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特開2025-8420検索装置、検索システム、検索方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008420
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】検索装置、検索システム、検索方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20230101AFI20250109BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110588
(22)【出願日】2023-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩月 憲一
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓之
(72)【発明者】
【氏名】平野 弘二
(72)【発明者】
【氏名】赤木 俊夫
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB00
5L030BB24
5L049BB00
5L049BB24
(57)【要約】
【課題】表記揺れを含みうる入力情報を適切に管理するための検索技術を提供することである。
【解決手段】本開示の一態様は、入力情報を取得する入力取得部と、前記入力情報における表記揺れを解消し、表記揺れが解消された入力情報を生成する表記揺れ解消部と、前記表記揺れが解消された入力情報に対してデータベースを検索し、検索結果を出力する検索部と、を有する検索装置に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力情報を取得する入力取得部と、
前記入力情報における表記揺れを解消し、表記揺れが解消された入力情報を生成する表記揺れ解消部と、
前記表記揺れが解消された入力情報に対してデータベースを検索し、検索結果を出力する検索部と、
を有する検索装置。
【請求項2】
前記表記揺れ解消部は、前記データベースのレコードの表記揺れを解消する、請求項1に記載の検索装置。
【請求項3】
前記データベースにおいて表記揺れが解消された同一の入力情報を有する複数のレコードを統合する統合処理部をさらに有する、請求項2に記載の検索装置。
【請求項4】
前記入力情報は、資材の仕様情報である、請求項1~3のいずれか1項に記載の検索装置。
【請求項5】
前記検索結果から選択された資材の注文処理を実行する注文処理部をさらに有する、請求項4に記載の検索装置。
【請求項6】
前記表記揺れ解消部は、
前記入力情報における型番を正規化する型番正規化部と、
前記入力情報におけるメーカー名を正規化するメーカー名正規化部と、
前記入力情報におけるサイズ表記を正規化するサイズ表記正規化部と、
の1つ以上を含む、請求項4に記載の検索装置。
【請求項7】
前記型番正規化部は、前記入力情報から型番を示す文字列を正規表現によるパターンマッチングによって抽出し、前記抽出した文字列を正規化する、請求項6に記載の検索装置。
【請求項8】
前記メーカー名正規化部は、同一のメーカー名を示す複数の表記が登録された辞書を利用して、前記入力情報におけるメーカー名を表す文字列からメーカー名を決定する、請求項6に記載の検索装置。
【請求項9】
前記サイズ表記正規化部は、前記入力情報からサイズ表記を示す文字列を正規表現によるパターンマッチングによって抽出し、抽出されたサイズ表記を所定の単位に正規化する、請求項6に記載の検索装置。
【請求項10】
第1の端末と、
第2の端末と、
検索装置と、
を有し、
前記検索装置は、
前記第1の端末から入力情報を取得し、
前記入力情報における表記揺れを解消し、表記揺れが解消された入力情報を生成し、
前記表記揺れが解消された入力情報に対してデータベースを検索し、前記第1の端末に検索結果を出力し、
前記検索結果に基づく処理を前記第2の端末に対して実行する、検索システム。
【請求項11】
入力情報を取得することと、
前記入力情報における表記揺れを解消し、表記揺れが解消された入力情報を生成することと、
前記表記揺れが解消された入力情報に対してデータベースを検索し、検索結果を出力することと、
をコンピュータが実行する検索方法。
【請求項12】
入力情報を取得することと、
前記入力情報における表記揺れを解消し、表記揺れが解消された入力情報を生成することと、
前記表記揺れが解消された入力情報に対してデータベースを検索し、検索結果を出力することと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検索装置、検索システム、検索方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業活動においては、必要に応じて様々な資材を購入している。購入にあたっては、その資材を必要としている部署が購買を担当する部署に購入を依頼し、購買を担当する部署がメーカーや商社との契約事務を行うことが多い。
【0003】
こうした注文処理を効率よく行うために、購買システムが運用されている。購買システムでは、同じ資材を複数の部署が購入する際にはまとめて購入することでスケールメリットを得るべく、1つの資材に対し1つの管理コードを付与している。
【0004】
購入したい資材を特定する際には、管理コードを担当者が記憶しているわけではないので、資材の仕様(品番、型番、メーカー名、大きさ、重さ、色、規格等を含む)を手掛かりに管理コードを検索し特定する。この際、管理コードが見つからなければ購入実績のない資材であると判定され、新たな管理コードが発番される。
【0005】
しかしながら、資材の仕様を購買システムに入力するのは人間であるため、正確に入力されるとは限らない。不正確な入力によって、すでに管理コードが付与されているはずの資材に対し、購入実績がないと見なされ新たに発番されてしまうことがある。これによって、資材の管理が煩雑になるという課題が生じる。
【0006】
このように、購買システムの実際の運用では、注文者が資材を特定する管理コードを含む注文情報を正確又は適切に入力しないことがあり、このような事態に適切に対処するための技術が、特許文献1~5などにおいて提案されている。ここでは、資材の購買システムについて説明したが、同様の事態がデータベースシステム全般に生じうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭60-181871号公報
【特許文献2】特開2001-325494号公報
【特許文献3】特開平3-150668号公報
【特許文献4】国際公開第2015/029168号
【特許文献5】特開2022-103665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の1つの課題は、表記揺れを含みうる入力情報を適切に管理するための検索技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様は、入力情報を取得する入力取得部と、前記入力情報における表記揺れを解消し、表記揺れが解消された入力情報を生成する表記揺れ解消部と、前記表記揺れが解消された入力情報に対してデータベースを検索し、検索結果を出力する検索部と、を有する検索装置に関する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、表記揺れを含みうる入力情報を適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の一実施形態による検索システムを示す概略図である。
図2図2A及び2Bは、本開示の一実施形態による入力情報における表記揺れ解消を示す概略図である。
図3図3は、本開示の一実施形態による検索装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4図4は、本開示の一実施形態による検索装置の機能構成を示すブロック図である。
図5図5A~5Cは、本開示の一実施形態による注文者端末における資材発注のための画面遷移を示す図である。
図6図6は、本開示の一実施形態による表記揺れ解消部の機能構成を示すブロック図である。
図7図7は、本開示の一実施形態による検索結果画面を示す図である。
図8図8は、本開示の一実施形態による検索処理を示すフローチャートである。
図9図9は、本開示の他の実施形態による検索装置の機能構成を示すブロック図である。
図10図10は、本開示の他の実施形態による検索処理を示すフローチャートである。
図11図11は、本開示の他の実施形態による検索装置の機能構成を示すブロック図である。
図12図12A~12Cは、本開示の一実施形態による統合処理を示す図である。
図13図13は、本開示の他の実施形態による検索処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態を説明する。
【0013】
以下の実施の形態では、データベースを検索する検索装置が開示される。
【0014】
[検索システム]
図1に示されるように、本開示の一実施形態による検索システム10は、1つ以上の注文者端末20_1、20_2、20_3、・・・20_N(以降、注文者端末20として総称されうる)、購買担当者端末30(図示の容易のため、1つの購買担当者端末30のみを示しているが、本開示による検索システム10はこれに限定されず、複数の購買担当者端末30を含んでもよい)、1つ以上の受注者端末40_1、40_2、40_3、・・・、40_M(以降、受注者端末40として総称されうる)、資材データベース(DB)50、及び検索装置100を有する。
【0015】
例えば、検索システム10では、検索装置100は、注文者端末20から注文対象の資材の仕様情報(例えば、型番、メーカー名、サイズなど)などの入力情報を取得すると、取得した入力情報における表記揺れを解消し、表記揺れが解消された入力情報に対して資材DB50を検索する。そして、検索装置100は、検索結果に基づいて資材の注文情報を受注者端末40に送信する。あるいは、検索装置100は、資材DB50に過去に登録された資材レコードにおける仕様情報などの入力情報を購買担当者端末30から取得すると、取得した入力情報における表記揺れを解消し、同一の資材に対する異なる複数の資材レコードを1つの資材レコードに統合する。以下の実施例では、検索対象レコードとして、資材レコードに着目するが、本開示による検索対象レコードは、これに限定されず、他の何れかのタイプのレコードであってもよく、注文者端末20、購買担当者端末30及び/又は受注者端末40は、検索対象レコードに応じた適切なタイプの端末とされてもよい。例えば、一例となる検索システム10では、検索装置100は、第1の端末から入力情報を取得し、入力情報における表記揺れを解消し、表記揺れが解消された入力情報を生成するようにしてもよい。そして、検索装置100は、表記揺れが解消された入力情報に対してデータベースを検索し、第1の端末に検索結果を出力し、検索結果に基づく処理を第2の端末に対して実行するようにしてもよい。
【0016】
例えば、検索システム10では、注文者端末20を介し注文者から入力された資材の仕様情報に基づいて注文処理が実行される。各注文者が注文者端末20に注文対象の資材の型番、メーカー名、サイズなどの仕様情報を入力する場合、仕様情報は必ずしも所定の表記で入力されるとは限らない。例えば、型番「ABC-123」、メーカー名「株式会社PQR国際商会」及びサイズ「30.00cm」によって資材DB50に登録されている資材Xに対して、図2Aに示されるように、各注文者は異なる入力内容によって資材Xの仕様情報を記載しうる。
【0017】
例えば、注文者端末20_1は、型番「ABC-123」、メーカー名「PQR国際」及びサイズ「30cm」の仕様情報を検索装置100に送信して、資材Xを発注している。また、注文者端末20_2は、型番「abc123」、メーカー名「株式会社PQR」及びサイズ「0.3m」の仕様情報を検索装置100に送信して、資材Xを発注している。また、注文者端末20_3は、型番「ABC/123」、メーカー名「PQR国際商会」及びサイズ「300mm」の仕様情報を検索装置100に送信して、資材Xを発注している。また、注文者端末20_4は、型番「Abc123」、メーカー名「PQR」及びサイズ「30.00cm」の仕様情報を検索装置100に送信して、資材Xを発注している。
【0018】
以下の実施形態による検索装置100は、このような同一の資材に対する表記揺れを解消し、表記揺れを含む資材の注文を集約する。これにより、表記揺れに起因して異なる資材として注文され、スケールメリットを活かせなくなる不利益を解消できうるとともに、同一の資材に対して異なる管理番号、管理コードなどを不要に発行することを回避できうる。
【0019】
ここで、検索装置100は、サーバ、パーソナルコンピュータ等の計算装置によって実現されてもよく、例えば、図3に示されるようなハードウェア構成を有してもよい。すなわち、検索装置100は、バスBを介し相互接続される記憶装置101、プロセッサ102、ユーザインタフェース(UI)装置103及び通信装置104を有する。
【0020】
検索装置100における後述される各種機能及び処理を実現するプログラム又は指示は、ネットワークなどを介し何れかの外部装置からダウンロードされてもよいし、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の着脱可能な記憶媒体から提供されてもよい。
【0021】
記憶装置101は、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブなどによって実現され、インストールされたプログラム又は指示と共に、プログラム又は指示の実行に用いられるファイル、データ等を格納する。記憶装置101は、非一時的な記憶媒体(non-transitory storage medium)を含んでもよい。
【0022】
プロセッサ102は、1つ以上のプロセッサコアから構成されうる1つ以上のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、処理回路(processing circuitry)等によって実現されてもよく、記憶装置101に格納されたプログラム、指示、当該プログラム若しくは指示を実行するのに必要なパラメータなどのデータ等に従って、後述される検索装置100の各種機能及び処理を実行する。
【0023】
インタフェース装置103は、検索装置100のユーザとの間のインタフェースを実現する。例えば、ユーザは、ディスプレイ又はタッチパネルに表示されたGUI(Graphical User Interface)をキーボード、マウス等を操作し、インタフェース装置103を介し検索装置100との間で各種情報、データ、指示などを送受信する。
【0024】
通信装置104は、外部装置、インターネット、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークとの通信処理を実行する各種通信回路により実現される。
【0025】
しかしながら、上述したハードウェア構成は単なる一例であり、本開示による検索装置100は、他の何れか適切なハードウェア構成により実現されてもよい。また、注文者端末20、購買担当者端末30及び受注者端末40は、図3と同様のハードウェア構成を備えたパーソナルコンピュータ、サーバなどによって実現されてもよい。
【0026】
[検索装置]
次に、図4を参照して、本開示の一実施形態による検索装置100を説明する。図4は、本開示の一実施形態による検索装置100の機能構成を示すブロック図である。
【0027】
図4に示されるように、検索装置100は、入力取得部110、表記揺れ解消部120及び検索部130を有する。入力取得部110、表記揺れ解消部120及び検索部130の各機能部は、検索装置100の記憶装置101に格納されているコンピュータプログラムがプロセッサ102によって実行されることによって実現されてもよい。
【0028】
入力取得部110は、入力情報を取得する。例えば、入力情報は、資材の仕様情報であってもよいが、本開示による入力情報は、これに限定されず、物品やサービスを特定する他の何れか適切な情報であってもよい。具体的には、入力取得部110は、新規注文のため、注文者端末20から注文対象の資材の仕様情報を取得してもよい。あるいは、入力取得部110は、資材DB50に格納されている過去の資材レコードの整理/管理のため、購買担当者端末30から整理/管理対象の資材レコードの仕様情報を取得してもよい。
【0029】
ここで、仕様情報は、例えば、型番、メーカー名、サイズ、色など、資材の仕様を規定する何れか1つ以上の項目から構成されうる。また、資材レコードは、管理番号、管理コードなど、資材を特定する何れかのタイプの識別子と関連付けされうる。
【0030】
例えば、注文者が注文者端末20上で資材を新規注文する際、注文者端末20は、図5Aに示されるような発注画面を表示してもよい。図5Aに示されるように、注文者が発注画面上で資材カテゴリ「文房具」を選択すると、注文者端末20は次に、図5Bに示されるような資材カテゴリ「文房具」のサブカテゴリの発注画面を表示してもよい。そして、図5Bに示されるように、注文者が発注画面上で資材サブカテゴリ「筆記具」を選択すると、注文者端末20は次に、図5Cに示されるような「筆記具」の仕様入力画面を表示してもよい。図5Cに示される仕様入力画面では、注文者は、仕様情報として型番、メーカー名及び色を入力することが求められているが、本開示による仕様情報は、これらの項目に限定されるものでない。例えば、資材カテゴリ又はサブカテゴリで選択された項目に対応して入力項目が予め設定され、設定された入力項目が仕様入力画面に表示されてもよい。例えば、資材サブカテゴリとして「コピー用紙」が選択された場合、仕様入力画面は、型番、メーカー名及びサイズ(例えば、A4、A3、B4など)の入力を求めてもよい。
【0031】
入力取得部110は、取得した入力情報を表記揺れ解消部120に送信する。なお、入力取得部110は、注文者端末20から受信した資材の仕様情報を含む注文情報を当該注文者の承認者の承認者端末(図示せず)に送信し、承認者によって承認された後、仕様情報を表記揺れ解消部120に送信するようにしてもよい。
【0032】
表記揺れ解消部120は、入力情報における表記揺れを解消し、表記揺れが解消された入力情報を生成する。すなわち、表記揺れ解消部120は、入力取得部110から取得した入力情報における表記揺れを検出し、検出した表記揺れを所定の表記に置換した入力情報を生成する。
【0033】
一実施形態では、表記揺れ解消部120は、図6に示されるように、仕様情報などの入力情報における型番を正規化する型番正規化部121、仕様情報などの入力情報におけるメーカー名を正規化するメーカー名正規化部122、及び/又は、仕様情報などの入力情報におけるサイズ表記を正規化するサイズ表記正規化部123を有してもよい。表記揺れ解消部120は、型番正規化部121、メーカー名正規化部122及び/又はサイズ表記正規化部123を利用して、仕様情報などの入力情報における型番、メーカー名及び/又はサイズの表記揺れを解消してもよい。
【0034】
具体的には、型番正規化部121は、仕様情報から型番を示す文字列を正規表現によるパターンマッチングによって抽出し、抽出した文字列を正規化してもよい。典型的には、型番はアルファベット、数字、記号、片仮名などから構成されるため、型番と考えられる文字列は正規表現によって記述可能であるケースが多いと想定され、正規表現によるパターンマッチングによって抽出可能でありうる。また、型番を示す文字列の正規化は、記号の削除、大文字小文字の統一、全角半角の統一、旧字異体字の統一、平仮名片仮名の統一、合字の分解統合の何れか1つ又はこれらの組み合わせなどであってもよい。また、型番正規化部121は、これらの正規化処理を1回で実行する必要はなく、複数回に分けて実行してもよい。また、型番を示す複数の文字列を抽出した場合、型番正規化部121は、抽出した複数の文字列を昇順などによって並び替えて結合してもよい。このとき、型番正規化部121は、結合される文字列の間に何らかの記号、文字などを挿入してもよい。例えば、「ABC」と「123」との2つの文字列が抽出された場合、型番正規化部121は、「:」などの記号を2つの文字列の間に挿入してもよい(「ABC:123」など)。
【0035】
メーカー名正規化部122は、同一のメーカー名を表す複数の表記が登録された辞書を利用して、仕様情報におけるメーカー名を示す文字列からメーカー名を決定してもよい。例えば、メーカー名正規化部122は、文字列を正規化し、正規化されたメーカー名を辞書に登録されているメーカー名に置換してもよい。具体的には、文字列の正規化では、「株式会社」、「合同会社」、「(株)」などの文字列が削除され、全角半角、大文字小文字の統一などが行われる。辞書による置換では、メーカー名の表記揺れとして想定される文字列が登録された辞書が利用され、規定されている一意的な表記に置換される。表記揺れとして考えられうる文字列としては、社名の愛称、略称、誤字、合併前後の社名、メーカーのブランド名などが含まれうる。例えば、「日鉄」、「日本製鐵」、「新日鉄」、「NIPPON STEEL」、「Tran Tixxii」(商標登録第5941946)などが「日本製鉄」に置換されうる。
【0036】
サイズ表記正規化部123は、仕様情報からサイズ表記を示す文字列を正規表現によるパターンマッチングによって抽出し、抽出されたサイズ表記を所定の単位に正規化してもよい。例えば、サイズ表記正規化部123は、正規表現によるパターンマッチングによってサイズ表記パターンに一致する文字列を抽出し、その単位を正規化してもよい。また、複数のサイズ表記を示す文字列が抽出された場合、サイズ表記正規化部123は、抽出されたサイズ表記を所定の順序で並び替えて結合してもよい。例えば、「200mm×400mm×150mm」のサイズ表記では、「200mm」、「400mm」及び「150mm」の複数の表記が抽出され、サイズ表記正規化部123は、これらをそれぞれ「0.2m」、「0.4m」及び「0.15m」に正規化し、その後に昇順に並び替えて「0.15m0.2m0.4m」として結合してもよい。また、サイズ表記正規化部123は、「0.15m-0.2m-0.4m」などのように記号を挿入してもよい。
【0037】
なお、表記揺れ解消部120は、処理対象となる仕様情報などの入力情報に含まれる項目に応じて、単位付きの数値を所定の単位の数値に変換(例えば、mm、cm、m、kmなどをmに統一するなど)する単位正規化部、色の表記を正規化する色正規化部など他の正規化処理を実行する機能部を含んでもよい。
【0038】
また、表記揺れ解消部120は、各正規化部において正規化された文字列を結合し(例えば、図2Bの例では、“ABC-123:株式会社PQR国際商会:30.00cm”など)、結合された文字列を検索部130に提供してもよい。
【0039】
検索部130は、表記揺れが解消された入力情報に対してデータベースを検索し、検索結果を出力する。具体的には、検索部130は、表記揺れが解消された入力情報(例えば、結合文字列)を検索クエリとして資材DB50内の資材レコードを検索し、検索結果を注文者端末20などに送信してもよい。
【0040】
ここで、資材レコードの検索は、表記揺れが解消された入力情報全体(例えば、結合文字列の全体)に対する完全一致、あるいは、入力情報の一部(例えば、結合文字列に対する結合前の文字列の1つ以上など)に対する部分一致に基づいて行われてもよい。特に、資材DB50が表記揺れのある資材レコードを含む場合、入力情報全体に対する完全一致だけでなく、入力情報の一部に対する部分一致も検索結果に含めることは、後述される資材DB50の表記揺れを含む資材レコードの統合処理に効果的に利用されうる。
【0041】
具体的には、検索部130は、表記揺れが解消された入力情報全体(例えば、結合文字列の全体)に対して検索を実行すると、検索結果として入力情報全体に完全一致する資材レコードを出力しうる。他方、検索部130は、表記揺れが解消された入力情報の一部(例えば、結合文字列に含まれる何れか1つ以上の文字列)に対して検索を実行すると、検索結果として入力情報の一部に一致する、すなわち、入力情報に対して部分一致する資材レコードを出力しうる。
【0042】
例えば、入力取得部110が、型番「abc123」、メーカー名「PQR商会」及び色「赤」の管理番号「005」の新規注文を取得し、表記揺れ解消部120が、この新規注文の仕様情報を、型番「abc123」、メーカー名「株式会社PQR国際商会」及び色「赤」の表記揺れが解消された仕様情報に変換した場合、検索部130は、結合文字列“abc123:株式会社PQR国際商会:赤”を検索クエリとして、資材DB50の資材レコードに対して部分一致を実行してもよい。例えば、検索部130は、図7の検索結果画面に示されるような検索結果を取得しうる。すなわち、管理番号「001」及び「002」の過去注文が、資材DB50からの部分一致の検索結果として抽出される。例えば、管理番号「001」の過去注文では、メーカー名「株式会社PQR国際商会」と色「赤」とが表記揺れが解消された新規注文と一致し、管理番号「002」の過去注文では、型番「abc123」と色「赤」とが表記揺れが解消された新規注文と一致している。注文者は、注文者端末20上で検索結果画面を参照して、発注を所望する資材を選択しうる。なお、資材DB50に格納されている資材レコードが表記揺れを解消している場合や資材レコードに表記揺れがない場合、検索部130は、表記揺れが解消された新規注文の仕様情報に対して完全一致のみを検索をすればよい。すなわち、部分一致による検索は、表記揺れが存在しうる資材DB50に対してのみ行えばよい。
【0043】
[検索処理]
次に、図8を参照して、本開示の一実施形態による検索処理を説明する。当該検索処理は、上述した検索装置100によって実行され、より詳細には、検索装置100の1つ以上のプロセッサ102が1つ以上の記憶装置101に格納された1つ以上のプログラム又は指示を実行することによって実現されてもよい。また、検索装置100は、複数のコンピュータによって実現され、複数のコンピュータが、当該検索処理を実行してもよい。図8は、本開示の一実施形態による検索処理を示すフローチャートである。
【0044】
図8に示されるように、ステップS101において、検索装置100は、入力情報を取得する。例えば、検索装置100は、新規注文のため、注文者端末20から注文対象の資材の仕様情報を取得してもよいし、資材DB50に格納されている過去の資材レコードの整理/管理のため、購買担当者端末30から整理/管理対象の資材レコードの仕様情報を取得してもよい。
【0045】
ステップS102において、検索装置100は、入力情報における表記揺れを解消する。例えば、検索装置100は、仕様情報を構成する各項目に入力されている文字列の表記揺れを解消し、項目毎に表記を正規化する。例えば、型番を示す項目について、検索装置100は、仕様情報から型番を示す文字列を正規表現によるパターンマッチングによって抽出し、抽出した文字列を正規化してもよい。また、メーカー名を示す項目について、検索装置100は、同一のメーカー名を表す複数の表記が登録された辞書を利用して、仕様情報におけるメーカー名を示す文字列からメーカー名を決定してもよい。また、サイズ表記を示す項目について、検索装置100は、仕様情報からサイズ表記を示す文字列を正規表現によるパターンマッチングによって抽出し、抽出されたサイズ表記を所定の単位に正規化してもよい。
【0046】
ステップS103において、検索装置100は、表記揺れが解消された入力情報に対してデータベースを検索してもよい。すなわち、検索装置100は、資材DB50に登録されている過去の資材レコードを検索し、表記揺れが解消された入力情報に完全一致又は部分一致する資材レコードを検索する。
【0047】
ステップS104において、検索装置100は、検索結果を出力する。具体的には、検索装置100は、表記揺れが解消された入力情報に完全一致又は部分一致する資材レコードを検出すると、検出した資材レコードを注文者端末20又は購買担当者端末30に送信してもよい。
【0048】
本実施形態によると、検索装置100は、表記揺れを含みうる入力情報を表記揺れのない入力情報に変換し、データベースにおいて同一の内容のレコードに対して異なるレコードが登録される可能性を低減することができる。
【0049】
[新規注文処理]
次に、図9を参照して、本開示の他の実施形態による検索装置100を説明する。本実施形態による検索装置100は、上述した検索結果から選択された資材の注文処理を実現する。また、検索装置100は、複数のコンピュータによって実現され、複数のコンピュータが、当該注文処理を実行してもよい。図9は、本開示の他の実施形態による検索装置100の機能構成を示すブロック図である。
【0050】
図9に示されるように、検索装置100はさらに注文処理部140を有する。注文処理部140は、検索結果から選択された資材の注文処理を実行する。例えば、注文処理部140は、検索部130によって提供された検索結果から注文者が注文対象の資材を選択すると、注文処理部140は、選択された資材の注文処理(例えば、決済、契約、入札、発注など)を実行する。例えば、注文処理部140は、図7に示される検索結果画面において発注者が発注ボタンにより選択した資材に対して注文処理を実行してもよい。
【0051】
なお、注文処理部140は、注文者端末20によって選択された資材を発注するための注文情報を当該注文者の承認者の承認者端末(図示せず)に送信し、承認者によって承認された後、注文処理を実行するようにしてもよい。また、注文処理部140は、注文対象の資材が選択される毎に注文処理を起動してもよいし、あるいは、注文者端末20からの資材に対する注文要求をバッファリングし、所定の期間の経過後及び/又は所定数の注文要求の受け付け後、バッファリングしている注文要求に対して注文処理を実行してもよい。
【0052】
図10は、本開示の他の実施形態による検索処理を示すフローチャートである。ここで、ステップS201~S204は、上述したステップS101~S104と同様であり、重複した説明を省くため、ステップS205のみ説明する。
【0053】
ステップS205において、検索装置100は、検索結果から選択された資材の注文処理を実行する。具体的には、検索装置100は、検索結果からユーザによって注文対象の資材が選択されると、選択された資材の注文処理を実行する。また、検索装置100は、承認者の承認を得た後、選択された資材の注文処理を実行するようにしてもよい。
【0054】
なお、検索装置100は、ユーザの選択を受け付けることなく、検索結果の何れかの資材に対して注文処理を自動的に実行してもよい。
【0055】
本実施形態によると、検索装置100は、表記揺れを含みうる入力情報を表記揺れのない入力情報に変換し、資材DB50において同一の資材が異なる資材として発注される可能性を低減することができる。
【0056】
[統合処理]
次に、図11を参照して、本開示の他の実施形態による検索装置100を説明する。本実施形態による検索装置100は、資材DB50に登録されている表記揺れを含みうる過去の資材レコードを整理する。図11は、本開示の他の実施形態による検索装置100の機能構成を示すブロック図である。
【0057】
図11に示されるように、検索装置100はさらに統合処理部150を有する。統合処理部150は、資材DB50の資材レコードの表記揺れを解消し、表記揺れ解消後に同一の表記となった複数の資材レコードを統合してもよい。例えば、表記揺れに起因して同一の資材に対して異なる複数の資材レコードが資材DB50に登録されている場合、購買担当者は、これらの資材レコードを同一の資材に対する資材レコードとして統一することを所望しうる。
【0058】
例えば、資材DB50が図12Aに示されるような4つの資材レコードを格納している場合、上述した表記揺れ解消によって、図12Bに示されるような表記揺れが解消された資材レコードに変換することができる。図12Bから理解されるように、管理番号「001」と「002」とは同一の資材に対する資材レコードであり、管理番号「003」と「004」とは同一の資材に対する資材レコードであると判明する。この場合、管理番号「001」と「002」とは同一の資材に関するものであり、統合処理部150は、図12Cに示されるように、管理番号「001」と「002」との資材レコードを統一してもよい。同様に、管理番号「003」と「004」とは同一の資材に関するものであり、統合処理部150は、図12Cに示されるように、管理番号「003」と「004」との資材レコードを統一してもよい。
【0059】
なお、統合処理部150は、統合対象の資材レコードを検出すると、検出した資材レコードを購買担当者端末30に通知し、購買担当者及び/又は承認者によって承認された後、統合処理を実行するようにしてもよい。
【0060】
図13は、本開示の一実施形態による検索処理を示すフローチャートである。また、検索装置100は、複数のコンピュータによって実現され、複数のコンピュータが、当該検索処理を実行してもよい。図13に示されるように、ステップS301において、検索装置100は、注文済みの資材の仕様情報を取得する。例えば、検索装置100は、過去の資材レコードの整理のために購買担当者端末30から整理対象の資材レコードの仕様情報を取得してもよい。
【0061】
ステップS302において、検索装置100は、仕様情報における表記揺れを解消する。例えば、検索装置100は、仕様情報を構成する各項目に入力されている文字列の表記揺れを解消し、項目毎に表記を正規化してもよい。例えば、型番を示す項目について、検索装置100は、仕様情報から型番を示す文字列を正規表現によるパターンマッチングによって抽出し、抽出した文字列を正規化してもよい。また、メーカー名を示す項目について、検索装置100は、同一のメーカー名を表す複数の表記が登録された辞書を利用して、仕様情報におけるメーカー名を示す文字列からメーカー名を決定してもよい。また、サイズ表記を示す項目について、検索装置100は、仕様情報からサイズ表記を示す文字列を正規表現によるパターンマッチングによって抽出し、抽出されたサイズ表記を所定の単位に正規化してもよい。
【0062】
ステップS303において、検索装置100は、統合対象の資材レコードがあるか判定する。具体的には、表記揺れが解消された同一の仕様情報を有する複数の資材レコードが検出された場合、検索装置100は、これら複数の資材レコードを統合対象として選定してもよい。統合対象の同一の仕様情報を有する複数の資材レコードが存在する場合(S303:YES)、検索装置100は、ステップS304に移行し、他方、統合対象の同一の仕様情報を有する複数の資材レコードが存在しない場合(S303:NO)、検索装置100は、当該統合処理を終了する。
【0063】
ステップS304において、検索装置100は、統合対象の同一の仕様情報を有する複数の資材レコードを統合する。すなわち、検索装置100は、同一の仕様情報を有する複数の資材レコードを1つの資材レコードに統合してもよい。これにより、同一の資材が誤って異なる複数の管理番号によって管理されている場合、これらの管理番号を統一することが可能になり、不要な管理番号を整理することができる。
【0064】
本実施形態によると、検索装置100は、表記揺れを含みうる仕様情報を表記揺れのない仕様情報に変換し、資材DB50に登録されている同一の資材に対する異なる複数の資材レコードを集約することができる。ただし、本実施形態に限らず、検索装置100は、資材DB50の資材レコードの表記揺れを解消するのみでもよく、上記のステップS302の処理後、ステップS303、S304の処理は省略してもよい。また、統合処理は、検索処理または新規注文処理の前に実行されてもよいし、検索処理または新規注文処理とは関係なく任意のタイミングで実行されてもよい。
【0065】
以上、本開示の実施の形態について詳述したが、本開示は上述した特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0066】
10 検索システム
20 注文者端末
30 購買担当者端末
40 受注者端末
50 資材データベース(DB)
100 検索装置
110 入力取得部
120 表記揺れ解消部
130 検索部
140 注文処理部
150 統合処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13