IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 綜合警備保障株式会社の特許一覧

特開2025-8423顔認証装置、顔認証方法、顔認証プログラム及び警備システム
<>
  • 特開-顔認証装置、顔認証方法、顔認証プログラム及び警備システム 図1
  • 特開-顔認証装置、顔認証方法、顔認証プログラム及び警備システム 図2
  • 特開-顔認証装置、顔認証方法、顔認証プログラム及び警備システム 図3
  • 特開-顔認証装置、顔認証方法、顔認証プログラム及び警備システム 図4
  • 特開-顔認証装置、顔認証方法、顔認証プログラム及び警備システム 図5
  • 特開-顔認証装置、顔認証方法、顔認証プログラム及び警備システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008423
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】顔認証装置、顔認証方法、顔認証プログラム及び警備システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20250109BHJP
   G08B 13/194 20060101ALI20250109BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20250109BHJP
【FI】
G08B25/04 E
G08B13/194
G06T7/00 660A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110597
(22)【出願日】2023-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000202361
【氏名又は名称】綜合警備保障株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(72)【発明者】
【氏名】鹿倉 克之
(72)【発明者】
【氏名】橋本 大輝
【テーマコード(参考)】
5C084
5C087
5L096
【Fターム(参考)】
5C084AA02
5C084BB31
5C084CC19
5C084DD11
5C084EE01
5C084HH02
5C084HH03
5C084HH07
5C087AA12
5C087AA32
5C087AA37
5C087DD05
5C087DD06
5C087DD20
5C087EE08
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG02
5C087GG66
5C087GG84
5L096CA02
(57)【要約】
【課題】顔認証結果に基づいて認証対象者が所定権限を有することを確認する際に認証対象者に警備上の異常事態が発生していることを自動検出する。
【解決手段】認証対象者に関する情報を取得する顔認証装置を、顔認証装置の周辺を撮像するセンサ部と、センサ部で撮像された人物の顔認証処理を実行して、所定権限を有する認証許可者を認証する認証部と、センサ部による撮像画像を解析して、顔認証された認証許可者が異常事態にあることを自動検出する異常事態検出処理を実行する異常事態検出部とによって構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証対象者に関する情報を取得する顔認証装置であって、
前記顔認証装置の周辺を撮像するセンサ部と、
前記センサ部で撮像された人物の顔認証処理を実行して、所定権限を有する認証許可者を認証する認証部と、
前記センサ部による撮像画像を解析して、顔認証された前記認証許可者が異常事態にあることを自動検出する異常事態検出処理を実行する異常事態検出部と
を備えることを特徴とする顔認証装置。
【請求項2】
前記異常事態検出部は、前記撮像画像から、凶器とみなされる所定の物体、別の人物の腕、及び密着した別の人物を検出する処理を実行して、検出結果に基づいて、前記認証許可者が異常事態にあると判定することを特徴とする請求項1に記載の顔認証装置。
【請求項3】
前記異常事態検出部は、前記撮像画像上で、前記撮像画像に写っている前記認証許可者の顔周辺の所定領域を対象に、検出処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の顔認証装置。
【請求項4】
前記異常事態検出部は、前記撮像画像から、前記認証許可者の所定の体勢、所定の動作、及び所定の表情を検出する処理を実行して、検出結果に基づいて、前記認証許可者が異常事態にあると判定することを特徴とする請求項1に記載の顔認証装置。
【請求項5】
前記所定の体勢には、前記認証許可者の顔が傾いていることが含まれ、
前記所定の動作には、前記認証許可者の目が泳いでいることが含まれ、
前記所定の表情には、前記認証許可者の恐怖の表情が含まれる
ことを特徴とする請求項4に記載の顔認証装置。
【請求項6】
前記異常事態検出部が異常事態を検出した際に、所定の外部装置へ異常事態を通報する処理、前記撮像画像に写った人物に関する情報を前記外部装置へ送信する処理を含む異常事態対応処理を実行する異常事態対応処理部
をさらに備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の顔認証装置。
【請求項7】
前記異常事態対応処理で前記外部装置へ送信される情報には、前記認証許可者と共に前記撮像画像に写った人物の撮像画像と、前記人物の現在位置に関する情報とが含まれることを特徴とする請求項6に記載の顔認証装置。
【請求項8】
認証対象者に関する情報を取得する顔認証装置が実行する顔認証方法であって、
前記顔認証装置の周辺を撮像した撮像画像から顔を検出して、前記顔が、所定権限を有する認証許可者の顔であるか否かを判定する顔認証処理を実行する工程と、
前記撮像画像を解析して、顔認証された前記認証許可者が異常事態にあることを自動検出する異常事態検出処理を実行する工程と
を含むことを特徴とする顔認証方法。
【請求項9】
認証対象者に関する情報を取得するための顔認証プログラムであって、
顔認証装置の周辺を撮像した撮像画像から顔を検出して、前記顔が、所定権限を有する認証許可者の顔であるか否かを判定する顔認証処理を実行する工程と、
前記撮像画像を解析して、顔認証された前記認証許可者が異常事態にあることを自動検出する異常事態検出処理を実行する工程と
をコンピュータに実行させることを特徴とする顔認証プログラム。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか1項に記載の顔認証装置と、
前記顔認証装置が設置されている施設内が無人状態にあるときに実行する機械警備に利用する機械警備用センサと
を含み、
前記顔認証装置の認証結果に基づいて前記機械警備を解除する警備システムであって、
前記異常事態検出部が異常事態を検出した場合、見かけ上は前記機械警備を解除しながら、前記機械警備用センサの利用を継続して、前記撮像画像に写った人物に関する情報を取得する
ことを特徴とする警備システム。
【請求項11】
前記機械警備の実行中に前記機械警備用センサによって所定の事象が検出された場合に警報を発する警報装置
をさらに備え、
前記異常事態検出部が異常事態を検出した場合には、前記機械警備用センサによって前記所定の事象が検出されても警報を発しないように前記警報装置を制御する
ことを特徴とする請求項10に記載の警備システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、所定権限の有無を確認するために顔認証処理を実行する顔認証装置、顔認証方法及び顔認証プログラムと、顔認証結果を警備に利用する警備システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顔認証の認証結果に基づいて施解錠可能な扉が利用されている。例えば、特許文献1には、カメラで撮像した利用者の顔画像を、予め登録された入退許可顔画像と比較する顔認証を行って、認証成功時に扉の電気錠を解錠するシステムが開示されている。
【0003】
顔認証結果に応じて解錠される扉が設けられた施設を警備対象とする場合、悪意ある人物が不正に扉を解錠して施設内に侵入できないようにする必要がある。例えば、特許文献2には、認証処理時に認証対象者の視線をランダムに動かすように誘導して、誘導に従うことを認証条件とするシステムが開示されている。誘導通りに視線を動かさなければ顔認証されず扉が解錠されないようにすることで、悪意ある人物が写真や印刷物を利用した不正認証によって扉を解錠することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-234637号公報
【特許文献2】特開2006-85226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、悪意ある人物が、扉からの入退出を許可された利用者を脅して顔認証させるような場合、利用者が誘導通りに視線を動かして認証され、扉が解錠されてしまう可能性がある。例えば、異常事態の発生を顔認証用のカメラによって検出できるように、顔認証時に、異常を知らせるサインとなる動作や目の動きをするように利用者に予め指示する方法も考えられるが、身の危険を感じている利用者が冷静に対応できない可能性もある。
【0006】
本開示は、上記課題を含む従来技術を鑑みてなされたもので、その目的の1つは、顔認証の認証結果に基づいて所定権限の有無を確認する際に異常事態の発生を自動検出することができる顔認証装置、顔認証方法、顔認証プログラム及び警備システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る顔認証装置は、認証対象者に関する情報を取得する顔認証装置であって、前記顔認証装置の周辺を撮像するセンサ部と、前記センサ部で撮像された人物の顔認証処理を実行して、所定権限を有する認証許可者を認証する認証部と、前記センサ部による撮像画像を解析して、顔認証された前記認証許可者が異常事態にあることを自動検出する異常事態検出処理を実行する異常事態検出部とを備える。
【0008】
上記構成において、前記異常事態検出部は、前記撮像画像から、凶器とみなされる所定の物体、別の人物の腕、及び密着した別の人物を検出する処理を実行して、検出結果に基づいて、前記認証許可者が異常事態にあると判定してもよい。
【0009】
上記構成において、前記異常事態検出部は、前記撮像画像上で、前記撮像画像に写っている前記認証許可者の顔周辺の所定領域を対象に、検出処理を実行してもよい。
【0010】
上記構成において、前記異常事態検出部は、前記撮像画像から、前記認証許可者の所定の体勢、所定の動作、及び所定の表情を検出する処理を実行して、検出結果に基づいて、前記認証許可者が異常事態にあると判定してもよい。
【0011】
上記構成において、前記所定の体勢には、前記認証許可者の顔が傾いていることが含まれ、前記所定の動作には、前記認証許可者の目が泳いでいることが含まれ、前記所定の表情には、前記認証許可者の恐怖の表情が含まれていてもよい。
【0012】
上記構成において、前記異常事態検出部が異常事態を検出した際に、所定の外部装置へ異常事態を通報する処理、前記撮像画像に写った人物に関する情報を前記外部装置へ送信する処理を含む異常事態対応処理を実行する異常事態対応処理部をさらに備えていてもよい。
【0013】
上記構成において、前記異常事態対応処理で前記外部装置へ送信される情報には、前記認証許可者と共に前記撮像画像に写った人物の撮像画像と、前記人物の現在位置に関する情報 とが含まれていてもよい。
【0014】
本開示に係る顔認証方法は、認証対象者に関する情報を取得する顔認証装置が実行する顔認証方法であって、前記顔認証装置の周辺を撮像した撮像画像から顔を検出して、前記顔が、所定権限を有する認証許可者の顔であるか否かを判定する顔認証処理を実行する工程と、前記撮像画像を解析して、顔認証された前記認証許可者が異常事態にあることを自動検出する異常事態検出処理を実行する工程とを含む。
【0015】
本開示に係る顔認証プログラムは、認証対象者に関する情報を取得するための顔認証プログラムであって、顔認証装置の周辺を撮像した撮像画像から顔を検出して、前記顔が、所定権限を有する認証許可者の顔であるか否かを判定する顔認証処理を実行する工程と、前記撮像画像を解析して、顔認証された前記認証許可者が異常事態にあることを自動検出する異常事態検出処理を実行する工程とをコンピュータに実行させる。
【0016】
本開示に係る警備システムは、上記構成を有する顔認証装置と、前記顔認証装置が設置されている施設内が無人状態にあるときに実行する機械警備に利用する機械警備用センサとを含み、前記顔認証装置の認証結果に基づいて前記機械警備を解除する警備システムであって、前記異常事態検出部が異常事態を検出した場合、見かけ上は前記機械警備を解除しながら、前記機械警備用センサの利用を継続して、前記撮像画像に写った人物に関する情報を取得する。
【0017】
上記構成において、前記機械警備の実行中に前記機械警備用センサによって所定の事象が検出された場合に警報を発する警報装置をさらに備え、前記異常事態検出部が異常事態を検出した場合には、前記機械警備用センサによって前記所定の事象が検出されても警報を発しないように前記警報装置を制御してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本開示に係る顔認証装置、顔認証方法、顔認証プログラム及び警備システムによれば、顔認証処理によって利用者を認証する際に、利用者に警備上の異常事態が発生していることを自動検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本実施形態に係る顔認証装置を含む警備システムの概要を説明するための模式図である。
図2図2は、警備システムの構成例を示すブロック図である。
図3図3は、異常事態対応処理を説明するための模式図である。
図4図4は、異常事態判定条件を説明するための図である。
図5図5は、警備処理の例を示すフローチャートである。
図6図6は、機械警備中に警備システムが実行する処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、本開示に係る顔認証装置、顔認証方法、顔認証プログラム及び警備システムの実施の形態について説明する。顔認証装置の利用場所は特に限定されないが、本実施形態では、警備システムによって警備される施設で、該施設への入口である扉の施解錠制御に顔認証装置が利用される場合を例に説明する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る顔認証装置を含む警備システム1の概要を説明するための模式図である。警備システム1は、施解錠部210によって施解錠される扉200が設けられた警備対象施設を警備する。扉200近傍に、操作表示部130及びセンサ部140を有する、顔認証用の端末装置100が設置される。端末装置100は、例えばタッチパネル式の液晶表示装置である操作表示部130を介して、警備システム1の利用者11からの情報入力の受け付けと、利用者11へ報知する情報の表示とを行うことができる。
【0022】
端末装置100は、警備システム1が警備対象とする施設の入口である扉200の外側に設置される。警備システム1は、顔認証処理による認証結果に基づいて、扉200の施解錠を制御する。例えば、施設に入るために扉200の前に来た利用者11は、操作表示部130に表示される案内表示に従って、センサ部140のカメラ(撮像センサ)に顔を撮像させる。撮像画像による顔認証処理が実行されて利用者11が認証されると、施解錠部210によって施錠されていた扉200が解錠される。利用者11は、解錠された扉200から施設内へ入ることができる。すなわち、利用者11が、扉200から施設内へ入る権限を有する認証許可者であることを確認するために顔認証処理が実行され、認証結果に基づいて、扉200の施解錠が制御される。
【0023】
警備システム1は、このような従来行われている扉の施解錠制御に加えて、利用者11が警備上の異常事態にあることを自動検出することができる。また、警備システム1は、異常事態の検出時には、異常事態に対応する処理を実行することができる。警備上の異常事態とは、警備会社が、警備対象施設又は施設利用者の状況を確認する必要がある状態を言う。以下、扉200からの入退出を許可されている利用者11が、不審人物12によって扉200の解錠を強要されている場合を例に説明を続ける。
【0024】
警備システム1は、端末装置100のセンサ部140を利用して、扉200から施設内へ入る利用者11の顔認証処理を実行する(A)。センサ部140は、少なくとも、顔認証処理に利用する顔画像を取得するための撮像センサを含む。警備システム1は、撮像センサによる撮像画像を利用して、利用者11の顔認証処理を実行する。顔認証処理は、端末装置100が実行してもよいし、端末装置100と通信可能に接続された外部装置が実行してもよい。顔認証処理を実行する端末装置100、又は、端末装置100及び端末装置100と接続されて顔認証処理を実行する外部装置が、顔認証装置を構成し、該顔認証装置は、センサ部140によって装置周辺を撮像して得られた撮像画像を利用して顔認証処理を実行する。
【0025】
顔認証処理の方法は従来知られているため詳細な説明は省略するが、顔認証処理では、端末装置100で得られた撮像画像上で人の顔部分が検出され、検出された顔が、扉200から施設内への入館を許可された人物の顔であるか否かが判定される。例えば、扉200からの入館を許可された複数人物それぞれの顔画像が予めデータベースに登録される。データベースの登録顔画像と、端末装置100の撮像画像から検出した利用者11の顔画像との比較結果に基づいて、利用者11が扉200からの入館を許可された人物であるか否かが判定される。ただし、顔認証処理の方法は特に限定されない。例えば、データベースに顔画像そのものが登録される態様の他、顔画像から抽出した特徴量がデータベースに登録され、該特徴量と端末装置100で検出した顔画像から抽出した特徴量との比較結果に基づいて顔認証処理が実行される態様であってもよい。
【0026】
警備システム1は、扉200から入館する利用者11に警備上の異常事態が生じていることを自動検出するために、異常事態検出処理を実行する(B)。異常事態検出処理は、端末装置100が実行してもよいし、端末装置100と通信可能に接続された外部装置が実行してもよい。異常事態検出処理は、端末装置100、又は、端末装置100及び端末装置100と接続された外部装置によって、すなわち顔認証装置によって実行される。
【0027】
警備システム1は、図1に示すように、センサ部140で得られた利用者11の撮像画像600の画像解析を実行して、利用者11に異常事態が生じているか否かを判定する。
【0028】
例えば、警備システム1は、撮像画像600を解析して、密着した不審人物12、凶器20とみなされる物体、不審人物12の腕等の所定の検出対象を検出する処理を実行し、少なくともいずれか1つが検出された場合に異常事態であると判定する。検出処理は、撮像画像600に写っている利用者11の顔周辺の所定領域を対象に実行してもよい。例えば、利用者11の顔の輪郭を検出して、該輪郭の外側に設定した所定幅の帯状領域を対象に検出処理を行えばよい。撮像画像600で検出した人物が不審人物12か否かの判定は、例えば顔認証処理によって行えばよい。具体的には、利用者11以外に撮像された人物12の顔認証処理を実行して、この人物12が扉200からの入館許可者であることが確認できない場合に、不審人物12と判定すればよい。
【0029】
例えば、警備システム1は、撮像画像600を解析して、利用者の所定の体勢、所定の動作、及び所定の表情を検出する処理を実行して、少なくともいずれか1つが検出された場合に異常状態であると判定する。例えば、所定の体勢には、利用者11の顔が傾いていることが含まれる。所定の動作には、利用者11の目が泳いでいることが含まれる。所定の表情には、利用者11の恐怖の表情が含まれる。異常事態の検出方法については後述する。
【0030】
警備システム1は、顔認証処理の結果に基づいて扉200を解錠する(C)。具体的には、顔認証処理によって利用者11が認証されて、扉200から施設内への入館を許可された人物であることが確認された後、端末装置100が、施解錠部210を制御して扉200を解錠する。例えば、端末装置100の操作表示部130の画面に、扉200が解錠されたことを示す情報が表示される。操作表示部130の解錠情報を確認した利用者11は、扉200を開いて施設内へ入館することができる。
【0031】
利用者11の入館時に異常事態が検出された場合、警備システム1は、異常事態対応処理を実行する(D)。例えば、警備システム1は、異常事態の発生を警備会社へ通報する処理を実行する。例えば、警備システム1は、施設内に設けられた防犯カメラ、人感センサ等の警備設備を利用して、扉200から施設内へ入った利用者11及び不審人物12を追跡し、得られた情報を警備会社へ提供する処理を実行する。警備会社への通報及び情報提供は、警備会社が利用する所定のサーバ装置を対象に行われてもよいし、警備担当者が所持する所定の通信端末を対象に行われてもよい。
【0032】
警備システム1は、利用者11の安全確保を目的として、異常事態を自動検出したことを不審人物12に気付かれないように、異常事態対応処理を実行する。不審人物12の存在から異常事態を検出した場合も、警備システム1は、異常事態が検出されない通常状態と同様に、扉200の解錠情報を、端末装置100の操作表示部130に表示して扉200を解錠する。なお、警備システム1が、異常事態の自動検出を、不審人物12に気付かれないようにする一方で、利用者11に報知する態様であってもよい。例えば、警備システム1が、端末装置100の操作表示部130に、利用者11のみが分かるように異常事態を自動検出したことを示す所定の文言、記号等を表示するようにしてもよい。
【0033】
例えば、扉200から施設内へ侵入するために施解錠部210を破壊しようとすると、警備システム1は、これを所定事象の発生として検出し、警報装置によって警報を発することができる。所定事象の発生は、端末装置100、防犯カメラ、人感センサ等の警備設備を利用して検出される。警備システム1は、侵入者を威嚇するために警報装置を作動させて、警報音を発したり、音声で警告したり、警報ランプを点灯又は点滅させたりすることができる。一方、利用者11の顔認証処理時に異常事態を自動検出した場合、警備システム1は、所定事象を検出しても警報装置が作動しないように制御して、所定事象が検出されない場合と同様に動作しながら、異常事態対応処理を実行する。
【0034】
警備システム1から異常事態発生の通報を受けた警備会社は、不審人物12に知られないように、警備対象施設に駆け付けることができる。警備会社は、警備システム1から提供される情報に基づいて、利用者11及び不審人物12の施設内での現在位置を特定して対応することができる。
【0035】
このように、警備システム1は、端末装置100で顔認証された利用者11に異常事態が発生していることを、端末装置100を含む顔認証装置で得られた情報に基づいて、自動的に検出することができる。異常事態の検出は、顔認証装置の周辺を撮像した画像を利用して行われる。利用者11を撮像した撮像画像600に写っている人物12や凶器20、撮像画像600から認識される利用者11の体勢、動作、表情等に基づいて、異常事態が自動検出される。
【0036】
警備システム1は、利用者11が、事前に設定された所定動作を行うことによって、異常事態対応処理を実行するように設定されている。例えば、端末装置100のセンサ部140に向かってゆっくりと3回瞬きする、首から提げている入館許可証を両手で持ってセンサ部140に翳す等の、所定のサインを予め決めておくことで、警備システム1は、所定のサインを検出して異常事態対応処理を実行する。これに加えて、警備システム1は、利用者11が異常事態を知らせる所定のサインを実行できない状況にある場合も、上述したように異常事態を自動検出することができる。これにより、利用者11の状況によらず、異常事態を精度よく検出して、これに対応することが可能となる。
【0037】
次に、警備システム1の具体的な構成例を説明する。図2は、警備システム1の構成例を示すブロック図である。図2には、警備対象施設に設けられた警備システム1に加えて、警備会社に設けられた警備サーバ400を示している。警備サーバ400が警備システム1に含まれる態様であってもよい。
【0038】
図2に示す例では、警備システム1は、図1で説明した端末装置100及び扉200に加えて、端末装置100と通信可能に接続された管理装置300を含んでいる。図2に示す例では、端末装置100及び管理装置300が顔認証装置を構成する。図2には、1つの端末装置100と該端末装置100に接続された扉200のみを示しているが、複数の扉200がある場合は、各扉200に対応して端末装置100を設けて各端末装置100を管理装置300と通信可能に接続すればよい。
【0039】
警備システム1は、施設の警備に利用する監視カメラ510、人感センサ520及び警報装置530を含む。図2には、監視カメラ510、人感センサ520及び警報装置530を1つずつ示しているが、不審人物12を追跡できるように警備対象施設の施設内及び施設外の複数箇所に監視カメラ510及び人感センサ520が設置される。同様に、警報装置530も必要に応じて施設内外に複数設置される。
【0040】
監視カメラ510及び人感センサ520によって、施設内への不正侵入又はその兆候を示す所定の事象が検出される。警報装置530は、所定の事象が検出された場合に、音、音声、光等を発することにより、侵入者への警告及び施設内利用者への報知を行う。ただし、上述したように、利用者11が異常事態にあることが自動検出された場合、利用者11の安全の観点から、警報装置530は動作しないように制御される。
【0041】
端末装置100は、図1で説明した操作表示部130及びセンサ部140に加えて、制御部110及び通信部120を含む。通信部120は、ネットワーク2を介して、管理装置300等の外部装置と通信するために利用される。
【0042】
センサ部140は、顔認証処理に用いる顔画像を取得するための撮像センサ141を含む。センサ部140が、撮像範囲にある物体を3次元的に認識するための深度センサを含み、深度センサで得られた深度情報が、撮像センサ141で得られた画像の解析に利用される態様であってもよい。例えば、図1に示す撮像画像600に写っている利用者11と不審人物12との距離を深度情報に基づいて特定して、2人の密着度等の判定に利用してもよい。例えば、撮像画像600に写っている物体の3次元形状を深度情報に基づいて特定して、所定の物体等の検出に利用してもよい。
【0043】
制御部110は、情報取得部111及び扉制御部112を含む。情報取得部111は、センサ部140を制御して、顔認証処理及び異常事態検出処理に必要な情報を取得する。扉制御部112は、施解錠部210を制御して扉200を施解錠する。例えば、制御部110に対応するプログラムが専用の記憶装置に予め記憶されており、このプログラムがCPU等のハードウェアによって実行されることにより、制御部110、すなわち情報取得部111及び扉制御部112の機能及び動作が実現される。
【0044】
扉200は、図1で説明した施解錠部210を含む。施解錠部210は、端末装置100と通信可能に接続されている。図2では、端末装置100と扉200が直接通信接続された例を示しているが、扉200が通信部を含み、ネットワーク2を介して端末装置100と通信接続される態様であってもよい。
【0045】
施解錠部210は、扉200を施解錠する。扉200は、通常、施解錠部210によって施錠されたロック状態にあり開くことができない。上述したように、利用者11が、顔認証されて施設内へ入館する際に、端末装置100の扉制御部112によって施解錠部210が制御されて扉200が解錠される。解錠から所定時間が経過すると施解錠部210によって扉200が再び施錠される。端末装置100からの制御によって扉200を施解錠することができれば、施解錠部210の種類は特に限定されない。例えば、従来、電気錠、電磁錠、電子錠等の呼称で呼ばれている機構を施解錠部210として利用すればよい。
【0046】
管理装置300は、制御部310、通信部320及び記憶部330を含む。例えば、タッチパネル式の液晶ディスプレイを操作表示部として備えるコンピュータ装置が、管理装置300として利用される。通信部320は、ネットワーク2を介して、端末装置100、警備サーバ400等の外部装置と通信するために利用される。
【0047】
記憶部330は不揮発性の記憶装置である。記憶部330には、認証情報331及び異常事態判定条件332が保存されている。認証情報331には、顔認証処理に利用する登録顔画像等の情報が登録されている。異常事態判定条件332には、異常事態検出処理で異常事態を検出するための判定条件が登録されている。
【0048】
制御部310は、認証部311、異常事態検出部312、解錠判定部313及び異常事態対応処理部314を含む。認証部311は、利用者を撮像した画像を端末装置100から取得して顔認証処理を実行する。認証部311が、顔認証処理に加えて、端末装置100の操作表示部130に入力された利用者ID及びパスワードに基づく認証処理等、複数種類の認証処理を実行可能であってもよい。
【0049】
記憶部330の認証情報331には、扉200からの入退出を許可された複数利用者それぞれの顔認証処理に用いる登録顔画像、各利用者の利用者ID、各利用者が入退出に利用可能なパスワード等が含まれる。
【0050】
認証部311は、端末装置100の情報取得部111がセンサ部140の撮像センサ141から取得した撮像画像をネットワーク2を介して受信し、該撮像画像を利用して顔認証処理を実行する。撮像画像に人の顔が含まれている場合、認証部311が、認証情報331に登録されている各登録顔画像と比較照合する。端末装置100で撮像された人物の顔と一致する登録顔画像が認証情報331に含まれている場合に、この人物が認証されて、扉200からの入館を許可された利用者であると判定される。
【0051】
異常事態検出部312は、端末装置100の情報取得部111がセンサ部140の撮像センサ141から取得した撮像画像をネットワーク2を介して受信し、該撮像画像を利用して異常事態検出処理を実行する。端末装置100は、撮像センサ141による撮像を連続して行う。異常事態検出部312は、撮像センサ141が連続撮像する静止画像又は撮像センサ141が撮像する動画像を利用してリアルタイムに異常事態検出処理を実行することができる。異常事態検出処理は、異常事態判定条件332に基づいて行われるが、これについては後述する。
【0052】
解錠判定部313は、認証部311による認証結果に基づいて、扉200を解錠するか否かを判定する。顔認証処理によって認証されて扉200からの入退出許可者であることが確認された場合に、解錠判定部313は扉200を解錠すると判定する。
【0053】
扉200を解錠すると判定した解錠判定部313は、端末装置100に解錠命令を送信する。ネットワーク2を介して解錠命令を受信した端末装置100で、扉制御部112が扉200の施解錠部210を制御することにより、扉200が解錠される。
【0054】
異常事態対応処理部314は、異常事態検出部312が異常事態を検出した場合に、異常事態対応処理を実行する。図3は、異常事態対応処理を説明するための模式図である。図3に示すように、異常事態対応処理によって、異常事態対応処理部314、すなわち管理装置300から、ネットワーク2を介して、警備会社が利用する警備サーバ400に異常事態の発生が通報される。通報を受けた警備会社は、通報元の警備対象施設へ急行するよう警備担当者へ指示することができる。
【0055】
異常事態対応処理部314は、図3に示すように、施設内外複数箇所に設置された監視カメラ510及び人感センサ520を利用して、扉200から施設内に入る利用者11及び不審人物12を追跡することができる。
【0056】
異常事態対応処理部314は、利用者11及び不審人物12の情報を、ネットワーク2を介して警備サーバ400へ提供する。例えば、端末装置100で撮像された利用者11及び不審人物12の画像が警備サーバ400へ送信される。例えば、施設内における利用者11の現在位置及び不審人物12の現在位置の特定に利用可能な情報が、警備サーバ400へ送信される。警備担当者は、スマートフォン、タブレット等の通信端末を利用して、警備サーバ400が管理装置300から受信した情報を確認することができる。警備担当者は、利用者11及び不審人物12の画像、現在位置等の情報を参考に、異常事態に対応することができる。
【0057】
次に、異常事態検出処理について説明する。異常事態検出処理は、管理装置300の異常事態検出部312が、端末装置100のセンサ部140で得られた情報を利用して、記憶部330に保存されている異常事態判定条件332に基づいて実行する。端末装置100のセンサ部140による撮像画像の解析結果が、異常事態判定条件332に登録されている判定条件を満たす場合に、異常事態であると判定される。
【0058】
図4は、異常事態判定条件332を説明するための図である。異常事態検出部312は、図4に示すように、複数種類の検出種別それぞれについて登録された検出対象が、端末装置100による撮像画像から検出されたことを条件に、異常事態であると判定する。
【0059】
図4に示すように、利用者が異常事態を自ら知らせるためのサインの検出が、判定条件として、異常事態判定条件332に登録される。上述したように、瞬きする目の動き、入館許可証を触る手の動き等の所定動作がサインとして設定される。異常事態検出部312は、撮像センサ141で連続撮像される静止画像、又は動画像を解析して、利用者の目の動き及び手の動きを認識する。認識した動きが、異常事態を知らせるサインと一致する場合に、異常事態検出部312は、利用者が異常事態にあると判定する。
【0060】
所定の物体の検出が、判定条件として、異常事態判定条件332に登録される。所定の物体には、銃、刃物、スタンガン、アイスピック等の凶器が含まれる。異常事態検出部312は、撮像センサ141による撮像画像上で、異常事態判定条件332に登録されている物体を探索する。撮像画像内に所定の物体が写っている場合に、異常事態検出部312は、利用者が異常事態にあると判定する。
【0061】
認証対象者以外の人物、すなわち認証部311が顔認証した利用者以外の人物の検出が、判定条件として、異常事態判定条件332に登録される。異常事態検出部312は、撮像センサ141による撮像画像に写っている、顔認証された利用者以外の人物を探索して、この人物が認証部311によって顔認証されない場合に、利用者が異常事態にあると判定する。
【0062】
ただし、利用者が常に1人で入館することが分かっている場合は、この利用者以外の人物の顔認証処理を実行することなく、利用者以外の人物が撮像画像に写っていることのみに基づいて利用者が異常事態にあると判定してもよい。例えば、入館時に1人ずつ顔認証して入館するよう利用者に義務づけられ、端末装置100が1人の利用者の顔周辺のみを撮像するように設置されている場合は、利用者の顔周辺に利用者以外の人物を検出したことのみに基づいて異常事態と判定すればよい。例えば、認証情報331に、一部の利用者IDと関連付けて、この利用者が常に1人で入館することを示す情報を登録して、この利用者の顔認証処理時に、利用者以外の人物が検出されたことのみに基づいて異常事態と判定するようにしてもよい。
【0063】
撮像画像に写っている利用者以外の人物について、異常事態と判定する特徴を判定条件に加えることもできる。例えば、利用者以外の人物が、利用者に密着していることを、異常事態と判定する条件に追加することができる。例えば、利用者以外の人物が、目出し帽や覆面で顔を隠していることを、異常事態と判定する条件に追加することができる。利用者以外の人物が検出された場合でも、この人物について覆面等の所定の特徴が検出されない場合には、異常事態と判定しないように設定することもできる。言い換えれば、所定の特徴を有する、利用者以外の人物が検出された場合に、異常事態と判定するように設定することができる。
【0064】
図4に示すように、認証部311が顔認証した利用者の体勢が、判定条件として、異常事態判定条件332に登録される。例えば、異常事態検出部312は、撮像センサ141による撮像画像に写っている利用者が羽交い締めされた体勢にある場合に、利用者が異常事態にあると判定する。例えば、利用者以外の人物の腕が利用者の首に巻かれている場合に、異常事態であると判定される。
【0065】
具体的には、例えば、撮像センサ141による撮像画像に写っている利用者の顔の傾きに基づいて、異常事態検出部312が、利用者が異常事態にあると判定する。不審人物が、利用者に凶器を突き付けている場合や、利用者を羽交い締めにして拘束している場合、通常に比べて、利用者の顔が傾いた状態となる。利用者の顔が所定の角度を超えて傾いた状態が所定時間以上継続した場合に、利用者が異常事態にあると判定される。利用者の顔の傾きは、撮像画像から直接認識する態様であってもよいし、撮像画像から利用者の左右の目の位置を検出して、左右の目の位置を結ぶ直線と水平線との間の角度に基づいて認識する態様であってもよい。顔の傾きではなく、目の傾き、すなわち利用者の左右の目の位置を結ぶ直線と水平線との間の角度を直接利用して、この角度が所定の角度を超えた状態が所定時間以上継続した場合に利用者が異常事態にあると判定する態様であってもよい。
【0066】
認証部311が顔認証した利用者の動作が、判定条件として、異常事態判定条件332に登録される。異常事態検出部312は、撮像センサ141による撮像画像から、利用者の目が泳いでいる、利用者が顔をしかめた、利用者が震えている等の動作が認識された場合に、利用者が異常事態にあると判定する。
【0067】
例えば、利用者の恐怖の表情、痛みの表情等の所定の表情が、判定条件として、異常事態判定条件332に登録される。異常事態検出部312は、撮像センサ141による撮像画像から、所定の表情が認識された場合に、利用者が異常事態にあると判定する。
【0068】
図4に示した検出対象のうちいずれか1つが検出された場合に異常事態であると判定される態様であってもよいし、複数が検出されたことを条件に異常事態であると判定される態様であってもよい。異常事態を検出するための検出対象、異常事態と判定するための閾値等を含む判定条件は、警備システム1が利用される施設や環境に応じて適宜設定すればよい。
【0069】
なお、人の顔、体勢、動作、表情等を認識する方法は、従来知られている画像の解析技術及び認識技術を利用して行えばよい。同様に、凶器等の物体の認識も従来知られている画像の解析技術及び認識技術を利用して行えばよい。
【0070】
例えば、表情の認識は、様々な人の表情を機械学習させたAI(Artificial Intelligence)を利用して行えばよい。端末装置100で得られた利用者の顔と、機械学習した、恐怖を示す顔との相関を示す数値が、所定の閾値を超える場合に、利用者が恐怖の表情を示したと判定すればよい。凶器を含む所定の物体の検出についても、同様に、凶器とみなす所定の物体を学習させたAIを利用して、画像解析及び画像認識によって検出すればよい。
【0071】
センサ部140が深度センサを含む場合は、人の顔、体勢、動作及び表情、物体等の認識に深度情報を利用する態様であってもよい。例えば、深度センサで認識した3次元形状や人の骨格を利用して、人の体勢や動作、物体等を検出してもよい。
【0072】
次に、図2に示した警備システム1が実行する警備処理の例を説明する。図5は、警備処理の例を示すフローチャートである。警備システム1は、管理装置300と、扉200近傍に設置された端末装置100とによって、扉200周辺を監視している。
【0073】
具体的には、管理装置300の認証部311が、端末装置100の撮像センサ141が扉200の周囲を連続的に撮像した画像に、顔認証可能な顔が含まれているか否かの監視を続けている。端末装置100で得られた撮像画像の中に顔認証可能な顔が検出されると、図5に示す処理が開始され、認証部311が顔認証処理を実行して(ステップS1)異常事態検出部312が異常事態検出処理を実行する(ステップS2)。
【0074】
異常事態検出処理は、利用者が顔認証された後、センサ部140が連続撮像する画像を利用して繰り返し実行することができる。例えば、顔認証された利用者が撮像センサ141によって撮像できなくなるまで異常事態検出処理が継続される。 例えば、異常事態検出処理が、1秒毎というように所定時間毎に繰り返し実行されてもよいし、センサ部140の撮像画像が変化する度に繰り返し実行されてもよい。
【0075】
検出された顔が顔認証処理で認証されなかった場合(ステップS3;No)、すなわち端末装置100の撮像画像から検出された顔が扉200からの入館を許可された利用者の顔でなかった場合は、検出された顔に関する処理は終了する。
【0076】
検出された顔が認証された場合(ステップS3;Yes)、すなわち撮像画像から検出された顔が扉200からの入館を許可された利用者の顔であった場合、解錠判定部313が扉200を解錠すると判定して端末装置100に解錠命令を送信する。解錠命令を受信した端末装置100で扉制御部112が扉200の施解錠部210を制御することにより扉200が解錠される(ステップS4)。
【0077】
異常事態検出処理で異常事態が検出されなかった場合は(ステップS5;No)、処理が終了する。一方、異常事態検出処理で異常事態が検出された場合は(ステップS5;Yes)、異常事態対応処理部314が、異常事態対応処理を実行する(ステップS6)。
【0078】
異常事態対応処理では、警備会社へ異常事態を通報するための所定情報が警備サーバ400へ送信される。また、監視カメラ510及び人感センサ520を利用して得られた利用者11及び不審人物12に関する情報が警備サーバ400へ送信される。
【0079】
警備サーバ400への通報を受けて、警備会社の警備担当者が警備対象施設へ駆け付ける。警備担当者が、管理装置300又は端末装置100で所定の解除操作を行わない限り(ステップS7;No)、異常事態対応処理が継続される。警備担当者が、異常事態への対応を終えて所定の解除操作を行うと(ステップS7;Yes)、処理が終了する。
【0080】
次に、機械警備について説明する。警備対象施設では、施設利用者が全員施設から退出した後、機械警備が行われる。例えば、施設内外に設置された監視カメラ510及び人感センサ520のうち一部は、機械警備用に設けられており、施設内に従業者がいる間は動作しない。これら一部の監視カメラ510及び人感センサ520は、機械警備の開始と共に動作を開始する。警報装置530の一部についても、同様に、機械警備の開始と同時に動作を開始する。
【0081】
機械警備を開始した管理装置300は、監視カメラ510及び人感センサ520を利用して施設内への侵入者の有無を監視する。施設内への不正侵入又はその兆候が検出された場合、管理装置300は、警報装置530から音や光を発して侵入者への警告を行うと共に、警備会社への通報を行う。
【0082】
機械警備中に、施設への入館を許可された利用者が扉200の端末装置100で顔認証処理を実行して正常に入館すると、機械警備は解除される。機械警備が解除されると、機械警備用に設けられた監視カメラ510及び人感センサ520は動作を停止する。同様に、警報装置530の一部についても、機械警備の終了と同時に動作を停止する。機械警備中に顔認証処理が実行されて異常事態が検出された場合、警備システム1は、通常とは異なる処理を実行する。
【0083】
図6は、機械警備中に警備システム1が実行する処理の例を示すフローチャートである。機械警備中に、端末装置100で得られた撮像画像の中に顔認証可能な顔が検出されると、図6に示す処理が開始される。図6に示すステップS11~S15までの処理は、図5に示すステップS1~S5と同様に行われる。
【0084】
ステップS12の異常事態検出処理で、扉200から入館する利用者の異常事態が検出されなかった場合(ステップS15;No)、管理装置300は、機械警備解除の報知処理を実行する(ステップS16)。例えば、端末装置100の操作表示部130に、機械警備解除を示す情報が表示される。例えば、端末装置100の操作表示部130の表示が、機械警備を示す表示から、機械警備解除後の通常警備を示す表示に変更される。
【0085】
続いて、管理装置300が、機械警備用に設けられた監視カメラ510、人感センサ520及び警報装置530の動作を停止させる機械警備終了処理を実行して(ステップS17)、利用者の入館に関する処理が終了する。
【0086】
一方、異常事態検出処理で、顔認証された利用者の異常事態が検出された場合(ステップS15;Yes)、管理装置300の異常事態対応処理部314による異常事態対応処理が実行される。図6に示すステップS18~S20の処理が、異常事態対応処理に含まれる。
【0087】
異常事態が検出された場合も、異常事態が検出されなかった場合と同様に、機械警備解除の報知処理が実行される(ステップS18)。すなわち、ステップS18ではステップS16と同じ処理が実行される。
【0088】
異常事態対応処理部314は、警備会社の警備サーバ400へ所定情報を送信することにより、異常事態の発生を通報する(ステップS19)。異常事態対応処理部314は、ステップS18で機械警備の解除を報知して、見かけ上は機械警備を解除しながら、機械警備を継続する(ステップS20)。この結果、機械警備用の監視カメラ510及び人感センサ520が継続して動作し、異常事態対応処理部314は、監視カメラ510及び人感センサ520を利用して、入館した利用者及び不審人物を館内で追跡することができる。ただし、異常事態検出後に継続される機械警備では、管理装置300が、警報装置530が動作しないように制御するため、警報装置530が警報を発することはない。
【0089】
利用者及び不審人物の追跡は、通報を受けて警備対象施設へ到着した警備会社の警備担当者が、管理装置300又は端末装置100で所定の解除操作を行わない限り(ステップS21;No)、継続される。警備担当者が、異常事態への対応を終えて所定の解除操作を行うと(ステップS21;Yes)、管理装置300が機械警備終了処理を実行する(ステップS22)。ステップS17と同様に、機械警備の終了に伴って機械警備用の監視カメラ510及び人感センサ520の動作が停止して、利用者の入館に関する処理が終了する。
【0090】
このように、不審人物が利用者を脅して端末装置100で顔認証させた場合でも、扉200が解錠されて、機械警備の解錠が報知される。見かけ上は機械警備が解除されるものの、実際には機械警備が継続され、施設内外において利用者及び不審人物が追跡されて現在位置に関する情報が警備サーバ400へ送信される。これにより、警備会社は、不審人物に知られることなく、警備対象施設に駆け付けて異常事態に対応することができる。例えば、警備会社は、管理装置300から得られる情報に基づいて、不審人物がまだ施設内にいるのか、施設内のどこにいるのか、既に施設から外へ出たのかを確認し、確認結果に応じて異なる対応をとることができる。
【0091】
なお、機械警備用に設けられた監視カメラ510、人感センサ520等の機械警備用センサについては、機械警備の終了後、動作を停止する態様に限定されず、機械警備中と異なるモードで動作を続ける態様であってもよい。同様に、警報装置530についても、機械警備の終了後も、機械警備と異なるモードで動作を続ける態様であってもよい。
【0092】
本実施形態の図2に示した警備システム1の構成は機能概略的なものであり、警備システム1の構成が物理的に該構成に限定されるものではない。図2に示した例において、端末装置100が、上述した管理装置300の機能及び動作の一部又は全部を実現する態様であってもよい。例えば、端末装置100が、顔認証処理と異常事態検出処理の少なくともいずれか一方を実行する態様であってもよい。管理装置300が、上述した端末装置100の機能及び動作の一部を実現する態様であってもよい。例えば、扉200がネットワーク2に接続され、管理装置300がネットワーク2を介して扉200の施解錠を直接制御する態様であってもよい。顔認証処理及び異常事態検出処理を実行する顔認証装置が、端末装置100と管理装置300のいずれか一方によって実現される態様であってもよいし、端末装置100及び管理装置300によって実現される態様であってもよい。各装置の分散・統合の形態は上述した例に限定されず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0093】
本実施形態では、所定権限を有する認証許可者を認証する顔認証処理が、扉200からの入退出を求める利用者を対象に実行される例を説明したが、顔認証処理の目的が扉200の施解錠制御に限定されるものではない。顔認証処理が、機械警備等の所定処理の開始と終了の少なくともいずれか一方を制御するために実行される態様であってもよい。例えば、顔認証処理によって利用者を認証して、認証結果に基づいて機械警備が開始又は解除されてもよい。顔認証処理が、コンピュータ装置等の所定装置の利用を制限するために実行される態様であってもよい。例えば、顔認証処理によって利用者を認証して、認証結果に基づいて、コンピュータ装置が利用できるように装置のロックが解除されてもよい。これらの場合も、顔認証処理の実行時に、認証許可者を対象に異常事態検出処理を実行して、検出結果に基づいて、認証許可者に発生した異常事態に対応することが可能となる。
【0094】
上述したように、本実施形態に係る警備システムによれば、例えば、施設への入館を求める利用者の顔認証処理を実行して扉を解錠する際に、利用者が異常事態にあるか否かが判定され、異常事態にある場合にはこれが自動的に検出される。顔認証装置が、顔認証処理に加えて異常事態検出処理を実行することで、異常事態が検出される。例えば、悪意ある人物が、施設への入館を許可された利用者を脅迫して顔認証させるような場合に、警備システムは、顔認証装置によって、利用者が異常事態にあることを検出することができる。異常事態が検出された場合、警備システムは、見かけ上は、異常事態が検出されなかった場合と同様に動作しながら、警備会社への通報、施設内への侵入者の追跡等を行うことができる。通報を受けた警備会社は、警備システムから得られる侵入者の追跡情報を利用して異常事態に対応することができる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上のように、本開示に係る顔認証装置、顔認証方法、顔認証プログラム及び警備システムは、顔認証の認証結果に基づいて所定権限の有無を確認する際に異常事態の発生を自動検出するために有用である。
【符号の説明】
【0096】
1 警備システム
2 ネットワーク
100 端末装置
110、310 制御部
111 情報取得部
112 扉制御部
120、320 通信部
130 操作表示部
140 センサ部
141 撮像センサ
200 扉
210 施解錠部
300 管理装置
311 認証部
312 異常事態検出部
313 解錠判定部
314 異常事態対応処理部
330 記憶部
400 警備サーバ
510 監視カメラ
520 人感センサ
530 警報装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6