(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025083308
(43)【公開日】2025-05-30
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20250523BHJP
【FI】
H01G4/30 201N
H01G4/30 201M
H01G4/30 201C
H01G4/30 201F
H01G4/30 511
H01G4/30 514
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024195406
(22)【出願日】2024-11-07
(31)【優先権主張番号】10-2023-0161418
(32)【優先日】2023-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘオ、ジャエ エウン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヒュン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】バク、チャエ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】リー、チュン エウン
(72)【発明者】
【氏名】リー、サン ヒェオン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨン ミン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AD02
5E082AB03
5E082GG01
(57)【要約】
【課題】積層型電子部品の信頼性を向上させ、サイドマージン部と本体との間が広がるという問題点を解決する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、第1方向に対向する第1及び第2面、第2方向に対向する第3及び第4面、第3方向に対向する第5及び第6面を含む本体と、上記第5及び第6面に配置されるサイドマージン部と、上記第3及び第4面に配置される外部電極と、含み、上記本体は、上記誘電体層と上記第1方向に交互に配置される内部電極を含む活性部、上記活性部の上記第1方向の上部に配置される上部カバー部、及び上記活性部の上記第1方向の下部に配置される下部カバー部を含み、上記サイドマージン部は、上記第5及び第6面において上記活性部の少なくとも一部を覆う内側マージン部及び上記内側マージン部上に配置され、上記上部カバー部及び下部カバー部と接するように配置される外側マージン部を含むことができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の誘電体層を含み、第1方向に対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面、前記第1面~第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面を含む本体と、
前記第5及び第6面に配置されるサイドマージン部と、
前記第3及び第4面に配置される外部電極と、を含み、
前記本体は、前記誘電体層と前記第1方向に交互に配置される内部電極を含む活性部、前記活性部の前記第1方向の上部に配置される上部カバー部、及び前記活性部の前記第1方向の下部に配置される下部カバー部を含み、
前記サイドマージン部は、前記第5及び第6面において前記活性部の少なくとも一部を覆う内側マージン部及び前記内側マージン部上に配置され、前記上部カバー部及び下部カバー部と接するように配置される外側マージン部を含む、積層型電子部品。
【請求項2】
前記外側マージン部は、前記内側マージン部の第1方向の上端及び下端を覆うように配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記内側マージン部は、前記第5及び第6面において前記活性部を全て覆うように配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記内側マージン部の第1方向の上端は、前記第5及び第6面において前記上部カバー部と接し、前記内側マージン部の第1方向の下端は、前記第5及び第6面において前記下部カバー部と接する、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記外側マージン部のうち、前記内側マージン部の第1方向の上端及び下端を覆う領域は段差を有する、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記外側マージン部は、前記内側マージン部を全て覆うように配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記外側マージン部の第1方向の上端は、前記第2面と同一平面上に配置され、前記外側マージン部の第1方向の下端は、前記第1面と同一平面上に配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記外側マージン部の第1方向の上端は、前記第2面よりも第1方向の下部に配置され、前記外側マージン部の第1方向の下端は、前記第1面よりも第1方向の上部に配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記外側マージン部の第1方向の上端は、前記第5及び第6面において前記上部カバー部と接し、前記外側マージン部の第1方向の下端は、前記第5及び第6面において前記下部カバー部と接する、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記外側マージン部の第1方向の上端は、前記第2面よりも第1方向の上部に配置され、前記外側マージン部の第1方向の下端は、前記第1面よりも第1方向の下部に配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記外側マージン部の少なくとも一部は、前記第1及び第2面上に配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記内側マージン部の第3方向の平均幅は、0.5μm以上5μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記外側マージン部の第3方向の平均幅は15μm以上40μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記内側マージン部の第3方向の平均幅をTma、前記外側マージン部の第3方向の平均幅をTmbとするとき、Tmb/Tmaは3以上80以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記サイドマージン部の第1方向の中央における第3方向の平均幅をTm1、前記サイドマージン部の第1方向の上端における第3方向の平均幅をTm2とするとき、Tm1-Tm2は0.5μm以上5μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記内側マージン部は、前記外側マージン部とは異なる組成を有する、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項17】
前記内側マージン部の気孔率は、前記外側マージン部の気孔率よりも高い、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項18】
前記内部電極は、前記誘電体層を挟んで第1方向に交互に配置される第1及び第2内部電極を含み、前記第1内部電極は前記第3、第5、及び第6面と連結され、前記第2内部電極は、前記第4、第5及び第6面と連結される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項19】
前記外部電極は、前記第3面上に配置される第1外部電極及び前記第4面上に配置される第2外部電極を含み、
前記第1外部電極は前記サイドマージン部の第2方向の一端を覆い、前記第2外部電極は前記サイドマージン部の第2方向の他端を覆う、請求項1に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
かかる積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として用いられることができる。コンピュータ、モバイル機器などの各種電子機器が小型化、高出力化されながら積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化の要求が増大している。
【0004】
また、最近、自動車用電装部品に対する業界への関心の高まりとともに、積層セラミックキャパシタも自動車やインフォテインメントシステムに用いられるために高信頼性及び高強度特性が求められている。
【0005】
積層セラミックキャパシタの小型及び高容量化のためには、電極有効面積の極大化(容量実現に必要な有効体積分率を増加)が求められる。
【0006】
上記のように小型及び高容量の積層セラミックキャパシタを実現するために、積層セラミックキャパシタを製造することにおいて、内部電極が本体の幅方向に露出するようにすることで、マージンのない設計により内部電極の幅方向の面積を極大化するが、このようなチップ製作後の焼成前段階でチップの幅方向の電極露出面にサイドマージン部を別途付着して完成する方法が適用されている。
【0007】
しかしながら、切断された本体面に存在する異物、可塑及び/または焼成段階で本体とサイドマージン部との間の収縮率の差などによって、サイドマージン部を本体と良好に接合できず、サイドマージン部と本体との間が広がるという問題点が発生することがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の様々な目的の一つは、積層型電子部品の信頼性を向上させることである。
【0009】
本発明の様々な目的の一つは、サイドマージン部と本体との間が広がるという問題点を解決することである。
【0010】
但し、本発明の目的は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、複数の誘電体層を含み、第1方向に対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面、上記第1面~第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面を含む本体と、上記第5及び第6面に配置されるサイドマージン部と、上記第3及び第4面に配置される外部電極と、を含み、上記本体は、上記誘電体層と上記第1方向に交互に配置される内部電極を含む活性部、上記活性部の上記第1方向の上部に配置される上部カバー部、及び上記活性部の上記第1方向の下部に配置される下部カバー部を含み、上記サイドマージン部は、上記第5及び第6面において上記活性部の少なくとも一部を覆う内側マージン部及び上記内側マージン部上に配置され、上記上部カバー部及び下部カバー部と接するように配置される外側マージン部を含むことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の様々な効果の一つは、積層型電子部品の信頼性を向上させたことである。
【0013】
本発明の様々な効果の一つは、サイドマージン部と本体との間の接合力を向上させたことである。
【0014】
但し、本発明の多様でありながらも有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものである。
【
図2】
図1の積層型電子部品において外部電極を除いて示した斜視図である。
【
図3】
図1の積層型電子部品において外部電極及びサイドマージン部を除いて示した斜視図である。
【
図5】
図1のII-II'線に沿った断面図である。
【
図8】さらに一実施形態による
図7に対応する図面である。
【
図9】さらに一実施形態による
図7に対応する図面である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の製造方法を説明するための図面であり、サイドマージン部を付着する前を示したものである。
【
図11】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の製造方法を説明するための図面であり、サイドマージン部を付着した後を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上に同一符号で示される要素は同一要素である。
【0017】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、図示した各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意で示したものであるため、本発明は必ずしも図示により限定されない。また、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を用いて説明することができる。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0018】
図面において、第1方向は積層方向または厚さ(T)方向、第2方向は長さ(L)方向、第3方向は幅(W)方向と定義することができる。
【0019】
積層型電子部品
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものであり、
図2は、
図1の積層型電子部品において外部電極を除いて示した斜視図であり、
図3は、
図1の積層型電子部品において外部電極及びサイドマージン部を除いて示した斜視図であり、
図4は、
図1のI-I'線に沿った断面図であり、
図5は、
図1のII-II'線に沿った断面図であり、
図6は、
図5のK1領域を拡大した図面であり、
図7は、
図5のK2領域を拡大した図面である。
【0020】
以下、
図1~
図7を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品について詳細に説明する。
【0021】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、複数の誘電体層111を含み、第1方向に対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面3、4、上記第1~第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面5、6を含む本体110と、上記第5及び第6面に配置されるサイドマージン部114、115と、上記第3及び第4面に配置される外部電極131、132と、を含み、上記本体は、上記誘電体層と上記第1方向に交互に配置される内部電極121、122を含む活性部Ac、上記活性部の上記第1方向の上部に配置される上部カバー部112、及び上記活性部の上記第1方向の下部に配置される下部カバー部113を含み、上記サイドマージン部は、上記第5及び第6面で上記活性部の少なくとも一部を覆う内側マージン部114a、115a及び上記内側マージン部上に配置され、上記上部カバー部及び下部カバー部と接するように配置される外側マージン部114b、115bを含むことができる。
【0022】
小型及び高容量積層セラミックキャパシタを実現するために、積層セラミックキャパシタを製造する際に、内部電極が本体の幅方向に露出するようにすることで、マージンのない設計によって内部電極の幅方向の面積を極大化するが、このようなチップ製作後の焼成前段階でチップの幅方向の電極露出面にサイドマージン部を別途付着して完成する方法が開発された。
【0023】
しかしながら、切断された本体面に存在する異物、可塑及び/または焼成段階で本体とサイドマージン部との間の収縮率の差などによって、サイドマージン部を本体と良好に接合できず、サイドマージン部と本体との間が広がるという問題点が発生することがあった。
【0024】
本発明の一実施形態によると、サイドマージン部114、115が第5及び第6面において活性部Acの少なくとも一部を覆う内側マージン部114a、115a及び上記内側マージン部上に配置され、上記上部カバー部及び下部カバー部と接するように配置される外側マージン部114b、115bを含むことによって、サイドマージン部と本体との間の接合力を向上させて、サイドマージン部と本体との間が広がることを抑制することができる。
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100の各構成について詳細に説明する。
【0026】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されている。
【0027】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体状やこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体状ではないが、実質的に六面体状を有することができる。
【0028】
本体110は、第1方向に互いに対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面1、2と連結され、第2方向に互いに対向する第3及び第4面3、4、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、第3方向に互いに対向する第5及び第6面5、6を有することができる。
【0029】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0030】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、またはチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO3系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例示として、BaTiO3、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)等が一部固溶された(Ba1-xCax)TiO3、Ba(Ti1-yCay)O3、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3又はBa(Ti1-yZry)O3等が挙げられる。
【0031】
上記誘電体層111を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO3)などのパウダーに本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0032】
内部電極121、122は誘電体層111と交互に配置されることができる。
【0033】
内部電極121、122は、第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。第1及び第2内部電極121、122は、本体110を構成する誘電体層111を挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ露出することができる。
【0034】
一実施形態において、内部電極121、122は、誘電体層111を挟んで第1方向に交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含み、第1内部電極121は第3、第5、及び第6面と連結され、上記第2内部電極122は上記第4、第5及び第6面と連結されることができる。
【0035】
図3を参照すると、第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3を介して露出し、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4を介して露出することができる。また、第1内部電極121は、第3、第5及び第6面3、5、6を介して露出することができ、第2内部電極122は第4、第5及び第6面4、5、6を介して露出することができる。
【0036】
このとき、第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離することができる。
【0037】
内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち1つ以上を含むことができる。
【0038】
誘電体層111の平均厚さtdは、特に限定する必要はないが、例えば0.1μm~10μmであることができる。内部電極121、122の平均厚さteは、特に限定する必要はないが、例えば、0.4μm~2.0μmであることができる。また、誘電体層111の平均厚さtdと内部電極121、122の平均厚さteは、所望の特性や用途に応じて任意に設定することができる。例えば、小型化及び高容量化を達成するために小型IT用電子部品の場合、誘電体層111の平均厚さtdは0.5μm以下であることができ、内部電極121、122の平均厚さteは、0.5μm以下であることができる。
【0039】
誘電体層111の平均厚さtd及び内部電極121、122の平均厚さteは、それぞれ誘電体層111及び内部電極121、122の第1方向の大きさを意味する。誘電体層111の平均厚さtd及び内部電極121、122の平均厚さteは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的には、誘電体層111の平均厚さtdは、1つの誘電体層111の多数の地点、例えば第2方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。また、内部電極121、122の平均厚さteは、1つの内部電極121、122の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は容量形成部Acで指定されることができる。一方、このような平均値測定をそれぞれ10個の誘電体層111及び10個の内部電極121、122について実施した後、平均値を測定すると、誘電体層111の平均厚さtd及び内部電極121、122の平均厚さteをさらに一般化することができる。
【0040】
本体110は本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される活性部Acと上記活性部Acの第1方向の上部及び下部に形成されたカバー部112、113を含むことができる。
【0041】
また、上記活性部Acは、キャパシタの容量形成に寄与する部分であり、誘電体層111を挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返し積層して形成されることができる。
【0042】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一誘電体層又は2つ以上の誘電体層を活性部Acの上下面にそれぞれ厚さ方向に積層して形成することができ、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0043】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は内部電極を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。
【0044】
すなわち、上記上部カバー部112及び下部カバー部113はセラミック材料を含むことができ、例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0045】
一方、カバー部112、113の厚さは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の厚さtcは、30μm以下であることができる。
【0046】
カバー部112、113の平均厚さtcは、第1方向の大きさを意味することができ、容量形成部Acの上部または下部で等間隔の5個の地点で測定したカバー部112、113の第1方向の大きさを平均した値であることができる。
【0047】
また、上記活性部Acの側面にはサイドマージン部114、115が配置されることができる。
【0048】
サイドマージン部114、115は、本体110の第5面5に配置された第1サイドマージン部114と第5面5に配置された第2サイドマージン部115を含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、本体110の第3方向の両端面(end surfaces)に配置されることができる。
【0049】
サイドマージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0050】
サイドマージン部114、115は、第5及び第6面において活性部Acの少なくとも一部を覆う内側マージン部114a、115a及び上記内側マージン部上に配置され、上記上部カバー部及び下部カバー部と接するように配置される外側マージン部114b、115bを含むことができる。これにより、サイドマージン部114、115と本体110との間の接合力を向上させ、サイドマージン部114、115と本体110との間が広がることを抑制することができる。
【0051】
本体110の第5及び第6面は、活性部Acとカバー部112、113を含み、活性部Acには誘電体層111だけでなく、内部電極121、122も含まれているため、従来のように1種類のシートのみを付着してサイドマージン部を形成する場合、サイドマージン部と活性部Ac及びカバー部112、113との結合力を同時に向上させることは困難であった。一方、本発明では、内側マージン部114a、115aはサイドマージン部114、115と活性部Acとの結合力を高める役割を果たし、外側マージン部114b、115bはサイドマージン部114、115とカバー部112、113との結合力を高める役割を果たすことができるため、サイドマージン部114、115と活性部Ac及びカバー部112、113との結合力を同時に向上させることができる。
【0052】
一実施形態において、外側マージン部114b、115bは、内側マージン部114a、115aの第1方向の上端及び下端を覆うように配置されることができる。これにより、外側マージン部114b、115bのうち内側マージン部114a、115aの第1方向の上端及び下端を覆う領域は段差を有することができる。
【0053】
一実施形態において、内側マージン部114a、115aは、上記第5及び第6面で活性部Acを全て覆うように配置されることができる。これにより、内側マージン部114a、115aと活性部の接触面積を増加させて、サイドマージン部114、115と本体110との間の接合力をより向上させることができる。
【0054】
但し、内側マージン部114a、115aが活性部Acのみを覆うものと制限する必要はなく、一実施形態において、内側マージン部114a、115aの第1方向の上端は上記 第5及び第6面で上記上部カバー部112と接し、上記内側マージン部114a、115aの第1方向の下端は上記 第5及び第6面で上記下部カバー部113と接することができる。
【0055】
一実施形態において、外側マージン部114b、115bのうち内側マージン部114a、115aの第1方向の上端及び下端を覆う領域は段差を有することができる。これは、外側マージン部114b、115bが内側マージン部114a、115aを覆う形態を有するため、内側マージン部114a、115aが配置されていない領域では、サイドマージン部の第3方向の幅がその分だけ減少するためである。
【0056】
一実施形態において、外側マージン部114b、115bは、内側マージン部114a、115aを全て覆うように配置されることができる。すなわち、外側マージン部114b、115bは、内側マージン部114a、115aの第1方向の両端だけでなく、内側マージン部114a、115aの第2方向の両端も覆い、内側マージン部114a、115aを全て覆う形態で配置されることができる。
【0057】
図7を参照すると、外側マージン部114b、115bの第1方向の上端は上記第2面と同一平面上に配置され、上記外側マージン部の第1方向の下端は上記第1面と同一平面上に配置されることができる。
【0058】
しかし、サイドマージン部の製造誤差等を考慮するとき、必ずしもこのような形態を有する必要はない。
【0059】
例えば、本発明の他の一実施形態によると、
図8のように、外側マージン部114b'、115b'の第1方向の上端は、上記第2面よりも第1方向の下部に配置され、外側マージン部114b'、115b'の第1方向の下端は、上記第1面よりも第1方向の上部に配置されることができる。このとき、外側マージン部114b'、115b'の第1方向の上端は、上記第3及び第4面で上記上部カバー部112と接し、上記外側マージン部114b'、115b'の第1方向の下端は、上記第3及び第4面において上記下部カバー部113と接することができる。
【0060】
また、本発明のさらに他の一実施形態によると、
図9のように、外側マージン部114b''、115b''の第1方向の上端は、上記第2面よりも第1方向の上部に配置され、外側マージン部114b''、115b''の第1方向の下端は、上記第1面よりも第1方向の下部に配置されることができる。このとき、外側マージン部114b''、115b''の少なくとも一部は、上記第1及び第2面上に配置されることができる。
【0061】
一実施形態において、内側マージン部114a、115aの第3方向の平均幅Tmaは、0.5μm以上5μm以下であることができる。Tmaが0.5μm未満の場合には内側マージン部114a、115aを安定して形成することが困難であり、5μm超過である場合には内側マージン部114a、115aによる段差が大きくなって、外側マージン部114b、115bを良好に接合できないおそれがある。
【0062】
一実施形態において、外側マージン部114b、115bの第3方向の平均幅Tmbは、15μm以上40μm以下であることができる。Tmbが15μm未満の場合には単位体積当たりの容量が低下したり、外部からの衝撃、水分浸透等によって信頼性が低下することがあり、40μm超過である場合には単位体積当たりの容量が低下するおそれがある。
【0063】
一実施形態において、内側マージン部114a、115aの第3方向の平均幅をTma、上記外側マージン部114b、115bの第3方向の平均幅をTmbとするとき、Tmb/Tmaは3以上80以下であることができる。これにより、サイドマージン部114、115と本体110との間の結合力を向上させながらも信頼性を確保する効果がより向上することができる。
【0064】
一実施形態において、サイドマージン部114、115の第1方向の中央での第3方向の幅をTm1、サイドマージン部114、115の第1方向の上端での第3方向の幅をTm2とするとき、Tm1-Tm2は0.5μm以上5μm以下であることができる。これは、サイドマージン部114、115の第1方向の上端には、内側マージン部114a、115aが配置されていないため、内側マージン部114a、115aの幅の分だけ幅が減少することができるためである。
【0065】
一方、内側マージン部114a、115aが配置された領域におけるサイドマージン部114、115の第3方向の幅は実質的に同一であることができ、幅の偏差が5%以内であることができる。
図5を参照してより詳細に説明すると、最外側に配置された内部電極121、122で測定したサイドマージン部114、115の第3方向の幅は、サイドマージン部114、115の第1方向の中央での第3方向の幅と実質的に同一であることができ、幅の偏差が5%以内であることができる。
【0066】
上記Tma、Tmb、Tm1、Tm2は、本体110の第2方向の中央で切断した第1及び第3方向の断面で測定することができ、Tma及びTmbはサイドマージン部114、115の容量形成部Acの側面で等間隔の5個の地点で測定した各値を平均した値であることができる。
【0067】
一実施形態において、内側マージン部114a、115aは、外側マージン部114b、115bとは異なる組成を有することができる。内側マージン部114a、115aと外側マージン部114b、115bが同じ組成を有する場合には、サイドマージン部と活性部Ac及びカバー部112、113との結合力を同時に向上させることが困難であることがある。
【0068】
内側マージン部114a、115aは、活性部Acとの接合力確保のために活性部Acの誘電体層を形成する組成と同一または類似した組成を用いることができる。また、内側マージン部114a、115aを形成するための材料に含まれたバインダー(binder)含有量を外側マージン部114b、115bを形成するための材料に含まれたバインダー(binder)含有量よりも高くすることができる。
【0069】
外側マージン部114b、115bは、カバー部112、113を形成するための誘電体シートと同じ組成を用いることができる。また、外側マージン部114b、115bは外部に露出するため、外部からの衝撃及び水分浸透などを防止するための添加剤を含むことができる。
【0070】
一実施形態において、内側マージン部114a、115aの気孔率は、上記外側マージン部114b、115bの気孔率よりも高いことができる。内側マージン部114a、115aを形成するための材料に含まれたバインダー(binder)含有量を外側マージン部114b、115bを形成するための材料に含まれたバインダー(binder)含有量よりも高くして、活性部Acとの接合力を確保する場合、バインダー(binder)を焼成及び焼結工程で除去され、バインダーがあった場所に気孔が形成されることができる。これにより、内側マージン部114a、115aの気孔率は上記外側マージン部114b、115bの気孔率よりも高いことができる。
【0071】
一方、サイドマージン部114、115を形成する方法は特に限定する必要はない。
【0072】
好ましい一例として
図10を参照すると、焼結前の本体10を上部プレート60に互いに離隔して付着し、下部プレート50上に外側マージン部114b、115b形成用シート14b及び内側マージン部114a、115a形成用シート14aを配置することができる。上部プレート60は、上部支持台61、62及び接着部材63を含むことができ、下部プレート50は、下部支持台51及び弾性部材52を含むことができる。焼結前の本体10の第5面または第6面を接着部材63に付着することができる。このとき、内側マージン部114a、115a形成用シート14aは、焼結前の本体10の容量形成部のみに接合されるように、外側マージン部114b、115b形成用シート14b上に離隔して配置されることができ、付着される焼結前の本体10面の容量形成部の大きさと同じ大きさで製作されることができる。
【0073】
この後、
図11のように加圧すると、圧力によって内側マージン部114a、115a形成用シート14aが容量形成部に付着され、外側マージン部114b、115b形成用シート14bの一部は、切断されることができる。この後、接着部材63に付着された焼結前の本体10の面にも同一工程を行った後、焼結工程を経て本体110及びサイドマージン部114、115を形成することができる。
【0074】
但し、これに制限されるものではなく、内側マージン部114a、115aを内側マージン部114a、115a形成用材料を焼結前の本体10の容量形成部に塗布して形成する方法としても製造することもできる。
【0075】
外部電極131、132は、本体110の第3面3及び第4面4に配置されることができる。
【0076】
外部電極131、132は、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ配置されて、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ連結された第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。
【0077】
図1を参照すると、外部電極131、132は、サイドマージン部114、115の第2方向の両端面を覆うように配置されることができる。
【0078】
本実施形態では、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造について説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0079】
一実施形態において、外部電極131、132は、本体110の第3面上に配置される第1外部電極131及び本体110の第4面上に配置される第2外部電極132を含み、第1外部電極131はサイドマージン部114、115の第2方向の一端を覆い、第2外部電極132はサイドマージン部114、115の第2方向の他端を覆うことができる。
【0080】
一実施形態において、内部電極121、122は、第1外部電極131と接触する第1内部電極121及び第2外部電極132と接触する第2内部電極122を含み、第1及び第2内部電極121、122の第3方向の両端部はサイドマージン部114、115と接触することができる。
【0081】
一方、外部電極131、132は、金属などのように電気導電性を有するものであればどのような物質を用いても形成されることができ、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されることができ、さらに多層構造を有することができる。
【0082】
例えば、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層131a、132a及び電極層131a、132a上に形成されためっき層131b、132bを含むことができる。
【0083】
電極層131a、132aに対するより具体的な例を挙げると、電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含む焼成(firing)電極であるか、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であることができる。
【0084】
また、電極層131a、132aは、本体上に焼成電極及び樹脂系電極が順次形成された形態であることができる。また、電極層131a、132aは、本体上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されるか、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであることができる。
【0085】
電極層131a、132aに含まれる導電性金属として、電気導電性に優れた材料を用いることができるが、特に限定されない。例えば、導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びこれらの合金のうち1つ以上であることができる。
【0086】
めっき層131b、132bは実装特性を向上させる役割を果たす。めっき層131b、132bの種類は特に限定されず、Ni、Sn、Pd及びこれらの合金のうち1つ以上を含むめっき層であることができ、複数の層で形成されることができる。
【0087】
めっき層131b、132bに対するより具体的な例を挙げると、めっき層131b、132bは、Niめっき層またはSnめっき層であることができ、電極層131a、132a上にNiめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であることができ、Snめっき層、Niめっき層、及びSnめっき層が順次形成された形態であることができる。また、めっき層131b、132bは、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含むこともできる。
【0088】
積層型電子部品100のサイズは特に限定する必要はない。
【0089】
但し、小型化及び高容量化を同時に達成するためには、誘電体層及び内部電極の厚さを薄くして積層数を増加させなければならないため、1005(長さ×幅、1.0mm×0.5mm)以下のサイズを有する積層型電子部品100で本発明による信頼性の向上効果がより顕著になることができる。
【0090】
製造誤差、外部電極の大きさ等を考慮すると、積層型電子部品100の長さが1.1mm以下であり、幅が0.55mm以下である場合、本発明による信頼性及び単位体積当たりの容量の向上効果がより顕著になることができる。ここで、積層型電子部品100の長さは、積層型電子部品100の第2方向の最大大きさを意味し、積層型電子部品100の幅は、積層型電子部品100の第3方向の最大大きさを意味することができる。
【0091】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【0092】
また、本開示において用いられた「一実施形態」という表現は、互いに同一の実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と組み合わせて実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態において説明された事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明として理解することができる。
【0093】
本開示で用いられた用語は、単に一実施形態を説明するために用いられたものであり、本開示を限定する意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0094】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
114、115 サイドマージン部
114a、115a 内側マージン部
114b、115b 外側マージン部
121、122 内部電極
131、132 外部電極
131a、132a 電極層
131b、132b めっき層