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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008238
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】ストレッチャブルデバイス
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
H05K1/02 J
H05K1/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110221
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 匠
(72)【発明者】
【氏名】兵頭 洋祐
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338AA01
5E338AA05
5E338AA12
5E338AA16
5E338BB54
5E338BB63
5E338BB75
5E338CD15
5E338CD17
5E338EE26
(57)【要約】      (修正有)
【課題】使用時の荷重によりボディに配置された機能素子が損傷し難いストレッチャブルデバイスを提供する。
【解決手段】ストレッチャブルデバイス100は、樹脂基材10と、樹脂基材10に設けられたアレイ層30と、樹脂基材10とアレイ層30とが配置された厚み方向の両側から樹脂基材10とアレイ層30を挟み、樹脂基材10よりも弾性率が小さい樹脂で形成された一対の樹脂層と、を有し、樹脂基材10は、厚み方向に直交する方向に互いに離隔する複数のボディ部11と、蛇行しながらボディ部11同士を接続する複数のヒンジ部12と、を有し、アレイ層30は、厚み方向から視て、ボディ部11と重なる機能素子36を有し、樹脂層50には、樹脂層50を形成する樹脂よりも弾性率が高い第1剛性部20が設けられ、第1剛性部20は、厚み方向から視て、ボディ部11と重なっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂基材と、
前記樹脂基材に設けられたアレイ層と、
前記樹脂基材と前記アレイ層とが配置された厚み方向の両側から前記樹脂基材と前記アレイ層を挟み、前記樹脂基材よりも弾性率が小さい樹脂で形成された一対の樹脂層と、
を有し、
前記樹脂基材は、
前記厚み方向に直交する方向に互いに離隔する複数のボディ部と、
蛇行しながら前記ボディ部同士を接続する複数のヒンジ部と、
を有し、
前記アレイ層は、前記厚み方向から視て、前記ボディ部と重なる機能素子を有し、
前記樹脂層には、前記樹脂層を形成する樹脂よりも弾性率が高い第1剛性部が設けられ、
前記第1剛性部は、前記厚み方向から視て、前記ボディ部と重なっている
ストレッチャブルデバイス。
【請求項2】
一対の前記樹脂層は、
前記樹脂基材から視て前記アレイ層と反対方向に配置された第1樹脂層と、
前記アレイ層から視て前記樹脂基材と反対方向に配置された第2樹脂層と、
を有し、
前記第1剛性部は、前記第1樹脂層に設けられたガラス片である
請求項1に記載のストレッチャブルデバイス。
【請求項3】
前記ガラス片は、前記厚み方向から視て矩形状に形成された外周面を有し、
前記外周面の角部は、面取りされている
請求項2に記載のストレッチャブルデバイス。
【請求項4】
前記樹脂基材には、前記厚み方向から視て前記ボディ部及び前記第1剛性部と重なり、金属材料で形成された第2剛性部が設けられている
請求項2に記載のストレッチャブルデバイス。
【請求項5】
前記樹脂基材には、前記厚み方向から視て前記ボディ部及び前記第1剛性部と重なり、金属材料で形成された第2剛性部が設けられている
請求項3に記載のストレッチャブルデバイス。
【請求項6】
前記第1剛性部は、前記樹脂層及び前記樹脂基材よりも高い弾性率を有する樹脂で形成されている
請求項1に記載のストレッチャブルデバイス。
【請求項7】
前記第1剛性部は、前記厚み方向から視て前記ボディ部の外形よりも内側に配置されている
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載のストレッチャブルデバイス。
【請求項8】
前記第1剛性部は、前記厚み方向から視て前記機能素子の全てと重なっている
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載のストレッチャブルデバイス。
【請求項9】
前記第1剛性部は、前記厚み方向から視て前記機能素子の全てと重なっている
請求項7に記載のストレッチャブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレッチャブルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ストレッチャブルデバイスは、伸縮性及び可撓性に優れている。ストレッチャブルデバイスは、アレイ層と、アレイ層の基材となる樹脂基材と、アレイ層及び樹脂基材を挟む2つの樹脂層と、を備えている。樹脂基材は、マトリクス状に配置されたボディ部と、ボディ部同士を接続するヒンジ部と、を有している。ヒンジ部の形状は、例えば特許文献1に示すように、蛇行したミアンダ形状となっている。また、ストレッチャブルデバイスのアレイ層には、電気回路が含まれている。電気回路として、例えば荷重検出回路が挙げられる。荷重検出回路は、ひずみゲージとスイッチ素子を備えている。ひずみゲージは、平面視でヒンジ部に重なるように配置される。スイッチ素子は、平面視でボディ部と重なるように配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-118273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ストレッチャブルデバイスに引っ張り荷重が作用すると、ヒンジ部の円弧部が拡大するように変形する。これにより、ヒンジ部の一端から他端までの距離が長くなり、ストレッチャブルデバイスが伸長する。また、ヒンジ部の変形に対応して、ひずみゲージが変形し、ひずみゲージの抵抗値が変化する。そして、この抵抗値の変化量を検出することで、ヒンジ部に作用した荷重の大きさが算出される。一方で、ボディ部が変形すると、ボディ部に配置されたスイッチ素子が損傷する可能性があり、好ましくない。よって、ボディ部に設けられた機能素子(スイッチ素子)が損傷し難いストレッチャブルデバイスの開発が望まれている。
【0005】
本発明は、使用時の荷重によりボディに配置された機能素子が損傷し難いストレッチャブルデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るストレッチャブルデバイスは、樹脂基材と、前記樹脂基材に設けられたアレイ層と、前記樹脂基材と前記アレイ層とが配置された厚み方向の両側から前記樹脂基材と前記アレイ層を挟み、前記樹脂基材よりも弾性率が小さい樹脂で形成された一対の樹脂層と、を有している。前記樹脂基材は、前記厚み方向に直交する方向に互いに離隔する複数のボディ部と、蛇行しながら前記ボディ部同士を接続する複数のヒンジ部と、を有している。前記アレイ層は、前記厚み方向から視て、前記ボディ部と重なる機能素子を有している。前記樹脂層には、前記樹脂層を形成する樹脂よりも弾性率が高い第1剛性部が設けられている。前記第1剛性部は、前記厚み方向から視て、前記ボディ部と重なっている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係るストレッチャブルデバイスの模式図である。
図2図2は、実施形態に係るストレッチャブルデバイスの断面を模式的に示した図であり、詳細には、図3のII-II線に沿って切った断面図である。
図3図3は、実施形態1の第1樹脂層の第1面に配置された樹脂基材を第1厚み方向から視た平面図である。
図4図4は、実施形態1のボディ部とヒンジ部とを拡大した拡大図である。
図5図5は、実施形態1の引っ張り荷重が作用したボディ部とヒンジ部とを拡大した拡大図である。
図6図6は、実施形態1のアレイ層に含まれる電気回路の回路図である。
図7図7は、実施形態1のガラス片を第2厚み方向から視た拡大図である。
図8図8は、実施形態1のストレッチャブルデバイスの製造工程の前半を示すフロー図である。
図9図9は、実施形態1のストレッチャブルデバイスの製造工程の後半を示すフロー図である。
図10図10は、変形例1の第1剛性部を第2厚み方向から視た拡大図である。
図11図11は、変形例2の第1剛性部を第2厚み方向から視た拡大図である。
図12図12は、実施形態2に係るストレッチャブルデバイスの断面を模式的に示した図である。
図13図13は、実施形態2のストレッチャブルデバイスの製造工程の前半を示すフロー図である。
図14図14は、実施形態2のストレッチャブルデバイスの製造工程の中間を示すフロー図である。
図15図15は、実施形態2のストレッチャブルデバイスの製造工程の後半を示すフロー図である。
図16図16は、実施形態3に係るストレッチャブルデバイスの断面を模式的に示した図である。
図17図17は、実施形態3のストレッチャブルデバイスの製造工程の前半を示すフロー図である。
図18図18は、実施形態3のストレッチャブルデバイスの製造工程の後半を示すフロー図である。
図19図19は、実施形態4に係るストレッチャブルデバイスの断面を模式的に示した図である。
図20図20は、実施形態4のストレッチャブルデバイスの製造工程の前半を示すフロー図である。
図21図21は、実施形態4のストレッチャブルデバイスの製造工程の後半を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示の発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の構成要素には、同一の符号を付し、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
また、本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0010】
(実施形態1)
図1は、実施形態に係るストレッチャブルデバイスの模式図である。図2は、実施形態に係るストレッチャブルデバイスの断面を模式的に示した図であり、詳細には、図3のII-II線に沿って切った断面図である。図1及び図2に示すように、ストレッチャブルデバイス100は、板状に形成されている。ストレッチャブルデバイス100は、互いに反対方向を向く表面1と裏面2(図1で不図示。図2参照)を有している。以下、表面1及び裏面2のそれぞれと平行な方向を平面方向と称する。
【0011】
図1に示すように、ストレッチャブルデバイス100は、表面1と対向する方向から視た場合、長方形に形成されている。よって、表面1は、一対の長辺3と、一対の短辺4と、を有している。以下、長辺3と平行な方向を長手方向と称し、短辺4と平行な方向を交差方向と称する。
【0012】
図2に示すように、ストレッチャブルデバイス100は、順に積層された第1樹脂層50、樹脂基材10、アレイ層30、及び第2樹脂層60を備えている。なお、第1樹脂層50及び第2樹脂層60を一対の樹脂層と称することがある。
【0013】
以下、第1樹脂層50、樹脂基材10、アレイ層30、及び第2樹脂層60が積層された方向を厚み方向と称する。厚み方向に関し、第1樹脂層50から視て第2樹脂層60が配置される方向を第1厚み方向Z1と称し、第1厚み方向Z1の反対方向を第2厚み方向Z2と称する。さらに、第1厚み方向Z1又は第2厚み方向Z2からストレッチャブルデバイス100を視ることを平面視と称する。
【0014】
第1樹脂層50及び第2樹脂層60は、樹脂により形成され、絶縁性、伸縮性、及び可撓性を有している。第1樹脂層50及び第2樹脂層60として使用される樹脂として、アクリル系樹脂が挙げられる。アクリル系樹脂の弾性率は、0.1~10MPaである。なお、本開示の第1樹脂層50及び第2樹脂層60は、アクリル系樹脂に限定されず、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などであってもよく、特に限定はない。
【0015】
第1樹脂層50及び第2樹脂層60は、板状に形成され、平面方向に延在している。第1樹脂層50の第2厚み方向Z2の面は、ストレッチャブルデバイス100の裏面2を構成している。第1樹脂層50は、第1厚み方向Z1を向く第1面51を有している。第1面51に樹脂基材10が積層される。また、第1樹脂層50に第1剛性部20が設けられている。なお、第1剛性部20の詳細は後述する。
【0016】
第2樹脂層60の第1厚み方向Z1の面は、ストレッチャブルデバイス100の表面1を構成している。第2樹脂層60の第2厚み方向Z2の面61は、アレイ層30を第1厚み方向Z1から覆っている。第2樹脂層60の長手方向の端部及び交差方向の端部には、面61よりも第2厚み方向Z2に突出する枠部62が設けられている。
【0017】
枠部62は、平面視で環状を成し、樹脂基材10及びアレイ層30の外周側を囲んでいる。枠部62の第2厚み方向の面が第1樹脂層50の第1面51と接着している。よって、第1樹脂層50及び第2樹脂層60は、互いに協働して樹脂基材10及びアレイ層30を収容する筐体となっている。
【0018】
図3は、実施形態1の第1樹脂層の第1面に配置された樹脂基材を第1厚み方向から視た平面図である。なお、図3において、樹脂基材10を見易くするため、樹脂基材10にハッチングを入れている。樹脂基材10は、第1樹脂層50の第1面51に粘着している。樹脂基材10は、伸縮性、可撓性、及び絶縁性を有している。樹脂基材10は、例えばポリイミドなどの樹脂材料から形成されている。
【0019】
樹脂基材10は、複数のボディ部11と、蛇行しながら延在する複数のヒンジ部12と、接続用ボディ部(不図示)と、接続用ヒンジ部18と、を備えている。接続用ボディ部(不図示)は、第1面51のうち、長手方向の一端部(図1に示す破線A参照)に配置されている。また、接続用ボディ部(不図示)には、第1厚み方向Z1にアレイ層30の接続部40が設けられる。ボディ部11とヒンジ部12は、第1面51のうち、長手方向の一端部を除く領域に配置されている(図1に示す破線B参照)。接続用ヒンジ部18は、図1に示す破線Aと破線Bとの間に配置されている。
【0020】
以下、長手方向に関し、接続用ヒンジ部18から視てボディ部11とヒンジ部12が配置される方向を第1長手方向X1と称し、第1長手方向X1と反対方向を第2長手方向X2と称する。また、交差方向に関し、ストレッチャブルデバイス100を第1厚み方向Z1から視た場合、右手が配置される方向を第1交差方向Y1と称し、左手が配置される方向を第2交差方向Y2と称する。
【0021】
図4は、実施形態1のボディ部とヒンジ部とを拡大した拡大図である。ボディ部11は、平面視で四角形状(正方形状)となっている。ボディ部11は、4つの角部が長手方向と交差方向を指すように配置されている。図3に示すように、複数のボディ部11は、長手方向と交差方向に配列し、かつ互いに離隔している。なお、本開示は、平面視でのボディ部11の形状に関し、四角形状に限定されず、円形状や他の多角形状であってもよい。
【0022】
図3に示すように、ヒンジ部12は、長手方向に延在する縦ヒンジ部12Aと、交差方向に延在する横ヒンジ部12Bと、を有している。平面視で、縦ヒンジ部12Aを90°回転させると、横ヒンジ部12Bと同一形状となる。よって、以下のヒンジ部12の説明では、縦ヒンジ部12Aを代表例として説明し、横ヒンジ部12Bの説明を省略する。
【0023】
図4に示すように、縦ヒンジ部12Aは、4つの屈曲部13を有し、蛇行しながら長手方向に延在している。本実施形態の各屈曲部13は、円弧状を成している。なお、本開示の屈曲部は、円弧状でなく、角状に形成されていてもよい。また、屈曲部の数は、4つに限定されない。
【0024】
4つの屈曲部13は、第2長手方向X2から順に配置される第1円弧部14、第2円弧部15、第3円弧部16、第4円弧部17である。第1円弧部14及び第4円弧部17は、四分円状を成し、90度折れ曲がっている。第2円弧部15及び第3円弧部16は、半円弧状を成し、180度折れ曲がっている。
【0025】
図5は、実施形態1の引っ張り荷重が作用したボディ部とヒンジ部とを拡大した拡大図である。図5に示すように、長手方向の引っ張り荷重(図5の矢印C参照)が縦ヒンジ部12Aに作用すると、第1円弧部14、第2円弧部15、第3円弧部16、及び第4円弧部17は、それぞれ曲率が小さくなるように変形する。この結果、縦ヒンジ部12Aの一端から他端までの距離が大きくなり、ボディ部11同士が離隔する。また、特に図示しないが長手方向の圧縮荷重が縦ヒンジ部12Aに作用した場合、第1円弧部14、第2円弧部15、第3円弧部16、及び第4円弧部17は、それぞれ曲率が大きくなるように変形する。この結果、縦ヒンジ部12Aの一端から他端までの距離が小さくなり、ボディ部11同士が近接する。
【0026】
図3に示すように、環状(四角形状)に配置された4つのヒンジ部12により囲まれる部分は、樹脂基材10を厚み方向に貫通する肉抜き部19となっている。つまり、樹脂基材10は、複数の肉抜き部19を有している。
【0027】
図2に示すように、肉抜き部19は、第2樹脂層60により埋められている。つまり、ヒンジ部12の長手方向の隣、又は交差方向の隣には、剛性が低い(弾性率が高い)第2樹脂層60が配置されている。このため、ストレッチャブルデバイス100に荷重が作用すると、ヒンジ部12が変形する。
【0028】
なお、本実施形態の肉抜き部19は、第2樹脂層60により埋められているが、本開示は、第1樹脂層50により埋められてもよい。または、肉抜き部19は、第1樹脂層50と第2樹脂層60のそれぞれにより埋められていてもよい。若しくは、肉抜き部19は、第1樹脂層50と第2樹脂層60以外の樹脂により埋められていてもよい。そのほか、肉抜き部19は、何も配置されておらず、空間となっていてもよい。
【0029】
図3に示すように、接続用ヒンジ部18は、長手方向に延在している。接続用ヒンジ部18の第1長手方向X1の端部は、ボディ部11と接続している。接続用ヒンジ部18の第2長手方向X2の端部は、図示しない接続部用ボディと接続している。接続用ヒンジ部18は、ヒンジ部12と同じように、複数の屈曲部18aを有し、長手方向に蛇行しながら延在している。接続用ヒンジ部18同士の間は、肉抜き部19となっており、第2樹脂層60により埋められている。よって、ストレッチャブルデバイス100に荷重が作用すると、接続用ヒンジ部18も変形する。
【0030】
図2に示すように、アレイ層30は、樹脂基材10の第1厚み方向Z1の面に設けられている。アレイ層30は、厚み方向に積層される複数の絶縁層(不図示)と、複数の絶縁層により外部との絶縁性が確保された荷重検出回路31(図6参照)を備えている。
【0031】
図6は、実施形態1のアレイ層に含まれる電気回路の回路図である。図6に示すように、荷重検出回路31は、ひずみゲージ32と、ゲート線33と、信号線34と、電力供給線35と、トランジスタ36と、ゲート線駆動回路37(図1参照)と、信号線選択回路38(図1参照)と、電力供給線選択回路39(図1参照)と、接続部40(図1参照)と、を有している。
【0032】
図3に示すように、ひずみゲージ32は、縦ヒンジ部12Aに配置され、縦ヒンジ部12Aに沿って延在している。よって、縦ヒンジ部12Aが変形すると、ひずみゲージ32も変形し、ひずみゲージ32の抵抗値が変わる。なお、本実施形態のひずみゲージ32は、縦ヒンジ部12Aに配置されているが、本開示は、ひずみゲージ32が横ヒンジ部12Bにも配置されてもよい。
【0033】
また、ひずみゲージ32は、全ての縦ヒンジ部12Aに配置されていない。詳細に説明すると、複数の縦ヒンジ部12Aのうち、交差方向の両側に配置される縦ヒンジ部12A(図1の破線B1で囲まれる範囲を参照)に、ひずみゲージ32が配置されていない。また、複数の縦ヒンジ部12Aのうち、第2長手方向X2の端部に配置される縦ヒンジ部12A(図1の破線B2及びB3で囲まれる範囲を参照)に、ひずみゲージ32が配置されていない。つまり、ひずみゲージ32は、縦ヒンジ部12Aのうち、図1の破線B4で囲まれる範囲に配置された縦ヒンジ部12Aにのみ配置されている。以下、ひずみゲージ32が配置された領域を検出領域B4と称する。
【0034】
図3に示すように、ゲート線33は、複数の横ヒンジ部12Bと複数のボディ部11に跨って配置されることで、検出領域B4を交差方向に延在している。信号線34及び電力供給線35は、複数の縦ヒンジ部12Aと複数のボディ部11に跨って配置されることで、検出領域B4を長手方向に延在している。
【0035】
トランジスタ36は、検出領域B4に配置された各ボディ部11に配置されている。図6に示すように、トランジスタ36のゲート電極は、ゲート線33と接続している。トランジスタ36のドレイン電極は、電力供給線35と接続している。トランジスタ36のソース電極は、ひずみゲージ32を介して信号線34に接続している。
【0036】
ゲート線駆動回路37は、駆動IC(Integrated Circuit)からの制御信号に基づいて複数のゲート線33を駆動する回路である。ゲート線駆動回路37は、複数のボディ部11及び複数のヒンジ部12のうち、交差方向の両側に配置された複数のボディ部11及び複数のヒンジ部12(図1の破線B1で囲まれる範囲を参照)に配置されている。
【0037】
信号線選択回路38は、駆動ICからの制御信号に基づいて複数の信号線34を順次又は同時に選択するスイッチ回路である。図1に示すように、信号線選択回路38は、複数のボディ部11及び複数のヒンジ部12のうち、第2長手方向X2の端部に配置された複数のボディ部11及び複数のヒンジ部12(図1の破線B2で囲まれる範囲を参照)に配置されている。
【0038】
電力供給線選択回路39は、駆動ICからの制御信号に基づいて複数の電力供給線を順次又は同時に選択するスイッチ回路である。図1に示すように、電力供給線選択回路39は、複数のボディ部11及び複数のヒンジ部12のうち、第2長手方向X2の端部(図1の破線B3で囲まれる範囲を参照)に配置された複数のボディ部11及び複数のヒンジ部12に配置されている。
【0039】
接続部40は、ストレッチャブルデバイス100の外部に配置された駆動IC(Integrated Circuit)と接続するためのものである。なお、本開示においての駆動ICは、接続部40に接続されたフレキシブルプリント基板や、リジット基板の上にCOF(Chip On Film)として実装されてもよい。
【0040】
荷重検出回路31の動作例を説明する。図6に示すように、ゲート線駆動回路37により選択された1つのゲート線33が駆動すると、そのゲート線33に接続する交差方向の複数のトランジスタ36が閉じる。また、電力供給線選択回路39が1つ又は複数の電力供給線35を選択する。これにより、トランジスタ36を介して、選択された電力供給線35からひずみゲージ32に信号(例えば電圧値)が供給される。
【0041】
ここで、縦ヒンジ部12Aが変形していない場合、ひずみゲージ32を流れる信号の電圧値は所定値となる。一方、縦ヒンジ部12Aが変形していると、ひずみゲージ32の抵抗値が変化する。つまり、ひずみゲージ32を流れる信号は、所定値と異なる電圧値を示す。ひずみゲージ32から出力された信号(検出結果)は、信号線34に供給される。信号線34は、信号線選択回路38により選択された場合、接続部40を介して外部の演算装置(不図示)に信号(検出結果)を供給する。演算装置は、受け取った信号(検出結果)からヒンジ部12に作用した荷重を算出する。次に第1剛性部20の詳細を説明する。
【0042】
図2に示すように、第1剛性部20は、一対の樹脂層(第1樹脂層50及び第2樹脂層60)を形成する樹脂よりも弾性率が高い材料で形成されている。本実施形態の第1剛性部20は、ガラスで形成されたガラス片21である。よって、第1剛性部20は、第1樹脂層50及び第2樹脂層60よりも高い剛性を有している。
【0043】
ガラス片21は、板状に形成され、平面方向に延在している。ガラス片21は、第1樹脂層50に埋設している。ガラス片21の第1厚み方向Z1の面21aは、第1樹脂層50の第1面51と平行となっている。ガラス片21の第1厚み方向Z1の面21aは、樹脂基材10のボディ部11に当接している。つまり、ガラス片21は、ボディ部11と厚み方向に重なっている。このため、ボディ部11が変形し難く、ボディ部11の第1厚み方向Z1に配置されたトランジスタ36(機能素子)の破損が抑制される。
【0044】
図7は、実施形態1のガラス片を第2厚み方向から視た拡大図である。図7に示すように、平面視でガラス片21は四角形状に形成されている。よって、ガラス片21の外周面22は、4つの側面23と、側面23同士が交わる4つの角部24と、を有している。4つの角部24が長手方向及び交差方向を指すように、ガラス片21が配置されている。平面視で、ガラス片21はトランジスタ36(機能素子)よりも大きい。言い換えると、ガラス片21は、トランジスタ36(機能素子)の全てと重なっている。このため、トランジスタ36(機能素子)の破損が確実に抑制される。
【0045】
また、平面視でガラス片21はボディ部11よりも小さい。つまり、ガラス片21の外周面22は、ボディ部11の外側に飛び出ていない。仮にガラス片21の一部がボディ部11とヒンジ部12との境界線Lを超えてヒンジ部12に配置された場合、ガラス片21がヒンジ部12の変形を阻害する。一方、本実施形態によれば、ガラス片21は、境界線Lを超えておらず、ヒンジ部12に配置されていない。また、ガラス片21は、肉抜き部19にも配置されていない。よって、ガラス片21は、ヒンジ部12の変形や、肉抜き部19内の第2樹脂層60の変形を阻害しない。つまり、ガラス片21を設けてもストレッチャブルデバイス100の伸縮性及び可撓性が阻害されない。次に、実施形態1のストレッチャブルデバイス100の製造方法について説明する。
【0046】
図8は、実施形態1のストレッチャブルデバイスの製造工程の前半を示すフロー図である。図9は、実施形態1のストレッチャブルデバイスの製造工程の後半を示すフロー図である。なお、以下の説明において、アレイ層30のうちボディ部11と重なる部分をボディアレイ層30Aと称し、ヒンジ部12と重なる部分をヒンジアレイ層30Bと称する。
【0047】
図8図9に示すように、ストレッチャブルデバイス100の製造方法S100は、準備工程S1と、樹脂基材形成工程S3と、アレイ層形成工程S5と、第2樹脂層形成工程S7と、トリミング工程S9と、リフトオフ工程S11と、第1樹脂層形成工程S13と、を含む。
【0048】
図8に示すように、準備工程S1は、ガラス板120を準備する工程である。ガラス板120は、第1厚み方向Z1を向く第1面121と、第2厚み方向Z2を向く第2面122と、を有している。
【0049】
樹脂基材形成工程S3は、ガラス板120の第1面121にベタ膜である樹脂層を成膜する。その後、エッチングにより不要な部分を除去し、樹脂基材10を形成する工程である。
【0050】
アレイ層形成工程S5は、樹脂基材10の第1厚み方向Z1にアレイ層30を形成する工程である。これにより、ボディ部11の第1厚み方向Z1に、ボディアレイ層30Aが設けられる。ヒンジ部12の第1厚み方向Z1には、ヒンジアレイ層30Bが設けられる。なお、ボディアレイ層30Aにトランジスタ36(図6参照)が含まれている。
【0051】
第2樹脂層形成工程S7は、予め成形された第2樹脂層60を、アレイ層30及び樹脂基材10に重ねる工程である。第2樹脂層60は粘着性が高い。よって、第2樹脂層60は、アレイ層30及び樹脂基材10と粘着する。なお、アレイ層30及び樹脂基材10の外周側は、第2樹脂層60の枠部62により囲まれる。
【0052】
トリミング工程S9は、ガラス板120の第2面122にレーザを照射し、ガラス板120に亀裂123を形成する工程である。亀裂123は、ボディ部11の外形と重なるように形成され、環状となっている。以下、亀裂123の内部を中間ガラス片124と称し、残りをガラス板120の残部125と称する。
【0053】
リフトオフ工程S11は、樹脂基材10からガラス板120の残部125を剥がす工程である。具体的に、リフトオフ工程S11は、中間ガラス片124の第2厚み方向Z2にマスク130を配置する。次に、マスク130の第2厚み方向Z2から、樹脂基材10の第2厚み方向Z2の面10aに向かってレーザを照射する。これにより、樹脂基材10と残部125との間に空隙が形成され、残部125を剥がすことができる。一方で、中間ガラス片124と樹脂基材10の接着面は、マスク130で覆われ、レーザが入射しない。中間ガラス片124と樹脂基材10の接着が維持される。これにより、中間ガラス片124がガラス片21となる。そのほか、マスク130により、ボディアレイ層30Aにレーザが入射しない。よって、トランジスタ36の性能が劣化しない。
【0054】
第1樹脂層形成工程S13は、予め成形された第1樹脂層50を、樹脂基材10の第2厚み方向Z2から重ねる工程である。第1樹脂層50は、樹脂基材10と粘着する。また、第1樹脂層50は、第2樹脂層60と接着剤により接着させる。これにより、ガラス片21を有するストレッチャブルデバイス100が完成する。
【0055】
以上、実施形態1について説明したが、本開示は上記した例に限定されない。例えば、実施形態1では、アレイ層30に含まれる電気回路が荷重検出回路31となっているが、本開示は、表面1に加えられた荷重を検出する圧力検出回路や、表面1に入射した光を検出する検出回路などであってもよく、特に限定されない。
【0056】
また、実施形態1において、平面視した第1剛性部20(ガラス片21)の形状は、矩形状(四角形)となっているが、本開示はこの形状に限定されない。次に、第1剛性部20の形状を変更した変形例1と変形例2について説明する。また、以下の説明では実施形態1との相違点に絞って説明する。
【0057】
(変形例1)
図10は、変形例1の第1剛性部を第2厚み方向から視た拡大図である。図10に示すように、変形例1の第1剛性部20Aは、平面視で矩形状と成っている点で、実施形態1の第1剛性部20と共通する。但し、第1剛性部20Aの角部24Aは、R面取りされている点で、実施形態1の第1剛性部20と相違する。つまり、平面視で、角部24Aは円弧状に形成されている。
【0058】
ここで、ストレッチャブルデバイス100に圧縮荷重や折り曲げ荷重が作用すると、第1剛性部20Aの角部24Aに第1樹脂層50が押し付けられる。実施形態1の角部24は尖っているため、第1樹脂層50が裂ける可能性がある。一方、変形例1の角部24Aは尖っていないため、第1樹脂層50が裂ける可能性が極めて小さい。よって、第1樹脂層50の耐久性が向上する。
【0059】
(変形例2)
図11は、変形例2の第1剛性部を第2厚み方向から視た拡大図である。図11に示すように、変形例2の第1剛性部20Bは、平面視で矩形状と成っている点で、実施形態1の第1剛性部20と共通する。但し、第1剛性部20Bの角部24Bは、角面取りされている点で、実施形態1の第1剛性部20と相違する。つまり、平面視で、角部24Aは直線状に形成されている。このような角部24Bであれば、変形例1と同様に、第1樹脂層50が裂ける可能性が極めて小さく、第1樹脂層50の耐久性が向上する。
【0060】
また、実施形態1のストレッチャブルデバイス100では、第1剛性部20を有する例を挙げたが、本開示は、ガラス片21(第1剛性部20)の他にさらに第2剛性部を備えていてもよい。以下、第1剛性部20と第2剛性部を備えた実施形態2のストレッチャブルデバイス100Cについて説明する。
【0061】
(実施形態2)
図12は、実施形態2に係るストレッチャブルデバイスの断面を模式的に示した図である。図13は、実施形態2のストレッチャブルデバイスの製造工程の前半を示すフロー図である。図14は、実施形態2のストレッチャブルデバイスの製造工程の中間を示すフロー図である。図15は、実施形態2のストレッチャブルデバイスの製造工程の後半を示すフロー図である。実施形態2のストレッチャブルデバイス100Cは、第1樹脂層50にガラス片21(第1剛性部20)が設けられている点で、実施形態1と共通する。ただし、実施形態2のストレッチャブルデバイス100Cは、さらに第2剛性部27が設けられている点で、実施形態1と相違する。
【0062】
第2剛性部27は、金属材料で形成された金属片である。金属材料の種類は、樹脂層(第1樹脂層50及び第2樹脂層60)よりも高い弾性率を示すものであれば特に限定されない。第2剛性部27は、平面視でボディ部11及び第1剛性部20と重なっている。第2剛性部27は、樹脂基材10に設けられている。この実施形態2によれば、ボディ部11の変形が抑制される。よって、機能素子(トランジスタ36)の破損が確実に回避される。
【0063】
図13から図15に示すように、ストレッチャブルデバイス100Cの製造方法S200は、準備工程S1と、第2剛性部形成工程S2と、樹脂基材形成工程S3と、アレイ層形成工程S5と、第2樹脂層形成工程S7と、トリミング工程S9と、リフトオフ工程S11と、第1樹脂層形成工程S13と、を含む。実施形態2の製造方法S200は、第2剛性部形成工程S2を含んでいる点で、実施形態1の製造方法S100と相違する。なお、実施形態1で説明した工程については簡単に説明する。
【0064】
図13に示すように、準備工程S1は、ガラス板120を準備する工程である。第2剛性部形成工程S2は、ガラス板120の第1面121に第2剛性部27を形成する工程である。第2剛性部27の形成方法は特に限定されないが、例えば、ガラス板120の第1面121にベタ膜である金属層を形成し、その後エッチングにより不要な部分を除去し、第2剛性部27を形成する方法が挙げられる。
【0065】
樹脂基材形成工程S3は、樹脂基材10をガラス板120の第1厚み方向Z1に形成する工程である。本実施形態では、ガラス板120の第1面121に第2剛性部27が設けられているため、第2剛性部27を覆うようにベタ膜である樹脂層を成膜し、その後、パエッチングを行い、樹脂基材10を形成する。
【0066】
図14に示すように、アレイ層形成工程S5は、樹脂基材10の第1厚み方向Z1にアレイ層30を形成する工程である。第2樹脂層形成工程S7は、予め成形された第2樹脂層60を、アレイ層30及び樹脂基材10に重ねる工程である。トリミング工程S9は、ガラス板120の第2面122にレーザを照射し、亀裂123を形成する工程である。
【0067】
図15に示すように、リフトオフ工程S11は、樹脂基材10からガラス板120の残部125を剥がす工程である。なお、本実施形態では、第2剛性部27が設けられているため、中間ガラス片124の第2厚み方向Z2にマスク130を配置しない。樹脂基材10の第2厚み方向Z2の面10aに向かってレーザを照射すると、樹脂基材10と残部125との間に空隙が形成され、樹脂基材10から残部125が剥がれる。また、リフトオフ工程S11のレーザのエネルギー量では、中間ガラス片124と第2剛性部27との接合面に空隙が形成されず、接合状態が維持される。よって、中間ガラス片124は剥がれず、ガラス片21として残る。また、第2剛性部27によりトランジスタ36にレーザが入射しない。よって、トランジスタ36の性能が劣化しない。
【0068】
第1樹脂層形成工程S13は、予め成形された第1樹脂層50を、樹脂基材10の第2厚み方向Z2から重ねる工程である。これにより、ガラス片21及び第2剛性部27を有するストレッチャブルデバイス100Cが完成する。
【0069】
以上、実施形態1及び実施形態2では、第1剛性部20としてガラス片21を用いた例を挙げたが、本開示は、ガラス以外の材料で形成された第1剛性部20を用いてもよい。実施形態3では、ガラス以外の材料で形成された第1剛性部20を備えたストレッチャブルデバイス100Dについて説明する。
【0070】
(実施形態3)
図16は、実施形態3に係るストレッチャブルデバイスの断面を模式的に示した図である。図17は、実施形態3のストレッチャブルデバイスの製造工程の前半を示すフロー図である。図18は、実施形態3のストレッチャブルデバイスの製造工程の後半を示すフロー図である。
【0071】
実施形態3のストレッチャブルデバイス100Dは、ガラス片21に代えて樹脂片28を有している点で、実施形態1と相違する。樹脂片28は、第1樹脂層50に設けられている。樹脂片28は、樹脂層(第1樹脂層50及び第2樹脂層60)よりも高い弾性率を示す樹脂材料で形成されている。このような実施形態3の第1剛性部20(樹脂片28)によっても、ボディ部11の変形が抑制され、機能素子(トランジスタ36)の破損が抑制される。
【0072】
図17図18に示すように、ストレッチャブルデバイス100Dの製造方法S300は、準備工程S1と、樹脂基材形成工程S3と、アレイ層形成工程S5と、第2樹脂層形成工程S7と、リフトオフ工程S11と、樹脂片形成工程S12と、第1樹脂層形成工程S13と、を含む。なお、実施形態3の製造方法S300は、トリミング工程S9を含んでいない点で、実施形態1の製造方法S100と相違する。また、実施形態3の製造方法S300は、樹脂片形成工程S12を含んでいる点で、実施形態1の製造方法S100と相違する。
【0073】
図17に示すように、準備工程S1において、ガラス板120を準備する。樹脂基材形成工程S3において、樹脂基材10をガラス板120の第1厚み方向Z1に形成する。アレイ層形成工程S5において、樹脂基材10の第1厚み方向Z1にアレイ層30を形成する。第2樹脂層形成工程S7において、第2樹脂層60をアレイ層30及び樹脂基材10に重ね、粘着させる。
【0074】
図18に示すように、リフトオフ工程S11は、ガラス板120の第2厚み方向Z2から樹脂基材10の面10aに向かってレーザを照射する。また、本実施形態ではマスク130は使用しない。これによれば、ガラス板120の全てが樹脂基材10から剥がれる。
【0075】
樹脂片形成工程S12は、樹脂基材10の面10aにベタ膜である樹脂層を成膜し、その後、エッチングを行い樹脂片28を形成する。第1樹脂層形成工程S13は、予め成形された第1樹脂層50を、樹脂基材10の第2厚み方向Z2に配置する工程である。これにより、ガラス片21を有するストレッチャブルデバイス100Dが完成する。
【0076】
なお、実施形態3では、第1樹脂層50に樹脂片28が設けられているが、本開示はこれに限定されない。以下、樹脂片28の位置を変更した実施形態4を説明する。
【0077】
(実施形態4)
図19は、実施形態4に係るストレッチャブルデバイスの断面を模式的に示した図である。図20は、実施形態4のストレッチャブルデバイスの製造工程の前半を示すフロー図である。図21は、実施形態4のストレッチャブルデバイスの製造工程の後半を示すフロー図である。
【0078】
実施形態4のストレッチャブルデバイス100Eは、樹脂片28が第2樹脂層60に設けられている点で、実施形態3と相違する。この樹脂片28は、アレイ層30のボディアレイ層30Aの第1厚み方向Z1に配置されている。このストレッチャブルデバイス100Eによれば、ボディ部11の変形が抑制され、ボディアレイ層30Aに設けられた機能素子(トランジスタ36)の破損が抑制される。
【0079】
図20図21に示すように、ストレッチャブルデバイス100Eの製造方法S400は、準備工程S1と、樹脂基材形成工程S3と、アレイ層形成工程S5と、樹脂片形成工程S6と、第2樹脂層形成工程S7と、リフトオフ工程S11と、第1樹脂層形成工程S13と、を含む。なお、実施形態4の製造方法S300は、樹脂片形成工程S12を含んでいない点で、実施形態3の製造方法S300と相違する。また、実施形態4の製造方法S300は、樹脂片形成工程S6を含んでいる点で、実施形態3の製造方法S300と相違する。
【0080】
図20に示すように、準備工程S1において、ガラス板120を準備する。樹脂基材形成工程S3において、樹脂基材10をガラス板120の第1厚み方向Z1に形成する。アレイ層形成工程S5において、樹脂基材10の第1厚み方向Z1にアレイ層30を形成する。
【0081】
樹脂片形成工程S6は、アレイ層30の第1厚み方向Z1の面にベタ膜である樹脂層を成膜し、その後、エッチングを行い樹脂片28を形成する。第2樹脂層形成工程S7において、樹脂片28の第1厚み方向Z1から第2樹脂層60を重ね、樹脂片28、アレイ層30、及び樹脂基材10のそれぞれに対し、第2樹脂層60を粘着させる。
【0082】
図21に示すように、リフトオフ工程S11は、ガラス板120の第2厚み方向から樹脂基材10の第2厚み方向の面10aに向かってレーザを照射する。また、本実施形態ではマスク130は使用しない。これによれば、ガラス板120の全てが樹脂基材10から剥がれる。第1樹脂層形成工程S13は、予め成形された第1樹脂層50を、樹脂基材10の第2厚み方向Z2に配置し、第1樹脂層50と第2樹脂層60とを接着させる。これにより、ガラス片21を有するストレッチャブルデバイス100Eが完成する。
【0083】
なお、実施形態3では、樹脂基材10と別体である樹脂片28を用いた例を挙げたが、樹脂基材10と樹脂片28が一体となっていてもよい。つまり、厚み方向の厚さが異なる樹脂基材10を形成し、厚みが厚い部分を第1剛性部20としてもよい。
【符号の説明】
【0084】
100、100C、100D、100E ストレッチャブルデバイス
10 樹脂基材
11 ボディ部
12 ヒンジ部
13 屈曲部
18 接続用ヒンジ部
19 肉抜き部
20、20A、20B 第1剛性部
21 ガラス片
22 外周面
23 側面
24、24A、24B 角部
27 第2剛性部
28 樹脂片
30 アレイ層
31 荷重検出回路
32 ひずみゲージ
36 トランジスタ(機能素子)
50 第1樹脂層
51 第1面
60 第2樹脂層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
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図19
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図21