IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.の特許一覧

<>
  • 特開-積層型電子部品 図1
  • 特開-積層型電子部品 図2
  • 特開-積層型電子部品 図3
  • 特開-積層型電子部品 図4a
  • 特開-積層型電子部品 図4b
  • 特開-積層型電子部品 図4c
  • 特開-積層型電子部品 図5
  • 特開-積層型電子部品 図6
  • 特開-積層型電子部品 図7
  • 特開-積層型電子部品 図8
  • 特開-積層型電子部品 図9
  • 特開-積層型電子部品 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025084080
(43)【公開日】2025-06-02
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20250526BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 513
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024193948
(22)【出願日】2024-11-05
(31)【優先権主張番号】10-2023-0162516
(32)【優先日】2023-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョン ホーン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ビュン ウー
(72)【発明者】
【氏名】カン、シム チュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、チャン ス
(72)【発明者】
【氏名】カン、イェオン ソン
(72)【発明者】
【氏名】リー、サン ヒュク
(72)【発明者】
【氏名】リー、セウン ジュン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC01
5E082AB03
5E082EE12
5E082EE16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】信頼性に優れた積層型電子部品を提供する。
【解決手段】積層型電子部品は、本体、複数の内部電極121、122及び外部電極を含み、複数の内部電極は、メイン部及びメイン部から第3面または第4面に向かって延び、外部電極と接する接続端E11を有するリード部121bを含み、リード部は、メイン部121aから接続端に向かうにつれて第3方向への幅が徐々に減少し、メイン部は、リード部と離隔した端部に配置された第1サドル(saddle)部を含み、リード部は、上記第3方向の側端に配置された第2サドル部を含み、第1サドル部及び第2サドル部は、それぞれメイン部の第2方向の中央部よりも第1方向への厚さが厚く、リード部は複数の内部電極のうち、隣接する他の内部電極のメイン部と第1方向に重なり合う重なり領域を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層と第1方向に交互に配置される複数の内部電極を含み、前記第1方向に向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3面及び第4面、前記第1面、前記第2面、前記第3面及び前記第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5面及び第6面を含む本体と、
前記第3面及び前記第4面に配置される外部電極と、を含み、
前記複数の内部電極は、メイン部、及び前記メイン部から前記第3面または前記第4面に向かって延び、前記外部電極と接する接続端を有するリード部を含み、
前記リード部は、前記メイン部から前記接続端に向かうにつれて前記第3方向への幅が徐々に減少し、
前記メイン部は、前記リード部と離隔した端部に配置された第1サドル(saddle)部を含み、前記リード部は、前記第3方向の側端に配置された第2サドル部を含み、
前記第1サドル部及び前記第2サドル部は、それぞれ前記メイン部の前記第2方向の中央部よりも前記第1方向への厚さが厚く、
前記リード部は、前記複数の内部電極のうち隣接する他の内部電極のメイン部と前記第1方向に重なり合う重なり領域を有する、積層型電子部品。
【請求項2】
前記接続端の前記第3方向への幅をW1、前記メイン部の前記第3方向への幅をW2とするとき、W1/W2は0.4以上0.75以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記重なり領域の前記第2方向への最大長さをLoとするとき、前記Loは25μm以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記Loは75μm以下である、請求項3に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記第1サドル部の前記第1方向への最大厚さをt1、前記メイン部の前記第2方向の中央部の前記第1方向への平均厚さをteとするとき、前記teに対する前記t1の割合(t1/te)は、1.045以上1.085以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記リード部のうち、前記重なり領域を除いた領域をマージン領域とするとき、
前記マージン領域の前記第2方向への最大長さは、5μm以上45μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記リード部の前記第3方向の側端は曲線状を有する、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記メイン部は、前記複数の内部電極のうち隣接する他の内部電極と前記第1方向に重ならない非重なり領域を含み、
前記メイン部の全体面積に対する前記非重なり領域の面積割合は、0.8%以上1.5%以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記非重なり領域は、前記メイン部の前記リード部と離隔した端部の前記第3方向の両端に配置される、請求項8に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記本体は、前記第3面と前記第5面との間、前記第3面と前記第6面との間、前記第4面と前記第5面との間、及び前記第4面と前記第6面との間を連結してラウンド形状を有するコーナー部を有し、
前記接続端は前記コーナー部と離隔した、請求項1から9のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記コーナー部の曲率半径をRc、前記メイン部の前記第3方向の側端と前記第5面又は前記第6面までの距離をWmとするとき、
前記Rc及びWmはRc>Wmを満たす、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記Rc及びWmは、Rc≦22μm及びWm≦20μmを満たす、請求項11に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
誘電体層、及び前記誘電体層と第1方向に交互に配置される複数の内部電極を含み、前記第1方向に向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3面及び第4面、前記第1面、前記第2面、前記第3面及び前記第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5面及び第6面を含む本体と、
前記第3面及び前記第4面に配置される外部電極と、を含み、
前記複数の内部電極は、メイン部、及び前記メイン部から前記第3面または前記第4面に向かって延び、前記外部電極と接する接続端を有するリード部を含み、
前記リード部は、前記メイン部から前記接続端に向かうにつれて前記第3方向への幅が徐々に減少し、前記複数の内部電極のうち隣接する他の内部電極のメイン部と前記第1方向に重なり合う重なり領域を有し、
前記接続端の前記第3方向への幅をW1、前記メイン部の前記第3方向への幅をW2とするとき、W1/W2は0.4以上0.75以下である、積層型電子部品。
【請求項14】
前記重なり領域の前記第2方向への最大長さをLoとするとき、前記Loは25μm以上である、請求項13に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記Loは75μm以下である、請求項14に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記リード部のうち、前記重なり領域を除いた領域をマージン領域とするとき、
前記マージン領域の前記第2方向への最大長さは、5μm以上45μm以下である、請求項13から15のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項17】
前記メイン部は、前記複数の内部電極のうち隣接する他の内部電極と前記第1方向に重ならない非重なり領域を含み、
前記メイン部の全体面積に対する前記非重なり領域の面積割合は、0.8%以上1.5%以下である、請求項13から15のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項18】
前記非重なり領域は、前記メイン部の前記リード部と離隔した端部の前記第3方向の両端に配置される、請求項17に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。かかる積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として用いられることができる。
【0003】
積層セラミックキャパシタの本体は、一般的に誘電体層と内部電極が交互に配置された構造を有している。一方、積層セラミックキャパシタの絶縁破壊電圧(BDV)は誘電体層の厚さに比例する。したがって、積層セラミックキャパシタの容量を改善するために誘電体層を薄層化するが、絶縁破壊電圧の散布を改善するために誘電体層の厚さを均一にすることが重要である。
【0004】
一方、内部電極用導電性ペーストを印刷して内部電極パターンを形成する場合、内部電極パターンの周縁は、内部電極パターンの他の部分よりも局部的に厚さが厚いサドル(saddle)形状を有することができる。
【0005】
このとき、内部電極パターンの端部が積層方向に重なると、当該領域で誘電体層の厚さが局部的に薄くなる現象が発生して、積層セラミックキャパシタの絶縁破壊電圧の散布が不均一になるという問題点が発生することがある。
【0006】
特に、積層セラミックキャパシタの耐湿信頼性等を改善するために、内部電極が外部電極と接触するリード部の幅が狭いボトルネック構造を有する場合、内部電極パターンの端部が積層方向に重なり合うことを確実に防止する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の様々な目的のうち一つは、信頼性に優れた積層型電子部品を提供することである。
【0008】
但し、本発明の目的は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、誘電体層、及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置される複数の内部電極を含み、上記第1方向に向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3面及び第4面、上記第1面~第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5面及び第6面を含む本体及び上記第3面及び第4面に配置される外部電極を含み、上記複数の内部電極は、メイン部、及び上記メイン部から上記第3面または第4面に向かって延び、上記外部電極と接する接続端を有するリード部を含み、上記リード部は、上記メイン部から上記接続端に向かうにつれて上記第3方向への幅が徐々に減少し、上記メイン部は上記リード部と離隔した端部に配置された第1サドル(saddle)部を含み、上記リード部は、上記第3方向の側端に配置された第2サドル部を含み、上記第1サドル部及び第2サドル部は、それぞれ上記メイン部の上記第2方向の中央部よりも上記第1方向への厚さが厚く、上記リード部は上記複数の内部電極のうち、隣接する他の内部電極のメイン部と上記第1方向に重なり合う重なり領域を有する積層型電子部品を提供する。
【0010】
本発明の一実施形態は、誘電体層、及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置される複数の内部電極を含み、上記第1方向に向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3面及び第4面、上記第1面、第2面、第3面及び第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5面及び第6面を含む本体及び上記第3面及び第4面に配置される外部電極を含み、上記複数の内部電極は、メイン部、及び上記メイン部から上記第3面または第4面に向かって延び、上記外部電極と接する接続端を有するリード部を含み、上記リード部は、上記メイン部から上記接続端に向かうにつれて上記第3方向への幅が徐々に減少し、上記複数の内部電極のうち隣接する他の内部電極のメイン部と上記第1方向に重なり合う重なり領域を有し、上記接続端の上記第3方向への幅をW1、上記メイン部の上記第3方向への幅をW2とするとき、W1/W2は、0.4以上0.75以下の積層型電子部品を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の様々な効果のうち一つとして、信頼性に優れた積層型電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図である。
図2図1のI-I'線に沿った切断断面を概略的に示した断面図である。
図3図1のII-II'線に沿った切断断面を概略的に示した断面図である。
図4a】本発明の一実施形態の第1内部電極を概略的に示した平面図である。
図4b】本発明の一実施形態の第2内部電極を概略的に示した平面図である。
図4c】本発明の一実施形態の第1内部電極と第2内部電極が重なり合った状態を示した平面図である。
図5図4cのK1領域拡大図である。
図6図1のIII-III'線に沿った切断断面を概略的に示した断面図である。
図7図6のK2領域拡大図である。
図8】本発明の一実施形態による積層型電子部品を製造するための内部電極パターンが印刷されたセラミックグリーンシートを概略的に示した平面図である。
図9】比較例の第1内部電極と第2内部電極が重なり合った状態を示した平面図であり、図4cに対応する図面である。
図10】比較例の切断断面を示した断面図であり、図6に対応する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上に同一符号で示される要素は同一要素である。
【0014】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、図示した各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意で示したものであるため、本発明は必ずしも図示により限定されない。また、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を用いて説明することができる。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0015】
図面において、第1方向は厚さ(T)方向、第2方向は長さ(L)方向、第3方向は幅(W)方向と定義することができる。
【0016】
積層型電子部品
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図であり、図2は、図1のI-I'線に沿った切断断面を概略的に示した断面図であり、図3は、図1のII-II'線に沿った切断断面を概略的に示した断面図であり、図4aは、本発明の一実施形態の第1内部電極を概略的に示した平面図であり、図4bは、本発明の一実施形態の第2内部電極を概略的に示した平面図であり、図4cは、本発明の一実施形態の第1内部電極と第2内部電極が重なり合った状態を示した平面図であり、図5は、図4cのK1領域拡大図であり、図6は、図1のIII-III'線に沿った切断断面を概略的に示した断面図であり、図7は、図6のK2領域拡大図であり、図8は、本発明の一実施形態による積層型電子部品を製造するための内部電極パターンが印刷されたセラミックグリーンシートを概略的に示した平面図であり、図9は、比較例の第1内部電極と第2内部電極が重なり合った状態を示した平面図であり、図4cに対応する図面であり、図10は、比較例の切断断面を示した断面図であり、図6に対応する図面である。
【0017】
以下、図1図10を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品100について詳細に説明する。また、積層型電子部品の一例として積層セラミックキャパシタについて説明するが、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な積層型電子部品、例えば、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、またはサーミスタなどにも適用されることができる。
【0018】
図1図3を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110と外部電極131、132を含むことができる。
【0019】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体状やこれと類似した形状からなることができる。本体110のコーナー部に対する研磨工程によって本体110は完全な直線を有する六面体状ではないが、実質的に六面体状を有することができる。
【0020】
本体110は、第1方向に向かい合う第1面1及び第2面2、第1面1及び第2面2と連結され、第2方向に向かい合う第3面3及び第4面4、第1面1、第2面2、第3面3及び第4面4と連結され、第3方向に向かい合う第5面5及び第6面6を有することができる。
【0021】
本体110は、誘電体層111、及び誘電体層111と第1方向に交互に配置される複数の内部電極121、122を含むことができる。本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0022】
誘電体層111は、例えば、ABOで表されるペロブスカイト型化合物を主成分として含むことができる。ABOで表されるペロブスカイ型化合物は、例えば、BaTiO、(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)またはBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)であることができる。
【0023】
内部電極121、122は、例えば、誘電体層111を挟んで第1方向に交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができる。すなわち、互いに異なる極性を有する一対の電極である第1内部電極121と第2内部電極122が誘電体層111を挟んで互いに対向するように配置されることができる。第1内部電極121と第2内部電極122は、その間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0024】
第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3側で第1外部電極131と連結されることができる。第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4側で第2外部電極132と連結されることができる。
【0025】
内部電極121、122に含まれる導電性金属は、Ni、Cu、Pd、Ag、Au、Pt、Sn、W、Ti及びこれらの合金のうち一つ以上であることができ、より好ましくはNiを含むことができるが、本発明はこれに限定されない。
【0026】
本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで互いに交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部Acと容量形成部Acの第1方向に向かい合う両面上にそれぞれ配置される第1カバー部112及び第2カバー部113を含むことができる。
【0027】
本体110は、容量形成部Acの第3方向に向かい合う両面上にそれぞれ配置される第1マージン部114及び第2マージン部115を含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、本体110を第1方向及び第3方向に切断した断面で内部電極121、122の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0028】
カバー部112、113及びマージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。カバー部112、113とマージン部114、115は、内部電極を含まないことを除いては、誘電体層111と類似した構成を有することができる。
【0029】
外部電極131、132は、本体110の第3面3及び第4面4に配置されることができ、第1面1、第2面2、第5面5及び第6面6の一部上に延びることができる。外部電極131、132は、第1内部電極121と連結される第1外部電極131及び第2内部電極122と連結される第2外部電極132を含むことができる。
【0030】
外部電極131、132は、内部電極121、122と接触する第1電極層131a、132a及び第1電極層131a、132a上に配置される第2電極層132a、132bを含むことができる。
【0031】
第1電極層131a、132aは金属及びガラスを含むことができる。第1電極層131a、132aは、例えば、焼成電極であることができる。第1電極層131a、132aに含まれる金属は、Cu、Ni、Pd、Pt、Au、Ag、Pb及び/またはこれを含む合金などを含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0032】
第2電極層131b、132bは実装特性を向上させることができる。第2電極層131b、132bの種類は特に限定せず、Ni、Sn、Pd及び/またはこれを含む合金などを含むめっき層であることができ、複数の層で形成されることもできる。第2電極層131b、132bは、例えば、Niめっき層またはSnめっき層であることができ、Niめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であることもできる。また、第2電極層131b、132bは、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含むこともできる。
【0033】
図面では、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造を説明しているが、これに限定されるものではなく、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0034】
以下、図4a~図7を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品100の内部電極121、122についてより詳細に説明する。
【0035】
図4a及び図4bを参照すると、複数の内部電極121、122は、メイン部121a、122a及びメイン部121a、122aから第3面3又は第4面4に向かって延び、外部電極131、132と接する接続端E11、E21を有するリード部121b、122bを含むことができる。
【0036】
すなわち、第1内部電極121は、第1メイン部121a及び第1メイン部121aから第3面3に向かって延び、第1外部電極131と接する接続端E11を有する第1リード部121bを含むことができる。第1内部電極121の外部周縁は、例えば、第1外部電極131と接する接続端E11、第1リード部121bと離隔した第1メイン部121aの端部E12、第1リード部121bの第3方向の側端E13、及び第1メイン部121aの第3方向の側端E14を有することができる。
【0037】
第2内部電極122は、第2メイン部122a及び第2メイン部122aから第4面4に向かって延び、第2外部電極132と接する接続端E21を有する第2リード部122bを含むことができる。第2内部電極122の外部周縁は、例えば、第2外部電極132と接する接続端E21、第2リード部122bと離隔した第2メイン部122aの端部E22、第2リード部122bの第3方向の側端E23、及び第2メイン部122aの第3方向の側端E24を有することができる。
【0038】
メイン部121a、122aは、第1方向と垂直な平板状を有することができる。メイン部121a、122aは、本体110の外表面と離隔して配置されることができる。メイン部121a、122aは、実質的に長方形の形状を有することができる。メイン部121a、122aの第3方向の側端E14、E24は、第5面5及び第6面6と実質的に平行であることができる。メイン部121a、122aの第3方向の側端E14、E24が第5面5及び第6面6と実質的に平行であることは、メイン部121a、122aの第3方向の側端E14、E24と第5面5または第6面6が完全に平行な場合はもちろん、メイン部121a、122aの第3方向の側端E14、E24の延長線と第5面5または第6面6の延長線がなす角度が10°以下、または5°以下であることを意味することができる。第1メイン部121aの少なくとも一部は、第2メイン部122aと第1方向に重なり合うことで積層型電子部品100の容量を形成することができる。リード部121b、122bは、第3面3または第4面4に引き出され、第1面1、第2面2、第5面5及び第6面6とは離隔して配置されることができる。リード部121b、122bは、メイン部121a、122aと外部電極131、132を連結する役割を果たすことができる。
【0039】
図4cを参照すると、接続端の第3方向への幅W1は、メイン部の第3方向への幅W2よりも狭いことができる。これにより、内部電極121、122のうち外部に露出する面積を減らして積層型電子部品100の耐湿信頼性を改善し、本体110にクラックが発生することを抑制することができる。また、容量形成部Acとカバー部112、113との間のクラック(いわゆる、A/Cクラック)が発生することを抑制することができる。
【0040】
W2に対するW1の割合(W1/W2)は、特に限定する必要はないが、W1/W2は0.4以上0.75以下であることが好ましいことができる。W1/W2が0.75超過である場合、本発明の耐湿信頼性の改善効果及びA/Cクラック発生の抑制効果が僅かであり得る。また、W1/W2が0.4未満の場合、内部電極121、122と外部電極131、132との間の連結性が低下するという副作用が発生する可能性がある。
【0041】
リード部121b、122bの形状は、W1<W2を満たすものであればどのような形状であっても構わない。但し、一実施形態において、リード部121b、122bは、メイン部121a、122aから接続端E11、E21に向かうにつれて、第3方向への幅が徐々に減少することができる。すなわち、第1リード部121bは、第1メイン部121aから第3面3に隣接するほど、第3方向への幅が徐々に減少することができ、第2リード部122bは、第2メイン部122aから第4面4に隣接するほど、第3方向への幅が徐々に減少することができる。例えば、図4a及び図4bに示されたように、リード部121b、122bの第3方向の側端E13、E23は曲線状を有することができる。例えば、リード部121b、122bの第3方向の側端E13、E23は、本体110の第3方向の中央部に向かって凸形状を有することができる。
【0042】
一方、図4cを参照すると、本体110は、第3面3と第5面5との間を連結する第1コーナー部C1、第3面3と第6面6との間を連結する第2コーナー部C2、第4面4と第5面5との間を連結する第3コーナー部C3、及び第4面4と第6面6との間を連結する第4コーナー部C4を有することができる。一方、本体110のコーナー部C1、C2、C3、C4が割れる現象(いわゆる、チッピング不良)を防止するために焼成後の本体110を研磨する過程を経ることができる。これにより、コーナー部C1、C2、C3、C4はラウンド形状を有することができる。
【0043】
一実施形態において、接続端E11、E21はコーナー部C1、C2、C3、C4と離隔することができる。コーナー部C1、C2、C3、C4は、本体110において外部からの水分の浸透に対して脆弱なことがある。これにより、接続端E11、E21がコーナー部C1、C2、C3、C4と接触すると、積層型電子部品100の耐湿信頼性が低下するおそれがある。したがって、接続端E11、E21は、コーナー部C1、C2、C3、C4と離隔して配置されることが好ましい。
【0044】
図4a~図5を参照すると、一実施形態において、コーナー部C1、C2、C3、C4の曲率半径Rcは、メイン部121a、122の第3方向の側端E14、E24と第5面5または第6面6までの距離Wmよりも大きいことができる。すなわち、一実施形態において、Rc>Wmを満たすことができる。上記Wmは、マージン部114、115の第3方向への幅を意味することができる。上記Rc及びWmは、Rc>Wmを満たすことでマージン部114、115が容量形成部Acの側面から剥離することを防止することができる。
【0045】
上記Rcは、例えば、Rc≦22μmを満たすことができる。上記Rcが22μmを超過する場合、コーナー部C1、C2、C3、C4上で外部電極131、132の厚さが非常に薄くなるという問題点が発生する可能性がある。上記Rcの下限は、特に限定する必要はないが、例えば6μm≦Rcを満たすことができる。上記Rcが6μm未満の場合、チッピング不良が発生するおそれがある。
【0046】
上記Wmは、例えば、Wm≦20μmを満たすことができる。上記Wmが20μm超過する場合、積層型電子部品100の小型化及び高容量化に不利である可能性がある。上記Wmの下限は、特に限定する必要はないが、例えば5μm≦Wmを満たすことができる。上記Wmが5μm未満の場合、積層型電子部品100の信頼性が低下するおそれがある。
【0047】
図6及び図7を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品100の場合、メイン部121a、122aはリード部121b、122bと離隔した端部E12、E22に配置された第1サドル(saddle)部21a、22aを含み、リード部121b、122bは、第3方向の側端E13、E23に配置された第2サドル部21b、22bを含むことができる。第1サドル部21a、22a及び第2サドル部21b、22bは、それぞれメイン部121a、122aの第2方向の中央部よりも第1方向への厚さが厚いことができる。すなわち、第1内部電極121の第1サドル部21a及び第2サドル部21bは、第1メイン部121aの第2方向の中央部よりも厚さが厚く、第2内部電極122の第1サドル部22a及び第2サドル部22bは、第2メイン部122aの第2方向の中央部よりも厚さが厚いことができる。
【0048】
後述するように、内部電極パターンを形成するために、内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシート上に印刷する場合、上記内部電極パターンの外部周縁は残りの部分よりも厚さが厚いことができる。上記内部電極パターンの外部周縁に対応するメイン部121a、122aのリード部121b、122bと離隔した端部E12、E22とリード部121b、122bの第3方向の側端E13、E23には、サドル部21a、22a、21b、22bが形成されることができる。
【0049】
第1サドル部21a、22a及び第2サドル部21b、22bの厚さは特に限定する必要はない。例えば、図6及び図7に示されたように、第1サドル部21a、22aの第1方向への最大厚さをt1、第2サドル部21b、22bの第1方向への最大厚さをt2、メイン部121a、122aの第2方向の中央部の第1方向への平均厚さをteとするとき、上記teに対する上記t1の割合(t1/te)は、1.045以上1.085以下であることができる。また、上記teに対する上記t2の割合(t2/te)は、1.045以上1.085以下であることができる。上記teは特に限定する必要はないが、0.1μm以上0.6μm以下であることができる。また、第1サドル部21a、22aの第2方向への長さLs1と第2サドル部21b、22bの第2方向への長さLs2は、特に限定する必要はないが、上記Ls1及びLs2はそれぞれ70μm~85μmであることができる。
【0050】
一方、上記t1、t2、Ls1、Ls2は、リード部の第3方向の側端E13、E23を通る第1方向及び第2方向の断面(例えば、図6に示された切断断面)を走査電子顕微鏡(SEM)で撮影したイメージで測定されることができる。上記t1、t2、Ls1、及びLs2は、それぞれ10個の内部電極121、122で測定した値の平均した値を意味することもできる。
【0051】
上記teは、リード部の第3方向の側端E13、E23を通る第1方向及び第2方向の断面(例えば、図6に示された切断断面)を走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的には、1つのメイン部121a、122aの第2方向の中央部に位置する多数の地点、例えば第2方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定した後、平均値をとることで上記teを測定することができる。一方、このような平均値測定を10個のメイン部121a、122aに対して行った後、平均値を測定すると、上記teをさらに一般化することができる。
【0052】
一方、図4c及び図5を参照すると、上記リード部は、上記複数の内部電極のうち隣接する他の内部電極のメイン部と第1方向に重なり合う重なり領域Roを有することができる。例えば、第1リード部121bの一部は、第2メイン部122aと第1方向に重なり合うことができ、第2リード部122bの一部は、第1メイン部121aと第1方向に重なり合うことができる。例えば、第1リード部121bの第2方向への最大長さは、第2メイン部122aの第2リード部122bと離隔した端部E22と第3面3との間の距離よりも長いことができ、第2リード部122bの第2方向への最大長さは、第1メイン部121aの第1リード部121bと離隔した端部E12と第4面4との間の距離よりも長いことができる。
【0053】
これにより、図6に示されたように、メイン部121a、122aの第3方向の側端E14、E24に隣接する領域を通る本体110の第1方向及び第2方向の断面において、第1サドル部21a、22aの第3方向への端部は、複数の内部電極のうち隣接する他の内部電極の第2サドル部22b、21bと第1方向に重ならないことができる。例えば、メイン部121a、122aの第3方向の側端E14、E24に隣接する領域を通る本体110の第1方向及び第2方向の断面において、第1内部電極121の第1サドル部21aの第3方向への端部は、第2内部電極122の第2サドル部22bと第1方向に重ならないことができ、第2内部電極122の第1サドル部22aの第3方向への端部は、第1内部電極121の第2サドル部21bと第1方向に重ならないことができる。
【0054】
図9は、比較例の第1内部電極と第2内部電極が重なり合った状態を示した平面図であり、図4cに対応する図面である。図10は、比較例の切断断面を示した断面図であり、図6に対応する図面である。
【0055】
図9及び図10を参照すると、比較例の場合、第1内部電極121'の第1リード部121b'が第2内部電極122'の第2メイン部122a'と第1方向に重ならない。また、第2内部電極122'の第2リード部122b'が第1内部電極121'の第1メイン部121a'と第1方向に重ならない。この場合、メイン部121a',122a'の第3方向の側端に隣接する領域を通る本体110の第1方向及び第2方向の断面において、第1メイン部121a'の第1リード部121b'と離隔した端部E12'に配置された第1サドル部21a'の第3方向への端部と第2リード部122b'の第3方向の側端E23'に配置された第2サドル部22b'が第1方向に重なり合うことができる。また、メイン部121a'、122a'の第3方向の側端に隣接する領域を通る本体110の第1方向及び第2方向の断面において、第2メイン部122a'の第2リード部122b'と離隔した端部E22'に配置された第1サドル部22a'の第3方向への端部と第1リード部121b'の第3方向の側端E13'に配置された第2サドル部21b'が第1方向に重なり合うことができる。
【0056】
図10に示されたように、比較例は、第1サドル部21a'、22a'と第2サドル部22b'、21b'が第1方向に重なる領域、すなわち誘電体層111の厚さが局所的に薄くなる領域が増え、積層型電子部品の絶縁破壊電圧の特性が劣化することがある。一方、本発明の一実施形態の場合、第1サドル部21a、22aと第2サドル部22b、21bが第1方向に重なる領域、すなわち誘電体層111の厚さが局所的に薄くなる領域を減らすことができ、結果的に積層型電子部品100の絶縁破壊電圧の特性が劣化することを防止することができる。
【0057】
重なり領域Roの長さは、特に限定する必要はない。但し、図5を参照すると、重なり領域Roの第2方向への最大長さをLoとするとき、上記Loは25μm以上であることができる。上記Loが25μm未満である場合、本発明の絶縁破壊電圧(BDV)の特性の改善効果が僅かであり得る。上記Loの上限は、特に限定する必要はないが、例えば75μm以下であることができる。上記Loが75μm超過である場合、メイン部の第2方向への長さが減り、後述する非重なり領域Rnの面積が増え、積層型電子部品100の容量が低下するという副次的影響が発生することがある。
【0058】
一方、図5を参照すると、リード部121bのうち重なり領域Roを除いた領域をマージン領域Rmとするとき、マージン領域Rmの第2方向への最大長さLmは5μm以上45μm以下であることができる。上記Lmが5μm未満であると、外部からの水分の内部電極への耐湿浸透経路が短くなって、積層型電子部品100の耐湿信頼性が低下するおそれがある。また、上記Lmが45μm超過である場合、重なり領域Roが減少して、積層型電子部品100の容量が低下するおそれがある。
【0059】
一方、図4a~図5を参照すると、メイン部121a、122aは、複数の内部電極121、122のうち隣接する他の内部電極と第1方向に重ならない非重なり領域Rnを含むことができる。非重なり領域Rnは、メイン部121a、122aのリード部121b、122bと離隔した端部E12、E22の第3方向の両端に配置されることができる。すなわち、第1メイン部121a及び第2メイン部122aは、それぞれ2つの非重なり領域Rnを有することができる。
【0060】
一実施形態において、メイン部121a、122aの全体面積に対する非重なり領域Rnの面積割合は、0.8%以上1.5%以下であることができる。すなわち、第1メイン部121aの全体面積に対する第1メイン部121aに含まれた2つの非重なり領域Rnの面積の割合は、0.8%以上1.5%以下であることができ、第2メイン部122aの全体面積に対する第2メイン部122aに含まれた2つの非重なり領域Rnの面積割合は、0.8%以上1.5%以下であることができる。メイン部121a、122aの全体面積に対する非重なり領域Rnの面積割合が0.8%未満の場合、本発明の絶縁破壊電圧の特性の改善効果が僅かであり得る。メイン部121a、122aの全体面積に対する非重なり領域Rnの面積割合が1.5%超過である場合、積層型電子部品100の容量が非常に低下するという副次的影響が発生するおそれがある。
【0061】
上記W1、W2、Rc、Wm、Lo、Lm及び非重なり領域Rnの面積割合等は、本体110の第1方向の中央を通る積層型電子部品100の第2方向及び第3方向の断面を走査電子顕微鏡(SEM)または光学顕微鏡(OM)で撮影したイメージで測定されることができる。上記Rcは、第1~第4コーナー部C1、C2、C3、C4における曲率半径をそれぞれ測定した後の平均した値を意味することができる。上記Wmは、第2方向に等間隔の5個の地点で測定したマージン部114、115の第3方向への幅を平均した値を意味することができる。また、上記Wmは、第1マージン部114及び第2マージン部115のそれぞれの第3方向への平均幅を意味することができる。
【0062】
積層型電子部品100のサイズは特に限定する必要はない。例えば、積層型電子部品100の第2方向への最大長さは0.6mm~1.6mmであることができ、積層型電子部品100の第3方向への最大幅は0.3mm~0.8mmであることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0063】
誘電体層111の平均厚さは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品100の小型化及び高容量化を達成するために、誘電体層111の平均厚さは0.1μm以上0.6μm以下であることができる。誘電体層111の平均厚さは、誘電体層111の第1方向の大きさを意味する。誘電体層111の平均厚さは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的には、1つの誘電体層111の多数の地点、例えば第2方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定した後、平均値をとることで誘電体層111の平均厚さを測定することができる。上記30個の地点は、例えば、メイン部121a、122aの第2方向の中央部で指定されることができる。一方、このような平均値測定を10個の誘電体層111に対して行った後、平均値を測定すると誘電体層111の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0064】
カバー部112、113の平均厚さは、特に限定する必要はない。但し、小型化及び高容量化のために積層型電子部品の小型化及び高容量化のために、カバー部112、113の平均厚さは20μm以下であることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。ここで、カバー部112、113の平均厚さは、第1カバー部112及び第2カバー部113のそれぞれの平均厚さを意味する。カバー部112、113の平均厚さtcは、カバー部112、113の第1方向への平均大きさを意味することができ、本体110の第3方向の中央を通る第1方向及び第2方向の断面で第2方向に等間隔の5個の地点で測定した第1方向の大きさを平均した値であることができる。
【0065】
以下、図8を参照して、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100の製造方法の一例について説明する。
【0066】
まず、セラミック粉末、有機溶剤、及びバインダーを含むセラミックスラリーを製造し、上記スラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥してセラミックグリーンシート211を設ける。セラミックグリーンシート211は、焼成により誘電体層111を形成することができる。セラミック粉末は、十分な静電容量が得られる限り、特に制限されないが、例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料またはチタン酸ストロンチウム系材料等を用いることができ、上記セラミック粉末の例示として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)またはBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)などが挙げられる。上記有機溶剤としてエタノール等を用いることができ、上記バインダーとしてポリビニルブチラール等を用いることができ、上記有機溶剤とバインダーは当業界で用いられる公知の物質を用いることができる。
【0067】
次に、セラミックグリーンシート211上に第1内部電極パターン221または第2内部電極パターン222を印刷する。内部電極パターン221、222は、焼成により内部電極121、122を形成することができる。内部電極パターン221、222は、金属粉末、バインダー、溶剤などを含む内部電極用導電性ペーストをスクリーン印刷法またはグラビア印刷法等を用いてセラミックグリーンシート211上に印刷することで形成されることができる。
【0068】
具体的には、第1セラミックグリーンシート上に所定の間隔を置いて配置された複数の第1内部電極パターン221を形成することができる。複数の第1内部電極パターン221は、帯状を有し、互いに平行に形成されることができる。また、第2セラミックグリーンシート上に所定の間隔を置いて配置された複数の第2内部電極パターン222を形成することができる。複数の第2内部電極パターン222は、帯状を有し、互いに平行に形成されることができる。
【0069】
次に、第1内部電極パターン221に複数のホール部205を形成することができ、第2内部電極パターン222に複数のホール部206を形成することができる。ホール部205、206は、内部電極パターンが形成されていない領域を意味することができる。ホール部205、206は、幅方向(第3方向)と平行な第1切断線CL1によって2等分され、長さ方向(第2方向)と平行な第2切断線CL2によって2等分されることができる。ホール部205、206の形状は特に限定する必要はないが、印刷滲み等の問題点が発生することを防止するために、円または楕円形状であることが好ましい。一方、ホール部205、206の第2方向への最大長さは、内部電極パターン221、222間の第2方向への距離よりも長いことが好ましい。
【0070】
図8に示された第1内部電極パターン221の外部周縁201、202と第2内部電極パターン222の外部周縁203、204は、内部電極パターン221、222の残りの部分よりも厚さが厚いサドル(saddle)形状を有することができる。
【0071】
第1内部電極パターン221の外部周縁201、202と第2内部電極パターン222の外部周縁203、204は、メイン部121a、122aのリード部121b、122bと離隔した端部E12、E22と対応することができる。すなわち、第1内部電極パターン221の外部周縁201、202と第2内部電極パターン222の外部周縁203、204から図6に示された第1サドル部21a、22aが生じることができる。
【0072】
また、図8に示されたホール部205、206の外部周縁は、内部電極パターン221、222の残りの部分よりも厚さが厚いサドル形状を有することができる。
【0073】
第1内部電極パターン221のホール部205の外部周縁と第2内部電極パターン222のホール部206の外部周縁は、リード部121b、122bの第3方向の側端E13、E23と対応することができる。すなわち、内部電極パターン221、222のホール部205、206の外部周縁から図6に示された第2サドル部21b、22bが生じることができる。
【0074】
次に、図8に示された第1内部電極パターン221が印刷された第1セラミックグリーンシートと第2内部電極パターン222が印刷された第2セラミックグリーンシートを交互に積層してセラミック積層体を形成する。上記セラミック積層体の上下部には、内部電極パターンが印刷されていないカバー部形成用シートが所定枚数積層されることができる。カバー部形成用シートは、焼成によりカバー部112、113を形成することができる。
【0075】
次に、上記セラミック積層体を圧着した後、切断線CL1、CL2に沿って切断することでセラミックチップを得ることができる。次に、マージン部形成用シートを上記セラミックチップの第3方向の両側面に付着することができる。マージン部形成用シートは、焼成によりマージン部114、115を形成することができる。
【0076】
この後、上記マージン部形成用シートが付着された上記セラミックチップを焼成すると、図1図3に示された誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110を形成することができる。本体110を形成するための焼成温度は、特に限定する必要はないが、例えば、1100℃以上1300℃以下の温度で行われることができる。この後、本体110のコーナー部C1、C2、C3、C4をラウンド形状にするためにバレル研磨工程等を行うことができる。
【0077】
次に、外部電極131、132を形成することができる。本体110を金属粉末及びガラスを含む導電性ペーストにディッピング(dipping)した後、焼成することにより第1電極層131a、132aを形成することができる。第1電極層131a、132aを形成するための焼成温度は、特に限定する必要はないが、例えば700℃~900℃であることができる。
【0078】
この後、第1電極層131a、132a上に第2電極層131b、132bを形成することができる。第2電極層131b、132bを形成する方法は、特に限定する必要はなく、例えば電解めっき法及び/又は無電解めっき法などを用いることができる。
【0079】
但し、上述した製造方法は一例であり、積層型電子部品100の製造方法が上述した製造方法に限定されるものではない。
【0080】
(実験例)
上述した製造方法によってサンプルチップを用意した。具体的には、BaTiO粉末を含むセラミックスラリーを用いてセラミックグリーンシートを製造し、Ni粉末を含む内部電極用導電性ペーストを用いて上記セラミックグリーンシート上に内部電極パターンを印刷した。また、Cu粉末を含む導電性ペーストでサンプルチップの第1金属層を形成し、サンプルチップの第2金属層はNiめっき層及びSnめっき層が順次積層された構造であった。
【0081】
サンプルチップは、1005規格(長さ:約1.0mm、幅:約0.5mm、厚さ:約0.5mm)で製造し、メイン部の幅W2が600μm、メイン部の第3方向の側端と上記第5面又は第6面までの距離Wmは約14μm、コーナー部の曲率半径Rcが約15μm、マージン領域の最大長さLmが約40μmであった。
【0082】
次に、各試料番号当たりの10個のサンプルチップを用意した後、各サンプルチップの第1方向の中央部まで研磨した第2方向及び第3方向の断面を500倍以上の倍率の光学顕微鏡(OM)で観察した。以後、計4か所のリード部の第3方向の側端側でそれぞれLoを測定した後、平均値を求め、このような平均値測定を10個のサンプルチップで行った後、最終平均値を下記表1に記載した。同様に、10個のサンプルチップでW1及びW2をそれぞれ測定した後、その平均値を下記表1に記載した。上記Loが0μmの試料番号1~3は、図9及び図10に示された比較例のように重なり領域が存在しない場合である。
【0083】
次に、各試料番号のサンプルチップについて、容量形成部-カバー部の間のクラック(A/Cクラック)発生の有無を測定した。各試験番号当たりの50個のサンプルチップを用意した後、サンプルチップの第3方向の中央を通る第1方向及び第2方向の断面を観察して、容量形成部とカバー部との間に100nm以上の浮きが観察されたサンプルチップが一つでも発生した場合は不良(NG)と判断し、一つも発生しない場合は正常(OK)と判断した。
【0084】
また、各試料番号当たりの合計30個のサンプルチップについて昇圧速度20V/sec、電流制限20mA条件で絶縁破壊電圧の平均値、絶縁破壊電圧の標準偏差(Stdv、Standard deviation)、及び絶縁破壊電圧の変動係数(CV、coefficient of variation)を測定した。以後、絶縁破壊電圧の平均値が90V以上、絶縁破壊電圧の標準偏差が12V以下、絶縁破壊電圧の変動係数が12.5%以下を全て満たす場合を正常(OK)と判断し、一つでも満たさない場合は不良(NG)と判断した。
【0085】
【表1】
【0086】
上記表1を参照すると、W1/W2割合が0.75超過である試料番号3、6、9、及び12は、A/Cクラックが発生することを確認することができる。また、リード部が重なり領域を有さない試料番号1~試料番号3は、絶縁破壊電圧の特性が低下することを確認することができる。
【0087】
本発明は、上述した実施形態及び添付された図面によって限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲によって限定しようとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で当技術分野の通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これもまた本発明の範囲に属するといえる。
【0088】
なお、「一実施形態」という表現は、互いに同一の実施形態を意味するものではなく、それぞれ異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と組み合わせて実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態において説明された事項が他の一実施形態に記載されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明として理解することができる。
【0089】
さらに、第1、第2などの表現は、ある構成要素と他の構成要素とを区別するために用いるものであり、該当構成要素の順序及び/または重要度などを限定しない。場合によっては、権利範囲を逸脱することなく、第1構成要素は第2構成要素と命名することもでき、同様に第2構成要素は第1構成要素と命名することもできる。
【符号の説明】
【0090】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
114、115 マージン部
C1、C2、C3、C4 コーナー部
121、122、121'、122' 内部電極
121a、122a、121a'、122a' メイン部
121b、122b、121b'、122b' リード部
21a、22a、21a'、22a' 第1サドル部
21b、22b、21b'、22b' 第2サドル部
Ro 重なり領域
Rm マージン領域
Rn 非重なり領域
131、132 外部電極
131a、132a 第1電極層
131b、132b 第2電極層
211 セラミックグリーンシート
221、222 内部電極パターン
201、202、203、204 外部周縁
205、206 ホール部
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5
図6
図7
図8
図9
図10