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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008133
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】担体ろ材の生物処理槽
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/08 20230101AFI20250109BHJP
【FI】
C02F3/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110042
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】592038627
【氏名又は名称】カッパー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(74)【代理人】
【識別番号】100114731
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 重男
(72)【発明者】
【氏名】冨田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】冨田 愼二郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼地 達也
【テーマコード(参考)】
4D003
【Fターム(参考)】
4D003AA12
4D003AB04
4D003BA00
4D003EA14
4D003EA19
4D003EA30
(57)【要約】
【課題】排水処理施設10が長期にわたり安定した機能を有するために、担体ろ材2の表面積及び体積の減少を防止すること。
【解決手段】生物処理槽1における担体ろ材2を投入充填して、担体ろ材2が流出しないように多孔板スクリーン6が設けられている担体ろ材の生物処理槽において、生物処理槽1の壁面1aを、表面凹凸部分はパテ埋めをしてから下地処理24を行って、下地処理24の表面に、FRP層26と硬化剤入り主剤ポリエステル樹脂を塗り、その後、FRP層26の表面にガラスマット25を貼り付け、ガラスマット25の表面に、再度、FRP層26と硬化剤入り主剤ポリエステル樹脂を塗り、その積層工程を繰り返し、最後に表面仕上樹脂27を塗布して、表層部27aの最終的な平滑処理を行う担体ろ材の生物処理槽により構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物処理槽(1)内において、空気攪拌により水中を回流している担体ろ材(2)が、コンクリート層(1b)の壁面(1a)と衝突接触することにより、上記担体ろ材(2)が摩耗していく現象について、
その上記担体ろ材(2)と上記コンクリート層(1b)の上記壁面(1a)の粗度や硬度、研磨性の違いにより生じる上記担体ろ材(2)の体積減少と表面積減少に関して、
上記壁面(1a)にFRP層(26)を積層することにより、本来の目的である上記生物処理槽(1)の性能を保有、維持させることのできる担体ろ材の生物処理槽。
【請求項2】
上記生物処理槽(1)に使用される上記FRP層(26)は、他の塗膜防水材料等と比較して上記コンクリート層(1b)の上記壁面(1a)の表面への付着力が大きく、上記生物処理槽(1)内における水の旋回流に対する衝撃にも強いため、
剥離することなく長期にわたり性状を保持することにより、上記生物処理槽(1)の性能を保有、維持させることのできる請求項1の担体ろ材の生物処理槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水処理工程において、汚濁成分を分解除去させる担体ろ材の生物処理槽に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図10において、コンクリートで作られた生物処理槽40内に、担体ろ材2を投入充填(水槽容量の10%~40%)し、散気装置42,42’で空気で攪拌し、生物処理槽40の壁面40aの内側を、担体ろ材2を回流する状態で、生物処理槽40内の水槽入口(前槽より流入)側から排水が移流通過することにより、汚濁成分が分解され、次槽へ送られる。
【0003】
担体ろ材2は、樹脂製のスポンジ状で一辺がA=10mm~20mmの立方体形状のものが主流であり(図11(a)参照)、生物処理槽40の出口側には担体ろ材2が流出しないように、メッシュ状、或いは、パンチング状の多孔板スクリーン41が設けられていることが多い(図10参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-118692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、担体ろ材2は、空気攪拌により常時、生物処理槽40内の空気の浮上流と一緒に回流するために、コンクリート層の壁面40a内側に、頻繁に衝突接触することになる。コンクリート層の壁面40aは固く、表面も粗いため、衝突するたびに、やわからい担体ろ材2は角部から削られていき、処理施設が稼働して5年~14年後には、直径D=約5mm~約8mm以下の小さな球状にまで摩耗してしまう(図11(b)~図11(d)参照)。
【0006】
このような状態で、生物処理槽40の施設を稼働継続した場合、担体ろ材2の粒径が多孔板スクリーン41の目孔(直径=約5mm~10mm)よりも小さくなり(10年経過、直径C=約9mm~10mm、14年経過、直径D=約5mm~8mm、図11(c)(d)参照)、生物処理槽40の出口から次槽へ移流することになる(図10参照)。その結果、担体ろ材2が放流先(河川や下水処理場など)に、流出してしまうことになる。
【0007】
また、多孔板スクリーン41部分での担体ろ材2の閉塞詰まりも起こりやすくなり、排水が移流せずに生物処理槽40からあふれたり、隣接する水槽へ流出してしまうおそれもある。
【0008】
また、担体ろ材2の全量の表面積に代表される生物膜層の全面積も、担体ろ材2の体積が小さくなることにより、その担体ろ材2の表面及び担体ろ材2の体積中に存在する微生物の全量が大幅に減少する。そのために、微生物膜との接触によって除去される有機物分解反応処理も不十分となり、微生物処理の本体の目的であるBOD(Biochemical Oxygen Demand=生物化学的酸素要求量)、及び、COD(Chemical Oxygen Demend=化学的酸素要求量)の除去が、十分に達成できなくなってしまうことになる。
【0009】
いずれにしても、排水処理施設本体の性能の低下、及び、流出(上記担体ろ材2)の回収や、流出先からのクレームが発生するなど大きな損失を被ることになる。
【0010】
担体ろ材2は、その機能として微生物を内部に包有し、排水浄化の能力を高めるものであり、摩擦による担体ろ材2の容積の減少は、処理能力も大きく減退させることになる。
【0011】
特許文献1では、脱窒槽と硝化槽の内壁面には、コンクリート層の内壁面には、固く表面の粗いため、衝突する度に、担体ろ材に角部から削られていき、衝突するたびに、わやらかい担体ろ材は、角部から削られてしまい、処理施設が5年~14年後には、直径約5mm~約8mm以下の小さな球状にまで摩耗してしまう。
【0012】
そこで本発明では、上記の問題点を解決し、排水処理施設が長期にわたり安定した機能を有するために、担体ろ材の表面積及び体積の減少を防止することを目的として発明せしめるものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、生物処理槽(1)内において、空気攪拌により水中を回流している担体ろ材(2)が、コンクリート層(1b)の壁面(1a)と衝突接触することにより、上記担体ろ材(2)が摩耗していく現象について、その上記担体ろ材(2)と上記コンクリート層(1b)の上記壁面(1a)の粗度や硬度、研磨性の違いにより生じる上記担体ろ材(2)の体積減少と表面積減少に関して、上記壁面(1a)にFRP層(26)をコーティングすることにより、上記壁面(1a)をやわらかく滑らかな性状にして上記担体ろ材(2)が上記壁面(1a)に衝突接触しても損傷が著しく軽減され、本来の目的である上記生物処理槽(1)の性能を保有、維持させることの担体ろ材の生物処理槽のできる構成とした。
【0014】
第2に、上記生物処理槽(1)に使用される上記FRP層(26)は、他の塗膜防水材料等と比較して上記コンクリート層(1b)の上記壁面(1a)の表面への付着力が大きく、上記生物処理槽(1)内における水の旋回流に対する衝撃にも強いため、剥離することなく長期にわたり性状を保持することにより、上記生物処理槽(1)の性能を保有、維持させることのできる第1の担体ろ材の生物処理槽のできる構成とした。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上述のように、担体ろ材2の機能を有する生物処理槽1は、従来技術と比べて稼働を開始してからの摩耗劣化の程度を大幅に減速させる。よって、上記のような小さな球状になるまでの期間が20年~30年(排水処理施設10が稼働を開始して設備全体の更新改修が必要となるまでの年数とおおむね同等)となり、その間の生物処理槽1の性能の低下抑制、及び、トラブル防止(トラブル=上記担体ろ材2の流出回収や、流出先からのクレーム発生など)が見込まれ、長期にわたり安定した処理性能を保持することが可能となる。
【0016】
また、上記FRP層26は、経年劣化において他の塗膜防水材料等と比べて、コンクリート表面への付着力が大きく、上記壁面1aから剥離することがなく、性状を長年にわたり保持される。劣化補修を行う場合も、既存のFRP層26の表面に上塗り積層することで処置ができ、大規模な手直し改修作業になることはほとんどない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る担当ろ材の生物処理槽を含む排水処理施設の概略フローである。
図2】同上生物処理槽を含むFRP層を含む2プライした状態の断面図である。
図3】FRP層を含む2プライした状態の斜視図である。
図4】同上生物処理槽を含む1プライした状態の断面図(図2のX-X線断面図)である。
図5】(a)~(e)は、同上生物処理槽を含む2プライした状態の断面図(図2のX-X線断面図)である。
図6】(f)~(i)は、同上生物処理槽を含む2プライした状態の断面図(図2のX-X線断面図)である。
図7】同上生物処理槽を含むガラスマットの斜視図である。
図8】(a)は、同上生物処理槽を含む担体流出防止スクリーンの拡大図であり、(b)は、同上生物処理槽(断面三角)を含む散気装置の斜視図、(c)は、同上生物処理槽を含む散気装置(断面円形)の斜視図である。
図9】同上生物処理槽を含む排水処理施設の時間帯と流量の相関図である。
図10】従来の担体ろ材の生物処理槽を含む断面図である。
図11】(a)は担体ろ材の使用前、(b)は担体ろ材の5年経過、(c)は担体ろ材の10年経過、(d)担体ろ材の14年経過、である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る担体ろ材の生物処理槽について説明する。
【0019】
図1は、生物処理槽1を含む排水処理施設10の概略フローの一例である。
【0020】
原水ポンプ槽11は、建物施設からの排水が最初に流入する槽であり、原水ポンプ12を設置して、流量調整槽13へ随時送水する。上記流量調整槽13は、上記原水ポンプ槽11から送られてきた排水を一時的に貯留して、1日を通して均一な水量を調整ポンプ14で上記生物処理槽1に圧送する(図9参照)。
【0021】
上記生物処理槽1は、前槽13から送られてきた排水を、主に微生物の分解作用により浄化処理する。好気性微生物が利用されている場合が多く、担体ろ材2を投入充填(担体ろ材2は、水槽容量の10%~40%)した上記生物処理槽1内に、ばっ気ブロアー3により、散気装置4,4’(空気吐出口)で空気を送り(図8(b)(c)参照)、上記生物処理槽1内で回流する汚泥や、上記担体ろ材2の中に生息する微生物を活性化する。
【0022】
上記生物処理槽1から移流して来た排水は、沈殿槽5内で汚泥は底部へ沈降し、上澄水と分離され、上記上澄水は放流ポンプ槽18へ移流する。沈降した汚泥は、エアリフトポンプ19により汲み上げられ、汚泥計量槽20を経由して、上記生物処理槽1の入口に戻されて(返送汚泥)、上記担体ろ材2の微生物浄化に繰り返し用いられる。上記放流ポンプ槽18は、上記沈殿槽5から上記上澄水を受け入れて、放流ポンプ21より下水道等の外部へ排水する(下水道放流、図1参照)。
【0023】
上記の生物処理機能を継続運転することにより、上記排水処理施設10内の汚泥全量は増加していくことになる。上記生物処理槽1内の汚泥量を減らすため、上記汚泥貯留槽22へ余剰汚泥として除去し、一時的に貯留される。最終的には、余剰汚泥はバキューム車により場外へ搬出処分される(汚泥搬出、図1参照)。
【0024】
次に、上記生物処理槽1を説明する(図2図3参照)。
【0025】
上記の目的を達成するために、本発明では、上記生物処理槽1のコンクリート層1bの壁面1aにFRP層26をコーティングすることにより、上記生物処理槽1の水槽表面をやわらかく滑らかな性状にして、上記担体ろ材2の壁面1aに衝突接触しても、摩耗損傷が著しく軽減される構成とした(図2図3参照)。
【0026】
(実施形態1)
本発明では、上記生物処理槽1のコンクリート層1bの内壁面(壁面1a)にFRP(Fiber Reinforced Plastics)層(ガラス繊維強化プラスチック、接着性がない)と、硬化剤入り主剤ポリエステル系樹脂(接着性がある)をコーティングすることにより(以下、上記FRP層と上記硬化剤入り主剤ポリエステル系樹脂を「FRP層26」という、図4参照)、上記生物処理槽1の上記壁面1aを、表面をやわらかく、滑らかな性状にして、上記担体ろ材2が衝突接触しても、摩耗損傷が著しく軽減される構成とした。上記硬化剤入り主剤ポリエステル系樹脂(接着性がある)をコーティングすることにより、ガラスマット25を接着するためである。
【0027】
また、上記生物処理槽1の直方体、或いは、立方体があり(図2図3参照)、微視的にみると表面に凹凸(1c,1d)や空孔(凹部1c)があり、上記コンクリート層1bの上記壁面1aに(図4参照)、表面凹凸部分(1c,1d)があり、バリ(凸部1d)はケレン清掃して取り除き、くぼみ(凹部1c)には、樹脂に硬化剤、及び、タルク(粉状の珪酸鉱物=含水珪酸マグネシウム(MgSi10(OH)))を混合したものを、パテ埋めしてから、コテ等で充填する(図4参照)。
【0028】
コンクリート層1bが表面につるつるになったところで、上記コンクリート層1bの上記壁面1aに、上記FRP層26と、上記硬化剤入り主剤ポリエステル樹脂を積層するために、本発明では、上記FRP層26は接着性がないので、上記FRP層26と、上記硬化剤入り主剤ポリエステル系樹脂(接着性がある)を塗り、コーティングすることにより、厚みを持たせる(表面26a、図4参照)。
【0029】
上記ガラスマット25を施工するのに適当なサイズに切断して、それに上記FPR層26と、上記硬化剤入りポリエステル樹脂を、ローラー等により十分に塗り付けてから、上記表面26aに上記ガラスマット25に貼り付ける。上記ガラスマット25の上からさらにローラー等で、上記FRP層26と、上記硬化剤入りポリエステル樹脂を塗りつけて、上記ガラスマット25が、上記FRP層26と上記硬化剤入りポリエステル樹脂に浸るような状態まで厚く塗る(表面26b、図4参照)(1プライが終わった)。
【0030】
上記ガラスマット25は、ガラス繊維のマット状のものである(図7参照)。
【0031】
(実施形態2) 図5(a)~(e)、図6(f)~(i)
本発明では、上記生物処理槽1のコンクリート層1bの内壁面(壁面1a)にFRP(Fiber Reinforced Plastics)層(ガラス繊維強化プラスチック、接着性がない)と、硬化剤入り主剤ポリエステル系樹脂(接着性がある)をコーティングすることにより(以下、上記FRP層と上記硬化剤入り主剤ポリエステル系樹脂を「FRP層26」という、図5(a)~図6(i)参照)、上記生物処理槽1の上記壁面1aを、表面をやわらかく、滑らかな性状にして、上記担体ろ材2が上記壁面1aに衝突接触しても、摩耗損傷が著しく軽減される構成とした。上記硬化剤入り主剤ポリエステル系樹脂(接着性がある)をコーティングすることにより、上記ガラスマット25を接着するためである。
【0032】
また、上記生物処理槽1の直方体、或いは、立方体があり(図2図3参照)、微視的にみると表面に凹凸(1c,1d)や空孔(凹部1c)があり、上記コンクリート層1bの上記壁面1aに(図5(a)参照)、表面凹凸部分(1c,1d)があり、バリ(凸部1d)はケレン清掃して取り除き、くぼみ(凹部1c)には、樹脂に硬化剤、及び、タルク(粉状の珪酸鉱物=含水珪酸マグネシウム(MgSi10(OH)))を混合したものを、パテ埋めしてから、コテ等で充填する(図5(a)参照)。
【0033】
上記コンクリート層1bの上記壁面1aに、上記FRP層26と、上記硬化剤入り主剤ポリエステル樹脂を積層するために、上記壁面1aの平滑化を施すために、下地処理24(コンクリート用プライマー24)を塗る。本発明では、上記コンクリート層1bの上記壁面1aの全面に、上記下地処理24(上記コンクリート用プライマー24)を塗布する(図5(b)参照)。上記下地処理24(上記コンクリート用プライマー24)としては、ポリウレタン系樹脂が一般的である。一液性(硬化剤は添付せずに、そのまま塗って使用する(上記ポリウレタン系樹脂))を使用し、上記下地処理24(上記コンクリート用プライマー24)は、表面24aに乾燥させてから、次の工程を行う(図5(b)参照)。
【0034】
上記ガラスマット25を施工するのに適当なサイズに切断して、それに上記FPR層26と、上記硬化剤入りポリエステル樹脂を、ローラー等により十分に塗り付けてから、表面26aに上記ガラスマット25に貼り付ける。上記ガラスマット25の上からさらにローラー等で、上記FRP層26と、上記硬化剤入りポリエステル樹脂を塗りつけて、上記ガラスマット25が、上記FRP層26と上記硬化剤入りポリエステル樹脂に浸るような状態まで厚く塗る(図5(d)(e)参照)(1プライが終わった)。上記ガラスマット25は、ガラス繊維のマット状のものである(図7参照)。
【0035】
上記表面26bに、上記FRP層26と、上記硬化剤入り主剤ポリエステル系樹脂の上記表面26b(図6(f)参照)に、上記FRP層26と、上記硬化剤入り主剤ポリエステル樹脂を塗り、馴染ませる(上記表面26c、図6(f)参照)。
【0036】
上記ガラスマット25を施工するのに適当なサイズに切断して、それに上記FPR層26と、上記硬化剤入りポリエステル樹脂を、ローラー等により十分に塗り付けてから上記表面26cに貼り付ける。上記ガラスマット25の上からさらにローラー等で、上記FRP層26と、上記硬化剤入りポリエステル樹脂を塗りつけて、上記ガラスマット25が、上記FRP層26と上記硬化剤入りポリエステル樹脂に浸るような状態まで厚く塗る(上記表面26c、図6(g)参照)。
【0037】
上記表面26cに、上記FRP層26と、上記硬化剤入り主剤ポリエステル樹脂を塗り、ローラー等により、コーティングすることにより、厚みを持たせることになる(上記表面26d、図6(h)参照)(2プライが終わった)。
【0038】
上記FRP層26と、上記硬化剤入り主剤ポリエステル系樹脂を、2プライ程度積層し、最終的に表面仕上樹脂27(トップコート27)を塗布して、表層部27aの最終的な平滑処理を行う(積層厚約2mm、図6(i)参照)。上記表面仕上樹脂27(トップコート27)としては、樹脂が化学分子構造で分類されるところのポリエステル系樹脂、或いは、アクリルウレタン系樹脂の材料が多い。ポリエステル系樹脂、或いは、アクリルウレタン系樹脂に、硬化剤及びパラフィン(石蝋)を混合したものが用いられ、塗装すると上記表層部27aが滑らかに仕上がる(図6(i)参照)。
【0039】
上記仕上げ表面が不十分な箇所があれば、さらに上記表面仕上樹脂27(上記トップコート27)を再塗布するような性状にして、上記担体ろ材2が上記壁面1aの衝突、或いは、接触しても摩耗損傷が著しく軽減される構成とした(図1図5(a)~(e)、図6(f)~(i)参照)。上記表層部27aが、粗度や硬度、研磨性の違いにより生じる担体ろ材2の体積減少と表面積減少に関して、本来の目的である上記生物処理槽1の性能を保有、維持させることのできる坦体ろ材の生物処理槽により構成される。
【0040】
1層貼り付けた状態が1プライ、2層貼り付けた状態が2プライである。上記FRP層26と、上記硬化剤入りポリエステル樹脂を、上記ガラスマット25をサイドイッチすることにより、2層貼り付けた状態が、2プライである(図6(i)参照)。
【0041】
図2図3において、コンクリート面とFRP積層間への水の浸入を防ぐために、生物処理槽1は直方体、或いは、立方体であり、底面29及び側面30(底面29’(表面仕上樹脂27(図6(i)参照)及び側面30’(表面仕上樹脂27(図6(i)参照)、図3参照)は全面塗布処理(下地処理24と、2プライと、表面仕上樹脂27)を行い、塗布上端部は上スラブ面28まで上記全面塗布処理(下地処理24と、2プライと、表面仕上樹脂27)を行い、底面29のコーナーにはハンチ31,32(底面29’(表面仕上樹脂27(図6(i)参照))のコーナーにはハンチ32’(表面仕上樹脂27(図6(i)参照)、図3参照)を設けて上記全面塗布処理(下地処理24と、2プライと、表面仕上樹脂27)を行い、塗布上端部は上スラブ面28まで折り返し、底面29のコーナーにはハンチ31,32(底面29’(表面仕上樹脂27(図6(i)参照))のコーナーにはハンチ32’(表面仕上樹脂27(図6(i)参照)、図3参照)を設けて、上記担体ろ材2の接触摩擦を低減する構造とする。
【0042】
また、図8(a)は、上記担体ろ材2は、5年経過で、E(直径)=約15mmとなり、上記担体ろ材2は、上記多孔板スクリーン6の孔(E(直径)=約10mm)より大きくなり、上記担体ろ材2は、上記多孔板スクリーン6の上記孔より大きくなり、流出しない構成になる。上記FRP層26と上記硬化剤入り主剤ポリエステル系樹脂は、一例としての実施形態であり、他にもある。
【0043】
本発明では、上記生物処理槽1のコンクリート層1bの内壁面(壁面1a)にFRP(Fiber Reinforced Plastics)層(ガラス繊維強化プラスチック、接着性がない)と、硬化剤入り主剤ポリエステル系樹脂(接着性がある)をコーティングすることにより(以下、上記FRP層と上記硬化剤入り主剤ポリエステル系樹脂を「FRP層26」という、図5(a)~図6(i)参照)、上記生物処理槽1の上記壁面1aを、表面をやわらかく、滑らかな性状にして、上記担体ろ材2が上記壁面1aに衝突接触しても、摩耗損傷が著しく軽減される構成とした。上記硬化剤入り主剤ポリエステル系樹脂(接着性がある)をコーティングすることにより、ガラスマット25を接着するためである。
【0044】
また、FRPの積層方法として、まずは、コンクリート表面の凹凸部分はパテ埋めしてから下地処理24を行う。その後、硬化剤入り主剤ポリエステル系樹脂を適当なサイズに切断されたガラスマット25に含浸塗布を行い、壁面1aに貼り付けて、その上からさらに上記樹脂を塗り馴染ませる。これをコンクリート壁全面に施工する(1層塗り=1プライ)。
【0045】
上記にさらに、ガラスマット25を積層施工することにより、2層塗り(2プライ)、3層塗り(3プライ)、4層塗り(4プライ)となる。通常、2~3プライで施工される。
【0046】
ガラスマット25の積層後、表面仕上樹脂を塗布して、表層部の最終的な平滑処理を行う。
【0047】
コンクリート面とFRP積層間への水の浸入を防ぎ、FRP層26の付着強度を維持させるために、上記生物処理槽1の底面および側面は、全面にFRP層26の施工を行い、側面の上端部は上スラブ面28まで折り返し積層する。
【0048】
また、上記生物処理槽1の底部コーナーにはハンチ32、32’を設けて、水の回流を円滑にしてコーナー部での担体ろ材の接触摩耗を低減する構造とする。
【0049】
以上、生物処理槽1内において、空気攪拌により水中を回流している担体ろ材2が、コンクリート層1bの壁面1aと衝突接触することにより、上記担体ろ材2が摩耗していく現象について、その上記担体ろ材2と上記コンクリート層1bの上記壁面1aの粗度や硬度、研磨性の違いにより生じる上記担体ろ材2の体積減少と表面積減少に関して、本来の目的である上記生物処理槽1の性能を保有、維持させることのできる担体ろ材の生物処理槽により構成される。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係るによれば、上記のような小さな球状になるまでの期間が20年~30年(排水処理施設が稼働開始して、設備全体の更新改修が必要になるまでの年数位と、おおむね同等)となり、その間、生物処理槽の性能の低下抑制、及び、トラブル防止が見込まれ、長期にわたり安定した処理性能を保持することが可能となる。
【符号の説明】
【0051】
1 生物処理槽
1a 壁面
1b コンクリート層
2 担体ろ材
26 FRP層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11