(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008415
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】キースイッチ装置及び発光体実装基板
(51)【国際特許分類】
H01H 13/02 20060101AFI20250109BHJP
G06F 3/02 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H01H13/02 A
G06F3/02 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110582
(22)【出願日】2023-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】FCLコンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】青木 琢麻
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 徳
【テーマコード(参考)】
5B020
5G206
【Fターム(参考)】
5B020DD02
5B020DD26
5B020DD27
5G206AS35H
5G206CS01H
5G206DS11H
5G206GS05
5G206HU12
5G206PS02
5G206PS09
5G206RS04
5G206RS24
5G206RS42
(57)【要約】
【課題】リンク部材等の内部構造体が操作者の視認性に影響を及ぼさない構造を備えたキースイッチ装置、及び該キースイッチ装置に使用される発光体実装基板を提供する。
【解決手段】キースイッチ装置4は、キートップ12と、キートップ12を昇降自在に支持する支持部材14と、キートップ12を照光する発光体28が実装された発光体実装基板30と、を有する。キートップ12は昇降方向に分割可能なキー上部22及びキー下部24を有し、発光体28が実装された発光体実装基板30の実装部分52は、支持部材14の上方でかつキー上部22とキー下部24との間に配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キートップと、
前記キートップを昇降自在に支持する支持部材と、
前記キートップを照光する発光体が実装された発光体実装基板と、を有するキースイッチ装置であって、
前記キートップは前記昇降方向に分割可能なキー上部及びキー下部を有し、前記発光体が実装された前記発光体実装基板の発光体実装部分は、前記支持部材の上方でかつ前記キー上部と前記キー下部との間に配置される、
キースイッチ装置。
【請求項2】
前記キー上部はその側部に第1の貫通溝を有し、前記キー下部はその側部に第2の貫通溝を有し、前記発光体実装基板は、前記第1の貫通溝及び前記第2の貫通溝を貫通して前記発光体実装部分を支持するタブ状部分を有する、請求項1に記載のキースイッチ装置。
【請求項3】
前記キー上部は、前記第1の貫通溝の上部に庇部を有する、請求項2に記載のキースイッチ装置。
【請求項4】
前記キー上部の内部は空洞であり、前記キー下部は、前記キー上部が押下されたときに前記キー下部の下方に配置された作動部材を押圧する押圧部を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のキースイッチ装置。
【請求項5】
前記キー上部は、上部ベゼル及び下部ベゼルが協働して構成する筐体内に配置され、前記上部ベゼル及び前記下部ベゼルは互いに着脱可能な構造を有し、前記発光体実装基板は、前記下部ベゼルに着脱可能に取付けられる、請求項1に記載のキースイッチ装置。
【請求項6】
前記キー上部は、上部ベゼル及び下部ベゼルが協働して構成する筐体内に配置され、前記上部ベゼル及び前記下部ベゼルは互いに着脱可能な構造を有し、前記キー上部は、前記上部ベゼルの開口部を画定する端縁に係止する延長部を有する、請求項1に記載のキースイッチ装置。
【請求項7】
キートップと、前記キートップを昇降自在に支持する支持部材とを有し、前記キートップが前記昇降方向に分割可能なキー上部及びキー下部を有するキースイッチ装置に使用される発光体実装基板であって、
前記支持部材の上方でかつ前記キー上部と前記キー下部との間に配置される発光体と、
前記発光体が実装された発光体実装部分と、
前記キー上部の第1の貫通溝及び前記キー下部の第2の貫通溝を貫通して、前記発光体実装部分を支持するタブ状部分と、
を有する、発光体実装基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照光機能を備えたキースイッチ装置、及び該キースイッチ装置に使用される発光体実装基板に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械、医療機器及びコンピュータ等の種々の装置の入力デバイスとして、キースイッチ装置が使用されることが多い。近年、工作機械等の操作パネル等において、デザイン性や視認性の向上を目的として、キートップを内部から照明することが望まれている。
【0003】
キートップを照明する構造として、LED等の発光体をキートップの下部、又はキートップを支持するリンク部材等の構造体の下方に配置する構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-142230号公報
【特許文献2】特開2018-120694号公報
【特許文献3】特開2015-043349号公報
【特許文献4】国際公開第2008/84803号
【特許文献5】特開2006-164929号公報
【特許文献6】特開平07-153344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LED等の光源をキースイッチ装置の下方に設けてキートップを照明する構成では、キートップを支持するリンク部材等の内部構造体の影がキートップに投影されてしまい、キートップに印刷された文字等が読み難くなる等、照明されたキートップの視認性を損ねる場合があり、これを確実に防止することは難しい。
【0006】
よって、リンク部材等の内部構造体がデザイン性や視認性に影響を及ぼさない構造を備えたキースイッチ装置が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、キートップと、前記キートップを昇降自在に支持する支持部材と、前記キートップを照光する発光体が実装された発光体実装基板と、を有するキースイッチ装置であって、前記キートップは前記昇降方向に分割可能なキー上部及びキー下部を有し、前記発光体が実装された前記発光体実装基板の発光体実装部分は、前記支持部材の上方でかつ前記キー上部と前記キー下部との間に配置される、キースイッチ装置である。
【0008】
本開示の他の態様は、キートップと、前記キートップを昇降自在に支持する支持部材とを有し、前記キートップが前記昇降方向に分割可能なキー上部及びキー下部を有するキースイッチ装置に使用される発光体実装基板であって、前記支持部材の上方でかつ前記キー上部と前記キー下部との間に配置される発光体と、前記発光体が実装された発光体実装部分と、前記キー上部の第1の貫通溝及び前記キー下部の第2の貫通溝を貫通して、前記発光体実装部分を支持するタブ状部分と、を有する、発光体実装基板である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、キートップをキー上部及びキー下部を含む分割構造とし、キー上部とキー下部との間に発光体を配置するので、キーの操作面を内部からむらなく照明することができ、キースイッチ装置のデザイン性や視認性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係るキースイッチ装置を含むキーボードの概略図である。
【
図3】
図2のA-A′線に沿う断面構造を示す斜視図である。
【
図4】
図3においてキートップを押下した状態を示す図である。
【
図5】キースイッチ装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【
図8】キー上部、LED実装基板及びキー下部を含む構造の分解斜視図である。
【
図11】
図10の状態から、上部ベゼルを下部ベゼルから分離させた状態を示す図である。
【
図12】キー上部を上部ベゼルと一体的に脱着可能とする構造例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、実施形態に係るキースイッチ装置を含む構造の一例としてコンピュータ用キーボードを示す概略図である。キーボード2は、所定のパターンで配列された複数のキースイッチ装置4を有し、キースイッチ装置4は、上部ベゼル6及び下部ベゼル8が協働して構成する筐体内に配置される。キースイッチ装置4を含む構造はキーボード2に限られず、例えば、ゲーミングキーボード、工作機械や医療機器等の操作パネル等が挙げられる。以降は、
図2に示すように1つのキースイッチ装置4に着目して説明するが、他のキースイッチ装置も同様の構成を有し得る。
【0012】
図3は、
図2のA-A′線に沿う断面構造を示す斜視図であり、キースイッチ装置4の内部構造の一例を示す。キースイッチ装置4は、スイッチパネル10と、スイッチパネル10の上方に配置されるキートップ12と、互いに連動してキートップ12をスイッチパネル10の上方で昇降自在に支持する支持部材(一対のリンク部材)14と、キートップ12の昇降動作に応じて接点が開閉する電気回路を備えたメンブレンシート16と、キートップ12に押されてメンブレンシート16の電気回路の接点を閉じるように作用する作動部材18とを有する。本実施形態では、メンブレンシート16及び作動部材18が協働して、キートップ12の昇降動作に対応して電気回路の接点部を開閉するスイッチ機構を構成する。またスイッチパネル10は、例えば板金材料からなる独立した金属薄板のような平板状の剛性部材であり、一対のリンク部材14を摺動自在に支持するスライド案内部20を有する。
【0013】
なお本実施形態では、キースイッチ装置の各構成要素について
図3の上方向に面する側を上側と称し、
図3の下方向に面する側を下側と称するものとする。
【0014】
本実施形態では、一対のリンク部材14としてギヤリンク形式のリンク部材が使用され、作動部材18としてメンブレンシート16とは別部品の、弾性変形可能なラバードームが使用されている。一対のリンク部材14は、互いに同一の形状及び寸法を有し、それらの一端で互いに歯車状に連結されて側面視で略逆V字形態を呈するように組み合わされる。一対のリンク部材14により、キートップ12は水平姿勢を維持しつつ上下動可能となる。またラバードーム18は、その下端が接着剤等によりメンブレンシート16の表面に接着される。但し、支持部材14はギヤリンク形式に限定されるものではなく、例えばパンタグラフ形式でもよい。また作動部材18も上述のものに限定されるものではなく、例えばメンブレンシート16の略中央に開口を形成し、該開口を画定する開口端に係合する構成のものとしてもよいし、作動部材18やメンブレンシート16に代えて、メカスイッチを使用した構成を採用してもよい。
【0015】
図3及び
図4に示すように、キートップ12は昇降方向(上下方向)に分割可能な構造を有し、具体的には、ユーザ等が押圧する操作面23を有するキー上部22及びキー下部24を有する。キー上部22及びキー下部24は、例えば圧入により互いに結合され、比較的弱い力で互いに分離可能であることが好ましい。
図4に示すように、キー下部24は、キー上部22がユーザ等によって押下されたときに作動部材18を押圧して変形させる押圧部26を有する。
【0016】
キースイッチ装置4に照光機能を持たせるために、キー上部22とキー下部24との間にはLED等の発光体28が配置され、少なくともキー上部22の操作面23は透明又は半透明の樹脂等の材料から作製される。LED28は支持部材14等の構造体より上方に配置されるので、支持部材14等の影がキー上部22の操作面23に映ることはなく、キースイッチ装置4のデザイン性・視認性が大きく向上する。なおキー上部22の操作面23以外の部分(例えば側部)も透明又は半透明の材料から作製してもよく、これによりキートップの側部も照光することができる。
【0017】
図5は、キースイッチ装置4の概略構成を示す分解斜視図である。LED28は、発光体実装基板30上に実装され、実装基板30は上部ベゼル6と下部ベゼル8との間に挟まれることによって下部ベゼル8に取付けられる。実装基板30は、例えばフィルム状の部材であり、下部ベゼル8に実装された中継基板32に電気的に接続される。中継基板32は、サポートパネル11に固定された制御基板34に配線36等を介して電気的に接続され、これによりLED28を任意のタイミングで点灯/消灯することができる。なおサポートパネル11と下部ベゼル8とは、ネジ38等の固定手段によって互いに接続可能である。
【0018】
図6は、キー上部22の構造例を示す斜視図である。キー上部22は、操作面23と、操作面23の反対側から操作面23に略垂直に延びる側部40を有し、全体として略直方体形状を有するが、操作面23の反対側に相当する面は開口端となっている。また側部40には、少なくとも1つの第1の貫通溝42が形成される。またキー上部22の内部は、LED28による照光を効率的にすべく、リブ等の構造物を有さない空洞であることが好ましい。
【0019】
図7は、キー下部24の構造例を示す斜視図である。キー下部24は、押圧部26を有する底面44と、押圧部26とは反対側の底面44の面から底面44に略垂直に延びる側部46を有し、全体として略直方体形状を有するが、底面44の反対側に相当する面は開口端となっている。また側部46には、少なくとも1つの第2の貫通溝48が形成され、キー上部22とキー下部24とが組み合わされたときに、第1の貫通溝42と第2の貫通溝48とは整合配置される。
【0020】
図8は、キー上部22、LED実装基板30、及びキー下部24を含む構造の分解斜視図であり、
図9は該構造の組立後の斜視図である。LED実装基板30は、組立時にキー上部22及びキー下部24に干渉しないように開口部50を有し、より具体的には、LED28が実装されたLED実装部分52が、キー上部22の貫通溝42及びキー下部24の貫通溝48を貫通するタブ状部分54によって支持される。また貫通溝42及び48の上下方向の長さは、キートップ12のストローク長以上であることが好ましい。これにより、
図3及び
図4に示すように、キートップ12を上下動させても実装基板30は変形しないので、実装基板30の損傷等を防止することができ、耐久性を向上させることができる。なおタブ状部分54の個数は1つでもよいが、LED実装部分52を安定的に支持するためには、図示例のように実装部分52を別方向から支持する2つ以上のタブ状部分54を形成することが好ましい。
【0021】
LED実装基板30は、下部ベゼル8に対して着脱可能であることが好ましい。これに関し、
図8に示すように、下部ベゼル8に対するLED実装基板30の位置決めを容易にするために、LED実装基板30に位置決め用穴31を形成し、一方、下部ベゼル8には、位置決め用穴31に嵌合する位置決め用突起33を形成してもよい。
【0022】
上述のようにキー上部22に第1の貫通溝42を形成すると、LED28からの光が貫通溝42及び48を通って外部に漏れ、キースイッチ装置としての視認性を損ねる可能性がある。そこで
図6に示すように、キー上部22は、第1の貫通溝42の上部(好ましくは直上)に形成された庇部56を有することが好ましい。このような庇部56をキー上部22に設けることにより、
図3又は
図4に示すように、貫通溝42及び48を通った光がキー上部22と上部ベゼル6との間の隙間から漏れることを防止できるので、キースイッチ装置の視認性が大幅に向上する。
【0023】
図10は、
図2のA-A′線に沿う断面図であり、
図11は
図10の状態から、上部ベゼル6を下部ベゼル8から分離させた状態を示す。上部ベゼル6及び下部ベゼル8は、互いに着脱可能とする構造を有し、図示例では、上部ベゼル6がその外周縁にラッチ60を有し、下部ベゼル8がラッチ60に係合する段差部62を有する。このように下部ベゼル8から上部ベゼル6を容易に脱着できる構造とすることにより、キースイッチ装置4の各部の保守等が容易になる。
【0024】
図12は、キー上部22を上部ベゼル6と一体的に脱着可能とする構造例を示す。キー上部22の操作面23は、キー上部22の側部40が挿通されている上部ベゼル6の開口部66よりも大きく、換言すればキー上部22は、上部ベゼル6の開口部66を画定する端縁68に係止する延長部64を有する。このような構成によれば、上部ベゼル6を下部ベゼル8から分離させたときは上部ベゼル6とともにキー上部22もキー下部24から分離させることができる。一方、キー上部22をキー下部24に装着させるときは、キー上部22とともに上部ベゼル6も下部ベゼル8に装着させることができるので、上部ベゼル6を取り外すだけでLED28やLED実装基板30の交換が可能になる等、キースイッチ装置4の各部の保守が容易になる。
【0025】
図2以降の説明では、1つの上部ベゼルに1つのキースイッチ装置が設けられる例を説明したが、本開示はこれに限られない。例えば、
図1に示すような複数のキースイッチ装置を全て1つのベゼルに設けてもよいし、複数のキースイッチ装置のいくつかを1つのベゼルに設けてもよい。またキースイッチ装置が複数ある場合、1枚の発光体実装基板に、それぞれのキースイッチ装置を照明する複数の発光体を実装することが好ましい。このようにキースイッチ装置が複数ある場合、1つのベゼル又は1枚の実装基板にいくつのキースイッチ装置を設けるかは、キースイッチ装置の形状や間隔等に基づいて適宜設定可能である。
【0026】
なおキースイッチ装置が複数の場合は、実質1枚の発光体実装基板に複数の発光体を実装すれば、キースイッチ装置の組み立て工数を削減することができる。
【符号の説明】
【0027】
2 キーボード、4 キースイッチ装置、6 上部ベゼル、8 下部ベゼル、
10 スイッチパネル、11 サポートパネル、12 キートップ、
14 リンク部材、16 メンブレンシート、18 作動部材、
20 スライド案内部、22 キー上部、24 キー下部、26 押圧部、
28 LED、30 発光体実装フィルム、32 中継基板、34 制御基板、
36 配線、38 ネジ、40 側部、42 第1の貫通溝、44 底面、
46 側部、48 第2の貫通溝、50 開口部、52 LED実装部分、
54 タブ状部分、56 庇部、60 ラッチ、62 段差部、64 延長部、
66 開口部、68 端縁