(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025082226
(43)【公開日】2025-05-28
(54)【発明の名称】積層セラミックキャパシタ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20250521BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201D
H01G4/30 201G
H01G4/30 201C
H01G4/30 513
H01G4/30 516
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024051332
(22)【出願日】2024-03-27
(31)【優先権主張番号】10-2023-0158891
(32)【優先日】2023-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】金 聖洙
(72)【発明者】
【氏名】羅 在永
(72)【発明者】
【氏名】李 忠烈
(72)【発明者】
【氏名】姜 銓一
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AF06
5E001AJ01
5E001AJ03
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC31
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG26
5E082GG28
5E082JJ06
5E082JJ12
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】実施例の一側面は、放射クラック発生を防止することができる積層セラミックキャパシタを提供することを目的とする。
【解決手段】開示された積層セラミックキャパシタは、第1方向に積層された複数の誘電体層および複数の内部電極を含むセラミック本体、および前記セラミック本体の外部に配置される外部電極を含み、前記内部電極は、前記セラミック本体の表面から突出して相互拡散部に接する突出部を含み、前記相互拡散部は、前記内部電極の材料と前記外部電極の材料の合金(alloy)または金属間化合物(IMC)を含むことができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に積層された複数の誘電体層および複数の内部電極を含むセラミック本体、並びに
前記セラミック本体の外部に配置された外部電極、を含み、
前記内部電極は、前記セラミック本体の表面から突出し、相互拡散部に接する突出部を含み、
前記相互拡散部は、前記内部電極の材料と前記外部電極の材料との合金(alloy)または金属間化合物(IMC)を含む、積層セラミックキャパシタ。
【請求項2】
前記相互拡散部は前記突出部を囲む、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項3】
前記相互拡散部は、前記セラミック本体の表面上に配置される、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項4】
前記内部電極の材料は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、鉄(Fe)またはこれらの合金を含む、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項5】
前記外部電極の材料は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、白金(Pt)、インジウム(In)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、またはこれらの合金を含む、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項6】
前記相互拡散部の長さは、前記内部電極の前記突出部の長さより大きい、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項7】
前記相互拡散部の長さは、0.5μm以上2μm以下である、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項8】
前記外部電極を覆うメッキ層をさらに含む、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項9】
前記メッキ層は、
前記外部電極を覆う第1層、
前記第1層を覆う第2層、および
前記第2層を覆う第3層を含む、請求項8に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項10】
前記第1層はニッケル(Ni)を含み、
前記第2層は銅(Cu)を含み、
前記第3層はスズ(Sn)を含む、請求項9に記載の積層セラミックキャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層セラミックキャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック材料を使用する電子部品として、キャパシタ、インダクタ、圧電素子、バリスタまたはサーミスターなどがある。このようなセラミック電子部品のうち、積層セラミックキャパシタ(Multilayer Ceramic Capacitor、MLCC)は、小型でありながら高容量が保証され、実装が容易であるという長所によって様々な電子装置に使用することができる。
【0003】
例えば、積層セラミックキャパシタは、液晶表示装置(liquid crystal displayay、LCD)、プラズマ表示装置パネル(plasma display panel、PDP)、有機発光ダイオード(organic light emitting diode、OLED)などの映像機器、コンピュータ、個人携帯用端末器およびスマートフォンなどの様々な電子製品の基板に装着され、電気を充電させたり放電させる役割を果たすチップ状のコンデンサに使用することができる。
【0004】
積層セラミックキャパシタは、セラミック本体の内部に配置される内部電極と、セラミック本体の外部に配置され、内部電極に接続される外部電極を含むことができる。外部電極の材料と内部電極の材料が異なる場合、二つの材料が相互拡散することにより、放射クラック(radiating crack)が発生する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施例の一側面は、放射クラック発生を防止することができる積層セラミックキャパシタを提供することを目的とする。
【0006】
一実施例による積層セラミックキャパシタは、第1方向に積層された複数の誘電体層および複数の内部電極を含むセラミック本体、および前記セラミック本体の外部に配置される外部電極を含み、前記内部電極は、前記セラミック本体の表面から突出し、相互拡散部に接する突出部を含み、前記相互拡散部は、前記内部電極の材料と前記外部電極の材料の合金(alloy)、または金属間化合物(IMC)を含むことができる。
【0007】
また、前記相互拡散部は、前記突出部を囲むことができる。
【0008】
また、前記相互拡散部は、前記セラミック本体の表面上に配置することができる。
【0009】
また、前記内部電極の材料は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、鉄(Fe)またはこれらの合金を含むことができる。
【0010】
また、前記外部電極の材料は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、白金(Pt)、インジウム(In)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、またはこれらの合金を含むことができる。
【0011】
また、前記相互拡散部の長さは、前記内部電極の前記突出部の長さより大きいことができる。
【0012】
また、前記相互拡散部の長さは、0.5μm以上2μm以下であってもよい。
【0013】
また、積層セラミックキャパシタは、前記外部電極を覆うメッキ層をさらに含むことができる。
【0014】
また、前記メッキ層は、前記外部電極を覆う第1層、前記第1層を覆う第2層、および前記第2層を覆う第3層を含むことができる。
【0015】
また、前記第1層はニッケル(Ni)を含み、前記第2層は銅(Cu)を含み、前記第3層はスズ(Sn)を含むことができる。
【0016】
実施例による積層セラミックキャパシタによれば、セラミック本体の外部に突出した内部電極の突出部と外部電極との間に合金または金属間化合物が形成されるようにして、放射クラック発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施例による積層セラミックキャパシタを概略的に示した斜視図である。
【
図2】
図1のII-II’線に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照して、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例を詳細に説明する。図面で本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、明細書全体を通じて同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。また、添付図面において、一部の構成要素は誇張されたり、省略されたり、または概略的に示されており、各構成要素の大きさは実際の大きさを完全に反映するものではない。
【0019】
添付図面は、本明細書に開示された実施例を容易に理解できるようにするためのものであり、添付図面によって本明細書に開示された技術思想が限定されるものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物又は代替物を含むものと理解されるべきである。
【0020】
第1、第2などのように序数を含む用語は、様々な構成要素を説明するために使用することができるが、前記構成要素は、前記用語によって限定されない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0021】
また、層、膜、領域、プレートなどの部分が他の部分の「上に」または「の上に」ある場合、これは他の部分の「直上に」ある場合だけでなく、その間に別の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「直上に」あると言うときは、真ん中に他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分の「上に」または「の上に」あるというのは、基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向に向かって「上に」または「の上に」位置することを意味するものではない。
【0022】
明細書全体において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数値、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数値、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。したがって、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0023】
また、明細書全体において、「平面上」とは、対象部分を上から見たときのものを意味し、「断面上」とは、対象部分を垂直に切った断面を横から見たときのものを意味する。
【0024】
また、明細書全体において、「接続される」とするとき、これは、二つ以上の構成要素が直接的に接続されることだけを意味するのではなく、二つ以上の構成要素が他の構成要素を通じて間接的に接続されること、物理的に接続されるだけでなく、電気的に接続されること、または位置や機能に応じて異なる名称で言及されたが、一体であることを意味することができる。
図1は、一実施例による積層セラミックキャパシタを概略的に示した斜視図であり、
図2は、
図1のII-II’線に沿って切断した断面図である。
【0025】
図1および
図2を参照すると、本実施例による積層セラミックキャパシタ1000は、セラミック本体110、第1外部電極120、第2外部電極130、複数の第1内部電極150および複数の第2内部電極160を含む。
【0026】
まず、本実施例を明確に説明するために方向を定義すると、図面に表示されたL軸、W軸およびT軸は、それぞれ積層セラミックキャパシタ1000の長さ方向、幅方向および厚さ方向を示す軸を指す。
【0027】
厚さ方向(T軸方向)は、シート(sheet)形状を有する構成要素の広い面(主面)に垂直な方向であることができる。例えば、厚さ方向(T軸方向)は、誘電体層140が積層される方向と同一な概念で使用することができる。
【0028】
長さ方向(L軸方向)は、シート形状を有する構成要素の広い面(主面)に平行な方向として、厚さ方向(T軸方向)と交差(または直交)する方向であることができる。例えば、長さ方向(L軸方向)は、第1外部電極120と第2外部電極130が互いに対向する方向であることができる。
【0029】
幅方向(W軸方向)は、シート形状を有する構成要素の広い面(主面)に平行な方向として、厚さ方向(T軸方向)および長さ方向(L軸方向)と同時に交差(または直交)する方向であることができる。
【0030】
セラミック本体110は、約六面体形状で構成することができるが、本実施例がこれに限定されるものではない。焼成(sintering)時の収縮により、セラミック本体110は、完全な六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。例えば、セラミック本体110は、約直六面体形状であるが、角部や頂点に該当する部分が丸い形状を有することができる。
【0031】
本実施例では、説明の便宜上、長さ方向(L軸方向)に互いに対面する面を第1面(S1)および第2面(S2)と定義し、幅方向(W軸方向)に互いに対面し、第1面(S1)と第2面(S2)を接続する面を第3面(S3)および第4面(S4)と定義し、厚さ方向(T軸方向)に互いに対面し、第1面(S1)と第2面(S2)を接続する面を第5面(S5)と第6面(S6)と定義することにする。
【0032】
従って、第1面(S1)と第2面(S2)が対面する方向である第1方向は、長さ方向(L軸方向)とすることができ、第1方向に垂直に互いに垂直な第2方向および第3方向は、それぞれ厚さ方向(T軸方向)および幅方向(W軸方向)または幅方向(W軸方向)および厚さ方向(T軸方向)とすることができる。
【0033】
セラミック本体110の長さは、セラミック本体110の幅方向(W軸方向)中央部における長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準に、前述した断面写真に示されたセラミック本体110の長さ方向(L軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ接続し、長さ方向(L軸方向)と平行な複数の線分の長さのうち最大値を意味することができる。一方、セラミック本体110の長さは、前述した断面写真に示されたセラミック本体110の長さ方向(L軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ接続し、長さ方向(L軸方向)と平行な複数の線分の長さのうち最小値を意味することができる。他の一方、セラミック本体110の長さは、前述した断面写真に示されたセラミック本体110の長さ方向(L軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ接続し、長さ方向(L軸方向)と平行な複数の線分のうち少なくとも2つの線分の長さの算術平均値を意味することができる。
【0034】
セラミック本体110の厚さは、セラミック本体110の幅方向(W軸方向)中央部における長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準に、前述した断面写真に示されたセラミック本体110の厚さ方向(T軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ接続し、厚さ方向(T軸方向)と平行な複数の線分の長さのうち最大値を意味することができる。一方、セラミック本体110の厚さは、前述した断面写真に示されたセラミック本体110の厚さ方向(T軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ接続し、厚さ方向(T軸方向)と平行な複数の線分の長さのうち最小値を意味することができる。他の一方、セラミック本体110の厚さは、前述した断面写真に示されたセラミック本体110の厚さ方向(T軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ接続し、厚さ方向(T軸方向)と平行な複数の線分のうち少なくとも2つの線分の長さの算術平均値を意味することができる。
【0035】
セラミック本体110の幅は、セラミック本体110の厚さ方向(T軸方向)中央部における長さ方向(L軸方向)-幅方向(W軸方向)の断面(cross section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準に、前述した断面写真に示されたセラミック本体110の幅方向(W軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ接続し、幅方向(W軸方向)と平行な複数の線分の長さのうち最大値を意味することができる。一方、セラミック本体110の幅は、前述した断面写真に示されたセラミック本体110の幅方向(W軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ接続し、幅方向(W軸方向)と平行な複数の線分の長さのうち最小値を意味することができる。他の一方、セラミック本体110の幅は、前述した断面写真に示されたセラミック本体110の幅方向(W軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ接続し、幅方向(W軸方向)と平行な複数の線分のうち少なくとも2つの線分の長さの算術平均値を意味することができる。
【0036】
セラミック本体110は、厚さ方向(T軸方向)に積層された複数の誘電体層140を含むことができる。誘電体層140間の境界は不明確な場合がある。例えば、誘電体層140間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を利用しなければ確認が難しいほどであり、複数の誘電体層140は一体型構造体に見えることもある。
【0037】
第1内部電極150と第2内部電極160は、誘電体層140を間において交互に積層することができる。このような積層構造は、セラミック本体110内で繰り返すことができ、セラミック本体110の第5面(S5)に最も近い内部電極は、第1内部電極150であってもよく、第2内部電極160であってもよい。同様に、セラミック本体110の第6面(S6)に最も近い内部電極は、第1内部電極150であってもよく、第2内部電極160であってもよい。
【0038】
第1内部電極150と第2内部電極160は、互いに異なる極性を有するが、その間に配置された誘電体層140によって互いに電気的に絶縁することができる。
【0039】
第1内部電極150および第2内部電極160は、誘電体層140を間において互いに長さ方向(L軸方向)にずれるように配置することができる。第1内部電極150の一側端部は、セラミック本体110の第1面(S1)を通して露出することができ、第2内部電極160の一側端部は、セラミック本体110の第2面(S2)を通して露出することができる。即ち、第1内部電極150は、セラミック本体110の第1面(S1)から突出する第1突出部151を含むことができ、第2内部電極160は、セラミック本体110の第2面(S2)から突出する第2突出部161を含むことができる。第1内部電極150の第1突出部151は、第1外部電極120に接続され、第2内部電極160の第2突出部161は、第2外部電極130に接続することができる。これについては後述する。
【0040】
例えば、第1内部電極150および第2内部電極160は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、鉄(Fe)またはこれらの合金を含むことができる。
【0041】
第1内部電極150および第2内部電極160は、導電性金属を含む導電性ペーストを誘電体層140の表面に印刷して形成することができる。例えば、ニッケル(Ni)またはニッケル(Ni)合金を含む導電性ペーストをスクリーン印刷法(screen printing)やグラビア印刷法(gravure printing)で誘電体層表面に印刷して、内部電極を形成することができる。但し、本実施例がこれに限定されるものではない。
【0042】
一例として、第1内部電極150および第2内部電極160の平均厚さは、約0.1μm以上2μm以下であることができる。
【0043】
ここで、内部電極の厚さは、二つの誘電体層の間に配置される一つの内部電極の平均厚さを意味することができる。内部電極の平均厚さは、セラミック本体110の幅方向(W軸方向)中央部における長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross section)に対する1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準に、前述した断面写真に示された一つの内部電極の厚さを、長さ方向(L軸方向)に等間隔を有する30個所で測定した値の算術平均値であることができる。前述した30個所は、後述するアクティブ(active)領域で指定することができる。このような方式で、10個の内部電極で平均厚さをそれぞれ測定した後、測定値の算術平均値を導出すれば、内部電極の平均厚さをより一般化することができる。
【0044】
前記のような構成により、第1外部電極120および第2外部電極130に電圧を印加すると、互いに対向する第1内部電極150および第2内部電極160の間に電荷が蓄積される。即ち、第1外部電極120に電気的に接続された第1内部電極150と、第2外部電極130に電気的に接続された第2内部電極160との間に静電容量を得ることができる。積層セラミックキャパシタ1000の静電容量は、厚さ方向(T軸方向)に沿って互いに重なる第1内部電極150と第2内部電極160の重なる面積に比例する。
【0045】
他の表現にすると、積層セラミックキャパシタ1000は、アクティブ(active)領域とマージン(margin)領域を含むことができる。アクティブ領域は、第1内部電極150と第2内部電極160が厚さ方向(T軸方向)に沿って重なる領域を指すことができ、マージン領域は、アクティブ領域とセラミック本体110の第1面(S1)との間の領域およびアクティブ領域とセラミック本体110の第2面(S2)との間の領域を指すことができる。一方、アクティブ領域とセラミック本体110の第3面(S3)との間の領域およびアクティブ領域とセラミック本体110の第4面(S4)との間の領域もマージン領域と指すことができる。
【0046】
アクティブ領域の厚さ方向(T軸方向)外側には第1カバー層143および第2カバー層145が配置されることができる。
【0047】
第1カバー層143は、セラミック本体110の第5面(S5)とそれに最も近い内部電極の間に配置される。第2カバー層145は、セラミック本体110の第6面(S6)とそれに最も近い内部電極の間に配置される。
【0048】
即ち、セラミック本体110内で最上部にある内部電極の上部に第1カバー層143が配置され、最下部にある内部電極の下部に第2カバー層145が配置されることができる。第1カバー層143および第2カバー層145は、誘電体層140と同じ組成を有することができる。最上側内部電極の外表面と最下側内部電極の外表面に誘電体層をそれぞれ1つ以上積層して、第1カバー層143および第2カバー層145を形成することができる。一方、第1カバー層143および第2カバー層145は、誘電体層140と異なる組成を有することができる。
【0049】
第1カバー層143および第2カバー層145は、物理的または化学的ストレスによる第1内部電極150および第2内部電極160の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0050】
誘電体層140は、高誘電率のセラミック材料を含むことができる。例えば、セラミック材料は、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、またはCaZrO3などの成分を含む誘電体セラミックを含むことができる。また、これら成分にマンガン(Mn)化合物、鉄(Fe)化合物、クロム(Cr)化合物、コバルト(Co)化合物、ニッケル(Ni)化合物などの補助成分をさらに含むことができる。例えば、誘電体層は、BaTiO3にカルシウム(Ca)、ジルコニウム(Zr)などが一部固溶された(Ba1-xCax)TiO3、Ba(Ti1-yCay)O3、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3またはBa(Ti1-yZry)O3などがあるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0051】
また誘電体層140には、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤および分散剤のうち一つ以上をさらに含むことができる。セラミック添加剤は、例えば、遷移金属酸化物または炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)またはアルミニウム(Al)などであることができる。
【0052】
一例に、誘電体層140の平均厚さは、0.1μm~10μmであることができるが、本実施例がこれに限定されるものではない。
【0053】
第1外部電極120および第2外部電極130は、セラミック本体110の外部に備えられる。
【0054】
例えば、第1外部電極120および第2外部電極130は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、白金(Pt)、インジウム(In)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、亜鉛(Zn)、またはこれらの合金を含むことができる。
【0055】
第1外部電極120は、セラミック本体110の第1面(S1)に配置され、第3面(S3)、第4面(S4)、第5面(S5)および第6面(S6)まで延びることができる。第2外部電極130は、セラミック本体110の第2面(S2)に配置され、第3面(S3)、第4面(S4)、第5面(S5)および第6面(S6)まで延びることができる。他の実施例で、第1外部電極120および第2外部電極130は、第5面(S5)および第6面(S6)のうち少なくとも一面の一部まで延びることができる。
【0056】
第1外部電極120は、第1接続部121、第1バンド部123と第1角部125を含む。
【0057】
第1接続部121は、セラミック本体110の第1面(S1)を覆い、複数の第1内部電極150の第1突出部151に接続されて電気的に接続する部分である。
【0058】
第1接続部121と第1突出部151との間には、第1相互拡散部171が配置されることができる。第1相互拡散部171は、第1外部電極120の材料と第1内部電極150の材料が相互拡散して形成された合金(alloy)または金属間化合物(IMC、intermetallic compound)を含むことができる。
【0059】
第1相互拡散部171の存在の有無とその成分は、エネルギー分散型スペクトル元素分析(EDS、energy dispersive spectroscopy)を行って確認することができる。例えば、製造された積層セラミックキャパシタをエポキシモールドに実装し、長さ方向(L軸方向)および厚さ方向(T軸方向)面を幅方向(W軸方向)に沿って約1/2程度の深さに研磨し、ダイヤモンドペースト(diamond paste)に仕上げて断面サンプルを準備する。準備された断面サンプルから、第1または第2外部電極とセラミック本体の界面からメッキ層方向に70μm程度に第1または第2外部電極が全て見える位置を、電界放出型(FE、Field Emission)-透過電子顕微鏡(TEM、Transmission Electron Microscope)で測定し、エネルギー分散型スペクトル元素分析(EDS、energy dispersive spectroscopy)を行い、第1相互拡散部171の存在有無とその成分を確認する。
【0060】
一例として、第1内部電極150の材料がニッケル(Ni)を含む場合、第1外部電極120の材料は、銀(Ag)、金(Au)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、銅(Cu)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、またはこれらの合金を含むことができる。
【0061】
他の例として、第1内部電極150の材料が銅(Cu)を含む場合、第1外部電極120の材料は、銀(Ag)、金(Au)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、インジウム(In)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、またはこれらの合金を含むことができる。
【0062】
また他の例として、第1内部電極150の材料がパラジウム(Pd)を含む場合、第1外部電極120の材料は、銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ロジウム(Rh)、スズ(Sn)、またはこれらの合金を含むことができる。
【0063】
また他の例として、第1内部電極150の材料が銀(Ag)を含む場合、第1外部電極120の材料は、金(Au)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、またはこれらの合金を含むことができる。
【0064】
第1相互拡散部171は、第1内部電極150の第1突出部151に接することができる。第1相互拡散部171は、第1内部電極150の第1突出部151を囲むことができる。第1相互拡散部171は、セラミック本体110の第1面(S1)上に配置されることができる。第1相互拡散部171は、セラミック本体110の第1面(S1)に接することができる。例えば、第1相互拡散部171は、第1内部電極150の第1突出部151に接し、これを囲みながらセラミック本体110の第1面(S1)に接することができる。
【0065】
第1相互拡散部171の断面形状は、円、三角形または四角形であってもよいが、本実施例がこれに限定されるものではない。第1相互拡散部171の断面形状は、セラミック本体110の幅方向(W軸方向)中央部における長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準に確認することができる。
【0066】
一方、第1相互拡散部171の長さは、第1突出部151の長さより大きい。第1相互拡散部171の長さは、0.5μm以上2μm以下であることができ、第1突出部151の長さは、第1相互拡散部171の長さより小さいことができる。
【0067】
第1相互拡散部171の長さが0.5μm未満であれば、第1突出部151はそれより短いので、第1内部電極150と第1外部電極120の電気的接続が不良であって、短絡(short)が発生する恐れがある。一方、第1相互拡散部171の長さが2μmを超えると、第1外部電極120の連続性が減少する可能性がある。
【0068】
第1相互拡散部171の長さと第1突出部151の長さは、セラミック本体110の幅方向(W軸方向)中央部における長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準に確認することができる。第1相互拡散部171の長さは、前述した断面写真に示されたセラミック本体110の厚さ方向(T軸方向)最上位にある3つの第1相互拡散部171の外面(outer surface)とセラミック本体110の第1面(S1)との間の距離、最下位にある3つの第1相互拡散部171の外面(outer surface)とセラミック本体110の第1面(S1)との間の距離、および中央にある3つの第1相互拡散部171の外面(outer surface)とセラミック本体110の第1面(S1)との間の距離の算術平均値であってもよい。また、第1突出部151の長さは、前述した断面写真に示されたセラミック本体110の厚さ方向(T軸方向)最上位にある3つの第1突出部151の長さ、最下位にある3つの第1突出部151の長さ、および中央にある3つの第1突出部151の長さの算術平均値であってもよい。
【0069】
他の実施例で、第1接続部121は、セラミック本体110の第1面(S1)の一部を覆うことができる。
【0070】
第1バンド部123は、第1接続部121から延び、セラミック本体110の第3面(S3)、第4面(S4)、第5面(S5)および第6面(S6)の少なくとも一部を覆う。第1バンド部123は、第1外部電極120がセラミック本体110にさらに強く固着させることができる。
【0071】
第1角部125は、第1接続部121と第1バンド部123を接続する部分であってもよい。
【0072】
第2外部電極130は、第2接続部131、第2バンド部133と第2角部135をそれぞれ含む。
【0073】
第2接続部131は、セラミック本体110の第2面(S2)を覆い、複数の第2内部電極160の第2突出部161に接続されて電気的に接続される部分である。
【0074】
第2接続部131と第2突出部161との間には、第2相互拡散部173が配置されることができる。第2相互拡散部173は、第2外部電極130の材料と第2内部電極160の材料が相互拡散して形成された合金(alloy)または金属間化合物(IMC、intermetallic compound)を含むことができる。
【0075】
第2相互拡散部173は、第2内部電極160の第2突出部161に接することができる。第2相互拡散部173は、第2内部電極160の第2突出部161を囲むことができる。第2相互拡散部173は、セラミック本体110の第2面(S2)上に配置されることができる。第2相互拡散部173は、セラミック本体110の第2面(S2)に接することができる。例えば、第2相互拡散部173は、第2内部電極160の第2突出部161に接し、これを囲みながら、セラミック本体110の第2面(S2)に接することができる。
【0076】
第2相互拡散部173の断面形状は、円、三角形または四角形であってもよいが、本実施例がこれに限定されるものではない。第2相互拡散部173の断面形状は、セラミック本体110の幅方向(W軸方向)中央部における長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準に確認することができる。
【0077】
一方、第2相互拡散部173の長さは、第2突出部161の長さより大きい。第2相互拡散部173の長さは、0.5μm以上2μm以下であることができ、第2突出部161の長さは、第2相互拡散部173の長さより小さいことができる。
【0078】
第2相互拡散部173の長さが0.5μm未満であれば、第2突出部161の長さはそれより短いので、第2内部電極160と第2外部電極130の電気的接続が不良で、短絡(short)が発生する恐れがある。一方、第2相互拡散部173の長さが2μmを超えると、第2外部電極130の連続性が減少する可能性がある。
【0079】
第2相互拡散部173の位置を除いた構造、組成など残りの構成は、第1相互拡散部171の構成と同一またはそれに対応するので、それに関する繰り返し説明は省略する。
【0080】
他の実施例で、第2接続部131は、セラミック本体110の第2面(S2)の一部を覆うことができる。
【0081】
第2バンド部133は、第2接続部131から延び、セラミック本体110の第3面(S3)、第4面(S4)、第5面(S5)および第6面(S6)の少なくとも一部を覆う。第2バンド部133は、第2外部電極130をセラミック本体110にさらに強く固着させることができる。
【0082】
第2角部135は、第2接続部131と第2バンド部133を接続する部分であってもよい。
【0083】
積層セラミックキャパシタ1000の幅方向(W軸方向)中央部における長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準に、前述した断面写真に示された積層セラミックキャパシタ1000において、第1接続部121および第2接続部131は、概ね厚さ方向(T軸方向)に平行な形状を有することができ、第1バンド部123および第2バンド部133は、概ね長さ方向(L軸方向)に平行な形状を有することができ、第1角部125および第2角部135は、曲線形状を有することができる。前述した曲線形状は、厚さ方向(T軸方向)に平行な方向から長さ方向(L軸方向)に平行な方向に(またはその反対方向に)傾斜が変化する接線(tangent)を有する曲線形状であってもよい。
【0084】
一方、第1外部電極120は、第1メッキ層180によって覆われることができ、第2外部電極130は、第2メッキ層190によって覆われることができる。
【0085】
第1メッキ層180と第2メッキ層190は、全て複数の層で構成することができる。例えば、第1メッキ層180は、第1外部電極120を覆う第1層181、第1層181を覆う第2層183および第2層183を覆う第3層185を含むことができる。第1層はニッケル(Ni)を含み、第2層は銅(Cu)を含み、第3層はスズ(Sn)を含むことができるが、本実施例がこれに限定されるものではない。
【0086】
また、第2メッキ層190は、第2外部電極130を覆う第1層191、第1層191を覆う第2層193および第2層193を覆う第3層195を含むことができる。第1層191は、ニッケル(Ni)を含み、第2層193は銅(Cu)を含み、第3層195はスズ(Sn)を含むことができるが、本実施例がこれに限定されるものではない。
【0087】
本実施例によれば、内部電極がセラミック本体の表面から突出するので、相互拡散層がセラミック本体の外側にのみ形成することができる。即ち、本実施例によれば、相互拡散層がセラミック本体の内側まで形成されにくい。
【0088】
本実施例とは異なり、内部電極に突出部がない場合、即ち、内部電極がセラミック表面から突出していない場合には、相互拡散層をセラミック本体の内側まで形成することができる。この場合、相互拡散層がセラミック本体の内側から膨張し、放射クラックを引き起こす恐れがある。
【0089】
また、本実施例によれば、相互拡散層が水分浸透を抑制し、積層セラミックキャパシタの劣化を防止することができる。
【0090】
また、本実施例によれば、内部電極が突出部を含むため、突出部がない場合に比べて内部電極と外部電極の接触面積がさらに広い。従って、本実施例によれば、内部電極と外部電極がさらによく接続することができる。
【0091】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、請求範囲と発明の説明および添付した図面の範囲内で様々に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0092】
1000 積層セラミックキャパシタ
110 セラミック本体
120 第1外部電極
121 第1接続部
123 第1バンド部
125 第1角部
130 第2外部電極
131 第2接続部
133 第2バンド部
135 第2角部
140 誘電体層
143 第1カバー層
145 第2カバー層
150 第1内部電極
151 第1突出部
160 第2内部電極
161 第2突出部
171 第1相互拡散部
173 第2相互拡散部
180 第1メッキ層
190 第2メッキ層
181、191 第1層
183、193 第2層
185、195 第3層