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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008180
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/241 20180101AFI20250109BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20250109BHJP
   F21S 43/249 20180101ALI20250109BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20250109BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20250109BHJP
【FI】
F21S43/241
F21S43/14
F21S43/249
F21W103:35
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110130
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】高本 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】森田 圭司
(57)【要約】
【課題】導光体の発光面をリング状に均一に発光させることを可能とした車両用灯具を提供する。
【解決手段】第1導光体3は、複数の光源2の各々と対向するように背面側にリング状に並んで配置された複数の入射部9と、複数の入射部9とは反対側に位置して、複数の入射部9の各々から入射した光Lを第2導光体4に向けて出射する出射部10とを有し、複数の入射部9の各々は、光源2から出射された光Lを光軸寄りに集光しながら、第1導光体3の内部へと入射するレンズ形状を有し、複数の入射部9のうち、出射部10から第2導光体4に向かう光Lの光路長が相対的に短くなる位置に対応する入射部9Aには、複数の入射部9が並ぶ方向に光Lを拡散させる複数の拡散カット12が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング状に並んで配置された複数の光源と、
前記複数の光源の前方に配置されて、前記複数の光源から出射された光を導光する第1導光体と、
前記第1導光体の前方に配置されて、前記第1導光体により導光された光を背面側から入射し、正面側から出射することによって、正面側をリング状に発光させる第2導光体とを備え、
前記第1導光体は、前記複数の光源の各々と対向するように背面側にリング状に並んで配置された複数の入射部と、
前記複数の入射部とは反対側に位置して、前記複数の入射部の各々から入射した光を前記第2導光体に向けて出射する出射部とを有し、
前記複数の入射部の各々は、前記光源から出射された光を光軸寄りに集光しながら、前記第1導光体の内部へと入射するレンズ形状を有し、
前記複数の入射部のうち、前記出射部から前記第2導光体に向かう光の光路長が相対的に短くなる位置に対応する入射部には、前記複数の入射部が並ぶ方向に光を拡散させる複数の拡散カットが設けられている車両用灯具。
【請求項2】
前記入射部は、前記光源と対向する部分の中央に位置して、前記光源から出射された光の一部が入射する第1集光入射面と、
前記第1集光入射面の周囲を囲む位置から前記光源側に突出した突出部の内周側に位置して、前記光源から出射された光の一部が入射する第2集光入射面と、
前記突出部の外周側に位置して、前記第2集光入射面から入射した光を反射する集光反射面とを有し、
前記複数の拡散カットは、前記第1集光入射面に設けられている請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記複数の入射部は、前記第1導光体の外周側に位置する前記突出部の一部がカットされた形状を有する請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記第1導光体は、前記入射部から入射した光を前記第1導光体の外周側に向けて反射する第1反射面と、前記第1反射面で反射された光を前記出射部に向けて反射する第2反射面とを含む光路変換部を有する請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記第2導光体は、正面側に同心円状に並ぶリング状の第1発光面及び第2発光面を有し、
前記第1発光面が前記第2発光面よりも外周側に位置して、前記第1発光面が前記第2発光面よりも相対的に明るく発光する請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記出射部は、前記第1導光体の正面側に入射した光を少なくとも前記第1発光面及び前記第2発光面が並ぶ方向に拡散しながら出射する拡散出射面を含む請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記複数の拡散カットは、前記複数の入射部のうち、前記第1導光体の車幅方向の外側に位置する入射部に設けられている請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記複数の拡散カットは、前記複数の入射部のうち、前記第1導光体の上側に位置する入射部に設けられている請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記複数の光源は、同一の基板の上に配置されている請求項1に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載される車両用灯具として、発光ダイオード(LED)などの光源と、インナーレンズなどの導光体とを組み合わせたものが知られている(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【0003】
このような車両用灯具では、光源から出射された光を導光体の背面側から入射し、導光体の正面側から出射することによって、導光体の正面側を車両用灯具の発光面として発光させることが行われている。
【0004】
また、近年の車両用灯具では、デザインの多様化によって、様々な形態のものが開発されている。例えば、複数の光源をリング状に並べて配置し、これら複数の光源の前方に配置された導光体をリング状に発光させるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-075331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した複数の光源をリング状に並べて配置した場合、各光源に対応する部分が他の部分よりも強く光る、いわゆる点光りによって、導光体の発光面をリング状に均一に発光させることが困難となる。
【0007】
そこで、従来の車両用灯具では、上記特許文献1に記載の発明のように、導光体に拡散部に設けて、この導光体から出射される光を拡散部により拡散させながら、導光体をリング状に均一に発光させることが行われている。
【0008】
一方、従来の車両用灯具では、車両の前端側又は後端側のコーナー部に付与されるスラント形状に合わせて、車幅方向の内側よりも外側が後退した形状となっている。
【0009】
これに合わせて、灯体の内側に配置される導光体についても、車幅方向の内側よりも外側が前後方向に短くなっている。この場合、導光体の長さの違いによって、発光面の明るさに差が生じてしまい、導光体の発光面をリング状に均一に発光させることが困難となる。
【0010】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、導光体の発光面をリング状に均一に発光させることを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 リング状に並んで配置された複数の光源と、
前記複数の光源の前方に配置されて、前記複数の光源から出射された光を導光する第1導光体と、
前記第1導光体の前方に配置されて、前記第1導光体により導光された光を背面側から入射し、正面側から出射することによって、正面側をリング状に発光させる第2導光体とを備え、
前記第1導光体は、前記複数の光源の各々と対向するように背面側にリング状に並んで配置された複数の入射部と、
前記複数の入射部とは反対側に位置して、前記複数の入射部の各々から入射した光を前記第2導光体に向けて出射する出射部とを有し、
前記複数の入射部の各々は、前記光源から出射された光を光軸寄りに集光しながら、前記第1導光体の内部へと入射するレンズ形状を有し、
前記複数の入射部のうち、前記出射部から前記第2導光体に向かう光の光路長が相対的に短くなる位置に対応する入射部には、前記複数の入射部が並ぶ方向に光を拡散させる複数の拡散カットが設けられている車両用灯具。
〔2〕 前記入射部は、前記光源と対向する部分の中央に位置して、前記光源から出射された光の一部が入射する第1集光入射面と、
前記第1集光入射面の周囲を囲む位置から前記光源側に突出した突出部の内周側に位置して、前記光源から出射された光の一部が入射する第2集光入射面と、
前記突出部の外周側に位置して、前記第2集光入射面から入射した光を反射する集光反射面とを有し、
前記複数の拡散カットは、前記第1集光入射面に設けられている前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔3〕 前記複数の入射部は、前記第1導光体の外周側に位置する前記突出部の一部がカットされた形状を有する前記〔2〕に記載の車両用灯具。
〔4〕 前記第1導光体は、前記入射部から入射した光を前記第1導光体の外周側に向けて反射する第1反射面と、前記第1反射面で反射された光を前記出射部に向けて反射する第2反射面とを含む光路変換部を有する前記〔3〕に記載の車両用灯具。
〔5〕 前記第2導光体は、正面側に同心円状に並ぶリング状の第1発光面及び第2発光面を有し、
前記第1発光面が前記第2発光面よりも外周側に位置して、前記第1発光面が前記第2発光面よりも相対的に明るく発光する前記〔4〕に記載の車両用灯具。
〔6〕 前記出射部は、前記第1導光体の正面側に入射した光を少なくとも前記第1発光面及び前記第2発光面が並ぶ方向に拡散しながら出射する拡散出射面を含む前記〔5〕に記載の車両用灯具。
〔7〕 前記複数の拡散カットは、前記複数の入射部のうち、前記第1導光体の車幅方向の外側に位置する入射部に設けられている前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔8〕 前記複数の拡散カットは、前記複数の入射部のうち、前記第1導光体の上側に位置する入射部に設けられている前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔9〕 前記複数の光源は、同一の基板の上に配置されている前記〔1〕に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、導光体の発光面をリング状に均一に発光させることを可能とした車両用灯具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯具を示す正面図である。
図2図1中に示す線分A-Aによる車両用灯具の断面図である。
図3図1中に示す線分B-Bによる車両用灯具の断面図である。
図4】複数の光源が実装された回路基板を示す正面図である。
図5】第1インナーレンズを示す背面図である。
図6】第1インナーレンズの入射部を示す背面図である。
図7図6中に示す線分C-Cによる入射部の断面図である。
図8図6中に示す線分D-Dによる入射部の断面図である。
図9】車両用灯具の光源から出射された光の光路を示す断面図である。
図10】車両用灯具の発光面の周方向における輝度分布を示すグラフである。
図11】複数の拡散カットを省略した場合の発光面の周方向における輝度分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0015】
本発明の一実施形態として、例えば図1図9に示す車両用灯具1について説明する。
なお、図1は、車両用灯具1を示す正面図である。図2は、図1中に示す線分A-Aによる車両用灯具1の断面図である。図3は、図1中に示す線分B-Bによる車両用灯具1の断面図である。図4は、複数の光源2が実装された回路基板8を示す正面図である。図5は、第1インナーレンズ3を示す背面図である。図6は、第1インナーレンズ3の入射部9を示す背面図である。図7は、図6中に示す線分C-Cによる入射部9の断面図である。図8は、図6中に示す線分D-Dによる入射部9の断面図である。図9は、車両用灯具1の光源2から出射された光Lの光路を示す断面図である。
【0016】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具1の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を車両用灯具1の左右方向(幅方向)、Z軸方向を車両用灯具1の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0017】
本実施形態の車両用灯具1は、例えば図1に示すように、車両(図示せず。)の後端側の両コーナー部(本実施形態では右後端側のコーナー部)に搭載されるリアコンビネーションランプRCLのうち、円形リング状に赤色発光するテールランプ兼ストップランプTLL/STLに本発明を適用したものである。
【0018】
なお、リアコンビネーションランプRCLのうち、テールランプ兼ストップランプTLL/STLの内側には、円形状に白色発光するバックランプBCLが配置されている。また、テールランプ兼ストップランプTLL/STLの車幅方向の外側には、略矩形状に橙色発光するターンラップTRLが配置されている。
【0019】
本実施形態の車両用灯具1は、図1図2及び図3に示すように、複数の光源2と、第1インナーレンズ3と、第2インナーレンズ4とを備え、これらが灯体5の内側に配置された構造を有している。
【0020】
灯体5は、正面が開口したハウジング6と、このハウジング6の開口を覆う透明なアウターレンズ7とにより構成される。
【0021】
また、本実施形態の車両用灯具1では、車両の後端側のコーナー部に付与されるスラント形状に合わせて、灯体5(アウターレンズ7)の正面側において車幅方向の内側よりも外側が後退した形状となっている。
【0022】
複数の光源2は、図2図3及び図4に示すように、例えば赤色光(以下、「光」という。)Lを発するLEDからなる。複数の光源2は、LEDを駆動する駆動回路(図示せず。)が設けられた略円形状の回路基板8の正面側に円形リング状に並んで実装(配置)されている。
【0023】
これにより、複数の光源2は、前方の第1インナーレンズ3に向けて光Lを放射状に出射する。すなわち、これら複数の光源2は、同じ回路基板8の同一面上に設けられて、互いに同一方向に向けて光Lを出射する。
【0024】
なお、本実施形態では、上述した複数の光源2を構成するLEDと、これら複数のLEDを駆動する駆動回路とが回路基板8の上に実装された構成となっているが、このような構成に必ずしも限定されるものではない。
【0025】
例えば、複数のLEDが実装された実装基板と、これら複数のLEDを駆動する駆動回路が設けられた回路基板とを別々に配置し、実装基板と回路基板との間をハーネスと呼ばれる配線コードを介して電気的に接続し、複数のLEDが発する熱から駆動回路を保護する構成としてもよい。
【0026】
第1インナーレンズ3は、図2図3及び図5に示すように、例えばポリカーボネイト(PC)やアクリル(PMMA)等の透明樹脂からなり、全体として略円形リング状に形成されている。
【0027】
第1インナーレンズ3は、第1導光体として、複数の光源2の前方に配置されて、複数の光源2から出射された光Lを導光する。
【0028】
具体的に、この第1インナーレンズ3は、背面側に位置する複数の入射部9と、複数の入射部9とは反対側(正面側)に位置する出射部10と、複数の入射部9と出射部10との間に位置する光路変換部11とを有している。
【0029】
複数の入射部9は、複数の光源2の各々と対向するように、第1インナーレンズ3の背面側に円形リング状に並んで配置されている。
【0030】
複数の入射部9の各々は、光源2から出射された光Lを光軸寄りに集光しながら、第1インナーレンズ3の内部へと入射するレンズ形状を有している。
【0031】
具体的に、各入射部9は、光源2と対向する部分の中央に位置して、光源2から出射された光Lの一部が入射する第1集光入射面9aと、第1集光入射面9aの周囲を囲む位置から光源2側に突出した突出部3aの内周側に位置して、光源2から出射された光Lの一部が入射する第2集光入射面9bと、突出部3aの外周側に位置して、第2集光入射面9bから入射した光Lを反射する集光反射面9cとを有している。
【0032】
また、各入射部9は、第1インナーレンズ3の外周側に位置する突出部3aの一部がカットされた切欠部3bを有している。
【0033】
各入射部9では、光源2から放射状に出射された光Lのうち、第1集光入射面9aから第1インナーレンズ3の内部に入射した光Lを光軸寄りに集光させる。一方、第2集光入射面9bから第1インナーレンズ3の内部に入射した光Lを集光反射面9cで反射させることによって光軸寄りに集光させる。
【0034】
これにより、各入射部9は、光源2から放射状に出射された光Lを平行化(コリメート)しながら、第1インナーレンズ3の内部へと入射する。また、各入射部9から第1インナーレンズ3の内部へと入射した光Lは、第1インナーレンズ3の前方に向かって導光される。
【0035】
また、図5に示すように、複数の入射部9のうち、出射部10から第2インナーレンズ4に向かう光Lの光路長が相対的に短くなる位置に対応する入射部9Aには、複数の入射部9が並ぶ方向に光Lを拡散させる複数の拡散カット12が設けられている。
【0036】
具体的に、本実施形態の車両用灯具1では、上述した車両の後端側のコーナー部に付与されるスラント形状に合わせて、灯体5(アウターレンズ7)の正面側において車幅方向の内側よりも外側が後退した形状となっている。これにより、第1インナーレンズ3の車幅方向の外側且つ上部において、第1インナーレンズ3の出射部10から第2インナーレンズ4に向かう光Lの光路長が相対的に短くなっている。
【0037】
このため、本実施形態の車両用灯具1では、複数の入射部9のうち、第1インナーレンズ3の車幅方向の外側且つ上部に位置する複数の入射部9Aに、複数の拡散カット12が設けられた構成となっている。
【0038】
すなわち、本実施形態の車両用灯具1では、円形リング状に並ぶ複数の入射部9のうち、図5中に示す角度範囲Eにある複数の入射部9Aに対して複数の拡散カット12が設けられた構成となっている。
【0039】
本実施形態において、複数の拡散カット12は、図6図7及び図8に示すように、第1集光入射面9aを第1インナーレンズ3の径方向に切り欠く断面略円弧状の溝部が第1インナーレンズ3の周方向に並ぶ複数のフルートカットにより構成されている。
【0040】
これにより、各入射部9Aは、第1集光入射面9aから第1インナーレンズ3の内部に入射した光Lを光軸寄りに集光させると共に、第1インナーレンズ3の周方向に拡散しながら、第1インナーレンズ3の内部へと入射する。
【0041】
出射部10は、図2図3及び図9に示すように、第1インナーレンズ3の正面側に拡散出射面10aを有している。
【0042】
拡散出射面10aは、第1インナーレンズ3の正面側に、例えば、フルートカットや魚眼カットと呼ばれるレンズカットや、ローレット加工やシボ加工等を施すことによって形成された凹凸構造を有している。また、この拡散出射面10aの形状等を調整することによって、出射部10から出射される光Lの拡散度合いを制御することが可能である。
【0043】
出射部10では、第1インナーレンズ3の正面側に向けて導光される光Lを拡散出射面10aにより拡散しながら、第1インナーレンズ3の外部へと出射する。
【0044】
これにより、拡散出射面10a(出射部10)から拡散しながら出射された光Lは、前方の第2インナーレンズ4に向けて照射されることになる。
【0045】
光路変換部11は、複数の入射部9から入射した光Lを第1インナーレンズ3の外周側に向けて反射する第1反射面11aと、第1反射面11aで反射された光Lを第1インナーレンズ3の正面側に向けて反射する第2反射面11bとを有している。
【0046】
第1反射面11a及び第2反射面11bは、それぞれ第1インナーレンズ3の内部で導光される光Lの進行方向に対して所定の角度(本実施形態では45°)で傾斜した傾斜面により構成されている。
【0047】
第2インナーレンズ4は、図2図3及び図9に示すように、例えばポリカーボネイト(PC)やアクリル(PMMA)等の透明樹脂からなり、前方に向かって突出しながら、第1インナーレンズ3の正面側を円形リング状に覆う形状を有している。
【0048】
第2インナーレンズ4は、第2導光体として、第1インナーレンズ3の前方に配置されて、第1インナーレンズ3の出射部10から出射された光Lを背面側から入射し、正面側から出射することによって、正面側をリング状に発光させる。
【0049】
具体的に、第2インナーレンズ4は、正面側に同心円状に並ぶ円形リング状の第1発光面4a及び第2発光面4bを有している。第1発光面4aは、第2発光面4bよりも外周側に位置している。また、第1発光面4aと第2発光面4bとの間には、凹部4cが設けられている。
【0050】
第2インナーレンズ4では、図9に示すように、上述した拡散出射面10aから拡散しながら出射された光Lのうち、第1発光面4aには主配光となる光L1が入射する。一方、第2発光面4bには副配光となる光L2が入射する。
【0051】
したがって、この第2インナーレンズ4では、第1発光面4aを第2発光面4bよりも相対的に明るく発光させることが可能である。
【0052】
上記光路変換部11は、主配光となる光L1が第1発光面4aに入射するように、第1反射面11a及び第2反射面11bにより入射部9から入射した光Lの光路変換を行っている。また、上記光路変換部11を設けるため、各入射部9には上記切欠部3bが設けられている。
【0053】
以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具1では、上述したテールランプ兼ストップランプTLL/STLとして、第1発光面4a及び第2発光面4bを含む第2インナーレンズ4の正面側を赤色発光させることが可能である。
【0054】
ところで、本実施形態の車両用灯具1では、図2及び図3に示すように、上述した複数の入射部9のうち、一部の入射部9Aに複数の拡散カット12が設けられた構成となっている。
【0055】
一部の入射部9Aは、第1インナーレンズ3の出射部10から第2インナーレンズ4に向かう光Lの光路長が相対的に短くなる第1インナーレンズ3の車幅方向の外側且つ上部に位置している。
【0056】
一部の入射部9Aから入射した光Lは、その他の入射部9から入射した光Lよりも、出射部10から第2インナーレンズ4に向かう光Lの光路長が短くなることで、輝度が相対的に高くなる。
【0057】
これに対して、一部の入射部9Aでは、第1集光入射面9aから入射した光Lを複数の拡散カット12により拡散させることで、出射部10から第2インナーレンズ4に向かう光Lの輝度を下げることが可能である。
【0058】
これにより、本実施形態の車両用灯具1では、上述した第1インナーレンズ3の出射部10から第2インナーレンズ4に向かう光Lの光路長の差により生じる輝度差を解消することが可能である。
【0059】
以上のように、本実施形態の車両用灯具1では、上述した第1インナーレンズ3の出射部10から第2インナーレンズ4に向かう光Lの光路長の差により生じる輝度差を解消することで、第2インナーレンズ4の周方向において第1発光面4a及び第2発光面4bをより均一発光させることが可能である。
【0060】
ここで、本実施形態の車両用灯具1において、第1発光面4aの周方向における輝度分布を測定したグラフを図10に示す。
【0061】
一方、比較例として、複数の拡散カット12を省略した場合の第1発光面4aの周方向における輝度分布を測定したグラフを図11に示す。
【0062】
図10及び図11のグラフに示すように、本実施形態の車両用灯具1では、上述した一部の入射部9Aに複数の拡散カット12を設けることによって、第1発光面4aの周方向における輝度差を解消し、第1発光面4aをより均一に発光させることが可能である。
【0063】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0064】
例えば、上記実施形態では、上述したリアコンビネーションランプRCLのうち、テールランプ兼ストップランプTLL/STLを円形リング状に赤色発光する場合を例示しているが、それ以外の車両用灯具に本発明を適用することが可能である。また、上述したリア側の車両用灯具に限らず、フロント側の車両用灯具に本発明を適用することも可能である。
【0065】
すなわち、本発明が適用される車両用灯具については、上述したテールランプやストップランプ、バックランプ、ターンランプの他にも、昼間点灯ランプ(DRL)やポジションランプなどの車両用灯具に対して、本発明を幅広く適用することが可能である。
【0066】
また、光源が発する光の色については、上述した赤色光や橙色光、白色光など、その車両用灯具の用途に応じて適宜変更することが可能である。
【0067】
また、本発明は、導光体の発光面をリング状に均一に発光させる場合に好適に用いられるものの、導光体の発光面をライン状に発光させる場合にも、本発明を適用することが可能である。
【0068】
すなわち、車幅方向の内側よりも外側が前後方向に短くなる導光体において、車幅方向の外側に位置する入射部に複数の拡散カットを設けて、発光面の幅方向における輝度差を解消し、発光面をより均一に発光させることが可能である。
【符号の説明】
【0069】
1…車両用灯具 2…光源 3…第1インナーレンズ(第1導光体) 4…第2インナーレンズ(第2導光体) 5…灯体 6…ハウジング 7…アウターレンズ 8…回路基板 9,9A…入射部 10…出射部 11…光路変換部 12…拡散カット
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