(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008157
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】ハイブリッド着色ゲル粒子集合体、着色ゲル粒子混合体、塗料、多彩模様塗料、壁パネル、壁構造体、建物および着色ゲル粒子混合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C09D 5/29 20060101AFI20250109BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
C09D5/29
C09D201/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110090
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】592084071
【氏名又は名称】大橋化学工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129104
【弁理士】
【氏名又は名称】舩曵 崇章
(72)【発明者】
【氏名】島根 則明
(72)【発明者】
【氏名】田口 一道
(72)【発明者】
【氏名】宮本 和明
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038HA446
4J038HA486
4J038HA526
4J038HA536
4J038KA20
4J038MA10
4J038MA14
4J038NA01
4J038PA18
4J038PB05
4J038PC04
4J038PC08
(57)【要約】
【課題】従来の塗料にない斬新な意匠を実現することが可能なハイブリッド着色ゲル粒子集合体、着色ゲル粒子混合体、塗料および着色ゲル粒子混合体の製造方法を提供する。
【解決手段】着色ゲル粒子11と着色固形粒子12が一体化してなるハイブリッド着色ゲル粒子1と、前記着色ゲル粒子21からなり前記着色固形粒子12を有していないプレーン着色ゲル粒子2と、を含む着色ゲル粒子混合体であって、前記着色ゲル粒子混合体は、前記着色ゲル粒子(11,21)100重量部に対して前記着色固形粒子12を0.5~60重量部含み、さらに前記着色ゲル粒子混合体の平均粒子径が1に対して前記着色固形粒子12の平均粒子径が0.2~5.0であり、前記着色固形粒子12が、前記ハイブリッド着色ゲル粒子1の前記着色ゲル粒子11から不規則に露出している、着色ゲル粒子混合体などとした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色ゲル粒子と着色固形粒子が一体化してなるハイブリッド着色ゲル粒子の集合体であって、
前記着色固形粒子が、前記着色ゲル粒子から不規則に露出している、
ハイブリッド着色ゲル粒子集合体。(ただし、着色固形粒子が繊維状物質であるものを除く。)
【請求項2】
前記着色固形粒子が、前記ハイブリッド着色ゲル粒子の前記着色ゲル粒子から不規則に露出するとともに不規則に透過している、
請求項1に記載のハイブリッド着色ゲル粒子集合体。
【請求項3】
前記着色ゲル粒子と前記着色固形粒子との色差ΔEが3.0以上である、
請求項1に記載のハイブリッド着色ゲル粒子集合体。
【請求項4】
前記着色固形粒子の平均粒子径が0.2~5.0mmである、
請求項1に記載のハイブリッド着色ゲル粒子集合体。
【請求項5】
前記着色固形粒子の真比重が0.2~3.0g/cm3である、
請求項1に記載のハイブリッド着色ゲル粒子集合体。
【請求項6】
着色ゲル粒子と着色固形粒子が一体化してなるハイブリッド着色ゲル粒子と、
着色ゲル粒子からなり前記着色固形粒子を有していないプレーン着色ゲル粒子と、
を含む着色ゲル粒子混合体であって、
前記着色ゲル粒子混合体は、
前記着色ゲル粒子100重量部に対して前記着色固形粒子を0.5~60重量部含み、さらに前記着色ゲル粒子混合体の平均粒子径が1に対して前記着色固形粒子の平均粒子径が0.2~5.0であり、
前記着色固形粒子が、前記ハイブリッド着色ゲル粒子の前記着色ゲル粒子から不規則に露出している、
着色ゲル粒子混合体。(ただし、着色固形粒子が繊維状物質であるものを除く。)
【請求項7】
前記着色固形粒子が、前記ハイブリッド着色ゲル粒子の前記着色ゲル粒子から不規則に露出するとともに不規則に透過している、
請求項6に記載の着色ゲル粒子混合体。
【請求項8】
前記ハイブリッド着色ゲル粒子における前記着色ゲル粒子と前記着色固形粒子との色差ΔEが3.0以上である、
請求項6に記載の着色ゲル粒子混合体。
【請求項9】
前記着色固形粒子の平均粒子径が0.2~5.0mmである、
請求項6に記載の着色ゲル粒子混合体。
【請求項10】
前記着色固形粒子の真比重が0.2~3.0g/cm3である、
請求項6に記載の着色ゲル粒子混合体。
【請求項11】
請求項1~5のいずれか1項に記載のハイブリッド着色ゲル粒子集合体を含む塗料。
【請求項12】
請求項1~5のいずれか1項に記載のハイブリッド着色ゲル粒子集合体を含む多彩模様塗料。
【請求項13】
請求項12に記載の多彩模様塗料が塗工された肌理の粗い面を有する壁パネル。
【請求項14】
請求項13に記載の壁パネルを用いた壁構造体。
【請求項15】
請求項14に記載の壁構造体を有する建物。
【請求項16】
請求項6~10のいずれか1項に記載の着色ゲル粒子混合体を含む塗料。
【請求項17】
請求項6~10のいずれか1項に記載の着色ゲル粒子混合体を含む多彩模様塗料。
【請求項18】
請求項17に記載の多彩模様塗料が塗工された肌理の粗い面を有する壁パネル。
【請求項19】
請求項18に記載の壁パネルを用いた壁構造体。
【請求項20】
請求項19に記載の壁構造体を有する建物。
【請求項21】
合成樹脂、着色顔料およびハイドロゲル構成材を含む着色ゲル粒子原料組成物と、着色固形粒子と、を混合して着色ゲル粒子混合体原料組成物を得る原料組成物配合工程と、
この原料組成物配合工程で得られた前記着色ゲル粒子混合体原料組成物を、ハイドロゲル不溶化剤を含む媒体を攪拌しながらこれに添加して、前記ハイドロゲル構成材と前記ハイドロゲル不溶化剤を反応させてハイドロゲルを生成させて、
前記合成樹脂、前記着色顔料および前記ハイドロゲルで構成された着色ゲル粒子と着色固形粒子とが一体化してなるハイブリッド着色ゲル粒子と、
前記着色ゲル粒子からなり前記着色固形粒子を有していないプレーン着色ゲル粒子と、
を含む着色ゲル粒子混合体を得る、原料組成物ゲル化工程と、
を有する着色ゲル粒子混合体の製造方法であって、
前記原料組成物配合工程では、
前記着色固形粒子が、前記着色ゲル粒子原料組成物100重量部に対して0.5~60重量部となるように配合し、
前記原料組成物ゲル化工程では、
前記着色固形粒子の平均粒子径が1に対し前記着色ゲル粒子混合体の平均粒子径が0.2~5.0になるように、ハイドロゲル不溶化剤を含む媒体を攪拌しながら前記着色ゲル粒子原料組成物を添加することで、前記着色ゲル粒子混合体を得るとともに、前記着色固形粒子が、前記ハイブリッド着色ゲル粒子の前記着色ゲル粒子から不規則に露出している、
着色ゲル粒子混合体の製造方法。(ただし、着色固形粒子が繊維状物質であるものを除く。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド着色ゲル粒子集合体、このハイブリッド着色ゲル粒子集合体を含む着色ゲル粒子混合体、この着色ゲル粒子混合体などを含む多彩模様塗料などの塗料、この塗料が塗工された壁パネル、この壁パネルを用いた壁構造体、この壁構造体を有する建物および着色ゲル粒子混合体の製造方法に関する。
【0002】
近年、建築物の外装(例えば、壁や屋根)や内装等には、仕上げ材として、多彩模様塗料などの着色ゲル粒子を含む塗料が用いられることが多くなってきた。
【0003】
ここで、多彩模様塗料は、ゲル状の二色以上の色の粒子(二色以上の着色ゲル粒子)が懸濁した塗料であり、1回の塗装で色散らし模様ができるという特徴を有する(JIS K 5667)。多彩模様塗料に用いられる着色ゲル粒子は、従来、樹脂(樹脂エマルション)と顔料とハイドロゲルとで構成されていた。このような多彩模様塗料は、例えば、下記特許文献1に記載されている。
【0004】
特許文献1には、「(i) 水性合成樹脂エマルション、(ii) 感熱ゲル化剤及び(iii)着色剤を含有する感熱ゲル化型エマルション組成物を、当該組成物がゲル化する温度以上の温度を有する水中に滴下してゲル化することにより得ることができる着色高分子粒体。」が記載され、これによって「スプレー、ローラー、刷毛等の各種の塗装法に適した水性多彩模様塗料組成物を提供する」ことができるとある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような多彩模様塗料などの塗料に用いられている着色ゲル粒子は、着色された略球状のものが殆どであるため、塗膜表面に現れる着色ゲル粒子(乾燥物)は単一色で略球状などとなってしまい、単調で意匠的変化に乏しいものであった。
【0007】
特に近年、建築物の外装(例えば、壁や屋根)や内装等に高い意匠性が求められることが増えており、従来の多彩模様塗料にない斬新な意匠を実現する塗料などが切望されていた。
【0008】
本発明は、上述の事柄に留意してなされたものであって、従来の塗料にない斬新な意匠を実現することが可能なハイブリッド着色ゲル粒子集合体、着色ゲル粒子混合体、塗料、多彩模様塗料、壁パネル、壁構造体、建物および着色ゲル粒子混合体の製造方法を提供することを目的とする。特に、天然石材の持つにじみ感などを表現しやすいハイブリッド着色ゲル粒子集合体などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、着色ゲル粒子と着色固形粒子が一体化してなるハイブリッド着色ゲル粒子の集合体であって、着色固形粒子が、着色ゲル粒子から不規則に露出しているハイブリッド着色ゲル粒子集合体などとした。具体的な態様を以下に列挙する。
【0010】
(態様1)着色ゲル粒子と着色固形粒子が一体化してなるハイブリッド着色ゲル粒子の集合体であって、前記着色固形粒子が、前記着色ゲル粒子から不規則に露出している、ハイブリッド着色ゲル粒子集合体。(ただし、着色固形粒子が繊維状物質であるものを除く。)である。
ここで、ハイブリッド着色ゲル粒子は、単数個又は複数個の着色固形粒子を含む。
また、露出には、着色固形粒子の一部又は全部が露出している場合を含み、また、着色固形粒子の表面の一部に着色ゲル粒子が付着している態様も含む。
さらに、不規則に露出は、ハイブリッド着色ゲル粒子集合体全体としてみたときに、着色固形粒子が、着色ゲル粒子から不規則に露出していることをいう。
加えて、不規則に露出には、不規則に露出していることに加えて不規則に透過している部分がある場合も含む。
さらに加えて、目視において露出の確認ができないものや、露出が過多な場合(例えば、着色固形粒子の表面に着色ゲル粒子が殆ど付着していないハイブリッド着色ゲル粒子ばかりの場合)は、「不規則に露出」に含まれない。
【0011】
このハイブリッド着色ゲル粒子集合体は、着色固形粒子が、着色ゲル粒子から不規則に露出していることによって、従来の塗料にない斬新な意匠を実現することができる。具体的には、天然石材の持つにじみ感などを表現しやすくなる。
また、着色固形粒子が繊維状物質であるものを除くことによって、天然石材の持つにじみ感などを表現しやすくなる。繊維状物質は、アスペクト比が20以上の形状を有する物質である。
着色固形粒子は、発泡体(フォーム状)でないことが好ましい。これにより、ハイブリッド着色ゲル粒子の着色ゲル粒子から着色固形粒子が露出しやすくなる。
【0012】
(態様2)前記着色固形粒子が、前記ハイブリッド着色ゲル粒子の前記着色ゲル粒子から不規則に露出するとともに不規則に透過している、態様1に記載のハイブリッド着色ゲル粒子集合体である。
【0013】
このハイブリッド着色ゲル粒子集合体は、より一層、斬新な意匠を実現することができる。
このようなハイブリッド着色ゲル粒子集合体は、着色固形粒子の色彩が、着色固形粒子の表面に付着した着色ゲル粒子を透過して確認(視認)することができるよう、主に、着色ゲル粒子に含まれる着色顔料の配合量を調整することによって実現することができる。
【0014】
(態様3)前記着色ゲル粒子と前記着色固形粒子との色差ΔEが3.0以上である、態様1または態様2に記載のハイブリッド着色ゲル粒子集合体である。
【0015】
このハイブリッド着色ゲル粒子集合体は、着色ゲル粒子から部分的に露出する着色固形粒子をはっきりと視認しやすくなり、より一層、斬新な意匠を実現することができる。
【0016】
(態様4)前記着色固形粒子の平均粒子径が0.2~5.0mmである、態様1~3のいずれか1態様に記載のハイブリッド着色ゲル粒子集合体である。
【0017】
このハイブリッド着色ゲル粒子集合体は、着色固形粒子の平均粒子径が0.2~5.0mmであることによって、より一層、斬新な意匠を実現することができる。着色固形粒子の平均粒子径は、より好ましくは0.5~4.0mm、さらに好ましくは1.0~3.0mm、最も好ましくは1.5~2.5mmである。
【0018】
(態様5)前記着色固形粒子の真比重が0.2~3.0g/cm3である、態様1~4のいずれか1態様に記載のハイブリッド着色ゲル粒子集合体である。
【0019】
このハイブリッド着色ゲル粒子集合体は、より一層、斬新な意匠を実現することができる。また、製造工程において、ハイドロゲルを生成させる際の作業性が良くなる。
着色固形粒子の真比重は、より好ましくは0.5~2.6g/cm3、さらに好ましくは1.0~2.0g/cm3、最も好ましくは1.2~1.5g/cm3である。
【0020】
(態様6)着色ゲル粒子と着色固形粒子が一体化してなるハイブリッド着色ゲル粒子と、着色ゲル粒子からなり前記着色固形粒子を有していないプレーン着色ゲル粒子と、を含む着色ゲル粒子混合体であって、前記着色ゲル粒子混合体は、前記着色ゲル粒子100重量部に対して前記着色固形粒子を0.5~60重量部含み、さらに前記着色ゲル粒子混合体の平均粒子径が1に対して前記着色固形粒子の平均粒子径が0.2~5.0であり、前記着色固形粒子が、前記ハイブリッド着色ゲル粒子の前記着色ゲル粒子から不規則に露出している、着色ゲル粒子混合体(ただし、着色固形粒子が繊維状物質であるものを除く。)である。
ここで、ハイブリッド着色ゲル粒子を構成する着色ゲル粒子(第一着色ゲル粒子)は、プレーン着色ゲル粒子を構成する着色ゲル粒子(第二着色ゲル粒子)と同一組成であり、前記着色ゲル粒子100重量部というのは、上記第一着色ゲル粒子と上記第二着色ゲル粒子を合わせたもの100重量部である。
また、着色ゲル粒子混合体の平均粒子径は、着色ゲル粒子混合体に含まれるハイブリッド着色ゲル粒子とプレーン着色ゲル粒子の全体の平均粒子径である。
さらに、ハイブリッド着色ゲル粒子は、1つ以上の着色固形粒子を含む。
加えて、露出には、着色固形粒子の一部又は全部が露出している場合を含み、また、着色固形粒子の表面の一部に着色ゲル粒子が付着している態様も含む。
さらに加えて、不規則に露出には、不規則に露出していることに加えて不規則に透過している部分がある場合も含む。
またさらに加えて、目視において露出の確認ができないものや、露出が過多な場合(例えば、着色固形粒子の表面に着色ゲル粒子が殆ど付着していない場合)は、「不規則に露出」に含まれない。
【0021】
この着色ゲル粒子混合体は、着色固形粒子が、ハイブリッド着色ゲル粒子の着色ゲル粒子から不規則に露出していることによって、従来の塗料にない斬新な意匠を実現することができる。具体的には、天然石材の持つにじみ感などを表現しやすくなる。
また、着色固形粒子が繊維状物質であるものを除くことによって、天然石材の持つにじみ感などを表現しやすくなる。繊維状物質は、アスペクト比が20以上の形状を有する物質である。
さらに、着色ゲル粒子混合体は、着色ゲル粒子100重量部に対して、着色固形粒子を1~50重量部含むことが好ましく、着色固形粒子を10~40重量部含むことがより好ましく、着色固形粒子を20~35重量部含むことがさらに好ましく、着色固形粒子を25~30重量部含むことが最も好ましい。
加えて、着色ゲル粒子混合体の平均粒子径が1に対して、着色固形粒子の平均粒子径が0.5~3.5であることが好ましく、着色固形粒子の平均粒子径が0.6~3.0であることがより好ましく、着色固形粒子の平均粒子径が0.8~2.5であることがさらに好ましく、着色固形粒子の平均粒子径が1.0~2.0であることが最も好ましい。
着色固形粒子は、発泡体(フォーム状)でないことが好ましい。これにより、ハイブリッド着色ゲル粒子の着色ゲル粒子から着色固形粒子が露出しやすくなる。
【0022】
(態様7)前記着色固形粒子が、前記ハイブリッド着色ゲル粒子の前記着色ゲル粒子から不規則に露出するとともに不規則に透過している、態様6に記載の着色ゲル粒子混合体である。
【0023】
この着色ゲル粒子混合体は、より一層、斬新な意匠を実現することができる。
このような着色ゲル粒子混合体は、着色固形粒子の色彩が、着色固形粒子の表面に付着した着色ゲル粒子を透過して確認(視認)することができるよう、主に、着色ゲル粒子に含まれる着色顔料の配合量を調整することによって実現することができる。
【0024】
(態様8)前記ハイブリッド着色ゲル粒子における前記着色ゲル粒子と前記着色固形粒子との色差ΔEが3.0以上である、態様6または態様7に記載の着色ゲル粒子混合体である。
【0025】
この着色ゲル粒子混合体は、着色ゲル粒子から露出する着色固形粒子をはっきりと視認しやすくなり、より一層、斬新な意匠を実現することができる。
【0026】
(態様9)前記着色固形粒子の平均粒子径が0.2~5.0mmである、態様6~8のいずれか1態様に記載の着色ゲル粒子混合体である。
【0027】
この着色ゲル粒子混合体は、より一層、斬新な意匠を実現することができる。
【0028】
(態様10)前記着色固形粒子の真比重が0.2~3.0g/cm3である、態様6~9のいずれか1態様に記載の着色ゲル粒子混合体である。
【0029】
この着色ゲル粒子混合体は、より一層、斬新な意匠を実現することができる。また、製造工程におけるハイドロゲルを生成させる際に、作業性が良くなる。
【0030】
(態様11)態様1~5のいずれか1態様に記載のハイブリッド着色ゲル粒子集合体を含む塗料である。
【0031】
この塗料は、着色ゲル粒子から着色固形粒子が不規則に露出などしているハイブリッド着色ゲル粒子集合体を含むことによって、従来の塗料にない斬新な意匠を実現することができる。
【0032】
(態様12)態様1~5のいずれか1態様に記載のハイブリッド着色ゲル粒子集合体を含む多彩模様塗料である。
【0033】
この多彩模様塗料は、ハイブリッド着色ゲル粒子集合体を含むことによって、従来の多彩塗料にない斬新な意匠を実現することができる。
【0034】
(態様13)態様12に記載の多彩模様塗料が塗工された肌理の粗い面を有する壁パネルである。
ここで、「肌理の粗い面を有する壁パネル」としては、例えば、軽量気泡コンクリートパネル(ALCパネル)、プレキャストコンクリートパネル(PCパネル)などの気泡が表面にある発泡系コンクリートパネルや、目地状の格子溝によってタイル調の外観としたパネル、粗い不規則凹凸で岩肌状の外観を付与したパネルなどの表面凸凹状パネルがある。
【0035】
この壁パネルは、従来の壁パネルにない斬新な意匠を実現することができる。
【0036】
(態様14)態様13に記載の壁パネルを用いた壁構造体である。
【0037】
この壁構造体は、従来の壁構造体にない斬新な意匠を実現することができる。
【0038】
(態様15)態様14に記載の壁構造体を有する建物である。
【0039】
この建物は、従来の建物にはない斬新な意匠を実現することができる。
【0040】
(態様16)態様6~10のいずれか1態様に記載の着色ゲル粒子混合体を含む塗料である。
【0041】
この塗料は、着色ゲル粒子混合体(着色ゲル粒子から着色固形粒子が不規則に露出などしているハイブリッド着色ゲル粒子集合体を含む)を含むことによって、従来の塗料にない斬新な意匠を実現することができる。
【0042】
(態様17)態様6~10のいずれか1態様に記載の着色ゲル粒子混合体を含む多彩模様塗料である。
【0043】
この多彩模様塗料は、着色ゲル粒子混合体を含むことによって、従来の塗料にない斬新な意匠を実現することができる。
【0044】
(態様18)態様17に記載の多彩模様塗料が塗工された肌理の粗い面を有する壁パネルである。
「肌理の粗い面を有する壁パネル」については前述した通りであり、例えば、気泡が表面にある発泡系コンクリートパネルや、表面凸凹状パネルなどがある。
【0045】
この壁パネルは、従来の壁パネルにない斬新な意匠を実現することができる。
【0046】
(態様19)態様18に記載の壁パネルを用いた壁構造体である。
【0047】
この壁構造体は、従来の壁構造体にない斬新な意匠を実現することができる。
【0048】
(態様20)態様19に記載の壁構造体を有する建物である。
【0049】
この建物は、従来の建物にはない斬新な意匠を実現することができる。
【0050】
(態様21)合成樹脂、着色顔料およびハイドロゲル構成材を含む着色ゲル粒子原料組成物と、着色固形粒子と、を混合して着色ゲル粒子混合体原料組成物を得る原料組成物配合工程と、この原料組成物配合工程で得られた前記着色ゲル粒子混合体原料組成物を、ハイドロゲル不溶化剤を含む媒体を攪拌しながらこれに添加して、前記ハイドロゲル構成材と前記ハイドロゲル不溶化剤を反応させてハイドロゲルを生成させて、前記合成樹脂、前記着色顔料および前記ハイドロゲルで構成された着色ゲル粒子と着色固形粒子とが一体化してなるハイブリッド着色ゲル粒子と、前記着色ゲル粒子からなり前記着色固形粒子を有していないプレーン着色ゲル粒子と、を含む着色ゲル粒子混合体を得る、原料組成物ゲル化工程と、を有する着色ゲル粒子混合体の製造方法であって、前記原料組成物配合工程では、前記着色固形粒子が、前記着色ゲル粒子原料組成物100重量部に対して0.5~60重量部となるように配合し、前記原料組成物ゲル化工程では、前記着色固形粒子の平均粒子径が1に対し前記着色ゲル粒子混合体の平均粒子径が0.2~5.0になるように、ハイドロゲル不溶化剤を含む媒体を攪拌しながら前記着色ゲル粒子原料組成物を添加することで、前記着色ゲル粒子混合体を得るとともに、前記着色固形粒子が、前記ハイブリッド着色ゲル粒子の前記着色ゲル粒子から不規則に露出している、着色ゲル粒子混合体の製造方法。(ただし、着色固形粒子が繊維状物質であるものを除く。)である。
着色固形粒子の平均粒子径が1に対し着色ゲル粒子混合体の平均粒子径が0.2~5.0という要件は、態様6における、着色ゲル粒子混合体の平均粒子径が1に対して着色固形粒子の平均粒子径が0.2~5.0という要件に相当し、製造方法に適用するに際して、着色固形粒子の平均粒子径を基準にした形式に書き換えたものである。
着色固形粒子の平均粒子径が1に対して、着色ゲル粒子混合体の平均粒子径が0.29~2.0であることが好ましく、着色ゲル粒子混合体の平均粒子径が0.33~1.67であることがより好ましく、着色ゲル粒子混合体の平均粒子径が0.4~1.25であることがさらに好ましく、着色ゲル粒子混合体の平均粒子径が0.5~1.0であることが最も好ましい。
【0051】
この着色ゲル粒子混合体の製造方法によって、態様1~5のいずれか1態様に記載されたハイブリッド着色ゲル粒子集合体や、態様6~10のいずれか1態様に記載された着色ゲル粒子混合体を得ることができる。
【発明の効果】
【0052】
本発明により、従来の塗料にない斬新な意匠を実現することが可能なハイブリッド着色ゲル粒子集合体、着色ゲル粒子混合体、塗料、多彩模様塗料、壁パネル、壁構造体、建物および着色ゲル粒子混合体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】着色ゲル粒子混合体(着色固形粒子として塗膜粉砕物を使用)の平面写真である。
【
図2】着色ゲル粒子混合体(着色固形粒子としてセルベンを使用)の平面写真である。
【
図3】着色ゲル粒子混合体の製造方法を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、ハイブリッド着色ゲル粒子集合体、着色ゲル粒子混合体、塗料および着色ゲル粒子混合体の製造方法などについて例示説明するが、本発明は以下の実施形態などに限定されるものではない。
【0055】
ハイブリッド着色ゲル粒子集合体は、プレーン着色ゲル粒子とともに着色ゲル粒子混合体として得ることができるので、まず、着色ゲル粒子混合体について例示説明するとともに、その中でハイブリッド着色ゲル粒子集合体について例示説明する。
【0056】
1.着色ゲル粒子混合体
着色ゲル粒子混合体は、ハイブリッド着色ゲル粒子とプレーン着色ゲル粒子と、を含む。詳細には、着色ゲル粒子混合体は、複数個のハイブリッド着色ゲル粒子(ハイブリッド着色ゲル粒子集合体)と、複数個のプレーン着色ゲル粒子(プレーン着色ゲル粒子集合体)を含む。
以下、着色ゲル粒子混合体を構成する、ハイブリッド着色ゲル粒子とプレーン着色ゲル粒子を例示説明する。
【0057】
(1)ハイブリッド着色ゲル粒子
ハイブリッド着色ゲル粒子は、着色ゲル粒子混合体の必須成分であり、着色ゲル粒子混合体に複数個(多数個)が含まれる(ハイブリッド着色ゲル粒子集合体)。ハイブリッド着色ゲル粒子は、着色ゲル粒子と着色固形粒子が一体化してなる。そして、ハイブリッド着色ゲル粒子集合体は、ハイブリッド着色ゲル粒子集合体全体としてみたときに、着色固形粒子が、着色ゲル粒子から不規則に露出している。
以下、ハイブリッド着色ゲル粒子を構成する着色固形粒子と着色ゲル粒子を例示説明する。
【0058】
A.着色固形粒子
着色固形粒子は、着色された固形状の粒子である。
【0059】
着色固形粒子としては、有機着色ビーズ、無機着色ビーズ、鉱物とその加工物などを用いることができる。有機着色ビーズとしては、カラーフィルム、金属蒸着フィルム、塗膜粉砕物、プラスチックビーズを例示することができる。無機着色ビーズとしては、ガラスビーズ、セルベンを例示することができる。鉱物とその加工物としては、砂礫、重晶石、マイカを例示することができる。なお、着色固形粒子には、炭酸カルシウムなどの体質顔料は含まない。
【0060】
また、着色固形粒子には、繊維状物質は含まない。着色固形粒子(但し、繊維状物質を除く)を用いることで、塗料化した際、天然石材の持つにじみ感などを実現しやすくなる。「繊維状物質」は、例えば、アスペクト比が20以上の形状を有する物質である。繊維状物質のアスペクト比は、繊維状物質の単繊維直径及び長さに基づいて、単繊維直径に対する長さの比として算出される。着色固形粒子には、アスペクト比が30以上、40以上または50以上の繊維状物質が含まれないものとすることができる。
「繊維状物質」には、無機繊維や 有機繊維があり、無機繊維としては、例えば、ロックウール、グラスウール、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ‐アルミナ複合酸化物繊維、炭素繊維、炭化珪素繊維等を挙げることができ、有機繊維としては、例えば、ポリエステル繊維等のポリマー繊維、木質繊維、セルロース繊維などを挙げることができる。
【0061】
着色固形粒子は、発泡体状(フォーム状)でないことが好ましい。発泡体状の着色固形粒子は表面に小さな凹凸があり、着色ゲル粒子の中に埋没または着色ゲル粒子が全面に付着しやすいため、着色ゲル粒子から露出しにくい。すなわち、着色固形粒子(但し、発泡体を除く)を用いることで、着色ゲル粒子から着色固形粒子が不規則に露出しやすくなる。着色固形粒子の真比重は、0.2~3.0g/cm3であることが好ましい。
【0062】
着色固形粒子としての塗膜粉砕物は、着色されたフレーク状の粉体である。フレーク状とは板状、鱗片状等の平板状の形状を包含する。塗膜粉砕物は、樹脂と顔料を含んでいることが好ましく、例えば、樹脂と顔料を含む液状原料を可剥離性のある基材等に薄く塗布し、乾燥させた後に基材等から剥離して粉砕することで得られる。
以下、塗膜粉砕物(着色フレーク)の製作方法を例示説明する。
【0063】
まず、塗膜粉砕物の元となる液状原料を作成する。液状原料は、合成樹脂、溶媒、着色成分となる着色顔料などを含むものを用いることができる。これに加えて、体質顔料、骨材、増粘剤、レベリング剤などを含んでいてもよい。
【0064】
合成樹脂には、種々の合成樹脂やゴムラテックスを用いることができる。なかでも、耐候性の面から、アクリルシリコーン系樹脂を用いることが好ましい。例えば、アクリルシリコーン樹脂やセラミック変性アクリルシリコーン樹脂は好適である。アクリルシリコーン樹脂として、例えば、株式会社日本触媒「ユーダブルEF‐008」が挙げられる。
【0065】
合成樹脂は、溶媒に溶解させたり、溶媒(特に水溶媒)に分散させた樹脂エマルションの形態で用いたりすることができる。
【0066】
着色顔料には、例えば、酸化チタン、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄(酸化第二鉄:ベンガラ)、フタロシアニンブルー、オーカー、群青、カーボンブラック、黒色酸化鉄などを用いることができる。体質顔料には、例えば、炭酸カルシウム、クレー、タルク、カオリン、ベントナイト、珪石粉、珪藻土、ホワイトカーボンなどを用いることができる。
【0067】
骨材としては、珪砂のように産出時において細かい粒のもの、例えば、寒水石、御影石、大理石等の天然石を粉砕して細粒としたもののほか、ガラスビーズ、プラスチックビーズ、寒水砂あるいは珪砂を核として塗料を被覆したもの、釉薬を被覆したものを用いることができる。
【0068】
塗膜粉砕物を製作する方法として、例えば、液状原料を平坦な可剥離性のある基材の上に一定膜厚が確保できる塗装手段(例えば、フィルムアプリケーター:JIS‐K5101)により塗布して乾燥させることが考えられる。このとき、乾燥厚みが150μm以下になるような厚みで塗布することが好ましい。最も好ましくは、乾燥厚みが75μm±15μmとなるような厚みで塗布することである。
その後、基材から塗膜を剥離し、粉砕手段により粉砕して、塗膜粉砕物を得る。
【0069】
このようにして得られた塗膜粉砕物を、所定の目開き寸法の篩にかけて、そこを通過したものを用いることができる。塗膜破砕物の説明は以上である。
【0070】
着色固形粒子の量は、後述するように、着色ゲル粒子混合体において、着色ゲル粒子100重量部に対して0.5~60重量部である。
【0071】
また、着色固形粒子の平均粒子径は、後述する着色ゲル粒子混合体の平均粒子径が1に対して0.2~5.0である。着色ゲル粒子混合体の平均粒子径は、ハイブリッド着色ゲル粒子とプレーン着色ゲル粒子を合わせたゲル粒子集合体の平均粒子径である。
実際には、後述するように、着色ゲル粒子混合体の製造方法における原料組成物ゲル化工程において、着色固形粒子の平均粒子径を1とした場合に、着色ゲル粒子混合体の平均粒子径が0.2~5.0になるように調節する。
着色固形粒子の平均粒子径は0.2~5.0mmが好ましい。
【0072】
着色固形粒子の平均粒子径における「平均粒子径」は、重量累積粒度分布の50%径であり、粒度分布の測定には、レーザー回折式粒度分布測定装置(日機装株式会社製 HRAマイクロトラック)を用いる。
着色ゲル粒子混合体の平均粒子径については後述する。
【0073】
着色固形粒子の色は、後述するように、ハイブリッド着色ゲル粒子における着色ゲル粒子との色差ΔEが3.0以上であることが好ましい。色差は、ハイブリッド着色ゲル粒子を乾燥させた状態で測定することができる。
【0074】
B.着色ゲル粒子
着色ゲル粒子は、着色されたゲル状の粒子である。着色ゲル粒子は合成樹脂、着色顔料およびハイドロゲルを含む。
【0075】
詳細には、着色ゲル粒子は、合成樹脂、着色顔料およびハイドロゲル構成材を含む着色ゲル粒子原料組成物を、ハイドロゲル不溶化剤を含む媒体を攪拌しながらこれに添加して、ハイドロゲル構成材とハイドロゲル不溶化剤を反応させてハイドロゲルを生成させることによって得ることができる。
本発明では、後述する様に、着色ゲル粒子原料組成物と着色固形粒子を混合してハイドロゲル不溶化剤を含む媒体に添加する。以下、合成樹脂、着色顔料およびハイドロゲル(ハイドロゲル構成材およびハイドロゲル不溶化剤)について例示説明する。
【0076】
a)合成樹脂
着色ゲル粒子を構成する合成樹脂は、合成樹脂エマルションの形で用いることができる。合成樹脂エマルションは、合成樹脂粒子が水又は含水溶媒に乳化分散したものである。
【0077】
合成樹脂エマルションの樹脂成分は、特に限定されない。例えば、アクリル樹脂、エチレン‐アクリル樹脂、酢酸ビニル‐アクリル樹脂、スチレン‐アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、ウレタン‐アクリル樹脂、シリコン‐アクリル樹脂等公知の合成樹脂を用いることができる。なかでも、耐候性の面から、アクリル樹脂、特にアクリルシリコーン系樹脂を用いることが好ましい。例えば、アクリルシリコーン樹脂やセラミック変性アクリルシリコーン樹脂は好適である。
【0078】
アクリルシリコーン樹脂エマルションとして、例えば、株式会社日本触媒「ユーダブルEF‐023」が挙げられる。
【0079】
b)着色顔料
着色ゲル粒子を構成する着色顔料としては、例えば、酸化チタン、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄(酸化第二鉄:ベンガラ)、フタロシアニンブルー、オーカー、群青、カーボンブラックなどを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
着色顔料の含有量は、合成樹脂エマルションの固形分100重量部に対して、好ましくは0.1~150重量部、より好ましくは0.5~100重量部、最も好ましくは1~80重量部である。
【0081】
着色顔料の含有量を低下させるなどすると、ハイブリッド着色ゲル粒子において、着色ゲル粒子から前記着色固形粒子が不規則に露出することに加えて「不規則に透過」するようになり、従来の塗料にない透明感が加わった斬新な意匠を実現することが可能となる。すなわち、着色固形粒子の色彩が、着色固形粒子の表面に付着した着色ゲル粒子を透過して確認(視認)することができるように、主に着色ゲル粒子に含まれる着色顔料の配合量を調整することによって、このような斬新な意匠を実現することができる。着色固形粒子の表面に付着した着色ゲル粒子の厚みによっても透過性は異なってくる。
【0082】
c)ハイドロゲル
着色ゲル粒子を構成するハイドロゲルは、ハイドロゲル形成物質に水が保持されてゲルを形成している構造を有する。ハイドロゲル形成物質は、ゲル中の水を保持するためのネットワーク構造を形成してゲル化作用を発現する化合物であり、ネットワーク構造の主要部となるハイドロゲル構成材(ハイドロゲル主原料)と、ネットワーク構造の継ぎ手部となるハイドロゲル不溶化剤(ゲル化剤)とが反応又は結合して形成される。
【0083】
ハイドロゲル構成材(ハイドロゲル主原料)は、ハイドロゲルを形成できるものであれば特に限定されず、有機化合物であっても無機化合物であってもよく、両者を混合して使用してもよい。
【0084】
有機化合物としては水酸基含有有機高分子が好ましい。例えば、ポリビニルアルコール、グアーガム、カラギーナン、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、及びこれらの誘導体等を用いることができる。なかでも、樹脂等が良好に分散され、安定性に優れるハイドロゲルが得られる点で、ポリビニルアルコール、グアーガム、グアーガム誘導体(ヒドロキシプロピル化等の変性)が好ましい。多糖類の一種で、食物繊維のひとつであるアルギン酸ナトリウムを用いることもできる。
【0085】
無機化合物としては、水膨潤性ケイ酸塩化合物が好ましい。例えば、ヘクトライト、モンモリロナイト、ベントナイト、アタパルジャイト等の水膨潤性粘土鉱物を挙げることができる。水膨潤性ケイ酸塩化合物は、天然物である鉱物は勿論のこと、合成物であってもよい。なかでも、安定性に優れるハイドロゲルが得られる点で、合成ヘクトライトが好ましい。
【0086】
ハイドロゲル構成材と反応又は結合して、ネットワーク構造の継ぎ手部となるハイドロゲル不溶化剤(ゲル化剤)としては、リン酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩等を用いることができる。水に溶解し難い良好なハイドロゲルを形成できる点で、リン酸塩及びホウ酸塩が好ましい。ハイドロゲル構成材がヘクトライト等の水膨潤性ケイ酸塩化合物の場合はリン酸塩が特に好ましく、ハイドロゲル構成材がポリビニルアルコール、グアーガム等の水酸基含有有機高分子の場合はホウ酸塩が特に好ましい。水中で安定なハイドロゲルを形成できるからである。
リン酸塩としては、ピロリン酸ナトリウム等のリン酸ナトリウム類、ピロリン酸カリウム等のリン酸カリウム類などを用いることができ、ホウ酸塩としては五ホウ酸アンモニウム等のホウ酸アンモニウム類、ホウ砂などを例示できる。
【0087】
ハイドロゲル構成材(ハイドロゲル主原料)とハイドロゲル不溶化剤(ゲル化剤)が反応又は結合し、ハイドロゲル形成物質によるネットワーク構造を形成するとき、両者が単に付加等、加算的に結合してもよく、脱水等、それらの一部の原子が脱離して結合する縮合であってもよい。
【0088】
なお、ハイドロゲルについてハイドロゲル構成材とハイドロゲル不溶化剤(ゲル化剤)によるネットワーク構造を例示したが、ハイドロゲルであれば、ネットワーク構造形成とは異なる作用によってゲルを形成してもよい。また、着色ゲル粒子は、炭酸カルシウムなどの体質顔料を含んでもよい。
【0089】
C. 着色固形粒子と上記着色ゲル粒子が一体化してなるハイブリッド着色ゲル粒子
上記着色固形粒子と上記着色ゲル粒子によってハイブリッド着色ゲル粒子は構成される。そして、複数個のハイブリッド着色ゲル粒子(ハイブリッド着色ゲル粒子集合体)は、後述するプレーン着色ゲル粒子とともに、着色ゲル粒子混合体に含まれる。
そして、前述した様に、ハイブリッド着色ゲル粒子集合体は、着色固形粒子が、着色ゲル粒子から不規則に露出している。
このようなハイブリッド着色ゲル粒子(ハイブリッド着色ゲル粒子集合体)が含まれている着色ゲル粒子混合体の製造方法は後述する。
【0090】
(2)プレーン着色ゲル粒子
プレーン着色ゲル粒子は、着色ゲル粒子混合体の必須成分であり、着色ゲル粒子混合体に複数個(多数個)が含まれる。そして、プレーン着色ゲル粒子は、着色ゲル粒子からなり着色固形粒子を有していない。
【0091】
前述したように、着色ゲル粒子(プレーン着色ゲル粒子)は、合成樹脂、着色顔料およびハイドロゲル構成材を含む着色ゲル粒子原料組成物を、ハイドロゲル不溶化剤を含む媒体を攪拌しながらこれに添加して、ハイドロゲル構成材とハイドロゲル不溶化剤を反応させてハイドロゲルを生成させることによって得られる。着色ゲル粒子原料組成物は炭酸カルシウムなどの体質顔料を含んでもよい。
本発明では、着色ゲル粒子原料組成物と着色固形粒子を混合して得られた着色ゲル粒子混合体原料組成物を、ハイドロゲル不溶化剤を含む媒体に添加している。そうすると、通常は、着色固形粒子を含んだ多数個のハイブリッド着色ゲル粒子のほか、着色固形粒子を含んでいない多数個のプレーン着色ゲル粒子も得られる。
後述するように、得られるプレーン着色ゲル粒子は、通常、ハイブリッド着色ゲル粒子よりもかなり小さくなる。
着色ゲル粒子の材料などについては前述した通りであるので詳細な説明を省略する。
【0092】
(3)ハイブリッド着色ゲル粒子とプレーン着色粒子を含む着色ゲル粒子混合体
【0093】
着色ゲル粒子混合体を
図1に例示する。着色ゲル粒子混合体は、複数個のハイブリッド着色ゲル粒子1と複数個のプレーン着色粒子2を含む。なお、代表する三つのハイブリッド着色ゲル粒子1と、代表する三つのプレーン着色粒子2にのみ符号を付してある。
また、
図1および
図2に例示するハイブリッド着色ゲル粒子1は、着色固形粒子12の表面の一部に着色ゲル粒子11が付着している態様である。
図1は着色固形粒子12として塗膜粉砕物を使用した例、
図2は着色固形粒子12としてセルベンを使用した例である。これらのような態様も着色ゲル粒子から着色固形粒子が露出しているという概念に含まれる。ハイブリッド着色ゲル粒子について、着色固形粒子が着色ゲル粒子から不規則に露出(これらの図のハイブリッド着色ゲル粒子1では、着色固形粒子12が、表面に付着している着色ゲル粒子12から不規則に露出)していることがわかる。
なお、プレーン着色ゲル粒子2は、通常、ハイブリッド着色ゲル粒子1よりもかなり小さくなる。
【0094】
2.着色ゲル粒子混合体の製造方法
次に、着色ゲル粒子混合体の製造方法を例示説明する。着色ゲル粒子混合体の製造方法は、
図3に例示するように、原料組成物配合工程S1と、原料組成物ゲル化工程S2と、からなる。得られる着色ゲル粒子混合体は、複数個のハイブリッド着色ゲル粒子(着色固形粒子を含む)と複数個のプレーン着色ゲル粒子(着色固形粒子を含まない)と、が集合している。
【0095】
(1)原料組成物配合工程
原料組成物配合工程S1は、着色ゲル粒子原料組成物と、着色固形粒子と、を混合して着色ゲル粒子混合体原料組成物を得る工程である。
【0096】
A.着色ゲル粒子原料組成物
着色ゲル粒子原料組成物は、合成樹脂、着色顔料およびハイドロゲル構成材を含む。各構成材料については前述したので説明を省略する。
なお、着色ゲル粒子原料組成物の重量が、着色ゲル粒子混合体に含まれる着色ゲル粒子(ハイブリッド着色ゲル粒子の着色ゲル粒子およびプレーン着色ゲル粒子の着色ゲル粒子)の重量に相当する。
【0097】
B.着色固形粒子
着色固形粒子についても前述したので、説明を省略する。
【0098】
C.混合
原料組成物配合工程では、上記着色ゲル粒子原料組成物と、上記着色固形粒子と、を混合して均一に分散等するまで攪拌し、着色ゲル粒子混合体原料組成物を得る。混合の際、着色ゲル粒子原料組成物を構成する合成樹脂、着色顔料およびハイドロゲル構成材と、着色固形粒子とを直接混合することができる。なお、所望により水溶媒、体質顔料、防腐剤、増粘剤、各種添加剤などの任意成分を添加することができる。体質顔料としては炭酸カルシウムを例示することができる。
【0099】
このとき、着色固形粒子が、着色ゲル粒子原料組成物100重量部に対して0.5~60重量部となるように配合して混合する必要がある。これにより、後述する着色ゲル粒子混合体において、着色ゲル粒子100重量部に対して着色固形粒子が0.5~60重量部含まれることとなる。
【0100】
着色ゲル粒子混合体原料組成物中における合成樹脂エマルションの含有量は、合成樹脂固形分ベースで、好ましくは1~30重量%、より好ましくは2~20重量%、さらに好ましくは3~15重量%、最も好ましくは4~10重量%である。
【0101】
着色ゲル粒子混合体原料組成物中における着色顔料の含有量は、好ましくは0.1~30重量%、より好ましくは0.5~20重量%、さらに好ましくは2~15重量%、最も好ましくは5~10重量%である。
【0102】
着色ゲル粒子混合体原料組成物中のハイドロゲル構成材の含有量は、合成樹脂エマルションの固形分100重量部に対して、好ましくは固形分で3~100重量部、より好ましくは固形分で10~80重量部、さらに好ましくは25~70重量部、最も好ましくは固形分で40~60重量部である。
【0103】
(2)原料組成物ゲル化工程
原料組成物ゲル化工程S2は、着色ゲル粒子混合体原料組成物を、ハイドロゲル不溶化剤を含む媒体を攪拌しながらこれに添加して、ハイドロゲル構成材とハイドロゲル不溶化剤を反応させてハイドロゲルを生成させ、着色ゲル粒子混合体を得る工程である。
着色ゲル粒子混合体は、複数個のハイブリッド着色ゲル粒子(ハイブリッド着色ゲル粒子集合体)と複数個のプレーン着色ゲル粒子(プレーン着色ゲル粒子集合体)とを含む。
【0104】
A. ハイドロゲル不溶化剤
ハイドロゲル不溶化剤は、ハイドロゲル構成材と反応又は結合して、ネットワーク構造の継ぎ手部となる。ハイドロゲル不溶化剤についても前述したので、説明を省略する。
【0105】
ハイドロゲル不溶化剤(ゲル化剤)の水溶液中濃度は、好ましくは0.01~1.0重量%、より好ましくは0.1~0.8重量%、さらに好ましくは0.2~0.7重量%、最も好ましくは0.4~0.6重量%である。
【0106】
B. 着色ゲル粒子混合体
ハイドロゲル不溶化剤(ゲル化剤)を含む媒体を攪拌しながら着色ゲル粒子原料組成物を添加することで、着色ゲル粒子混合体が得られる。
【0107】
前述したように、着色ゲル粒子混合体原料組成物を、ハイドロゲル不溶化剤を含む媒体を攪拌しながら、これに添加すると、通常は、着色固形粒子を含んだハイブリッド着色ゲル粒子のほか、着色固形粒子を含んでいないプレーン着色ゲル粒子も得られる。
【0108】
そして、原料組成物配合工程において、着色固形粒子が、着色ゲル粒子原料組成物100重量部に対して0.5~60重量部となるように配合した条件下において、着色固形粒子の平均粒子径が1に対し前記着色ゲル粒子混合体の平均粒子径が0.2~5.0になるように、ハイドロゲル不溶化剤(ゲル化剤)を含む媒体を攪拌しながら着色ゲル粒子混合体原料組成物を添加する。
これにより、ハイブリッド着色ゲル粒子には、着色ゲル粒子から着色固形粒子が不規則に露出しているものが含まれることとなり、ハイブリッド着色ゲル粒子集合体全体としてみたときに着色固形粒子が着色ゲル粒子から不規則に露出することとなる。すなわち、ハイブリッド着色ゲル粒子集合体全体としてみたときに、着色固形粒子が着色ゲル粒子から露出する(又は着色ゲル粒子が着色固形粒子に付着する)位置・大きさ・範囲が、ハイブリッド着色ゲル粒子の間で異なることとなる。
【0109】
着色ゲル粒子混合体の平均粒子径は、着色ゲル粒子混合体に含まれるハイブリッド着色ゲル粒子とプレーン着色ゲル粒子の全体の平均粒子径であり、多数のこれら着色ゲル粒子の粒子径の平均である。粒子径の測定方法は、これら着色ゲル粒子を顕微鏡などで観察して求めることができる。例えば、得られたこれら着色ゲル粒子混合体を水性合成樹脂エマルション系クリヤー塗料と1:10(重量)程度の割合で混合し、約10cm2のABS板に流し塗りをし、乾燥後、顕微鏡にて外径を観測し、求めることができる。所定の範囲(例えば20mm2)において、そこに存在するハイブリッド着色ゲル粒子とプレーン着色ゲル粒子の粒子径を測定して平均することで平均粒子径を求めることができる。
【0110】
ハイドロゲル不溶化剤を含む媒体を攪拌しながら着色ゲル粒子混合体原料組成物を添加する際、着色ゲル粒子混合体原料組成物の粘度、ハイドロゲル不溶化剤を含む媒体の温度、攪拌速度、攪拌時間などを調整することで、ハイブリッド着色ゲル粒子やプレーン着色ゲル粒子の大きさや、ハイブリッド着色ゲル粒子における着色固形粒子への着色ゲル粒子の付着量などを調節することができる。
図1に例示するように、得られるプレーン着色ゲル粒子2は、通常、ハイブリッド着色ゲル粒子1よりもかなり小さくなる。
【0111】
撹拌終了後、安定したゲルを形成させるため、室温下に1時間以上、好ましくは5時間以上静置することが望ましい。形成されるゲルが平衡状態に達する点で、静置時間の上限としては通常24時間程度である。
上記製造方法によって、ネットワーク構造等を有するゲル形成物質が形成され、樹脂等が分散された水が、当該ネットワーク構造等に保持されて着色ゲル粒子混合体が得られる。
なお、得られた着色ゲル粒子混合体には、ハイブリッド着色ゲル粒子とプレーン着色ゲル粒子が含まれる。なお、例えばメッシュなどを用いて、ハイブリッド着色ゲル粒子を着色ゲル粒子混合体から分離することができる。
【0112】
3.着色ゲル粒子混合体などを含む多彩模様塗料などの塗料
着色ゲル粒子混合体やハイブリッド着色ゲル粒子集合体は、例えば、多彩模様塗料などの塗料に用いることができる。この塗料は、従来にない斬新な意匠の塗膜を実現することができる。
【0113】
着色ゲル粒子混合体やハイブリッド着色ゲル粒子集合体を含む塗料としては、特に制限されない。例えば、着色ゲル粒子混合体やハイブリッド着色ゲル粒子集合体と、合成樹脂エマルションと、を含む塗料とすることができる。所望により着色顔料、体質顔料、防腐剤、増粘剤、各種添加剤、水溶媒などの任意成分を含む塗料とすることもできる。また、複数色の着色ゲル粒子混合体などを配合して多彩模様塗料とすることができる。
【0114】
また、着色ゲル粒子混合体などを含む塗料としては、例えば、着色ゲル粒子混合体などだけでなく、これに加えて従来の着色ゲル粒子も含ませることができる。着色ゲル粒子混合体などと従来の着色ゲル粒子を併用することで、意匠感を調整することができる。
【0115】
このような塗料が塗布される被塗装面は特に限定されない。例えば、壁パネルや、建築物の外壁や内壁に塗布することができる。被塗装面の材質も、特に限定されない。例えば、磁器、タイル、コンクリート、ALCパネル、PCパネル、モルタル、サイディングボード、押出成形板、石膏ボード、鋼板及びプラスティックボードを用いることができる。
また、新築された建造物の被塗装面だけでなく、既存の建造物の被塗装面を塗り替える際にも用いることができる。
【0116】
着色ゲル粒子混合体やハイブリッド着色ゲル粒子集合体を含む塗料を被塗装面の表面に塗布する方法は特に限定されない。例えば、吹き付け塗装やローラー塗装で塗布することができる。
【0117】
4.壁パネル、壁構造体および建物
【0118】
着色ゲル粒子混合体などを含む多彩模様塗料などの塗料は、壁パネルに好適に用いることができる。特に、ALCパネル、PCパネル、目地状の格子溝を有するパネル、岩肌状の外観のパネルなど、肌理の粗い面を有する壁パネルに塗工することが好ましい。
【0119】
また、このような壁パネルを用いた壁構造体(外壁構造体、内壁構造体)や、このような壁構造体を有する建物は、より一層、従来にない斬新な意匠を有する。
【実施例0120】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中、量比などは重量に基づく値である。
【0121】
1.着色ゲル粒子混合体の作成
(実施例1)
下記表1における実施例1の配合表に基づき、着色ゲル粒子混合体を作成した。
まず、合成樹脂エマルション(株式会社日本触媒「ユーダブルEF‐023」)、着色顔料(茶系)、体質顔料(白石カルシウム株式会社製「ホワイトン305」)、水(水道水)を配合し、さらにそこに着色固形粒子としてのカラーフィルム(破砕物)を配合した。
その後、ハイドロゲル構成材であるPVA樹脂溶液(株式会社クラレ社製「エルバノール71‐30」)とアルギン酸ナトリウム水溶液(株式会社キミカ製「キミカアルギンHight I‐3G」の1%水溶液)を配合して混合攪拌し着色ゲル粒子混合体原料組成物を得た。
なお、表1中の着色ゲル粒子原料組成物の重量が、着色ゲル粒子(ハイブリッド着色ゲル粒子の着色ゲル粒子およびプレーン着色ゲル粒子の着色ゲル粒子)の重量に相当する。したがって、(着色固形粒子の重量/着色ゲル粒子原料組成物の重量)×100=着色ゲル粒子100重量部に対する着色固形粒子の量(重量部)となる。
得られた混合攪拌溶液(着色ゲル粒子混合体原料組成物)を、ハイドロゲル不溶化剤(0.4% ホウ酸アンモニウム)を含む水溶液に撹拌しながら投入して、着色ゲル粒子混合体が平均粒子径1.5mmの大きさになるまで撹拌を続け粒子を不溶化して着色ゲル粒子混合体を得た。
評価項目である着色固形粒子の不規則な露出について、複数人で目視評価した。
【0122】
得られた着色ゲル粒子混合体は、着色固形粒子を含む多数個のハイブリッド着色ゲル粒子(ハイブリッド着色ゲル粒子集合体)と、着色固形粒子を含まないプレーン着色ゲル粒子で構成されており、ハイブリッド着色ゲル粒子(集合体)は、着色ゲル粒子から着色固形粒子が不規則に露出していた(○評価)。
【0123】
【0124】
(実施例2)
実施例1の配合をベースに、着色固形粒子の種類を変更(カラーフィルム→塗膜粉砕物)するとともに、着色ゲル粒子の色調が灰色になるように着色顔料の配合を変更し、ハイドロゲル構成材の一部を変更(アルギン酸ナトリウム水溶液→グアーガム水溶液:MP五協フード&ケミカル社製「エコーガムSF」の1%水溶液)した。また、着色ゲル粒子100重量部に対する着色固形粒子の量を増加(14.0重量部→27.5重量部)させた。
【0125】
得られた着色ゲル粒子混合体は、ハイブリッド着色ゲル粒子(集合体)の着色ゲル粒子から着色固形粒子が不規則に露出していた(◎評価)。
【0126】
(実施例3)
実施例2の配合をベースに、着色固形粒子の種類を変更(塗膜粉砕物→セルベン)するとともに、着色ゲル粒子100重量部に対する着色固形粒子の量を増加(27.5重量部→54.9重量部)させた。
【0127】
得られた着色ゲル粒子混合体は、ハイブリッド着色ゲル粒子(集合体)の着色ゲル粒子から着色固形粒子が不規則に露出していた(○評価)。
【0128】
(実施例4)
実施例2の配合をベースに、着色固形粒子の種類を変更(カラーフィルム→マイカ)するとともに、着色ゲル粒子の色調が黒色になるように着色顔料の配合を変更した。また、着色ゲル粒子100重量部に対する着色固形粒子の量を減少(27.5重量部→5.6重量部)させた。
【0129】
得られた着色ゲル粒子混合体は、ハイブリッド着色ゲル粒子(集合体)の着色ゲル粒子から着色固形粒子が不規則に露出していた(○評価)。
【0130】
(実施例5)
実施例1の配合をベースに、着色ゲル粒子の色調が薄茶色になるように着色顔料の配合を変更するとともに、ハイドロゲル構成材の一部を変更(アルギン酸ナトリウム水溶液→グアーガム水溶液)した。
【0131】
得られた着色ゲル粒子混合体は、ハイブリッド着色ゲル粒子(集合体)の着色ゲル粒子から着色固形粒子が不規則に露出していた(○評価)。
【0132】
(比較例1)
実施例1の配合をベースに、着色固形粒子の種類を変更(カラーフィルム→重晶石)するとともに、着色ゲル粒子の色調が薄茶色になるように着色顔料の配合を変更し、ハイドロゲル構成材の一部を変更(アルギン酸ナトリウム水溶液→グアーガム水溶液)した。また、着色ゲル粒子100重量部に対する着色固形粒子の量を増加(14.0重量部→27.4重量部)させた。
【0133】
得られた着色ゲル粒子混合体は、着色固形粒子が小さく、ハイブリッド着色ゲル粒子(集合体)の着色ゲル粒子から着色固形粒子が不規則に露出している様子が目視確認できなかった(×評価)。
【0134】
(比較例2)
実施例1の配合をベースに、着色固形粒子の種類を変更(カラーフィルム→エチレン酢ビフォーム)するとともに、着色ゲル粒子の色調が薄茶色になるように着色顔料の配合を変更し、ハイドロゲル構成材の一部を変更(アルギン酸ナトリウム水溶液→グアーガム水溶液)した。また、着色ゲル粒子100重量部に対する着色固形粒子の量を大きく低下(14.0重量部→0.3重量部)させた。
【0135】
得られた着色ゲル粒子混合体は、着色固形粒子の配合量が少なく、ハイブリッド着色ゲル粒子の着色ゲル粒子から着色固形粒子が露出していなかった(×評価)。
(比較例3)
実施例1の配合をベースに、着色固形粒子の種類を変更(カラーフィルム→セルベン)するとともに、着色ゲル粒子の色調が薄茶色になるように着色顔料の配合を変更し、ハイドロゲル構成材の一部を変更(アルギン酸ナトリウム水溶液→グアーガム水溶液)した。また、着色ゲル粒子100重量部に対する着色固形粒子の量を大きく増加(14.0重量部→164.4重量部)させた。
【0136】
得られた着色ゲル粒子混合体は、着色固形粒子の配合量が多く、ハイブリッド着色ゲル粒子の着色ゲル粒子から着色固形粒子が露出しているものの露出が過多で、ハイブリッド着色ゲル粒子集合体として不規則な露出ではなかった(×評価)。
【0137】
2.異形着色ゲル粒子を含む塗料の作成
上記実施例1~5の着色ゲル粒子混合体を用いて塗料を作成した。合成樹脂エマルションとして(株式会社日本触媒「ユーダブルEF‐008」)を用いた。
【0138】
得られた塗料を、建築物の外壁に塗布したところ、ハイブリッド着色ゲル粒子(集合体)の着色ゲル粒子から着色固形粒子が不規則に露出しており、天然石材の持つにじみ感などが表現されていた。
【0139】
以上、特定の実施形態及び実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されるものではなく、当該技術分野における熟練者等により、本出願の願書に添付された特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変更及び修正が可能である。