(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025082271
(43)【公開日】2025-05-28
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20250521BHJP
H01C 1/142 20060101ALI20250521BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20250521BHJP
【FI】
H01G4/30 201G
H01G4/30 516
H01C1/142
H01F27/29 123
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024181516
(22)【出願日】2024-10-17
(31)【優先権主張番号】10-2023-0158725
(32)【優先日】2023-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン、ウー セオク
(72)【発明者】
【氏名】リー、ダエ ヒー
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジャン ヨル
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョン リョン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E028
5E070
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AF06
5E001AH01
5E001AJ03
5E028BB08
5E028BB11
5E028CA02
5E070AA01
5E070EA01
5E070EB04
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC19
5E082BC38
5E082EE04
5E082EE24
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG12
5E082GG26
5E082GG28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】外部電極の熱処理温度を低下し、外部電極のガラス溶出現象を防止すると共に、めっき液の浸透を防止して耐湿信頼性を向上させる積層型電子部品を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層111及び内部電極を含む本体と、本体上に配置される外部電極と、を含み、前記外部電極は導電性金属、セラミック物質及びガラスを含み、前記ガラスは、ケイ素(Si)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)及びアルミニウム(Al)を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び内部電極を含む本体と、
前記本体上に配置される外部電極と、を含み、
前記外部電極は、導電性金属、セラミック物質及びガラスを含み、
前記ガラスは、ケイ素(Si)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)、及びアルミニウム(Al)を含む、積層型電子部品。
【請求項2】
前記ガラスは、ホウケイ酸ガラス(borosilicate glass)を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記ガラスは、銅(Cu)、ビスマス(Bi)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、リチウム(Li)、チタン(Ti)、カルシウム(Ca)、及び鉛(Pb)のうち少なくとも一つを含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記セラミック物質は、BaTiO3、K0.5Na0.5NbO3、Bi0.5Na0.5TiO3、及びPb(Zr、Ti)O3のうち少なくとも一つを含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記セラミック物質は、リチウム(Li)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)のうち少なくとも一つを含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記外部電極に含まれたセラミック物質の含量(wt%)をCE、前記外部電極に含まれたガラスの含量(wt%)をGLとするとき、前記外部電極はGL<CEを満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記CE及びGLは、0.1×CE≦GL≦0.2×CEを満たす、請求項6に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記導電性金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、錫(Sn)及びこれらの合金のうち少なくとも一つを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記ガラスはSiO2、B2O3、Na2O及びAl2Oを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記ガラスは、CuO、Bi2O3、ZnO、ZrO、Li2O、TiO2、CaCO3、NaHCO3、及びPbOのうち少なくとも一つを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
誘電体層及び内部電極を含む本体と、
前記本体上に配置される外部電極と、を含み、
前記外部電極は、導電性金属、セラミック物質及びガラスを含み、
前記セラミック物質は、BaTiO3、(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)、Ba(Ti1-yZry)O3(0<y<1)、K0.5Na0.5NbO3、Bi0.5Na0.5TiO3、及びPb(Zr、Ti)O3のうち少なくとも一つを含む、積層型電子部品。
【請求項12】
前記ガラスは、ホウケイ酸ガラス(borosilicate glass)を含む、請求項11に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記ガラスは、ケイ素(Si)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)、及びアルミニウム(Al)を含む、請求項11に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記ガラスは、銅(Cu)、ビスマス(Bi)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、リチウム(Li)、チタン(Ti)、カルシウム(Ca)、及び鉛(Pb)のうち少なくとも一つを含む、請求項11に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記セラミック物質は、リチウム(Li)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)のうち少なくとも一つを含む、請求項11に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記外部電極に含まれたセラミック物質の含量(wt%)をCE、前記外部電極に含まれたガラスの含量(wt%)をGLとするとき、前記外部電極はGL<CEを満たす、請求項11に記載の積層型電子部品。
【請求項17】
前記CE及びGLは、0.1×CE≦GL≦0.2×CEを満たす、請求項16に記載の積層型電子部品。
【請求項18】
前記導電性金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、錫(Sn)及びこれらの合金のうち少なくとも一つを含む、請求項11から17のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項19】
前記ガラスはSiO2、B2O3、Na2O、及びAl2Oを含む、請求項11から17のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項20】
前記ガラスは、CuO、Bi2O3、ZnO、ZrO、Li2O、TiO2、CaCO3、NaHCO3、及びPbOのうち少なくとも一つを含む、請求項11から17のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン、及び携帯電話などの様々な電子製品の印刷回路基板に装着され、電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
このような積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として使用されることができる。コンピュータ、モバイル機器など、各種の電子機器が小型化及び高出力化されるにつれて、積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化への要求が増大している。
【0004】
積層セラミックキャパシタが小型化するにつれて、外部電極の厚さも減少しているが、耐湿信頼性が低下するという問題点が伴うことが一般的である。そこで、外部電極にガラス(glass)やセラミック物質を添加して耐湿信頼性を補完しているが、焼成温度が高い場合、ガラスが外部電極の表面に溶出することにより電気的特性を弱める可能性があり、あるいはセラミック本体の再焼成を誘発して積層セラミックキャパシタの特性を劣化させるなどの問題点が発生することがあるため、これを解決するための研究が必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10-2015-0125454号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとするいくつかの課題の一つは、外部電極の熱処理温度を低下させることである。
【0007】
本発明が解決しようとするいくつかの課題の一つは、外部電極のガラス溶出現象を防止することである。
【0008】
本発明が解決しようとするいくつかの課題の一つは、めっき液に対する耐食性が強化された外部電極を適用することにより、めっき液の浸透を防止して積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させることである。
【0009】
但し、本発明が解決しようとするいくつかの課題は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層及び内部電極を含む本体と、上記本体上に配置される外部電極と、を含み、上記外部電極は導電性金属、セラミック物質及びガラスを含み、上記ガラスはケイ素(Si)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)、及びアルミニウム(Al)を含むことができる。
【0011】
本発明の他の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層及び内部電極を含む本体と、上記本体上に配置される外部電極と、を含み、上記外部電極は導電性金属、セラミック物質及びガラスを含み、上記セラミック物質はBaTiO3、(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)、Ba(Ti1-yZry)O3(0<y<1)、K0.5Na0.5NbO3、Bi0.5Na0.5TiO3、及びPb(Zr、Ti)O3のうち少なくとも一つを含むことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のいくつかの効果の一つは、外部電極の熱処理温度を低下させることである。
【0013】
本発明のいくつかの効果の一つは、外部電極のガラス溶出現象を抑制することである。
【0014】
本発明のいくつかの効果の一つは、めっき液に対する耐食性の強い外部電極を提供することにより、めっき液の浸透を防止し、積層型電子部品の耐湿信頼性が向上したことである。
【0015】
但し、本発明の多様かつ有益な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示すものである。
【
図2】内部電極の積層構造を示す分離斜視図を概略的に示すものである。
【
図3】
図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示すものである。
【
図4】
図1のII-II'線に沿った断面図を概略的に示すものである。
【
図5】
図3のP領域の拡大図を概略的に示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさ等は、より明確な説明のために誇張することができ、図面上の同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0018】
そして、図面において本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、図面に示した各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも図示したものに限定されない。なお、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素に対しては、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0019】
図において、第1方向は積層方向又は厚さT方向、第2方向は長さL方向、第3方向は幅W方向と定義することができる。
【0020】
積層型電子部品
図1は、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示すものであり、
図2は、内部電極の積層構造を示す分離斜視図を概略的に示すものであり、
図3は、
図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示すものであり、
図4は、
図1のII-II'線に沿った断面図を概略的に示すものであり、
図5は、
図3のP領域の拡大図を概略的に示すものである。
【0021】
以下、
図1~
図5を参照して、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品について詳細に説明する。但し、積層型電子部品の一例として積層セラミックキャパシタについて説明するが、本発明は、誘電体組成物を利用する様々な電子製品、例えば、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、又はサーミスタなどにも適用することができる。
【0022】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100は、誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110と、上記本体110上に配置される外部電極131、132と、を含み、上記外部電極131、132は導電性金属10a、セラミック物質10b、及びガラス10cを含み、上記ガラス10cはケイ素(Si)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)及びアルミニウム(Al)を含むことができる。
【0023】
また、本発明の他の一実施形態に係る積層型電子部品100は、誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110と、上記本体110上に配置される外部電極131、132と、を含み、上記外部電極131、132は導電性金属10a、セラミック物質10b及びガラス10cを含み、上記セラミック物質10bは、BaTiO3、(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)、Ba(Ti1-yZry)O3(0<y<1)、K0.5Na0.5NbO3、Bi0.5Na0.5TiO3、及びPb(Zr、Ti)O3のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0024】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されていてもよい。
【0025】
より具体的に、本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで互いに対向するように交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量を形成する容量形成部Acを含むことができる。
【0026】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように、本体110は六面体形状又はこれと類似の形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粒子の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0027】
本体110は、第1方向に互いに対向する第1面1及び第2面2、第1面1及び第2面2と連結され、第2方向に互いに対向する第3面3及び第4面4、第1面1、第2面2、第3面3及び第4面4と連結され、第3方向に互いに対向する第5面5及び第6面6を有することができる。
【0028】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0029】
誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り限定されない。一般に、ペロブスカイト(ABO3)系材料を使用することができ、例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料又はチタン酸ストロンチウム系材料などを使用することができる。チタン酸バリウム系材料は、BaTiO3系セラミック粒子を含むことができ、セラミック粒子の例示として、BaTiO3、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)等が一部固溶した(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)又はBa(Ti1-yZry)O3(0<y<1)などが挙げられる。
【0030】
また、誘電体層111を形成する原料は、チタン酸バリウム(BaTiO3)などの粒子に、本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などを添加することができる。
【0031】
誘電体層111の厚さtdは特に限定する必要はない。
【0032】
積層型電子部品100の高電圧環境下での信頼性を確保するために、誘電体層111の厚さは10.0μm以下とすることができる。また、積層型電子部品100の小型化及び高容量化を達成するために、誘電体層111の厚さは3.0μm以下であってもよく、超小型化及び高容量化をより容易に達成するために、誘電体層111の厚さは1.0μm以下であってもよく、好ましくは0.6μm以下であってもよく、より好ましくは0.4μm以下であってもよい。
【0033】
ここで、誘電体層111の厚さtdは、第1内部電極121及び第2内部電極122の間に配置される誘電体層111の厚さtdを意味することができる。
【0034】
一方、誘電体層111の厚さtdは、誘電体層111の第1方向のサイズを意味することができる。また、誘電体層111の厚さtdは、誘電体層111の平均厚さtdを意味することができ、誘電体層111の第1方向の平均サイズを意味することができる。
【0035】
誘電体層111の第1方向の平均サイズは、本体110の第1方向及び第2方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、一つの誘電体層111の第1方向の平均サイズは、スキャンされたイメージにおいて、一つの誘電体層111を第2方向に等間隔である10個の地点で第1方向のサイズを測定して計算した平均値を意味することができる。上記等間隔である10個の地点は容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層111に拡張して平均値を測定すると、誘電体層111の第1方向の平均サイズをさらに一般化することができる。
【0036】
内部電極121、122は誘電体層111と交互に積層されてもよい。
【0037】
内部電極121、122は第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができ、第1内部電極121及び第2内部電極122は本体110を構成する誘電体層111を挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3面3及び第4面4にそれぞれ露出することができる。
【0038】
より具体的に、第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3を介して露出することができ、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4を介して露出することができる。本体110の第3面3には第1外部電極131が配置されて第1内部電極121と連結され、本体110の第4面4には第2外部電極132が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0039】
すなわち、第1内部電極121は第2外部電極132とは連結されず第1外部電極131と連結され、第2内部電極122は第1外部電極131とは連結されず第2外部電極132と連結されることができる。このとき、第1内部電極121及び第2内部電極122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離することができる。
【0040】
一方、本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと、第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートとを交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0041】
内部電極121、122を形成する材料は特に限定されず、電気伝導性に優れた材料を使用することができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができる。
【0042】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを使用することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
一方、内部電極121、122の厚さteは特に限定する必要はない。
【0044】
積層型電子部品100の高電圧環境下での信頼性を確保するために、内部電極121、122の厚さteは3.0μm以下とすることができる。また、積層型電子部品100の小型化及び高容量化を達成するために、内部電極121、122の厚さは1.0μm以下であってもよく、超小型化及び高容量化をより容易に達成するために、内部電極121、122の厚さは0.6μm以下であってもよく、より好ましくは0.4μm以下であってもよい。
【0045】
ここで、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の第1方向のサイズを意味することができる。また、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の平均厚さteを意味することができ、内部電極121、122の第1方向の平均サイズを意味することができる。
【0046】
内部電極121、122の第1方向の平均サイズは、本体110の第1方向及び第2方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、一つの内部電極の第1方向の平均サイズは、スキャンされたイメージにおいて、一つの内部電極を第2方向に等間隔である10個の地点で第1方向のサイズを測定して計算した平均値であることができる。上記等間隔である10個の地点は容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極に拡張して平均値を測定すると、内部電極の第1方向の平均サイズをさらに一般化することができる。
【0047】
一方、本発明の一実施形態において、複数の誘電体層111のうち少なくとも一つの平均厚さtd、及び複数の内部電極121、122のうち少なくとも一つの平均厚さteは、2×te<tdを満たすことができる。
【0048】
言い換えれば、誘電体層111の一つの平均厚さtdは、内部電極121、122の一つの平均厚さteの2倍よりさらに大きくてもよい。好ましくは、複数の誘電体層111の平均厚さtdは、複数の内部電極121、122の平均厚さteの2倍よりさらに大きくてもよい。
【0049】
一般に、高電圧電装用電子部品は、高電圧環境下で絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)の低下による信頼性の問題が主なイシューである。
【0050】
したがって、高電圧環境下で絶縁破壊電圧の低下を防止するために、誘電体層111の平均厚さtdを内部電極121、122の平均厚さteの2倍よりも大きくすることにより、内部電極間の距離である誘電体層の厚さを増加させることができ、絶縁破壊電圧特性を向上させることができる。
【0051】
誘電体層111の平均厚さtdが内部電極121、122の平均厚さteの2倍以下である場合には、内部電極間の距離である誘電体層の平均厚さが薄くなり、絶縁破壊電圧が低下することがあり、内部電極間の短絡が発生する可能性がある。
【0052】
一方、本体110は、容量形成部Acの第1方向の両端面(end-surface)上に配置されるカバー部112、113を含むことができる。
【0053】
具体的に、容量形成部Acの第1方向の一面に配置される第1カバー部112、及び容量形成部Acの第1方向の他面に配置される第2カバー部113を含むことができる。より具体的には、容量形成部Acの第1方向の上部に配置される上部カバー部112、及び容量形成部Acの第1方向の下部に配置される下部カバー部113を含むことができる。
【0054】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一の誘電体層111又は2つ以上の誘電体層111を容量形成部Acの上下面にそれぞれ第1方向に積層して形成することができ、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0055】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、上部カバー部112及び下部カバー部113はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0056】
一方、カバー部112、113の厚さtcは特に限定する必要はない。
【0057】
但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の厚さtcは100μm以下であってもよく、好ましくは30μm以下であってもよく、超小型製品では、より好ましくは20μm以下であってもよい。
【0058】
ここで、カバー部112、113の厚さtcは、カバー部112、113の第1方向のサイズを意味することができる。また、カバー部112、113の厚さtcは、カバー部112、113の平均厚さtcを意味し、カバー部112、113の第1方向の平均サイズを意味することができる。
【0059】
カバー部112、113の第1方向の平均サイズは、本体110の第1方向及び第2方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、一つのカバー部をスキャンしたイメージにおいて、第2方向に等間隔である10個の地点で第1方向のサイズを測定して計算した平均値を意味することができる。
【0060】
なお、上述した方法で測定したカバー部の第1方向の平均サイズは、本体110の第1方向及び第3方向の断面(cross-section)において、カバー部の第1方向の平均サイズと実質的に同じサイズを有することができる。
【0061】
一方、積層型電子部品100は、本体110の第3方向の両端面(end-surface)上に配置されるサイドマージン部114、115を含むことができる。
【0062】
より具体的に、サイドマージン部114、115は、本体110の第5面5に配置された第1サイドマージン部114及び本体110の第6面6に配置された第2サイドマージン部115を含むことができる。
【0063】
サイドマージン部114、115は、図示のように、本体110の第1方向及び第3方向の断面(cross-section)を基準として、第1内部電極121及び第2内部電極122の第3方向の両端面(end-surface)と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0064】
サイドマージン部114、115は、容量形成部Acに適用されるセラミックグリーンシート上にサイドマージン部114、115が形成される箇所を除いて、導電性ペーストを塗布して内部電極121、122を形成し、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後の内部電極121、122が本体110の第5面5及び第6面6に露出するように切断した後、単一の誘電体層111又は2つ以上の誘電体層111を容量形成部Acの第3方向の両端面(end-surface)上に第3方向に積層して形成することもできる。
【0065】
サイドマージン部114、115は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0066】
第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115は、内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0067】
一方、第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115の幅wmは特に限定する必要はない。
【0068】
但し、積層型電子部品100の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、サイドマージン部114、115の幅wmは100μm以下であってもよく、好ましくは30μm以下であってもよく、超小型製品では、より好ましくは20μm以下であってもよい。
【0069】
ここで、サイドマージン部114、115の幅wmは、サイドマージン部114、115の第3方向のサイズを意味することができる。また、サイドマージン部114、115の幅wmは、サイドマージン部114、115の平均幅wmを意味し、サイドマージン部114、115の第3方向の平均サイズを意味することができる。
【0070】
サイドマージン部114、115の第3方向の平均サイズは、本体110の第1方向及び第3方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、一つのサイドマージン部をスキャンしたイメージにおいて、第1方向に等間隔である10個の地点で第3方向のサイズを測定して計算した平均値を意味することができる。
【0071】
本発明の一実施形態では、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造について説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0072】
外部電極131、132は本体110上に配置され、内部電極121、122と連結されることができる。
【0073】
より具体的に、外部電極131、132は、本体110の第3面3及び第4面4にそれぞれ配置され、第1内部電極121及び第2内部電極122とそれぞれ連結される第1外部電極131及び第2外部電極132を含むことができる。すなわち、第1外部電極131は本体の第3面3に配置されて第1内部電極121と連結されることができ、第2外部電極132は本体の第4面4に配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0074】
また、外部電極131、132は、本体110の第1面1及び第2面2上の一部に延びて配置されることができ、又は本体110の第5面5及び第6面6上の一部に延びて配置されることができる。すなわち、第1外部電極131は、本体110の第1面1、第2面2、第5面5及び第6面6上の一部、及び本体110の第3面3上に配置されることができ、第2外部電極132は、本体110の第1面1、第2面2、第5面5及び第6面6上の一部、及び本体110の第3面3上に配置されることができる。
【0075】
本発明の一実施形態において、外部電極131、132は、導電性金属10a、セラミック物質10b、及びガラス10cを含むことができる。
【0076】
外部電極131、132に含まれる導電性金属10aとして電気伝導性に優れた材料を使用することができ、例えば、導電性金属10aはニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を含むことができるが、特にこれに限定されない。
【0077】
外部電極131、132に含まれるセラミック物質10bは、ペロブスカイト(ABO3)系セラミック物質、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系物質、K0.5Na0.5NbO3、Bi0.5Na0.5TiO3、及びPb(Zr、Ti)O3のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0078】
より具体的に、外部電極131、132に含まれるセラミック物質10bは、BaTiO3、(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)、Ba(Ti1-yZry)O3(0<y<1)、K0.5Na0.5NbO3、Bi0.5Na0.5TiO3、及びPb(Zr、Ti)O3のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0079】
但し、特にこれに限定されるものではなく、上述したセラミック物質を含むペロブスカイト(ABO3)構造において、Aサイト又はBサイトがリチウム(Li)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)のうち少なくとも一つが置換又は固溶したセラミック物質を含むことができる。
【0080】
外部電極131、132に含まれるセラミック物質10bは、焼成工程のうち外部電極を形成する過程で外部電極用ペーストの焼結進行を遅延させる役割を果たすことができる。
【0081】
外部電極用ペーストの焼結が過度に速く進行する場合、外部電極の緻密化が低下するおそれがあり、又は外部電極が本体から浮く現象、又は剥離(delamination)が発生するおそれがある。
【0082】
一般に、セラミック物質10bは、導電性金属10a又はガラス10cに比べて高い融点を有するため、外部電極用ペーストがセラミック物質10bを含むことにより、外部電極の焼結進行速度を減少させることができる。
【0083】
本発明において、積層型電子部品100の各構成に含まれた元素の含量を測定するより具体的な方法の一例として、破壊工法の場合、走査電子顕微鏡(SEM)のエネルギー分散X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy、EDS)モード、透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、TEM)のEDSモード、又は走査透過電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope、STEM)のEDSモードを用いて成分を分析することができる。まず、焼結が完了した積層型電子部品100のうち観察しようとする領域を集束イオンビーム(Focused Ion Beam、FIB)装備を用いて薄片化された分析試料を準備する。そして、薄片化された試料に対してキセノン(Xe)又はアルゴン(Ar)イオンミリング(ion milling)を用いて表面のダメージ層を除去し、その後、SEM-EDS、TEM-EDS、又はSTEM-EDSを用いて得られたイメージにおいて測定しようとする各成分をマッピング(mapping)して定性/定量分析を行う。この場合、各成分の定性/定量分析グラフは、各元素の質量百分率(wt%)、原子百分率(at%)、又はモル百分率(mol%)に換算して表すこともできる。このとき、特定成分のモル数に対する他の特定成分のモル数を換算して表すことができる。
【0084】
さらに他の方法としては、チップを粉砕して観察しようとする領域を選別し、このように選別された領域を誘導結合プラズマ分光分析器(ICP-OES)、誘導結合プラズマ質量分析器(ICP-MS)などの装置を用いて成分を分析することができる。
【0085】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100において、外部電極131、132は、セラミック物質10bを3wt%以上20wt%以下含むことができる。
【0086】
外部電極131、132がセラミック物質10bを3wt%以上20wt%以下含むことにより、外部電極131、132の緻密度を向上させることができ、内部電極121、122と、外部電極131、132との間の接触抵抗の増加を抑制することができる。
【0087】
外部電極131、132がセラミック物質10bを3wt%未満含む場合、外部電極の焼結遅延効果が僅かであるため、外部電極の浮き現象又は剥離が発生する可能性があり、外部電極131、132がセラミック物質10bを20wt%超含む場合、内部電極121、122と外部電極131、132との間の接触を妨げ、電気的連結性を低下させるか、又は等価直列抵抗(Equivalent Series Resistance、ESR)が増加するという問題が発生する可能性がある。
【0088】
外部電極131、132に含まれるガラス10cは、ケイ素(Si)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)、及びアルミニウム(Al)を含むことができ、ガラス10cの組成としてSiO2、B2O3、Na2O、及びAl2Oを含むことができる。例えば、ガラス10cは、低融点ガラスの一種であるホウケイ酸ガラス(borosilicate glass)を含むことができる。
【0089】
但し、特にこれに限定されるものではなく、ガラス10cは銅(Cu)、ビスマス(Bi)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、リチウム(Li)、チタン(Ti)、カルシウム(Ca)、及び鉛(Pb)のうち少なくとも一つをさらに含むことができ、ガラス10cの組成として、CuO、Bi2O3、ZnO、ZrO、Li2O、TiO2、CaCO3、NaHCO3、及びPbOのうち少なくとも一つをさらに含むことができる。
【0090】
外部電極131、132に含まれるガラス10cは、焼成工程のうち外部電極を形成する過程で、外部電極用ペーストの焼結温度を下げる役割を果たすことができる。
【0091】
ガラス10cの低温焼結を誘導することにより、外部電極131、132の表面にガラスが溶出するプーリング(pooling)現象を防止し、電気的特性の低下を抑制することができ、外部電極131、132の熱処理温度を下げることにより、本体110の再焼成を防止して積層型電子部品の特性が劣化するという問題点を防止することができる。
【0092】
特に、低融点ガラスを含むことで、めっき液に対する耐食性を増加させ、積層型電子部品100の信頼性を向上させることができる。
【0093】
外部電極131、132に含まれるガラス10cの含量は特に限定されるものではないが、外部電極131、132に含まれるセラミック物質10bの含量より少なくてもよい。
【0094】
言い換えれば、外部電極131、132に含まれたセラミック物質10bの含量(wt%)をCE、外部電極131、132に含まれたガラス10cの含量(wt%)をGLとするとき、外部電極131、132はGL<CEを満たすことができ、外部電極を形成するための外部電極用ペーストはGL<CEを満たすことができる。
【0095】
外部電極131、132がGL<CEを満たすことにより、外部電極131、132の低温焼結を円滑に進行することができ、セラミック物質10bによる熱処理温度の上昇を抑制して本体が再焼成されることを防止することができる。
【0096】
外部電極131、132に含まれたガラス10cの含量GLがセラミック物質10bの含量CEより多い場合(CE<GL)、過度なガラス10cの添加により、外部電極131、132の焼成が十分に行われないおそれがあり、又は外部電極131、132の表面にガラスが溶出するおそれがある。
【0097】
このとき、外部電極131、132に含まれたガラス10cの含量CEは、外部電極131、132に含まれたセラミック物質10bの含量GLの0.1倍以上0.2倍以下であってもよい。すなわち、0.1×CE≦GL≦0.2×CEを満たすことができる。
【0098】
外部電極131、132が0.1×CE≦GL≦0.2×CEを満たすことにより、外部電極131、132の低温焼結を円滑に行うことができ、セラミック物質10bによる熱処理温度の上昇を抑制し、本体が再焼成されることを防止することができる。
【0099】
外部電極131、132がGL<0.1×CEの場合、焼結温度が十分に低下せず、セラミック物質10bによる熱処理温度の上昇により本体が再焼成されるおそれがあり、外部電極131、132が0.2×CE<GLの場合、過度なガラス10cの添加により、外部電極131、132の焼成が十分に行われないおそれがあり、又は外部電極131、132の表面にガラスが溶出するおそれがある。
【0100】
また、外部電極131、132に含まれたガラス10cの含量CEは、外部電極131、132に含まれた導電性金属10aの含量の0倍超0.2倍以下であってもよい。
【0101】
外部電極131、132に含まれたガラス10cの含量CEが、外部電極131、132に含まれた導電性金属10aの含量の0倍超0.2倍以下を満たすことにより、外部電極131、132の低温焼結を円滑に行うことができ、外部電極131、132と内部電極121、122との間の電気的連結性を低下させず、且つ内部電極121、122の劣化が発生することを防止することができる。
【0102】
外部電極131、132に含まれたガラス10cの含量CEが外部電極131、132に含まれた導電性金属10aの含量の0.2倍を超える場合、過度なガラス10cの添加により外部電極131、132の焼成が十分に行われないおそれがあり、外部電極131、132と内部電極121、122との間の電気的連結性が低下するおそれがあり、又は外部電極131、132の表面にガラスが溶出するおそれがある。
【0103】
上述した外部電極131、132に関する説明は、後述する焼成電極に対する説明であることができ、例えば、外部電極131、132が多層構造を有する場合、電極層に対する説明であることができ、より具体的には、第1電極層に対する説明であることができる。
【0104】
上述したように、外部電極131、132は、金属などのように、電気伝導性を有するものであれば、如何なる物質を用いて形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されてもよく、さらに多層構造を有してもよい。
【0105】
例えば、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層及び電極層上に配置されるめっき層を含むことができる。
【0106】
電極層に対するより具体的な例として、電極層は、第1導電性金属及びガラスを含む焼成電極である第1電極層を含むか、又は第2導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極である第2電極層を含むことができる。
【0107】
ここで、第1電極層131a、132aに含まれた導電性金属を第1導電性金属ということができ、第2電極層131b、132bに含まれた導電性金属を第2導電性金属ということができる。このとき、第1導電性金属及び第2導電性金属は互いに同一又は異なることができ、複数の導電性金属を含む場合、一部のみが同じ導電性金属を含むこともできるが、特にこれに限定されるものではない。
【0108】
また、電極層131a、132a、131b、132bは、本体上に焼成電極及び樹脂系電極が順次形成された形態であってもよい。
【0109】
また、電極層131a、132a、131b、132bは、本体上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されるか、又は焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであってもよい。
【0110】
電極層131a、132a、131b、132bに含まれる導電性金属として、電気伝導性に優れた材料を使用することができ、例えば、導電性金属はニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を含むことができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0111】
本発明の一実施形態において、電極層131a、132a、131b、132bは、第1電極層131a、132a及び第2電極層131b、132bを含む2層の構造を有することができ、これにより、外部電極131、132は、導電性金属及びガラスを含む第1電極層131a、132a、並びに上記第1電極層131a、132a上に配置され、導電性金属及び樹脂を含む第2電極層131b、132bを含むことができる。
【0112】
第1電極層131a、132aはガラスを含むことにより、本体110との接合性を向上させる役割を果たし、第2電極層131b、132bは樹脂を含むことにより、曲げ強度を向上させる役割を果たすことができる。
【0113】
第1電極層131a、132aに含まれる第1導電性金属は、静電容量形成のために上記内部電極121、122と電気的に連結できる材質であれば特に限定されず、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を含むことができる。
【0114】
第1電極層131a、132aは、第1導電性金属粒子にガラスフリット(glass frit)を添加して設けられた導電性ペーストを塗布した後、焼成することにより形成することができる。
【0115】
第2電極層131b、132bに含まれる第2導電性金属は、第1電極層131a、132aと電気的に連結されるようにする役割を果たすことができる。
【0116】
第2電極層131b、132bに含まれる導電性金属は、第1電極層131a、132aと電気的に連結できる材質であれば特に限定されず、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を含むことができる。
【0117】
第2電極層131b、132bに含まれる第2導電性金属は、球状粒子及びフレーク状粒子のうち1以上を含むことができる。すなわち、導電性金属はフレーク状粒子のみからなるか、又は球状粒子のみからなることができ、フレーク状粒子と球状粒子とが混合された形態であることもできる。ここで、球状粒子は、完全な球状ではない形態も含むことができ、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.45以下の形態を含むことができる。フレーク状粒子とは、平たいかつ細長い形態を有する粒子を意味し、特に限定されるものではないが、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.95以上であってもよい。上記球状粒子及びフレーク状粒子の長軸と短軸の長さは、積層型電子部品の第3方向の中央部で切断した第1方向及び第2方向の断面(cross-section)を走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして得られたイメージから測定することができる。
【0118】
第2電極層131b、132bに含まれる樹脂は、接合性の確保及び衝撃吸収の役割を果たすことができる。第2電極層131b、132bに含まれる樹脂は接合性及び衝撃吸収性を有し、第2導電性金属粒子と混合してペーストを作製できるものであれば特に限定されず、例えば、エポキシ系樹脂を含むことができる。
【0119】
また、第2電極層131b、132bは、複数の金属粒子、金属間化合物(intermetallic compound)及び樹脂を含むことができる。金属間化合物を含むことにより、第1電極層131a、132aとの電気的連結性をより向上させることができる。金属間化合物は、複数の金属粒子を連結して電気的連結性を向上させる役割を果たし、複数の金属粒子を囲んで互いに連結する役割を果たすことができる。
【0120】
このとき、金属間化合物は、樹脂の硬化温度より低い融点を有する金属を含むことができる。すなわち、金属間化合物が樹脂の硬化温度より低い融点を有する金属を含むため、樹脂の硬化温度より低い融点を有する金属が乾燥及び硬化工程を経る過程で溶融し、金属粒子の一部と金属間化合物を形成して金属粒子を囲むようになる。このとき、金属間化合物は、好ましくは300℃以下の低融点金属を含むことができる。
【0121】
例えば、213~220℃の融点を有するSnを含むことができる。乾燥及び硬化工程を経る過程でSnが溶融し、溶融したSnがAg、Ni又はCuのような高融点の金属粒子を毛細管現象により湿らせ、Ag、Ni又はCu金属粒子の一部と反応してAg3Sn、Ni3Sn4、Cu6Sn5、Cu3Snなどの金属間化合物を形成するようになる。反応に関与しなかったAg、Ni又はCuは金属粒子の形態で残る。
【0122】
したがって、上記複数の金属粒子は、Ag、Ni及びCuのうち一つ以上を含み、上記金属間化合物は、Ag3Sn、Ni3Sn4、Cu6Sn5及びCu3Snのうち一つ以上を含むことができる。
【0123】
めっき層131c、132cは、実装特性を向上させる役割を果たすことができる。
【0124】
めっき層131c、132cの種類は特に限定されず、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、パラジウム(Pd)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む単一層のめっき層131c、132cであってもよく、複数の層で形成されてもよい。
【0125】
めっき層131c、132cに対するより具体的な例として、めっき層131c、132cは、Niめっき層又はSnめっき層であってもよく、電極層上にNiめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であってもよく、Snめっき層、Niめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であってもよい。また、めっき層131c、132cは、複数のNiめっき層及び/又は複数のSnめっき層を含んでもよい。
【0126】
積層型電子部品100のサイズは特に限定する必要はない。
【0127】
但し、小型化及び高容量化を同時に達成するためには、誘電体層及び内部電極の厚さを薄くして積層数を増加させなければならないため、3216(長さ×幅:3.2mm×1.6mm)サイズ以下の積層型電子部品100において本発明による効果がより顕著になり得る。
【0128】
ここで、3216サイズ以下の積層型電子部品100とは、積層型電子部品の平均長さ(第2方向の平均サイズ)が3.2mm以下で、平均幅(第3方向の平均サイズ)が1.6mm以下であるものを意味することができるが、正確にこれを満たすものを意味するのではなく、10%程度の誤差を含む概念であることができる。
【0129】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者により様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【0130】
また、本発明において使用される「一実施形態」という表現は、互いに同じ実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかし、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と結合して実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態において説明された事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対又は矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明として理解することができる。
【0131】
本発明において使用される用語は、単に一実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味を示さない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0132】
10a:導電性金属
10b:セラミック物質
10c:ガラス
100:積層型電子部品
110:本体
111:誘電体層
112、113:カバー部
114、115:サイドマージン部
121、122:内部電極
131、132:外部電極