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2025-8251寝台装置及び医用画像撮像システム、並びに寝台装置の作動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008251
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】寝台装置及び医用画像撮像システム、並びに寝台装置の作動方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
A61B5/055 366
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110248
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100153822
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 重之
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 智史
(72)【発明者】
【氏名】本間 裕和
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB36
4C096AB44
4C096AD18
4C096EB10
(57)【要約】
【課題】本発明は、走行部及び天板のロック状態を確実に制御できる寝台装置、斯かる寝台装置を備える医用画像撮像システム、及び寝台装置の作動方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一態様に係る寝台装置によれば、走行部のロックと天板のロックとが、寝台装置と医用画像撮像装置との接続に連動して自動的に(ユーザの操作によらずに)行われるので、ユーザは接続及び接続解除に際して走行部のロック、天板のロックのための操作を行う必要がない。また、操作忘れにより走行部がロックされない、天板のロック解除が動作タイミングに間に合わない、等のおそれがない。このため、走行部及び天板のロック状態を確実に制御することができる。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を載置する天板を備えた本体部と、
前記本体部を走行させる走行部と、
前記本体部を、前記本体部とは別体に構成された医用画像撮像装置に対して機械的及び電気的に着脱可能に接続する接続コネクタ部と、
前記接続及び前記接続の解除を指示する操作を受け付ける接続操作部材と、
前記接続の有無を検知する接続検知部と、
前記検知した接続の有無に基づいて前記天板のロック状態及び前記走行部の走行可能状態を制御する制御部と、
を備える寝台装置であって、
前記制御部は、
前記接続検知部による前記接続の検知に応じて、前記走行部をロックして前記本体部を走行不能にすると共に、前記天板のロックを解除して前記天板をスライド可能にし、
前記接続検知部による前記接続の解除の検知に応じて、前記走行部のロックを解除して前記本体部を走行可能にすると共に、前記天板をロックして前記天板をスライド不能にする、
寝台装置。
【請求項2】
前記走行部は電動でロックが可能なキャスターを備え、
前記制御部は前記キャスターを電動でロックすることにより前記本体部を走行不能にし、前記ロックを解除することにより前記本体部を走行可能にする請求項1に記載の寝台装置。
【請求項3】
前記走行部は前記本体部から走行面に向けて突出可能なストッパーを備え、前記制御部は前記ストッパーを突出させて前記走行面に突接させることで前記走行部をロックし、前記ストッパーを前記走行面から離間させることで前記走行部のロックを解除する請求項1または2に記載の寝台装置。
【請求項4】
前記走行部は、第1ソレノイドコイルと、前記第1ソレノイドコイルへの通電により圧縮される第1バネ部材と、前記第1バネ部材に接続された前記ストッパーと、を備え、
前記制御部は、前記第1ソレノイドコイルに通電することにより前記第1バネ部材を圧縮させて前記ストッパーを前記走行面から離間させ、前記第1ソレノイドコイルへの通電を停止することにより前記第1バネ部材の圧縮を停止し前記ストッパーを突出させて前記走行面に突接させる、
請求項3に記載の寝台装置。
【請求項5】
前記本体部は、第2ソレノイドコイルと、前記第2ソレノイドコイルへの通電により圧縮される第2バネ部材と、前記第2バネ部材に接続されたロックピンと、を備え、
前記制御部は、前記第2ソレノイドコイルに通電することにより前記第2バネ部材を圧縮させて前記ロックピンを前記天板から抜去させ、前記第2ソレノイドコイルへの通電を停止することにより前記第2バネ部材の圧縮を停止して前記ロックピンを突出させ前記天板に挿入させる、
請求項1または2に記載の寝台装置。
【請求項6】
前記本体部は、第3ソレノイドコイルと、前記第3ソレノイドコイルに対向して前記天板に配置される磁性体と、を備え、
前記制御部は、前記第3ソレノイドコイルに通電することにより前記磁性体を前記第3ソレノイドコイルの側に吸着して前記天板をスライド不能にし、前記第3ソレノイドコイルへの通電を停止することにより前記吸着を解除して前記天板をスライド可能にする、
請求項1または2に記載の寝台装置。
【請求項7】
前記接続操作部材は、前記接続の操作を受け付ける接続用ペダルと、前記接続の解除の操作を受け付ける接続解除用ペダルと、を備える請求項1または2に記載の寝台装置。
【請求項8】
前記接続の状態と、前記走行部のロックの状態と、前記天板のロックの状態と、のうち1つ以上を表示するパネルを備える請求項1または2に記載の寝台装置。
【請求項9】
前記パネルは、前記寝台装置が前記医用画像撮像装置に接続されていない場合に前記走行部の前記ロックを指示するロック操作、及び前記ロック操作による前記ロックの解除を指示するロック解除操作を受け付けるロック操作部材を備え、
前記制御部は、前記ロック操作に応じて前記走行部をロックし、前記ロック解除操作に応じて前記走行部の前記ロックを解除する請求項8に記載の寝台装置。
【請求項10】
請求項1または2に記載の寝台装置と、
前記医用画像撮像装置と、
を備える医用画像撮像システム。
【請求項11】
前記医用画像撮像装置は、MRI装置、X線CT装置、及びPET装置のいずれか1つを含む請求項10に記載の医用画像撮像システム。
【請求項12】
被検体を載置する天板を備えた本体部と、前記本体部を走行させる走行部と、前記本体部を、前記本体部とは別体に構成された医用画像撮像装置に対して機械的及び電気的に着脱可能に接続する接続コネクタ部と、前記接続及び前記接続の解除を指示する操作を受け付ける接続操作部材と、前記接続の有無を検知する接続検知部と、前記検知した接続の有無に基づいて前記天板のロック状態及び前記走行部の走行可能状態を制御する制御部と、を備える寝台装置の作動方法であって、
前記制御部は、
前記接続検知部による前記接続の検知に応じて、前記走行部をロックして前記本体部を走行不能にすると共に、前記天板のロックを解除して前記天板をスライド可能にし、
前記接続検知部による前記接続の解除の検知に応じて、前記走行部のロックを解除して前記本体部を走行可能にすると共に、前記天板をロックして前記天板をスライド不能にする、
寝台装置の作動方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医用画像撮像装置に接続可能な寝台装置及び寝台装置を含む医用画像撮像システム、並びに寝台装置の作動方法に関し、特に寝台装置の接続及びロックを制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング装置(MRI装置、MRI:Magnetic Resonance Imaging)、X線CT装置(CT:Computed Tomography)などの医用画像撮像装置(あるいは医用画像診断装置)で被検体の医用画像を撮像する場合、被験者がいる病室から医用画像撮像装置が設置された検査室に移動する際の被検体の移し替えの手間の削減、あるいは検査室内における磁性体の使用制限等の観点から、医用画像撮像装置本体に着脱可能な寝台装置を用いることが知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1には、医用画像撮像装置本体と機械的に、および電気的に接続可能な寝台装置が開示されている。
【0003】
このような寝台装置を用いる場合、寝台装置を医用画像撮像装置と接続(ドッキング)する操作及び接続を解除する操作が必要であり、また寝台装置の走行部をロックする操作及びロックを解除する操作が必要である。特許文献1では、寝台装置とMRI装置との機械的接続を行うための結合ペダルと、寝台装置の走行部に設けられたキャスターをロックするためのキャスタロックペダルとが設けられており、キャスタロックペダルが操作されると、キャスターがロックされると共に寝台装置とMRI装置とが電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7197984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
寝台装置を医用画像診断装置本体に接続した後は、被験者が身動きした場合等に寝台が動いて意図せぬ破損が生じないように、寝台装置のキャスターをロックする必要がある。しかし、上述の特許文献1のようにキャスターをロックするためのペダルを操作する場合、その操作をユーザが忘れてしまいロックされない可能性がある。
【0006】
また、寝台装置には、医用画像撮像装置の撮像空間内に被検体を移動させるための、スライド可能な天板を有するものが存在する。このような寝台装置を用いる場合、医用画像撮像装置に接続する前の寝台搬送中は、天板が意図せず動いて寝台装置が破損したり被験者が落下したりしないよう、天板をロックする必要がある。一方、医用画像撮像装置に接続した後は、天板がスライドできるようロックを解除する必要がある。このようなロック及びロックの解除を行うため、従来は天板の動作開始に連動して機械的にロックのピンが飛び出る、あるいは収納される方式が採用されていた。しかしこのような方式では、組み立て誤差や経年摩耗などにより天板動作のタイミングにピンの飛び出しあるいは収納が間に合わず、その結果天板が動作できなくなる可能性があった。
【0007】
このように、従来の技術は走行部及び天板のロック状態を確実に制御できるものではなかった。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、走行部及び天板のロック状態を確実に制御できる寝台装置、そのような寝台装置を備える医用画像撮像システム、及び寝台装置の作動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するため、本発明の第1の態様に係る寝台装置は、被検体を載置する天板を備えた本体部と、本体部を走行させる走行部と、本体部を、本体部とは別体に構成された医用画像撮像装置に対して機械的及び電気的に着脱可能に接続する接続コネクタ部と、接続及び接続の解除を指示する操作を受け付ける接続操作部材と、接続の有無を検知する接続検知部と、検知した接続の有無に基づいて天板のロック状態及び走行部の走行可能状態を制御する制御部と、を備える寝台装置であって、制御部は、接続検知部による接続の検知に応じて、走行部をロックして本体部を走行不能にすると共に、天板のロックを解除して天板をスライド可能にし、接続検知部による接続の解除の検知に応じて、走行部のロックを解除して本体部を走行可能にすると共に、天板のロックを解除して天板をスライド不能にする。
【0010】
第1の態様によれば、寝台装置を医用画像撮像装置に接続すると、検知部が接続を検知し、制御部が走行部をロックすると共に天板のロックを解除して天板をスライド可能にし、寝台装置と医用画像撮像装置との接続を解除すると、検知部が接続の解除を検知し、制御部が走行部のロックを解除して寝台装置を走行可能にすると共に、天板をロックして天板をスライド不能にする。即ち、走行部のロックと天板のロックとが、寝台装置と医用画像撮像装置との接続に連動して自動的に(ユーザの操作によらずに)行われるので、ユーザは接続及び接続解除に際して走行部のロック、天板のロックのための操作を行う必要がない。また、操作忘れにより走行部がロックされない、天板のロック解除が動作タイミングに間に合わない、等のおそれがない。このように第1の態様によれば、走行部及び天板のロック状態を確実に制御することができる。
【0011】
第1の態様に係る寝台装置は例えばMRI装置に適用することができるが、その他、移動可能な寝台を用いるX線CT装置やPET装置(PET:Positron Emission Tomography)等の医用画像撮像装置(医用画像診断装置)にも適用することができる。
【0012】
第2の態様に係る寝台装置は第1の態様において、走行部は電動でロックが可能なキャスターを備え、制御部はキャスターを電動でロックすることにより本体部を走行不能にし、ロックを解除することにより本体部を走行可能にする。第2の態様は、走行部の構成及びロックの一態様を規定するものである。なお第2の態様において、制御部はキャスターの車輪に対し、旋回及び回転(回動)の双方をロックすることが好ましい。また、制御部はキャスターの全ての車輪についてロックを行うことが好ましい。
【0013】
第3の態様に係る寝台装置は第1または第2の態様において、走行部は本体部から走行面に向けて突出可能なストッパーを備え、制御部はストッパーを突出させて走行面に突接させることで走行部をロックし、ストッパーを走行面から離間させることで走行部のロックを解除する。第3の態様は、走行部の構成及びロックの他の態様を規定するものである。なお第3の態様において、ストッパーは1つでもよいし複数でもよい。
【0014】
第4の態様に係る寝台装置は第3の態様において、走行部は、第1ソレノイドコイルと、第1ソレノイドコイルへの通電により圧縮される第1バネ部材と、第1バネ部材に接続されたストッパーと、を備え、制御部は、第1ソレノイドコイルに通電することにより第1バネ部材を圧縮させてストッパーを走行面から離間させ、第1ソレノイドコイルへの通電を停止することにより第1バネ部材の圧縮を停止しストッパーを突出させて走行面に突接させる。第4の態様は、ストッパーの構成の一態様を規定するものである。
【0015】
第5の態様に係る寝台装置は第1から第4の態様のいずれか1つにおいて、本体部は、第2ソレノイドコイルと、第2ソレノイドコイルへの通電により圧縮される第2バネ部材と、第2バネ部材に接続されたロックピンと、を備え、制御部は、第2ソレノイドコイルに通電することにより第2バネ部材を圧縮させてロックピンを天板から抜去させ、第2ソレノイドコイルへの通電を停止することにより第2バネ部材の圧縮を停止してロックピンを突出させ天板に挿入させる。第5の態様は、天板をロックするための構成の一態様を規定するものである。
【0016】
第6の態様に係る寝台装置は第1から第5の態様のいずれか1つにおいて、本体部は、第3ソレノイドコイルと、第3ソレノイドコイルに対向して天板に配置される磁性体と、を備え、制御部は、第3ソレノイドコイルに通電することにより磁性体を第3ソレノイドコイルの側に吸着して天板をスライド不能にし、第3ソレノイドコイルへの通電を停止することにより吸着を解除して天板をスライド可能にする。第6の態様は、天板をロックするための構成の他の態様を規定するものである。
【0017】
第7の態様に係る寝台装置は第1から第6の態様のいずれか1つにおいて、接続操作部材は、接続の操作を受け付ける接続用ペダルと、接続の解除の操作を受け付ける接続解除用ペダルと、を備える。ユーザは、これらペダルを操作する(例えば、足で踏む)ことにより、接続の操作及び接続の解除の操作を行うことができる。
【0018】
第8の態様に係る寝台装置は第1から第7の態様のいずれか1つにおいて、接続の状態と、走行部のロックの状態と、天板のロックの状態と、のうち1つ以上を表示するパネルを備える。第8の態様によれば、ユーザは接続の状態やロックの状態を表示により容易に認識することができる。
【0019】
第9の態様に係る寝台装置は第8の態様において、パネルは、寝台装置が医用画像撮像装置に接続されていない場合に走行部のロックを指示するロック操作、及びロック操作によるロックの解除を指示するロック解除操作を受け付けるロック操作部材を備え、制御部は、ロック操作に応じて走行部をロックし、ロック解除操作に応じて走行部のロックを解除する。第9の態様によれば、ユーザはパネルの操作により、寝台装置が医用画像撮像装置に接続されていない場合(例えば病室から検査室までの移動中)に、必要に応じて走行部のロック及びロック解除を操作することができる。
【0020】
上述した目的を達成するため、本発明の第10の態様に係る医用画像撮像システムは、第1から第9の態様のいずれか1つに係る寝台装置と、医用画像撮像装置と、を備える。第10の態様に係る医用画像撮像システムでは、第1から第9の態様のいずれか1つに係る寝台装置を備えるので、走行部及び天板のロック状態を確実に制御することができる。
【0021】
第11の態様に係る医用画像撮像システムは第10の態様において、医用画像撮像装置は、MRI装置、X線CT装置、及びPET装置のいずれか1つを含む。第11の態様は、医用画像撮像装置の態様を具体的に規定するものである。
【0022】
上述した目的を達成するため、本発明の第12の態様に係る寝台装置の作動方法は、被検体を載置する天板を備えた本体部と、本体部を走行させる走行部と、本体部を、本体部とは別体に構成された医用画像撮像装置に対して機械的及び電気的に着脱可能に接続する接続コネクタ部と、接続及び接続の解除を指示する操作を受け付ける接続操作部材と、接続の有無を検知する接続検知部と、検知した接続の有無に基づいて天板のロック状態及び走行部の走行可能状態を制御する制御部と、を備える寝台装置の作動方法であって、制御部は、接続検知部による接続の検知に応じて、走行部をロックして本体部を走行不能にすると共に、天板のロックを解除して天板をスライド可能にし、接続検知部による接続の解除の検知に応じて、走行部のロックを解除して本体部を走行可能にすると共に、天板をロックして天板をスライド不能にする。第12の態様によれば、第1の態様と同様に、走行部及び天板のロック状態を確実に制御することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明の寝台装置及び医用画像撮像システム、並びに寝台装置の作動方法によれば、走行部及び天板のロック状態を確実に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、医用画像撮像システムの構成を示す図である。
図2図2は、医用画像撮像装置の構成を示す図である。
図3図3は、寝台装置の主要な構成を示す図である。
図4図4は、ユーザの作業及びシステムの動作を示す図(1/2)である。
図5図5は、ユーザの作業及びシステムの動作を示す図(2/2)である。
図6図6は、ドッキングユニットの斜視図である。
図7図7は、ペダルユニットの斜視図である。
図8図8は、操作パネルの例を示す図である。
図9図9は、寝台と装置本体との機械的接続の様子を示す図である。
図10図10は、天板ロック機構の構成を示す図である。
図11図11は、天板ロック機構により天板をロック/ロック解除する様子を示す上面図である。
図12図12は、天板ロック機構により天板をロック/ロックする様子を示す部分断面図である。
図13図13は、走行部をロックする構成の変形例を示す図である。
図14図14は、天板ロック機構の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明に係る寝台装置及び医用画像撮像システム、並びに寝台装置の作動方法の好ましい実施形態について説明する。なお、添付の図面においては、説明の都合上、一部の構成要素の図示を省略する場合がある。また、添付の図面は寝台装置、医用画像撮像装置、及び医用画像撮像システムの正確な形状や寸法を示すものではない。
【0026】
[第1の実施形態]
[医用画像撮像システムの概要]
まず、医用画像撮像システムの構成について説明する。図1に示すように、第1の実施形態に係る医用画像撮像システム10は、医用画像撮像装置100と寝台装置300とを備える。図1の(a)部分は、医用画像撮像装置100と寝台装置300とが分離した状態を示し、同図の(b)部分は医用画像撮像装置100と寝台装置300とが接続された状態を示す。
【0027】
医用画像撮像装置100及び装置本体101は被検体110の断層画像を得る装置であり、寝台装置300に載置された被検体110の画像を撮像することができれば、どのような構成であっても良い。例えば、核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)現象を利用するMRI装置(MRI:Magnetic Resonance Imaging)やX線CT装置等の装置を用いることができる。図1では、医用画像撮像装置100及び装置本体101の一例として、円筒状ガントリ(gantry)を備えるトンネルボア型MRI装置を示す。装置本体101は、軸方向を水平にした円筒状のトンネルを有し、トンネル内に静磁場を発生させて撮像空間にする。装置本体101は電磁シールドされた部屋に配置され、傾斜磁場電源132、シーケンサ140、高周波発振器151、変調器152、高周波増幅器153、信号増幅器162、直交位相検波器163、A/D変換器164及び制御部170等(図2を参照)は、電磁シールドされた部屋の外に配置され、ケーブルによって装置本体101と電気的に接続される。
【0028】
また、図1について上述したように、医用画像撮像システム10においては、被検体110を載置するための寝台装置300が、被検体110を撮像するための医用画像撮像装置100に接続及び分離可能(接続解除可能)であり、寝台装置300の接続を操作するためのペダルユニット400が寝台装置300に備えられる。寝台装置300の詳細な構成、寝台装置300と医用画像撮像装置100との接続構造、及びロック状態の制御については、詳細を後述する。
【0029】
[医用画像撮像装置の構成]
図2は医用画像撮像装置100の構成を示す図である図2に示すように、医用画像撮像装置100は、静磁場発生源120と、傾斜磁場発生部130と、シーケンサ140と、高周波照射部150と、信号検出部160と、制御部170とを備える。
【0030】
静磁場発生源120は、被検体110を収容する静磁場空間に、垂直磁場方式であれば被検体110の体軸と直交する方向に、水平磁場方式であれば被検体110の体軸方向に、均一な静磁場を発生させる。被検体110の周りに、永久磁石方式、常電導方式あるいは超電導方式の静磁場発生源120が配置される。
【0031】
傾斜磁場発生部130は、静磁場空間に重畳して、医用画像撮像装置100の座標系(静止座標系)であるX,Y,Zの三軸方向に傾斜磁場を発生させる傾斜磁場コイル131と、それぞれの傾斜磁場コイル131を駆動する傾斜磁場電源132とを有する。後述のシーケンサ140からの命令すなわち制御に従ってそれぞれのコイルの傾斜磁場電源132を駆動することにより、X,Y,Zの三軸方向に傾斜磁場Gx,Gy,Gzが発生する。撮像時には、スライス面(撮像断面)に直交する方向にスライス方向傾斜磁場パルス(Gs)を印加して被検体110に対するスライス面を設定し、そのスライス面に直交して且つ互いに直交する残りの二つの方向に位相エンコード方向傾斜磁場パルス(Gp)と周波数エンコード方向傾斜磁場パルス(Gf)を印加して、エコー信号にそれぞれの方向の位置情報をエンコードする。
【0032】
シーケンサ140は、高周波磁場パルス(RFパルス)と傾斜磁場パルスをある所定のパルスシーケンスで繰り返し印加する。シーケンサ140は、中央処理装置171(CPU:Central Processing Unit)の制御に基づいて動作し、被検体110の断層画像のデータ収集に必要な種々の命令すなわち制御を傾斜磁場発生部130、高周波照射部150および信号検出部160に送る。
【0033】
高周波照射部150は、被検体110の生体組織を構成する原子の原子核スピンに核磁気共鳴を起こさせるために、被検体110に対しRFパルスを照射する。高周波照射部150には、高周波発振器151と変調器152と高周波増幅器153と送信側の高周波コイルである照射コイル154とが含まれる。高周波発振器151から出力されたRFパルスを、シーケンサ140からの指令によるタイミングで変調器152により振幅変調し、この振幅変調されたRFパルスを高周波増幅器153で増幅した後、被検体110に近接して配置された照射コイル154に供給することにより、電磁波が被検体110に照射される。
【0034】
信号検出部160は、被検体110の生体組織を構成する原子核スピンの核磁気共鳴により放出されるNMR信号であるエコー信号を検出する。信号検出部160には、受信側の高周波コイルである受信コイル161と信号増幅器162と直交位相検波器163と、A/D変換器164(アナログ/デジタル変換器)とが含まれる。照射コイル154から照射された電磁波によって被検体110において誘起された応答のNMR信号が、被検体110に近接して配置された受信コイル161で検出され、信号増幅器162で増幅された後、シーケンサ140からの指令によるタイミングで直交位相検波器163により直交する二系統の信号に分割され、それぞれがA/D変換器164でディジタル量に変換されて、制御部170に送られる。
【0035】
制御部170は、各種データ処理と処理結果の表示及び保存等を行うものである。制御部170には、CPU171等のプロセッサと、内部メモリ172等の記憶装置と、光ディスク181や磁気ディスク182等の外部記憶装置180と、入出力部190とが含まれる。CPU171は、信号検出部160が信号やデータを受け付けると、内部メモリ172を作業領域として用いて信号処理、画像再構成等の処理を実行し、その結果である被検体110の断層画像を出力装置200に表示すると共に、外部記憶装置180に記録する。
【0036】
入出力部190は、医用画像撮像装置100の各種制御情報や制御部170で行う処理の制御情報の入出力、具体的にはパルスシーケンスの撮像パラメータ等の入力受付と表示を行う。入出力部190には、例えば、トラックボール、マウス、パッド、タッチパネル等のポインティングデバイス211、キーボード212を含む入力装置210と、例えば、ブラウン管(CRT:cathode-ray tube)あるいは液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等のディスプレイ201、プリンタ202を含む出力装置200とからなる。入力装置210を出力装置200に近接して配置し、例えば、操作者がディスプレイ201を見ながらポインティングデバイス211を通して医用画像撮像装置100に各種処理の実行を指示する等、インタラクティブに制御してもよい。またディスプレイ201の表示面に入力装置210として動作するタッチパネルを配置し、ディスプレイ201の表示内容を選択あるいは操作することにより、入力操作が行われるようにしても良い。
【0037】
被検体110は、寝台装置300の天板310に載置され、寝台移動装置220によって撮像空間内である静磁場空間内に収容される。送信側の照射コイル154と傾斜磁場コイル131は、被検体110が収容される静磁場空間内に、垂直磁場方式であれば被検体110に対向して、水平磁場方式であれば被検体110を取り囲むようにして設置される。また、受信側の受信コイル161は、被検体110に対向して、或いは取り囲むように設置される。
【0038】
なお、現在のMRI装置の撮像対象核種は、臨床で普及しているものとしては、被検体110の主たる構成物質である水素原子核(プロトン)である。プロトン密度の空間分布や、励起状態の緩和時間の空間分布に関する情報を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または機能を二次元もしくは三次元的に撮像する。
【0039】
[寝台装置の構成]
次に、寝台装置300について説明する。図3は、寝台装置300の主要な構成を示す図である。図3に示すように、寝台装置300は、被検体110を載置する天板310及び天板保持部311と、本体部340と、台車313(走行部)とを有し、上述した医用画像撮像装置100とは別体に構成される。本体部340は、台車313に設けられた電動キャスター370(走行部、キャスター)により走行可能である。寝台装置300は例えば4つの電動キャスター370を備えるが、電動キャスター370の数はこれと異なっていてもよい。なお本実施形態において、電動キャスター370は電動でロックが可能なキャスターであればよく、モータを内蔵せず電動でロックする機能のみを有するキャスターでもよいし、モータを内蔵し自走できるキャスター(この場合、モータの回転を電動でロックすることで走行不能にできる)でもよい。
【0040】
天板310は天板保持部311に保持され、医用画像撮像装置100内の寝台移動装置220により図3のX方向にスライド可能である。天板昇降機構356は図示せぬパンタアームや油圧ジャッキ等を含んで構成され、天板310及び天板保持部311をZ方向(鉛直方向)に昇降させる。天板ロック機構360は、天板310をロックしてスライド不能にし、または天板310のロックを解除してスライド可能にする。
【0041】
また、台車313にはペダルユニット400(接続操作部材)が設けられており、寝台装置300のユーザがペダルユニット400を操作することにより、寝台装置300側のドッキングユニット320(接続コネクタ部)と医用画像撮像装置100側のドッキングユニット230とが、機械的及び電気的に、着脱可能に接続される。プロセッサ350は接続検知部352(接続検知部)と制御部354(制御部)とを備え、接続検知部352はドッキングユニット320とドッキングユニット230との接続の有無を検知する。制御部354は、検知した接続の有無に基づいて、天板ロック機構360により天板310のロック状態を制御すると共に、電動キャスター370(走行部)の走行可能状態を制御する。
【0042】
なお、プロセッサ350は、CPU等の各種プロセッサと内部メモリ等により構成される。また、寝台装置300は、各部に電力を供給する不図示のバッテリーを備える。このバッテリーは、寝台装置300が医用画像撮像装置100に接続されている間に、医用画像撮像装置100側の電源により充電することができる。
【0043】
操作パネル380(パネル)は、詳細を後述するように、接続の状態と、電動キャスター370(走行部、キャスター)のロックの状態と、天板310のロックの状態と、のうち1つ以上を表示することができる。また、操作パネル380は、寝台装置300が医用画像撮像装置100に接続されていない場合に電動キャスター370のロックを指示するロック操作、及びロック操作によるロックの解除を指示するロック解除操作を受け付けるロック操作部材を備える。
【0044】
[ユーザの作業及びシステムの動作]
以下、図4,5をも参照しつつ、医用画像撮像システム10におけるユーザの作業工程と、それに伴うシステムの動作について説明する。なお図4,5において、ステップS100~S170はユーザの作業あるいは操作を示し、ステップS200~S300はシステムの動作を示す。
【0045】
[医用画像撮像装置と寝台装置との接続]
図1,3に示すように、寝台装置300は電動キャスター370の付いた台車313(走行部)により移動可能であり、天板310に被検体110が載置される。また、同じく図1,3に示すように、寝台装置300は、装置本体101に対し着脱可能である。装置本体101から分離させた寝台装置300は、装置本体101の磁気が及ばない前室や、被検体110の病室等まで移動させて、被検体110を載置する。そして、寝台装置300に被検体110を載置した状態で、ガントリ(装置本体101)にドッキングできる位置まで移動させる(ステップS100)。ユーザは、接続用ペダル410を踏み込む(ステップS110)ことにより寝台装置300を装置本体101に接続する(ステップS200~S230)。接続に際しては、電動キャスター370のロック、及び天板310のロック解除が行われる(ステップS200,S230)。接続及びロック状態の制御、及びそれら制御を行うための構成については、詳細を後述する。
【0046】
図1,3,及び6に示すように、装置本体101と寝台装置300の接続手段として、装置本体101の正面にドッキングユニット230が備えられ、一方、寝台装置300の台車313には、先端側(+X側)にドッキングユニット320が設置され、後端側(-X側)にペダルユニット400が設置される。なお、寝台装置300のカバー315を外すと、ドッキングユニット320やペダルユニット400が現れる(図1を参照)。ドッキングユニット320とペダルユニット400とは、機械的接続用のワイヤ325及び電気的接続用のワイヤ326で繋げられる。ペダルユニット400に対する操作は、ワイヤ325及びワイヤ326を介してドッキングユニット320に伝達され、ドッキングユニット320がドッキングユニット230(図1,6を参照)に機械的及び電気的に連結(ドッキング、接続)される。
【0047】
図7は、ペダルユニットの構成を示す図である。同図に示すように、ペダルユニット400は、接続用ペダル410と、接続解除用ペダル420の2本のペダルを備える。接続用ペダル410及び接続解除用ペダル420は通常、下端側が図1の(b)部分に示すカバー315に隠れており、上端側のみが露出している。接続用ペダル410は、装置本体101と寝台装置300との機械的接続と電気的接続の両方を順序良く操作するためのペダルである。また、接続解除用ペダル420は、装置本体101と寝台装置300との機械的接続及び電気的接続の解除を操作するためのペダルである。なお、ペダルユニット400は、上記要素の他に図示せぬロックプレート、ロックバー、解除プレート等を備える。
【0048】
[操作パネル]
図8は、寝台装置300に設けられた操作パネル380(パネル)を示す図である。操作パネル380は、例えば天板保持部311の後部(-X側)に設けられたハンドル部分に配置され、ボタン382,384,388,392と、ランプ386と、インジケータ390とを備える。ボタン382(ロック操作部材)は電動キャスター370のロック操作及びロック解除操作を受け付けるボタン(スイッチ)であり、ユーザはボタン382を操作して、(寝台装置300が医用画像撮像装置100に接続されていない場合に、)病院の廊下など任意の場所で電動キャスター370をロックし、またロックを解除することができる。ボタン382は、電動キャスター370の各車輪のロック状態を示すランプ382Aを備え、ランプ382Aは各車輪のロック状態に応じて異なる状態に発光する。ボタン384は、ユーザが天板310をロックし、またはロックを解除する操作を行うボタンであり、また天板のロック状態に応じて異なる状態に光る。ランプ386は接続の状態を表示するランプであり、寝台装置300が装置本体101とドッキング(接続)できる位置に近づいたら光り、ドッキングが完了したら異なる状態に光る。ボタン388は、ユーザが天板310を医用画像撮像装置100の撮像空間内に挿入し、また撮像空間内から引き出す操作を行うボタンである。挿入及び引き出しは、寝台移動装置220により行われる。ランプ386は寝台装置300に搭載された不図示のバッテリーの残量を示すランプであり、バッテリーの残量に応じて異なる状態に発光する。ボタン392はUPボタン392AとDOWNボタン392Bとで構成され、ユーザはこれらボタンを操作して天板310を昇降させることができる。
【0049】
[寝台装置と装置本体との接続]
装置本体101と寝台装置300とは、ドッキングユニット230が備える連結バー231にドッキングユニット320が備えるフック321が掛かることにより、機械的に接続される(ステップS210)。具体的には、図9に示すように、ユーザが接続用ペダル410を踏み込むとワイヤ325が引かれ、支持部329の後側が突起330から降りて、フック321も下方に降り、フック321の先端が連結バー231に引っ掛かる(図9の(a)部分に示す状態から同図の(b)部分に示す状態へ移行する;機械的接続)。
【0050】
また、ドッキングユニット230が備える電気コネクタ232に、ドッキングユニット320が備える電気コネクタ322が嵌め込まれることにより、装置本体101と寝台装置300とが電気的に接続される(ステップS220)。具体的には、ユーザが接続用ペダル410をさらに踏み込むと、図6に示すワイヤ326が引かれ、連結具が軸により下方に回転し、ピン233が切欠きに入り込む。これにより、電気コネクタ同士の位置合わせがされ、そのまま電気コネクタ同士が引き寄せられて接続される(電気的接続)。このように、第1の実施形態に係る寝台装置300では、接続用ペダル410の操作により機械的及び電気的な接続を行うことができる。
【0051】
[接続に伴う動作:電動キャスターのロック及び天板のロック解除]
ユーザが接続用ペダル410を踏み込むと、装置本体101と寝台装置300との接続に連動して、電動キャスター370のロック(ステップS200;走行部のロック)及び天板310のロック解除(ステップS230)が行われる。電動キャスター370のロックは、例えば歯車を電動で噛み合わせて電動キャスター370の回転を止めることにより行うことができるが、後述する天板310のロックのように、キャスター部分にピンを挿入して回転を止めることにより行ってもよい。第1の実施形態に係る医用画像撮像システム10では、このように接続に連動して電動キャスター370(走行部、キャスター)が電動でロックされるので、ユーザがロック用ペダルの操作を忘れて電動キャスター370がロックされないことがない。
【0052】
[天板のロック]
図10は、天板ロック機構360の構成を示す図である。図10に示すように、天板ロック機構360はソレノイドコイル362(第2ソレノイドコイル、電磁コイル)と、ソレノイドコイル362への通電により圧縮されるバネ364(第2バネ部材)と、バネ364に接続されたロックピン366(ロックピン)とを備え、図11に示すように天板保持部311の-X側(+Y側及び-Y側)に配置されている。このように、天板ロック機構360を天板310の後部(-X側)に設けて、医用画像撮像装置100の磁界に入らないようにすることが好ましい。図12は、天板保持部311における天板ロック機構360の配置を示す部分断面図である。
【0053】
装置本体101と寝台装置300とが接続されていない状態では、図10の(b)部分に示すようにソレノイドコイル362への通電がオフであり、バネ364の圧縮が停止されロックピン366が突出した状態になっている。図11の(b)部分及び図12の(b)部分は、ロックピン366が突出して天板310に挿入された状態(天板310のロック状態)を示す。
【0054】
接続検知部352(プロセッサ350)が装置本体101と寝台装置300との接続を検知すると、制御部354(プロセッサ350)がソレノイドコイル362に通電し、これにより図10の(a)部分に示すようにバネ364を圧縮してロックピン366を天板310から抜去する。図11の(a)部分及び図12の(a)部分は、ロックピン366が天板310から抜去された状態(天板310のロック解除状態)を示す。この状態で、天板310は寝台移動装置220によりスライドすることができる。第1の実施形態に係る医用画像撮像システム10では、このように接続に連動して天板310のロックが解除されるので、ロック解除が間に合わず天板310がスライドできなくなることがない。なお制御部354は、電動キャスター370のロックと天板310のロックの解除とのうち一方を先に行ってもよいし、両方を並行して行ってもよい。
【0055】
[天板の昇降及びスライド]
ユーザは、被験者にコイルをセットし(ステップS120)、操作パネル380を操作して、または医用画像撮像装置100の入力装置210や図示せぬ操作部材を操作して、天板310の昇降及びスライドを指示する(ステップS130)。この指示に応じて天板昇降機構356が天板310及び天板保持部311を装置本体101の撮像空間の高さまで上昇させ(ステップS240)、また寝台移動装置220が天板310を天板保持部311に対して水平方向(図3の+X方向)にスライドさせる(ステップS240)。これにより、被検体110が撮像空間内に挿通され、被検体110の撮像部位を撮像位置に搬送することができる。
【0056】
[撮像]
被検体110の撮像部位が撮像位置に搬送されたら、ユーザは入力装置210等の操作により撮像を指示し(ステップS140)、この指示に応じて、所定のシーケンスで撮像が行われる(ステップS250)。
【0057】
[天板のスライド]
撮像が終了したら、ユーザは操作パネル380を操作して、または医用画像撮像装置100の入力装置210や図示せぬ操作部材を操作して、天板310のスライドを指示し(ステップS150)、この指示に応じて寝台移動装置220が天板310を-X方向にスライドさせて元の位置に戻す(ステップS160)。接続時に天板310を昇降させた場合、天板昇降機構356は天板310を元の高さに戻す。
【0058】
[接続の解除]
検査者(ユーザ)が接続解除用ペダル420(解除ペダル)を踏み込んでいく(ステップS160)に連れて、不図示の解除プレート、ロックバー、ロックプレート等が動作し、ワイヤ326が引かれる。これにより、まず連結具の切欠きからピン233が押し出され、電気コネクタ232と電気コネクタ322とがドッキング解除される(ステップS270:電気的接続の解除)。そして、接続解除用ペダル420のさらなる踏み込み(ステップS160)により、支持部329が前方に押し出されて突起330に乗り上げることにより、フック321が元の位置まで上がり、連結バー231から外れる(ステップS280:機械的接続の解除、図9の(b)部分に示す状態から同図の(a)部分に示す状態へ移行)。このように、寝台装置300では、単一の操作部材である接続解除用ペダル420の操作により、電気的及び機械的に接続を解除することができる。
【0059】
[接続解除に伴う動作]
接続検知部352(プロセッサ350)が接続の解除を検知すると、制御部354(プロセッサ350)は、この検知に応じて電動キャスター370(走行部)のロックを解除(ステップS300)して寝台装置300を走行可能にすると共に、天板310をロック(ステップS290)して天板310をスライド不能にする。制御部354は、例えば上述した歯車の噛み合わせを解除することにより電動キャスター370のロックを解除することができる。また制御部354は、上述したソレノイドコイル362への通電を停止することによりバネ364の圧縮を停止してロックピン366を突出させ天板310に挿入させることにより、天板310をロックすることができる。なお制御部354は、電動キャスター370のロックの解除と天板310のロックとのうち一方を先に行ってもよいし、両方を並行して行ってもよい。電動キャスター370のロックの解除及び天板310のロックが行われたら、ユーザはガントリ(装置本体101)から寝台装置300を外して搬送する(ステップS170)。
【0060】
[第1の実施形態の効果]
以上説明したように、第1の実施形態に係る医用画像撮像システム10(医用画像撮像装置100、寝台装置300)によれば、医用画像撮像装置100と寝台装置300との接続に連動して電動キャスター370のロック状態及び天板310のロック状態が制御されるので、電動キャスター370(走行部、キャスター)及び天板310のロック状態を確実に制御することができる。
【0061】
[変形例]
[走行部ロックの変形例]
図13は、走行部をロックする構成の変形例を示す図である。図13に示す変形例では、寝台装置300は、上述した天板ロック機構360と同様の走行部ロック機構372を備える。走行部ロック機構372は、ソレノイドコイル374(第1ソレノイドコイル)と、ソレノイドコイル374への通電により圧縮されるバネ376(第1バネ部材)と、バネ376に接続され本体部340から走行面900に向けて突出可能なストッパー378(ストッパー)とを備える。ストッパー378の先端部(走行面900と接する側)にゴム等の弾性部材を設けて滑り止めとしてもよい。
【0062】
寝台装置300が装置本体101(医用画像撮像装置100)に接続されていない状態において、ユーザが操作パネル380で走行部のロック解除を指示すると、図13の(a)部分に示すように、制御部354(プロセッサ350)はソレノイドコイル374に通電することによりバネ376を圧縮させてストッパー378を走行面900(走行面)から離間させ、これにより走行部のロックを解除して本体部340(寝台装置300)を走行可能とする。寝台装置300が装置本体101に接続された場合、及び寝台装置300は装置本体101に接続されていないがユーザが操作パネル380で走行部のロックを指示した場合、図13の(b)部分に示すように、制御部354はソレノイドコイル374への通電を停止することによりバネ376の圧縮を停止してストッパー378を突出させ、走行面に突接(当接、接触)させて、これにより走行部をロックして本体部340を走行不能とする。
【0063】
上述した走行部ロック機構372は1つでもよいし、複数でもよい。走行部ロック機構372の数を増やし、かつ/または突接の力を大きくすることにより、走行部の意図せぬ走行を確実に防止することができる。
【0064】
[天板ロック機構の変形例]
図14は、天板ロック機構の変形例を示す図(寝台装置300の上面図)である。図14に示す変形例では、寝台装置300において、天板保持部311にソレノイドコイル362A(第3ソレノイドコイル)が設けられており、天板310には、ソレノイドコイル362Aと対向する位置に磁性体362D(磁性体)が配置されている。天板310をロックする場合、制御部354(プロセッサ350)はソレノイドコイル362Aに通電して磁力で磁性体362Dを吸着し、天板310をロックする。天板310のロックを解除する場合、制御部354はソレノイドコイル362Aへの通電を停止して吸引を停止する。このような構成によれば、部材の機械的な動作がないため、摩耗や組み立て誤差の影響を低減することができる。なお、このような天板ロック機構は、天板310の後部(-X側)に設けて、医用画像撮像装置100の磁界に入らないようにすることが好ましい。
【0065】
[その他]
本実施形態の寝台装置300において、接続の検知や、天板310及び走行部のロック状態の制御等を実行するプロセッサ350(接続検知部352,制御部354)のハードウェア的な構造は、例えば、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。この「各種のプロセッサ」には、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
【0066】
接続検知部352,制御部354は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサ(例えば、複数のFPGA、あるいはCPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部(接続検知部352,制御部354)を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントやサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組合せで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成することができる。
【0067】
また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。なお、各種のプロセッサが動作する際には、ROM(Read Only Memory)等の非一時的かつ有体の記録媒体に記録されたプログラムやデータを参照することができ、動作の際の一時的作業領域としてRAM(Random Access Memory)等の記録媒体や内部メモリを使用することができる。
【0068】
更に、本発明は上述した実施形態に限定されず、種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0069】
220…寝台移動装置
230…ドッキングユニット
300…寝台装置
310…天板
311…天板保持部
313…台車
320…ドッキングユニット
340…本体部
350…プロセッサ
352…接続検知部
354…制御部
356…天板昇降機構
360…天板ロック機構
370…電動キャスター
380…操作パネル
400…ペダルユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14