(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008410
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
H05K 5/03 20060101AFI20250109BHJP
H05K 7/14 20060101ALI20250109BHJP
H05K 5/00 20250101ALI20250109BHJP
【FI】
H05K5/03 A
H05K7/14 E
H05K5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110569
(22)【出願日】2023-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】竹田 剛
(72)【発明者】
【氏名】関根 一廣
(72)【発明者】
【氏名】木内 信行
【テーマコード(参考)】
4E360
5E348
【Fターム(参考)】
4E360AA10
4E360AB12
4E360BA04
4E360BB22
4E360BC05
4E360BC06
4E360BD03
4E360BD05
4E360EA24
4E360ED12
4E360GA50
4E360GC08
4E360GC14
5E348AA12
5E348AA13
5E348AA31
5E348CC08
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で、内部の電子部品への異物の接触を抑制する汎用性の高いカバーを備える電子装置を提供することを目的とする。
【解決手段】電子装置1はケース本体10と、回路基板40と、カバー体50と、を備えている。回路基板40は、基板41と、基板41の少なくとも表面に実装される複数の電子部品と、を有している。複数の電子部品は、外側部品42と内側部品と、を有して構成されている。カバー体50は、基板41に対向する天板51と、天板51の最外縁から基板41の表面に向かって垂下される仕切壁52と、を有し、仕切壁52は、外側部品42よりも内方側に所定の隙間を介して設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板を有し前記底板に対向する方向に開口するケース本体と、前記ケース本体に収容される回路基板と、前記ケース本体の開口を覆うカバー体と、を備えた電子装置であって、
前記回路基板は、板状の基板と、前記基板の少なくとも表面に実装される複数の電子部品と、を有し、前記複数の電子部品は、前記基板の外縁付近に沿って配置される外側部品と、前記外側部品よりも前記基板の内方側に配置される内側部品と、を有して構成され、
前記カバー体は、前記基板表面に対向する天板と、前記天板の最外縁から前記基板表面に向かって垂下される側壁と、を有し、前記側壁は、前記外側部品よりも前記内方側に所定の隙間を介して設けられていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記側壁の先端縁は、前記基板表面に対して前記基板の板厚方向に所定の隙間を介して位置する凸部と、前記凸部よりも前記基板表面から前記板厚方向に離れた凹部と、を有し、前記凹部の端縁は、前記外側部品の上端よりも前記基板に近い位置にあることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記ケース本体は、前記底板から立ち上がって前記回路基板を支持する支持片を有し、前記支持片は、前記ケース本体の内方に突出するリブを有し、
前記カバー体は、前記ケース本体に対し前記基板の板厚方向に着脱可能に設けられ、
前記側壁の内面は、前記リブの外面に摺接可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記支持片は、前記カバー体の前記側壁よりも前記板厚方向に直交する所定方向の外方まで延びる延長部を有し、前記延長部には、前記外側部品の上方を覆う保護カバーを固定するための固定孔が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記カバー体の前記側壁と前記外側部品との前記隙間は、前記外側部品に使用されるねじの頭部、またはねじを締めるための工具先端よりも小さい寸法に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器のコントローラ等を構成する電子装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、底板を備えるベースと、ベースに取り付けられるプリント基板と、プリント基板に取り付けられる箱状の端子台と、プリント基板を覆うカバーと、を備えたプログラマブルコントローラが開示されている。プログラマブルコントローラのカバーには、プリント基板の電子部品実装面に対向する前面板と、端子台を露出させる凹部と、が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のプログラマブルコントローラでは、カバーの前面板が電子部品実装面を覆うとともに、カバーの凹部の内壁が端子台の側部および背面を覆うことで、プログラマブルコントローラ内部に実装される電子部品に対して、作業者の指や工具等(以下、異物ともいう)が接触することが抑制される。しかしながら、上述のカバーのような構成では、電子部品実装面および端子台の周囲のほとんどを覆う必要があることで、当該カバーの形状が複雑になり易い。また、カバーが電子部品実装面および端子台の周囲のほとんどを覆うことで電子部品実装面の面積が小さくなりやすい。また、カバーの形状において特に凹部の形状は端子台の外形に依存することになるため、カバーの汎用性が低く、実装する端子台の選定に制約が生じることなどがある。
【0005】
本発明は、簡易な構成で、内部の電子部品への異物の接触を抑制する汎用性の高いカバーを備える電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し目的を達成するために、電子装置は、底板を有し前記底板に対向する方向に開口するケース本体と、前記ケース本体に収容される回路基板と、前記ケース本体の開口を覆うカバー体と、を備えた電子装置であって、前記回路基板は、板状の基板と、前記基板の少なくとも表面に実装される複数の電子部品と、を有し、前記複数の電子部品は、前記基板の外縁付近に沿って配置される外側部品と、前記外側部品よりも前記基板の内方側に配置される内側部品と、を有して構成され、前記カバー体は、前記基板表面に対向する天板と、前記天板の最外縁から前記基板表面に向かって垂下される側壁と、を有し、前記側壁は、前記外側部品よりも前記内方側に所定の隙間を介して設けられていることを特徴とする。
【0007】
このような本発明によれば、天板から基板表面に向かって垂下した側壁を、回路基板の電子部品における外側部品と内側部品とを内外方向に仕切る仕切壁として機能させることができる。このため、例えば、外側部品としての端子台の周囲のほとんどを覆うことなく、工具等や電子装置を扱う作業者の指等の異物が内側部品に接触することを抑制することができる。また、側壁と基板との間には所定の隙間が設けられていることから、この隙間を電子部品の実装スペースとして利用することができ、当該実装スペースを大きく確保することができる。また、天板と、天板から垂下する側壁と、のシンプルな構造で、外側部品や内側部品の外形に依存することなくカバー体を構成することができるので、カバー体の汎用性が高く、実装する端子台のバリエーションを多様にすることができる。したがって、簡易な構成で、内部の電子部品への異物の接触を抑制する汎用性の高いカバーを備える電子装置を提供することができる。
【0008】
この際、前記側壁の先端縁は、前記基板表面に対して前記基板の板厚方向に所定の隙間を介して位置する凸部と、前記凸部よりも前記基板表面から前記板厚方向に離れた凹部と、を有し、前記凹部の端縁は、前記外側部品の上端よりも前記基板に近い位置にあることが好ましい。このような構成によれば、例えば、回路基板が衝撃や振動等によって板厚方向に浮き上がった場合に、側壁の凸部を基板表面に当接させることでその浮き上がりを抑制することができる。また、この構成によれば、側壁の凹部の端縁と基板表面との間に板厚方向の所定の隙間が生じることから、この隙間を上述した電子部品の実装スペースとして利用することができる。そして、凹部の端縁は、外側部品の上端よりも基板に近い位置にあることから、側壁と外側部品とが内外方向に重なることとなり、側壁と外側部品との間を通って電子装置の内部に異物が侵入することを抑制することができる。
【0009】
また、前記ケース本体は、前記底板から立ち上がって前記回路基板を支持する支持片を有し、前記支持片は、前記ケース本体の内方に突出するリブを有し、前記カバー体は、前記ケース本体に対し前記基板の板厚方向に着脱可能に設けられ、前記側壁の内面は、前記リブの外面に摺接可能に設けられていることが好ましい。このような構成によれば、リブの外面でカバー体の側壁を案内しながら、カバー体を板厚方向に移動させ、当該カバー体をケース本体に装着することができる。このため、カバー体をケース本体に対して容易かつ正確に装着することができる。
【0010】
また、前記支持片は、前記カバー体の前記側壁よりも前記板厚方向に直交する所定方向の外方まで延びる延長部を有し、前記延長部には、前記外側部品の上方を覆う保護カバーを固定するための固定孔が設けられていることが好ましい。このような構成によれば、固定孔を介して保護カバーをケース本体に固定することができるため、例えば、カバー体の上方から落下等した異物等が外側部品に接触することや上述した所定の隙間に向かうことを、保護カバーにより抑制することができる。
【0011】
また、前記カバー体の前記側壁と前記外側部品との前記隙間は、前記外側部品に使用されるねじの頭部、またはねじを締めるための工具先端よりも小さい寸法に設定されていることが好ましい。このような構成によれば、外側部品に使用されるねじやねじを締めるための工具先端が、側壁と外側部品との間の隙間を介して電子装置の内部に侵入することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡易な構成で、内部の電子部品への異物の接触を抑制する汎用性の高いカバーを備える電子装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る電子装置を組み立てた状態を示す斜視図。
【
図8】
図5における電子装置のA-A線矢視断面図。
【
図14】ケース本体に取り付けられる保護カバーの上面図。
【
図15】(A)は、ケース本体に設けられた固定孔の一方を示す要部拡大図であり、(B)は、固定孔の他方を示す要部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の第1実施形態を
図1~11に基づいて説明する。第1実施形態にかかる電子装置1は、例えば、冷凍サイクルを構成する電子膨張弁などの電動弁のコントローラとして用いられる。電子装置1は、
図1に示すように、ケース本体10と、回路基板40と、カバー体50と、を備えている。なお、以降の説明では、回路基板40の板厚方向を高さ方向とし、「高さ方向Z」と記す。また、高さ方向Zの一方側を、「上側Z1」、他方側を「下側Z2」と記す。また、高さ方向Zに直交する回路基板40の面延在方向の一方を前後方向X(所定方向)とし、他方を左右方向Y(直交方向)と記す。そして、前後方向Xの一方側を「前側X1」、他方側を「後側X2」と記す。また、左右方向Yの一方側を「右側Y1」、他方側を「左側Y2」と記す。
【0015】
なお、これらの方向の定義はあくまでも説明の便宜のためのものであり、必ずしも電子装置1の実際の使用状態等における方向と一致するとは限らず、電子装置1の各方向を限定するものではない。例えば、電子装置1の実際の使用状態では、
図1における下側Z2部分は、電子装置1の背面となって取付対象に取り付けられ、上側Z1部分は表面となる。そして、この際、
図1における前後方向Xが上下方向となり、例えば、
図1における前側X1が実際は下側、
図1における後側X2が実際は上側となることがある。
【0016】
図2に示すように、ケース本体10は、樹脂成形等により上側Z1に開口する箱状に形成されている。ケース本体10は、左右方向Yに長辺を有する長方形状の底板11を備えている。底板11の上側Z1の面は回路基板40を支持する面を構成しており、
図3に示すように、前後方向Xの中央部に載置面12を有している。載置面12は、左右方向Yに長辺を有する長方形状に形成されている。載置面12の四隅には、上側Z1に立ち上がる支持突起13が形成され、支持突起13の突出端部13aは回路基板40の下側Z2の面に当接して回路基板40を上向きに支持している。
図4に示すように、底板11の下側Z2の面は、電子装置1を取付対象に取り付けるための取付面14を構成している。取付面14の前後方向X中央部には、下側Z2に開口する取付溝15が形成されている。取付溝15は、取付面14の右側Y1の端部から左側Y2の端部まで左右方向Yに亘って形成されており、取付対象となる不図示のレールに嵌合する。
【0017】
取付溝15の左右方向Y中央部には、取付溝15に連通し取付面14の前側X1の端部まで延びるガイド溝16が形成されている。ガイド溝16には、略矩形状のDINレール係止部材17が設置され、前後方向Xに進退移動可能に支持されている。DINレール係止部材17を前側X1に変位させた状態では、レールに嵌合した取付溝15を介して電子装置1が取付対象のレール上で左右方向Yに移動可能となる。一方、DINレール係止部材17を後側X2に変位させた状態では、DINレール係止部材17の後側X2の端部がレールを押圧することで電子装置1がレール上に係止され、電子装置1がレール上で変位不能となる。この構成により、電子装置1はレール上での位置を任意に変更することができる。取付溝15の前後両端縁における左右両端部分には、それぞれ高さ方向Zに貫通する型抜き孔18が形成されている。型抜き孔18は、後述する第1係止部29を形成する際の金型を抜くための孔であり、第1係止部29の下側Z2部分に対応する位置に形成されている。
【0018】
図2に示すように、底板11の左右両端縁には、上側Z1に立ち上がり、左右方向Yに互いに対向する一対の支持片19が形成されている。支持片19は、回路基板40を左右方向Yから支持する側壁である。支持片19には、内方に突出する第1レール20(リブ)が形成されている。第1レール20は、後述する回路基板40の第1溝41a内に位置して、回路基板40のケース本体10への取り付けをガイドする部分となっている。本実施形態では、第1レール20は、右側Y1及び左側Y2の支持片19のそれぞれにおいて、前側X1の縁部と後側X2の縁部に形成され、左右方向Y内方に突出し、高さ方向Zに延びている。第1レール20は、下側Z2に向かうにしたがって左右方向Yの幅寸法が大きくなっている。
【0019】
左側Y2の支持片19の内面における前後方向X中央部には、左右方向Y内方に突出し、高さ方向Zに延びる第2レール31が形成されている。第2レール31の左右方向Yの寸法は、高さ方向Zに亘って一定となっている。第2レール31は、後述する回路基板40の第2溝41b内に位置して、回路基板40のケース本体10への取り付けをガイドする。第2レール31を左側Y2の支持片19にのみ形成したことにより、当該第2レール31が第2溝41bに嵌る向きでのみ回路基板40がケース本体10に収容されることとなる。このため、回路基板40を誤った向きでケース本体10に収容することが防止されている。
【0020】
なお、本実施形態では、第1レール20は、右側Y1及び左側Y2の支持片19のそれぞれにおいて、前側X1の縁部と後側X2の縁部とに形成されていたが、これに限らず、第1レール20は支持片19のいずれかの箇所に形成されていてよい。また、本実施形態では、第2レール31の左右方向Yの寸法を高さ方向Zに亘って一定としたが、この左右方向Yの寸法は、第1レール20と同様に、下側Z2に向かうにしたがって大きくしてもよい。また、第2レール31は、必ずしも左側Y2の支持片19内面の前後方向X中央部に1個形成しなくてもよく、左側Y2の支持片19内面のいずれかの箇所に1個以上形成してもよいし、右側Y1の支持片19のいずれかの箇所に1個以上形成してもよい。なお、左右両側の支持片19に第2レール31を形成する場合には、ケース本体10に収容される回路基板40の向きが一の向きに限定されるように、右側Y1と左側Y2とで、第2レール31の個数を異なるようにするとよい。
【0021】
支持片19は、下側Z2(ケース本体底板側)部分を構成する下壁部21(根本部)と、上側Z1(ケース本体開口側)部分を構成する上壁部22(先端部)と、を備えている。下壁部21の外面は、上壁部22の外面よりも左右方向Y外方に位置しており(すなわち、上壁部22の外面は下壁部21の外面よりも左右方向Y内方に位置しており)、これによって、下壁部21と上壁部22の境界には、下壁部21外面から上壁部22外面に亘って左右方向Yに延びる段部23が形成されている。下壁部21には、前後方向X外方に突出する板状の延長部24が形成されている。
【0022】
本実施形態では、延長部24は、下壁部21の前後に一対形成されており、その一方は、下壁部21の前側X1の縁部から前側X1に突出し、後述するカバー体50の前側X1の仕切壁52(側壁)の前縁よりも前側X1まで延び、他方は、下壁部21の後側X2の縁部から後側X2に突出し、カバー体50の後側X2の仕切壁52(側壁)の後縁よりも後側X2まで延びている。延長部24の上部には、板厚方向に貫通する固定孔25が貫通形成されている。固定孔25は、後述する保護カバー70を固定するための貫通孔である。固定孔25は、電子装置1に取り付けられる部品との干渉を避けるため、段部23よりも下側Z2、かつ、後述するコネクタ挿入孔57よりも下側Z2、かつ、後述するネジ端子台42aおよびスクリューレス端子台42bよりも上側Z1の位置に形成されている。
【0023】
なお、保護カバー70は省略することも可能であり、第1実施形態では、電子装置1はこの保護カバー70を省略している。下壁部21の中央部には、左右方向Y内方に窪んだ略矩形状の凹部26が形成されている。凹部26の底面は、支持片19の外面の中で最も左右方向Y内方に位置している。これにより、下壁部21は、外面がケース本体10の最外面を構成する第1壁部27と、凹部26が形成されて第1壁部27よりも内方に凹んだ第2壁部28と、を備えることとなっている。第2壁部28には、回路基板40を係止保持する第1係止部29が形成されている。
【0024】
第1係止部29は、いわゆるスナップフィットであり、第2壁部28(すなわち、支持片19)を略U字状で板厚方向に切り欠いて形成され、左右方向Yに弾性変形可能となっている。第1係止部29は、左右方向Yに弾性変形可能に設けられた第1弾性片29a(弾性片)と、第1弾性片29aの内面から内方に突出して設けられる先端先細の第1保持爪29b(保持爪)と、を備えている。本実施形態では、この第1係止部29は、前後方向Xに離間して2個設けられている。具体的には、第1係止部29は、第2壁部28の前後両端に形成されている。しかしながら、第1係止部29の個数および配置は、これに限られず、その個数および配置は適宜変更することができる。
【0025】
上壁部22には、後述するカバー側壁59を係止保持する第2係止部30が形成されている。第2係止部30も、第1係止部29と同様に、前後方向Xに離間して2個設けられている。具体的には、第2係止部30は、上壁部22の前後両端に形成されている。第2係止部30も第1係止部29と同様にスナップフィットであり、(すなわち、支持片19)を逆U字状で板厚方向に切り欠いて形成され、左右方向Yに弾性変形可能となっている。第2係止部30は、左右方向Yに弾性変形可能に設けられた第2弾性片30a(弾性片)と、第2弾性片30aの外面から左右方向Y外方に突出して設けられる先端先細の第2保持爪30b(保持爪)と、を備えている。なお、第1係止部29および第2係止部30のいずれも、支持片19の一部を切り欠いて形成しているため、支持片19と別体で構成した場合と比較して、支持片19から第1係止部29および第2係止部30が左右方向Yへ突出する量を小さくすることができ、その分、電子装置1の小型化に資することができる。
【0026】
回路基板40は、例えばプリント基板であり、左右方向Yに長辺を有する長方形状に形成されている。回路基板40は、下側Z2の面を底板11に対向させた状態で下側Z2に移動してケース本体10に収容され、一対の支持片19に亘って支持されている。
図6に示すように、回路基板40は、略矩形板状の基板41と、基板41に設けられる不図示の回路と、基板41の上側Z1の面(表面)に実装される複数の電子部品と、を備えている。なお、本実施形態では、複数の電子部品は、基板41の上側Z1の面に実装されているが、これに限られず、少なくとも基板41の上側Z1の面に複数の電子部品が実装されていれば、基板41の下側Z2の面にも電子部品が設けられていてよい。すなわち、回路基板40は、片面(表面)に電子部品が設けられた片面基板であってもよいし、両面に電子部品が設けられた両面基板であってもよい。また、不図示の回路は、基板41の上側Z1の面、基板41の下側2の面、基板41の上下両面、基板41の縁部、または基板41の内部など、基板41のいずれかの箇所に設けることができる。
【0027】
複数の電子部品は、基板41の外縁(本実施形態では、前縁および後縁)付近に沿って配置される外側部品42と、外側部品42よりも基板41の内方側に配置される不図示の内部部品と、で構成されている。本実施形態では、外側部品42として端子台を配置しており、外側部品42のうち基板41の前縁の左側Y2部分に沿って配置される部品は、ネジ端子台42aである。また、外側部品42のうち前側X1のネジ端子台42aの隣、および基板41の後縁に沿って配置される部品は、スクリューレス端子台42bである。これらネジ端子台42a、スクリューレス端子台42bは、電子装置1と外部装置とを電気的に接続する部分である。
【0028】
ネジ端子台42aやスクリューレス端子台42bは、箱状に形成され、
図10に示す挿通孔42cにネジ端子台42aやスクリューレス端子台42bの基板接続端子(不図示)を挿通し、半田付けされることにより基板41に電気的に接続される。
図6に示すように、基板41の右側Y1の縁部と、左側Y2の縁部には、ケース本体10の第1レール20を収容する第1溝41aが形成されている。第1溝41aは、内方に切り欠かれ外方に開口している。第1溝41aは、第1レール20の位置に合わせて、基板41の前側X1部分と後側X2部分とにそれぞれ形成されている。第1溝41aの深さは、第1レール20の下端部における左右方向Yの寸法と略同じに設定されている。回路基板40をケース本体10の上側Z1から下側Z2に移動させる際には、第1溝41aの内面が第1レール20に当接または近接等することでガイドされることとなる。
【0029】
この際、第1溝41aの深さが上述のようになっていることで、回路基板40が上側Z1に位置するほど第1レール20と第1溝41aの内面とが当接または近接し難く、回路基板40を動かしやすい。一方、回路基板40が下側Z2に移動するほど、第1レール20と第1溝41a内面とが当接または近接しやすくなるため、回路基板40がケース本体10に対して変位し難く、ケース本体10に対する回路基板40の位置がより正確に決まることとなる。そして、基板41の左側Y2の縁部における前後方向X中央部には、第2レール31を収容する第2溝41bが形成されている。
【0030】
上述のとおり、第2レール31は、回路基板40をケース本体10に収容する際の向きを一方向に特定する機能を備えることから、この第2レール31を収容する第2溝41bは、誤嵌合防止溝としての機能を有している。第2溝41bは、内方に切り欠かれ外方に開口している。第2溝41bの深さは、第2レール31の左右方向Yの寸法と略同じに設定されている。回路基板40をケース本体10の上側Z1から下側Z2に移動させる際には、第1溝41aの内面が第1レール20に当接または近接等することと同様に、第2溝41bの内面が第2レール31に当接または近接等することで、回路基板40がガイドされることとなる。
【0031】
このように構成される回路基板40は、1枚の基板材料から複数個を切り出す、いわゆる「複数個取り」によって形成される。この際、本実施形態では、2個の異なる切断方法により、複数個取りが行われる。具体的には、まず、所定の位置に位置決めした基板材料に対して、外周部に切れ刃を有する切削工具を回転させながら貫通させ、当該工具の座標をサーボモータ等で制御しながら基板材料の所定の箇所を切断する「NCルータ加工」を行う。次に、基板材料においてNCルータ加工されていない個所に、連続または断続した溝を形成することでこれを破断部とし、基板41を曲げることでこの破断部から破断する「折り曲げ破断」を行う。例えば、この折り曲げ破断として、本実施形態では、V字状の溝を連続して形成して破断部とし、基板41を曲げることでこの破断部から破断するVカットを行っている。
【0032】
NCルータ加工は、精度の面で優れることから、複数個取りした後の回路基板40の寸法のばらつきを抑制することができる。具体的には、切断の精度としては、Vカットで生じる寸法の交差が1/10程度であるとすると、NCルータ加工によって生じる寸法の交差は1/100程度となる。一方、Vカットは、工具等の精密な制御が要求されないことから、作業効率に優れ、コスト面に優れる。なお、本実施形態では、折り曲げ破断の一例としてVカットを行っているが、これに限らず、例えば、基板材料においてNCルータ加工されていない個所に、断続する溝やスリットによってミシン目状の破断部を形成し、基板41を曲げることでこのミシン目状の破断部を破断してもよい。なお、本実施形態においては、NCルータ加工の後、Vカット等の折り曲げ破断を行っているが、まずVカット等の折り曲げ破断のみで複数個取りを行った後、第1端面や第2端面等、必要な個所にNCルータ加工を施してもよい。
【0033】
本実施形態では、基板41の前縁部がVカットされた前側Vカット面43となり、基板41の後縁部がVカットされた後側Vカット面44を構成している。そして、基板41の左右両端縁では、前側X1の第1溝41aから後側の第1溝41aまでの間の部分が前後方向Xに延びる第1端面45を構成し、第1溝41aの内面が第2端面46を構成し、第2端面46の前後方向X外方側の部分が前後方向Xに延びる第3端面47を構成している。
図7に示すように、第1端面45は、支持片19の内面、具体的には、第2壁部28の内面に対向し、当該内面に沿って前後方向Xに延びている。第1端面45の少なくとも一部、具体的には、第1係止部29と対向する部分は、NCルータ加工によって前後方向Xに沿って切削されて所定の位置に形成された第1切削面45aを構成している。
【0034】
図8に示すように、第1切削面45aが設けられた箇所においては、右側Y1の第1切削面45aから左側Y2の第1切削面45aまでの左右方向Yの寸法は、右側Y1の第1係止部29における第1保持爪29bの先端部から左側Y2の第1保持爪29bの先端部までの距離よりも大きくなっている。これにより、
図9に示すように、回路基板40がケース本体10に収容される際には、第1切削面45aにより第1保持爪29bの先端部が押圧されて第1弾性片29aが左右方向Y外方に弾性変形し、その復元力によって第1切削面45aが第1保持爪29bに係止されるとともに左右方向Y内方に押圧されることで回路基板40がケース本体10に保持される。また、この際、回路基板40は、上述した支持突起13によって上向きに支持された状態で、第1保持爪29bの下面によって下向きに押さえられることとなり、支持突起13の突出端部13aと第1保持爪29bの下面とによって高さ方向Zに挟まれる。これにより、回路基板40の高さ方向Zへの抜けが抑制される。このようにして、ねじやピン等を用いることなく、簡易に回路基板40をケース本体10に固定することができる。
【0035】
なお、第1切削面45aを設けたことで、回路基板40における前後方向Xに延びて第1保持爪29bに係止される部分の寸法精度を高くすることができる。これによれば、上述した複数個取り等によって回路基板40の寸法精度のばらつきが想定される場合でも、第1保持爪29bに形成される部分のケース本体10に対する位置精度を高くすることができる。また、回路基板40における第1保持爪29bに係止される部分の寸法精度が高くなることで、第1係止部29の弾性変形量が想定以上になり難く、第1係止部29が回路基板40を保持する力を安定させることができる。
【0036】
これは、特に、本実施形態のように第1切削面45aが回路基板40の左右両側に設けられている場合は顕著であり、第1切削面45aが形成された部分における回路基板40の左右方向Yの寸法を精度高く一定とすることができ、第1係止部29の弾性変形量を一定とすることができることから、第1係止部29が回路基板40を保持する力を一定にすることができる。また、さらに、第1係止部29がケース本体10の最外面を構成する第1壁部27ではなく、第1壁部27よりも内方に凹んだ第2壁部28に設けられていることで、外部から部品や工具等が第1係止部29に衝突し難く、外力が第1係止部29を介して直接回路基板40に作用し難くなっている。このため、第1係止部29によって回路基板40が保持された状態が安定して維持される。
【0037】
第2端面46は、第1端面45に連続し第1端面45と直交して左右方向Yに延びる部分と、この左右方向Yに延びる部分を接続する円弧状の部分と、で構成されている。すなわち、第2端面46は、第1端面45と直交して左右交方向Yに延びる部分を備えている。第2端面46のうち、左右方向Yに延びる部分は、上述した第1レール20の側面に当接または近接することとなっており、少なくともこの当接または近接部分は、NCルータ加工によって左右方向Yに沿って切削されて所定の位置に形成された第2切削面46aを構成している。そして、この第2切削面46aが第1レール20側面に当接または近接することで、回路基板40の前後方向Xの変位が規制される。
【0038】
すなわち、第2切削面46aがケース本体10の一部に当接または近接することで回路基板40がケース本体10に位置決めされている。第3端面47は、上述したVカット(折り曲げ破断)によって形成された折り曲げ破断面(非切削面)であり、第2端面46に連続して前後方向X外方に延びている。
図7に示すように、第3端面47は、支持片19の内面、具体的には、第1壁部27の内面に対向し、当該内面に沿って前後方向Xに延びている。すなわち、第3端面47は、第1端面45と異なる位置で支持片19の内面に対向して前後方向Xに延びている。
【0039】
ここで、上述したように、第1係止部29が回路基板40を保持する力を安定させる観点から、第1切削面45a(第1端面45)と第2壁部28(支持片19)の内面との離間距離S1(
図7にのみ図示)は、第3端面47と第1壁部27(支持片19)の内面との離間距離S2よりも小さく形成することが好適である。これにより、第1切削面45aよりも寸法のばらつきが多い第3端面47をケース本体10に当接させ難くし、寸法のばらつきの少ない第1切削面45aを確実に第1係止部29で係止することができる。また、このような離間距離S1および離間距離S2の関係とすることで、第2壁部28以外の部分、具体的には第1壁部27に対して、外部から部品や工具等が衝突したとしても、回路基板40とケース本体10との間にスペースが確保されていることとなるので、ケース本体10に加わる外力が直接回路基板40に作用することを抑制することができる。
【0040】
カバー体50は、ケース本体10の開口を覆う部材であり、ケース本体10に対して高さ方向Zに着脱可能に設けられている。
図10に示すように、カバー体50は、基板41(回路基板40)の上側Z1の面に対向する天板51有している。天板51は、左右方向Yに長辺を有する長方形板状に形成されている。天板51の長辺を構成する前後両側端縁は、カバー体50の前後方向Xにおける最外縁を構成しており、この最外縁から一対の仕切壁52(側壁)が基板41の上側Z1の面(表面)に向かって垂下されている。仕切壁52は、外側部品42と内側部品(不図示)とを仕切る壁であり、ネジ端子台42aやスクリューレス端子台42bを基板41にはんだ付けする工具や、その他例えば外側部品42に用いられるねじやねじを締めるための工具等や電子装置1を扱う作業者の指等(以下、異物ともいう)が内側部品に接触することを防止している。
【0041】
なお、異物が内側部品に接触することを防止するために、ネジ端子台42aやスクリューレス端子台42bの周辺等外側部品42の周りを全て覆うことも考えられるが、この場合、カバー体50の形状が複雑になり、汎用性が低下することから、本実施形態のように、天板51から垂下する仕切壁52を設けるシンプルな構成が好適である。仕切壁52の内壁面における左右方向Y両端部は、ケース本体10の支持片19の前後両端縁に形成された第1レール20の側壁における前後方向X外方の面(外面)に摺接可能となっており、これによって、第1レール20にガイドされながら、カバー体50が高さ方向Zに移動してケース本体10に装着されることとなっている。
【0042】
図11に示すように、仕切壁52の下端縁(先端縁)には、下側Z2に突出する凸部53が形成されている。本実施形態では、凸部53は、仕切壁52の下端縁における左右両端部に形成されている。凸部53は、基板41の上側Z1の面(表面)に対して高さ方向Zに所定の隙間を介して位置している。凸部53の形成により、回路基板40が衝撃や振動等によって高さ方向Z(板厚方向)に浮き上がった場合に、当該凸部53を基板41の上側Z1の面に当接させることでその浮き上がりを抑制できるようになっている。また。仕切壁52の下端縁における左右両端部に凸部53を形成したことにより、各凸部53の間には、下側Z2に開口する凹部54が形成されている。凹部54の上端縁55(端縁)は、凸部53よりも基板41の上側Z1の面から上側Z1(高さ方向Z)に離れている。この凹部54の形成により、基板41と仕切壁52との間に空間が生じ、仕切壁52と電子部品との干渉を防ぐことができる。このため、当該空間を電子部品の実装スペースとして利用し、仕切壁52が配置される部分の一部にも、基板41に電子部品を実装することができるようになっている。
【0043】
一方、
図8に示すように、凹部54の上端縁55は、ネジ端子台42aの上端部42dよりも下側Z2にある。また、凹部54の上縁部55は、スクリューレス端子台42bの上端部42eよりも下側Z2にある。すなわち、凹部54の上縁部55は、外側部品42の上端部よりも基板41に近い位置にある。このため、ネジ端子台42aおよびスクリューレス端子台42bと、凹部54と、によって生じた空間と、が前後方向Xにオーバーラップすることとなり、凹部54を介してカバー体50内部に異物が侵入することをネジ端子台42aおよびスクリューレス端子台42bにより防いでいる。凹部54の上端縁55(すなわち、仕切壁52の下端縁)の左右方向Y中央部には、下側Z2に突出する第2凸部53aが形成されている。第2凸部53aは、基板41の上側Z1の面に対して高さ方向Zに所定の隙間を介して位置しており、凸部53と同様に回路基板40の浮き上がりを抑制している。なお、上述した凹部54を構成する観点からは、第2凸部53aは必須ではなく、第2凸部53aは省略することもできる。
【0044】
なお、
図2に示すように、仕切壁52の前側X1または後側X2部分には、
図10に示す挿通孔42cを介してネジ端子台42aやスクリューレス端子台42b(外側部品42)が取り付けられることになることから、取付作業を容易にするため、仕切壁52の外面と、ネジ端子台42aやスクリューレス端子台42b(外側部品42)の背面(仕切壁52の外面と対向する面)と、の間には、前後方向Xに所定の隙間を設けることが好ましい。しかしながら、所定の隙間が大きくなると上述した異物が、当該隙間に侵入するとともに、上述した凹部54を介してカバー体50内の内側部品に接触することがある。
【0045】
このため、所定の隙間は、凹部54の上端縁55と基板41の上側Z1の面との隙間よりも小さくすることが好ましい。また、所定の隙間は、上述した異物よりも小さい寸法に設定することが好ましい。具体的には、例えば、所定の隙間は、外側部品42に使用されるねじの頭部、またはねじを締めるための工具先端よりも小さい寸法に設定されていることが好ましい。例えば、本実施形態では、所定の隙間は5mm程度に設定することとした。すなわち、仕切壁52は、外側部品42よりも内方側に所定の隙間を介して設けられている。また、この所定の隙間を設けたことで、当該隙間を上述した電子部品の実装スペースとして利用することができる。これにより、電子部品の実装スペースをさらに大きくすることができる。
【0046】
仕切壁52の板面には、板厚方向に貫通して高さ方向Zに延びるスリット56が形成されている。スリット56は、左右方向Yに並んで複数形成されている。なお、スリット56の幅は約3mmとなっており、上述した凹部54の上端縁55と基板41の上側Z1の面との隙間や、仕切壁52の外面と外側部品42の背面との所定の隙間よりも小さくなっている。また、カバー体50において前側X1部分を構成する仕切壁52の板面右上の部分には、板厚方向に貫通するコネクタ挿入孔57(
図2参照)が形成されている。コネクタ挿入孔57には、不図示の外部装置の導線に設けられたコネクタが挿入されることとなっており、これによって外部装置と電子装置1とが接続されることとなっている。なお、
図2以外の他の図面においては、コネクタ挿入孔57を省略している場合がある。
【0047】
図11に示すように、仕切壁52の左右両端における下側部分には、後述するカバー側壁59の外面よりも内方に位置して左右方向Y外方を向く側端面58が形成されており、この側端面58は、ケース本体10の支持片19内面に当接または近接する規制面を構成している。側端面58は、支持片19が左右方向Y内方に倒れることを規制している。すなわち、側端面58が支持片19の内面に当接または近接することで支持片19の位置規制が行われている。このように、仕切壁52に側端面58が設けられていることで、カバー体50の下側Z2部分は、一対の支持片19の間でケース本体10内部に収容されている。
【0048】
図10に示すように、天板51の短辺を構成する左右両側端縁からは、仕切壁52と異なる側壁として、一対のカバー側壁59が垂下されている。カバー側壁59は、仕切壁52よりも高さ寸法が小さい板状に形成され、その板面には、第2係止部30の第2保持爪30bに係止される縁部を備えた係止孔60が貫通形成されている。右側Y1のカバー側壁59の内面から左側Y2のカバー側壁59の内面までの左右方向Yの距離は、ケース本体10における右側Y1の上壁部22の外面から左側Y2の上壁部22の外面までの左右方向Yの寸法よりも大きくなっている。また、この右側Y1のカバー側壁59の内面から左側Y2のカバー側壁59の内面までの左右方向Yの距離は、右側Y1の第2係止部30における第2保持爪30bの先端部から左側Y2の第2保持爪30bの先端部までの距離よりも小さくなっている。
【0049】
そして、カバー側壁59の高さ方向Zの寸法は、ケース本体10の上壁部22の上側Z1の端面からケース本体10の段部23までの距離よりも大きく設定されている。そして、カバー側壁59の下端縁59a(垂下方向端縁)は、ケース本体10にカバー体50が装着された状態でケース本体10の段部23に当接することとなっており、これによって、カバー体50の下側Z2への変位が規制されることとなっている。このような構成により、
図10に示すように、カバー体50がケース本体10に装着された状態では、カバー側壁59の内面が、上壁部22の外面側に重なり、カバー側壁59がケース本体10の上部を覆うこととなる。そして、この際、カバー側壁59の内面により第2保持爪30bが押圧されて第2弾性片30aが左右方向Y内方に弾性変形し、その復元力によって係止孔60の縁部が第2保持爪30bに係止されるとともに左右方向Y外方に押圧されることでカバー体50がケース本体10に保持される。
【0050】
すなわち、カバー側壁59は、第1係止部29よりも上側Z1(ケース本体10の開口側)にて、支持片19の外面側に重なって係止されている。そして、カバー側壁59の下端縁59aは、ケース本体10の段部23に当接することで、下側Z2への変位が規制されている。すなわち、カバー側壁59の垂下方向端縁が段部23に当接することで、カバー体50が位置規制されている。なお、カバー側壁59の下端縁59aを段部23に当接させることで、カバー体50の装着が完了するため、特にストッパ等の部材を改めて設ける必要はない。
【0051】
このようにして、カバー体50がケース本体10に装着されると、カバー側壁59がケース本体10の上側Z1部分を外側から覆うこととなり、支持片19が左右方向Y外方へ変位することがカバー側壁59によって規制される。このような構成により、カバー体50がケース本体10に装着された状態では、支持片19の上部外方に位置するカバー側壁59によって支持片19の左右方向Y外方への変位が規制されるとともに、支持片19の下部内方に位置する仕切壁52の側端面58によって支持片19の内方への変位が規制される。このため、支持片19は底板11に対して傾き難くなっている。
【0052】
上記のように構成された本実施形態の電子装置1では、第1係止部29における第1保持爪29bの突出方向と、第2係止部30における第2保持爪30bの突出方向が反対になっていることで、同じ支持片19の中で第1係止部29は左右方向Y外方に弾性変形し、第2係止部30は、左右方向Y内方に弾性変形することなる。このため、例えば、回路基板40によって第1係止部29が弾性変形させられる際の力が支持片19を介して第2係止部30に伝わり、当該力によって第2係止部30がカバー側壁59に押し付けられる。すなわち、第1係止部29に加わる力は、第2係止部30に付加される。一方、カバー側壁59によって第2係止部30が弾性変形させられる際の力が支持片19を介して第1係止部29に伝わり、当該力によって第1係止部29が回路基板40に押し付けられる。すなわち、第2係止部30に加わる力は第1係止部29に付加される。このように、第1係止部29および第2係止部30に加わる力をお互いに付加させることができ、第1係止部29および第2係止部30の保持力が向上することとなる。なお、第2係止部30の第2保持爪30bを左右方向Y外方に突出させたことで、第1係止部29を成形する際の金型の上部の形状をシンプルにすることができ、当該成形を簡易にすることができる。
【0053】
なお、この際、回路基板40によって押圧された第1弾性片29aが左右方向Y外方に弾性変形することに合わせて支持片19が左右方向Y外方に傾こうとする場合がある。これは本実施形態のように回路基板40を複数個取りにより作製する際に、回路基板40の左右方向Yの寸法が大きくなる方にばらついた場合に顕著となる。この場合、第1係止部29および支持片19が想定以上に変形しようとすることで、底板11との境界部を有して変位し難い支持片19の根本部に過剰な負荷がかかり、耐久性の問題が生じることとなる。また、第1係止部29および支持片19が想定以上に変形しようとすることで、その反力も増大し、回路基板40にかかる負荷が増大する。しかしながら、上述したように、カバー側壁59が、第1係止部29よりも上側Z1(ケース本体10の開口側)にて、支持片19の外面側に重なって係止されており、支持片19はその先端部がカバー側壁59によって変位を規制されている。このため、支持片19の根本部に過剰な負荷が集中することや、回路基板40に想定以上の負荷が生じることが抑制される。
【0054】
一方、カバー側壁59によって押圧された第2弾性片30aが左右方向Y内方に弾性変形することに合わせて支持片19が左右方向Y内方に傾こうとする場合もある。この場合も第1弾性片29aの弾性変形に合わせて支持片19が左右方向Y外方に傾こうとする場合と同様に、支持片19の根本部に過剰な負荷がかかるとともに、回路基板40にかかる負荷が増大する。しかしながら、上述したように、仕切壁52の側端面58によって支持片19の傾きは規制されることから、支持片19の根本部に過剰な負荷が集中することや、回路基板40に想定以上の負荷が生じることが抑制される。
【0055】
以上、上述した第1実施形態によれば、回路基板40において、第1端面45の少なくとも一部に第1切削面45aを設けたことで、前後方向X(所定方向)に延びて第1保持爪29b(保持爪)に係止される部分の寸法精度を高くすることができる。これによれば、上述した複数個取り等によって回路基板40の寸法精度のばらつきが想定される場面でも、第1保持爪29b保持爪に係止される部分のケース本体10に対する位置精度を高くすることができる。このため、ケース本体10に対して回路基板40を正確に収容し、回路基板40の係止を安定して行うことができる。また、回路基板40における第1保持爪29bに係止される部分の寸法精度が高くなることで、第1弾性片29a(弾性片)が想定以上に変形することが抑制される。このため、第1弾性片29aに想定以上の復元力が発生することも抑制され、回路基板40に想定外の負荷がかかることが抑制される。したがって、ケース本体10(ケース)への回路基板40(基板)の収容を正確に行うとともに、回路基板40に作用する負荷を低減する電子装置1を提供することができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、第1保持爪29bと第1切削面45aとによって回路基板40の左右方向Y(直交方向)の位置が決まるとともに、第2切削面46aと第1レール20の側壁(ケース本体10の一部)とによって回路基板40の前後方向X(所定方向)の位置が決まることとなる。すなわち、回路基板40はケース本体10に対して少なくとも2方向から位置決めされることとなる。このため、ケース本体10に対する回路基板40の位置精度が向上し、回路基板40をケース本体10に収容した状態を安定して維持することができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、第1レール20(リブ)の側面と第2切削面46aとを当接または近接させることでケース本体10に対する回路基板40の前後方向Xの位置を決めることができるため、第1レール20の側面と第2切削面46aとを摺接させることもでき、これによって、回路基板40をケース本体10に取り付ける際のガイドとして第1レール20を用いることができる。したがって、ケース本体10への回路基板40の収容をより一層正確に行うことができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、第1切削面45aを備える第1切削面45a(第1端面45)と支持片19の内面との離間距離S1(距離)は、非切削面である第3端面47と支持片19の内面との離間距離S2(距離)よりも小さく設定されている。これによれば、第3端面47と支持片19とを当接させ難くし、確実に第1切削面45aを第1保持爪29b(保持爪)により係止することができる。このため、例えば、第3端面47が折り曲げ破断によって形成されることで回路基板40の寸法にばらつきが生じることや、第3端面47にバリ等の突起や凹みが形成されるなどして、回路基板40の寸法にばらつきが生じること、などがあったとしても、その影響を受けることなく、ケース本体10への回路基板40の収容を正確に行うとともに、回路基板40に作用する負荷を低減することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、天板51から基板41の上側Z1の面(表面)に向かって垂下した仕切壁52により、回路基板40の電子部品における外側部品42と内側部品とを内外方向に仕切ることができる。このため、例えば、外側部品42としてのネジ端子台42aやスクリューレス端子台42b(外側部品42)の周囲のほとんどを覆うことなく、工具等や電子装置を扱う作業者の指等の異物が内側部品に接触することを抑制することができる。また、仕切壁52の外面と外側部品42の背面との間には所定の隙間が設けられていることから、この隙間を電子部品の実装スペースとして利用することができ、当該実装スペースを大きく確保することができる。また、天板51と、天板51から垂下する仕切壁52と、のシンプルな構造で、外側部品42や内側部品の外形に依存することなくカバー体50を構成することができるので、カバー体50の汎用性が高く、実装するネジ端子台42aやスクリューレス端子台42bのバリエーションを多様にすることができる。したがって、簡易な構成で、内部の電子部品への異物の接触を抑制する汎用性の高いカバー体50(カバー)を備える電子装置1を提供することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、例えば、回路基板40が衝撃や振動等によって高さ方向Z(板厚方向)に浮き上がった場合に、仕切壁52の凸部53を基板41の上側Z1の面(表面)に当接させることでその浮き上がりを抑制することができる。また、この構成によれば、仕切壁52の凹部54の上端縁55(端縁)と基板41の上側Z1の面との間に高さ方向Zの所定の隙間が生じることから、この隙間を上述した電子部品の実装スペースとして利用することができる。そして、凹部54の上端縁55は、外側部品42の上端部42dよりも基板41に近い位置にあることから、仕切壁52と外側部品42とが前後方向X(内外方向)に重なることとなり、仕切壁52と外側部品42との間を通って電子装置1の内部に異物が侵入することを抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、仕切壁52の内面を第1レール20(リブ)の外面に摺接可能としたことで、第1レール20の外面でカバー体50の仕切壁52を案内しながら、カバー体50を高さ方向Z(板厚方向)に移動させ、当該カバー体50をケース本体10に装着することができる。このため、カバー体50をケース本体10に対して容易かつ正確に装着することができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、上述した仕切壁52の外面と、外側部品42の背面と、の間の所定方向の隙間を、外側部品42に使用されるねじやねじを締めるための工具先端(異物)よりも小さい寸法に設定したため、これら異物が、仕切壁52と外側部品42との間の隙間を介して電子装置1の内部に侵入することを抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、ケース本体10に収容される回路基板40の寸法が大きくなる方にばらつき、第1係止部29および支持片19が想定以上に変形しようとしても、カバー側壁59が第1係止部29よりもケース本体10の開口側にて支持片19の外面側に重なって係止されている。このため、支持片19は先端部がカバー側壁59に変位を規制されることとなり、支持片19における底板11側の根本部を起点として外方に傾き難くなる。これにより、支持片19の根本部に過剰な負荷が集中することを抑制することができる。したがって、回路基板40(基板)を固定するための構造にかかる負荷が過剰になることを抑制する電子装置1を提供することができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、ケース本体10の支持片19を切り欠いて第1弾性片29a(弾性片)を設けているため、第1弾性片29aを支持片19と別体で構成した場合と比較して、第1係止部29のケース本体10からの突出量を小さくすることができ、その分、ケース本体10を小型化することができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、第1係止部29が内方の回路基板40によって内方から外方に押圧されて弾性変形する際の力が支持片19を介して第2係止部30に伝わり、当該力によって第2係止部30がカバー側壁59に押し付けられることになる。すなわち、第1係止部29に加わる力は、第2係止部30に付加される。一方、第2係止部30が外方のカバー側壁59によって外方から内方に押圧されて弾性変形する際の力が支持片19を介して第1係止部29に伝わり、当該力によって第1係止部29が回路基板40に押し付けられることになる。すなわち、第2係止部30に加わる力は、第1係止部29に付加される。このように、第1係止部29と第2係止部30の突出方向を支持片19の内方と外方とで異なるようにしたことで、第1係止部29および第2係止部30に加わる力をお互いに付加させることができ、第1係止部29および第2係止部30の保持力を向上させることができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、支持片19において下壁部21と上壁部22の境界を構成する段部23を、カバー側壁59の下端縁59a(垂下方向端縁)が当接してカバー体50が位置規制される際の構造として用いることができる。このため、ケース本体10にストッパ等の特別な構成を取り付けることなく、簡易な構造でケース本体10に対するカバー体50の位置決めを可能とすることができる。
【0067】
また、本実施形態によれば、支持片19の内面に、規制面としてカバー体50の側端面58が重なることとなるので、支持片19の外面側にカバー側壁59が重なってケース本体10とカバー体50とが組み合わさる際にカバー側壁59に押圧されて支持片19が内方に倒れ込むことを抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、支持片19の第2壁部28を切り欠くことで第1係止部29の第1弾性片29a(弾性片)を設けているため、第1弾性片29aを支持片19と別体で構成した場合と比較して、第1係止部29のケース本体10からの突出量を小さくすることができ、その分、ケース本体10を小型化することができる。そして、第1係止部29を有する第2壁部28は、支持片19の最外面を構成する第1壁部27よりも内方に凹んで設けられていることで、外部から部品や工具等が衝突等し難く、外力を受け難い。このため、外力が直接回路基板40に対する負荷になることを抑制することができる。したがって、小型化を達成しつつ、回路基板40(基板)に対して外部から力が加わり難い電子装置1を提供することができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、回路基板40とケース本体10の支持片19との関係において、上述のとおり外力が加わりにくい第2壁部28と、第1端面45(第2壁部28の内面に沿って前後方向X(所定方向)に延びる端面)と、の離間距離S1(距離)よりも、外力が加わりやすい第1壁部27と、第3端面47(第1壁部27の内面に対向して左右方向Y(所定方向)に延びる端面)と、の離間距離S2(距離)が大きくなっている。このため、第2壁部28以外の部分、具体的には第1壁部27に外部から部品や工具等が衝突するなどしてケース本体10に外力が加わっても、その外力が直接回路基板40に対する負荷になることを抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態によれば、上述した電子装置1では、回路基板40を係止保持する第1係止部29は、回路基板40に押されてケース本体10の外方に弾性変形し、これに合わせて第1係止部29を有する第2壁部28がケース本体10外方に変形しようとする場合がある。この場合、弾性変形した第1係止部29の反力によって回路基板40に負荷がかかることがある。しかしながら、本構成によれば、カバー側壁59は、第1係止部29よりもケース本体10の開口側にて第1係止部29を有する支持片19の外面側に重なって設けられているので、支持片19はカバー側壁59に変位を規制されることとなり、ケース本体10外方への弾性変形が緩和されることとなる。また、これにより第1係止部29におけるケース本体10外方への弾性変形も緩和されるため、上述した第1係止部29の反力も緩和されることとなり、回路基板40に係る負荷を低減することができる。
【0071】
以上、本発明の実施の形態、および変形例について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
図12は、第2実施形態に係る電子装置1’の斜視図である。第2実施形態では、上述した保護カバー70を省略していない点が第1実施形態と異なっている。保護カバー70は、外側部品42の上方を覆う保護部材であり、
図13に示すように、右側Y1の延長部24と左側Y2の延長部24に亘って左右方向Yに支持されている。この状態では、上述した仕切壁52の外面と外側部品42の背面との間の所定方向の隙間が上側Z1から見て隠れるようになっており、当該隙間に上述した異物が上側Z1からより侵入し難くなっている。
【0072】
図14に示すように、保護カバー70は、略長方形板状に形成されている。保護カバー70の左右両端部には、外方に突出する突起71がそれぞれ形成されている。
図15に示すように、それぞれの突起71が延長部24に形成された固定孔25に挿入されることで、保護カバー70がケース本体10に固定されることとなっている。このような構成によれば、保護カバー70の採用により、例えば、カバー体50の上方から落下等した異物等が外側部品42に接触することや、当該異物が上述した仕切壁52の外面と、外側部品42の背面と、の間の所定方向の隙間に向かうことを、保護カバー70により抑制することができる。このため、内側部品に対する異物の接触をより一層抑制することができる。
【符号の説明】
【0073】
X 前後方向(所定方向)
Y 左右方向(直交方向)
Z 高さ方向(板厚方向)
1 電子装置
10 ケース本体
11 底板
19 支持片
27 第1壁部
28 第2壁部
29 第1係止部
29a 第1弾性片(弾性片)
29b 第1保持爪(保持爪)
40 回路基板
41 基板
42 外側部品
45 第1端面
45a 第1切削面
50 カバー体
51 天板
52 仕切壁(側壁)
59 カバー側壁