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特開2025-8481圧電振動片集合ウェハおよび圧電振動片
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008481
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】圧電振動片集合ウェハおよび圧電振動片
(51)【国際特許分類】
   H03H 3/02 20060101AFI20250109BHJP
   H03H 9/19 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H03H3/02 C
H03H9/19 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110693
(22)【出願日】2023-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000149734
【氏名又は名称】株式会社大真空
(72)【発明者】
【氏名】小山 伸一
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108BB02
5J108CC04
5J108CC09
5J108DD02
5J108KK01
5J108MM08
(57)【要約】
【課題】圧電振動片の製造途中に、圧電振動片が支持体部から脱落することを抑制できる圧電振動片集合ウェハおよび該圧電振動片集合ウェハから折り取られた圧電振動片を提供する。
【解決手段】
複数の水晶振動片部2と、水晶振動片部2を支持する支持体部3と、個々の水晶振動片部2と支持体部3とを連結する連結部4とを有する圧電振動片集合ウェハ1であって、連結部4は、連結部4の厚み方向と直交する第1主面41と、第1主面41から見て裏側の面である第2主面42とを有し、第1主面41は、厚み方向に凹となる凹部5を有し、第2主面42は、凹部5と対向する位置から凸となる方向に立ち上がる段差部6を有する圧電振動片集合ウェハ1とした。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の圧電振動片部と、前記圧電振動片部を支持する支持体部と、個々の前記圧電振動片部と前記支持体部とを連結する連結部とを有する圧電振動片集合ウェハであって、
前記連結部は、
前記連結部の厚み方向と直交する第1主面と、前記第1主面から見て裏側の面である第2主面とを有し、
前記第1主面は、前記厚み方向に凹となる凹部を有し、
前記第2主面は、前記凹部と対向する位置から凸となる方向に立ち上がる段差部を有する
圧電振動片集合ウェハ。
【請求項2】
前記段差部の前記第2主面からの高さは、前記凹部の底部から前記第2主面までの厚み以上に形成されている
請求項1記載の圧電振動片集合ウェハ。
【請求項3】
前記凹部は、断面視で前記凹部の底部を1つの頂点とした略三角形の形状を有する
請求項1記載の圧電振動片集合ウェハ。
【請求項4】
請求項1から3いずれかに記載の圧電振動片集合ウェハから得られた
圧電振動片。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体に複数の圧電振動片が保持されている圧電振動片集合ウェハおよび該圧電振動片集合ウェハから得られた圧電振動片に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電デバイスとして使用される圧電振動片の製造においては、水晶ウェハをエッチングして多数の圧電振動片を得る方法が知られている。このとき、効率化のため多数の圧電振動片を、連結部を介して支持体部に支持しており、この連結部で個々の圧電振動片を折り取って個片化するようになっている。
【0003】
このような圧電振動片集合ウェハとして、支持体部から水晶で形成された圧電振動片を連結部の所で折り取るに際し、その折り取りを容易にするため、連結部に溝状のスリットを形成したものが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平03-039922
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、得ようとする圧電振動片の厚みが薄くなるにつれて、特許文献1に記載されているようなスリットを連結部に設ける技術を適用した場合、スリットの強度が低くなり、製造途中で連結部が折れて圧電振動片が支持体部から脱落することがあった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、圧電振動片の製造途中に、圧電振動片が支持体部から脱落することを抑制できる圧電振動片集合ウェハおよび該圧電振動片集合ウェハから得られた圧電振動片を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の圧電振動片部と、前記圧電振動片部を支持する支持体部と、個々の前記圧電振動片部と前記支持体部とを連結する連結部とを有する圧電振動片集合ウェハであって、前記連結部は、前記連結部の厚み方向と直交する第1主面と、前記第1主面から見て裏側の面である第2主面とを有し、前記第1主面は、前記厚み方向に凹となる凹部を有し、前記第2主面は、前記凹部と対向する位置から凸となる方向に立ち上がる段差部を有する圧電振動片集合ウェハであることを特徴としている。
【0008】
本発明の圧電振動片集合ウェハは、連結部の第1主面が、連結部の厚み方向に凹となる凹部を有し、第2主面が、凹部と対向する位置から凸となる方向に立ち上がる段差部を有する構成である。このような構成により、凹部(スリット)を設けた連結部の強度が向上し、製造途中において連結部が折れることによって圧電振動片部が支持体部から脱落することを抑制することができる。
【0009】
また、圧電振動片部を支持体部から折り取ろうとして圧電振動片部の厚み方向に力を加えた場合、連結部が破断する第1主面側端点は凹部となり、第2主面側の端点は段差部が立ち上がる点となる。したがって、折り取った圧電振動片の破断面の形状を制御することができる。すなわち、破断面が圧電振動片部にかかることによる圧電振動片の欠損を防止することができる。
【0010】
また、本発明の圧電振動片集合ウェハは、段差部の第2主面からの高さが凹部の底部から第2主面までの厚み以上に形成されている構成であってもよい。このような構成であれば、凹部を設けた連結部の強度を十分に確保することができる。
【0011】
また、本発明の圧電振動片集合ウェハは、凹部が断面視で底部を1つの頂点とした略三角形の形状を有する構成であってもよい。このような構成であれば、連結部が破断する第1主面側の端点を凹部の底部とすることができ、圧電振動片の破断面の形状をより確実に制御することができる。
【0012】
また、本発明は、請求項1から3いずれかに記載の圧電振動片集合ウェハから得られた圧電振動片であることを特徴とする。このような構成であれば、所望の破断面の形状を有した圧電振動片とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、圧電振動片の製造途中に、圧電振動片が支持体部から脱落することを抑制できる圧電振動片集合ウェハおよび圧電振動片集合ウェハから折り取られた圧電振動片を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】圧電振動片集合ウェハの平面図。
図2】1単位の圧電振動片部の第1主面側の平面図。
図3】1単位の圧電振動片部の第2主面側の平面図。
図4】第1の実施形態にかかる連結部を幅方向(Z´方向)から見た側面図。
図5】第1の実施形態にかかる折り取られた圧電振動片の破断面の形状を説明する説明図。
図6】第2の実施形態にかかる連結部を幅方向(Z´方向)から見た側面図。
図7】第3の実施形態にかかる連結部を幅方向(Z´方向)から見た側面図。
図8】第4の実施形態にかかる連結部を幅方向(Z´方向)から見た側面図。
図9】第4の実施形態にかかる折り取られた圧電振動片の破断面の形状を説明する説明図。
図10】第5の実施形態にかかる連結部を幅方向(Z´方向)から見た側面図。
図11】第5の実施形態にかかる折り取られた圧電振動片の破断面の形状を説明する説明図。
図12】第6の実施形態にかかる連結部を幅方向(Z´方向)から見た側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、図面中に記載したZ´方向、X方向、およびY´方向については、ATカット水晶振動片の結晶方位に基づいた軸方向である。ATカット水晶振動片およびZ´方向、X方向、およびY´方向については、後の段落で詳述する。
【0016】
<第1の実施形態>
図1は、圧電振動片集合ウェハ1の平面図である。
第1の実施形態にかかる圧電振動片集合ウェハ1は、全体が水晶で薄板状に形成されている水晶振動片集合ウェハである。圧電振動片集合ウェハ1においては、例えば、水晶板に金属パターンをレジストで作成し、金属パターンで水晶をエッチングすることで水晶振動片部2(圧電振動片部)および連結部4の外形を作成することができる。
【0017】
本実施形態における支持体部3は、一律の厚みを有し、周囲(四方)を囲むように形成された矩形状の外枠部31と、外枠部31で囲まれた領域内で格子状に形成された複数の内枠部32を有する。外枠部31と内枠部32は一体に形成されている。本実施形態における複数の内枠部32は、Z´方向およびX方向に伸びた格子状であって、X方向に伸びた複数の縦内枠部32aがお互いに等間隔かつ平行に配置されており、同様に、Z´方向に伸びた複数の横内枠部32bがお互いに等間隔かつ平行に配置されている。また、縦内枠部32aと横内枠部32bとが直交するように形成されており、縦内枠部32aと横内枠部32bとによって囲まれた支持体部内領域33が複数形成されている。そして、横内枠部32bは、複数の各支持体部内領域33の内側へ伸びるように連結部4と一体に接続されている。また、支持体部内領域33は、圧電振動片集合ウェハ1の厚み方向(Y´方向)に貫通した貫通領域であって、1つの支持体部内領域33に1つの水晶振動片部2が配置されている。したがって、圧電振動片集合ウェハ1において、縦内枠部32aおよび横内枠部32bによって囲まれた1つの支持体部内領域33、支持体部内領域33内に配置された1つの水晶振動片部2、および横内枠部32bと水晶振動片部2とを連結する連結部4で構成された単位領域Aがマトリックス状に複数形成されている。支持体部3の厚みは、例えば、200μm以下とすることができる。
【0018】
図2は、単位領域Aの水晶振動片部2の第1主面21側の平面図であり、図3は、1単位の水晶振動片部2の第2主面22側の平面図であり、図4は、第1の実施形態にかかる連結部4を幅方向(Z´方向)から見た側面図である。
本実施形態における水晶振動片部2は、ATカット水晶振動片である。水晶振動片部2は、水晶振動片部2の厚み方向(Y´方向)に直交する第1主面21と、第1主面21の裏面に該当する第2主面22と、第1主面21と第2主面22とを接続している側面とを有する。また、水晶振動片部2は、第1主面21側から見て長辺と短辺を有する矩形状を有し、1つの短辺の両端付近のそれぞれにおいて連結部4を介して横内枠部32bと接続されている。また、水晶振動片部2には、図示しない励振電極や引出電極がスパッタリング等により形成されている。なお、ATカットは、人工水晶の3つの結晶軸である電気軸(X軸)、機械軸(Y軸)、および光学軸(Z軸)のうち、Z軸に対してX軸周りに35°15′だけ傾いた角度で切り出す加工手法である。ATカット水晶板では、X軸は水晶の結晶軸に一致する。Y´軸及びZ´軸は、水晶の結晶軸のY軸およびZ軸からそれぞれ35°15′傾いた軸に一致する。Y´軸方向およびZ´軸方向は、ATカット水晶板を切り出すときの切り出し方向に相当する。水晶振動片部2は、例えば、厚み30μm以下とすることができる。
【0019】
なお、本実施形態において、水晶振動片部2は、第1主面21および第2主面22を平板状としたが、この構成に限定されない。例えば、水晶振動片部2は、第1主面21および第2主面22の少なくとも一方の中央付近が凸となるメサ構造を有していてもよい。また、例えば、水晶振動片部2は、第1主面21および第2主面22の少なくとも一方の中央付近が凹となる逆メサ構造を有していてもよい。
【0020】
また、本実施形態において、水晶振動片部2は、1つの短辺の両端付近のそれぞれにおいて連結部4を介して横内枠部32bと接続されている構成としたが、この構成に限定されない。例えば、連結部4との接続位置は、1つの短辺の中央付近または1つの長辺であってもよい。また、水晶振動片部2は、1つまたは3つ以上の連結部4を介して横内枠部32bと接続されている構成であってもよい。さらに、水晶振動片部2は、外枠部31または縦内枠部32aと接続されている構成であってもよい。
【0021】
連結部4は、支持体部3および水晶振動片部2と一体に形成されており、支持体部3と水晶振動片部2とを接続している。連結部4は、X方向を長手方向とした矩形の薄板状であって、連結部4の厚み方向(Y´方向)に直交する第1主面41と、第1主面41の裏面に該当する第2主面42と、第1主面41と第2主面42とを接続している側面とを有する。本実施形態の連結部4は、幅方向(Z´方向)の長さが水晶振動片部2の短辺よりも短く形成されている。また、本実施形態の連結部4は、厚み(第1主面41と第2主面42との距離)が支持体部3の厚みよりも薄く、水晶振動片部2の厚みとほぼ同じに形成されており、第2主面42が水晶振動片部2の第2主面22と水平かつ連続的に形成されている。
【0022】
連結部4は、第1主面41の長手方向の水晶振動片部2側の端部に厚み方向に凹となる凹部5を有する。
凹部5は、連結部4を幅方向に横断するように形成されており、長手方向の水晶振動片部2側および横内枠部32b側に形成された一対の内壁面51a、51bと、一対の内壁面51a、51bどうしを接続する底部52とで構成されている。本実施形態では、一対の内壁面51a、51bの内、水晶振動片部2側に形成されている面を内壁面51aとし、横内枠部32b側に形成された面を内壁面52bとした。このとき、底部52は、凹部5において最も凹となる位置となる。
【0023】
なお、本実施形態では、凹部5は、連結部4を幅方向に横断するように形成されているが、水晶振動片部2のZ´軸方向端部側の端部において、わずかな幅だけ凹部5が形成されていない領域を設けてもよい。このような構成であれば、水晶振動片部2と連結部4との境界において、エッチングによって発生する水晶振動片部2の角部の欠損を抑制することができる。
【0024】
本実施形態における一対の内壁面51a、51bは、底部52に近づくにつれて互いに近接するように、水晶振動片部2の第1主面21(連結部4の第1主面41)に対して傾斜する傾斜面として形成され、底部52において互いに接続されている。すなわち、本実施形態における凹部5は、断面視で、底部52を1つの頂点とする略三角形(逆三角形)の形状を有している。
【0025】
凹部5は、例えば、フォトリソグラフィ技術を利用したエッチングによって形成される。そして、特にウェットエッチングを利用して凹部5を形成する場合は、本実施形態のような内壁面51a、51bが底部52に近づくにつれて近接する傾斜として自然に形成されるが、ウェットエッチングによって形成される内壁面51の傾斜は、水晶の結晶方位にもよるが、直線的ではなく弧を描くような傾斜となる場合が多い。これは、形成される傾斜が、水晶が有する異方性に由来して形成されるためである。したがって、本実施形態における内壁面51の傾斜は、図4に示すような直線的な傾斜であってもよく、弧を描く傾斜であってもよい。
【0026】
また、本実施形態における凹部5は、内壁面51a、51bが底部52で直接的に接続されている構成としたが、底部52を底面として、内壁面51a、51bが底面である底部52を介して接続されている構成であってもよい。このような構成の場合、凹部5は、底部52と内壁面51a、51bとの接続点を2つの頂点とする略四角形の形状を有する。さらに、内壁面51aと内壁面51bの高さが同じ場合は、凹部5の形状は略台形の形状となる。
【0027】
連結部4は、第2主面42の長手方向の水晶振動片部2側の端部付近に厚み方向の凸となる方向に立ち上がる段差部6を有する。
段差部6は、連結部4の幅方向(Z´方向)に全幅にわたって形成され、第2主面42上に立ち上がり点61を有する。また、段差部6は、高さL4を有する。本実施形態における段差部6は、第2主面42からほぼ直角に立ち上がって形成され、高さL4を維持したまま支持体部3と接続されている。段差部6の高さL4は、底部52における連結部4の厚みL5(底部52から第2主面42までの厚み)以上に形成されていることが好ましい。また、段差部6の高さL4は、連結部4の厚みL2(水晶振動片部2の厚み)以上に形成されていることがより好ましい。
【0028】
立ち上がり点61は、第2主面42において、凹部5と対向する領域の範囲内の任意の位置に配置されている。すなわち、段差部6は、凹部5と対向する位置から立ち上がるように形成されている。本実施形態における立ち上がり点61は、底部52と対向する位置に配置されている。言い換えると、段差部6は、第2主面42において、平面視で凹部5と重畳する位置に設けられている。すなわち、連結部4は、第2主面42において、凹部5と重畳する位置に段差部6(厚肉部)を備えている。
【0029】
なお、本実施形態の連結部4は、凹部5が第1主面41に設けられており、段差部6が第2主面42に設けられているが、凹部5が第2主面42に設けられており、段差部6が第1主面41に設けられている構成であってもよい。言い換えると、凹部5を設けた側の主面を第1主面41として定義し、段差部6を設けた側の主面を第2主面42として定義してもよい。
【0030】
図5は、第1の実施形態にかかる折り取られた水晶振動片20の破断面23の形状を説明する説明図である。
このような圧電振動片集合ウェハ1において、水晶振動片部2に対して厚み方向に力を加えることで、連結部4を破断させて水晶振動片部2を支持体部3から折り取ることができる。折り取られた水晶振動片部2は、水晶振動片20(圧電振動片)として各種圧電デバイスとして使用することができる。本実施形態における水晶振動片20は、折り取り前の水晶振動片部2と同じ厚みを振動部において有し、特に高周波数帯の周波数を有する圧電デバイスとして使用することができる。このような高周波数帯の圧電振動片は、例えば差動発信器の用途として好適に使用することができる。
【0031】
また、連結部4を破断させる際、第1主面41側の破断の端点(折り取り点)は、底部52となる。これは、水晶振動片部2に対して厚み方向に力を加えた場合に、第1主面41側では底部52に最も応力が集中するためである。一方で、第2主面42側の破断の端点(折り取り点)は、立ち上がり点61となる。これは、水晶振動片部2に対して厚み方向に力を加えた場合に、第2主面42側では立ち上がり点61に最も応力が集中するためである。
【0032】
したがって、水晶振動片20は、折り取り付近の端部として、折り取り前における連結部4の水晶振動片部2側の端部に該当する折取端部24を有している。また、折取端部24は、水晶振動片部2が連結部4において折り取られた際の破断面23を外形の一部として有する。そして、破断面23は、折り取り前における底部52と立ち上がり点61とを結んだ形状に形成される。したがって、本実施形態において、折取端部24は、第1主面21に対して傾斜している内壁面51a、水晶振動片20の側面と略平行である破断面23、および第2主面22と連続している第2主面42を面として含んだ外形を有する。なお、破断面23は、応力によって破断された面であるため、エッチング処理によって形成された第1主面21、第2主面22、および内壁面51aと比較して粗い面(粗面)となる。
【0033】
このような構成であれば、凹部5の底部52と段差部6の立ち上がり点61の位置の特定によって、水晶振動片20の折り取り部の破断領域を制御することができる。すなわち、破断領域が水晶振動片20の振動部(振動領域)に及びにくくなるので、振動子としての外形形状を所望形状に保つことができ、バラツキのない安定した水晶振動片を得ることができる。
【0034】
<第2の実施形態>
図6は、第2の実施形態にかかる連結部204を幅方向(Z´方向)から見た側面図である。
第2の実施形態において、水晶振動片部(圧電振動片部)および支持体部の構成は第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
第2の実施形態では、連結部204は、第1主面241の長手方向の水晶振動片部202側の端部に厚み方向に凹となる凹部205を有する。凹部205は、連結部204を幅方向に貫通するように形成されており、一対の内壁面251a、251bと、一対の内壁面251a、251bどうしを接続する底部252とで構成されている。
【0035】
本実施形態における一対の内壁面251a、251bは、一方の内壁面251aが水晶振動片部202の第1主面221から第1主面221に対して直角となるように形成されており、他方の内壁面251bが連結部204の第1主面241から第1主面241に対して直角となるように形成されている。言い換えると、内壁面251a、251bは、連結部204の厚み方向(Y´方向)と平行に形成されている。そして、内壁面251a、251bは、底部252によって互いに接続されている。したがって、本実施形態における底部252は、面として形成されている。
【0036】
また、本実施形態では、内壁面251aの高さ(長さ)が内壁面251bの高さ(長さ)よりも低く(短く)なるように形成されている。言い換えると、支持体部(図示せず)側の内壁面251bの高さ(長さ)が、水晶振動片部202側の内壁面251aの高さ(長さ)よりも高く(長く)なるように形成されている。さらに言い換えると、水晶振動片部202の第1主面221が連結部204の第1主面241が厚み方向において低い位置に形成されている。このような構成であれば、第1の実施形態と比較して連結部204の強度をより高くすることができる。
【0037】
また、本実施形態における段差部206は、第1の実施形態と同様に、連結部204の幅方向(Z´方向)に全幅にわたって形成され、第2主面242上に立ち上がり点261を有する。また、段差部206は、立ち上がり点261からほぼ直角に立ち上がって形成され、所定の高さを維持したまま支持体部(図示せず)と接続されている。
【0038】
本実施形態における立ち上がり点261は、第2主面242において底部252と対向する位置に配置されている。本実施形態では、底部252が面であるため、立ち上がり点262の位置を底部252と対向する領域R1の範囲内における任意の位置とすることができる。また、本実施形態においては、底部252と対向する領域R1は、凹部205と対向する領域と等しくなる。
【0039】
<第3の実施形態>
図7は、第3の実施形態にかかる連結部304を幅方向(Z´方向)から見た側面図である。
第3の実施形態において、水晶振動片部(圧電振動片部)および支持体部の構成は第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
第3の実施形態では、連結部304は、第1主面341の長手方向の水晶振動片部302側の端部に厚み方向に凹となる凹部305を有する。凹部305は、連結部304を幅方向に貫通するように形成されており、一対の内壁面351a、351bと、一対の内壁面351a、351bどうしを接続する底部352とで構成されている。
【0040】
本実施形態における一対の内壁面351a、351bは、水晶振動片部302側の内壁面である内壁面351aが水晶振動片部302の第1主面321に対して傾斜する傾斜面として形成されており、支持体部(図示せず)側の内壁面である内壁面351bが連結部304の第1主面341から第1主面341に対して直角に形成されている。そして、本実施形態における底部352は、面として形成されている。なお、本実施形態とは異なり、内壁面351aが水晶振動片部302の第1主面321に対して直角に形成され、内壁面351bが第1主面341に対して傾斜する傾斜面として形成されていてもよい。
【0041】
また、本実施形態における段差部306は、第1の実施形態と同様に、連結部304の幅方向(Z´方向)に全幅にわたって形成され、第2主面342上に立ち上がり点361を有する。また、段差部306は、立ち上がり点361からほぼ直角に立ち上がって形成され、所定の高さを維持したまま支持体部(図示せず)と接続されている。
【0042】
本実施形態における立ち上がり点361は、第2主面342において、凹部305と対向する領域R2の範囲内の任意の位置に配置されている。
【0043】
<第4の実施形態>
図8は、第4の実施形態にかかる連結部404を幅方向(Z´方向)から見た側面図である。
第4の実施形態において、水晶振動片部(圧電振動片部)および支持体部の構成は第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
第4の実施形態では、連結部404は、第1主面441の長手方向の水晶振動片部402側の端部に厚み方向に凹となる凹部405を有する。凹部405は、連結部404を幅方向に貫通するように形成されており、一対の内壁面451a、451bと、一対の内壁面451a、451bどうしを接続する底部452とで構成されている。本実施形態では、一対の内壁面451a、451bの内、水晶振動片部402側に形成されている面を内壁面451aとし、支持体部(図示せず)側に形成された面(内壁面451aと対向する面)を内壁面452bとした。
【0044】
本実施形態における一対の内壁面451a、451bは、底部452に近づくにつれて互いに近接するような、水晶振動片部402の第1主面421(連結部404の第1主面441)に対して傾斜する傾斜面として形成され、底部452において互いに接続されている。すなわち、本実施形態における凹部405は、断面視で底部452を1つの頂点とする略三角形(逆三角形)の形状を有している。
【0045】
また、本実施形態における段差部406は、第1の実施形態と同様に、連結部404の幅方向(Z´方向)に全幅にわたって形成され、第2主面442上に立ち上がり点461を有する。また、段差部406は、立ち上がり点461からほぼ直角に立ち上がって形成され、所定の高さを維持したまま支持体部(図示せず)と接続されている。
【0046】
本実施形態における立ち上がり点461は、第2主面442において、凹部405と対向する領域の範囲内であって、かつ、底部452と対向する位置から支持体部(図示せず)側の領域R3に設けられている。言い換えると、本実施形態における立ち上がり点461は、第2主面442において、内壁面451bと対向する領域の範囲内に設けられている。
【0047】
図9は、第4の実施形態にかかる折り取られた水晶振動片420の破断面423の形状を説明する説明図である。
第4の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、水晶振動片部402に対して厚み方向に力を加えることで、連結部404を破断させて水晶振動片部402を支持体部(図示せず)から折り取ることができる。折り取られた水晶振動片部402は、水晶振動片420として各種圧電デバイスとして使用することができる。
【0048】
また、連結部404を破断させる際、第1主面441側の破断の端点(折り取り点)は、底部452となる。これは、水晶振動片部402に対して厚み方向に力を加えた場合に、第1主面441側では底部452に最も応力が集中するためである。一方で、第2主面442側の破断の端点(折り取り点)は、立ち上がり点461となる。これは、水晶振動片部402に対して厚み方向に力を加えた場合に、第2主面442側では立ち上がり点461に最も応力が集中するためである。
【0049】
したがって、水晶振動片420は、折り取り付近の端部として、折り取り前の連結部404の水晶振動片部402側の端部に該当する折取端部424を有している。また、折取端部424は、水晶振動片部402が連結部404において折り取られた際の破断面423を外形の一部として有する。そして、破断面423は、折り取り前における底部452と立ち上がり点461とを結んだ形状に形成される。したがって、本実施形態において、折取端部424が、第1主面421との成す角が鈍角である内壁面451a、第2主面442との成す角が鋭角である破断面423、および第2主面422と連続している第2主面442を面として含んだ外形を有する。なお、破断面423は、応力によって破断された面であるため、エッチング処理によって形成された第1主面421、第2主面422、および内壁面451aと比較して粗い面(粗面)となる。
【0050】
<第5の実施形態>
図10は、第5の実施形態にかかる連結部504を幅方向(Z´方向)から見た側面図である。
第5の実施形態において、水晶振動片部(圧電振動片部)および支持体部の構成は第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
第5の実施形態では、連結部504は、第1主面541の長手方向の水晶振動片部502側の端部に厚み方向に凹となる凹部505を有する。凹部505は、連結部504を幅方向に貫通するように形成されており、一対の内壁面551a、551bと、一対の内壁面551a、551bどうしを接続する底部552とで構成されている。本実施形態では、一対の内壁面551a、551bの内、水晶振動片部502側に形成されている面を内壁面551aとし、支持体部(図示せず)側に形成された面(内壁面551aと対向する面)を内壁面551bとした。
【0051】
本実施形態における一対の内壁面551a、551bは、底部552に近づくにつれて互いに近接するような、水晶振動片部502の第1主面521(連結部504の第1主面541)に対して傾斜する傾斜面として形成され、底部552において互いに接続されている。すなわち、本実施形態における凹部505は、断面視で底部552を1つの頂点とする略三角形(逆三角形)の形状を有している。
【0052】
また、本実施形態における段差部506は、第1の実施形態と同様に、連結部504の幅方向(Z´方向)に全幅にわたって形成され、第2主面542上に立ち上がり点561を有する。また、段差部506は、立ち上がり点561からほぼ直角に立ち上がって形成され、所定の高さを維持したまま支持体部(図示せず)と接続されている。
【0053】
本実施形態における立ち上がり点561は、第2主面542において、凹部505と対向する領域の範囲内であって、かつ、底部552と対向する位置から水晶振動片部502側の領域R4に設けられている。言い換えると、本実施形態における立ち上がり点561は、第2主面542において、内壁面551aと対向する領域の範囲内に設けられている。なお、立ち上がり点561が内壁面551aの底部552と異なる側の端部と対向する位置に設けられている場合は、水晶振動片部502の第2主面522が連結部504の第2主面542と同じ役割となる。
【0054】
図11は、第5の実施形態にかかる折り取られた水晶振動片520の破断面523の形状を説明する説明図である。
第5の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、水晶振動片部502に対して厚み方向に力を加えることで、連結部504を破断させて水晶振動片部502を支持体部(図示せず)から折り取ることができる。折り取られた水晶振動片部502は、水晶振動片520として各種圧電デバイスとして使用することができる。
【0055】
また、連結部504を破断させる際、第1主面541側の破断の端点(折り取り点)は、底部552となる。これは、水晶振動片部502に対して厚み方向に力を加えた場合に、第1主面541側では底部552に最も応力が集中するためである。一方で、第2主面542側の破断の端点(折り取り点)は、立ち上がり点561となる。これは、水晶振動片部502に対して厚み方向に力を加えた場合に、第2主面542側では立ち上がり点561に最も応力が集中するためである。
【0056】
したがって、水晶振動片520は、折り取り付近の端部として、折り取り前の連結部504の水晶振動片部502側の端部に該当する折取端部524を有している。また、折取端部524は、水晶振動片部502が連結部504において折り取られた際の破断面523を外形の一部として有する。そして、破断面523は、折り取り前における底部552と立ち上がり点561とを結んだ形状に形成される。したがって、本実施形態において、折取端部524は、第1主面521との成す角が鈍角である内壁面551a、第2主面542との成す角が鈍角である破断面523、および第2主面522と連続している第2主面542を面として含んだ外形を有する。なお、破断面523は、応力によって破断された面であるため、エッチング処理によって形成された第1主面521、第2主面522、および内壁面551aと比較して粗い面(粗面)となる。
【0057】
<第6の実施形態>
図12は、第6の実施形態にかかる連結部604を幅方向(Z´方向)から見た側面図である。
第6の実施形態において、水晶振動片部(圧電振動片部)および支持体部の構成は第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
第6の実施形態では、連結部604は、第1主面641の長手方向の水晶振動片部602側の端部に厚み方向に凹となる凹部605を有する。凹部605は、連結部604を幅方向に貫通するように形成されており、一対の内壁面651a、651bと、一対の内壁面651a、651bどうしを接続する底部652とで構成されている。本実施形態では、一対の内壁面651a、651bの内、水晶振動片部602側に形成されている面を内壁面651aとし、支持体部(図示せず)側に形成された面(内壁面651aと対向する面)を内壁面652bとした。
【0058】
本実施形態における一対の内壁面651a、651bは、底部652に近づくにつれて互いに近接するような、水晶振動片部602の第1主面621(連結部604の第1主面641)に対して傾斜する傾斜面として形成され、底部652において互いに接続されている。すなわち、本実施形態における凹部605は、底部652を1つの頂点とする略三角形(逆三角形)の形状を有している。
【0059】
また、本実施形態における段差部606は、第1の実施形態と同様に、連結部604の幅方向(Z´方向)に全幅にわたって形成され、第2主面642上に立ち上がり点661を有する。また、段差部606は、立ち上がり点661からほぼ直角に立ち上がって形成され、所定の高さを維持したまま支持体部(図示せず)と接続されている。
【0060】
本実施形態における立ち上がり点661は、第2主面642において、凹部605と対向する領域R5の範囲内であって、かつ、内壁面651bの延長線と、第2主面642との交点に設けられている。なお、内壁面651bが直線でなく弧を描く形状である場合は、連結部4の幅方向(Z´方向)から見て、傾斜を有する内壁面651bの両端(底部652側の一端と、開口側の他端)を結ぶ直線の延長線と、第2主面642との交点に立ち上がり点661が設けられている。
【0061】
なお、本実施形態においては、立ち上がり点661は、内壁面651bの延長線と、第2主面642との交点に設けられている構成としたが、例えば、内壁面651aの延長線と、第2主面642との交点に設けられている構成であってもよい。また、内壁面651aが直線でなく弧を描く形状である場合は、連結部4の幅方向(Z´方向)から見て、傾斜を有する内壁面651aの両端(底部652側の一端と、開口側の他端)を結ぶ直線の延長線と、第2主面642との交点に立ち上がり点661が設けられている構成であってもよい。
【0062】
なお、本発明の圧電振動片集合ウェハ1は、段差部6が連結部4の第2主面42から立ち上がる立ち上がり点61を、第2主面42からみて凹部5の底部52と重なる位置か、底部52から圧電振動片部側に配置している構成とすることが好ましい。このような構成であれば、得られた水晶振動片20の折取端部24の外形状が図11に示すような折れ曲がった形状となり、圧電デバイスとして使用した際に、折取端部24が衝撃によって破壊され、異物となることを抑制することができる。また連結部4をより適切な強度とすることができる。
【0063】
また、本発明の圧電振動片集合ウェハ1は、連結部4の幅方向(Z´方向)から見て、立ち上がり点61が傾斜を有する内壁面51aまたは内壁面51bの両端を通る延長線と、連結部4の第2主面42との交点に配置されている構成とすることが好ましい。このような構成であれば、連結部4をより適切な強度とすることができる。さらに、水晶振動片20の破断面23の形状をより確実に制御することができる。
【0064】
なお、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、本発明の圧電振動片集合ウェハ1と、圧電振動片集合ウェハ1を構成する水晶振動片部2、支持体部3、および連結部4と、圧電振動片集合ウェハ1から得られる水晶振動片20は、水晶で形成されている構成としたが、セラミックといった水晶でない圧電振動片として公知の素材によって形成されていてもよい。
【0065】
また、本実施形態においては、圧電振動片部として矩形状のATカット水晶振動片(水晶振動片部2)を例として説明したが、この構成に限定されない。例えば、圧電振動片部は、SCカットのような異なる切断角度を有する水晶板であってもよいし、Z板の水晶板であってもよいし、音叉型形状の水晶板であってもよい。
【0066】
今回開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の圧電振動片集合ウェハおよび圧電振動片は、圧電デバイスの製造および販売の産業に利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1…圧電振動片集合ウェハ
2…水晶振動片部
20…水晶振動片
21…第1主面
22…第2主面
3…支持体部
31…外枠部
32…内枠部
32a…縦内枠部
32b…横内枠部
33…支持体部内領域
4…連結部
41…第1主面
42…第2主面
5…凹部
51a、51b…内壁面
52…底部
6…段差部
61…立ち上がり点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12