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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008336
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】燃料電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04298 20160101AFI20250109BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20250109BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20250109BHJP
   H01M 8/04302 20160101ALI20250109BHJP
【FI】
H01M8/04298
H01M8/04537
H01M8/04 H
H01M8/04302
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110430
(22)【出願日】2023-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】上島 鷹之
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AB04
5H127DA01
5H127DB91
5H127DC50
5H127FF03
(57)【要約】
【課題】燃料電池モジュールの仕様が多種多様になることに起因する燃料電池モジュールの誤動作を抑制する。
【解決手段】燃料電池モジュールFCM内で生じる判別信号S1、S2に基づいて燃料電池モジュールFCMの仕様を判別し、その判別した仕様と記憶部Stgに記憶されている仕様とが互いに一致する場合、燃料電池スタックFCSの発電制御を継続し、その判別した仕様と記憶部Stgに記憶されている仕様とが互いに一致しない場合、燃料電池スタックFCSの発電制御を終了する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池モジュールであって、
燃料電池スタックと、
前記燃料電池モジュールの仕様が予め記憶されている記憶部と、
前記燃料電池スタックの発電を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記燃料電池モジュール内で生じる判別信号に基づいて前記仕様を判別し、前記判別した仕様と前記記憶部に記憶されている仕様とが互いに一致する場合、前記燃料電池スタックの発電制御を継続し、前記判別した仕様と前記記憶部に記憶されている仕様とが互いに一致しない場合、前記燃料電池スタックの発電制御を終了する
燃料電池モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池モジュールであって、
前記制御部は、前記燃料電池モジュール内で生じる複数種類の電圧のうち、前記仕様に対応する電圧が前記判別信号として入力される入力回路を備え、前記入力回路に入力される電圧に基づいて前記仕様を判別する
燃料電池モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の燃料電池モジュールであって、
主機としての前記燃料電池スタックを発電させるための複数の補機を備え、
前記入力回路は、前記複数種類の電圧がかかる分圧抵抗と、前記分圧抵抗に接続されるプルダウン抵抗とを備え、前記分圧抵抗と前記プルダウン抵抗との接続点にかかる電圧を前記判別信号として入力し、
前記制御部は、前記入力回路に入力される電圧がゼロである場合、前記分圧抵抗もしくは前記分圧抵抗と前記補機との間に接続される配線が断線していると、または、前記分圧抵抗もしくは前記配線が地絡していると判断する
燃料電池モジュール。
【請求項4】
請求項1に記載の燃料電池モジュールであって、
主機としての前記燃料電池スタックを発電させるための複数の補機を備え、
前記制御部は、前記複数の補機のうち、前記仕様に特有の補機との間で入出力される信号に基づいて前記仕様を判別する
燃料電池モジュール。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の燃料電池モジュールであって、
前記制御部は、前記燃料電池スタックの発電制御の開始時、前記仕様を判別する
燃料電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池モジュールとして、燃料電池スタックの出力電圧を変換するDCDCコンバータの出力側のインピーダンスに基づいて、DCDCコンバータに接続される外部負荷の種類を判別するものがある。関連する技術として、特許文献1がある。
【0003】
ところで、燃料電池モジュールの仕様(燃料電池モジュールを適用する機種を示す情報など)が多種多様になると、その仕様に合わせて、燃料電池スタックを発電させるための補機の組み合わせや補機の動作を制御するためのソフトウェアも多種多様になる。
【0004】
また、燃料電池モジュールの製造時やメンテナンス時、作業員などにより、メモリに書き込まれた仕様に対応する補機が燃料電池モジュールFCMに取り付けられ、メモリに書き込まれた仕様に対応するソフトウェアがメモリに書き込まれる。
【0005】
そのため、実際の仕様と異なる仕様がメモリに書き込まれていた場合、燃料電池モジュールの製造時やメンテナンス時において、実際の仕様に対応していない補機が燃料電池モジュールに取り付けられたり、実際の仕様に対応していないソフトウェアがメモリに書き込まれたりするおそれがあるため、燃料電池モジュールの誤動作の原因になる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-050092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一側面に係る目的は、燃料電池モジュールの仕様が多種多様になることに起因する燃料電池モジュールの誤動作を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る一つの形態である燃料電池モジュールは、燃料電池スタックと、前記燃料電池モジュールの仕様が予め記憶されている記憶部と、前記燃料電池スタックの発電を制御する制御部とを備える。
【0009】
前記制御部は、前記燃料電池モジュール内で生じる判別信号に基づいて前記仕様を判別し、前記判別した仕様と前記記憶部に記憶されている仕様とが互いに一致する場合、前記燃料電池スタックの発電制御を継続し、前記判別した仕様と前記記憶部に記憶されている仕様とが互いに一致しない場合、前記燃料電池スタックの発電制御を終了する。
【0010】
これにより、例えば、判別信号により判別した仕様と記憶部に記憶されている仕様とが互いに一致せず、燃料電池スタックの発電制御を停止する際に、実際の仕様と異なる仕様が記憶部に記憶されている旨を製造やメンテナンスの作業員などに発報することができるため、その作業員などに正しい仕様の書き込みを促すことができる。そのため、燃料電池モジュールの製造時やメンテナンス時に実際の仕様に対応していない補機が取り付けられたり、実際の仕様に対応していないソフトウェアが書き込まれたりすることを抑制することができるため、燃料電池モジュールの誤動作を抑制することができる。
【0011】
また、前記制御部は、前記燃料電池モジュール内で生じる複数種類の電圧のうち、前記仕様に対応する電圧が前記判別信号として入力される入力回路を備え、前記入力回路に入力される電圧に基づいて前記仕様を判別するように構成してもよい。
【0012】
また、前記燃料電池モジュールは、主機としての前記燃料電池スタックを発電させるための複数の補機を備え、前記入力回路は、前記複数種類の電圧がかかる分圧抵抗と、前記分圧抵抗に接続されるプルダウン抵抗とを備え、前記分圧抵抗と前記プルダウン抵抗との接続点にかかる電圧を前記判別信号として入力し、前記制御部は、前記入力回路に入力される電圧がゼロである場合、前記分圧抵抗もしくは前記分圧抵抗と前記補機との間に接続される配線が断線していると、または、前記分圧抵抗もしくは前記配線が地絡していると判断するように構成してもよい。
【0013】
また、前記燃料電池モジュールは、主機としての前記燃料電池スタックを発電させるための複数の補機を備え、前記制御部は、前記複数の補機のうち、前記仕様に特有の補機との間で入出力される信号に基づいて前記仕様を判別するように構成してもよい。
【0014】
また、前記制御部は、前記燃料電池スタックの発電制御の開始時、前記仕様を判別するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、燃料電池モジュールの仕様が多種多様になることに起因する燃料電池モジュールの誤動作を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態の燃料電池モジュールの一例を示す図である。
図2】制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
図3】第1実施例における記憶部に記憶されている情報の一例及び入力回路の一例を示す図である。
図4】第2実施例における記憶部に記憶されている情報の一例並び接続端子の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
【0018】
図1は、実施形態の燃料電池モジュールの一例を示す図である。
【0019】
図1に示す燃料電池モジュールFCMは、例えば、フォークリフト、トーイングトラクタ、または無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)などの車両に搭載され、その車両に搭載される負荷Loに電力を供給する。このように構成する場合、負荷Loは、例えば、荷役装置や走行用モータを駆動するインバータ回路などとする。なお、燃料電池モジュールFCMは、工業用定置式発電機、家庭用定置式発電機、または非常用定置式発電機などの定置式発電機に備えられていてもよい。このように構成する場合、負荷Loは、例えば、産業機械や家電製品などとする。
【0020】
また、燃料電池モジュールFCMは、主機である燃料電池スタックFCSと、燃料電池スタックFCSを発電させるための複数種類の補機とを備える。
【0021】
すなわち、燃料電池モジュールFCMは、燃料ガス系補機として、燃料タンクHTと、インジェクタINJと、圧力センサSpとを備える。
【0022】
また、燃料電池モジュールFCMは、酸化剤ガス系補機として、エアコンプレッサACPと、温度センサStと、エア調圧弁ARVとを備える。
【0023】
また、燃料電池モジュールFCMは、冷却系補機として、インタークーラICと、ラジエタRと、ファンFと、ウォータポンプWPとを備える。
【0024】
また、燃料電池モジュールFCMは、電気系補機として、DCDCコンバータCNV1、CNV2と、蓄電装置B1、B2と、電圧センサSvと、電流センサSiと、リレーRe1、Re2とを備える。
【0025】
また、燃料電池モジュールFCMは、さらに、記憶部Stgと、制御部Cntとを備える。
【0026】
燃料電池スタックFCSは、互いに直列接続される複数の燃料電池セルにより構成され、燃料ガス(水素ガスなど)に含まれる水素と酸化剤ガス(空気など)に含まれる酸素との電気化学反応により電気を発生させる。
【0027】
燃料タンクHTは、燃料ガスの貯蔵容器である。燃料タンクHTに貯蔵された燃料ガスはインジェクタINJを介して燃料電池スタックFCSに供給される。
【0028】
インジェクタINJは、燃料電池スタックFCSに供給される燃料ガスの流量を調整する。
【0029】
圧力センサSpは、燃料電池スタックFCSに供給される燃料ガスの圧力Pを検出し、その検出した圧力Pを制御部Cntに送る。
【0030】
エアコンプレッサACPは、燃料電池モジュールFCMの周囲に存在する酸化剤ガスを圧縮しインタークーラICを介して燃料電池スタックFCSに供給する。
【0031】
温度センサStは、サーミスタなどにより構成され、エアコンプレッサACPから出力される酸化剤ガスの温度Tを検出し、その検出した温度Tを制御部Cntに送る。
【0032】
エア調圧弁ARVは、燃料電池スタックFCSに供給される酸化剤ガスの圧力や流量を調整する。
【0033】
インタークーラICは、圧縮により高温になった酸化剤ガスをインタークーラICに流れる冷却水などの冷媒と熱交換させる。
【0034】
ラジエタRは、燃料電池スタックFCSの発熱により温められた冷媒を外気と熱交換させる。
【0035】
ファンFは、ラジエタRの放熱量を上昇させる。
【0036】
ウォータポンプWPは、ラジエタRにより冷却された冷媒をインタークーラICを介して燃料電池スタックFCSに供給する。
【0037】
DCDCコンバータCNV1は、燃料電池スタックFCSの後段に接続され、燃料電池スタックFCSから出力される電圧を所定の電圧(例えば、48[V])に変換する。DCDCコンバータCNV1から出力される電力は、エアコンプレッサACP及びウォータポンプWPなどの補機、負荷Lo、並びに蓄電装置B1に供給される。なお、エアコンプレッサACP及びウォータポンプWPを、48V系補機と呼ぶことがある。
【0038】
蓄電装置B1は、リチウムイオンキャパシタなどにより構成され、DCDCコンバータCNV1と負荷Loとの間に接続されている。DCDCコンバータCNV1から出力される電力と、48V系補機及びDCDCコンバータCNV2に供給される電力の合計値との差に相当する供給電力が、燃料電池モジュールFCMの外部(例えば、負荷Loの動作を制御する車両側制御部または定置式発電機側制御部)から要求される要求電力より大きい場合、その供給電力のうち、要求電力分の電力が負荷Loに供給されるとともに、残りの電力が蓄電装置B1に供給される。DCDCコンバータCNV1から蓄電装置B1に電力が供給されると、蓄電装置B1が充電され蓄電装置B1の充電率(蓄電装置B1の満充電容量に対する残容量の割合[%])が増加する。また、負荷Loから燃料電池モジュールFCMに供給される回生電力が蓄電装置B1に供給されると、蓄電装置B1が充電され蓄電装置B1の充電率が増加する。また、DCDCコンバータCNV1から出力される電力と、48V系補機及びDCDCコンバータCNV2に供給される電力の合計値との差に相当する供給電力が、燃料電池モジュールFCMの外部から要求される要求電力より小さい場合、その供給電力が負荷Loに供給されるとともに、足りない分の電力が蓄電装置B1から負荷Loに供給される。蓄電装置B1から負荷Loに電力が供給されると、蓄電装置B1が放電され蓄電装置B1の充電率が減少する。
【0039】
電圧センサSvは、蓄電装置B1の電圧Vを検出し、その検出した電圧Vを制御部Cntに送る。
【0040】
電流センサSiは、蓄電装置B1に流れる電流Iを検出し、その検出した電流Iを制御部Cntに送る。
【0041】
リレーRe1は、電磁式リレーまたは半導体リレーにより構成され、DCDCコンバータCNV1と蓄電装置B1との間に接続される。リレーRe1が導通状態である場合、DCDCコンバータCNV1または負荷Loから蓄電装置B1に電力を供給すること及び蓄電装置B1から負荷Loに電力を供給することが可能な状態になり、リレーRe1が遮断状態である場合、DCDCコンバータCNV1または負荷Loから蓄電装置B1に電力を供給すること及び蓄電装置B1から負荷Loに電力を供給することが不可能な状態になる。
【0042】
DCDCコンバータCNV2は、DCDCコンバータCNV1の後段に接続され、DCDCコンバータCNV1から出力される電圧を所定の電圧(例えば、12[V])に変換する。DCDCコンバータCNV2から出力される電力は、インジェクタINJ及びファンFなどの補機に供給される。なお、インジェクタINJ及びファンFを、12V系補機と呼ぶことがある。
【0043】
蓄電装置B2は、リチウムイオンキャパシタなどにより構成される。DCDCコンバータCNV2から出力される電力が、12V系補機に供給すべき電力より大きい場合、DCDCコンバータCNV2から出力される電力と、12V系補機に供給すべき電力との差に相当する電力がDCDCコンバータCNV2から蓄電装置B2に供給される。DCDCコンバータCNV2から蓄電装置B2に電力が供給されると、蓄電装置B2が充電され蓄電装置B2の充電率(蓄電装置B2の満充電容量に対する残容量の割合[%])が増加する。また、DCDCコンバータCNV2から出力される電力が、12V系補機に供給すべき電力より小さい場合、12V系補機に供給すべき電力と、DCDCコンバータCNV2から出力される電力との差に相当する電力が、DCDCコンバータCNV2から12V系補機に供給されるとともに、足りない分の電力が蓄電装置B2から12V系補機に供給される。蓄電装置B2から12V系補機に電力が供給されると、蓄電装置B2が放電され蓄電装置B2の充電率が減少する。
【0044】
リレーRe2は、電磁式リレーまたは半導体リレーにより構成され、DCDCコンバータCNV2と蓄電装置B2との間に接続されている。リレーRe2が導通状態である場合、DCDCコンバータCNV2から蓄電装置B2に電力を供給することが可能な状態になり、リレーRe2が遮断状態である場合、DCDCコンバータCNV2から蓄電装置B2に電力を供給することが不可能な状態になる。
【0045】
記憶部Stgは、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリなどの不揮発性メモリにより構成される。なお、燃料電池モジュールFCMの製造時またはメンテナンス時、作業員などにより、燃料電池モジュールFCMの仕様を示す情報や燃料電池モジュールFCMの仕様と判別信号との対応関係を示す情報などが記憶されるものとする。
【0046】
制御部Cntは、マイクロコンピュータなどにより構成され、燃料電池FCの発電を制御する。例えば、制御部Cntは、発電制御時、蓄電装置Bの充電率と複数の閾値との比較結果に応じて目標発電電力Ptを段階的に変化させるとともに、PI(Proportional-Integral)制御などにより燃料電池FCの発電電力が目標発電電力Ptに追従するように、各補機の動作を制御する。
【0047】
また、制御部Cntは、燃料電池モジュールFCM内で生じる判別信号に基づいて燃料電池モジュールFCMの仕様を判別し、その判別した仕様と記憶部Stgに予め記憶されている仕様とが互いに一致する場合、燃料電池スタックFCSの発電制御を継続し、その判別した仕様と記憶部Stgに記憶されている仕様とが互いに一致しない場合、燃料電池スタックFCSの発電制御を終了する。
【0048】
図2は、制御部Cntの動作の一例を示すフローチャートである。
【0049】
まず、制御部Cntは、ユーザにより車両のキーオン操作が行われること、または、ユーザにより定置式発電機の電源オンボタンが押されることなどにより、燃料電池モジュールFCMの起動指示を外部から受信すると(ステップSt1:Yes)、システム起動処理を実行する(ステップSt2)。例えば、制御部Cntは、システム起動処理の実行時、圧力センサSpや温度センサStなどの各補機が正常に動作するか否かを判断するとともに、エアコンプレッサACPやインジェクタINJなどの各補機に与える制御信号の初期値を記憶部Stgから読み出す。
【0050】
次に、制御部Cntは、燃料電池モジュールFCM内で生じる判別信号S1、S2を取得し(ステップSt3)、その取得した判別信号S1、S2に基づいて燃料電池モジュールFCMの仕様を判別する(ステップSt4)。
【0051】
次に、制御部Cntは、記憶部Stgから燃料電池モジュールFCMの仕様を読み出し(ステップSt5)、ステップSt4で判別した仕様と、ステップSt5で読み出した仕様とが互いに一致しているか否かを判断する(ステップSt6)。
【0052】
次に、制御部Cntは、ステップSt4で判別した仕様と、ステップSt5で読み出した仕様とが互いに一致していないと判断すると、すなわち、実際の仕様と異なる仕様が記憶部Stgに記憶されていると判断すると(ステップSt6:No)、エラーを発報し(ステップSt7)、システム停止処理を実行する(ステップSt8)。例えば、制御部Cntは、ステップSt7において、実際の仕様と異なる仕様が記憶部Stgに記憶されている旨を示すメッセージを車両または定置式発電機に備えられる不図示のディスプレイに表示させる。また、制御部Cntは、ステップSt8において、システム停止処理の実行時、エアコンプレッサACPやインジェクタINJなどの各補機に与えていた制御信号及び電圧センサSvや温度センサStなどの各補機から取得した検出値を記憶部Stgに記憶させる。
【0053】
一方、制御部Cntは、ステップSt4で判別した仕様と、ステップSt5で読み出した仕様とが互いに一致していると判断すると、すなわち、実際の仕様と同じ仕様が記憶部Stgに記憶されていると判断すると(ステップSt6:Yes)、リレーRe1、Re2を遮断状態から導通状態に遷移させ(ステップSt9)、燃料電池モジュールFCMの充電制御処理を開始する(ステップSt10)。
【0054】
次に、制御部Cntは、燃料電池モジュールFCMの停止指示を受信するまで(ステップSt11:No)、充電制御を継続する。
【0055】
そして、制御部Cntは、ユーザにより車両のキーオフ操作が行われること、または、ユーザにより定置式発電機の電源オフボタンが押されることなどにより、燃料電池モジュールFCMの停止指示を外部から受信すると(ステップSt11:Yes)、燃料電池モジュールFCMの充電制御を終了し(ステップSt12)、リレーRe1、Re2を導通状態から遮断状態に遷移させた後(ステップSt13)、システム停止処理を実行する(ステップSt8)。
【0056】
<第1実施例>
図3(a)は、第1実施例における記憶部Stgに記憶されている情報を示す図である。なお、図3(a)に示す情報は、燃料電池モジュールFCMの仕様と判別信号S1、S2との対応関係を示している。また、燃料電池モジュールFCMの仕様として、「フォークリフトF1向け燃料電池モジュール」、「フォークリフトF2向け燃料電池モジュール」、「定置式発電機G1向け燃料電池モジュール」、及び「定置式発電機G2向け燃料電池モジュール」の4つの仕様を想定する。
【0057】
図3(a)に示す情報において、「フォークリフトF1向け燃料電池モジュール」は、判別信号S1として「12[V]」に対応し、判別信号S2として「12[V]」に対応している。
【0058】
図3(a)に示す情報において、「フォークリフトF2向け燃料電池モジュール」は、判別信号S1として「12[V]」に対応し、判別信号S2として「48[V]」に対応している。
【0059】
図3(a)に示す情報において、「定置式発電機G1向け燃料電池モジュール」は、判別信号S1として「48[V]」に対応し、判別信号S2として「12[V]」に対応している。
【0060】
図3(a)に示す情報において、「定置式発電機G2向け燃料電池モジュール」は、判別信号S1として「48[V]」に対応し、判別信号S2として「48[V]」に対応している。
【0061】
図3(b)は、制御部Cntに設けられる入力回路Cin1の一例を示す図である。なお、制御部Cntに設けられる入力回路Cin2は、入力回路Cin1と同様であるため、説明を省略する。また、入力回路Cin1、Cin2に入力される電圧は、燃料電池モジュールFCMの仕様を判別することが可能な電圧であれば、12[V]及び48[V]に限定されない。また、入力回路Cin1、Cin2の回路構成は、燃料電池モジュールFCMの仕様に対応する電圧を制御部Cntに入力することが可能であれば、特に限定されない。
【0062】
図3(b)に示す入力回路Cin1は、入力端子INと、分圧抵抗R1と、プルダウン抵抗R2と、AD変換回路4とを備える。
【0063】
入力端子INは、蓄電装置B2からインジェクタINJやファンFに供給される12[V]の電源用電圧または蓄電装置B1からエアコンプレッサACPやウォータポンプWPに供給される48[V]の電源用電圧が印加される。なお、入力端子INに印加される電圧の供給元は特に限定されないが、電圧に含まれるノイズの影響を抑えるために、入力端子INからできるだけ近いところが望ましい。
【0064】
分圧抵抗R1は、入力端子INとプルダウン抵抗R2との間に接続されている。
【0065】
プルダウン抵抗R2は、分圧抵抗R1とグランドとの間に接続されている。
【0066】
AD変換回路4は、分圧抵抗R1とプルダウン抵抗R2との接続点にかかる電圧をアナログ値からデジタル値に変換する。
【0067】
すなわち、入力端子INに入力された電圧が分圧抵抗R1とプルダウン抵抗R2により分圧され、その分圧された電圧がAD変換回路4によりアナログ値から制御部Cntが認識可能なデジタル値に変換される。
【0068】
このように構成される場合、制御部Cntは、入力回路Cin1に12[V]の電圧の入力があると判断し、かつ、入力回路Cin2に12[V]の電圧の入力があると判断すると、図3(a)に示す情報を参照し、判別信号S1としての「12[V]」及び判別信号S2としての「12[V]」に対応する「フォークリフトF1向け燃料電池モジュール」を燃料電池モジュールFCMの仕様として選択する。例えば、制御部Cntは、入力回路Cin1のAD変換回路4により変換されたデジタル値が「12[V]」を示していると、入力回路Cin1に12[V]の電圧の入力があると判断する。また、制御部Cntは、入力回路Cin2のAD変換回路4により変換されたデジタル値が「12[V]」を示していると、入力回路Cin2に12[V]の電圧の入力があると判断する。
【0069】
また、制御部Cntは、入力回路Cin1に12[V]の電圧の入力があると判断し、かつ、入力回路Cin2に48[V]の電圧の入力があると判断すると、図3(a)に示す情報を参照し、判別信号S1としての「12[V]」及び判別信号S2としての「48[V]」に対応する「フォークリフトF2向け燃料電池モジュール」を燃料電池モジュールFCMの仕様として選択する。例えば、制御部Cntは、入力回路Cin2のAD変換回路4により変換されたデジタル値が「48[V]」を示していると、入力回路Cin2に48[V]の電圧の入力があると判断する。
【0070】
また、制御部Cntは、入力回路Cin1に48[V]の電圧の入力があると判断し、かつ、入力回路Cin2に12[V]の電圧の入力があると判断すると、図3(a)に示す情報を参照し、判別信号S1としての「48[V]」及び判別信号S2としての「12[V]」に対応する「定置式発電機G1向け燃料電池モジュール」を燃料電池モジュールFCMの仕様として選択する。例えば、制御部Cntは、入力回路Cin1のAD変換回路4により変換されたデジタル値が「48[V]」を示していると、入力回路Cin1に48[V]の電圧の入力があると判断する。
【0071】
また、制御部Cntは、入力回路Cin1に48[V]の電圧の入力があると判断し、かつ、入力回路Cin2に48[V]の電圧の入力があると判断すると、図3(a)に示す情報を参照し、判別信号S1としての「48[V]」及び判別信号S2としての「48[V]」に対応する「定置式発電機G2向け燃料電池モジュール」を燃料電池モジュールFCMの仕様として選択する。
【0072】
また、制御部Cntは、入力回路Cin1に入力される電圧がゼロである場合、入力回路Cin1の分圧抵抗R1もしくは入力回路Cin1の分圧抵抗R1と補機との間に接続される配線(ハーネス)などが断線していると、または、入力回路Cin1の分圧抵抗R1もしくは入力回路Cin1の分圧抵抗R1と補機との間に接続される配線が地絡していると判断する。
【0073】
また、制御部Cntは、入力回路Cin2に入力される電圧がゼロである場合、入力回路Cin2の分圧抵抗R1もしくは入力回路Cin2の分圧抵抗R1と補機との間に接続される配線(ハーネス)などが断線していると、または、入力回路Cin2の分圧抵抗R1もしくは入力回路Cin2の分圧抵抗R1と補機との間に接続される配線が地絡していると判断する。
【0074】
また、制御部Cntは、入力回路Cin1に入力される電圧が12[V]、48[V]、及びゼロ(仕様や断線地絡を判別するための電圧として予め想定される電圧)以外の電圧である場合、入力回路Cin1の分圧抵抗R1もしくは入力回路Cin1の分圧抵抗R1と補機との間に接続される配線などから他の回路やグランドに比較的小さいリーク電流が流れていると判断する。
【0075】
また、制御部Cntは、入力回路Cin2に入力される電圧が12[V]、48[V]、及びゼロ(仕様や断線地絡を判別するための電圧として予め想定される電圧)以外の電圧である場合、入力回路Cin2の分圧抵抗R1もしくは入力回路Cin2の分圧抵抗R1と補機との間に接続される配線などから他の回路やグランドに比較的小さいリーク電流が流れていると判断する。
【0076】
なお、第1実施例において、燃料電池モジュールFCMの仕様が増加した場合は、その増加した仕様の数に応じて入力回路Cin1、Cin2に入力される電圧(判別信号)の組み合わせを増加させるとともに、図3(a)に示す情報を更新する。例えば、蓄電装置B1、電圧センサSv、及び電流センサSi、及びファンFが外部に設けられる「定置式発電機G3向け燃料電池モジュール」の仕様を追加する場合、図3(a)に示す情報に、「定置式発電機G3向け燃料電池モジュール」に対応する判別信号S1として「5[V]」を追加するとともに、「定置式発電機G3向け燃料電池モジュール」に対応する判別信号S2として「12[V]」を追加する。制御部Cntは、入力回路Cin1に5[V]の電圧の入力があると判断し、かつ、入力回路Cin2に12[V]の電圧の入力があると判断すると、記憶部Stgに記憶されている更新後の情報を参照し、判別信号S1としての「5[V]」及び判別信号S2としての「12[V]」に対応する「定置式発電機G3向け燃料電池モジュール」を燃料電池モジュールFCMの仕様として選択する。なお、判別信号S1としての「5[V]」は、例えば、制御部Cntの電源電圧から得てもよい。
【0077】
第1実施例の燃料電池モジュールFCMによれば、判別信号S1、S2により判別した仕様と記憶部Stgに記憶されている仕様とが互いに一致せず、燃料電池スタックFCSの発電制御を停止する際に、実際の仕様と異なる仕様が記憶部Stgに記憶されている旨を製造やメンテナンスの作業員などに発報することができるため、その作業員などに正しい仕様の書き込みを促すことができる。そのため、燃料電池モジュールFCMの製造時やメンテナンス時に実際の仕様に対応していない補機が取り付けられたり、実際の仕様に対応していないソフトウェアが書き込まれたりすることを抑制することができるため、燃料電池モジュールFCMの誤動作を抑制することができる。
【0078】
第1実施例の燃料電池モジュールFCMによれば、燃料電池モジュールFCMの各仕様における一部の補機で共有化が図られているため、燃料電池モジュールFCMの製造コストや補機が誤って組付けられるリスクを低減することができる。
【0079】
第1実施例の燃料電池モジュールFCMによれば、分圧抵抗R1や配線の断線地絡を比較的簡単な構成の入力回路Cin1、Cin2により判断することができる。
【0080】
第1実施例の燃料電池モジュールFCMによれば、燃料電池モジュールFCMの仕様が増加しても、入力回路Cin1、Cin2に入力される電圧の組み合わせを増やすとともに、図4(a)に示す情報を更新するだけで、燃料電池モジュールFCMの仕様を判別することができる。特に、産業車両や定置式発電機で使用される電圧は定まっている場合が殆どであるため、産業車両や定置式発電機向けの燃料電池モジュールFCMにおいて、第1実施例のように電圧の組み合わせにより仕様を判別することは好適である。
【0081】
<第2実施例>
図4(a)は、第1実施例における記憶部Stgに記憶されている情報を示す図である。なお、図4(a)に示す情報は、燃料電池モジュールFCMの仕様と判別信号S1、S2との対応関係を示している。また、燃料電池モジュールFCMの仕様として、「フォークリフトF1向け燃料電池モジュール」、「フォークリフトF2向け燃料電池モジュール」、「定置式発電機G1向け燃料電池モジュール」、及び「定置式発電機G2向け燃料電池モジュール」の4つの仕様を想定する。
【0082】
「フォークリフトF1向け燃料電池モジュール」は、他の3つの仕様との差異として、電圧センサSv及び温度センサStを備えているものとする。すなわち、「フォークリフトF1向け燃料電池モジュール」は、図1に示す燃料電池モジュールFCMと同様である。また、図4(a)に示す情報において、「フォークリフトF1向け燃料電池モジュール」は、判別信号S1として「電圧V:入力あり」に対応し、判別信号S2として「温度T:入力あり」に対応している。
【0083】
「フォークリフトF2向け燃料電池モジュール」は、他の3つの仕様との差異として、電圧センサSvを備え、かつ、温度センサStを備えていないものとする。すなわち、「フォークリフトF2向け燃料電池モジュール」は、図1に示す燃料電池モジュールFCMにおいて、温度センサStを備えていないものと同様である。また、図4(a)に示す情報において、「フォークリフトF2向け燃料電池モジュール」は、判別信号S1として「電圧V:入力あり」に対応し、判別信号S2として「温度T:入力なし」に対応している。
【0084】
「定置式発電機G1向け燃料電池モジュール」は、他の3つの仕様との差異として、電圧センサSvを備えず、かつ、温度センサStを備えているものとする。すなわち、「定置式発電機G1向け燃料電池モジュール」は、図1に示す燃料電池モジュールFCMにおいて、外部に蓄電装置B1、電圧センサSv、及び電流センサSiが設けられているものと同様である。また、図4(a)に示す情報において、「定置式発電機G1向け燃料電池モジュール」は、判別信号S1として「電圧V:入力なし」に対応し、判別信号S2として「温度T:入力あり」に対応している。
【0085】
「定置式発電機G2向け燃料電池モジュール」は、他の3つの仕様との差異として、電圧センサSv及び温度センサStが備えられていないものとする。すなわち、「定置式発電機G2向け燃料電池モジュール」は、図1に示す燃料電池モジュールFCMにおいて、外部に蓄電装置B1、電圧センサSv、及び電流センサSiが設けられ、かつ、温度センサStを備えていないものと同様である。また、図4(a)に示す情報において、「定置式発電機G2向け燃料電池モジュール」は、判別信号S1として「電圧V:入力なし」に対応し、判別信号S2として「温度T:入力なし」に対応している。
【0086】
図4(b)は、制御部Cntに設けられるカプラ及び補機からのびる配線の端部に設けられる端子台を模式的に示す図である。なお、カプラ及び端子台の構成は、燃料電池モジュールFCMの仕様に特有の補機との間で信号を入出力可能な構成であれば、特に限定されない。
【0087】
図4(b)に示すカプラ1は、縦に2列、横に3列に並ぶ6つの接続端子を備える。
【0088】
図4(b)に示す端子台2は、電圧センサSvからのびる配線の端部に設けられ、3本の接続端子を備える。
【0089】
図4(b)に示す端子台3は、温度センサStからのびる配線の端部に設けられ、3本の接続端子を備える。
【0090】
端子台2の3本の接続端子はカプラ1の上側3つの接続端子に接続され、端子台3の3本の接続端子はカプラ1の下側3つの接続端子に接続される。
【0091】
制御部Cntは、カプラ1の上側3つの接続端子から入力される信号を、電圧センサSvにより検出される電圧Vとして認識し、カプラ1の下側3つの接続端子から入力される信号を、温度センサStにより検出される温度Tとして認識する。
【0092】
このように構成される場合、制御部Cntは、電圧Vの入力があると判断し、かつ、温度Tの入力があると判断すると、図4(a)に示す情報を参照し、「電圧V:入力あり」及び「温度T:入力あり」に対応する「フォークリフトF1向け燃料電池モジュール」を燃料電池モジュールFCMの仕様として選択する。例えば、制御部Cntは、カプラ1の上側3つの接続端子に信号が入力されていることを認識すると、電圧Vの入力があると判断する。また、制御部Cntは、カプラ1の下側3つの接続端子に信号が入力されていることを認識すると、温度Tの入力があると判断する。
【0093】
また、制御部Cntは、電圧Vの入力があると判断し、かつ、温度Tの入力がないと判断すると、図4(a)に示す情報を参照し、「電圧V:入力あり」及び「温度T:入力なし」に対応する「フォークリフトF2向け燃料電池モジュール」を燃料電池モジュールFCMの仕様として選択する。例えば、制御部Cntは、カプラ1の下側3つの接続端子に信号が入力されていないことを認識すると、温度Tの入力がないと判断する。
【0094】
また、制御部Cntは、電圧Vの入力がないと判断し、かつ、温度Tの入力があると判断すると、図4(a)に示す情報を参照し、「電圧V:入力なし」及び「温度T:入力あり」に対応する「定置式発電機G1向け燃料電池モジュール」を燃料電池モジュールFCMの仕様として選択する。例えば、制御部Cntは、カプラ1の上側3つの接続端子に信号が入力されていないことを認識すると、電圧Vの入力がないと判断する。
【0095】
また、制御部Cntは、電圧Vの入力がないと判断し、かつ、温度Tの入力がないと判断すると、図4(a)に示す情報を参照し、「電圧V:入力なし」及び「温度T:入力なし」に対応する「定置式発電機G2向け燃料電池モジュール」を燃料電池モジュールFCMの仕様として選択する。
【0096】
なお、第2実施例において、燃料電池モジュールFCMの仕様が増加した場合は、その増加した仕様に特有の補機から出力される信号を判別信号としてさらに制御部Cntに入力させるとともに、図4(a)に示す情報を更新する。例えば、蓄電装置B1、電圧センサSv、電流センサSi、及びリレーRe1が外部に設けられる「定置式発電機G4向け燃料電池モジュール」の仕様を追加する場合、図4(a)に示す情報に、「定置式発電機G4向け燃料電池モジュール」に対応する判別信号S1として「電圧V:入力なし」を追加するとともに、「定置式発電機G4向け燃料電池モジュール」に対応する判別信号S2として「リレーRe1:出力なし」を追加する。制御部Cntは、電圧Vの入力がないと判断し、かつ、リレーRe1に出力する制御信号がないと判断すると、記憶部Stgに記憶されている更新後の情報を参照し、「電圧V:入力なし」及び「リレーRe1:出力なし」に対応する「定置式発電機G4向け燃料電池モジュール」を燃料電池モジュールFCMの仕様として選択する。
【0097】
第2実施例の燃料電池モジュールFCMによれば、第1実施例の燃料電池モジュールFCMと同様に、判別信号S1、S2により判別した仕様と記憶部Stgに記憶されている仕様とが互いに一致せず、燃料電池スタックFCSの発電制御を停止する際に、実際の仕様と異なる仕様が記憶部Stgに記憶されている旨を製造やメンテナンスの作業員などに発報することができるため、その作業員などに正しい仕様の書き込みを促すことができる。そのため、燃料電池モジュールFCMの製造時やメンテナンス時に実際の仕様に対応していない補機が取り付けられたり、実際の仕様に対応していないソフトウェアが書き込まれたりすることを抑制することができるため、燃料電池モジュールFCMの誤動作を抑制することができる。
【0098】
第2実施例の燃料電池モジュールFCMによれば、第1実施例の燃料電池モジュールFCMと同様に、燃料電池モジュールFCMの各仕様における一部の補機で共有化が図られているため、燃料電池モジュールFCMの製造コストや補機が誤って組付けられるリスクを低減することができる。
【0099】
第2実施例の燃料電池モジュールFCMによれば、燃料電池モジュールFCMの仕様を判別するために、入力回路Cin1、Cin2などの新たな部品や回路を備える必要がなく、燃料電池モジュールFCMの製造コストをさらに低減することができる。
【0100】
第2実施例の燃料電池モジュールFCMによれば、燃料電池モジュールFCMの仕様が増加しても、仕様に特有の補機から出力される信号を判別信号として制御部Cntに入力させるとともに、図4(a)に示す情報を更新するだけで、燃料電池モジュールFCMの仕様を判別することができる。
【0101】
なお、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【0102】
<変形例>
上記実施形態では、制御部Cntに入力される電圧の組み合わせや補機と制御部Cntとの間で入出力される信号の有無に基づいて燃料電池モジュールFCMの仕様を判別する構成であるが、補機と制御部Cntとの間で入出力される信号の大きさに基づいて燃料電池モジュールFCMの仕様を判別するように構成してもよい。例えば、制御部Cntは、圧力センサSpにより検出される圧力Pが閾値以上である場合、燃料電池モジュールFCMの仕様として「高圧向け燃料電池モジュール」を判別し、圧力センサSpにより検出される圧力Pが閾値より小さい場合、燃料電池モジュールFCMの仕様として「低圧向け燃料電池モジュール」を判別する。
【符号の説明】
【0103】
FCM 燃料電池モジュール
Lo 負荷
FCS 燃料電池スタック
HT 燃料タンク
INJ インジェクタ
ACP エアコンプレッサ
ARV エア調圧弁
R ラジエタ
F ファン
WP ウォータポンプ
IC インタークーラ
CNV1、CNV2 DCDCコンバータ
B1、B2 蓄電装置
Re1、Re2 リレー
St 温度センサ
Sv 電圧センサ
Si 電流センサ
Sp 圧力センサ
Stg 記憶部
Cnt 制御部
図1
図2
図3
図4