(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008126
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】方法、処理装置またはプログラム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/63 20180101AFI20250109BHJP
F24F 11/46 20180101ALI20250109BHJP
F24F 130/20 20180101ALN20250109BHJP
F24F 140/50 20180101ALN20250109BHJP
【FI】
F24F11/63
F24F11/46
F24F130:20
F24F140:50
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110026
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相賀 洋
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA75
3L260CA34
3L260CB84
3L260EA03
(57)【要約】
【課題】建物の熱負荷を適切に計算可能な方法を提供する。
【解決手段】処理装置に実行させる、外皮及び前記外皮に隣接する遮蔽部材を備えた建物に対する動的熱負荷計算の方法であって、前記外皮を、前記動的熱負荷計算上の要素である外皮要素として設定する処理と、前記遮蔽部材を、前記動的熱負荷計算上の要素である遮蔽要素として設定する処理と、前記遮蔽要素に対して前記建物の屋内側に、前記動的熱負荷計算上の要素である可変境界面要素を設定する処理と、前記可変境界面要素に流路条件、伝熱条件及び光透過率を設定する条件設定処理と、を含む方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置に実行させる、外皮及び前記外皮に隣接する遮蔽部材を備えた建物に対する動的熱負荷計算の方法であって、
前記外皮を、前記動的熱負荷計算上の要素である外皮要素として設定する処理と、
前記遮蔽部材を、前記動的熱負荷計算上の要素である遮蔽要素として設定する処理と、
前記遮蔽要素に対して前記建物の室内側に、前記動的熱負荷計算上の要素である可変境界面要素を設定する処理と、
前記可変境界面要素に流路条件、伝熱条件及び光透過条件を設定する条件設定処理と、
を含む方法。
【請求項2】
前記可変境界面要素は、上部、下部、及びスリットにそれぞれ対応する複数の計算点を有し、
前記複数の計算点のそれぞれに対して、流路条件、伝熱条件及び光透過条件が設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記条件設定処理は、前記動的熱負荷計算の複数の計算ステップにおいて実行され、
前記複数の計算ステップのそれぞれにおいて、対応する流路条件、伝熱条件及び光透過条件が設定される、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の計算ステップのうち、各ステップは、
前記可変境界面要素における風量を計算し、ステップ風量とする処理と、
前記条件設定処理を実行し、前記ステップ風量に対応する流路条件、伝熱条件及び光透過条件を設定して、それぞれ、ステップ流路条件、ステップ伝熱条件及びステップ光透過条件とする処理と、
前記ステップ風量、前記ステップ流路条件、前記ステップ伝熱条件及び前記ステップ光透過条件に基づき、前記建物の熱負荷を計算する処理と、を含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の計算ステップのうち、各ステップは、
前記建物の室内調光率を求めて、ステップ調光率とする処理をさらに含み、
前記条件設定処理を実行し、前記ステップ調光率に対応する流路条件、伝熱条件及び光透過条件を設定して、それぞれ、ステップ流路条件、ステップ伝熱条件及びステップ光透過条件とする処理と、
前記ステップ調光率、前記ステップ流路条件、前記ステップ伝熱条件及び前記ステップ光透過条件に基づき、前記建物の熱負荷を計算する処理と、を含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の計算ステップのうち、各ステップは、
前記可変境界面要素における日射熱取得を計算し、ステップ日射熱取得とする処理と、
前記条件設定処理を実行し、前記ステップ日射熱取得に対応する流路条件、伝熱条件及び光透過条件を設定して、それぞれ、ステップ流路条件、ステップ伝熱条件及びステップ光透過条件とする処理と、
前記ステップ日射熱取得、前記ステップ流路条件、前記ステップ伝熱条件及び前記ステップ光透過条件に基づき、前記建物の熱負荷を計算する処理と、を含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップ風量は、
前記可変境界面要素に回路節点を設定し、前記回路節点ごとに前記各ステップに対応する流路条件を与えることにより計算される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップ調光率は、
前記外皮要素、前記遮蔽要素、及び前記可変境界面要素のそれぞれに対して前記各ステップに対応する光透過条件を設定することによって計算される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記ステップ日射熱取得は、
前記外皮要素、前記遮蔽要素、及び前記可変境界面要素に対して前記各ステップに対応する熱平衡式をたてることによって計算される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の方法を実行する処理装置。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか1項に記載の方法を処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方法、処理装置またはプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、動的熱負荷計算を行う装置、プログラム等が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-101880号公報
【特許文献2】特許第6572759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の動的熱負荷計算において、窓の熱負荷は遮蔽係数と熱貫流率の2つの一定の性能値を用いて算出していた。しかしながら、空気流通や日射遮蔽に関連した制御を行うシステムに対しては、時々刻々と性能が変化するため、遮蔽係数と熱貫流率の2つの性能値だけでは正確な熱負荷計算ができない状況となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を鑑み、本発明は一態様として、処理装置に実行させる、外皮及び前記外皮に隣接する遮蔽部材を備えた建物に対する動的熱負荷計算の方法であって、前記外皮を、前記動的熱負荷計算上の要素である外皮要素として設定する処理と、前記遮蔽部材を、前記動的熱負荷計算上の要素である遮蔽要素として設定する処理と、前記遮蔽要素に対して前記建物の屋内側に、前記動的熱負荷計算上の要素である可変境界面要素を設定する処理と、前記可変境界面要素に流路条件、伝熱条件及び光透過条件を設定する条件設定処理と、を含む方法を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、建物の熱負荷を適切に計算可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態における処理装置のハードウェア構成の概要である。
【
図2】実施形態における処理装置の機能構成(ソフトウェア構成)の概要である。
【
図3A】実施形態においてモデル化対象とした建物の構成を(a)から(e)に示した説明図である。
【
図3B】実施形態においてモデル化対象とした建物の構成を(f)から(g)に示した説明図である。
【
図4】実施形態におけるモデルの構成を示す説明図である。
【
図5】実施形態における、通常のペリメータを持った建物のモデルにおける諸元を示す説明図である。
【
図6】実施形態における、エアバリアが設置された建物のモデルにおける諸元を示す説明図である。
【
図7】実施形態における、プッシュプル型エアバリアが設置された建物のモデルにおける諸元を示す説明図である。
【
図8】実施形態における、エアフローウインドウが設置された建物のモデルの諸元を示す説明図である。
【
図9】実施形態における、エアフロースクリーンが設置された建物のモデルにおいて、ロールスクリーンを下げた状態での諸元を示す説明図である。
【
図10】実施形態における、エアフロースクリーンが設置された建物のモデルにおいて、ロールスクリーンを上げた状態での諸元を示す説明図である。
【
図11】実施形態における、ブラインド中空層で通風するエアバリアが設置された建物のモデルにおける諸元を示す説明図である。
【
図12】実施形態における、ブラインド中空層で通風するプッシュプル型エアバリアが設置された建物のモデルにおける諸元を示す説明図である。
【
図13】実施形態における処理のフローチャートである。
【
図14】実施形態において日射熱取得の計算に用いられる諸元及び構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態>
以下に、本発明の実施形態の一つである処理装置1について説明する。処理装置1は、動的熱負荷計算を実施することが可能である。
【0009】
処理装置1の実現に用いるハードウェアの一例を
図1に示す。同図に示すように、処理装置1は、プロセッサ101、主記憶装置102、補助記憶装置103、入力装置104、出力装置105、および通信装置106を備える。これらは図示しないバス等の通信手段を介して互いに通信可能に接続されている。
【0010】
尚、処理装置1は、その全ての構成が必ずしもハードウェアで実現されている必要はなく、構成の全部又は一部が、例えば、クラウドシステム(cloud system)のクラウドサーバ(cloud server)のような仮想的な資源によって実現されていてもよい。また、処理装置1は、必ずしも1つの装置で構成される必要は無い。
【0011】
プロセッサ101は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等を用いて構成される。プロセッサ101が、主記憶装置102に格納されているプログラムを読み出して実行することにより、処理装置1の機能が実現される。
【0012】
主記憶装置102は、プログラムやデータを記憶する装置であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性半導体メモリ(NVRAM(Non Volatile RAM))等である。補助記憶装置103は、SSD(Solid State Drive)、SDメモリカード等の各種不揮発性メモリ(NVRAM:Non Volatile RAM)、ハードディスクドライブ、光学式記憶装置(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等)、クラウドサーバの記憶領域等である。
【0013】
入力装置104は、情報の入力を受け付けるインタフェースであり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、カードリーダ、音声入力装置(マイクロフォン等)、音声認識装置等である。処理装置1が通信装置106を介して他の装置との間で情報の入力を受け付ける構成としてもよい。
【0014】
出力装置105は、各種の情報を出力するインタフェースであり、例えば、画面表示装置(液晶モニタ、LCD(Liquid Crystal Display)、グラフィックカード等)、印字装置等)、音声出力装置(スピーカ等)、音声合成装置等である。処理装置1が通信装置106を介して他の装置との間で情報の出力を行う構成としてもよい。出力装置105は本発明における表示部に相当する。
【0015】
通信装置106は、ネットワークを介した他の装置との間の通信を実現する有線方式又は無線方式の通信インタフェースであり、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線通信モジュール、USB(Universal Serial Bus)モジュール、シリアル通信モジュール等である。
【0016】
〔機能構成〕
処理装置1が備える主な機能構成を
図2に示す。同図に示すように、処理装置1は記憶領域110及び管理部120を備える。
【0017】
管理部120の機能は、プロセッサ101が主記憶装置102または補助記憶装置103に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。管理部120は、動的熱負荷計算などの処理を行う。詳細は後述する。
【0018】
記憶領域110は、主記憶装置102または補助記憶装置103に形成される。記憶領域110には、動的熱負荷計算のモデルM、及びモデルMの熱負荷計算上の設定条件が保存される。
【0019】
〔建物及びモデル〕
ここで、モデルMは、熱負荷計算の対象である建物B1-B5(
図3Aに示す)を、動的熱負荷計算用にモデル化したものである。なお、モデルM及び建物B1-B5における、上下や室内(居室)側、外側などの方向は、建物B1-B5の設計に基づいて
図3Aに示すように定義される。
【0020】
建物B1は、
図3A(a)に示すように、建物B1の外皮を構成する窓Wと、窓Wの室内側において窓Wに隣接して配置されるブラインドBLと、窓W及びブラインドBLの上方に設けられた天井Cと、室内の床面FLとを少なくとも備える。ブラインドBLには様々な部材が採用され得るが、具体例としてロールスクリーン、ブラインドなどが挙げられる。
【0021】
動的熱負荷計算の対象となる建物の設備には、建物B1の窓W、天井C、及びブラインドBLに加えて、様々なものが考え得る。このような設備を備えた建物を、建物B2-B5として
図3A(b)-(e)に例示する。
【0022】
建物B2は、ペリメータにエアバリアを形成する建物である。建物B2は、
図3A(b)に示すように、窓W、天井C、床面FL、及びブラインドBLに加え、天井Cに設置されたファンF1をさらに備える。ファンF1は、ブラインドBLよりも室内側に配置され、室内の空気を吸い込む機能を有する。
【0023】
建物B3は、ペリメータにプッシュプル型エアバリアを形成する建物である。具体的に述べると、建物B2は、
図3A(c)に示すように、窓W、天井C、床面FL、及びブラインドBLに加え、ファンF1と、窓Wよりも下方に設置された給気ファンF2をさらに備える。給気ファンF2は、ブラインドBLよりも室内側に配置され、室内に空気を送り込むことができる。
【0024】
建物B4は、ペリメータにエアフローウインドウを形成する建物である。具体的に述べると、建物B4は、
図3A(d)に示すように、窓W、天井C、床面FL及びブラインドBLに加え、ファンF1と、ガラス壁GLをさらに備える。ガラス壁GLは、窓W及びブラインドBLよりも室内側に配置されているとともに、床面FLとの間にスリットSを形成する。室内の空気は、スリットSを通り、さらにブラインドBLとガラス壁GLとの間に形成された空間(エアフロー中空層とも称する)を通って、ファンF1に吸気される。
【0025】
建物B5は、ペリメータにエアフロースクリーンを形成する建物である。具体的に述べると、建物B4は、
図3A(e)に示すように、窓W、天井C、床面FL、及びブラインドBLに加え、ファンF1と、ブラインドBLよりも室内側に設置されたロールスクリーンRSをさらに備える。ロールスクリーンRSは昇降の制御が可能である。ロールスクリーンRSを下げた状態において、ロールスクリーンRSと床面FLとの間にはスリットSが形成される。室内の空気は、スリットSを通り、さらにブラインドBLとロールスクリーンRSとの間に形成された空間(エアフロー中空層)を通って、ファンF1に吸気される。
【0026】
建物B6は、ペリメータにエアバリアを形成する建物である。具体的に述べると、建物B6は、
図3B(f)に示すように、窓W、天井C、床面FL、及びブラインドBLに加え、天井Cの上方、かつ、ブラインドBLと窓Wとの間に配置されたファンF1を備える。室内の空気は、ブラインドBLまたはスリットSを通り、さらにブラインドBLと窓Wとの間に形成された空間(ブラインド中空層とも称する)を通って、ファンF1に吸気される。
【0027】
建物B7は、ペリメータにプッシュプル型エアバリアを形成する建物である。具体的に述べると、建物B7は、
図3B(g)に示すように、窓W、天井C、床面FL、及びブラインドBLに加え、天井Cの上方に配置されたファンF1と床面FLの下方に配置されたファンF2とを備える。ファンF1、F2はいずれもブラインドBLと窓Wとの間に配置されている。ファンF2は、ブラインドBLと窓Wとの間に形成された空間(ブラインド中空層)に空気を送り込む。また、ファンF1は、ブラインド中空層から吸気する。
【0028】
モデルMは、
図4に示すように、窓Wをモデル化した外皮要素MWと、ブラインドBLをモデル化した遮蔽要素MSHとを備える。加えて、モデルMは、遮蔽要素MSHの室内側に配置された可変境界面要素MVを備える。これらの要素MW、MSH、MVにより、建物B1-B5の空間は、外部から室内側へ向かうに従い、ブラインド中空層、エアフロー中空層、及び居室に区切られる。
【0029】
可変境界面要素MVには、熱抵抗以外にも光透過率、熱伝導率、容積比熱、及び密度、さらに流路条件が、ブラインドBLの物性に基づいて設定される。光透過率は、可変境界面要素MVの光透過条件に相当し、熱抵抗以外にも、熱伝導率、容積比熱、及び密度は、それぞれ可変境界面要素MVの伝熱条件に相当する。流路条件は、空気の流れる条件を設定する者であり、具体的には流量係数及び風量の少なくとも1つが含まれる。
【0030】
可変境界面要素MVの要素設定の一例としては、窓要素と内壁要素との2つの要素の複合体として形成することが考えられる。窓要素では熱貫流率をゼロとし、日射の透過率及び反射率を可変境界面要素MVのモデル対象とした部材の物性に従って設定する。一方、内壁要素の日射の透過率をゼロとし、熱抵抗以外にも熱伝導率、容積比熱、及び密度を、可変境界面要素MVのモデル対象とした部材の熱抵抗以外にも熱伝導率、容積比熱、及び密度と等しい値に設定する。また、室温変動に対する除去熱量重み係数に対する、内壁要素の除去熱重み係数の算入が行われる。窓要素と内壁要素の2要素による計算が複合される結果、モデルMを用いた熱負荷計算が適切に実行され、建物B1-B5における熱負荷を適切にシミュレートすることが可能となる。
【0031】
可変境界面要素MVにおいては、可変境界面上部の回路節点C1、可変境界面下部の回路節点C2、可変境界面スリットの回路節点C3の、3つの回路節点が設定される(
図4)。また、エアフロー中空層の上部には、天井排気口の回路節点C4が設定される。これらの回路節点C1-C4では、それぞれにおいて、計算対象となる建物に応じて、空気の流れる条件である流路条件が設定される。
【0032】
回路節点C1は、可変境界面Vの上部を通過する空気の流路に相当する節点であり、回路節点C2は、可変境界面Vの下部を通過する空気の流路に相当する節点である。回路節点C3は、スリットSまたは給気ファンF2が送気する空気の流路を示す。また、回路節点C4は、吸気ファンF1が吸気する空気の流路に相当する。
【0033】
外皮要素MW及び遮蔽要素MSHについても、それぞれ、熱抵抗以外にも光透過率、熱伝導率、容積比熱、及び密度が、外皮要素MW及びブラインドBLの物性に基づいて設定される。
【0034】
遮蔽要素MSHにおいては、ブラインド上部の回路節点C5、ブライン下部の回路節点C6という2つの回路が設定される。回路節点C5はブラインドBLの上部を通過する空気の流路に相当し、回路節点C6は、ブラインドBLの下部を通過する空気の流路に相当する。回路節点C5、C6についても、計算対象となる建物に応じて、空気の流れる条件である流路条件が設定される。
【0035】
詳細は後述するが、モデルMの各回路節点C1-C7においては、回路、流量係数、風量、熱抵抗、及び光透過率が設定される。なお、各回路節点C1-C7の回路条件は、上述の通り空気の流路として設定される。
【0036】
モデルMの具体的な設定事例を
図5から
図9に示す。
図5-
図9では、建物B1-B5をモデル化した事例を示しており、それぞれをモデルM1-M5と称する。つまり、M1-M5は、
図4に示すモデルMと同じ要素構成を有しており、各要素における伝熱条件などの具体的な設定内容が異なる。換言すれば、モデルMは、様々なペリメータあるいは窓システムを有する建物に対応できる、汎用モデルまたは標準モデルであるといえる。
【0037】
(モデルM1)
建物B1をモデル化したモデルM1では、
図5のように計算条件が設定される。建物B1では、ペリメータが窓WとブラインドBLのみで構成されており、ブラインドBLよりも室内側に遮蔽部材は設置されていない。
【0038】
モデルM1では、可変境界面要素MVに相当する設備の実体が無い。そのため、
図5に示すように、モデルM1の回路節点C1-C3について、空気抵抗が無いもの(流量係数:α=1)と設定される。また、空気を強制的に流すのではなく、周囲の通風に応じて通気するものと設定される(風量:「成行」)。可変境界面要素MVの熱抵抗はなく(熱抵抗:R=0)、光をすべて透過するものとして設定される(光透過率:τ=1)。
【0039】
モデルM1の回路節点C4では、空気を通さないものとして設定される(風量:ゼロ)。建物B1にファンF1が存在しないためである。
【0040】
回路節点C5、C6では、ブラインドBLのスラットの状態に応じたスラット関数として流路条件が設定される。つまり、スラットが開いており抵抗が無い状態(スラット関数=1)以下、空気を通さない状態(スラット関数=0)以上の間で、ブラインドBLの状態に応じて設定される(風量:「成行」)。光透過率についても同様であり、光を透過する状態(スラット関数=1)以下、光を通さない状態(スラット関数=0)以上の間で、ブラインドBLの状態に応じて設定される。
【0041】
回路節点C5、C6の熱抵抗については、ブラインドBLの状態に応じたRBL関数として設定される。つまり、熱抵抗が無い状態(RBL=0)以上、熱を通さない状態(RBL=1)以下の間で、ブラインドBLの状態に応じて設定される。
【0042】
回路節点C7は、建物内に空気を供給する自由開口として設定される。したがって、風量は「成行」として設定される。
【0043】
(モデルM2)
ペリメータにエアバリアが設置された建物B2をモデル化したモデルM3では、
図6のように計算条件が設定される。
【0044】
モデルM2では、可変境界面要素MVに相当する設備の実体が無い。そのため、回路節点C1-C3については、
図6に示すように、モデルM1の回路節点C1-C3と同じ条件が設定される。
【0045】
モデルM2の回路節点C4については、
図6に示すように、ファンF1による排気風量が設定される。
【0046】
モデルM2の回路節点C5-C7については、モデルM1の回路節点C5-C7と同じ条件が設定される。建物B1と建物B2において、ブラインドBLの構成は同じであるためである。
【0047】
(モデルM3)
ペリメータにプッシュプル型エアバリアが設置された建物B3をモデル化したモデルM3では、
図7のように計算条件が設定される。
【0048】
モデルM3では、可変境界面要素MVに相当する設備の実体が無い。そのため、モデルM3の回路節点C1-C2については、
図7に示すように、モデルM1の回路節点C1-C2と同じ条件が設定される。
【0049】
モデルM3の回路節点C3では、ファンF2が室内に供給する風量(風量:押込風量)が設定される。
【0050】
モデルM3の回路節点C4については、
図7に示すように、ファンF1による排気風量が設定される。
【0051】
モデルM3の回路節点C5-C7については、モデルM1の回路節点C5-C7と同じ条件が設定される。建物B1と建物B3において、ブラインドBLの構成は同じであるためである。
【0052】
(モデルM4)
ペリメータにエアフローウインドウが設置された建物B4をモデル化したモデルM4では、
図8のように計算条件が設定される。
【0053】
モデルM4では、ガラス壁GLが可変境界面要素MVに相当する。そのため、
図8に示すように、モデルM4の回路節点C1、C2について、空気を通さない条件設定(流量係数:α≒0)がなされる。また、空気を強制的に流すのではなく、周囲の通風に応じて通気するものと設定される(風量:「成行」)。可変境界面要素MVの熱抵抗はガラス壁GLを構成するガラスの熱抵抗に相当する値が設定され(熱抵抗:R
GLASS)、透過光はガラスへの入射角によって決まる関数として設定される(光透過率:入射角関数)。
【0054】
モデルM4の回路節点C3では、空気がスリットSを通過する際の流量係数が設定される。この実施形態では、図示のように流量係数を0.7としているが、スリットSの大きさ、形状などに応じて、その他の数値が採用され得る。
【0055】
モデルM4の回路節点C4については、
図8に示すように、ファンF1による排気風量が設定される。
【0056】
モデルM4の回路節点C5-C7については、モデルM1の回路節点C5-C7と同じ条件が設定される。建物B1と建物B4において、ブラインドBLの構成は同じであるためである。
【0057】
(モデルM5)
ペリメータにエアフロースクリーンが設置された建物B5をモデル化したモデルM5では、
図9及び
図10のように計算条件が設定される。
図9は、ロールスクリーンRSを下げた状態での条件を示し、
図10は、ロールスクリーンRSを上げた状態での条件を示す。
【0058】
モデルM5では、ロールスクリーンRSが可変境界面要素MVに相当する。そのため、ロールスクリーンRSを下げた状態(簡略に「RS下げ」とする)では、
図9に示すように、モデルM5の回路節点C1、C2について、ロールスクリーンRSに対応する静圧・風量特性曲線に基づく風量設定がなされる(風量:PQ曲線)。可変境界面要素MVの熱抵抗はガラス壁GLを構成するロールスクリーンRSの熱抵抗に相当する値が設定され(熱抵抗:R
RS)、光透過率はロールスクリーンRSの物性に基づいた値が設定される(光透過率:τ
RS)。
【0059】
回路節点C3(RS下げ)では、空気がスリットSを通過する際の流量係数が設定される。この実施形態では、図示のように流量係数を0.7としているが、スリットSの大きさ、形状などに応じて、その他の数値が採用され得る。
【0060】
ロールスクリーンRSを上げた状態(簡略に「RS上げ」とする)では、可変境界面要素MVに相当する実体がない。そのため、モデルM5の回路節点C1-C3(RS上げ)に対して、モデルM1での回路節点C1-C3と同様の設定が為される(
図10)。
【0061】
モデルM5の回路節点C4については、ロールスクリーンRSの上下に関わらず、
図9及び
図10に示すように、ファンF1による排気風量が設定される。
【0062】
モデルM5の回路節点C5-C7については、ロールスクリーンRSの上下に関わらず、モデルM1の回路節点C5-C7と同じ条件が設定される(
図9及び
図10)。建物B1と建物B5において、ブラインドBLの構成は同じであるためである。
【0063】
(モデルM6)
ペリメータにエアバリアが設置された建物B6をモデル化したモデルM6では、
図11のように計算条件が設定される。モデルM6では、ブラインドBLが可変境界面要素MVに相当する。そのため、
図11に示すように、モデルM6の回路節点C1、C2について、モデルM1の回路節点C5、C6と同様に、ブラインドBLのスラットの状態に応じたスラット関数として流路条件が設定される。
【0064】
モデルM6の回路節点C3では、空気がスリットSを通過する際の流量係数が設定される。この実施形態では、ブラインドBLが下された状態を想定し、図示のように流量係数の設定なしとしているが、スリットSの大きさ、形状などに応じて、流量係数には0以上1以下の数値が採用され得る。
【0065】
モデルM6の回路節点C4では、
図11に示すように、ファンF1による排気風量が設定される。
【0066】
モデルM6の回路節点C5、C6では、これに相当する部材の実体が無い。そのため、そのため、
図11に示すように、モデルM6の回路節点C5、C6について、空気抵抗が無く(流量係数:α=1)周囲の通風に応じて通気し(風量:「成行」)、熱抵抗はなく(熱抵抗:R=0)、光をすべて透過するものとして設定される(光透過率:τ=1)。
【0067】
モデルM6の回路節点C7では、モデルM1の回路節点C7と同じ条件が設定される(
図11)。
【0068】
(モデルM7)
ペリメータにプッシュプル型のエアバリアが設置された建物B7をモデル化したモデルM7では、
図12のように計算条件が設定される。モデルM7では、ブラインドBLが可変境界面要素MVに相当する。モデルM7は、ファンF2が存在するという条件を除くと、モデルM6と同様の構成である。そのため、モデルM7の回路節点C1、C2、C4-C7には、それぞれ、モデルM6の回路節点C1、C2、C4-C7と同様の設定が為されている。
【0069】
モデルM7の回路節点C3では、ファンF2が室内に供給する風量(風量:押込風量)が設定される。また、モデルM7の回路節点C3では、空気がスリットSを通過する際の流量係数が設定される。この実施形態では、ブラインドBLが下された状態を想定し、図示のように流量係数を設定なしとしているが、スリットSの大きさ、形状などに応じて、流量係数には0以上1以下の数値が採用され得る。
【0070】
〔処理詳細〕
処理装置1において実行される処理について説明する。管理部120は、
図11に示すような処理を実行する。
【0071】
まず管理部120は、記憶領域110からモデルMを読み出すとともに、計算ステップに応じた計算条件を取得する(S1)。つまり、管理部120は、建物B1-B5の形状に応じてモデルMの設定を行う。例えば、建物B1が熱負荷計算の対象であれば、モデルM1が記憶領域110に設定されるとともに、読み出される。
【0072】
計算条件は、
図5から
図10に示した、光透過条件、伝熱条件、及び各回路節点の条件などである。各条件は、計算ステップごとにブラインドBLの開閉状態やロールスクリーンRSの昇降状態などに応じ取得する必要がある。計算ステップの具体例としては、時刻を用いる例が挙げられる。
【0073】
次に管理部120は、日射熱取得を計算する(S2)。この処理では、各節点ごとに熱平衡式をたてて連立方程式をつくり、この連立方程式を解くことにより各節点温度から日射熱取得が求められる。この処理では、
図12のように、各要素に割り当てられたノードと、ノードを結ぶエッジによって計算モデルが構成される。各エッジには、各要素MW、MSH、MVの物性に基づいて熱伝達率α
0、α
r1~α
r5、α
c1~α
c5が割り当てられる。各エッジは、割り当てられた熱伝達率にしたがってノード間の熱伝達を行う。なお、
図11はモデル化の一例を示すにすぎず、モデル化の方法には上記以外に様々なものが考えられる。
図11では、ノード数を各要素MW、MSH、MVにおいて1つと設定しているが、上下2つのノードを設定したり、下部スリットを考慮したモデルとしたりすることも可能である。
【0074】
ステップS3において、管理部120は風量計算を実行する(S3)。管理部120は、回路節点C1-C7において設定された流路条件に基づき、各節点を流れる風量を求める。
【0075】
ステップS5において管理部120は、室内調光率の計算を行う。室内の照明は、時刻に応じて、あるいは、ブラインドBLの状態に応じて変化するように制御される。ステップS5では、照明の制御状態に応じた室内調光率が計算される。室内調光率の計算では、外皮要素MW、遮蔽要素MSH、可変境界面要素MVのそれぞれに対して計算ステップに対応する光透過率が設定される。回路節点C1-C7それぞれに対して光透過率が設定されてもよい。
【0076】
ステップS7においては、伝熱条件、光透過条件、日射熱取得、風量、及び室内調光率の各値が収斂したか判断される。伝熱条件、光透過条件、日射熱取得、風量、及び室内調光率は、例えば日射熱取得が得られないと室内調光率または風量が正確に計算できないというように、相互に計算条件を依存している。そのため、収斂していない場合には(S7:NO)、ステップS1-S5を繰り返すことにより、算出される伝熱条件、光透過条件、日射熱取得、風量、及び室内調光率の収斂が図られる。
【0077】
収斂の判断方法は様々考えられるが、例えば、ステップS1-S5の計算を繰り返す中で、伝熱条件、光透過条件、日射熱取得風量、及び室内調光率の各数値、またはいずれかの数値の変化量が閾値以下となった場合に収斂したと判定することができる。
【0078】
伝熱条件、光透過条件、日射熱取得、風量、及び室内調光率が収斂している場合(S7:YES)、管理部120は、これらの条件に基づいてモデルMにおける熱負荷計算を実行する。熱負荷計算の方法としては、建築設備技術者協会が提供するプログラムである、HASPやNew HASPを用いる方法などがある。HASPやNew HASPを用いる場合、HASPやNew HASP内で使用されるパラメータを、ステップS1-S5で得られた伝熱条件、光透過条件、日射熱取得、風量、及び室内調光率で置換する方法が採られてもよい(特許文献2)。
【0079】
熱負荷計算の後、管理部120は、計算ステップのインクリメントを行う(S9)。具体例として計算ステップに時刻歴が用いられる場合には、計算が行われた時刻tに対して所定の時刻増分Δtが付加される。このように、予め決められた計算ステップまで熱負荷計算が完了するまで、計算ステップを進めながらステップS1-S9の処理は繰り返される(S11:NO)。
【0080】
全計算ステップが完了した場合(S11:YES)、管理部120は熱負荷計算に係る処理を終了する。
【0081】
<効果>
(態様1)上記実施形態の処理装置1は、窓W(外皮に相当)及び窓Wに隣接するブラインドBL(遮蔽部材に相当)を備えた建物B1-B5に対する動的熱負荷計算の方法であって、窓Wを動的熱負荷計算上の要素である外皮要素MWとして設定する処理(S1)と、ブラインドBLを動的熱負荷計算上の要素である遮蔽要素MSHとして設定する処理(S1)と、遮蔽要素MSHに対して建物Bの室内側に、動的熱負荷計算上の要素である可変境界面要素MVを設定する処理(S1)と、可変境界面要素MVに流路条件、伝熱条件及び光透過条件を設定する条件設定処理(S1)と、を実行する。
【0082】
上記構成では、可変境界面要素MVを有する標準的なモデルMを設定することにより、建物B1-B5における様々なペリメータの種類に対応して、熱負荷計算を適切に実行することが可能となる。モデルMは、プッシュプル型エアフローなど、各種の高性能窓システムにも対応できる。
【0083】
(態様2)態様1において、可変境界面要素MVは、上部、下部、及びスリットにそれぞれ対応する複数の回路節点C1-C7(計算点に相当)を有しており、回路節点C1-C7のそれぞれに対して、流路条件、伝熱条件及び光透過条件が設定される(
図5-
図10)。
【0084】
上記構成のように可変境界面要素MVを設定することにより、様々なペリメータを持つ建物B1-B7に対しても、熱負荷計算を適切に実行することが可能となる。
【0085】
(態様3)態様1から2では、動的熱負荷計算は、複数の計算ステップにおいて実行され、複数の計算ステップのそれぞれにおいて、対応する流路条件、伝熱条件及び光透過条件が設定される(S1)。
【0086】
上記構成では、ブラインドBLの遮蔽状態や、ロールスクリーンRSの昇降、ファンF1、F2の発停、温度、調光などの様々な要因によって計算ステップ(例えば時刻)ごとに変化する流路条件、伝熱条件及び光透過条件を、適切にモデルM上に設定し、適切な熱負荷計算を実行できる。
【0087】
(態様4)態様1から3のいずれかにおいて、各計算ステップは、可変境界面要素MVにおける風量を計算してステップ風量とする処理(S3)と、条件設定処理を実行し、ステップ風量に対応する流路条件、伝熱条件及び光透過条件を設定して、それぞれ、ステップ流路条件、ステップ伝熱条件及びステップ光透過条件とする処理(S1)と、ステップ風量、ステップ流路条件、ステップ伝熱条件及びステップ光透過条件に基づき、建物の熱負荷を計算する処理(S8)と、を含む。
【0088】
上記構成では、計算ステップごとに変化する風量を適切にモデルM上に設定し、適切な熱負荷計算を実行できる。
【0089】
(態様5)態様1から4のいずれかにおいて、各計算ステップは、建物Bの室内調光率を求めてステップ調光率とする処理(S5)をさらに含む。また、各計算ステップでは、条件設定処理(S1)を実行し、ステップ調光率に対応する流路条件、伝熱条件及び光透過条件を設定して、それぞれ、ステップ流路条件、ステップ伝熱条件及びステップ光透過条件とする処理と、ステップ調光率、ステップ流路条件、ステップ伝熱条件及びステップ光透過条件に基づき、建物の熱負荷を計算する処理(S8)と、を含む。
【0090】
上記構成では、計算ステップごとに変化する調光率を適切にモデルM上に設定し、適切な熱負荷計算を実行できる。
【0091】
(態様6)態様1から5のいずれかにおいて、各計算ステップは、可変境界面要素MVにおける日射熱取得を計算し、ステップ日射熱取得とする処理(S2)と、条件設定処理(S1)を実行し、ステップ日射熱取得に対応する流路条件、伝熱条件及び光透過条件を設定して、それぞれ、ステップ流路条件、ステップ伝熱条件及びステップ光透過条件とする処理と、ステップ日射熱取得、ステップ流路条件、ステップ伝熱条件及びステップ光透過条件に基づき、建物の熱負荷を計算する処理(S8)と、を含む。
【0092】
上記構成では、計算ステップごとに変化する日射熱取得を適切にモデルM上に設定し、適切な熱負荷計算を実行できる。
【0093】
(態様7)態様1から6のいずれかにおいて、ステップ風量は、可変境界面要素MVに回路節点C1-C3を設定し、回路節点ごとに各ステップに対応する流路条件を与えることにより計算される。
【0094】
上記構成では、計算ステップごとに変化する風量を適切にモデルM上に設定し、適切な熱負荷計算を実行できる。
【0095】
(態様8)態様1から7のいずれかにおいて、ステップ調光率は、外皮要素MW、遮蔽要素MSH、可変境界面要素MVのそれぞれに対して各ステップに対応する光透過条件を設定することによって計算される。
【0096】
上記構成では、計算ステップごとに変化する室内調光率を適切にモデルM上に設定し、適切な熱負荷計算を実行できる。
【0097】
(態様9)態様1から8のいずれかにおいて、ステップ日射熱取得は、外皮要素MW、遮蔽要素MSH、可変境界面要素MVのそれぞれに対して各ステップに対応する熱平衡式をたてることによって計算される。
【0098】
上記構成では、計算ステップごとに変化する日射熱取得を適切にモデルM上に設定し、適切な熱負荷計算を実行できる。
【0099】
(態様10、態様11)上記実施形態は、態様1から9のいずれかの方法を実施する処理装置1、及び処理装置1に実行させるプログラムを提示している。
【0100】
<変形例>
上記実施形態において、外皮要素MW、遮蔽要素MSH、可変境界面要素MVのそれぞれにおける、ノードまたは回路節点の数または位置は、建物Bの条件等に応じて変更することが可能である。
【0101】
実施形態において、窓W以外の設備が外皮として設置されてもよい。また、遮蔽部材として用いられる部材はブラインドBLに限定されない。例えば、ブラインドBLの代わりに、ロールスクリーンRSが配置されてもよいし、その他カーテンなどの遮蔽部材が使用されてもよい。
【符号の説明】
【0102】
建物B1-B7、窓W、天井C、床面F、ガラス壁GL、ロールスクリーンRS、ファンF1、F2、ブラインドBL
モデルM、M1-M7
外皮要素MW、遮蔽要素MSH、可変境界面要素MV