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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025082272
(43)【公開日】2025-05-28
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20250521BHJP
【FI】
H01G4/30 201G
H01G4/30 201F
H01G4/30 201C
H01G4/30 201D
H01G4/30 513
H01G4/30 516
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024181517
(22)【出願日】2024-10-17
(31)【優先権主張番号】10-2023-0158968
(32)【優先日】2023-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イム、スン ビーン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ダエ ヒー
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC03
5E001AC09
5E001AF06
5E001AH01
5E001AH07
5E001AJ01
5E001AJ03
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC31
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG12
5E082GG26
5E082GG28
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】曲げ強度及び耐衝撃性が強化され、信頼性及び耐久性が向上した積層型電子部品を提供する。
【解決手段】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層及び内部電極を含み、第1面、第2面、第3面、第4面、第5面及び第6面を含む本体と、上記本体上に配置される外部電極と、を含み、上記外部電極は、上記第3面及び第4面に配置されて、上記内部電極と連結され、導電性金属を含む接続電極層、上記接続電極層と接し、上記第1面及び第2面の一部に配置され、導電性高分子を含むバンド電極層、及び上記接続電極層と上記バンド電極層上に配置されるめっき層を含み、上記導電性金属は、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、ロジウム(Rh)、及びルテニウム(Ru)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層と第1方向に交互に配置される内部電極を含み、前記第1方向に互いに向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に互いに向かい合う第3面及び第4面、前記第1面、前記第2面、前記第3面及び前記第4面と連結され、第3方向に互いに向かい合う第5面及び第6面を含む本体と、
前記本体上に配置される外部電極と、を含み、
前記外部電極は、前記第3面及び前記第4面に配置されて、前記内部電極と連結され、導電性金属を含む接続電極層、前記接続電極層と接し、前記第1面及び前記第2面の一部に配置され、導電性高分子を含むバンド電極層、及び前記接続電極層と前記バンド電極層上に配置されるめっき層を含み、
前記導電性金属は、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、ロジウム(Rh)、及びルテニウム(Ru)の少なくとも一つを含む、積層型電子部品。
【請求項2】
前記内部電極は、前記接続電極層と接し、前記導電性金属を含む領域である拡散部を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記拡散部は、前記内部電極の主成分金属と前記導電性金属間の合金を含む、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記拡散部は、前記内部電極と前記接続電極層が接する地点から前記本体の内部方向に平均6μm以内の領域である、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記接続電極層はガラスを含まない、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記導電性高分子は、ポリピロール(polypyrrole)、ポリアニリン(polyaniline)、ポリチオフェン(polythiophene)、及びPEDOT:PSS(poly(3,4-ethylenedioxythiophene)polystyrene sulfonate)のうち少なくとも一つを含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記バンド電極層はガラスを含まない、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記外部電極はガラスを含まない、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記接続電極層及びバンド電極層のそれぞれの平均厚さは0.1μm以上4μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記接続電極層は、前記第3面の延長線EL3と第4面の延長線EL4との間には配置されない、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記バンド電極層は、前記第3面の延長線EL3と第4面の延長線EL4との間に配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記めっき層は銅(Cu)を含む第1めっき層を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記めっき層は、前記接続電極層とバンド電極層上に配置され、銅(Cu)を含む第1めっき層、前記第1めっき層上に配置され、ニッケル(Ni)を含む第2めっき層、及び前記第2めっき層上に配置され、スズ(Sn)を含む第3めっき層を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記第1めっき層の平均厚さは5μm以上8μm以下であり、前記第2めっき層及び前記第3めっき層のそれぞれの平均厚さは2μm以上4μm以下である、請求項13に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
かかる積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として用いられることができる。コンピュータ、モバイル機器などの各種電子機器が小型化、高出力化されながら積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化の要求が増大している。
【0004】
このような積層セラミックキャパシタはIT用だけでなく、電気自動車のような産業・電装用への適用範囲が広がっており、高い信頼性と耐久性が求められている。脆性材料(brittle material)であるセラミック本体を有しながらも様々な極限環境で安定的に機能する積層セラミックキャパシタを製作するためには、外部的な条件や工程過程で生じるストレス(stress)を抑制したり緩衝する構造や材料が必要である。これを十分に防止できない場合、信頼性の劣化が発生したり、短絡(short)が発生するなどの問題点が現れるおそれがある。
【0005】
よって、外部からの衝撃から本体を保護するために、基板に実装される外部電極部分の構造を変更したり、物質を変更する方法などが適用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-085688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする様々な課題の一つは、曲げ強度及び耐衝撃性が強化された積層型電子部品を提供することである。
【0008】
本発明が解決しようとする様々な課題の一つは、信頼性及び耐久性が向上した積層型電子部品を提供することである。
【0009】
但し、本発明が解決しようとする様々な課題は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置される内部電極を含み、上記第1方向に互いに向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に互いに向かい合う第3面及び第4面、上記第1面、第2面、第3面及び第4面と連結され、第3方向に互いに向かい合う第5面及び第6面を含む本体と、上記本体上に配置される外部電極と、を含み、上記外部電極は、上記第3面及び第4面に配置されて、上記内部電極と連結され、導電性金属を含む接続電極層、上記接続電極層と接し、上記第1面及び第2面の一部に配置され、導電性高分子を含むバンド電極層、及び上記接続電極層と上記バンド電極層上に配置されるめっき層を含み、上記導電性金属は、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、ロジウム(Rh)、及びルテニウム(Ru)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の様々な効果の一つは、積層型電子部品の曲げ強度及び耐衝撃性が強化されたことである。
【0012】
本発明の様々な効果の一つは、積層型電子部品の信頼性及び耐久性が向上したことである。
【0013】
但し、本発明の多様でありながらも有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものである。
図2】内部電極の積層構造を示した分離斜視図を概略的に示したものである。
図3図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示したものである。
図4図1のII-II'線に沿った断面図を概略的に示したものである。
図5図3のP領域拡大図を概略的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上に同一符号で示される要素は同一要素である。
【0016】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、図示した各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意で示したものであるため、本発明は必ずしも図示により限定されない。また、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を用いて説明することができる。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0017】
図面において、第1方向は積層方向または厚さ(T)方向、第2方向は長さ(L)方向、第3方向は幅(W)方向と定義することができる。
【0018】
積層型電子部品
図1は、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものであり、図2は、内部電極の積層構造を示した分離斜視図を概略的に示したものであり、図3は、図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示したものであり、図4は、図1のII-II'線に沿った断面図を概略的に示したものであり、図5は、図3のP領域拡大図を概略的に示したものである。
【0019】
以下、図1図5を参照して、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品について詳細に説明する。但し、積層型電子部品の一例として積層セラミックキャパシタについて説明するが、本発明は誘電体組成物を利用する様々な電子製品、例えば、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、またはサーミスタなどにも適用されることができる。
【0020】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100は、誘電体層111、及び上記誘電体層111と第1方向に交互に配置される内部電極121、122を含み、上記第1方向に互いに向かい合う第1面1及び第2面2、上記第1面1及び第2面2と連結され、第2方向に互いに向かい合う第3面3及び第4面4、上記第1面1、第2面2、第3面3及び第4面4と連結され、第3方向に互いに向かい合う第5面5及び第6面6を含む本体110と、上記本体110上に配置される外部電極131、132と、を含み、上記外部電極131、132は、上記第3面3及び第4面4に配置されて、上記内部電極121、122と連結され、導電性金属を含む接続電極層131a-1、132a-1、上記接続電極層131a-1、132a-1と接し、上記第1面1及び第2面2の一部に配置され、導電性高分子を含むバンド電極層131a-2、132a-2、及び上記接続電極層131a-1、132a-1と上記バンド電極層131a-2、132a-2上に配置されるめっき層を含み、上記導電性金属はパラジウム(Pd)、銀(Ag)、ロジウム(Rh)、及びルテニウム(Ru)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0021】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されていることができる。
【0022】
より具体的には、本体110は本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで互いに向かい合うように交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量を形成する容量形成部Acを含むことができる。
【0023】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体状やこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粒子の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体状ではないが、実質的に六面体状を有することができる。
【0024】
本体110は、第1方向に互いに向かい合う第1面1及び第2面2、第1面1及び第2面2と連結され、第2方向に互いに向かい合う第3面3及び第4面4、第1面1、第2面2、第3面3及び第4面4と連結され、第3方向に互いに向かい合う第5面5及び第6面6を有することができる。
【0025】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0026】
誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り制限されない。一般的には、ペロブスカイト(ABO)系材料を用いることができ、例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、またはチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。チタン酸バリウム系材料は、BaTiO系セラミック粒子を含むことができ、セラミック粒子の例示として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)等が一部固溶された(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)又はBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)等が挙げられる。
【0027】
また、誘電体層111を形成する原料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などの粒子に本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0028】
誘電体層111の厚さtdは特に限定する必要はない。
【0029】
積層型電子部品100の高電圧環境下での信頼性を確保するために、誘電体層111の厚さは10.0μm以下であることができる。また、積層型電子部品100の小型化及び高容量化を達成するためには、誘電体層111の厚さは3.0μm以下であることができ、超小型化及び高容量化をより容易に達成するために、誘電体層111の厚さは1.0μm以下であることができ、好ましくは0.6μm以下であることができ、より好ましくは0.4μm以下であることができる。
【0030】
ここで、誘電体層111の厚さtdは、第1内部電極121及び第2内部電極122の間に配置される誘電体層111の厚さtdを意味することができる。
【0031】
一方、誘電体層111の厚さtdは、誘電体層111の第1方向の大きさを意味することができる。なお、誘電体層111の厚さtdは、誘電体層111の平均厚さtdを意味することができ、誘電体層111の第1方向の平均大きさを意味することができる。
【0032】
誘電体層111の第1方向の平均大きさは、本体110の第1方向及び第2方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、一つの誘電体層111の第1方向の平均大きさは、スキャンされたイメージにおいて一つの誘電体層111を第2方向に等間隔の10個の地点で第1方向の大きさを測定して計算した平均値を意味することができる。上記等間隔の10個の地点は容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10個の誘電体層111に拡張して平均値を測定すると、誘電体層111の第1方向の平均大きさをさらに一般化することができる。
【0033】
内部電極121、122は誘電体層111と交互に積層されることができる。
【0034】
内部電極121、122は第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができ、第1内部電極121及び第2内部電極122は、本体110を構成する誘電体層111を挟んで互いに向かい合うように交互に配置され、本体110の第3面3及び第4面4にそれぞれ露出することができる。
【0035】
より具体的には、第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3を介して露出することができ、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4を介して露出することができる。本体110の第3面3には第1外部電極131が配置されて第1内部電極121と連結され、本体110の第4面4には第2外部電極132が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0036】
すなわち、第1内部電極121は第2外部電極132とは連結されず、第1外部電極131と連結され、第2内部電極122は第1外部電極131とは連結されず、第2外部電極132と連結されることができる。このとき、第1内部電極121及び第2内部電極122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0037】
一方、本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートを交互に積層した後、焼成して形成されることができる。
【0038】
内部電極121、122を形成する材料は、特に制限されず、電気導電性に優れた材料を用いることができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができる。
【0039】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0040】
一方、内部電極121、122の厚さteは特に限定する必要はない。
【0041】
積層型電子部品100の高電圧環境下での信頼性を確保するために、内部電極121、122の厚さteは3.0μm以下であることができる。また、積層型電子部品100の小型化及び高容量化を達成するために、内部電極121、122の厚さは1.0μm以下であることができ、超小型化及び高容量化をより容易に達成するために、内部電極121、122の厚さは0.6μm以下であることができ、より好ましくは0.4μm以下であることができる。
【0042】
ここで、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の第1方向の大きさを意味することができる。また、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の平均厚さteを意味することができ、内部電極121、122の第1方向の平均大きさを意味することができる。
【0043】
内部電極121、122の第1方向の平均大きさは、本体110の第1方向及び第2方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、一つの内部電極の第1方向の平均大きさは、スキャンされたイメージにおいて一つの内部電極を第2方向に等間隔の10個の地点で第1方向の大きさを測定して計算した平均値であることができる。上記等間隔の10個の地点は、容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10個の内部電極に拡張して平均値を測定すると、内部電極の第1方向の平均大きさをさらに一般化することができる。
【0044】
一方、本発明の一実施形態において、複数の誘電体層111のうち少なくとも一つの平均厚さtdと複数の内部電極121、122のうち少なくとも一つの平均厚さteは、2×te<tdを満たすことができる。
【0045】
換言すると、誘電体層111の一つの平均厚さtdは、内部電極121、122の一つの平均厚さteの2倍よりもさらに大きいことができる。好ましくは、複数の誘電体層111の平均厚さtdは、複数の内部電極121、122の平均厚さteの2倍よりもさらに大きいことができる。
【0046】
一般的に、高電圧電装用電子部品は、高電圧環境下で絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)の低下による信頼性の問題が主なイシューである。
【0047】
そこで、高電圧環境下で絶縁破壊電圧の低下を防ぐために、誘電体層111の平均厚さtdを内部電極121、122の平均厚さteの2倍よりもさらに大きくすることで、内部電極間距離である誘電体層の厚さを増加させることができ、絶縁破壊電圧特性を向上させることができる。
【0048】
誘電体層111の平均厚さtdが内部電極121、122の平均厚さteの2倍以下である場合には、内部電極間距離である誘電体層の平均厚さが薄くて、絶縁破壊電圧が低下することがあり、内部電極間の短絡が発生する可能性がある。
【0049】
一方、本体110は、容量形成部Acの第1方向の両端面(end-surface)上に配置されるカバー部112、113を含むことができる。
【0050】
具体的には、容量形成部Acの第1方向の一面に配置される第1カバー部112及び容量形成部Acの第1方向の他面に配置される第2カバー部113を含むことができ、より具体的には、容量形成部Acの第1方向の上部に配置される上部カバー部112及び容量形成部Acの第1方向の下部に配置される下部カバー部113を含むことができる。
【0051】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一誘電体層111又は2つ以上の誘電体層111を容量形成部Acの上下面にそれぞれ第1方向に積層して形成することができ、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0052】
上部カバー部112及び下部カバー部113は内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、上部カバー部112及び下部カバー部113はセラミック材料を含むことができ、例えばチタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0053】
一方、カバー部112、113の厚さtcは特に限定する必要はない。
【0054】
但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の厚さtcは、100μm以下であることができ、好ましくは30μm以下であることができ、超小型製品ではより好ましくは20μm以下であることができる。
【0055】
ここで、カバー部112、113の厚さtcは、カバー部112、113の第1方向の大きさを意味することができる。なお、カバー部112、113の厚さtcは、カバー部112、113の平均厚さtcを意味することができ、カバー部112、113の第1方向の平均大きさを意味することができる。
【0056】
カバー部112、113の第1方向の平均大きさは、本体110の第1方向及び第2方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、一つのカバー部をスキャンしたイメージにおいて第2方向に等間隔の10個の地点で第1方向の大きさを測定して計算した平均値を意味することができる。
【0057】
なお、上述した方法で測定したカバー部の第1方向の平均大きさは、本体110の第1方向及び第3方向の断面(cross-section)において、カバー部の第1方向の平均大きさと実質的に同じ大きさを有することができる。
【0058】
一方、積層型電子部品100は、本体110の第3方向の両端面(end-surface)上に配置されるサイドマージン部114、115を含むことができる。
【0059】
より具体的には、サイドマージン部114、115は、本体110の第5面5に配置された第1サイドマージン部114及び本体110の第6面6に配置された第2サイドマージン部115を含むことができる。
【0060】
サイドマージン部114、115は、図示のように、本体110の第1方向及び第3方向の断面(cross-section)を基準として、第1内部電極121及び第2内部電極122の第3方向の両端面(end-surface)と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0061】
サイドマージン部114、115は、容量形成部Acに適用されるセラミックグリーンシート上にサイドマージン部114、115が形成されるところを除き、導電性ペーストを塗布して内部電極121、122を形成し、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後の内部電極121、122が本体110の第5面5及び第6面6に露出するように切断した後、単一誘電体層111または2つ以上の誘電体層111を容量形成部Acの第3方向の両端面(end-surface)上に第3方向に積層して形成することもできる。
【0062】
サイドマージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0063】
第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115は、内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115は、セラミック材料を含むことができ、例えばチタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0064】
一方、第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115の幅wmは、特に限定する必要はない。
【0065】
但し、積層型電子部品100の小型化及び高容量化をより容易に達成するためにサイドマージン部114、115の幅wmは100μm以下であることができ、好ましくは30μm以下であることができ、超小型製品では、より好ましくは20μm以下であることができる。
【0066】
ここで、サイドマージン部114、115の幅wmは、サイドマージン部114、115の第3方向の大きさを意味することができる。また、サイドマージン部114、115の幅wmは、サイドマージン部114、115の平均幅wmを意味することができ、サイドマージン部114、115の第3方向の平均大きさを意味することができる。
【0067】
サイドマージン部114、115の第3方向の平均大きさは、本体110の第1方向及び第3方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、一つのサイドマージン部をスキャンしたイメージにおいて、第1方向に等間隔の10個の地点で第3方向の大きさを測定して計算した平均値を意味することができる。
【0068】
本発明の一実施形態では、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造について説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0069】
外部電極131、132は本体110上に配置されて、内部電極121、122と連結されることができる。
【0070】
より具体的には、外部電極131、132は、本体110の第3面3及び第4面4にそれぞれ配置され、第1内部電極121及び第2内部電極122とそれぞれ連結される第1外部電極131及び第2外部電極132を含むことができる。すなわち、第1外部電極131は本体の第3面3に配置されて、第1内部電極121と連結されることができ、第2外部電極132は本体の第4面4に配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0071】
さらに、外部電極131、132は、本体110の第1面1及び第2面2上の一部に延びて配置されることができ、または本体110の第5面5及び第6面6上の一部に延びて配置されることができる。すなわち、第1外部電極131は、本体110の第1面1、第2面2、第5面5及び第6面6上の一部、及び本体110の第3面3上に配置されることができ、第2外部電極132は、本体110の第1面1、第2面2、第5面5及び第6面6上の一部、及び本体110の第3面3上に配置されることができる。
【0072】
一方、外部電極131、132は、金属などのように電気導電性を有するものであれば、どのような物質を用いても形成されることができ、電気的特性、構造的安定性などを考慮して、具体的な物質が決定されることができ、さらに多層構造を有することができる。
【0073】
例えば、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層131a、132a及び電極層131a、132a上に配置されるめっき層を含むことができる。
【0074】
ここで、電極層131a、132aは、本体110の第3面3及び第4面4に配置されて、内部電極121、122と連結され、導電性金属を含む接続電極層131a-1、132a-1、及び接続電極層131a-1、132a-1と接し、本体110の第1面1及び第2面2の一部に配置され、導電性高分子を含むバンド電極層131a-2、132a-2を含むことができる。
【0075】
換言すると、第1外部電極131は、本体110と接するように配置される電極層131aを含むことができる。より具体的には、電極層131aは、本体110の第3面3に接するように配置されて、第1内部電極121と連結され、導電性金属を含む接続電極層131a-1、及び接続電極層131a-1と接し、本体110の第1面1及び第2面2の一部に接するように配置され、導電性高分子を含むバンド電極層131a-2を含むことができる。
【0076】
第2外部電極132は、本体110と接するように配置される電極層132aを含むことができる。より具体的には、電極層132aは、本体110の第4面4に接するように配置されて、第2内部電極122と連結され、導電性金属を含む接続電極層132a-1、及び接続電極層132a-1と接し、本体110の第1面1及び第2面2の一部に接するように配置され、導電性高分子を含むバンド電極層132a-2を含むことができる。
【0077】
接続電極層131a-1、132a-1に含まれる導電性金属は、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、ロジウム(Rh)、及びルテニウム(Ru)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0078】
接続電極層131a-1、132a-1を形成する方法は、特にこれに制限されるものではないが、導電性金属、例えば、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、ロジウム(Rh)、及びルテニウム(Ru)のうち少なくとも一つを含むイオンの塩(salt)溶液を本体の第3面3及び第4面4に塗布し、熱処理を進行して形成することができる。
【0079】
接続電極層131a-1、132a-1を塩溶液を塗布して形成することによって、本体110との接合力に優れながらも後述する第1めっき層131b、132bとの接合力に優れることができる。
【0080】
一方、接続電極層131a-1、132a-1の平均厚さは、0.1μm以上4μm以下であることができる。
【0081】
接続電極層131a-1、132a-1の平均厚さが0.1μm以上4μm以下を満たすことで、内部電極121、122との電気的連結性を十分に確保することができ、後述する第1めっき層131b、132bとの接合力に優れることができる。
【0082】
接続電極層131a-1、132a-1の平均厚さが0.1μm未満の場合、十分な厚さを形成することができないため、第1めっき層131b、132bとの接合力が低下するおそれがあり、外部電極131、132の浮き上がり現象や剥離(delamination)が発生するおそれがある。
【0083】
接続電極層131a-1、132a-1の平均厚さが4μm超過である場合、等価直列抵抗(ESR)が高くなるおそれがあり、積層型電子部品100の小型化を達成することが難しい場合がある。
【0084】
本発明において、接続電極層131a-1、132a-1の平均厚さは、接続電極層131a-1、132a-1の第2方向の平均大きさに該当することができる。例えば、積層型電子部品100の第1方向及び第2方向の断面(cross-section)を走査電子顕微鏡(SEM)で観察したとき、第1方向に離隔している任意の3地点で接続電極層131a-1、132a-1の第2方向の大きさを測定して平均した値を意味することができるが、特にこれに制限されるものではない。ここで、第1方向に離隔している任意の3地点は、内部電極が配置されている容量形成部Acの第2方向への延長線(延長面)で選択されることが好ましい。
【0085】
接続電極層131a-1、132a-1をイオン状態の塩溶液で形成して熱処理を進めるにつれて、接続電極層131a-1、132a-1の導電性金属が内部電極121、122に拡散することができる。
【0086】
これにより、内部電極121、122は、接続電極層131a-1、132a-1と接し、導電性金属を含む領域である拡散部121b、122bを含むことができる。
【0087】
すなわち、内部電極121、122は、接続電極層131a-1、132a-1の導電性金属を含んでいない領域である非拡散部121a、122aと接続電極層131a-1、132a-1の導電性金属を含む領域である拡散部121b、122bを含むことができる。
【0088】
なお、本発明において第1内部電極121の非拡散部121a(図示せず)と拡散部121b(図示せず)については図示してはいないが、説明の便宜のために図面符号を併記して説明する。なお、図5において、第2内部電極122及び第2外部電極132を例示として、第2内部電極122の非拡散部122aと拡散部122bのみを示したが、通常の技術者であれば、第1内部電極121の非拡散部121a(図示せず)と拡散部121b(図示せず)にも同様に理解することができることは明らかである。
【0089】
このとき、内部電極の拡散部121b、122bは、内部電極121、122の主成分金属と接続電極層131a-1、132a-1の導電性金属との間の合金を含むことができる。
【0090】
本発明において「主成分」とは、他の成分に比べて比較的多い重量割合を占める成分を意味することができ、全体組成物又は全体誘電体層の重量を基準として50重量%以上である成分を意味することができる。
【0091】
例えば、内部電極121、122がニッケル(Ni)を主成分として含み、接続電極層131a-1、132a-1がパラジウム(Pd)を含む場合において、塩溶液状態での接続電極層131a-1、132a-1の焼成過程で内部電極121、122に導電性金属が拡散することによって、内部電極121、122が拡散部121b、122bを形成するようになり、拡散部121b、122bは内部電極121、122の主成分であるニッケル(Ni)と接続電極層131a-1、132a-1から拡散したパラジウム(Pd)との間に合金反応が進行して、ニッケル-パラジウム(Ni-Pd)合金を含むことができる。
【0092】
拡散部122a、122bが内部電極121、122の主成分金属と接続電極層131a-1、132a-1の導電性金属との間の合金を含むことで、水素拡散係数を下げて外部からの水分及び水素浸透を防止することができ、またはめっき液の浸透を防止して内部電極121、122の劣化を抑制して等価直列抵抗(Equivalent Series Resistance、ESR)が増加することを防止することができる。また、内部電極121、122と接続電極層131a-1、132a-2との間の接合力が向上して、外部電極131、132と本体110との間の浮き上がり現象や剥離(delamination)が発生することを抑制することができ、電気的連結性も向上させることができる。
【0093】
ここで、拡散部121b、122bは、内部電極121、122と接続電極層131a-1、132a-1が接する地点から本体110の内部方向に平均6μm以内の領域であることができる。
【0094】
すなわち、拡散部121b、122bは、第2方向を基準に内部電極121、122と接続電極層131a-1、132a-1が接する地点から本体110の内部方向に平均6μm以内の領域であることができ、拡散部121b、122bの第2方向の平均大きさが平均6μm以下であることができ、拡散部121b、122bの平均長さが6μm以下であることができる。
【0095】
拡散部121b、122bが内部電極121、122と接続電極層131a-1、132a-1が接する地点から本体110の内部方向に平均6μm以内に形成されることによって、水素拡散係数を下げて外部からの水分及び水素浸透をより効果的に防止することができ、又はめっき液の浸透を更に効果的に防止して内部電極121、122の劣化を抑制して、等価直列抵抗(ESR)が増加することを防止することができる。
【0096】
拡散部121b、122bの領域の下限値は特に制限されないが、例えば、0.1μm以上であることができる。
【0097】
ここで、内部電極121、122と接続電極層131a-1、132a-1が接する地点は、本体110の面上に位置する必要はなく、内部電極121、122が本体110の内部に引き込まれて、接続電極層131a-1、132a-1も本体110の内部に浸透して接する地点に該当することができ、又は内部電極121、122が本体110の外部に突出して、内部電極121、122が本体110の外部に突出した形状である場合、突出して接続電極層131a-1、132a-1と接する地点に該当することができるが、特にこれに制限されるものではない。
【0098】
拡散部121b、122bの第2方向の平均大きさ(平均長さ)を測定する方法は、例えば、拡散部121b、122bの第2方向の平均大きさL1のうち、最大値と最小値の平均を計算して求めたり、または第1方向(厚さ方向)に離隔した任意の3地点での第2方向の大きさを測定した値の平均を計算して求めることができ、または走査電子顕微鏡(SEM)等のイメージからプログラムを介して拡散部121b、122bの領域を抽出した後、プログラムで第2方向の大きさの平均を求める方法を用いることができるが、特にこれに制限されるものではない。
【0099】
拡散部121b、122bが内部電極121、122と接続電極層131a-1、132a-1が接する地点から本体110の内部方向に平均6μmを超過する場合、接続電極層131a-1、132a-1に含まれた導電性金属の過度の拡散によって、電気的連結性が低下したり、等価直列抵抗(ESR)が増加して電気的特性が低下するおそれがある。
【0100】
本発明の一実施形態において、外部電極131、132はガラス(glass)を含まないことができる。但し、特にこれに制限されるものではなく、接続電極層131a-1、132a-1がガラス(glass)を含まない場合、バンド電極層131a-2、132a-2がガラス(glass)を含むことができ、バンド電極層131a-2、132a-2がガラス(glass)を含まない場合、接続電極層131a-1、132a-1がガラス(glass)を含むことができ、接続電極層131a-1、132a-1及びバンド電極層131a-2、132a-2は、いずれもガラス(glass)を含まないことができる。これに対する詳細な内容は、以下において説明する。
【0101】
接続電極層131a-1、132a-1はガラス(glass)を含まないことができる。
【0102】
一般的な焼成電極の場合、外部電極用ペーストにガラスを添加して本体との接合力を高める方法を用いているが、イオン塩の溶液を塗布して接続電極層131a-1、132a-1を形成する場合には、ガラスを添加しなくても本体110との接合力に優れるため、ガラスを添加することが必須要素ではないことができるが、必要に応じてガラスを添加することができる。
【0103】
バンド電極層131a-2、132a-2に含まれる導電性高分子は、ポリピロール(polypyrrole)、ポリアニリン(polyaniline)、ポリチオフェン(polythiophene)、及びPEDOT:PSS(poly(3,4-ethylenedioxythiophene)polystyrene sulfonate)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0104】
バンド電極層131a-2、132a-2が導電性高分子を含むことで、バンド電極層131a-2、132a-2は外部からの衝撃を吸収する役割を果たすことができ、曲げ強度を向上させることができ、等価直列抵抗(ESR)が高くなることを防止することができる。
【0105】
バンド電極層131a-2、132a-2を形成する方法は、特にこれに制限されるものではないが、導電性高分子、例えばポリピロール(polypyrrole)、ポリアニリン(polyaniline)、ポリチオフェン(polythiophene)、及びPEDOT:PSS(poly(3,4-ethylenedioxythiophene)polystyrene sulfonate)のうち少なくとも一つを含む溶液をインクジェット(ink jet)等の方法で本体110の第1面1及び第2面2の一部に形成し、100℃以上120℃以下の温度範囲でオーブン乾燥させて形成することができる。
【0106】
ここで、導電性高分子を含む溶液は、シランカップリング剤(silane coupling agent)及びバインダー(binder)などをさらに含むことができる。
【0107】
また、バンド電極層131a-2、132a-2は、ガラス(glass)を含まないことができる。
【0108】
一般的な焼成電極の場合、外部電極用ペーストにガラスを添加して本体110との接合力を高める方法を用いているが、導電性高分子を含むバンド電極層131a-2、132a-2の場合、シランカップリング剤やバインダーなどの添加剤を含むことによって、ガラスを添加しなくても本体110との接合力に優れるため、ガラスを添加することが必須要素ではないことができるが、必要に応じてガラスを添加することができる。
【0109】
一方、バンド電極層131a-2、132a-2の平均厚さは、0.1μm以上4μm以下であることができる。
【0110】
バンド電極層131a-2、132a-2の平均厚さが0.1μm以上4μm以下を満たすことで、積層型電子部品100に加わる曲げ応力を十分に吸収して、クラック(crack)等が発生しないように十分な曲げ強度を確保することができる。
【0111】
バンド電極層131a-2、132a-2の平均厚さが0.1μm未満である場合、十分な厚さを形成することができないことによって、曲げ強度が十分に向上しないおそれがあり、バンド電極層131a-2、132a-2の平均厚さが4μm超過である場合、等価直列抵抗(ESR)が高くなるおそれがあり、積層型電子部品100の小型化を達成し難しい場合がある。
【0112】
本発明において、バンド電極層131a-2、132a-2の平均厚さは、バンド電極層131a-2、132a-2の平均厚さはの第1方向の平均大きさに該当することができる。例えば、積層型電子部品100の第1方向及び第2方向の断面(cross-section)を走査電子顕微鏡(SEM)で観察したとき、第2方向に離隔している任意の3地点でバンド電極層131a-2、132a-2の第1方向の大きさを測定した平均値を意味することができるが、特にこれに制限されるものではない。ここで、第2方向に離隔している任意の3地点は、本体110の一面と接する地点を意味することができ、屈曲のある角領域ではなく実質的に平行な面を有する本体領域から選択されることが好ましいことができる。
【0113】
一方、本発明の一実施形態において、接続電極層131a-1、132a-1は、第3面の延長線EL3と第4面の延長線EL4との間には配置されないことができ、バンド電極層131a-2、132a-2は、第3面の延長線EL3と第4面の延長線EL4との間に配置されることができる。
【0114】
これは、バンド電極層131a-2、132a-2を第1面1及び第2面2の一部に先に形成した後、第3面の延長線EL3及び第4面の延長線EL4の外側に形成されたバンド電極層131a-2、132a-2をサンドブラスト(sand blast)等のインクジェット(inkjet)工法で研磨し、第3面3及び第4面4に接続電極層131a-1、132a-1を形成する方法によるものであることができるが、特にこれに制限されるものではない。
【0115】
より具体的には、本体110の第1面1及び第2面2の一部にバンド電極層131a-2、132a-2を形成した後、本体110の第3面3及び第4面4に形成された不要なバンド電極層131a-2、132a-2を研磨して除去する。そして、研磨された面に残存する有機物除去のために硫酸及び界面活性剤処理を進行することができる。
【0116】
次に、硫酸及び界面活性剤を洗い流す水洗作業後に、本体110の外部に露出した内部電極121、122の酸化物領域を除去し、接続電極層131a-1、132a-1の導電性金属析出量を増加させるために、塩酸水溶液処理を行うことができる。
【0117】
次に、塩酸水溶液を洗い流す水洗作業後に、接続電極層131a-1、132a-1を形成するために、本体110の第3面3及び第4面4をイオン塩溶液に浸漬する。このとき、イオン塩溶液の撹拌を介してイオン循環を十分に行い、実質的に均一な厚さの接続電極層131a-1、132a-1を成長させることができる。
【0118】
これにより、接続電極層131a-1、132a-1が第3面の延長線EL3と第4面の延長線EL4との間には配置されず、バンド電極層131a-2、132a-2が第3面の延長線EL3と第4面の延長線EL4との間に配置されることによって、第1めっき層131b、132bとの接合力を向上させることができ、外部からの水分の浸透経路を遮断しながら耐衝撃性を有することができる。
【0119】
めっき層131b、132b、131c、132c、131d、132dは、実装特性を向上させる役割を果たすことができる。
【0120】
めっき層131b、132b、131c、132c、131d、132dの種類は特に限定されず、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む単一層のめっき層131b、132bであることができ、複数のめっき層であることができ、例えば、2層のめっき層131b、132b、131c、132cまたは3層のめっき層131b、132b、131c、132c、131d、132dで形成されることができる。
【0121】
めっき層131b、132b、131c、132c、131d、132dに対するより具体的な例を挙げると、めっき層131b、132b、131c、132c、131d、132dは、接続電極層131a-1、132a-1とバンド電極層131a-2、132a-2上に配置され、銅(Cu)を含む第1めっき層131b、132b、第1めっき層131b、132b上に配置され、ニッケル(Ni)を含む第2めっき層131c、132c、及び第2めっき層131c、132c上に配置され、スズ(Sn)を含む第3めっき層131d、132dを含むことができる。
【0122】
ここで、第1めっき層131b、132bの平均厚さは5μm以上8μm以下であることができ、第2めっき層131c、132cの平均厚さは2μm以上4μm以下であることができ、第3めっき層131d、132dの平均厚さは2μm以上4μm以下であることができる。
【0123】
本発明において、第1めっき層131b、132b、第2めっき層131c、132c及び第3めっき層131d、132dの平均厚さは、第1めっき層131b、132b、第2めっき層131c、132c及び第3めっき層131d、132dのそれぞれの第3面3及び第4面4上の第2方向の平均大きさ、または第1面1及び第2面2の一部上の第1方向の平均大きさに該当することができる。
【0124】
例えば、積層型電子部品100の第1方向及び第2方向の断面(cross-section)を走査電子顕微鏡(SEM)で観察したとき、第1方向に離隔している任意の3地点で第1めっき層131b、132b、第2めっき層131c、132c及び第3めっき層131d、132dのそれぞれの第2方向の大きさを測定して平均した値を意味することができるが、特にこれに制限されるものではない。ここで、第1方向に離隔している任意の3地点は、内部電極が配置されている容量形成部Acの第2方向への延長線(延長面)で選択されることが好ましいことができる。
【0125】
但し、特にこれに制限されるものではなく、第1めっき層131b、132b、第2めっき層131c、132c及び第3めっき層131d、132dのそれぞれの平均厚さをさらに一般化するために、本体の第1面1及び第2面2の一部に配置された第1めっき層131b、132b、第2めっき層131c、132c及び第3めっき層131d、132dのそれぞれの第1方向の平均大きさの平均値を含むように平均値を求めることで、第1めっき層131b、132b、第2めっき層131c、132c及び第3めっき層131d、132dのそれぞれの平均厚さを一般化することができる。
【0126】
第1めっき層131b、132b、第2めっき層131c、132c及び第3めっき層131d、132dのそれぞれの第1方向の平均大きさは、例えば、積層型電子部品100の第1方向及び第2方向の断面(cross-section)を走査電子顕微鏡(SEM)で観察したとき、第2方向に離隔している任意の3地点から第1めっき層131b、132b、第2めっき層131c、132c及び第3めっき層131d、132dのそれぞれの第1方向の大きさを測定した平均値を意味することができるが、特にこれに制限されるものではない。ここで、第2方向に離隔している任意の3地点は、本体110の一面と接する地点または地点の延長線上にある点を意味することができ、屈曲のある角領域ではなく実質的に平行な面を有する本体領域から選択されることが好ましいことができる。
【0127】
第1めっき層131b、132bの平均厚さが5μm以上8μm以下を満たすことにより、接続電極層131a-1、132a-1及びバンド電極層131a-2、132a-2への外部からの水分の浸透を効果的に防止することができ、第2めっき層及び第3めっき層を形成するためのめっき液の浸透を抑制することができ、外部電極131、132の厚さを薄くして積層型電子部品100の小型化及び高容量化を達成することができる。
【0128】
また、第2めっき層131c、132cの平均厚さが2μm以上4μm以下を満たすことにより、接続電極層131a-1、132a-1及びバンド電極層131a-2、132a-2への外部からの水分の浸透を効果的に防止することができ、第3めっき層を形成するためのめっき液の浸透を抑制することができる。
【0129】
そして、第3めっき層131d、132dの平均厚さが2μm以上4μm以下を満たすことにより、接続電極層131a-1、132a-1及びバンド電極層131a-2、132a-2への外部からの水分の浸透を効果的に防止することができ、基板への実装時に半田付け(soldering)との接合力に優れることができる。
【0130】
積層型電子部品100のサイズは特に限定する必要はない。
【0131】
但し、小型化及び高容量化を同時に達成するためには、誘電体層及び内部電極の厚さを薄くして積層数を増加させなければならないため、3216(長さ×幅、3.2mm×1.6mm)サイズ以下の積層型電子部品100で本発明による効果がより顕著になることができる。
【0132】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【0133】
また、本開示において用いられた「一実施形態」という表現は、互いに同一の実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と組み合わせて実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態において説明された事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明として理解することができる。
【0134】
本開示で用いられた用語は、単に一実施形態を説明するために用いられたものであり、本開示を限定する意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0135】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
114、115 サイドマージン部
121、122 内部電極
131、132 外部電極
図1
図2
図3
図4
図5