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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008492
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】車両用外装品
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/00 20060101AFI20250109BHJP
   H05B 3/20 20060101ALI20250109BHJP
   B60R 13/04 20060101ALI20250109BHJP
   H01Q 1/42 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B60R13/00
H05B3/20 347
B60R13/04 Z
H01Q1/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110714
(22)【出願日】2023-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】深川 鋼司
(72)【発明者】
【氏名】松井 達也
(72)【発明者】
【氏名】橋本 守行
(72)【発明者】
【氏名】奥村 晃司
【テーマコード(参考)】
3D023
3D024
3K034
5J046
【Fターム(参考)】
3D023AA01
3D023AB17
3D023AC11
3D024BA07
3K034AA02
3K034AA06
3K034AA12
3K034AA15
3K034BB08
3K034BB13
3K034JA06
5J046RA03
5J046RA11
5J046RA12
5J046RA14
(57)【要約】
【課題】ヒータ線の断線を抑制する。
【解決手段】車両用外装品としてのミリ波透過カバー12は、本体部14、ヒータシート21及びコネクタ31を備える。ヒータシート21は、本体部14に積層されたシート基材22と、シート基材22に対し本体部14側から配線されたヒータ線24とを備える。コネクタ31は、本体部14に固定されたコネクタハウジング32と、コネクタハウジング32に固定された一対のコネクタピン36とを備える。各コネクタピン36は、電力供給のための機器5が結合される第1接続部37と、コネクタハウジング32の外部で、ヒータ線24の端末部24tが電気的に接続される第2接続部38とを備える。ヒータ線24において、シート基材22に配線された部分のうち、本体部14の厚み方向における一部であり、かつ同方向における全体の50%以上がシート基材22に埋め込まれている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形品からなる板状の本体部と、前記本体部にそれぞれ設けられたヒータシート及びコネクタと、を備え、
前記ヒータシートは、前記本体部に積層されたシート基材と、通電により発熱し、かつ一対の端末部を端部に有するヒータ線と、を備え、
前記ヒータ線のうち、両端末部とは異なる箇所を少なくとも含む部分は、前記シート基材に対し前記本体部側から配線され、
前記コネクタは、前記本体部に固定されたコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングに固定された一対のコネクタピンと、を備え、
各コネクタピンは、電力供給のための機器が結合される第1接続部と、前記第1接続部に接続され、かつ前記コネクタハウジングの外部で、前記ヒータ線の前記端末部が電気的に接続される第2接続部と、を備える車両用外装品であって、
前記ヒータ線において、前記シート基材に配線された部分のうち、前記本体部の厚み方向における一部であり、かつ前記厚み方向における全体の50%以上が前記シート基材に埋め込まれている車両用外装品。
【請求項2】
前記コネクタピン毎の前記第2接続部は、前記厚み方向に対し直交する方向のうち、前記コネクタハウジングから遠ざかる側へ突出する突出部を有しており、
前記シート基材及び各端末部は、前記厚み方向について、前記突出部を挟んで前記本体部とは反対側となる箇所まで延びている請求項1に記載の車両用外装品。
【請求項3】
各突出部には、前記第1接続部から遠い側の端面を起点とし、かつ前記厚み方向における前記シート基材側の面において開口された状態で前記第1接続部側へ延びる溝部が形成されている請求項2に記載の車両用外装品。
【請求項4】
前記ヒータ線は円形の断面を有しており、
前記ヒータ線が前記シート基材に対し埋め込まれた部分の前記厚み方向における寸法をA1とし、前記ヒータ線の直径をB1とし、前記溝部の深さをD1とした場合、
前記寸法A1、前記直径B1及び前記深さD1は、A1+D1>B1の関係を満たす値に設定されている請求項3に記載の車両用外装品。
【請求項5】
前記コネクタハウジングは、前記本体部から前記厚み方向の一方へ突出しており、
前記コネクタハウジングのうち、前記本体部側の端部を基端部とした場合、
前記本体部は、前記コネクタハウジングの突出方向における少なくとも前記基端部を含み、かつ前記コネクタハウジングを取り囲む領域の一部に、前記コネクタハウジングを支える支持部を、自身の一部として有し、
前記コネクタハウジングを取り囲む領域のうち、前記厚み方向について、前記シート基材を挟んで、各突出部とは反対側となる領域をシート背面領域とした場合、
前記支持部は、前記コネクタハウジングを取り囲む領域のうち、前記シート背面領域とは異なる領域に設けられている請求項2に記載の車両用外装品。
【請求項6】
前記厚み方向における各第2接続部の前記本体部側の面と、前記厚み方向における前記シート基材の前記本体部側の面とは、前記厚み方向に対し直交する同一の面上において互いに隣接しており、
各端末部は、前記シート基材から、前記厚み方向における各第2接続部の前記本体部側の面に接触した状態で前記第1接続部側へ延び、かつ各第2接続部に対し電気的に接続され、
各第2接続部には、前記第1接続部から遠い側の端面を起点とし、かつ前記厚み方向における前記本体部側の面において開口された状態で前記第1接続部側へ延びる溝部が形成されている請求項1に記載の車両用外装品。
【請求項7】
前記ヒータ線は円形の断面を有しており、
前記ヒータ線が前記シート基材に対し埋め込まれた部分の前記厚み方向における寸法をA1とし、前記溝部の深さをD2とした場合、
前記寸法A1及び前記深さD2は、D2>A1の関係を満たす値に設定されている請求項6に記載の車両用外装品。
【請求項8】
樹脂成形品からなる板状の本体部と、前記本体部にそれぞれ設けられたヒータシート及びコネクタと、を備え、
前記ヒータシートは、前記本体部に積層されたシート基材と、通電により発熱し、かつ一対の端末部を端部に有するヒータ線と、を備え、
前記ヒータ線のうち、両端末部とは異なる箇所を少なくとも含む部分は、前記シート基材に対し前記本体部側から配線され、
前記コネクタは、前記本体部に固定されたコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングに固定された一対のコネクタピンと、を備え、
各コネクタピンは、電力供給のための機器が結合される第1接続部と、前記第1接続部に接続され、かつ前記コネクタハウジングの外部で、前記ヒータ線の前記端末部が電気的に接続される第2接続部と、を備える車両用外装品であって、
前記コネクタピン毎の前記第2接続部は、前記本体部の厚み方向に対し直交する方向のうち、前記コネクタハウジングから遠ざかる側へ突出する突出部を有しており、
前記シート基材及び各端末部は、前記厚み方向について、前記突出部を挟んで前記本体部とは反対側となる箇所まで延びており、
各突出部には、前記第1接続部から遠い側の端面を起点とし、かつ前記厚み方向における前記シート基材側の面において開口された状態で前記第1接続部側へ延びる溝部が形成されている車両用外装品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用外装品に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の前端部に配置されるエンブレム等の車両用外装品として、融雪機能が付加されたものが種々考えられている(例えば、特許文献1参照)。
この車両用外装品の一形態として、図11及び図12に示すように、樹脂成形品からなる板状の本体部100と、本体部100にそれぞれ設けられたヒータシート102及びコネクタ106とを備えるものがある。ヒータシート102は、本体部100に積層されたシート基材103と、通電により発熱し、かつ一対の端末部105を端部に有するヒータ線104とを備える。ヒータ線104のうち、両端末部105とは異なる箇所は、シート基材103に対し本体部100側から配線される。ヒータ線104のうち、シート基材103に配線された部分は、シート基材103から露出した状態で本体部100側の面上に配線されている。
【0003】
コネクタ106は、本体部100に固定されたコネクタハウジング107と、少なくともコネクタハウジング107に固定された一対のコネクタピン108とを備える。コネクタハウジング107は、本体部100から、同本体部100の厚み方向の一方へ突出する。各コネクタピン108は、電力供給のための機器が結合される第1接続部111と、第1接続部111に接続され、かつコネクタハウジング107の外部で、各端末部105に対し、それぞれ電気的に接続される第2接続部112とを備える。
【0004】
ここで、コネクタハウジング107の外面のうち、上記厚み方向に対し直交する方向(以下、単に「直交方向」という)における両側の面を端面107aというものとする。各第2接続部112のうち、第1接続部111から遠い側の端部112aは、両端面107a間に位置する。シート基材103は、コネクタハウジング107から上記直交方向へ離間している。各端末部105は、シート基材103から上記直交方向へ延び、かつ対応する第2接続部112に対し電気的に接続される。
【0005】
本体部100は、コネクタハウジング107を支える支持部101を、自身の一部として有している。コネクタハウジング107のうち、本体部100側の端部を基端部107bとした場合、支持部101は、コネクタハウジング107の突出方向における少なくとも基端部107bを含み、かつコネクタハウジング107を取り囲む領域Z1に設けられている。支持部101は、コネクタハウジング107に隣接する箇所で、コネクタハウジング107に沿ってコネクタハウジング107の突出方向へ延びている。
【0006】
なお、図11は、コネクタ106と、一対の端末部105との位置関係を示している。図11では、本体部100及びシート基材103の図示が省略されている。
上記構成の従来の車両用外装品の製造に際しては、コネクタ106及びヒータシート102をインサートとして、本体部100がインサート成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6719506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記従来の車両用外装品では、ヒータ線104が断線するおそれがある。例えば、本体部100がインサート成形される際に、金型装置のキャビティに供給された溶融樹脂の流動圧(成形圧)により、ヒータ線104に対し剪断力が加わる。ヒータ線104のうち、シート基材103、コネクタハウジング107及びコネクタピン108といった他の部材によって支えられていない箇所は、上記剪断力によって変形して断線するおそれがある。該当する箇所には、シート基材103から露出した部分が含まれている。
【0009】
また、ヒータ線104のうち、シート基材103に接触している箇所と、接触していない箇所との境界部分には、剪断力により過負荷が加わりやすい。ヒータ線104のうち、コネクタハウジング107に接触している箇所と、接触していない箇所との境界部分にも、上記と同様、剪断力により過負荷が加わりやすい。さらには、ヒータ線104のうち、各第2接続部112に接触している箇所と、接触していない箇所との境界部分にも、上記と同様、剪断力により過負荷が加わりやすい。そして、これらの過負荷により、ヒータ線が断線するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための車両用外装品の各態様を記載する。
[態様1]樹脂成形品からなる板状の本体部と、前記本体部にそれぞれ設けられたヒータシート及びコネクタと、を備え、前記ヒータシートは、前記本体部に積層されたシート基材と、通電により発熱し、かつ一対の端末部を端部に有するヒータ線と、を備え、前記ヒータ線のうち、両端末部とは異なる箇所を少なくとも含む部分は、前記シート基材に対し前記本体部側から配線され、前記コネクタは、前記本体部に固定されたコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングに固定された一対のコネクタピンと、を備え、各コネクタピンは、電力供給のための機器が結合される第1接続部と、前記第1接続部に接続され、かつ前記コネクタハウジングの外部で、前記ヒータ線の前記端末部が電気的に接続される第2接続部と、を備える車両用外装品であって、前記ヒータ線において、前記シート基材に配線された部分のうち、前記本体部の厚み方向における一部であり、かつ前記厚み方向における全体の50%以上が前記シート基材に埋め込まれている車両用外装品。
【0011】
ここで、仮に、ヒータ線がシート基材の面上に配置されていると、車両用外装品の製造に際し、コネクタ及びヒータシートをインサートとして、本体部がインサート成形される場合、次の懸念がある。すなわち、金型装置のキャビティに供給された溶融樹脂の流動圧により、ヒータ線に対し、例えば、シート基材の面に沿う方向等に向かう剪断力が加わる。この剪断力によってヒータ線が、シート基材の面に沿う方向へ引き摺られて変形して断線するおそれがある。
【0012】
この点、上記の構成によれば、ヒータ線のうち、シート基材に配線された部分の一部がシート基材に埋め込まれている。この埋め込まれた分、ヒータ線のうち、シート基材から露出する部分(出っ張り部分)が少なくなる。ヒータ線のうち、シート基材に埋め込まれている部分に対しては、溶融樹脂の流動圧による剪断力が直接加わらない。断力が直接加わるのは、ヒータ線のうち、シート基材から露出する部分(出っ張り部分)である。ヒータ線のうち、剪断力が加わる対象となる箇所は、ヒータ線の全体がシート基材から露出する場合よりも少なくなる。従って、溶融樹脂の流動圧により、ヒータ線に加わる剪断力は、ヒータ線の全体がシート基材から露出している場合よりも小さくなる。また、ヒータ線のうち、シート基材に埋め込まれた部分は、その埋め込まれた箇所に保持される。そのため、ヒータ線が、シート基材の面に沿う方向へ引き摺られて変形する現象が起こりにくくなる。
【0013】
こうした効果は、ヒータ線において、シート基材に配線された部分のうち、本体部の厚み方向における50%以上がシート基材に埋め込まれている場合に好適に得られる。
[態様2]前記コネクタピン毎の前記第2接続部は、前記厚み方向に対し直交する方向のうち、前記コネクタハウジングから遠ざかる側へ突出する突出部を有しており、前記シート基材及び各端末部は、前記厚み方向について、前記突出部を挟んで前記本体部とは反対側となる箇所まで延びている[態様1]に記載の車両用外装品。
【0014】
ここで、仮に、各第2接続部及びシート基材が、上記厚み方向に対し直交する方向に互いに離間していると、車両用外装品の製造に際し、上記のように本体部がインサート成形される場合に、次の懸念がある。すなわち、各端末部のうち、各第2接続部とシート基材との間に位置する部分は、第2接続部にもシート基材にも支えられない。そのため、溶融樹脂の流動圧により、各端末部に対し剪断力が加わった場合に、同端末部が変形して断線するおそれがある。
【0015】
この点、上記の構成によれば、各端末部は、対応する突出部とシート基材とによって、上記厚み方向における両側から挟み込まれる。そのため、溶融樹脂の流動圧による剪断力は、対応する突出部及びシート基材のうち、少なくとも突出部によって受け止められる。各端末部に対し、溶融樹脂の流動圧による剪断力が直接加わることが起こりにくい。その結果、各端末部が変形して断線する現象が起こりにくくなる。
【0016】
[態様3]各突出部には、前記第1接続部から遠い側の端面を起点とし、かつ前記厚み方向における前記シート基材側の面において開口された状態で前記第1接続部側へ延びる溝部が形成されている[態様2]に記載の車両用外装品。
【0017】
上記の構成によれば、各端末部の一部は、各突出部のうち、対応する第1接続部から遠い側の端部の角部に接触する。そのため、車両用外装品の製造に際し、上記のように本体部がインサート成形される場合に、次の懸念がある。すなわち、各端末部は、対応する突出部とシート基材とによって上記厚み方向における両側から挟み込まれている。ヒータシートは金型装置に固定される。そのため、溶融樹脂の流動圧により、各突出部に対し、シート基材側へ押さえ付ける力が加わった場合に、各突出部の角部及びシート基材から、各端末部のうち上記角部に接触している箇所に対し剪断力が加わり、各端末部が断線するおそれがある。
【0018】
この点、上記の構成によれば、各端末部のうち角部に接触する箇所を溝部に入り込ませることで、同箇所に加わる剪断力が緩和され、断線が起こりにくくなる。
[態様4]前記ヒータ線は円形の断面を有しており、前記ヒータ線が前記シート基材に対し埋め込まれた部分の前記厚み方向における寸法をA1とし、前記ヒータ線の直径をB1とし、前記溝部の深さをD1とした場合、前記寸法A1、前記直径B1及び前記深さD1は、A1+D1>B1の関係を満たす値に設定されている[態様3]に記載の車両用外装品。
【0019】
上記の構成によるように、寸法A1、直径B1及び深さD1が、A1+D1>B1の関係を満たすように設定されると、各端末部に対し各突出部及びシート基材から剪断力が加わりにくい。剪断力によって各端末部が断線する現象がより一層抑制される。
【0020】
[態様5]前記コネクタハウジングは、前記本体部から前記厚み方向の一方へ突出しており、前記コネクタハウジングのうち、前記本体部側の端部を基端部とした場合、前記本体部は、前記コネクタハウジングの突出方向における少なくとも前記基端部を含み、かつ前記コネクタハウジングを取り囲む領域の一部に、前記コネクタハウジングを支える支持部を、自身の一部として有し、前記コネクタハウジングを取り囲む領域のうち、前記厚み方向について、前記シート基材を挟んで、各突出部とは反対側となる領域をシート背面領域とした場合、前記支持部は、前記コネクタハウジングを取り囲む領域のうち、前記シート背面領域とは異なる領域に設けられている[態様2]~[態様4]のいずれか1つに記載の車両用外装品。
【0021】
ここで、コネクタハウジングを本体部に支持する支持部が仮に、シート背面領域に設けられると、車両用外装品の製造に際し、上記のように本体部がインサート成形される場合、次の懸念がある。すなわち、溶融樹脂の一部が、上記シート背面領域で流動したときに、溶融樹脂の流動圧により、各端末部に対し剪断力が、直接又はシート基材を介して加わる。この剪断力により、各端末部が変形して断線するおそれがある。
【0022】
この点、上記の構成によれば、支持部は、コネクタハウジングを取り囲む領域のうち、シート背面領域とは異なる領域に設けられる。支持部は、シート背面領域には設けられない。そのため、上記インサート成形時には、溶融樹脂は、シート背面領域で流動しない。溶融樹脂の流動圧により、各端末部に対し剪断力が、直接又はシート基材を介して加わる現象が起こりにくい。その結果、各端末部が変形して断線する現象が起こりにくくなる。
【0023】
[態様6]前記厚み方向における各第2接続部の前記本体部側の面と、前記厚み方向における前記シート基材の前記本体部側の面とは、前記厚み方向に対し直交する同一の面上において互いに隣接しており、各端末部は、前記シート基材から、前記厚み方向における各第2接続部の前記本体部側の面に接触した状態で前記第1接続部側へ延び、かつ各第2接続部に対し電気的に接続され、各第2接続部には、前記第1接続部から遠い側の端面を起点とし、かつ前記厚み方向における前記本体部側の面において開口された状態で前記第1接続部側へ延びる溝部が形成されている[態様1]に記載の車両用外装品。
【0024】
ここで、シート基材には、上記厚み方向におけるヒータ線の一部が埋め込まれている。これに対し、各第2接続部では、各端末部の全体が、上記厚み方向における同第2接続部の本体部側の面上に位置する。各端末部は、シート基材から出て、対応する第2接続部の上記面上に乗り上げたような状態となる。
【0025】
従って、ヒータ線のうち、シート基材に埋まっている部分(配線部分)と、第2接続部の上記面上に位置する部分(端末部)とは、上記厚み方向に互いにずれた箇所に位置する。各端末部の一部は、各第2接続部のうち、対応する各第1接続部から遠い側の端部の角部に接触する。各第2接続部とシート基材との境界部分では、各端末部が、上記厚み方向における各第2接続部及びシート基材のそれぞれの本体部側の面に対し傾斜した状態となる。
【0026】
そのため、各第2接続部の角部から、各端末部のうち同角部に接触している箇所に対し剪断力が加わり、同端末部が断線するおそれがある。
この点、上記の構成によれば、各端末部のうち、各第2接続部の端部の角部に接触する箇所を溝部に入り込ませることで、各第2接続部とシート基材との境界部分では、各端末部が、上記厚み方向における各第2接続部及びシート基材のそれぞれの本体部側の面に対し傾斜する程度が緩やかになる。各端末部に加わる剪断力が緩和され、断線が起こりにくくなる。
【0027】
[態様7]前記ヒータ線は円形の断面を有しており、前記ヒータ線が前記シート基材に対し埋め込まれた部分の前記厚み方向における寸法をA1とし、前記溝部の深さをD2とした場合、前記寸法A1及び前記深さD2は、D2>A1の関係を満たす値に設定されている[態様6]に記載の車両用外装品。
【0028】
上記の構成によるように、深さD2が寸法A1よりも大きいと、各端末部のうち、各第2接続部の端部の角部に接触する箇所に対し、同角部から剪断力が加わりにくい。従って、剪断力によって各端末部が断線する現象がより一層抑制される。
【0029】
[態様8]樹脂成形品からなる板状の本体部と、前記本体部にそれぞれ設けられたヒータシート及びコネクタと、を備え、前記ヒータシートは、前記本体部に積層されたシート基材と、通電により発熱し、かつ一対の端末部を端部に有するヒータ線と、を備え、前記ヒータ線のうち、両端末部とは異なる箇所を少なくとも含む部分は、前記シート基材に対し前記本体部側から配線され、前記コネクタは、前記本体部に固定されたコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングに固定された一対のコネクタピンと、を備え、各コネクタピンは、電力供給のための機器が結合される第1接続部と、前記第1接続部に接続され、かつ前記コネクタハウジングの外部で、前記ヒータ線の前記端末部が電気的に接続される第2接続部と、を備える車両用外装品であって、前記コネクタピン毎の前記第2接続部は、前記本体部の厚み方向に対し直交する方向のうち、前記コネクタハウジングから遠ざかる側へ突出する突出部を有しており、前記シート基材及び各端末部は、前記厚み方向について、前記突出部を挟んで前記本体部とは反対側となる箇所まで延びており、各突出部には、前記第1接続部から遠い側の端面を起点とし、かつ前記厚み方向における前記シート基材側の面において開口された状態で前記第1接続部側へ延びる溝部が形成されている車両用外装品。
【0030】
ここで、仮に、各第2接続部とシート基材とが、本体部の厚み方向に対し直交する方向に互いに離間していると、車両用外装品の製造に際し、コネクタ及びヒータシートをインサートとして、本体部がインサート成形される場合に、次の懸念がある。すなわち、ヒータ線の各端末部のうち、各第2接続部とシート基材との間に位置する部分は、各第2接続部にもシート基材にも支えられない。そのため、金型装置のキャビティを流動する溶融樹脂の流動圧により、各端末部に対し剪断力が加わった場合に、各端末部が変形して断線するおそれがある。
【0031】
また、各端末部の一部は、各突出部のうち、各第1接続部から遠い側の端部の角部に接触する。そのため、本体部が上記のようにインサート成形される場合に、次の懸念がある。すなわち、各端末部は、各突出部とシート基材とによって上記厚み方向における両側から挟み込まれる。ヒータシートは金型装置に固定される。そのため、溶融樹脂の流動圧により、各突出部に対し、シート基材側へ押さえ付ける力が加わった場合に、各突出部の角部及びシート基材から、各端末部のうち同角部に接触している箇所に対し剪断力が加わり、各端末部が断線するおそれがある。
【0032】
この点、上記の構成によれば、各端末部は、各突出部とシート基材とによって、上記厚み方向における両側から挟み込まれる。そのため、溶融樹脂の流動圧による剪断力は、各突出部及びシート基材のうち、少なくとも各突出部によって受け止められる。各端末部に対し、溶融樹脂の流動圧による剪断力が直接加わることが起こりにくい。その結果、各端末部が変形して断線する現象が起こりにくくなる。
【0033】
また、各端末部のうち角部に接触する箇所を溝部に入り込ませることで、同箇所に加わる剪断力が緩和され、断線が起こりにくくなる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、ヒータ線の断線を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】車両用外装品をミリ波透過カバーに具体化した第1実施形態において、同ミリ波透過カバーの一部を、ミリ波レーダ装置等とともに示す部分断面図である。
図2図1のミリ波透過カバーの一部を拡大して示す部分断面図である。
図3】第1実施形態におけるヒータシートの斜視図である。
図4図2の4-4線断面図である。
図5】第1実施形態におけるコネクタピンにヒータ線が接合された状態を示す部分背面図である。
図6】第1実施形態におけるコネクタピンの背面図である。
図7図6の7-7線断面図である。
図8】コネクタピンに溝部が設けられない場合のミリ波透過カバーの部分断面図である。
図9】第1実施形態において、金型装置を用いて本体部をインサート成形する様子を説明する部分断面図である。
図10】第2実施形態のミリ波透過カバーの一部を拡大して示す部分断面図である。
図11】従来の車両用外装品におけるコネクタと、ヒータ線における一対の端末部との位置関係を説明する部分斜視図である。
図12】従来の車両用外装品の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(第1実施形態)
以下、車両用外装品をミリ波透過カバーに具体化した第1実施形態について、図1図9を参照して説明する。
【0037】
なお、以下の記載に関し、車両10の前進方向を前方とし、かつ後進方向を後方として説明する。また、上下方向は車両10の上下方向を意味する。左右方向は、車幅方向であり、かつ車両10の前進時の左右方向と一致するものとする。また、各図では、ミリ波透過カバー12における各部を認識可能な大きさとするために、各部の縮尺を適宜変更して図示している。
【0038】
図1に示すように、車両10の前部の左右方向における中央部分には、車外の物体を検出するための電磁波を送信及び受信するセンサ装置として、前方監視用のミリ波レーダ装置11が配置されている。ミリ波レーダ装置11は、電磁波におけるミリ波を車外のうち、前方へ向けて送信し、かつ、車外の物体に当たって反射されたミリ波を受信する機能を有する。
【0039】
上述したように、ミリ波レーダ装置11が車両10の前方に向けてミリ波を送信することから、ミリ波レーダ装置11によるミリ波の送信方向は、車両10の後方から前方へ向かう方向である。ミリ波の送信方向における前方は、車両10の前方と概ね合致する。ミリ波の送信方向における後方は、車両10の後方と概ね合致する。このため、以下の記載では、ミリ波の送信方向における前方を単に「前方」、「前」等という。また、ミリ波の送信方向における後方を単に「後方」、「後」等というものとする。
【0040】
ミリ波レーダ装置11の前方にはミリ波透過カバー12が配置されている。ミリ波透過カバー12は、前面が車両10の前方を向き、かつ後面が車両10の後方を向くように、起立した状態で配置される。
【0041】
ミリ波透過カバー12は、樹脂成形品からなる本体部14と、本体部14にそれぞれ設けられたヒータシート21及びコネクタ31とを備えている。次に、ミリ波透過カバー12を構成する各部材の基本構成について説明する。
【0042】
<本体部14>
図2に示すように、本体部14はミリ波透過性を有している。本体部14は、樹脂材料を用いて樹脂成形を行うことによって板状に形成されている。ミリ波透過カバー12は、本体部14の厚み方向を前後方向に合致させた状態で、車両10に取り付けられる。従って、第1実施形態では、本体部14の厚み方向と前後方向とが合致する。
【0043】
本体部14の上記樹脂材料としては、例えば、PP(ポリプロピレン)樹脂、PC(ポリカーボネート)樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合)樹脂、AES(アクリロニトリル-エチレン-スチレン共重合)樹脂等が挙げられる。そのほかにも、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂、ASA(アクリロニトリル-スチレン-アクリレート共重合)樹脂、ASA樹脂を含むPMMA樹脂等も挙げられる。第1実施形態では、本体部14は、ABS樹脂によって形成されている。
【0044】
<ヒータシート21>
図2及び図3に示すように、ヒータシート21は、ミリ波透過性を有するシート基材22と、通電により発熱するヒータ線24とを備えている。
【0045】
シート基材22は、樹脂材料によって板状に形成されている。シート基材22の樹脂材料としては、本体部14と同様の樹脂材料を用いることができる。こうすることで、シート基材22と本体部14との密着性を確保できる。さらに、シート基材22が本体部14と同様にABS樹脂によって形成された場合には、飽和吸水量を少なくすることができる。シート基材22に含まれる水分によるシート基材22の厚み方向の膨張を抑制できるため、シート基材22のミリ波透過性を好適に維持することができる。
【0046】
シート基材22は、本体部14のうち、例えば、ミリ波の透過する領域を含む領域であり、かつ本体部14の上記厚み方向における一方側、ここでは後側となる箇所において、本体部14に接触した状態で積層されている。
【0047】
ヒータ線24は、抵抗線、すなわち一般的に電気抵抗の大きいとされるニクロム線等の導線によって形成されている。ヒータ線24は、円形の断面を有している(図4参照)。ヒータ線24は、一対の端末部24tを端部に有している。両端末部24tは、第1実施形態では、ヒータ線24の最下部に位置し、かつ上下方向へ延びている。
【0048】
ヒータ線24のうち、両端末部24tとは異なる箇所を少なくとも含む部分、第1実施形態ではヒータ線24の全体は、シート基材22に対し、上記厚み方向における本体部14側、ここでは前側から配線されている。ヒータ線24のうち、両端末部24tとは異なる箇所は、所定の配線パターンで配線されている。配線パターンには特に制約はないが、例えば、互いに平行に延びる複数の直線部と、隣り合う直線部の端部同士を連結する複数の連結部とを有する配線パターンを採用できる。
【0049】
<コネクタ31>
図2に示すように、コネクタ31は、本体部14に固定されたコネクタハウジング32と、コネクタハウジング32に固定された一対(図1及び図2では一方のみ図示)のコネクタピン36とを備えている。
【0050】
[コネクタハウジング32]
コネクタハウジング32は、電気絶縁性を有する材料、例えば、AES樹脂等の樹脂材料によって形成されている。
【0051】
コネクタハウジング32は、本体部14のうち、例えば、ミリ波の透過する領域から外れた領域であり、かつ上記厚み方向における本体部14の一方側、ここでは、後側となる箇所に設けられている。第1実施形態では、コネクタハウジング32は、ヒータ線24において、両端末部24tとは異なる箇所よりも下方となる箇所に配置されている。
【0052】
コネクタハウジング32は、本体部14から上記厚み方向における一方、ここでは、後方へ突出している。コネクタハウジング32には、その後面において開放されて前方へ凹む凹部33が形成されている。
【0053】
なお、コネクタハウジング32は、上記AES樹脂に代えて、ASA樹脂、PC樹脂、PC樹脂及びABS樹脂のポリマーアロイ等によって形成されてもよい。
[コネクタピン36]
図2及び図6に示すように、両コネクタピン36は、金属等の導電性材料によって、互いに同一形状に形成されている。各コネクタピン36は、コネクタハウジング32の前端部から後方へ延びる板状の第1接続部37と、第1接続部37の前端部から上方へ延びる板状の第2接続部38とを備えている。各コネクタピン36では、第1接続部37と第2接続部38とが繋がっている。こうした構成を有する各コネクタピン36は、L字状をなしている。各コネクタピン36は、例えば、金属板を所定形状に打ち抜き、L字状に曲げ加工することによって形成されている。
【0054】
コネクタピン36毎の第1接続部37の少なくとも一部は、コネクタハウジング32に対し、埋設された状態で固定されている。図2では、図示されていないが、第1接続部37の後端部を含む一部は、上記凹部33に露出している。そして、図1に示すように、電力供給のための機器5のコネクタ6が、凹部33においてコネクタハウジング32に結合されると、コネクタピン36に対し、機器5が電気的に接続される。
【0055】
図2及び図5に示すように、コネクタピン36毎の第2接続部38は、コネクタハウジング32の外部に露出している。各第2接続部38に対しては、ヒータ線24の対応する端末部24tが接触させられている。各端末部24tは、ヒュージング接合等の接合方法によって、対応する第2接続部38に対し、電気的に接続された状態で接合されている。ヒュージング接合は、電極の抵抗発熱により各端末部24tの被膜を剥離し、対応する第2接続部38に熱圧接を行う接合方法である。
【0056】
<本体部14によるコネクタハウジング32の支持構造>
ここで、図2に示すように、コネクタハウジング32のうち、前端部を基端部32aとする。本体部14は、コネクタハウジング32を支える支持部15を、自身の一部として有している。支持部15は、コネクタハウジング32の突出方向における少なくとも基端部32aを含み、かつコネクタハウジング32を取り囲む領域Z1の一部に設けられている。支持部15は、コネクタハウジング32に隣接する箇所で、コネクタハウジング32に沿って、コネクタハウジング32の突出方向、ここでは後方へ延びている。
【0057】
ミリ波透過カバー12は、上述した構成に加え、本体部14等を車両10の前部に取り付けるための取り付け部(図示略)を備えている。取り付け部は、クリップ、ビス、係合爪等によって構成されている。
【0058】
上記構成のミリ波透過カバー12の製造に際しては、コネクタ31及びヒータシート21をインサートとして、本体部14がインサート成形される(図9参照)。
以上が、ミリ波透過カバー12の基本構造である。次に、第1実施形態の特徴について説明する。
【0059】
<特徴1>
図2及び図4に示すように、ヒータ線24のうち、シート基材22に配線された部分を配線部分24aとする。上記厚み方向(前後方向)における配線部分24aの一部は、シート基材22に埋め込まれている。埋め込みの対象となる部分は、上記厚み方向(前後方向)における全体の50%以上である。上記厚み方向(前後方向)における配線部分24aの残部は、シート基材22から本体部14側、ここでは前側へ露出している。シート基材22に埋め込まれる部分が多い方がヒータ線24の断線を抑制するうえで有効である。ただし、埋め込まれる部分が少なくとも50%あれば、ヒータ線24の断線を抑制する効果は十分得られる。
【0060】
なお、上記厚み方向(前後方向)における配線部分24aの一部をシート基材22に埋め込む方法としては、例えば、所定の配線パターンに形成された形態のヒータ線24を加熱しながらシート基材22に押し当てる方法が挙げられる。ただし、この方法は一例にすぎず、他の方法が採用されてもよい。
【0061】
<特徴2>
図2及び図5に示すように、コネクタピン36毎の第2接続部38は、突出部38aを有している。各突出部38aは、上記厚み方向(前後方向)に対し直交する方向(以下、単に「直交方向」という)であり、かつコネクタハウジング32から遠ざかる側へ突出している。第1実施形態では、各突出部38aはコネクタハウジング32から上側へ突出している。ここでは、上下方向が直交方向になる。
【0062】
シート基材22及び各端末部24tは、上記厚み方向(前後方向)について、突出部38aを挟んで本体部14とは反対側である後側となる箇所まで延びている。こうした構成により、シート基材22及び各端末部24tは、突出部38aに対し、上記直交方向(上下方向)に重なっている。
【0063】
シート基材22及び各端末部24tのコネクタハウジング32側の端部、ここでは下端部は、コネクタハウジング32に接触している、又は、接近した箇所に位置している。
各端末部24tは、対応する突出部38aの後面38rに接触している。上述したように、各端末部24tは、ヒュージング接合等の接合方法によって、各突出部38aのうち、凹凸の少ない平坦な箇所に対し、電気的に接続された状態で接合されている。
【0064】
なお、上記接合は、シート基材22に設けられた窓部23において行なわれる。窓部23には、接合された箇所への水の侵入を規制する止水部25が設けられる。止水部25は、例えばポッティング材が窓部23に充填されることにより形成されている。
【0065】
<特徴3>
図2及び図7に示すように、各突出部38aには、対応する第1接続部37から遠い側の端面を起点とし、かつ上記厚み方向(前後方向)におけるシート基材22側の面において開口された状態で第1接続部37側へ延びる溝部41が形成されている。第1実施形態では、溝部41は、第2接続部38の上端面38tを起点とし、かつ第2接続部38の後面38rにおいて開口された状態で下方へ延びている。
【0066】
各端末部24tの一部は、上記溝部41に入り込んでいる。各端末部24tの一部とは、対応する第1接続部37から遠い側の端部、ここでは第2接続部38の上端部の角部38cに接触する部分及びその近傍部分である。
【0067】
<特徴4>
ここで、図4及び図7に示すように、ヒータ線24がシート基材22に対し埋め込まれた部分の上記厚み方向(前後方向)における寸法をA1とする。ヒータ線24の直径をB1とし、溝部41の深さをD1とする。
【0068】
寸法A1、直径B1及び深さD1は、式(1)の関係を満たす値に設定されることが好ましい。
A1+D1>B1・・・式(1)
<特徴5>
ここで、図2に示すように、コネクタハウジング32を取り囲む上記領域Z1のうち、上記厚み方向(前後方向)について、シート基材22を挟んで、突出部38aとは反対側、ここでは後側となる領域をシート背面領域Z1aとする。支持部15は、領域Z1のうち、シート背面領域Z1aとは異なる領域に設けられている。
【0069】
次に、上記のように構成された第1実施形態の作用について説明する。
<ミリ波透過カバー12の取り付け>
ミリ波透過カバー12の車両10への取り付けに際しては、図1に示すように、ミリ波透過カバー12が起立させられた状態で、車両10の前部であって、ミリ波レーダ装置11の前方に配置される。ミリ波透過カバー12は、取り付け部において、車両10に取り付けられる。
【0070】
上記ミリ波透過カバー12のコネクタ31に対しては、機器5のコネクタ6が装着される。ヒータ線24が各コネクタピン36を介して機器5に対し電気的に接続される。
<ミリ波透過カバー12の作用>
ミリ波レーダ装置11からミリ波が前方へ送信されると、そのミリ波は、ミリ波透過カバー12の透過領域における各部を透過する。この透過したミリ波は、車両10の前方の物体、例えば、先行車両、歩行者等に当たって反射された後、再びミリ波透過カバー12の各部を透過した後にミリ波レーダ装置11によって受信される。ミリ波レーダ装置11では、送信及び受信された上記ミリ波に基づいて、物体の認識や、物体と車両10との距離及び相対速度等の検出が行われる。
【0071】
ところで、ミリ波透過カバー12に氷雪が付着すると、ミリ波が減衰され、ミリ波レーダ装置11の検出性能が低下するおそれがある。そこで、この場合には、図1及び図2に示すように、機器5からの電力が、機器5のコネクタ6と、ミリ波透過カバー12のコネクタ31における各コネクタピン36とを介してヒータ線24に供給される。ヒータ線24が通電により発熱すると、その熱の一部は、ミリ波透過カバー12の各部に伝達される。この熱により、ミリ波透過カバー12に付着している氷雪や、付着する氷雪が融解されるため、氷雪の付着に起因するミリ波の減衰が抑制される。
【0072】
<ヒータ線24のシート基材22への埋め込みによる作用>
ここで、仮に、上記厚み方向における配線部分24aの全体がシート基材22上に配置されていると、ミリ波透過カバー12の製造に際し、コネクタ31及びヒータシート21をインサートとして本体部14がインサート成形される場合、次の懸念がある。すなわち、金型装置51のキャビティ52(図9参照)に供給された溶融樹脂の流動圧(成形圧)により、ヒータ線24に対し、シート基材22の前面22fに沿う方向の剪断力が加わる。この剪断力によってヒータ線24が、上記前面22fに沿う方向へ引き摺られて変形し、断線するおそれがある。
【0073】
この点、図4及び図9に示すように、第1実施形態では、本体部14の上記厚み方向(前後方向)における配線部分24aの一部であり、かつ全体の50%以上がシート基材22に埋め込まれている。この埋め込まれた分、配線部分24aのうち、シート基材22から露出する部分(出っ張り部分)が少なくなる。配線部分24aのうち、シート基材22に埋め込まれている部分には、溶融樹脂の流動圧による剪断力が直接加わらない。剪断力が直接加わるのは、配線部分24aのうち、シート基材22から露出する部分(出っ張り部分)である。ヒータ線24のうち、剪断力が加わる対象となる箇所は、配線部分24aの全体がシート基材22から露出していてシート基材22によって支えられていない場合よりも少ない。従って、溶融樹脂の流動圧により、配線部分24aに加わる剪断力は、配線部分24aの全体がシート基材22から露出している場合よりも小さくなる。また、配線部分24aのうち、シート基材22に埋め込まれた部分は、その埋め込まれた箇所に保持される。
【0074】
そのため、出っ張り部分に対し、シート基材22の前面22fに沿う方向の剪断力が加わっても、配線部分24aは、配線された形状を維持する。配線部分24aが、上記前面22fに沿う方向へ引き摺られて変形する現象が起こりにくくなる。
【0075】
<コネクタピン36とシート基材22とが重なっていることによる作用>
ここで、仮に、各突出部38aと、シート基材22とが、上記直交方向(上下方向)に互いに離間していると、ミリ波透過カバー12の製造に際し、上記のように本体部14がインサート成形される場合に、次の懸念がある。すなわち、各端末部24tのうち、対応する突出部38aとシート基材22との間に位置する部分は、突出部38aにもシート基材22にも支えられない。そのため、溶融樹脂の流動圧により、各端末部24tに対し剪断力が加わった場合に、各端末部24tが変形して断線するおそれがある。
【0076】
この点、第1実施形態では、各端末部24tが、対応する突出部38aに対し上下方向に重なっている。図2及び図9に示すように、各端末部24tは、対応する突出部38aとシート基材22とによって上記厚み方向(前後方向)における両側から挟み込まれる。そのため、溶融樹脂の流動圧による剪断力は、各突出部38a及びシート基材22のうち、少なくとも各突出部38aによって受け止められる。各端末部24tに対して、溶融樹脂の流動圧による剪断力が直接加わることが起こりにくい。その結果、各端末部24tが変形する現象が起こりにくくなる。
【0077】
<コネクタピン36における溝部41の作用>
各端末部24tの一部は、対応する突出部38aのうち、第1接続部37から遠い側の端部(上端部)の角部38cに接触する。
【0078】
そのため、ミリ波透過カバー12の製造に際し、上記のように本体部14がインサート成形される場合に、次の懸念がある。すなわち、図8に示すように、各端末部24tは、対応する突出部38aとシート基材22とによって上記厚み方向(前後方向)における両側から挟み込まれる。ヒータシート21は金型装置51に固定される。そのため、溶融樹脂の流動圧により、各突出部38aに対し、シート基材22側へ押さえ付ける力が加わった場合に、各第2接続部38の角部38cとシート基材22とから、各端末部24tのうち同角部38cに接触している箇所に剪断力が加わる。この剪断力によって、各端末部24tが断線するおそれがある。
【0079】
この点、第1実施形態では、図2及び図5に示すように、各端末部24tのうち角部38cに接触する箇所を溝部41に入り込ませることで、同箇所に加わる剪断力が緩和される。こうした作用は、寸法A1、直径B1及び深さD1が、上記式(1)の関係を満たす値に設定された場合に大きく得られる。
【0080】
<本体部14における支持部15の形状を工夫したことによる作用>
ここで、仮に、図2において二点鎖線で示すように、支持部15がシート背面領域Z1aにも設けられると、ミリ波透過カバー12の製造に際し、上記のように本体部14がインサート成形される場合、次の懸念がある。すなわち、溶融樹脂の一部が、上記シート背面領域Z1aで流動するときに、溶融樹脂の流動圧により、各端末部24tに対し剪断力が、直接又はシート基材22を介して加わる。この剪断力により、各端末部24tが変形して断線するおそれがある。
【0081】
この点、第1実施形態では、図2及び図9に示すように、支持部15は、コネクタハウジング32を取り囲む領域Z1のうち、シート背面領域Z1aとは異なる領域に設けられる。支持部15は、シート背面領域Z1aには設けられない。そのため、上記インサート成形時には、溶融樹脂は、シート背面領域Z1aで流動しない。溶融樹脂の流動圧により、各端末部24tに対し剪断力が、直接又はシート基材22を介して加わる現象が起こりにくい。その結果、各端末部24tが変形する現象が起こりにくくなる。
【0082】
次に、第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)第1実施形態では、図4に示すように、上記厚み方向(前後方向)におけるヒータ線24(配線部分24a)の一部であり、かつ全体の50%以上をシート基材22に埋め込んでいる。
【0083】
そのため、本体部14の樹脂成形時に、溶融樹脂の流動圧によって配線部分24aに剪断力が加わるのを抑制し、配線部分24aの断線を抑制できる。
(1-2)第1実施形態では、図2に示すように、各第2接続部38に突出部38aを設け、シート基材22の一部と各端末部24tとを、対応する突出部38aに対し、上記直交方向(上下方向)に重ねている。各端末部24tを、対応する突出部38aとシート基材22とによって、上記厚み方向(前後方向)における両側から挟み込んでいる。
【0084】
そのため、本体部14の樹脂成形時に、溶融樹脂の流動圧を、各突出部38a及びシート基材22のうち、少なくとも各突出部38aによって受け止めることができる。溶融樹脂の流動圧によって各端末部24tに剪断力が加わるのを抑制し、同端末部24tの断線を抑制できる。
【0085】
(1-3)第1実施形態では、図6及び図7に示すように、第2接続部38の上端面38tを起点とし、かつ後面38rにおいて開口した状態で第1接続部37側(下側)へ延びる溝部41を、各突出部38aに形成している。
【0086】
そのため、本体部14のインサート成形時に、溶融樹脂の流動圧により、各突出部38aに対し、シート基材22側(後側)へ押さえ付ける力が加わっても、角部38cとシート基材22とから、各端末部24tに対し剪断力が加わるのを抑制できる。この点でも、各端末部24tの断線を抑制できる。
【0087】
(1-4)第1実施形態では、図4及び図7に示すように、ヒータ線24の埋め込み部分の寸法A1と、溝部41の深さD1との和を、ヒータ線24の直径B1よりも大きくしている。
【0088】
そのため、各突出部38a及びシート基材22から各端末部24tに対し剪断力が加わりにくくなる。溝部41によって端末部24tの断線を抑制する大きな効果を得ることができる。
【0089】
(1-5)第1実施形態では、コネクタハウジング32を支えるための支持部15を、図2に示すように、コネクタハウジング32を取り囲む領域Z1のうち、シート背面領域Z1aとは異なる領域に設けている。そのため、本体部14のインサート成形時に、溶融樹脂の流動圧により、各端末部24tに対し剪断力が、直接又はシート基材22を介して加わるのを抑制できる。剪断力によって各端末部24tが断線するのを抑制できる。
【0090】
(1-6)第1実施形態では、各端末部24tを、突出部38aのうち、溝部41とは異なる箇所、すなわち、溝部41よりも凹凸の少ない箇所に対し接合している。そのため、ヒュージング接合によって接合を行なう場合には、接合作業がしやすくなる。
【0091】
(第2実施形態)
次に、車両用外装品をミリ波透過カバーに具体化した第2実施形態について、図10を参照して説明する。
【0092】
第2実施形態では、各第2接続部38及びシート基材22の位置関係が第1実施形態と異なっている。より詳しくは、第2実施形態では、第1実施形態の特徴2とは異なり、各第2接続部38が突出部38aを有していない。上記厚み方向(前後方向)における第2接続部38の本体部14側の面、ここでは前面38fと、シート基材22の本体部14側の面、ここでは前面22fとは、上記厚み方向に対し直交する同一の面上において互いに隣接している。
【0093】
従って、第2実施形態では第1実施形態とは異なり、シート基材22の一部と各第2接続部38とが、本体部14の上記直交方向(上下方向)に重なっていない。
第2実施形態では、ヒータ線24のうち、各端末部24tとは異なる箇所(両端末部24tよりも上側の箇所)が、第1実施形態における配線部分24aに該当する。上記厚み方向(前後方向)における配線部分24aの一部であり、かつ全体の50%以上がシート基材22に埋め込まれている点は、第1実施形態の特徴1と同様である。
【0094】
各端末部24tは、シート基材22から、上記厚み方向(前後方向)における第2接続部38の本体部14側の面、ここでは前面38fに接触した状態で、対応する第1接続部37側、ここでは下側へ延びている。各端末部24tは、対応する第2接続部38に対し、第1実施形態と同様の接合方法によって接合されている。各端末部24tは、少なくとも接合部分において、対応する第2接続部38に対し電気的に接続されている。
【0095】
各第2接続部38には溝部42が形成されている。各溝部42は、対応する第1接続部37から遠い側の端面、ここでは上端面38tを起点とする。各溝部42は、上記厚み方向(前後方向)における本体部14側の面、ここでは前面38fにおいて開口した状態で、第1接続部37側、ここでは下側へ延びている。
【0096】
各端末部24tのうち、対応する第2接続部38の上端部の角部38cに接触する部分及びその近傍部分は、上記溝部42に入り込んでいる。
ここで、上記第1実施形態と同様、ヒータ線24がシート基材22に対し埋め込まれた部分の上記厚み方向における寸法をA1とする。溝部42の深さをD2とする。第2実施形態では、第1実施形態の特徴4に代えて、寸法A1及び深さD2が、次の式(2)の関係を満たす値に設定されることが好ましい。
【0097】
D2>A1・・・式(2)
上記以外の構成は第1実施形態と同様である。そのため、第2実施形態において、第1実施形態で説明したものと同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。なお、第1実施形態と同様の構成には、上記特徴5の構成が含まれてもよいし、含まれなくてもよい。
【0098】
次に、第2実施形態の作用について、第1実施形態の作用と異なる点を中心に説明する。
<各コネクタピン36における溝部42の作用>
シート基材22には、上記厚み方向(前後方向)における配線部分24aの一部が埋め込まれている。これに対し、各第2接続部38では、同方向における各端末部24tの全体が前面38f上に位置する。各端末部24tは、シート基材22から出て、対応する前面38f上に乗り上げたような状態となる。
【0099】
従って、ヒータ線24のうち、シート基材22に埋め込まれている部分(配線部分24a)と、各第2接続部38の前面38f上に位置する部分(端末部24t)とは、上記厚み方向(前後方向)に互いにずれた箇所に位置する。各端末部24tの一部は、対応する第2接続部38のうち、対応する第1接続部37から遠い側の端部(上端部)の角部38cに接触する。各第2接続部38とシート基材22との境界部分では、端末部24tが、上記同一の面(前面38f,22f)に対し傾斜した状態となる。
【0100】
そのため、第2接続部38毎の角部38cから、各端末部24tのうち同角部38cに接触している箇所に対し剪断力が加わり、同端末部24tが断線するおそれがある。
この点、第2実施形態では、各端末部24tのうち角部38cに接触する箇所、及びその周辺箇所を溝部42に入り込ませる。こうすることで、各第2接続部38とシート基材22との境界部分では、各端末部24tが上記同一の面(前面38f,22f)に対し傾斜する程度が緩やかになる。各端末部24tに加わる剪断力が緩和され、断線が起こりにくくなる。こうした効果は、寸法A1及び深さD2が、上記式(2)の関係を満たす値に設定された場合に大きく得られる。
【0101】
従って、第2実施形態によっても、第1実施形態における特徴1に対応する(1-1)の効果が同様に得られる。そのほかにも、第2実施形態によると、特徴3に対応する(2-3)の効果、及び特徴4に対応する(2-4)の効果が得られる。
【0102】
(2-3)第2実施形態のミリ波透過カバー12では、各第2接続部38の前面38fと、シート基材22の前面22fとが同一の面上に位置し、かつ互いに隣接している。各端末部24tが、シート基材22から、各第2接続部38の前面38fに接触した状態で下方へ延び、かつ各第2接続部38に対し電気的に接続されている。
【0103】
各第2接続部38には、第1接続部37から遠い側の端面(上端面38t)を起点とし、かつ上記厚み方向における本体部14側の面である前面38fにおいて開口された状態で第1接続部37側(下側)へ延びる溝部42を形成している。
【0104】
そのため、各第2接続部38の角部38cから、各端末部24tのうち同角部38cに接触している箇所に対し剪断力が加わるのを抑制し、各端末部24tの断線を抑制できる。
【0105】
(2-4)第2実施形態では、溝部42の深さD2を、ヒータ線24の埋め込み部分の上記厚み方向における寸法A1よりも大きく設定している。
そのため、各端末部24tのうち、各第2接続部38の端部の角部38cに接触する箇所に対し、同角部38cから剪断力が加わりにくくなる。溝部42によって端末部24tの断線を抑制する大きな効果を得ることができる。
【0106】
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変更例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0107】
<ヒータシート21について>
・第1実施形態において、上記直交方向(上下方向)について、シート基材22及びヒータ線24のそれぞれのコネクタ31側の端部(下端部)は、コネクタハウジング32に接触してもよいし、コネクタハウジング32から離れてもよい。
【0108】
・第1及び第2の各実施形態において、ヒータシート21のシート基材22は本体部14に対し前側から積層されてもよい。この場合、シート基材22は、PC樹脂等の透明な樹脂材料によって形成されることが好ましい。
【0109】
・第1及び第2の各実施形態において、ヒータ線24の各端末部24tは、溝部41,42においてコネクタピン36に対し接合されてもよい。
・第1及び第2の各実施形態において、ヒータ線24の各端末部24tは、ヒュージングとは異なる接合方法によって、コネクタピン36に接合されてもよい。接合方法の変更例としては、例えば、はんだ付け、かしめ等が挙げられる。
【0110】
・第1及び第2の各実施形態において、ヒータシート21におけるヒータ線24の数が複数に変更されてもよい。
・第1実施形態において、ヒータ線24のうち、シート基材22に埋め込まれる部分が、上記厚み方向における全体の50%未満に変更されてもよい。また、極端な場合、ヒータ線24の上記厚み方向における全体が、シート基材22から露出されてもよい。これらの変更例によると、上記(1-1)の効果が得られなくなる、又は得られにくくなる。しかし、(1-2)~(1-5)等の他の効果は得られるため、結果として、ヒータ線24の断線を抑制することは可能である。
【0111】
<コネクタ31について>
・第1実施形態において、溝部41が各端末部24tの断線を抑制する効果は、寸法A1、直径B1及び深さD1が、上記式(1)の関係を満たす値に設定された場合に大きく得られる。しかし、溝部41の深さD1が上記式(1)の関係を満たす値よりも小さな値に設定されてもよい。この場合であっても、断線を抑制する効果は得られる。
【0112】
・第2実施形態において、溝部42が各端末部24tの断線を抑制する効果は、寸法A1及び深さD2が、上記式(2)の関係を満たす値に設定された場合に大きく得られる。しかし、溝部42の深さD2が上記式(2)の関係を満たす値よりも小さな値に設定されてもよい。この場合であっても、断線を抑制する効果は得られる。
【0113】
・ミリ波透過カバー12におけるコネクタ31の位置が、第1及び第2の各実施形態とは異なる位置に変更されてもよい。第1及び第2の各実施形態では、コネクタ31がヒータシート21に対し下方となる箇所に配置されたが、上方となる箇所、右方となる箇所、左方となる箇所等に配置されてもよい。
【0114】
・第1及び第2の各実施形態において、各第2接続部38のうち、第1接続部37から遠い側の端部における角部38cであって、少なくとも端末部24tが接触される箇所に面取り部が形成されてもよい。この変更例によっても、上記溝部41,42と同様に、各第2接続部38の角部38cとシート基材22とから各端末部24tに加わる剪断力を緩和し、ヒータ線24を断線しにくくすることができる。
【0115】
<その他>
・本体部14は、車両10を装飾する機能を有するものであってもよいし、有しないものであってもよい。
【0116】
・第1実施形態において、配線部分24aの上記厚み方向における一部(ただし50%以上)がシート基材22に埋め込まれることを条件に、上記特徴2、特徴3及び特徴5の各構成の少なくとも1つが省略されてもよい。
【0117】
・上記車両用外装品は、車外の物体を検出するための電磁波を送信及び受信するセンサ装置が搭載された車両10に組み込まれ、かつ電磁波の透過性を有する車両用外装品であれば適用可能である。この場合、センサ装置が送信及び受信する電磁波には、上記ミリ波のほかに赤外線等が含まれる。
【0118】
・車外の物体を検出するための電磁波を送信及び受信するセンサ装置は、前方監視用以外にも、後方監視用、前側方監視用、又は後側方監視用の装置であってもよい。この場合、車両用外装品は、電磁波の送信方向における上記センサ装置の前方に配置される。
【0119】
・上記車両用外装品は、車外の物体を検出するための電磁波を送信及び受信するセンサ装置が搭載されない車両10に組み込まれてもよい。この場合、上記車両用外装品は、エンブレム、オーナメント、マーク等、車両10を装飾する機能を有する車両用外装品に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0120】
5…機器
12…ミリ波透過カバー(車両用外装品)
14…本体部
15…支持部
21…ヒータシート
22…シート基材
24…ヒータ線
24t…端末部
31…コネクタ
32…コネクタハウジング
32a…基端部
36…コネクタピン
37…第1接続部
38…第2接続部
38a…突出部
38t…上端面(端面)
41,42…溝部
A1…寸法
B1…直径
D1,D2…深さ
Z1…領域
Z1a…シート背面領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12