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特開2025-8211RFIC素子付き包装容器用積層体及びRFIC素子付き包装容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008211
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】RFIC素子付き包装容器用積層体及びRFIC素子付き包装容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20250109BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20250109BHJP
   B65D 5/44 20060101ALI20250109BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20250109BHJP
   B32B 7/025 20190101ALI20250109BHJP
   B32B 1/00 20240101ALN20250109BHJP
【FI】
B65D65/40 D
G06K19/077 220
G06K19/077 144
B65D5/44 M
B65D25/20 P
B65D5/44 B
B32B7/025
B32B1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110173
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】近 禅
(72)【発明者】
【氏名】國弘 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】篠原 貴之
【テーマコード(参考)】
3E060
3E062
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA05
3E060EA14
3E060EA20
3E062AA02
3E062AC02
3E062AC05
3E062BA07
3E062BB06
3E062BB09
3E086AD02
3E086AD04
3E086BA13
3E086BA14
3E086BA15
3E086BA35
3E086BA50
3E086BB35
3E086BB61
3E086BB62
3E086BB90
3E086CA40
4F100AB10B
4F100AB10C
4F100AB17B
4F100AB17C
4F100AB24B
4F100AB24C
4F100AB25B
4F100AB25C
4F100AK01A
4F100AK25D
4F100AT00A
4F100BA05
4F100CA21B
4F100CA21C
4F100DA01A
4F100DD07D
4F100DG10A
4F100EH66B
4F100EH66C
4F100GB16
4F100HB31B
4F100HB31C
4F100HB31D
4F100JD08
4F100JG01B
4F100JG01C
4F100JK15D
(57)【要約】
【課題】基材の第2面に設けられる導電体層の抵抗値上昇による感度低下を抑制したRFIC素子付き包装容器用積層体を提供する。
【解決手段】RFIC素子付き包装容器用積層体10は、組み立てにより外側に向く第1面100a及び組み立てにより内側に向く第2面100bを有し、組み立てにより箱形状の包装容器となる基材100と、基材100の第2面100bの側に設けられた第1導電体層120及び第2導電体層130を有する導電体層と、基材100の第2面100bの少なくとも前記導電体層が設けられる領域と前記導電体層との間に設けられる平滑化層170と、基材100の第2面100bの側に設けられるRFIC素子140と、を備え、RFIC素子140は、第1導電体層120層及び第2導電体層130と直接又は容量的に結合するように設けられる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み立てにより外側に向く第1面及び組み立てにより内側に向く第2面を有し、組み立てにより箱形状の包装容器となる基材と、
前記基材の前記第2面の側に設けられた第1導電体層及び第2導電体層を有する導電体層と、
前記基材の前記第2面の少なくとも前記導電体層が設けられる領域と前記導電体層との間に設けられる平滑化層と、
前記基材の前記第2面の側に設けられるRFIC素子と、
を備え、
前記RFIC素子は、前記第1導電体層及び前記第2導電体層と直接又は容量的に結合するように設けられる、RFIC素子付き包装容器用積層体。
【請求項2】
前記平滑化層の面粗さSaは、0.5μm以上2μm以下である、請求項1に記載のRFIC素子付き包装容器用積層体。
【請求項3】
前記導電体層の表面側に保護層を有する、請求項1又は2に記載のRFIC素子付き包装容器用積層体。
【請求項4】
前記保護層は、前記RFIC素子が設けられる領域には形成されていない、請求項3に記載のRFIC素子付き包装容器用積層体。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれかに記載のRFIC素子付き包装容器用積層体を箱形に組み立てた、RFIC素子付き包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、RFIC素子付き包装容器用積層体及びRFIC素子付き包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電波等を用いた非接触の近距離通信として、RFID(radio frequency identifier)技術(無線自動認識技術)を利用したICタグが用いられている。ICタグは、例えば、種々の物品や物品の包装容器にICタグが貼り付けされた状態で、当該物品や輸送や販売等の流通に供される。この場合、必要に応じて当該物品をリーダライタにかざすことにより、ICタグのRFIC素子に記録された物品情報を非接触通信により読み出すことや、当該RFIC素子に種々の情報を書き込むことができる。これにより、効率的な物流管理が可能となる。
【0003】
従来、包装容器においてRFID技術を利用する場合、先に述べたように包装容器にICタグを貼り付けていた。このRFID技術に関連して、RFIC素子及び導電体層(アンテナパターン)をパッケージ用板紙に直接設ける形態が特許文献1に提案されている。特許文献1は、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷等により、基材となる二枚のシート間にRFIC素子と共に導電体層を連続的に形成する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2018/216686号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ICタグが貼り付けられた包装容器において、RFIC素子と導電体層を包装容器の第2面(裏面)に配置することも提案されている。その場合、包装容器を構成する基材によっては、導電体層の抵抗値が上昇し、感度が低下することがある。
本開示においては、基材の第2面に設けられる導電体層の抵抗値上昇による感度低下を抑制したRFIC素子付き包装容器用積層体及びRFIC素子付き包装容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本開示の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0007】
第1の開示は、組み立てにより外側に向く第1面(100a)及び組み立てにより内側に向く第2面(100b)を有し、組み立てにより箱形状の包装容器となる基材(100)と、前記基材の前記第2面の側に設けられた第1導電体層(120)及び第2導電体層(130)を有する導電体層と、前記基材の前記第2面の少なくとも前記導電体層が設けられる領域と前記導電体層との間に設けられる平滑化層(170)と、前記基材の前記第2面の側に設けられるRFIC素子(140)と、を備え、前記RFIC素子は、前記第1導電体層及び前記第2導電体層と直接又は容量的に結合するように設けられるRFIC素子付き包装容器用積層体(10)である。
【0008】
第2の開示は、前記平滑化層(170)の面粗さSaが0.5μm以上2μm以下である、第1の開示に記載のRFIC素子付き包装容器用積層体(10)である。
【0009】
第3の開示は、前記導電体層の表面側に保護層(180)を有する、第1又は第2の開示に記載のRFIC素子付き包装容器用積層体(10)である。
【0010】
第4の開示は、前記保護層(180)が前記RFIC素子(140)の設けられる領域には形成されていない、第3の開示に記載のRFIC素子付き包装容器用積層体(10)である。
【0011】
第5の開示は、第1の開示から第4の開示までのいずれかに記載のRFIC素子付き包装容器用積層体(10)を箱形に組み立てた、RFIC素子付き包装容器(1)である。
【発明の効果】
【0012】
本開示のRFIC素子付き包装容器用積層体及びRFIC素子付き包装容器によれば、基材の第2面に設けられる導電体層の抵抗値上昇による感度低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態のRFIC素子付き包装容器1を示す斜視図である。
図2】第1実施形態のボトルを収納したRFIC素子付き包装容器1Aを示す斜視図である。
図3A】第1実施形態のRFIC素子付き包装容器用積層体10の展開図である。
図3B】第1実施形態のRFIC素子付き包装容器用積層体10の他の構成を示す展開図である。
図4】水溶液が充填された樹脂製のボトルと第1導電体層120の長さとの関係を説明する図である。
図5】金属製のボトルと第1導電体層120の長さとの関係を説明する図である。
図6】RFIC素子付き包装容器用積層体10及びICタグ150の層構成を示す部分断面図である。
図7】RFIC素子付き包装容器用積層体10及びICタグ150の他の層構成を示す部分断面図である。
図8】面粗さと面抵抗値との関係を表す第1のグラフである。
図9】面粗さと面抵抗値との関係を表す第2のグラフである。
図10】第2実施形態のRFIC素子付き包装容器2を示す斜視図である。
図11】第2実施形態のボトルを収納したRFIC素子付き包装容器2Aを示す斜視図である。
図12】第2実施形態のRFIC素子付き包装容器用積層体20の展開図である。
図13】第3実施形態のRFIC素子付き包装容器3を示す斜視図である。
図14】第3実施形態のボトルを収納したRFIC素子付き包装容器3Aを示す斜視図である。
図15】第3実施形態のRFIC素子付き包装容器用積層体30の展開図である。
図16】ICタグ150の他の構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態について説明する。本明細書に添付した各図面は、いずれも模式図であり、理解しやすさを考慮して、各部の形状、縮尺、縦横の寸法比等を、実物から適宜に変更又は誇張している。本明細書中に記載する数値、形状、材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜に選択して使用してよい。また、各図面においては、部材の形状、輪郭を実線又は破線で表し、厚み部分の図示を適宜に省略している。
【0015】
各実施形態では、図面にXYZの直交座標系を記載した。この座標系は、箱形状に組み立てられた包装容器1を図1に示す位置で視たときに、左右(幅/横)方向をX方向、前後方向をY方向、上下(縦/高さ)方向をZ方向とする。左右方向(X方向)においては、図中の右方向をX1方向とし、左方向をX2方向とする。前後方向(Y方向)においては、図中の前方向をY1方向とし、後方向をY2方向とする。上下方向(Z方向)においては、図中の上方向をZ1方向とし、下方向をZ2方向とする。なお、本明細書においては、「~方向」を適宜に「~側」ともいう。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のRFIC素子付き包装容器1を示す斜視図である。図2は、第1実施形態のボトルを収納したRFIC素子付き包装容器1Aを示す斜視図である。図3Aは、第1実施形態のRFIC素子付き包装容器用積層体10の展開図である。図3Bは、第1実施形態のRFIC素子付き包装容器用積層体10の他の構成を示す展開図である。
図1では、内側に折り込まれたフラップ等の図示を省略する。図2では、内部に収納されるボトルを想像線(二点鎖線)で示している。図3A及び図3Bは、展開したRFIC素子付き包装容器用積層体(以下、「包装容器用積層体」ともいう)10を、包装容器1の内側となる第2面100bの側から視た状態を示している。
【0017】
図1に示すRFIC素子付き包装容器1(以下、「包装容器1」ともいう)は、例えば、店頭等に陳列にされた状態で販売される商品の外箱として用いられる。包装容器1は、RFIC素子140(後述)が実装されることにより、RFIDデバイスとしての機能を備える。包装容器1は、図2に示すように、内容物としてのボトル60が収納されることにより、ボトルを収納したRFIC素子付きの包装容器1Aとなる。なお、本明細書等において、「ボトル」とは、樹脂、金属、ガラス等により構成された蓋付き容器であって、液体、半固形物等を収納した容器全般を指すものとする。
【0018】
図1に示すように、包装容器1は、包装容器用積層体10により構成される。包装容器用積層体10は、基材100、第1導電体層120、第2導電体層130、RFIC素子140を備える。このうち、第1導電体層120、第2導電体層130及びRFIC素子140は、ICタグ(RFIDタグ)150を構成する。
【0019】
基材100は、組み立てにより外側に向く第1面100a及び組み立てにより内側に向く第2面100bを有するシート状の部材である(図3A参照)。基材100の第1面100aは表面であり、第2面100bは裏面である。基材100としては、例えば、コートボール紙、カード紙等の厚紙を用いることができる。基材100として使用可能な紙材料は、上記に限らず、商品等の内容物を収納しても形状を維持できる材料であれば、どのような紙材料を選択してもよい。また、基材100は、紙材料に限らず、樹脂製のシート状の材料等を用いてもよい。基材の層厚は、例えば、0.1mm以上1.0mm以下、又は、基材100の坪量(単位面積当たりの重量)は、100g/m以上700g/m以下であることが、カートン形状を保持する上で望ましい。
【0020】
図3Aに示すように、基材100は、正面部101、背面部102、上蓋部103、下蓋部104、右側面部105、左側面部106、糊代部107等を備える。このうち、正面部101、背面部102、右側面部105及び左側面部106は、基材100において側面部を構成する。図3Aに示す包装容器用積層体10を後述する手順で組み立てることにより、図1に示すように、縦長で略直方体形状(箱形状)の包装容器1を組み立てることができる。組み立てられた包装容器1の内部は、内容物としてのボトルを収納可能な空間となる。この空間にボトルを収納して上蓋部103を閉じることにより、図2に示すように、ボトルを収納したRFIC素子付き包装容器1Aが得られる。
【0021】
正面部101は、包装容器1の前側Y1に位置する部分である。正面部101の右側X1には、折線a1の位置で谷折りされる糊代部107が連接されている。すなわち、糊代部107は、側面部の左右方向Xの一端縁(本例では右方向X1の端)に設けられている。糊代部107は、側面部の他端縁(本例では左方向X2の端)となる左側面部106と重ね合わされることにより、側面部の左右(幅)方向Xの一端縁と他端縁とを接合する。包装容器用積層体10において、左右方向Xに設けられた各折線を谷折りすると共に、糊代部107を左側面部106(後述)の糊付け予定領域106aに糊付けることにより、包装容器用積層体10は、上下方向が開口した略直方体形状となる。
【0022】
なお、本明細書における「谷折り」とは、図3Aに示すように、基材100を第2面100bから視た状態における折り曲げ方向である。糊代部107が折線a1の位置で谷折りされるとは、糊代部107が折線a1の位置で図中の奥側から手前側に向けて折り曲げられることをいう。また、本明細書における「連接」とは、図3Aに示すように、各部が継ぎ目なく繋がって接続されていることを意味する。
【0023】
正面部101の左側X2には、谷折りされる折線a3を介して右側面部105が連接されている。右側面部105は、包装容器1の右側X1に位置する部分である。
右側面部105の上側Z1には、折線a4の位置で谷折りされる上フラップ109が連接されている。上フラップ109は、上蓋部103が閉じられる際に上面部103a(後述)と共に閉じられ、上蓋部103の内側に折り込まれる部分である。右側面部105の下側Z2には、谷折りされる折線a2の位置で谷折りされる下フラップ108が連接されている。下フラップ108は、下蓋部104が閉じられる際に下面部104a(後述)と共に閉じられ、下蓋部104の内側に折り込まれる部分である。
【0024】
右側面部105の左側X2には、谷折りされる折線a7を介して背面部102が連接されている。背面部102は、包装容器1の後側Y2に位置する部分である。背面部102には、第2導電体層130(後述)の一部が設けられる。背面部102の上側Z1には、折線a8の位置で谷折りされる上蓋部103が連接されている。上蓋部103は、包装容器1の上側Z1の開口部を開閉可能に塞ぐ部分である。上蓋部103は、上面部103a及び上差込片103bを備える。上面部103aは、谷折りされる折線a8を介して背面部102と連接されている。上差込片103bは、谷折りされる折線a9を介して上面部103aと連接されている。上差込片103bが包装容器1の内側へ差し込まれることにより、上面部103aにより包装容器1の上側Z1の開口部が閉じられる。
【0025】
背面部102の下側Z2には、折線a5の位置で谷折りされる下蓋部104が連接されている。下蓋部104は、包装容器1の下側Z2の開口部を塞ぐ部分である。下蓋部104は、下面部104a及び下差込片104bを備える。下面部104aは、谷折りされる折線a5を介して背面部102と連接されている。下差込片104bは、谷折りされる折線a6を介して下面部104aと連接されている。下差込片104bが包装容器1の内側へ差し込まれることにより、下面部104aにより包装容器1の下側の開口部が閉じられる。
【0026】
背面部102の左側X2には、折線a11の位置で谷折りされる左側面部106が連接されている。左側面部106は、包装容器1の左側X2に位置する部分である。左側面部106には、第1導電体層120、第2導電体層130の他の部分及びRFIC素子140が設けられる。また、左側面部106の糊付け予定領域106aには、糊代部107が糊付けされる。
左側面部106の上側Z1には、折線a12の位置で谷折りされる上フラップ110が連接されている。上フラップ110は、上蓋部103が閉じられる際に上面部103aと共に閉じられ、上蓋部103の内側に折り込まれる部分である。
左側面部106の下側Z2には、折線a10の位置で谷折りされる下フラップ111が連接されている。下フラップ111は、下蓋部104が閉じられる際に下面部104aと共に閉じられ、下蓋部104の内側に折り込まれる部分である。
【0027】
次に、包装容器用積層体10を組み立てる手順について簡単に説明する。まず、包装容器用積層体10(基材100)の折線a1、a3、a7、a11をそれぞれ谷折りして、糊代部107の第1面100aの側を左側面部106の糊付け予定領域106a(第2面100b)に糊付けする。これにより、包装容器用積層体10は、上下方向が開口した略直方体形状(箱形状)となる。続いて、下フラップ108と下フラップ111を下蓋部104と共に内側に折り込んで、包装容器1の下側Z2の開口部を閉じる。この状態で、上側Z1の開口部からボトル60を収納する。続いて、上フラップ109と上フラップ110を上蓋部103と共に内側に折り込んで、包装容器1の上側Z1の開口部を閉じる。これにより、ボトルを収納したRFIC素子付き包装容器1Aを得ることができる。
【0028】
次に、包装容器用積層体10に設けられる第1導電体層120、第2導電体層130及びRFIC素子140について説明する。
包装容器用積層体10は、リーダライタ(不図示)との間で非接触通信を行うための導電体層(アンテナパターン)として、第1導電体層120及び第2導電体層130(以下、総称して「導電体層」ともいう)を備える。図3Aに示すように、第1導電体層120及び第2導電体層130は、基材100の第2面100b(裏面)において、互いに電気的に分離して設けられている。第1導電体層120及び第2導電体層130は、帯状に形成されている。なお、「帯状」とは、一定の幅がある細長い直線形状をいう。
【0029】
第1導電体層120は、基材100の左側面部106において、糊付け予定領域106aに沿って設けられている。第1導電体層120は、上下方向Zに沿って延在しており、折線a11(屈曲部)に接しておらず、横断もしていない。糊付け予定領域106aは、糊代部107が重ね合わされる領域である。すなわち、第1導電体層120は、左側面部(側面部)106において、糊代部107が重ね合わされる領域に配置されている。糊代部107を糊付け予定領域106aに糊付けすることにより、第1導電体層120は、糊代部107に覆われた状態となる。
【0030】
第2導電体層130は、左側面部106及び背面部102において、上蓋部103の近傍に配置されている。具体的には、第2導電体層130は、左側面部106及び背面部102の上側Z1の縁に沿って設けられており、左右方向Xに沿って延在している。第1導電体層120の延在する上下方向Zと第2導電体層130の延在する左右方向Xは、直交している。なお、第1導電体層120の延在する方向と第2導電体層130の延在する方向は、互いに交差していればよく、必ずしも直交していなくてもよい。
【0031】
第2導電体層130は、図4(後述)に示すように、ボトル60に充填された水溶液の液面よりも上側Z1に配置されている。第2導電体層130の左側X2は、第1導電体層120の上側Z1と隣接するように形成されている。すなわち、第2導電体層130の一部は、糊付け予定領域106a(糊代部107が重ね合わされる領域)に配置されている。一方、第2導電体層130の右側X1の端部は、折線a11を横断して背面部102に形成されている。糊代部107を糊付け予定領域106aに糊付けすることにより、第2導電体層130の一部は、糊代部107に覆われた状態となる。
【0032】
第2導電体層130の延在する方向の長さL2の下限は、30mmが好ましく、40mmがより好ましい。第2導電体層130の長さL2の上限は、170mmが好ましく、150mmがより好ましい。
図3Aに示す導電体層において、第1導電体層120の延在する方向の長さL1と、第2導電体層130の延在する方向の長さL2との合計長さ(以下、「導電体層の長さL0」ともいう)の下限は、100mmが好ましく、120mmがより好ましい。導電体層の長さL0の上限は、200mmが好ましく、180mmがより好ましい。導電体層の長さL0をこの範囲とすることにより、リーダライタ(不図示)との間の非接触通信を良好に行うことができる。
【0033】
第2導電体層130は、導電体層の長さL0が上述した上限及び下限の範囲内であれば、図3Aに示すように、屈曲部(本例では折線a11)を横断する構成としてもよいし、図3Bに示すように、屈曲部を横断しない構成としてもよい。図3Bに示すように、第1導電体層120及び第2導電体層130が共に屈曲部(折線)を横断しない構成とすることにより、包装容器の組み立て時に、各導電体層が屈曲部で折れ曲がるのを避けることができ、各導電体層の抵抗値が折り曲げにより上昇してしまうことを回避できる。
【0034】
また、屈曲部(折線)を横断しない第1導電体層120及び第2導電体層130の合計の長さの下限は、150mmが好ましい。屈曲部を横断しない第1導電体層120及び第2導電体層130の合計の長さの上限は、200mmが好ましい。
導電体層の幅Wは、例えば、10mm程度が好ましい。また、導電体層の層厚は、例えば、2μm程度が好ましい。
【0035】
ここで、第1導電体層120の長さと内容物との関係について説明する。図4は、水溶液が充填された樹脂製のボトルと第1導電体層120の長さとの関係を説明する図である。図5は、金属製のボトルと第1導電体層120の長さとの関係を説明する図である。
【0036】
図4に示すように、水溶液が充填された樹脂製のボトル60の場合、第1導電体層120は、水溶液の液面61から下側Z2に延在する長さL3が30mm以上であることが好ましい。第1導電体層120の長さを、水溶液の液面61から下側Z2に30mm以上延在させることにより、良好な通信性能を確保できる。
【0037】
図5に示すように、金属製のボトル70の場合、第1導電体層120は、ボトル70の吐出部71の上端(金属部分の上端)から下側Z2に延在する長さL4が30mm以上であることが好ましい。ボトル70を構成する金属は、ICタグ150から送信される電波を反射又は吸収するため、第1導電体層120において、吐出部71の上端から下側Z2に延在する長さL4を30mm以上とすることにより、良好な通信性能を確保できる。なお、図5においては、キャップ72が樹脂製である例を示したが、キャップ72を含めすべて金属製である場合、第1導電体層120において、キャップ72の上端から下側Z2に延在する長さL4を30mm以上が好ましい。
【0038】
第1導電体層120及び第2導電体層130は、例えば、導電性インキをグラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷等の手法で印刷することにより形成できる。導電性インキとしては、例えば、銅、銀、金等の金属粒子の分散物、或いは、それらの混合物等を用いることができる。なお、第1導電体層120及び第2導電体層130は、導電性インキに限らず、例えば、金、銀、アルミニウム、錫、銅、真鍮、鉄、これらの合金等の導電性を有する金属薄膜を、接着剤、金属蒸着等の手法を用いて形成してもよい。
【0039】
図2に戻り、RFIC素子140は、リーダライタ(不図示)との間で無線通信により情報の送受信を行うICチップである。RFIC素子140には、例えば、商品に関する情報が記憶されている。RFIC素子140は、UHF帯(例えば、920MHz)の周波数の電波を用いてリーダライタとの間で無線通信を行う。RFIC素子140は、左側面部106(側面部)の糊付け予定領域106a(糊代部107が重ね合わされる領域)において、第1導電体層120及び第2導電体層130と直接的又は容量的に結合するように設けられている。ここで、直接的に結合するとは、RFIC素子140の導電性を有する端子部(不図示)と、第1導電体層120又は第2導電体層130とが直接的に接触している状態を示す。また、容量的に結合するとは、RFIC素子140の導電性を有する端子部と第1導電体層120又は第2導電体層130とが、導電性を持たない誘電体薄膜(不図示)を介して結合している状態を示す。包装容器1の状態において、第1導電体層120及び第2導電体層130は、外部のリーダライタとの無線通信のためのアンテナとして機能する。
【0040】
ここで、RFIC素子付き包装容器用積層体10及びICタグ150の層構成について説明する。図6は、RFIC素子付き包装容器用積層体10及びICタグ150の層構成を示す部分断面図である。図7は、RFIC素子付き包装容器用積層体10及びICタグ150の他の層構成を示す部分断面図である。
【0041】
図6に示すように、包装容器用積層体10は、基本的な層構成として、基材100、意匠層160、平滑化層170及び保護層180を備える。
意匠層160は、包装容器用積層体10の第1面100a(表面)に形成される層である。意匠層160は、例えば、着色されたインキにより基材100の表面に直接、印刷することにより形成される。意匠層160は、例えば、包装容器1に収納される収納物の商品名、型番、商品の説明等がデザイン(意匠)と共に付された印刷層である。
【0042】
平滑化層170は、基材100の第2面100b(裏面)の平滑性を高めるために設けられる層である。後述するように、導電体層が形成される基材100の第2面100bの平滑性を高めることにより、アンテナパターンとなる導電体層の抵抗値を低減できる。平滑化層170は、基材100の第2面100bと導電体層との間に設けられる。平滑化層170は、基材100の第2面100bの全面に形成してもよいし、導電体層が設けられる領域にのみに形成してもよい。平滑化層170の層厚の下限は、1μmである。平滑化層170の層厚の上限は、500μmである。平滑化層170の構成については、後に詳細に説明する。
【0043】
保護層180は、第1導電体層120、第2導電体層130及び平滑化層170の表面に形成される層である。保護層180は、主に導電体層を保護するために設けられる。保護層180は、基材100の第2面100bの側の面の全体に形成してもよいし、導電体層が設けられる領域にのみに形成してもよい。保護層180の層厚の下限は、0.1μmである。保護層180の層厚の上限は、500μmである。保護層180は、例えば、アクリル樹脂溶液等をグラビア印刷することにより形成できる。保護層180を形成することにより、包装容器1の輸送中等において第2導電体層130と内容物が接触した場合にも、第2導電体層に損傷が発生したり、第2導電体層130が内容物に付着したりすることを抑制できる。
【0044】
図6に示すように、包装容器用積層体10は、ICタグ150が設けられる部分の層構成として、更に、第1導電体層120、第2導電体層130及びRFIC素子140を備える。第1導電体層120と第2導電体層130は、平滑化層170の上において、互いに電気的に分離された形態で設けられている。RFIC素子140は、第1導電体層120及び第2導電体層130と直接的又は容量的に結合するように設けられている。保護層180は、平滑化層170、第1導電体層120及び第2導電体層130を覆うように形成されているが、RFIC素子140が設けられる領域には形成されていない。
【0045】
なお、平滑化層170を備える包装容器用積層体10の層構成は、これに限定されない。例えば、図7に示す他の層構成のように、保護層180を、第1導電体層120及び第2導電体層130の全体を覆うように形成してもよい。図7に示す層構成において、RFIC素子140は、第1導電体層120及び第2導電体層130と容量的に結合するように設けられている。このように、RFIC素子140と導電体層とが容量的に結合できるのであれば、保護層180を、導電体層の全体を覆うように形成してもよい。このように、保護層180は、導電体層の表面側に形成されていればよく、図7に示すように、RFIC素子140が設けられる領域に形成されていてもよいし、図6に示すように、RFIC素子140が設けられる領域に形成されていなくてもよい。
【0046】
次に、平滑化層170の面粗さと面抵抗値との関係を示す実験結果について説明する。図8は、実施例における面粗さと面抵抗値との相関性を測定した第1のグラフである。図9は、実施例における面粗さと面抵抗値との相関性を測定した第2のグラフである。図9は、図8に示す面抵抗値の目盛り間隔を広くして、0~20(Ω/sq.)の範囲としたグラフである。すなわち、図9は、図8を部分的に拡大した図である。面粗さSa(μm)は、対象物の二次元な粗さである線粗さRaを三次元に拡張したパラメータであって、基準領域の面積Aにおいてドリフト補正した平均面からの高さの差の絶対値を平面内で積分し、面積Aで割って規格化したものである。面抵抗値(Ω/sq.)は、対象物の単位面積(1cm)当たりの表面抵抗率である。
【0047】
実施例の各試料を、以下の手順で作製した。まず、紙質の異なる8枚の台紙について、それぞれの第2面(裏面)に、溶剤で希釈した樹脂溶液を塗工することにより平滑化層を形成した。それぞれの台紙に有機溶剤にて適正な粘度に希釈した導電性インキを、クラボウ製卓上展色機GP-2を用いて、長さ100mm、幅5、6、7、8、9、10、12、15mmの短冊パターンが形成されるようグラビア印刷することにより、面抵抗を算出する基準となる試験片(試料)を作製した。なお、クラボウ製卓上展色機GP-2の代わりに、同社のGP-10を用いて同条件でグラビア印刷した場合でも、同じ特性の試験片を形成できる。
続いて、各試料の抵抗値(Ω)を、FLUKE社製ハンディ・テスタ233Siで測定し、それぞれの幅における抵抗値とパターン幅との関係を近似曲線にフィッティングした上で、試料毎に長さ100mm、幅10mmにおける抵抗値を算出し、幅と長さとの関係から面抵抗値(Ω/sq.)に換算した。
【0048】
各試料の平面化層の面粗さSa(μm)は、キーエンス社製レーザ顕微鏡VX-100シリーズを用いて測定した。ここでは、対物レンズとして20x倍のニコン社製OFN25WDBIを用い、1024×768、0.75μmピッチの視野で測定した。フィルタには、ガウシアンフィルタ、ローパスフィルタ(LPF,S-フィルタ)に2μm、ハイパスフィルタ(HPF,L-フィルタ)に0.8mmの設定を使ってノイズ処理を施した。用意した試料では、面粗さSaの最小値は0.7μm、最大値は5.9μmとなった。面粗さSa(μm)と面抵抗値(Ω/sq.)の換算結果の関係を図8及び図9に示す。
【0049】
図8に示すように、試料(平坦化層)の面粗さSaと面抵抗値との間には相関関係があり、面粗さSaが小さいほど面抵抗値も小さくなる。ICタグ150の通信性能を良好に維持するためには、導電体層の面抵抗値を3Ω/sq.以下とすることが望ましい。導電体層の面抵抗値が3Ω/sq.以下となる試料を詳細に検証したところ、図9に示すように、平滑化層の面粗さSaが2μm以下となる試料において、導電体層の面抵抗値が3Ω/sq.以下となることが確認された。以上の結果から、第2面(裏面)の粗度が大きな基材であっても、その第2面に面粗さSaが2μm以下の平滑化層を形成することにより、第2面に形成される導電体層の面抵抗値を3Ω/sq.以下に低減できることが明らかとなった。
【0050】
一方、図9に示すように、平滑化層の面粗さSaが小さくなる(平滑性が高くなる)と、それ以上に面粗さSaを小さくしても、導電体層の面抵抗値がほとんど変わらない飽和状態となる。図9に示す実験結果において、平滑化層の面粗さSaの下限と考えられる値は、0.5μmとなる。したがって、導電体層の面抵抗値を3Ω/sq.以下とするための平滑化層の面粗さSaは、下限0.5μm、上限2μmが望ましい範囲と考えられる。
【0051】
上述した第1実施形態の包装容器用積層体10、包装容器1及びボトルを収納したRFIC素子付き包装容器1Aによれば、例えば、以下のような効果を奏する。
包装容器用積層体10は、基材100の第2面100bの少なくとも導電体層が設けられる領域と導電体層との間に平滑化層170を有する。本構成によれば、基材100の第2面100bに形成される導電体層(アンテナパターン)の面抵抗値を低減できるため、感度の低下を抑制できる。一般に、基材100の材料としては、コストの関係で裏面(第2面)の粗度の大きな台紙が使われることが多い。このような台紙の第2面に導電体層を形成すると、導電体層の抵抗値が上昇し、感度の低下が避けられない。しかし、本実施形態の包装容器用積層体10においては、第2面100bの粗度が大きな基材100であっても、その第2面100bに平滑化層170を形成することにより、感度の低下を抑制できる。特に、平滑化層170の面粗さSaを0.5μm以上2μm以下とすることにより、感度の低下をより効果的に抑制できる。また、導電体層の表面に保護層180を形成することにより、ボトル等の内容物との接触による導電体層の破損を抑制できる。更に、図6に示すように、保護層180をRFIC素子140が設けられる領域に形成しない構成とすれば、図7に示すように、保護層180をRFIC素子140が設けられる領域に形成する構成と比べて、感度を向上させることができる。
【0052】
包装容器用積層体10において、第1導電体層120は、左側面部106(側面部)の糊付け予定領域106aに配置される。また、第2導電体層130は、左側面部106及び背面部102(側面部)において上蓋部103(蓋部)の近傍に配置され、その一部が左側面部106の糊付け予定領域106aに配置される。本構成によれば、第1導電体層120の長さを確保しつつ、第1導電体層120と第2導電体層130とを含めた導電体層全体が屈曲部(折線)を横断するまでの長さをより長くできるため、導電体層が屈曲部を横断することにより生じる抵抗値上昇の影響を抑制できる。また、第1導電体層120と第2導電体層130とが近接しつつ、異なる領域に配置されるため、導電体層(アンテナパターン)の指向性の偏りを改善できる。したがって、第1実施形態の包装容器用積層体10、包装容器1及びボトルを収納したRFIC素子付き包装容器1Aによれば、組み立て後の抵抗値上昇による感度低下を抑制しつつ、リーダライタによる読み取り範囲をより広くできる。
【0053】
その他、第1実施形態の包装容器用積層体10、包装容器1及びボトルを収納したRFIC素子付き包装容器1Aに共通の効果として、例えば、以下のような効果を奏する。
第1導電体層120が左側面部106の糊付け予定領域106aに配置されるため、組み立て後の包装用において、第1導電体層120を目立ちにくくすることができる。RFIC素子140は、糊付け予定領域106aにおいて、第1導電体層120及び第2導電体層130と直接的又は容量的に結合するように設けられるため、組み立て後の包装用において、RFIC素子140を目立ちにくくすることができると共に、RFIC素子140の脱落を抑制できる。
【0054】
第1導電体層120の延在する方向と第2導電体層130の延在する方向は、互いに交差している。本構成によれば、導電体層の指向性を全方位に近づけることができるため、リーダライタによる読み取り範囲をより一層広くできる。
第1導電体層120及び第2導電体層130が屈曲部を横断しない構成とすることにより、第1導電体層120及び第2導電体層130のいずれか一方又は両方が屈曲部を横断する構成とした場合に比べて、導電体層が屈曲部を横断することにより生じる抵抗値上昇の影響を抑制できる。なお、RFIC素子140の脱落防止を目的として、第1導電体層120及び第2導電体層130を、組み立てにより外側を向く第1面100a上の糊代部107に形成した場合、電極体層が屈曲部(折線)を横断するまでの長さを長くすることが困難なため、抵抗値上昇の影響を強く受けてしまう。しかし、第1導電体層120及び第2導電体層130が左側面部106の糊付け予定領域106aに配置されて、屈曲部を横断しない構成とすることにより、抵抗値上昇の影響が抑制されるため、通信性能の低下を回避できる。
【0055】
水溶液が充填された樹脂製のボトル60が収納された包装容器1Aにおいて、第1導電体層120を、水溶液の液面から下側Z2に30mm以上延在させることにより、水溶液により電波が反射又は吸収される影響を受けにくくできる。そのため、第1導電体層120の長さを、水溶液の液面から下側Z2に30mm以上延在させる構成とすることにより、良好な通信性能を確保できる。
【0056】
金属製のボトル70が収納された包装容器1Aにおいて、第1導電体層120を、ボトル70の金属部分の上端から下側Z2に30mm以上延在させることにより、金属により電波が反射又は吸収される影響を受けにくくできる。そのため、第1導電体層120の長さを、金属部分の上端から下側Z2に30mm以上延在させることにより、良好な通信性能を確保できる。なお、「液面」とは、包装容器を陳列した状態での液面を指すが、樹脂、金属、ガラス等により構成された蓋付き容器においては、通常、蓋部が天地方向の天側(上側)に向くように陳列することが多く行われている。
【0057】
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態のRFIC素子付き包装容器2を示す斜視図である。図11は、第2実施形態のボトルを収納したRFIC素子付き包装容器2Aを示す斜視図である。図12は、第2実施形態のRFIC素子付き包装容器用積層体20の展開図である。
第2実施形態のRFIC素子付き包装容器2(以下、「包装容器2」ともいう)は、各辺の長さが異なる他は、第1実施形態の包装容器1と同様に構成されている。そのため、以下の説明及び図面において、第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜に省略する。
【0058】
図10に示すように、第2実施形態の包装容器2は、高さの低い略直方体形状となる。この包装容器2に、図11に示すような形状のボトル80を収納して上蓋部103を閉じることにより、ボトルを収納したRFIC素子付き包装容器2Aが得られる。図12に示すように、第2実施形態において、第1導電体層120の延在する方向の長さL1は、第2導電体層130の延在する方向の長さL2より短い、そのため、第2導電体層130の右端部分は、折線a11を横断して、背面部102と右側面部105との間の折線a7の近くまで形成されている。第2実施形態においても、第1導電体層120の長さL1と第2導電体層130の長さL2との合計長さL0は、100mm以上200mm以下が好ましい。
【0059】
(第3実施形態)
図13は、第3実施形態のRFIC素子付き包装容器3を示す斜視図である。図14は、第3実施形態のボトルを収納したRFIC素子付き包装容器3Aを示す斜視図である。図15は、第3実施形態のRFIC素子付き包装容器用積層体30の展開図である。
第3実施形態のRFIC素子付き包装容器3(以下、「包装容器3」ともいう)は、第2導電体層130の形状が異なる他は、第1実施形態の包装容器1と同様に構成されている。そのため、以下の説明及び図面において、第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜に省略する。
【0060】
図13に示すように、第3実施形態の包装容器3は、第1実施形態と同じく縦長の略直方体形状(箱形状)である。この包装容器3に、図14に示すような縦長形状のボトル60を収納して上蓋部103を閉じることにより、ボトルを収納したRFIC素子付き包装容器3Aとなる。図15に示すように、第3実施形態の第2導電体層130は、左右方向Xに帯状に延在すると共に、左側X2の端部において下側Z2に突出して全体として略L字状に形成されている。第2導電体層130において、左側X2の端部から下側Z2に突出する部分は、第1導電体層120の上側Z1と隣接するように形成されている。第3実施形態において、第2導電体層130の全体の長さは、左右方向Xに帯状に延在する部分の長さと下側Z2に突出した部分の長さの合計となる。第3実施形態においても、導電体層の長さ(合計長さ)L0の下限は、100mm以上が好ましく、120mm以上がより好ましい。導電体層の長さL0の上限は、200mm以下が好ましく、180mm以下がより好ましい。第2導電体層130において、2以上の方向に延在する部分がある場合、少なくとも1つの延在する部分が、第1導電体層120の延在する方向に交差(直交)するのであれば、第1導電体層120の延在する方向と第2導電体層130の延在する方向とは、互いに交差する関係である。第3実施形態では、第2導電体層130の左右方向Xに延在する部分が、第1導電体層120の延在する方向(上下方向Z)に交差(直交)しているので、第1導電体層120の延在する方向と第2導電体層130の延在する方向とは、互いに交差する関係である。
【0061】
第2導電体層130は、左側X2の端部から下側Z2に突出する部分を含めて、ボトル60に充填された水溶液の液面よりも上側Z1に配置されている。第2導電体層130の一部は、糊付け予定領域106a(糊代部107が重ね合わされる領域)に配置されている。また、RFIC素子140は、左側面部106(側面部)の糊付け予定領域106a(糊代部107が重ね合わされる領域)において、第1導電体層120及び第2導電体層130と直接的又は容量的に結合するように設けられている。なお、第3実施形態における第2導電体層130の形状は、第2実施形態の第2導電体層130(図12参照)にも適用できる。
【0062】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本開示の技術的範囲内に含まれる。また、実施形態に記載した効果は、本開示から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述の実施形態及び後述する変形形態は、適宜に組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0063】
図16は、ICタグ150の他の構成例を説明する図である。RFIC素子140がインピーダンス整合回路を含む場合、第1導電体層120と第2導電体層130からなるアンテナパターンにおいて、リーダライタ(不図示)から送信される電波を効率良く受信できる。一方、RFIC素子140がインピーダンス整合回路を含まない場合、図16に示すように、第1導電体層120と第2導電体層130との間に第3導電体層155を設けることにより、リーダライタから送信される電波をより効率良く受信できるようになる。本形態における第2導電体層130の構成は、前述した第1~第3実施形態にも適用できる。
【0064】
各実施形態においては、包装容器を箱形状の略直方体形状とする例について説明したが、これに限定されない。包装容器の形状は、例えば、三角柱形状、五角柱形状等の他の多角形を底辺とする角柱形状(箱形状)の包装容器であってもよいし、円柱形状、楕円柱形状等の他の柱形状(箱形状)の包装容器であってもよい。また、包装容器の形状は、上記に限らず、四角推形状、円錐形状等のような箱形状であってもよく、底辺が略D字形、底辺がO字形の一部に角部を設けた形状等であってもよい。すなわち、包装容器の形状は、シート状の基材を組み立てて構成できる形状であれば、どのような形状であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1、2、3 RFIC素子付き包装容器
1A、2A、3A ボトルを収納したRFIC素子付き包装容器
10、20、30 RFIC素子付き包装容器用積層体
60、70、80 ボトル
100 基材
100a 第1面
100b 第2面
103 上蓋部
107 糊代部
120 第1導電体層
130 第2導電体層
140 RFIC素子
150 ICタグ
170 平滑化層
180 保護層
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16