(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008370
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/50 20110101AFI20250109BHJP
【FI】
H01R12/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110488
(22)【出願日】2023-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】浅野 泰徳
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA16
5E223AB41
5E223AB43
5E223AC11
5E223BA12
5E223BA15
5E223BA17
5E223CA13
5E223CA21
5E223CB22
5E223CC09
5E223CD01
5E223DB08
5E223EA01
5E223GA52
5E223GA72
(57)【要約】
【課題】所望の接触荷重を得られるようにすることを目的とする。
【解決手段】コネクタ用導体80を備えるコネクタ60であって、コネクタ用導体80は、筒部82と、筒部の開口縁から延出する弾性片90、96と、を含み、筒部は、筒形状をなす筒形成部86と、筒形成部における周方向の第1端部84と、筒形成部における周方向の第2端部88と、を有し、弾性片は、端部弾性片90を含み、端部弾性片の少なくとも一部は、第1端部のうち開口縁から筒部の中心軸X方向の一方側に向かって延出しており、第1端部は、第1内周側端部84aと第1外周側端部84bとを有し、第2端部は、第2内周側端部88aと第2外周側端部88bとを有し、第1内周側端部が第2外周側端部の内周側に重ねられると共に、第1外周側端部が第2内周側端部の外周側に重ねられた状態で、第1端部と第2端部とが固定されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ用導体を備えるコネクタであって、
前記コネクタ用導体は、筒部と、前記筒部の開口縁から延出する弾性片と、を含み、
前記筒部は、
筒形状をなす筒形成部と、
前記筒形成部における周方向の第1端部と、
前記筒形成部における周方向の第2端部と、
を有し、
前記弾性片は、端部弾性片を含み、
前記端部弾性片の少なくとも一部は、前記第1端部のうち前記開口縁から前記筒部の中心軸方向の一方側に向かって延出しており、
前記第1端部は、第1内周側端部と第1外周側端部とを有し、
前記第2端部は、第2内周側端部と第2外周側端部とを有し、
前記第1内周側端部が前記第2外周側端部の内周側に重ねられると共に、前記第1外周側端部が前記第2内周側端部の外周側に重ねられた状態で、前記第1端部と前記第2端部とが固定されている、コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記筒部は、
前記第1内周側端部および前記第2外周側端部を重ね合わせ状態に保つ第1固定部と、
前記第1外周側端部および前記第2内周側端部を重ね合わせ状態に保つ第2固定部と、
をさらに有する、コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタであって、
前記第1固定部は、前記第1内周側端部および前記第2外周側端部をかしめて固定する第1かしめ固定部であり、
前記第2固定部は、前記第1外周側端部および前記第2内周側端部をかしめて固定する第2かしめ固定部である、コネクタ。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のコネクタであって、
前記第1内周側端部と前記第1外周側端部との間と、前記第2内周側端部と前記第2外周側端部との間とのそれぞれにスリットが形成されている、コネクタ。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載のコネクタであって、
前記第1端部のうち前記第1内周側端部および前記第1外周側端部を含む領域を重ね合わせ端部としたとき、
前記第1端部は、前記重ね合わせ端部よりも前記開口縁側に位置するベース端部を有し、
前記重ね合わせ端部と前記ベース端部との間にベース分離スリットが形成されている、コネクタ。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載のコネクタであって、
前記弾性片は、前記端部弾性片とは異なる少なくとも1つの付加弾性片をさらに含み、
前記端部弾性片および前記少なくとも1つの付加弾性片は、前記筒部の周方向において間隔をあけて並んでいる、コネクタ。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載のコネクタであって、
内導体と、
前記内導体が収容される絶縁体と、
をさらに備え、
前記筒部内には前記絶縁体が収容されている、コネクタ。
【請求項8】
請求項7に記載のコネクタであって、
前記第1外周側端部と前記筒形成部と前記第2外周側端部とは同径の筒形状をなすように連なっており、
前記第1内周側端部および前記第2内周側端部はそれぞれ、前記筒形成部よりも内周側に突出しており、
前記絶縁体の外周面に凹みが形成され、
前記第1内周側端部および前記第2内周側端部は前記凹みに嵌っている、コネクタ。
【請求項9】
請求項7に記載のコネクタであって、
前記凹みは、前記第1内周側端部および前記第2内周側端部のうち前記端部弾性片に近い方の端部の前記端部弾性片側への変位を受止める位置規制面を有する、コネクタ。
【請求項10】
請求項7に記載のコネクタであって、
前記凹みの底面は、前記第1内周側端部または前記第2内周側端部の内周側への変位を受止める位置に形成されている、コネクタ。
【請求項11】
請求項7に記載のコネクタであって、
前記筒形成部と前記第1内周側端部との間に第1段差部が位置し、
前記筒形成部と前記第2内周側端部との間に第2段差部が位置し、
前記凹みは、前記筒部の周方向において前記第1段差部に対向する第1側面と、前記筒部の周方向において前記第2段差部に対向する第2側面とを有する、コネクタ。
【請求項12】
請求項7に記載のコネクタであって、
前記絶縁体は、前記凹みよりも前記端部弾性片に近い位置で、前記コネクタ用導体の内周側への変位を受止める受止め面を有する、コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、コンタクトと、コンタクトを保持する合成樹脂製の絶縁体と、さらに絶縁体を収容する金属製のシェルとを備える同軸コネクタを開示している。金属製のシェルは、相手側の雄型コネクタと嵌合する略円筒状に形成された嵌合部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の金属製のシェルは、筒状の嵌合部を含むコネクタ用導体として機能し得る。このようなコネクタ用導体を相手側のコネクタに接続する際に所望の接触荷重を得られるようにすることが望まれている。
【0005】
そこで、本開示は、コネクタ用導体を相手側コネクタに接続する際に、所望の接触荷重を得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、コネクタ用導体を備えるコネクタであって、前記コネクタ用導体は、筒部と、前記筒部の開口縁から延出する弾性片と、を含み、前記筒部は、筒形状をなす筒形成部と、前記筒形成部における周方向の第1端部と、前記筒形成部における周方向の第2端部と、を有し、前記弾性片は、端部弾性片を含み、前記端部弾性片の少なくとも一部は、前記第1端部のうち前記開口縁から前記筒部の中心軸方向の一方側に向かって延出しており、前記第1端部は、第1内周側端部と第1外周側端部とを有し、前記第2端部は、第2内周側端部と第2外周側端部とを有し、前記第1内周側端部が前記第2外周側端部の内周側に重ねられると共に、前記第1外周側端部が前記第2内周側端部の外周側に重ねられた状態で、前記第1端部と前記第2端部とが固定されている、コネクタである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、コネクタ用導体を相手側コネクタに接続する際に、所望の接触荷重を得易い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態に係る同軸コネクタを備える機器を示す斜視図である。
【
図4】
図4は同軸コネクタを示す分解斜視図である。
【
図9】
図9は変形例に係る同軸コネクタを示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示のコネクタは、次の通りである。
【0011】
(1)コネクタ用導体を備えるコネクタであって、前記コネクタ用導体は、筒部と、前記筒部の開口縁から延出する弾性片と、を含み、前記筒部は、筒形状をなす筒形成部と、前記筒形成部における周方向の第1端部と、前記筒形成部における周方向の第2端部と、を有し、前記弾性片は、端部弾性片を含み、前記端部弾性片の少なくとも一部は、前記第1端部のうち前記開口縁から前記筒部の中心軸方向の一方側に向かって延出しており、前記第1端部は、第1内周側端部と第1外周側端部とを有し、前記第2端部は、第2内周側端部と第2外周側端部とを有し、前記第1内周側端部が前記第2外周側端部の内周側に重ねられると共に、前記第1外周側端部が前記第2内周側端部の外周側に重ねられた状態で、前記第1端部と前記第2端部とが固定されている、コネクタである。
【0012】
このコネクタによると、第1内周側端部が第2外周側端部の内周側に重ねられると共に、第1外周側端部が第2内周側端部の外周側に重ねられているため、第1端部が第2端部に対して内周側および外周側の両方向に位置決めされる。このため、筒部が一定の形状に保たれ易い。よって、端部弾性片を含む弾性片が相手側コネクタとの接続に適した一定位置にしっかりと保持され易く、コネクタ用導体を相手側コネクタに接続する際に、所望の接触荷重を得易い。
【0013】
(2)(1)のコネクタであって、前記筒部は、前記第1内周側端部および前記第2外周側端部を重ね合わせ状態に保つ第1固定部と、前記第1外周側端部および前記第2内周側端部を重ね合わせ状態に保つ第2固定部と、をさらに有してもよい。
【0014】
この場合、第1内周側端部および第2外周側端部が第1固定部によって重ね合わせ状態に保たれ、第1外周側端部および第2内周側端部が第2固定部によって重ね合わせ状態に保たれる。これにより、筒部がより確実に一定の形状に保たれ易い。よって、コネクタ用導体を相手側コネクタに接続する際に、より所望の接触荷重を得易い。
【0015】
(3)(2)のコネクタであって、前記第1固定部は、前記第1内周側端部および前記第2外周側端部をかしめて固定する第1かしめ固定部であり、前記第2固定部は、前記第1外周側端部および前記第2内周側端部をかしめて固定する第2かしめ固定部であってもよい。
【0016】
第1固定部および第2固定部のそれぞれがかしめ固定部であれば、切削加工や板材の溶接加工によってコネクタ用導体を形成する場合と比較して、コネクタ用導体を低コストで製造できる。
【0017】
(4)(1)から(3)のコネクタであって、前記第1内周側端部と前記第1外周側端部との間と、前記第2内周側端部と前記第2外周側端部との間とのそれぞれにスリットが形成されていてもよい。
【0018】
第1内周側端部および第1外周側端部との間にスリットが形成されていれば、第1内周側端部および第1外周側端部を、筒部の周方向において重なり合う位置に設定しつつ、筒部の径方向において異なる位置にずらして配置し易い。第2内周側端部および第2外周側端部との間にスリットが形成されていれば、第2内周側端部および第2外周側端部を、筒部の周方向において重なり合う位置に設定しつつ、筒部の径方向において異なる位置にずらして配置し易い。これらにより、第1内周側端部および第2外周側端部の重ね合わせ箇所と、第1外周側端部および第2内周側端部の重ね合わせ箇所とを、筒部の周方向において近い位置に設定し易くなり、第1端部が第2端部に対して内周側および外周側の両方向に、より確実に位置決めされる。
【0019】
(5)(1)から(4)のいずれか1つのコネクタであって、前記第1端部のうち前記第1内周側端部および前記第1外周側端部を含む領域を重ね合わせ端部としたとき、前記第1端部は、前記重ね合わせ端部よりも前記開口縁側に位置するベース端部を有し、前記重ね合わせ端部と前記ベース端部との間にベース分離スリットが形成されていてもよい。
【0020】
この場合、重ね合わせ端部とベース端部との間にベース分離スリットが形成されているため、重ね合わせ端部の加工の影響がベース端部に及び難い。よって、端部弾性片を含む弾性片が相手側コネクタとの接続に適した一定位置にしっかりと保持され易く、所望の接触荷重を得易い。
【0021】
(6)(1)から(5)のいずれか1つのコネクタであって、前記弾性片は、前記端部弾性片とは異なる少なくとも1つの付加弾性片をさらに含み、前記端部弾性片および前記少なくとも1つの付加弾性片は、前記筒部の周方向において間隔をあけて並んでいてもよい。
【0022】
これにより、コネクタ用導体が相手側導体に良好に電気的に接続され得る。
【0023】
(7)(1)から(6)のいずれか1つのコネクタであって、内導体と、前記内導体が収容される絶縁体と、をさらに備え、前記筒部内には前記絶縁体が収容されていてもよい。
【0024】
この場合、内導体と、内導体が収容される絶縁体と、絶縁体を収容する外導体としてコネクタ用導体を備えるコネクタにおいて、コネクタ用導体を相手側の導体に良好に電気的に接続できる。
【0025】
(8)(7)のコネクタであって、前記第1外周側端部と前記筒形成部と前記第2外周側端部とは同径の筒形状をなすように連なっており、前記第1内周側端部および前記第2内周側端部はそれぞれ、前記筒形成部よりも内周側に突出しており、前記絶縁体の外周面に凹みが形成され、前記第1内周側端部および前記第2内周側端部は前記凹みに嵌っていてもよい。
【0026】
これにより、第1内周側端部および前記第2内周側端部を利用して、絶縁体に対してコネクタ用導体を位置決めできる。
【0027】
(9)(7)または(8)のコネクタであって、前記凹みは、前記第1内周側端部および前記第2内周側端部のうち前記端部弾性片に近い方の端部の前記端部弾性片側への変位を受止める位置規制面を有してもよい。
【0028】
この場合、第1内周側端部および第2内周側端部のうち端部弾性片に近い方の端部が端部弾性片側に変位しようとすると、当該端部が位置規制面にあたって、その変位が規制される。これにより、絶縁体に対してコネクタ用導体がより確実に位置決めされる。
【0029】
(10)(7)から(9)のいずれか1つのコネクタであって、前記凹みの底面は、前記第1内周側端部または前記第2内周側端部の内周側への変位を受止める位置に形成されていてもよい。
【0030】
これにより、第1内周側端部および第2内周側端部の内周側への変位が凹みの底面によって受止められるため、筒部が一定の筒形状に保たれ易い。
【0031】
(11)(7)から(10)のいずれか1つのコネクタであって、前記筒形成部と前記第1内周側端部との間に第1段差部が位置し、前記筒形成部と前記第2内周側端部との間に第2段差部が位置し、前記凹みは、前記筒部の周方向において前記第1段差部に対向する第1側面と、前記筒部の周方向において前記第2段差部に対向する第2側面とを有してもよい。
【0032】
この場合、筒部が開こうとすると、第1段差部が第1側面に接触し、第2段差部が第2側面に接触する。これにより、筒部の拡開が抑制される。
【0033】
(12)(7)から(11)のいずれか1つのコネクタであって、前記絶縁体は、前記凹みよりも前記端部弾性片に近い位置で、前記コネクタ用導体の内周側への変位を受止める受止め面を有してもよい。
【0034】
これにより、凹みによって第1内周側端部および第2内周側端部を位置決めしつつ、受止め面によってコネクタ用導体の内周側への変位を抑制できる。
【0035】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0036】
[実施形態]
以下、実施形態に係るコネクタについて説明する。本実施形態では、コネクタが同軸コネクタである例が説明される。なお、同軸コネクタとは、外導体とその内部の内導体が同軸上に位置するコネクタである。コネクタが同軸コネクタであることは必須ではなく、例えば、外導体内に複数の内導体が位置していてもよい。
【0037】
<機器の全体構成について>
同軸コネクタ60を備える機器10の例について説明する。
図1は同軸コネクタ60を備える機器10を示す斜視図である。
図2は
図1のII-II線断面図である。
【0038】
機器10は、例えば、カメラ機器である。カメラ機器は、例えば、車載用の機器である。機器10は、カメラ機器でなくてもよい。
【0039】
機器10は、ケース12と、電気部品20とを備える。ケース12内に電気部品20が収容されている。電気部品20に同軸コネクタ60が固定されている。
【0040】
ケース12は、第1ケース13と、第2ケース14とを備えている。第1ケース13および第2ケース14は、例えば、樹脂によって形成される。第1ケース13と第2ケース14とが合体することで、電気部品20を収容する直方体箱状のケース12が構成される。機器10がカメラ機器である場合、第1ケース13は撮像用のレンズまたは窓を有しており、第2ケース14が外部接続用同軸コネクタ30を有していることが想定される。
【0041】
外部接続用同軸コネクタ30は、電気部品20と、外部の電気部品とを接続するための同軸コネクタである。例えば、外部接続用同軸コネクタ30は、外部の電気部品に接続されたケーブルが接続される同軸コネクタである。外部接続用同軸コネクタ30が接続されるケーブルは、例えば、同軸ケーブルである。
【0042】
より具体的には、ケース12の底部15に保持筒部16が突設されている。保持筒部16は、円筒であり、底部15の中央部から外側に突出している。保持筒部16の内側開口は第2ケース14内に開口し、保持筒部16の外側開口は第2ケース14外に開口している。保持筒部16の中心軸Xに沿った方向(軸方向)の中間部に保持仕切部17が形成されている。本実施形態では、保持筒部16の中心軸Xに沿った方向の中間部であって内側開口寄りの位置に保持仕切部17が形成されている。保持仕切部17は、保持筒部16のうち内側開口側の空間と、外側開口側の空間とを仕切っている。保持仕切部17に保持孔17hが形成されており、当該保持孔17hに外部接続用同軸コネクタ30が挿入されて保持される。
【0043】
本実施形態では、保持筒部16の外周部に、ケーブルの端部に取付けられたケーブルコネクタを保持するための係止突部18aが形成されている。係止突部18aが形成されることは必須ではない。
【0044】
外部接続用同軸コネクタ30は、外部接続用内導体32と、外部接続用絶縁体34と、外部接続用外導体36とを備える。
【0045】
外部接続用内導体32は、細長い棒状に形成されており、金属等の導電材料によって形成されている。外部接続用絶縁体34は、樹脂等の絶縁体によって形成されており、外部接続用内導体32の周りを囲んでいる。本実施形態では、外部接続用絶縁体34は、誘電体である。外部接続用外導体36は、金属等の導電材料によって形成されている。外部接続用外導体36は、外部接続用絶縁体34の周りを囲む筒状に形成されている。
【0046】
電気部品20は、例えば、基板に電子部品が実装された実装基板である。機器10がカメラ機器である場合、電気部品20は、回路基板21と、当該回路基板21に実装された撮像素子22であることが想定される。撮像素子22は、第1ケース13の撮像用のレンズまたは窓に対向し、当該レンズまたは窓を回して外側景色を撮像する。以下、撮像素子22が向く第1ケース13側を前側、それとは反対側の第2ケース14側を後側という場合がある。
【0047】
本実施形態では、同軸コネクタ60は、回路基板21のうち撮像素子22とは反対側の面に位置している。同軸コネクタ60は、回路基板21に固定され、当該回路基板21から上記外部接続用同軸コネクタ30に向けて突出している。同軸コネクタ60は、基板側同軸コネクタである。同軸コネクタ60は、例えば、内導体62と、絶縁体70と、外導体80とを備える。内導体62に後述する可動側内導体42が接続される。絶縁体70は、内導体62の周りを囲んでいる。外導体80は、絶縁体70の周りを囲んでいる。つまり、内導体62と絶縁体70と外導体80とは、この順で中心から外周側に向かって同心円状に配置される。
【0048】
同軸コネクタ60と外部接続用同軸コネクタ30とが、中継コネクタ40を介して接続される。中継コネクタ40は、例えば、可動側内導体42と、可動側絶縁体44と、可動側外導体46とを備える。可動側内導体42の周囲を可動側絶縁体44が囲んでいる。本実施形態では、可動側絶縁体44は、誘電体である。可動側絶縁体44の周囲を可動側外導体46が囲んでいる。可動側内導体42は内導体62に接続される相手側内導体の一例であり、可動側外導体46は外導体80に接続される相手側外導体の一例であり、中継コネクタ40は同軸コネクタ60に接続される相手側同軸コネクタの一例であり、相手側コネクタの一例でもある。
【0049】
可動側内導体42が内導体62に挿入接続されると共に、外導体80が可動側外導体46に挿入接続された状態で、中継コネクタ40が同軸コネクタ60に接続されている。この状態で、中継コネクタ40は、同軸コネクタ60からさらに外部接続用同軸コネクタ30に向けて突出している。外部接続用内導体32が可動側内導体42に挿入接続されると共に、可動側外導体46が外部接続用外導体36に挿入接続されることで、中継コネクタ40が外部接続用同軸コネクタ30に接続される。これにより、中継コネクタ40が、同軸コネクタ60と外部接続用同軸コネクタ30とを中継接続する。
【0050】
これにより、外部からのケーブルが、当該外部接続用同軸コネクタ30に接続されることで、当該ケーブルの接続先である外部の電気部品と、ケース12内の電気部品20とが電気的に接続される。
【0051】
上記中継コネクタ40と同軸コネクタ60との接続状態において、可動側内導体42は内導体62に対して傾いた状態で挿入接続される。また、外導体80は、可動側外導体46に対して傾いた状態で挿入接続される。つまり、中継コネクタ40は、同軸コネクタ60に対して傾いた状態で接続され得る(
図2の矢印P1参照)。これにより、本機器10の組付作業時または完成状態において、同軸コネクタ60と外部接続用同軸コネクタ30とが同軸上で対向する位置からずれていたとしても(
図2の矢印P2参照)、同軸コネクタ60に対して中継コネクタ40が傾くことで、当該位置ずれが吸収される。
【0052】
<同軸コネクタについて>
同軸コネクタ60について具体的に説明する。
図3は同軸コネクタ60を示す斜視図である。
図4は同軸コネクタ60を示す分解斜視図である。
図5は同軸コネクタ60を示す底面図である。
図6は
図3のVI-VI線断面図である。
図7は
図5のVII-VII線断面図である。
【0053】
上記のように、同軸コネクタ60は、例えば、内導体62と、絶縁体70と、外導体80とを備える。
【0054】
内導体62は、細長い導電性部材である(
図2および
図4参照)。本実施形態では、内導体62は、金属板をプレス加工することによって形成されている。より具体的には、内導体62は、基端筒部64と、複数の弾性片66とを含む。
【0055】
基端筒部64は、筒状、より具体的には、円筒状に形成されている。基端筒部64は、絶縁体70の基端側に収容される。なお、同軸コネクタ60において先端とは可動側内導体42が接続される側の端であり、基端とは当該先端とは反対側の端、ここでは、回路基板21を向く側の端である。
【0056】
基端筒部64の基端側縁から基端筒部64の内側に向けて延長片64aが延出している。延長片64aは、例えば、回路基板21の回路に半田付される。
【0057】
基端筒部64は、周方向において部分的に外周側に突出する位置決め凸部64Pを有していてもよい。当該位置決め凸部64Pが絶縁体70内の凹部に嵌ることで、絶縁体70に対する内導体62の位置決めがなされてもよい。
【0058】
基端筒部64に係止突部64bが突設されている。係止突部64bは、基端筒部64の外周部から部分的に突出している。係止突部64bは、基端筒部64の先端から基端に向かって徐々に突出寸法が大きくなる形状に形成されている。基端筒部64が絶縁体70内に挿入された状態で、係止突部64bが絶縁体70の内周部に引っ掛って、内導体62が絶縁体70から抜止め状態で保持される。
【0059】
複数の弾性片66は、基端筒部64の先端側開口からさらに先端側に突出している。好ましくは、複数の弾性片66は、筒部72の中心軸X周りに等間隔で位置する。本実施形態では、2つの弾性片66が基端筒部64の中心軸X周りで対向している。
【0060】
中継コネクタ40の可動側内導体42は、2つの弾性片66の先端側から当該2つの弾性片66間に向けて挿入される。可動側内導体42が、当該2つの弾性片66によって挟込まれた状態となることで、可動側内導体42が内導体62に接続される。
【0061】
絶縁体70は、樹脂等によって形成されている。誘電体は絶縁体の一種と把握でき、絶縁体70は、誘電体でもある。絶縁体70は、例えば、金型成形樹脂部品である。
【0062】
絶縁体70は、筒部72と、先端ガイド部76とを備える。
【0063】
筒部72は、内導体62を収容可能な筒状に形成されている。本実施形態では、筒部72は、円筒状に形成されており、その内部に円柱状空間が形成されている。当該円柱状空間内に、内導体が収容される。
【0064】
筒部72の外周面は、中心軸Xを中心とする円周面形状に形成されている。筒部72の外周側に外導体80が配置される。筒部72の外周部の周方向の一部に位置決め用の凹み72gが形成されている。凹み72gは、筒部72の周方向において互いに対向し合う一対の第1側面72g1a、第2側面72g1bと筒部72の基端側を向く位置規制面72g2とを有している(
図4参照)。後述する第2端部88が当該凹み72gに嵌る。この状態で、第2端部88が一対の側面72g1a、72g1bと位置規制面72g2とによって位置規制される。これにより、絶縁体70に外嵌めされた外導体80が、当該絶縁体70に対して中心軸X周りにおおきく回転すること、および、先端側に移動することが規制される。
【0065】
筒部72の外周面には、複数(ここでは4つ)の細長い突状部72aが形成されている。各突状部72aは、中心軸Xと平行に延びている。複数の突状部72aは、筒部72の外周面において、中心軸X周りに均等間隔で位置していることが好ましい。突状部72aが、筒部82の内周面に対して周方向に分散した位置で接触する。
【0066】
先端ガイド部76は、筒部72の先端側に位置している。先端ガイド部76は、可動側内導体42を挿入可能な挿入孔77を有している。筒部72の中心軸Xは、挿入孔77の中心軸Xと一致している。
【0067】
挿入孔77の内周面は、筒部72内に向かって徐々に縮径するテーパ状に形成されている。可動側内導体42の先端部が挿入孔77のテーパ状の内周面によって複数の弾性片66の間に向けて案内される。
【0068】
また、先端ガイド部76の外周部は、筒部72よりも外周側に突出している。先端ガイド部76の外周部に、基端側に向かって徐々に拡径する外周側ガイド面78が形成されている。外周側ガイド面78は、可動側外導体46の筒形状部分を、外導体80の外側に案内する役割を果すことができる。
【0069】
先端ガイド部76のうち基端側を向く環状裏面は、筒部72の中心軸Xに対して直交するように延在している。後述する弾性片90、96は、環状裏面よりも基端側で、筒部72の径方向に弾性変形することができる。
【0070】
外導体80は、金属等の導電材料によって形成されており、絶縁体70の周りを囲んでいる。外導体80は、例えば、金属板をプレス加工等することによって形成される。
【0071】
外導体80は、筒部82と、弾性片90、96とを備える。本実施形態では、外導体80は、弾性片として、端部弾性片90と付加弾性片96とを備える。
【0072】
筒部82は、内側に筒部72を配置可能な筒状に形成されている。筒部82のうち先端側開口縁から端部弾性片90および少なくとも1つの付加弾性片96が延出している。端部弾性片90および少なくとも1つの付加弾性片96は、筒部82の周方向において間隔をあけて並ぶ。本実施形態では、端部弾性片90は1つであり、付加弾性片96は7つである。これらの端部弾性片90および少なくとも1つの付加弾性片96が、筒部82の周方向において等間隔で並ぶ。
【0073】
筒部82内に絶縁体70の基端部が収容された状態で、これらの端部弾性片90および少なくとも1つの付加弾性片96は、先端ガイド部76と筒部82との間で、筒部72の周りを囲む。
【0074】
中継コネクタ40の可動側外導体46が先端ガイド部76の外周側ガイド面78によって、端部弾性片90および付加弾性片96の外周側に案内される。これにより、端部弾性片90および付加弾性片96が、可動側外導体46に対して内周側から接触し、外導体80と可動側外導体46とが接続される。
【0075】
<外導体について>
コネクタ用導体の一例である外導体80についてより具体的に説明する。
図8は外導体80を示す斜視図である。
図2から
図8に示すように、外導体80は、筒部82と、筒部82の先端側の開口縁から延出する弾性片90、96を備える。本実施形態では、弾性片90は、端部弾性片90および付加弾性片96を含む。
【0076】
筒部82は、絶縁体70に外嵌めされる部分である。つまり、筒部82内に絶縁体70が収容される。筒部82は、絶縁体70に対して一定位置に保持され、外導体80を絶縁体70に対して一定位置に支持する役割を果す。また、例えば、筒部82の基端側開口が回路基板21の回路、例えば、アース回路に半田付されていれば、可動側外導体46をアース回路に接地する役割を果すことができる。
【0077】
筒部82は、第1端部84と、筒形成部86と、第2端部88とを備える。
【0078】
筒形成部86は、筒形状、ここでは、部分的な筒形状をなしている。筒形成部86の周方向の一端側に第1端部84が連なっている。筒形成部86は、第1端部84と共に筒形状をなす。より具体的には、第1端部84と筒形成部86とが1周分の筒形状をなしている。第1端部84は、筒形成部86における周方向の一方側の端部である。
【0079】
第2端部88は、筒形成部86に対して第1端部84とは反対側に連なっている。第2端部88は、筒形成部86における周方向の他方の端部である。第1端部84と第2端部88との間に筒形成部86が位置している。
【0080】
第1端部84の少なくとも一部が第2端部88に重ね合わされる。つまり、第1端部84と筒形成部86と第2端部88とは、1周の筒形状を越える形状に形成されており、当該1周を越えた分、筒部82の両端部が重ね合わされる。
【0081】
第1端部84は、第1内周側端部84aと第1外周側端部84bとを有する。第2端部88は、第2内周側端部88aと、第2外周側端部88bとを有する。第1内周側端部84aが第2外周側端部88bの内周側に重ねられると共に、第2内周側端部88aが第1外周側端部84bの内周側に重ねられた状態で、第1端部84と第2端部88とが固定されている。
【0082】
より具体的には、第1端部84の周方向先端から基端に向かって筒部82の周方向に沿うスリット84Sが形成されている。第1内周側端部84aと第1外周側端部84bとの間にスリット84Sが位置し、当該スリット84Sが第1内周側端部84aと第1外周側端部84bとを分断している。スリット84Sは、対向する一対の内面が離れている隙間を有するスリットであってもよいし、対向する一対の内面が接触している切れ目のようなスリットであってもよい。本実施形態では、第1内周側端部84aは、第1外周側端部84bよりも弾性片90、96の近くに位置する。
【0083】
また、第2端部88の周方向先端から基端に向かって筒部82の周方向に沿うスリット88Sが形成されている。第2内周側端部88aと第2外周側端部88bとの間にスリット88Sが位置し、当該スリット88Sが第2内周側端部88aと第2外周側端部88bとを分断している。スリット84Sとスリット88Sとは、中心軸X方向において同じ位置で筒部82の周方向に延びている。スリット88Sは、対向する一対の内面が離れている隙間を有するスリットであってもよいし、対向する一対の内面が接触している切れ目のようなスリットであってもよい。本実施形態では、第2内周側端部88aは、第2外周側端部88bよりも弾性片90、96から離れて位置する。
【0084】
第1内周側端部が、第1外周側端部よりも弾性片から離れて位置し、第2内周側端部が、第2外周側端部よりも弾性片の近くに位置してもよい。
【0085】
上記第1外周側端部84bと筒形成部86と第2外周側端部88bとは、同径の筒形状をなすように連なっている。つまり、第1外周側端部84bと筒形成部86と第2外周側端部88bとは、中心軸Xを中心として同じ曲率半径をなす形状に形成されている。第1外周側端部84bと筒形成部86と第2外周側端部88bとは1周を越えて延びており、第1外周側端部84bの先端部と第2外周側端部88bの先端部とが、中心軸Xに沿った方向において隣合っている。
【0086】
第1内周側端部84aと第2内周側端部88aとは、筒形成部86よりも内周側に突出している。本実施形態では、筒形成部86と第1内周側端部84aとの間に第1段差部84kが位置する。第1段差部84kは、筒形成部86に対して内周側に突出しており、当該第1段差部84kによって第1内周側端部84aから筒形成部86側に向く面が形成される。また、筒形成部86と第2内周側端部88aとの間に第2段差部88kが位置する。第2段差部88kは、筒形成部86に対して内周側に突出しており、当該第2段差部88kによって第2内周側端部88aから筒形成部86側に向く面が形成される。
【0087】
第1内周側端部84aおよび第2内周側端部88aは、筒部82の厚み分、第1外周側端部84b、第2外周側端部88bおよび筒形成部86に対して内周側に突出している。
【0088】
第1内周側端部84aの少なくとも一部と第2内周側端部88aの少なくとも一部とは、筒部82の周方向において重複していることが好ましい。
【0089】
筒部82内に絶縁体70の筒部72が収容された状態で、第1内周側端部84aと第2内周側端部88aが筒部72の位置決め用の凹み72gに嵌り込む。この状態で、第1内周側端部84aおよび第2内周側端部88aが凹み72gの一対の側面72g1a、72g1bのいずれかに接触する範囲で、絶縁体70に対する外導体80の回転止がなされる。第1内周側端部84aおよび第2内周側端部88aの先端面が一対の側面72g1a、72g1bにあたることによって回転規制がなされてもよいし、段差部84kおよび段差部88kが一対の側面72g1a、72g1bにあたることによって回転規制がなされてもよい。
【0090】
また、筒部82が拡開しようとすると、第1段差部84kおよび第2段差部88kが互いに離れる方向に移動して第1側面72g1aまたは第2側面72g1bに接触する。これにより、筒部82の拡開が規制される。
【0091】
絶縁体70の外周方向における凹み72gの幅は、同方向における第1内周側端部84aおよび第2内周側端部88aの最大幅と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0092】
第1内周側端部84aおよび第2内周側端部88aのうちの一方、本実施形態では、第1内周側端部84aが凹み72gの位置規制面72g2に接触することで、絶縁体70の筒部72が外導体80の筒部82内に過挿入されることが抑制される。
【0093】
凹み72gの底面72gbは、第1内周側端部84aまたは第2内周側端部88aの内周側への変位を受止める位置に形成されていることが好ましい。
【0094】
本実施形態では、底面72gbは、中心軸Xに平行な面に形成されている。第1内周側端部84aおよび第2内周側端部88aが凹み72g内に配置された状態で、第1内周側端部84aの先端が凹み72gの一対の側面72g1a、72g1bの一方(例えば第1側面72g1a)寄りに位置する。この状態で、第1内周側端部84aの先端が底面72gbに接する。これにより、底面72gbが第1内周側端部84aの内周側への変位を受止めることができる。
【0095】
底面72gbは、かしめ固定部83a、83bによる内側への突出部分に接触したり、段差部84k、88kに接触したりすることで、第1内周側端部84aまたは第2内周側端部88aの内周側への変位を受止めてもよい。
【0096】
底面72gbと、第1内周側端部84aまたは第2内周側端部88aとが接していることは必須ではない。例えば、第1内周側端部84aまたは第2内周側端部88aと底面72gbとの間に、1mm以下の隙間が形成されており、内周側へ変位した第1内周側端部84aまたは第2内周側端部88aが底面72gbに接することによって、当該底面72gbが第1内周側端部84aまたは第2内周側端部88aの内周側への変位を受止める構成であってもよい。
【0097】
凹み72gは、第1内周側端部84aおよび第2内周側端部88aのうち端部弾性片90に近い方の端部(ここでは第1内周側端部84a)の端部弾性片90側への変位を受止める位置規制面72g2を有してもよい。本実施形態では、凹み72gのうち端部弾性片90側の面が、中心軸Xに対して直交する位置規制面72g2に形成されている。凹み72g内に配置された第1内周側端部84aが端部弾性片90側に変位すると、第1内周側端部84aのうち端部弾性片90側の端面が当該位置規制面72g2に接触して、端部弾性片90側への第1内周側端部84aの変位を規制する。
【0098】
なお、絶縁体70は、凹み72gよりも端部弾性片90に近い位置で、外導体80の内周側への変位を受止める受止め面70fを有していてもよい。
【0099】
本実施形態では、絶縁体70のうち凹み72gよりも先端側に受止め面70fを有する。受止め面70fは、底面72gbよりも第2端部88の厚み分突出している。このため、受止め面70fは、外導体80のうちベース端部84cの内面側に位置することができる。この状態で、ベース端部84cが受止め面70fに接する。これにより、受止め面70fが、筒部82、ここでは、ベース端部84cの内周側への変位を受止めることができる。
【0100】
受止め面70fとベース端部84cとが接していることは必須ではない。例えば、受止め面70fとベース端部84cとの間に、1mm以下の隙間が形成されており、内周側へ変位したベース端部84cが受止め面70fに接することによって、当該受止め面70fがベース端部84cの内周側への変位を受止める構成であってもよい。
【0101】
受止め面70fは、内周側への端部弾性片90の基端の変位を受止めてもよい。
【0102】
第1内周側端部84aと第2外周側端部88bとが第1固定部83aによって重ね合わせ状態に保たれている。第1外周側端部84bと第2内周側端部88aとが第2固定部83bによって重ね合わせ状態に保たれている。
【0103】
本実施形態では、第1固定部83aは、第1かしめ固定部83aであり、第2固定部83bは、第2かしめ固定部83bである。
【0104】
第1かしめ固定部83aは、第1内周側端部84aと第2外周側端部88bとをかしめて固定する部分であり、第2かしめ固定部83bは、第1外周側端部84bと第2内周側端部88aとをかしめて固定する部分である。
【0105】
本実施形態では、第1内周側端部84aと第2外周側端部88bとの一方に塑性変形によって凸部84pが形成され、他方に塑性変形によって凹部84qが形成されている。凸部84pが凹部84qに嵌り合うことによって、第1内周側端部84aと第2外周側端部88bとが重ね合わせ状態に保たれる。
【0106】
より具体的には、例えば、重ね合わされた第1内周側端部84aと第2外周側端部88bとが、凸部を有するプレス型と、凹部を有するプレス型との間に挟まれてプレスされる。すると、第1内周側端部84aおよび第2外周側端部88bの一部が、プレス型の凸部からプレス型の凹部に向けて同士に押出プレスされる。第1内周側端部84aと第2外周側端部88bに、嵌り合った凸部84pおよび凹部84qが同時にプレス成形される(
図7参照)。例えば、第1内周側端部84aの外周面にプレス型の凸部が押付けられ、第2外周側端部88bの内周面にプレス型の凹部が配置される。プレス加工によって、第1内周側端部84aに、内周側に突出する凸部84pが形成される。また、第2外周側端部88bの外周面に凹部84qが形成される。第1内周側端部84aの凸部84pが第2外周側端部88bの凹部84qに嵌り込んで、第1内周側端部84aと第2外周側端部88bとが重ね合わせ状態に保たれる。
【0107】
かかる接合構造は、例えば、スポットかしめと呼ばれる構造またはドローロックと呼ばれる構造であってもよい。
【0108】
第1外周側端部84bと第2内周側端部88aとについても、同様に塑性変形によって形成された凹部と凸部との嵌り合い構造によって、重ね合わせ状態に保たれる。
【0109】
端部弾性片90の少なくとも一部は、第1端部84のうち開口縁から筒部82の周方向の中心軸方向の一方側に向かって延出している。より具体的には、端部弾性片90は、筒部82の一方側の開口縁から延出し、相手側の端子としての可動側外導体46に接続される部分である。端部弾性片90の少なくとも一部は、筒部82の一方側の開口縁のうち第1端部84から延出している。
【0110】
より具体的には、上記第1内周側端部84aおよび第1外周側端部84bを含む領域を重ね合わせ端部84wと把握する。
【0111】
本実施形態では、第1端部84は、重ね合わせ端部84wよりも、開口縁側、即ち、端部弾性片90側に位置するベース端部84cを有する。重ね合わせ端部84wとベース端部84cとの間にベース分離スリット84SSが形成されている。ベース分離スリット84SSは、第1端部84の周方向先端から基端に向かって筒部82の周方向に沿うスリットである。ベース分離スリット84SSと上記スリット84Sとは間隔をあけて並行に延びている。ベース端部84cのうち端部弾性片90側の縁は、筒形成部86の縁と共に筒部82の円状の開口縁をなしている。
【0112】
端部弾性片90は、当該ベース端部84cと筒形成部86との開口縁から中心軸X方向の一方側に向かって延出している。なお、ベース端部84cが省略され、端部弾性片が第1内周側端部から延出していてもよい。端部弾性片に近い側に第1外周側端部が配置される場合には、端部弾性片は当該第1外周側端部から延出していてもよい。
【0113】
端部弾性片90は、傾斜部92と、膨出部93と、先端ガイド部94とを有する。傾斜部92と膨出部93と先端ガイド部94とは、筒部82から当該筒部82の中心軸Xの一方側に向けてこの順で連なっている。
【0114】
傾斜部92は、ベース端部84cと直接連なり、当該ベース端部84cからさらに延出する板状部分である。
【0115】
傾斜部92は、ベース端部84cのうち開口側の縁から中心軸Xに対して傾斜(ここでは外周側に傾斜)するように延びている。よって、端部弾性片90の傾斜部92とベース端部84cとの間に曲げ箇所91Vが形成されている。端部弾性片90は、主として当該曲げ箇所91Vから先端側部分で筒部82の内外方向に弾性変形することができる。
【0116】
膨出部93は、傾斜部92の先端から外向きに凸となる曲面をなしつつ中心軸Xの一方側に向かっている。膨出部93のうち最も外周側に突出する部分が、筒部82の径方向において外側を向き、可動側外導体46に接触する接点部93aである。
【0117】
先端ガイド部76は、膨出部93の先端から中心軸Xの一方側に向かって内周側に傾斜している。
【0118】
外導体80が可動側外導体46内に挿入される際に、先端ガイド部76が可動側外導体46の開口縁に接触することで、端部弾性片90を可動側外導体46の内周側に案内する。外導体80が可動側外導体46内に挿入された状態で、主として傾斜部92が内周側に弾性変形する。傾斜部92が元の形状に戻ろうとする弾性力によって、接点部93aが可動側外導体46の内周面に弾性的に押付けられる。この状態で、端部弾性片90の基端に連なる第1端部84には、内周側に向かう力が作用する。このため、第1端部84が内周側に変位しないようにしっかりと支持することが望まれる。上記のように、第1内周側端部84aと第2外周側端部88bとの重ね合わせ構造と、第1外周側端部84bと第2内周側端部88aとの重ね合わせ構造とによって、筒部82の両端が固定されるため、第1端部84が内周側に変位しないようにしっかりと支持される。
【0119】
上記したように、外導体80は、筒部82開口縁から延出する少なくとも1つの付加弾性片96をさらに含む。本実施形態では、外導体80は、複数の付加弾性片96を含んでおり、具体的には、7つの付加弾性片96を含む。つまり、外導体80は、複数の弾性片90、96を含み、より具体的には、8つの弾性片90、96を含む。
【0120】
付加弾性片96は、筒部82に支持された箇所を除き、端部弾性片90と同様形状に形成されている。
【0121】
複数の弾性片90、96は、当該筒部82の周方向において等間隔で並ぶように支持されている。なお、等間隔とは、誤差範囲内の同一性(例えば、中心軸X周りで±5度の範囲内で同じ)を含む。筒部82の中心軸Xに沿って見ると、複数の弾性片90、96は、当該筒部82の中心軸Xを中心として放射状に並ぶ。
【0122】
外導体80が可動側外導体46に挿入された状態で、複数の弾性片90、96が可動側外導体46の内周部にその周方向に沿って均等間隔で接する。複数の弾性片90、96が同じ形状であること、および、筒部82の周方向に沿って均等間隔で並ぶことから、複数の弾性片90、96は、同じ条件で可動側外導体46に押付けられる。また、仮に複数の弾性片が切れ目のある筒部材によって支持されている場合、当該切れ目近くでは筒部材が内外方向に弾性変形し得るため、弾性片を支える力が弱くなり、当該弾性片を相手側導体に押付ける弾性力が弱くなる可能性がある。本実施形態では、第1端部84は、第2端部88によって支持されているため、端部弾性片90の基端を一定位置に支持し易く、従って、端部弾性片90が可動側外導体46に所望の設計上の接触荷重で押付けた状態に保ち易い。
【0123】
<効果等>
以上のように構成された同軸コネクタ60によると、第1内周側端部84aが第2外周側端部88bの内周側に重ねられると共に、第1外周側端部84bが第2内周側端部88aの外周側に重ねられているため、第1端部84が第2端部88に対して内周側および外周側の両方向の位置決めされる。このため、筒部82が一定の形状に保たれ易い。よって、端部弾性片90を含む弾性片90、96が相手側の可動側外導体46との接続に適した一定位置にしっかりと保持され易く、所望の接触荷重を得易い。
【0124】
また、第1内周側端部84aおよび第2外周側端部88bが第1固定部83aによって重ね合わせ状態に保たれ、第1外周側端部84bおよび第2内周側端部88aとが第2固定部83bによって重ね合わせ状態に保たれている。このため、筒部82がより確実に一定の形状に保たれ易い。よって、同軸コネクタ60を相手側の可動側外導体46に接続する際に、より所望の接触荷重を得易い。
【0125】
また、第1固定部83aは第1かしめ固定部83aであり、第2固定部83bは第2かしめ固定部83bであるため、切削加工や板材の溶接加工によって外導体80を形成する場合と比較して、当該外導体80を低コストで製造できる。
【0126】
また、第1内周側端部84aおよび第2外周側端部88bの間にスリット84Sが形成されているため、第1内周側端部84aおよび第1外周側端部84bを、筒部82の周方向において重なり合う位置に設定しつつ、筒部82の径方向において異なる位置にずらして配置し易い。また、第2内周側端部88aと第2外周側端部88bとの間にスリット84Sが形成されているため、第2内周側端部88aおよび第2外周側端部88bを、筒部82の周方向において重なり合う位置に設定しつつ、筒部82の径方向において異なる位置にずらして配置し易い。スリット84S、88Sによって、第1内周側端部84aおよび第2外周側端部88bの重ね合わせ箇所と、第1外周側端部84bおよび第2内周側端部88aの重ね合わせ箇所とを、筒部82の周方向において近い位置に設定し易くなり、第1端部84が第2端部88部に対して内周側および外周側の両方向に、より確実に位置決めされる。
【0127】
また、第1端部84は、重ね合わせ端部84wよりも開口縁側に位置するベース端部84cを有し、重ね合わせ端部84wとベース端部84cとの間にベース分離スリット84SSが形成されている。このため、重ね合わせ端部84wの加工の影響がベース端部84cに及び難い。よって、端部弾性片90を含む弾性片90、96が相手側の可動側外導体46との接続に適した一定位置にしっかりと保持され易く、所望の接触荷重を得易い。
【0128】
また、弾性片90は、端部弾性片90と少なくとも1つの付加弾性片96とを含み、端部弾性片90と少なくとも1つの付加弾性片96とが、筒部82の周方向において間隔をあけて並ぶ。このため、複数の弾性片90、96は、筒部82の周方向において分散した複数箇所で可動側外導体46に押付けられ、外導体80が可動側外導体46に良好に電気的に接続され易い。
【0129】
また、内導体62と、内導体62を収容する絶縁体70と備えており、筒部82内に絶縁体70が収容されている同軸コネクタ60において、外導体80を相手側の可動側外導体46に良好に電気的に接続できる。
【0130】
また、第1内周側端部84aおよび第2内周側端部88aとは、筒形成部86よりも内周側に突出しており、当該第1内周側端部84aおよび第2内周側端部88aが絶縁体70の凹み72g内に嵌っている。これにより、第1内周側端部84aおよび第2内周側端部88aを利用して、絶縁体70に対して外導体80を位置決めできる。
【0131】
また、第1内周側端部84aおよび第2内周側端部88aが端部弾性片90側に変位しようとすると、第1内周側端部84aおよび第2内周側端部88aのうち端部弾性片90側に近い端部、ここでは、第1内周側端部84aが凹み72gの位置規制面72g2にあたって、その変位が規制される。これにより、絶縁体70に対して外導体80がより確実に位置決めされる。
【0132】
また、第1内周側端部84aおよび第2内周側端部88aが内周側に変位しようとすると、第1内周側端部84aまたは第2内周側端部88aが凹み72gの底面72gbにあたって、その変位が規制される。これにより、筒部82が一定の筒形状に保たれ易い。
【0133】
また、筒形成部86と第1内周側端部84aとの間に第1段差部84kが位置し、筒形成部86と第2内周側端部88aとの間に第2段差部88kが位置している。このため、筒部82が開こうとすると、第1段差部84kが凹み72gの第1側面72g1aに接触し、第2段差部88kが凹み72gの第2側面72g1bに接触する。これにより、筒部82の拡開が抑制される。
【0134】
筒部82の拡開を抑制するという観点からは、
図9に示す変形例に係る同軸コネクタ160のように、凹み72gに対応する凹み172gの側面172g1a、172g1bのそれぞれを、第1内周側端部84aに対応する第1内周側端部184aの第1段差部184kおよび第2内周側端部88aに対応する第2内周側端部188aの第2段差部188kになるべく近接させることが好ましい。例えば、側面172g1a、172g1bのそれぞれを、対向する第1段差部184kまたは第2段差部188kに対して1mm以下の距離に近接させてもよい。この場合、第1内周側端部184aおよび第2内周側端部188aの先端面を、筒部82の周方向において第1段差部184kまたは第2段差部188kに近い位置または第1段差部184kまたは第2段差部188kよりも突出しない手前の位置に配置するとよい。
【0135】
また、絶縁体70が、凹み72gよりも端部弾性片90に近い位置に、受止め面70fを有しているため、凹み72gによって第1内周側端部84aおよび第2外周側端部88bを位置決めしつつ、受止め面70fによって外導体80の内周側への変位を抑制でき、筒部82がより確実に筒形状に保たれる。
【0136】
[変形例]
上記実施形態では、第1固定部83aおよび第2固定部83bがかしめ固定部である例が説明された。固定部は、レーザ溶接、抵抗溶接等による溶接部であってもよいし、はんだ付固定部であってもよい。第1固定部および第2固定部が省略され、第1内周側端部84aおよび第2外周側端部88bと、第2内周側端部88aおよび第2外周側端部88bとが内外周側から互い違いに挟込む構成によって、筒部82の端部が固定されてもよい。
【0137】
また、上記実施形態では、第1内周側端部84aと第2外周側端部88bとが重ね合わされ、第1外周側端部84bと第2内周側端部88aとが重ね合わされる例が説明された。重ね合される内周側端部および外周側端部の組合わせは、3つ以上存在してもよい。
【0138】
上記実施形態において、外導体80の筒部82に係る構成が、他のコネクタ用導体の筒部に適用されてもよい。例えば、上記実施形態における内導体62の基端筒部64に、複数組の内周側端部および外周側端部が、内周側および外周側の位置を交互に変えて、重ね合わされる構成が適用されてもよい。
【0139】
なお、上記実施形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0140】
10 機器
12 ケース
13 第1ケース
14 第2ケース
15 底部
16 保持筒部
17 保持仕切部
17h 保持孔
18a 係止突部
20 電気部品
21 回路基板
22 撮像素子
30 外部接続用同軸コネクタ
32 外部接続用内導体
34 外部接続用絶縁体
36 外部接続用外導体
40 中継コネクタ
42 可動側内導体
44 可動側絶縁体
46 可動側外導体
60、160 同軸コネクタ(コネクタ)
62 内導体
64 基端筒部
64P 位置決め凸部
64a 延長片
64b 係止突部
66 弾性片
70 絶縁体
70f 受止め面
72 筒部
72a 突状部
72g、172g 凹み
72g1a、172g1a 第1側面
72g1b、172g1b 第2側面
72g2 位置規制面
72gb 底面
76 先端ガイド部
77 挿入孔
78 外周側ガイド面
80 外導体(コネクタ用導体)
82 筒部
83a 第1固定部(第1かしめ固定部)
83b 第2固定部(第2かしめ固定部)
84 第1端部
84S、88S スリット
84SS ベース分離スリット
84a、184a 第1内周側端部
84b 第1外周側端部
84c ベース端部
84k、184k 第1段差部
84p 凸部
84q 凹部
84w 重ね合わせ端部
86 筒形成部
88 第2端部
88a、188a 第2内周側端部
88b 第2外周側端部
88k、188k 第2段差部
90 端部弾性片(弾性片)
91V 曲げ箇所
92 傾斜部
93 膨出部
93a 接点部
94 先端ガイド部
96 付加弾性片(弾性片)
X 中心軸