(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025000085
(43)【公開日】2025-01-07
(54)【発明の名称】ストロー
(51)【国際特許分類】
A47G 21/18 20060101AFI20241224BHJP
【FI】
A47G21/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099739
(22)【出願日】2023-06-19
(71)【出願人】
【識別番号】509312798
【氏名又は名称】株式会社ファクトリーインプルーブメント
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】池谷 暢昭
【テーマコード(参考)】
3B115
【Fターム(参考)】
3B115AA02
3B115BA18
3B115DA15
(57)【要約】
【課題】製造コストを低く抑えることができるとともに、十分な強度を得ることができる植物由来のストローを提供する。
【解決手段】ストロー10は、植物の茎の筒状部分で構成されたストロー本体12と、植物の茎の節で構成された補強部14とを備える。補強部14は、節の径方向の中央部に形成された貫通孔16を有する環状に形成される。補強部14の内径d2は、ストロー本体12の内径d1よりも小さく定められ、補強部14の厚さt2は、ストロー本体12の厚さt1よりも厚く定められる。貫通孔16の開口面積は、節の横断面積の25%以上かつ60%以下に定められる。補強部14は、ストロー本体12の一方端からストロー本体12の全長の1/3の長さの範囲内に設けられる。ストロー10の使用者は、補強部14を手で把持して、ストロー本体12の一方端部を口でくわえる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の茎の筒状部分で構成されたストロー本体と、
前記茎の節で構成された補強部とを備え、
前記補強部は、前記節の径方向の中央部に形成された貫通孔を有する環状に形成され、
前記補強部の内径は、前記ストロー本体の内径よりも小さく定められ、
前記補強部の厚さは、前記ストロー本体の厚さよりも厚く定められる、ストロー。
【請求項2】
前記貫通孔の開口面積は、前記節の横断面積の25%以上かつ60%以下に定められる、請求項1に記載のストロー。
【請求項3】
前記補強部は、前記ストロー本体の一方端から前記ストロー本体の全長の1/3の長さの範囲内に設けられる、請求項1または2に記載のストロー。
【請求項4】
複数の前記補強部を備える、請求項1または2に記載のストロー。
【請求項5】
2つの前記補強部を備え、
一方の前記補強部は、前記ストロー本体の一方端から前記ストロー本体の全長の1/3の長さの範囲内に設けられ、
他方の前記補強部は、前記ストロー本体の他方端から前記ストロー本体の全長の1/3の長さの範囲内に設けられる、請求項1または2に記載のストロー。
【請求項6】
前記補強部は、使用者の唇の内側部分に引っ掛かる突起状の引掛り部を有するとともに、前記ストロー本体の端部に設けられる、請求項1または2に記載のストロー。
【請求項7】
前記植物は、前記茎の表面を覆う葉鞘を有するイネ科植物であり、
前記ストロー本体の表面には、前記葉鞘で構成された外被が設けられる、請求項1または2に記載のストロー。
【請求項8】
前記外被の先端部は、前記イネ科植物の突起状の葉耳で構成される、請求項7に記載のストロー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック製のストローに代替可能な植物由来のストローに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、環境負荷を低減させるために、プラスチック製のストローに代えて、植物由来のストローの使用が広まっている。下記特許文献1に記載されたストローは、イネ科に属する植物の中空茎が必要な長さに切断されて得られる植物由来のストローである。このストローは、製造コストを低く抑えることができるとともに、使用者が口に含んだときの触感や耐水性に優れている。しかしながら、このストローは、植物の節間部分を用いるため、十分な強度を得ることが困難であり、使用者の手で把持される部分が損傷し易く、液体漏れを生じ易いという問題があった。
【0003】
下記特許文献2に記載されたストローは、筒状の植物性天然素材の内外面に漆塗装が施されて得られる植物由来のストローである。このストローは、内外面に漆塗装が施されているので、使用者の手で把持されても変形しない強度を得ることができる。しかしながら、漆を塗布する作業が面倒であり、製造コストが高くなるという問題があった。
【0004】
なお、特許文献2の実施例に記載されたストローでは、植物性天然素材の節が用いられているが、節には、他の筒状部分の内径と同じ大きさの内径を有する貫通孔が形成されているので、節の補強効果を十分に得ることができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3240679号公報
【特許文献2】実用新案登録第3223326号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明は上記問題に対処するためになされたものであり、製造コストを低く抑えることができるとともに、十分な強度を得ることができる植物由来のストローを提供することを目的とする。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るストローの特徴は、植物の茎の筒状部分で構成されたストロー本体と、前記茎の節で構成された補強部とを備え、前記補強部は、前記節の径方向の中央部に形成された貫通孔を有する環状に形成され、前記補強部の内径は、前記ストロー本体の内径よりも小さく定められ、前記補強部の厚さは、前記ストロー本体の厚さよりも厚く定められることにある。
【0008】
この構成では、補強部の内径は、ストロー本体の内径よりも小さく定められ、補強部の厚さは、ストロー本体の厚さよりも厚く定められるので、補強部の強度は、ストロー本体の強度に比べて高くなる。したがって、使用者の手で補強部が把持された場合でも、補強部は損傷し難く、液体漏れは生じ難い。ストローの製造者は、貫通孔の大きさを調整することによって、補強部の内径および厚さを調整できるので、使用者が液体を吸うときの吸い易さを調整できるとともに、補強部の強度を調整できる。また、節の個体差にかかわらず、補強部の強度を確実に確保できる。
【0009】
本発明に係るストローの他の特徴は、前記貫通孔の開口面積は、前記節の横断面積の25%以上かつ60%以下に定められることにある。
【0010】
この構成では、貫通孔の開口面積が節の横断面積の25%以上に定められるので、液体流路の横断面積を十分に確保でき、使用者が液体を吸うときの吸い易さが損なわれることを防止できる。また、貫通孔の開口面積が節の横断面積の60%以下に定められるので、補強部の強度が損なわれることを防止できる。
【0011】
本発明に係るストローの他の特徴は、前記補強部は、前記ストロー本体の一方端から前記ストロー本体の全長の1/3の長さの範囲内に設けられることにある。
【0012】
この構成では、ストロー本体の補強部を挟んだ両側の部分のうち長い方の部分が飲料に挿し込まれたとき、補強部が使用者の口元の近くに位置するので、使用者は、補強部を手で把持し易い。
【0013】
本発明に係るストローの他の特徴は、複数の前記補強部を備えることにある。
【0014】
この構成では、使用者は、複数の補強部から把持し易い1つを選択して把持できるので、ストローを快適に使用できる。
【0015】
本発明に係るストローの他の特徴は、2つの前記補強部を備え、一方の前記補強部は、前記ストロー本体の一方端から前記ストロー本体の全長の1/3の長さの範囲内に設けられ、他方の前記補強部は、前記ストロー本体の他方端から前記ストロー本体の全長の1/3の長さの範囲内に設けられることにある。
【0016】
この構成では、ストロー本体が飲料に挿し込まれるとき、一方端および他方端のいずれから挿し込まれる場合でも、補強部が使用者の口元の近くに位置するので、使用者は、補強部を手で把持し易い。
【0017】
本発明に係るストローの他の特徴は、前記補強部は、使用者の唇の内側部分に引っ掛かる突起状の引掛り部を有するとともに、前記ストロー本体の端部に設けられることにある。
【0018】
この構成では、使用者は、補強部を口にくわえて、引掛り部を唇の内側部分に引掛けることによって、ストローが口から抜け難くすることができる。
【0019】
本発明に係るストローの他の特徴は、前記植物は、前記茎の表面を覆う葉鞘を有するイネ科植物であり、前記ストロー本体の表面には、前記葉鞘で構成された外被が設けられることにある。
【0020】
この構成では、ストロー本体を外被で補強できるので、ストローの全体が外力を受けた場合でもストロー本体は損傷し難い。また、ストロー本体の表面を外被で覆うことができるので、ストロー本体は汚れ難い。さらに、外被は、葉鞘で構成されているので、使用者の手で簡単に除去できる。
【0021】
本発明に係るストローの他の特徴は、前記外被の先端部は、前記イネ科植物の突起状の葉耳で構成されることにある。
【0022】
この構成では、使用者は、突起状の葉耳で構成された外被の先端部を手で把持し易く、外被を除去し易い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るストローの構成を示す図であり、(A)は断面図、(B)は(A)におけるIB-IB線断面図、(C)は(A)におけるIC-IC線断面図である。
【
図3】(A)はイネ科植物の葉耳を中心とする部分の構成を示す斜視図であり、(B)はイネ科植物の節を中心とする部分の構成を示す断面図である。
【
図4】ストローの製造方法における乾燥工程を示す正面図である。
【
図5】ストローの製造方法における切り出し工程を示す正面図である。
【
図6】ストローの製造方法における穿孔工程を示す断面図である。
【
図7】(A)は第2実施形態に係るストローの構成を示す断面図、(B)は第3実施形態に係るストローの構成を示す断面図である。
【
図8】(A)は第4実施形態に係るストローの構成を示す正面図、(B)は第5実施形態に係るストローの構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るストローの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
本発明の第1実施形態に係るストロー10は、イネ科に属する植物(以下、「イネ科植物」という。)1から得られるため、以下では、まず、イネ科植物1の構成について説明し、続いて、ストロー10の構成について説明する。なお、イネ科植物1の種類は、特に限定されるものではなく、麦、クマザサ、葦、稲およびススキなどの使用が可能であるが、本実施形態では、麦が使用されるものとする。
【0026】
(イネ科植物の構成)
図2は、イネ科植物1の構成を示す正面図である。
図3(A)は、イネ科植物1の葉耳4bを中心とする部分の構成を示す斜視図であり、
図3(B)は、イネ科植物1の節3aを中心とする部分の構成を示す断面図である。
【0027】
図2に示すように、イネ科植物1は、根2と、茎3と、葉4と、多数の籾5aを有する花序5とを備えている。茎3は、複数の節3aと、節3aの両側に延びる複数の筒状部分(節間部分)3bとを有している。
図3(B)に示すように、節3aは、2つの筒状部分3bの間に位置する中実の部分であり、節3aの外径は、多くの場合、筒状部分3bの外径よりも大きくなっている。
【0028】
図3(A)に示すように、葉4は、葉鞘4a、2つの葉耳4b、葉舌4c、葉身4dおよび襟4eを有している。
図3(B)に示すように、葉鞘4aは、茎3の筒状部分3bを包むように筒状に構成されており、葉鞘4aの基端部が節3aに繋がっている。
【0029】
図3(A)に示すように、葉耳4bは、葉鞘4aの先端部に、茎3の表面から径方向へ突出するように突起状に構成されている。葉舌4cは、葉鞘4aの先端部に、茎3の表面に沿うように構成されている。葉身4dは、葉鞘4aの先端部に、茎3から分岐して延びるように構成されている。襟4eは、葉鞘4a、葉耳4b、葉舌4cおよび葉身4dを互いに繋ぐようにC環状に構成されている。
【0030】
上記の通り、イネ科植物1においては、葉鞘4aの基端部が茎3の節3aに繋がっており(
図3(B))、葉鞘4aの先端部がC環状の襟4eによって茎3の筒状部分3bに固定されている(
図3(A))。したがって、葉鞘4aは、茎3の表面から簡単には離脱しないが、茎3および葉4が乾燥した状態であれば、人の手によって、葉鞘4aを茎3の表面から引き剥がしたり、節3aから引きちぎったりすることができる。
【0031】
(第1実施形態に係るストローの構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係るストロー10の構成を示す図であり、
図1(A)は断面図、
図1(B)は
図1(A)におけるIB-IB線断面図、
図1(C)は
図1(A)におけるIC-IC線断面図である。なお、ここでの「断面図」は、ストロー10の全体に対する断面図を意味するものとする。
【0032】
図1(A)に示すストロー10は、
図2に示すイネ科植物1から得られる植物由来のストローであり、茎3の筒状部分3bで構成されたストロー本体12と、茎3の節3aで構成された補強部14とを備えている。
【0033】
ストロー本体12は、飲料が流れる液体流路R(
図1(B))を構成する部分であり、補強部14を挟んだ軸方向の両側に位置する第1部分12aおよび第2部分12bを有している。第1部分12aおよび第2部分12bは、円形の横断面形状を有する筒状に形成されており、これらは補強部14を介して繋がっている。
【0034】
図1(B)に示すストロー本体12(すなわち第1部分12aおよび第2部分12b)の内径d1および外径D1は、
図2に示す筒状部分3bの内径および外径で決まる。本実施形態では、内径d1が3.5~4.5mmの範囲内となり、かつ、外径D1が4.0~5.0mmの範囲内となるように、筒状部分3bが選ばれている。
【0035】
また、
図1(A)に示すストロー本体12の長さLは、
図2に示す筒状部分3bを切り出す長さで決まる。本実施形態では、長さLが100~200mmの範囲内となるように、イネ科植物1(
図2)から材料18(
図5)が切り出される。なお、上記の各数値は、特に限定されるものではなく、適宜変更されてもよい。
【0036】
図1(A)に示す補強部14は、使用者の手で把持される部分であり、使用者の手で把持されたときにストロー10が損傷しないように、ストロー10を補強する機能を有している。本実施形態では、1つの補強部14が、ストロー本体12の一方端からストロー本体12の全長の1/3の長さの範囲内に設けられている。換言すれば、補強部14は、ストロー本体12を液体内に挿し込んだ際に、この液体の水面より上方に位置する部分に形成される。
【0037】
図1(C)に示すように、補強部14は、イネ科植物1の節3a(
図3(B))の径方向の中央部に形成された貫通孔16を有する環状に形成されており、
図1(B)に示す第1部分12aおよび第2部分12bの液体流路Rは、貫通孔16を介して連通されている。
【0038】
図1(C)に示す補強部14の内径d2は、
図1(B)に示すストロー本体12の内径d1よりも小さく定められている。本実施形態では、内径d2が2.0~3.0mmの範囲内となるように貫通孔16の内径が定められている。
図1(C)に示す補強部14の外径D2は、
図3(B)に示す節3aの外径で決まる。本実施形態では、外径D2が4.0~7.0mmの範囲内となるように、節3aが選ばれている。
【0039】
図1(C)に示す補強部14の厚さt2は、
図1(B)に示すストロー本体12の厚さt1よりも厚く定められている。つまり、補強部14の厚さt2がストロー本体12の厚さt1よりも厚くなるように、節3aに形成される貫通孔16の内径が定められている。なお、上記の各数値は、特に限定されるものではなく、適宜変更されてもよい。
【0040】
図1(C)に示す補強部14の貫通孔16の開口面積が、
図3(B)に示す節3aの横断面積の25%未満であれば、
図1(B)に示す液体流路Rの横断面積が狭くなり過ぎるため、使用者が液体を吸うときの吸い易さが損なわれるおそれがある。また、補強部14の貫通孔16の開口面積が節3aの横断面積の60%よりも広ければ、補強部14の強度が損なわれるおそれがある。そこで、本実施形態では、上記の各条件に加えて、補強部14の貫通孔16の開口面積が、節3aの横断面積の25%以上かつ60%以下に定められている。
【0041】
(第1実施形態に係るストローの製造方法)
図4、
図5および
図6は、ストロー10の製造方法を示す図であり、
図4は「乾燥工程」を示す正面図、
図5は「切り出し工程」を示す正面図、
図6は「穿孔工程」を示す断面図である。ストロー10を製造する際には、「乾燥工程」、「切り出し工程」、「「穿孔工程」および「殺菌工程」がこの順に実行される。なお、「殺菌工程」については、図面を省略している。
【0042】
図4に示す「乾燥工程」では、圃場で刈り取られたイネ科植物1が天日干しなどの方法で乾燥される。「乾燥工程」の完了後は、花序5から籾5aを取り外す「脱穀工程」が実行される。なお、「脱穀工程」は、ストロー10の製造方法とは直接関係しないため、省略されてもよい。
図4では、「脱穀工程」で花序5から取り外される前の籾5aが二点鎖線で示されている。
【0043】
図5に示す「切り出し工程」では、乾燥されたイネ科植物1から必要な長さの材料18が切り出されるとともに、材料18から葉4が除去される。なお、
図5では、除去された葉4が二点鎖線で示されている。また、
図5および
図6では、材料18の各部分に付された符号に並べて、ストロー10の対応する部分の符号が括弧付きで付記されている。
【0044】
上記の通り、本実施形態では、ストロー10が1つの補強部14を有しており、ストロー本体12の長さLが100~200mmの範囲内に定められている。したがって、「切り出し工程」では、1つの補強部14を有する材料18が、100~200mmの範囲内の長さでイネ科植物1から切り出される。なお、1つのイネ科植物1から切り出される材料18の数は、特に限定されるものではなく、1つでもよいし、複数でもよい。
【0045】
図6に示す「穿孔工程」では、材料18の節3aの径方向の中央部に、ハンドドリルなどの穿孔具(図示省略)を用いて貫通孔16が形成される。ストロー10の補強部14には、十分な強度を得るための様々な条件が定められているため、貫通孔16の内径は、これらの条件を満たすように定められる。なお、穿孔具の種類は、特に限定されるものではなく、ハンドドリルに代えて電気ドリルなどが用いられてもよい。
【0046】
図示していない「殺菌工程」では、上記の各工程を経て完成したストロー10が殺菌される。ストロー10の殺菌方法は、特に限定されるものではないが、熱湯で煮沸する煮沸消毒や、熱湯をかける熱湯消毒などを用いることができる。
【0047】
(第1実施形態に係るストローの効果)
本実施形態によれば、上記構成により以下の各効果を奏することができる。すなわち、補強部14の内径d2は、ストロー本体12の内径d1よりも小さく定められ、補強部14の厚さt2は、ストロー本体12の厚さt1よりも厚く定められるので、補強部14の強度は、ストロー本体12の強度に比べて高くなる。したがって、使用者の手で補強部14が把持された場合でも、補強部14は損傷し難く、液体漏れは生じ難い。
【0048】
ストロー10の製造者は、貫通孔16の大きさを調整することによって、補強部14の内径d2および厚さt2を調整できるので、使用者が液体を吸うときの吸い易さを調整できるとともに、補強部14の強度を調整できる。また、節3aの個体差にかかわらず、補強部14の強度を確実に確保できる。
【0049】
補強部14に形成された貫通孔16の開口面積が節3aの横断面積の25%以上に定められるので、液体流路Rの横断面積を十分に確保でき、使用者が液体を吸うときの吸い易さが損なわれることを防止できる。また、貫通孔16の開口面積が節3aの横断面積の60%以下に定められるので、補強部14の強度が損なわれることを防止できる。
【0050】
補強部14は、ストロー本体12の一方端からストロー本体12の全長の1/3の長さの範囲内に設けられるので、ストロー本体12の第1部分12aは、第2部分12bよりも短くなっている。したがって、長い方の第2部分12bが飲料に挿し込まれたときには、補強部14が使用者の口元の近くに位置することとなり、使用者は、補強部14を手で把持し易い。
【0051】
(変形例)
図7(A)は、第2実施形態に係るストロー20の構成を示す断面図であり、
図7(B)は、第3実施形態に係るストロー22の構成を示す断面図である。
図8(A)は、第4実施形態に係るストロー24の構成を示す正面図であり、
図8(B)は、第5実施形態に係るストロー26の構成を示す正面図である。
【0052】
本発明の実施にあたっては、上記第1実施形態に限定されず、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。すなわち、上記第1実施形態では、ストロー10が、イネ科植物1を用いて構成されているが、イネ科植物1に代えて、節3aおよび筒状部分3bを有する茎3を備える他の種類の植物が用いられてもよい。
【0053】
上記第1実施形態では、補強部14は、ストロー本体12の一方端からストロー本体12の全長の1/3の長さの範囲内に設けられているが、補強部14の位置は、これに限定されるものではなく、適宜変更されてもよい。また、貫通孔16の開口面積は、節3aの横断面積の25%以上に定められているが、これに限定されるものではなく、適宜変更されてもよい。さらに、ストロー10の他の部分のサイズも適宜変更されてもよい。
【0054】
上記第1実施形態では、補強部14は、使用者の手で把持される部分として構成されているが、
図7(A)に示す第2実施形態に係るストロー20のように、補強部14は、使用者の口にくわえられる部分として構成されてもよい。
【0055】
図7(A)に示すように、第2実施形態に係るストロー20では、補強部14は、ストロー本体12の一方端からの距離が15mm以内の範囲に設けられている。つまり、補強部14は、使用者が口にくわえ易いようにストロー本体12の端部に設けられている。また、補強部14は、ストロー本体12の表面から径方向の外側に突出した環状の突起部14aを有しており、突起部14aの一部が、使用者の唇の内側部分に引っ掛かる引掛り部28となっている。つまり、補強部14が突起状の引掛り部28を有している。
【0056】
この構成では、使用者は、補強部14を口にくわえて、引掛り部28を唇の内側部分に引掛けることによって、ストロー10が口から抜け難くすることができる。
【0057】
上記第1実施形態では、ストロー10が1つの補強部14を備えているが、ストロー10は、複数の補強部14を備えていてもよい。この構成では、使用者は、複数の補強部14から把持し易い1つを選択して把持できるので、ストロー10を快適に使用できる。
【0058】
図7(B)に示す第3実施形態に係るストロー22は、2つの補強部14を備えており、一方の補強部14は、ストロー本体12の一方端からストロー本体12の全長の1/3の長さの範囲内に設けられており、他方の補強部14は、ストロー本体12の他方端からストロー本体12の全長の1/3の長さの範囲内に設けられている。そして、ストロー本体12の一方端と一方の補強部14との間に第1部分12aが位置しており、一方の補強部14と他方の補強部14との間に第2部分12bが位置しており、ストロー本体12の他方端と他方の補強部14との間に第3部分12cが位置している。
【0059】
この構成では、ストロー本体12が飲料に挿し込まれるとき、一方端および他方端のいずれから挿し込まれる場合でも、補強部14が使用者の口元の近くに位置するので、使用者は、補強部14を手で把持し易い。
【0060】
上記第1実施形態では、
図5に示す「切り出し工程」において、材料18から葉4が完全に除去されるが、葉4の一部は残されてもよい。
【0061】
図8(A)に示す第4実施形態に係るストロー24は、ストロー本体12と、1つの補強部14と、ストロー本体12の第1部分12aに残された葉鞘4aで構成された第1外被30と、ストロー本体12の第2部分12bに残された葉鞘4aで構成された第2外被32とを備えている。つまり、ストロー本体12の表面には、葉鞘4aで構成された第1外被30および第2外被32が設けられている。
【0062】
第1外被30の基端部は、補強部14に繋がっており、第2外被32の基端部は、ストロー本体12の端面に合わせて切断されている。また、第2外被32の先端部には、葉耳4b、葉舌4c、葉身4dの一部および襟4eが残されている。
【0063】
この構成では、ストロー本体12を第1外被30および第2外被32で補強できるので、ストロー24の全体が外力を受けた場合でもストロー本体12は損傷し難い。ストロー本体12の表面を第1外被30および第2外被32で覆うことができるので、ストロー本体12は汚れ難い。
【0064】
また、第1外被30および第2外被32は、葉鞘4aで構成されているので、使用者の手で簡単に除去できる。第2外被32は、C環状の襟4eによってストロー本体12に固定されているので、第2外被32を使用者の手で軸方向へ移動させるだけで、第2外被32をストロー本体12の表面から離脱させることができる。
【0065】
図8(B)に示す第5実施形態に係るストロー26は、ストロー本体12と、2つの補強部14と、ストロー本体12の第1部分12aに残された葉鞘4aで構成された第1外被34と、ストロー本体12の第2部分12bに残された葉鞘4aで構成された第2外被36とを備えている。つまり、ストロー本体12の表面には、葉鞘4aで構成された第1外被34および第2外被36が設けられている。
【0066】
第1外被34の基端部は、一方の補強部14に繋がっており、第2外被36の基端部は、他方の補強部14に繋がっている。第2外被36の先端部には、葉耳4b、葉舌4c、葉身4dの一部および襟4eが残されている。
【0067】
この構成では、ストロー本体12を第1外被34および第2外被36で補強できるので、ストロー26の全体が外力を受けた場合でもストロー本体12は損傷し難い。ストロー本体12の表面を第1外被34および第2外被36で覆うことができるので、ストロー本体12は汚れ難い。
【0068】
また、第1外被34および第2外被36は、葉鞘4aで構成されているので、使用者の手で簡単に除去できる。第2外被36の先端部は、葉舌4c、葉身4dの一部および襟4eに加えて、突起状の葉耳4bで構成されているので、使用者は、葉耳4bを手で把持して引っ張ることによって、第2外被36を除去し易い。
【符号の説明】
【0069】
R…液体流路、1…イネ科植物、2…根、3…茎、3a…節、3b…筒状部分、4…葉、4a…葉鞘、4b…葉耳、4c…葉舌、4d…葉身、4e…襟、5a…籾、5…花序、10…ストロー、12…ストロー本体、12a…第1部分、12b…第2部分、12c…第3部分、14…補強部、14a…突起部、16…貫通孔、18…材料、20,22,24,26…ストロー、28…引掛り部、30,34…第1外被、32,36…第2外被。