(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008208
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】車両認識装置及び車両認識方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/70 20230101AFI20250109BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20250109BHJP
H04N 23/76 20230101ALI20250109BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20250109BHJP
G03B 7/093 20210101ALI20250109BHJP
【FI】
H04N23/70
H04N23/60 500
H04N23/76
G03B15/00 Q
G03B7/093
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110166
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江頭 和輝
(72)【発明者】
【氏名】千葉 寛也
(72)【発明者】
【氏名】角間 大輔
(72)【発明者】
【氏名】岡 雄平
(72)【発明者】
【氏名】菅野 達也
【テーマコード(参考)】
2H002
5C122
【Fターム(参考)】
2H002FB01
2H002FB23
5C122EA12
5C122EA20
5C122FF01
5C122FF15
5C122FF21
5C122FH01
5C122FH11
5C122FH14
5C122GA01
5C122GA23
5C122HA13
5C122HA75
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】閉鎖空間から出ていく車両が含まれるカメラ画像に基づいて当該車両の認識を行う場合、シャッターが開くときに当該車両の認識の精度が低下するのを抑えることができる技術を提供する。
【解決手段】車両認識装置は、閉鎖空間内に設置されたカメラで取得されたカメラ画像に含まれる車両の認識処理と、閉鎖空間内における車両の出入口に設けられたシャッターの開閉処理とを行うプロセッサを備えている。プロセッサは、開閉処理において、シャッターから車両までの距離が初期設定距離以下になったら自動開放指令をシャッターに送信する処理を行う。プロセッサは、更に、外側照度の情報と、内側照度の情報とに基づいて、外側照度が内側照度よりも高いか否かを判定する。また、プロセッサは、更に、外側照度が内側照度よりも高いと判定された場合、カメラ画像内の車両の位置での白飛びの発生を抑えるための白飛び対策処理を行う。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖空間内に存在する車両を認識する車両認識装置であって、
前記閉鎖空間内に設置されたカメラにより取得されたカメラ画像と、前記閉鎖空間の内側、かつ、前記カメラの撮影空間における照度を示す内側照度の情報と、前記閉鎖空間の外側における照度を示す外側照度の情報と、を格納する記憶装置と、
前記カメラ画像に含まれる車両の認識処理と、前記閉鎖空間における前記車両の出入口に設けられたシャッターの開閉処理と、を行うプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、前記開閉処理において、前記シャッターから前記車両までの距離が初期設定距離以下になったら自動開放指令を前記シャッターに送信する処理を行い、
前記プロセッサは、更に、
前記外側照度の情報と、前記内側照度の情報とに基づいて、前記外側照度が前記内側照度よりも高いか否かを判定し、
前記外側照度が前記内側照度よりも高いと判定された場合、前記カメラ画像内の前記車両の位置での白飛びの発生を抑えるための白飛び対策処理を行うように構成された
ことを特徴とする車両認識装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両認識装置であって、
前記記憶装置は、更に、前記車両が前記シャッターに到達するまでの到達見込み時間の情報を含み、
前記プロセッサは、前記白飛び対策処理において、更に、
前記到達見込み時間が閾値未満である場合、前記到達見込み時間に応じて設定された距離に基づいて前記初期設定距離を拡大するように構成された
ことを特徴とする車両認識装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両認識装置であって、
前記記憶装置は、更に、前記車両が前記シャッターに到達するまでの到達見込み時間の情報を含み、
前記プロセッサは、前記白飛び対策処理において、更に、
前記到達見込み時間が閾値未満である場合、前記到達見込み時間に応じて設定された前記車両の減速量に基づいて前記車両を減速させる指令を生成するように構成された
ことを特徴とする車両認識装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両認識装置であって、
前記記憶装置は、更に、前記シャッターの開閉情報を含み、
前記プロセッサは、更に、
前記開閉情報に基づいて、前記シャッターが開いているか否かを判定し、
前記シャッターが開かれていると判定され、かつ、前記外側照度が前記内側照度よりも高いと判定された場合、前記カメラ画像の明るさを補正する明るさ補正処理を行うように構成された
ことを特徴とする車両認識装置。
【請求項5】
閉鎖空間内に存在する車両を認識する車両認識方法であって、
前記閉鎖空間内に設置されたカメラにより取得されたカメラ画像に含まれる車両の認識処理と、前記閉鎖空間における前記車両の出入口に設けられたシャッターの開閉処理と、を行うことと、
前記開閉処理において、前記シャッターから前記車両までの距離が初期設定距離以下になったら自動開放指令を前記シャッターに送信することと、
前記閉鎖空間の外側における照度を示す外側照度の情報と、前記閉鎖空間の内側、かつ、前記カメラの撮影空間における照度を示す内側照度の情報とに基づいて、前記外側照度が前記内側照度よりも高いか否かを判定することと、
前記外側照度が前記内側照度よりも高いと判定された場合、前記カメラ画像内の前記車両の位置での白飛びの発生を抑えるための白飛び対策処理を行うことと、
を含む
ことを特徴とする車両認識方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両を認識する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザが注目したい被写体の視認性を向上する撮像装置が開示されている。この従来技術では、カメラで撮像した低照度の映像と高照度の映像を合成した画像に基づいて、注目する被写体の人物の顔が検出され、顔領域の輝度分布が算出される。そして、低照度領域あるいは高照度領域にいる人物の顔領域の輝度分布をもとに、顔領域の露光量が適正露光範囲に近づくように制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車庫、駐車場、工場等といった車両の移動が想定される一定の広がりを持った閉鎖空間において、この閉鎖空間に設けられたカメラでここから出ていく車両を認識するシーンを考える。このとき、閉鎖空間における車両の出入口に設けられたシャッターが開いた場合、閉鎖空間周辺の天候、時間帯によっては、カメラに搭載された受光センサの受光量が飽和してカメラ画像の白飛びが発生することがある。カメラ画像の白飛びした部分に車両が含まれる場合、カメラで車両を認識できないおそれがある。
【0005】
本開示の1つの目的は、閉鎖空間から出ていく車両が含まれるカメラ画像に基づいて当該車両の認識を行う場合、シャッターが開くときに当該車両の認識の精度が低下するのを抑えることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の観点は、閉鎖空間内に存在する車両を認識する車両認識装置に関連する。車両認識装置は、閉鎖空間内に設置されたカメラにより取得されたカメラ画像と、閉鎖空間の内側、かつ、カメラの撮影空間における照度を示す内側照度の情報と、閉鎖空間の外側における照度を示す外側照度の情報と、を格納する記憶装置と、カメラ画像に含まれる車両の認識処理と、閉鎖空間における車両の出入口に設けられたシャッターの開閉処理と、を行うプロセッサと、を備えている。プロセッサは、開閉処理において、シャッターから車両までの距離が初期設定距離以下になったら自動開放指令をシャッターに送信する処理を行う。プロセッサは、更に、外側照度の情報と、内側照度の情報とに基づいて、外側照度が内側照度よりも高いか否かを判定する。また、プロセッサは、更に、外側照度が内側照度よりも高いと判定された場合、カメラ画像内の車両の位置での白飛びの発生を抑えるための白飛び対策処理を行う。
【0007】
本開示の第2の観点は、第1の観点に加えて、次の特徴を更に有する。記憶装置は、更に、車両がシャッターに到達するまでの到達見込み時間の情報を含んでいる。プロセッサは、白飛び対策処理において、更に、到達見込み時間が閾値未満である場合、到達見込み時間に応じて設定された距離に基づいて初期設定距離を拡大する。
【0008】
本開示の第3の観点は、第1の観点に加えて、次の特徴を更に有する。記憶装置は、更に、車両がシャッターに到達するまでの到達見込み時間の情報を含んでいる。プロセッサは、白飛び対策処理において、更に、到達見込み時間が閾値未満である場合、到達見込み時間に応じて設定された車両の減速量に基づいて車両を減速させる指令を生成する。
【0009】
本開示の第4の観点は、第1の観点に加えて、次の特徴を更に有する。記憶装置は、更に、シャッターの開閉情報を含んでいる。プロセッサは、更に、開閉情報に基づいて、シャッターが開いているか否かを判定する。また、プロセッサは、更に、シャッターが開かれていると判定され、かつ、外側照度が内側照度よりも高いと判定された場合、カメラ画像の明るさを補正する明るさ補正処理を行う。
【0010】
本開示の第5の観点は、閉鎖空間内に存在する車両を認識する車両認識方法に関連する。車両認識方法は、閉鎖空間内に設置されたカメラにより取得されたカメラ画像に含まれる車両の認識処理と、閉鎖空間における車両の出入口に設けられたシャッターの開閉処理と、を行うことと、開閉処理において、シャッターから車両までの距離が初期設定距離以下になったら自動開放指令をシャッターに送信することと、閉鎖空間の外側における照度を示す外側照度の情報と、閉鎖空間の内側、かつ、カメラの撮影空間における照度を示す内側照度の情報とに基づいて、外側照度が内側照度よりも高いか否かを判定することと、外側照度が内側照度よりも高いと判定された場合、カメラ画像内の車両の位置での白飛びの発生を抑えるための白飛び対策処理を行うことと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、外側照度が内側照度よりも高い場合、つまり、カメラ画像の白飛びが発生しうる状況にある場合、カメラ画像内の車両の位置に白飛びがかからないようにする白飛び対策処理がなされる。これにより、車両が含まれるカメラ画像に基づいた当該車両の認識の精度が、シャッターが開くときに低下するのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態に係る車両認識装置の概要を説明するための図である。
【
図2】実施の形態に係る車両認識装置の具体例を説明するための図である。
【
図3】実施の形態に係る車両認識装置の具体例を説明するための図である。
【
図4】実施の形態に係る車両認識装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】実施の形態に係る車両認識装置の処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付図面を参照して、本開示の実施の形態に係る車両認識装置、及び車両認識方法について説明する。また、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0014】
1.概要
図1は、実施の形態に係る車両認識装置1の概要を説明するための図である。車両認識装置1は、閉鎖空間2に設置されたカメラ5を用いて、閉鎖空間2内の車両4を認識する装置である。車両認識装置1は、
図1(A)に示すように、カメラ5、第1照度センサ6、第2照度センサ7、及び情報処理装置10を含んでいる。カメラ5、第1照度センサ6、及び情報処理装置10はともに閉鎖空間2の内側に設けられている。第2照度センサ7は、閉鎖空間2の外側に設けられている。尚、情報処理装置10は、閉鎖空間2の外側に設けられていてもよい。
【0015】
閉鎖空間2は、車庫、駐車場、工場等といった車両の移動が想定される一定の広がりを持った空間である。閉鎖空間2には、
図1(A)に示すように、車両4の出入口用に閉鎖空間2の内側と閉鎖空間2の外側をつなぐシャッター3が少なくとも1つ設けられている。シャッター3は、上下方向に開閉可能な構造を有している。
【0016】
カメラ5は、カメラ5が設置された周囲の空間を撮影する。カメラ5により撮影される空間(以下「カメラ5の撮影空間」とも称す。)8には、閉鎖空間2を構成する床壁面に施設された道路が含まれている。また、カメラ5は、閉鎖空間2内の道路上に車両4が認識された場合、車両4の周囲の空間を拡大して撮影できるようにズーム機能を備えていてもよい。
【0017】
第1照度センサ6は、カメラ5の撮影空間における照度を示す内側照度を取得するセンサである。
図1(A)に示す例では、第1照度センサ6は、閉鎖空間2を構成する内壁面、かつ、カメラ5の撮影空間に含まれる内壁面に固定して取り付けられる。第1照度センサ6は、車両4に取り付けられてもよい。この場合は、カメラ5によって車両4が認識されている間に第1照度センサ6から取得される照度が、内側照度として取り扱われる。
【0018】
第2照度センサ7は、閉鎖空間2の外側における照度を示す外側照度を取得するセンサである。
図1(A)に示す例では、第2照度センサ7は、閉鎖空間2を構成する外壁面、かつ、シャッター3が設置された外壁面に固定して取り付けられる。第2照度センサ7は、閉鎖空間2の外側に存在する車両に取り付けられてもよい。この場合は、例えば、閉鎖空間2の外側に存在する車両の位置情報に基づいて、閉鎖空間2の近くに存在する車両が特定される。そして、第1照度センサ6によって内側照度が取得された時間帯と同じ時間帯において、特定された車両の第2照度センサ7によって取得される照度が、外側照度として取り扱われる。
【0019】
情報処理装置10は、カメラ5で撮影したカメラ画像に含まれる車両4の認識処理を行う装置である。情報処理装置10は、シャッター3、カメラ5、第1照度センサ6、及び第2照度センサ7の各装置に接続されている。情報処理装置10と各装置との間のそれぞれは、例えば、ケーブルで接続されている。尚、各装置に通信装置が設けられている場合、情報処理装置10は、各装置に設けられた通信装置のそれぞれを介して、各種情報を取得してもよい。
【0020】
ここで、
図1(B)に示すように、車両4を閉鎖空間2の内側から閉鎖空間2の外側に移動させるためにシャッター3が開かれた場合を考える。この場合、閉鎖空間2の内側と閉鎖空間2の外側をつなぐ出入口から閉鎖空間2の内側に向かって光9が入射される。閉鎖空間2の内側に入射された光9の反射光がカメラ5に所定量以上取り込まれる場合、カメラ5で撮影したカメラ画像の白飛びが発生しうる可能性がある。
【0021】
実施の形態に係る車両認識装置1によれば、情報処理装置10は、閉鎖空間2の内側から閉鎖空間2の外側に向かって移動している車両4がシャッター3に近づいた場合、シャッター3に対して自動開放指令を行う。また、情報処理装置10は、外側照度が内側照度よりも高い場合、カメラ画像内の車両4の位置での白飛びの発生を抑えるための白飛び対策処理を行う。更に、情報処理装置10は、外側照度が内側照度よりも高い場合であって、シャッター3が開かれていると判定された場合、カメラ画像の明るさを補正する明るさ補正処理を行う。シャッター3が開かれているか否かの判定には、例えば、シャッター3の開閉情報に基づいて行われる。シャッター3の開閉情報は、例えば、シャッター3の開閉ボタン(開ボタン又は閉ボダン)の情報を含んでいる。各処理の詳細については後述する。
【0022】
2.具体例
2-1.自動開放指令の例
図2は、実施の形態に係る車両認識装置1の具体例を示す説明図である。具体的には、
図2は、車両4がシャッター3に近づいた場合、シャッター3に対して自動開放指令を行う例を示している。
図2(A)に示す例では、閉鎖空間2における車両4の出入口に設けられたシャッター3から車両4までの距離が初期設定距離以上の場合の例が示されている。この場合、車両4からシャッター3までの距離が一定以上離れていることから、シャッター3に対する自動開放指令は行われない。初期設定距離とは、シャッター3を開ける条件に用いられる車両4からシャッター3までの設定距離を意味する。また、車両4からシャッター3までの距離は、例えば、カメラ5により認識された車両4のフロント部の位置に基づいて推定される。別の例では、車両4に搭載された認識センサ(車載カメラ、レーダ、LiDAR等)により取得されたセンサ取得情報に基づいて推定される。
【0023】
一方、
図2(B)に示す例では、車両4からシャッター3までの距離が初期設定距離未満の場合の例が示されている。この場合、車両4からシャッター3までの距離が一定以上離れていないことから、車両4が閉鎖空間2の内側から閉鎖空間2の外側に移動できるようにシャッター3に対する自動開放指令が情報処理装置10により行われる。
【0024】
ここで、カメラ画像内において白飛びが発生する要因について考える。カメラ画像内における白飛びは、外側照度が内側照度よりも高いときに発生する。従って、情報処理装置10は、外側照度が内側照度よりも高いか否かを判定する。尚、外側照度が内側照度よりも高いか否かの判定が、シャッター3が開かれた状態で行われた場合、車両4がシャッター3に近い位置にいることから、閉鎖空間2の内側に向かって入射される光9と車両4とが重なり、カメラ画像内の車両4の位置において白飛び発生しうる。従って、当該判定は、シャッター3が開かれた状態になる前までに行われる。当該判定は、例えば、シャッター3に対する自動開放指令が行われる前に実行されてもよいし、シャッター3に対する自動開放指令が行われてからシャッター3が開かれた状態になる前までに実行されてもよい。
【0025】
尚、外側照度が内側照度よりも高いと判定された場合であっても、外側照度と内側照度との差が所定値未満の場合、カメラ画像の白飛びが発生しうる可能性が低いことがいえる。従って、情報処理装置10は、外側照度が内側照度よりも高く、且つ、外側照度と内側照度との差が所定値以上の場合、カメラ画像内の車両4の位置での白飛び対策処理を行うようにしてもよい。
【0026】
2-2.白飛び対策処理の例
図3は、情報処理装置10が実行するカメラ画像の白飛び対策処理の例を示している。白飛び対策処理は、シャッター3に対して自動開放指令を行う条件に用いられる初期設定距離を拡大する処理と、車両4に対して減速指令を送信する処理とのうち一方の処理を含んでいる。以下、各処理の詳細について説明する。
【0027】
初期設定距離を拡大する処理について説明する。当該処理は、車両4がシャッター3に到達するまでの到達見込み時間に基づいて行われる。具体的には、
図3(A)に示すように、車両4がシャッター3に到達するまでの到達見込み時間が閾値以上の場合、すなわち、当該到着見込み時間が長い場合、車両4が初期設定距離を通過したときにシャッター3に対する自動開放指令が行われる。この場合、シャッター3が開くときに閉鎖空間2の内側に向かって入射される光9と車両4が重なる可能性は低い。従って、車両4がシャッター3に到達するまでの到達見込み時間が閾値以上の場合、初期設定距離の変更を行わなくてもよい。
【0028】
一方、
図3(B)に示すように、車両4がシャッター3に到達するまでの到達見込み時間が閾値未満の場合、すなわち、当該到着見込み時間が短い場合を考える。この場合、車両4が初期設定距離を通過したときにシャッター3に対する自動開放指令が行われてシャッター3が開くときに閉鎖空間2の内側に向かって入射される光9と車両4が重なる可能性が高い。従って、車両4の認識精度が低下するおそれがある。このため、車両4がシャッター3に到達するまでの到達見込み時間が閾値未満の場合、
図3(B)に示すように、初期設定距離を拡大する変更が行われる。これにより、車両4からシャッター3までの距離が初期設定距離よりも長くなり、シャッター3が開くときに車両4が光9にかからないようにすることができる。ゆえに、カメラ画像内の車両4の位置での白飛びの発生を抑えることが可能となる。尚、当該到達見込み時間が閾値未満の場合、情報処理装置10は、到達見込み時間に応じて設定された距離に基づいて初期設定距離を拡大してもよい。
【0029】
続いて、車両4に対して減速指令を送信する処理について説明する。当該処理は、上述した初期設定距離を拡大する処理と同様に車両4がシャッター3に到達するまでの到達見込み時間に基づいて行われる。具体的には、
図3(C)に示すように、車両4がシャッター3に到達するまでの到達見込み時間が閾値未満の場合、すなわち、当該到達見込み時間が短い場合、初期設定距離の変更は行わずに車両4が初期設定距離を通過する前に車両4に対する減速指令が情報処理装置10により送信される。これにより、車両4がシャッター3に到達するまでの到達見込み時間が長くなり、シャッター3が開くときに車両4が光9にかからないようにすることができる。ゆえに、カメラ画像内の車両4の位置での白飛びの発生を抑えることが可能となる。尚、当該到達見込み時間が閾値未満の場合、情報処理装置10は、到達見込み時間に応じて設定された車両4の減速量に基づいて車両4を減速させる指令を生成してもよい。
【0030】
2-3.明るさ補正処理の例
明るさ補正処理は、カメラ5のパラメータ調整とカメラ画像の補正のうち、少なくとも1つを含んでいる。カメラ5のパラメータ調整は、カメラ5の設定情報に基づいて行われる。カメラ5の設定情報は、カメラ5のシャッタースピードの情報を含んでいる。つまり、カメラ5のパラメータ調整とは、カメラ5のシャッタースピードを調整することを意味する。例えば、カメラ画像の白飛びが発生しうる状況にある場合、カメラ5のシャッタースピードを速くするようにカメラ5のシャッタースピードの設定値が調整される。これにより、カメラ5に取り込まれる光9の反射光の量を抑制することが可能となる。ゆえに、カメラ画像の白飛びが発生しうる状況が改善される。
【0031】
次にカメラ画像の補正について説明する。カメラ画像の補正は、カメラ画像から算出される明度に基づいて行われる。つまり、カメラ画像から算出される明度が基準値以上の場合、カメラ画像の白飛びが発生しうる状況にあることがいえる。従って、当該明度が基準値未満となるようにカメラ画像の明度を補正することにより、カメラ画像の白飛びが発生しうる状況が改善される。
【0032】
3.構成例
図4は、実施の形態に係る車両認識装置1における情報処理装置10の構成例を示すブロック図である。情報処理装置10は、プロセッサ20と、記憶装置30とを含んでいる。プロセッサ20は、カメラ画像に含まれる車両4の認識処理、閉鎖空間2における車両4の出入口に設けられたシャッター3の開閉処理等の各種処理を実行する。記憶装置30は、プロセッサ20による処理に必要な各種情報を格納する。
【0033】
記憶装置30に格納される各種情報には、カメラ画像の情報と、シャッター3の開閉情報と、内側照度の情報と、外側照度の情報と、カメラ5の設定情報とを含んでいる。シャッター3の開閉情報には、シャッター3の開閉ボタンの情報が含まれている。また、カメラ5の設定情報には、カメラ5のシャッタースピードの情報が含まれている。
【0034】
記憶装置30は、更に、車両認識プログラム(不図示)を含んでいる。車両認識プログラムは、プロセッサ20によって実行されるコンピュータプログラムである。プロセッサ20が車両認識プログラムを実行することにより、車両認識装置1の機能が実現される。
【0035】
尚、カメラ5、第1照度センサ6、第2照度センサ7を含む各種センサと情報処理装置10との間の接続はケーブルであってもよいし(第1接続)、各種センサに設けられた通信装置を介した通信であってもよい(第2接続)。各種センサと情報処理装置10との間の接続が第2接続の場合、情報処理装置10は、各センサと通信可能な通信装置を更に含んでいる。
【0036】
4.処理例
図5は、実施の形態に係る車両認識装置1における情報処理装置10の処理例を示すフローチャートである。
【0037】
ステップS100において、情報処理装置10は、各種情報を取得する。その後、処理はステップS110に進む。各種情報には、カメラ画像の情報、シャッター3の開閉情報、内側照度の情報、外側照度の情報、カメラ5の設定情報が含まれている。
【0038】
ステップS110において、情報処理装置10は、外側照度の情報と内側照度の情報とに基づいて、外側照度が内側照度よりも高いか否かを判定する。外側照度が内側照度よりも高いと判定された場合(ステップS110;Yes)、処理はステップS120に進む。それ以外の場合(ステップS110;No)、処理を終了する。
【0039】
ステップS120において、情報処理装置10は、白飛び対策処理を実行する。その後、処理はステップS130に進む。白飛び対策処理は、上述したように、初期設定距離を拡大する処理と、車両4に減速指令を送信する処理とのうち一方の処理とを含んでいる。
【0040】
ステップS130において、情報処理装置10は、シャッター3から車両4までの距離が初期設定距離以下か否かを判定する。シャッター3から車両4までの距離が初期設定距離以下と判定された場合(ステップS130;Yes)、処理はステップS140に進む。それ以外の場合(ステップS130;No)、処理はステップS130に戻る。尚、当ステップの判定に用いられる初期設定距離は、上述したステップS120において初期設定距離を拡大する処理が実行された場合、拡大された後の設定距離に基づくものとする。
【0041】
ステップS140において、情報処理装置10は、シャッター3に対して自動開放指令を送信する。その後、処理はステップS150に進む。
【0042】
ステップS150において、情報処理装置10は、シャッター3の開閉情報に基づいて、シャッター3が開かれているか否かを判定する。シャッター3が開かれていると判定された場合(ステップS150;Yes)、処理はステップS160に進む。それ以外の場合(ステップS150;No)、処理はステップS150に戻る。
【0043】
ステップS160において、情報処理装置10は、カメラ画像の明るさ補正処理を実行する。明るさ補正処理は、上述したように、カメラ5のシャッタースピードを調整する処理及びカメラ画像から算出される明度を補正する処理のうちの少なくとも一方の処理を含んでいる。
【0044】
5.効果
このように、実施の形態に係る車両認識装置1では、外側照度が内側照度よりも高い場合、つまり、カメラ画像の白飛びが発生しうる状況にある場合、カメラ画像内の車両4の位置に白飛びがかからないようにする白飛び対策処理が実行される。白飛び対策処理では、シャッター3に対して自動開放指令を行う条件に用いられる初期設定距離を拡大する処理と、車両4に対して減速指令を送信する処理とのうち一方の処理が実行される。これにより、車両4が含まれるカメラ画像に基づいた車両4の認識の精度が、シャッター3が開くときに低下するのを抑えることができる。
【符号の説明】
【0045】
1…車両認識装置, 2…閉鎖空間, 3…シャッター, 4…車両, 5…カメラ, 6…第1照度センサ, 7…第2照度センサ, 8…撮影空間, 9…光, 10…情報処理装置, 20…プロセッサ, 30…記憶装置