(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008274
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】テント及びフライシート
(51)【国際特許分類】
E04H 15/58 20060101AFI20250109BHJP
E04H 15/16 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
E04H15/58 Z
E04H15/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110282
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000138336
【氏名又は名称】株式会社スノーピーク
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】山井 太
(72)【発明者】
【氏名】傅 嘉巍
【テーマコード(参考)】
2E141
【Fターム(参考)】
2E141AA08
2E141BB01
2E141CC04
2E141FF01
2E141GG06
2E141GG10
(57)【要約】
【課題】インナーテントをフライシートで覆った状態であっても、出入口を開いた状態にせずにインナーテントに対する空気の出し入れを円滑に行うこと。
【解決手段】テント2は、インナーテント4と、インナーテント4を覆うフライシート3とを備える。フライシート3は、シート本体と、設置面への固定部である固定ロープ32a,32b,32hと、を有する。隣接する固定部間における湾曲縁部31ab,31haは、固定部からシート本体の中央部3p側に向かって近づくように湾曲している。シート本体には、インナーテント4の頂部4p側においてインナーテント4と当接する当接部34c1,34c2が設けられ、固定ロープ32a,32b,32hは、設置面においてインナーテント4からは離隔して固定される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナーテントと、前記インナーテントを覆うフライシートとを備えるテントであって、
前記フライシートは、シート本体と、設置面への固定部と、を有し、
前記シート本体の縁部に前記固定部が複数設けられ、隣接する前記固定部間における前記縁部は、前記固定部から前記シート本体の中央側に向かって近づくように湾曲しており、
前記シート本体には、前記インナーテントの頂部側において前記インナーテントと当接する当接部が設けられ、
前記固定部は、前記設置面において前記インナーテントからは離隔して前記設置面に固定される、テント。
【請求項2】
前記フライシートは、前記当接部において前記インナーテントとの位置決めが可能なように構成されている、請求項1に記載のテント。
【請求項3】
前記インナーテントには、前記当接部よりも前記設置面側に空気が出入り可能な通気部が設けられている、請求項1又は2に記載のテント。
【請求項4】
インナーテントを覆うフライシートであって、
シート本体と、設置面への固定部と、を有し、
前記シート本体の縁部に前記固定部が複数設けられ、
隣接する前記固定部間における前記縁部は、前記固定部から前記シート本体の中央側に向かって近づくように湾曲している、フライシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インナーテントを覆うフライシートを備えるテント、及びフライシートに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載されているように、テントを覆うフライシートが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、フライシートはテントを覆って雨漏り防止や保温に資するものであり、出入口を開いた状態にしなければ空気が円滑に出入りする状態とすることができない。
【0005】
本開示は、インナーテントをフライシートで覆った状態であっても、出入口を開いた状態にせずにインナーテントに対する空気の出し入れを円滑に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、インナーテントと、前記インナーテントを覆うフライシートとを備えるテントであって、フライシートは、シート本体と、設置面への固定部と、を有し、シート本体の縁部に固定部が複数設けられ、隣接する固定部間における縁部は、固定部からシート本体の中央側に向かって近づくように湾曲しており、シート本体には、インナーテントの頂部側においてインナーテントと当接する当接部が設けられ、固定部は、設置面においてインナーテントからは離隔して設置面に固定される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、インナーテントをフライシートで覆った状態であっても、出入口を開いた状態にせずにインナーテントに対する空気の出し入れを円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るテントの側面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されるインナーテントの斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係るテントの平面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係るテントの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0010】
図1,2,3,4を参照しながら本実施形態に係るテント2について説明する。
図1は、テント2を横から見た側面図である。テント2は、インナーテント4及びフライシート3を備えている。フライシート3は、インナーテント4を覆うように設置する。
【0011】
図1において、互いに直交するx軸、y軸、z軸が設定されている。x軸及びz軸は、
図1の紙面に沿って設定されている。x軸は、
図1に向かって左側から右側に向かって+方向となるように設定されている。z軸は、
図1に向かって下側から上側に向かって+方向となるように設定されている。y軸は、
図1に向かって手前側から奥側に向かって+方向となるように設定されている。
【0012】
本実施形態の場合、xy平面が、テント2が設置される地面に沿って設けられている。z軸は鉛直線に沿って設けられている。本実施形態では、インナーテント4の頂部4pからみてx軸正方向を「前方向」、x軸負方向を「後方向」として説明する場合がある。また、インナーテント4の頂部4pからみてy軸負方向を「右方向」、y軸正方向を「左方向」として説明する場合がある。また、テント2が設置される地面からz軸正方向を「上方向」として説明する場合がある。
【0013】
図2は、インナーテント4の斜視図である。
図3は、テント2の平面図である。
図4は、テント2の正面図である。
【0014】
図2に示されるように、インナーテント4は、フレーム43a,43b,43cがシート42を支えるように構成されている。フレーム43bとフレーム43cとは交差するように設けられている。フレーム43aは、フレーム43b及びフレーム43cの双方に対して交差するように設けられている。フレーム43aの最も高くなっている部分が、インナーテント4の頂部4pとなっている。シート42は、底部41に繋がるように設けられている。シート42には、メッシュ状の通気部421が設けられている。
【0015】
図1,3,4に示されるように、フライシート3は、シート本体31と、設置面への固定部としての固定ロープ32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,32hと、を備えている。
【0016】
図3に示されるように、シート本体31には、8つの頂点として、固定頂点31a,31b,31c,31d,31e,31f,31g,31hが設けられている。固定頂点31aには、固定ロープ32aが取り付けられている。固定頂点31bには、固定ロープ32bが取り付けられている。固定頂点31cには、固定ロープ32cが取り付けられている。固定頂点31dには、固定ロープ32dが取り付けられている。固定頂点31eには、固定ロープ32eが取り付けられている。固定頂点31fには、固定ロープ32fが取り付けられている。固定頂点31gには、固定ロープ32gが取り付けられている。固定頂点31hには、固定ロープ32hが取り付けられている。
【0017】
固定ロープ32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,32hは、それぞれロープがループ状に設けられており、ペグによって設置面に固定することができるように構成されている。
【0018】
シート本体31には、8つの縁部として、湾曲縁部31ab,31bc,31cd,31de,31ef,31fg,31gh,31haが設けられている。湾曲縁部31abは、固定頂点31aと固定頂点31bとを繋ぐ縁部であって、固定頂点31aと固定頂点31bとからシート本体31の中央部3p側に向かって近づくように湾曲している。湾曲縁部31abは、固定頂点31aと固定頂点31bとを結ぶ直線から内側に湾曲している。湾曲縁部31bcは、固定頂点31bと固定頂点31cとを繋ぐ縁部であって、固定頂点31bと固定頂点31cとからシート本体31の中央部3p側に向かって近づくように湾曲している。湾曲縁部31bcは、固定頂点31bと固定頂点31cとを結ぶ直線から内側に湾曲している。
【0019】
湾曲縁部31cdは、固定頂点31cと固定頂点31dとを繋ぐ縁部であって、固定頂点31cと固定頂点31dとからシート本体31の中央部3p側に向かって近づくように湾曲している。湾曲縁部31cdは、固定頂点31cと固定頂点31dとを結ぶ直線から内側に湾曲している。湾曲縁部31deは、固定頂点31dと固定頂点31eとを繋ぐ縁部であって、固定頂点31dと固定頂点31eとからシート本体31の中央部3p側に向かって近づくように湾曲している。湾曲縁部31deは、固定頂点31dと固定頂点31eとを結ぶ直線から内側に湾曲している。
【0020】
湾曲縁部31efは、固定頂点31eと固定頂点31fとを繋ぐ縁部であって、固定頂点31eと固定頂点31fとからシート本体31の中央部3p側に向かって近づくように湾曲している。湾曲縁部31efは、固定頂点31eと固定頂点31fとを結ぶ直線から内側に湾曲している。湾曲縁部31fgは、固定頂点31fと固定頂点31gとを繋ぐ縁部であって、固定頂点31fと固定頂点31gとからシート本体31の中央部3p側に向かって近づくように湾曲している。湾曲縁部31fgは、固定頂点31fと固定頂点31gとを結ぶ直線から内側に湾曲している。
【0021】
湾曲縁部31ghは、固定頂点31gと固定頂点31hとを繋ぐ縁部であって、固定頂点31gと固定頂点31hとからシート本体31の中央部3p側に向かって近づくように湾曲している。湾曲縁部31ghは、固定頂点31gと固定頂点31hとを結ぶ直線から内側に湾曲している。湾曲縁部31haは、固定頂点31hと固定頂点31aとを繋ぐ縁部であって、固定頂点31hと固定頂点31aとからシート本体31の中央部3p側に向かって近づくように湾曲している。湾曲縁部31haは、固定頂点31hと固定頂点31aとを結ぶ直線から内側に湾曲している。
【0022】
図4に示されるように、インナーテント4をフライシート3で覆う際には、インナーテント4の頂部4pにフライシート3の中央部3pをあわせる。フライシート3の当接部34c1,34c2は、インナーテント4の対応する部分に当接する。当接部34c1,34c2及びインナーテント4の対応する部分には、面ファスナーといった位置決め手段を設けることが好ましい。
【0023】
続いて、固定ロープ32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,32hを中央部3pに対して外側に引っ張り、フライシート3にテンションがかかった状態で設置面に固定する。このように固定することで、別途固定用のロープを設けることなく、インナーテント4をフライシート3で覆うことができる。
【0024】
[付記]下記付記1から4は、技術的に矛盾しない限り任意に組合せ可能である。
【0025】
[付記1]
インナーテント4と、インナーテント4を覆うフライシート3とを備えるテント2であって、
フライシート3は、シート本体31と、設置面への固定部と、を有し、
シート本体31の縁部に固定部が複数設けられ、隣接する固定部間における縁部は、固定部からシート本体31の中央部3p側に向かって近づくように湾曲しており、
シート本体31には、インナーテント4の頂部4p側においてインナーテント4と当接する当接部34c1,34c2が設けられ、
固定部は、設置面においてインナーテント4からは離隔して設置面に固定される。
【0026】
本実施形態では、固定部を、固定頂点31a,31b,31c,31d,31e,31f,31g,31h及び固定ロープ32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,32hとして構成した。固定部をこのように構成するのはあくまでも一例である。本実施形態では、縁部を、湾曲縁部31ab,31bc,31cd,31de,31ef,31fg,31gh,31haとして構成した。縁部をこのように構成するのはあくまでも一例である。
【0027】
付記1によれば、隣接する固定部間における縁部は、固定部からシート本体31の中央部3p側に向かって近づくように湾曲しているので、インナーテント4を覆うようにフライシート3を設置すると、設置面とフライシート3との間に空気が出入り可能な空間が形成される。フライシート3は、当接部34c1,34c2においてインナーテント4と当接する一方で、固定部は設置面においてインナーテント4からは離隔して設置面に固定されるので、インナーテント4との間に空気が出入り可能な空間が形成される。この空間は、当接部34c1,34c2から設置面に近い方でより広くなっている。従って、インナーテント4をフライシート3で覆った状態であっても、出入口を開いた状態にせずにインナーテント4に対する空気の出し入れを円滑に行うことができる。また、頂部4p及び中央部3p側においてインナーテント4とフライシート3を当接させ、テンションをかけた状態で固定部を設置面に固定できるので、別途固定用のロープを設けることなくフライシート3でインナーテント4を覆うことができる。フライシート3のシート本体31は、固定部側から中央部3p側を見ると、縁部が湾曲している効果で固定部側から中央部3p側に向かって幅が広がるように構成されている。このため、上記したようにインナーテント4とフライシート3を当接させ、テンションをかけるとシート本体31のたるみや歪みが減少し、フライシート3に張りをもたせることができる。
【0028】
[付記2]
フライシート3は、当接部34c1,34c2においてインナーテント4との位置決めが可能なように構成されている、付記1に記載のテント。具体的な一例としては、当接部34c1,34c2及びインナーテント4の対応する部分は、面ファスナーといった位置決め手段を設けることで位置決め可能となる。
【0029】
付記2によれば、インナーテント4をフライシート3で覆うにあたって、相互に位置決めが可能となるので、固定部を設置面に固定する際にずれることがなく、簡便に設置できる。
【0030】
[付記3]
インナーテント4には、当接部34c1,34c2よりも設置面側に空気が出入り可能な通気部421が設けられている
【0031】
[付記4]
インナーテント4を覆うフライシート3であって、
シート本体31と、設置面への固定部と、を有し、
シート本体31の縁部に固定部が複数設けられ、
隣接する固定部間における縁部は、固定部からシート本体31の中央部3p側に向かって近づくように湾曲している。
【0032】
本実施形態では、固定部を、固定頂点31a,31b,31c,31d,31e,31f,31g,31h及び固定ロープ32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,32hとして構成した。固定部をこのように構成するのはあくまでも一例である。本実施形態では、縁部を、湾曲縁部31ab,31bc,31cd,31de,31ef,31fg,31gh,31haとして構成した。縁部をこのように構成するのはあくまでも一例である。
【0033】
付記4によれば、隣接する固定部間における縁部は、固定部からシート本体31の中央部3p側に向かって近づくように湾曲しているので、インナーテント4を覆うようにフライシート3を設置すると、設置面とフライシート3との間に空気が出入り可能な空間が形成される。
【0034】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0035】
2:テント
3:フライシート
3p:中央部
31:シート本体
31a,31b,31c,31d,31e,31f,31g,31h:固定頂点(固定部)
31ab,31bc,31cd,31de,31ef,31fg,31gh,31ha:湾曲縁部(縁部)
32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,32h:固定ロープ(固定部)
34c1,34c2:当接部
4:インナーテント
4p:頂部
41:底部
42:シート
421:通気部
43a,43b,43c:フレーム