(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008272
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】飯盒
(51)【国際特許分類】
A45F 3/16 20060101AFI20250109BHJP
A47J 27/21 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A45F3/16
A47J27/21 102Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110279
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000138336
【氏名又は名称】株式会社スノーピーク
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】山井 太
【テーマコード(参考)】
2E181
4B055
【Fターム(参考)】
2E181CA02
2E181CC02
2E181CC07
2E181CD01
2E181CD08
4B055AA48
4B055AA50
4B055BA34
4B055CA22
4B055CA44
4B055CB02
(57)【要約】
【課題】複数の調理を同時に行うことができる飯盒を提供する。
【解決手段】飯盒1は、上面の開口OP1を規定する開口側壁30を有する本体部10と、本体部10の開口OP1を閉鎖可能な蓋部11と、本体部10の開口OP1を覆うように開口側壁30に取り付け可能な中蓋部12と、を備える。飯盒1は、中蓋部12を開口側壁30に取り付けたときに、中蓋部12と開口側壁30との間に隙間Aが形成されるように構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飯盒であって、
上面の開口を規定する開口側壁を有する本体部と、
前記本体部の前記開口を閉鎖可能な蓋部と、
前記本体部の前記開口を覆うように前記開口側壁に取り付け可能な中蓋部と、を備え、
前記中蓋部を前記開口側壁に取り付けたときに、前記中蓋部と前記開口側壁との間に隙間が形成されるように構成されている、飯盒。
【請求項2】
前記本体部の前記開口側壁は、外側に突出するように湾曲する湾曲側壁部分を有し、
前記中蓋部は、前記中蓋部を前記開口側壁に取り付けたときに前記湾曲側壁部分の内面と対向する対向側壁部分を有し、
前記隙間は、前記湾曲側壁部分と前記対向側壁部分との間に形成される、請求項1に記載の飯盒。
【請求項3】
前記対向側壁部分の外周面は、前記中蓋部の底に近づくにつれて次第に内側に後退するように傾斜している、請求項2に記載の飯盒。
【請求項4】
前記湾曲側壁部分は、前記開口側壁において互いに対向する2か所に設けられ、
前記対向側壁部分は、前記2か所の前記湾曲側壁部分に対応する2か所に設けられている、請求項2に記載の飯盒。
【請求項5】
前記中蓋部を前記開口側壁に取り付けたときの平面視で、前記隙間は細長形状を有する、請求項1に記載の飯盒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飯盒に関する。
【背景技術】
【0002】
キャンプや登山などでの野外の調理に使用される飯盒がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような飯盒では、例えば炊飯を行っている間に、スープや煮物、蒸し物などの他の調理を行うことが難しい。したがって、飯盒を用いて他の調理を行う場合には、炊飯の前や後に行う必要がある。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、複数の調理を同時に行うことができる飯盒を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る飯盒は、上面の開口を規定する開口側壁を有する本体部と、本体部の開口を閉鎖可能な蓋部と、本体部の開口を覆うように開口側壁に取り付け可能な中蓋部と、を備え、中蓋部を開口側壁に取り付けたときに、中蓋部と開口側壁との間に隙間が形成されるように構成されている。
【0007】
本態様によれば、中蓋部を本体部の開口側壁に取り付けたときに、中蓋部と開口側壁との間に隙間が形成されるので、本体部内の蒸気が隙間を通って中蓋部内に到達する。この結果、中蓋部内に熱が伝わりやすくなり、本体部と中蓋部の両方で調理を行うことができる。よって、複数の調理を同時に行うことができる。
【0008】
上記態様において、本体部の開口側壁は、外側に突出するように湾曲する湾曲側壁部分を有し、中蓋部は、中蓋部を開口側壁に取り付けたときに湾曲側壁部分の内面と対向する対向側壁部分を有し、隙間は、湾曲側壁部分と対向側壁部分との間に形成されてよい。
【0009】
上記態様において、対向側壁部分の外周面は、中蓋部の底に近づくにつれて次第に内側に後退するように傾斜してよい。
【0010】
上記態様において、湾曲側壁部分は、開口側壁において互いに対向する2か所に設けられ、対向側壁部分は、2か所の湾曲側壁部分に対応する2か所に設けられてよい。
【0011】
上記態様において、中蓋部を開口側壁に取り付けたときの平面視で、隙間は細長形状を有してよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の調理を同時に行うことができる飯盒を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】飯盒の各部品の構成の一例を示す斜視図である。
【
図2】飯盒の各部品を組み立てた時の飯盒の構成の一例を示す斜視図である。
【
図3】中蓋部を本体部に取り付けたときの飯盒の構成の一例を示す斜視図である。
【
図4】中蓋部を本体部に取り付けたときの飯盒の構成の一例を示す平面図である。
【
図5】蓋部及び中蓋部を本体部に取り付けたときの飯盒の構成の一例を示す断面図(
図2のB-B断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係る飯盒1の各部品の構成の一例を示す斜視図である。
図2は、飯盒1の各部品を組み立てた時の飯盒1の構成の一例を示す斜視図である。なお、本明細書の「上」、「下」は、飯盒1の通常の使用時における姿勢(
図1に示す姿勢)に基づいて、後述の蓋部の天面板がある側を「上」とし、本体部の底板がある側を「下」とする。
【0015】
図1に示すように、飯盒1は、本体部10と、蓋部11と、中蓋部12を備える。
【0016】
本体部10は、調理の材料を入れる容器を構成している。本体部10は、略楕円の筒状の本体側壁20と、本体側壁20の底面を閉鎖する略楕円の底板21とを有する。本体部10は、上面が開口している。
【0017】
本体側壁20は、上面の開口OP1を規定する開口側壁30を含む。開口側壁30は、本体部10の長手方向Xの両側に位置する湾曲側壁部分40と、本体部10の短手方向Yの両側に位置する直線側壁部分41を有する。各湾曲側壁部分40は、長手方向Xの外側に突出するように湾曲する略円弧形状を有する。なお、各湾曲側壁部分40の形状は、湾曲していればよく、円弧形状に限られない。各直線側壁部分41は、長手方向Xに沿って直線状に延設されている。各直線側壁部分41は、2つの湾曲側壁部分40を接続している。
【0018】
本体側壁20の外周面には、吊り手45を取り付け可能な2つの係止部46が設けられている。2つの係止部46は、本体側壁20の長手方向Xの両側に位置する湾曲側壁部分40の外周面に設けられている。さらに、本体部10は、本体側壁20に対し回動して本体部10の取手として機能する取手部47を有してよい。
【0019】
蓋部11は、本体部10の開口OP1を閉鎖可能に構成されている。蓋部11は、略楕円の筒状の蓋側壁50と、蓋側壁50の上面を閉鎖する略楕円の天面板51を有している。蓋側壁50は、本体部10の開口側壁30と同形状で開口側壁30よりわずかに大きい径を有し、開口側壁30の外周部分に気密に嵌め込むことができる。蓋部11は、蓋側壁50に対し回動して蓋部11の取手として機能する取手部52を有してよい。
【0020】
中蓋部12は、調理の材料を入れる容器を構成している。中蓋部12は、本体部10の開口OP1を覆うように開口側壁30に対し取り付け可能に構成されている。中蓋部12は、略楕円の筒状の中蓋側壁70と、中蓋側壁70の底面を閉鎖する略楕円の底板71を有する。
【0021】
中蓋側壁70は、本体部10の開口側壁30の内側に嵌め込み可能な嵌め込み側壁部分90と、嵌め込み側壁部分90が開口側壁30に嵌め込まれたときに開口側壁30の内面に対向し、開口側壁30との間に隙間Aを形成する対向側壁部分91と、中蓋部12を開口側壁30の上端30aに係止するための係止側壁部分92と、を有する。
【0022】
嵌め込み側壁部分90は、例えば、開口側壁30と同形状で開口側壁30の径よりわずかに小さい径を有し、開口側壁30の内周部分に気密に嵌め込むことができる。係止側壁部分92は、嵌め込み側壁部分90よりも外側に突出した形状を有し、開口側壁30の径より大きな径を有する。係止側壁部分92は、中蓋側壁70における短手方向Yの両側に設けられている。
図3に示すように、係止側壁部分92は、中蓋部12を開口側壁30に取り付けたときに、開口側壁30の上端30aの上に載置され係止される。
【0023】
対向側壁部分91は、中蓋側壁70における長手方向Xの両側の2か所に配置される。
図4に示すように、対向側壁部分91は、平面視で、長手方向Xの外方に突出しておらず、短手方向Yに沿った直線状に形成されている。これにより、湾曲側壁部分40と対向側壁部分91との間に隙間Aが形成されている。各隙間Aは、平面視で細長形状を有する。隙間Aは、平面視で、本体部10(中蓋部12)の短手方向Yに長く、長手方向Xに短い。
【0024】
図1、
図3及び
図5に示すように、対向側壁部分91の外周面は、略方形の平坦面を有し、中蓋部12の底板71に近づくにつれて次第に内側に後退するように傾斜している。対向側壁部分91は、例えば、底板71付近から、係止側壁部分92の下端よりも高い位置まで形成されている。
図5に示すように、中蓋部12が開口側壁30に取り付けられた状態で、対向側壁部分91は、開口側壁30と同じ高さの位置から開口側壁30の上端30aよりも高い位置まで形成されている。
【0025】
湾曲側壁部分40と対向側壁部分91との間に形成される隙間Aは、湾曲側壁部分40(対向側壁部分91)の下方に行くにつれて次第に広くなっている。隙間Aは、本体部10を短手方向Yから見た側面視で、開口側壁30の上端30aにおいて最も狭い幅を有する。開口側壁30の上端30aにおける隙間Aの長手方向Xの最大幅D1は、0.5cm以上、好ましくは1cm以上3cm以下であってよい。開口側壁30の上端30aにおける隙間Aの短手方向Yの長さは、1.5cm以上、好ましくは2cm以上6cm以下であってよい。
【0026】
図3に示したように、中蓋部12は、開口側壁30に取り付けられた時に、開口側壁30の上端よりも上方に位置する部分を有する。これにより、中蓋部12の内部容積が大きくなる。中蓋部12を開口側壁30に取り付けた状態で、
図2に示したように、蓋部11を、中蓋部12の上から開口側壁30に嵌め込むことができる。
【0027】
次に、飯盒1の使用方法の一例について説明する。本体部10内にお米や水などの材料を入れ、中蓋部12内に肉や野菜などの材料を入れる。中蓋部12を本体部10の開口側壁30に嵌め込み、その上から蓋部11を本体部10の開口側壁30に嵌め込む。その後、飯盒1を火にかけて調理する。このとき、本体部10内の蒸気Hが隙間Aを通って中蓋部12内に入る。これにより、中蓋部12内の材料が熱せられて、本体部10内の材料と同時に中蓋部12内の材料が調理される。
【0028】
本実施の形態によれば、中蓋部12を本体部10の開口側壁30に取り付けたときに、中蓋部12と開口側壁30との間に隙間Aが形成されるので、本体部10内の蒸気Hが隙間Aを通って中蓋部12内に到達する。この結果、中蓋部12内に熱が伝わりやすくなり、本体部10と中蓋部12の両方で調理を行うことができる。よって、複数の調理を同時に行うことができる。
【0029】
本体部10の開口側壁30は、外側に突出するように湾曲する湾曲側壁部分40を有し、中蓋部12は、中蓋部12を開口側壁30に取り付けたときに湾曲側壁部40の内面と対向する対向側壁部分91を有し、隙間Aは、湾曲側壁部分40と対向側壁部分91との間に形成される。これにより、隙間Aが好適に形成される。
【0030】
対向側壁部分91の外周面は、中蓋部12の底に近づくにつれて次第に内側に後退するように傾斜している。これにより、隙間Aが十分に確保され、本体部10内のより多くの蒸気Hが隙間Aを通って中蓋部12内に到達することができる。
【0031】
湾曲側壁部分40は、開口側壁30における互いに対向する2か所に設けられ、対向側壁部分91は、2か所の湾曲側壁部分40に対応する2か所に設けられている。これにより、中蓋部12内の材料が偏りなく調理される。
【0032】
中蓋部12を開口側壁30に取り付けたときの平面視で、隙間Aは細長形状を有している。これにより、隙間Aが十分に確保される。
【0033】
以上の実施の形態において、飯盒1は他の構成や形状を有してよい。例えば、本体部10、蓋部11及び中蓋部12の形状は他の形状を有してよい。隙間Aは、中蓋部12と本体部10との間の他の場所に設けられてもよい。隙間Aの数は、上記実施の形態のものに限られず、1つであっても、3つ以上であってもよい。
【0034】
以上の例示的実施形態において、飯盒は、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく種々の変形をなし得る。例えば、当業者の通常の創作能力の範囲内で、ある実施形態における一部の構成要素を、他の実施形態に追加することができる。また、ある実施形態における一部の構成要素を、他の実施形態の対応する構成要素と置換することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、複数の調理を同時に行うことができる飯盒を提供する際に有用である。
【符号の説明】
【0036】
1……飯盒、10……本体部、11……蓋部、12……中蓋部、30……開口側壁、40……湾曲側壁部分、91……対向側壁部分、A……隙間、OP1……開口、X……長手方向、Y……短手方向