(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008129
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】圧力調整器及びガス供給システム
(51)【国際特許分類】
F16K 17/30 20060101AFI20250109BHJP
G05D 16/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
F16K17/30 A
G05D16/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110034
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000192914
【氏名又は名称】株式会社神菱
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】才尾 知行
【テーマコード(参考)】
3H060
5H316
【Fターム(参考)】
3H060AA02
3H060BB10
3H060CC35
3H060DC05
3H060DD04
3H060DD17
3H060HH07
3H060HH13
5H316AA06
5H316BB05
5H316CC03
5H316EE02
5H316ES02
5H316JJ01
(57)【要約】
【課題】 内部への異物の侵入リスクを低減できる構造を有する圧力調整器及びそれを用いたガス供給システムの提供を目的とする。
【解決手段】
ガスの圧力を調整する圧力調整器であり、ガス流入部及びガス流出部、第1のガス流路、第2のガス流路、第3のガス流路及びポケット部を有し、第2のガス流路及び第3のガス流路は鉛直方向に平行であり、第1のガス流路は、第2のガス流路と交差する。さらに、第2のガス流路の、前記第3のガス流路に対向する延長線上にポケット部を有している。第3のガス流路は、ガス流入部又はガス流出部のうち鉛直上方に配置される一方に連通し、第2のガス流路の一端は第1のガス流路に連通し、他端は第3のガス流路に連通する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスの圧力を調整する圧力調整器であり、
ガス流入部及びガス流出部、第1のガス流路、第2のガス流路、第3のガス流路及びポケット部を有し、
前記第2のガス流路及び前記第3のガス流路は鉛直方向に平行であり、
前記第1のガス流路は、前記第2のガス流路と交差し、
前記第2のガス流路の、前記第3のガス流路に対向する延長線上に前記ポケット部を有し、
前記第3のガス流路は、前記ガス流入部又は前記ガス流出部のうち鉛直上方に配置される一方に連通し、
前記第2のガス流路の一端は前記第1のガス流路に連通し、他端は前記第3のガス流路に連通することを特徴とする圧力調整器。
【請求項2】
前記第2のガス流路は、前記第3のガス流路に対して水平方向に変位していることを特徴とする請求項1記載の圧力調整器。
【請求項3】
前記ガス流出部は、前記圧力調整器の鉛直上方側に配置され、
前記第3のガス流路は、前記ガス流出部に連通する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の圧力調整器。
【請求項4】
請求項3記載の圧力調整器を子調整器として有するとともに、親一次調整器及び親二次調整器を有し、
前記子調整器は前記親一次調整器の鉛直上方に配置され、
前記親一次調整器は前記親二次調整器の鉛直上方に配置される
ことを特徴とする親子式圧力調整器。
【請求項5】
請求項3記載の親子式圧力調整器と、ガスボンベと、漏洩検知部とを備え、
前記ガスボンベは、前記親一次調整器に連通し、
前記親一次調整器は、前記親二次調整器及び前記子調整器に連通し、
前記子調整器は、前記漏洩検知部に連通し、
前記親二次調整器はガス供給路に連通し、
前記漏洩検知部はガス供給路に連通する
ことを特徴とするガス供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧力調整器及びガス供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガスボンベからの高圧ガスをガス消費設備に供給するために、ガスを減圧調整する圧力調整器、例えば親子式圧力調整器が使用されている。
親子式圧力調整器は、設定圧力が異なる親調整器及び子調整器を備えている。通常時には、ガスは親調整器及び子調整器を介してガス消費設備に供給され、ガス流量が微少になると、ガスは子調整器のみを介して漏洩検知部に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-217387号公報
【特許文献2】特開平10-2500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧力調整器を配管に接続する際、ネジ締め作業によってネジ山表面が削れて切粉が発生し、配管内の腐食物が、圧力調整器の内部(特に減圧室)に侵入すると、閉塞不良や漏れなどが発生するリスクが生じる。
親子式圧力調整器において、鉛直方向に子調整器と親調整器が二段に配置された構成を採用した場合、配管への施工時に、上方に位置する圧力調整器(子調整器)の内部に異物が侵入するリスクが高くなる。
【0005】
上記課題を鑑み、本発明は、内部への異物の侵入リスクを低減できる構造を有する圧力調整器及びそれを用いたガス供給システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る圧力調整器は、
ガスの圧力を調整する圧力調整器であり、
ガス流入部及びガス流出部、第1のガス流路、第2のガス流路、第3のガス流路及びポケット部を有し、
前記第2のガス流路及び前記第3のガス流路は鉛直方向に平行であり、
前記第1のガス流路は、前記第2のガス流路と交差し、
前記第2のガス流路の、前記第3のガス流路に対向する延長線上に前記ポケット部を有し、
前記第3のガス流路は、前記ガス流入部又は前記ガス流出部のうち鉛直上方に配置される一方に連通し、
前記第2のガス流路の一端は前記第1のガス流路に連通し、他端は前記第3のガス流路に連通することを特徴とする。
【0007】
このような構成の圧力調整器とすることで、異物等が落下してもポケット部内に受け止められ、異物等はポケット部内に滞留し、圧力調整器の内部への異物侵入リスクを低減することができる。
【0008】
本発明に係る圧力調整器は、上記構成において、
前記第2のガス流路は、前記第3のガス流路に対して水平方向に変位していることを特徴とする。
【0009】
このような構成の圧力調整器とすることで、さらに効果的に圧力調整器の内部への異物侵入リスクを低減することができる。
【0010】
本発明に係る圧力調整器は、上記構成において、
前記ガス流出部は、前記圧力調整器の鉛直上方側に配置され、
前記第3のガス流路は、前記ガス流出部に連通してもよい。
【0011】
このような構成の圧力調整器とすることで、ガス流出部を鉛直上方に配置された圧力調整器の内部への異物の侵入リスクを低減することができる。
【0012】
本発明に係る親子式圧力調整器は、
上記構成の圧力調整器を子調整器として有するとともに、親一次調整器及び親二次調整器を有し、
前記子調整器は前記親一次調整器の鉛直上方に配置され、
前記親一次調整器は前記親二次調整器の鉛直上方に配置される
ことを特徴とする。
【0013】
このような構成の親子式圧力調整器とすることにより、親子式圧力調整器の鉛直上方に配置された子調整器への異物等の侵入リスクを低減することができる。
【0014】
本発明に係るガス供給システムは、
上記構成の親子式圧力調整器と、ガスボンベと、漏洩検知部とを備え、
前記ガスボンベは、前記親一次調整器に連通し、
前記親一次調整器は、前記親二次調整器及び前記子調整器に連通し、
前記子調整器は、前記漏洩検知部に連通し、
前記親二次調整器はガス供給路に連通し、
前記漏洩検知部はガス供給路に連通する
ことを特徴とする。
【0015】
このような構成のガス供給システムとすることにより、ガス供給システムを構築するための施工時において、親子式圧力調整器の鉛直上方に設けられた子調整器への異物の侵入リスクを低減することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、内部への異物の侵入リスクを低減できる構造を有する圧力調整器及びそれを用いたガス供給システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る親子式圧力調整器1の主要構成を示す外観図である。
【
図2】
図2はガス供給システム100の主要構成を示し、親子式圧力調整器1の設置状態を示す模式図である。
【
図3】
図3は、子調整器4の内部構造の例を模式的に示す断面図である。
図3(A)は子調整器4の全体構成を示す断面図、
図3(B)、(C)、(D)は第2のガス流出部8近傍の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は、いずれも本発明の要旨の認定において限定的な解釈を与えるものではない。また、同一又は同種の部材については同じ参照符号を付して、説明を省略することがある。
【0019】
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」、「鉛直」、「水平」等の用語や長さや角度(向き)の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る親子式圧力調整器1の主要構成を示す外観図である。
図中矢印Yは鉛直方向を示す。以下、「圧力調整器」を単に「調整器」と称することがある。
【0021】
親子式圧力調整器1は、親一次調整器2、親二次調整器3、子調整器4、第1のガス流入部5a、第2のガス流入部5b、切替レバー6、第1のガス流出部7及び第2のガス流出部8を備えている。
切替レバー6によって選択された第1のガス流入部5a又は第2のガス流入部5bを介して、ガスボンベ10(LPガスボンベ)から燃料であるガス(LPガス)が親一次調整器2に導入される。
【0022】
親子式圧力調整器1は、子調整器4が親一次調整器2の鉛直上方に配置され、親二次調整器3が親一次調整器2の鉛直下方に配置される。(
図2参照)
親一次調整器2のガス流出部は子調整器4のガス流入部及び親二次調整器3のガス流入部に連通している。
【0023】
親二次調整器3は第1のガス流出部7を有し、子調整器4は第2のガス流出部8を有している。
第1のガス流入部5a、又は第2のガス流入部5bから導入されたガスは親一次調整器2によって、第1の圧力に減圧される。第1の圧力に減圧されたガスは、親二次調整器3に流入し、親二次調整器3によって第2の圧力に減圧され、第1のガス流出部7を介して流出する。また、第1の圧力に減圧されたガスは、子調整器4に流入し、子調整器4によって第3の圧力に減圧され、第2のガス流出部8を介して流出する。第3の圧力は、第2の圧力より僅かに高い圧力に設定される。
なお、各圧力の設定値は公知の値とすることができる。
【0024】
図2はガス供給システム100の主要な構成を示し、親子式圧力調整器1の設置状態を示す模式図である。ガス供給システム100は、主要な構成要素として、ガスボンベ10、親子式圧力調整器1及び漏洩検知部13を備える。これらの構成要素は、ガス供給システム100を構築するための施工時に、配管及びバルブ等によって連結される。
なお、ガス供給システム100は、点検等のため、単段調整器RG及び単段調整器RGにガスを供給するバイパス配管BLを(任意に)備えてもよい。
【0025】
親子式圧力調整器1の第1のガス流入部5aは配管10a(第1の配管)によってガスボンベ10に連結されている。ガスボンベ10のガスは配管10aを介して親子式圧力調整器1に流入する。同様に、第2のガス流入部5bは図示しないガスボンベに、配管10b(第2の配管)によって連結されている。
第2のガス流出部8は、配管12によって漏洩検知部13の流入口13aに連結されている。
【0026】
第1のガス流出部7は配管14に連結されている。漏洩検知部13の流出口13bは配管15に連結され、配管15は、配管14に連結(合流)されている。配管14は、ガスメータ16を介して、ガスの消費設備17に接続されている。
配管14は消費設備17にガスを供給するガス供給路であり、配管14により供給されるガスは、ガスメータ16を介して、消費設備17のガス器具18において消費される。
漏洩検知部13は、公知の方法により、ガスの漏洩の有無を常時監視することができる。
【0027】
通常時には、ガスは親二次調整器3及び子調整器4を介して消費設備17に供給されるが、ガスの流量が微少になると、第3の圧力と第2の圧力との上記の設定圧力の差から、ガスは子調整器4のみを介して消費設備17に供給されるよう構成されている。
この微少流量を漏洩検知部13で常時監視し、漏洩があると判断されたとき、警報表示をする。
【0028】
図3は、子調整器4の内部構造である圧力調整機構部の例を模式的に示す断面図である。
図3(A)は子調整器4の全体構成を示す断面図、
図3(B)、(C)、(D)は第2のガス流出部8近傍の断面図である。子調整器4の調圧機構は公知の減圧器(圧力レギュレーター器)の調圧機構と同様である。ガス流入部70は、
図3に示されていない親一次調整器2のガス流出口と連通する(
図1参照)。
【0029】
子調整器4は減圧室41と大気圧室42を備え、減圧室41と大気圧室42との間にダイヤフラム43が設けられている。大気圧室42内には、ダイヤフラム43へ付勢力を与えるスプリング44が設けられている。
ガス流入部70を介して、親一次調整器2から子調整器4の内部の減圧室41へとガスが流入する。ダイヤフラム43は、減圧室41中のガス圧と大気圧室42の大気圧の差及びスプリング44の付勢力に応じて湾曲する。
ダイヤフラム43に連結された作動部45は、フランジ部45aを有し、フランジ部45aはダイヤフラム43から応力が伝達される。そのため、作動部45は、ダイヤフラム43の湾曲に応じて、図中X方向に移動する。
【0030】
作動部45の先端部にはレバー46の一端側が連結され、レバー46の他端側は弁体支持部47が連結されている。弁体支持部47の先端は弁体48を支持する。作動部45が図中X方向に移動すると、レバー46によって、X方向の運動がY方向の運動に変換され、弁体支持部47及び弁体48が図中Y方向に移動する。弁体48が図中Y方向に移動すると、弁体48と弁座49との間隔(開度)が変化する。ガス流入路71に連通する弁体48は、ガス流入部70(子調整器ガス流入部)からガス流入路71を介して流入するガス流を調整し、減圧室41、ガス流出部8及び子調整器4の下流のガス圧を減圧調整することができる。調整する圧力は調圧ねじASを操作することでスプリング44の付勢力を調整し、圧力を適宜所望の値に設定することができる。
なお、弁体48近傍はガスの流路が狭いため、ガス流入部70を鉛直下方に配置することで、異物の落下等による閉塞や流量制御不良等のリスクを低減することができる。
なお、ガス圧力の調整機構は上記例に限定するものではない。
【0031】
子調整器4の第2のガス流出部8は配管12にネジ止めされる(
図2参照)。ネジ止め作業において、例えば、粉塵等が発生し、減圧室41に落下し、弁体48やフランジ部45a等に付着すると、圧力の調整機構に不具合を生じさせる可能性がある。
【0032】
粉塵等の異物が減圧室41に落下するリスクを低減するために、子調整器4は、減圧室41から第2のガス流出部8にガスを流するためのガス流路80を備え、さらに、異物を受けるポケット部84(窪み部)を有している。
ガス流路80は、減圧室41から順に、第1のガス流路81、第2のガス流路82及び第3のガス流路83を有している。第1のガス流路81、第2のガス流路82及び第3のガス流路83は、例えば断面が円形の貫通孔として構成されるが、形状は限定されない。
第1のガス流路81は子調整器4の内部(特に減圧室41)に連通し、第3のガス流路83は第2のガス流出部8に連通する。また、第2のガス流路82の一端は第1のガス流路81に連通し、他端は第3のガス流路83に連通している。
【0033】
図3(B)に示すように、第3のガス流路83は第3の中心軸a(出口中心軸)を有し、第2のガス流路82は第2の中心軸bを有している。第3の中心軸a及び第2の中心軸bは鉛直方向に平行に設けられている。
一方、第1のガス流路81は、第2のガス流路82の第2の中心軸bと交差する方向(水平方向に平行)に設けられた第1の中心軸c(交差軸)を有している。
ポケット部84は、第2のガス流路82の鉛直方向の下方(第3のガス流路83に対向する側)の延長線上に設けられ、第2のガス流路82と連通する。
ポケット部84は、断面が非限定的に円形に構成されるが、異物等を保持するため、底部を有する。
【0034】
第2のガス流出部8のネジ止め等により異物が発生した場合、第3のガス流路83及び第2の中心軸bを通過し、ポケット部84に落下する。落下した異物は、ポケット部84に留まる。
好適には、第3のガス流路83の内径より小さい内径を有し、第3のガス流路83を落下した異物の一部のみが第2の中心軸bを通過し、異物の子調整器4の内部(特に減圧室41)への侵入リスクをさらに低減する。
さらに好適には、第2の中心軸b(オフセット軸)は第3の中心軸aに対して水平方向に外周側へと変位し(オフセットされ)、変位量Dとして、例えば第2のガス流路82の内径以上とすることができる。これにより、第2のガス流出部8から直接的にポケット部84に落下する異物量を効果的に低減することができ、ポケット部84底部からの跳ね返りによる第1のガス流路81への異物の侵入リスクをさらに低減できる。
すなわち、第2のガス流路82及び第3のガス流路83は鉛直方向に平行であり、第1のガス流路81は、第2のガス流路82と交差するように構成されている。さらに好適には第2のガス流路82は、第3のガス流路83に対してオフセット(水平方向に変位)されている。
【0035】
図3(C)の実線矢印に示すように、異物Ptが第2のガス流出部8から落下した場合、第3のガス流路83に沿って移動する。その後、一部の異物Ptは第3のガス流路83に対してオフセットされた第2のガス流路82中を落下するが、最終的には、その延長線上のポケット部84に落下する。
ポケット部84の底部は、第1のガス流路81より下方に位置するため、ポケット部84に落下した異物Ptは、その場に留まることになる。
【0036】
図3(D)は、ガス供給システム100に組み込まれた子調整器4の第2のガス流出部8近傍のガスの流れを示す。(図中点線矢印参照)
ガスは、減圧室41から第1のガス流路81に流入し、水平方向(図中X方向)に移動する。その後、ガスは第2のガス流路82に流入し、鉛直上方に流れる。第3のガス流路83の内径は、第2のガス流路82の内径より大きく圧力損失が小さいため、ガスは、抵抗の低い第3のガス流路83を流れ、第2のガス流出部8から流出する。従って、ポケット部84は、点線で示すガスの流路上に位置しない。
図中点線で示すガス流は、ポケット部84の上方に形成されるため、異物Ptはポケット部84の底部に留まることになる。
【0037】
なお、第2のガス流出部8に異物Ptを捕獲するためのフィルタ(網)を設置し、異物Ptが第2のガス流出部8から減圧室41へ落下することを防止することも可能である。
しかし、この場合、子調整器4の製造時又は配管施工時にフィルタの組み込みを行う作業が必要であり作業工程が増え、さらに別途フィルタを準備するとともに、フィルタの在庫管理も必要となる。
さらに、フィルタに異物Ptが落下すると、ガスの流出経路に置かれたフィルタが目詰まりし、ガスのスムーズな流れを阻害し、圧力損失を高める原因となる。
また、ガスを第2のガス流出部8から消費設備17へ流すことにより、フィルタに捕獲された異物Ptの一部が、ガスによって下流の消費設備17へと運ばれるリスクが大きくなる。
【0038】
一方、第1のガス流路81、第2のガス流路82及び第3のガス流路83を有するガス流路80及び、ガス流路80の途中に設けられたポケット部84を備える構成を採用することにより、別途の部品を必要とせず、子調整器4の組み立て作業の負荷を軽減し、また、製造コストの低減に寄与することができる。
また、異物を捕獲するポケット部84は、ガスの流路上に存在しないため、フィルタを使用した場合に発生するような圧力損失のリスクを回避することが可能となる。
【0039】
なお、ガス流路80及びポケット部84の構成は、親子式圧力調整器1の子調整器4のガス流出部への適用に限定されず、消費設備17へガスを供給する配管に対して鉛直方向に接続された圧力調整器において、鉛直上方に配管が接続されるガス流出部又はガス流入部と圧力調整器の内部構成(減圧室や弁体)との間に採用することができる。
また、バルク供給方式の親子式圧力調整器にも採用することができる。
【0040】
なお、子調整器4に対してフィルタを用いることを排除するものではない。
例えば、子調整器4のガス流入路71にフィルタを挿入し、ガスとともに上流から運ばれる異物が子調整器4の内部の弁体48へと侵入することを防止してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、配管施工時等により発生する内部への異物の侵入リスクを低減することが可能な構造を有する圧力調整器を提供でき、圧力調整器の組み立て作業負担の軽減や製造コストの低減に寄与することも可能であり、産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0042】
100 ガス供給システム
1 親子式圧力調整器
2 親一次調整器(親一次圧力調整器)
3 親二次調整器(親二次圧力調整器)
4 子調整器(子圧力調整器)
41 減圧室
42 大気圧室
43 ダイヤフラム
44 スプリング
45 作動部
45a フランジ部
46 レバー
47 弁体支持部
48 弁体
49 弁座
5a 第1のガス流入部
5b 第2のガス流入部
6 切替レバー
7 第1のガス流出部
70 ガス流入部(子調整器ガス流入部)
71 ガス流入路
8 第2のガス流出部
80 ガス流路
81 第1のガス流路
82 第2のガス流路
83 第3のガス流路
84 ポケット部(窪み部)
10 ガスボンベ(LPガスボンベ)
10a 配管(第1の配管)
10b 配管(第2の配管)
12 配管
13 漏洩検知部
13a 流入口
13b 流出口
14 配管(ガス供給路)
15 配管
16 ガスメータ
17 消費設備
18 ガス器具
AS 調圧ねじ
RG 単段調整器
BL バイパス配管
a 出口中心軸(第3の中心軸)
b オフセット軸(第2の中心軸)
c 交差軸(第1の中心軸)