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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025083012
(43)【公開日】2025-05-30
(54)【発明の名称】駆動部のない流体ポンプ
(51)【国際特許分類】
   H02K 44/06 20060101AFI20250523BHJP
   F04D 33/00 20060101ALI20250523BHJP
【FI】
H02K44/06
F04D33/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023196634
(22)【出願日】2023-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田邉 晴也
(72)【発明者】
【氏名】枝村 一弥
(72)【発明者】
【氏名】桜井 康雄
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA02
3H130AB22
3H130AB41
3H130AC01
3H130BA66H
3H130DD01X
3H130DF00X
(57)【要約】
【課題】簡素な構造で、大流量で高出力化できる駆動部のない流体ポンプを提供する。
【解決手段】 駆動部のない流体ポンプは、ECF(Electro-Conjugate Fluid)を流動させるポンプであって、正極又は負極のいずれか一方の極性の電源電圧が印加される第1のメッシュ状電極と、前記第1のメッシュ状電極から離隔して配置された第2のメッシュ状電極であって、前記第1のメッシュ状電極の極性とは異なる極性の電源電圧が印加される第2のメッシュ状電極と、前記第2のメッシュ状電極から離隔しかつ前記第1のメッシュ状電極との間に前記第2のメッシュ状電極を挟んで配置された第3のメッシュ状電極であって、前記第2のメッシュ状電極と同じ極性の電源電圧が印加される第3のメッシュ状電極と、を備え、前記第1のメッシュ状電極から前記第2のメッシュ状電極を介して前記第3のメッシュ状電極に向かってECFを流動させる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ECF(Electro-Conjugate Fluid)に電圧を印加することで、ECFを流動させる駆動部のない流体ポンプであって、
正極又は負極のいずれか一方の極性の電源電圧が印加される第1のメッシュ状電極と、
前記第1のメッシュ状電極から離隔して配置された第2のメッシュ状電極であって、前記第1のメッシュ状電極の極性とは異なる極性の電源電圧が印加される第2のメッシュ状電極と、
前記第2のメッシュ状電極から離隔しかつ前記第1のメッシュ状電極との間に前記第2のメッシュ状電極を挟んで配置された第3のメッシュ状電極であって、前記第2のメッシュ状電極と同じ極性の電源電圧が印加される第3のメッシュ状電極と、を備え、
前記第1のメッシュ状電極から前記第2のメッシュ状電極を介して前記第3のメッシュ状電極に向かってECFを流動させる駆動部のない流体ポンプ。
【請求項2】
前記第1のメッシュ状電極は、複数の第1の頂点を有する多角形状を有する複数の第1の単位メッシュを有し、
前記第2のメッシュ状電極は、複数の第2の頂点を有する多角形状を有する複数の第2の単位メッシュを有し、
ECFの上下流方向視で、前記複数の第1の頂点のうちの少なくとも一部が、前記第2の単位メッシュ領域内に含まれる、請求項1に記載の駆動部のない流体ポンプ。
【請求項3】
前記第3のメッシュ状電極は、複数の第3の頂点を有する多角形状を有する複数の第3の単位メッシュを有し、
ECFの上下流方向視で、前記複数の第2の頂点のうちの少なくとも一部が、前記第3の頂点と重なる、請求項2に記載の駆動部のない流体ポンプ。
【請求項4】
前記第3のメッシュ状電極は、複数の第3の頂点を有する多角形状を有する複数の第3の単位メッシュを有し、
ECFの上下流方向視で、前記複数の第2の頂点のうちの少なくとも一部が、前記第3の単位メッシュ領域内に含まれる、請求項2に記載の駆動部のない流体ポンプ。
【請求項5】
第1のメッシュ状電極は、複数の第1の頂点を有する多角形状を有する複数の第1の単位メッシュを有し、
第2のメッシュ状電極は、複数の第2の頂点を有する多角形状を有する複数の第2の単位メッシュを有し、
ECFの上下流方向視で、前記複数の第1の頂点のうちの少なくとも一部が、前記第2の頂点と重なる、請求項1に記載の駆動部のない流体ポンプ。
【請求項6】
前記第3のメッシュ状電極は、複数の第3の頂点を有する多角形状を有する複数の第3の単位メッシュを有し、
ECFの上下流方向視で、前記複数の第2の頂点のうちの少なくとも一部が、前記第3の頂点と重なる、請求項5に記載の駆動部のない流体ポンプ。
【請求項7】
前記第1のメッシュ状電極と、前記第2のメッシュ状電極と、前記第3のメッシュ状電極とは、第1の電線と前記第1の電線とは異なる第2の電線とを有し、
前記第1のメッシュ状電極は、複数の第1の頂点を有する多角形状を有する複数の第1の単位メッシュを有し、
前記第2のメッシュ状電極は、複数の第2の頂点を有する多角形状を有する複数の第2の単位メッシュを有し、
前記第3のメッシュ状電極は、複数の第3の頂点を有する多角形状を有する複数の第3の単位メッシュを有し、
前記第1の頂点と、前記第2の頂点と、前記第3の頂点とは、前記第1の電線と前記第2の電線とが、重畳して交差することによって形成された、請求項1に記載の駆動部のない流体ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動部のない流体ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
メッシュ電極を用いたECFポンプが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】桜井康雄,五十嵐友彰,中田毅,枝村一弥,”メッシュ電極を用いたECFポンプの提案”,日本機械学会論文集(B編),Vol,78,No.786(2012),pp291-299
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従前のECFポンプは、第1のメッシュ電極と第1のメッシュ電極から離隔した第2のメッシュ電極を有する。第1のメッシュ電極は、流路の上流側に配設され、第2のメッシュ電極は、流路の下流側に配設される。このECFポンプは、2枚のメッシュ電極のみでECFを流動させるため、十分な流量を得ることが困難であった。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものである。その目的は、簡素な構造で、流量を増やすことができる、駆動部のない流体ポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による駆動部のない流体ポンプの特徴は、
ECF(Electro-Conjugate Fluid)に電圧を印加することで、ECFを流動させる駆動部のない流体ポンプであって、
正極又は負極のいずれか一方の極性の電源電圧が印加される第1のメッシュ状電極と、
前記第1のメッシュ状電極から離隔して配置された第2のメッシュ状電極であって、前記第1のメッシュ状電極の極性とは異なる極性の電源電圧が印加される第2のメッシュ状電極と、
前記第2のメッシュ状電極から離隔しかつ前記第1のメッシュ状電極との間に前記第2のメッシュ状電極を挟んで配置された第3のメッシュ状電極であって、前記第2のメッシュ状電極と同じ極性の電源電圧が印加される第3のメッシュ状電極と、を備え、
前記第1のメッシュ状電極から前記第2のメッシュ状電極を介して前記第3のメッシュ状電極に向かってECFを流動させることである。
【発明の効果】
【0007】
簡素な構造で、流量を増やすことができる駆動部のない流体ポンプを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3を有するECFポンプ10の構成を示す斜視図である。
図2】単位メッシュ120の構造をECFの上下流方向視で示す図である。
図3】3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3の突出部130の配置の例を、上下流方向に対して垂直な方向視で示す図である。
図4】3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3の突出部130の配置の例を、上下流方向に対して垂直な方向視で示す図である。
図5】3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3の突出部130の配置の例を、上下流方向に対して垂直な方向視で示す図である。
図6】3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3に接続された電源装置を示す回路ブロック図である。
図7】3つのECFポンプ10(1)、10(2)、10(3)を上下流方向に直列に配置した例を上下流方向視で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<<<<本実施の形態の詳細>>>>
以下に、実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0010】
<<<方向等>>>
<縦方向、鉛直方向、上下方向>
ECFポンプを駆動できる状態において、重力の方向及び重力と反対の方向に沿った方向、すなわち物体を吊り下げた糸の示す方向をいう。
【0011】
<横方向、水平方向>
ECFポンプを駆動できる状態において、縦方向に対して垂直な方向をいう。
【0012】
<上流方向>
ECFポンプを駆動できる状態において、ECFの流れのかわかみをいう。
【0013】
<下流方向>
ECFポンプを駆動できる状態において、ECFの流れのかわしもをいう。
【0014】
<上下流方向>
上流方向と下流方向とを区別せずに、いずれの方向でもよい方向をいう。
【0015】
<<<ECFポンプ10>>>
図1は、3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3を有するECFポンプ10の構成を示す斜視図である。
【0016】
ECFポンプ10は、3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3を有する。ECFポンプ10は、所定の大きさの容器(図示せず)を有する。ECFが、容器に貯留されている。3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3の全体が、容器内に配置され、ECFに浸漬されている。
【0017】
<<メッシュ状電極100-1、100-2、100-3>>
3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3は、一定の形状及び大きさの輪郭を有する。3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3は、容器内で絶縁性の保持部材(図示せず)などに保持され、一定の位置に配置されて一定の形状及び大きさを保つことができればよい。本実施の形態では、3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3の延在面EP(図3図5参照)が鉛直方向に延在するように、容器内で3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3が配置される。以下では、3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3を、特に区別する必要がない場合や区別できない場合などには、単にメッシュ状電極100と称する。
【0018】
<メッシュ状>
メッシュ状電極100は、メッシュ状の電極を有する。メッシュ状とは、交差する導電性細線110により構成される複数の多角形状(例えば、正方形状など)の開口部126(格子)(図2参照)を含んでいる形状をいう。メッシュ状は、網目状と視認できる形状である。メッシュ状は、導電性細線110だけでなく、例えば、パンチングメタル、エキスパンドメタル等によって形成されてもよい。メッシュ状電極100は、電源電圧が印加されることによって、ECFが開口部126を通過できる形状であればよい。
【0019】
<メッシュ状電極100の形状及び大きさ>
メッシュ状電極100は、正方形状や長方形状の輪郭を有する。メッシュ状電極100の全体の輪郭は、正方形でも長方形でも多角形状、円状でも楕円でも長円状でもよい。メッシュ状電極100の全体の輪郭は、一定の大きさと形状を有すればよい。メッシュ状電極100は、平面(延在面EP(図3図5参照))に沿って延在する。平面は、平坦な面でも湾曲した面(例えば、円筒面や球面など)でもよい。本実施の形態のメッシュ状電極100は、略平坦状の形状を有する。メッシュ状電極100は、平面と曲面とが混在した形状を有してもよい。メッシュ状電極100は、法線の方向が互いに異なる2以上の平面が接続されて形成された形状を有してもよい。
【0020】
本実施の形態では、3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3は、同じ形状及び大きさを有する例を示したが、3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3のうちの少なくとも1枚が異なる形状や大きさを有してもよい。所望されるECFポンプ10の流量や出力などに応じて、適宜に決定すればよい。
【0021】
<長さLP-1、長さLT-1、長さLP-2、長さLT-2、長さLP-3、長さLT-3>
図1に示すように、メッシュ状電極100-1は、縦方向の長さLP-1と横方向の長さLT-1とを有する。メッシュ状電極100-2は、縦方向の長さLP-2と横方向の長さLT-2とを有する。メッシュ状電極100-3は、縦方向の長さLP-3と横方向の長さLT-3とを有する。
【0022】
<法線NU-1、法線ND-1、法線NU-2、法線ND-2、法線NU-3、法線ND-3>
図3図5に示すように、メッシュ状電極100-1は、上流方向に向かう法線NU-1と下流方向に向かう法線ND-1とを有する。メッシュ状電極100-2は、上流方向に向かう法線NU-2と下流方向に向かう法線ND-2とを有する。メッシュ状電極100-3は、上流方向に向かう法線NU-3と下流方向に向かう法線ND-3とを有する。
【0023】
<3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3の配置>
3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3は、延在面EPが鉛直方向に延在するように配置される。3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3は、互いに離隔して略平行に配置される。3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3は、上流から下流に沿って互いに離隔して配置される。本実施の形態では、メッシュ状電極100-1とメッシュ状電極100-2との間隔は、DE1である。メッシュ状電極100-2とメッシュ状電極100-3との間隔は、DE2である。
【0024】
本実施の形態では、間隔DE1と間隔DE2とを等しくしたが、異ならしめてもよい。メッシュ状電極100-1に印加する電源電圧の値V1と、メッシュ状電極100-1に印加する電源電圧の値V2と、メッシュ状電極100-1に印加する電源電圧の値V3とに応じて、適宜に間隔DE1と間隔DE2とを定めることができる。電源電圧については後述する。
【0025】
3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3は、互いに略平行に配置されてなくてもよい。所望されるECFポンプ10の流量や出力などに応じて、適宜に変更することができる。
【0026】
<<導電性細線110>>
3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3は、導電性細線110によって構成される。図2に示すように、本実施の形態では、縦方向の導電性細線110Pと横方向の導電性細線110Tとによって、3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3が構成される。なお、縦方向の導電性細線110Pと横方向の導電性細線110Tとを、特に区別する必要がない場合や区別できない場合などには、単に導電性細線110と称する。図2に示す例では、頂部122において、横方向の導電性細線110Tが紙面の手前側に配置され、縦方向の導電性細線110Pが、横方向の導電性細線110Tよりも紙面の奥行側に向かって湾曲して上下方向に沿って配置された状態を示す。図2に示す例では、紙面の手前側は、上流側でも下流側のいずれでもよく、紙面の奥行側は、上流側又は下流側のうち、紙面の手前側の逆側であればよい。
【0027】
縦方向の導電性細線110Pと横方向の導電性細線110Tとは、互いに接合されて電気的に接続されている。接合により、縦方向の導電性細線110Pと横方向の導電性細線110Tとは、重畳して交差する。縦方向の導電性細線110Pと横方向の導電性細線110Tとは、電気的な接続により、同電位となる。縦方向の導電性細線110Pと横方向の導電性細線110Tとは、固定的に接合されていなくても、互いに絡まり合たり(架橋し合う)、遊着(遊びがある状態で装着)されたりしても、電気的な接続が形成されればよい。
【0028】
<<単位メッシュ120>>
縦方向の導電性細線110Pと横方向の導電性細線110Tとは、互いに接合されることで、単位メッシュ120が形成される。図1に示すように、3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3の各々は、複数の単位メッシュ120を有する。メッシュ状電極100-1は、複数の単位メッシュ120-1を有する。メッシュ状電極100-2は、複数の単位メッシュ120-2を有する。メッシュ状電極100-3は、複数の単位メッシュ120-3を有する。単位メッシュ120-1、120-2及び120-3を、特に区別する必要がない場合や区別できない場合などには、単に単位メッシュ120と称する。
【0029】
本実施の形態では、単位メッシュ120は、正方形、長方形などの四角形状の形状を有する。単位メッシュ120は、四角形状のほか、三角形や、六角形などの多角形などの形状にすることができる。本実施の形態では、単位メッシュ120は、同一の大きさ及び同一の形状を有する。複数の単位メッシュ120のうち、異なる大きさや形状の単位メッシュ120が含まれていてもよい。複数の単位メッシュ120によって、全体として、メッシュ状電極100を構成することができればよい。
【0030】
<頂部122>
単位メッシュ120の各々は、複数の頂部122を有する。縦方向の導電性細線110Pと横方向の導電性細線110Tとの接合点によって頂部122が形成される。頂部122は、多角形状を有する単位メッシュ120の多角形の頂点の部分を意味する。頂部122に後述する突出部130が形成される。主に、頂部122は、上下流方向に対して垂直な方向視で存在が明確になり(図2参照)、突出部130は、主に、上下流方向視で存在が明確になる(図3図5参照)。
【0031】
<辺部124>
単位メッシュ120の各々の互いに隣り合う頂部122の間に延在する導電性細線110によって、辺部124が形成される。メッシュ状電極100-1の単位メッシュ120-1は、長さMLP-1の縦方向の辺部124と、長さMLT-1の横方向の辺部124とを有する。メッシュ状電極100-2の単位メッシュ120-2は、長さMLP-2の縦方向の辺部124と、長さMLT-2の横方向の辺部124とを有する。メッシュ状電極100-3の単位メッシュ120-3は、長さMLP-3の縦方向の辺部124と、長さMLT-3の横方向の辺部124とを有する。特に、縦方向の辺部124と横方向の辺部124とを、区別する必要がない場合や区別できない場合などには、単に辺部124と称する。互いに隣り合う2つの単位メッシュ120では、頂部122及び辺部124が、共通する。
【0032】
<開口部126>
図2に示すように、本実施の形態では、4つの頂部122と4つの辺部124とにより囲繞される領域によって、1つの開口部126が形成される。本実施の形態では、1つの単位メッシュ120は、1つの開口部126を有する。単位メッシュ120が四角形状以外の多角形状であっても、複数の頂部122と複数の辺部124とにより囲繞される領域によって、1つの開口部126が画定される。
【0033】
<突出部130>
単位メッシュ120は、延在面EPに対して垂直な方向に突出する突出部130を有する。すなわち、突出部130は、主に、上下流方向視で存在が明確になる(図3図5参照)。突出部130は、縦方向の導電性細線110Pと横方向の導電性細線110Tとが重畳して交差することで形成される。本実施の形態では、横方向の導電性細線110Tの外周の一部(約半周)に沿って縦方向の導電性細線110Pを這わせて係合させることで、突出部130を形成する。縦方向の導電性細線110Pの外周の一部(約半周)に沿って横方向の導電性細線110Tを這わせて係合させることで突出部130を形成してもよい。さらに、一方の導電性細線110を他方の導電性細線110の外周に、複数回に亘って巻回(周回)させて、突出部130を形成してもよい。
【0034】
なお、メッシュ状電極100をパンチングメタル、エキスパンドメタル等で形成する場合には、頂部122に対応する位置に複数の突起が生成された成形型(図示せず)に、パンチングメタル、エキスパンドメタル等を押圧し突起によって変形させることで、頂部122に突出部130を形成することができる。
【0035】
突出部130は、単位メッシュ120の頂部122の各々に形成される。突出部130は、上流側又は下流側のいずれか一方の側に向かって突出する(図3図5参照)。すなわち、突出部130は、延在面EPの上流方向の法線(法線NU-1、法線NU-2、法線NU-3)又は下流方向の法線(法線ND-1、法線ND-2、法線ND-3)のいずれか一方の法線に沿って突出する。
【0036】
突出部130を形成することにより、正電位の場合には、突出部130から徐々に広がる電気力線を生成し、負電位の場合には、突出部130に向かって徐々に狭まる電気力線を生成する。突出部130を形成することで、突出部130の近くで生ずる電場を、辺部124の周辺で生ずる電場よりも強くできる。突出部130の近くで、強い電場を生成することで、ECFを流動させ易くできる。
【0037】
<突出部130の密度>
単位メッシュ120の大きさによって、突出部130の密度が決定される。突出部130の密度によって、生成される電気力線の分布や電場の強さ及び向きなどを調節することができる。突出部130の密度は、ECFの種類や、所望するECFの流量やECFポンプ10の出力などに応じて適宜に決定すればよい。単位メッシュ120の大きさは、辺部124の長さと単位メッシュ120の形状などで決まる。
【0038】
<突出部130が突出する向き>
本実施の形態では、メッシュ状電極100-1の突出部130は、下流に向かって突出し、メッシュ状電極100-2及び100-3の突出部130は、上流に向かって突出する。すなわち、メッシュ状電極100-1の突出部130と、メッシュ状電極100-2及び100-3の突出部130とが、上下流方向に沿って向かい合う。メッシュ状電極100-1、100-2及び100-3の突出部130が突出する向きは、これに限られず、所望するECFの流量などに応じて、適宜に定めればよい。
【0039】
<縦方向の導電性細線110Pの太さ及び横方向の導電性細線110Tの太さ>
縦方向の導電性細線110Pの太さと横方向の導電性細線110Tの太さとは、同じでも異なっていてもよい。縦方向の導電性細線110Pの太さ及び横方向の導電性細線110Tの太さによって、突出部130が突出する高さや突出部130の曲率などを調節することができる。縦方向の導電性細線110Pの太さ及び横方向の導電性細線110Tの太さは、ECFの種類や、所望するECFの流量やECFポンプ10の出力などに応じて適宜に決定すればよい。
【0040】
<第1の配置の態様>
図3は、3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3の突出部130の第1の配置の態様を、上下流方向に対して垂直な方向視で示す図である。
【0041】
第1の配置の態様では、メッシュ状電極100-1の突出部130は、ECFの上下流方向視で、メッシュ状電極100-2の開口部126の中心に位置する。メッシュ状電極100-2の突出部130は、ECFの上下流方向視で、メッシュ状電極100-3の突出部130と重なる。メッシュ状電極100-1の突出部130は、ECFの上下流方向視で、メッシュ状電極100-3の開口部126の中心に位置する。
【0042】
<第2の配置の態様>
図4は、3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3の突出部130の第2の配置の態様を、上下流方向に対して垂直な方向視で示す図である。
【0043】
第2の配置の態様では、メッシュ状電極100-1の突出部130は、ECFの上下流方向視で、メッシュ状電極100-2の開口部126の中心に位置する。メッシュ状電極100-2の突出部130は、ECFの上下流方向視で、メッシュ状電極100-3の開口部126の中心に位置する。メッシュ状電極100-1の突出部130は、ECFの上下流方向視で、メッシュ状電極100-3の突出部130と重なる。
【0044】
<第3の配置の態様>
図5は、3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3の突出部130の第3の配置の態様を、上下流方向に対して垂直な方向視で示す図である。
【0045】
第3の配置の態様では、メッシュ状電極100-1の突出部130は、ECFの上下流方向視で、メッシュ状電極100-2の突出部130と重なる。メッシュ状電極100-2の突出部130は、ECFの上下流方向視で、メッシュ状電極100-3の突出部130と重なる。メッシュ状電極100-1の突出部130は、ECFの上下流方向視で、メッシュ状電極100-3の突出部130と重なる。
【0046】
<他の配置の態様1>
次のような配置でもよい。メッシュ状電極100-1の突出部130は、ECFの上下流方向視で、メッシュ状電極100-2の突出部130と重なる。メッシュ状電極100-2の突出部130は、ECFの上下流方向視で、メッシュ状電極100-3の開口部126の中心に位置する。メッシュ状電極100-3の突出部130は、ECFの上下流方向視で、メッシュ状電極100-3の開口部126の中心に位置する。
【0047】
<他の配置の態様2>
第1の配置の態様及び第2の配置の態様では、一のメッシュ状電極100-1の突出部130が、他のメッシュ状電極100の開口部126の中心に位置するように配置した。開口部126の中心に位置させる構成に限られず、一のメッシュ状電極100-1の突出部130が、他のメッシュ状電極100の開口部126内に含まれていれば、任意の位置に配置してもよい。
【0048】
<生成される電場>
メッシュ状電極100-1の突出部130とメッシュ状電極100-2の突出部130との間に強めの電場を形成し、メッシュ状電極100-1の突出部130とメッシュ状電極100-3の突出部130との間に強めの電場を形成できればよい。
【0049】
<<3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3の構成要素>>
3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3の構成要素は、主に、
ECFの種類、
メッシュ状電極100-1の材質、
メッシュ状電極100-2の材質、
メッシュ状電極100-3の材質、
メッシュ状電極100-1とメッシュ状電極100-2との間隔DE1、
メッシュ状電極100-2とメッシュ状電極100-3との間隔DE2、
メッシュ状電極100-1とメッシュ状電極100-2とを支持し、間隔DE1を形成するためのスペーサSP1の長さ及び材質、
メッシュ状電極100-2とメッシュ状電極100-3とを支持し、間隔DE2を形成するためのスペーサSP2の長さ及び材質、
縦方向の辺部124の長さMLP-1(番手)、
横方向の辺部124の長さMLT-1(番手)、
縦方向の導電性細線110Pの材質及び太さ(線径)、
横方向の導電性細線110Tの材質及び太さ(線径)、
開口部126の形状
メッシュ状電極100-1に印加する電源電圧の値V1、
メッシュ状電極100-1に印加する電源電圧の値V2、
メッシュ状電極100-1に印加する電源電圧の値V3、
などに応じて、適宜に決定すればよい。
【0050】
<間隔DE1、DE>
間隔DE1と間隔DE2とは、同じでも、異なっていてもよい。ECFの種類による帯電性特性等により、間隔DE1を間隔DE2よりも大きくしたり、間隔DE2を間隔DE1よりも大きくしたり、適宜に決めることができる。
【0051】
<縦方向の辺部124の長さMLP-1及び横方向の辺部124の長さMLT-1(番手)>
3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3の各々の長さMLP-1及びMLT-1(番手)について、3枚のメッシュ状電極100-1~100-3の全ての番手を同じにしても、少なくとも1つのメッシュ状電極100の番手を異ならしめてもよい。3枚のメッシュ状電極100-1~100-3の各々の長さMLP-1及びMLT-1(番手)の組み合わせは、目的や用途(例えば、圧力重視や流量重視や流動温度などに対応)などに応じて、用いるECFの種類に合わせて、適宜に決定すればよい。
【0052】
<メッシュ状電極100-1~100-3の材質>
メッシュ状電極100-1~100-3の材質は、例えば、ニッケルメッキ細線にすることができる。メッシュ状電極100-1~100-3の全ての材質を、同じ金属種にしても、少なくとも1つのメッシュ状電極100の材質を異なる金属種にしてもよい。
【0053】
<縦方向の導電性細線110P及び横方向の導電性細線110Tの材質及び太さ>
縦方向の導電性細線110P及び横方向の導電性細線110Tの材質及び太さは、3枚のメッシュ状電極100-1~100-3の全てについて同じにしても、少なくとも1つのメッシュ状電極100について異ならしめてもよい。さらに、縦方向の導電性細線110P及び横方向の導電性細線110Tのうち、一方を導電体(導体)にし、他方を非導電体(絶縁体)にしてもよい。
【0054】
<開口部126の形状>
開口部126の形状は、縦方向の導電性細線110Pと横方向の導電性細線110Tとが直交する構成(四角形)だけでなく、菱型や六角形(多角形)などの直交以外の構成でもよい。縦方向の導電性細線110Pと横方向の導電性細線110Tとの2軸織だけでなく、3本以上の細線による3軸織や、4軸織などにすることができる。
【0055】
3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3の周囲からECFを取り込んで、メッシュ状電極100-1、100-2、100-3を通過するたびに流量を増やすことができばよい。
【0056】
<<電源装置200>>
図6は、3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3に接続された電源装置を示す回路ブロック図である。
【0057】
電源装置200は、3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3の各々に別個に直流電圧を供給する。電源装置200は、時間によって変化しない一定の値の直流電圧を供給する。このようにすることで、3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3の各々から、時間によって変化しない静電場や電気力線を発生させる。
【0058】
メッシュ状電極100-1には、プラス又はマイナスのいずれか一方の極性の電源電圧が印加される。すなわち、メッシュ状電極100-2及び100-3には、メッシュ状電極100-1の極性とは異なる極性の電源電圧が印加される。具体的には、メッシュ状電極100-1にプラスの電源電圧が印加されるときには、メッシュ状電極100-2及び100-3には、マイナスの電源電圧が印加される。また、メッシュ状電極100-1にマイナスの電源電圧が印加されるときには、メッシュ状電極100-2及び100-3には、プラスの電源電圧が印加される。メッシュ状電極100-2及び100-3には、同じ大きさの電源電圧が印加されるのが好ましい。
【0059】
2枚のメッシュ状電極100-1及び100-2のみを有する場合には、メッシュ状電極100-1にマイナスの電源電圧を印加し、メッシュ状電極100-2にプラスの電源電圧を印加する。一方、3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3を有する構成で、間隔DE1と間隔DE2とを同じにした場合には、メッシュ状電極100-1にプラスの電源電圧を印加し、メッシュ状電極100-2及び100-3にマイナスの電源電圧を印加する。このようにすることで、2枚のメッシュ状電極100-1及び100-2のみの構成よりも、ECFを流動させる流量を増やすことができる。
【0060】
3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3を用いて電源電圧を印加することによって、メッシュ状電極100-1、100-2、100-3を通過する毎に、ECFの流量を増やすことができる。
【0061】
メッシュ状電極100-2及び100-3に、互いに異なる大きさの電源電圧を印加したり、互いに異なる極性の電源電圧を印加したりしてもよい。
【0062】
例えば、間隔DE2を間隔DE1よりも大きくし、メッシュ状電極100-1及び100-3にマイナスの電源電圧を印加し、メッシュ状電極100-2にプラスの電源電圧を印加した場合には、間隔DE1と間隔DE1とを同じにして、メッシュ状電極100-1にマイナスの電源電圧を印加し、メッシュ状電極100-2及び100-3にプラスの電源電圧を印加した場合よりもECFを流動させる流量を増やすことができる。
【0063】
また、間隔DE1を間隔DE2よりも大きくし、メッシュ状電極100-1及び100-3にマイナスの電源電圧を印加し、メッシュ状電極100-2にプラスの電源電圧を印加した場合には、間隔DE1と間隔DE1とを同じにして、メッシュ状電極100-1にマイナスの電源電圧を印加し、メッシュ状電極100-2及び100-3にプラスの電源電圧を印加した場合よりもECFを流動させる流量を増やすことができる。
【0064】
さらに、メッシュ状電極100-1、100-2、100-3の全てに印加する電源電圧が同じ極性であっても、メッシュ状電極100-1に印加する電源電圧が、メッシュ状電極100-2、100-3に印加する電源電圧と異なればよい。
【0065】
直流の電源電圧でなく、パルス状の電源電圧など脈動する電源電圧を、メッシュ状電極100-1、100-2、100-3の少なくとも1つに印加してもよい。メッシュ状電極100-1、100-2、100-3の印加するタイミングやパルス周期や電圧値など、ECFの種類や、所望するECFの流量やECFポンプ10の出力などに応じて適宜に決定すればよい。
【0066】
図6に示すように、白抜きの実線の矢印でECFの流量の変化を示した。破線の矢印は、2枚のメッシュ状電極100-1及び100-2のみのときの流量を示す。実線の矢印は、3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3のときの流量を示す。メッシュ状電極100の数を増やすことによって、ECFを排出しやすくでき、結果として、ECFを流動させる流量を増やすことができる。このように、2枚のメッシュ状電極100-1、100-2よりも、3枚のメッシュ状電極100-1、100-2、100-3にすることで、ECFの流量を増やすことができる。
【0067】
2枚のメッシュ状電極100-1及び100-2に3枚目のメッシュ状電極100-3を追加することで、メッシュ状電極100が延在面EPに沿って延在する大きさを変更することなく、3枚目のメッシュ状電極100-3を配置する領域だけ、延在面EPに対して垂直な方向(上下流方向)にわずかに伸長させるだけで、ECFの流量を増やすことができる。
【0068】
<<<ECFポンプの直列構造>>>
図7は、3つのECFポンプ10(1)、10(2)、10(3)を上下流方向に直列に配置した例を上下流方向視で示す図である。
【0069】
本実施の形態では、ECFポンプ10(1)とECFポンプ10(2)との間隔は、DP1である。ECFポンプ10(2)とECFポンプ10(3)との間隔は、DP2である。
【0070】
本実施の形態では、ECFポンプ10(1)、10(2)、10(3)は、同じ構造を有する。ECFポンプ10を通過するごとに、ECFの流量を増やすことができる。
【0071】
ECFポンプ10(1)、10(2)、10(3)の構造を異ならしめてもよい。
【0072】
図7に示すように、白抜きの実線の矢印でECFの流量の変化を示した。破線の矢印は、1つのみのECFポンプ10のみのときの流量を示す。実線の矢印は、3つのECFポンプ10(1)、10(2)、10(3)のときの流量を示す。ECFポンプ10の数を増やすことによって、ECFを排出しやすくでき、結果として、ECFを流動させる流量を増やすことができる。このように、2つのECFポンプ10(1)、10(2)よりも、3つのECFポンプ10(1)、10(2)、10(3)にすることで、ECFの流量を増やすことができる。
【0073】
本実施の形態では、3つのECFポンプ10(1)、10(2)、10(3)直列に並べた例を示したが、2つのECFポンプ10を直列に並べても、4つ以上のECFポンプ10を直列に並べてもよい。
【0074】
ECFの種類や、所望される流量や出力に応じて、適宜に、ECFポンプ10(1)、10(2)、10(3)の構造を決めればよい。
【0075】
<ECFの流路>
ECFポンプ10は、往路と復路と有し、ECFを循環させる循環流路を有する。循環流路を設けることで、ECFポンプ10を連続的に駆動することができる。循環流路は封止されている。封止することで、ECFの乾燥を防ぎ、ECFの密度を一定に保つことができる。さらにまた、ECFポンプ10は、ECFを補充できる構成を有するのが好ましい。ECFの量が減ったときにECFを追加することで、ECFの全体の量を一定にすることができる。
【0076】
<<ECF>>
本実施の形態で用いる電界共役流体(Electro-Conjugate Fluid(ECF))は、印加電圧に応じて電極間に移動流を形成可能な液体である。ここで使用される電界共役流体は、印加電圧に応じて電極間に移動流を形成することができる使用温度において液体の有機化合物であり、この有機化合物は実質的に絶縁性である。より具体的には、特許第3179035号に詳細に説明されている、ジブチルアジペート、トリアセチン等に代表される、導電率=4×10-10S/m,粘度=1×100Pa・sで表される点P、導電率=4×10-10S/m,粘度=1×10-4Pa・sで表される点Q、導電率=5×10-6S/m,粘度=1×10-4Pa・sで表される点Rを頂点とする直角三角形の内部に位置する導電率および粘度を有する化合物、または、該三角形の内部に位置する導電率および粘度を有するように調製された二種類以上の化合物の混合物からなる流体や、特許第3157804号に詳細に説明されている、エチルパーフルオロブチルエーテル等に代表される、導電率が4×10-10~5×10-6S/mの範囲内にあり、表面張力が22dyn/cm以下の含フッ素系流体が用いられる。
【0077】
具体的な代表的ECF(電界共役流体)としては、有限会社新技術マネイジメント製のFF-1EHA2やFF-3EHA2、FF-8EHA2、FF-101EHA2、FF-909EHA2、FF-505-12、FF-505-15等があり、夫々に好適であるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
<<<<発明の実施態様>>>>
<<第1の特徴>>
第1の特徴によれば、
ECF(Electro-Conjugate Fluid)に電圧を印加する(例えば、電源装置200など)ことで、ECFを流動させる駆動部のない流体ポンプ(例えば、ECFポンプ10、10(1)、10(2)、10(3)など)であって、
正極又は負極のいずれか一方の極性の電源電圧が印加される第1のメッシュ状電極(例えば、メッシュ状電極100-1など)と、
前記第1のメッシュ状電極から離隔して配置された第2のメッシュ状電極であって、前記第1のメッシュ状電極の極性とは異なる極性の電源電圧が印加される第2のメッシュ状電極(例えば、メッシュ状電極100-2など)と、
前記第2のメッシュ状電極から離隔しかつ前記第1のメッシュ状電極との間に前記第2のメッシュ状電極を挟んで配置された第3のメッシュ状電極であって、前記第2のメッシュ状電極と同じ極性の電源電圧が印加される第3のメッシュ状電極(例えば、メッシュ状電極100-3など)と、を備え、
前記第1のメッシュ状電極から前記第2のメッシュ状電極を介して前記第3のメッシュ状電極に向かってECFを流動させる駆動部のない流体ポンプが提供される。
【0079】
第1のメッシュ状電極、第2のメッシュ状電極、第3のメッシュ状電極を備えるので、ECFを流量の多くして出力を高めることができる。
【0080】
<<第2の特徴>>
第2の特徴は、第1の特徴において、
前記第1のメッシュ状電極は、複数の第1の頂点を有する多角形状を有する複数の第1の単位メッシュ(例えば、単位メッシュ120-1など)を有し、
前記第2のメッシュ状電極は、複数の第2の頂点を有する多角形状を有する複数の第2の単位メッシュ(例えば、単位メッシュ120-2など)を有し、
ECFの上下流方向視で、前記複数の第1の頂点のうちの少なくとも一部(例えば、頂部122など)が、前記第2の単位メッシュ領域(例えば、開口部126など)内に含まれる。
【0081】
<<第3の特徴>>
第3の特徴は、第2の特徴において、
前記第3のメッシュ状電極は、複数の第3の頂点を有する多角形状を有する複数の第3の単位メッシュ(例えば、単位メッシュ120-3など)を有し、
ECFの上下流方向視で、前記複数の第2の頂点のうちの少なくとも一部(例えば、頂部122など)が、前記第3の頂点(例えば、頂部122など)と重なる。
【0082】
<<第4の特徴>>
第4の特徴は、第2の特徴において、
前記第3のメッシュ状電極は、複数の第3の頂点を有する多角形状を有する複数の第3の単位メッシュ(例えば、単位メッシュ120-3など)を有し、
ECFの上下流方向視で、前記複数の第2の頂点のうちの少なくとも一部(例えば、頂部122など)が、前記第3の単位メッシュ領域(例えば、開口部126など)内に含まれる。
【0083】
<<第5の特徴>>
第5の特徴は、第1の特徴において、
第1のメッシュ状電極は、複数の第1の頂点を有する多角形状を有する複数の第1の単位メッシュ(例えば、単位メッシュ120-1など)を有し、
第2のメッシュ状電極は、複数の第2の頂点を有する多角形状を有する複数の第2の単位メッシュ(例えば、単位メッシュ120-2など)を有し、
ECFの上下流方向視で、前記複数の第1の頂点のうちの少なくとも一部(例えば、頂部122など)が、前記第2の頂点(例えば、頂部122など)と重なる。
【0084】
<<第6の特徴>>
第6の特徴は、第5の特徴において、
前記第3のメッシュ状電極は、複数の第3の頂点を有する多角形状を有する複数の第3の単位メッシュ(例えば、単位メッシュ120-3など)を有し、
ECFの上下流方向視で、前記複数の第2の頂点のうちの少なくとも一部(例えば、頂部122など)が、前記第3の頂点(例えば、頂部122など)と重なる。
【0085】
<<第7の特徴>>
第7の特徴は、第1の特徴において、
前記第1のメッシュ状電極と、前記第2のメッシュ状電極と、前記第3のメッシュ状電極とは、第1の電線(例えば、縦方向の導電性細線110Pなど)と前記第1の電線とは異なる第2の電線(例えば、横方向の導電性細線110Tなど)とを有し、
前記第1のメッシュ状電極は、複数の第1の頂点(例えば、頂部122など)を有する多角形状を有する複数の第1の単位メッシュ(例えば、単位メッシュ120-1など)を有し、
前記第2のメッシュ状電極は、複数の第2の頂点(例えば、頂部122など)を有する多角形状を有する複数の第2の単位メッシュ(例えば、単位メッシュ120-2など)を有し、
前記第3のメッシュ状電極は、複数の第3の頂点(例えば、頂部122など)を有する多角形状を有する複数の第3の単位メッシュ(例えば、単位メッシュ120-3など)を有し、
前記第1の頂点と、前記第2の頂点と、前記第3の頂点とは、前記第1の電線と前記第2の電線とが、重畳して交差することによって形成された、請求項1に記載のECFポンプ。
【0086】
<<<<実施の形態の範囲>>>>
上述したように、本実施の形態を記載した。しかし、この開示の一部をなす記載及び図面は、限定するものと理解すべきでない。ここで記載していない様々な実施の形態等が含まれる。
【符号の説明】
【0087】
10、10(1)、10(2)、10(3) ECFポンプ
100-1、100-2、100-3 メッシュ状電極
120、120-1、120-2、120-3 単位メッシュ
126 開口部
130 突出部
200 電源装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7