(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025084682
(43)【公開日】2025-06-03
(54)【発明の名称】部品の補修のための封止キャビティを有する多孔質金属クーポン、同クーポンを有する部品並びに関連方法
(51)【国際特許分類】
B22F 10/38 20210101AFI20250527BHJP
B23P 6/00 20060101ALI20250527BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20250527BHJP
B22F 3/26 20060101ALI20250527BHJP
B23K 1/00 20060101ALN20250527BHJP
C22C 19/05 20060101ALN20250527BHJP
【FI】
B22F10/38
B23P6/00 A
F02C7/00 D
B22F3/26 C
B23K1/00 330P
C22C19/05 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024173964
(22)【出願日】2024-10-03
(31)【優先権主張番号】18/495,817
(32)【優先日】2023-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン、スタンリー フランク
(72)【発明者】
【氏名】サルム、ジェイコブ アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ペムリック、ジェームズ ウォーレン
(72)【発明者】
【氏名】ハント、マーク ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】オストルート、ネイサン ニコラス
(57)【要約】
【課題】部品の補修のための交換用クーポンを提供する。
【解決方法】部品(202)の補修用の金属クーポン(200)は、積層造形(AM)金属部材(330)の内部に封止キャビティ(296)及びその周囲の多孔質領域(300)を有するAM金属部材(330)を備える。金属クーポンシステムは、2以上のAM金属部材(292)を含んでいてもよく、各AM金属部材(292)は、その内部に封止キャビティの少なくとも一部のセクション及びその周囲の多孔質領域を含む。AM金属部材同士を組合せると、その内部に封止キャビティ及びその周囲の多孔質領域を含む金属クーポンが形成される。封止キャビティは中空である。封止キャビティを備える多孔質金属クーポンは、質量を減少させ、多孔質領域の特性に基づいてろう材(310)を導くことができる。
【選択図】
図7A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品(202)を補修するための金属クーポン(200)であって、当該金属クーポン(200)が、
2以上の積層造形(AM)金属部材(292)であって、各積層造形金属部材(292)が、その内部に封止キャビティ(296)の少なくとも一部のセクション(294)及び該封止キャビティ(296)の少なくとも一部のセクション(294)の周囲の多孔質領域(300)を含む、2以上の積層造形(AM)金属部材(292)
を備えており、前記2以上の積層造形金属部材(292)を組合せると、その内部に封止キャビティ(296)及び該封止キャビティ(296)の周囲の多孔質領域(300)を含む金属クーポンが形成され、前記封止キャビティ(296)が中空である、金属クーポン(200)。
【請求項2】
前記多孔質領域(300)が、ポロシティの異なる2以上の部分領域を有する可変ポロシティを有する、請求項1に記載の金属クーポン(200)。
【請求項3】
部品(202)を補修するための金属クーポン(200)であって、当該金属クーポン(200)が、
積層造形(AM)金属部材(330)の内部に封止キャビティ(296)及び該封止キャビティ(296)の周囲の多孔質領域(300)を有する積層造形金属部材(330)
を備えており、前記封止キャビティ(296)が中空である、金属クーポン(200)。
【請求項4】
前記多孔質領域(300)が、ポロシティの異なる2以上の部分領域を有する可変ポロシティを有する、請求項3に記載の金属クーポン(200)。
【請求項5】
前記多孔質領域(300)が、前記積層造形金属部材(330)の外面(306)に隣接する外側多孔質部分領域(314A)であって、前記封止キャビティ(296)の近傍の内側多孔質部分領域(314B)よりも高いポロシティを有する外側多孔質部分領域(314A)を含んでおり、前記外側多孔質部分領域(314A)が、前記内側多孔質部分領域(314B)よりも多くのろう材(310)を受け入れるように構成されている、請求項3に記載の金属クーポン(200)。
【請求項6】
前記封止キャビティ(296)がろう材溶浸バリア(304)の内側に画成され、前記多孔質領域(300)が前記ろう材溶浸バリア(304)の外側にある、請求項3に記載の金属クーポン(200)。
【請求項7】
前記積層造形金属部材(330)が、前記封止キャビティ(296)の第1のセクション(294A)が内部に画成された第1の金属部材(292A)と、前記封止キャビティ(296)の第2のセクション(294B)が内部に画成された第2の金属部材(292B)とを含んでおり、第1の金属部材(292A)及び第2の金属部材(292B)が、多孔質領域(300)に溶浸するろう材(310)を用いて結合される、請求項3に記載の金属クーポン(200)。
【請求項8】
前記積層造形金属部材(330)が、前記積層造形金属部材(330)の外面(306)から前記封止キャビティ(296)まで延在し、かつ前記封止キャビティ(296)内から材料を除去するように構成された排出孔(340)をさらに含んでおり、排出孔(340)を封止するための排出孔(340)内の封止要素(342)をさらに含む、請求項3に記載の金属クーポン(200)。
【請求項9】
前記多孔質領域(300)のポロシティが、前記封止キャビティ(296)の近傍から前記積層造形金属部材(330)の外面(306)に向かって増加する、請求項3に記載の金属クーポン(200)。
【請求項10】
前記多孔質領域(300)のポロシティが、前記封止キャビティ(296)の近傍から前記積層造形金属部材(330)の外面(306)に向かって複数の増分段階で増加する、請求項3に記載の金属クーポン(200)。
【請求項11】
部品(202)であって、当該部品(202)が、
本体(206)と、
積層造形(AM)金属クーポン(200)内部の封止キャビティ(296)及び該封止キャビティ(296)の周囲の多孔質領域(300)を有する積層造形金属クーポン(200)であって、前記封止キャビティ(296)が中空である、積層造形金属クーポン(200)と、
前記本体(206)のクーポン開口部(204)に前記積層造形金属クーポン(200)を結合するろう材(310)であって、前記多孔質領域(300)に溶浸したろう材(310)と
を備える部品(202)。
【請求項12】
前記多孔質領域(300)が、ポロシティの異なる2以上の部分領域を有する可変ポロシティを有する、請求項11に記載の部品(202)。
【請求項13】
前記多孔質領域(300)が、前記積層造形金属部材(330)の外面(306)に隣接する外側多孔質部分領域(314A)であって、前記封止キャビティ(296)の近傍の内側多孔質部分領域(314B)よりも高いポロシティを有する外側多孔質部分領域(314A)を含んでおり、前記外側多孔質部分領域(314A)が、前記内側多孔質部分領域(314B)よりも多くのろう材(310)を含む、請求項11に記載の部品(202)。
【請求項14】
前記封止キャビティ(296)がろう材溶浸バリア(304)の内側に画成され、前記多孔質領域(300)が前記ろう材溶浸バリア(304)の外側にある、請求項11に記載の部品(202)。
【請求項15】
前記積層造形金属部材(330)が、前記封止キャビティ(296)の第1のセクション(294A)が内部に画成された第1の金属部材(292A)と、前記封止キャビティ(296)の第2のセクション(294B)が内部に画成された第2の金属部材(292B)とを含んでおり、ろう材(310)が、第1の金属部材(292A)及び第2の金属部材(292B)を前記本体(206)のクーポン開口部(204)内で結合して前記封止キャビティ(296)を形成する、請求項11に記載の部品(202)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に部品の補修に関し、さらに具体的には、封止キャビティを有する多孔質金属クーポンを用いた部品の補修に関する。
【背景技術】
【0002】
工業用部品は、時々補修を必要とすることが々ある。例えば、ターボ機械でエネルギー生成のため作動流体を導くのに使用される高温ガス経路部品は、補修を要することがある。高温ガス経路部品は、エネルギー生成のため作動流体を導く翼形部を含むタービンロータブレード又は静止ベーンのように、様々な形状をとり得る。ロータブレードはタービンロータに結合されてタービンロータを回転させるように作用し、静止ベーンはターボ機械のケーシングに結合されて作動流体をロータブレードに向けて導く。
【0003】
直接金属レーザ溶融(DMLM)又は選択的レーザ溶融(SLM)のような積層造形は、工業部品を製造するための信頼性の高い製造方法として登場した。積層造形技術の登場により、ターボ機械ブレードの前縁又は後縁の一部のような部品の一部を交換することもできるようになった。例えば、ターボ機械のブレードの前縁の一部を除去してブレードに切欠部を残し、新しいセクション(本明細書では「クーポン」という)を切欠部でブレードに結合してもよい。クーポンは、切欠部の形状と少なくとも概ね一致する形状をもつように積層造形される。このクーポンは、使用済みのターボ機械ブレードの摩耗した部分を交換するか、新しいターボ機械ブレードの一部として追加できる。クーポンは、ターボ機械ブレードの内部冷却構造を簡単に交換することができ、或いは元のターボ機械ブレードには設けられていなかった追加の又は改良された冷却構造(例えば壁に近い冷却通路)を提供することができる。
【0004】
ただし、交換用クーポンは、部品の除去部分と同じ材料及び外装構造で作られる。そのため、交換用クーポンには、元の部品及び/又は切欠部と同じ短所の幾つかがみられ、全体的強度、応力/ひずみ耐性、延性、耐摩耗性、熱伝導率又は導電率及び/又は質量減少のような全般的性能特性が改善されることはない。1種類のろう材を用いて交換用クーポンを部品に結合すると、上述の全般的性能特性、さらには継手密着強さ及び信頼性の向上、ろう付け後に必要とされる機械加工/ブレンディング作業の低減のような、継手に関連する追加の性能特性の改善もできなくなる。また、除去した切欠部と実質的に同一材料のクーポンを使用すると、交換用クーポンの高額な材料コストを削減できなくなる。
【発明の概要】
【0005】
以下に挙げるすべての態様、具体例及び特徴は、技術的に可能な方法で組合せることができる。
【0006】
本開示の態様は、部品を補修するための金属クーポンシステムを提供するが、金属クーポンシステムは、2以上の積層造形(AM)金属部材を備えており、各AM金属部材は、その内部に封止キャビティの少なくとも一部のセクション及び該封止キャビティの少なくとも一部のセクションの周囲の多孔質領域を含んでおり、2以上のAM金属部材を組合せると、その内部に封止キャビティ及び該封止キャビティの周囲の多孔質領域を含む金属クーポンが形成され、封止キャビティが中空である。
【0007】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、多孔質領域は、ポロシティの異なる2以上の部分領域を有する可変ポロシティを有する。
【0008】
本開示の別の態様は、部品を補修するための金属クーポンを包含し、金属クーポンは、積層造形(AM)金属部材の内部に封止キャビティ及び該封止キャビティの周囲の多孔質領域を有するAM金属部材を含んでおり、封止キャビティが中空である。
【0009】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、多孔質領域は、ポロシティの異なる2以上の多孔質部分領域を有する可変ポロシティを有する。
【0010】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、多孔質領域は、AM金属部材の外面に隣接する外側多孔質部分領域であって、封止キャビティの近傍の内側多孔質部分領域よりも高いポロシティを有する外側多孔質部分領域を含んでおり、外側多孔質部分領域は、内側多孔質部分領域よりも多くのろう材を受け入れるように構成されている。
【0011】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、封止キャビティはろう材溶浸バリアの内側に画成され、多孔質領域はろう材溶浸バリアの外側にある。
【0012】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、AM金属部材は、封止キャビティの第1のセクションが内部に画成された第1の金属部材と、封止キャビティの第2のセクションが内部に画成された第2の金属部材とを含んでおり、第1の金属部材及び第2の金属部材は、多孔質領域に溶浸するろう材を用いて結合される。
【0013】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、AM金属部材は、AM金属部材の外面から封止キャビティまで延在し、かつ封止キャビティ内から材料を除去するように構成された排出孔をさらに含んでおり、排出孔を封止するために排出孔内の封止要素をさらに含む。
【0014】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、多孔質領域のポロシティが、封止キャビティの近傍からAM金属部材の外面に向かって増加する。
【0015】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、多孔質領域のポロシティが、封止キャビティの近傍からAM金属部材の外面に向かって複数の増分段階で増加する。
【0016】
本開示の態様は、部品を包含するが、本部品は、本体と、積層造形(AM)金属クーポンの内部の封止キャビティ及び該封止キャビティの周囲の多孔質領域を有するAM金属クーポンであって、封止キャビティが中空である、積層造形金属クーポンと、本体のクーポン開口部にAM金属クーポンを結合するろう材とを含んでおり、ろう材が多孔質領域に溶浸している。
【0017】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、多孔質領域は、ポロシティの異なる2以上の多孔質部分領域を有する可変ポロシティを有する。
【0018】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、多孔質領域は、AM金属部材の外面に隣接する外側多孔質部分領域であって、封止キャビティの近傍の内側多孔質部分領域よりも高いポロシティを有する外側多孔質部分領域を含んでおり、外側多孔質部分領域は、内側多孔質部分領域よりも多くのろう材を受け入れるように構成されている。
【0019】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、封止キャビティはろう材溶浸バリアの内側に画成され、多孔質領域はろう材溶浸バリアの外側にある。
【0020】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、AM金属クーポンは、封止キャビティの第1のセクションが内部に画成された第1の金属部材と、封止キャビティの第2のセクションが内部に画成された第2の金属部材とを含んでおり、ろう材は、本体の開口部にAM金属クーポンの第1の金属部材及び第2の金属部材を結合して、封止キャビティを形成する。
【0021】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、AM金属クーポンは、AM金属クーポンの外面から封止キャビティまで延在する排出孔をさらに含んでおり、排出孔を封止するために排出孔内の封止要素をさらに含む。
【0022】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、多孔質領域のポロシティが、封止キャビティの近傍からAM金属クーポンの外面に向かって増加する。
【0023】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、多孔質領域のポロシティが、封止キャビティの近傍からAM金属クーポンの外面に向かって複数の増分段階で増加する。
【0024】
本開示の一態様は、部品を補修する方法を包含し、本方法は、封止キャビティ及び該封止キャビティの周囲の多孔質領域を有する金属クーポンを積層造形するステップと、金属クーポンを部品の本体のクーポン開口部に配置するステップと、本体のクーポン開口部内の金属クーポンをその内部の封止キャビティと共に結合するために金属クーポンをろう材で溶浸するステップであって、ろう材が金属クーポンの多孔質領域に溶浸し、封止キャビティが中空である、ステップとを含む。
【0025】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、多孔質領域は、ポロシティの異なる2以上の多孔質部分領域を有する可変ポロシティを有する。
【0026】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、金属クーポンは、クーポン開口部のニアネット形状を有する。
【0027】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、積層造形は、多孔質領域を、封止キャビティの近傍の金属クーポンの内側多孔質部分領域よりも高いポロシティを有する外側多孔質部分領域を金属クーポンの外面に隣接して含むものとして形成することを含んでおり、溶浸後に、外側多孔質部分領域は、内側多孔質部分領域よりも多くのろう材を内部に含んでいる。
【0028】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、積層造形は、ろう材溶浸バリアの内側に風紀キャビティを形成することを含んでおり、多孔質領域は、ろう材溶浸バリアの外側にある。
【0029】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、積層造形は、1以上の金属部材を積層造形することをふくでおり、各金属部材は、封止キャビティの少なくとも一部のセクション及び該封止キャビティの少なくとも一部のセクションの周囲の多孔質領域を含んでおり、配置するステップは、1以上の金属部材をクーポン開口部に配置して金属クーポンとすることを含む。
【0030】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、積層造形は、単体金属クーポンに封止キャビティ全体を積層造形することを含んでおり、配置するステップは、単体金属クーポンをクーポン開口部に配置することを含んでおり、溶浸は、単体金属クーポンを溶浸することを含む。
【0031】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、積層造形は、単体金属クーポンの外面から封止キャビティに延在しかつ封止キャビティ内から材料を除去するように構成された排出孔を有する単体金属クーポンを積層造形することを含んでおり、さらに、排出孔を用いて封止キャビティ内から材料を除去することを含んでおり、さらに、排出孔を封止要素で封止することをさらに含む。
【0032】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、さらに、積層造形の前に、金属クーポンが収まるように構成されたクーポン開口部を部品の本体に形成するステップと、クーポン開口部のモデルを作成するステップとを含んでおり、積層造形は、金属クーポンがクーポン開口部のモデルに基づくクーポン開口部のニアネット形状をもつように金属クーポンを製造することを含む。
【0033】
この発明の概要の欄に記載した態様も含めて、本開示に記載した2以上の態様を組合せて、本明細書に具体的に記載されていない実施態様としてもよい。すなわち、本願に記載された実施形態はすべて互いに組合せることができる。
【0034】
1以上の実施態様の詳細を、添付の図面及び以下の説明に記載する。その他の特徴、態様及び利点は、発明の詳細な説明、図面及び特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本開示の上記その他の特徴については、本開示の様々な実施形態について記載する添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって理解を深めることができよう。
【
図1】本開示の実施形態に係る部品を含むガスタービンシステムの形態の例示的な産業機械の概略図。
【
図2】本開示の実施形態に係る部品を含む
図1のガスタービンシステムで使用し得る例示的なガスタービンアセンブリの断面図。
【
図3】本開示の実施形態に係る金属クーポンを含むタービン回転ブレードの形態の部品の斜視図。
【
図4】本開示の実施形態に係る金属クーポンを含むタービンノズルの形態の部品の斜視図。
【
図5】本開示の実施形態に従って金属クーポンを積層造形するための例示的な積層造形システムの概略ブロック図。
【
図6A】本開示の実施形態に係るポロシティの異なる複数の多孔質領域を有するサンプル金属クーポンの上面図。
【
図6B】本開示の実施形態に係るポロシティの異なる複数の多孔質領域を有するサンプル金属クーポンの上面図。
【
図6C】本開示の実施形態に係るポロシティの異なる複数の多孔質領域を有するサンプル金属クーポンの上面図。
【
図6D】本開示の実施形態に係るポロシティの異なる複数の多孔質領域を有するサンプル金属クーポンの上面図。
【
図7A】本開示の様々な実施形態に係る金属クーポンの斜視図又は断面図。
【
図7B】本開示の様々な実施形態に係る金属クーポンの斜視図又は断面図。
【
図7C】本開示の様々な実施形態に係る金属クーポンの斜視図又は断面図。
【
図7D】本開示の様々な実施形態に係る金属クーポンの斜視図又は断面図。
【
図7E】本開示の様々な実施形態に係る金属クーポンの斜視図又は断面図。
【
図7F】本開示の様々な実施形態に係る金属クーポンの斜視図又は断面図。
【
図7G】本開示の様々な実施形態に係る金属クーポンの斜視図又は断面図。
【
図7H】本開示の様々な実施形態に係る金属クーポンの斜視図又は断面図。
【
図7I】本開示の様々な実施形態に係る金属クーポンの斜視図又は断面図。
【
図7J】本開示の様々な実施形態に係る金属クーポンの斜視図又は断面図。
【
図7K】本開示の様々な実施形態に係る金属クーポンの斜視図又は断面図。
【
図7L】本開示の様々な実施形態に係る金属クーポンの斜視図又は断面図。
【
図7M】本開示の様々な実施形態に係る金属クーポンの斜視図又は断面図。
【
図7N】本開示の様々な実施形態に係る金属クーポンの斜視図又は断面図。
【
図8A】本開示の様々な実施形態に係る方法の斜視図。
【
図8B】本開示の様々な実施形態に係る方法の斜視図。
【
図8C】本開示の様々な実施形態に係る方法の斜視図。
【
図8D】本開示の様々な実施形態に係る方法の斜視図。
【
図8E】本開示の様々な実施形態に係る方法の斜視図。
【
図8F】本開示の様々な実施形態に係る方法の斜視図。
【
図9A】本開示の実施形態に係る部品の本体のクーポン開口部内の金属クーポンの拡大断面図。
【
図9B】本開示の実施形態に係る部品の本体のクーポン開口部内の金属クーポンの拡大断面図。
【
図9C】本開示の実施形態に係る部品の本体のクーポン開口部内の金属クーポンの拡大断面図。
【
図9D】本開示の実施形態に係る部品の本体のクーポン開口部内の金属クーポンの拡大断面図。
【0036】
本開示の図面は必ずしも縮尺通りではない。図面は、本開示の典型的な態様を例示するものにすぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではない。図面において、同様の符号は複数の図面間で同様の構成要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
まず、本開示の技術的内容を明確に説明するため、ターボ機械の例示的用途で関連する機械部品について言及及び説明する際に、用語を選択する必要がある。できるだけ、当技術分野で一般的な用語を、その通常の意味と一致するように用いる。別途記載されていない限り、かかる用語は、本願の文脈及び添付の特許請求の範囲に則して広義に解釈すべきである。ある部品について幾つかの異なる又は重複する用語を用いて言及することが多々あることは当業者には明らかであろう。本明細書において、単一の部材として記載したものであっても、別の文脈では複数の部品からなるものとして記載することもある。或いは、本明細書のある箇所で複数の部品を含むものとして記載したものであっても、別の箇所では単一の部材として記載することもある。
【0038】
さらに、本明細書では幾つかの記述的用語を繰返し用いるが、本欄の冒頭でこれらの用語を定義しておくと有用であろう。これらの用語及びその定義は、別途明記しない限り、以下の通りである。本明細書で用いる「下流」及び「上流」という用語は、流体の流れ(例えばタービンエンジンを通る作動流体の流れ、或いは燃焼器を通る空気又はタービンの部品系の1つを通る冷却剤の流れなど)に関する方向を示す用語である。「下流」という用語は流体が流れていく方向に対応し、「上流」という用語は流れと反対の方向(すなわち、流れてくる方向)をいう。「前方」及び「後方」という用語は、それ以上は特定されない方向をいい、「前方」はターボ機械の前方又は圧縮機端を示し、「後方」はターボ機械の後方又はタービン端を示す。
【0039】
さらに、本明細書では、以下に記載する通り、幾つかの記述的用語を繰返し用いる。「第1」、「第2」及び「第3」という用語は、ある部品を他の部品と区別するために互換的に用いられ、個々の部品の位置又は重要性を示すものではない。
【0040】
本明細書で用いる用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、開示内容を限定するものではない。本明細書において、単数形で記載したものであっても、前後関係から別途明らかでない限り、複数の場合も含めて意味する。本明細書において、「備える」、「含む」及び/又は「有する」という用語は、記載した特徴、整数、ステップ、操作、構成要素及び/又は部品が存在することを示し、他の1以上の特徴、整数、ステップ、操作、構成要素、部品及び/又はこれらの群の存在又は追加を除外するものではない。「任意」又は「適宜」という用語は、その用語に続いて記載された事象が起きても起きなくてもよい、或いはその用語に続いて記載された特徴が存在しても存在しなくてもよいことを意味しており、かかる記載はその事象が起こる又はその特徴が存在する場合と、その事象が起こらない又はその特徴が存在しない場合とを包含する。
【0041】
ある構成要素又は層が別の構成要素又は層「の上」、「に係合」、「に接続」、「に結合」又は「に装着」しているという場合、その別の構成要素又は層の上に直接位置していても、その別の構成要素又は層に直接係合、接続、結合又は装着していてもよいし、或いは介在する構成要素又は層が存在していてもよい。対照的に、ある構成要素が別の構成要素又は層「の直接上」、「に直接係合」、「に直接接続」又は「に直接結合」しているという場合、介在する構成要素又は層は存在しない。構成要素間の関係について説明するために用いられる他の用語(例えば、「~の間」と「直接~の間」、「隣接」と「直接隣接」など)も同様に解釈される。「結合」及び「装着」の動詞形は、同義に用いられることがある。
【0042】
上述のように、本開示は、部品を補修するための金属クーポンを提供する。金属クーポンは、積層造形(AM)金属部材内部の封止キャビティ及び該封止キャビティの周囲の多孔質領域を有する積層造形(AM)金属部材を含む。封止キャビティは中空である。本開示は、2以上の積層造形(AM)金属部材を含む金属クーポンシステムであって、各AM金属部材が、その内部に封止キャビティの少なくとも一部のセクション及び該封止キャビティの少なくとも一部のセクションの周囲の多孔質領域を含む、金属クーポンシステムを包含する。2以上のAM金属部材を組合せると、その内部に封止キャビティ及び該封止キャビティの周囲の多孔質領域を含む金属クーポン(すなわちAM部材)が形成される。本願で用いる「クーポン」は、原製造時の部品の一部として或いは部品の一部を補修するため(例えば損傷部分の除去後に)部品の本体のクーポン開口部に配置される部品を包含する。部品は、本体と、積層造形(AM)金属クーポン内部の封止キャビティ及び該封止キャビティの周囲の多孔質領域を有する積層造形(AM)金属クーポンとを含む。本部品は、本体のクーポン開口部に金属クーポンを結合するろう材を含んでいてもよい。ろう材は、多孔質領域に溶浸する。封止キャビティは、金属クーポンの質量を減少させる。さらに、金属クーポンの1以上の多孔質領域は、従前可能であったものとは異なる物理的特性を生じるように、別のやり方で1以上のろう材の流れを導くように構成される(例えば必要な箇所により多くのろう材を導くこと、ろう材を特殊な形状に導くこと及び/又は2種以上のろう材を使用できるようにすることによって)。補修に用いる場合、カスタマイズされた金属クーポンは、元の部品及び/又は切欠部と同じ短所を呈さず、例えば継手密着強さ、応力/ひずみ耐性、延性、耐摩耗性、耐酸化性、熱伝導率、導電率、表面粗さ、硬度及び/又は質量などを変更するため、(1種以上のろう材を使用して)カスタマイズことができる。1種以上のろう材は、交換用クーポンを部品に結合するためだけでなく、継手密着強さ及び信頼性のような継手に関連する性能特性を向上させ、かつろう付け後に必要とされる機械加工/ブレンディング作業を減らすために、使用することができる。多孔質金属クーポンを使用すると、材料コストも低減できる。
【0043】
図1は、例示的な産業機械の概略図を示しており、産業機械は、本開示の教示内容に則した部品を含むことができる。本例では、機械は燃焼又はガスタービン(GT)システムの形態のターボ機械100を含んでいる。ターボ機械100は、圧縮機102及び燃焼器104を含む。燃焼器104は、燃焼領域106及び燃料ノズルアセンブリ108を含んでいる。ターボ機械100は、タービンアセンブリ110及び共通の圧縮機/タービンシャフト(すなわちロータ112)112も含んでいる。一実施形態では、ターボ機械100は、GE Vernoa社から市販の7HA.03エンジンである。本開示は、いかなる特定のGTシステムに限定されるものではなく、例えばGE Vernoa社の他のHA、F、B、LM、GT、TM及びEクラスエンジンモデル、さらには他社のエンジンモデルを含始めとする、他のエンジンに関しても実施し得る。本開示は、いかなる特定のターボ機械に限定されるものではなく、製造又は補修時にクーポンを使用するあらゆる工業部品部品に適用し得る。
【0044】
運転中、圧縮機102を通って空気が流れ、燃焼器104に圧縮空気が供給される。具体的には、圧縮空気は、燃焼器104に内蔵された燃料ノズルアセンブリ108に供給される。アセンブリ108は燃焼領域106と流体連通している。燃料ノズルアセンブリ108は燃料源(
図1には図示せず)とも流体連通しており、燃料及び空気を燃焼領域106に導く。燃焼器104は燃料を点火して燃焼させる。燃焼器104はタービンアセンブリ110と流体連通している。タービンアセンブリ110は、ロータ112に回転可能に結合してロータ112を駆動するタービン111を含んでいる。圧縮機102もロータ112に回転可能に結合している。例示的な実施形態では、複数の燃焼器104及び燃料ノズルアセンブリ108が存在する。
【0045】
図2は、
図1のガスタービンシステムで使用し得るターボ機械100(
図1)の例示的なタービンアセンブリ110の断面図を示す。タービンアセンブリ110のタービン111は、ターボ機械100の静止ケーシング122に結合したノズル又はベーンの列120と、軸方向に隣接したブレードの列124とを含んでいる。静止ベーン又はノズル126は、半径方向外側プラットフォーム128及び半径方向内側プラットフォーム130によってタービンアセンブリ110内に保持し得る。タービンアセンブリ110のブレードの列124は、ロータ112に結合してロータと共に回転する回転ブレード132を含んでいる。回転ブレード132は、ロータ112に結合した半径方向内側プラットフォーム148(
図3、ブレード132の根元)と、適宜、半径方向外側先端136(ブレードの先端)とを含んでいてもよい。本願で用いる「部品」という用語は、静止ノズル126、回転ブレード132又はその他本開示に係る1以上の多孔質領域を含む金属クーポンを用いることのできる構造体を総称して表す。
【0046】
図3及び
図4は、ターボ機械の高温ガス経路部品のような、本開示の教示内容を用いることのできる例示的な部品を示す。
図3は、本開示の実施形態を用いることができるタイプのタービンロータブレード132の斜視図を示す。タービンロータブレード132は根元140を含んでおり、ロータブレード132は根元140によってロータ112(
図2)に取り付けられる。根元140は、ロータ112(
図2)のロータホイール144(
図2)の外周上の対応ダブテールスロットに装着されるように構成されたダブテール142を含むことができる。根元140は、ダブテール142とプラットフォーム148との間に延在するシャンク146をさらに含んでもよく、プラットフォーム148は、翼形部150と根元140の連結部に配置され、タービンアセンブリ110を通る流路の一部を画成する。翼形部150は、作動流体151(すなわち高温燃焼ガス)の流れ(
図2)を受け止めて、ロータディスク回転を惹起させるロータブレード132の能動部品である。
回転ブレード132の翼形部150は、凹面状正圧側(PS)外壁152と、周方向又は横方向に反対側の凸面状負圧側(SS)外壁154とを含んでおり、軸方向に前縁156と後縁158の間に延在する。側外壁152及び154は、半径方向にプラットフォーム148から外側先端160まで延在ており、先端60は先端シュラウド136(
図2)を含んでいても、含んでいなくてももい。
【0047】
図4は、本開示の実施形態で使用し得るタイプの静止ノズル126の斜視図である。静止ノズル126は外側プラットフォーム170を含んでおり、外側プラットフォーム170によって静止ノズル126はターボ機械の静止ケーシング122(
図2)に取り付けられる。外側プラットフォーム170は、ケーシングの対応マウントに取り付けるための現在公知の又は将来開発される任意の取付け構成を含んでいてもよい。静止ノズル126は、隣接するタービンロータブレード132(
図3)及びプラットフォーム148(
図3)の間に配置される内側プラットフォーム174をさらに含んでいてもよい。プラットフォーム170,130は、タービンアセンブリ110を通る流路の外側及び内側境界のそれぞれの部分を画成する。翼形部176は、作動流体の流れを受け止めて、その流れをタービンロータブレード132(
図3)に向ける静止ノズル126の能動部品である。静止ノズル126の翼形部176は、凹面状正圧側(PS)外壁178と、周方向又は横方向に反対側の凸面状負圧側(SS)外壁180とを含んでおり、軸方向に前縁182と後縁184との間に延在する。側外壁178及び180も、半径方向にプラットフォーム170からプラットフォーム174まで延在している。
【0048】
ブレード132又はノズル126は、冷却剤の供給源を含む内部冷却構造、例えば冷却剤をフィルム冷却のためにその表面に届けるための通路、導管その他の構造を含んでいてもよい。冷却剤としては、例えば圧縮機102からの空気が挙げられる。
【0049】
本願に記載する本開示の実施形態は、静止ノズル126、タービンロータブレード132及び/又はその他クーポンが用いられる任意の工業部品に適用できる態様を包含する。
図3及び
図4には、部品202における例示的な積層造形(AM)金属クーポン200(以下、「金属クーポン200」又は「AM金属クーポン200」)も示してある。さらに具体的には、金属クーポン200は、部品202の本体206のクーポン開口部204内にある。「本体206のクーポン開口部204」は、本体206(例えば先端シュラウド)の除去部分を含むまでの本体206内の任意の大きさの空所であってもよい。例えば、金属クーポン200は、ブレード132又はノズル126それぞれの後縁158,184のクーポン開口部204に配置し得る。或いは、金属クーポン200は、ブレード132又はノズル126のそれぞれの前縁156,182のクーポン開口部204に配置し得る。金属クーポン200は、ブレード132の先端又はノズル126のプラットフォーム170,174(
図4に示す)にも存在し得る。ただし、金属クーポン200は、部品202の本体206内の任意のクーポン開口部204に使用し得る。本体206は、部品202のいかなる部分であってもよいし、或いは部品全体であってもよい。
【0050】
1以上の多孔質領域及びその内部の封止キャビティを有する積層造形金属クーポン200は、多孔質領域を形成することができる現在公知の又は将来開発される任意の技術を使用して作成し得る。
図5は、金属クーポン200又は複数の金属クーポン200A,200B(それらの一層だけを示す)を生成するための例示的なコンピュータ化された金属粉末積層造形システム210(以下、「AMシステム210」)の概略/ブロック図を示す。本開示では、複数の溶融ビーム源212,214,216,218を用いた金属クーポン200の造形について説明するが、本開示の教示は、任意の数の溶融ビーム源を使用した複数のクーポン200A,200Bの造形にも等しく適用できることは明らかであろう。この例では、AMシステム210は、直接金属レーザ溶融(DMLM)用に配置されている。本開示の教示内容全般は、粉末床溶融結合、直接金属レーザ焼結(DMLS)、電子ビーム溶融(EBM)、選択的レーザ焼結(SLS)、選択的レーザ溶融(SLM)など、他の形態の金属粉末積層造形、さらにはおそらく他の形態の積層造形(すなわち、金属粉末用途以外のもの)にも同様に適用できる。クーポン200A,200Bは、矩形構成要素として示してあるが、積層造形プロセスは、ビルドプラットフォーム220上での任意の形状のクーポン、多種多様な異なるクーポン及び多数のクーポンの製造に容易に適合させることができる。
【0051】
AMシステム210は、一般に、積層造形制御システム230(「制御システム」)及びAMプリンタ232を含む。後述の通り、制御システム230は、複数の溶融ビーム源212,214,216,218を使用してクーポン200を生成するために、コンピュータ実行可能な命令又はコード234のセットを実行する。図に示す例では、4つの溶融ビーム源は4つのレーザを含む。ただし、本開示の教示内容は、任意の溶融ビーム源、例えば電子ビーム、レーザなどにも適用できる。制御システム230は、コンピュータプログラムコードとしてコンピュータ236に実装された状態で示してある。これに関して、コンピュータ236は、メモリ238及び/又はストレージシステム240、プロセッサユニット(PU)244、入出力(I/O)インターフェース246、及びバス248を含む状態で示してある。また、コンピュータ236は、外部I/Oデバイス/リソース250と通信状態にあるものとして示してある。一般に、プロセッサユニット(PU)244は、メモリ238及び/又はストレージシステム240に格納されたコンピュータプログラムコード234を実行する。コンピュータプログラムコード234を実行している間、プロセッサユニット(PU)244は、メモリ238、ストレージシステム240、I/Oデバイス250及び/又はAMプリンタ232との間でデータを読み書きすることができる。バス248は、コンピュータ236内の各オブジェクト間の通信リンクを提供し、I/Oデバイス250は、ユーザがコンピュータ236と対話できるようにする任意のデバイス(例えばキーボード、ポインティングデバイス、ディスプレイなど)を備えることができる。コンピュータ236は、ハードウェアとソフトウェアの様々な可能な組合せを代表しているに過ぎない。例えば、プロセッサユニット(PU)244は、単一の処理ユニットを備えてもよいし、1以上の場所、例えばクライアント及びサーバ上の1以上の処理ユニットに分散してもよい。同様に、メモリ238及び/又はストレージシステム240は、1以上の物理的な場所に常駐し得る。メモリ238及び/又はストレージシステム240は、磁気媒体、光媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)などを含む、様々なタイプの非一時的コンピュータ可読記憶媒体の任意の組合せを備えることができる。コンピュータ236は、産業用コントローラ、ネットワークサーバ、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、ハンドヘルドデバイスなど、任意のタイプのコンピューティングデバイスを含むことができる。
【0052】
上述の通り、AMシステム210、特に制御システム230は、コード234を実行して1以上の金属クーポン200を生成する。コード234は、とりわけ、AMプリンタ232を操作するための一組のコンピュータ実行可能命令234S(本明細書では「コード234S」ともいう)と、AMプリンタ232によって物理的に生成される1以上の金属クーポン200を定義する一組のコンピュータ実行可能命令234O(本明細書では「コード234O」ともいう)を含むことができる。本明細書に記載されるように、積層造形プロセスは、コード234を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体(例えばメモリ238、ストレージシステム240など)から始まる。AMプリンタ232を操作するためのコンピュータ実行可能命令234Sは、AMプリンタ232を動作させることができる、現在公知の又は将来開発される任意のソフトウェアコードを含んでいてもよい。
【0053】
1以上の金属クーポン200を定義するコンピュータ実行可能命令234Oのセットは、クーポン200の正確に定義された3Dモデルを含んでいてもよく、AutoCAD(登録商標)、TurboCAD(登録商標)、DesignCAD3DMaxのような周知のコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアシステムから生成することができる。この点に関して、コード234Oは、現在公知の又は将来開発される任意のファイルフォーマットを含むことができる。さらに、金属クーポン200を表すコード234Oは、異なるフォーマット間で変換してもよい。例えば、コード234Oは、3DSystemsのステレオリソグラフィCADプログラム用に作成されたSTL(Standard Tessellation Language)ファイル、又はいかなるCADソフトウェアであっても任意のAMプリンタで製造すべきあらゆる3次元の形状及び組成を記述できるように設計された拡張可能なマークアップ言語(XML)ベースのフォーマットである米国機械学会(ASME)標準である積層造形ファイル(AMF)を含んでいてもよい。金属クーポン200を表すコード234Oは、必要に応じて、一組のデータ信号に変換して送信したり、一組のデータ信号として受信したり、コードに変換したり、格納したりすることもできる。コード234Oは、本開示の実施形態に従って、後述の通り重複場領域で境界及び内部セクションを形成できるように構成してもよい。いずれにせよ、コード234Oは、AMシステム210への入力であってもよく、部材設計者、知的財産(IP)提供者、設計会社、AMシステム210のオペレータ又は所有者、又は他の供給元に由来するものでもよい。いずれにせよ、制御システム230は、コード234S及び234Oを実行し、1以上の金属クーポン200を一連の薄いスライスに分割して、それらをAMプリンタ232を用いて材料の連続層へと積層する。
【0054】
AMプリンタ232は、金属クーポン200のプリントのための制御された雰囲気を供給するためにの密閉処理チャンバ260を含んでいてもよい。金属クーポン200が造形されるビルドプラットフォーム220は、処理チャンバー260内に配置される。多数の溶融ビーム源212,214,216,218は、ビルドプラットフォーム220上の金属粉末の層を溶融してクーポン200を生じるように構成される。4つの溶融ビーム源212,214,216,218が例示されているが、本開示の教示内容は、任意の数(例えば1、2、3又は5以上)のビーム源を使用するシステムにも適用できる。各溶融ビーム源212,214,216,218は、金属粉末を独占的に溶融することができる非重複場領域を含む場を有していてもよいし、或いは2以上のビーム源で金属粉末を溶融できる1以上の重複場領域を含んでいてもよい。この点に関して、各溶融ビーム源212,214,216,218は、コード234Oによって定義される各スライスのために、粒子を融合する溶融ビームを生成し得る。例えば、
図5に、溶融ビーム源212が、溶融ビーム262を用いて1つの領域で金属クーポン200の層を作成し、溶融ビーム源214が別の領域で溶融ビーム262’を用いて金属クーポン200の層を作成していることが示してある。各溶融ビーム源212,214,216,218は、現在公知の又は将来開発される任意の方法で較正される。すなわち、各溶融ビーム源212,214,216,218は、その個々の精度を確保するための個々の位置補正(図示せず)を提供するため、ビルドプラットフォーム220に対するレーザビーム又は電子ビームの予想位置をその実際の位置と相関させている。一実施形態では、複数の溶融ビーム源212,214,216,218の各々が、同じ断面寸法(例えば動作時の形状及び大きさ)、出力及び走査速度を有する溶融ビーム(例えば262,262’)を作成し得る。
【0055】
続けて
図5を参照すると、アプリケータ(コーターブレード)270は、空白キャンバスとして広げられた原料272の薄層を作成することができ、その上で最終金属クーポン200の連続スライスの各々が作成される。AMプリンタ232の様々な部分は、追加される各々の新層を収容するために移動させることができ、例えば各層の後に、ビルドプラットフォーム220を下降及び/又はチャンバ260及び/又はアプリケータ270を上昇させてもよい。本プロセスは、細粒金属粉末の形態の様々な原料を使用することができ、原料のストックを、アプリケータ270でアクセス可能なチャンバ260内に保持してもよい。この事例では、クーポン200は金属から作ることができ、金属は純金属又は合金を含むことができる。一例では、金属は、実質的に任意の非反応性金属粉末、すなわち、非爆発性又は非導電性の粉末、例えば限定されるものではないが、コバルトクロムモリブデン(CoCrMo)合金、ステンレス鋼、オーステナイトニッケル-クロム基合金、例えばニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金(NiCrMoNb)(例えばInconel 625又はInconel 718)、ニッケル-クロム-鉄-モリブデン合金(NiCrFeMo)(例えばHaynes International社から入手可能なハステロイ(登録商標)X)、又はニッケル-クロム-コバルト-モリブデン合金(NiCrCoMo)(例えばHaynes International社から入手可能なHaynes282)等が挙げられる。その他可能なものとして、例えばRene 108、CM247LC、MarM247、その他の析出硬化型(PH)ニッケル基合金などが挙げられる。
【0056】
処理チャンバ260は、アルゴン又は窒素のような不活性ガスで満たされ、酸素を最小限に抑制又は完全に除去するように制御される。制御システム230は、不活性ガス276の供給源から処理チャンバ260内のガス混合物274の流れを制御するように構成されている。この場合、制御システム230は、ポンプ280及び/又は不活性ガス用の流量弁システム282を制御して、ガス混合物274の含有量を制御してもよい。流量弁システム282は、特定のガスの流れを正確に制御することができる、1以上のコンピュータ制御可能な弁、流量センサ、温度センサ、圧力センサなどを含んでいてもよい。ポンプ280は、弁システム282の有無にかかわらず設けることができる。ポンプ280が省略される場合、不活性ガスは、処理チャンバ260への導入に先立って、単に導管又はマニホールドに入ることができる。不活性ガス276の供給源は、その中に含まれる材料のための任意の従来の供給源、例えばタンク、貯留層又は他の供給源の形態をとることができる。ガス混合物274を測定するために必要な任意のセンサ(図示せず)を設けてもよい。ガス混合物274は、従来の方法でフィルタ286を用いて濾過することができる。
【0057】
動作中、処理チャンバ260内には金属粉体を載せたビルドプラットフォーム220が設けられ、制御システム230は、不活性ガス276の供給源から処理チャンバ260内のガス混合物274の流れを制御する。制御システム230は、AMプリンタ232、特に、アプリケータ270及び溶融ビーム源212,214,216,218も制御して、ビルドプラットフォーム220上の金属粉末の層を順次溶融し、本開示の実施形態に係る金属クーポン200を生成する。
【0058】
ここでは特定のAMシステム210について説明してきたが、本開示の教示は、ある特定の積層造形システム又は方法に限定されるものではない。また、本開示の教示は、積層造形金属クーポン200に関するものであるが、部品202については、積層造形(おそらく金属クーポン200について記載したものと同様)、鋳造その他の方法など、現在公知の又は将来開発される任意の方法で製造し得る。部品202は、金属クーポン200に関して本明細書で挙げた材料のいずれかを含んでいてもよい。
【0059】
金属クーポン200は、AM金属部材330の内部の封止キャビティ296と、封止キャビティの周囲の多孔質領域300とを含んでいる。
【0060】
本明細書で用いる「ポロシティ」とは、標記の構造(例えば多孔質領域、金属クーポンなど)の総体積に対する空洞空間(open space)体積の比率である。通例、この点に関して、ポロシティは、標記の構造の全又は総体積に対する空洞空間の体積の百分率として記載される。空洞空間は、中実材料内の空の領域であり、本明細書では「細孔」302といい、標記の構造の材料内部の相互連結通路を含んでいてもよい。したがって、金属クーポン200の「多孔質領域」は、100%未満の中実度であり、細孔302及び/又は相互連結通路の形態の空洞空間を含んでいる。多孔質金属クーポン200は、中実領域を含んでいてもよいが、100%未満の中実度の1以上の多孔質領域も含んでいる。本明細書において、多孔質領域又は部分領域の「総体積」を特定するための多孔質領域又は部分領域の三次元境界は、金属クーポン200内で隣接する領域又は部分領域に対して2%超のポロシティの変化が起こる箇所及び/又は金属クーポン200の縁が存在する箇所によって特定することができる。「空洞空間体積」とは、総称して、領域又は部分領域内の空の(すなわち、空所、空隙、空空間、及び/又は材料で満たされていない)3次元空間である。本明細書において「異なるポロシティ」又は「ポロシティの差」とは、一般に、総体積に対する空洞空間体積の百分率、所与の体積内部の細孔302の数、細孔302の容積(すなわち、サイズ)、細孔302の形状、及び実際の離散細孔と認識できないことのある細孔302間の連結通路の変動(本明細書では「細孔連結通路」という)などの様々な特性の変動を意味する。非限定的な一例として、細孔径は、例えば1.07×10-6~8.58×10-3mm3(6.54×10-11~5.24×10-7立方インチ)の範囲内とすることができ、或いは別の非限定的な例として、細孔径は0.0127mm~0.254mm(0.0005インチ~0.01インチ)の範囲内とすることができる。図面には、異なる多孔質領域又は部分領域は、典型的には連続的又は互いに接した状態で示してあるが、それらは互いに(例えばそれらの間の中実領域によって)隔てられていてもよい。すなわち、1枚の金属クーポンは、1以上の孤立した非接触状態の多孔質領域又は部分領域を含んでいてもよい。「領域」及び/又は「部分領域」という用語は、ポロシティの変化を示すために互換的に使用し得る。
【0061】
例えば細孔形状又は細孔連結通路の差などにより、ポロシティの差が総体積に対する空洞空間の体積の百分率だけに基づくものではないことは明らかであろう。ただし、ポロシティの差を程度について(例えば高低で)比較する場合に、参照される差は、専ら体積特性にかんするもの、つまり総体積に対する空洞空間体積の百分率の差である。
【0062】
多孔質金属クーポン200は、本明細書に記載のAMシステム210或いは多孔質金属を形成できる他の金属積層造形システム又は方法を用いて、異なるポロシティを有する異なる多孔質領域(ポロシティの異なる1以上の多孔質部分領域を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい)をもつように形成することができる。AMシステム210の動作に関して、溶融ビーム源212,214,216,218は、金属を焼結させず、中実材料ではなく金属粉末が残るように間欠的にプログラムすることができる。このプロセスは、レーザ場領域を様々な量で重複させること及び/又は細孔302を設計することをビルドファイル(すなわちコード234O)に含んでいてもよい。各レーザ走査の重複が少ないほどポロシティは高まり、一連の走査間でレーザ重複が多いほどポロシティは低くなる。ポロシティを調整するため、レーザスポットサイズ、走査速度、焦点及び出力も制御することができる。さらに具体的には、積層造形は、金属粉末の層を融合するために1以上の溶融ビーム源212,214,216,218を有するAMシステム210を使用すること、及び2以上の多孔質領域のポロシティを制御するためにシステムのパラメータを調整することを含む。パラメータの調整は、(ビーム源212,214,216,218からの)1以上の溶融ビーム262,262’(
図5)の溶融領域の重複量を調整すること、システム走査速度を調整すること、或いは溶融ビームスポットのサイズ、焦点又は出力の1以上を調整することの1以上を含むことができる。未溶融の金属粉末が金属クーポン200から除去されると、細孔302が細孔302間の相互連結通路と共に残り、金属クーポン200に1以上の多孔質領域が形成される。いずれにせよ、金属クーポン200の積層製造は、1以上の金属クーポン200の所望の層内の任意の数、形状及び/又はサイズの多孔質領域について所望のポロシティを生じるように制御することができる。
【0063】
図6A~
図6Dは、様々なポロシティを有するサンプル金属クーポン200の上面概略図を示す。細孔302は、図面では暗い空洞空間として示される。
図6Aは、試料の総体積に対する空洞空間体積が約40%の第1のポロシティを有する試料金属クーポン200(概して高い空洞空間量並びに多量及び/又は大型の細孔302を有する)を示し、
図6Bは、試料の総体積に対する空洞空間体積が約30%の第1のポロシティを有する試料金属クーポン200を示し、
図6Cは、サンプルの総体積に対する空洞空間体積が約20%の第1のポロシティを有するサンプル金属クーポン200を示し、
図6Dは、サンプルの総体積に対する空洞空間体積が約10%の第1のポロシティを有するサンプル金属クーポン200(概して空洞空間の量が少ない)を示す。各多孔質領域は、多孔質領域の総体積に対して2%~50%の空洞空間体積(すなわち、2~50%の空洞空間と残る50~98%の中実)を有することができる。他の実施形態では、各ポロシティは、多孔質領域300の総体積に対して10%~40%の空洞空間体積(すなわち、10%~40%の空洞空間と残る60~90%の中実)であってもよい。他の実施形態では、多孔質領域は、10%未満、15%未満、20%未満、25%未満、30%未満、35%未満、40%未満、45%未満、2%~45%、2%~40%、2%~35%、2%~30%、2%~25%、2%~20%、5%~45%、5%~40%、5%~35%、5%~30%、5%~25%、5%~20%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、10%~25%、10%~20%、15%~45%、15%~40%、15%~35%、15%~30%、15%~25%、15%~20%、10%~50%、20%~50%、25%~50%、30%~50%、35%~50%又は40%~50%の範囲内のポロシティを有する。本明細書に記載の通り、他の範囲内のポロシティも可能である。
【0064】
図7A~
図7Nは、本開示の実施形態に係る例示的な金属クーポン200の図を示す。金属クーポン200は、積層造形(AM)金属部材330内部の封止キャビティ296及び該封止キャビティ296の周囲の多孔質領域300を有する積層造形(AM)金属部材(
図7B~
図7D、
図7I~
図7N))を含む。封止キャビティ296は中空である。すなわち、封止キャビティ296は、AM金属部材330の内部の空洞空間すなわち見分けられる細孔302を含まない十分な大きさの空洞空間である。封止キャビティ296は、その内面に表面プロファイルを有していてもよく、例えば熱伝達を増加させるためのリブ付き特徴(図示せず)を有していてもよい。金属クーポン200は、数々のフォーマットで積層造形できる。
図7B~
図7Jに関して説明するように、金属クーポン200は、AM金属部材330を集合的に形成する2以上のAM金属部材292を用いる金属クーポンシステム290を使用して積層造形することができる。或いは、
図7K~
図7Nに関して説明するように、金属クーポン200及びそのAM金属部材330は、一体部材として積層造形することもできる。
【0065】
金属クーポンシステム290に関して、
図7Aは金属クーポンシステム290の金属部材292(以下「部材」)の斜視図を示し、
図7Bは金属クーポン200のAM金属部材330に連結された金属クーポンシステム290の部材292を示し、
図7Cは
図7Bの7C-7C矢視断面図を示す。
図7A~
図7Cに示すように、金属クーポンシステム290は、2以上の積層造形(AM)金属部材292A,292Bを含んでおり、各AM金属部材292A~Bは、その内部に(最終的には)封止キャビティ296(
図7B~
図7C)の少なくとも封止キャビティセクション294A~Bを含む。各部材292は、封止キャビティ296の少なくとも一部のセクション294の周囲の多孔質領域300を含む。
【0066】
封止キャビティ296は、封止キャビティセクション294を有する部材292によって集合的に画成し得る。図に示す例では、金属クーポンシステム290は2つの部材292A,292Bを含んでおり、各々、封止キャビティ296の(略)半分のセクション294A,294Bを含んでいる。ただし、任意の数の部材292を使用することができ、各々、部材292を一緒に結合したときに集合的に封止キャビティ296を形成できる割合の封止キャビティ296を有する。
図7Iは、封止キャビティセクション294A~Cをそれぞれ含む3つの部材292A~Cを含む別の例を示す。例えば、
図7B~
図7C及び
図7Iに示す通り、部材292は、それらを組合せると金属クーポン200、すなわち、そのAM金属部材330を、その内部の封止キャビティ296及び封止キャビティ296の周囲の多孔質領域300と共に、形成するように構成されている。2つの部材292A~Bを使用する場合、AM金属部材330は、封止キャビティ296の第1のセクション294Aが内部に画成された第1の金属部材292Aと、封止キャビティ296の第2のセクション294Bが内部に画成された第2の金属部材292Bとを含む。部材292は、ろう付け前にそれらを適切に整列又は一時的に仮止めするための所望の構造(例えば接着剤、嵌合コネクタ354(
図7A)、クランプなど)を含んでいてもよい。後で説明する通り、第1の金属部材292A及び第2の金属部材292Bは、多孔質領域300に溶浸するろう材310を用いて結合される。
【0067】
封止キャビティ296は、数々のやり方でAM金属部材330に画成し得る。ある実施形態では、封止キャビティ296は、ろう材溶浸バリア304の内側に画成される。ろう材浸透バリア304(以下「バリア304」)は、(低)ポロシティ材料(例えば溶融金属粉末)の層を含んでいてもよく、部品202の本体206のクーポン開口部204に金属クーポン200を結合するために使用されるろう材310(
図8E~
図8G、
図9A~
図9D)はバリア304を通して溶浸しない。こうして、バリア304は、ろう材の流れの遮蔽剤及び封止キャビティ296周囲の包囲層として作用するのに十分な低さのポロシティを有する。バリア304は比較的薄い層であってもよく、例えば0.5mm未満であってもよい。バリア304のポロシティは封止キャビティ296内へのろう材310の溶浸を防ぐものであり、金属クーポン200の材料及びろう材310の材料に応じて変更し得る。すなわち、バリア304は、ろう材310の若干の溶浸は許容しても、ろう材310がバリアを通過して封止キャビティ296に入ることはない。必須ではないが、バリア304は100%中実、すなわち空洞空間が0%であってもよい。多孔質領域300はバリア304の外側にあるので、多孔質領域300に溶浸するように導かれたろう材310は、バリア304に達するまで溶浸する。バリア304は、その形状とは無関係に、封止キャビティ296を画成し、換言すると、バリア304は少なくとも同じ内部形状を有する。
【0068】
代替的な実施形態では、
図7Jに示すように、多孔質領域300によってろう材310が封止キャビティセクション294に入るのを防ぐ場合、バリア304は省くことができる。例えば、長すぎてろう材310が封止キャビティセクション294~Bに届かない流路を設けることができれば、バリア304は必要とされない。この配置は、ろう材310の所望の限定的な溶浸を達成するために、例えばろう材の供給量、継続時間、圧力、温度などのろう付けプロセスの制御を必要とすることがある。
【0069】
図7A~
図7Dには、封止キャビティ296は、正方形又は長方形断面を有する立方体形状を有するものとして示してある。しかし、封止キャビティ296は、単体封止キャビティ又は封止キャビティセクションのいずれかとして、積層造形を利用して形成できるあらゆる形状を有することができる。
図7E~
図7Hは、例えば、立方体であるが上部が尖ったもの(
図7E)、断面が高さH方向に長楕円形のもの(
図7F)、断面は円形であるが全体として円筒形のもの(
図7G)を始め、封止キャビティ296の形状の非限定的な例の斜視図を示す。封止キャビティ296は、AM金属部材330の寸法内に収まる所望の寸法を有することができる。
図7Bにおいて、封止キャビティ296は、略等しい幅W、高さH及び長さLを有するが、それらは異なっていてもよい。
図7E~
図7Gにおいて、長さLは、様々な寸法で(図面を貫通して)示してある。
図7Hの例では、封止キャビティ296は球形である。
図7Iの断面図において、封止キャビティ296は三角形の断面を有する。
【0070】
図3、
図4、
図8C~
図8G、
図9A~
図9Dに示し、本明細書でさらに説明するように、多孔質領域300に溶浸したろう材310は、部材292を結合し、部品202の本体206のクーポン開口部204に金属クーポン200を結合する。ろう材310(及びバリア304(設けられる場合))は、AM金属部材292をクーポン開口部204に配置し、そこでろう材310で結合すると、封止キャビティ296を封止する。例示のために、
図7B~
図7D及び
図7Iは、ろう材310で充填されるAM金属部材292間の継ぎ目332(破線)を示してある。なお、継ぎ目332は、部品202の金属クーポン200では視認できないことがある。
【0071】
図7B~
図7Cにおいて、多孔質領域300は、バリア304の外側で単一の一様なポロシティを含む。
図7Dは、
図7Cと同様の金属クーポン200及び金属クーポンシステム290の断面図を示す。或る実施形態では、例えば
図7D及び
図7I~
図7Lに示すように、多孔質領域300は、可変多孔質領域312を含んでいてもよい。可変多孔質領域312は、ポロシティの異なる2以上の多孔質部分領域314を含んでいてもよい。可変多孔質領域312は、バリア304(設けられる場合)を囲み、封止キャビティ296を囲む。
図7D、
図7I~
図7Lに示すように、多孔質領域300のポロシティは、封止キャビティ296の近傍(例えば0.5mm以内)又はその隣からAM金属部材330の外面306に向かって増加又は減少(又は増減の両方)してもよい。可変多孔質領域312におけるポロシティの変化は、緩徐的、段階的(部分領域314で示す)又はその他の増分方式であってもよい。例えば、
図7Jは、多孔質領域300のすべてが、封止キャビティ296から金属クーポン200の外面306までポロシティが徐々に変化(例えば増加又は減少)する可変多孔質領域312を含む実施形態を示している。段階的変化に関しては、
図7D、
図7I及び
図7Lに示すように、多孔質領域300のポロシティは、封止キャビティ296の近傍からAM金属部材330の外面306に向かって階段状に増加し得る(階段状の多孔質部分領域314参照)。
図7Dには、5つの異なる多孔質部分領域314が示してあり、
図7Iには、2つの異なる多孔質部分領域314が示してあり、
図7Lには、3つの異なる多孔質部分領域314が示してある。任意の数の階段状の部分領域314を使用し得る。
【0072】
可変多孔質領域312及び/又は部分領域314の異なるポロシティは、総体積に対する空洞空間体積の百分率、細孔形状、細孔サイズ、細孔の数又は細孔連結性のうちの1以上の特性に関して互いに異なる。各々の多孔質領域300又は多孔質部分領域314は、上述の通り、任意のポロシティを有し得る。異なるポロシティによって、金属クーポン200内へのろう材310の取込み(すなわち毛細管現象による)を制御できるようになる。
図7Iに関して例示すると、多孔質領域300は、AM金属部材330の外面306に隣接して外側多孔質部分領域314Aを含んでいるが、この外側多孔質部分領域314Aは封止キャビティ296近傍の内側多孔質部分領域314Bよりも高いポロシティを有する。したがって、外側多孔質部分領域314Aは、内側多孔質部分領域314Bよりも多くのろう材310を受け入れるように構成されている。したがって、ろう材310の取込みは、バリア304又はその近傍で最小限となり、封止キャビティ296から離れるにつれて増加する。別の実施形態では、
図7Iに破線で示すように、可変多孔質領域312は、外側多孔質部分領域314Aと内側多孔質部分領域314Bの間でポロシティ(破線)が徐々に変化する中間可変多孔質部分領域313を含むことができる。上述の通り、ポロシティの変化は、緩徐的、段階的又は増分的なものとし得る。いずれにせよ、外側多孔質部分領域314Aは、内側多孔質部分領域314Bよりも多くのろう材310を受け入れるように構成されている。したがって、ろう材310の取込みは、封止キャビティ296又はその近傍で最小限であり、封止キャビティ296から離れるにつれて増加する。可変多孔質部分領域313は、内側多孔質部分領域314Bと外側多孔質部分領域314Bの間の取込みレベルでろう材310を取り込むことができる。
【0073】
図7Kは斜視図を示し、
図7Lは、本開示の他の実施形態に係る金属クーポン200の
図7Kの7L-7L矢視断面図を示す。同様に、
図7Mは、本開示の他の実施形態に係る金属クーポン200の斜視図を示し、
図7Nは、
図7Mにおける7N-7N矢視断面図を示す。これらの実施形態では、金属クーポン200は、AM金属部材330の内部に封止キャビティ296と封止キャビティ296の周囲の多孔質領域300とを有するAM金属部材330を含む。上述の通り、封止キャビティ296は中空であり、すなわち、空洞空間すなわち見分けられる細孔302を含まない十分な大きさの空洞空間である。
図7K~
図7Nにおいて、多孔質領域300は、本明細書に記載のいずれかの形態をとることができ、例えば、全体に一様なポロシティ、ポロシティが増加及び/又は減少する可変多孔質領域312、多孔質部分領域314(
図7Lには3箇所)を有する多孔質領域312などが挙げられる。
【0074】
図7B~
図7Jに関連して説明した通り、金属クーポン200は、封止キャビティセクション294を有する部材292(すなわち金属クーポンシステム290)を含んでいてもよく、ろう材310を用いて互いに結合され、封止キャビティ296を形成する。しかし、
図7K~
図7Nでは、金属クーポン200のAM金属部材330は、一体部品として積層造形される。
図7K~
図7Lにおいて、金属クーポン200は、封止キャビティ296から金属クーポン200(すなわちAM金属部材330)の外面306まで延在する排出孔340をさらに含む。排出孔340は、例えば、積層造形後に、(予定)封止キャビティ296から材料362(
図8B)を除去するために構成される。除去すべき材料362(
図8B)は、封止キャビティ296の形成に使用される材料、例えば、積層造形の際に焼結金属粉末層を支持する材料又は構造を含んでいてもよい。材料362(
図8B)は、例えば未溶融金属粉末その他の排出孔340から除去できる構造を含んでいてもよい。他の構造としては、AM金属部材330の金属層を支持することができる犠牲支持体が挙げられる。金属粉末を使用する場合、排出孔340は、排出孔340を配置すべき領域に、排出孔340から(例えば金属クーポン200の振盪或いは真空(
図8B参照)又はガス流の適用によって)除去できる未溶融金属粉末の層を残しておくことによって形成し得る。材料362(
図8B)を取り除いたら、排出孔340を塞いでもよい。例えば、
図7K~
図7Lに示すように、金属クーポン200は、さらに、排出孔340を封止するための封止要素342を排出孔340に含んでいてもよい。封止要素342は、クーポン開口部を封止するための現在公知の又は将来開発される任意の構造を含んでいてもよく、例えば、限定されるものではないが、排出孔340の完全な充填又は封止キャビティ296の充填には不十分なろう材310の限定的な施工、所定の位置にろう付けされるプラグ、或いはスポット溶接が挙げられる。排出孔340は、金属クーポン200内の任意の箇所に配置することができ、封止キャビティ296及び排出孔340から材料362(
図8B)が除去し得る限り、(図示したような直線性以外の)任意の経路を有することができる。なお、排出孔340の位置は、作動状態の部品202において金属クーポン200の外面に来ないように、最終的にクーポン開口部204に面する金属クーポン200の外面306に配置してもよい。
【0075】
図7M~
図7Nを参照すると、金属クーポン200は、AM金属部材330の内部に封止キャビティ296とその封止キャビティ296の周囲の多孔質領域300とを有するAM金属部材330とを含む。上述の通り、封止キャビティ296は中空であり、すなわち、空洞空間すなわち見分けられる細孔302を含まない十分な大きさの空洞空間である。。
図7M~
図7Nにおいて、金属クーポン200のAM金属部材330は、一体部材として積層造形される。金属クーポン200は、その内部に封止キャビティ296を含んでいるが、
図7K~
図7Lのような排出孔を含んでいない。封止キャビティ296は、排出孔なしで(例えばおそらく若干の金属粉末が内部に残留した状態で)AM金属構造330に封止キャビティを形成することができる現在公知の又は将来開発される任意の方法で形成し得る。
【0076】
図7A~
図7Nに示す金属クーポン200は、
図3及び
図4に示すように、ブレード132又はノズル126のそれぞれの後縁158又は184のクーポン開口部204に配置されるように構成された形状を有する。しかし、金属クーポン200は、任意の部品202の本体206の任意の部分の任意のクーポン開口部204に使用でき、クーポン開口部204に適合する多種多様な形状を有し得る。
【0077】
【0078】
図8Aは、部品202の本体206にクーポン開口部204を作成する様子を示す。クーポン開口部204は、最終的に金属クーポン200(金属クーポン200を形成する複数の部材292又は単体金属クーポン200)を収容する。クーポン開口部204は、任意の形状を有していてもよい。特定の用途では、クーポン開口部204は、部品202の本体206の損傷部分を取り除くことによって作成されるが、クーポン開口部204は、部品202に元からあるもの(例えば部品202の残りの部分と共に製造するのが困難な箇所にありもの)であってもよい。図に示す非限定的な例では、クーポン開口部204は、ノズル126の後縁184にある。
図8Aは、クーポン開口部204のモデルの作成も示している。モデル作成は、現在公知の又は将来開発される任意の3次元スキャナ(図示せず、矢印を参照)を用いて、部品202の本体206に対するクーポン開口部204のデジタル化表現を走査して作成することを含んでいてもよい。部品の走査及びモデリングのプロセスは当技術分野で周知であり、本開示の特徴的な態様に集中できるように、それ以上の詳細は省略する。
【0079】
図5及び
図7A~
図7Nは、積層造形金属クーポン200を示す。金属クーポン200は、複数の部材として又は単体として積層造形することができる。
図5及び
図7Aに示すように、積層造形は、1以上の金属部材292を積層造形することを含んでいてもよい。積層造形は、1以上の金属部材292を積層造形することを含んでいてもよい。各金属部材292は、少なくとも(予定)封止キャビティ296のセクション294と、封止キャビティ296のセクションの周囲の多孔質領域300を含む。
図5、
図7K及び
図7Mに示すように、積層造形は、単体金属クーポン200に封止キャビティ296全体を積層造形することを含んでいてもよい。
【0080】
図7Aは、部材292A~Bの封止キャビティ296のセクション294A~Bの周囲の多孔質領域300を示し、
図7K及び
図7Mは、完全な封止キャビティ296の周囲の多孔質領域300を示す。
図7A~
図7Cに示すように、積層造形は、バリア304内で封止キャビティ296の少なくとも一部のセクション294を形成することを含んでいてもよく、多孔質領域300はバリア304の外側にある。
図7A~
図7Cは、単一ポロシティ(中実ではない)を有する形成金属クーポン200を示し、例えば
図7Dは、ポロシティの異なる2以上の多孔質部分領域314を有する可変多孔質領域312を有する金属クーポン200の形成を示している。可変多孔質領域312は、封止キャビティ296と金属クーポン200の外面306の間で徐々に変化するポロシティを含んでいてもよい。例えば、
図7Iに示すように、積層造形は、金属クーポン200の外面306の近傍の外側多孔質部分領域306が金属クーポン200の封止キャビティ296の少なくとも一部のセクション294の近傍の内側多孔質部分領域314Bよりも高いポロシティをもつように多孔質領域300を形成することを含んでいてもよい。本明細書に記載の多孔質領域300の他のポロシティ配列も部材292で使用し得る。
【0081】
図7K~
図7Lは、封止キャビティ296から単体金属クーポン200の外面306まで延在すし、封止キャビティ296内から材料を除去するように構成した排出孔340を有する単体金属クーポン200の積層造形を示している。
図7M~
図7Nは、単体金属クーポン200で封止キャビティ296全体を積層造形することを示す。
【0082】
積層造形は、本明細書に記載の任意のAMプロセスで多孔質金属クーポン200又はその複数の部材292(又は稠密又は中実領域)を製造することを含む。積層造形は、クーポン開口部204のプロファイル(例えば、形状、寸法など)に略一致するように、或いはクーポン開口部204のモデルに基づいてクーポン開口部204のニアネット形状を有する金属クーポン200を製造することを含んでいてもよい。すなわち、積層造形は、金属クーポン200を集合的に形成する部材292又は単体金属クーポン200を形成することを含んでいてもよい。本明細書において、「ニアネット形状」とは、金属クーポン200(AM金属部材330を形成する複数の部材292又は単体AM金属部材330)の製造後の外形が、その金属クーポンをクーポン開口部204に配置したときに、補修を要する本体206の1以上の表面(すなわち金属クーポン200をクーポン開口部204に結合する必要のある本体の部分)にに非常に近いことをいう。例えば、本製品は、機械加工又は研削のような仕上げ法を最小限しか必要としない。金属クーポン200に多孔質領域300を使用すると、ろう材のための隙間が狭い中実クーポンに比べて、継手隙間寸法の大きな変動に適合できる。多孔質領域によって、隙間が大きくてもろう材の把持及び保持性が改善されるからである。
図8B~
図8Hには、金属クーポン200は、例えば
図7B、
図7K及び
図7Mの実施形態の形状で積層造形するように示してあるが、本明細書に記載の任意の形態をとることができる。
【0083】
本開示の実施形態では、金属クーポン200の第2の多孔質領域300又は部分領域314のポロシティを制御すなわちカスタマイズして、その後で金属クーポン200を部品202(
図3~
図4、
図9A~
図9D)の本体206(
図3~
図4、
図8E~
図8F)のクーポン開口部204(
図3~
図4、
図8E~
図8F)に結合するろう付けプロセスの際に、その内部でのろう材310の流れを制御する。各々の多孔質領域300又は部分領域314は、ポロシティに影響する上述の特性のいずれかに関してカスタマイズすることができる。積層造形は、バリア304の外側の多孔質領域300と共にバリア304の内側に封止キャビティ296を形成することも含む。上述の通り、バリア304を設けると、ろう材310の溶浸を防ぐことができる。さらに、多孔質領域300又は部分領域314の形状及び/又は位置は、ろう材を所望通り導くように配置することができる。例えば、
図7A~
図7Bにおいて、金属クーポン200全体は均一な多孔質領域300を含んでおり、ろう材310はその内部に均一に分布するようになる。対照的に、例えば
図7Dにおいては、金属クーポン200は、クーポン開口部204(
図3~
図4)と結合する金属クーポン200の縁308の近傍に最も外側の多孔質部分領域314Aを含んでいるとともに、縁308から離れた封止キャビティ296の近傍でポロシティの異なる別の多孔質部分領域314Bを含んでいる。こうして、ろう材310は、各多孔質部分領域314で異なる分布の仕方をし、これらの異なる領域で金属クーポン200に異なる物理的特性を生じるようになる。さらに具体的には、任意の数の異なる多孔質部分領域を使用して、金属クーポン200を含む部品202に、継手密着強さ、応力/ひずみ耐性、延性、耐摩耗性、耐酸化性、熱伝導性、電気伝導性、表面粗さ、硬度及び/又は質量のような、1以上の異なる物理的特性を生じさせることができる。考えられる非限定的な例として、金属クーポン200はある多孔質部分領域314でポロシティを高くして、金属クーポン200の他の中実領域よりも毛細管現象によって導かれるろう材を多くして、部品202の1以上の物理的特性を制御してもよい。別の実施形態では、金属クーポン200はある多孔質部分領域314でポロシティを低くして、金属クーポン200の他の中実領域よりも毛細管現象によって導かれるろう材を少なくして、部品202の1以上の物理的特性を制御してもよい。別の実施形態では、金属クーポン200は、金属クーポン200の全体を集合的に構成する2以上の多孔質部分領域314を含んでいてもよい。多孔質部分領域314の任意の配置は、所望のろう材の流れ及び溶浸を生じさせることができる。
【0084】
ある実施形態では、積層造形は、部品202に関する様々な改良を形成することを含んでいてもよく、例えば部品202に従前存在しなかった構造を含めることができる。部品202は、改善が必要とされる元の部品であってもよいし、或いは除去もしくは損傷した部品を含む部品であってもよい。例えば、
図7Bに示すように、積層造形は、金属クーポン200に冷却通路350を形成することを適宜含んでいてもよい。冷却通路350は金属クーポン200内でどのように(例えばサーペンタイン経路として)延在していてもよく、金属クーポン200の外面306を貫通していてもよい。別の例(図示せず)では、積層造形は、適宜、金属クーポン200内に1以上の支持及び/又は冷却構造360(例えばピン/フィン)(おそらくは内部の冷却通路(図示せず)と共に)を形成することを含んでいてもよい。あらゆる好適な内部構造の変更を、金属クーポン200で行うことができる。現在公知の又は将来開発される積層造形後の仕上げ加工(例えば平滑表面への研磨加工など)を、金属クーポン200で適宜実施してもよい。ただし、好適には、本開示の教示は、部品202における金属クーポン200の特定の仕上げ工程(例えば、限定されるものではないが、ピーニング、熱処理及び熱間静水圧プレス(HIP))の必要性をなくす。
【0085】
図8Bは、ろう材溶浸の前に除去すべき材料362を(予定)封止キャビティ296が含んでいる場合の任意ステップを示す。この状況では、本方法は、排出孔340を利用して封止キャビティ296内から材料362を除去することをさらに含んでいてもよい。材料362は、封止キャビティ296から未溶融金属粉末を除去するための任意の手段(例えば、限定されるものではないが、真空システム360など)を用いて除去することができる。
図7K~
図7Lは、排出孔340を封止要素342で封止したものを示す。上述の通り、封止要素342は、開口部を封止するための現在公知の又は将来開発される任意の構造及び/又は材料を含んでいてもよく、例えば、限定されるものではないが、封止キャビティ296に達するには不十分なろう材310の限定的な施工、所定の位置にろう付けされるプラグ、或いはスポット溶接が挙げられる。
【0086】
図8C及び
図8Dは、部品202の本体206のクーポン開口部204に金属クーポン200を配置するステップを示している。本体206のクーポン開口部204への金属クーポン200の配置は、現在公知の又は将来開発される任意の手法(例えばスリップフィッティングの手動押し込みで)行うことができる。部材292を使用する場合、配置は、集合的に金属クーポン200が得られるように、2以上の金属部材292をクーポン開口部204に配置することを含む。金属クーポン200全体が一体成形される場合、配置は、クーポン開口部204に単体金属クーポン200を配置することを含む。必要に応じて、金属クーポン200の複数の部材292又は単体金属クーポン200は、所望の手法(例えば接着剤、ニッケル-クロムタック溶接、ボールタック、抵抗溶接、融合タック溶接、雄雌コネクタ(
図7A)、クランプなど)で所定の位置に保持することができる。
【0087】
図8E~
図8Fは、金属クーポン200をろう材310で溶浸して、金属クーポン200(クーポンの部材292又は単体金属クーポン)をその内部に形成された封止キャビティ296と共に本体206のクーポン開口部204に結合すること、すなわちろう付けプロセスを示す。単体金属クーポン200を使用する場合、溶浸は、単体金属クーポンを溶浸して、その内部に形成された封止キャビティ296と共に本体206のクーポン開口部204に結合すること、すなわちろう付けプロセスを含む。複数の部材からなる金属クーポン200を使用する場合、溶浸によって部材292同士も結合する。ろう材310は、現在公知の又は将来開発される任意のろう付け組成物(例えば、限定されるものではないが、GE(Alstom)B1P、Amdry(商標)D15、DF4B又はBRBなど)を含んでいてもよく、その組成の一部を以下の表に示す。
【0088】
【0089】
溶浸は、現在公知の又は将来開発されるろう付けプロセス(例えば真空ろう付けシステム、誘導ろう付けシステム及び/又は不活性ガス雰囲気加熱システム及び関連技術の使用など)を含むことができる。ある非限定的な例では、ろう付けは、例えばろう材310の塗工(
図8D)及び加熱(
図8E)を含んでいてもよく、毛細管現象によって金属クーポン200の内部及び周囲に流入させる。
【0090】
溶浸によって、金属クーポン200の多孔質領域300にろう材310が注入され、封止キャビティ296が形成される。溶浸は、単体金属クーポン200又はマルチパート金属クーポン200を形成する部材292にろう材310を注入してもよい。ろう材310は、封止キャビティ296の周囲の多孔質領域300を溶浸し、2以上の部材292が用いられた継ぎ目332(
図7B~
図7D、
図7I~
図7J)を封止する。上述の通り、封止キャビティ296は中空である。ろう材310の溶浸は、少なくとも多孔質領域300の1又は複数のポロシティの特性に基づく。例えば、
図7Iに示すように、溶浸は、多孔質領域300を通してろう材310を移動させて溶浸せしめることを含んでいてもよい。多孔質領域300のポロシティは、どのようにろう材310が流れるかを規定する。例えば、
図7Iに示すように、溶浸は、外側多孔質部分領域314Aのポロシティ(第1のポロシティ)の特性に基づいてその外側多孔質部分領域314Aを通してろう材310を移動させて溶浸せしめ、また、第2の外側多孔質部分領域314Bのポロシティ(第2のポロシティ)の特性に基づいてその第2の外側多孔質部分領域314Bを通してろう材310を移動させて溶浸せしめることを含んでいてもよい。
図7Dに示すように、可変多孔質領域312がポロシティの異なる2以上の多孔質部分領域314と共に存在する場合、ろう材310は、可変多孔質部分領域312の特性(例えばポロシティの勾配、階段状ポロシティ)に基づいて、可変多孔質領域312を通して移動し、溶浸する。
図7Iに示すように、可変多孔質領域313が内側及び外側多孔質部分領域314A~Bを含んでいてそれらの間にある場合、溶浸は、ろう材310を、外側多孔質部分領域314Aの第1のポロシティの特性に基づいて外側多孔質部分領域314Aを通して移動・溶浸させ、可変多孔質領域の特性(例えば、ポロシティの勾配、段差ポロシティなど)に基づいて部分領域314A~B間の可変多孔質領域312を通して移動・溶浸させ、内側多孔質部分領域314Bの第2のポロシティの特性に基づいて内側多孔質部分領域314Bを移動・溶浸させることを含んでいてもよい。バリア304が存在する場合、ろう材310が封止キャビティ296に侵入するのを防ぐ。バリア304が存在する場合、ろう付けプロセスは、ろう材310の溶浸を制限し、それが封止キャビティ296に達しないように制御してもよい。この場合、
図7Jに示すように、封止キャビティ296は、封止キャビティ296に接近するが封止キャビティ296には侵入しないろう材によって封止され、封止キャビティ296の周囲にはろう材のない多孔質領域300の一部が残る。
【0091】
多孔質領域300での異なるポロシティの選択は、ろう材310の異なる流れ及び溶浸をもたらす。ろう付けプロセスの結果、異なるポロシティの多孔質領域300又は部分領域314は、その内部のろう材310と共に、1以上の異なる物理的特性をもたらす。
図7Dに示す一例では、第1の外側多孔質部分領域314Aのポロシティは、第2の内側多孔質部分領域314Bのポロシティよりも高い(すなわち密度が低い)。この場合、溶浸は、第2の内側多孔質部分領域314Bよりも第1の外側多孔質部分領域314Aに多くのろう材310を溶浸させることを含む。ろう材310の使用量に応じて、他の要因の中でも、ポロシティの差は、部品202の1以上の物理的特性(例えば継手密着強さ、応力/ひずみ耐性、延性、耐摩耗性、耐酸化性、熱伝導率、電気伝導性、表面粗さ、硬度及び/又は質量)をカスタマイズできるようにする。また、封止キャビティ296の形状及びサイズによって、(例えば不要な材料の除去によって)質量に関してカスタマイズできるようになる。さらに、多孔質領域300を利用したろう材310の複数の流れ経路は、従来の狭い隙間を埋めるろう付けプロセスと比較して、また狭い隙間のろう付けに要する厳しい製造公差のため、ろう付け継手に沿った充填不足及び/又は空所の発生のおそれを低減させることができる。
【0092】
ある実施形態では、異なるろう材310を金属クーポン200の異なる部分に使用して、部品202における金属クーポン200の結合をさらにカスタマイズすることができる。例えば、
図9Cを参照すると、第1のろう材310Aを部品202の第1の金属部材又は側面326に使用し、第1のろう材310Aとは異なる別のろう材310Bを部品202の異なる部材又は側面328に使用してもよい。一例として、
図3、
図4及び
図9A~
図9Dを参照すると、部品202の第1の金属部材又は側面326は翼形部150,176の第1の(凹面状正圧)側外壁152,178であってもよいし、部品202の第2の部材又は側面328は翼形部150,176の第2の(凸面状負圧)側外壁154,180であってもよい。異なる部材又は側面326、328上で、異なる多孔質領域300に加えて、異なるろう材310A,310Bを利用することで、それらの位置での部品202の予想環境に応じてカスタマイズすることができる。このように、ろう材及び/又は多孔質領域/部分領域のバリエーションは非常に多く、補修の難しい様々な状況に対処できるようになる。
【0093】
本開示に係る方法の他の実施形態は、部品202を補修するための1以上の金属クーポン200を単に形成することを包含する。この場合、
図8Aに示すように、本方法は、部品202の本体206におけるクーポン開口部204のモデルを作成すること、及び本明細書に記載の通り金属クーポン200を積層造成することを含む。
【0094】
現在公知の又は将来開発される任意の製造後仕上げ処理(例えば、ピーニング、熱処理、熱間静水圧プレス(HIP))を、金属クーポン200に対して適宜実施してもよい。
図8Fは、部品202の任意の仕上げステップ、例えば金属クーポン200が追加された箇所で部品202の表面をシームレスに移行させるためのピーニング及び機械加工などについて例示する。ただし、本開示の教示は、積層造形後の材料に存在する残留応力に対処するために常用される他の仕上げ工程、例えばピーニング、熱処理、熱間静水圧プレス(HIP)の必要性をなくせることがある。
【0095】
図3、
図4及び
図9A~
図9Dは、本開示の実施形態に係る部品202の実施形態を示す。
図9A~
図9Dは、部品202の本体206のクーポン開口部204内での、封止キャビティ296を有する金属クーポン200の拡大断面図を示している。
図9Aは、単一の多孔質領域300を有する金属クーポン200を有する部品202を示し、
図9Bは、2以上の多孔質部分領域314A,314Bを有する金属クーポン200を有する部品202を示し、
図9Cは、2以上の多孔質部分領域314A,314B及び1種類以上の異なるろう材310A,310Bを有する金属クーポン200を有する部品202を示す。
図9Dは、封止キャビティ296への排出孔340が封止された金属クーポン200を有する部品202を示す。
図7A~
図7Nの多孔質領域300の特定の配置を
図9A~
図9Dに示すが、本願に記載の任意の金属クーポン200の実施形態を部品202に使用し得る。
【0096】
図9A~
図9Dを参照すると、部品202は本体206を含む。本明細書で説明したように、本体206は、部品202が用いられる特定の産業用途のための任意の形態を有することができる。本明細書で用いる例では、本体206は、タービン回転ブレード132(
図3)又はタービン静止ノズル126(
図4)用である。金属クーポン200は、
図3及び
図4のブレード132及びノズル126の翼形部150,176にそれぞれ示してあるが、金属クーポン200は、部品202の本体206の任意の部分に存在し得る。部品202は、封止キャビティ296及びその周囲の多孔質領域300を内部に有する積層造形(AM)金属クーポン200も含む。封止キャビティ296は上述の通り中空である。材料310は、本体206のクーポン開口部204に金属クーポン200をろう付けし、多孔質領域300を溶浸する。部品202は、ろう材溶浸バリア304内に画成される封止キャビティ296も含んでいてもよい。多孔質領域300は、バリア304の外側にある。
【0097】
本明細書に記載の通り、金属クーポン200は、適宜複数の部材292(
図7A)として構築し得る。
図9A~Cに破線で示すように、金属クーポン200は、封止キャビティ296の第1のセクション294Aが内部に画成された第1の金属部材292Aと、封止キャビティ296の第2のセクション294Bが内部に画成された第2の金属部材292Bとを含んでいてもよい。ろう材310は、本体206のクーポン開口部204に金属クーポン200の第1金属部292Aと第2金属部292Bを結合し、封止キャビティ296を形成する。
図9Dに示す金属クーポン200は、封止キャビティ296から金属クーポン200(AM金属部材330、単体金属クーポン200を使用する場合)の外面306まで延在する排出孔340をさらに含む、排出孔340は、封止キャビティ296内から材料362(
図8B)を除去するように構成される。封止要素342は、排出孔340に結合して排出孔を封止する。
【0098】
図9Aに示すように、ろう材310は、少なくとも外側多孔質部分領域314Aの第1のポロシティの特性に基づいて第1の外側多孔質領域314Aに溶浸した第1のセクション370を含む。
図9Bに示すように、金属クーポン200は、第1のポロシティとは異なる第2のポロシティを有する第2の内側多孔質部分領域314Bに溶浸した第2のセクション372をさらに含む。第1のポロシティは、総体積に対する空洞空間体積の百分率、細孔形状、細孔サイズ、細孔の数及び/又は細孔連結性の特性の1以上の点で第2のポロシティと異なっていてもよい。ポロシティの「特性」とは、ポロシティが、ろう材容積、ポロシティ内のパターン、結晶化のような、様々な溶浸特性をもたらすことができることを示している。ただし、当技術分野で明らかなように、他の要因も、溶浸特性(ろう材の種類など)並びにろう付けプロセスの特性(温度、圧力、部品202の位置並びに/或いは金属クーポン200のフォーマット及び配置など)に影響を与え得る。本体206は、第1のポロシティ及び第2のポロシティのいずれとも異なる第3のポロシティを有していてもよい。例えば、本体206は、第1のポロシティ及び第2のポロシティのいずれよりも密度の高い第3のポロシティを有していてもよく、例えば100%中実であってもよい。さらに、バリア304は、本明細書に記載の通り、異なるポロシティを有していてもよい。例えば、バリア304は、本体206と同じ第3のポロシティを有していてもよいし、或いはろう材310が通過するのを防ぐことができるポロシティを有していてもよい。適宜、金属クーポン200は、2以上の多孔質部分領域314(便宜上
図9Bの破線で囲んだ四角い部分)と共に可変多孔質領域312,313を、第1の外側多孔質部分領域314Aと第2の内側多孔質部分領域314Bの間(及びおそらくそれらの一部を含む)に含んでいてもよい。可変多孔質領域312は、第1のポロシティと第2のポロシティの間で、ポロシティが徐々に(例えば段階的又は増分的に)変化し得る。例えば
図7Dに示すように、多孔質領域300のポロシティは、封止キャビティ296から金属クーポン200の外面306に向かってはっきりとした増分階段状に(多孔質部分領域314によって)増加してもよい。本明細書に記載の通り、特定の例では、多孔質領域300のポロシティは、封止キャビティ296から金属クーポン200の外面306に向かって増加してもよく、ろう材310の多くは、より外側の多孔質部分領域(例えば部品202の金属クーポン200の314A(
図7I))にある。
【0099】
図9Cにおいて、ろう材310Bは、少なくとも第2のポロシティの特性に基づいて、第2の外側多孔質部分領域314Bに溶浸する第2のセクション372を含む。第1の外側多孔質部分領域314A及び第2の内側多孔質部分領域314Bが、それらの内部のろう材310と共に、1以上の異なる物理的特性を有することである。ポロシティは、ポロシティがそれらの物理的特性に影響を与え得る限り、それらの物理的特性を選択するようにカスタマイズできる。一例では、第1の外側多孔質部分領域314Aの第1のポロシティは、第2の内側多孔質部分領域314Bの第2のポロシティよりも高い(すなわち、密度が低い)ことがあり、第1の外側多孔質部分領域314Aは、第2の内側多孔質部分領域314Bよりも多くのろう材310を内部に含む。
図7Iに示すように、多孔質領域300は、金属クーポン200の外面306に隣接する外側多孔質部分領域314Aを含んでいてもよく、封止キャビティ296近傍(例えば0.5mm以内)の内側多孔質部分領域314Bよりも高いポロシティを有する。この場合、外側多孔質部分領域314Aは、内側多孔質部分領域314Bよりも多くのろう材310を内部に含む。別の例では、
図9Bに示す第1の外側多孔質部分領域314Aは、本体206に結合するように構成された金属クーポン200の縁308の少なくとも一部にある。また、第2の外側多孔質部分領域314Bは、第1の外側多孔質部分領域314Aに隣接していてもよい。或いは、第2の外側多孔質部分領域314Bは、金属クーポン200の縁308の少なくとも(別の)一部、及び場合によって第1の外側多孔質部分領域314Aに隣接していてもよい。
図9Bに示すこの配置は、ろう付け継手374の近くに配置されるろう材310が増えるので、本体206のクーポン開口部204内の金属クーポン200の継手密着強さの強化、或いはろう付け継手374での酸化の低減又はろう付け継手374の熱伝導率の増加に有益である。本明細書に記載の物理的特性のいずれも、様々なポロシティ及び/又は様々なろう材に基づいてカスタマイズすることもできる。上述の通り、使用されるろう材310に応じて、異なるポロシティは、部品202の1以上の物理的特性、例えば継手密着強さ、応力/ひずみ耐性、延性、耐摩耗性、耐酸化性、熱伝導率、導電率、表面粗さ、硬度、及び/又は質量をカスタマイズできるようになることがある。上述の通り、金属クーポン200は、部品202の本体206のクーポン開口部204のニアネット形状を有していてもよい。
【0100】
本願では様々な多孔質領域300及び/又は部分領域314について特定の位置を例示しているが、様々な多孔質領域又は部分領域は、種々のろう材溶浸特性及び部品202の種々の物理的特性をもたらすため、どのように配置してもよい。
【0101】
本開示の実施形態は、
図1~
図2に示すタービンアセンブリ110を含むターボ機械100、並びに本明細書に記載の1以上の部品202を包含し得る。部品202は、タービン静止ノズル126、タービン回転ブレード132又はターボ機械100の他の部品の形態をとることができる。金属クーポン200は、新品部品或いは補修が必要とされる部品に使用することができる。
【0102】
本開示は、様々な技術的及び商業的利点をもたらすが、その例を説明する。部品の補修又は改良に関して、積層造形では、カスタムフィット形状の金属クーポンをコスト効率よく作成することができ、損傷材料だけを取り除けばよい。多孔質領域又は部分領域は特定の領域で母金属合金の割合を高める(例えば>60%)ことができ、例えば予備焼結プリフォームに比べて改善された物理的特性が得られることがある。多孔質領域又は部分領域は、従来のようにろう材で囲まれた金属粒子と比較して、ろう材充填が強化された溶接/溶融粒子マトリックス(例えば超合金金属母材)をもたらすこともできる。複数の多孔質領域又は部分領域を用いるろう材用の複数の流れ経路は、従来の狭い隙間を埋めるろう付けプロセスと比較して、ろう付け継手に沿った充填不足及び/又は空所の発生のおそれを低減させることができる。多孔質領域又はその部分領域は、金属クーポン全体で様々なポロシティ/密度で形成することができ、ろう材の流れを高度にカスタマイズすることができる。多孔質領域又はその部分領域は、ろう材用の隙間がせまい機械加工中実クーポンと比較して、継手空隙寸法の大きなばらつきにも対応する。金属クーポン用の母材粉末が高価である補修に関して、そのポロシティ(ろう材とクーポンの金属の比率の選択)を慎重に設計並びに封止キャビティのサイズすることにより、全体的なクーポン/補修材料コストを制御できる。同様に、金属クーポンの全体的な質量及び構造強度は、封止キャビティの寸法を制御することによって制御できる。
【0103】
本明細書及び特許請求の範囲で用いる近似表現は、数量の修飾語であって、その数量が関係する基本的機能に変化をもたらさない許容範囲内で変動し得る数量を表すために適用される。したがって、「約」、「略」及び「実質的に」のような用語で修飾された値はその厳密な数値に限定されない。幾以上かの事例では、近似表現は、その値を測定する機器の精度に対応する。場合によっては、近似表現は、その値を測定する機器の精度に対応する。本明細書及び特許請求の範囲において、数値限定の範囲は互いに結合及び/又は交換可能である。かかる範囲は、前後関係等から別途明らかでない限り、その範囲に含まれるあらゆる部分範囲を特定しかつ包含する。範囲の特定の値に用いられる「約」は、上下限に適用され、その値を測定する機器の精度に依存する場合を除いて、記載された数値の±10%を示すことがある。
【0104】
以下の特許請求の範囲において機能的記載によって特定された構成要素の対応する構造、材料、行為及び均等物は、特許請求の範囲に具体的に記載された他の構成要素と組合せて機能を発揮するあらゆる構造、材料又は行為を包含する。本開示の記載は、例示及び説明を目的としたものであり、網羅的なものでもなければ、開示された形態に限定するものでもない。本開示の技術的範囲及び技術的思想から逸脱せずに、数多くの修正及び変形が当業者には明らかであろう。本開示の実施形態は、本開示の原理及び実用的用途の説明として最も適しかつ当業者が様々な実施形態に関する開示内容及び特定の用途に適した様々な修正について理解できるように、選択して記載したものである。
【符号の説明】
【0105】
200 金属クーポン
202 部品
210 積層造形金属部材
296 封止キャビティ
300 多孔質領域
304 ろう材溶浸バリア
【外国語明細書】