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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025081866
(43)【公開日】2025-05-28
(54)【発明の名称】梯子兼用脚立
(51)【国際特許分類】
   E06C 7/06 20060101AFI20250521BHJP
   E06C 1/18 20060101ALI20250521BHJP
【FI】
E06C7/06
E06C1/18
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023194921
(22)【出願日】2023-11-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2025-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】393018130
【氏名又は名称】長谷川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100228175
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 充紀
(72)【発明者】
【氏名】木下 佳彦
【テーマコード(参考)】
2E044
【Fターム(参考)】
2E044AA06
2E044BA05
2E044BC04
2E044BC07
2E044BC23
2E044CA05
2E044CB03
2E044DA03
2E044DA07
2E044EB02
2E044EC01
2E044ED10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】梯子兼用脚立において、遠隔操作機構が不用意に動作するのを阻止するための手段を、遠隔操作機構の構造を複雑化することなく設置できるようにしてする。
【解決手段】梯子として使用される際に上下反転させられる一方の梯子体2に、操作力が加えられることによりロック機構による伸縮脚部材のロック状態を解除しうるように動作する遠隔操作機構が設けられているとともに、遠隔操作機構8の動作を阻止するためのストッパが、前記一方の梯子体に固定状に設けられた被取付部15に揺動可能に取り付けられている。ストッパは、梯子兼用脚立が脚立として使用される際、自重により第1揺動方向に揺動して遠隔操作機構の動作を阻止しない第1位置に配置され、梯子兼用脚立1が梯子として使用される際、自重により第1揺動方向と反対の第2揺動方向に揺動して遠隔操作機構の動作を阻止しうる第2位置に配置される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの梯子体の上端部どうしがヒンジ金具により開閉自在に連結されてなり、一方の梯子体を上下反転するように回動させることによって梯子としても使用可能な梯子兼用脚立であって、
前記一方の梯子体が、2本の支柱と、両支柱間に段状に渡し止められた複数本の踏桟と、各支柱にスライド自在に連結されて前記一方の梯子体の脚を構成している伸縮脚部材と、伸縮脚部材を支柱に対して任意のスライド位置でロックしうるロック機構と、ロック機構から離れた位置で操作力が加えられることによりロック機構による伸縮脚部材のロックを解除しうるように動作する遠隔操作機構とを備えており、
遠隔操作機構の動作を阻止するためのストッパが、前記一方の梯子体に固定状に設けられた被取付部に揺動可能に取り付けられており、
ストッパは、梯子兼用脚立が脚立として使用される際には、自重により第1揺動方向に揺動して遠隔操作機構の動作を阻止しない第1位置に配置されており、また、梯子兼用脚立が梯子として使用される際には、自重により第1揺動方向と反対の第2揺動方向に揺動して遠隔操作機構の動作を阻止しうる第2位置に配置されている、梯子兼用脚立。
【請求項2】
ストッパの所定箇所に第1係合部が形成されているとともに、操作力が直接または間接に加えられることにより所定の動作方向に動作する遠隔操作機構の動作部に、第2位置に配置されたストッパの第1係合部に対して動作部の動作方向から係合しうる第2係合部が形成されている、請求項1記載の梯子兼用脚立。
【請求項3】
第1係合部が、ストッパの第2揺動方向側の側部に形成された第1係合凹部または第1係合凸部よりなり、
第2係合部が、第2位置に配置されたストッパの第1係合凹部または第1係合凸部と緩く嵌まり合うとともに第1係合凹部または第1係合凸部に対して動作部の動作方向から係合しうるように動作部に形成された第2係合凸部または第2係合凹部よりなる、請求項2記載の梯子兼用脚立。
【請求項4】
ストッパが第2揺動方向に揺動した際に、第1係合凹部の底または第1係合凸部の先端と、第2係合凸部の先端または第2係合凹部の底とが当接することにより、ストッパが第2位置に保持されるようになっている、請求項3記載の梯子兼用脚立。
【請求項5】
第1係合部および第2係合部のうち少なくともいずれか一方が、同他方と係合する際に動作部の動作方向に対して略垂直となる係合面を有している、請求項2記載の梯子兼用脚立。
【請求項6】
第2係合部が、動作部が動作方向に動作した際にストッパにおける揺動軸方向の一方の面と略平行に移動しうるように形成されており、
第1係合部が、ストッパの前記一方の面の所定箇所から突出して、第1位置においては移動する第2係合部と干渉せず、かつ第2位置においては第2係合部と動作部の動作方向から係合しうるように形成されている、請求項2記載の梯子兼用脚立。
【請求項7】
第1係合部が、ストッパの前記一方の面における揺動軸を挟んで揺動先端と反対側の端部から突出して形成されている、請求項6記載の梯子兼用脚立。
【請求項8】
遠隔操作機構が、操作力が直接または間接に加えられることにより支柱に沿って上昇または下降させられる昇降動作部を有しており、
被取付部が、昇降動作部の所定箇所と近接するように支柱および/または践桟に固定状に取り付けられたブラケットよりなり、
第2位置に配置されたストッパにより、昇降動作部の上昇または下降動作が阻止される、請求項1記載の梯子兼用脚立。
【請求項9】
被取付部に、ストッパが第1揺動方向に揺動した際にストッパの第1揺動方向側の側部に設けられた第1当接部と当接してストッパを第1位置に保持しうる第1被当接部が設けられている、請求項1記載の梯子兼用脚立。
【請求項10】
ストッパは、第1位置においては、その揺動軸と揺動先端とを結ぶ仮想線が、揺動軸を通る鉛直線に対して第2揺動方向側に傾いており、第2位置においては、前記仮想線が、揺動軸を通る鉛直線に対して第1揺動方向側に傾いている、請求項1記載の梯子兼用脚立。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2つの梯子体の上端部どうしがヒンジ金具により開閉自在に連結されてなり、一方の梯子体を上下反転するように回動させることによって梯子としても使用可能な梯子兼用脚立に関する。
【背景技術】
【0002】
梯子兼用脚立として、例えば下記特許文献1に開示されているように、各梯子体が、2本の支柱および両支柱間に段状に渡し止められた複数本の踏桟に加えて、各支柱にスライド自在に連結されて梯子体の脚を構成している伸縮脚部材と、伸縮脚部材を支柱に対して任意のスライド位置でロックしうるロック機構と、ロック機構から離れた上方位置で操作力が加えられることによりロック機構による伸縮脚部材のロックを解除しうる遠隔操作機構とを備えているものが知られている。
ロック機構は、例えば、伸縮脚部材にその長さ方向に沿って形成されている被係止部と、梯子体の下部に設けられかつ伸縮脚部材の被係止部と係合するロック状態および被係止部との係合が解除されるロック解除状態の間で切り替え可能に動作する係止部材とを有している。
また、遠隔操作機構は、例えば、支柱に沿って設けられかつ長さ方向に移動可能な伝動部材と、梯子体におけるロック機構の係止部材よりも上方位置(例えば下から3段目の踏桟の下部や背部)に設けられかつ所定の操作により伝動部材を長さ方向の一方に移動させうるように動作する操作部と、操作部を操作することによる伝動部材の動作をロック機構の係止部材に伝達して係止部材をロック解除状態に切り替えるように動作する下部伝達部とを有している。
【0003】
ここで、梯子兼用脚立の場合、梯子として使用する際に上下反転させられた梯子体において、遠隔操作機構を操作するための操作部が誤って操作されると、先端上向きの伸縮脚部材のロックが不用意に解除されて伸縮するおそれがあった。
そこで、上記課題を解決する手段として、下記特許文献1、2に開示されているように、遠隔操作機構の動作部に揺動ストッパを設け、この揺動ストッパにより、梯子として使用される際に上下反転させられた梯子体の遠隔操作機構の動作を阻止することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-167693号公報
【特許文献2】特開2021-4455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の課題は、伸縮脚部材のロック機構およびその遠隔操作機構を備えている梯子兼用脚立において、梯子として使用される際に上下反転させられた梯子体の遠隔操作機構が不用意に動作するのを阻止するためのストッパを、遠隔操作機構の構造を複雑化することなく比較的容易に設置できるようにして、製品組立の簡略化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記の課題を達成するために、以下の態様からなる。
【0007】
1)2つの梯子体の上端部どうしがヒンジ金具により開閉自在に連結されてなり、一方の梯子体を上下反転するように回動させることによって梯子としても使用可能な梯子兼用脚立であって、
前記一方の梯子体が、2本の支柱と、両支柱間に段状に渡し止められた複数本の踏桟と、各支柱にスライド自在に連結されて前記一方の梯子体の脚を構成している伸縮脚部材と、伸縮脚部材を支柱に対して任意のスライド位置でロックしうるロック機構と、ロック機構から離れた位置で操作力が加えられることによりロック機構による伸縮脚部材のロックを解除しうるように動作する遠隔操作機構とを備えており、
遠隔操作機構の動作を阻止するためのストッパが、前記一方の梯子体に固定状に設けられた被取付部に揺動可能に取り付けられており、
ストッパは、梯子兼用脚立が脚立として使用される際には、自重により第1揺動方向に揺動して遠隔操作機構の動作を阻止しない第1位置に配置されており、また、梯子兼用脚立が梯子として使用される際には、自重により第1揺動方向と反対の第2揺動方向に揺動して遠隔操作機構の動作を阻止しうる第2位置に配置されている、梯子兼用脚立。
【0008】
2)ストッパの所定箇所に第1係合部が形成されているとともに、操作力が直接または間接に加えられることにより所定の動作方向に動作する遠隔操作機構の動作部に、第2位置に配置されたストッパの第1係合部に対して動作部の動作方向から係合しうる第2係合部が形成されている、上記1)の梯子兼用脚立。
【0009】
3)第1係合部が、ストッパの第2揺動方向側の側部に形成された第1係合凹部または第1係合凸部よりなり、
第2係合部が、第2位置に配置されたストッパの第1係合凹部または第1係合凸部と緩く嵌まり合うとともに第1係合凹部または第1係合凸部に対して動作部の動作方向から係合しうるように動作部に形成された第2係合凸部または第2係合凹部よりなる、上記2)の梯子兼用脚立。
【0010】
4)ストッパが第2揺動方向に揺動した際に、第1係合凹部の底または第1係合凸部の先端と、第2係合凸部の先端または第2係合凹部の底とが当接することにより、ストッパが第2位置に保持されるようになっている、上記3)の梯子兼用脚立。
【0011】
5)第1係合部および第2係合部のうち少なくともいずれか一方が、同他方と係合する際に動作部の動作方向に対して略垂直となる係合面を有している、上記2)~4)のいずれか1つの梯子兼用脚立。
【0012】
6)第2係合部が、動作部が動作方向に動作した際にストッパにおける揺動軸方向の一方の面と略平行に移動しうるように形成されており、
第1係合部が、ストッパの前記一方の面の所定箇所から突出して、第1位置においては移動する第2係合部と干渉せず、かつ第2位置においては第2係合部と動作部の動作方向から係合しうるように形成されている、上記2)の梯子兼用脚立。
【0013】
7)第1係合部が、ストッパの前記一方の面における揺動軸を挟んで揺動先端と反対側の端部から突出して形成されている、上記6)の梯子兼用脚立。
【0014】
8)遠隔操作機構が、操作力が直接または間接に加えられることにより支柱に沿って上昇または下降させられる昇降動作部を有しており、
被取付部が、昇降動作部の所定箇所と近接するように支柱および/または践桟に固定状に取り付けられたブラケットよりなり、
第2位置に配置されたストッパにより、昇降動作部の上昇または下降動作が阻止される、上記1)~8)のいずれか1つの梯子兼用脚立。
【0015】
9)被取付部に、ストッパが第1揺動方向に揺動した際にストッパの第1揺動方向側の側部に設けられた第1当接部と当接してストッパを第1位置に保持しうる第1被当接部が設けられている、上記1)~8)のいずれか1つの梯子兼用脚立。
【0016】
10)ストッパは、第1位置においては、その揺動軸と揺動先端とを結ぶ仮想線が、揺動軸を通る鉛直線に対して第2揺動方向側に傾いており、第2位置においては、前記仮想線が、揺動軸を通る鉛直線に対して第1揺動方向側に傾いている、上記1)~9)のいずれか1つの梯子兼用脚立。
【発明の効果】
【0017】
この発明の梯子兼用脚立によれば、遠隔操作機構の動作を阻止するためのストッパが、梯子体に固定状に設けられた被取付部に揺動可能に取り付けられているので、遠隔操作機構の構造を複雑化することなく、梯子として使用する際の安全性を確実に高めることができ、従って、製品組立の簡略化を図ることができる。また、この発明の梯子兼用脚立によれば、遠隔操作機構の構造等に応じてストッパの設置箇所を比較的容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明による第1の実施形態の梯子兼用脚立を示す全体斜視図である。
図2】第1の実施形態の梯子兼用脚立において、伸縮脚部材がロックされた状態の一方の梯子体を示すものであって、(a)は部分正面図、(b)は左右方向内側から見た断面図である。
図3】第1の実施形態の梯子兼用脚立において、伸縮脚部材がロック解除された状態の一方の梯子体を示すものであって、(a)は部分正面図、(b)は左右方向内側から見た断面図である。
図4】第1の実施形態の梯子兼用脚立の一方の梯子体におけるロック機構および遠隔操作機構の下部の構造を示すものであって、(a)は図2(b)のLA-LA線に沿う断面図、(b)は図3(b)のLB-LB線に沿う断面図である。
図5】第1の実施形態の梯子兼用脚立の一方の梯子体における遠隔操作機構の上部の構造を示すものであって、(a)は伸縮脚部材がロックされた状態の左右方向内側から見た断面図、(b)は(a)のb-b線に沿う断面図、(c)は伸縮脚部材がロック解除された状態の左右方向内側から見た断面図、(d)は(c)のd-d線に沿う断面図である。
図6】第1の実施形態の梯子兼用脚立の一方の梯子体における遠隔操作機構の上部の構造を示すものであって、梯子として使用するために同梯子体が上下反転させられた状態の図5(b)に相当する断面図である。
図7】この発明による第2の実施形態の梯子兼用脚立における一方の梯子体のロック機構および遠隔操作機構の下部の構造を示すものであって、(a)は伸縮脚部材がロックされた状態の左右方向内側から見た断面図、(b)は(a)のb-b線に沿う断面図である。
図8】この発明による第2の実施形態の梯子兼用脚立における一方の梯子体のロック機構および遠隔操作機構の下部の構造を示すものであって、(a)は伸縮脚部材がロック解除された状態の左右方向内側から見た断面図、(b)は(a)のb-b線に沿う断面図である。
図9】第2の実施形態の梯子兼用脚立の一方の梯子体におけるロック機構および遠隔操作機構の下部の構造を示すものであって、梯子として使用するために同梯子体が上下反転させられた状態の図7(b)に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施形態]
図1図6は、この発明の第1の実施形態に係る梯子兼用脚立を示したものである。
なお、この実施形態に関する以下の説明において、図2(b)、図3(b)の各左側を「前」、同各右側を「後」と言い、また、「左右」は前から見た場合の左右(例えば図2(a)、図3(a)、図4(a)(b)、図5(a)(b)の各左右)を言うものとする。なお、図2図3は、梯子兼用脚立の一方の梯子体をその長さ方向が鉛直方向を向くように配置した状態で前側または右側(左右方向内側)から見た図である。
【0020】
図1に全体の構成を示したように、梯子兼用脚立(1)は、前後2つの梯子体(2)の上端部どうしがヒンジ金具(21)により開閉自在に連結されてなる。この梯子兼用脚立(1)は、一方の梯子体(2)を上下反転するように回動させることによって、梯子としても使用可能である。
2つの梯子体(2)は、前後対向状に配置されている点を除いて実質的に同形同大のものである。よって、以下では、一方の梯子体(2)のみについて、図面に基づいて説明を行うこととする。また、梯子体(2)は、その左右幅中心線を通る面を対称面として左右対称形であって、図2図6は梯子体(2)の左部のみを表しており、梯子体(2)の右部については図示を省略している。
【0021】
梯子体(2)は、左右2本の支柱(3)と、両支柱(3)間に上下方向に間隔をおいて段状に渡し止められた複数本(図では5本)の踏桟(4A)(4B)(4C)(4D)(4E)とを備えている。
最上段の踏桟(4E)は、梯子兼用脚立(1)を脚立として使用する際、天板を構成するようになっている。
また、2つの梯子体(2)における左側の支柱(3)の上部どうしの間および右側の支柱(3)の上部どうしの間には、それぞれ開き止め金具(22)が渡し止められている。
【0022】
梯子体(2)の左右各支柱(3)は、通常、金属形材(好適には、アルミニウム合金形材)よりなる。また、図示の支柱(3)は、左右方向内方に開口した略コ字形の横断面を有する中空材よりなる。
各踏桟(4A)~(4E)も、通常、金属形材(好適には、アルミニウム合金形材)よりなる。図示の踏桟のうち最下段の踏桟(4A)および下から2段目の踏桟(4B)は、それぞれ略四角形の横断面を有する中空材よりなる。また、下から3段目の踏桟(4C)は、下方に開口した略コ字形の横断面を有する中空材よりなる。図示は省略したが、各踏桟(4A)~(4E)の上面(脚立時の両梯子体(2)の踏面となる面、梯子時の下側の梯子体(2)の踏面となる面)および下面(梯子時の上側の梯子体(2)の踏面となる面)には、左右長さ方向に沿ってのびる複数の滑り止め用凸条部および/または凹溝部が前後幅方向に並んで形成されている。
最下段の踏桟(4A)および下から2段目の踏桟(4B)の左右各端部は、それぞれブラケット(41)(42)を介して、左右各支柱(3)に取り付けられている。その他の踏桟(4C)(4D)(4E)の左右各端部は、左右各支柱(3)の内部に差し込まれて、例えばリベットにより、支柱(3)の前後側壁に直接取り付けられている。
なお、梯子体を構成する支柱および踏桟の形状・取付構造等は、上記態様には限定されず、適宜変更可能である。
【0023】
また、各梯子体(2)には、上記構成に加えて、伸縮脚装置(5)が設けられている。
伸縮脚装置(5)は、左右各支柱(3)にスライド自在に連結されて梯子体(2)の脚を構成している左右2本の伸縮脚部材(6)と、各伸縮脚部材(6)を各支柱(3)に対して任意のスライド位置でロックしうる左右2つのロック機構(7)と、ロック機構(7)から離れた位置で操作力が加えられることによりロック機構(7)による伸縮脚部材(6)のロックを解除しうるように動作する遠隔操作機構(8)とよりなる。
【0024】
各梯子体(2)には、さらに、遠隔操作機構(8)の動作を阻止するためのストッパ(13)が備えられている。ストッパ(13)は、各梯子体(2)に固定状に設けられた被取付部(後述する上側の保持用ブラケット)(15)に揺動可能に取り付けられている。被取付部(15)は、各梯子体(2)において所定の動作を行わない非動作部(固定部)、具体的には、支柱(3)、践桟(4A)~(4E)の所定部分や、支柱(3)および/または践桟(4A)~(4E)に固定状に取り付けられたブラケット(41)(42)(14)(15)等の部品によって構成される。
ストッパ(13)は、梯子兼用脚立(1)が脚立として使用される際には(図1参照)、図5に示すように、自重により第1揺動方向に揺動して遠隔操作機構(8)の動作を阻止しない第1位置に配置されている。一方、ストッパ(13)は、梯子兼用脚立(1)が梯子として使用される際には、図6に示すように、自重により第1揺動方向と反対の第2揺動方向に揺動して遠隔操作機構(8)の動作を阻止しうる第2位置に配置されている。
なお、梯子として使用される際に上下反転させられる梯子体(上側となる梯子体)が一方の梯子体に限定される仕様の梯子兼用脚立の場合、上記一方の梯子体のみにストッパを設けるようにしてもよい。
【0025】
伸縮脚部材(6)は、支柱(3)内にその下端からスライド自在に挿入されている。伸縮脚部材(6)の下端部には、使用時の安定性を高めるための接地部(61)が設けられている。伸縮脚部材(6)は、通常、金属形材(好適には、アルミニウム合金形材)から形成される。
なお、伸縮脚部材は、図示のように中空状の支柱にスライド自在に挿入される構成とする他、支柱の外側(例えば支柱の左右方向外側)にスライド自在に連結される構成であってもよい。
【0026】
ロック機構(7)は、各伸縮脚部材(6)にその長さ方向に沿って形成されている被係止部(71)と、梯子体(2)の下部に設けられかつ各伸縮脚部材(6)の被係止部(71)と係合するロック状態および被係止部(71)との係合が解除されるロック解除状態の間で切り替え可能に動作する係止部材(72)とを有している。
【0027】
被係止部(71)は、例えば、図示のように各伸縮脚部材(6)の左右方向内側面に設けられかつ伸縮脚部材(6)の長さ方向に並んだ多数の歯(711)を有するラック(71)によって構成できる。
【0028】
係止部材(72)は、梯子体(2)における各支柱(3)の下端部付近、例えば図示のように最下段の踏桟(4A)の左右各端部を支柱(3)に取り付けるためのブラケット(41)に、前後方向にのびる揺動軸(720)を中心として揺動自在に取り付けられる。
より詳細には、ブラケット(41)は、支柱(3)の前側壁および最下段の踏桟(4A)の前側壁の端部にまたがって取り付けられている前ブラケット部(41a)と、支柱(3)の後側壁および最下段の踏桟(4A)の後側壁の端部にまたがって取り付けられている後ブラケット部(41b)と、最下段の踏桟(4A)の上方において前ブラケット部(41a)および後ブラケット部(41b)を連結するようにこれらと一体的に設けられかつ支柱(3)に向かって開口した略コ字形の水平断面を有する保持枠部(41c)とを有している。そして、係止部材(72)の揺動軸(720)が、ブラケット(41)の保持枠部(41c)の前後側壁にまたがって取り付けられている。
なお、保持枠部は、図示のようにブラケットと一体的に設ける他、ブラケットとは別体の保持枠部材によって構成し、同部材を支柱(3)および/または最下段の踏桟(4A)に連結固定する態様としてもよい。
係止部(721)は、揺動軸(720)が挿通されている水平筒状の中心部から左右方向外方(支柱側)に向かって斜め下向きにのびており、その先端部分に、ラック(71)の歯(711)と噛み合わせられる複数の歯(721a)が形成されている(図4参照)。
この係止部材(72)は、揺動軸(720)を中心として所定のロック方向(図4の時計回り方向)に揺動させられることによって、係止部(721)の歯(721a)がラック(71)の歯(711)と係合するロック状態となされ、ロック方向とは逆のロック解除方向(図4の反時計回り方向)に揺動させられることによって、係止部(721)の歯(721a)とラック(71)の歯(711)との係合が外れるロック解除状態となされるものであり、両者の間で切り替え可能である。
また、係止部材(72)は、後述する遠隔操作機構(8)の下部伝達部(11)の一部を構成する第1係合部(722)を有している。第1係合部(722)は、係止部材(72)における揺動軸(720)の左右方向内側に隣接する部分に設けられかつ揺動軸(720)に向かって凹をなす係合凹部(722)によって構成されている。
なお、図示は省略したが、係止部材(72)には、揺動軸(720)の前後端部のうち少なくともいずれか一方に連結固定されて保持枠部(41c)の前後側壁の外側に配置される操作ハンドル(例えば操作レバー)が備えられていてもよい。操作ハンドルに対して所定の操作力を加えることにより、係止部材(72)を、ロック解除方向(図4の反時計回り方向)に揺動させて、ロック解除状態に切り替えることができる。
ロック機構は、図示の態様には限定されず、適宜変更可能である。例えば、係止部材は、図示のように最下段の踏桟(4A)の上方に設ける他、同踏桟(4A)の内部に組み込むか、あるいは同踏桟(4A)の下方に設けてもよい。
【0029】
遠隔操作機構(8)は、各支柱(3)に沿って設けられかつ長さ方向に移動可能な左右2つの伝動部材(昇降部材)(9)と、梯子体(2)における左右のロック機構(7)の係止部材(72)よりも上方位置に設けられかつ所定の操作により伝動部材(9)を長さ方向の一方に移動させうるように動作する操作部(10)と、操作部(10)を操作することによる伝動部材(9)の動作を各ロック機構(7)の係止部材(72)に伝達して係止部材(72)をロック解除状態に切り替えるように動作する下部伝達部(11)とを有している。
操作部(10)は、左右2つの伝動部材(9)に対応して少なくとも1つ設けられていれば足りるが、複数の高さ位置(例えば、伝動部材(9)の上部および長さ中間部に対応する2つの高さ位置)に操作部(10)が設けられていてもよい。
この実施形態の操作部(10)は、梯子体(2)における左右のロック機構(7)の係止部材(72)よりも上方位置に設けられかつ操作力が加えられることにより所定方向に動作可能な操作部材(10)よりなる。これに伴い、遠隔操作機構(8)には、さらに、操作部材(10)の動作を伝動部材(9)に伝達して伝動部材(9)を長さ方向の一方に移動させる上部伝達部(12)が設けられている。この実施形態では、1つの操作部材(10)によって左右の伝動部材(9)を動作させうるようになっている。但し、左右の伝動部材(9)を、それぞれに対応した左右2つの操作部材によって動作させる構成としてもよい。
操作部は、各伝動部材(9)の上部および/または長さ中間部に、同部分と一体的に設けられていてもよく、その場合、上部伝達部は省略可能である。
また、詳しい図示は省略したが、遠隔操作機構(8)には、下部伝達部(11)を介して、ロック機構(7)の係止部材(72)をロック状態となる方向に付勢する付勢手段が備えられていてもよい。なお、付勢手段は、これをロック機構(7)自体に組み込んで、係止部材(72)をロック状態となる方向に付勢する構成としても構わない。
遠隔操作機構は、上記態様には限定されず、適宜変更可能である。例えば、遠隔操作機構の別態様として、図示は省略したが、各支柱(3)に沿って設けられかつ周方向に回転可能な左右2つの伝動部材(回転部材)と、梯子体(2)における左右のロック機構(7)の係止部材(72)よりも上方位置に設けられかつ所定の操作により伝動部材を回転させうる操作部と、各伝動部材の回転動作を各ロック機構(7)の係止部材(72)に伝達して係止部材(72)をロック解除状態に切り替える下部伝達部とを有しているものが挙げられる。
【0030】
この実施形態の遠隔操作機構(8)をより詳細に説明すると、まず、伝動部材(9)は、支柱(3)の長さ方向に沿ってのびる長尺材、例えば図示のような略縦長板状体よりなるものであって、所定の保持手段により、各支柱(3)の左右方向内側部に沿って上下移動自在に保持されている。
伝動部材(9)の保持手段としては、例えば、支柱(3)に取り付けられた複数(図では上下2つ)の保持用ブラケット(14)(15)を用いることができる。各保持用ブラケット(14)(15)は、平面より見て左右方向外方(支柱(3)側)に開口した略コ字形の折曲板片よりなり、その前後側壁の先端部が支柱(3)の前後側壁にリベット等によって固定されている。そして、支柱(3)の左右方向内側部と保持用ブラケット(14)(15)との間に形成された空隙部に、伝動部材(9)が上下移動自在に挿通されている。
下側の保持用ブラケット(14)は、支柱(3)における最下段の踏桟(4A)と下から2段目の踏桟(4B)との間の高さ位置、より詳細には、ブラケット(41)の保持枠部(41c)の上方位置に取り付けられている。上側の保持用ブラケット(15)は、支柱(3)における下から3段目の踏桟(4C)と下から2段目の踏桟(4B)との間の高さ位置に取り付けられている。
また、各支柱(3)の左右方向内側部と下から2段目の踏桟(4B)の端部との間には、伝動部材(9)を挿通させるための空隙部が形成されている(図1図3参照)。
【0031】
図5に詳しく示すように、操作部を構成する操作部材(10)は、左右方向にのびる長尺材によって形成されており、下から3段目の踏桟(4C)の下方に開口した凹所内に上下移動自在に配置されている。より詳細には、図示の操作部材(10)は、横断面略方形の筒状体よりなる。
操作部材(10)は、左右2つの伝動部材(9)を動作させるための動作部として機能しうるように、その両端部が左右の伝動部材(9)の上端部近傍に配置されるような長さを有している。
なお、操作部材は、その長さの中間位置で左右2つに分割した構成とし、左右2つの操作部材により、左右の伝動部材(9)を個別に動作させるようにしてもよい。その場合、例えば、下から3段目の踏桟(4C)の長さ中間部付近に、左右2つの操作部材の左右方向内端部を保持するための保持用ブラケットを設けるようにすればよい。
【0032】
上部伝達部(12)は、伝動部材(9)と操作部材(10)とを連動可能に連結する上部伝達部材(12)によって構成されている。
図5に詳しく示すように、上部伝達部材(12)は、正面より見て略倒立L形のものであって、その水平部(121)が操作部材(10)の端部内に挿入されているとともに、その垂下部(122)が伝動部材(9)の上端部にビス等によって連結固定されている。
下から3段目の踏桟(4C)の下方開口を通じて操作部材(10)に上向きの操作力を加える(手指等で操作部材(10)の下壁を上向きに押圧する)と、操作部材(10)が践桟(4C)の内部空間を上方に移動させられ、これに連動して上部伝達部材(12)および伝動部材(9)が上方に移動させられる。
この実施形態では、左右のロック機構(7)の係止部材(72)を個別にロック解除したい場合には、操作部材(10)の左右両側部分のうちロック解除したいロック機構(7)と同じ側の部分のみに操作力を加えればよく、また、左右のロック機構(7)の係止部材(72)を同時にロック解除したい場合には、操作部材(10)の左右両側部分または長さ中間部に操作力を加えればよい。
なお、操作部材の構成は、上記態様には限定されず、適宜変更可能である。例えば、下から3段目の踏桟(4C)の略左半部および略右半部それぞれの背面に左右方向にのびる軸を中心として揺動自在にかつ互いに近接して並ぶように取り付けられた左右2つの操作部材によって、操作部材を構成してもよい。この場合、操作部材の揺動動作を伝動部材が上下移動しうるように伝達する上部伝達部(例えばカム機構)を、各操作部材の左右方向外端部および伝動部材の上端部に設ければよい。
【0033】
下部伝達部(11)は、前述した係止部材(72)の第1係合部(722)と、下部伝達部材(110)とによって構成されている。
下部伝達部材(110)は、伝動部材(9)の下端部に連結される連結部(111)と、第1係合部(724)と係合して係止部材(72)をロック状態とロック解除状態との間で切替可能に動作させうる第2係合部(112)とを有している。
この実施形態の場合、下部伝達部材(110)は、連結部(111)を有する第1部材(110A)と、第2係合部(112)を有する第2部材(110B)とが連結一体化されてなる。
【0034】
第1部材(110A)の連結部(111)は、正面より見て左右方向外方(支柱(3)側)に開口した略コ字形のものであって、その上壁および下壁の各先端部に形成された係止爪が、伝動部材(9)の下端部に形成された上下2つの係止孔の縁に係り止められることにより、下部伝達部材(110)が伝動部材(9)の下端部に連結固定されている。なお、伝動部材への下部伝達部材の連結手段は、上記態様には限定されず、その他の適宜の手段も適用できる。
ここで、図2図4に示すように、伝動部材(9)の下部を保持するための保持用ブラケット(14)には、その前後側壁(14a)を連結する中央壁(14b)の前後幅中央部から左右方向内方に突出した内方突出部(141)が設けられている。内方突出部(141)は、下部伝達部材(110)の連結部(111)の上下壁間に配置される頂壁(図示略)を有している。この頂壁と、下部伝達部材(110)の連結部(111)の下壁との間に、前述した付勢手段を構成する圧縮コイルばね(図示略)が介在されている。圧縮コイルばねのばね弾性力が下部伝達部材(110)の連結部(111)の下壁に対して下向きに作用することにより、係止部材(72)がロック状態となる揺動方向に付勢される。
第1部材(110A)には、連結部(111)の側壁部分に連なって、前後方向にのびるボルト挿通用筒部(113)(114)が上下に間隔をおいて2つ形成されている。
【0035】
第2部材(110B)は、平坦なベース壁(115)と、ベース壁(115)の上面から上方にのびる前後2つの立上り壁(116)と、ベース壁(115)の下面から下方にのびる前後2つの垂下壁(117)と、両垂下壁(117)の下端部にまたがって取り付けられた前後に長い係合軸(112)とを備えている。
第2部材(110B)は、両立上り壁(116)の下部を貫通して第1部材(110A)の下側のボルト挿通用筒部(114)に挿通されたボルトと、同ボルトの先端部に螺着されたナットとによって、連結一体化されている。
係合軸(112)は、第2係合部(112)を構成するものであって、係止部材(72)の第1係合部(係合凹部)(722)内に収まるように配置される。
また、図4に示すように、下部伝達部材(110)には、カバー部材(110C)が備えられていてもよい。カバー部材(110C)は、第1部材(110A)の連結部(111)および第2部材(110B)の両立上り壁(116)を被覆しうるように側方および下方に開口した略中空ブロック状のものとなされている。カバー部材(110C)は、その前後側壁を貫通して第1部材(110A)の上側のボルト挿通用筒部(113)に相通されたボルトと、同ボルトの先端に螺着されたナットとによって、第1部材(110A)と連結一体化されている。なお、カバー部材(110C)は省略することも可能であり、その場合、第1部材(110A)の上側のボルト挿通用筒部(113)も不要となる。
【0036】
図4(a)に示すように、係止部材(72)がロック状態にある時には、第1係合部(722)の一方(図の下側)の側面と、第2係合部(係合軸)(112)とが、左右に並んで近接または当接するように配置されている。また、この際、ブラケット(41)の保持枠部(41c)の上端縁に、下部伝達部材(110)のベース壁(115)下面の縁が近接または当接させられているとともに、圧縮コイルばねのばね弾性力により、下部伝達部材(110)が下向きに付勢されている。以上の構成によれば、係止部材(72)のロック状態が確実に保持される。
一方、操作部材(10)に対して上向きの操作力が加えられると、操作部材(10)、上部伝達部材(12)、伝動部材(9)および下部伝達部材(110)が連動して上方に移動させられ、下部伝達部材(110)の第2係合部(112)が係止部材(72)の他方(図の上側)の側面を下方から押圧する。これにより、係止部材(72)が、ロック解除方向(図4の反時計回り方向)に揺動して、図4(b)に示すように、被係止部(71)との係合が解除されるロック解除状態となされる。上記の通り、この実施形態の梯子兼用脚立(1)にあっては、遠隔操作機構(8)の上部伝達部材(12)、伝動部材(9)および下部伝達部材(110)が、上向きの操作力が操作部材(10)を介して間接に加えられることにより支柱(3)に沿って上昇させられる昇降動作部(81)を構成している。
その後、操作部材(10)に対して操作力を加えるのを中止すると、圧縮コイルばねのばね弾性力が下向きに作用することにより、下部伝達部材(110)、伝動部材(9)、上部伝達部材(12)および操作部材(10)が連動して下方に移動させられる。これに伴い、下部伝達部材(110)の第2係合部(112)が下方に移動して、係止部材(72)の一方(図の下側)の側面を上方から押圧すると、係止部材(72)がロック方向(図4の時計回り方向)に揺動し、それによって係止部材(72)が被係止部(71)と係合するロック状態に戻される。
なお、第1係合部および第2係合部の構成は、上記態様には限定されず、適宜変更可能である。
【0037】
ストッパ(13)は、この実施形態では、図5および図6に詳しく示すように、遠隔操作機構(8)の昇降動作部(81)の上部を保持するための保持用ブラケット(15)に取り付けられている。
保持用ブラケット(15)は、その前後側壁(151)の左右方向内側縁どうしを連結する中央壁(152)の前後幅中央部が全長に亘って帯状に切り欠かれているとともに、切欠きの左右の縁から左右方向内方(支柱(3)と反対側)に向かって突出するように内方突出部(153)が一体的に設けられている。内方突出部(153)は、平面より見て左右方向外方(支柱(3)側)に開口した略コ字形の横断面を有している。内方突出部(153)は、その上部が中央壁(152)の上縁よりも上方に突出して、下から3段目の践桟(4C)の開口に臨むように形成されている。内方突出部(153)の前後側壁部(153a)の下縁は、左右方向外方に向かって下向きに傾斜している。内方突出部(153)の前後側壁部(153a)どうしの間の連結壁部(153b)には、方形状の開口部(154)が形成されている。
図5(a)に示すように、操作部材(10)に対して操作力が加えられていない状態、換言すれば、ロック機構(7)により伸縮脚部材(6)がロックされた状態では、操作部材(10)の端部が、保持用ブラケット(15)における内方突出部(153)の上端によって支持されるようになっている。
ストッパ(13)は、その所定部分を前後方向に貫通して保持用ブラケット(15)における内方突出部(153)の前後側壁部(153a)にまたがって取り付けられたピン(130)により、保持用ブラケット(15)に揺動自在に取り付けられている。すなわち、保持用ブラケット(15)、より詳細には、保持用ブラケット(15)の内方突出部(153)の前後側壁部(153a)によって、ストッパ(13)を取り付けるための被取付部(15)が構成されている。また、上記ピン(130)によって、ストッパ(13)の揺動軸(130)が構成されている。
ストッパ(13)の形状は、梯子体(2)の姿勢(上下の向き)の変化に応じて、自重により所定方向に所定角度だけ揺動可能なものであれば特に限定されない。もっとも、ストッパが確実に揺動するためには、その重心が揺動先端に近くなる方が好ましく、その意味では、揺動軸側が相対的に小さくかつ揺動先端側が相対的に大きい形状(例えば揺動先端に向かって末広がりの形状)とするのが好ましい。また、ストッパを、その揺動軸と揺動先端とを通る線を中心として左右対称形のものとすれば、組立性の向上やコストの抑制といった効果が奏される。図示のストッパ(13)は、前後2つの平坦な面を有する偏平状のもの、より詳細には正面より見て略角丸扇形をした比較的薄肉の小片よりなるものであって、その中心角側に揺動軸(130)が設けられている。ストッパ(13)の材質も、特に限定されないが、例えば硬質樹脂や金属によって形成しうる。
【0038】
ストッパ(13)には、その所定箇所に第1係合部(131)が形成されている。一方、遠隔操作機構(8)の昇降動作部(81)、より詳細には上部伝達部材(12)に、第2位置に配置されたストッパ(13)の第1係合部(131)に対して昇降動作部(81)の動作方向から係合しうる第2係合部(123)が形成されている。
第1係合部(131)は、ストッパ(13)の第2揺動方向側の側部(図5の左側部)に形成された第1係合凹部(131)よりなる。
第2係合部(123)は、上部伝達部材(12)の垂下部(122)におけるストッパ(13)と向かい合う面(図5の右側面)に形成された第2係合凸部(123)よりなる。第2係合凸部(123)は、第2位置に配置されたストッパ(13)の第1係合凹部(131)と緩く嵌まり合うとともに、第1係合凹部(131)に対して昇降動作部(81)の動作方向から係合しうるようになっている。
第1係合凹部(131)は、その両側面が、ストッパの揺動軸を中心とする緩やかな円弧状となされている。また、これらに対応して、第2係合凸部(123)の上下側面も緩やかな円弧状となされている。これにより、ストッパ(13)の揺動に伴う第1係合凹部(131)と第2係合凸部(123)との嵌合およびその解除がスムーズに行われる。
図5に示すように、ストッパ(13)は、第1揺動方向に揺動した際に、その第1揺動方向側の側部に設けられた第1当接部(132)が、保持用ストッパ(被取付部)(15)の開口部(154)の下縁よりなる第1被当接部(154a)と当接することにより、第1位置に保持されるようになっている。上記の構成によれば、梯子兼用脚立(1)を脚立として使用する際、ストッパ(13)は、第1位置に確実に保持されるので、遠隔操作機構(8)の昇降動作部(81)の動作を妨げるおそれがない。
一方、図6に示すように、ストッパ(13)は、第2揺動方向に揺動した際に、第1係合凹部(131)の底(131a)と第2係合凸部(123)の先端(123a)とが当接することにより、第2位置に保持されるようになっている。上記の構成によれば、梯子兼用脚立(1)をその一方の梯子体(2)を上下反転させて梯子として使用する際、上下反転した梯子体(2)のストッパ(13)は、第2位置に確実に保持されるので、遠隔操作機構(8)の昇降動作部(81)の動作を確実に阻止できる。
第1係合凹部(131)および第2係合凸部(123)は、互いに係合する際に昇降動作部(81)の動作方向に対して略垂直となる係合面(131b)(123b)を有している(図6参照)。これらの係合面(131b)(123b)の存在により、係合した第1係合凹部(131)および第2係合凸部(123)が不用意にずれたり係合が外れたりすることがなく、昇降動作部(81)の動作がストッパ(13)によって確実に阻止される。係合面は、第1係合凹部(131)および第2係合凸部(123)のうち少なくともいずれか一方に形成されていればよい。
なお、上記の態様とは逆に、ストッパの第1係合部を第1係合凸部とし、昇降動作部の第2係合部を第2係合凹部としてもよい。
【0039】
図5に示すように、ストッパ(13)は、第1位置においては、その揺動軸(130)と揺動先端とを結ぶ仮想線(L1)が、揺動軸(130)を通る鉛直線(L2)に対して第2揺動方向側(図5の右側)に傾いている。
また、図6に示すように、ストッパ(13)は、第2位置においては、前記仮想線(L1)が、揺動軸(130)を通る鉛直線(L2)に対して第1揺動方向側(図6の左側)に傾いている。
第1位置および第2位置においてストッパ(13)が上記のように配置されていれば、梯子体(2)の姿勢(上下の向き)が変化した際、ストッパ(13)が、その自重により、第1揺動方向または第2揺動方向にスムーズにかつ確実に揺動するので、ストッパ(13)としての機能がより確実に奏される。
【0040】
次に、図5および図6を参照して、ストッパ(13)による遠隔操作機構(8)のロック解除動作の阻止機構を説明する。
図5に示すように、梯子兼用脚立(1)が脚立として使用されている際、ストッパ(13)は、自重により第1揺動方向(図5(b)(d)の時計回り方向)に揺動して、遠隔操作機構(8)の昇降動作部(81)の動作(支柱(3)の長さ方向に沿う上方への移動)を阻止しない第1位置に配置されている。より詳細には、ストッパ(13)は、昇降動作部(81)の動作時に、その第1係合凹部(131)が上部伝達部材の第1係合凸部と干渉しない位置に配置されている。この際、ストッパ(13)の第1当接部(132)が、保持用ブラケット(15)の第1被当接部(154a)と当接しており、それによってストッパ(13)が第1位置に確実に保持され、ひいてはストッパ(13)により遠隔操作機構(8)の昇降動作部(81)の動作が妨げられるおそれがない。
一方、図6に示すように、梯子兼用脚立(1)を梯子として使用するために、一方の梯子体(2)を上下反転するように回動させると、同梯子体(2)に設けられたストッパ(13)は、自重により、第1位置から第2揺動方向(図6の反時計回り方向)に向かって揺動し、遠隔操作機構(8)の昇降動作部(81)の動作を阻止しうる第2位置に配置される。より詳細には、ストッパが第2揺動方向に揺動すると、ストッパ(13)の第1係合凹部(131)と上部伝達部材(12)の第2係合凸部(123)とが緩く嵌まり合い、第1係合凹部(131)の底(131a)と第2係合凸部(123)の先端(123a)とが当接することにより、ストッパ(13)が第2位置に配置されて同位置に保持される。
この状態で、例えば操作部材(10)に対して不用意に操作力(図6の下向きに押圧する力)が加えられたとしても、第1係合凹部(131)の係合面(131b)と、第2係合凸部(123)の係合面(123b)とが、遠隔操作機構(8)の昇降動作部(81)の動作方向両側から係合させられるので、それによって遠隔操作機構(8)の昇降動作部(81)の動作が阻止され、ひいてはロック機構による伸縮脚部材のロックが不用意に解除されるのが阻止される。
また、梯子として使用した梯子兼用脚立(1)を再び脚立として使用するために、上位の梯子体(2)を上下反転するように回動させると、同梯子体(2)に設けられたストッパ(13)は、自重により、第2位置から第1揺動方向に揺動して、図5(a)に示すように第1位置に再び配置される。
【0041】
上記の通り、第1の実施形態の梯子兼用脚立(1)によれば、梯子として使用される際に上下反転させられた梯子体(2)において、同梯子体(2)に備えられた伸縮脚部材(6)のロック機構(7)を遠隔操作するための遠隔操作機構(8)が不用意に動作すること、すなわち、ロック機構(7)による伸縮脚部材(6)のロック状態が不用意に解除されるのを、ストッパ(13)によって確実に阻止できるので、使用時の安全性が更に高められる。
また、ストッパ(13)は、梯子体(2)の姿勢(上下の向き)の変化に応じて自重により所定方向に揺動することで、第1位置または第2位置に自動的に配置されるので、特別な操作を要することなく確実に機能しうるものであり、利便性に優れている。
そして、ストッパ(13)は、遠隔操作機構(8)の昇降動作部(81)の上部を保持するための保持用ブラケット(15)(被取付部)に取り付けられているので、遠隔操作機構(8)についてはストッパ(13)を取り付けるための構造を設ける必要がなく、遠隔操作機構(8)の構造を複雑化するのを回避できる。
さらに、この実施形態では、ストッパ(13)としていわゆるフック式のもの(第1係合凹部(131)と第2係合凸部(123)との係合による動作阻止機構)が用いられているので、ストッパ(13)が第2位置に保持されやすくなり、梯子として使用する際の遠隔操作機構(8)の不用意な動作を阻止するというストッパ(13)の機能がより一層確実に奏される。加えて、この実施形態では、ストッパ(13)が操作部(10)の近くに設けられているので、ストッパ(13)により遠隔操作機構(8)の動作が阻止されているロック状態であることが、操作部(10)を操作しようとする手を通じて使用者に伝わりやすい。
【0042】
[第2の実施形態]
図7図9は、この発明の第2の実施形態に係る梯子兼用脚立の一部を示したものである。
この実施形態に関する以下の説明において、図7(a)、図8(a)の各左側を「前」、同右側を「後」と言い、また、「左右」は前から見た場合の左右(図7(b)、図8(b)、図9の各左右)を言うものとする。
第2の実施形態の梯子兼用脚立は、以下の点を除いて、図1図6に示す第1の実施形態の梯子兼用脚立(1)と実質的に同一である。
すなわち、第2の実施形態の梯子兼用脚立では、梯子体(2X)のストッパ(13X)が、昇降動作部(81)の下部に近接して設けられていて、梯子として使用する際の昇降動作部(81)の動作を阻止しうるようになっている。ストッパ(13X)は、伝動部材(9)を保持するための下側の保持用ブラケット(14)(被取付部)、より詳細には、同ブラケット(14)における内方突出部(141)の前側壁部(141a)外面に、前後方向にのびる揺動軸(130X)を中心として揺動自在に取り付けられている。
【0043】
第1の実施形態のストッパ(13)と同様に、ストッパ(13X)の形状は、梯子体(2X)の姿勢(上下の向き)の変化に応じて、自重により所定方向に所定角度だけ揺動可能なものであれば特に限定されないが、例えば図示のような前後2つの平坦な面を有する偏平状のものとすることができる。より詳細には、図示のストッパ(13)は、正面より見て略扇形のものであって、その中心角側に揺動軸(130X)が設けられている。
詳しい図示は省略したが、揺動軸(130X)は、ストッパの後面の所定箇所から後方に突出するように設けられかつ内方突出部(141)の前側壁部(141a)にあけられた孔(図示略)に回転可能に差し込まれた差込部によって構成されている。揺動軸(130X)を上記構成とすれば、内方突出部(141)の内部に圧縮コイルばねが配置されている場合であっても、圧縮コイルばねと干渉することなく、ストッパ(13X)を保持用ブラケット(14)(詳しくは内方突出部(141)の前側壁部(141a))よりなる被取付部に容易に取り付けることができる。但し、揺動軸の構成およびストッパの被取付部への取付構造は上記態様には限定されず、その他にも適宜の態様を取りうる。
【0044】
ストッパ(13X)には、その所定箇所に第1係合部(131X)が形成されている。一方、遠隔操作機構(8)の昇降動作部(81)、より詳細には下部伝達部材(110)に、第2位置に配置されたストッパ(13X)の第1係合部(131X)に対して昇降動作部(81)の動作方向から係合しうる第2係合部(116a)が形成されている。
第1係合部(131X)は、ストッパ(13X)の前面の所定箇所、より詳細にはストッパ(13)の前面における揺動軸(131X)を挟んで揺動先端と反対側の端部から前方に突出するように形成されている。図示のストッパの第1係合部(131X)は、揺動先端と反対側の端部の輪郭形状に沿うように正面より見て浅い略V形となされている。但し、第1係合部の配置や形状は、上記態様には限定されず、例えばストッパの揺動先端側の他端部によって第1係合部を構成することも可能である。
第2係合部(116a)は、下部伝達部材(110)における前側の立上り壁(116)の上端部(116a)によって構成されている。この第2係合部(116a)は、遠隔操作機構(8)の昇降動作部(81)が動作方向に動作した際、ストッパ(13X)の前面と略平行に移動するようになっている。
第1位置におけるストッパ(13X)の第1係合部(131X)は、昇降動作部(81)の動作に伴って移動する第2係合部(116a)とは干渉しない。一方、第2位置におけるストッパ(13X)の第1係合部(113X)は、第2係合部(116a)と昇降動作部(81)の動作方向から係合しうるようになっている。
図7および図8に示すように、ストッパ(13X)は、第1揺動方向(図7(b)、図8(b)の時計回り方向)に揺動した際に、その第1揺動方向側の側部(図の下側部)に設けられた第1当接部(132X)が、内方突出部(141)の前側壁部(141a)外面の下縁部に形成された凸条部よりなる第1被当接部(142)と当接することにより、第1位置に保持されるようになっている。上記の構成によれば、梯子兼用脚立(1)を脚立として使用する際、ストッパ(13X)は、第1位置に確実に保持されるので、遠隔操作機構(8)の昇降動作部(81)の動作を妨げるおそれがない。
一方、図9に示すように、ストッパ(13X)は、第2揺動方向(図9の反時計回り方向)に揺動した際に、その第2揺動方向側の側部(図の右側部)に設けられた第2当接部(133)が、下側の保持用ブラケット(14)の中央壁(14b)の外面よりなる第2被当接部(143)と当接することにより、第2位置に保持されるようになっている。上記の構成によれば、梯子兼用脚立を梯子として使用する際、上下反転した梯子体(2)のストッパ(13X)は、第2位置に確実に保持されるので、遠隔操作機構(8)の昇降動作部(81)の動作を確実に阻止できる。加えて、この実施形態では、内方突出部(141)の前側壁部(141a)外面におけるストッパ(13X)を挟んで第1被当接部(142)と反対側の位置に、凸条部よりなるストッパ受け部(144)が形成されている。操作部(10)に操作力が加えられると、昇降動作部(81)の第2係合部(116a)を通じて、ストッパ(13X)に図9の下向きの力が作用するが、この際、ストッパ(13X)がストッパ受け部(144)で下方から受けられるようになっている。そのため、ストッパ(13X)の揺動軸(130X)には大きな力が作用せず、前述したように揺動軸(130X)を差込部によって構成した場合でも、その破損を回避することができ、優れた耐久性が得られる。
第1係合部(131X)および第2係合部(116a)は、互いに係合する際に昇降動作部(81)の動作方向に対して略垂直となる係合面(131S)(116S)を有している(図9参照)。これらの係合面(131S)(116S)の存在により、互いに係合した第1係合部(131X)および第2係合部(116a)が不用意にずれたり係合が外れたりすることがなく、昇降動作部(81)の動作がストッパ(13X)によって確実に阻止される。係合面は、第1係合部(131X)および第2係合部(116a)のうち少なくともいずれか一方に形成されていればよい。
【0045】
第2の実施形態の梯子兼用脚立にあっても、その梯子体(2X)に備えられたストッパ(13X)が、第1の実施形態の梯子兼用脚立(1)の梯子体(2)に備えられたストッパ(13)とほぼ同様に機能し、それによって、第1の実施形態の梯子兼用脚立(1)とほぼ同様の効果が奏される。
また、第2の実施形態に係るストッパ(13X)の場合、第1係合部(131X)が揺動軸(130X)に近い部分に設けられており、ストッパ(13X)の揺動に伴う第1係合部(131X)の移動範囲が小さくなるため、第1係合部(131X)と係合する第2係合部(116a)のサイズや形状をコンパクトにできる。
【0046】
上記の各実施形態において、ストッパ(13)(13X)は、昇降動作部(81)を動作可能に保持するためのブラケット(14)(15)よりなる被取付部に取り付けられているが、前述した通り、被取付部は、これらのブラケット(14)(15)に限定されるものではなく、梯子体において所定の動作を行わないその他の固定部(非動作部)によって構成することも可能である。具体的には、例えば、梯子体(2)(2X)の支柱(3)、践桟(4A)~(4E)、ブラケット(41)(42)等の任意の箇所に被取付部を設けてもよい。
【0047】
上記の各実施形態に示した通り、この発明に係るストッパは、伸縮脚部材のロック機構およびその遠隔操作機構を備えた梯子兼用脚立について好適に使用されるものであるが、その他、通常時とは異なる姿勢(上下の向きや水平面に対する傾斜角度の変更)で使用・保管・運搬等される場合があり、かつ、所定の動作機構を備えている各種物品についても、当該姿勢における動作機構の不用意な動作を阻止する目的で、広く適用可能である。具体的には、例えば、動作機構として伸縮脚、転倒・滑り防止具、開き止め具、手がかり棒等のロック機構を備えた専用脚立、梯子、可搬式作業台等においても、この発明に係るストッパを適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
この発明は、伸縮脚部材のロック機構およびその遠隔操作機構を備えている梯子兼用脚立について好適に用いられる。
【符号の説明】
【0049】
(1):梯子兼用脚立
(2)(2X):梯子体
(21):ヒンジ金具
(3):支柱
(4A)(4B)(4C)(4D)(4E):踏桟
(5):伸縮脚装置
(6):伸縮脚部材
(7):ロック機構
(71):被係止部
(72):係止部材
(8):遠隔操作機構
(81):昇降動作部(動作部)
(9):伝動部材
(10):操作部材(操作部)
(11):下部伝達部
(110):下部伝達部材
(110A):第1部材
(110B):第2部材
(116a):第2係合部
(116S):第2係合部の係合面
(12):上部伝達部材(上部伝達部)
(123):第2係合凸部(第2係合部)
(123a):第2係合凸部の先端
(123b):第2係合凸部の係合面
(13):ストッパ
(130):揺動軸
(131):第1係合凹部(第1係合部)
(131a):第1係合凹部の底
(131b):第1係合凹部の係合面
(132):第1当接部
(13X):ストッパ
(130X):揺動軸
(131X):第1係合部
(131S):第1係合部の係合面
(132X):第1当接部
(14):下側の保持用ブラケット(ブラケット/被取付部)
(142):第1被当接部
(15):上側の保持用ブラケット(ブラケット/被取付部)
(154a):第1被当接部
(L1):ストッパの揺動軸と揺動先端とを結ぶ仮想線
(L2):ストッパの揺動軸を通る鉛直線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2025-01-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの梯子体の上端部どうしがヒンジ金具により開閉自在に連結されてなり、一方の梯子体を上下反転するように回動させることによって梯子としても使用可能な梯子兼用脚立であって、
前記一方の梯子体が、2本の支柱と、両支柱間に段状に渡し止められた複数本の踏桟と、各支柱にスライド自在に連結されて前記一方の梯子体の脚を構成している伸縮脚部材と、伸縮脚部材を支柱に対して任意のスライド位置でロックしうるロック機構と、ロック機構から離れた位置で操作力が加えられることによりロック機構による伸縮脚部材のロックを解除しうるように動作する遠隔操作機構とを備えており、
遠隔操作機構の動作を阻止するためのストッパが、前記一方の梯子体にけられた被取付部に揺動可能に取り付けられており、被取付部は、前記一方の梯子体において所定の動作を行わない非動作部によって構成されており、
ストッパは、梯子兼用脚立が脚立として使用される際には、自重により第1揺動方向に揺動して遠隔操作機構の動作を阻止しない第1位置に配置されており、また、梯子兼用脚立が梯子として使用される際には、自重により第1揺動方向と反対の第2揺動方向に揺動して遠隔操作機構の動作を阻止しうる第2位置に配置されており、
ストッパの所定箇所に第1係合部が形成されているとともに、操作力が直接または間接に加えられることにより所定の動作方向に動作する遠隔操作機構の動作部に、第2位置に配置されたストッパの第1係合部に対して動作部の動作方向から係合しうる第2係合部が形成されており、
第1係合部が、ストッパの第2揺動方向側の側部に形成された第1係合凹部または第1係合凸部よりなり、
第2係合部が、第2位置に配置されたストッパの第1係合凹部または第1係合凸部と緩く嵌まり合うとともに第1係合凹部または第1係合凸部に対して動作部の動作方向から係合しうるように動作部に形成された第2係合凸部または第2係合凹部よりなる、梯子兼用脚立。
【請求項2】
ストッパが第2揺動方向に揺動した際に、第1係合凹部の底または第1係合凸部の先端と、第2係合凸部の先端または第2係合凹部の底とが当接することにより、ストッパが第2位置に保持されるようになっている、請求項記載の梯子兼用脚立。
【請求項3】
第1係合部および第2係合部のうち少なくともいずれか一方が、同他方と係合する際に動作部の動作方向に対して略垂直となる係合面を有している、請求項記載の梯子兼用脚立。
【請求項4】
2つの梯子体の上端部どうしがヒンジ金具により開閉自在に連結されてなり、一方の梯子体を上下反転するように回動させることによって梯子としても使用可能な梯子兼用脚立であって、
前記一方の梯子体が、2本の支柱と、両支柱間に段状に渡し止められた複数本の踏桟と、各支柱にスライド自在に連結されて前記一方の梯子体の脚を構成している伸縮脚部材と、伸縮脚部材を支柱に対して任意のスライド位置でロックしうるロック機構と、ロック機構から離れた位置で操作力が加えられることによりロック機構による伸縮脚部材のロックを解除しうるように動作する遠隔操作機構とを備えており、
遠隔操作機構の動作を阻止するためのストッパが、前記一方の梯子体に設けられた被取付部に揺動可能に取り付けられており、被取付部は、前記一方の梯子体において所定の動作を行わない非動作部によって構成されており、
ストッパは、梯子兼用脚立が脚立として使用される際には、自重により第1揺動方向に揺動して遠隔操作機構の動作を阻止しない第1位置に配置されており、また、梯子兼用脚立が梯子として使用される際には、自重により第1揺動方向と反対の第2揺動方向に揺動して遠隔操作機構の動作を阻止しうる第2位置に配置されており、
ストッパの所定箇所に第1係合部が形成されているとともに、操作力が直接または間接に加えられることにより所定の動作方向に動作する遠隔操作機構の動作部に、第2位置に配置されたストッパの第1係合部に対して動作部の動作方向から係合しうる第2係合部が形成されており、
第2係合部が、動作部が動作方向に動作した際にストッパにおける揺動軸方向の一方の面と略平行に移動しうるように形成されており、
第1係合部が、ストッパの前記一方の面の所定箇所から突出して、第1位置においては移動する第2係合部と干渉せず、かつ第2位置においては第2係合部と動作部の動作方向から係合しうるように形成されている、子兼用脚立。
【請求項5】
第1係合部が、ストッパの前記一方の面における揺動軸を挟んで揺動先端と反対側の端部から突出して形成されている、請求項記載の梯子兼用脚立。
【請求項6】
遠隔操作機構が、操作力が直接または間接に加えられることにより支柱に沿って上昇または下降させられる昇降動作部を有しており、
被取付部が、昇降動作部の所定箇所と近接するように支柱および/または践桟に固定されたブラケットよりなり、
第2位置に配置されたストッパにより、昇降動作部の上昇または下降動作が阻止される、請求項1または4記載の梯子兼用脚立。
【請求項7】
被取付部に、ストッパが第1揺動方向に揺動した際にストッパの第1揺動方向側の側部に設けられた第1当接部と当接してストッパを第1位置に保持しうる第1被当接部が設けられている、請求項1または4記載の梯子兼用脚立。
【請求項8】
ストッパは、第1位置においては、その揺動軸と揺動先端とを結ぶ仮想線が、揺動軸を通る鉛直線に対して第1角度だけ揺動方向側に傾いており、第2位置においては、前記仮想線が、揺動軸を通る鉛直線に対して第1角度よりも小さい第2角度だけ第1揺動方向側に傾いている、請求項1または4記載の梯子兼用脚立。