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特開2025-8304ポリエチレンフィルム、積層体及び包装袋
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008304
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】ポリエチレンフィルム、積層体及び包装袋
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20250109BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20250109BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20250109BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20250109BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20250109BHJP
   C08K 5/49 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
C08J5/18 CES
B65D65/40 D
B32B27/32
C08L23/06
C08K5/13
C08K5/49
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110347
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(72)【発明者】
【氏名】河野 真一朗
(72)【発明者】
【氏名】古谷 俊輔
【テーマコード(参考)】
3E086
4F071
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
3E086AA23
3E086AB01
3E086AC03
3E086AC11
3E086AC13
3E086AC15
3E086AD01
3E086BA13
3E086BA14
3E086BA15
3E086BA24
3E086BA25
3E086BA33
3E086BA35
3E086BB01
3E086BB21
3E086BB23
3E086BB35
3E086BB55
3E086BB58
3E086BB62
3E086BB63
3E086BB75
3E086BB85
3E086CA01
3E086CA11
3E086CA35
3E086CA40
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4F071AA82
4F071AA88
4F071AC11
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4F071AC15
4F071AE05
4F071AE11
4F071AF05
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4F100AK04
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4F100JK16
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4J002BB05X
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4J002EJ026
4J002EJ036
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4J002GF00
4J002GG01
4J002GG02
4J002GJ02
4J002GT00
(57)【要約】
【課題】メカニカルリサイクルされたポリエチレンを含有するものであっても、優高い引張破断強度を有し、且つ引き裂き性に優れたポリエチレンフィルム並びにこれを使用した積層体及び包装袋を提供する。
【解決手段】本開示のポリエチレンフィルム1は、メカニカルリサイクルポリエチレンを含有する、単層のポリエチレンフィルムであって、GPCの測定から得た分子量分布曲線における分子量1000以下の領域の面積割合が、全ピーク面積の0.6%以上5%以下であることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メカニカルリサイクルポリエチレンを含有する、単層のポリエチレンフィルムであって、
GPCの測定から得た分子量分布曲線における分子量1000以下の領域の面積割合が、全ピーク面積の0.6%以上5%以下である、ポリエチレンフィルム。
【請求項2】
リサイクルされていないポリエチレンであるヴァージンポリエチレンをさらに含有する、請求項1に記載のポリエチレンフィルム。
【請求項3】
酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤からなる群より選択される少なくとも1種をさらに含有する、請求項1又は2に記載のポリエチレンフィルム。
【請求項4】
前記酸化防止剤の含有量が、前記ポリエチレンフィルムの全量に対して、50ppm以上500ppm以下である、請求項3に記載のポリエチレンフィルム。
【請求項5】
リサイクルポリエチレンの含有量が、前記ポリエチレンフィルムの全量に対して、1質量%以上50質量%以下である、請求項1又は2に記載のポリエチレンフィルム。
【請求項6】
シーラントフィルムである、請求項1又は2に記載のポリエチレンフィルム。
【請求項7】
基材フィルムと、請求項1又は2に記載のポリエチレンフィルムとを有する、積層体。
【請求項8】
ポリエチレンの含有量が、前記積層体全体に対して、90質量%以上である、請求項7に記載の積層体。
【請求項9】
請求項7に記載の積層体を備える、包装袋。
【請求項10】
非飲食品を収容する、請求項9に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリエチレンフィルム、積層体及び包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品、化粧品、食品等の商品を充填するための包装材料の製造には、成形のし易さやコスト等の観点から化石燃料由来の材料であるプラスチックが主として用いられており、これらのプラスチック材料は化石資源である石油から生産されている。包装容器用の材料として汎用されているプラスチック材料としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド等が使用されている。特に、ポリエチレン等のポリオレフィンは、フィルム、シート、ボトル等に成形され、包装材等の種々の用途に供されており、世界中での使用量が多い。
【0003】
そのため、一度樹脂製品として使用されたポリエチレンをリサイクル(再利用)することで、化石燃料の使用量を削減し、環境負荷を軽減することが行われている。例えば、特許文献1には、第1のヴァージンポリエチレン層と第2のヴァージンポリエチレン層との間にリサイクルポリエチレンを含む中間層を有する、シーラントフィルムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2022/124229号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リサイクルの種類には、メカニカルリサイクル(Mechanical Recycle)、ケミカルリサイクル(Chemical Recycle)、サーマルリサイクル(Thermal Recycle)等がある。メカニカルリサイクルとは、収集した廃プラスチックを破砕、風選、洗浄、比重分離等してリペレットするリサイクルである。ケミカルリサイクルとは、収集した廃プラスチックを熱や圧力によって分子レベルまで分解し、再重合させてリペレットしたり、ガス化・油化・高炉還元剤化、コークス炉化学原料等にしたりするリサイクルである。サーマルリサイクルとは、廃棄物の焼却の際に発生する熱エネルギーを回収して利用するリサイクルである。
ケミカルリサイクルは、得られる樹脂の純度が高い反面、エネルギーの使用量が大きく、コストも高い。また、サーマルリサイクルは、使用した樹脂製品を別エネルギーへ転換する技術であり、樹脂として再利用する方法ではない。そのため、安価で環境負荷の低いメカニカルリサイクルされた樹脂の使用が望ましいことが現状である。
【0006】
メカニカルリサイクルされたポリエチレンは、リサイクルの過程で再溶融されるため、熱により分子鎖が切断されることがある。そのため、メカニカルリサイクルされたポリエチレンは、リサイクルされていないヴァージンポリエチレンと比較して、同じ平均分子量のものであっても低分子量の成分を多く含むと考えられる。低分子量の成分を多く含むメカニカルリサイクルポリエチレンを用いて製膜したフィルムでは、ポリエチレンフィルムを構成する樹脂の凝集力が弱い。かかるフィルムは、弱い力でも容易に引き裂くことができる。このように、メカニカルリサイクルポリエチレンをフィルムに用いると、フィルムの引き裂き性が向上するという利点がある。
しかしながら、メカニカルリサイクルポリエチレンには、原料である包装材に由来する不純物も含まれていることが一般的であり、これによりフィルムの引張破断強度が低下することがあった。
【0007】
従って、本開示の目的は、メカニカルリサイクルされたポリエチレンを含有するものであっても、高い引張破断強度を有し、且つ引き裂き性に優れたポリエチレンフィルムを提供することである。また、本開示の別の目的は、該ポリエチレンフィルムを使用した積層体及び包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、以下の実施形態により解決される。
<1>
メカニカルリサイクルポリエチレンを含有する、単層のポリエチレンフィルムであって、
GPCの測定から得た分子量分布曲線における分子量1000以下の領域の面積割合が、全ピーク面積の0.6%以上5%以下である、ポリエチレンフィルム。
<2>
リサイクルされていないポリエチレンであるヴァージンポリエチレンをさらに含有する、<1>に記載のポリエチレンフィルム。
<3>
酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤からなる群より選択される少なくとも1種をさらに含有する、<1>又は<2>に記載のポリエチレンフィルム。
<4>
前記酸化防止剤の含有量が、前記ポリエチレンフィルムの全量に対して、50ppm以上500ppm以下である、<3>に記載のポリエチレンフィルム。
<5>
リサイクルポリエチレンの含有量が、前記ポリエチレンフィルムの全量に対して、1質量%以上50質量%以下である、<1>~<4>のいずれか1つに記載のポリエチレンフィルム。
<6>
シーラントフィルムである、<1>~<5>のいずれか1つに記載のポリエチレンフィルム。
<7>
基材フィルムと、<1>~<6>のいずれか1つに記載のポリエチレンフィルムとを有する、積層体。
<8>
ポリエチレンの含有量が、前記積層体全体に対して、90質量%以上である、<7>に記載の積層体。
<9>
<7>又は<8>に記載の積層体を備える、包装袋。
<10>
非飲食品を収容する、<9>に記載の包装袋。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、メカニカルリサイクルされたポリエチレンを含有するものであっても、高い引張破断強度を有し、且つ引き裂き性に優れたポリエチレンフィルムを提供できる。
また、本開示は、該ポリエチレンフィルムを使用した積層体及び包装袋を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示によるポリエチレンフィルムの一実施形態を示す概略断面図である。
図2】本開示による積層体の一実施形態を示す概略断面図である。
図3】本開示による包装袋の一実施形態を示す正面図である。
図4】本開示による包装袋の一実施形態を示す正面図である。
図5】本開示による包装袋の一実施形態を示す正面図である。
図6】本開示による包装袋の一実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、下記実施形態により本開示が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0012】
[ポリエチレンフィルム]
本開示によるポリエチレンフィルムについて説明する。本開示によるポリエチレンフィルムは、メカニカルリサイクルポリエチレンを含有する。図1は、本開示によるポリエチレンフィルムの一実施形態を示す概略断面図である。図1に示すように、ポリエチレンフィルム1は、単層のポリエチレンフィルムで構成されている。
本開示によるポリエチレンフィルムは、メカニカルリサイクルポリエチレンの他に、ケミカルリサイクルポリエチレン及びヴァージンポリエチレンからなる群より選択される少なくとも1種をさらに含有してもよい。
本開示によるポリエチレンフィルムが含有する成分について説明する。
【0013】
[メカニカルリサイクルポリエチレン]
リサイクルポリエチレンは、ポリエチレンを含む樹脂製品をリサイクルして得られるポリエチレンであり、メカニカルリサイクルポリエチレンとケミカルリサイクルポリエチレンとが挙げられる。
メカニカルリサイクルは、一般に、使用済みの樹脂製品を回収し、粉砕、洗浄、異物分別等を行って、樹脂製品の表面の汚れ及び異物を除去した後、高温・減圧下で一定時間乾燥して樹脂製品の内部に留まっている汚染物質を拡散させ除染を行い、内部の汚れをさらに取り除き、再び樹脂に戻す方法である。本明細書では、メカニカルリサイクルにより得られるポリエチレンを、メカニカルリサイクルポリエチレンという。
他方、ケミカルリサイクルは、一般に、使用済みの樹脂製品を回収し、粉砕、洗浄、異物分別等を行って、樹脂製品の表面の汚れ及び異物を除去した後にフレーク又はペレット状にし、解重合等でモノマーレベルまで分解し、分解物を再度重合して樹脂に戻す方法である。本明細書では、ケミカルリサイクルにより得られるポリエチレンを、ケミカルリサイクルポリエチレンという。
【0014】
本開示によるポリエチレンフィルムは、リサイクルポリエチレンとして、メカニカルリサイクルポリエチレンを含有する。これに加えて、本開示によるポリエチレンフィルムは、ケミカルリサイクルポリエチレンをさらに含有してもよい。即ち、本開示によるポリエチレンフィルムは、メカニカルリサイクルポリエチレン及びケミカルリサイクルポリエチレンの両方を含有してもよい。但し、製造コストの低減の観点から、本開示によるポリエチレンフィルムは、含有されるリサイクルポリエチレンがメカニカルリサイクルポリエチレンのみである(ケミカルリサイクルポリエチレンを含有しない)ことが好ましい。
【0015】
メカニカルリサイクルポリエチレンには、ポリエチレン以外にも様々な不純物が含まれていることが一般的である。そのため、従来では、フィルムの原料にメカニカルリサイクルポリエチレンを使用すると、不純物の混入等によりフィルムの透明性及び外観が損なわれることがあった。
本開示によるポリエチレンフィルムは、メカニカルリサイクルポリエチレンを含有するものであっても、後述するように異物の存在割合及びヘイズ値が一定以下なので、透明性及び外観に優れる。即ち、メカニカルリサイクルポリエチレンを用いることの短所を克服できる。
【0016】
[ヴァージンポリエチレン]
ヴァージンポリエチレンとは、リサイクルされていないポリエチレンである。
本開示によるポリエチレンフィルムは、メカニカルリサイクルポリエチレンに加えてヴァージンポリエチレンをさらに含有することで、環境負荷の軽減を実現しつつ、ポリエチレンフィルムの透明性を向上しやすくなる。
【0017】
本開示によるポリエチレンフィルムにおいて、リサイクルポリエチレンの含有量は、ポリエチレンフィルムの全量に対して、1質量%以上85質量%以下であることが好ましく、5質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
また、本開示によるポリエチレンフィルムにおいて、ヴァージンポリエチレンの含有量は、15質量%以上99質量%以下であることが好ましく、50質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。
リサイクルポリエチレンの含有量及びヴァージンポリエチレンの含有量が上記範囲内であれば、環境負荷の軽減を実現しつつ、ポリエチレンフィルムの透明性を向上しやすくなる。
【0018】
メカニカルリサイクルポリエチレン、ケミカルリサイクルポリエチレン及びヴァージンポリエチレンにおけるポリエチレンの種類は、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び超低密度ポリエチレン等から、密度や分岐の違いにより適宜選択することができる。
【0019】
高密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.945g/cm超である。高密度ポリエチレンの密度の上限は、例えば0.965g/cmである。
中密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.925g/cm超0.945g/cm以下である。
低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.900g/cm超0.925g/cm以下である。
直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.900g/cm超0.925g/cm以下である。
超低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.900g/cm以下である。超低密度ポリエチレンの密度の下限は、例えば0.860g/cmである。
ポリエチレンの密度は、JIS K7112;1999、D法(密度勾配管法、23℃)に準拠して測定する。
【0020】
ポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、製膜性および加工性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.2g/10分以上、さらに好ましくは0.3g/10分以上、特に好ましくは0.5g/10分以上である。ポリエチレンのMFRは、製膜性および加工性という観点から、好ましくは30g/10分以下、より好ましくは20g/10分以下、さらに好ましくは10g/10分以下、特に好ましくは5g/10分以下である。本明細書において、ポリエチレンのMFRは、JIS K7210-1:2014に準拠して、温度190℃、荷重2.16kgの条件で、A法により測定される。
【0021】
[添加剤]
本開示によるポリエチレンフィルムは、特性を損なわない範囲において、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、酸化防止剤、スリップ剤、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、離型剤、イオン交換剤、アンチブロッキング剤及び着色顔料が挙げられる。中でも、酸化防止剤及びスリップ剤からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0022】
[酸化防止剤]
酸化防止剤としては、フェノール系、アミン系、硫黄系、リン系の酸化防止剤が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチル・テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオネート、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート-ジエチルエステル等が挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては、オクチルジフェニルアミン、N-n-ブチル-p-アミノフェノール、N,N-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン、n-ブチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミノメチルメタクリレート等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート(DLTDP)、ジステアリル3,3’-チオジプロピオネート(DSTDP)等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト(TTP)、トリイソデシルホスファイト(TDP)等が挙げられる。
【0023】
本開示によるポリエチレンフィルムは、酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤を含有することが好ましい。これにより、ポリエチレンフィルム中にラジカルが発生しても、フェノール系酸化防止剤がラジカルを捕捉し、ラジカル連鎖反応を停止できる。
本開示によるポリエチレンフィルムは、酸化防止剤として、リン系酸化防止剤を含有することも好ましい。これにより、ラジカルの発生源である過酸化物をリン系酸化防止剤が分解し、ラジカルの発生を抑制できる。
本開示によるポリエチレンフィルムは、フェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤の両方を含有することが好ましい。フェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤の相乗効果により、ラジカルによるポリエチレンの酸化を効果的に防止できる。
【0024】
本開示によるポリエチレンフィルムにおいて、酸化防止剤の含有量は、50ppm以上500ppm以下であることが好ましく、150ppm以上400ppm以下であることがより好ましく、200ppm以上350ppm以下であることがさらに好ましい。
一般に、酸化防止剤が添加されているポリエチレンは、リサイクル等によって繰り返し加工されると、酸化防止剤が消費され、酸化防止剤の含有量が少なくなる。そのため、従来技術においては、樹脂としてリサイクルポリエチレンを用いたフィルムでは、樹脂としてヴァージンポリエチレンのみを用いたフィルムと比較して、品質が劣化している場合があった。本開示によるポリエチレンフィルムでは、酸化防止剤のさらなる添加等によって、酸化防止剤の含有量を一定の範囲にすることで、品質の劣化が抑制できる。さらには、後述の異物の存在割合を小さくすることができる。
【0025】
[スリップ剤]
スリップ剤としては、アミド系滑剤、グリセリン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル、炭化水素系ワックス、高級脂肪酸系ワックス、金属石鹸、親水性シリコーン、シリコーン変性(メタ)アクリル樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性ポリエーテル、シリコーン変性ポリエステル、ブロック型シリコーン(メタ)アクリル共重合体、ポリグリセロール変性シリコーン及びパラフィンが挙げられる。
【0026】
スリップ剤の中でも、アミド系滑剤が好ましい。アミド系滑剤としては、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換アミド、メチロールアミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド、脂肪酸エステルアミド及び芳香族ビスアミドが挙げられる。
【0027】
飽和脂肪酸アミドとしては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド及びヒドロキシステアリン酸アミドが挙げられる。
不飽和脂肪酸アミドとしては、オレイン酸アミド及びエルカ酸アミドが挙げられる。
置換アミドとしては、N-オレイルパルミチン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド及びN-ステアリルエルカ酸アミドが挙げられる。
メチロールアミドとしては、メチロールステアリン酸アミドが挙げられる。
飽和脂肪酸ビスアミドとしては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、N,N'-ジステアリルアジピン酸アミド及びN,N'-ジステアリルセバシン酸アミドが挙げられる。
不飽和脂肪酸ビスアミドとしては、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'-ジオレイルアジピン酸アミド及びN,N'-ジオレイルセバシン酸アミドが挙げられる。
脂肪酸エステルアミドとしては、ステアロアミドエチルステアレートが挙げられる。
芳香族系ビスアミドとしては、m-キシリレンビスステアリン酸アミド、m-キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド及びN,N'-ジステアリルイソフタル酸アミドが挙げられる。
【0028】
スリップ剤の中でも、エルカ酸アミドが好ましい。
スリップ剤は1種又は2種以上用いることができる。
【0029】
本開示によるポリエチレンフィルム中でのスリップ剤の分散性を高くするために、スリップ剤とポリエチレンとを含有するマスターバッチを用いてもよい。マスターバッチにおけるスリップ剤の含有量は、好ましくは1質量%以上30質量%以下、より好ましくは2質量%以上20質量%以下、さらに好ましくは3質量%以上10質量%以下である。ポリエチレンとしては、上述した具体例が挙げられる。ポリエチレンが満たす好ましい物性(密度及びメルトフローレート等)も上述した通りである。
【0030】
本開示によるポリエチレンフィルムにおいて、スリップ剤の含有量は、例えば0.01質量%以上3質量%以下でもよく、0.03質量%以上1質量%以下でもよい。これにより、ポリエチレンフィルムの加工性を向上できる。
【0031】
[低分子量成分]
ポリエチレンフィルムの製造の過程において、ポリエチレンフィルムを構成するリサイクルポリエチレンの一部は加熱等によって分解し、低分子量の成分となることがある。そのため、本開示によるポリエチレンフィルムは、低分子量成分を含有していてもよい。
本明細書では、分子量が1000以下の成分を「低分子量成分」という。
また、低分子量成分は、リサイクルポリエチレンの分解によって発生するものに限定されない。例えば、ヴァージンポリエチレンの分解によって発生するものも、上述の添加剤に由来するものも、分子量が1000以下であれば、本開示においては低分子量成分に該当する。
【0032】
本開示によるポリエチレンフィルムのGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー:Gel Permeation Chromatography)の測定から得た分子量分布曲線における分子量1000以下の領域の面積割合は、全ピーク面積の0.6%以上である。ポリエチレンフィルムのGPCの測定から得た分子量分布曲線における分子量1000以下の領域の面積割合が、全ピーク面積の0.6%以上であることは、ポリエチレンフィルムにおける低分子量成分の含有量が0.6質量%以上であることを意味する。また、該面積割合は、0.8%以上であることが好ましく、1.0%以上であることがより好ましい。面積割合が一定以上であること、即ち低分子量成分の含有量が一定以上であることにより、ポリエチレンフィルムを構成する樹脂の凝集力が適度に弱くなり、弱い力でも容易に引き裂くことができる。即ち、ポリエチレンフィルムの引き裂き性が向上する。
また、本開示によるポリエチレンフィルムのGPCの測定から得た分子量分布曲線における分子量1000以下の領域の面積割合は、全ピーク面積の5%以下であり、4%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。このようなポリエチレンフィルムでは、低分子量成分の含有量が一定以下に低減されており、ポリエチレンフィルムの滑り性が向上する。
【0033】
GPCの測定は、JIS K 7252-1:2008に準拠して行う。具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定する。
【0034】
[ポリエチレンフィルムの製造方法]
本開示によるポリエチレンフィルムの製造方法は、特に限定されず、従来から公知の、ヴァージンポリエチレンのみからなるポリエチレンフィルムの製造方法を適用することができる。
例えば、メカニカルリサイクルポリエチレン並びに必要に応じてケミカルリサイクルポリエチレン、ヴァージンポリエチレン及び添加剤を溶融し、これをインフレーション成形又はT-ダイ成形等の溶融押出成形法によって製膜することで、本開示によるポリエチレンフィルムを製造できる。
【0035】
本開示によるポリエチレンフィルムの厚みは、10μm以上160μm以下が好ましく、20μm以上150μm以下がより好ましく、30μm以上130μm以下がさらに好ましい。
本開示によるポリエチレンフィルムの厚みは、用途に応じて適宜設定することができる。例えば、スティックパウチのシーラントフィルムに用いる場合、ポリエチレンフィルムの厚みは、10μm以上60μm以下であることが好ましく、20μm以上40μm以下であることがより好ましい。また、詰め替えパウチのシーラントフィルムに用いる場合、ポリエチレンフィルムの厚みは、80μm以上160μm以下であることが好ましく、100μm以上130μm以下であることがより好ましい。
【0036】
次に、本開示によるポリエチレンフィルムの物性について説明する。
【0037】
[面の算術平均粗さSa]
ポリエチレンフィルムの表面において、面の算術平均粗さSaは、0.13μm以上0.39μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.35μm以下であることがより好ましい。面の算術平均粗さSaが一定の範囲内にあることで、ポリエチレンフィルムの滑り性を向上できる。
面の算術平均粗さSaは、表面粗さ測定機を用いて、後述の実施例に記載の方法で測定する。
【0038】
[静止摩擦係数μ及び動摩擦係数μ
本開示によるポリエチレンフィルムでは、金属板に対するポリエチレンフィルムの静止摩擦係数μは、0.5以下であることが好ましく、0.28以下であることがより好ましく、0.19以下であることが更に好ましい。また、本開示によるポリエチレンフィルムでは、金属板に対するポリエチレンフィルムの動摩擦係数μは、0.5以下であることが好ましく、0.24以下であることがより好ましく、0.18以下であることが更に好ましい。静止摩擦係数μ又は動摩擦係数μが一定以下であることで、ポリエチレンフィルムの滑り性が向上する。
滑り性の観点では、静止摩擦係数μ又は動摩擦係数μは小さい方が好ましいが、いずれも、0.1以上であることが実際的である。
金属板に対するポリエチレンフィルムの静止摩擦係数μ及び動摩擦係数μは、滑り試験機を用いて、後述の実施例に記載の方法で測定する。
【0039】
[引き裂き強度]
本開示によるポリエチレンフィルムにおいて、機械流れ方向(MD方向)の引き裂き強度の好ましい数値範囲は、ポリエチレンフィルムによって異なる。例えば、ポリエチレンフィルムの厚みが30μmの場合、機械流れ方向の引き裂き強度は0.5N以上2.5N以下であることが好ましく、ポリエチレンフィルムの厚みが120μmの場合、機械流れ方向の引き裂き強度は0.5N以上4N以下であることが好ましい。かかる数値範囲を満たすことで、ポリエチレンフィルムの引き裂き性が向上する。
故に、本開示によるポリエチレンフィルムにおいて、MD方向の引き裂き強度をポリエチレンフィルムの厚みで除して得られる値Tは、0.004N/μm以上0.083N/μm以下であることが好ましく、0.016N/μm以上0.033N/μm以下であることがより好ましい。
引き裂き強度は、エルメンドルフ引裂度試験機を用いて、後述の実施例に記載の方法で測定する。
【0040】
[引張破断強度]
本開示によるポリエチレンフィルムの引張破断強度は、少なくとも1つの方向において、例えば10MPa以上であり、20MPa以上でもよい。一方、ポリエチレンフィルムの引張破断強度は、少なくとも1つの方向において、例えば50MPa以下であり、30MPa以下でもよい。
一実施形態において、ポリエチレンフィルムの引張破断強度は、MD方向において、例えば10MPa以上であり、20MPa以上でもよい。一方、ポリエチレンフィルムの引張破断強度は、MDにおいて、例えば50MPa以下であり、30MPa以下でもよい。
一実施形態において、ポリエチレンフィルムの引張破断強度は、MD方向に直交する方向(CD方向)において、例えば10MPa以上であり、20MPa以上でもよい。一方、ポリエチレンフィルムの引張破断強度は、CD方向において、例えば50MPa以下であり、30MPa以下でもよい。
引張破断強度は、テンシロン万能材料試験機を用いて、後述の実施例に記載の方法で測定する。
【0041】
次に、本開示によるポリエチレンフィルムを用いた積層体及び包装袋について説明する。
【0042】
[積層体]
基材フィルムの一方の面に、本開示によるポリエチレンフィルムを積層し、積層体を得ることができる。即ち、本開示による積層体は、基材フィルムとポリエチレンフィルムとを有する。
【0043】
基材フィルムとしては、積層体の用途に応じて任意の樹脂フィルム又はシートを使用することができる。例えば、詰め替え用のシャンプー又はリンス等を密封包装する詰め替えパウチに積層体を適用する場合、基材フィルムは、引張強度、屈曲強度、衝撃強度等の機械的強度に優れるとともに、印刷適性に優れることが好ましい。例えば、基材フィルムとして、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム又はポリエチレンフィルム等のポリオレフィンフィルムを好適に使用できる。これらのフィルムは、無延伸フィルムであってもよく、一軸延伸フィルムであってもよく、二軸延伸フィルムであってもよい。或いは、合成紙等も基材フィルムとして使用できる。これらは単独で使用してもよく、また、複数を組み合わせて使用してもよい。
【0044】
基材フィルムとポリエチレンフィルムとの接着は、溶剤型の接着剤を介してドライラミネート法で貼り合わせたり、無溶剤型の接着剤を介してノンソルベントラミネート法で貼り合わせたりすることができる。これにより、優れた接着強度及び引き裂き性が得られる。使用する接着剤としては、二液硬化型ポリウレタン系接着剤が挙げられる。
【0045】
また、接着層を介して押出ラミネート法(所謂サンドイッチラミネート法)により貼り合わせることもできる。この場合は、接着層として、ポリオレフィン系の熱接着性樹脂(例えばLDPE)の他、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、アイオノマー等の単体、又はこれらにハードレジン等の接着性向上剤をブレンドした樹脂等を使用できる。
【0046】
接着層を介してポリエチレンフィルムと基材フィルムとを貼り合わせた積層体としては、図4に示す積層体5が挙げられる。積層体5は、基材フィルム8と、接着層6と、ポリエチレンフィルム1とをこの順に備える。図4に示す積層体5は、本開示による積層体の一実施形態である。
【0047】
本開示による積層体は、基材フィルムとポリエチレンフィルムとの間に、中間層を設けてもよい。中間層としては、バリア層、遮光層、強度向上層等が挙げられる。
バリア層としては、アルミニウム箔等の金属箔の他、アルミニウム等の金属又はアルミニウム酸化物若しくは珪素酸化物等の無機酸化物を二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等の基材フィルムに蒸着した蒸着フィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム等を使用できる。
【0048】
基材フィルムと中間層、及び、中間層とポリエチレンフィルムとは、上記の基材フィルムとポリエチレンフィルムとの接着と同様に、ドライラミネート法、押出ラミネート法、押出コーティング法等で積層できる。
【0049】
いずれの場合も、積層面にアンカーコート剤を予め塗布しておくか、コロナ処理等の前処理を施しておくことにより、層間の接着強度を高めることができる。
【0050】
本開示による積層体の具体例として、代表的には以下の層構成からなる積層体を挙げることができる。以下の積層体は、ドライラミネーション法又はノンソルベントラミネーション法による積層体であり、各層は接着剤で貼り合わされる。或いは、以下の積層体は、接着層を介して各層を押出しラミネーション法で積層してもよい。なお、括弧内の値は各層の厚みを示す。
・ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/ポリエチレンフィルム(10~160μm)
・二軸延伸ナイロンフィルム(15μm)/ポリエチレンフィルム(10~160μm)
・透明蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/ポリエチレンフィルム(10~160μm)
・ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/二軸延伸ナイロンフィルム(15μm)/ポリエチレンフィルム(10~160μm)
・ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/透明蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/ポリエチレンフィルム(10~160μm)
・OPPフィルム(20μm)/ポリエチレンフィルム(10~160μm)
・延伸ポリエチレンフィルム(25μm)/ポリエチレンフィルム(10~160μm)
【0051】
リサイクル性に優れた積層体とする観点から、本開示による積層体におけるポリエチレンの含有量は、積層体全体に対して、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましい。積層体におけるポリエチレンの含有量の上限は100質量%であるが、99.9質量%以下が実際的である。
【0052】
[包装袋]
本開示による包装袋は、本開示による積層体を備える。本開示による積層体を用いることにより、環境負荷を軽減した包装袋を製造できる。包装袋は、ボトル等の容器へ詰め替えられる、液体又は粉体等の流動性を有する内容物を収容する詰め替えパウチ、特にスタンディングパウチでもよい。
【0053】
包装袋としては、例えば、スタンディングパウチ型、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型及びガゼット型等の種々の形態の包装袋が挙げられる。
【0054】
包装袋は、例えば、小袋でもよく、チャック袋でもよい。
包装袋は、例えば、軟包装袋でもよい。
【0055】
包装袋は、包装袋の引き裂き性を高めるための易開封線を有してもよい。
包装袋は、引き裂きの起点となるノッチ部を有してもよい。
【0056】
包装袋は、積層体のシーラントフィルム同士が接合されているシール部を有してもよい。
シール部の形成方法としては、加熱等によって積層体のシーラントフィルムを溶融させ、シーラントフィルム同士を融着させるヒートシールが挙げられる。具体的には、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シールが挙げられる。
【0057】
包装袋中に収容される内容物としては、例えば、液体、固体、粉体、ゲル体が挙げられる。内容物は、飲食品でも非飲食品でもよい。包装袋中に内容物を収容した後、包装袋の開口部をヒートシールすることにより、包装袋を密封できる。
飲食品としては、液体又は粘稠体の調味料(ソース、醤油、ドレッシング、食用油、マヨネーズ、ケチャップ、シロップ、料理用酒類)、果汁類、香辛料、液体飲料、ゼリー状飲料、液体スープ、粉末スープ、インスタント食品、クリームが挙げられる。
非飲食品としては、シャンプー、リンス、コンディショナー、ハンドソープ、ボディソープ、芳香剤、消臭剤、脱臭剤、防虫剤、柔軟剤、洗剤、クリームが挙げられる。
但し、ポリエチレンフィルム中の異物等が飲食品に混入することを防ぐ観点から、内容物は非飲食品が好ましい。
【0058】
一実施形態において、本開示による積層体を、基材フィルムが外側、ポリエチレンフィルムが内側に位置するように二つ折にして重ね合わせて、その端部等をヒートシールすることにより、本開示による包装袋を作製できる。他の実施形態において、本開示による積層体を2枚用意し、ポリエチレンフィルム同士が対向するように重ね合わせて、その端部等をヒートシールすることにより、本開示による包装袋を作製できる。包装袋の全部が本開示による積層体で構成されてもよく、包装袋の一部が本開示による積層体で構成されてもよい。
【0059】
以下、本開示による包装袋の実施形態の数例を、図面に基づき説明する。
図3は、一実施形態の包装袋10を示す正面図である。図3には、内容物が充填される前の状態(内容物が収容されていない状態)の包装袋10が示されている。包装袋10は、自立可能に構成されたガセット式のパウチである。包装袋10は、上部11、下部12及び側部13を含み、正面図において略矩形状の輪郭を有する。「上部」、「下部」及び「側部」等の名称、並びに、「上方」及び「下方」等の用語は、ガセット部を下にして包装袋10が自立している状態を基準として包装袋10やその構成要素の位置や方向を相対的に表したものに過ぎない。包装袋10の輸送時や使用時の姿勢等は、本明細書における名称や用語によっては限定されない。
【0060】
包装袋10は、収容部17及びシール部19を有する。収容部17は、内容物を収容する。シール部19は、収容部17を画成する内縁19xを含む。シール部19は、包装袋10を構成する積層体のシーラントフィルム同士を接合することによって構成されている。図3等の正面図においては、シール部19にハッチングが施されている。
【0061】
収容部17は、注出口部20を含んでいてもよい。注出口部20は、包装袋10から内容物を取り出す際に内容物が通る部分である。注出口部20の幅は、収容部17のその他の部分の幅よりも狭い。このため、使用者は、注出口部20を通って包装袋10から注出される内容物の注出方向を精度良く定めることができる。
【0062】
包装袋10は、易開封線26を有してもよい。易開封線26は、例えば、包装袋10の引き裂き性を高めるために包装袋10に形成することができる。易開封線26は、包装袋10の平面視において収容部17を横切る。図3に示す例において、易開封線26は、平面視において注出口部20を横切る。図3に示すように、包装袋10の外縁には、易開封線26に隣接する切り欠き28が形成されていてもよい。切り欠き28に替えて切り込みが包装袋10の外縁に形成されていてもよい。
【0063】
包装袋10は、表面を構成する表面フィルム14、裏面を構成する裏面フィルム15、及び、下部12を構成する下部フィルム16を備える。下部フィルム16は、折り返し部16fで折り返された状態で、表面フィルム14と裏面フィルム15との間に配置されている。
【0064】
表面フィルム14及び裏面フィルム15のいずれか一方又は両方が、本開示による積層体により構成される。下部フィルム16も、本開示による積層体により構成されてもよい。積層体は、内面及び外面を含む。内面は、内容物に接する面である。外面は、内面の反対側に位置する面である。ポリエチレンフィルムは、延伸基材フィルムに対して内面の側に位置している。
【0065】
「表面フィルム」、「裏面フィルム」及び「下部フィルム」という用語は、位置関係に応じて各フィルムを区画したものに過ぎず、包装袋10を製造する際のフィルムの提供方法が、上述の用語によって限定されることはない。例えば、包装袋10は、表面フィルム14と裏面フィルム15と下部フィルム16とが連設された1枚のフィルムを用いて製造されてもよく、表面フィルム14と下部フィルム16とが連設された1枚のフィルムと1枚の裏面フィルム15の計2枚のフィルムを用いて製造されてもよく、1枚の表面フィルム14と1枚の裏面フィルム15と1枚の下部フィルム16の計3枚のフィルムを用いて製造されてもよい。
【0066】
図3に示すように、シール部19は、下部シール部12a、側部シール部13a及び注出口シール部20aを含む。下部シール部12aは、下部12に広がっている。側部シール部13aは、一対の側部13に沿って延びている。注出口シール部20aは、注出口部20を画成している。注出口シール部20aの内縁の間の距離は、一対の側部シール部13a間の内縁の間の距離よりも小さい。注出口部20が包装袋10の上部11と側部13との間の隅部に形成される場合、注出口シール部20aは側部シール部13aに接続される。
【0067】
内容物が収容されていない状態の包装袋10においては、図3に示すように、包装袋10の上部11は開口部11bになっている。開口部11bを介して包装袋10に内容物を収容した後、表面フィルム14のシーラントフィルムと裏面フィルム15のシーラントフィルムとを上部11において接合することにより、開口部11bに上部シール部が形成される。これにより、収容部17が包装袋10の外部から封止される。
【0068】
側部シール部13a、注出口シール部20a及び上部シール部は、表面フィルム14のシーラントフィルムと裏面フィルム15のシーラントフィルムとを接合することによって構成される。下部シール部12aは、表面フィルム14のシーラントフィルムと下部フィルム16のシーラントフィルムとが接合されている部分、及び、裏面フィルム15のシーラントフィルムと下部フィルム16のシーラントフィルムとが接合されている部分を含む。図3において点線で示すように、下部フィルム16の一部に切り欠き13cが形成されていてもよい。切り欠き13cの位置においては、表面フィルム14のシーラントフィルムと裏面フィルム15のシーラントフィルムとが接合されていてもよい。
【0069】
次に、下部フィルム16の層構成について説明する。
表面フィルム14のシーラントフィルム及び裏面フィルム15のシーラントフィルムと接合可能な内面を有する限りにおいて、下部フィルム16の層構成は任意である。例えば、表面フィルム14及び裏面フィルム15と同様に、下部フィルム16として本開示による積層体を用いてもよい。本開示による積層体とは異なる構成のフィルムを、下部フィルム16として用いてもよい。
【0070】
包装袋10は、例えば、以下のようにして作製できる。
本開示による積層体を準備する。積層体を2つに切断して2枚にし、一方を表面フィルム14、他方を裏面フィルム15とする。続いて、表面フィルム14と裏面フィルム15との間に、折り返した状態の下部フィルム16を挿入する。続いて、各フィルムのシーラントフィルム同士をヒートシールすることにより、下部シール部12a、側部シール部13a、注出口シール部20a等のシール部を形成する。ヒートシールによって互いに接合されたフィルムを適切な形状に切断する。これにより、図3に示す包装袋10が得られる。
【0071】
続いて、包装袋10の収容部17に内容物を充填する。その後、上部11をヒートシールすることによって上部シール部を形成する。このようにして、内容物が収容され封止された包装袋10が得られる。
【0072】
以上の実施形態の説明においては、包装袋10がガセット式のパウチである例を示したが、包装袋10の具体的な構成が特に限定されることはない。
【0073】
例えば、包装袋10は、図4及び図5に示すように、下部フィルム16を備えていなくてもよい。図4及び図5において、包装袋10の下部シール部12a及び側部シール部13aは、それぞれ積層体からなる表面フィルム14及び裏面フィルム15のシーラントフィルム同士を接合することによって形成されている。包装袋10に内容物を収容した後、表面フィルム14のシーラントフィルムと裏面フィルム15のシーラントフィルムとを上部11の開口部11bにおいて接合することにより、包装袋10が封止される。図4及び図5に示す包装袋10は、易開封線26を有してもよい。
【0074】
図6に示すように、包装袋10は、ピローパウチでもよい。包装袋10は、表面フィルム14及び裏面フィルム15を構成する積層体の端部を重ねることにより構成される合掌部18を含む。合掌部18は、積層体のシーラントフィルム同士が接合された合掌部シール部18aを含む。図6に示す包装袋10は、易開封線26を有してもよい。図6に示すように、合掌部の外縁に、切り欠き28又は図示せぬ切り込みが形成されていてもよい。
【実施例0075】
以下、実施例により本開示をより具体的に説明するが、本開示は以下の実施例に限定されない。
【0076】
以下の実施例1~6及び比較例1~6のポリエチレンフィルムに用いた各種原料は、次の通りである。
・メカニカルリサイクルポリエチレンA
低密度ポリエチレン、商品名:LCY02、APK社製、密度:0.920~0.924g/cm、メルトフローレート:1.8~2.3g/10分
・メカニカルリサイクルポリエチレンB
低密度ポリエチレン、フィルム製膜時の耳ロス等の製造工程内ロス部分をリペレットしたもの、密度:0.920~0.924g/cm、メルトフローレート:1.8~2.3g/10分
・ヴァージンポリエチレンA
低密度ポリエチレン、商品名:F224N、宇部丸善ポリエチレン(株)製、密度:0.924g/cm、メルトフローレート:2.0g/10分
・ヴァージンポリエチレンB
低密度ポリエチレン、商品名:スミカセンG201-F、住友化学(株)製、密度:0.919g/cm、メルトフローレート:2.0g/10分
・ヴァージンポリエチレンC
直鎖状低密度ポリエチレン、商品名:ウルトゼックス2010L、(株)プライムポリマー製、密度:0.922g/cm、メルトフローレート:2.2g/10分
・ヴァージンポリエチレンD
直鎖状低密度ポリエチレン、商品名:エボリューSP2040F、(株)プライムポリマー製、密度:0.918g/cm、メルトフローレート:3.8g/10分
・スリップ剤含有マスターバッチA
エルカ酸アミドを2.0質量%含むヴァージン低密度ポリエチレン、商品名:M425、宇部丸善ポリエチレン(株)製、密度:0.921g/cm、メルトフローレート:5.4g/10分
・スリップ剤含有マスターバッチB
エルカ酸アミドを4.0質量%含むヴァージン低密度ポリエチレン、商品名:スミカセンEMB-10、住友化学(株)製、密度:0.910g/cm、メルトフローレート:4.7g/10分
・酸化防止剤
フェノール系酸化防止剤である2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)及びリン系酸化防止剤であるトリフェニルホスファイト(TTP)、商品名:EAG-5、(株)プライムポリマー製、密度:0.920g/cm、メルトフローレート:4.9g/10分
【0077】
[実施例1]
49質量%のメカニカルリサイクルポリエチレンA、48質量%のヴァージンポリエチレンA、2質量%のスリップ剤含有マスターバッチA、及び1質量%の酸化防止剤をブレンドし、溶融混練して、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、上吹き空冷インフレーション製膜法により、以下の製膜条件にて製膜し、実施例1のポリエチレンフィルムを得た。
(製膜条件)
・スクリュー温度:160℃
・シリンダー温度:160℃
・ダイス温度:170℃
・スクリュー回転数:25rpm
・引き取り速度:60m/min
・樹脂圧力:24.2MPa
・吐出量:190kg/h
・製膜の幅:900mm
・製膜の厚み:30μm
【0078】
[実施例2]
樹脂組成物の配合を表1に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のポリエチレンフィルムを得た。
【0079】
[実施例3]
樹脂組成物の配合を表1に示す通りに変更し、製膜条件を以下に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3のポリエチレンフィルムを得た。
(製膜条件)
・スクリュー温度:160℃
・シリンダー温度:160℃
・ダイス温度:165℃
・スクリュー回転数:25rpm
・引き取り速度:20m/min
・樹脂圧力:28.2MPa
・吐出量:240kg/h
・製膜の幅:1000mm
・製膜の厚み:120μm
【0080】
[実施例4~6]
樹脂組成物の配合を表1に示す通りに変更したこと以外は、実施例3と同様にして、実施例4~6のポリエチレンフィルムを得た。
【0081】
[比較例1~3]
樹脂組成物の配合を表1に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1~5のポリエチレンフィルムを得た。
【0082】
[比較例4]
樹脂組成物の配合を表1に示す通りに変更したこと以外は、実施例3と同様にして、比較例6のポリエチレンフィルムを得た。
【0083】
[酸化防止剤の定量]
実施例1~6及び比較例1~4のポリエチレンフィルムをそれぞれクロロホルムに溶解した。メタノールを貧溶媒として用いて、樹脂分を再沈させた。濾液を回収し、溶媒を減圧留去した。濃縮物を少量のクロロホルムとアセトニトリルに溶解し、全量を50mLにメスアップした。
得られた溶液に対し、以下の測定条件で超高速高分離液体クロマトグラフィー(UPLC)測定による定量分析を行い、酸化防止剤の含有量を測定した。結果を表1に示す。
(測定条件)
・装置:UPLC ACQUITY(日本ウォーターズ(株)製)
・カラム:BEH C18(粒径:1.7μm、カラムサイズ:2.1×50mm)
・溶媒:アセトニトリル及び蒸留水の混合溶媒(グラジエントモード)
・流量:0.2mL/min
・カラム温度:40℃
・検出器:PDA(フォトダイオードアレイ)
・測定波長範囲:190~500nm
・サンプル注入量:1μL
【0084】
[GPCの測定]
実施例1~6及び比較例1~4のポリエチレンフィルムを3gずつ切り出し、測定試料とした。300mLビーカーに測定試料と100mLのトルエンとを入れ、ホットプレート上で加温しながら撹拌子で撹拌した。測定試料が十分に溶解したら加温を止め、撹拌を続けたまま50~60℃程度になるまで冷ました。
撹拌を続けたまま、180mLのメタノール及び20mLのテトラヒドロフランの混合物を、2秒に1滴の速度で分液漏斗から300mLビーカーに滴下していき、ポリエチレンを不溶化(再沈殿)した。全量を滴下後、撹拌を止めて一旦静置し、10μmメッシュのフィルターを用いて減圧濾過を実施した。エバポレーターを用いて、得られた濾液から溶剤成分を除去し、溶出物を濃縮した。
濃縮物をトルエンに溶解し、再溶解を実施した。窒素吹き付けを行いトルエンを十分に蒸発させ、残渣物を得た。
得られた残渣物に対し、以下の測定条件でゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)測定を行い、分子量分布曲線を得た。
(測定条件)
・使用カラム:アジレント・テクノロジー社製、2xPLgel 5μ MIXED(7.5mm×300mm)
・カラム温度:40℃
・移動相:クロロホルム(富士フィルム和光純薬工業(株)製、液体クロマトグラフィー用)
・流量:1.0mL/min
・注入量:2.5μL
・検出:254nm(紫外可視検出器)
・分子量較正:単分散ポリスチレン(アジレント・テクノロジー社製、PS-1)
・装置:515 HPLCポンプ、717plus自動注入装置、紫外可視光線検出器(ウォーターズ社製)
分子量分布曲線から、分子量1000以下の領域の面積割合を求めた。結果を表1に示す。
【0085】
[静止摩擦係数μ及び動摩擦係数μの測定]
実施例1~6及び比較例1~4のポリエチレンフィルムについて、JIS K-7125:1999に準じて、金属板に対する静止摩擦係数μ及び動摩擦係数μを測定した。
測定機器には、TR-2((株)東洋精機製作所製)を用いた。金属板には、SUS304を用いた。試験速度は100mm/minとした。3回ずつ試験を行い、平均値を算出した。結果を表1に示す。
【0086】
[面の算術平均粗さSaの測定]
実施例1~6及び比較例1~4のポリエチレンフィルムの表面について、面の算術平均粗さSaを、JIS B 0681(ISO25178)に準拠して測定した。具体的には、表面粗さ測定機(商品名:SURFCOM 1400G-12、東京精密(株)製、)を使用し、以下の測定条件で測定した。
(測定条件)
・触針先端半径:5μm
・測定速度:0.3mm/s
・測定領域:1mm×1mm
・測定ピッチ:x=0.1mm、y=0.01mm
・10000×1000=10
測定結果を、上記表面粗さ測定機の解析ソフトであるサーフコムマッププレミアム6.2を用いて演算し、面の算術平均粗さSaを求めた。結果を表1に示す。
【0087】
[引き裂き強度の測定]
実施例1~6及び比較例1~4のポリエチレンフィルムについて、JIS K 7128-2:1998のエルメンドルフ引裂法に準拠して、機械流れ方向(MD方向)の引き裂き強度を測定した。測定器は、エルメンドルフ引裂度試験機(IM-701、テスター産業(株)製)を使用した。5個ずつ測定を行い、平均値を引き裂き強度とした。測定時の環境は、温度23℃、相対湿度90%RHとした。結果を表1に示す。
【0088】
[引張破断強度の測定]
実施例1~6及び比較例1~4のポリエチレンフィルムについて、JIS Z 1702:1994に準拠して、機械流れ方向(MD方向)の引張破断強度を測定した。測定器は、テンシロン万能材料試験機(RTC-1530、(株)オリエンテック製)を使用した。
ポリエチレンフィルムをダンベル状に切り出したものを、試験片として使用した。試験片の測定幅は5mmとした。試験片を保持する一対のチャックの間の、測定開始時の間隔は80mmとした。引張速度は300mm/minとした。5個ずつ測定を行い、平均値を引張破断強度とした。測定時の環境は、温度23℃、相対湿度90%RHとした。測定結果を表1に示す。
【0089】
[ゲルの評価]
実施例1~6及び比較例1~4のポリエチレンフィルムについて、透過型光学顕微鏡(商品名:DSX1000、オリンパス(株)製)を用いて、幅1mm、長さ10mm中に存在する未溶融ゲルの個数を数え、1m当たりのゲルの発生割合を算出して評価した。評価基準は以下の通りとした。結果を表1に示す。
(評価基準)
A:ゲルの発生割合が0個/m以上0.031個/m未満
B:ゲルの発生割合が0.031個/m以上0.038個/m未満
C:ゲルの発生割合が0.038個/m以上
【0090】
[臭気の評価]
実施例1~6及び比較例1~4のポリエチレンフィルムをそれぞれ、10cm×10cmに切り出し、アルミ袋に梱包した。40℃のオーブンで1週間保管した後にアルミ袋の中の臭気を確認した。評価基準は以下の通りとした。結果を表1に示す。
(評価基準)
A:ほのかにポリエチレン臭がする。
B:強いポリエチレン臭がする。
C:非常に強いポリエチレン臭がする。
【0091】
【表1】
【0092】
上記表1からも明らかなように、厚みが30μmである実施例1及び2のポリエチレンフィルムは、メカニカルリサイクルポリエチレンを含有するものであっても、厚みが30μmでメカニカルリサイクルポリエチレンを含有しない比較例1及び2のポリエチレンフィルムと同等の引張破断強度を有し、高い引張破断強度を有していることが分かる。また、実施例1及び2のポリエチレンフィルムは、比較例1及び2のポリエチレンフィルムよりも引き裂き強度が小さく、引き裂き性に優れていることが分かる。
厚みが120μmである実施例3~6のポリエチレンフィルムは、メカニカルリサイクルポリエチレンを含有するものであっても、厚みが120μmでメカニカルリサイクルポリエチレンを含有しない比較例4のポリエチレンフィルムと同等の引張破断強度を有し、高い引張破断強度を有していることが分かる。また、実施例3~6のポリエチレンフィルムは、比較例4のポリエチレンフィルムよりも引き裂き強度が小さく、引き裂き性に優れていることが分かる。
【符号の説明】
【0093】
1 ポリエチレンフィルム
5 積層体
6 接着層
8 基材フィルム
10 包装袋
11 上部
11b 開口部
12 下部
12a 下部シール部
13 側部
13a 側部シール部
13c 切り欠き
14 表面フィルム
15 裏面フィルム
16 下部フィルム
16f 折り返し部
17 収容部
18 合掌部
18a 合掌部シール部
19 シール部
19x 内縁
20 注出口部
20a 注出口シール部
26 易開封線
27 切り欠き
28 切り欠き
図1
図2
図3
図4
図5
図6