジュールの機能を中心に設計することができる。例えば、ベースの接続部(例えば、過熱器、エコノマイザ、又は蒸発器の接続部などの熱交換器接続部)もモジュール化され、入力パラメータ110として記憶することができる。例えば、ライブラリ112は、各補助モジュールの端末接続部をベースの接続部に接続するために使用することができるリンク要素(例えば、配管)を記憶することができる。ツールは(例えば、ユーザによる入力を通じて自動的に)リンク要素を検索し、各補助モジュールモデルをベースモデルと結合し、HRSGモデル114を形成することができる。このようにして、設計システムはユーザが実行する操作の回数を減らす、及び/又は設計プロセスの動作を自動化することができ、それによりHRSGモデル114を設計するために使用される時間及びリソースを削減し、手動エラーの恐れを低減することができる。
【0039】
上記を考慮して、
図4-
図7に、HRSGモデル114で使用される補助モジュールモデル113の例示的な実施形態を示す。特に、
図4-
図7は、配管又はマニホールド及び対応する機器を有する第1の上部プラットフォーム補助モジュール140と、HPドラム及び対応する機器を有する第2の上部プラットフォーム補助モジュール180と、IPドラム及び対応する機器を有する第3の上部プラットフォーム補助モジュール220と、LPドラム及び対応する機器を有する第4の上部プラットフォーム補助モジュール260とを示している。上部プラットフォーム補助モジュール140、180、220、260は、概ね平坦な、すなわち平らな底面を備えており、この底面は、固体表面又はフレーム部材(例えば、メッシュ又は格子構造を形成する部材)を含むことができる。モジュール140、180、220、260の概ね平坦な底面(及び/又はフレームの概ね長方形の形状)によって、モジュール140、180、220、260のHRSGのベースへの設置を改良することができる。他の実施形態では、モジュール140,180,220,260は、他の形状を有することができる(この形状はモジュール間では共通である)。
【0040】
図4は、HRSGモデル114で使用することができる第1の上部プラットフォーム補助モジュール140の3Dモデルの一実施形態の斜視図である。第1の上部プラットフォーム補助モジュール140は、配管(又は蒸気マニホールド142)及びケーブルトレイ144を含む上部プラットフォーム(UP)蒸気配管モジュールとすることができ、配管(又は蒸気マニホールド142)及びケーブルトレイ144は、第1の上部プラットフォーム補助モジュール140のフレーム146に少なくとも部分的に配置される、及び/又はフレーム146に統合される。図示されているように、第1の上部プラットフォーム補助モジュール102は追加の構成要素(LPドラム56、IPドラム66、HPドラム76、又はサイレンサなど)を含んでいない。しかし、他の実施形態では、第1の上部プラットフォーム補助モジュール140は、HRSGモデル114の設計に基づいて、LPドラム56、IPドラム66、HPドラム76、及び/又は、サイレンサを含むことができる。
【0041】
第1の上部プラットフォーム補助モジュール140内に配置される構成要素は、入力パラメータ110によって定義することができる。例えば、第1の上部プラットフォーム補助モジュール140のフレーム146は、入力パラメータ110に基づき、おおよそ長さ(L)×幅(W)×高さ(H)である。例えば、長さ×幅×高さは、25.6メートル×6.6メートル×7.4メートル(84フィート×22フィート×24フィート)とすることができる。更に、フレーム146のサイズは、対応するHRSG及び/又はCCPPの電力のニーズに応じて、幾つかの異なるサイズのHPドラム76のいずれかを受け取るように(例えば、入力パラメータ110の調整に基づいて)調整することができる。例として、入力パラメータ110は、製品コンフィギュレーション(HP蒸気リンク148の数、安全バルブ150の直径及び/又は半径、2つのHP蒸気起動ベントバルブ152,154の間の距離(D)など)を指定することができる。
【0042】
本明細書で説明するように、入力パラメータ110は、第1の上部補助モジュール140のレイアウト原理及び/又は設計ガイドラインを有するテンプレートを含んでる。このため、第1の上部補助モジュール140は、モジュール140内の各構成要素の位置を決定するための基準点156(例えば、X、Y、Z座標の原点)を含んでいる。すなわち、入力パラメータ110は、基準点156に対する構成要素の位置を示すことができる。例えば、第1のHP蒸気リンク148の位置は、基準点156から8メートル×3.3メートル×4.8メートル離れている。別の例では、この位置は、基準点156に対する北方向158(例えばY方向)、東方向160(例えばX方向)、及び上方向162(例えばZ方向)に基づいて決定することができる。例えば、2つのHP蒸気起動ベントバルブ152、154の間の距離は、北方向158において0.5メートルとすることができる。本明細書で説明するように、ツールは、設計ガイドラインに基づいて、補助モジュール140内の構成要素を結合及び/又は位置決めし、プロセスエンジニアによる手動操作の回数よりも少ない操作回数で、第1の上部補助モジュール140に対応するスマートでインテリジェントなモデル113を提供することができる。
【0043】
図5は、HRSGモデル114で使用することができる第2の上部プラットフォーム補助モジュール180の3Dモデルの一実施形態の斜視図である。第2の上部プラットフォーム補助モジュール180は、HPドラム76及びケーブルトレイ182を含む高圧(HP)ドラムモジュールとすることができる。HPドラム76及びケーブルトレイ182は、第2の上部プラットフォーム補助モジュール104のフレーム184内に少なくとも部分的に配置されている、及び/又はフレーム184と一体化されている。図示されていないが、第2の上部プラットフォーム補助モジュール180は、フレーム184の中に少なくとも部分的に配置された及び/又はフレーム184と一体化された構成要素(サイレンサなど)を付加的に含むことができる。
【0044】
入力パラメータ110は、第2の上部プラットフォーム補助モジュール180内に配置された構成要素の値を含むことができる。一例として、第2の上部プラットフォーム補助モジュール180のフレーム184は、長さ(L)×幅(W)×高さ(H)が約24メートル×5.5メートル×4.5メートルで、重量が約350トンである。入力パラメータ110は、製品コンフィギュレーション(HPライザ185の数(例えば、入口、出口のライザ)、各HPライザ185の直径(例えば、入口、出口のライザ)、HPドラム機器186の種類及び/又は数、蒸気リンク188の長さ、蒸気入口190の直径、バルブの種類及び/又は数など)を指定することができる。更に又は代わりに、入力パラメータ110は、上述したように、基準点156に対する各構成要素の位置を決定することができる。
【0045】
図6は、HRSGモデル114で使用することができる第3の上部プラットフォーム補助モジュール220の3Dモデルの一実施形態の斜視図である。第3の上部プラットフォーム補助モジュール220は、IPドラム66及びケーブルトレイ222を有する中圧(IP)ドラムモジュールとすることができ、IPドラム66及びケーブルトレイ222は、第3の上部プラットフォーム補助モジュール220のフレーム224内に少なくとも部分的に配置される及び/又はフレーム224と一体化することができる。特定の実施形態では、第3の上部プラットフォーム補助モジュール220は、HRSGモデル114の設計に基づいた追加の構成要素(HPドラム76、サイレンサなど)を含むことができる。
【0046】
第1の上部プラットフォーム補助モジュール140及び/又は第2の上部プラットフォーム補助モジュール180と同様に、第3の上部プラットフォーム補助モジュール220は、入力パラメータ110によって定義することができる。例えば、第3の上部プラットフォーム補助モジュール220のフレーム224は、長さ(L)×幅(W)×高さ(H)が約22メートル×4.5メートル×4.5メートルであり、重量が約222トンである。更に又は代わりに、入力パラメータ110は、製品コンフィギュレーション(IPライザ226の数(例えば、入口、出口のライザ)、各IPライザ226の直径及び/又は半径、IP飽和蒸気パイプ228の数及び/又は直径、IPドラムベント230、232の数、IPドラムベント230、232の間の距離(D)、ケーブルトレイ222の重量、ジャンクションボックス234の数など)を指定することができる。本明細書で説明するように、構成要素の位置は、基準点156に対して、並びに/又は北方向158、東方向160、及び/若しくは上方向162に対して決定することができる。
【0047】
図7は、HRSGモデル114で使用することができる第4の上部プラットフォーム補助モジュール260の3Dモデルの一実施形態の斜視図である。第4の上部プラットフォーム補助モジュール260は、LPドラム56及びケーブルトレイ262を含む低圧(LP)ドラムモジュールとすることができ、LPドラム56及びケーブルトレイ262は第4の上部プラットフォーム補助モジュール260のフレーム264内に少なくとも部分的に配置される、及び/又はフレーム264と一体化されている。図示されていないが、第4の上部プラットフォーム補助モジュール260は追加の構成要素(IPドラム66、サイレンサなど)を含むことができる。
【0048】
入力パラメータ110は、第4の上部プラットフォーム補助モジュール260内に配置された構成要素の製品コンフィギュレーションを含むことができる。例えば、第4の上部プラットフォーム補助モジュール260のフレーム264は、長さ×幅×高さが約25.6メートル×8.5メートル×7.4メートル(84フィート×28フィート×24フィート)で、重量が約222トンである。また、入力パラメータ110は、LPライザ266、飽和蒸気パイプ268、LPドラム通気バルブ270、272、274、276、278の数及び/又は直径などを定義する。更に、入力パラメータ110は、フレーム264に結合された安全リリーフバルブプラットフォーム280のサイズ、形状、及び/又は位置を定義することができる。更に又は代わりに、入力パラメータ110は、基準点156及び/又は北方向、東方向、及び上方向に対する構成要素の位置を定義することができる。
【0049】
図8は、上部プラットフォーム補助モジュール140、180、220、260のモデルを含むHRSGモデル300(例えば、
図3に関して説明したHRSGモデル114)の一実施形態の透視図である。前述したように、HRSG18の構成要素は、入力パラメータ110に基づいてベースに結合することができる補助モジュールにグループ化することができる。例えば、上部補助モジュール140、180、220、260は、上部プラットフォームアセンブリ302を形成し、ベース304の上部に配置される。更に、HRSGモデル300は、側部配管モジュール306,308,310のモデルを含むことができ、これらのモデルはベース304の側部に配置され、これらのモデルは、それぞれ、第2の上部補助モジュール180、第3の上部補助モジュール220、及び第4の上部補助モジュール220に結合されている。また、HRSGモデル300は、底部補助モジュール(ドレン配管モジュール312、給水(FW)配管モジュール314、ブローダウンタンクモジュール316、FW再循環ポンプモジュールなど)のモデルを含むこともできる。
【0050】
ベース304も、入力パラメータ110によって定義することができる。図示されているように、ベース304は、ベース304の一端部に配置された煙突318と、ベース304の他端部に配置された入口ダクト320(例えば、1つ又は複数のガスタービンからの排ガスを受け入れるダクト)を含むことができる。入力パラメータ110は、煙突318及び/又は入口ダクト320の位置、サイズ、及び/又は形状を定義することができる。更に、ベース304は複数のカラム322を含んでおり、複数のカラム322は互いに特定の距離だけ離れており、カラム322内の構成要素(例えば、蒸発器セクション、過熱器セクション、エコノマイザセクション)及び構成要素の接続部は、上部プラットフォーム補助モジュール140、180、220、260、側部配管モジュール306、308、310、及び/又は追加モジュール(例えば、ドレン配管モジュール312、給水(FW)配管モジュール314、ブローダウンタンクモジュール316、FW再循環ポンプモジュール)から突出する端子接続部に確実に整列するようにすることができる。距離は、例えば、入力パラメータ110によって、2.0メートル(6.6フィート)~5.0メートル(16.4フィート)の間の値、2.5メートル(8.2フィート)~4.5メートル(14.8フィート)の間の値、3.0メートル(9.8フィート)~4.0メートル(13.1フィート)の間の値、又は3.25メートル(10.7フィート)~3.75メートル(12.3フィート)の間の値に定義することができる。例えば、ベース304は、一列に配置された複数のカラム322を含むことができ、複数のカラム322は特定の間隔で配置されており、カラム322内の構成要素、及びカラム322内に配置された構成要素の接続部は、上部プラットフォーム補助モジュール102、104、106がベース304の上部に結合された後に、上部プラットフォーム補助モジュール102、104、106を支持する及び接続することができるように適切な間隔を空けて配置される。
【0051】
更に、モジュール140,180,220,260,306,308,310,312,314,316の各モジュールとベース304との間の接続部を、入力パラメータ110として定義することができる。特に、入力パラメータ110のレイアウト原理及び/又は設計ガイドラインは、この両者間の接続点を含むことができる。例えば、補助モジュール140、180、220、260の端子接続部(例えば、中間パイプセグメント)は、ベース304の接続点(例えば、蒸発器接続部、過熱器接続部、又はエコノマイザ接続部)と接続するように標準化する及び/又は設計することができる。例えば、上部プラットフォーム補助モジュール140、180、220、260の端子接続部は、ベース304内に配置された一連の圧力部品の受け部に対応するように定義することができる。更に又は代わりに、側部配管モジュール306,308,310及び/又は底部補助モジュール312,314,316の端子接続部は、上部補助モジュール140,180,220,260及び/又はベース304内に配置された部品を収容するように定義することができる。このように、補助モジュールは、HRSG18の出力のニーズに応じて、様々なサイズのベース304と接続するための汎用性がある。このようにして、設計効率を向上させることができる。
【0052】
特定の例では、ツールはHRSGモデル300に対する制約の指示を受け取る場合がある。例えば、出荷制約は、上部プラットフォーム補助モジュールの高さが低いこと(すなわち、上限の高さ)を要求する場合がある。このため、ツールは出荷制約の指示を受け取り、出荷制約に基づいて入力パラメータ110を更新し、更新された入力パラメータ110に基づいてHRSGモデル300を更新する。すなわち、ツールは、受け取った制約に基づいて、及び/又は限られたオペレータ入力を使用して、HRSGモデル300を自動的に更新することができ、これにより、オペレータが使用するリソースの量及び/又はオペレータが費やす時間を削減して、制約に対応するHRSGモデル300を生成することができる。
【0053】
図9は、HRSGモデル114、300を生成しライブラリを作成する際に使用される入力パラメータを生成するための、コンピュータで実施される方法350の一例のフローチャートである。方法350は、ブロックによって表されるコンピュータで実施される様々なステップを含んでおり、このステップは、
図3に関して説明したプロセッサベースの装置及び/又はCADソフトウェア内のツールによって実行することができる。方法350は、本明細書に記載される方法を実行することができる他の適切なプロセッサベースの装置(例えば、クラウドサーバ、ウェブページ、タブレット、モバイルデバイスなど)によって実行できることも留意すべきである。例えば、方法350の特定のステップ又は特定の部分は、別のシステム又はデバイス(1つ又は複数のプロセッサ、プロセッサベースの装置、及び/又はコンピュータなど)によって実行することができる。フローチャートは、ある特定の順序で実行される複数のステップを示しているが、複数のステップは任意の適切な順序で実行することができ、複数の特定のステップは、必要に応じて、同時に実行できることが理解されるべきである。
【0054】
ブロック352において、製品コンフィグレーションを決定することができる。例えば、HRSGで使用される構成要素の可能な全てのサイズ及び/又は形状を有する考えられる全ての構成要素を決定することができる。製品コンフィグレーションは構成要素の相対的な位置(即ち、相対的な配置)を含むことができる。構成要素には、本明細書で説明されるHRSGの複数の構成要素のうちのいずれかの構成要素、好ましくは全ての構成要素が含まれる。更に又は代わりに、構成要素間の全ての接続部を決定してもよい。接続部には、機械的接続部(溶接接続部、ボルト接続部など)、電気的接続部(電力接続部、データ/通信接続部など)、流体接続部(配管接続部、バルブ接続部など)などを含むことができる。
【0055】
ブロック354において、重要な構成要素の最大の大きさ及び/又は最小の大きさを決定することができる。すなわち、HRSGに使用される各構成要素の製品の大きさを決定することができる。例えば、構成要素の製品の大きさのバリエーションは、ツール及び/又は製造業者(例えば、ツールの製造業者)によって決定することができる。本明細書で説明されるように、構成要素としては、配管システム、バルブ、ドラム、タンク、ポンプ、鋼構造、支持体、器具、電気システム、入口、出口、圧力部品などを含むことができる。各構成要素について、最小の大きさ及び最大の大きさを決定することができる。言い換えれば、構成要素ごとに製品の範囲を決定することができる。例えば、IPドラムの長さは14メートル~17メートルの間の範囲、IPドラムのベントは0.29メートル~1.5メートルの間の範囲、IPドラムの温度範囲は摂氏600℃~630℃の間の範囲などである。更に又は代わりに、各構成要素の製品仕様を定義することができる。例えば、各構成要素の熱伝達率、流量、最大動作温度(又は温度範囲)、最大動作圧力(又は圧力範囲)などを決定することができる。更に又は代わりに、配管の種類及び/又はサイズ、バルブの数、バルブ間の最小距離及び/又は最大距離などの接続部を決定することができる。
【0056】
ブロック356において、最大の変数を使用した静的モデルを作成することができる。すなわち、複数の構成要素を補助モジュールのサブグループにグループ化し、複数の構成要素を使用して、各構成要素の製品の大きさを使用するそれぞれの静的モデルを生成することができる。サブグループは、学問分野(土木工学、電気工学、機械工学、環境工学など)又は製品(単一の構成要素など)に基づいて決定することができる。例えば、サブグループの1つは、1つ又は複数のポンプを含む製品の再熱マニホールドとすることができる。別の例では、サブグループは、それぞれの補助モジュールで使用されるプラットフォーム及び/又は回路とすることができる。サブグループは、補助モジュール及び/又はHRSGモデルの制約を満たすように変換する及び/又は調整することができる。サブグループは、各構成要素の最大の大きさを使用するので、サブグループが補助グループ及び/又はHRSGモデルの制約を満たすように、構成要素のサイズを小さくすることができる。
【0057】
ブロック358において、入力された大きさを定義することができる。特定の例では、サブグループの大きさをモデルに関連付けることができる。例えば、大きさには、パイプの寸法、バルブの数、フレームの長さ、タンクの容積などが含まれる。更に又は代わりに、サブグループの各構成要素の間の距離を定義し、モデルに関連付けることができる。
【0058】
ブロック360では、大きさに関するビジネスロジックが決定される。ビジネスロジックは、各構成要素の配置(例えば、構成要素間の配置)を決定するために使用される。この目的のために、ビジネスロジックは、ユーザにより定義された大きさ、事前に決定された大きさ、又はそれらの組合せを含むことができる。例えば、ユーザは、マニホールドの大きさが600ミリメートルの直径を有するように定義し、マニホールドと鉄骨との間の間隔を20ミリメートルと定義することができる。マニホールドの直径を短くすると、マニホールドの位置を移動して間隔を20ミリメートルに保つことができる。別の例では、事前に決定された大きさは、以前の設計、規制(例えば、安全性及びコンプライアンス)などに基づいて設定することができる。例えば、以前の設計では8個の出力部を使用しており、各出力部は、30ミリメートルの間隔が空けられている。そのため、現在の設計でも、8個の出力部を使用しており、各出力部は30ミリメートルの間隔があけられている。特定の例では、ビジネスロジックは、上述したレイアウト原理及び/又は設計ガイドラインとすることができる。例えば、1つのサブグループは、「プライマリポート」及び「フォロワポート」という名前の一対のオブジェクトを含むことができる。プライマリポートはサブグループの親オブジェクトに結合され、フォロワポートはリンク要素(パイプ、バルブ、ファスナ締結具など)に結合することができる。リンク要素がサブグループに導入されると、フォロワポートは、プライマリポートに結合され、プライマリポートの位置を使用して位置決めされる。このようにして、プライマリポート及びフォロワポートは、互いに関連付けることができる。例えば、マニホールドノズルは20cmのプライマリポートを含むことができる。リンク要素(パイプなど)のユーザ指示を受け取ると、ツールは自動的にリンク要素をプライマリポートに結合し、リンク要素の直径を20センチメートルに設定することができる。このように、ツールは、ユーザが実行する操作回数を削減することができる。
【0059】
判断ブロック362において、他の変数が必要かどうかが判断される。特に、サブグループの他のバリエーションがHRSGモデルで使用されるかどうかを判断するために、サブグループを分析することができる。
【0060】
追加の変数が必要でない場合、ブロック364において、後のプロジェクトで使用するための新しい製品及び変数を公開することができる。大きさ及び/又は計算は、ツール及び/又は製造業者によって検証することができる。大きさ及び計算が承認された場合、サブグループと、それに対応する変数がモデルとしてライブラリに公開することができる。言い換えれば、構成要素及び/又は構成要素間の接続部の大きさを含む入力パラメータをライブラリにアップロードすることができる。特定の例において、入力パラメータを更新する及び/又は調整することができる。ツールは、新しい入力パラメータがライブラリで利用可能であることをユーザに示し、後続のプロジェクトで新しい入力パラメータを使用する前にパラメータを検証するようにユーザに知らせることができる。このようにして、ツールはモデルを複数回検証することができる。
【0061】
追加の変数が必要な場合、ブロック366において、ツールは各変数に対してサブアセンブリグループを作成することができる。再熱マニホールドに戻ると、例えば、再熱マニホールドは、4つのノズルを含んでもよいし、6つのノズルを含んでもよいし、8つのノズルを含んでもよい。このように、変数ごとにサブグループ(例えば、サブアセンブリグループ)を生成してもよい。更に、各ノズルは、それぞれの側部パイプモジュールのパイプに接続することができる。実際、4つの接続点、6つの接続点、又は8つの接続点などのパイプの複数の変数を生成することができる。別の例では、サブグループは、ポンプの種類、ポンプの数、ポンプの構成、ポンプの配置などに対応する追加の変数を使用することができる配管システムを含むことができる。第1のサブグループは、単一のインラインポンプアセンブリを含むことができ、第2のサブグループは、ポンプへの接続及びポンプからの接続を含む二重インラインポンプアセンブリを含むことができ、第3のサブグループは、別の構成の二重インラインポンプアセンブリを含むことができる。更に又は代わりに、サブグループは、並列又は直列に接続されたポンプを含むことができる。
【0062】
判断ブロック368において、新しい構成要素が使用されるかどうかが判断される。例えば、各サブグループをHRSGの各構成要素にマッピングし、新しい構成要素が使用されるかどうかを判断する。新しい構成要素が使用されない場合、方法350は、判断ブロック362に戻って、追加の変数が使用されるかどうかを判断することができる。新しい構成要素が使用される場合、方法350は、ブロック358に戻り、入力された大きさを定義し、ブロック360に進み、計算された大きさのビジネスロジックを定義し、判断ブロック362に進み、他の変数が使用されるかどうかを判断する。
【0063】
図10は、HRSGモデル114、300を作成するためのコンピュータで実施される例示的な方法400のフローチャートである。方法400は、コンピュータで実施される様々なステップを含んでおり、これらのステップは、
図3に関して説明したプロセッサベースの装置及び/又はCADソフトウェア内のツールによって実行することができるブロックによって表されている。また、方法400は、本明細書に記載される方法を実行することができる他の適切なプロセッサベースの装置(例えば、クラウドサーバ、ウェブページ、タブレット、モバイルデバイスなど)によって実行されてもよいことに留意すべきである。例えば、方法400の特定のステップ又は特定の部分は、別個のシステム又はデバイス(1つ又は複数のプロセッサ、プロセッサベースの装置、及び/又はコンピュータなど)によって実行されてもよい。フローチャートは、ある特定の順序で並ぶステップを示しているが、これらのステップは任意の適切な順序で実行することができ、幾つかのステップは、必要に応じて、同時に実行できることが理解されるべきである。
【0064】
ブロック402において、
図9に関して説明したブロック352と同様に、製品コンフィグレーションを決定することができる。ブロック404において、熱収支パラメータを決定することができる。例えば、熱収支パラメータはHRSGで使用される構成要素ごとに決定することができる。再熱マニホールドの例に戻ると、熱収支パラメータとしては、熱伝達特性、流体の流量、圧力、流体相溶性、温度限界などを挙げることができる。
【0065】
ブロック406において、重要な構成要素の大きさを計算することができる。例えば、
図9に関して説明したブロック354と同様に、重要な構成要素の最小の大きさ及び/又は最大の大きさを決定することができる。別の例では、各構成要素の1つ又は複数の大きさを選択することができる(例えば、ユーザ選択、事前に決定された大きさ)。更に別の例では、HSRGモデル300に対して、サブグループの変数を特定する及び/又は選択することができる。
【0066】
ブロック408において、重要な構成要素の大きさが設計入力ファイルに転送される。例えば、大きさはライブラリからエクスポートされ、設計入力ファイルによってツールに転送される。別の例では、大きさは設計入力ファイルに記憶され、その後で使用することができる。すなわち、設計入力ファイルは、
図3に関して説明された入力パラメータを含むことができる。設計入力ファイルは、任意の適切なデジタル文書(Excelファイル、データ構造、テキストファイル、データベースファイル(例えば、.accdb、sqlite、.mbd)、CADファイルなど)とすることができる。
【0067】
ブロック410において、設計入力ファイルからの大きさをインポートすることができる。例えば、ツールは、重要な構成要素の大きさをライブラリからプロジェクトワークスペースにインポートすることができる。プロジェクトワークスペースは、設計システムのグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)に入力し、設計システムのプロセッサベースの装置に表示されるようにすることができる。プロジェクトワークスペースにおいて、ユーザはツールを使用して、ライブラリから構成要素を選択し、追加の構成要素を加えて、構成要素と追加の構成要素を結合し、構成要素の位置を調整し、HRSGの制約を入力することなどによって、HRSGモデルを作成することができる。
【0068】
ブロック412において、入力された大きさが適用され、定義されたルールに基づいて調整される。例えば、ユーザは、1つ又は複数の構成要素及び/又は補助モジュールを選択して、HRSGモデルを形成することができる。ツールは、設計入力ファイルの大きさに基づいて、各構成要素の大きさを決定することができる。次に、ツールは、選択された構成要素を1つ又は複数の補助モジュールにグループ化し、補助モジュールをHRSGモデルのベースに位置決めすることができる。例えば、ツールは、1つ又は複数のリンク要素(例えば、配管、バルブ、締結具など)を使用して、選択された構成要素を結合し、補助モジュールを形成することができる。更に又は代わりに、ツールは、構成要素間の関係(機械的接続部、電気的接続部、流体接続部など)を使用して構成要素を結合することができる。特定の例では、ツールは、必要に応じて、入力パラメータ及び/又はビジネスロジックの定義されたルールなどに基づいて、1つ又は複数の入力パラメータを調整することができる。また、ツールは、補助モジュール及び/又はベース間の関係を使用して、補助モジュールをベースに結合する及び/又は補助モジュールどうしを結合することもできる。
【0069】
ブロック414において、モデルをレビューし、必要に応じて個々のパラメータを調整することができる。ツールは、プロジェクトワークスペースにHRSGモデルを生成し、ユーザはそのモデルをレビューする。つまり、HRSGモデルは、プロセッサベースの装置に表示されるGUIに入力され、ユーザはツールを介して対話することができる。例えば、ユーザは、ツールを使用してHRSGモデルの別の部分を見たり、HRSGモデルの別の部分にズームイン又はズームアウトしたり、HRSGモデルの構成要素を選択することなどができる。ユーザは、モデルの構成、モデルの熱収支パラメータ、モデル内の構成要素などをレビューすることができる。更に、ユーザは1つ又は複数のパラメータを調整することができ、ツールは調整されたパラメータに基づいてHRSGモデルを更新することができる。このように、ツールは、ユーザ入力をほとんど使用しなくても、HRSGモデルを生成することができる。ユーザがHRSGモデルを検証し承認した場合、ツールはHRSGモデルを公開(例えば、エクスポート)することができる。例えば、HRSGモデルを使って関連部品を作り、HRSGを構築することができる。更に、HRSGをモジュール化することによって、HRSGの構築及び/又は組み立てを簡略化し、これによってHRSGの製造にかかる時間とリソースを削減することができる。
【0070】
図10に示すように、方法400は、製品コンフィグレーションを決定することに対応するブロック402から、製品コンフィグレーションを選択することに対応するブロック416まで進むことができる。プロジェクトワークスペースにおいて、例えば、ユーザは、1つ又は複数の補助モジュール、1つ又は複数のサブグループのうちの1つ又は複数の変数、リンク要素、接続部などを選択することによって、HRSGモデル300を作成することができる。更に又は代わりに、ユーザは、サブグループ及び/又は補助モジュールの構成を選択することができる。ツールは、ユーザからの選択を受け取り、ライブラリから対応する入力パラメータを検索することができる。特定の例では、ツールは、ユーザインタラクションのためのプロジェクトワークスペースに選択を表示することができる(例えば、3Dモデルを生成する)。更に又は代わりに、ユーザは、ライブラリに記憶された以前の3Dモデルを選択することができる。ユーザは、構成要素を3Dモデルに追加する又は3Dモデルから構成要素を削除する、3Dモデルのパラメータを調整したすることなどができる。3Dモデルは、プロジェクトワークスペースにロードされると、ユーザが参照モデルのパラメータを変更してしまうことを防止するために、ライブラリに記憶されたモデルに再びリンクされないようになる。
【0071】
ブロック418において、モデルをインスタンス化する指示を受け取ることができる。例えば、ユーザは、プロジェクトワークスペースで作成されたモデルをインスタンス化するためのボタンを選択することができる。
【0072】
ブロック420において、デフォルトの大きさを有する3Dモデルを生成するために使用されるリンクが検索され、モデルをインスタンス化することができる。ツールは、ライブラリから接続部を検索し、その接続部を使用して3Dモデルの構成要素を結合することができる。ツールは、プロジェクトワークスペースでユーザが作成したモデルのインスタンスを生成することができる。モデルは、スマートでインテリジェントなモデルとすることができ、このモデルは、ライブラリに記憶する、及び/又は後続のプロジェクトのために容易に再現することができる。例えば、モデルは、複数の構成要素が結合されたHRSGの完全な3Dモデルであるが、製品の大きさは無しとすることができる。そして、方法400は、ブロック410に進んで設計入力ファイルから大きさをインポートし、ブロック412に進んで入力された大きさを適用して、定義されたルールに基づいて計算された大きさを調整し、ブロック414に進んでモデルを受け取り、必要に応じて個々のパラメータを調整する。方法400は、ユーザがモデルを検証することに基づいてモデルを公開することもできる。例えば、公開されたモデルはHRSG(例えば、
図1に関して説明したHSRG18)を構築するために使用される設計ファイル(例えば、CADファイル、設計図)とすることができる。このように、このツールは、HRSGの設計を支援し、ユーザが行う操作の回数を減らすことができる。このようにして、本ツールは、HRSGモデルを生成するために使用される時間及びリソースを削減する、並びにエラー(例えば、部品の位置ずれ又はサイズの誤り)の恐れを低減することができる。
【0073】
上述のHSRGモデルを使用してHRSGを構築することができることに留意すべきである。補助モジュールを使用することによって、及び/又は補助モジュールとHRSGのベースとの間の接続部を標準化することにより、HRSGの構築時間を改善することもできる。例えば、複数の上部プラットフォーム補助モジュール及び/又は側部配管モジュールは地上で構築され、様々なHRSGの実施形態で使用される標準化されたサイズ、形状、及び/又は端子接続部を有するようにすることができる。すなわち、上部プラットフォーム補助モジュールに関連するドラム、サイレンサ、ケーブルトレイ、配管、マニホールド、及び/又は端子接続部は、上部プラットフォーム補助モジュールをHRSGのベースの上に持ち上げる前に、上部プラットフォーム補助モジュールに設置され、各モジュールに対応する全ての構成要素を、対応するモジュールと共に一度に持ち上げることができる。したがって、各上部プラットフォーム補助モジュールを、HRSGのベースの上に(例えば、2クレーン技法によって)吊り上げた場合、HRSGのベースの上部に上部プラットフォーム補助モジュールを組み付けることが、従来の実施形態と比較して簡略化される。このようにして、HRSGの構築に使用される時間及び/又は資源を削減することができる。
【0074】
上述のHRSGの例には、LPドラム、IPドラム、及びHPドラムを有する三重圧力HRSGが含まれることに留意されたい。しかし、開示されたモジュール化された上部プラットフォーム補助モジュールは、他の種類のHRSG(貫流型HRSGなど)にも利用することができる。貫流型HRSGはHPドラムを含まない場合がある。例えば、貫流型HRSGでは、IPドラム及びLPドラムは2つの別個の上部プラットフォーム補助モジュールに分割され、第3の上部プラットフォーム補助モジュールは蒸気マニホールドを含む。別の貫流型HRSGでは、2つの上部プラットフォーム補助モジュールのみを使用することができる(例えば、一方の上部プラットフォーム補助モジュールは蒸気マニホールドを有し、他方の上部プラットフォーム補助モジュールはIPドラムとLPドラムの両方を有する)。更に別の貫流型HRSGでは、複数のマニホールド及び/又は配管アセンブリが専用の上部プラットフォーム補助モジュール(例えば、第1のマニホールドに対応する第1の上部プラットフォーム補助モジュールと、第2のマニホールドに対応する第2の上部プラットフォーム補助モジュール)を含むことができる。従って、
図1-
図10で上述した例(上述した例のうちの一部は三重圧力HRSGに関する)は、他の種類のHRSG(上述した貫流型HRSGなど)にも適用できることを理解されたい。
【0075】
本開示の技術的効果としては、HRSGシステムの設計時間を短縮すること、HRSGの設計技術を簡素化すること、及びHRSGシステムの設計に掛かるコストを削減することが挙げられる。特に、開示された実施形態は、構成要素をそれぞれの補助モジュールにグループ化することによりHRSGをモジュール化し、補助モジュールを標準化する。このようにして、構成要素の配置及びルーティングは、HSRG全体ではなく、それぞれの補助モジュールに制約され、これによりHRSGの設計の複雑さ及び/又は構築時間を削減することができる。例えば、ツールは、ユーザが実行する操作の回数を減らすことによって、HSRGの設計を支援し、HRSGの設計に使用される時間とリソースを削減することができる。
【0076】
更に、構成要素が補助モジュールにグループ化されているため、HRSGの構築を簡素化することができる。例えば、上部補助モジュールは地上で構築することができ、ベースの上に持ち上げるだけでよい。別の例では、側部補助モジュールが地上で構築され、ベースの側部まで持ち上げられ、上部補助モジュールに連結され、HRSGを構築することができる。補助モジュールが地上にある場合、HRSGのベースに個別に構成要素を配置しルーティングするよりも、構成要素の位置の調整、構成要素の構成の調整、構成要素の交換、及び/又は構成要素の連結を容易に行うことができる。このようにして、HRSGの構築に掛かる時間と資源を削減することができる。
【0077】
本明細書で説明する技術は、コンピュータベースのシステム、及びコンピュータベースのシステムによって行われる動作、コンピュータベースのシステムに送られる情報、コンピュータベースのシステムから送られる情報に言及している。当業者であれば、コンピュータベースのシステムの固有の柔軟性により、構成要素間で、タスク及び機能の考えられる多種多様な構成、組合せ、及び分割をすることができることを認識する。例えば、本明細書で説明されるプロセスは、単一のコンピューティング装置又は組み合わせて動作する複数のコンピューティング装置を使用して実装することができる。データベース、メモリ、命令、及びアプリケーションは、単一のシステムに実装してもよいし、複数のシステムに分散して実装してもよい。分散された構成要素は、シーケンシャルに又は並列に動作することができる。
【0078】
上記で詳述した主題は、以下に示すように、1つ以上の実施形態によって定義することができる。
【0079】
[実施形態1]熱回収蒸気発生器(HRSG)を設計する方法は、プロセッサを通じて、HRSGモデルの複数の構成要素に関連する複数のパラメータを含む設計入力ファイルを受け取ること、及びHRSGモデルのオブジェクトモデルを選択する指示を受け取ることを含む。また、本方法は、前記プロセッサ及びツールを通じて、ライブラリから前記オブジェクトモデルを検索し、ディスプレイのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)に入力すること、及び前記オブジェクトモデルの各構成要素に対応するパラメータの第1のセットを適用することによって、前記HRSGモデルを生成することを含み、前記HRSGモデルは、前記HRSGを構築するために使用される設計ファイルに対応する。
【0080】
[実施形態2] 前記HRSGモデルを検証する追加の指示を受け取ったことに応答して、前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記HRSGモデルを公開することを含む、実施形態1に記載の方法。
【0081】
[実施形態3]
前記設計ファイルを用いて、前記設計ファイルを使用してHRSGを構築すること、及び前記HRSGのベースに第1の上部補助モジュールを配置することによって、前記HRSGを構築することを含む、実施形態1又は2に記載の方法。
【0082】
[実施形態4]
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記オブジェクトモデルに基づいて前記ライブラリから前記HRSGモデルのベースを検索すること、
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記ライブラリから、前記オブジェクトモデルを前記ベースに結合するための接続部をライブラリから検索すること、及び
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記接続部を使用して前記オブジェクトモデルを前記ベースに結合すること
を含む、実施形態1~3のうちのいずれかの実施形態に記載の方法。
【0083】
[実施形態5]
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記HRSGモデルの追加のオブジェクトモデルを選択する追加の指示を受け取ること、前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記ライブラリから追加のオブジェクトモデルと、前記追加のオブジェクトモデルを前記ベースに結合するための追加の接続部とを検索すること、及び前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記追加のオブジェクトモデルの各構成要素に対応するパラメータの第2のセットを適用することによって、前記HRSGモデルを更新することを含む、実施形態1~4のうちのいずれかの実施形態に記載の方法。
【0084】
[実施形態6]
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記オブジェクトモデル内の構成要素の位置を調整するための追加の指示を受け取ること、及び
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記構成要素の位置及び前記設計入力ファイルを使用して、前記オブジェクトモデルを更新することであって、前記設計入力ファイルは、前記オブジェクトモデルのレイアウトガイドラインを含む、前記オブジェクトモデルを更新すること
を含む、実施形態1~5のうちのいずれかの実施形態に記載の方法。
【0085】
[実施形態7]
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記構成要素の位置及び前記設計入力ファイルを使用して、前記オブジェクトモデルを更新することは、前記追加の指示に基づいて前記構成要素の位置を調整すること、及び前記設計入力ファイルに基づいて前記オブジェクトモデル内の追加の構成要素の位置を調整することを含む、実施形態1~6のうちのいずれかの実施形態に記載の方法。
【0086】
[実施形態8]
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、追加の構成要素を前記オブジェクトモデルに追加する追加の指示を受け取ること、前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記設計入力ファイルに基づいて前記追加の構成要素の位置を決定すること、及び前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記オブジェクトモデルを前記追加の構成要素で更新すること、を含む、実施形態1~7のうちのいずれかの実施形態に記載の方法。
【0087】
[実施形態9]
前記方法は、前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記オブジェクトモデル内で使用するための複数の構成要素を生成することであって、前記複数の構成要素の各構成要素の最大の大きさ及び最小の大きさを決定すること、各構成要素の前記最大の大きさを使用して、各構成要素の静的モデルを生成すること、及び前記静的モデルを前記ライブラリに記憶すること
によって、前記ライブラリに記憶され、前記オブジェクトモデル内で使用するための前記複数の構成要素を生成することを含む、実施形態1~8のうちのいずれかの実施形態に記載の方法。
【0088】
[実施形態10]
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、各構成要素の複数の変数を決定すること、及び前記第1の構成要素の1つ又は複数の変数の決定に応答して、前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記複数の構成要素のうちの第1の構成要素のそれぞれのサブアセンブリグループを生成することを含む、実施形態1~9のうちのいずれかの実施形態に記載の方法。
【0089】
[実施形態11]
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記第1の構成要素の追加の変数が無いと決定したことに応答して、前記第1の構成要素を前記ライブラリに記憶することを含む、実施形態1~10のうちのいずれかの実施形態に記載の方法。
【0090】
[実施形態12]
前記HRSGモデルのベースを選択する追加の指示を受け取ったことに応答して、前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記ライブラリから前記HRSGモデルのベースを検索すること、前記オブジェクトモデルの接続部及び前記ベースの接続部に基づいて、前記ライブラリからリンク要素を検索すること、前記リンク要素を使用して前記オブジェクトモデルと前記ベースを結合することを含む、実施形態1~11のうちのいずれかの実施形態に記載の方法。
【0091】
[実施形態13]
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、前記オブジェクトモデルの構成要素のパラメータを調整するための追加の指示を受け取ること、及び前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、構成要素のパラメータを調整することによって、オブジェクトモデルを調整することによって、HRSGモデルを更新することを含む、実施形態1~12のうちのいずれかの実施形態に記載の方法。
【0092】
[実施形態14]
前記プロセッサ及び前記ツールを通じて、後続のプロジェクトのために、前記HRSGモデルを前記ライブラリに保存することを含む、実施形態1~13のうちのいずれかの実施形態に記載の方法。
【0093】
[実施形態15]
熱回収蒸気発生器(HRSG)モデルを設計するためのシステムは、設計アプリケーションを記憶する又は設計アプリケーションにアクセスするプロセッサベースの装置を含み、設計アプリケーションは、前記プロセッサベースの装置によって実行されると、ツールを選択することを示すユーザ入力を受け取ることを含む動作を実行し、前記ツールは、前記プロセッサベースの装置によって実行されると、前記HRSGモデルのライブラリからオブジェクトモデルを選択する指示を受け取ることを含む動作を実行する。また、前記ツールは、前記プロセッサベースの装置によって実行されると、前記ライブラリからベース及び前記オブジェクトモデルを検索することであって、前記オブジェクトモデルは構成要素を含む、検索すること、前記構成要素のパラメータを含む設計入力ファイルを受け取ること、及び前記パラメータを前記構成要素に適用して前記HRSGモデルを生成することを実行する。
【0094】
[実施形態16]
前記サンプリングツールは、前記プロセッサベースの装置によって生成されると、前記HRSGモデル内の前記オブジェクトモデルの位置を調整するための追加の指示を受け取ること、設計入力ファイルから前記オブジェクトモデルに関連するレイアウト原理を特定すること、前記レイアウト原理に基づいて前記オブジェクトモデルの位置を調整することを含む動作を実行する、実施形態15に記載のシステム。
【0095】
[実施形態17]
前記サンプリングツールは、前記プロセッサベースの装置によって生成されると、前記構成要素の最大の大きさ及び最小の大きさを決定すること、前記構成要素の最大の大きさを用いて前記構成要素の静的モデルを生成すること、及び前記静的モデルをライブラリに記憶すること
を含む動作を実行する、実施形態15又は16に記載のシステム。
【0096】
[実施形態18]
前記サンプリングツールは、前記プロセッサベースの装置によって生成されると、前記オブジェクトモデルの接続部と、前記ベースの接続部とを特定すること、前記オブジェクトモデルの接続部と前記ベースの接続部とに基づいて、前記ライブラリからリンク要素を検索すること、及び前記リンク要素を使用して、前記オブジェクトモデルを前記ベースに結合することを含む動作を実行する、実施形態15~17のうちのいずれかの実施形態に記載のシステム。
【0097】
[実施形態19]
前記サンプリングツールは、前記プロセッサベースの装置によって生成されると、後続のプロジェクトのために、前記HRSGモデルを前記ライブラリに保存することを含む動作を実行する、実施形態15~18のうちのいずれかの実施形態に記載のシステム。
【0098】
本明細書では、実施例を用いて、本発明(最良の態様を含む)を開示し、また、当業者であれば誰でも本発明を実施すること(例えば、任意の装置又はシステムを製造する及び使用すること、並びに組み込まれた任意の方法を実行すること)ができる。本発明の特許可能な範囲は特許請求の範囲によって定義され、当業者に思いつく他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を含む場合、又は特許請求の範囲の文言と実質的に異ならない均等な構造要素を含む場合、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0099】
20 排ガス
22 水
26 蒸気タービン
28 圧縮機
30 燃焼器
32 タービン
34 シャフト
36 負荷
38 シャフト
40 負荷
42 復水器
51 LP蒸気
52 LPエコノマイザ
54 LP蒸発器
56 LPドラム
58 LP過熱器
61 IP蒸気
62 IPエコノマイザ
64 IP蒸発器
66 IPドラム
68 IP過熱器
71 HP蒸気
81 UP蒸気
104 第2の上部プラットフォーム補助モジュール
114 HRSGモデル
142 蒸気マニホールド
144 ケーブルトレイ
146 フレーム
150 安全バルブ
152,154 HP蒸気起動ベントバルブ
156 基準点
158 北方向
160 東方向
162 上方向
182 ケーブルトレイ
184 フレーム
185 HPライザ
186 HPドラム機器
188 蒸気リンク
190 蒸気入口
222 ケーブルトレイ
224 フレーム
226 IPライザ
228 IP飽和蒸気パイプ
230 IPドラムベント
234 ジャンクションボックス
260 第4の上部プラットフォーム補助モジュール
262 ケーブルトレイ
264 フレーム
266 LPライザ
268 飽和蒸気パイプ
270 LPドラム通気バルブ
280 安全リリーフバルブプラットフォーム
302 上部プラットフォームアセンブリ
304 ベース
314 配管モジュール
316 ブローダウンタンクモジュール
318 煙突
320 入口ダクト
322 カラム
350 方法
352 ブロック
354 ブロック
356 ブロック
358 ブロック
360 ブロック
362 判断ブロック
364 ブロック
366 ブロック
368 判断ブロック
400 方法
402 ブロック
404 ブロック
406 ブロック
408 ブロック
410 ブロック
412 ブロック
414 ブロック
416 ブロック
418 ブロック
420 ブロック
500 設計システム
510 装置
530 プロセッサ
540 メモリ
552 ツール
560 ユーザインターフェース
580 ネットワークインターフェース
【外国語明細書】