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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008547
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】規制部材、及び配線ダクトシステム
(51)【国際特許分類】
   H01R 25/14 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
H01R25/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110794
(22)【出願日】2023-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】322003732
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 紳一郎
(57)【要約】
【課題】容易なアダプタの持ち出しを起こりにくくでき、かつ高い強度を有する規制部材を提供する。
【解決手段】規制部材8は、配線ダクトシステム100からの、アダプタ5の取り外しを規制する。配線ダクトシステム100は、コネクタ95が接続されるアダプタ5が着脱可能な配線ダクト3を有し、かつアダプタ5を介してコネクタ95に電力を供給する。規制部材8は、アダプタ5の少なくとも一部を覆う端面部81を含む平板状部80と、切替キーK1によって施錠状態及び解錠状態が切り替わる切替部82と、を備える。規制部材8は、切替部82が施錠状態において、端面部81がアダプタ5の少なくとも一部を覆う態様で配線ダクト3に取り付けられる。平板状部80の板厚方向は、アダプタ5の取付面502に対し直交する方向である。端面部81は、板厚方向に沿って形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタが接続されるアダプタが着脱可能な配線ダクトを有しかつ前記アダプタを介して前記コネクタに電力を供給する配線ダクトシステムからの、前記アダプタの取外しを規制する規制部材であって、
前記アダプタの少なくとも一部に接触する端面部を含む平板状部と、
切替キーによって施錠状態及び解錠状態が切替わる切替部と、を備え
前記規制部材は、前記切替部が前記施錠状態において、前記端面部が前記少なくとも一部に接触する態様で前記配線ダクトに取り付けられ、
前記平板状部の板厚方向は、前記アダプタの取付面に対し直交する方向であり、
前記端面部は、前記板厚方向に沿って形成されている、
規制部材。
【請求項2】
前記平板状部の板厚は、前記アダプタの取付面を向く方向での前記アダプタの厚さよりも小さい、
請求項1に記載の規制部材。
【請求項3】
前記端面部は、前記施錠状態において前記配線ダクトの長手方向に沿った前記アダプタの第1周面と接触する第1接触面と、前記第1周面と交差する前記アダプタの第2周面と接触し、かつ前記第1接触面の一端と交差する第2接触面と、を有する、
請求項1に記載の規制部材。
【請求項4】
前記アダプタは、前記取付面において前記取付面よりも前記コネクタの装着面方向に近づく凹部を有し、
前記平板状部は、前記第1接触面の他端と交差し、かつ前記第2周面と対向する第3周面よりも前記第2周面側で前記第1周面を向く側とは反対側に折れ曲がる平板状折曲がり片を有し、
前記平板状折曲がり片の先端は、前記凹部と前記配線ダクトとの間に配置され、前記取付面と前記凹部とを接続する面に接触している、
請求項3に記載の規制部材。
【請求項5】
前記端面部は、前記第1周面と交差し、かつ前記第2周面と対向する前記アダプタの第3周面と接触し、前記第1接触面の他端と交差する第3接触面を、更に有する、
請求項3に記載の規制部材。
【請求項6】
前記平板状部と前記切替部とは、一体となって形成されている、
請求項1に記載の規制部材。
【請求項7】
前記配線ダクトは、導電バーと、前記導電バーが収納される凹部形状の収納部を含むダクトレールと、を有し、
前記アダプタは、固定リブを有し、その固定リブを前記収納部へ挿入し、及びその挿入方向に沿った回転軸を中心に所定の角度回転させることで、前記導電バーとの電気的な接続が達成され、かつ前記収納部からの引き抜きが抑制され、
前記規制部材は、前記切替部が前記施錠状態において、前記端面部により前記アダプタの回転を阻害する、
請求項1に記載の規制部材。
【請求項8】
前記アダプタは、前記収納部に抜き差し操作可能に構成されて、前記収納部に差し込むことで前記アダプタの回転を制限する操作部を有し、
前記平板状部は、前記切替部が前記施錠状態において、前記操作部の操作を阻害するように前記操作部を覆う、
請求項7に記載の規制部材。
【請求項9】
前記アダプタは、前記配線ダクトの長手方向に連続した取付領域のうち任意の位置に取り付けられ、取付後において前記長手方向に沿った移動が可能であり、
前記規制部材は、前記切替部が前記施錠状態において、前記アダプタと一体的に前記長手方向に沿った移動が可能である、
請求項1に記載の規制部材。
【請求項10】
前記切替部は、前記施錠状態において前記配線ダクトに嵌合するカム部を有する、
請求項1に記載の規制部材。
【請求項11】
前記切替部は、工具により切替操作が可能に構成されている、
請求項1に記載の規制部材。
【請求項12】
コネクタが接続されるアダプタと、
導電バーと前記導電バーが収納される凹部形状の収納部を含むダクトレールとを有する配線ダクトと、
請求項1から11のいずれか一項に記載の規制部材と、を備え、
前記アダプタを介して前記コネクタに電力を供給する、
配線ダクトシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、規制部材、及び配線ダクトシステムに関する。より詳細には、本開示は、配線ダクトに適用される規制部材、及び規制部材を備える配線ダクトシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コネクタが接続されるアダプタが着脱可能な配線ダクトを有しかつアダプタを介してコネクタに電力を供給する配線ダクトシステム、及びこれに用いられる規制部材が開示されている。規制部材は、配線ダクトシステムからのアダプタの取外しを規制することが記載されている。具体的には、規制部材は、特定のキーによって施錠状態及び解錠状態が切替わる錠部が、施錠状態において、アダプタの少なくとも一部を覆う壁部が少なくともアダプタの一部を覆う態様で配線ダクトに取り付けられ、アダプタの取外しを規制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-86852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らの調査によると、特許文献1の規制部材では、過度な力が加わったり、不適切な取り扱いをしたりすると、規制部材が変形させられたり、変形させることによりアダプタの取外しをなしうる懸念があり、高い強度の向上も求められることがわかった。
【0005】
本開示の目的は、容易なアダプタの持ち出しを起きにくくでき、かつ高い強度を有する規制部材、及び配線ダクトシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の規制部材は、コネクタが接続されるアダプタが着脱可能な配線ダクトを有し、かつ前記アダプタを介して前記コネクタに電力を供給する配線ダクトシステムからの、前記アダプタの取外しを規制する。前記規制部材は、前記アダプタの少なくとも一部に接触する端面部を含む平板状部と、切替キーによって施錠状態及び解錠状態が切替わる切替部と、を備える。前記規制部材は、前記切替部が前記施錠状態において、前記端面部が前記少なくとも一部に接触する態様で前記配線ダクトに取り付けられる。前記平板状面部の板厚方向は、前記アダプタの取付面に対し直交する方向である。前記端面部は、前記板厚方向に沿って形成されている。
【0007】
本開示の配線ダクトシステムは、コネクタが接続されるアダプタと、導電バーと前記導電バーが収納される凹部形状の収納部を含むダクトレールとを有する配線ダクトと、前記規制部材と、を備える。前記配線ダクトシステムは、前記アダプタを介して前記コネクタに電力を供給する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、配線ダクトからのアダプタの持ち出しを起きにくくし、かつ高い強度を有する規制部材、及び配線ダクトシステムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る規制部材を備える錠システム、アダプタ、及び配線ダクトシステムの要部の斜視図である。
図2図2は、図1における同上の規制部材が同上のアダプタから分離した状態の斜視図である。
図3図3Aは、同上の規制部材の前側左方向から見た斜視図である。図3Bは、同上の規制部材の後側右方向から見た斜視図である。図3Cは、同上の規制部材を後側右方向から見た、カム部が90°回転した状態を示す斜視図である。図3Dは、同上の規制部材を左側から見た側面図である。
図4図4は、同上の規制部材が同上の配線ダクトシステムに取り付けられて、切替部が施錠状態にある要部の断面図である。
図5図5Aは、同上のアダプタが同上の配線ダクトシステムに取り付けられる際のアダプタの前側の面を説明するための図である。図5Bは、同上のアダプタが同上の配線ダクトシステムに取り付けられる際のアダプタの後側の面を説明するための図である。
図6図6は、同上のアダプタの回転規制解除状態にある斜視図である。
図7図7は、同上の適用例にアダプタを取り付ける手順の説明図である。
図8図8は、同上の適用例にアダプタを取り付ける手順の説明図である。
図9図9は、同上の適用例及びアダプタの側断面図である。
図10図10は、同上の配線ダクトシステムの適用例の斜視図である。
図11図11は、同上の適用例の正面図である。
図12図12は、同上の適用例の右側面図である。
図13図13は、同上の適用例の平面図である。
図14図14は、同上の適用例の要部の分解斜視図である。
図15図15は、同上の適用例の要部の分解斜視図である。
図16図16A及び図16Bは、同上の適用例の、図11におけるIX-IX断面に対応する断面図である。
図17図17は、同上の適用例の、2つのアダプタが取り付けられた状態における平面図である。
図18図18は、同上の配線ダクトシステムを用いて複数の電気機器に給電するシステムの構成例を示すブロック図である。
図19図19Aは、同上の配線ダクトシステムにおける規制部材の変形例を示す前側の面を説明するための図である。図19Bは、同上の配線ダクトシステムにおける規制部材の変形例を示す後側の面を説明するための図である。
図20図20は、同上の配線ダクトシステムの別の適用例の斜視図である。
図21図21は、同上の配線ダクトシステムを用いて給電するシステムの変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の規制部材、及び配線ダクトシステムについて図面を参照しながら説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ、及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、下記の実施形態(変形例を含む)は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0011】
(実施形態)
(概要)
まず、本実施形態に係る規制部材8、規制部材8が適用されるアダプタ5及び配線ダクトシステム100の概要について説明する。
【0012】
図1は、規制部材8と、アダプタ5と、配線ダクトシステム100の一部と、を示した斜視図であり、具体的には、規制部材8が配線ダクトシステム100におけるアダプタ5に取り付けられた状態を示す。図2は、規制部材8と、アダプタ5と、配線ダクトシステム100の一部と、を示した斜視図であり、具体的には、規制部材8を配線ダクトシステム100におけるアダプタ5から分離させた状態を示す。以下では、図1及び図2に示すように、配線ダクト3が通常のその取付対象物(例えば什器等)に設置される態様での長手方向を「左右方向」、長手方向と直交する一方向である幅方向を「上下方向」、長手方向及び幅方向のいずれとも直交する奥行方向を「前後方向」と規定する。ただし、上下、左右、前後の用語は、説明の便宜上規定したものであり、使用方向を制限する趣旨ではない。
【0013】
図10から図13は、配線ダクトシステム100の適用例を示した図であり、図10は斜視図、図11は正面図、図12は右側面図、図13は平面図である。図10から図13においても、配線ダクト3が什器等に通常設置される態様での長手方向を「左右方向」、幅方向を「上下方向」、奥行方向を「前後方向」と規定するが、上下、左右、前後の用語は、説明の便宜上規定したものであり、使用方向を制限する趣旨ではない。
【0014】
本実施形態に係る規制部材8は、図1に示すように、配線ダクトシステム100からの、アダプタ5の取り外しを規制するように構成される。ここでは、規制部材8は、配線ダクトシステム100に接続されている状態のアダプタ5に対して、外付けされるように構成される。規制部材8は、平板状部80と、切替部82と、を備えている。平板状部80は、アダプタ5の少なくとも一部に接触する端面部81を含む。切替部82は、切替キーK1によって施錠状態及び解錠状態が切替わる。規制部材8は、切替部82が施錠状態において端面部81がアダプタの少なくとも一部に接触する態様で配線ダクト3に取り付けられ、アダプタ5の取外しを規制する。そして、平板状部80の板厚方向は、アダプタ5の取付面502に対し直交する方向である。また、端面部81は、板厚方向に沿って形成されている。なお、板厚方向は、図1及び図2に示されるように、奥行方向、すなわち前後方向と一致する。
【0015】
配線ダクトシステム100は、コネクタ95が接続されるアダプタ5が着脱可能な配線ダクト3を有する。ここでは、配線ダクト3は、ダクトレール31(図1図2図5図6等参照)と、導電バー32(図1図2図5図8等参照)と、を有する。ここでは一例として、導電バー32は、アダプタ5に対して、ダクトレール31の長手方向に連続した取付領域のうち任意の位置において電気的に接続可能である。言い換えると、アダプタ5は、配線ダクト3の長手方向に連続した取付領域のうち任意の位置に取り付けられる。アダプタ5には、直流(DC)の電力を受電するコネクタ95(図18参照)が接続可能である。配線ダクトシステム100は、アダプタ5を介してコネクタ95に直流(DC)の電力を供給する。導電バー32は、ダクトレール31に収納されている。
【0016】
上記取付領域は、ダクトレール31の表面又は内部に設けられた領域である。本実施形態の配線ダクト3は、ダクトレール31の長手方向に沿って形成された凹部形状の収納部3110(図1図2参照)を含む。より詳細には、凹部形状の収納部3110は、ダクトレール31の長手方向の両端に亘って形成されている。上記取付領域は、凹部形状の収納部3110が設けられた領域と一致する。
【0017】
コネクタ95は、電気機器94の(又は、電気機器94に接続されるケーブルの)コネクタである。コネクタ95をアダプタ5に接続することで、配線ダクト3から電気機器94に電力を供給することができる。よって、電力を電源コンセントから又は電源コンセントの電力を分配する電源タップから電気機器94に供給する場合と比較して、配線の取り回しを改善させやすい。
【0018】
ここでいう電気機器94の種類は、特に限定されない。電気機器94の一例としては、コンピュータ端末(パーソナルコンピュータ、スマートフォン及びタブレット端末等)、コンピュータ端末の付属機器(モニタ、スピーカ及びマイクロフォン等)、照明機器(デスクライト等)、ネットワークカメラ、センサ(温度センサ、湿度センサ及び照度センサ等)、ゲーム機、及び空調機器(卓上扇風機等)が挙げられる。
【0019】
配線ダクトシステム100は、例えば、什器に固定されて使用される。什器とは、住宅又は非住宅で使用される家具及び備品等の器具の総称である。什器の一例は、物を載せる台として使用される机、テーブル及び作業台等である。什器の別の一例は、棚、箱、ドレッサー、ベッド、ホワイトボード、スクリーン、間仕切り及び長椅子等である。
【0020】
図10図17等では、一例として、配線ダクトシステム100が什器としての机7に固定されて使用される場合を例に説明する。図10に示すように、机7は、平面視長方形状の天板71と、2つの脚部72と、2つの支持台73と、を有する。以下では、図10に関し、天板71の長辺に沿った方向を左右方向と規定し、天板71の短辺に沿った方向を前後方向と規定し、天板71の法線に沿った方向を上下方向と規定する場合がある。ただし、これらの規定は、配線ダクトシステム100の使用方向を限定する趣旨ではない。また、図1図2図4図6図17等における前後、左右、上下を表す矢印はそれぞれ、説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0021】
配線ダクトシステム100は、上述の通り、机7等の什器に設置される。つまり、利便性の観点から、アダプタ5が、比較的に人、例えば配線ダクト3からの給電を利用するユーザの手の届きやすい位置に設置されうる。その場合、人(ユーザ等)によって配線ダクト3からアダプタ5が無断で持ち出されてしまうことが懸念される。
【0022】
これに対して、本実施形態の規制部材8は、図1に示すように、アダプタ5の少なくとも一部を覆う端面部81を含む平板状部80と、切替キーK1によって施錠状態及び解錠状態が切り替わる切替部82と、を備える。規制部材8は、切替部82が施錠状態において、端面部81が少なくとも一部を覆う態様で配線ダクト3に取り付けられ、アダプタ5の取り外しを規制している。なお、ここでいう「少なくとも一部」は、一例として、アダプタ5の操作部52(図1等参照)であることを想定する。操作部52については、後に詳述する。
【0023】
この構成によれば、切替キーK1で切替部82を解錠状態にしない限り、規制部材8が、アダプタ5の取り外しを規制することになる。結果的に、配線ダクト3からのアダプタ5の持ち出しが起きにくくなる。また、本実施形態の規制部材8は、板厚方向がアダプタ5の取付面502に対し直交する方向であり、端面部81が板厚方向に沿って形成されているため、規制部材8の強度を向上させうる。
【0024】
したがって、本実施形態の規制部材8によれば、配線ダクト3からのアダプタ5の持ち出しを起きにくくし、かつ高い強度を有する規制部材8、及び配線ダクトシステム100を実現できる。
【0025】
(詳細)
(1)配線ダクトシステム
続いて、規制部材8が適用される配線ダクトシステム100及び配線ダクトシステム100において用いられうる各構成について、より詳細に説明する。
【0026】
配線ダクトシステム100は、アダプタ5と、配線ダクト3と、規制部材8と、を備える。配線ダクトシステム100は、アダプタ5を介してコネクタ95に電力を供給する。本実施形態では、配線ダクトシステム100においてコネクタ95に供給される電力は、直流(DC)であり、以下の実施形態の説明では、特に断りがない限り、供給される電力は、直流(DC)である場合について説明する。ただし、後掲の変形例で述べるとおり、配線ダクトシステム100が受電しコネクタ95に供給する電力は、交流(AC)であってもよい。
【0027】
図10に示すように、配線ダクトシステム100は、ダクト固定具F1と、2つの配線ダクト3(図10では1つのみ図示)と、2つのフィードイン4(図10では1つのみ図示)(フィードインキャップ。図14参照)と、2つのエンドキャップE1(図14では1つのみ図示)と、を備える。ダクト固定具F1は、2つの第1固定部1と、2つの第2固定部2と、を有する。2つの第1固定部1は、2つの配線ダクト3と一対一で対応する。各第1固定部1は、対応する配線ダクト3を保持する。つまり、各配線ダクト3は、対応する第1固定部1に固定される。2つの第2固定部2は、什器(机7)に固定される。
【0028】
また、配線ダクトシステム100において用いられる構成としては、1以上のアダプタ5(図1図2参照)と、3つのパーティション6と、机7と、がある。
【0029】
(2)机
図10に示すように、机7は、平面視長方形状の天板71と、2つの脚部72と、2つの支持台73と、を有する。2つの脚部72のうち一方は、天板71の右端付近から下に突出しており、他方は、天板71の左端付近から下に突出している。2つの支持台73は、2つの脚部72と一対一で対応する。各支持台73は、対応する脚部72の下端につながっており、脚部72を支持する。
【0030】
(3)第1固定部
図13に示すように、2つの第1固定部1は、前後に並んで、互いに合わさっている。図14に示すように、2つの第1固定部1の各々は、ダクト収納部11と、2つの連結突起12と、を含む。ダクト収納部11と2つの連結突起12とは、一体に形成されている。
【0031】
ダクト収納部11の形状は、直方体状である。ダクト収納部11は、左右方向に長さを有する。2つの連結突起12のうち一方は、ダクト収納部11の右端から突出しており、他方は、ダクト収納部11の左端から突出している。ダクト収納部11は、配線ダクト3(及び配線ダクト3のダクトレール31)を収納する。また、ダクト収納部11は、フィードイン4をも収納する。2つの連結突起12の各々は、第1固定部1を第2固定部2に連結するための構成である。
【0032】
各第1固定部1は、収納溝130と、2つの通線溝140と、を有する。収納溝130は、配線ダクト3と、フィードイン4と、を収納する。通線溝140には、配線ダクト3に電気的に接続される配線W1(図16A図16B参照)が通される。
【0033】
収納溝130は、ダクト収納部11に設けられている。収納溝130は、ダクト収納部11の長手方向(左右方向)に沿って形成されている。2つの第1固定部1のうち前側の第1固定部1では、収納溝130は、ダクト収納部11の前面において開口しており、後側の第1固定部1では、収納溝130は、ダクト収納部11の後面において開口している。
【0034】
2つの通線溝140は、2つの連結突起12と一対一で対応する。各通線溝140は、対応する連結突起12と、ダクト収納部11と、に亘って設けられている。つまり、第1固定部1の右端と左端とにそれぞれ通線溝140が設けられている。各通線溝140は、ダクト収納部11の長手方向(左右方向)に沿って形成されている。2つの第1固定部1のうち前側の第1固定部1では、各通線溝140は、ダクト収納部11の後面において開口しており、後側の第1固定部1では、各通線溝140は、ダクト収納部11の前面において開口している。
【0035】
2つの第1固定部1が合わさることで、2つの第1固定部1の各々の右端の通線溝140が合わさって、1つの空間を形成し(図16A参照)、かつ、2つの第1固定部1の各々の左端の通線溝140が合わさって、別の1つの空間を形成する。各通線溝140は、収納溝130とつながっている。通線溝140に通された配線W1は、収納溝130に収納されたフィードイン4の端子部432(図16A図16B参照)に電気的に接続され、端子部432を介して、配線ダクト3の導電バー32(図15図16A参照)に電気的に接続される。
【0036】
2つの第1固定部1の各々は、パーティション固定構造S1の一部として、4つの窪み150(図14では2つのみ図示)を有する。4つの窪み150は、ダクト収納部11に設けられている。2つの第1固定部1が合わさることで、2つの第1固定部1の各々の4つの窪み150がそれぞれ合わさって、2つの第1固定部1の間の4つの隙間を形成する。この4つの隙間がそれぞれ、パーティション固定構造S1に相当する。各パーティション固定構造S1は、より詳細には、2つの第1固定部1が合わさった構成を上下方向に貫通する貫通孔である。4つのパーティション固定構造S1は、左右方向に並んでいる。各パーティション6は、その下部から突出する嵌合突起が、対応するパーティション固定構造S1に挿入されことにより、2つの第1固定部1に固定される。
【0037】
(4)第2固定部
図14に示すように、2つの第2固定部2の各々は、横架部21と、支柱部22と、クランプ機構23と、を含む。横架部21と支柱部22とは、一体に形成されている。2つの第2固定部2は、ダクトレール31を什器(ここでは机7)に固定するための固定部材である。より詳細には、2つの第2固定部2は、2つの第1固定部1と共に用いられることで、ダクトレール31を机7に固定する。
【0038】
横架部21の形状は、角筒状である。横架部21の軸方向は、左右方向に沿っている。
【0039】
2つの第2固定部2は、2つの第1固定部1の各々の2つの連結突起12と、一対一で対応する。各第2固定部2の横架部21には、2つの第1固定部1の各々の対応する連結突起12が挿入される。さらに、2つの第1固定部1がそれぞれ、2つの第2固定部2にねじ止めされる。これにより、2つの第1固定部1が2つの第2固定部2に連結される。つまり、2つの第1固定部1は、2つの第2固定部2の間を架け渡すように、2つの第2固定部2に連結される。また、2つの第1固定部1の各々は、2つの第2固定部2から分離可能である。すなわち、2つの第1固定部1と2つの第2固定部2とを連結するねじを取り外し、各連結突起12を横架部21から引き出すことで、2つの第1固定部1の各々を2つの第2固定部2から分離することができる。
【0040】
支柱部22の形状は、円筒状である。支柱部22の軸方向は、上下方向に沿っている。横架部21は、支柱部22の上端から、左右方向に突出している。横架部21の内部空間は、支柱部22の内部空間とつながって、1つの内部空間SP1(図14参照)を形成している。内部空間SP1には、配線W1(図16A参照)が通される。すなわち、第2固定部2は、導電バー32(図15参照)に電気的に接続される配線W1が通される内部空間SP1を有する。
【0041】
支柱部22は、通線孔220を有する。通線孔220は、支柱部22の側面に設けられている。配線W1は、内部空間SP1から通線孔220を通って外部へ引き出される。
【0042】
クランプ機構23は、机7を挟むことで机7に固定される。より詳細には、2つの第2固定部2のうち一方は、机7の天板71の左端を挟み、他方は、天板71の右端を挟む。これにより、配線ダクトシステム100が机7に固定される。
【0043】
クランプ機構23は、可動部231と、ベース232と、可動部材操作部233と、を有する(図12図14参照)。
【0044】
ベース232は、支柱部22と一体に形成されている。ベース232は、支柱部22の下端から左右方向に突出している。
【0045】
可動部231は、ベース232の上に配置されている。可動部231の一部は、支柱部22の通線孔220の内側に配置されている。
【0046】
可動部材操作部233は、可動部231を上下に動かすための操作を受け付ける。可動部材操作部233は、レバーであって、作業者が可動部材操作部233を回すことで、可動部231が上下に動く。
【0047】
以下、クランプ機構23を用いて配線ダクトシステム100を机7に固定する手順について説明する。図11に示すように、机7の天板71の左端(又は右端)は、通線孔220に挿入される。これにより、天板71の左端(又は右端)は、支柱部22と可動部231との間に配置される。作業者は、可動部材操作部233を回し、可動部231を上に動かす。これにより、天板71の左端(又は右端)は、支柱部22と可動部231との間に挟まれる。2つの第2固定部2の各々のクランプ機構23を用いて天板71の左端及び右端を挟むことにより、配線ダクトシステム100が机7に固定される。
【0048】
また、支柱部22が存在することにより、配線ダクトシステム100の2つの第1固定部1と机7の天板71との間に隙間G1(図11参照)が確保される。つまり、2つの第1固定部1に固定された2つのダクトレール31と天板71との間に隙間G1が確保される。言い換えると、第2固定部2は、2つのダクトレール31と机7との間に隙間G1をあけて2つのダクトレール31を支持する支柱部22を含む。隙間G1を通すことで、机7の前後で書類等の物を受け渡すことができる。また、机7の天板71のうち、第1固定部1の下の部位に、開口部を設けてもよい。開口部は、交流電力を供給する配線を天板71の下から引き出すための構成である。ユーザは、隙間G1に手を入れて、開口部を通して配線を引き出すことができる。
【0049】
(5)配線ダクト
配線ダクト3は、導電バー32と、導電バー32が収納される凹形状の収納部3110を含むダクトレール31と、を有する。凹形状の収納部3110は、以下、単に「収納部3110」ということもある。本実施形態では、配線ダクトシステム100は、上述の通り、2つの配線ダクト3を備えており、図14図15に示すように、各配線ダクト3は、ダクトレール31と、2つの導電バー32と、を有する。ダクトレール31は、第1レール311と、2つの第2レール312と、を含む。図1図2に示す配線ダクト3は、図13に示す2つの配線ダクト3のうちのいずれか一方に相当し得る。なお、図1図2では、第1固定部1の図示を省略している。
【0050】
2つの配線ダクト3は、2つの第1固定部1と一対一で対応する。各配線ダクト3は、対応する第1固定部1の収納溝130に収納されている。そのため、2つの配線ダクト3のうち一方は、パーティション6に対して前側に配置され、他方は、パーティション6に対して後ろ側に配置されている。
【0051】
また、上記2つの配線ダクト3は、第1固定部1に複数の配線ダクト3が固定され、かつ、机7に第2固定部2が固定された状態で、水平面に沿った所定方向(前後方向)において互いに反対側に位置する。
【0052】
第1レール311の形状は、角筒状である。第1レール311は、例えば金属製である。第1レール311の軸方向(長手方向)は、左右方向に沿っている。第1レール311は、収納部3110を含む。収納部3110は、ダクトレール31の長手方向(左右方向)に沿って形成されている。より詳細には、収納部3110は、ダクトレール31の長手方向の両端に亘って形成されている。収納部3110には、2つの導電バー32が収納されている。
【0053】
収納部3110は、パーティション6の表面と直交する方向に沿って開口している。つまり、収納部3110は、パーティション6の表面に沿った面において開口している。
【0054】
例えば、図9に示されるように、第1レール311は、2つの嵌合部3111と、2つの取付溝3112と、を更に含む。
【0055】
2つの嵌合部3111はそれぞれ、溝である。2つの嵌合部3111は、収納部3110の内面に設けられている。2つの嵌合部3111は、ダクトレール31の長手方向(左右方向)に沿って形成されている。より詳細には、2つの嵌合部3111は、ダクトレール31の長手方向の両端に亘って形成されている。2つの嵌合部3111は、アダプタ5に嵌合する。これにより、アダプタ5が配線ダクト3に取り付けられる。すなわち、ダクトレール31は、アダプタ5を取り付けるためのアダプタ取付部(言い換えれば、2つの嵌合部3111)を含む。アダプタ5を配線ダクト3に取り付ける手順については後述する。
【0056】
2つの取付溝3112は、収納部3110の内面に設けられている。2つの嵌合部3111と2つの取付溝3112とのうち、2つの嵌合部3111の方が、収納部3110の開口部の近くに設けられている。2つの取付溝3112は、ダクトレール31の長手方向(左右方向)に沿って形成されている。より詳細には、2つの取付溝3112は、ダクトレール31の長手方向の両端に亘って形成されている。
【0057】
2つの取付溝3112は、2つの第2レール312と一対一で対応する。各取付溝3112には、対応する第2レール312が嵌め込まれている。これにより、第1レール311に2つの第2レール312が取り付けられている。第1レール311は、2つの第2レール312の脱落を抑制するための2つの突起3113を有する。
【0058】
また、第1レール311は、規制突起3114を更に有する。規制突起3114は、突起である。図9では、規制突起3114は、第1レール311の上下方向における上側に設けられている。規制突起3114は、アダプタ5の規制凹部55に挿入されうる。
【0059】
2つの第2レール312の各々は、左右方向に長さを有する。左右方向と直交する断面における第2レール312の形状は、U字状である。第2レール312は、電気絶縁性を有する。第2レール312は、例えばPVC(polyvinyl chloride)等の合成樹脂材料により形成されている。第2レール312は、その内側に導電バー32を保持している。
【0060】
2つの導電バー32の各々は、左右方向に長さを有する。2つの導電バー32の各々は、ダクトレール31の右端から左端までに亘って設けられている。2つの導電バー32は、フィードイン4を介して、対応する配線W1(図13A参照)に電気的に接続される。各配線ダクト3の2つの導電バー32のうち一方は、正極側の配線W1に電気的に接続され、他方は、負極側の配線W1に電気的に接続される。これにより、2つの導電バー32には、直流電力が供給される。
【0061】
(6)フィードイン及びエンドキャップ
図11に示すように、2つのフィードイン4は、2つの配線ダクト3と一対一で対応する。2つのエンドキャップE1は、2つの配線ダクト3と一対一で対応する。各配線ダクト3の長手方向の第1端及び第2端のうち一方には、対応するフィードイン4が取り付けられ、他方には、対応するエンドキャップE1が取り付けられる。
【0062】
フィードイン4は、配線ダクト3の2つの導電バー32をそれぞれ対応する配線W1(図15参照)に電気的に接続するための構成である。すなわち、2つの導電バー32は、フィードイン4を介して、対応する配線W1に電気的に接続される。以下、図15を参照して、フィードイン4の構成を説明する。
【0063】
フィードイン4は、外箱41と、端子ボックス42と、2つの端子ユニット43と、を含む。
【0064】
外箱41の形状は、直方体状である。外箱41は、端子ボックス42を収納している。
【0065】
端子ボックス42は、第1ブロック421と、第2ブロック422と、を有する。第1ブロック421と第2ブロック422とが結合することで、端子ボックス42が構成される。端子ボックス42は、2つの端子ユニット43を収納している。また、端子ボックス42は、2つの配線W1が挿入される2つの入線孔423を有する。2つの入線孔423は、第1ブロック421に設けられている。
【0066】
2つの端子ユニット43の各々は、ばね431と、端子部432と、を有する。ばね431と端子部432との組は、速結端子を構成する。すなわち、端子ユニット43は、速結端子を有する。
【0067】
ばね431は、金属板に曲げ加工等を施すことで形成されている。端子部432は、金属板からなり、板状に形成されている。端子部432は、ばね431に対向している。2つの端子ユニット43は、2つの導電バー32と一対一で対応する。各端子ユニット43の端子部432は、対応する導電バー32に電気的に接続されている。
【0068】
図16A図16Bに示すように、入線孔423を通して端子ボックス42の内部に挿入された配線W1は、ばね431と端子部432との間に挟まれる。これにより、配線W1は、端子部432に電気的に接続され、かつ、ばね431と端子部432との間に保持される。
【0069】
(7)パーティション
本実施形態では、配線ダクトシステム100は、上述の通り、パーティション6を固定可能なパーティション固定構造S1を備える。“パーティション”は、間仕切り、又は、衝立とも称される。パーティション付きダクトシステム200(図7から図10参照。)は、配線ダクトシステム100と、複数(ここでは3つ)のパーティション6(6A、6B、6C)と、を備える。
【0070】
各パーティション6は、天板71の上方に固定される。これにより、天板71の上方の空間は、前側の空間と、後側の空間とに仕切られる。何人かの人(以下、“第1の人”と称す)は、机7の前方に着席し、別の何人かの人(以下、“第2の人”と称す)は、机7の後方に着席する。第1の人と第2の人との間の空間がパーティション6により仕切られるので、第1の人と第2の人との間で飛沫感染が起きる可能性を低減させることができる。
【0071】
各パーティション6は、例えば透光性を有する。各パーティション6の材質は、例えば、アクリル樹脂である。各パーティション6の形状は、例えば板状である。パーティション6の厚さ方向は、前後方向に沿っている。各パーティション6の前後方向に見て平面視形状は、長方形状である。各パーティション6の嵌合突起は、その本体から下方に突出しており、対応するパーティション固定構造S1における貫通孔に挿入される。これにより、各パーティション6が配線ダクトシステム100に固定される。すなわち、パーティション固定構造S1は、パーティション6の自重によりパーティション6と嵌合する構造である。また、嵌合突起をパーティション固定構造S1から抜き取ることで、各パーティション6は、配線ダクトシステム100から取外し可能である。すなわち、パーティション固定構造S1は、パーティション6を着脱可能に固定する。
【0072】
(8)アダプタ
図14に示すように、パーティション6の前後にそれぞれ第1固定部1が配置され、各第1固定部1には、配線ダクト3(図7参照)が収納されており、これら2つの配線ダクト3にそれぞれ、アダプタ5が着脱可能である。配線ダクトシステム100は、アダプタ5を介してコネクタ95に電力を供給する。
【0073】
図1図2図4図9に示すように、アダプタ5は、筐体51と、操作部52と、取付突起53と、2つの受電端子54と、筐体51に収納されたばねと、蓋部56(図5B図6参照)と、を有する。また、アダプタ5は、筐体51に収納された、一対の接続コネクタ(例えばUSBソケット)及び回路基板等を更に有する。ここでは、アダプタ5における筐体51、取付突起53、2つの受電端子54、一対の接続コネクタ、回路基板、及び蓋部56等が、アダプタ本体部50を構成する。
【0074】
筐体51は、例えば樹脂製である。筐体51は、一面(図5及び図8等では後面)が開放された中空の箱状である。筐体51の開放された一面が蓋部56によって塞がれるように、蓋部56がねじ止め等により筐体51に組み付けられる。筐体51の外形状は、例えば図1等では直方体状であるが、これに限られず、本開示の目的を過度に逸脱しない限りにおいて、筐体51の外形状は、例えば立方体状、他の多角柱形状、円柱形状等であってもよい。
【0075】
本実施形態において、アダプタ5は、アダプタ本体部50においてコネクタ95が装着される面であるコネクタ装着面501、及び蓋部56を含む取付面502以外の周面510を有している。周面510は、例えば図1に示すように、アダプタ5を前後方向に見た場合の筐体51の4つの側面を構成する面であるともいえる。
【0076】
ここで、図1図2図4図9に示すように、アダプタ5が配線ダクト3に接続され、アダプタ5の回転が規制されている状態(以下、「回転規制状態」ともいう。)におけるアダプタ5の姿勢を基準として、アダプタ5の周面510について説明する。ただし、アダプタ5の姿勢はこれに制限されるものではない。この場合において、配線ダクト3の長手方向に沿った面の一方(図1図2図4図5図8図9では、上下方向において下方向)にある周面を第1周面5101と規定すると、第1周面5101と交差する一方の周面を第2周面5102、第1周面5101と交差する他方の周面(すなわち第2周面5102とは異なる面)を第3周面5103、並びに第2周面5102及び第3周面5103のいずれとも交差する周面を第4周面5104と規定される。つまり、アダプタ5は、第1周面5101、第2周面5102、第3周面5103、及び第4周面5104を有する。また、図1に示されるように、回転規制状態において、第1周面5101及び第4周面5104は、長手方向(左右方向)と平行であり、第2周面5102及び第3周面5103は幅方向(上下方向)と平行である。
【0077】
なお、本開示において、上述の回転規制状態に対して、アダプタ5の回転が解除された状態を「回転規制解除状態」ということがある。回転規制解除状態は、アダプタ5が回転させている最中の状態も含みうる。ただし、以下の説明においては、主に回転規制状態からアダプタ5を反時計回りに90°回転させた状態を回転規制解除状態として説明する。回転規制解除状態では、上記の各周面510は、元の回転規制状態の位置から90°回転させた位置にくる。また、後述するように、アダプタ5を配線ダクト3に設置し、かつ規制部材8を取付けていない状態を、単に「配置状態」と称して説明することがある。
【0078】
筐体51は、第1差込口511と、第2差込口512と、を更に有している。第1差込口511は、コネクタ95(図17参照)としてのUSB Type-Aプラグの差込口である。第2差込口512は、コネクタ95としてのUSB Type-Cプラグの差込口である。すなわち、第1差込口511は、第2差込口512とは規格が異なる。第1差込口511は、第2差込口512とは大きさが異なる。筐体51内では、一対の接続コネクタは、第1差込口511及び第2差込口512と、それぞれ一対一で対向するように回路基板に実装されている。第1差込口511又は第2差込口512に差し込まれたコネクタ95は、一対の接続コネクタの対応する一方に接続され、回路基板を介して受電端子54と電気的に接続される。
【0079】
第1差込口511及び第2差込口512は、アダプタ5が配線ダクト3に取り付けられているとき、配線ダクト3と反対側を向く面(コネクタの装着面501。図1等では前面)に設けられている。第1差込口511及び第2差込口512は、アダプタ5が配線ダクト3に取り付けられているとき、図1図2図5A図6A、及び図8に示すように、上下に並ぶ。
【0080】
操作部52は、収納部3110に抜き差し操作可能に構成されて、収納部3110に差し込むことでアダプタ5の回転を制限するように構成される。操作部52は、筐体51に保持されている。操作部52は、例えば樹脂製である。操作部52は、板状である。操作部52は、摘み部521を有しており、摘み部521が、筐体51の一側面から露出する態様で、筐体51に保持される。具体的には、摘み部521は、筐体51における周面510の1つ(例えば図1では、第2周面5102)において、その周面内の一部に設けられた溝部522に配置されている。溝部522は、その周面において、前方向には閉じ、後方向には開いて、周面よりも一段低くなるように凹状に形成されている。操作部52は、摘み部521を前後方向に可動可能に配置されており、通常、摘み部521は、回転規制状態にしない場合等においては、周面内の溝部522内に収まるように保持されている。すなわち、操作部52は、摘み部521に対して人の指先等で力が加えられることで、所定方向(図14では前後方向)にスライド移動可能である。操作部52は、筐体51内に収納されたばねの復帰力がコネクタ装着面501から離れる方向(後方)に作用した状態で、筐体51に保持されている。そのため、操作部52に対して力が加えられていないとき、操作部52の先端にある爪部520は、筐体51からコネクタの装着面501側とは反対側へ突出した状態となる。摘み部521に対して、人の指先等でばねの力に抗して前方に力を加えることで、操作部52が前後方向前側に移動する。上述の回転規制状態では、操作部52は、左右方向の一方(図1では左側)に位置している。回転規制解除状態では、操作部52は、左右方向以外の方向(例えば、図2では上下方向の下側)に位置している。
【0081】
蓋部56は、例えば樹脂製である。蓋部56は、矩形の板状である。蓋部56の後面には、取付突起53が設けられている。図5B図6に示すように、蓋部56と取付突起53とは連続一体となって形成されている。取付突起53は、軸部531と、2つの固定リブ532と、を含む。軸部531は、筐体51からコネクタ装着面501側とは反対側に突出している。2つの固定リブ532は、軸部531の側面から突出している。2つの固定リブ532は、互いに反対向きに突出している。
【0082】
2つの受電端子54は、筐体51からコネクタ装着面501側とは反対側に突出している。2つの受電端子54の各々の先端部は、屈曲している。2つの受電端子54は、それらの屈曲する先端部が軸部531の先端から露出するように取付突起53によって保持される(図6参照)。
【0083】
アダプタ5は、取付面502において取付面502よりもコネクタ95の装着面501方向に近づく凹部(以下、「規制凹部55」ともいう(図5参照)。)を有する。具体的には、規制凹部55は、筐体51の後ろ側の端面と蓋部56の表面とに形成された凹所により構成される。規制凹部55は、図5B図6に示すように、第1凹部551と第2凹部552とを含む。
【0084】
第1凹部551は、筐体51の前後方向後側の端面の一部の領域が、コネクタ装着面501に近づく方向に一段下がって形成されている。図5B図6では、理解し易いように、濃いドットハッチングで第1凹部551の領域を示す。
【0085】
第2凹部552は、蓋部56の前後方向後側にある表面の一部の領域がコネクタ装着面501に近づく方向に一段下がって形成されている。図5B図6では、理解し易いように、薄いドットハッチングで第2凹部552の領域を示す。第1凹部551の底面と、第2凹部552の底面とは略面一となっている。このように、第1凹部551は、筐体51に含まれ、第2凹部552は、蓋部56に含まれる。
【0086】
アダプタ5がダクトレール31に取り付けられる際に、規制凹部55には、ダクトレール31の規制突起3114(図4参照)が挿入される。アダプタ5の向きが誤った向き、例えば図6に示すアダプタ5が上下逆向きであると、規制突起3114がアダプタ5の後面における規制凹部55より一段出っ張った領域と干渉するので、アダプタ5をダクトレール31に取り付けることができない。すなわち、規制凹部55及び規制突起3114は、アダプタ5がダクトレール31に取り付けられる際のアダプタ5の向きを規制する。
【0087】
取付面502は、配線ダクトシステム100において、アダプタ5が取り付けられる際の配線ダクト3と対向する面である。取付面502は、図6等に示されるように、配線ダクト3への配置状態において、前後方向後側の背面であるともいえる。言い換えれば、取付面502は、アダプタ5において前後方向前側の面であるコネクタ装着面501の反対側の面といえる。なお、図6において吹き出し内に示した図は、回転規制解除状態でのコネクタ95の背面側の一部を示す背面図である。図6において吹き出し内に示す図では、配線ダクト3に関しては、便宜上透過的に示すため、二点鎖線で表している。
【0088】
取付面502には、蓋部56が含まれ、また蓋部56を構成する要素をも含みうる。また、取付面502には、筐体51の前後方向後側の周端も含まれる。筐体51の前後方向後側の周端には、上記の第1凹部551が含まれる。そのため、取付面502は、アダプタ5の配置状態において、取付面502の全面が配線ダクト3に接触していない面があってもよい。具体的には、例えば図5B図6に示すように取付面502における蓋部56において一段低い位置に形成されている規制凹部55がある箇所は、配線ダクト3には直接接触しておらず、これによりアダプタ5と配線ダクト3との間には隙間が空いている。
【0089】
アダプタ5は、電力変換器(不図示)を更に有する。電力変換器を構成する複数の電子部品は、筐体51内の回路基板に実装されている。電力変換器は、2つの受電端子54で受電された電力を、所望の電圧の電力に変換する。一対の接続コネクタ(USB ソケット)からは、電力変換器で変換された電力が出力される。電気機器94(図17参照)は、第1差込口511又は第2差込口512に差し込まれ接続コネクタに接続されたコネクタ95(図18参照)を含むケーブルを介して、電力を受電することができる。
【0090】
以下、アダプタ5を配線ダクト3に取り付ける手順について説明する。
【0091】
アダプタ5は、上述のとおり、固定リブ532を有する。図4図6図9では、2つの固定リブ532は、回転規制状態において上下方向に並んでいる。なお、回転規制解除状態では、2つの固定リブ532は、左右方向に並ぶ。
【0092】
作業者は、まず、図6図7に示すように、2つの固定リブ532の並んでいる方向がダクトレール31の長手方向(左右方向)に沿うように、アダプタ5を持つ。この状態では、操作部52の摘み部521の表面は、上下方向における下側を向いている(図6図7参照)。この状態では、2つの固定リブ532がダクトレール31に干渉することなく、挿入方向A1(後方)に沿って、取付突起53をダクトレール31の収納部3110に挿入できる。この時、操作部52は、その先端の爪部520が第1固定部1と接触し、第1固定部1の接圧により、コネクタ装着面501側(前方)に向かって動く。
【0093】
図6図7に示すように取付突起53を収納部3110に挿入した後、作業者は、アダプタ5を、回転軸B1を中心に時計回りに90度回転させる。図6図7に示す回転軸B1は仮想的な軸であり、軸部531の中心軸と概ね一致する。すると、図9に示すように、2つの固定リブ532が2つの嵌合部3111に挿入される。これにより、アダプタ5の前後方向の移動が規制される。また、図9に示すように、操作部52、より具体的には操作部52の爪部520がダクトレール31の収納部3110に挿入されることにより、アダプタ5の回転が規制される。また、2つの受電端子54は、それぞれ対応する導電バー32に接触し、これにより、対応する導電バー32に電気的に接続される。要するに、アダプタ5は、その固定リブ532を収納部3110へ挿入し、及びその挿入方向A1に沿った回転軸B1を中心に所定の角度(例えば90度)回転させることで、導電バー32との電気的な接続が達成され、かつ収納部3110からの引き抜きが抑制される。
【0094】
以上の手順により、アダプタ5が配線ダクト3に取り付けられる。アダプタ5は、収納部3110が設けられた領域(配線ダクト3の長手方向に連続した取付領域)のうち任意の位置において、配線ダクト3に取付可能である。また、アダプタ5は、導電バー32に電気的に接続可能である。
【0095】
本実施形態では、アダプタ5には、配線ダクト3に取り付けられたアダプタ5の左右方向の移動を規制する構成が設けられていない。そのため、アダプタ5は、配線ダクト3に取り付けられた状態のまま左右方向に移動可能である。言い換えると、アダプタ5は、取付後において配線ダクト3の長手方向に沿った移動が可能である。ただし、アダプタ5が左右方向に移動することによる2つの受電端子54の摩耗を抑制するために、配線ダクトシステム100は、配線ダクト3に取り付けられたアダプタ5の左右方向の移動を規制する構成を備えていてもよい。なお、前記の移動には、例えばアダプタ5の上下方向の位置は変化させず、左右方向のみの位置をスライド変化させるスライド移動を含む。
【0096】
次に、アダプタ5を配線ダクト3から取り外す手順について説明する。配置状態にあるアダプタ5において、作業者が操作部52の摘み部521に対し、コネクタ装着面501側に向かう力を加えると、操作部52もコネクタ装着面501側に動かすことができ、これにより爪部520が収納部3110から出る。こうすることで、アダプタ5の回転の規制が解除される。作業者がアダプタ5を反時計回りに90度回転させることで、2つの固定リブ532が2つの嵌合部3111から出る。そして、アダプタ5を手前(例えば前後方向前側)に引き抜くことで、配線ダクト3から取り外される。
【0097】
(9)電力供給システム
次に、図18を参照して、電気機器94に電力を供給するシステム(配線ダクトシステム100を含む)の構成の一例について、説明する。
【0098】
電気機器94の使用場所の施設には、スイッチングハブ92と、スプリッタ93と、が設けられている。スイッチングハブ92は、電源91に電気的に接続されている。電源91は、スイッチングハブ92に交流電力を供給する。電源91は、例えば、商用電源又は分散型電源である。
【0099】
スイッチングハブ92は、PoE(Power over Ethernet)に対応したPoEスイッチングハブである。スイッチングハブ92は、LAN(Local Area Network)ケーブルを介して、スプリッタ93に電気的に接続される。また、スイッチングハブ92は、PoEに対応した機器にも電気的に接続され得る。PoEに対応した機器は、例えば、コンピュータ端末、ネットワークカメラ、IP(Internet Protocol)電話及び、無線アクセスポイント等である。スイッチングハブ92は、スイッチングハブ92に電気的に接続された機器との間で、データと電力(直流電力)とを備えたPoE信号の授受を行うことができる。
【0100】
スプリッタ93は、PoEに対応したPoEスプリッタである。スプリッタ93は、スイッチングハブ92から受け取ったPoE信号を、データと電力(直流電力)とに分離する。スプリッタ93は、PoE信号から分離された電力を、PoEに非対応の機器へ供給する。一例として、スプリッタ93は、PoE信号から分離された電力を、配線ダクトシステム100を介して、PoEに非対応の1又は複数の電気機器94へ供給する。
【0101】
また、スプリッタ93は、PoE信号から分離されたデータを含むデータ信号を、PoEに非対応の機器へ送信する。
【0102】
スプリッタ93の直流電力の出力端子は、4つの配線W1の各々の第1端に電気的に接続される。2つの配線ダクト3のうち一方の配線ダクト3は、4つの配線W1のうち2つの配線W1と対応し、他方の配線ダクト3は、残りの2つの配線W1と対応する。以下では、一方の配線ダクト3と、この配線ダクト3に対応する2つの配線W1及び1つのフィードイン4に着目して説明する。
【0103】
2つの配線W1は、正極側の配線と負極側の配線とである。2つの配線W1は、フィードイン4に設けられた2つの入線孔423(図14参照)と一対一で対応する。また、2つの配線W1は、配線ダクト3の2つの導電バー32と一対一で対応する。2つの配線W1の各々の第2端は、対応する入線孔423に挿入され、対応する導電バー32に電気的に接続される。1又は複数のアダプタ5は、配線ダクト3に接続可能であり、各導電バー32には、アダプタ5を介して1又は複数の電気機器94が電気的に接続可能である。
【0104】
以上より、各電気機器94は、配線W1から供給される電力を、導電バー32及びアダプタ5を介して受電することができる。ユーザは、机7(図10参照)の上、又は、机7の周囲で電気機器94を使用することができる。
【0105】
アダプタ5が2つの導電バー32から受電する直流電圧(2つの導電バー32間の電圧)は、60V以下であることが好ましい。この場合、アダプタ5を設置する際に、電気工事士等の資格が不要であるという利点がある。よって、AC100Vのコンセントを移設又は新設する場合と比較して、手軽に電源を確保することができる。
【0106】
アダプタ5が2つの導電バー32から受電する直流電圧は、24V以下であることがより好ましい。また、アダプタ5が2つの導電バー32から受電する直流電圧は、48V以下であることも好ましい。
【0107】
一例として、スイッチングハブ92から出力されるPoE信号の直流電圧は、48Vである。スプリッタ93は、スイッチングハブ92から受電したPoE信号の直流電圧を降圧する機能を有し、スプリッタ93から出力される直流電圧は、一例として、24Vである。アダプタ5は、スプリッタ93から出力される直流電圧を受電し、24V以下の直流電圧を電気機器94へ出力する。
【0108】
配線ダクト3の2つの導電バー32間の電圧を、60V以下(例えば、24V)とすることにより、ユーザが導電バー32に接触したときに感電する可能性を低減させることができる。よって、配線ダクト3にカバーを設けなくてもよく、アダプタ5を配線ダクト3に取り付ける作業においてカバーを着脱する作業の手間がかからないという利点がある。
【0109】
以上、電気機器94に電力を供給するシステムの構成例を説明したが、このシステムに代えて、より簡素に、例えば、各配線W1を、ACアダプタを介して商用電源のコンセントに接続するようにしてもよい。
【0110】
(10)規制部材
本実施形態では、配線ダクトシステム100において、規制部材8は、上述のとおり、平板状部80と、切替部82と、を備える。配線ダクトシステム100において、規制部材8における端面部81が、アダプタ5の少なくとも一部に接触する。図1図5A図6等に示すように、規制部材8は、平板状部80における端面部81がアダプタ5の操作部52の一部に接触している。
【0111】
規制部材8は、例えば金属製の板材から作製される。規制部材8の作製方法は、特に制限はされないが、例えば金属製の板材を適宜の構成を有するような形状に打ち抜き加工等を施すことにより、端面部81を有する平板状部80及び切替部82をそれぞれ作製し、平板状部80と切替部82とを組み合わせることにより、作製されうる。また、規制部材8は、平板状部80と切替部82とを一体的に作製してもよい。なお、規制部材8の材質は、金属製に限られず、プラスチックなどの熱可塑性樹脂製、熱硬化性の樹脂製等であってもよい。
【0112】
図3A図3Dに示すように、平板状部80は、平板で構成されている。具体的には、平板状部80は、長手方向長さに対し薄い厚みを有する略平坦な板状の部材である。ここでいう厚みとは、板厚方向における厚さであり、板厚方向は、アダプタ5の取付面502に対し直交する方向である。すなわち、図1に示すように、本実施形態の平板状部80の板厚方向は、配線ダクト3の長手方向(左右方向)と直交する一方向である奥行方向(前後方向)である。平板状部80の板厚は、アダプタ5の取付面502を向く方向でのアダプタ5の厚さ、すなわちアダプタ5の奥行方向の長さよりも小さい。この場合、規制部材8の強度を維持しつつ、アダプタ5の持ち出しを置きにくくしやすい。また、この場合、規制部材8の小型化(例えば、厚み方向に対する省スペース化)、及び製造コストの低減にも寄与しやすい。
【0113】
平板状部80は、奥行方向で手前側(前後方向で前側)を向く面の平板正面部801と、奥行方向で奥手側(前後方向で後側)を向く面の平板背面部802と、を有している。平板正面部801と平板背面部802とは、端面部81を介して繋がっている。
【0114】
平板状部80は、アダプタ5の少なくとも一部を覆う端面部81を含んでいる。端面部81は、平板状部80の表面及び裏面、すなわち平板正面部801及び平板背面部802にはなく、平板状部80の厚みをなす面の一部を構成する面にある。本実施形態では、平板状部80の板厚方向は、配線ダクトシステム100において取付けられるアダプタ5の取付面502に対する直交する方向である。つまり、端面部81は、板厚方向に沿って形成されている。したがって、本実施形態では、端面部81を構成する板厚部分によって、アダプタ5の周面510の少なくとも一部に接触する。
【0115】
端面部81は、アダプタ5の左右方向への移動を規制するように作用しうる。具体的には、端面部81は、アダプタ5の回転規制状態、又は切替部82の施錠状態若しくは解除状態おいて、アダプタ5の周面510の少なくとも一部と接触する接触面810を含む。接触面810は、アダプタ5の回転規制状態において、アダプタ5の周面510と一対一で対応して接触する面でありうる。
【0116】
本実施形態では、平板状部80がアダプタ5の少なくとも一部である操作部52に接触することで、アダプタ5の取外しを規制しうるものであるが、端面部81がアダプタ5の周面510に接触する接触面810を1以上有することで、より強固にアダプタ5の取外しを規制しうる。本実施形態では、端面部81は、3つの接触面810(811,812,813)を含む。
【0117】
ここで、規制部材8の接触面810に関し、上記(8)アダプタに関する説明で述べたように、回転規制状態におけるアダプタ5の姿勢を基準とした場合の接触面810について説明する。なお、回転規制状態には、施錠状態及び解錠状態のいずれの状態である場合も含む。ここでいう回転規制状態とは、単に規制部材8とは無関係にアダプタ5の回転が規制されているか否かの状態のことであるからである。
【0118】
端面部81における接触面810は、第1接触面811、第2接触面812、及び第3接触面813を含む。第1接触面811は、アダプタ5の第1周面5101と接触する面である。第1接触面811は、回転規制状態において、第1周面5101の少なくとも一部に接触しアダプタ5を保持しうる。第2接触面812は、アダプタ5の第2周面5102と接触する面である。第2接触面812は、回転規制状態において、第2周面5102の少なくとも一部に接触しアダプタ5を保持しうる。このため、規制部材8によって、より強固にアダプタ5を固定しうる。また、この場合において、第2接触面812のうち一部分は、アダプタ5における操作部52にも接触しうる。第3接触面813は、本実施形態では、規制凹部55における端面550に接触する面である。具体的には、端面550は、蓋部56の前後方向後側にある表面の一部の領域がコネクタ装着面501に近づく方向に一段下がって形成された第2凹部552と、第2凹部552よりもコネクタ装着面501側に一段上がった部分561との前後方向における境界面(端面550)である。第3接触面813は、規制凹部55に入り込んで端面550の少なくとも一部に接触しアダプタ5を保持する。したがって、本実施形態では、第3接触面813は、アダプタ5の第3周面5103に接触していない。
【0119】
平板状部80は、平板状縦片8011と、平板状横片8012と、平板状折曲がり片8013と、を有する。平板状縦片8011と、平板状横片8012と、平板状折曲がり片8013とは、一体となって形成されている。平板状縦片8011は、幅方向(上下方向)に延びる片であり、その一端が平板状横片8012に繋がっている。平板状横片8012は、長手方向(左右方向)に延びる片であり、一端が平板状縦片8011に繋がり、他端が平板状折曲がり片8013に繋がっている。平板状折曲がり片8013は上下方向に延びる片であり、一端が平板状横片8012に繋がっている。平板状縦片8011と平板状横片8012とは、略直交するように構成されており、平板状横片8012と平板状折曲がり片8013とは、略直交するように構成されている。また、平板状縦片8011と平板状折曲がり片8013とは、略平行になるように構成されている。本実施形態では、アダプタ5の回転規制状態において、平板状折曲がり片8013の先端は、アダプタ5の規制凹部55と配線ダクト3との間に配置され、取付面502と規制凹部55とを接続する面に接触している。
【0120】
平板状部80は、規制部材8を取り付ける際において正面から見て、概ねU字型の板状である。本実施形態では、平板状折曲がり片8013の幅方向長さが、平板状縦片8011の幅方向長さよりも短く形成されている。平板状部80は、規制部材8を取り付ける際に、概ね隙間なくアダプタ5の筐体51の長手方向における両側面と接触する、又は僅かに隙間が存在するように構成される。
【0121】
平板状縦片8011の一部分に、切替部82が形成されている。図1等では、切替部82は、平板状縦片8011の上下方向上側寄りの部分に形成されている。
【0122】
平板状横片8012の一端面が、第1接触面811、平板状縦片8011の一端面が、第2接触面812、平板状折曲がり片8013の一端面が、第3接触面813となりうる。
【0123】
切替部82は、ヘッド部820と、切替軸部822と、カム部823と、を有する。具体的には、切替部82は、例えば平板状部80の平板状縦片8011にその表面から裏面に向かってを貫通する貫通孔(不図示)があり、その貫通孔を通る切替軸部822と、切替軸部822の先端とは反対側の位置にある施錠と解錠とを切り替えるために嵌合をなしうるカム部823と、で構成されている。
【0124】
切替軸部822の先端にあるヘッド部820には、鍵穴部821が形成されている。例えば、ヘッド部820は、ねじ頭状の鍵穴部821が形成されている。本実施形態では、図1等において示すように、ヘッド部820は、十字状の鍵穴部821を有する。この場合、切替部82は、プラスドライバー等の鍵穴の形状に準ずる形状を有した工具を用いて切替操作をすることができる。すなわち、切替部82は、工具により切替操作が可能に構成されている。ヘッド部820は、切替軸部822の外径よりも大きな径又は寸法を有する形状で構成されている。
【0125】
切替軸部822は、平板状部80の平板正面部801及び平板背面部802に対して直交する方向に沿って形成されている。
【0126】
カム部823は、平板状に形成されている。カム部823は、切替軸部822の、ヘッド部820のある側とは反対側の先端で固定されている。カム部823の板厚は、平板状部80の板厚と同程度である。カム部823は、平板背面部802から離間して設けられており、すなわち、カム部823と平板背面部802との間には隙間が空いている。
【0127】
配線ダクトシステム100において、規制部材8を取り付けるにあたり、規制部材8は、上述のとおり、アダプタ5の少なくとも一部を覆う。ここで、規制部材8は、端面部81における第2接触面812において、アダプタ5の少なくとも一部である操作部52を覆うことにより、アダプタ5の取外しを規制しうる。また、本実施形態では、第1接触面811の一部が、アダプタ5の第1周面5101の少なくとも一部も覆っている。加えて、第2接触面812の一部が、アダプタ5の第2周面5102の少なくとも一部を覆っている。さらに、第3接触面813の一部が、アダプタ5の規制凹部55内で取付面502の少なくとも一部に接触している。これにより、アダプタ5が規制部材8によってそのアダプタ5の周面の一部が覆われている。そのため、アダプタ5に対してより強固な取外しの規制ができうる。本実施形態では、規制部材8において、第3接触面813を有する平板状折曲がり片8013が規制凹部55内で、第3周面5103と端面550との間に収められている。すなわち、平板状折曲がり片8013の先端は、規制凹部55と配線ダクト3との間に配置され、取付面502と規制凹部55とを接続する面に接触している。これにより、アダプタ5を支持する規制部材8の一部を視認させないようにすることができる。そのため、配線ダクトシステム100の外観を過度に損ないにくくできる。また、この場合、アダプタ5とダクトレール31との間にユーザの指等を入れにくく、より容易には取り外せない構造としうる。そのため、アダプタ5の持ち去りに対する高い抑止力を働かせやすい。なお、上記では、施錠状態において規制部材の一部が視認されないことを説明したが、解錠状態においても規制部材の一部が視認されないようにされていてもよい。例えば、施錠状態でなくても、規制部材8の一部、例えば平板状折曲がり片8013が隠れていてもよい。
【0128】
規制部材8は、規制部材8における平板状部80及び切替部82、並びに切替キーK1に基づき、配線ダクトシステム100からのアダプタ5の取外しを規制しうる。本実施形態の規制部材8を用いた錠システムについて以下説明する。
【0129】
(11)錠システム
以下、本実施形態に係る規制部材8を用いて施錠状態及び解錠状態を操作するシステム(本開示においては、「錠システム」という。)について図1図6を参照しながら詳細に説明する。
【0130】
図1に示すように、錠システムは、規制部材8と、切替キーK1とを備える。規制部材8は、既に述べたとおり、配線ダクトシステム100からの、アダプタ5の取り外しを規制する部材である。規制部材8は、平板状部80と、切替部82と、を備える。ここでは一例として、平板状部80と切替部82とは、一体となって形成されている。
【0131】
以下では、図1に示すように、規制部材8が配線ダクトシステム100に取り付けられてアダプタ5の取り外しを規制した状態時のことを、単に「規制部材8の使用時」と称することがある。
【0132】
切替キーK1は、規制部材8の切替部82に対して切替操作するための部材である。切替キーK1は、例えば切替部82においてヘッド部820が鍵穴部821を有する場合、具体的にはヘッド部820が鍵穴で形成されている場合、切替キーK1は、一例として、丸型キー(いわゆるエースキー)である。切替キーK1を切替部82の鍵穴部821に差し込み、回すことで、切替部82の状態が、解錠状態から施錠状態へ、又は施錠状態から解錠状態へ切り替わる。切替キーK1の種類は特に限定されず、ディスクシリンダー等でもよい。また、切替キーK1には、スペアキーが存在してもよい。
【0133】
本実施形態では、切替部82において、ヘッド部820は、一例として十字状の鍵穴部821を有している。この場合、切替キーK1は、プラスドライバー等の工具でありうる。そのため、切替部82を操作するめの切替キK1ーとして、切替部82の形状に応じた工具が利用可能である。すなわち、切替部82は、工具により切替操作が可能に構成されている。このため、切替部82の施錠及び解錠の切替えを工具により行うため、人(ユーザ等)が容易に規制部材8及びアダプタ5の取外しをより困難にさせうる。なお、切替キーK1となりうる工具は、前記のプラスドライバーに限られず、規制部材8の切替部82の構成に応じて適宜変更すればよい。
【0134】
以下に、錠システムにおける規制部材8の使用手順について説明する。
【0135】
まず、作業者は、アダプタ5を配線ダクト3に取り付ける。次に、作業者は、規制部材8を持ち、規制部材8における平板状部80の端面部81と、アダプタ5の周面510の少なくとも一部が接触するように、規制部材8をアダプタ5の上下方向下側から被せる(図1及び図2等参照)。
【0136】
ここで、切替部82が解錠状態にある時には、図2、及び図3に示すように、カム部823の長軸がダクトレール31の長手方向(左右方向)に沿う状態となる。また、カム部823は、規制部材8を設置する前も、長軸はダクトレール31の幅方向(上下方向)に沿う状態以外の状態にされている。したがって、解錠状態にある時には、平板状部80の端面部81でアダプタ5を囲んだ状態で、カム部823を、挿入方向A1に沿って配線ダクト3の収納部3110に挿入することができる。
【0137】
そして、作業者は、切替キーK1を鍵穴部821に差し込み、例えば時計回りに回す。すると、図1図3B図3Cに示すように、切替軸部822に連結したカム部823が回転してカム部823の長軸が、ダクトレール31の長手方向と直交する方向(上下方向)に沿う状態となり、切替部82が、解錠状態から施錠状態に切り替わる。その結果、カム部823が、図4に示すように、配線ダクト3における第1レール311の2つの嵌合部3111に嵌合する。つまり、アダプタ5の2つの固定リブ532の嵌合先となる嵌合部3111を、カム部823の嵌合先として共用している。施錠状態時には、規制部材8は、端面部81でアダプタ5の周面510の一部と接触した状態で、配線ダクト3の収納部3110から引き抜けなくなる。具体的には、図1では、規制部材8の端面部81が、アダプタ5の第1周面5101、第2周面5102、及び規制凹部55の端面と接触し、配線ダクト3に規制部材8が固定される。これにより、規制部材8の配線ダクト3への取り付けが達成される。
【0138】
さらに、切替部82が施錠状態に切り替わったことで、平板状部80がアダプタ5の一部、ここでは、図1に示すように筐体51の下面(アダプタ5の第1周面5101)、左側面(アダプタ5の第2周面5102)、及び蓋部56における規制凹部55の端面を覆う態様で配線ダクト3に取り付けられ、アダプタ5の取り外しを規制する。
【0139】
規制部材8を取り外す場合には、作業者は、再び切替キーK1を鍵穴部821に差し込み、例えば反時計回りに回すことで、切替部82は、施錠状態から解錠状態に切り替わる。そして、作業者は、規制部材8を掴んで手前(挿入方向A1と逆方向)に移動させることで、カム部823が配線ダクト3の収納部3110から引き抜かれる。この状態になれば、作業者は、規制部材8を下側へ引き下げて、アダプタ5から規制部材8を脱離させることができる。なお、規制部材8の使用手順は、上記の順序どおりに行うことには限られない。
【0140】
ここで本実施形態の規制部材8は、上述した説明からも理解できるように、アダプタ5の取り外しに対して二種類の規制を行っているといえる。
【0141】
第一に、規制部材8は、切替部82が施錠状態において、平板状部80によりアダプタ5の回転を阻害し、アダプタ5の取り外しを規制する。具体的には、規制部材8の使用時に、平板状部80の端面部81がアダプタ5の周面510及び規制凹部55の端面に接触し、アダプタ5を囲んだ状態にある。そのため、仮にアダプタ5を反時計回りに回転させるなどして引き抜こうとしても、筐体51が端面部81に囲われているので、アダプタ5の回転を阻害することになる。もっとも、アダプタ5は、上述の通り、操作部52の爪部520が収納部3110に差し込まれているため、操作部52によっても回転が防止されている。そのため、より強固にアダプタ5の回転が阻害されている。
【0142】
第二に、規制部材8の使用時に、平板状部80が操作部52の表面(特に摘み部521)の一部を覆い隠している。そのため、人(ユーザ等)が指先等で操作部52を操作しにくい状態にある。言い換えると、本実施形態では、平板状部80の端面部81は、切替部82が施錠状態において、操作部52の操作を阻害するように操作部52を覆う構成である。
【0143】
本実施形態では、アダプタ5が、配線ダクト3の長手方向に沿った移動が可能である。そして、規制部材8は、切替部82が施錠状態において、アダプタ5と一体的に長手方向に沿った移動が可能である。つまり、カム部823は、配線ダクト3における第1レール311の2つの嵌合部3111に嵌合しているため、引き抜くことは規制されているが、2つの嵌合部3111内を沿って左右方向にスライド移動させることは可能である。ここでは、規制部材8は、端面部81がアダプタ5を囲みうることで、アダプタ5と連なってスライド移動が可能である。そのため、配線ダクトシステム100からの給電を利用するユーザの利便性を向上しつつも、アダプタ5の取り外しの規制を維持できる。
【0144】
しかし、アダプタ5が配線ダクト3の長手方向に対して移動不可にされている場合、規制部材8も配線ダクト3の長手方向に対して移動不可とされていてもよい。さらに、アダプタ5の周面510の2以上に接触する構成も、省略されてもよい。この場合、平板状部80は、端面部81のうち、操作部52の表面の一部を覆う第2接触面812を有して、第1接触面811及び第3接触面813は、適宜省略されてもよい。
【0145】
また、本実施形態におけるアダプタ5の操作部52は必須の構成ではない。仮に操作部52がアダプタ5に設けられていなくても、規制部材8が、アダプタ5を囲む端面部81を有することで、アダプタ5の回転を阻害し、アダプタ5の取り外しを規制し得る。
【0146】
(12)利点
本実施形態では、電気機器94の(又は、電気機器94に接続されるケーブルの)コネクタ95を、配線ダクト3に取り付けられたアダプタ5に接続することで、配線ダクト3から電気機器94に電力を供給することができる。よって、電力を電源コンセントから又は電源コンセントの電力を分配する電源タップから電気機器94に供給する場合と比較して、什器の周りの配線の取り回しを改善させることができる。また、アダプタ5を、コネクタ95への出力電圧が異なる別のアダプタへ交換することで、電気機器94への供給電圧を容易に変更可能である。
【0147】
ここで上述の通り、直流又は交流の電力の供給を行う配線ダクトシステム100は、机7等の什器といった、比較的にユーザの手の届きやすい位置に設置される可能性がある。その場合、ユーザ等によって配線ダクト3からアダプタ5が無断で持ち出さられてしまう可能性がある。特に、配線ダクトシステム100が、図書館等の公共施設、ホテル、又は民泊等の什器に適用される場合は、ユーザは、不特定多数の者になることから、持ち出しが起こる懸念が高まる。
【0148】
これに対し、本実施形態の規制部材8は、切替部82を備え、配線ダクトシステム100からの、アダプタ5の取り外しを規制する。そのため、切替キーK1で切替部82を解錠状態にしない限り、規制部材8が、アダプタ5の取り外しを規制することになる。結果的に、配線ダクト3からのアダプタ5の持ち出しが起きにくくなる。
【0149】
また、本実施形態では、アダプタ5が回転により着脱される構成を前提として、平板状部80の端面部81によりアダプタ5の回転が阻害されるため、簡単な構成でありながら、アダプタ5の持ち出しが起きにくくなる。
【0150】
さらに、本実施形態では、アダプタ5が回転により着脱され、かつ操作部52の差し込みによりその回転が制限される構成を前提として、平板状部80により操作部52の操作が阻害される。そのため、簡単な構成でありながら、アダプタ5の持ち出しが起きにくくなる。加えて、本実施形態では、規制部材8における板厚が、従来に比べて比較的薄く形成されているにもかかわらず、強度を向上させうる。そのため、規制部材を無理やり取り外したりすることなどによる変形が起こりにくい。これにより、よりアダプタの盗難等による不当な持ち出しも起こりにくくすることができる。
【0151】
特に、本実施形態では、壁部K2は、配線ダクト3の長手方向におけるアダプタ5の両端部を挟み込むように構成されると、アダプタ5の持ち出しを更に抑制できる。
【0152】
(実施形態の変形例)
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0153】
配線ダクトシステム100の一部の構成が、他の構成とは独立して提供されてもよい。例えば、配線ダクト3、ダクト固定具F1、第1固定部1又は第2固定部2(固定部材)が、他の構成とは独立して提供されてもよい。
【0154】
実施形態で示した個々の構成の個数は、一例であって、実施形態で示した個数に限定されない。例えば、配線ダクトシステム100は、2つの配線ダクト3を備えることに限定されず、1つ又は3つ以上の配線ダクト3を備えていてもよい。また、配線ダクトシステム100は、2つの第1固定部1を備えることに限定されず、1つ又は3つ以上の第1固定部1を備えていてもよい。また、配線ダクトシステム100は、2つの第2固定部2を備えることに限定されず、1つ又は3つ以上の第2固定部2を備えていてもよい。また、パーティション付きダクトシステム200は、3つのパーティション6を備えることに限定されず、1つ、2つ又は4つ以上のパーティション6を備えていてもよい。
【0155】
複数の配線ダクト3は、上下方向に並んだ2つ以上の配線ダクト3を含んでいてもよい。また、上記2つ以上の配線ダクト3ごとに、導電バー32の電圧が異なっていてもよい。また、上記2つ以上の配線ダクト3ごとに、取付可能なアダプタ5の規格が異なっていてもよい。例えば、上記2つ以上の配線ダクト3を、収納部3110の幅又は深さにおいてそれぞれ異ならせることで、上記2つ以上の配線ダクト3ごとに、取付可能なアダプタ5の形状が限定されていてもよい。この場合、アダプタ5の形状に応じた規制部材K1が複数種類あってもよい。
【0156】
規制部材8の板厚は、適宜の寸法であってよいが、例えばアダプタ5の奥行方向の長さよりも短いことが好ましい。この場合、規制部材8のより小型化、及び製造における低コスト化をなしうる。
【0157】
規制部材8の端面部81は、規制部材8を取付けるにあたって、アダプタ5の上面及び左右両側面を囲むように、又は上下左右の全周面を囲むように構成されてもよい。例えば、実施形態においては、規制部材8は、上下方向下側から、アダプタ5を囲うように配置されるが、規制部材8は、上下方向上側からアダプタ5の第4周面5104に端面部81が接触するように配置されてもよい。
【0158】
切替部82の鍵穴部821は、規制部材8における切替部82の切替操作時に、正面を向いていることに限定されない。また、切替部82の位置は、実施形態では、左右方向左側であるが、右側であってもよい。
【0159】
切替部82は、一例として、いわゆるシリンダー錠であってもよい。上述の通り、切替部82は、切替キーK1が差し込まれる鍵穴部821を有する。切替部82は、鍵穴部821が正面を向く態様で平板状部80で保持される。また、切替部82は、施錠状態において、配線ダクト3に嵌合するカム部823を有する。カム部823は、切替部82のシリンダー部分となる切替軸部822に組み付けられている。
【0160】
規制部材8が第3接触面813を有する場合、アダプタ5の規制凹部55と配線ダクト3の間に配置されていなくてもよい。この場合、第3接触面813は、アダプタの第3周面と接触するものであってもよい。すなわち、実施形態では、規制部材8の平板状折曲がり片8013は、アダプタ5とダクトレール31との間に収められて、視認されない態様とできるものであったが、規制部材8の平板状折曲がり片8013が視認されうる態様であってもよい。より具体的には、例えば、図19に示すように、施錠状態において配線ダクト3の長手方向に沿ったアダプタ5の周面510を第1周面5101とした場合、規制部材8の端面部81は、第1接触面811と、第2接触面812と、第3接触面813とを有する。第1接触面811は、第1周面5101と接触する面である。第2接触面812は、第2周面5102と接触する面である。第3接触面813は、第3周面5103と接触する面である。この場合、仮にアダプタ5の蓋部56において規制凹部55が形成されていなくても、両端にある周面、必要により3つの周面における各周面のいずれとも接触しうるため、アダプタ5の取外しをより強固に規制しうる。なお、実施形態に比して第3接触面813を含む部分の平板状折曲がり片8013(例えば平板状折曲がり片8013の先端部)の視認されうることで美観には劣りうるものの、強固な規制が可能であり、持ち去りの抑止効果は高まりうる。
【0161】
平板状部80がアダプタ5の両端部を挟み込むように構成されていてもよい。この場合、第2接触面812がアダプタ5の第2周面5102と、第3接触面813がアダプタ5の第3周面5103と、それぞれ接触してアダプタ5の両端部、すなわち第2周面5102及び第3周面5103にある部分を挟み込む。
【0162】
2つ以上の配線ダクト3が1つの第1固定部1に固定されてもよい。あるいは、1つの配線ダクト3が2つ以上の第1固定部1に固定されてもよい。
【0163】
2つ以上の配線ダクト3が、各々の長手方向(左右方向)に連結可能であってもよい。
【0164】
第2固定部2として、横架部21の長さがそれぞれ異なる複数の規格の第2固定部2を用意してもよい。第2固定部2を、規格の異なる別の第2固定部2へ交換することで、什器(机7)の長さに応じて、第1固定部1の両側の2つの第2固定部2の各々の支柱部22間の距離を調整することができる。
【0165】
配線ダクト3は、机7の天板71の上に固定されることに限定されない。配線ダクト3は、例えば、天板71の側面又は裏面に固定されてもよい。
【0166】
配線ダクト3は、配線ダクト3の長手方向が水平面に沿うように什器に取り付けられなくてもよく、例えば、配線ダクト3の長手方向が鉛直方向に沿うように什器に取り付けられてもよい。また、例えば、配線ダクト3がパーティション6のうち上下方向に沿った側面に組み込まれていてもよい。
【0167】
配線ダクト3において、取付領域に含まれうる収納部3110は、複数設けられて、配線ダクト3の長手方向に並んでいてもよい。
【0168】
また、コネクタ95は、プラグに限定されず、ジャック(差込口)であってもよい。配線ダクト3は、コネクタ95としてのプラグが接続可能な第1のアダプタと、コネクタ95としてのジャックが接続可能な第2のアダプタと、の両方を接続可能であってもよい。これにより、プラグとジャックとのいずれを備える電気機器94又はケーブルにも対応できる。第1のアダプタと第2のアダプタとにおいて、コネクタ95との接続部分以外の構成が共通であってもよい。
【0169】
配線ダクトシステム100は、例えば、図20に示す机7C(什器)に適用されてもよい。具体的には、机7Cは、ユーザが前方にのみ着席することが想定された机であり、例えば、カウンターデスクと称される。什器(机7C)は、配線ダクト3を固定するダクト固定具F2を備える。つまり、机7Cとダクト固定具F2とが一体に形成されている。
【0170】
机7Cは、机本体70と、ダクト固定具F2と、バックパネル74と、を備える。ダクト固定具F2は、第1固定部1Cと、2つの第2固定部2Cと、を有する。机本体70は、天板701と、突台702と、支持体703と、を含む。机7Cには、配線ダクト3が取り付けられる。配線ダクト3には、フィードイン4と、アダプタ5及び規制部材8(図20では図示を省略)と、が取り付けられる。
【0171】
配線ダクトシステム100は、机7,7C等の什器に限らず、例えば壁面、天井面等の建築物の内装、鉄道等の車両の壁面等を構成する面に適用されてもよい。
【0172】
配線ダクトシステム100は、実施形態では直流(DC)の場合について説明したが、交流であってもよい。つまり、配線ダクトシステム100が受電しコネクタ95に供給する電力は、交流(AC)であってもよい。したがって、配線ダクトシステム100は、直流配線ダクトシステム、又は交流配線ダクトシステムのいずれであってもよい。
【0173】
電力供給システムがスイッチングハブ92とスプリッタ93とを備える場合について説明したが、これに限定されない。電力供給システムは、スイッチングハブ92とスプリッタ93との代わりに、例えば、図21に示すように、ACアダプタ96を備えてもよい。ACアダプタ96は、電源91から供給された交流電圧を、配線ダクトシステム100が受電する電圧、すなわち直流(DC)電圧に変換する。具体的には、ACアダプタ96は、100Vの交流電圧を、24Vの直流電圧に変換するように構成されていてもよい。
【0174】
アダプタ5における差込口に関し、上述の実施形態では、第1差込口511と第2差込口512とは、規格が異なる差込口であるが、第1差込口511と第2差込口512とは、同じ規格の差込口であってもよい。また、アダプタ5における差込口の個数は、特に制限されず、例えば1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0175】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る規制部材(8)は、配線ダクトシステム(100)からの、アダプタ(5)の取外しを規制する。配線ダクトシステム(100)は、コネクタ(95)が接続されるアダプタが着脱可能な配線ダクト(3)を有しかつアダプタ(5)を介してコネクタ(95)に電力を供給する。規制部材(8)は、アダプタ(5)の少なくとも一部に接触する端面部(81)を含む平板状部(80)と、切替キー(K1)によって施錠状態及び解錠状態が切替わる切替部(82)と、を備える。規制部材(8)は、切替部(82)が施錠状態において、端面部(81)が前記少なくとも一部に接触する態様で配線ダクト(3)に取り付けられる。平板状部(80)の板厚方向は、アダプタ(5)の取付面(502)に対し直交する方向である。端面部(81)は、板厚方向に沿って形成されている。
【0176】
この態様によれば、切替キー(K1)で切替部(82)を解錠状態にしない限り、規制部材(8)が、アダプタ(5)の取り外しを規制することになる。結果的に、配線ダクト(3)からのアダプタ(5)の持ち出しが起きにくくなる。
【0177】
第2の態様に係る規制部材(8)は、第1の態様において、平板状部(80)の板厚が、アダプタ(5)の取付面(502)を向く方向でのアダプタ(5)の厚さよりも小さい。
【0178】
この態様によれば、規制部材(8)の強度を維持しつつ、アダプタ(5)の持ち出しを置きにくくしやすい。また、この場合、規制部材(8)の小型化、及び製造コストの低減にも寄与しやすい。
【0179】
第3の態様に係る規制部材(8)は、第1又は2の態様において、端面部(81)が、施錠状態において、配線ダクト(3)の長手方向に沿ったアダプタ(5)の第1周面(5101)と接触する第1接触面(811)と、第1周面(5101)と交差するアダプタ(5)の第2周面(5102)と接触し、かつ第1接触面(811)の一端と交差する第2接触面(812)と、を有する。
【0180】
この態様によれば、規制部材(8)によって、より強固にアダプタ(5)を固定しうる。
【0181】
第4の態様に係る規制部材(8)に関し、第3の態様において、アダプタ(5)は、取付面(502)において取付面(502)よりもコネクタ(95)の装着面(501)方向に近づく凹部(55)を有する。平板状部(80)は、第1接触面(811)の他端と交差し、かつ第2周面(5102)と対向する第3周面(5103)よりも第2周面(5102)側で第1周面(5101)を向く側とは反対側に折れ曲がる平板状折曲がり片(8013)を有する。平板状折曲がり片(8013)の先端は、凹部(55)と配線ダクト(3)との間に配置され、取付面(502)と凹部(55)とを接続する面に接触している。
【0182】
この態様によれば、アダプタ(5)を支持する規制部材(8)の一部を視認させないようにすることができる。そのため、配線ダクトシステム(100)の外観を過度に損ないにくくできる。また、この場合、アダプタ(5)とダクトレール(31)との間にユーザの指等を入れにくく、より容易には取り外せない構造としうる。そのため、アダプタ(5)の持ち出しに対する高い抑止力を働かせやすい。
【0183】
第5の態様に係る規制部材(8)は、第3の態様において、端面部(81)が、第1周面(5101)と交差し、かつ第2周面(5102)と対向するアダプタ(5)の第3周面(5103)と接触し、第1接触面(811)の他端と交差する第3接触面(813)を、更に有する。
【0184】
この態様によれば、アダプタ(5)の取外しをより強固に規制しうる。
【0185】
第6の態様に係る規制部材(8)は、第1から第5のいずれか一の態様において、平板状部(80)と切替部(82)とが、一体となって形成されている。
【0186】
この態様によれば、規制部材(8)の小型化、及び製造コストの低減に寄与しやすい。
【0187】
第7の態様に係る規制部材(8)に関し、第1から第6のいずれか一の態様において、配線ダクト(3)は、導電バー(32)と、導電バー(32)が収納される凹部形状の収納部(3110)を含むダクトレールと、を有する。アダプタ(5)は、固定リブ(532)を有し、その固定リブ(532)を収納部(3110)へ挿入し、及びその挿入方向に沿った回転軸を中心に所定の角度回転させることで、導電バー(32)との電気的な接続が達成され、かつ収納部(3110)からの引き抜きが抑制される。規制部材(8)は、切替部(82)が施錠状態において、端面部(81)によりアダプタ(5)の回転を阻害する。
【0188】
この態様によれば、アダプタ(5)を引き抜こうとしても、筐体(51)が端面部(81)に囲われているので、アダプタ(5)の回転を阻害することで、よりアダプタ(5)の取外しを規制しやすい。
【0189】
第8の態様に係る規制部材(8)に関し、第7の態様において、アダプタ(5)は、収納部(3110)に抜き差し操作可能に構成されて、収納部(3110)に差し込むことでアダプタ(5)の回転を制限する操作部(52)を有する。規制部材(8)は、平板状部(80)が、切替部(82)が施錠状態において、操作部(52)の操作を阻害するように操作部(52)を覆う。
【0190】
この態様によれば、人(ユーザ等)が指先等でアダプタ(5)の操作部(52)を操作しにくい状態にある。このため、よりアダプタ(5)の取外しを規制しやすい。
【0191】
第9の態様に係る規制部材(8)に関し、第1から第8のいずれか一の態様において、アダプタ(5)は、配線ダクト(3)の長手方向に連続した取付領域のうち任意の位置に取り付けられ、取付後において長手方向に沿った移動が可能である。規制部材(8)は、切替部(82)が施錠状態において、アダプタ(5)と一体的に長手方向に沿った移動が可能である。
【0192】
この態様によれば、配線ダクトシステム(100)からの給電を利用するユーザの利便性を向上しつつも、アダプタ(5)の取り外しの規制を維持できる。
【0193】
第10の態様に係る規制部材(8)は、第1から第9のいずれか一の態様において、切替部(82)が、施錠状態において配線ダクト(3)に嵌合するカム部(823)を有する。
【0194】
この態様によれば、アダプタ(5)の取外しをより強固に規制しうる。
【0195】
第11の態様に係る規制部材(8)は、第1から第10のいずれか一の態様において、切替部(82)が、工具により切替操作が可能に構成されている。
【0196】
この態様によれば、切替部(82)の施錠及び解錠の切替えを工具により行うため、人(ユーザ等)が容易に規制部材(8)及びアダプタ(5)の取外し、及びアダプタ(5)の持ち出しをより困難にさせうる。
【0197】
第12の態様に係る配線ダクトシステム(100)は、コネクタ(95)が接続されるアダプタ(5)と、導電バー(32)と導電バー(32)が収納される凹部形状の収納部(3110)を含むダクトレール(31)とを有する配線ダクト(3)と、第1から第11のいずれか一の態様の規制部材(8)と、を備える。配線ダクトシステム(100)は、アダプタ(5)を介してコネクタ(95)に電力を供給する。
【0198】
この態様によれば、かつ高い強度を有する規制部材(8)でアダプタ(5)の配線ダクトからのアダプタの持ち出しを起きにくくできる。
【符号の説明】
【0199】
100 配線ダクトシステム
3 配線ダクト
31 ダクトレール
3110 (凹部形状の)収納部
32 導電バー
5 アダプタ
50 アダプタ本体部
510 周面
5101 第1周面
5102 第2周面
5103 第3周面
52 操作部
532 固定リブ
8 規制部材
80 平板状部
81 端面部
8013 平板状折曲がり片
810 接触面
811 第1接触面
812 第2接触面
813 第3接触面
82 切替部
823 カム部
95 コネクタ
A1 挿入方向
B1 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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