(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025083640
(43)【公開日】2025-06-02
(54)【発明の名称】手の計測システム
(51)【国際特許分類】
A41D 19/04 20060101AFI20250526BHJP
A41H 1/02 20060101ALI20250526BHJP
A61B 5/107 20060101ALI20250526BHJP
G01B 11/03 20060101ALI20250526BHJP
【FI】
A41D19/04 Z
A41H1/02 Z
A61B5/107 120
G01B11/03 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023197124
(22)【出願日】2023-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】506343771
【氏名又は名称】株式会社ドリーム・ジーピー
(71)【出願人】
【識別番号】594014258
【氏名又は名称】ヨークス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114502
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 俊則
(72)【発明者】
【氏名】荒山 元秀
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勤
【テーマコード(参考)】
2F065
4C038
【Fターム(参考)】
2F065AA21
2F065BB05
2F065CC16
2F065FF04
2F065FF26
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065QQ24
2F065QQ28
4C038VA04
4C038VB12
4C038VC05
(57)【要約】
【課題】場所や時間を制約されずに、手の所定部位の計測値を得ることができる手の計測システムを提供する。
【解決手段】手の計測システムは、(a)寸法が既知である所定形状の基準面2の上に置いた被計測者の手4を、基準面2とともに撮影した第1画像14を、端末12から受信する入力部22と、(b)第1画像14に含まれる基準面2の形状が、基準面2の所定形状に変換されるように、第1画像14を第2画像16に変換する画像変換部24と、(c)基準面2の既知である寸法に基づいて、第2画像16に含まれる手5の所定部位の寸法を計測する計測部26と、(d)計測部26が計測した計測値を端末12に送信する出力部28と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寸法が既知である所定形状の基準面の上に置いた被計測者の手を、前記基準面とともに撮影した第1画像を、端末から受信する入力部と、
前記第1画像に含まれる前記基準面の形状が、前記基準面の前記所定形状に変換されるように、前記第1画像を第2画像に変換する画像変換部と、
前記基準面の既知である前記寸法に基づいて、前記第2画像に含まれる前記手の所定部位の寸法を計測する計測部と、
前記計測部が計測した計測値を前記端末に送信する出力部と、
を備える、手の計測システム。
【請求項2】
前記被計測者に関する情報と対応つけて、前記第1画像と、前記第2画像と、前記計測値とを格納する記憶部、をさらに備える、請求項1に記載の手の計測システム。
【請求項3】
前記計測部は、前記第2画像に含まれる前記手の甲幅の寸法を算出し、前記甲幅の寸法と手囲の寸法との相関関係に基づいて、前記手囲の寸法を算出する、請求項1に記載の手の計測システム。
【請求項4】
前記第1画像は、前記基準面に前記手の掌が接する状態で撮影した画像である、請求項1に記載の手の計測システム。
【請求項5】
前記第1画像は、
前記基準面とともに前記被験者の前記手の甲側を撮影した第1の撮影画像と、
前記基準面とともに前記被験者の前記手の掌側を撮影した第2の撮影画像と、
を含む、請求項1に記載の手の計測システム。
【請求項6】
前記第1画像は、前記基準面に前記手の甲を載せた状態で前記手の掌を撮影した画像である、請求項1に記載の手の計測システム。
【請求項7】
前記記憶部から読み出された前記第2画像上の2点が指定されると、前記2点間の寸法を算出する補助計測部を、さらに備えた、請求項1に記載の手の計測システム。
【請求項8】
前記第1画像は、前記基準面の上に、指の間を広げた状態で置いた前記被計測者の前記手を、前記基準面とともに撮影した画像である、請求項1に記載の手の計測システム。
【請求項9】
前記計測部は、前記第2画像上での前記手の輪郭線と、前記第2画像上での前記手の関節の中心位置とに基づいて、前記手の前記所定部位の前記寸法を算出する、請求項1ないし8のいずれか一つに記載の手の計測システム。
【請求項10】
前記計測部は、前記手の指それぞれについて、MP関節の中心点と、IP関節又はDIP関節の中心点とを結ぶ方向の寸法を算出する、請求項9に記載の手の計測システム。
【請求項11】
第1指のMP関節の中心点と、第2指のMP関節の中心点とを結ぶ線分を第1の所定比率で分割する点を第1点とし、第5指のMP関節の中心点と、橈骨手根関節の中心点とを結ぶ線分を第2の所定比率で分割する点を第2点とし、
前記第1点と前記第2点とを通る直線と、前記輪郭線との交点を、第3点及び第4点とすると、
前記計測部は、前記手の甲幅として、前記第3点と前記第4点とを結ぶ線分の長さを算出する、請求項9に記載の手の計測システム。
【請求項12】
第1指のMP関節の中心点と、第5指のMP関節の中心点とを結ぶ線分と平行、かつ、手首の橈骨手根関節の中心点を通る直線が、前記輪郭線と交差する点を第1点及び第2点とすると、
前記計測部は、手首幅として、前記第1点と前記第2点とを結ぶ線分の長さを算出する、請求項9に記載の手の計測システム。
【請求項13】
第1指のMP関節の中心点とIP関節の中心点とを結ぶ線分に垂直、かつ、前記第1指の前記IP関節の前記中心点を通る直線と、前記第1指の第2指側の前記輪郭線との交点を第1点とし、
前記第1点を通り、前記第1指の前記MP関節の前記中心点と前記IP関節の前記中心点とを結ぶ前記線分に平行である直線と、前記第1指の前記MP関節の中心点と第2指のMP関節の中心点とを結ぶ線分との交点を第2点とし、
第2指のMP関節の中心点と第3指のMP関節の中心点とを結ぶ線分の中点を通り、前記第2指の前記MP関節の前記中心点とPIP関節の中心点とを結ぶ線分に対する角度と、第3指のMP関節の中心点とPIP関節の中心点とを結ぶ線分に対する角度とが等しい直線が、前記輪郭線と交わる点を第3点とすると、
前記計測部は、指下りとして、前記第2点と前記第3点とを結ぶ線分の長さを算出する、請求項9に記載の手の計測システム。
【請求項14】
前記計測部は、第1指のMP関節の中心点とIP関節の中心点とを通る第1直線と、第2指のMP関節の中心点とPIP関節の中心点を通る第2直線とがなす角度を算出し、
前記出力部は、前記角度に関するデータを前記端末に送信する、請求項9に記載の手の計測システム。
【請求項15】
請求項1ないし8のいずれか一つに記載された手の計測システムにおいて、前記第1画像を撮影するために用いる板状又はシート状の部材であって、
前記計測者の前記手を置く前記基準面を有する、基準面部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手の計測システムに関し、詳しくは、端末を用いる手の計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手の3次元形状を計測する3次元計測装置が提案されている。例えば、
図17の概略図に示された3次元計測装置は、筺体80に形成された挿入孔81に手を挿入し、筺体80の内部に配置された透明板82の上に、掌が接触するように手を置く。この状態で、透明板82の上下に配置された2台のCCDカメラ101,102を用いて、手の甲側と掌側を撮像する。上側のCCDカメラ101は、所定間隔のスリット光106が照射された手の甲側の3次元画像を撮像する。下側のCCDカメラ102は、掌側の手相を含む2次元画像を撮像する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
3次元計測装置を用いて計測した手の計測値を、既製品の手袋やオーダー手袋、オーダーグローブ等の電子商取引(EC:Electronic Commerce)に利用することが考えられる。
【0005】
しかしながら、手の計測値を得るためには、3次元計測装置が設置されている場所に出向く必要があり、時間や場所が制約されため、電子商取引での利用が進んでいない。
【0006】
かかる実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、場所や時間を制約されずに、手の所定部位の計測値を得ることができる手の計測システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した手の計測システムを提供する。
【0008】
手の計測システムは、
(a)寸法が既知である所定形状の基準面の上に置いた被計測者の手を、前記基準面とともに撮影した第1画像を、端末から受信する入力部と、
(b)前記第1画像に含まれる前記基準面の形状が、前記基準面の前記所定形状に変換されるように、前記第1画像を第2画像に変換する画像変換部と、
(c)前記基準面の既知である前記寸法に基づいて、前記第2画像に含まれる前記手の所定部位の寸法を計測する計測部と、
(d)前記計測部が計測した計測値を前記端末に送信する出力部と、
を備える。
【0009】
上記構成によれば、基準面とともに手を撮影した第1画像を端末から手の計測システムに送信することによって、手の所定部位を計測できる。インターネット等の通信網を介して端末から手の計測システムにいつでも接続できるように構成すると、場所や時間を制約されずに、手の所定部位の計測値を得られる。得られた計測値は、電子商取引その他のサービスに利用できる。
【0010】
好ましくは、手の計測システムは、
(e)前記被計測者に関する情報と対応つけて、前記第1画像と、前記第2画像と、前記計測値とを格納する記憶部、
をさらに備える。
【0011】
この場合、必要に応じて記憶部からデータを読み出して、サービスに利用することができる。
【0012】
好ましくは、前記計測部は、前記第2画像に含まれる前記手の甲幅の寸法を算出し、前記甲幅の寸法と手囲の寸法との相関関係に基づいて、前記手囲の寸法を算出する。
【0013】
この場合、3次元形状を計測する必要がある手囲を、手を撮影した2次元データから算出できる。
【0014】
好ましい一態様において、前記第1画像は、前記基準面に前記手の掌が接する状態で撮影した画像である。
【0015】
この場合、基準面に置いた手は動きにくいため、一方の手でスマートフォンを撮影して、他方の手を撮影することが容易である。
【0016】
好ましい他の態様において、前記第1画像は、前記基準面に前記手の甲を載せた状態で前記手の掌を撮影した画像である。
【0017】
この場合、付け爪等の影響を排除して、指長さを正確に計測できる。また、健康関連や手相占い等のサービスを提供できる。
【0018】
好ましい別の態様において、前記第1画像は、前記基準面とともに前記被験者の前記手の甲側を撮影した第1の撮影画像と、前記基準面とともに前記被験者の前記手の掌側を撮影した第2の撮影画像と、を含む。
【0019】
この場合、手の甲側の第1の撮影画像から得られる情報と、手の掌側の第2の撮影画像から得られる情報とを組み合わせることによって、より高度なサービスや、新たなサービスを提供できる。
【0020】
好ましくは、手の計測システムは、
(f)前記記憶部から読み出された前記第2画像上の2点が指定されると、前記2点間の寸法を算出する補助計測部を、
さらに備える。
【0021】
この場合、所定部位の計測値の確認や補正、追加部位の計測等が容易である。
【0022】
好ましくは、前記第1画像は、前記基準面の上に、指の間を広げた状態で置いた前記被計測者の前記手を、前記基準面とともに撮影した画像である。
【0023】
この場合、隣り合う指の間の水かき部分を利用して所定部位の寸法を計測できる。
【0024】
好ましくは、前記計測部は、前記第2画像上での前記手の輪郭線と、前記第2画像上での前記手の関節の中心位置とに基づいて、前記手の前記所定部位の前記寸法を算出する。
【0025】
この場合、手の輪郭線と関節の中心位置とを組み合わせることにより、手の輪郭線のみで計測した場合に比べ、計測値のばらつきを抑制できる。また、指の間を閉じた状態の第1画像を用いて、指長さを計測できる。
【0026】
好ましくは、前記計測部は、前記手の指それぞれについて、MP関節の中心点と、IP関節又はDIP関節の中心点とを結ぶ方向の寸法を算出する。
【0027】
この場合、撮影時における指の開き具合等に起因する指長さの計測値のばらつきを、抑制できる。
【0028】
好ましくは、第1指のMP関節の中心点と、第2指のMP関節の中心点とを結ぶ線分を第1の所定比率で分割する点を第1点とし、第5指のMP関節の中心点と、橈骨手根関節の中心点とを結ぶ線分を第2の所定比率で分割する点を第2点とし、前記第1点と前記第2点とを通る直線と、前記輪郭線との交点を、第3点及び第4点とすると、前記計測部は、前記手の甲幅として、前記第3点と前記第4点とを結ぶ線分の長さを算出する。
【0029】
巻き尺を用いて手計測する場合に比べ、計測値のばらつきが抑制される。
【0030】
好ましくは、第1指のMP関節の中心点と、第5指のMP関節の中心点とを結ぶ線分と平行、かつ、手首の橈骨手根関節の中心点を通る直線が、前記輪郭線と交差する点を第1点及び第2点とすると、前記計測部は、手首幅として、前記第1点と前記第2点とを結ぶ線分の長さを算出する。
【0031】
この場合、撮影時に基準面に置いた手の向きがばらついても、手首幅を正確に計測できる。
【0032】
好ましくは、第1指のMP関節の中心点とIP関節の中心点とを結ぶ線分に垂直、かつ、前記第1指の前記IP関節の前記中心点を通る直線と、前記第1指の第2指側の前記輪郭線との交点を第1点とし、前記第1点を通り、前記第1指の前記MP関節の前記中心点と前記IP関節の前記中心点とを結ぶ前記線分に平行である直線と、前記第1指の前記MP関節の中心点と第2指のMP関節の中心点とを結ぶ線分との交点を第2点とし、第2指のMP関節の中心点と第3指のMP関節の中心点とを結ぶ線分の中点を通り、前記第2指の前記MP関節の前記中心点とPIP関節の中心点とを結ぶ線分に対する角度と、第3指のMP関節の中心点とPIP関節の中心点とを結ぶ線分に対する角度とが等しい直線が、前記輪郭線と交わる点を第3点とすると、前記計測部は、指下りとして、前記第2点と前記第3点とを結ぶ線分の長さを算出する。
【0033】
手袋本体に親指部分を縫い合わせたオーダー手袋を作製する際に、指下りの計測値を用いて、親指部分を手袋本体に縫い合わせる位置を決めることができる。
【0034】
好ましくは、前記計測部は、第1指のMP関節の中心点とIP関節の中心点とを通る第1直線と、第2指のMP関節の中心点とPIP関節の中心点を通る第2直線とがなす角度を算出する。前記出力部は、前記角度に関するデータを前記端末に送信する。
【0035】
この場合、計測した角度が、指下りを正確に計測できる所定範囲から外れたときに、再計測を促すようにすることができる。
【0036】
また、本発明は、基準面部材を提供する。
【0037】
基準面部材は、上述した手の計測システムにおいて、前記第1画像を撮影するために用いる板状又はシート状の部材であって、前記計測者の前記手を置く前記基準面を有する。
【0038】
基準面部材を用いると、正確に手の寸法を計測でき、手の計測システムの利用促進を図ることができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、場所や時間を制約されずに、手の計測値を簡単に得られる手の計測システムを提供できる。得られた計測値は、電子商取引その他のサービスに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は手の計測システムの全体構成を示すブロック図である。(実施例1)
【
図2】
図2(a)は第1画像のイメージ図であり、
図2(b)は第2画像のイメージ図である。(実施例1)
【
図3】
図3は画像変換の説明図である。(実施例1)
【
図4】
図4は手の関節モデルの説明図である。(実施例1)
【
図5】
図5は計測部位の説明図である。(実施例1)
【
図8】
図8は端末での画面表示のイメージ図である。(実施例1)
【
図9】
図9は端末での画面表示のイメージ図である。(実施例1)
【
図10】
図10は手の計測システムの全体処理画フロー図である。(実施例1)
【
図11】
図11は手の計測システムの全体処理画フロー図である。(実施例1)
【
図12】
図12は手の計測システムの全体処理画フロー図である。(実施例1)
【
図13】
図13は計測板の説明図である。(実施例1の変形例1)
【
図14】
図14は甲幅と手囲の計測結果のグラフである。(実施例1の変形例2)
【
図15】
図15は手の所定部位の計測値の説明図である。(実施例1の変形例3)
【
図16】
図16は端末での画面表示のイメージ図である。(実施例1の変形例4)
【
図17】
図17は手の3次元計測装置の概略図である。(従来例1)
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0042】
<実施例1> 実施例1の手の計測システムについて、
図1~
図12を参照しながら説明する。
【0043】
図1は、手の計測システム10の全体構成を示すブロック図である。
図2(a)は、第1画像14のイメージ図である。
図2(b)は、第2画像16のイメージ図である。
図3は、画像変換の説明図である。
図4は、手の関節モデル18の説明図である。
図5は、手の計測部位R1~R8の説明図である。
【0044】
図1に示すように、手の計測システム10は、1台又は複数台の端末12が、インターネット等の通信網を介して、計測サーバ20と、サービス提供サーバ40とに接続されるように構成されている。
【0045】
端末12は、スマートフォン、カメラ付きタブレット等であり、手を撮影した第1画像14(
図2(a)参照)のデータを送信するために用いる。端末12として、カメラが接続されたパソコン等を用いることも可能である。
【0046】
計測サーバ20は、
図2に示すように、手を撮影した第1画像14を第2画像16に変換し、第2画像16に、
図4に示す関節モデル18を適用して、
図5に示す手の所定部位R1~R8の寸法等を計測する。サービス提供サーバ40は、計測サーバ20で計測した計測値を用いて種々のサービスを提供する。計測サーバ20とサービス提供サーバ40は、1台又は複数台のサーバ上に構成してもよいし、クラウドサーバ上に構成してもよい。
【0047】
図1に示すように、計測サーバ20は、入力部22と、画像変換部24と、計測部26と、出力部28と、記憶部30とを備え、例えばウエブアプリを用いて構成する。計測サーバ20の機能の一部を、端末12にインストールされたアプリで代替してもよい。
【0048】
入力部22は、手を撮影した第1画像14のデータを含む種々のデータ12aを、端末12から受信する。
図2(a)に示すように、第1画像14は、寸法が既知である所定形状の基準面2(例えば、A4サイズの白紙)の上に、指の間を広げた状態で置いた被計測者の手4を、基準面2とともに撮影した画像である。指の間を広げて撮影すると、隣り合う指の間の水かき部分を利用して所定部位の寸法を計測できる。
【0049】
画像変換部24は、入力部22から第1画像のデータ14aを受け取って、第2画像16のデータ16aに変換する。
図2(b)に示すように、第2画像16は、第1画像14に含まれる基準面2の形状が、基準面2の所定形状(例えば、長方形)に変換されるように、第1画像14を変換した画像である。
【0050】
詳しくは、画像変換部24は、第1画像のデータ14aを受け取ると、ノイズ除去、平滑化等の前処理を行う。例えば、カラーバランスを調整して光源の影響を取り除いたり、影を除去したりする。
【0051】
次いで、エッジ抽出によって基準面2の輪郭線を抽出し、輪郭線の方向の急激な変化に基づいて、
図2(a)に示した基準面2の四隅の角の点2a~2dを抽出する。
【0052】
次いで、画像変換部24は、
図2(b)に示したように、基準面2の形状(例えば、歪んでいる四角形)が、寸法が既知である所定形状(例えば、長方形)に変換されるように、第1画像14を第2画像16に変換する。
【0053】
例えば、第2画像16に含まれる基準面3の四隅の角の点3a~3dを結ぶ長辺及び短辺が直角に交わり、かつ、長辺と短辺の比率が、基準面2の既知の長辺及び短辺の寸法の比率と一致するように、第1画像14全体を台形補正する。
【0054】
演算処理の時間が長くなるが、第2画像16に含まれる基準面3の各辺が直線になるように、湾曲ひずみを補正してもよい。
【0055】
なお、第2画像16は、第1画像14の全体を変換した画像ではなく、例えば、第1画像14のうち、手4とそのまわりの一部領域を変換した画像でもよいし、手4の画像のみを変換した画像でもよい。
【0056】
計測部26は、画像変換部24から第2画像16のデータ16aを受け取り、第2画像16に含まれる手5の所定部位の寸法を、基準面2の既知である寸法に基づいて、すなわち、第2の画像16に実際に又は仮想的に含まれる基準面3と所定部位との寸法比率に基づいて、以下のように計測する。
【0057】
計測部26は、
図3(a)に示すように、例えば基準面3と手5との明暗差に基づいて、手5の輪郭線6を抽出する。
【0058】
また、
図3(b)に示すように、計測部26は、第2画像16に、AI画像処理技術(例えば、Google 社が提供する MediaPipe )を用いて、関節モデル18を適用し、第2画像16上での手5の関節K0~K3,K5~K7,K9~K11,K13~K15,K17~K19の中心位置、すなわち、中心点の座標値を算出する。
【0059】
図4に示した関節K0は、橈骨手根関節である。関節K2,K5,K9,K13、K17は、中手指節骨間関節(metacarpophalangeal joint、MP関節)である。関節K3は、指節間関節(interphalangeal joint、IP関節)である。関節K6,K10,K14,K18は、近位指節間関節(proximal interphalangeal joint、PIP関節)である。関節K7,K11,K15,K19は、遠位指節間関節(distal interphalangeal joint、DPI関節)である。
【0060】
次いで、手5の輪郭線6と、手5の関節K0~K3,K5~K7,K9~K11,K13~K15,K17~K19の中心点とに基づいて、第2画像16上での手5の所定部位R1~R8(
図5参照)の寸法を計測する。
【0061】
(R1~R5) それぞれの指(i=1,2,・・,5)について、指長さRiは、MP関節K2,K5,K9,K13,K17の中心点と、IP関節K3又はDIP関節K7,K11,K16,K19の中心点とを結ぶ指基準線の方向の寸法を算出する。
【0062】
例えば、次の式(1)で算出する。
Ri=Li-Di (1)
ここで、Liは、それぞれの指(i=1,2,・・,5)について、MP関節K2,K5,K9,K13,K17の中心点と、IP関節K3又はDIP関節K7,K11,K15,K19の中心点とを通る直線である指基準線の方向の指の先端点から指基準線に下した垂線の足と、MP関節K2,K5,K9,K13,K17の中心点とを結ぶ線分の長さである。Diは、補正値であり、例えば、MP関節K2,K5,K9,K13,K17とIP関節K3又はPIP関節K6,K10,K14,K18の中心点とを結ぶ線分の長さに、所定係数を掛けた値である。
【0063】
後述する変形例3のように輪郭線だけで指長さR1~R5を計測することも可能であるが、この場合、撮影時の指の開き具合によって計測値がばらつく。これに対し、関節の中心位置に基づいて指基準線の方向を決めて指長さR1~R5を算出すると、計測値のばらつきを抑制できる。
【0064】
(R6) 甲幅R6は、MP関節K2,K5,K17と橈骨手根関節K0それぞれの中心位置と輪郭線6とに基づいて算出する。
【0065】
すなわち、第2指のMP関節K5の中心点と、第1指のMP関節K2の中心点とを結ぶ第1線分を所定比率(例えば、1:2)で分割する点を第1点P1とする。第5指のMP関節K17の中心点と、手首の橈骨手根関節K0の中心点とを結ぶ第2線分を所定比率(例えば、1:3)で分割する点を第2点P2とする。第1点P1と第2点P2とを通る直線と、輪郭線6との交点を、第3点P3及び第4点P4とする。甲幅R6として、第3点P3と第4点P4とを結ぶ線分の長さを算出する。
【0066】
このように甲幅R6を計測すると、巻き尺を用いて手計測する場合に比べ、計測値のばらつきが抑制される。
【0067】
(R7) 手首幅R7は、MP関節K2,17と橈骨手根関節K0それぞれの中心点の位置と輪郭線6とに基づいて算出する。
【0068】
すなわち、手首の橈骨手根関節K0の中心点を通り、第1指のMP関節K2の中心点と第5指のMP関節K17の中心点とを結ぶ線分と平行である直線が、輪郭線6と交差する点を第1点及び第2点とする。手首幅R7として、第1点と第2点とを結ぶ線分の長さを算出する。
【0069】
このように手首幅R7を計測すると、撮影時に基準面に置いた手の向きがばらついても、手首幅R7を正確に計測できる。
【0070】
(R8) 指下りR8は、MP関節K2,K5,K9とIP関節K3それぞれの中心位置と輪郭線6とに基づいて算出する。
【0071】
すなわち、
図7に示すように、第1指のMP関節K2の中心点とIP関節K3の中心点とを結ぶ線分に垂直、かつ、第1指のIP関節K3の中心点を通る直線と、第1指の第2指側の輪郭線6との交点を第1点90とする。
【0072】
第1点90を通り、第1指のMP関節K2の中心点とIP関節K3の中心点とを結ぶ線分に平行である直線91と、第1指のMP関節K2の中心点と第2指のMP関節K5の中心点とを結ぶ線分との交点を第2点92とする。
【0073】
第2指のMP関節K5の中心点と第3指のMP関節K9の中心点とを結ぶ線分の中点93を通り、第2指のMP関節K5の中心点とPIP関節K6の中心点とを結ぶ線分に対する角度と、第3指のMP関節K9の中心点とPIP関節K10の中心点とを結ぶ線分に対する角度とが等しい直線94が、第2指と第3指との間の輪郭線6と交わる点を第3点95とする。
【0074】
計測部26は、指下りR8として、第2点92と第3点95とを結ぶ線分の長さを算出する。
【0075】
(開き角) 第1指と第2指との間の角度である開き角が所定範囲から外れると、指下りR8の計測値のばらつきが大きくなる。そのため、計測部26は、開き角を計測する。
【0076】
すなわち、第1指のMP関節K2の中心点とIP関節K3の中心点を通る直線と、第2指のMP関節K5の中心点とPIP関節K6の中心点とを通る直線とがなす角度を、開き角として算出する。
【0077】
なお、指下りR8は、手袋本体に親指部分を縫い合わせたオーダー手袋を作製する際に親指部分を手袋本体に縫い合わせる位置を決めるために必要となる寸法であり、既製品の手袋を選択する場合には利用しない寸法である。そのため、計測部26は、先ずは所定部位R1~R7について計測し、後から必要に応じて、記憶部30に格納された第2画像16を用いて、指下りR8や開き角を計測してもよい。
【0078】
出力部28は、計測部26が計測した計測値のデータ17を計測部26から受け取り、計測値のデータ17の少なくとも一部を含む種々のデータ21aを、端末12に送信し、必要に応じて、計測値のデータ17を含む種々のデータ21bをサービス提供サーバ40に送信する。
【0079】
出力部28は、計測部26が計測した第1指と第2指の開き角に関するデータを端末12に送信する。これにより、第1指と第2指の開き角が、指下りを正確に計測できる所定範囲から外れたときに、端末12が再計測を促すようにすることができる。第1指と第2指の開き角が所定範囲(例えば、35°以上、かつ、40°以下)内であるか否かは、計測部26で判定しても、出力部28で判定しても、端末12で判定してもよい。
【0080】
記憶部30は、出力部28から種々のデータ21cを受け取り、被計測者に関する情報と対応つけて、第1画像のデータ14aと、第2画像のデータ16aと、計測値のデータ17とを格納するデータベースである。
【0081】
出力部28は、記憶部30に格納された種々のデータ21dを読み出す。例えば、選択された被計測者に関する情報や、選択された被計測者に対応する第1の画像のデータ、第2の画像のデータ、及び/又は計測値のデータを、記憶部30から読み出す。
【0082】
サービス提供サーバ40は、矢印41a,41bで示すように端末12と通信し、計測サーバ20の出力部28から受け取ったデータ21bを利用して種々のサービスを提供する。
【0083】
なお、画像変換部24が第1画像14のデータ14aから生成した第2画像16のデータ16a及び/又は手5の所定部位R1~R8の計測値のデータ17は、記憶部30に格納されることなく、出力部28によって、端末12及び/又はサービス提供サーバ40に提供され、端末12及び/又はサービス提供サーバ40において、それぞれのデータが格納されるように構成してもよい。
【0084】
次に、手の計測システム10の動作について、
図8~
図12を参照しながら説明する。
図8及び
図9は、端末12の画面表示のイメージ図である。
図10~
図12は、手の計測システム10の全体処理画フロー図である。
【0085】
まず、端末12を用いて、計測サーバ20にアクセスする。
【0086】
図8(a)は、サイトのトップページである。トップページのメニューから計測を選択すると、
図8(b)に示す計測手順の説明ページが表示される。
【0087】
例えば、商品タグ、広告等に表示された2次元コードを端末12のカメラで撮影し、計測サーバ20にアクセスすると、端末12に、
図8(b)に示した計測手順の説明ページが表示される。
【0088】
次いで、端末12の画面表示従って、被計測者に関する情報を入力し、端末12のカメラで手4を撮影する。
図8(c)は、計測ページの画面表示である。
【0089】
手を撮影するとき、
図2(a)に示したように、掌が基準面2に接する状態で撮影すると、基準面2に置いた手4が動きにくいため、反対の手で端末12を操作して、手4を容易に撮影できる。
【0090】
必要に応じて再撮影したり、反対の手を撮影したりする。撮影した第1画像14のデータは、端末から計測サーバ20に送信され、計測サーバ20が、第1画像14のデータに基づいて、手の所定部位の寸法を計測する。計測結果は、記憶部30に格納されるとともに、端末12に送信される。
【0091】
端末12には、
図8(a)及び
図8(b)に示すように計測結果が表示され、これに加え、計測結果を利用するサービス(例えば、会員登録、手袋の注文受付等)にリンクするボタン、バナー等が表示される。これにより、手の計測結果を、電子商取引や、その他のサービスに利用できる。
【0092】
以上に説明したように、基準面2とともに手4を撮影した第1画像14を端末12から計測サーバ20に送信することによって、手の所定部位の寸法を計測できる。インターネット等の通信網を介して端末12から計測サーバ20にいつでも接続できるように構成すると、場所や時間を制約されずに、手の所定部位の計測値を得られる。得られた計測値は、電子商取引その他のサービスに利用できる。
【0093】
また、記憶部30に、被計測者に関する情報(例えば、会員登録情報)と対応つけて、第1画像14と、第2画像16と、計測値とを蓄積することによって、既製品の手袋の購買、オーダー手袋の注文等ができるサービスにおいて、必要に応じて記憶部30からデータを読み出して利用できる。
【0094】
また、手の輪郭線と関節の中心位置とを組み合わせて所定部位の寸法を計測すると、後述する変形例3のように手の輪郭線のみで計測する場合に比べ、計測値のばらつきを抑制できる。第2画像16上での手5の輪郭線6は、撮影時の指の開き具合や撮影方向等の影響を受けやすいが、第2画像16上での手5の関節の中心位置は、そのような影響を受けにくいからである。
【0095】
また、手の輪郭線と関節の中心位置とを組み合わせて所定部位の寸法を計測すると、指の間を閉じた状態の第1画像を用いて、指長さを計測できる。
【0096】
<変形例1> 基準面2を有する板状又はシート状の基準面部材を、手の撮影に用いてもよい。
【0097】
図13は、板状の基準面部材である計測板2xのイメージ図である。
図13に示すように、計測板2xは、基準面2sと、基準面2sの周囲を取り囲む外縁面2tとに区画される。外縁面2tは、基準面2sの四隅の点を正確に抽出できるように、基準面2sとは明度及び/又は彩度等が異なる。
【0098】
計測板2xは、適宜な寸法を選択すればよい。例えば、基準面2sに両手4a,4bを同時に置けるようにすると、イベント会場、店舗等で、被計測者とは別の人が、被計測者の両手4a,4bを一度に撮影できる。この場合、撮影条件(照明、カメラの向き等)を一定にすることにより、ばらつきの少ない第1画像14に基づいて、正確に手の寸法を計測できる。
【0099】
また、パンフレット、チラシ、リーフレット等の印刷物に、手の計測システム10や端末12の操作方法の説明等を印刷するとともに、基準面2として用いる部分を設けてもよい。この場合、基準面2として用いる部分に、手を置く位置を示す図形や、基準面2の形状や寸法を特定するための図形等を印刷してもよい。このようなシート状の基準面部材を配布することにより、手の計測システム10の利用促進を図ることができる。
【0100】
<変形例2> 計測部26が、甲幅R6を用いて手囲を算出してもよい。
【0101】
図14は、巻き尺を用いて、35人の被験者の甲幅及び手囲を計測した結果を示すグラフである。x軸は甲幅(cm)、y軸は手囲(cm)である。最小二乗法により決定した次の式(2)の直線と、95%信頼範囲とを示している。
y=1.918x+3.790 (2)
【0102】
手囲は、式(2)を用いて、甲幅R7の計測値から算出できる。この場合、3次元形状の計測値である手囲を、手を撮影した2次元画像から算出できる。
【0103】
<変形例3> 第2画像16から抽出した輪郭線6のみに基づいて、手の所定部位の寸法を計測することも可能である。
図15は、手の所定部位の計測値の説明図である。
【0104】
図15に示すように、変形例3の計測部は、第2画像16について輪郭線6を抽出し、輪郭線6の曲率半径の極小点、極大点、変曲点等によって、輪郭線6上の特徴点51~64を特定して、特徴点51~64によって定義される手の所定部位R1~R7の寸法を、基準面2の既知の寸法に基づいて算出する。特徴点51~64は、指先51~55、指の付け根56~62、手首のくびれ63,64を含む。
【0105】
例えば、指長さR1~R5として、指先51~55と、指の両側の付け根56~62の中点71~75とを結ぶ線分の長さを計測する。甲幅R6として、第2指と第5指の外側の付け根58,62を結ぶ線分の長さを計測する。手首幅67として、手首のくびれ63,64を結ぶ線分の長さを計測する。
【0106】
なお、特徴点51~64や手の所定部位R1~R7の定義は一例であり、計測する所定部位の定義や個数は、適宜に選択すればよい。
【0107】
<変形例4> 実施例1では、手の甲側を撮影した第1画像を用いたが、手の甲側と掌側を撮影し、手の甲側と掌側の撮影画像を第1画像として用いてもよい。
【0108】
例えば、
図16(a)は、撮影時の端末の画面表示のイメージ図である。端末の画面に表示される指示に従って手を撮影することによって、
図16(a)に示すように、端末の画面に、基準面2とともに撮影した手の甲側4sを含む第1の撮影画像42aと、基準面2とともに撮影した手の掌側4tを含む第2の撮影画像42bとが表示される。
【0109】
被計測者が撮影画像を確認し、所定の操作を行うと、端末は、第1及び第2の撮影画像42a,42bを、第1画像として、計測サーバ20の入力部22(
図1参照)に送信する。画像変換部24(
図1参照)は、実施例1と同様に第1画像を第2画像に変換し、計測部26(
図1参照)は、甲側の第1の撮影画像42aが変換された第2画像について、実施例1と同様に所定部位の寸法を計測し、掌側の第2の撮影画像42bが変換された第2画像についても、甲側と同様に所定部位の寸法を計測する。なお、所定部位の寸法の定義は、甲側と掌側とで異なっても構わない。甲側又は掌側の一方のみについて計測する所定部位があっても構わない。
【0110】
出力部28(
図1参照)は、計測結果を端末に送信する。
図16(b)は、計測結果が表示される端末の画面表示のイメージ図ある。
図16(b)に示すように、端末の画面に、計測に用いた甲側と掌側の計測用画像44と、計測用画像44に、寸法を計測した所定部位を示す線分を重ねた計測部位画像46と、所定部位の寸法の計測結果の数値データ48とが表示される。なお、端末に表示する情報量を減らしても、増やしても構わない。
【0111】
手の掌側4tの第2の撮影画像42bは、皮線、肉付き、血色等の多くの情報を含んでおり、これらの情報の特徴量を、計測部26(
図1参照)が算出するように構成してもよい。この処理は、所定部位の計測と同時に実行しても、所定部位の計測後に、必要に応じて記憶部30(
図1参照)からデータを読み出して実行してもよい。
【0112】
手の甲側4sの第1の撮影画像42aから得られる情報と、手の掌側4tの第2の撮影画像42bから得られる情報とを組み合わせることによって、より高度なサービスや、新たなサービスを提供できる。
【0113】
<変形例5> 第2画像16上の任意の2点を結ぶ線分の長さを計測する補助計測部を備えてもよい。この場合、補助計測部は、記憶部30から読み出された第2画像16上の2点が指定されると、2点間の寸法を算出するように構成する。
【0114】
例えば、オーダー手袋を製造する際に、記憶部30から第2画像16を読み出し、補助計測部を用いて、計測値を確認したり、再計測したり、指幅等の部位を追加計測したりする。これによって、より良好に適合する手袋を製造できる。
【0115】
<変形例6> 基準面2の上に、掌ではなく甲が接するように手4を置き、基準面2とともに手4の掌を撮影した第1画像を用いて、手の所定部位の寸法を算出してもよい。
【0116】
この場合、例えば、付け爪をしていても、指の輪郭を正確に抽出でき、指長さR1~R5を正確に計測できる。また、指長さR1~R5の基点を、指の付け根のシワに基づいて決定することも可能である。また、掌の撮影画像を用いて、健康関連や手相占い等のサービスを提供できる。
【0117】
<まとめ> 以上に説明したように、端末12を用いて手の計測システム10を利用すると、場所や時間を制約されずに、手の所定部位の計測値を得ることができる。得られた計測値は、電子商取引その他のサービスに利用できる。
【0118】
また、手の輪郭線と関節の中心位置とを組み合わせて所定部位の寸法を計測すると、計測値のばらつきを抑制できる。
【0119】
手を撮影した画像や所定部位の計測結果等は、例えば、次のようなサービスに利用である。(a)手4の計測値に基づいて、適合するサイズの既製品手袋を提案する、既製品手袋の販売。(b)手4の計測値を用いる、オーダー手袋やオーダーグローブの作製。(c)手を撮影した画像から、爪や手の血色等を観察して、健康に関連する情報提供サービス。(d)手を撮影した画像を、ネイルアート等の美容分野のサービスにおいて、記録や提案に利用する。(e)手の画像や計測データをデータベース化し、より豊かな生活のために活用するパーソナルヘルスレコードサービス。(f)手を撮影した画像を利用して行う手相占い。
【0120】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。
【0121】
例えば、計測する手の所定部位の定義は、変更してもよい。手を置く基準面は、矩形の単一色に限らず、種々変更可能であり、色彩、模様、図形等が付されても構わない。
【0122】
また、実施例1に、変形例1~6のうち2つ以上を組み合わせてもよい。例えば、両手の甲側と掌側の撮影画像を、第1画像として用いてもよい。
【符号の説明】
【0123】
2,2s,3 基準面
2x 計測板(基準面部材)
4,4a,4b,5 手
4s 手の甲側
4t 手の掌側
6 輪郭線
10 手の計測システム
12 端末
14 第1画像
16 第2画像
22 入力部
24 画像変換部
26 計測部
28 出力部
30 記憶部
42a 第1の撮影画像
42b 第2の撮影画像
R1~R5 指長さ(所定部位)
R6 甲幅(所定部位)
R7 手首幅(所定部位)
R8 指下り(所定部位)
K0 橈骨手根関節
K2,K5,K9,K13、K17 MP関節
K3 IP関節
K6,K10,K14,K18 PIP関節
K7,K11,K15,K19 DIP関節