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特開2025-8358電池監視システム、無線通信プログラム、及び無線通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008358
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】電池監視システム、無線通信プログラム、及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/30 20090101AFI20250109BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20250109BHJP
   H04W 4/48 20180101ALI20250109BHJP
   H04W 36/06 20090101ALI20250109BHJP
   H04W 4/70 20180101ALI20250109BHJP
   H04W 4/30 20180101ALI20250109BHJP
【FI】
H04W36/30
H04W4/38
H04W4/48
H04W36/06
H04W4/70
H04W4/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110464
(22)【出願日】2023-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】本多 由宇人
(72)【発明者】
【氏名】松本 翔
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067BB27
5K067DD34
5K067DD42
5K067DD43
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】通信品質に基づいて通信チャネルの使用制限を解除する電池監視システム、無線通信プログラム、及び無線通信方法を提供すること。
【解決手段】電池監視システム100は、電池制御装置40と、電池セル22の電池情報を取得し、その電池情報を無線通信により電池制御装置40に送信する電池監視装置30と、を備える。電池制御装置40は、各通信チャネルについて、通信相手となった電池監視装置30ごとに通信品質を判定し、記憶するように構成されている。また、電池制御装置40は、所定のタイミングで、通信チャネルごとに、通信品質が不良であると判定された電池監視装置30の数を算出し、それらの数に基づいて、各通信チャネルの評価を行い、その評価に従って使用制限された複数の通信チャネルの中からいずれかの通信チャネルの使用制限を解除して、その使用を許可する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池部(20,21,22)を監視する電池監視システム(100)であって、
使用可能な複数の通信チャネルの中から選択された通信チャネルを使用して、制御情報を無線通信により送信する電池制御装置(40)と、
前記制御情報に従って前記電池部の電池情報を取得し、その電池情報を無線通信により返信する複数の電池監視装置(30)と、を備える電池監視システムにおいて、
各々の前記通信チャネルについて、通信相手となった前記電池監視装置ごとに通信品質を判定し、記憶する通信品質判定部(32,42)と、
所定のタイミングで、前記通信チャネルごとに、通信品質が不良であると判定された前記電池監視装置の数、又は通信品質が不良であると判定されていない前記電池監視装置の数を算出し、それらの数に基づいて、各々の前記通信チャネルの評価を行い、その評価に従って使用制限された複数の前記通信チャネルの中からいずれかの通信チャネルの使用制限を解除して、その使用を許可する制限解除部(42)と、を備える電池監視システム。
【請求項2】
前記制限解除部は、前記所定のタイミングで、使用が制限された複数の前記通信チャネルのうち、通信品質が不良であると判定された前記電池監視装置の数が第1閾値未満である前記通信チャネルについては、又は通信品質が不良であると判定されていない前記電池監視装置の数が第2閾値以上である前記通信チャネルについては、使用制限を解除して、その使用を許可する請求項1に記載の電池監視システム。
【請求項3】
前記第1閾値又は前記第2閾値は、通信速度又は車両状態に応じて変更される、請求項2に記載の電池監視システム。
【請求項4】
前記所定のタイミングは、複数の通信チャネルのうち、所定数の通信チャネルの使用が制限されたタイミングである、請求項1に記載の電池監視システム。
【請求項5】
一定期間内に、前記通信チャネルの使用制限が解除されることが規定回数あった場合、通信異常が生じていると判断する通信異常判定部(42)を備える、請求項4に記載の電池監視システム。
【請求項6】
複数の前記電池監視装置のうち、いずれかの前記電池監視装置が通信相手となったとき、通信品質が不良であると前記通信品質判定部により所定回数判定された通信チャネルについては、その使用を制限する制限設定部(42)を備える、請求項1~5のうちいずれか1項に記載の電池監視システム。
【請求項7】
前記制限解除部は、前記電池部と電気負荷との間が通電しているとき、前記所定のタイミングで、使用制限の解除を行うことができる、請求項1~5のうちいずれか1項に記載の電池監視システム。
【請求項8】
前記制限解除部は、前記電池部の充電中、及び前記電池部の待機モード中には、使用制限の解除を行わない、請求項1~5のうちいずれか1項に記載の電池監視システム。
【請求項9】
前記制限解除部は、前記電池監視システムが搭載される車両に異常が生じた場合、使用制限の解除を行う際の解除条件を緩和して、使用が制限された複数の前記通信チャネルの使用制限の解除を行う、請求項1~5のうちいずれか1項に記載の電池監視システム。
【請求項10】
前記制限解除部は、通信品質が不良であると判定された前記電池監視装置の数、又は通信品質が不良であると判定されていない前記電池監視装置の数と、前記電池制御装置と通信相手となる前記電池監視装置との位置関係を考慮して、各々の前記通信チャネルの評価を行う、請求項1に記載の電池監視システム。
【請求項11】
前記通信品質判定部は、通信時における電波強度、パケットエラーレート、及び通信速度のうち少なくともいずれかを考慮して、通信品質を評価する、請求項1~5のうちいずれか1項に記載の電池監視システム。
【請求項12】
電池部(20,21,22)を監視する電池監視システム(100)であって、使用可能な複数の通信チャネルの中から選択された通信チャネルを使用して、制御情報を無線通信により送信する電池制御装置(40)と、前記制御情報に従って前記電池部の電池情報を取得し、その電池情報を無線通信により返信する複数の電池監視装置(30)と、を備える電池監視システムが実施する無線通信プログラムにおいて、
各々の前記通信チャネルについて、通信相手となった前記電池監視装置ごとに通信品質を判定し、記憶する通信品質判定処理と、
所定のタイミングで、前記通信チャネルごとに、通信品質が不良であると判定された前記電池監視装置の数、又は通信品質が不良であると判定されていない前記電池監視装置の数を算出し、それらの数に基づいて、各々の前記通信チャネルの評価を行い、その評価に従って使用制限された複数の前記通信チャネルの中からいずれかの通信チャネルの使用制限を解除して、その使用を許可する制限解除処理と、を備える無線通信プログラム。
【請求項13】
電池部(20,21,22)を監視する電池監視システム(100)であって、使用可能な複数の通信チャネルの中から選択された通信チャネルを使用して、制御情報を無線通信により送信する電池制御装置(40)と、前記制御情報に従って前記電池部の電池情報を取得し、その電池情報を無線通信により返信する複数の電池監視装置(30)と、を備える電池監視システムにより実施される無線通信方法において、
各々の前記通信チャネルについて、通信相手となった前記電池監視装置ごとに通信品質を判定し、記憶する通信品質判定処理と、
所定のタイミングで、前記通信チャネルごとに、通信品質が不良であると判定された前記電池監視装置の数、又は通信品質が不良であると判定されていない前記電池監視装置の数を算出し、それらの数に基づいて、各々の前記通信チャネルの評価を行い、その評価に従って使用制限された複数の前記通信チャネルの中からいずれかの通信チャネルの使用制限を解除して、その使用を許可する制限解除処理と、を備える無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池監視システム、無線通信プログラム、及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信により電池情報を送信または受信する電池監視システムが存在する。このような電池監視システムの中には、子機が電池情報とともに受信状態に関する情報を親機に送信するものがある。そして、親機は、受信した受信状態に関する情報に基づいて各通信チャネルにおける通信品質を把握し、次回以降の送信における通信チャネルの選択に利用している。このような電池監視システムは、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6514694号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような電池監視システムでは、通信品質の悪い通信チャネル(周波数チャネル)を所定の条件を満たすまで、具体的には、一定時間経過するまで、使用禁止とし、一定時間経過した後に、使用禁止とした通信チャネルの通信品質に関する情報を消去し、使用可能としていた。
【0005】
しかしながら、電池監視システムでは、電池パックの内部など限られた空間内において、親機及び子機などの配置が変更されないことが一般的である。このため、外部環境が変化しない限り、時間の経過によって通信チャネルの通信品質が変化することは、あまりない。このため、時間の経過に伴って、使用禁止とした通信チャネルを一律に使用可能とすることは、通信品質の悪い通信チャネルの使用に繋がり、無線通信に悪影響を与える虞があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、通信品質に基づいて通信チャネルの使用制限を解除する電池監視システム、無線通信プログラム、及び無線通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための電池監視システムは、電池部を監視する電池監視システムであって、使用可能な複数の通信チャネルの中から選択された通信チャネルを使用して、制御情報を無線通信により送信する電池制御装置と、前記制御情報に従って前記電池部の電池情報を取得し、その電池情報を無線通信により返信する複数の電池監視装置と、を備える電池監視システムにおいて、各々の前記通信チャネルについて、通信相手となった前記電池監視装置ごとに通信品質を判定し、記憶する通信品質判定部と、所定のタイミングで、前記通信チャネルごとに、通信品質が不良であると判定された前記電池監視装置の数、又は通信品質が不良であると判定されていない前記電池監視装置の数を算出し、それらの数に基づいて、各々の前記通信チャネルの評価を行い、その評価に従って使用制限された複数の前記通信チャネルの中からいずれかの通信チャネルの使用制限を解除して、その使用を許可する制限解除部と、を備えることを要旨とする。
【0008】
上記課題を解決するための無線通信プログラムは、電池部を監視する電池監視システムであって、使用可能な複数の通信チャネルの中から選択された通信チャネルを使用して、制御情報を無線通信により送信する電池制御装置と、前記制御情報に従って前記電池部の電池情報を取得し、その電池情報を無線通信により返信する複数の電池監視装置と、を備える電池監視システムが実施する無線通信プログラムにおいて、各々の前記通信チャネルについて、通信相手となった前記電池監視装置ごとに通信品質を判定し、記憶する通信品質判定処理と、所定のタイミングで、前記通信チャネルごとに、通信品質が不良であると判定された前記電池監視装置の数、又は通信品質が不良であると判定されていない前記電池監視装置の数を算出し、それらの数に基づいて、各々の前記通信チャネルの評価を行い、その評価に従って使用制限された複数の前記通信チャネルの中からいずれかの通信チャネルの使用制限を解除して、その使用を許可する制限解除処理と、を備えることを要旨とする。
【0009】
上記課題を解決するための無線通信方法は、電池部を監視する電池監視システムであって、使用可能な複数の通信チャネルの中から選択された通信チャネルを使用して、制御情報を無線通信により送信する電池制御装置と、前記制御情報に従って前記電池部の電池情報を取得し、その電池情報を無線通信により返信する複数の電池監視装置と、を備える電池監視システムにより実施される無線通信方法において、各々の前記通信チャネルについて、通信相手となった前記電池監視装置ごとに通信品質を判定し、記憶する通信品質判定処理と、所定のタイミングで、前記通信チャネルごとに、通信品質が不良であると判定された前記電池監視装置の数、又は通信品質が不良であると判定されていない前記電池監視装置の数を算出し、それらの数に基づいて、各々の前記通信チャネルの評価を行い、その評価に従って使用制限された複数の前記通信チャネルの中からいずれかの通信チャネルの使用制限を解除して、その使用を許可する制限解除処理と、を備える。
【0010】
これらにより、通信品質が不良となった電池監視装置の数が少ない通信チャネル、若しくは、通信品質が不良と判定されていない電池監視装置の数が多い通信チャネルの使用を優先的に解除することができる。このため、時間などによって一律に解除する場合に比較して、通信品質が不良となる可能性が高い通信チャネルの使用制限が解除してしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】車両の概略構成を示すブロック図。
図2】電池パックの構成を示すブロック図。
図3】電池パックの概略構成を示す斜視図。
図4】データ通信の流れを示すフローチャート。
図5】データ通信の流れを示すフローチャート。
図6】接続確立処理の流れを示すフローチャート。
図7】通信チャネルの周波数帯域を示す図。
図8】接続確立時におけるデータフローを示す図。
図9】チャネルマップの一例を示す図。
図10】使用解除処理のフローチャートを示す図。
図11】第2実施形態の使用解除処理のフローチャートを示す図。
図12】第3実施形態のデータ通信の流れを示すフローチャート。
図13】第3実施形態のチャネルマップの一例を示す図。
図14】第3実施形態の使用解除処理のフローチャートを示す図。
図15】変形例のチャネルマップの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示における電池監視システム、無線通信プログラム、及び無線通信方法の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各実施形態及び各変形例の相互間において、図中の同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は原則として繰り返さない。以下では、車両に適用される場合について説明するが、車両以外の用途、たとえばドローンなどの飛行体、船舶、建設機械、農業機械などにも適用可能である。
【0013】
(第1実施形態)
<車両>
図1は、車両10の構成を概略的に示した図である。車両10は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)などの電動車両である。車両10は、電池パック11(図1では「Battey」と示す)と、電力変換装置としてのパワーコントロールユニット(以下「PCU」と示す)12と、電気負荷としてのモータ13(図1では「MG」と示す)と、車両ECU14(図1では「ECU」と示す)とを備える。なお、PCUは、「Power Control Unit」の略称であり、MGは、「Motor Generator」の略称であり、ECUは、「Electronic Control Unit」の略称である。
【0014】
電池パック11は、車両10の駆動電源として車両10に搭載される。図1では、電池パック11は、例えば、フロントコンパートメントに配置される。なお、電池パック11は、リアコンパートメント、座席下、又は床下などに配置されていてもよい。
【0015】
電池パック11は、後述する組電池20を備えており、充放電可能な直流電圧源である。電池パック11は、車両10の電気負荷に電力を供給する。また、電池パック11は、PCU12を通じて電力を変換して、モータ13へ電力を供給する。また、電池パック11は、PCU12を通じて充電される。
【0016】
PCU12は、車両ECU14からの制御信号に従って、電池パック11とモータ13との間で双方向の電力変換を実行する。PCU12は、たとえば、電池パック11からの直流電圧を交流電圧に変換してモータ13を駆動するインバータや、インバータに供給される直流電圧を電池パック11の出力電圧以上に昇圧するコンバータなどを含んで構成される。
【0017】
モータ13は、交流回転電機であり、たとえば、ロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機である。モータ13は、PCU12により駆動されて回転駆動力を発生し、モータ13が発生した駆動力は、駆動輪に伝達される。一方、車両10の制動時には、モータ13は、発電機として動作し、回生発電を行なう。モータ13が発電した電力は、PCU12を通じて電池パック11に供給され、組電池20に蓄えられる。
【0018】
車両ECU14は、CPU、ROM及びRAM、各種信号を入出力するための入出力ポート等を含んで構成される。CPUは、ROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行する。ROMに格納されているプログラムには、車両ECU14の処理が記されている。車両ECU14の主要な処理の一例として、車両ECU14は、電池パック11から組電池20の電圧、電流、SOC(State Of Charge)、SOH(State Of Health)等の情報を受け、PCU12を制御することにより、モータ13の駆動及び電池パック11の充放電を指示する。
【0019】
<電池パック>
電池パック11について詳しく説明する。図2は、電池パック11の構成を示すブロック図であり、図3は、電池パック11の概略構成を示す斜視図である。電池パック11は、組電池20と、電池監視システム100と、それらの収容する筐体50(破線で示す)とを備えている。電池監視システム100は、無線通信を利用して組電池20を監視及び管理するシステムである。電池監視システム100は、複数の電池監視装置30と、電池制御装置40と、を備え、これらの間で無線通信が行われる。この無線通信では、近距離通信で使用される周波数帯、たとえば2.4GHz帯や5GHz帯が用いられる。
【0020】
<組電池>
組電池20は、複数の電池ブロック21(電池スタック、電池モジュールと称される場合もある)を有する。これらの複数の電池ブロック21が直列及び/又は並列に接続されることにより、組電池20が構成される。各電池ブロック21は、複数の電池セル22を有する。各電池セル22は、リチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池等によって構成される。なお、リチウムイオン二次電池は、リチウムを電荷担体とする二次電池であり、電解質が液体の一般的なリチウムイオン二次電池の他、固体の電解質を用いた所謂全固体電池も含み得る。これらの複数の電池セル22が直列及び/又は並列に接続されることにより、電池ブロック21が構成される。なお、電池ブロック21を設けるか否かは任意であり、複数の電池セル22が直列及び/又は並列に接続されることにより、組電池20が構成されていてもよい。
【0021】
<電池監視装置>
電池監視装置30について説明する。なお、各電池監視装置30の構成は互いに共通である。電池監視装置30は、サテライト・バッテリ・モジュール(SBM:Satellite Battery Module)とも呼ばれ、電池ブロック21毎に、つまり複数の電池セル22ごとに設けられている。図2に示すように、各電池監視装置30は、監視IC31と、子機側無線IC32と、子機側無線アンテナ33などを備えている。子機側無線IC32は、監視IC31と有線で接続されている。そして、子機側無線IC32は、子機側無線アンテナ33に有線で接続されている。
【0022】
監視IC31は、セル監視回路(CSC:Cell Supervising Circuit)とも呼ばれ、図示しない物理量検出センサ等を介して、電池ブロック21を構成する各電池セル22の電池情報を取得(センシング)するものである。物理量検出センサは、例えば、電圧センサ、温度センサ、電流センサなどであり、電池情報は、例えば、各電池セル22の電圧情報、温度情報、電流情報等を含む。なお、電池監視装置30の監視対象は、電池ブロック21であってもよいし、組電池20全体であってもよく、任意に変更してもよい。
【0023】
監視IC31は、電池情報の取得及び送信を要求するデータ(制御情報としての制御データ)を受信すると、電池情報を取得し、電池情報を少なくとも含む監視データ(制御結果)を送信する。なお、監視IC31は、自己を含む電池監視装置30の回路部分の故障診断(自己診断)を実行し、監視データに取得した電池情報とともに診断結果を含ませて、送信する機能を有してもよい。
【0024】
子機側無線IC32は、データを無線で送受信するために、図示しないRF回路や、マイコン、フロントエンド回路などを含んでいる。子機側無線IC32は、データを変調し、RF信号の周波数で発振する送信機能を有している。それとともに、子機側無線IC32は、受信したデータを復調する受信機能を有している。RFは、「radio frequency」の略称である。
【0025】
子機側無線IC32は、監視IC31から受信した電池情報を含む監視データを変調し、子機側無線アンテナ33を介して電池制御装置40に送信する。その際、子機側無線IC32は、電池情報を含む監視データに、通信制御情報などの無線通信に必要なデータなどを付与して送信する。無線通信に必要なデータとは、たとえば識別子(ID)や誤り検出符号などである。また、子機側無線IC32は、電池監視装置30と電池制御装置40との間の通信のデータサイズ、通信形式、スケジュールを決定する機能や、エラーを検知する機能などを有する。
【0026】
また、子機側無線IC32は、電池制御装置40から無線送信されてきたデータを、子機側無線アンテナ33を介して受信し、復調する。子機側無線IC32は、たとえば電池情報の取得および送信要求を含む制御データを受信すると、監視IC31に有線にて送信(転送)する。そして、子機側無線IC32は、前記要求に対する応答として、監視IC31から電池情報を含む監視データを受信すると、当該監視データを変調し、子機側無線アンテナ33を介して電池制御装置40に無線送信する。
【0027】
子機側無線アンテナ33は、電気信号であるRF信号を電波に変換して空間に放射するものであり、また、子機側無線アンテナ33は、空間を伝搬する電波を受信して、電気信号に変換するものである。
【0028】
<電池制御装置>
電池制御装置40は、電池ECUやBMU(Battery Management Unit)とも呼ばれる。電池制御装置40は、各電池監視装置30と無線通信可能に構成されている。
【0029】
詳しく説明すると、図2に示すように、電池制御装置40は、電池制御MCU41と、親機側無線IC42と、親機側無線アンテナ43などを備えている。親機側無線IC42は、電池制御MCU41と有線で接続されている。また、親機側無線IC42は、親機側無線アンテナ43に有線で接続されている。
【0030】
電池制御MCU41は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を含むマイコン(Micro Controller Unit)により構成されている。電池制御MCU41のCPUは、ROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行する。ROMに格納されているプログラムには、電池制御に関する処理などが記されている。
【0031】
主要な処理の一例として、電池制御MCU41は、電池監視装置30に対して電池情報の取得及び送信を要求する制御データを送信する。また、電池制御MCU41は、電池監視装置30から受け取った電池情報を含む監視データに基づいて、組電池20、電池ブロック21、電池セル22の監視に係る各種処理を行う。例えば、電池制御MCU41は、上位ECUである車両ECU14に監視結果(監視データ)を送信する場合がある。その際、電池制御MCU41は、電池情報に基づいてSOCおよび/またはSOHを算出し、算出したSOC、SOHを含む電池情報を車両ECU14に送信してもよい。また、電池制御MCU41は、監視結果などに基づいて、組電池20とPCU12やモータ13との通電及び通電遮断状態を切り替えるリレースイッチを制御する。また、電池制御MCU41は、各電池セル22の電圧を均等化させる均等化信号を送信する場合もある。なお、本実施形態では、車両ECU14が、組電池20の充放電制御を行うために、PCU12に対して指示を行っていたが、電池制御MCU41が実施可能に構成してもよい。以上のように、電池制御MCU41が、組電池20、電池ブロック21、電池セル22の監視及び管理を行っている。
【0032】
親機側無線IC42は、子機側無線IC32と同様に、データを無線で送受信するために、図示しないRF回路や、マイコン、フロントエンド回路などを含んでいる。親機側無線IC42は、子機側無線IC32と同様に、送信機能や受信機能を有している。
【0033】
親機側無線IC42は、親機側無線アンテナ43を介して、受信した電池情報を含む監視データを復調し、電池制御MCU41に送信する。また、親機側無線IC42は、電池制御MCU41から受信した制御データに、通信制御情報などの無線通信に必要なデータなどを付与したデータを変調し、親機側無線アンテナ43を介して、電池監視装置30に送信する。無線通信に必要なデータは、たとえば識別子(ID)や誤り検出符号などを含む。また、親機側無線IC42は、電池監視装置30と電池制御装置40との間の通信のデータサイズ、通信形式、スケジュールなどを決定する機能や、エラーを検知する機能などを有する。
【0034】
親機側無線アンテナ43は、子機側無線アンテナ33と同様の構成及び機能を有する。すなわち、親機側無線アンテナ43は、電気信号であるRF信号を電波に変換して空間に放射するものであり、また、空間を伝搬する電波を受信して、電気信号に変換するものである。
【0035】
<筐体>
筐体50は、金属等の導電体により構成されている。筐体50は、金属製の箱状に形成されており、略直方体形状となっている。なお、樹脂などの非導電部材により一部又は全部が構成されていてもよい。筐体50は、組電池20、電池監視装置30、及び電池制御装置40を収容する。
【0036】
ここで、図3に基づいて、組電池20、電池監視装置30、及び電池制御装置40の配置について簡単に説明しておく。筐体50の底面が車両10の搭載面としている。図3に示すように、略直方体形状の筐体50の内部において、組電池20を構成する複数の電池ブロック21が長手方向(図3におけるX方向)に並べられて配置されている。各電池ブロック21において、電池ブロック21を構成する電池セル22は、筐体50の短手方向(図3におけるY方向)に積層するように並べられて配置されている。
【0037】
そして、各電池ブロック21の上面(図3におけるZ+方向の側の面)に、電池監視装置30やバスバー23が配置され、ネジなどにより固定されている。また、電池制御装置40は、長手方向(X方向)において、一番端に配置されている。その際、電池制御装置40が配置される回路基板などが縦となるように、いずれかの電池ブロック21(本実施形態ではX方向端部の電池ブロック21)の側面に取り付けられている。なお、親機側無線アンテナ43が、電池ブロック21の上面よりも突出するように配置されることが望ましい。
【0038】
図3に示す組電池20、電池監視装置30、及び電池制御装置40の配置は、一例であり、任意に変更してもよい。また、本実施形態では、組電池20と、電池監視システム100は、筐体50の内部に収容されているが、その一部が、筐体50の外部に配置されていてもよい。また、筐体50を備えず、車体フレームなどに組電池20などが直接取り付けられていてもよい。すなわち、車体フレームを筐体50の代わりにしてもよい。
【0039】
<無線通信>
次に、図4図6に基づき、電池監視装置30と電池制御装置40との間の無線通信(無線通信方法)について説明する。図4及び図5は、電池監視装置30と電池制御装置40との間のデータ通信における通信シーケンスの一例を示す図である。この通信シーケンスは、所定周期ごとに繰り返される、若しくは決められた通信スケジュールに従って行われる。電池監視装置30及び電池制御装置40が、それぞれの記憶装置(ROM等)に記憶されている無線通信プログラムを実施することにより、各処理が実施される。
【0040】
図4図6では、ひとつの電池監視装置30と電池制御装置40との間の無線通信について説明する。通信相手となる電池監視装置30は、通信スケジュールなどによって定められている。図4図6では、監視IC31をMIC31、子機側無線IC32をWIC32、電池制御MCU41をMCU41、親機側無線IC42を、WIC42と示している。図6は、図4に示す接続確立処理(ステップS10)の一例を示す図である。
【0041】
図4に示すように、電池監視装置30の子機側無線IC32と、電池制御装置40の親機側無線IC42は、接続を確立するための処理を実行する(ステップS10)。
【0042】
ここでステップS10の接続確立処理について図6に基づいて説明する。図6に示すように、電池制御装置40の親機側無線IC42は、スキャン動作(子機検出動作)を実行し(ステップS11)、子機側無線IC32は、アドバタイズ動作(接続情報伝達動作)を実行する(ステップS12)。スキャン動作の開始は、アドバタイズ動作の開始より早くてもよいし、ほぼ同じタイミングでもよい。アドバタイズ動作の開始より遅くてもよい。
【0043】
アドバタイズ動作とは、子機側無線IC32が、自分の存在を電池制御装置40の親機側無線IC42に伝えるために、ブロードキャスト通信にてアドバタイズメントパケット(ADV_PKT)を送信する動作のことである。アドバタイズメントパケットには、自身(電池監視装置30)と電池制御装置40のID情報などが含まれる。
【0044】
このアドバタイズ動作においては、複数の通信チャネルのうち接続確立用の通信チャネルが利用される。通信チャネルとは、近距離通信で使用される周波数帯、たとえば2.4GHz帯を所定の帯域幅(例えば、2MHz)で分割したものであり、本実施形態では、図7に示すように、0ch~39chの40チャネルに分割されている。そして、接続確立用の通信チャネルは、40チャネルのうち、所定の通信チャネル(例えば、37ch~39ch)となっている。一方、複数の通信チャネルのうち接続確立用の通信チャネル以外のチャネル(例えば、0ch~36ch)は、後述するデータ送信用の通信チャネルとなっている。
【0045】
なお、アドバタイズ動作においては、図8に示すように、所定間隔ごとに、複数(本実施形態では3つ)の接続確立用の通信チャネルを使用して、アドバタイズメントパケットを送信する。これにより、いずれかの接続確立用の通信チャネルにおいて通信不良があっても、他の接続確立用の通信チャネルにおいて通信することが可能となる。このため、3つの接続確立用の通信チャネルは、互いに干渉が生じないように、できるだけ周波数帯域を離して設定されている(図7参照)。また、接続確立用の通信チャネルは、他の機器などで利用される周波数帯域に重複しないように、設定されることが望ましい。
【0046】
接続確立処理の説明に戻る。図6に示すように、電池制御装置40の親機側無線IC42は、スキャン動作によって、アドバタイズメントパケット、つまり子機側無線IC32を検出すると、検出した子機側無線IC32に対して、接続要求(CONNECT_REQ)を送信する(ステップS13)。
【0047】
そして、子機側無線IC32が接続要求を受信すると、ひとつの電池監視装置30と電池制御装置40との間において無線通信経路の接続が確立する(ステップS14)。接続が確立すると、電池監視装置30の子機側無線IC32は、アドバタイズメントパケットの送信を停止する。子機側無線IC32は、接続確立するまで、周期的にアドバタイズメントパケットを送信する。
【0048】
なお、この接続確立処理は、例えば、起動時に実行される。起動時とは、例えば動作電源の供給時である。電池ブロック21から常時電源が供給される構成では、車両10の製造工程や修理工場での部品交換後において起動となる。起動時は、イグニッションスイッチがオンされたとき出力されるIG信号などの起動信号の入力時でもよい。例えば、ユーザの操作によってイグニッションスイッチがオフからオンに切り替わると、起動となる。また、イグニッションスイッチがオフされている時、電池監視装置30及び電池制御装置40は、スリープ状態(待機モード)となるが、間欠的に起動する。この間欠起動時においても、接続確立処理を実行してもよい。
【0049】
そして、起動時には、電池制御装置40と、該電池制御装置40との無線通信の接続対象であるすべての電池監視装置30との間で、接続確立処理がそれぞれ実行される。
【0050】
また、電池監視装置30および電池制御装置40は、接続状態が切断されると、再び接続確立処理(ステップS10)を実行する。つまり、再接続を実行する。電池制御装置40は、接続確立している残りの電池監視装置30とのデータ通信を継続した状態で、切断した電池監視装置30との再接続(接続確立)を実行する。たとえば通信環境の悪化などにより、切断が生じる。
【0051】
また、無線通信の接続が確立すると、以降、接続が切断されない限り、接続確立処理をスキップして、以降の処理を行う。つまり、ステップS10において無線通信の接続が確立すると、電池制御装置40は、電池監視装置30との間でデータ通信(ステップS20~S34の処理)を周期的に行う。
【0052】
詳しく説明すると、図4に示すように、電池制御装置40の電池制御MCU41は、通信相手となる電池監視装置30を選択する(ステップS20)。通信相手となる電池監視装置30は、接続確立した電池監視装置30の中から選択される。本実施形態において、通信相手は、予めスケジュールされた順番で選択されるが、選択方法は、任意に変更してもよい。また、通信相手の選択は、電池制御MCU41が実施しているが、親機側無線IC42が実施してもよい。
【0053】
次に、電池制御装置40の電池制御MCU41は、通信相手となる電池監視装置30に対して、電池情報を含む監視データの取得要求および送信要求を含む制御データ(制御情報)を送信する(ステップS21)。
【0054】
親機側無線IC42は、制御データを受信すると、制御データに、通信制御情報などの無線通信に必要なデータなどを付与して送信データを生成する(ステップS22)。このステップS22において、親機側無線IC42は、通信相手となる電池監視装置30を指定して、通信制御情報などの無線通信に必要なデータなどを付与する。
【0055】
それとともに、親機側無線IC42は、データ送信用の通信チャネル(例えば、0ch~36ch)のうちいずれかの通信チャネルを選択する(ステップS23)。その際、図9に示すように、各通信チャネルのステータス(状態)として、使用可又は使用不可(選択不可、以下同じ)が設定されているチャネルマップを参照して、親機側無線IC42は、使用可のデータ送信用の通信チャネルの中から通信チャネルを選択する。なお、各通信チャネルの使用可及び使用不可の設定方法については後述する。
【0056】
そして、親機側無線IC42は、親機側無線アンテナ43を介して、子機側無線IC32に前記送信データを無線送信する(ステップS24)。その際、親機側無線IC42は、選択したデータ送信用の通信チャネルを使用して、子機側無線IC32に無線送信する。
【0057】
送信先(通信相手)として選択された電池監視装置30の子機側無線IC32は、子機側無線アンテナ33を介して、送信データを受信すると、当該送信データの送信に使用された通信チャネルの通信品質が良好であったか否かを判定する(ステップS25)。つまり、子機側無線IC32は、送信データが正常に受信できたか否かを判定する。
【0058】
このステップS25において、子機側無線IC32は、例えば、受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)が所定の強度閾値以下である場合、通信品質が不良である(正常に受信できなかった)と判定すればよい。また、子機側無線IC32は、例えば、CRC(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査)によって、通信品質を判定してもよい。また、子機側無線IC32は、例えば、パケットエラーレートが所定のエラー率以下であるか否かに基づいて、通信品質を判定してもよい。また、子機側無線IC32は、親機側無線IC42が送信してから子機側無線IC32が受信するまでの通信時間に基づいて、通信品質を判定してもよい。また、送信データをパケット単位に分割して送信する場合、子機側無線IC32は、1つのパケットが届いてから次のパケットが届くまでの間隔のバラツキに基づいて、通信品質を判定してもよい。また、SNR(Signal to Noise Ratio)に基づいて、通信品質を判定してもよい。また、そのほかの周知の方法を採用してもよいし、これらのうちいずれかを複数組み合わせて、それらの判定結果に基づいて、通信品質を判定してもよい。
【0059】
通信品質が良好の場合には、ステップS25の判定結果を肯定し、通信品質が不良の場合には、ステップS25の判定結果を否定する。ステップS25の判定結果が肯定の場合、すなわち、正常に受信できた場合、子機側無線IC32は、受信した送信データに含まれる制御データを、監視IC31に対して送信する(ステップS26)。
【0060】
監視IC31は、制御データを受信すると、制御データに従って、電池情報の取得(センシング)を実行する(ステップS27)。また、監視IC31は、回路の故障診断を実行する場合もある。
【0061】
次いで、監視IC31は、制御データに従って、電池情報を含む監視データを子機側無線IC32に送信する(ステップS28)。このとき、電池情報とともに診断結果を含む監視データを送信してもよい。
【0062】
子機側無線IC32は、監視IC31から監視データを受信すると、監視データを含む送信データ、つまり応答データを生成し、子機側無線アンテナ33を介して、親機側無線IC42に無線送信(応答)する(ステップS29)。このとき、応答データには、ステップS22における親機側無線IC42の処理と同様に、通信制御情報などの無線通信に必要なデータなどが付与される。また、応答データには、通信品質データ(ステップS25の判定結果)も付与される。また、子機側無線IC32は、親機側無線IC42により送信された送信データを受信したときに使用されていた通信チャネルと同じ通信チャネルを選択して、親機側無線IC42に無線送信する。すなわち、子機側無線IC32は、ステップS23で選択されたデータ送信用の通信チャネルを使用して送信する。したがって、データ送信用の通信チャネルは、電池情報を授受するための電池情報授受用の通信チャネルに相当する。
【0063】
一方、ステップS25の判定結果が否定の場合(通信品質が不良の場合)、子機側無線IC32は、監視データ(電池情報)を監視IC31に取得させることなく、つまり、ステップS26~S28の処理が実行されることなく、ステップS29に移行し、監視データを除いた、通信品質データなどを含む応答データを生成し、親機側無線IC42に無線送信(応答)する。
【0064】
なお、ステップS25の判定結果が否定の場合(通信品質が不良の場合)であっても、送信データに含まれる制御データを読み取ることができるのであれば、ステップS26~S29の処理が実行されるようにしてもよい。
【0065】
図5に示すように、親機側無線IC42は、ステップS24における送信データの送信後、通信相手である子機側無線IC32から応答データが返信されてきたか否かを判定する(ステップS30)。具体的には、親機側無線IC42は、ステップS24における送信データの送信後、所定時間が経過するまでに、応答データを受信したか否かを判定する。
【0066】
この判定結果が否定の場合、すなわち、応答データを正常に受信できず、通信品質が不良であると判断できる場合、親機側無線IC42は、その旨を反映するように、チャネルマップを更新する(ステップS31)。
【0067】
ここで、ステップS30のチャネルマップの更新について説明する。チャネルマップは、親機側無線IC42に記憶されており、図9に示すように、データ送信用の各通信チャネル(ch0~ch36)について、電池監視装置30(本実施形態では電池監視装置30a~30h)ごとに通信相手になったときにおける通信品質が記憶されるように構成されている。
【0068】
そして、親機側無線IC42は、ステップS31において、ステップS20で選択された通信相手に対してデータを送信したときに、ステップS23で選択されたデータ送信用の通信チャネルの通信品質が、不良であったと記憶する。例えば、ステップS20で選択された通信相手が電池監視装置30aであって、ステップS23で選択されたデータ送信用の通信チャネルが通信チャネルch1であるとき、親機側無線IC42は、ステップS31において、チャネルマップの通信チャネルch1、かつ、電池監視装置30aに対応する欄に「不良」を記憶する。なお、本実施形態では、通信品質データが不良であった場合、図9において「×」で図示する。一方、図9において、通信品質データが不良であると判定されていない場合、空欄で示す。
【0069】
そして、本実施形態では、親機側無線IC42は、通信品質が不良であると記憶した場合、次回以降、その通信チャネルのステータスは使用不可(使用制限)として、チャネルマップに更新する。例えば、通信チャネルch1、かつ、電池監視装置30aに対応する欄に「不良」を記憶した場合、通信チャネルch1のステータスとして使用不可を設定する。これにより、次回以降のステップS23では、通信チャネルch1は選択されないこととなる。そして、親機側無線IC42は、当該周期におけるデータ通信を終了する。
【0070】
ステップS30の判定結果が肯定の場合、すなわち、応答データが返信されてきた場合、親機側無線IC42は、返信された応答データが正常に受信できたか否かを判定する(ステップS32)。ステップS32では、ステップS25と同様の処理行うことにより、使用した通信チャネルの通信品質を判定する。それとともに、応答データに含まれる通信品質の判定結果(ステップS25の判定結果)に基づいて、通信品質を判定する。これらのうちいずれかにより通信品質が不良であると判定された場合、ステップS32を否定判定する一方、いずれも通信品質が不良でないと判定された場合、ステップS32を肯定判定する。
【0071】
そして、ステップS32の判定結果が否定の場合(通信品質が不良である場合)、ステップS31の処理に移行する。つまり、親機側無線IC42からの子機側無線IC32への送信時、又は子機側無線IC32からの親機側無線IC42への返信時のいずれかにおける通信品質が不良であった場合、ステップS31の処理に移行する。
【0072】
一方、ステップS32の判定結果が肯定の場合、すなわち、正常に受信できた場合(通信品質が良好である場合)、親機側無線IC42は、受信した応答データに含まれる監視データを、電池制御MCU41に対して送信する(ステップS33)。電池制御MCU41は、監視データに基づいて、所定の処理を実行する(ステップS34)。そして、親機側無線IC42は、当該周期におけるデータ通信を終了する。
【0073】
以上のように、電池制御装置40は、接続確立した電池監視装置30との間で、上記したデータ通信を定期的に行う。なお、本実施形態において、親機側無線IC42及び子機側無線IC32は、各々の前記通信チャネルについて、通信相手となった前記電池監視装置ごとに通信品質を判定し、記憶する通信品質判定部として機能する。また、ステップS25,S30~S32の処理が、通信品質判定処理に相当する。
【0074】
ところで、通信品質が不良であると判定された場合、それ以降、通信に使用した通信チャネルを使用不可としていた(使用制限していた)が、これを繰り返すと、使用可能な通信チャネルが少なくなりすぎてしまう。そこで、一定条件を満たした場合、使用制限を解除することとしている。以下、使用制限解除処理について図10に基づいて、詳しく説明する。
【0075】
使用制限解除処理は、電池監視システム100の起動時において周期的に親機側無線IC42により実施される。例えば、イグニッションスイッチがオンされているときなどに実施される。
【0076】
使用制限解除処理を実施すると、まず、親機側無線IC42は、チャネルマップを参照して、ステータスが使用不可(使用制限、以下同じ)とされている通信チャネルの数(使用制限数)が、所定数以上であるか否かを判定する(ステップS101)。所定数は任意の数であるが、例えば、データ送信用の通信チャネルのうち半数以上の値(例えば、20)としてもよい。なお、所定数は、データ送信用の通信チャネルのうち全て(例えば、37)でもよく、3分の2以上(例えば、25以上)であってもよい。この判定結果が否定の場合、処理を終了する。
【0077】
一方、ステップS101の判定結果が肯定の場合、親機側無線IC42は、使用不可とされた複数の通信チャネルについて、通信チャネルごとに、通信品質が「不良」であると判定された電池監視装置30の数(以下、単に「通信不良合計数」と示す)を算出する(ステップS102)。例えば、図9のチャネルマップにおいて、通信チャネルch1が使用されたとき、通信品質が「不良」であった電池監視装置30の数は1であるため、通信不良合計数として「1」が算出される。同通信チャネルch12も同様である。また、通信チャネルch23が使用されたとき、通信品質が「不良」であった電池監視装置30の数は2であるため、通信不良合計数として「2」が算出される。また、通信チャネルch34が使用されたとき、通信品質が「不良」であった電池監視装置30の数は3であるため、通信不良合計数として「3」が算出される。
【0078】
次に、親機側無線IC42は、使用制限されている各通信チャネルについて、通信不良合計数に基づいて、評価を行い、その評価に従って通信チャネルの使用制限を解除する(ステップS103)。ステップS103では、親機側無線IC42は、使用制限されている各通信チャネルについて、通信不良合計数が少ないほど、高く評価する一方、通信不良合計数が多いほど、低く評価し、評価が高い通信チャネルを優先して、使用制限の解除を行うようにしている。
【0079】
具体的には、親機側無線IC42は、通信不良合計数が第1閾値未満である通信チャネルについての使用不可を変更し、使用可とする。つまり、使用が制限された複数の通信チャネルのうち、通信品質が不良であると判定された電池監視装置30の数が第1閾値未満である通信チャネルについての使用制限を解除する。本実施形態では、第1閾値を「2」としている。したがって、不良数が「2」未満である通信チャネルを使用可とする。
【0080】
例えば、図9のチャネルマップでは、通信不良合計数が「1」である通信チャネルch1,ch12は、使用制限が解除され、使用可とされる。一方、図9のチャネルマップにおいて、通信不良合計数が「2」又は「3」である通信チャネルch23,ch34は、使用制限が解除されず、使用不可のままとされる。
【0081】
以上により、本実施形態において、親機側無線IC42は、通信チャネルの使用制限を解除して、その使用を許可する制限解除部として機能する。また、使用制限解除処理が、制限解除処理に相当する。
【0082】
上記実施形態によれば、以下の効果を得られる。
【0083】
親機側無線IC42は、使用制限されている各通信チャネルについて、通信品質が不良であると判定された前記電池監視装置の数(通信不良合計数)を算出し、通信不良合計数に基づいて、評価を行い、その評価に従って通信チャネルの使用制限を解除する。より詳しくは、親機側無線IC42は、使用制限されている各通信チャネルについて、通信不良合計数が少ないほど、高く評価する一方、通信不良合計数が多いほど、低く評価し、評価が高い通信チャネルを優先して、使用制限の解除を行うようにしている。
【0084】
具体的には、親機側無線IC42は、通信不良合計数が第1閾値未満である通信チャネルについての使用不可を変更し、使用可とする。つまり、使用が制限された複数の通信チャネルのうち、通信品質が不良であると判定された電池監視装置30の数が第1閾値未満である通信チャネルについての使用制限を解除する。
【0085】
これにより、通信品質が不良となった電池監視装置30の数が少ない通信チャネルを優先的に解除することができる。したがって、時間経過などによって一律に解除する場合に比較して、通信品質が不良となる可能性が高い通信チャネルの使用制限が解除してしまうことを抑制することができる。
【0086】
また、使用制限が解除されるタイミング(所定のタイミング)は、ステップS101が肯定されたタイミング、すなわち、複数の通信チャネルのうち、所定数の通信チャネルの使用が制限されたタイミングである。これにより、通信制限されている通信チャネルが多くなりすぎてしまうこと、すなわち、選択可能な通信チャネルが少なくなりすぎてしまうことを防止できる。
【0087】
また、親機側無線IC42は、いずれかの電池監視装置30をデータ通信の通信相手として通信したときに、通信品質が不良であると判定された場合、そのときに使用した通信チャネルの使用を制限する。つまり、電池監視装置30ごとに、各通信チャネルの使用可、使用不可が設定されるわけではない。このため、管理が簡単となる。すなわち、電池監視装置30ごとに通信チャネルを切り替える必要がなく、制御負担を軽くすることができる。
【0088】
親機側無線IC42及び子機側無線IC32は、通信時における電波強度、パケットエラーレート、及び通信速度のうち少なくともいずれかを考慮して、通信品質を評価する。このため、通信品質を適切に評価することができる。
【0089】
(第2実施形態)
上記第1実施形態の電池監視システム100の構成の一部を変更した第2実施形態について説明する。
【0090】
第2実施形態の使用制限解除処理では、一定期間内に、通信チャネルの使用が制限されることが規定回数あった場合、通信異常が生じていると判断している。以下、第2実施形態の使用制限解除処理について図11を参照して説明する。
【0091】
使用制限解除処理を実施すると、まず、親機側無線IC42は、第1実施形態と同様に、ステップS101~S103の処理を実施する。
【0092】
次に、親機側無線IC42は、制限解除カウンタに1加算して更新する(ステップS201)。そして、親機側無線IC42は、制限解除カウンタの値が、異常判定回数以上であるか否かを判定する(ステップS202)。異常判定回数は、任意の回数であるが、例えば、「5」である。
【0093】
この判定結果が肯定の場合、親機側無線IC42は、電池監視システム100における無線通信に何らかの異常が生じていると判定し、車両ECU14などの上記ECUに異常が発生した旨を通知する(ステップS203)。そして、使用制限解除処理を終了する。
【0094】
一方、ステップS101の判定結果が否定の場合、又はステップS202の判定結果が否定の場合、親機側無線IC42は、制限解除カウンタの値が0(初期値)から1となってから開始されるタイマの値が、所定時間以上となったか否かを判定する(ステップS204)。この判定結果が肯定の場合、制限解除カウンタを初期化する(ステップS205)一方、否定の場合には、制限解除カウンタの値を維持する(ステップS206)。そして、使用制限解除処理を終了する。
すなわち、制限解除カウンタは、最初に1加算されてから、所定時間経過後に初期化される(初期値としての「0」が設定される)ようになっている。この所定時間は、任意の期間であるが、例えば、「30分」である。このため、最初に使用制限が解除されてから、所定時間内に(例えば、30分間に)、使用制限解除処理のステップS103(使用制限の解除)が異常判定回数以上、実施されれば、異常であると判定し、ステップS103の実施回数が異常判定回数未満であれば、異常であると判定されることはない。以上により、第2実施形態では、親機側無線IC42が、異常判定部として機能する。
【0095】
第2実施形態によれば、一定期間内に、使用制限の解除を頻繁に繰り返す場合、すなわち、頻繁に使用制限される通信チャネルの数が多くなってしまう場合、通信に何らかの異常が生じていると判断して、知らせることができる。つまり、使用制限の解除を繰り返しても、頻繁に使用制限数が所定数以上となる場合、通信異常であると判断し、知らせることができる。
【0096】
(第3実施形態)
上記第1実施形態の電池監視システム100の構成の一部を変更した第3実施形態について説明する。
【0097】
無線通信は、通常、通信距離が短ければ短いほど、通信がしやすく、通信品質が良好となる傾向がある。逆に言えば、通信距離が長ければ長いほど、通信がしにくくなるともいえる。したがって、通信距離が短いにもかかわらず、通信品質が不良となる通信チャネルは、評価が低いといえる。このため、そのような通信チャネルの使用制限は、解除されないことが望ましい。
【0098】
そこで、第3実施形態の親機側無線IC42は、通信品質が不良であると判定された電池監視装置30の数と、電池制御装置40と通信相手となる電池監視装置30との位置関係を考慮して、各通信チャネルの評価している。以下、図12及び図13に基づいて、説明する。
【0099】
まず、第3実施形態におけるデータ通信について説明する。図12は、第3実施形態における通信シーケンスの一例である。図12では、第1実施形態と同様にして、ステップS10、S20~S30の処理を実施する。
【0100】
図12に示すように、ステップS30の判定結果が否定の場合(応答データを正常に受信できなかった場合)、又はステップS32の判定結果が否定の場合(通信品質が不良であった場合)、親機側無線IC42は、チャネルマップを更新する(ステップS301)。
【0101】
第3実施形態におけるチャネルマップの更新方法(ステップS301の処理)について詳しく説明する。第3実施形態におけるチャネルマップは、親機側無線IC42に記憶されており、図13に示すように、データ送信用の各通信チャネル(ch0~ch36)について、電池監視装置30(本実施形態では電池監視装置30a~30h)ごとに通信相手になったときにおける通信品質などに基づき、不評点数(マイナス評価点)が記憶されるように構成されている。
【0102】
この不評点数は、通信品質が不良であるか否か、及び、電池制御装置40と通信相手となる電池監視装置30との位置関係に基づいて定められる。具体的には、全ての電池監視装置30a~30hのうち、電池制御装置40との距離が比較的短い電池監視装置30a~30dが通信相手となったときに、通信品質が不良である場合、不評点数として「2」が設定される。一方、電池制御装置40との比較的距離が長い電池監視装置30e~30hが通信相手となったときに、通信品質が不良である場合、不評点数として「1」が設定される。すなわち、通信距離が短いほど、通信品質が不良になりにくいはずにもかかわらず、通信品質が不良になった場合、評価が低くなる(つまり、不評点数が大きくなる)。
【0103】
例えば、ステップS20で選択された通信相手が電池監視装置30aであるときに、ステップS23で選択されたデータ送信用の通信チャネルch1の通信品質が不良であった場合、図13に示すように、親機側無線IC42は、通信チャネルch1、かつ、電池監視装置30aに対応する欄に不評点数として「2」を記憶する。
【0104】
そして、本実施形態では、親機側無線IC42は、通信品質が不良であると記憶した場合、つまり、不評点数「1」又は「2」を記憶した場合、次回以降、その通信チャネルのステータスは使用不可(使用制限)として、チャネルマップに更新する。すなわち、次回以降のデータ通信において、通信チャネルch1は、選択されないこととなる。
【0105】
一方、ステップS20で選択された通信相手が電池監視装置30gであるときに、ステップS23で選択されたデータ送信用の通信チャネルch12の通信品質が不良であった場合、図13に示すように、親機側無線IC42は、通信チャネルch12、かつ、電池監視装置30gに対応する欄に不評点数として「1」を記憶する。この場合も、次回以降のデータ通信において、通信チャネルch12は、選択されないこととなる。
【0106】
チャネルマップの更新が終わると、親機側無線IC42は、当該周期におけるデータ通信を終了する。
【0107】
なお、ステップS32の判定結果が肯定の場合、すなわち、正常に受信できた場合(通信品質が良好である場合)、親機側無線IC42は、第1実施形態と同様にして、以降ステップS33~S34の処理を実施し、当該周期におけるデータ通信を終了する。
【0108】
次に、第3実施形態における使用制限解除処理について図14に基づいて説明する。
【0109】
図14に示す使用制限解除処理を実施すると、まず、親機側無線IC42は、第1実施形態におけるステップS101と同様にして、チャネルマップを参照して、ステータスが使用不可とされている通信チャネルの数(使用制限数)が、所定数以上であるか否かを判定する(ステップS311)。この判定結果が否定の場合、処理を終了する。
【0110】
一方、ステップS311の判定結果が肯定の場合、親機側無線IC42は、使用不可とされた複数の通信チャネルについて、通信チャネルごとに、不評点数を合計し、合計点数を算出する(ステップS312)。例えば、図13のチャネルマップにおいて、通信チャネルch1に対応する不評点数の合計は「2」であるため、合計点数として「2」が算出される。一方、通信チャネルch12に対応する不評点数の合計は「1」であるため、合計点数として「1」が算出される。また、通信チャネルch23では、電池監視装置30bにおいて不評点数「2」が記憶され、電池監視装置30gにおいて不評点数「1」が記憶されているため、合計点数として「3」が算出される。また、通信チャネルch34では、電池監視装置30gにおいて不評点数「1」が記憶され、電池監視装置30hにおいて不評点数「1」が記憶されているため、合計点数として「2」が算出される。
【0111】
次に、親機側無線IC42は、合計点数が第3閾値未満である通信チャネルについての使用不可を変更し、使用可とする(ステップS313)。合計点数が高いもの、すなわち、不評点数の合計が大きいものについては、使用制限を維持する一方、合計点数が低いもの(不評点数の合計が小さいもの)については、使用制限を解除することとなる。本実施形態では、第3閾値を「2」としている。したがって、合計点数が「2」未満である通信チャネルを使用可とする。
【0112】
例えば、図13のチャネルマップにおいて、合計点数が「1」である通信チャネルch12は、使用制限が解除され、使用可とされる。一方、図13のチャネルマップにおいて、合計点数が「2」である通信チャネルch1は、使用制限が解除されず、使用不可のままとされる。すなわち、通信品質が不良となった子機数(通信不良合計数)が同じ数(1台)であったとしても、通信距離が近いものは、使用制限が解除されない一方で、遠いものは使用制限が解除されることとなる。
【0113】
また、図13のチャネルマップにおいて、合計点数が「2」又は「3」である通信チャネルch23,ch34は、使用制限が解除されず、使用不可のままとされる。すなわち、通信品質が不良となった子機数(通信不良合計数)が複数台の場合、使用制限が解除されることはない。
【0114】
上記第3実施形態によれば、以下の効果を得られる。
【0115】
親機側無線IC42は、通信品質が不良であると評価された電池監視装置30の数と、電池制御装置40と通信相手となる電池監視装置30との位置関係とを考慮して、各通信チャネルの評価し、その評価に基づいて、使用制限された複数の通信チャネルの中からいずれかの通信チャネルの使用制限を解除する。
【0116】
具体的には、親機側無線IC42は、通信品質が不良であると判定された場合、通信距離に応じた不評点数を記憶する。その際、親機側無線IC42は、使用した通信チャネルと、通信相手である電池監視装置30とを区別して、不評点数を記憶する。そして、親機側無線IC42は、所定のタイミングで、通信チャネルごとに不評点数の合計点数を算出し、合計点数が第3閾値未満の通信チャネルについて使用制限を解除する。
【0117】
これにより、電池監視装置30と電池制御装置40との位置関係、具体的には、通信距離を考慮して、使用制限を解除する通信チャネルを決定することができる。より詳しくは、親機側無線IC42は、通信品質が不良と判定された電池監視装置30の台数が1台のとき、通信距離が長い場合には、通信品質が悪くなりやすいことを考慮して、使用制限を解除する一方、通信距離が短い場合には、使用制限を解除しないようにすることができる。
【0118】
(変形例)
上記実施形態の電池監視システム100の構成の一部を変更してもよい。以下に変形例について説明する。
【0119】
・上記実施形態において、ステップS32の判定結果が肯定の場合、すなわち、応答データを正常に受信できた場合、親機側無線IC42は、その旨を反映するようにチャネルマップを更新してもよい。詳しくは、親機側無線IC42は、ステップS20で選択された通信相手に対してデータを送信したときに、ステップS23で選択されたデータ送信用の通信チャネルの通信品質が、不良でなかったことを記憶する(上書きする)。
【0120】
例えば、ステップS20で選択された通信相手が電池監視装置30aであって、ステップS23で選択された通信チャネルが通信チャネルch1であるとき、親機側無線IC42は、チャネルマップの通信チャネルch1、かつ、電池監視装置30aに対応する欄に不良でなかったことを記憶する。すなわち、チャネルマップの通信チャネルch1、かつ、電池監視装置30aに対応する欄に不良であったことを示す「×」や不評点数「1」又は「2」が記憶されていたら、消去して、空欄(不良でないことを示す値)となるように上書きする。
【0121】
・上記第1実施形態のステップS102において、親機側無線IC42は、通信品質が「不良」と判定されていない電池監視装置30の台数をカウントしてもよい。そして、ステップS103において、親機側無線IC42は、通信品質が「不良」と判定されていない電池監視装置30の台数が第2閾値以上である通信チャネルについての使用不可を変更し、使用可としてもよい。第2閾値は、任意の値であるが、電池監視装置30の台数から1又は2を引いた値であってもよい。
【0122】
・上記実施形態において、第1閾値~第3閾値は、通信速度又は車両状態に応じて変更してもよい。例えば、親機側無線IC42は、車両状態としての車両速度が所定速度以上である場合、第1閾値又は第3閾値を増加させる(又は第2閾値を減少させる)ようにしてもよい。これにより、車両10が高速に移動することにより、車両10から電池パック11に伝わる振動が多くなり、通信品質(通信環境)の悪化が予測される場合、その事情を考慮して使用制限を解除することができる。なお、車両速度は、車速センサから直接的に、若しくは、電池制御MCU41を介して間接的に取得すればよい。
【0123】
また、親機側無線IC42は、通信速度を所定値以上の速さとした場合、第1閾値又は第3閾値を増加させる(又は第2閾値を減少させる)ようにしてもよい。つまり、通信速度を早くすることによって、通信品質が不良とされる可能性が高くなるため、その事情を考慮して使用制限を解除することができる。
【0124】
また、親機側無線IC42は、外部ノイズが多い環境下で車両10が走行している場合、例えば、電波塔の近くを車両10が走行している場合、第1閾値又は第3閾値を増加させる(又は第2閾値を減少させる)ように変更してよい。これにより、外部ノイズが多い環境下を走行することにより、通信品質(通信環境)の悪化が予測される場合、その事情を考慮して使用制限を解除することができる。なお、外部ノイズが多い環境下を走行しているか否かは、電池制御MCU41を介して間接的に取得してもよいし、外部ノイズを直接的に計測してもよい。
【0125】
以上のように、通信速度又は車両状態によって、通信品質に変化が生じることがあることを考慮し、通信速度又は車両状態によって、第1閾値~第3閾値を変えてもよい。これにより、使用解除する通信チャネルを適切に設定することができる。
【0126】
・上記実施形態において、いずれかの電池監視装置30とのデータ通信において、複数回、通信品質が不良であった場合に、当該通信チャネルの使用を制限してもよい。
また、いずれかの通信チャネルにおいて、異なる2台以上の電池監視装置30とのデータ通信において、通信品質が不良であった場合に、当該通信チャネルの使用を制限してもよい。
【0127】
・上記実施形態において、データ通信用(電池情報授受用)の通信チャネルだけ、使用制限を可能にしたが、接続確立用(非電池情報用)の通信チャネルも、同様にして使用制限及び使用制限の解除を行ってもよい。また、接続確立用の通信チャネルも、電池情報の授受のための通信チャネルとして使用してもよい。
【0128】
・上記実施形態において、組電池20の使用中(給電中)、通信エラー率が多くなっても、電池情報の取得頻度を多くして電池状態の遷移を監視することが望ましい。そこで、制限解除部としての親機側無線IC42は、電池パック11(の組電池20)と電気負荷との間が通電しているとき、所定のタイミングで、使用制限の解除を行ってもよい。電気負荷とは、例えば、モータ13やエアコンなど、電池パック11から電力が供給される電気負荷である。通電しているときとは、例えば、電池パック11と電気負荷との間において、通電及び通電遮断を切り替えるリレースイッチ(システムメインリレー)がオンされているときのことである。このとき、親機側無線IC42は、所定周期ごとに使用制限解除処理を実施してもよい。これにより、組電池20の使用中(給電中)、電池情報の取得頻度を多くして電池状態の遷移を適切に監視することができる。
【0129】
・上記実施形態において、組電池20を使用していない場合、通信エラー率を多くしてまで電池情報の取得頻度を多くする必要はない。このため、制限解除部としての親機側無線IC42は、電池パック11(の組電池20)の充電中、使用制限解除処理を実施しなくてもよい。電池パック11の充電中とは、モータ13の回生発電による充電に限らず、外部充電装置からの充電も含まれる。
【0130】
また、親機側無線IC42は、電池パック11の待機モード中、使用制限解除処理を実施しなくてもよい。電池パック11の待機モード中とは、例えば、イグニッションスイッチがオフされて電源監視システムがスリープ状態中となっている最中のことである。待機モードは、車両停止(一時停止も含む)場合に実施される場合がある。これにより、通信エラー率を抑えて、消費電力を抑制することができる。
【0131】
・上記第1実施形態のステップS32において、通信品質が「良好」であった場合、その旨を示す値をチャネルマップに記憶してもよい。そして、使用制限解除処理において、通信品質が「良好」であった電池監視装置30の数が、所定の閾値以上の場合、優先的に使用制限を解除してもよい。
【0132】
・上記第3実施形態のステップS32において、通信品質が「良好」であった場合、電池制御装置40と通信相手となる電池監視装置30との位置関係を考慮した評価点(プラス評価点)をチャネルマップに記憶してもよい。
【0133】
この評価点は、通信品質が良好であるか否か、及び、電池制御装置40と通信相手となる電池監視装置30との位置関係に基づいて定められる。具体的には、全ての電池監視装置30a~30hのうち、電池制御装置40との距離が比較的短い電池監視装置30a~30dが通信相手となったときに、通信品質が良好である場合、評価点として「1」が設定される。一方、電池制御装置40との比較的距離が長い電池監視装置30e~30hが通信相手となったときに、通信品質が良好である場合、評価点として「2」が設定される。すなわち、通信距離が長いほど、通信品質が良好になりにくいはずにもかかわらず、通信品質が良好になった場合、評価が高くなる(つまり、評価点が大きくなる)。
【0134】
そして、使用制限解除処理では、評価点の合計点数が、所定の閾値以上の場合、優先的に使用制限を解除してもよい。これにより、通信距離が長いにもかかわらず、通信距離が良好となる通信チャネルの使用制限を優先的に解除することができる。
【0135】
なお、評価点の決め方は、任意に変更してもよく、評価点の段階を、通信距離に応じて細かく設定してもよい。例えば、通信距離が短いものから順番に、「1」~「8」の評価点を設定してもよい。すなわち、電池監視装置30aが通信相手となったときに、通信品質が良好である場合、評価点として「1」が設定され、電池監視装置30bが通信相手となったときに、通信品質が良好である場合、評価点として「2」が設定され、・・・電池監視装置30hが通信相手となったときに、通信品質が良好である場合、評価点として「8」が設定されてもよい。
【0136】
・上記第3実施形態において、電池監視装置30a~30dが通信相手となったときに、通信品質が不良である場合、不評点数として「2」が設定され、電池監視装置30e~30hが通信相手となったときに、通信品質が不良である場合、不評点数として「1」が設定された。この別例として、不評点数の段階を、通信距離に応じて細かく設定してもよい。例えば、通信距離が短いものから順番に、「8」~「1」の不評点数を設定してもよい。すなわち、電池監視装置30aが通信相手となったときに、通信品質が不良である場合、不評点数として「8」が設定され、電池監視装置30bが通信相手となったときに、通信品質が不良である場合、不評点数として「7」が設定され、・・・電池監視装置30hが通信相手となったときに、通信品質が不良である場合、不評点数として「1」が設定されてもよい。
【0137】
・上記実施形態では、不評点数又は評価点は、加算方式であったが、減算方式にしてもよい。例えば、図15に示すように、チャネルマップの各通信チャネルにおいて、電池監視装置30ごとに評価点(プラス評価)が予め設定されている。具体的には、通信距離が短い電池監視装置30a,30bには、評価点として「1」が設定されており、通信距離が2番目に長い電池監視装置30gには、評価点として「2」が設定されており、通信距離が最も長い電池監視装置30hには、評価点として「3」が設定されている。なお、図15では、説明の都合上、電池監視装置30c~30fは、省略している。
【0138】
そして、親機側無線IC42は、通信品質が不良と判定された場合、持ち点である評価点を消去して、ゼロにする。
【0139】
具体的には、通信相手が電池監視装置30aであって、選択されたデータ送信用の通信チャネルが通信チャネルch1であるときに、通信品質が不良と判定された場合、親機側無線IC42は、チャネルマップの通信チャネルch1、かつ、電池監視装置30aに対応する欄の評価点「1」を消去して、ゼロとする。同様に、通信相手が電池監視装置30gであって、選択されたデータ送信用の通信チャネルが通信チャネルch2であるときに、通信品質が不良と判定された場合、親機側無線IC42は、チャネルマップの通信チャネルch1、かつ、電池監視装置30aに対応する欄の評価点「2」を消去して、ゼロとする。なお、ゼロとした場合(通信品質が不良であると判定された場合)、当該通信チャネルを使用不可とする。
【0140】
そして、使用制限解除処理では、使用制限された通信チャネルごとに評価点を合計し、合計点数が閾値以上である場合、使用制限を解除するようにすればよい。例えば、評価点数の合計点数が閾値「6」以上である場合、使用制限を解除してもよい。図13のチャネルマップでは、通信チャネルch1の使用制限が解除されることとなる。
【0141】
・上記実施形態において車両10の異常時において、使用制限の解除条件を緩和してもよい。車両10の異常とは、電池温度の異常など、退避走行をして、路肩に車両10を停止させる必要があるような異常のことである。解除条件の緩和とは、例えば、第1閾値や第3閾値を大きく(例えば、「3」に)したり、第2閾値を小さくしたりすることである。また、ステップS101における所定数を小さくしてもよい。これによれば、使用制限が解除される通信チャネルを多くすることができる。すなわち、異常が生じた場合、通信エラー率が多くなり、消費電力が大きくなっても、電池情報の取得頻度を多くして電池状態の遷移を監視することが望ましい。そこで、解除条件を緩和して、使用できる通信チャネルを多くしている。なお、使用制限がされている通信チャネルを一律に解除してもよい。
【0142】
・上記実施形態において、通信チャネルは、電池制御MCU41が選択してもよい。この場合、電池制御MCU41の側にチャネルマップが記憶され、電池制御MCU41が、親機側無線IC42の代わりに、使用制限に係る情報などを管理することとなる。
・上記第3実施形態及びその変形例において、不評点数(又は評価点)は、通信距離に基づいて設定されていた。ここで通信距離とは、電池制御装置40の親機側無線アンテナ43と、通信相手となる電池監視装置30の子機側無線アンテナ33との直線距離に限らない。親機側無線アンテナ43と子機側無線アンテナ33との間に障害物などがある場合、通信距離は、反射波を考慮した電波が進む無線通信経路における最短距離である。
・上記実施形態において、接続確立処理(ステップS10)は、電池パック11が車外の外部充電装置から給電されている時に実行されてもよい。その際、電池制御装置40の代わりに外部充電装置と、電池監視装置30とが接続確立処理を実行し、外部充電装置と、電池監視装置30とがデータ通信を行ってもよい。すなわち、外部充電装置が、電池制御装置40の代わりに、電池セル22の電池情報を取得し、監視してもよい。
【0143】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0144】
以下、上述した各実施形態から抽出される特徴的な構成を記載する。
【0145】
[構成1]
電池部(20,21,22)を監視する電池監視システム(100)であって、
使用可能な複数の通信チャネルの中から選択された通信チャネルを使用して、制御情報を無線通信により送信する電池制御装置(40)と、
前記制御情報に従って前記電池部の電池情報を取得し、その電池情報を無線通信により返信する複数の電池監視装置(30)と、を備える電池監視システムにおいて、
各々の前記通信チャネルについて、通信相手となった前記電池監視装置ごとに通信品質を判定し、記憶する通信品質判定部(32,42)と、
所定のタイミングで、前記通信チャネルごとに、通信品質が不良であると判定された前記電池監視装置の数、又は通信品質が不良であると判定されていない前記電池監視装置の数を算出し、それらの数に基づいて、各々の前記通信チャネルの評価を行い、その評価に従って使用制限された複数の前記通信チャネルの中からいずれかの通信チャネルの使用制限を解除して、その使用を許可する制限解除部(42)と、を備える電池監視システム。
【0146】
[構成2]
前記制限解除部は、前記所定のタイミングで、使用が制限された複数の前記通信チャネルのうち、通信品質が不良であると判定された前記電池監視装置の数が第1閾値未満である前記通信チャネルについては、又は通信品質が不良であると判定されていない前記電池監視装置の数が第2閾値以上である前記通信チャネルについては、使用制限を解除して、その使用を許可する構成1に記載の電池監視システム。
【0147】
[構成3]
前記第1閾値又は前記第2閾値は、通信速度又は車両状態に応じて変更される、構成2に記載の電池監視システム。
【0148】
[構成4]
前記所定のタイミングは、複数の通信チャネルのうち、所定数の通信チャネルの使用が制限されたタイミングである、構成1~3のうちいずれかに記載の電池監視システム。
【0149】
[構成5]
一定期間内に、前記通信チャネルの使用制限が解除されることが規定回数あった場合、通信異常が生じていると判断する通信異常判定部(42)を備える、構成1~4のうちいずれかに記載の電池監視システム。
【0150】
[構成6]
複数の前記電池監視装置のうち、いずれかの前記電池監視装置が通信相手となったとき、通信品質が不良であると前記通信品質判定部により所定回数判定された通信チャネルについては、その使用を制限する制限設定部(42)を備える、構成1~5のうちいずれかに記載の電池監視システム。
【0151】
[構成7]
前記制限解除部は、前記電池部と電気負荷との間が通電しているとき、前記所定のタイミングで、使用制限の解除を行うことができる、構成1~6のうちいずれかに記載の電池監視システム。
【0152】
[構成8]
前記制限解除部は、前記電池部の充電中、及び前記電池部の待機モード中には、使用制限の解除を行わない、構成1~7のうちいずれかに記載の電池監視システム。
【0153】
[構成9]
前記制限解除部は、前記電池監視システムが搭載される車両に異常が生じた場合、使用制限の解除を行う際の解除条件を緩和して、使用が制限された複数の前記通信チャネルの使用制限の解除を行う、構成1~8のうちいずれかに記載の電池監視システム。
【0154】
[構成10]
前記制限解除部は、通信品質が不良であると判定された前記電池監視装置の数、又は通信品質が不良であると判定されていない前記電池監視装置の数と、前記電池制御装置と通信相手となる前記電池監視装置との位置関係を考慮して、各々の前記通信チャネルの評価を行う、構成1に記載の電池監視システム。
【0155】
[構成11]
前記通信品質判定部は、通信時における電波強度、パケットエラーレート、及び通信速度のうち少なくともいずれかを考慮して、通信品質を評価する、構成1~10のうちいずれか1項に記載の電池監視システム。
【0156】
[構成12]
電池部(20,21,22)を監視する電池監視システム(100)であって、使用可能な複数の通信チャネルの中から選択された通信チャネルを使用して、制御情報を無線通信により送信する電池制御装置(40)と、前記制御情報に従って前記電池部の電池情報を取得し、その電池情報を無線通信により返信する複数の電池監視装置(30)と、を備える電池監視システムが実施する無線通信プログラムにおいて、
各々の前記通信チャネルについて、通信相手となった前記電池監視装置ごとに通信品質を判定し、記憶する通信品質判定処理と、
所定のタイミングで、前記通信チャネルごとに、通信品質が不良であると判定された前記電池監視装置の数、又は通信品質が不良であると判定されていない前記電池監視装置の数を算出し、それらの数に基づいて、各々の前記通信チャネルの評価を行い、その評価に従って使用制限された複数の前記通信チャネルの中からいずれかの通信チャネルの使用制限を解除して、その使用を許可する制限解除処理と、を備える無線通信プログラム。
【0157】
[構成13]
電池部(20,21,22)を監視する電池監視システム(100)であって、使用可能な複数の通信チャネルの中から選択された通信チャネルを使用して、制御情報を無線通信により送信する電池制御装置(40)と、前記制御情報に従って前記電池部の電池情報を取得し、その電池情報を無線通信により返信する複数の電池監視装置(30)と、を備える電池監視システムにより実施される無線通信方法において、
各々の前記通信チャネルについて、通信相手となった前記電池監視装置ごとに通信品質を判定し、記憶する通信品質判定処理と、
所定のタイミングで、前記通信チャネルごとに、通信品質が不良であると判定された前記電池監視装置の数、又は通信品質が不良であると判定されていない前記電池監視装置の数を算出し、それらの数に基づいて、各々の前記通信チャネルの評価を行い、その評価に従って使用制限された複数の前記通信チャネルの中からいずれかの通信チャネルの使用制限を解除して、その使用を許可する制限解除処理と、を備える無線通信方法。
【符号の説明】
【0158】
20…組電池、21…電池ブロック、22…電池セル、30…電池監視装置、31…監視IC、32…子機側無線IC、40…電池制御装置、42…親機側無線IC、100…電池監視システム、41…電池制御MCU。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15