(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008365
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】歯科用配管内の有価物回収装置
(51)【国際特許分類】
A61G 12/00 20060101AFI20250109BHJP
C02F 11/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A61G12/00 W
C02F11/00 Z ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110477
(22)【出願日】2023-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】520169225
【氏名又は名称】有限会社パラテック
(74)【復代理人】
【識別番号】100136928
【弁理士】
【氏名又は名称】高宮 章
(74)【代理人】
【識別番号】100092163
【弁理士】
【氏名又は名称】穴見 健策
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 悌一郎
【テーマコード(参考)】
4C341
4D059
【Fターム(参考)】
4C341LL30
4C341MM11
4C341MS17
4D059AA11
4D059AA30
4D059CB01
4D059CC07
(57)【要約】
【課題】歯科用配管内に付着、堆積した貴金属等の有価物回収の作業現場載設置設備を簡略化し、組立、分解可能として設備負荷軽減により歯科用配管内の洗浄、有価物の回収作業を促進させる。
【解決手段】
一端側が歯科用配管100に連通しつつ該配管に着脱自在に連結されるアダプタ管16であり、他端側に水密状態で高圧水ホース121を挿脱自在に保持するとともに、アダプタ管体の途中で分岐してバキューム装置14のバキューム機本体142に連通接続するバキューム管路141を着脱自在に接続したアダプタ管16を含む。特に、バキューム管路141の任意の管長手方向位置に透光管部145が設けられる。歯科用配管からの汚泥の排出作業完了の凡その目安時間を外部から視認できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科医療施設に設置された歯科用配管内に高圧水ホースを挿脱自在に配置して歯科用配管内を高圧洗浄する高圧洗浄装置と、
高圧洗浄されて排出される配管内汚泥を吸引するバキューム装置と、
一端側が歯科用配管に連通しつつ該配管に着脱自在に連結されるアダプタ管であり、他端側に水密状態で高圧水ホースを挿脱自在に保持するとともに、アダプタ管体の途中で分岐してバキューム装置のバキューム機本体に連通接続するバキューム管路を着脱自在に接続したアダプタ管と、を含むことを特徴する歯科用配管内の有価物回収装置。
【請求項2】
バキューム管路の任意の管長手方向位置に透光管部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の歯科用配管内の有価物回収装置。
【請求項3】
透光管部は、アダプタ管の近接位置であるバキューム管路に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の歯科用配管内の有価物回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科医院等の歯科医療施設に設置されている排水系配管やバキューム系配管等の歯科用配管内に付着・堆積した汚泥中の有価物の回収に利用できる歯科用配管内の有価物回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科治療の際には、金、銀、白金、パラジウム、チタンなどの金属の切削粉等が生じるが、バキュームで吸引されてバキューム系配管に集約して排水されたり、唾液や口腔内を洗浄する水等とともに排水管に排水されたりして、廃棄されている場合が多い。よって、金、銀等の価値が高い貴金属を微量ずつとはいえ常に廃棄しているとともに、環境にも悪影響があり、下水処理施設の負担が大きい等の問題が生じていた。これに対し、例えば、特許文献1には、歯治療時で生じる貴金属の回収を可能とした歯治療汚物処理システムが提案されている。特許文献1の歯治療汚物処理システムは、口腔内吸引端末装置で吸い込んだ歯治療発生汚物を排出する排出部と浄化槽との間に、貴金属を含むヘドロを溜めるヘドロ溜め装置が取り付けられており、ヘドロ溜め装置内に溜まったヘドロを回収してヘドロ内から貴金属を回収しようとするものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下、本発明が解決しようとする課題について説明するが、この段落番号内で用いる番号はこの段落内の説明のみについて有効であり、後述する本発明の実施形態等の説明中の番号とは無関係である。特許文献1の装置では、排水管等の歯科用配管に液体・固体と気体との分離器7、吸引モータ9と分離器7間のフィルタ8、分離器7による分離後の液体・固体分から有価金属を含むヘドロを流れに沿って順次分割沈殿させるためのヘドロ溜め回収装置13が必要であり、このヘドロ溜め装置13を新たなヘドロ溜め装置と交換してヘドロを回収するものであった。この従来の装置では、液体・固体と気体との分離器7や吸引モータ9、フィルタ8並びにヘドロ溜め装置13等を各歯科治療施設内に設置する必要があり、小規模歯科医院等の限られたスペース内に設置することは困難な場合が多いばかりでなく、設置が歯科治療の事業上必須の設備ではないので歯科事業者側の設置の同意を得ることが困難な場合が多い。また、特許文献1の装置では、分離器7やヘドロ溜め回収装置13の装置導入の初期コストがかかるとともに、稼働状態の管理作業が必要である。さらに、分離器7で歯科汚泥を処理し、その後の液体・固体分をヘドロ溜め回収装置13に分割沈殿させてある程度溜まった状態で装置13を新しい装置と交換するから一度装置全体をセットしてから1か月あるいは数か月程度次の交換時期までに時間を要する問題があった。このため、この装置を小規模の歯科医院等に個別に設置することは現実には困難であった。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、歯科用配管内の洗浄、固形物の除去を行いつつ歯科治療事業者にとって別段の装置コストや管理コストを要せずに歯科汚泥中の有価金属を取得して有効活用できる歯科用配管内の有価物の回収装置を提供することである。また、本発明の他の目的は、比較的短時間で歯科配管内洗浄を完了しつつ有価金属を含む汚泥を回収することができる上に、回収汚泥を含むバキューム装置を持ち帰って十分な時間をかけて確実に汚泥中の有価金属を取得することを可能とする歯科用配管内の有価物の回収装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、歯科医療施設に設置された歯科用配管100内に高圧水ホース121を挿脱自在に配置して歯科用配管100内を高圧洗浄する高圧洗浄装置12と、高圧洗浄されて排出される配管内汚泥を吸引するバキューム装置14と、一端側が歯科用配管100に連通しつつ該配管に着脱自在に連結されるアダプタ管16であり、他端側に水密状態で高圧水ホース121を挿脱自在に保持するとともに、アダプタ管16体の途中で分岐してバキューム装置14のバキューム機本体142に連通接続するバキューム管路141を着脱自在に接続したアダプタ管16と、を含む歯科用配管内の有価物回収装置10から構成される。
【0007】
また、本発明は、バキューム管路141の任意の管長手方向位置に透光管部145が設けられているとよい。
【0008】
また、透光管部145は、アダプタ管16の近接位置であるバキューム管路141に設けられているとよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の歯科用配管内の有価物回収装置によれば、歯科医療施設における歯科用配管内の洗浄および有価物回収について歯科医療施設及び洗浄等作業事業者側に新たな設備導入を必要とすることなく低コストで作業を完了することができる。また、汚泥等の凡その作業完了時間を外部から目視確認でき、歯科診療施設内の作業中の機器設置占有による不便さを解消させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る歯科用配管内の有価物回収装置の概略全体説明図である。
【
図2】
図1のアダプタ管部分の一部省略拡大断面説明図である。
【
図3】バキューム機に分離器を接続して有価金属を分離取得する状態を示す説明図である。
【
図4】(a)、(b)は、本実施形態の有価物回収装置の洗浄作業完了の作業開始時と完了時の透光管部の色の変化の状態を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下添付図面を参照しつつ本発明の歯科用配管内の有価物の回収装置の実施形態について説明する。本発明に係る歯科用配管内の有価物の回収装置並びに回収方法は、歯科医院等での歯科医療施設に配管設置されている歯科用配管内に付着・堆積された有価物(例えば、歯科治療の際などに発生する金、銀、白金、パラジウム、チタン等の貴金属の切削粉等)を容易に回収することを可能としたものである。
【0012】
図1は、本発明の歯科用配管内の有価物回収装置の第1の実施形態を示している。図に示すように、本実施形態に係る歯科用配管内の有価物の回収装置10は、図示しない歯科医療施設に設置された歯科用配管100内に付着・堆積した有価物を含む汚泥を落とす高圧洗浄装置12と、該洗浄装置12により落とされた歯科用配管100内の有価物を含む汚泥を負圧吸引し回収するバキューム装置14と、歯科用配管100と、高圧洗浄装置12と、バキューム装置14に着脱接続するアダプタ管16と、を備えている。
【0013】
図1において、施設全体の図示を省略した歯科医療施設に歯科用配管100が敷設されており、該歯科用配管100にスピットンを含む1又は複数の診療用ユニットが接続されている。診療用ユニットは、歯科医療施設の処置室又は診療室に設置されており、治療による患者の口腔内の研磨屑や残渣物はスピットンを介して歯科配管内に排出される。
図1では、歯科用配管100の任意の一端部としての配管接続端部100aが示されている。歯科治療時には、スピットンを含む診療用ユニットから、金、銀、白金、パラジウム等の貴金属の切削粉等が生じるが、それらの金属粉は、唾液、血液、口腔洗浄水等とともに、歯科用配管100内に吸引される。
【0014】
図1の有価物の回収装置10の概略説明図において、高圧洗浄装置12と、バキューム装置14と、アダプタ管16と、が装置の使用時の配置態様において示されている。
【0015】
高圧洗浄装置12は、歯科治療施設用に設置された吸引や排水のための歯科用配管100内壁に付着又は管内に堆積した有価物を含む汚泥を落とすための洗浄手段であり、歯科用配管100内に出し入れ自在に挿入される高圧水ホース121と、高圧洗浄機122と、トリガ部127と、を含む。
【0016】
図1に示すように、高圧洗浄機122は、例えば図示しない洗浄水タンク、電動モータ、ポンプ、圧送ユニット、制御装置等を一体に組み込んで構成されており、例えば水道水供給口等の水の供給手段123,並びに電源124に接続されている。また、高圧洗浄機122には数メートルから数十メートルの長さに延長可能な高圧水ホース121が接続されており、その先端部には金属製等のノズル125を含む吐出部126が設けられてノズル125から歯科配管内壁に向けて高圧水が噴射される。
【0017】
高圧水ホース121は、自在に曲げたり撓ませたりすることができる耐圧性ホースからなる。高圧水ホース121の長さは、歯科用配管の長さ等に応じて任意に設定してもよく、リール等に巻き取り、繰り出し自在とすることとしてもよい。
【0018】
図において、高圧水ホース121の中間位置、例えば、高圧洗浄機122の近傍位置にはトリガ部127が設けられている。トリガ部127は高圧洗浄機122から圧送供給される洗浄水のホース内の通流、遮断を操作し、かつ歯科用配管100内の高圧水ホース121先端部の進退を駆動させる操作手段であり、高圧洗浄機122からの高圧水の開閉弁機構を備えている。トリガ部127は、例えばグリップ部とトリガを有する銃形態の部位であり、そのトリガ部のグリップ部を作業者が把持して所望のトリガ操作により高圧水ホース内の水の圧送、遮断操作を行うようになっている。また、グリップ部を把持して全体の進退操作をも行うようになっている。
【0019】
図1、2において、吐出部126は、洗浄水Wtを高圧水ホース121の歯科用配管100内への挿入方向Dとは逆斜め方向で歯科用配管100内壁に向けて噴射する逆斜め噴射機構130を含む。逆斜め噴射機構130は、例えば、前端部が略ドーム状に閉鎖されるとともに、該ドーム状の前端部の後方側に形成された括れ部分に洗浄水の噴射口が複数個設けられた逆噴射ノズルを有している。逆噴射ノズルの特殊構造によりノズル前方とは逆斜め方向、例えば、ノズルの後方から30~60度程度傾斜した方向に向けて洗浄水Wtが高圧噴射される。
【0020】
図1において、高圧洗浄装置12の高圧水ホース121の先端部寄り位置に連係してアダプタ管16が設けられている。アダプタ管16は、高圧洗浄装置12と、後述するバキューム装置14と、に連係して歯科用配管内の洗浄並びに有価物の回収を実現させる手段である。特に、アダプタ管16は、歯科用配管100に一端側が着脱自在に連結されるとともにバキューム装置14とも着脱連結されて、必要に応じて歯科用配管100内の洗浄と有価金属を含む汚泥の回収を行う態様と、アダプタ管16を接続した高圧洗浄装置12と、バキューム装置14とを分離して移動搬送させる態様と、に変更自在に設けられている。アダプタ管16と歯科用配管100を連結し、さらにアダプタ管16と高圧洗浄装置12並びにバキューム装置14とを連結した状態で歯科用配管100内の高圧洗浄および有価物を含む汚泥を回収する。一方、アダプタ管16を歯科用配管100から取外し、さらにアダプタ管16とバキューム装置14との連結を解除して取り外した状態で有価物回収装置全体を簡単に移動搬送することができる。
【0021】
図1において、アダプタ管16は、高圧水ホース121を直線状に挿通させて移動案内させる中空管としての直管部161と、直管部161の途中で歯科用配管から離隔する方向に傾斜してL字状又は二股状に分岐形成された分岐管部162と、を含む。直管部161は、単一の中空直管だけでなく、複数の単一直管と接続用直管部とを組み合わせて全体として直管状に構成した部分を含む。分岐管部162は、適宜の長さ位置で終端されその端部には他の管部材を着脱自在に受け入れて接続する接続ブラケット管部としての接続管部163が設けられている。後述するように、分岐管部162は、バキューム装置14に接続されて直管部161の他端側は閉鎖されているから分岐管部162内は通常、直管部161側から分岐管部側に向けて流体が流れる。
【0022】
図1において、アダプタ管16の直管部161の一端側161aは歯科用配管100の排出用接続端部100aに着脱自在に連結可能となっている。具体的な着脱構成は任意に設定できる。基本的には歯科用配管内の汚泥の排出であり、高い水密性は必要とされないから例えば一方の管端が他の管端内径側に差込む方法、管端同士を突き合わせてそれぞれの外面に形成した両方のねじ溝に外側から螺合する締結管で締結する方法、円筒間の内径側に管端同士を差込み端部どうしを突き合わせて嵌合させる方法、その他任意の着脱接続構成とすることができる。
【0023】
一方、アダプタ管16の直管部161の他端側161bには閉鎖保持部170が設けられており、直管部161内を挿通する高圧水ホース121を管内閉鎖状態で挿脱自在に保持する。閉鎖保持部170は、閉鎖盤171と、閉鎖用パッキン172と、を含み、閉鎖盤171の中心に設けた案内孔173を貫挿して高圧水ホース121が直管部161の軸心部分を管の長手方向に進退移動する。ここにおいて、アダプタ管16の直管部161の他端側161bは閉鎖保持部170を介して水密状態で高圧水ホース121を挿脱自在に保持している。
【0024】
さらに
図1において、アダプタ管16の分岐管部162にはバキューム装置14のバキューム管路141が着脱自在に接続される。バキューム装置14は、高圧洗浄装置12の高圧水ホース121先端からの高圧水により歯科用配管100内を洗浄する際に排出される排出水や切削屑を
図2に示すようにアダプタ管16の直管部161からL字状に角度変更させつつ外部に吸引排出させる強制吸引手段であり、高圧洗浄装置とほぼ同じ時間内に稼働する。すなわち高圧水ホース121のノズル125からの水の噴射洗浄時間中において、排出水や切削屑を強制吸引するから時間に無駄がなく、歯科医療施設での稼働時間すなわち、施設での洗浄作業時間以上の時間をかけて洗浄・有価物回収を行うことなく短時間で洗浄、回収作業を完了することができる。
【0025】
バキューム装置14は、図示しない吸引ポンプユニット、汚泥回収容器、操作盤を含むバキューム機本体l42と、バキューム機本体142に一端が連結接続されるとともに、他端がアダプタ管16の分岐管部163に着脱自在に連結されるバキューム管路141と、を含む。
【0026】
実施形態において、バキューム管路141は、例えば可撓性の蛇腹管143を含み、設置場所で任意の配管形態や場所移動の利便性を有する。そして、バキューム機本体142のオンオフスイッチのオン動作時に電動モータでファン又はポンプを作動させて負圧吸引力を発生させると、蛇腹管143を介して負圧吸引したものをバキューム機本体内部に設置された回収容器に回収する。蛇腹管143は、曲げ伸ばし自在な可撓性と、負圧吸引力では変形しないような耐圧性を有しており、バキューム機本体142とアダプタ管16にそれぞれ着脱可能に取り付けられる。
【0027】
本実施形態において、
図1に示すように、バキューム管路141に透光管部145が介設されている。透光管部145は、透光性を有する管であり、管の内部が透けて見えるようになっている。本実施形態において、透光管部145は、例えば数メートル~十数メートル長のバキューム管路141のいずれかの位置に例えば数十センチメートル程度の長さで介設される透光管部材からなり、例えば塩化ビニル製やアクリル製の円筒管で構成されている。バキューム管路141の蛇腹管143の一端側に連結した径大の接続筒部144を介して透光管部145が中空内部を連通させて差込み接続されている。
【0028】
バキューム装置12が歯科用配管100内の有価物を含む汚泥及び洗浄水を負圧吸引してバキューム装置14内の収容容器内に引き込む際にバキューム管路141内を通流するが、この際、バキューム管路内の流体の色は歯科用配管100内壁に付着・堆積した固形分量が多いときには灰色から黒色に近い。一方、流体中の固形分量が少ない場合には流水の色に近くなり管自体の色が見られる。この点から、透光管部145の色の変化により歯科用配管100内の洗浄、汚泥排出の程度を判断することができ、作業完了の凡その時間目安とすることができる。透光管部145は透明管が最適であるが、半透明管あるいは流体自体の色変化を外部から目視可能な管部材であればよい。また、蛇腹管143や分岐管部162との接続方式は、差込み連結のほか螺合連結、その他の着脱連結構成とすることができる。透光管部145はアダプタ管16側、あるいは蛇腹管143側のいずれかに常時連結させて、その他端側のみを着脱連結構成としてもよい。
【0029】
本実施形態において、透光管部145は、特に、アダプタ管16の近接位置であるバキューム管路141に設けられている。
図1において、透光管部145の一端側はバキューム管路141の端部に連結固定されており、透光管部145の他端側はアダプタ管16の分岐管部162の接続管部163を介してアダプタ管16に着脱自在に連結接続される。これによって、高圧洗浄装置12により歯科用配管100内の洗浄作業の凡その完了タイミングを外部から目視確認でき、歯科用配管内の洗浄作業について無駄な時間を消費することなく実質的に短時間で作業を完了させることができる。特に、実施形態において透光管部145の一端はアダプタ管16の分岐管部162の接続管部163に直接に接続されるから、透光管部145内の流体の色変化を早期に確認することが可能である。
【0030】
上記したように、バキューム装置14は、高圧洗浄装置12に取り付けたアダプタ管16と着脱自在であるから、歯科用配管の洗浄作業終了後はアダプタ管16とバキューム管路141とを分離して他の事業場所等へ簡単に移動させることができる。そして、
図3に示すように、他の場所で、予め有価金属の選別装置180を用意しておき、ある程度の時間を費やして良好な精度で有価金属を回収することが可能である。有価金属の選別装置180は公知の構造の選別装置を用いることができる。
【0031】
次に、本実施形態にかかる歯科用配管内の有価物回収装置10の作用を説明する。例えば、本実施形態では、高圧水ホース121の先端側をアダプタ管16の直管部161の閉鎖保持部170から挿通させてホースの先端部を直管部161から突出させるように高圧水ホース121にアダプタ管を組み付ける。そして、歯科用配管100の端部100aにアダプタ管16の直管部一端側161aを接続し、アダプタ管16を歯科用配管100に内部連通接続させる。また、アダプタ管16の分岐管部162の接続管部163に、バキューム管路141の一端側となる透光管部145を接続させる。
【0032】
そして、高圧水ホース121のトリガ部127を作業者が把持して高圧水ホース121を直進させ、歯科用配管100内先端のノズル125を挿入していく。
アダプタ管16の分岐管部162には、バキューム装置14のバキューム管路141としての蛇腹管143が接続されているので、高圧洗浄装置12による歯科用配管100内の洗浄工程と、バキューム装置14による歯科用配管100内からの有価物の吸引工程と、を同時に又は所定のタイミングで行いながら有価物を回収していく。
【0033】
洗浄工程では、トリガ部127を把持した作業者が 高圧洗浄装置12の高圧洗浄機122を起動させ、トリガ部127の図示しない手元スイッチをオンすると、歯科用配管100内に挿入した高圧水ホース121の吐出部126から洗浄水Wtを高圧噴射する。
洗浄水Wtの高圧噴射により、歯科用配管100の管内壁に付着又は堆積した有価物を含む汚泥Wを落としながら、該配管100内の高圧水ホース121を前方へ進めていく。
吐出部126には逆斜め噴射機構130が設けられているので、洗浄水の逆斜め方向への高圧噴射による推進力も相まって高圧水ホース121を前方にスムーズに進め入れることができるとともに、該配管100内壁から落とした有価物を含む汚泥Mdを高圧水ホース121の挿入元側に向けて流しやすくする。
【0034】
吸引工程では、バキューム装置14を起動し、洗浄工程により歯科用配管100内から洗浄水Wtにより落とされた有価物を含む汚泥と、歯科用配管100内に流れる高圧洗浄装置12からの洗浄水と、をバキューム機本体142を介して負圧吸引することにより回収する。吸引工程では、歯科用配管内の汚泥混じりの洗浄水を負圧吸引して、汚泥ごと有価物を回収する。この際、高圧水ホース121の吐出部126から高圧水ホース121の歯科用配管100内への挿入方向とは逆斜め方向となるように洗浄水を歯科用配管内壁に向けて噴射させるとともに、アダプタ管16の直管部他端側は閉鎖保持部170で閉鎖されているから、歯科用配管100内に落とされた汚泥と洗浄水に対して、高圧噴射による該配管内での水流れ方向と、バキューム装置14による同配管内での吸引方向Sdとが略同じ方向に設定される結果、スムーズかつ効率的に汚泥と洗浄水を回収することができる。
【0035】
そして、例えば、洗浄工程と吸引工程を同時に行いながら、該汚泥及び洗浄水の水分ごと有価物をバキューム装置14のバキューム機本体142内の回収容器に回収する。このとき、
図4(a)、(b)に示すように、バキューム管路141に介設した透光管部145は、回収作業当初は暗黒色の流体色として見えていたものが、回収作業が進むにつれて薄い灰色から透光管自体の色に近く変化した場合に凡その管内の洗浄・汚泥回収完了時と判断できる。これによって、無駄な待機時間を費やすことなく歯科用配管内の有価物の回収装置10の主要な機器類を撤去して持ち帰ることができる。歯科用配管100内から洗浄水ごと回収した有価物を含む汚泥は、持ち帰った別の場所で
図3に示すように公知の有価金属の選別装置を用いて選別して有価物を取得し、歯科用配管内の洗浄依頼に係る歯科医療施設等へ還元することにより、歯科用配管内の洗浄作業促進による歯科診療の正確さ保持、有価物回収取得によるコスト低減、洗浄・有価物回収サービスへの加入、洗浄・有価物回収事業の創設等を実現することができる。このように、歯科用配管内に付着、堆積した貴金属等の有価物回収の作業現場載設置設備を簡略化し、組立、分解可能として設備負荷軽減により歯科用配管内の洗浄、有価物の回収作業を促進させることが可能となる。
【0036】
特に、
図1実施形態では、透光管部145は、アダプタ管16の近接位置であるバキューム管路141に設けている。すなわち、歯科用配管100内の洗浄並びに汚泥回収の完了時期を歯科用配管に接続するアダプタ管に直結する位置に配置することにより外部から目視で確認可能となり、歯科用配管100内の洗浄、有価物回収に要し、歯科医療施設内の場所での回収装置10全体の占有を早い時間に解除して作業効率を大幅に向上させることができる。
【0037】
上記した歯科用配管内の有価物回収装置10は、歯科医療施設に設置された歯科用配管100内に高圧水ホース121を挿脱自在に配置して歯科用配管内を高圧洗浄する高圧洗浄装置12と、高圧洗浄されて排出される配管内汚泥を吸引するバキューム装置14と、一端側が歯科用配管100に連通しつつ該配管に着脱自在に連結されるアダプタ管16であり、他端側に水密状態で高圧水ホース121を挿脱自在に保持するとともに、アダプタ管体の途中で分岐してバキューム装置のバキューム機本体142に連通接続するバキューム管路141を着脱自在に接続したアダプタ管16と、を含む構成であるから、極めて簡単な構成により歯科治療事業者に特段のコスト負担をかけずに、歯科用配管内洗浄を行いつつ同時に有価物回収を行って事業者側に利する上に、産業上も半導体集積回路等に用いられる廃棄される希少金属を回収して有効活用を期待することができる。また、短時間での歯科用配管内洗浄と有価物を含む汚泥の回収を実効させ得ることが可能である。
【0038】
また、バキューム管路141に透光管部145が設けられた構成とすることにより、透光管部145においてバキューム管路141内の流体すなわち汚泥の排出度合いが外部から目視確認でき、有価物を含む汚泥の回収完了時間の目安を取得して作業時間短縮を実効化させ得る。
【0039】
また、透光管部145は、アダプタ管16の近接位置であるバキューム管路141に設けられているから、透光管部145内の流体の色変化を早期に確認することが可能である。
【0040】
以上説明した本発明の歯科用配管内の有価物回収装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の歯科用配管内の有価物回収装置は、例えば、歯科医院、総合病院の歯科、歯科技工所などの歯科医療施設の排水管やバキューム配管内に付着・堆積した貴金属等の有価物を回収するのに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
10 歯科用配管内の有価物回収装置
12 高圧洗浄装置
14 バキューム装置
16 アダプタ管
100 歯科用配管
121 高圧水ホース
122 高圧洗浄機
125 ノズル
126 吐出部
127 トリガ部
141 バキューム管路
145 透光管部
161 直管部
162 分岐管部
163 接続管部
170 閉鎖保持部
180 有価金属の選別装置