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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025082491
(43)【公開日】2025-05-29
(54)【発明の名称】ブース
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20250522BHJP
   A47B 83/02 20060101ALI20250522BHJP
【FI】
E04H1/12 302Z
E04H1/12 A
A47B83/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023195848
(22)【出願日】2023-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000108627
【氏名又は名称】タカノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】岩室 裕巳
(72)【発明者】
【氏名】松本 忍
(72)【発明者】
【氏名】田中 太郎
(72)【発明者】
【氏名】▲鶴▼▲崎▼ 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】高木 梨帆
(72)【発明者】
【氏名】後藤 由芽
(72)【発明者】
【氏名】小林 優季
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 利憲
(72)【発明者】
【氏名】村上 利造
(72)【発明者】
【氏名】酒井 徹
【テーマコード(参考)】
3B260
【Fターム(参考)】
3B260AB01
3B260AB06
3B260AC00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】床面積の多くの部分が置き家具により占有され、執務や打ち合わせ以外の広い用途に使用するのが難かしいという課題を解決する。
【解決手段】ブースAを、既存の床F上に載置される剛性を有した底盤1を有しその底盤1上に形成された室内空間Sを開口部Baを通して外部に開放してなる可搬式のブース本体Bと、このブース本体Bの底盤1に立設された棒状の固定家具Hとを具備してなるものにした。固定家具Hは、家具本体7と、この家具本体7の横架部73に付設した家具機能付加部材8Aとを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存の床上に載置される剛性を有した底盤を有しその底盤上に形成された室内空間を開口部を通して外部に開放してなる可搬式のブース本体と、このブース本体の底盤に立設された棒状の固定家具とを具備してなるブース。
【請求項2】
前記ブース本体が、平面視四辺形をなす底盤と、この底盤の左右の縁部に立設された一対の竪壁と、これら竪壁に支持されて前記底盤との間に前記室内空間を形成する天井壁とを備えたものであり、
前記竪壁の少なくとも前端縁間に前記開口部が形成されている請求項1記載のブース。
【請求項3】
前記固定家具が、パイプ素材により一体に形成された家具本体を備えたものであり、パイプ素材の端部を前記底盤に固定している請求項1記載のブース。
【請求項4】
前記家具本体が、下端部が前記底盤に固設された起立部と、この起立部の上端から水平方向に延出させた横架部とを備えたものである請求項3記載のブース。
【請求項5】
前記横架部が、相互に高さ位置が異なる複数種類の領域を備えたものである請求項4記載のブース。
【請求項6】
前記横架部が、相互に延出方向が異なる複数種類の領域を備えたものである請求項4記載のブース。
【請求項7】
前記固定家具は、前記家具本体と、この家具本体の横架部に付設した家具機能付加部材とを備えたものである請求項3記載のブース。
【請求項8】
前記家具機能付加部材が、横架部の一部に設けられた椅子的機能を付加するためのものである請求項7記載のブース。
【請求項9】
家具機能付加部材が、横架部の一部に設けられた補助テーブル的機能を付加するためのものである請求項7記載のブース。
【請求項10】
前記ブース本体の開口部の下縁部分に、前記底盤の上面を既存の床面に滑らかに連続させるためのスロープ部材が配されている1、2、3、4、5、6、7、8、又は9記載のブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等において好適に使用されるブースに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、働き方の多様化に伴い、オフィスの一角や駅の構内等に、周囲から隔離された空間を形成するためのブースが見受けられるようになっている。
【0003】
ところで、従来のこの種ブースとしては、防音室ともいえるクローズドタイプのもの(特許文献1参照)が主流であり、内部に執務や打ち合せに用いる椅子等の置き家具が配設されている。
【0004】
ところが、かかる置き家具は容積が大きく、ブースの内部空間を狭めてしまうきらいがあり、ブース内で身体を積極的に動かしたり、ブースに気軽に出入りしてコミュニケーションをとったりすることができる構成にはなっていない。
【0005】
そのため、空間を広く使いつつ体や動作をサポートする役割や、外と内とをつなぐ役割や、不特定の人を内部空間に呼び込んでコミュニケーションをとらせる役割などを担うことができる新しい発想のブースの出現が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022―190615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、床面積の多くの部分が置き家具により占有され執務や打ち合わせ以外の広い用途に使用するのが難かしいという課題を解消することができる新しい発想のブースを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明に係るブースは、既存の床上に載置される剛性を有した底盤を有しその底盤上に形成された室内空間を開口部を通して外部に開放してなる可搬式のブース本体と、このブース本体の底盤に立設された棒状の固定家具とを具備してなるものである。
【0009】
請求項2記載の発明に係るブースは、請求項1記載のものを前提とし、前記ブース本体が、平面視四辺形をなす底盤と、この底盤の左右の縁部に立設された一対の竪壁と、これら竪壁に支持されて前記底盤との間に前記室内空間を形成する天井壁とを備えたものであり、前記竪壁の少なくとも前端縁間に前記開口部が形成されているものである。
【0010】
請求項3記載の発明に係るブースは、請求項1記載のものを前提とし、前記固定家具が、パイプ素材により一体に形成された家具本体を備えたものであって、パイプ素材の端部を前記底盤に固定しているものである。
【0011】
請求項4記載の発明に係るブースは、請求項3記載のものを前提とし、前記家具本体が、下端部が前記底盤に固設された起立部と、この起立部の上端から水平方向に延出させた横架部とを備えたものである。
【0012】
請求項5記載の発明に係るブースは、請求項4記載のものを前提とし、前記横架部が、相互に高さ位置が異なる複数種類の領域を備えたものである。
【0013】
請求項6記載の発明に係るブースは、請求項4記載のものを前提とし、前記横架部が、相互に延出方向が異なる複数種類の領域を備えたものである。
【0014】
請求項7記載の発明に係るブースは、請求項3記載のものを前提とし、前記固定家具が、前記家具本体と、この家具本体の横架部に付設した家具機能付加部材とを備えたものである。
【0015】
請求項8記載の発明に係るブースは、請求項7記載のものを前提とし、前記家具機能付加部材が、横架部の一部に設けられた椅子的機能を付加するためのものである。
【0016】
請求項9記載の発明に係るブースは、請求項7記載のものを前提とし、家具機能付加部材が、横架部の一部に設けられた補助テーブル的機能を付加するためのものである。
【0017】
請求項10記載の発明に係るブースは、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、又は9記載の構成を前提とし、前記ブース本体の開口部の下縁部分に、前記底盤の上面を既存の床面に滑らかに連続させるためのスロープ部材を配してなるものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、可搬式のブース本体の底盤に棒状の固定家具を立設することにより、前述した課題を解消することができるブースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態を示す正面斜め上からの斜視図。
図2】同実施形態における正面斜め下からの斜視図。
図3】同実施形態の正面図。
図4】同実施形態の平面図。
図5】同実施形態の右側面図。
図6図3のα-α線に沿う断面図。
図7図3のβ-β線に沿う断面図。
図8図5のγ-γ線に沿う断面図。
図9】本発明の他の実施形態を示す正面側からの斜視図。
図10】本発明のさらに他の実施形態を示す正面側からの斜視図。
図11】本発明の固定家具の第1変形例を示す斜視図。
図12】本発明の固定家具の第2変形例を示す斜視図。
図13】本発明の固定家具の第3変形例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>(図1図8
このブースAは、図1等に示すように、既存の床F上に載置される剛性を有した底盤1を有しその底盤1上に形成された室内空間Sを開口部Baを通して外部空間Gに開放してなる可搬式のブース本体Bと、このブース本体Bの底盤1に立設された棒状の固定家具Hとを具備してなるものである。
【0021】
詳述すれば、前記ブース本体Bは、平面視四辺形をなす底盤1と、この底盤1の左右の縁部に立設された一対の竪壁2と、これら竪壁2に支持されて底盤1との間に室内空間Sを形成する天井壁3とを備えたものであり、竪壁2の前端縁間に前面の開口部Baが形成されているとともに、竪壁2の後端間に背面の開口部Bbが形成されている。なお、この実施形態のものは、ブース本体Bの正面側の開口部Baに外装額縁5が着脱可能に装着されているとともに、背面の開口部Bbに、当該開口部Bbを塞ぐ背壁6が装脱可能に装着されている。
【0022】
ブース本体Bの底盤1は、図2図6、及び図8等に示すように、フレーム11と、このフレーム11上に強固に止着された床板12と、この床板12上に敷き詰められたカーペット13とを備えてなるもので、全体として高い剛性を備えている。この底盤1は、キャスタqとアジャスタrを備えており、アジャスタrを既存の床面Fに接地しない位置まで退避させることにより、ブース本体Bをキャスタqにより移動させることができるようになっている。
【0023】
底壁1のフレーム11は、図2に示すように、前、後両端部に配された横フレーム材11aと、左、右両端部に配された縦フレーム材11bと、左右方向中間位置に配された複数本の縦補強材11cとを備えたものである。
【0024】
床板12は、剛性のある平板状のものであり、フレーム11の上面に載設されている。この床面12と既存の床面Fとの間には、外部空間Gに連通する床下空間14が形成されている。
【0025】
ブース本体Bの竪壁2は、図7図8に示すように、底盤1のフレーム11に結合されたフレーム21と、このフレーム21の外面側に設けられたパネル状の外装部材22と、フレーム21の内面側に設けられたパネル状の内装部材23とを備えたものある。そして、外装部材22と内装部材23との間には、当該竪壁2の下端から上端にまで連続する空洞24が形成されている。この空洞24の下端は前述した床下空間14に連通させてある。この実施形態における竪壁2の内装部材23には、ディスプレイ25が装着してあるが、必要に応じて種々の物品を装備することが可能である。
【0026】
ブース本体Bの天井壁3は、図6図8に示すように、竪壁2のフレーム21に左、右両端部を支持させたフレーム31と、このフレーム31の上面側に設けられたパネル状の外装部材32と、フレーム31の下面側に設けられたパネル状の内装部材33とを備えたものである。そして、外装部材32と内装部材33との間には、当該天井壁3の左端から右端にまで連続する空洞34が形成されている。この空洞34の左、右両端は前述した竪壁2の空洞24に連通させてある。また、図1図2に示すように、外装部材32の左、右両端部付近には、天井壁3の空洞34を外部空間Gに連通させる外側の通気口36が設けられており、内装部材33の前、後両端部付近には、天井壁3の空洞34を室内空間Sに連通させる内側の通気口35が設けられている。内側の通気口35の空気流通孔と外側の通気口36の空気流通孔とは、平面視において重なり合わないように配置されている。
【0027】
かかる天井壁3には、複数の自動消火装置4が設けられている。この実施形態の自動消火装置4は、下方放出型の自動消火装置として市販されている通常のもの(例えば、日本ドライケミカル株式会社製のスプリンクラーエースSPA-3:商品名)であるため、詳細な説明は省略する。ここで4aは消火剤貯蔵容器、4bはノズル、4cは指示圧力計、4dはカバーである。
【0028】
ブース本体Bの背面を覆う背壁6は、図6図7に示すように、底盤1のフレーム11と天井壁3のフレーム31にねじ止め等により止着されたフレーム61と、このフレーム61の外面側に配された外装部材62と、フレーム62の内面側に配された内装部材63とを備えたものであり、外装部材62と内装部材63との間には、床下空間14に連通する空洞64が形成されている。
【0029】
一方、固定家具Hは、図1に示すように、ブース本体Bの底盤1に立設されたもので、例えば、背壁6の内面近傍から竪壁2の内面近傍を通ってブース本体Bの開口部Baに至る位置に配されている。すなわち、この固定家具Hは、パイプ素材等により作られた家具本体7と、この家具本体7の所要箇所に設けられた柔軟性を有する家具機能付加部材8Aとを備えたもので、家具本体7は、端部の起立部71と、中間の起立部72と、これら起立部71、72に支持されて略水平に延びる横架部73とを備えている。
【0030】
起立部71、72は、金属パイプ製のもので、下端部に固定ブラケットx、yが剛結されている。そして、図2に示すように、固定ブラケットx、yを底盤1の床板12等に止着することによって、当該起立部71、72が底盤1上に起立状態で固定されるものである。なお、起立部71、72の下端部は、底盤1のフレーム11に直接剛結するようにしてもよい。
【0031】
横架部73は、金属パイプ製のもので、その両端を端部の起立部71の上端に一体に連続させてある。すなわち、家具本体7の主要部である端部の起立部71と横架部73とは、1本のパイプ素材に曲げ加工を施すことにより一体に形成されている。そのため、家具本体7の内部には、連続した空洞74が形成されており、その空洞74の端、換言すれば、起立部71の下端は床下空間14に連通させてある。なお、横架部73の中間部分は中間の起立部72の上端に溶接等により剛結されている。
【0032】
この実施形態の横架部73は、背壁6の内面に沿って左右方向に延びる第1の領域73aと、一方の竪壁2の内面に沿って前後方向に延びる第2の領域73bと、ブース本体Bの開口部Baに沿って左右方向に伸びる第3の領域73cを備えている。しかして、この横架部73は、相互に延出方向が異なる複数種類の領域73a、73b、73cを備えたものであり、これら各領域73a、73b、73cに家具機能付加部材8Aがそれぞれ設けられている。
【0033】
家具機能付加部材8Aは、椅子的機能を付加するためのものであり、クッション性を備えている。具体的には、家具機能付加部材8Aは、横架部73に巻装されるクッションと、このクッションの外周に張設したポリエステル製の張地等を備えたものであり、起立姿勢の使用者が腰を軽く掛けることができる程度の高さ位置に配されている。この場合、背壁6の内装部材63や右側の竪壁2の内装部材23にもクッション性を持たせて背凭れ的に使用できるようにおけば、より快適な腰掛姿勢を採ることができる。
【0034】
この第1の実施形態の場合には、ブース本体Bの左の竪壁2にディスプレイ25が配置され、右の竪壁2の近傍に棒状の固定家具Hが配置されているため、ディスプレイ25と固定家具Hとの間に比較的広い空間を確保することが容易になる。そのため、外部から室内空間S内へ出入りを円滑に行うことができ、固定家具Hに凭れか掛かったり腰を掛けたりすることによって、ディスプレイ24を用いたWeb会議やプレゼンテーション等に気軽に参加することができるものになっている。
【0035】
そして、このブースAは、ブース本体Bと固定家具Hを一体的に移動させることができるため、設置場所の変更に際しても、固定家具Hを既存の床面Fに固設している場合等に比べて作業効率を大幅に向上させることができ、また、既存の床面Fを傷つける可能性も略皆無となる。
【0036】
また、この実施形態の場合、底盤1の下に床下空間14が形成されているとともに、縦壁2の内部、天井壁3の内部、及び固定家具Hの家具本体7の内部にそれぞれ床下空間14に直接又は間接的に連通する空洞24、34、74が形成されている。そのため、電源用のケーブルkや通信用ケーブルなどを空洞24、34、74に挿通させてブースAの所望箇所に導くことができ、ケーブルの露出を最小限に抑えることができる。
<第2の実施形態>(図9
この実施形態のブースAは、前述した第1の実施形態のブース本体に準じたブース本体Bを備えたものであるため、同一又は対応する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。後述する第3の実施形態についても同様である。
【0037】
第2の実施形態のブースAは、ブース本体Bの前面側の開口部Baのみならず、背面側の開口部Bbをも開放したものであり、それら両開口部Ba、Bbの下縁部分には、底盤1の上面1aを既存の床面Fに滑らかに連続させるためのスロープ部材Wがそれぞれ配設されている。左の竪壁2の内面には、人を引き付ける機能を有する設備、例えば、多数の書籍tを陳列した書籍棚26が設けられており、右の竪壁2側には、外部から室内空間Sに入室した者を書籍棚26の近傍に導くような形態をなす棒状の固定家具Hが配設されている。
【0038】
この固定家具Hの横架部73は、図9に示すように、背面側の開口部Bb付近から前方に延びる第4の領域73dと、この領域73dの前端から左方向に延びる第5の領域73eと、この領域73eの左端から前方に延びる第6の領域73fとを備えており、隣接する領域73d、73e、73fは、延出方向が相互に異なっている。そして、第4,第6の領域73d、73fには、椅子機能を付与するための家具機能付加部材8Aが設けられているとともに、第5の領域73eには、補助テーブル機能を付与するための家具機能付加部材8Bが設けられている。家具機能付加部材8Bは、小さな補助天板的なものである。
【0039】
このようなブースAであれば、前、後何れかの開口部Ba、Bbから室内空間Sが広く視認可能となり、思わず室内空間S内に入室した者は、手摺的な形態をなす固定家具Hに案内されて書籍棚26の前に導かれることになる。そのため、書籍tを概覧したり手に取って閲覧したりすることが可能となり、閲覧時には固定家具Hの椅子的機能を発揮する家具機能付加部材8Aや、補助テーブル的機能を発揮する家具機能付加部材8Bを利用することもできる。
【0040】
そして、図示例のようにブース本体Bの両開口部Ba、Bbにスロープ部材Wが設けてあれば、室内空間Sへの出入りもより円滑に行われることになり、オフィス内の通路の一部であるかのような使われ方も可能となる。その場合、スロープ部材Wの上面Waと、底盤1の上面1aに動線を示唆するような案内線図等を描いておいてもよい。
<第3の実施形態>(図10
この実施形態のブースAも、第1の実施形態と同様なブース本体Bを備えたもので、左の竪壁2の内面に図示しないスクリーンを設定するとともに、天井壁3の右端近傍にプロジェクタpを設けている。そして、底盤1右奥の隅近傍に固定家具Hを立設している。固定家具Hは、嵩張りを最小限に抑えたもので、家具本体7の横架部73は、背面の開口部Bbに沿って左右方向に延びる第7の領域73gと、竪壁2に沿って前後方向に延びる第8の領域73hとを備えている。これらの領域73gと領域73hは、高さ位置は同じであるが、延出方向が相互に相違している。そして、左端の起立部71の上端には、補助テーブル的な機能を付加するための家具機能付加部材8Bが設けられている。
<第4の実施形態>(図11
この実施形態は、固定家具Hの変形例を示すもので、ブース本体Bは、図示を省略してある。この固定家具Hの家具本体7も、前述した各実施形態と同様に、ブース本体Bの底盤1に固定された起立部71と、これら起立部71に支持された横架部73とを備えている。横架部73は、例えば、前後方向に延びる第9の領域73j、第10の領域73k、及び第11の領域73mと、左右方向に延びる第12の領域72nとを備えている。第9、第11、第12の領域73j、73m、73nは、同じ高さ位置に配されているが、第10の領域73kは、領域73j、73m、73nに対して高い位置に配されている。
【0041】
そして、第9の領域73jには、椅子的機能を付加するための家具機能付加部材8Aが設けられ、第10の領域73k、及び第11の領域73mには、補助テーブル的機能を付加するための家具機能付加部材8Cが設けられ、第12の領域73nには、補助テーブル的機能を付加するための家具機能付加部材8Dが設けられている。家具機能付加部材8Cは、起立したワーカーが使用可能な高さに設定されており、家具機能付加部材8Dは、クルマ椅子に着座したワーカー等が使用可能な高さに設定されている。
<第5の実施形態>(図12
この実施形態は、固定家具Hの他の変形例を示すもので、ブース本体Bは、図示を省略してある。この固定家具Hの家具本体7も、前述した各実施形態と同様に、ブース本体Bの底盤1に固定された起立部71と、これら起立部71に支持された横架部73とを備えている。横架部73は、例えば、左右方向に延びる第13の領域73pと、前後方向に延びる第14の領域73qとを備えている。
【0042】
そして、第13の領域73p、及び第14の領域73qには、補助テーブル的機能を付加するための家具機能付加部材8Fがそれぞれ設けられている。家具機能付加部材8Fは、クッション性を有した材料により作られたもので、テーブル機能に加えて幕板機能も有したものになっている。
<第6の実施形態>(図13
この実施形態は、固定家具Hのさらに他の変形例を示すもので、ブース本体Bは、図示を省略してある。この固定家具Hの家具本体7も、前述した各実施形態と同様に、ブース本体Bの底盤1に固定された起立部71、72と、これら起立部71、72に支持された横架部73とを備えている。横架部73は、例えば、左右方向に延びる第15の領域73rと、前後方向に延びる第16の領域73sとを備えている。第15の領域73rと、第16の領域73sとは、相互に延出方向が異なっているだけでなく、高さ位置も相互に異なっている。すなわち、第15の領域73rは、腰を掛けるのに適した高さ位置に配されており、第16の領域73sは、起立した者に好適なテーブル高さに対応している。
【0043】
そして、第15の領域73rには、椅子的機能を付加するための家具機能付加部材8Aが設けられているとともに、第16の領域73sには、補助テーブル的機能を付加するための家具機能付加部材8Gが設けられている。家具機能付加部材8Gは、クッション性を有した材料により作られたもので、第15の領域73rと第16の領域73sとの境界部分を隠すように配設されている。
【0044】
以上説明したように、本発明に係るブースAは、既存の床F上に載置される剛性を有した底盤1を有しその底盤1上に形成された室内空間Sを開口部Baを通して外部空間Gに開放してなる可搬式のブース本体Bと、このブース本体Bの底盤1に立設された棒状の固定家具Hとを具備している。そのため、棒状の固定家具Hの存在により、内部空間S内に家具的機能を残した状態で広い床面積を確保することができる。
【0045】
しかも、棒状の固定家具Hは、従来の置き家具に比べて配置パターンを多彩なものにすることができ、執務やフォーマルな打合わせ以外の種々の用途にも適合させることが可能である。
【0046】
また、棒状の固定家具Hは、視界を遮り難い形態にすることも容易であるため、ブースAの室内空間S内を外部から見やすくするようなことも可能であり、気軽に出入りすることができる空間を演出することもできる。
【0047】
さらに、棒状の固定家具Hは、家具的機能に加えて手摺り的な機能も発揮させることができる。そのため、かかる固定家具Hにより室内空間S内の動線を予め意図したものに制御するようなこともできる。
【0048】
また、ブース本体Bは可動式のものであるため、かかる固定家具Hを配した室内空間Sを自由に配置替えすることできる。すなわち、固定家具Hはブース本体Bの底盤1に立設されているため、固定家具Hの工夫により多彩な形態となった室内空間Sを、そのままの状態で、他の場所に移設することができる。
【0049】
なお、本発明は、以上説明した実施形態のものに限定されないのは勿論であり、次のような形態も含まれる。
【0050】
ブース本体は、底盤を有する可搬式であって室内空間を開口部を通して外部に開放したものであればどのようなものであってもよく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0051】
また、固定家具は、パイプ素材製の家具本体を備えたものに限定されるものではなく、中実な棒材を用いて家具本体を構成したものであってもよい。しかしながら、家具本体を内部に空洞を有するパイプ製のものにし、その空洞を床下空間に連通させておけば、床下空間からの電力用ケーブルや通信用ケーブルを固定家具内に挿通させることも可能になる。
【0052】
さらに、固定家具の家具本体の構成も図示例のものに限られないが、図示例のような構成にすれば、横架材の形状を種々変化させることによって、固定家具全体の形態を多彩なものにすることができ、使用目的に応じた固定家具を底盤上に設置することができる。すなわち、図示例のように、横架部を、相互に高さ位置が異なる複数種類の領域を備えたものにしたり、相互に延出方向が異なる複数種類の領域を備えたものにしたりすれば、様々な形態の固定家具を実現することができる。
【0053】
また、固定家具は、家具機能付加部材を有しないものであってもよいが、図示例のように、椅子的機能を付加するための家具機能付加部材や、補助テーブル的機能を付加するための家具機能付加部材等を設ければ、固定家具の家具としての性能をより高めることができる。
【0054】
さらに、スロープ部材はブースにとって必須のものではないが、ブース本体の底盤の上面を既存の床面に滑らかに連続させるためのスロープ部材を設けておけば、室内空間への出入りを円滑に行うことができ、外と内をつなぐことを重視する企画に用いるのに適したものになる。
【0055】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0056】
F…既存の床面
G…外部空間
S…室内空間
A…ブース
B…ブース本体
Ba…開口部
Bb…開口部
1…底盤
1a…上面
14…床下空間
2…竪壁
24…空洞
3…天井壁
34…空洞
6…背壁
64…空洞
H…固定家具
7…家具本体
71…端部の起立部
72…中間の起立部
73…横架部
73a~73s…領域
74…空洞
8A~8G…家具機能付加部材
W…スロープ部材
Wa…上面
図1
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