(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008260
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】コンデンサ装置及びコンデンサ用継手
(51)【国際特許分類】
H01G 2/02 20060101AFI20250109BHJP
H01G 4/38 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H01G2/02 101E
H01G4/38 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110260
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松村 紀明
(72)【発明者】
【氏名】松下 拓未
【テーマコード(参考)】
5E082
【Fターム(参考)】
5E082AB04
5E082CC06
5E082EE07
5E082FF05
5E082FG06
5E082GG27
5E082KK03
5E082KK07
(57)【要約】
【課題】簡単な作業で、複数のコンデンサ素子を集め合わせた状態で保持することができるコンデンサ装置及びコンデンサ用継手を提供する。
【解決手段】コンデンサ装置は、巻き芯11が横方向に並ぶように配置された複数のコンデンサ素子1と、複数のコンデンサ素子1を保持する継手部2と、を備える。継手部2は、複数のコンデンサ素子1の各々の巻き芯11に接続される複数の接続部4を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻き芯を有し、前記巻き芯が横方向に並ぶように配置された複数のコンデンサ素子と、
前記複数のコンデンサ素子を保持する継手部と、
を備え、
前記継手部は、前記複数のコンデンサ素子の各々の巻き芯に接続される複数の接続部を有する、
コンデンサ装置。
【請求項2】
前記複数の接続部の各々は、前記巻き芯の中心軸に沿って延びており、
前記継手部は、前記複数の接続部同士をつなぐ板状の連結部を有する、
請求項1に記載のコンデンサ装置。
【請求項3】
前記複数のコンデンサ素子の各々の巻き芯は円筒状であり、
前記複数の接続部は、前記中心軸方向における前記連結部の一方の面にのみ設けられており、
前記継手部は、前記複数の接続部の各々の先端面と、前記中心軸方向における前記連結部の他方の面とを貫通する複数の貫通穴を有する、
請求項2に記載のコンデンサ装置。
【請求項4】
巻き芯を有し、前記巻き芯が一直線上に並ぶように配置された複数のコンデンサ素子と、
前記複数のコンデンサ素子の隣り合うコンデンサ素子の間に配置されて、前記隣り合うコンデンサ素子を保持する継手部と、
を備え、
前記継手部は、前記複数のコンデンサ素子の各々の巻き芯に接続される複数の接続部を有する、
コンデンサ装置。
【請求項5】
前記複数の接続部は、前記巻き芯の中心軸に沿う方向において、互いに反対方向に突き出ている、
請求項4に記載のコンデンサ装置。
【請求項6】
前記複数のコンデンサ素子の各々の巻き芯は円筒状であり、
前記複数の接続部の各々は、前記各々の巻き芯に嵌め込まれている、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のコンデンサ装置。
【請求項7】
前記複数のコンデンサ素子の各々の巻き芯は円筒状であり、
前記複数の接続部の各々は、前記各々の巻き芯に挿入されており、
前記各々の巻き芯は、内周面に形成された係合部を有し、
前記複数の接続部の各々は、外周面に形成されて前記係合部に引っ掛かる被係合部を有している、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のコンデンサ装置。
【請求項8】
巻き芯を有する複数のコンデンサ素子を保持するコンデンサ用継手であって、
前記複数のコンデンサ素子の各々の巻き芯に接続される複数の接続部と、
前記複数の接続部同士をつなぐ連結部と、
を備える、
コンデンサ用継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ装置及びコンデンサ用継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、複数のコンデンサ素子を集め合わせ、複数のコンデンサ素子同士を電気的に接続したコンデンサ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種のコンデンサ装置は、例えば、集め合わせた複数のコンデンサ素子の外周をプラスチックフィルムによって巻き回すことで、複数のコンデンサ素子が互いに固定されている。複数のコンデンサ素子は、ケースに収容された状態で、例えば、ケース内にモールド樹脂が充填される。
【0003】
このように、複数のコンデンサ素子をプラスチックフィルムによって互いに固定することで、複数のコンデンサ素子をケースに収容する際に扱いやすくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、プラスチックフィルムを複数のコンデンサ素子の外周に巻き回す作業は、手間が掛かり、比較的長い作業時間を要する、という問題がある。特に、コンデンサ装置の容量によっては、多くのコンデンサ素子の外周を巻き回す必要があり、より一層の手間が掛かる。
【0006】
本発明の目的は、簡単な作業で、複数のコンデンサ素子を集め合わせた状態で保持することができるコンデンサ装置及びコンデンサ用継手を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一態様のコンデンサ装置は、巻き芯を有し、前記巻き芯が横方向に並ぶように配置された複数のコンデンサ素子と、前記複数のコンデンサ素子を保持する継手部と、
を備える。前記継手部は、前記複数のコンデンサ素子の各々の巻き芯に接続される複数の接続部を有する。
【0008】
本発明に係る一態様のコンデンサ装置は、巻き芯を有し、前記巻き芯が一直線上に並ぶように配置された複数のコンデンサ素子と、前記複数のコンデンサ素子の隣り合うコンデンサ素子の間に配置されて、前記隣り合うコンデンサ素子を保持する継手部と、を備える。前記継手部は、前記複数のコンデンサ素子の各々の巻き芯に接続される複数の接続部を有する。
【0009】
本発明に係る一態様のコンデンサ用継手は、巻き芯を有する複数のコンデンサ素子を保持するコンデンサ用継手であって、前記複数のコンデンサ素子の各々の巻き芯に接続される複数の接続部と、前記複数の接続部同士をつなぐ連結部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る上記態様のコンデンサ装置及びコンデンサ用継手は、簡単な作業で、複数のコンデンサ素子を集め合わせた状態で保持することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るコンデンサ装置におけるコンデンサ素子集合体の斜視図である。
【
図2】
図2(A)は、第1実施形態に係る継手部(コンデンサ用継手)の斜視図である。
図2(B)は、第1実施形態に係る継手部(コンデンサ用継手)の正面図である。
【
図3】
図3(A)は、第1実施形態に係る継手部(コンデンサ用継手)が、コンデンサ素子の巻き芯に接続される直前の断面図である。
図3(B)は、第1実施形態に係る継手部(コンデンサ用継手)が、コンデンサ素子の巻き芯に接続された状態の断面図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態に係るコンデンサ装置におけるコンデンサ素子集合体の斜視図である。
【
図5】
図5(A)は、第2実施形態に係る継手部(コンデンサ用継手)の斜視図である。
図5(B)は、第2実施形態に係る継手部(コンデンサ用継手)が、コンデンサ素子の巻き芯に接続された状態の断面図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態の変形例に係る継手部(コンデンサ用継手)が、コンデンサ素子の巻き芯に接続された状態の断面図である。
【
図7】
図7は、変形例2に係るコンデンサ装置におけるコンデンサ素子集合体の斜視図である。
【
図8】
図8は、変形例2に係る継手部(コンデンサ用継手)の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
本実施形態に係るコンデンサ装置は、複数のコンデンサ素子1を集め合わせた集合体(これを、コンデンサ素子集合体10という場合がある)をケースに収容し、ケース内に絶縁物質を充填したコンデンサである。絶縁物質は、本実施形態では、モールド用樹脂である。モールド用樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。絶縁物質としては、モールド用樹脂に限らず、例えば、絶縁ガス、絶縁油等であってもよい。
【0013】
図1には、コンデンサ素子集合体10のみを表わし、ケース及び絶縁物質については図示を省略している。コンデンサ素子集合体10は、
図1に示すように、巻き芯11を有する複数のコンデンサ素子1と、複数のコンデンサ素子1を保持する継手部2(コンデンサ用継手)と、を備える。継手部2は、
図2に示すように、複数のコンデンサ素子1の巻き芯11に接続される複数の接続部4を有している。
【0014】
このように構成されていることで、コンデンサ素子1の巻き芯11を、継手部2の接続部4に接続するだけで、複数のコンデンサ素子1を継手部2によって保持することができる。したがって、複数のコンデンサ素子1を、簡単な作業で集め合わせた状態で保持することができ、この後の作業(ケースに収容したり、絶縁物質を充填したりする作業)の際に扱いやすい。
【0015】
以下、説明の便宜上、
図1に示すように「前後方向」を定義し、前後方向に直交しかつ水平面に平行な方向を「左右方向」として定義する。また、左右方向及び前後方向に直交する方向を「上下方向」として定義する。ただし、これらの方向の定義は、説明のために定義したものに過ぎず、使用態様を特定する意図はない。
【0016】
本明細書において「平行」とは、2つの直線、面等(以下、直線等)が延長しても交わらない場合だけでなく、2つの直線等がなす角度が10°以内の範囲で交わる場合も含む。また、「直交」とは、2つの直線等が90°±10°の範囲で交わる場合を意味する。ただし、2つの直線等が直接交わっていなくても、延長した場合に交わる場合には「直交」に含まれる。
【0017】
(コンデンサ素子1)
コンデンサ素子1は、巻き芯11に誘電体フィルム13を巻き回したフィルムコンデンサである。コンデンサ素子1は、メタライズドフィルムコンデンサ(MFコンデンサ)であることが好ましい。コンデンサ素子1では、巻き回された誘電体フィルム13の幅方向の両端(中心軸方向の両端)に対向するようにして、メタリコン(電極)が配置されている。コンデンサ素子1の中心軸方向において、巻き芯11は、メタリコンから突き出ている。
【0018】
巻き芯11は、コンデンサ素子1の長手方向の全長にわたって延びており、本実施形態では、巻き芯11の中心軸方向は、上下方向に平行である。巻き芯11は円筒状であり、長手方向の一端面の開口面と他端面の開口面とは通じている。巻き芯11の材料としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート等の合成樹脂、FRP(Fiberglass Reinforced Plastics)等が挙げられる。
【0019】
複数のコンデンサ素子1は、
図1に示すように、巻き芯11が横方向に並ぶように配置されている。巻き芯11の中心軸は、互いに平行である。巻き芯11が横方向に並ぶようにコンデンサ素子1が配置されることで、複数のコンデンサ素子1は、電気的に、並列接続が行いやすい利点がある。ここでいう「横方向」とは、巻き芯11の中心軸方向に直交する方向を意味し、前後方向及び左右方向も含まれる。
【0020】
コンデンサ素子集合体10は、2個以上のコンデンサ素子1を有する。コンデンサ素子集合体10は、本実施形態では、6個のコンデンサ素子1が集め合わせられているが、例えば、100個以上のコンデンサ素子1が集め合わされてもよい。
【0021】
(継手部2)
継手部2(コンデンサ用継手という場合がある)は、
図2(A)(B)に示すように、複数の接続部4と、複数の接続部4同士をつなぐ連結部3と、を備える。継手部2において、接続部4と連結部3とは、一体に形成されていることが好ましい。継手部2の材料としては、絶縁材料が用いられており、例えば、巻き芯11の材料と同様の材料を用いることができる。
【0022】
(接続部4)
接続部4は、巻き芯11に接続される部分である。接続部4は、巻き芯11の中心軸に沿って延びている。複数の接続部4は、横方向に間隔をあけて配置されている。複数の接続部4の長手方向は、互いに平行である。本実施形態に係る接続部4は円筒状である。
【0023】
接続部4は、
図3に示すように、巻き芯11に挿入されることが好ましく、巻き芯11の内側に嵌め込まれることがより好ましい。ここでいう「嵌め込まれる」とは、巻き芯11の内周面に対して、接続部4の外周面が略全周にわたって接触し、接続部4からコンデンサ素子1が脱落しない程度に嵌め入れられた状態を意味する。接続部4の先端部は、先端にいくにつれて小径となるようにテーパ状に形成されてもよい。
【0024】
接続部4は、巻き芯11に対して、嵌め込まれることなく挿入されるような、巻き芯11の内径よりもやや小さい外径であっても、係合部12と被係合部43とによって、接続状態を保つことができる。巻き芯11の内周面には、
図3(A)に示すように、係合部12が形成されている。また、接続部4の外周面には、係合部12に引っ掛かる被係合部43が形成されている。本実施形態では、係合部12が溝121で、かつ被係合部43が複数の突起431である。ただし、係合部12が突起で、被係合部43が溝であってもよい。
【0025】
溝121は、巻き芯11の内周面の周方向の全周にわたって形成されることが好ましい。これによって、溝121に対して突起431が引っ掛かりやすくなる。また、突起431は、接続部の外周面の周方向の全周にわたって形成されてもよいし、周方向において部分的に形成されてもよい。
【0026】
突起431は、接続部4の外周面に対して、突出寸法が弾性的に変化することが好ましい。突起431は、例えば、接続部4の外周面に形成された穴内に配置された球体であってもよい。球体は、弾性体(例えばねじりコイルばね)によって、径方向の外側に外力が加えられる。接続部4の外周面から突き出る球体が、直径方向に移動することで、溝121に引っ掛けられる。また、突起431は、例えば、ゴム、軟質樹脂等の弾性体が、接続部4の外周面に取り付けられてもよい。また、突起431の周方向の両側に、中心軸方向に延びる一対のスリットを形成し、突起431が形成された接続部4の周壁の一部が弾性変形可能に構成されてもよい。
【0027】
なお、接続部4と巻き芯11との接続状態としては、接続部4が巻き芯11に対して嵌め込まれ、かつ係合部12が被係合部43に引っ掛けられた構造であってもよい。
【0028】
巻き芯11に対する接続部4の重なり寸法は、接続部4の外径に対して、0.7倍以上3倍以下が好ましく、より好ましくは、1倍以上2.5倍以下であり、更に好ましくは、1.2倍以上2倍以下である。このように構成されることで、巻き芯11に対する接続部4の接続のしやすさを保ちながら、接続された状態の保持力を確保できる。
【0029】
(連結部3)
連結部3は、
図2(A)に示すように、複数の接続部4同士をつなぐ。連結部3は、一定以上の剛性を有している。連結部3は、接続部4の中心軸に直交する仮想平面上に広がる板状である。連結部3は、中央部において上下方向に貫通する開口部が形成された枠体31により構成されている。開口部は、矩形状であるが、例えば、円形状、楕円形状、複数のスロット状、三角形状、五角形状等であってもよい。このように構成されていることで、複数のコンデンサ素子1をリード線等で電気的に接続する作業を行いやすいし、モールド用樹脂に埋め込まれた状態において、いわゆるアンカー効果が得られやすい。なお、連結部3は、板状に限らず、例えば、丸棒状、ブロック状等であってもよい。
【0030】
連結部3は、
図2(B)に示すように、第1面32と、第1面32の反対側の第2面33とを有する。連結部3は、本実施形態では、第1面32にのみ、複数の接続部4が設けられている。継手部2は、接続部4の先端面と連結部3の第2面33とを貫通する複数の貫通穴5を有することが好ましい。貫通穴5は、本実施形態では、連結部3に形成された空気抜き穴と、筒状の接続部4の中空部とで構成されている。空気抜き穴は、連結部3の第1面32から第2面33まで貫通しており、接続部4の内部に通じている。このように構成されていることで、モールド用樹脂を充填する際に、巻き芯11内の気体を抜くことができる。
【0031】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態では、複数のコンデンサ素子1の巻き芯11が、横方向に並ぶように配置されたが、本実施形態では、
図4に示すように、複数のコンデンサ素子1の巻き芯11が一直線上に並ぶように配置されている。巻き芯11が一直線上に並ぶようにコンデンサ素子1が配置されることで、コンデンサ素子1を、電気的に、直列接続が行いやすいという利点がある。なお、本実施形態のコンデンサ装置は、第1実施形態と大部分において同じであるため、同じ構成については、第1実施形態と同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0032】
本実施形態に係る継手部2は、隣り合うコンデンサ素子1の間に配置され、隣り合うコンデンサ素子1を保持する。継手部2は、
図5に示すように、連結部3と、連結部3の中心軸方向の両端に形成された一対の接続部4(以下、第1接続部41、第2接続部42という)と、を備える。継手部2は、連結部3及び一対の接続部41,42が一体に形成されており、全体として、上下方向に中心軸を有する円筒状に形成されている。
【0033】
第1接続部41は、連結部3の上端から上方向に突き出ている。第2接続部42は、連結部3の下端から下方向に突き出ている。第1接続部41と第2接続部42とは、連結部3から、互いに反対方向に突き出ている。なお、
図5において、第1接続部41と連結部3との境界線、及び第2接続部42と連結部3との境界線を想像線で示しているが、実際には、境界線は現われてもよいし、現れなくてもよい。
【0034】
第1接続部41及び第2接続部42の各々には、被係合部43が形成されている。また、巻き芯11には、第1実施形態と同様、係合部12が形成されている。これによって、第1接続部41と上側の巻き芯11とが接続され、第2接続部42と下側の巻き芯11とが接続される。なお、第1実施形態と同様、接続部41,42と巻き芯11とは、嵌め込みのみにより接続されてもよい。
【0035】
このような構成のコンデンサ素子集合体10であっても、第1実施形態と同様に、複数のコンデンサ素子1を、簡単な作業で集め合わせた状態で保持することができ、この後の作業の際に扱いやすい。
【0036】
<変形例>
上記実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0037】
(1)変形例1
第2実施形態の継手部2は、巻き芯11とは別部材であったが、例えば、
図6に示すように、第1接続部41と第2接続部42とのいずれか一方のみを、巻き芯11と一体に接続してもよい。一変形例に係る継手部2は、第2接続部42が、下側のコンデンサ素子1の巻き芯11に一体に接続されている。第1接続部41は、巻き芯11の内側に嵌め込まれて、巻き芯11に接続されている。
【0038】
(2)変形例2
第1実施形態の継手部2では、複数の接続部4が連結部3の一方の面(第1面32)にのみ設けられたが、
図7、8に示すように、複数の接続部4が連結部3の厚さ方向の両方の面に設けられてもよい。これによって、複数のコンデンサ素子1は、電気的に、直列接続及び並列接続の両方を行いやすくなる。
【0039】
継手部2(コンデンサ用継手)は、2つの接続部41,42が、中心軸に沿って一直線上に配置されると共に、互いに反対を向いている。第1接続部41の先端面の開口面と、第2接続部42の先端面の開口面とは、互いに通じている。
【0040】
(3)その他の変形例
上記実施形態において、巻き芯11の内周面に形成された係合部12は、周方向に延びる溝121であったが、係合部12は、例えば、上下方向に延びるスリットであってもよい。スリットは、巻き芯11の周壁を貫通してもよいし、非貫通であってもよい。スリットに対して、接続部4の突起431(被係合部43)が差し込まれることで、係合部12に対して被係合部43が引っ掛けられる。また、スリットから周方向に切り込みを設けてもよい。これにより、スリットに対して突起431を差し込んだ後に、コンデンサ素子1を中心軸回りに回転させることで、継手部2が巻き芯11から脱落しにくい。
【0041】
接続部4の内径は、巻き芯11の外径以上の大きさに形成されてもよい。この場合、巻き芯11は、接続部4に挿入される。また、接続部4は、連結部3において、巻き芯11の外径と同じサイズに形成された貫通穴であってもよい。
【0042】
接続部4は、円筒状でなくてもよい。接続部4は、例えば、隣り合う接続部4同士において、最も近接する半円弧部分のみで形成されてもよいし、最も離れた半円弧部分のみで形成されてもよい。同様に、巻き芯11において、接続部4に接続される端部も、半円弧部分で形成されてもよい。また、接続部4は、中実の円柱状に形成されてもよい。
【0043】
複数のコンデンサ素子1同士は、リード線で電気的に接続されてもよいし、配線用の金具で電気的に接続されてもよい。
【0044】
コンデンサ素子1の巻き芯11の中心軸方向の一方の端部にのみ、継手部2を接続したが、2つの継手部2を、巻き芯11の中心軸方向の両方の端部に接続してもよい。これによって、複数のコンデンサ素子1をより安定的に保持することができる。
【0045】
実施形態1では、6個のコンデンサ素子1を1つの継手部2で保持したが、複数のコンデンサ素子1を1つの継手部2で保持したコンデンサ素子集合体を複数構成し、継手部2同士を連結して、1つのコンデンサ素子集合体10を構成してもよい。
【0046】
<まとめ>
以上説明したように、第1の態様に係るコンデンサ装置は、巻き芯11が横方向に並ぶように配置された複数のコンデンサ素子1と、複数のコンデンサ素子1を保持する継手部2と、を備える。継手部2は、複数のコンデンサ素子1の各々の巻き芯11に接続される複数の接続部4を有する。
この態様によれば、コンデンサ素子1の巻き芯11を、継手部2の接続部4に接続するだけで、複数のコンデンサ素子1を継手部2によって保持することができる。したがって、複数のコンデンサ素子1を、簡単な作業で集め合わせた状態で保持することができ、この後の作業(ケースに収容したり、絶縁物質を充填したりする作業)の際に扱いやすい。
【0047】
第2の態様に係るコンデンサ装置では、第1の態様において、複数の接続部4の各々は、巻き芯11の中心軸に沿って延びており、継手部2は、複数の接続部4同士をつなぐ板状の連結部3を有する。
この態様によれば、接続部4が、巻き芯11の中心軸に沿って延びているため、接続部4と巻き芯11とが、ぐらつくのを軽減でき、安定した接続状態を得ることができる。
【0048】
第3の態様に係るコンデンサ装置では、第2の態様において、複数のコンデンサ素子1の各々の巻き芯11は円筒状である。複数の接続部4は、中心軸方向における連結部3の一方の面にのみ設けられている。継手部2は、複数の接続部4の各々の先端面と、中心軸方向における連結部3の他方の面とを貫通する複数の貫通穴5を有する。
この態様によれば、複数のコンデンサ素子1を筐体に収容し、モールド用樹脂を充填する際に、巻き芯11内の気体を、貫通穴5を通して抜くことができる。
【0049】
第4の態様に係るコンデンサ装置は、巻き芯11を有し、巻き芯11が一直線上に並ぶように配置された複数のコンデンサ素子1と、複数のコンデンサ素子1の隣り合うコンデンサ素子1の間に配置されて、隣り合うコンデンサ素子1を保持する継手部2と、を備える。継手部2は、複数のコンデンサ素子1の各々の巻き芯11に接続される複数の接続部4を有する。
この態様によれば、コンデンサ素子1の巻き芯11を、継手部2の接続部4に接続するだけで、複数のコンデンサ素子1を継手部2によって保持することができる。したがって、複数のコンデンサ素子1を、簡単な作業で集め合わせた状態で保持することができ、この後の作業の際に扱いやすい。
【0050】
第5の態様に係るコンデンサ装置では、第4の態様において、複数の接続部4は、中心軸に沿う方向において、互いに反対方向に突き出ている。
この態様によれば、継手部2をシンプルな形状にして製造性を向上できるし、また、中心軸方向に隣り合うコンデンサ素子1をできる限り近付けた状態で保持することができる。
【0051】
第6の態様に係るコンデンサ装置では、第1~5のいずれか1つの態様において、複数のコンデンサ素子1の各々の巻き芯11は円筒状であり、複数の接続部4の各々は、各々の巻き芯11に嵌め込まれている。
この態様によれば、接続部4の設計上の自由度を向上できるため、巻き芯11との接続に適した長さに設定することができる。
【0052】
第7の態様に係るコンデンサ装置では、第1~6のいずれか1つの態様において、複数のコンデンサ素子1の各々の巻き芯11は円筒状である。複数の接続部4の各々は、各々の巻き芯11に挿入されている。各々の巻き芯11は、内周面に形成された係合部12を有する。複数の接続部4の各々は、外周面に形成されて係合部12に引っ掛かる被係合部43を有している。
この態様によれば、接続部4と巻き芯11との接続状態を、より安定させることができる。
【0053】
第7の態様に係るコンデンサ用継手は、巻き芯11を有する複数のコンデンサ素子1を保持するコンデンサ用継手である。コンデンサ用継手は、複数のコンデンサ素子1の各々の巻き芯11に接続される複数の接続部4と、複数の接続部4同士をつなぐ連結部3と、を備える。
この態様によれば、コンデンサ素子1の巻き芯11を、コンデンサ用継手の接続部4に接続するだけで、複数のコンデンサ素子1を保持することができる。したがって、複数のコンデンサ素子1を、簡単な作業で集め合わせた状態で保持することができ、この後の作業の際に、コンデンサ素子集合体10を扱いやすい。
【符号の説明】
【0054】
10 集合体
1 コンデンサ素子
11 巻き芯
12 係合部
121 溝
2 継手部(コンデンサ用継手)
3 連結部
31 枠体
4 接続部
41 第1接続部
42 第2接続部
43 被係合部
431 突起
5 貫通穴