(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008573
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】清掃装置
(51)【国際特許分類】
A47L 9/02 20060101AFI20250109BHJP
A47L 9/10 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A47L9/02 Z
A47L9/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110838
(22)【出願日】2023-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】391044797
【氏名又は名称】株式会社コーワ
(71)【出願人】
【識別番号】000133445
【氏名又は名称】株式会社ダスキン
(74)【代理人】
【識別番号】100130074
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 繁元
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 毅
(72)【発明者】
【氏名】足立 知志
(72)【発明者】
【氏名】橋本 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】矢部 可織
【テーマコード(参考)】
3B061
3B062
【Fターム(参考)】
3B061AA04
3B061AA06
3B062AG03
(57)【要約】
【課題】 ダストボックスに収容されていた塵埃が回転清掃体に付着、又は筐体の外部にこぼれ落ちるのを防ぐと共に、ダストボックスに収容される塵埃の収容量を増加させることができる清掃装置を提供する。
【解決手段】 清掃装置10は、下面に塵埃等が通過する開口1aを備えた筐体1と、筐体1の上部に固定される長尺な操作用ハンドル2と、筐体1の内部に位置し、開口1aの近傍に第1回動軸3aによって軸支された回転清掃体3と、筐体1の内部に位置し、回転ブラシ3を回転させる駆動機構4と、回転清掃体3によって掻き上げられた塵埃等が通過する収容口5aを備えた略箱形状のダストボックス5とを有しており、ダストボックス5は、回転清掃体3の後方側且つ回転清掃体3と対向する位置に収容口5aを配置した状態で、第2回動軸5bによって筐体1に対して回動可能に軸支されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被清掃面に付着した塵埃等を除去する清掃装置において、
前記清掃装置は、下面に塵埃等が通過する開口を備えた筐体と、
前記筐体の上部に固定される長尺な操作用ハンドルと、
前記筐体の内部に位置し、前記開口の近傍に軸支された回転清掃体と、
前記筐体の内部に位置し、前記回転清掃体を回転させる駆動機構と、
前記回転清掃体によって掻き上げられた塵埃等が通過する収容口を備えた略箱形状のダストボックスと、を有し、
前記ダストボックスは、前記回転清掃体の後方側且つ前記回転清掃体と対向する位置に前記収容口を配置した状態で、前記筐体に対して回動可能に軸支されていることを特徴とする清掃装置
【請求項2】
操作用ハンドルは、筐体に対する摺動抵抗を備えた回動機構を介して固定されており、
前記操作用ハンドルを把持して前記筐体を被清掃面から持ち上げた場合に、前記筐体は、前記操作用ハンドルに対する傾きを維持しつつ持ち上がることを特徴とする請求項1に記載の清掃装置
【請求項3】
ダストボックスは、清掃装置を被清掃面に設置した状態では、内底面が被清掃面に対して略平行又は被清掃面に対して後方に向かい下方に傾斜した状態となるように回動し、
前記清掃装置を被清掃面から離した状態では、前記内底面が水平面に対して後方に向かい下方に傾斜した状態となるように回動することを特徴とする請求項1に記載の清掃装置
【請求項4】
清掃装置は、該清掃装置を被清掃面に設置した状態では、筐体の底面とダストボックスの外壁面との間に空間が形成されていると共に、
前記清掃装置を被清掃面から離した状態では、前記ダストボックスが回動することで前記空間がつぶれて前記筐体の底面と前記ダストボックスの外壁面とが当接した状態となることを特徴とする請求項1に記載の清掃装置
【請求項5】
筐体は、駆動機構を収容する駆動室を有し、該駆動室は、筐体の底面側の下方に突出して形成されており、
清掃装置は、該清掃装置を被清掃面に設置した状態では、前記駆動室の外側に位置する前記筐体の底面とダストボックスの外壁面との間に空間が形成されていると共に、
前記清掃装置を被清掃面から離した状態では、前記ダストボックスが回動することで前記空間がつぶれて前記筐体の底面と前記ダストボックスの外壁面とが当接した状態となることを特徴とする請求項4に記載の清掃装置
【請求項6】
ダストボックスは、後方端部に緩衝ローラーを有し、清掃装置を被清掃面から垂直方向に離した状態では、前記ダストボックスが回動し、前記緩衝ローラーが前記ダストボックスの最下端に位置する状態となることを特徴とする請求項1に記載の清掃装置
【請求項7】
ダストボックス及び回転清掃体は、筐体に対して着脱可能に固定されていると共に、前記ダストボックス及び前記回転清掃体の各々を同時に固定するロック機構を有することを特徴とする請求項1に記載の清掃装置
【請求項8】
ダストボックスは、底面に排出口を有するダストボックス本体と、該ダストボックス本体に軸支されると共に、前記排出口を開閉可能に覆う蓋体と、を有することを特徴とする請求項1に記載の清掃装置
【請求項9】
ダストボックス本体と蓋体とは係合手段によって係合されており、前記係合手段を構成するダストボックス本体側に備えられた係止ボタンを押圧することによって、前記係合が解除されることを特徴とする請求項8に記載の清掃装置
【請求項10】
係合手段は、蓋体を開放側に付勢する弾性部材Aを有することを特徴とする請求項9に記載の清掃装置
【請求項11】
係合手段は、蓋体側に備えられると共に、蓋体が閉塞する回動方向に向かい延出する係止片と、ダストボックス本体側に備えられると共に、前記蓋体の回動方向に対し交差する方向に弾性部材Bにて付勢される規制片と、が係合することを特徴とする請求項9又は10に記載の清掃装置
【請求項12】
ダストボックスは、収容口の下部であって回転清掃体の近傍に、塵埃等を前記ダストボックスの内部に誘導する可動部材を有し、該可動部材は前記ダストボックスに対して回動可能に軸支されていると共に、前記ダストボックスが回動した場合に、前記可動部材は前記筐体に設けられた規制部材と当接することで回動が抑制され、前記回転清掃体と当接しないことを特徴とする請求項1~10に記載の清掃装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面等の被清掃面に付着した塵埃等を除去する回転清掃体を備えた清掃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から柄の先端に回転可能に連結された基体に、回転ブラシを備えた清掃器具の発明が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の清掃器具は、略箱形状の基体に、回転ブラシと、回転ブラシを駆動する駆動装置と、回転ブラシの回転により掃き上げられた塵芥を収容する塵芥収容部と、シート状拭材を被清掃面に対して押圧し得るよう支持する拭材支持底部と、拭材支持底部にシート状拭材を支持した状態で、そのシート状拭材を着脱可能に固定する拭材固定部とを備え、基体に二股状をなす柄支持体の両端部が回動自在に取り付けられ、柄支持体に柄が固定された構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記特許文献1に記載の清掃器具は、略箱形状の基体と塵芥収容部とが一体的に形成されていることから、使用時に、柄を持ち上げて基体が被清掃面から浮いた状態となった場合に、基体の回転ブラシ側が下方となるように傾いた場合には、塵芥収容部に収容されていた塵芥が回転ブラシに付着するか基体の外部にこぼれ落ちるという課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、ダストボックスに収容されていた塵埃が回転ブラシに付着、又は筐体の外部にこぼれ落ちるのを防ぐと共に、ダストボックスに収容される塵埃の収容量を増加させることができる清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、請求項1の発明は、被清掃面に付着した塵埃等を除去する清掃装置において、前記清掃装置は、下面に塵埃等が通過する開口を備えた筐体と、前記筐体の上部に固定される長尺な操作用ハンドルと、前記筐体の内部に位置し、前記開口の近傍に軸支された回転清掃体と、前記筐体の内部に位置し、前記回転清掃体を回転させる駆動機構と、前記回転清掃体によって掻き上げられた塵埃等が通過する収容口を備えた略箱形状のダストボックスと、を有し、前記ダストボックスは、前記回転清掃体の後方側且つ前記回転清掃体と対向する位置に前記収容口を配置した状態で、前記筐体に対して回動可能に軸支されていることを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明では、ダストボックスが筐体に対して回動可能に軸支される構成としたことによって、操作用ハンドルで筐体が被清掃面から持ち上げられる際に、自重によってダストボックスの回転清掃体から離れている側が下方となるように傾斜させることができるので、ダストボックスに収容されていた塵埃が回転清掃体に付着、又は筐体の外部にこぼれ落ちるのを防ぐことができる。また、ダストボックス内の塵埃を圧縮させることができるので、塵埃の収容量を増加させることができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、操作用ハンドルは、筐体に対する摺動抵抗を備えた回動機構を介して固定されており、前記操作用ハンドルを把持して前記筐体を被清掃面から持ち上げた場合に、前記筐体は、前記操作用ハンドルに対する傾きを維持しつつ持ち上がることを特徴としている。これにより、筐体が操作用ハンドルに対して過度に傾くのを防ぐことができ、ダストボックスを安定的に傾斜させることができる。また、筐体を持ち上げた際に揺れや振動が生じるのを防ぐことができ、ダストボックスから塵埃がこぼれ落ちるのを防ぐことができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、ダストボックスは、清掃装置を被清掃面に設置した状態では、内底面が被清掃面に対して略平行又は被清掃面に対して後方に向かい下方に傾斜した状態となるように回動し、前記清掃装置を被清掃面から離した状態では、前記内底面が水平面に対して後方に向かい下方に傾斜した状態となるように回動することを特徴としている。これにより、ダストボックスに収容されていた塵埃が回転清掃体に付着、又は筐体の外部にこぼれ落ちるのを確実に防ぐことができる。また、ダストボックス内の塵埃を圧縮させることができるので、塵埃の収容量を増加させることができる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、清掃装置は、該清掃装置を被清掃面に設置した状態では、筐体の底面とダストボックスの外壁面との間に空間が形成されていると共に、前記清掃装置を被清掃面から離した状態では、前記ダストボックスが回動することで前記空間がつぶれて前記筐体の底面と前記ダストボックスの外壁面とが当接した状態となることを特徴としている。これにより、ダストボックスの回り止めを簡易な構造で行うことができると共に、強固に回り止めすることができる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、筐体は、駆動機構を収容する駆動室を有し、該駆動室は、筐体の底面側の下方に突出して形成されており、清掃装置は、該清掃装置を被清掃面に設置した状態では、前記駆動室の外側に位置する前記筐体の底面とダストボックスの外壁面との間に空間が形成されていると共に、前記清掃装置を被清掃面から離した状態では、前記ダストボックスが回動することで前記空間がつぶれて前記筐体の底面と前記ダストボックスの外壁面とが当接した状態となることを特徴としている。これにより、ダストボックスの回り止めを簡易な構造で行うことができると共に、ダストボックスを筐体の底面に確実に当接させて強固に回り止めすることができる。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1の発明において、ダストボックスは、後方端部に緩衝ローラーを有し、清掃装置を被清掃面から垂直方向に離した状態では、前記ダストボックスが回動し、前記緩衝ローラーが前記ダストボックスの最下端に位置する状態となることを特徴としている。これにより、清掃装置を被清掃面に設置する際に、緩衝ローラーが先に当接するため、ダストボックスが破損するのを防ぐことができる。また、緩衝ローラーの回転によって清掃装置と被清掃面との当接をスムーズに行うことができる。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1の発明において、ダストボックス及び回転清掃体は、筐体に対して着脱可能に固定されていると共に、前記ダストボックス及び前記回転清掃体の各々を同時に固定するロック機構を有することを特徴としている。これにより、特に汚れの酷いダストボックスと回転清掃体のメンテナンスを容易に行うことができる。また、1つのロック機構でダストボックスと回転清掃体を同時に固定することができるので、着脱の際の手間を簡略化することができる。
【0015】
請求項8の発明は、請求項1の発明において、ダストボックスは、底面に排出口を有するダストボックス本体と、該ダストボックス本体に軸支されると共に、前記排出口を開閉可能に覆う蓋体と、を有することを特徴としている。これにより、ダストボックス内に収容されている塵埃を底面側から簡易に排出することができる。
【0016】
請求項9の発明は、請求項8の発明において、ダストボックス本体と蓋体とは係合手段によって係合されており、前記係合手段を構成するダストボックス本体側に備えられた係止ボタンを押圧することによって、前記係合が解除されることを特徴としている。これにより、ダストボックス内に収容されている塵埃を容易に排出することができる。
【0017】
請求項10の発明は、請求項9の発明において、係合手段は、蓋体を開放側に付勢する弾性部材Aを有することを特徴としている。これにより、蓋体の自重に頼らずとも蓋体を最大限の位置まで開放させることができる。
【0018】
請求項11の発明は、請求項9又は10の発明において、係合手段は、蓋体側に備えられると共に、蓋体が閉塞する回動方向に向かい延出する係止片と、ダストボックス本体側に備えられると共に、前記蓋体の回動方向に対し交差する方向に弾性部材Bにて付勢される規制片と、が係合することを特徴としている。これにより、係止ボタンが押圧されなければダストボックス本体と蓋体との係合が解除されることはないので、ダストボックス内の塵埃がこぼれ落ちて被清掃面が汚れるのを防ぐことができる。
【0019】
請求項12の発明は、請求項1~10の発明において、ダストボックスは、収容口の下部であって回転清掃体の近傍に、塵埃等を前記ダストボックスの内部に誘導する可動部材を有し、該可動部材は前記ダストボックスに対して回動可能に軸支されていると共に、前記ダストボックスが回動した場合に、前記可動部材は前記筐体に設けられた規制部材と当接することで回動が抑制され、前記回転清掃体と当接しないことを特徴としている。これにより、可動部材を回転清掃体の近傍に配置することができ、塵埃等を確実にダストボックス内に収容することができると共に、可動部材が当接することによる回転清掃体の損傷を防止できる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1及び3の発明は、ダストボックスに収容されていた塵埃が回転清掃体に付着、又は筐体の外部にこぼれ落ちるのを防ぐことができる。また、ダストボックス内の塵埃を圧縮させることができるので、塵埃の収容量を増加させることができる。また、請求項2の発明は、筐体が操作用ハンドルに対して過度に傾くのを防ぐことができ、ダストボックスを安定的に傾斜させることができる。また、筐体を持ち上げた際に揺れや振動が生じるのを防ぐことができ、ダストボックスから塵埃がこぼれ落ちるのを防ぐことができる。
【0021】
請求項4及び5の発明は、ダストボックスの回り止めを簡易な構造で行うことができると共に、強固に回り止めすることができる。また、請求項6の発明は、ダストボックスが破損するのを防ぐことができると共に、清掃装置と被清掃面との当接をスムーズに行うことができる。
【0022】
請求項7の発明は、特に汚れの酷いダストボックスと回転清掃体のメンテナンスを容易に行うことができると共に、ダストボックス及び回転清掃体の着脱の際の手間を簡略化することができる。また、請求項8の発明は、ダストボックス内に収容されている塵埃を底面側から簡易に排出することができる。
【0023】
請求項9の発明は、ダストボックス内に収容されている塵埃を容易に排出することができる。また、請求項10の発明は、蓋体を最大限の位置まで開放させることができる。また、請求項11の発明は、ダストボックス内の塵埃がこぼれ落ちて被清掃面が汚れるのを防ぐことができる。また、請求項12の発明は、塵埃等をダストボックス内に誘導する可動部材を回転清掃体の近傍に配置できると共に、可動部材と当接することによる回転清掃体の損傷を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】(a)被清掃面に設置した状態の本発明に係る清掃装置を示す斜視図(b)同清掃装置を底面側から視た斜視図(c)同清掃装置の底面図
【
図2】(a)被清掃面から持ち上げた状態の本発明に係る清掃装置を示す斜視図(b)同清掃装置を底面側から視た斜視図
【
図3】(a)被清掃面に設置した状態の本発明に係る清掃装置を示す側面図(b)被清掃面から持ち上げた状態の本発明に係る清掃装置を示す側面図
【
図4】(a)被清掃面に設置した状態の本発明に係る清掃装置を示す側断面図(b)被清掃面から持ち上げた状態の本発明に係る清掃装置を示す側断面図
【
図5】(a)本発明に係る清掃装置を示す側断面図(b)操作用ハンドルを回動させた状態の本発明に係る清掃装置を示す側断面図
【
図6】(a)蓋体を開放した状態の本発明に係る清掃装置を示す斜視図(b)
図6(a)のD-D断面図
【
図8】(a)本発明に係る清掃装置であって、蓋体の閉状態時を示す断面図(b)本発明に係る清掃装置であって、蓋体の開状態時を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
図1(a)は、被清掃面に設置した状態の本発明に係る清掃装置を示す斜視図であり、
図1(b)は、同清掃装置を底面側から視た斜視図である。また、
図1(c)は、同清掃装置の底面図である。
図2(a)は、被清掃面から持ち上げた状態の本発明に係る清掃装置を示す斜視図であり、
図2(b)は、同清掃装置を底面側から視た斜視図である。
図3(a)は、被清掃面に設置した状態の本発明に係る清掃装置を示す側面図であり、
図3(b)は、被清掃面から持ち上げた状態の本発明に係る清掃装置を示す側面図である。これらの図を用いて本発明に係る清掃装置について以下に説明する。
【0026】
本発明に係る清掃装置10は、下面に塵埃等が通過する開口1aを備えた筐体1と、筐体1の上部に固定される長尺な操作用ハンドル2と、筐体1の内部に位置し、開口1aの近傍に第1回動軸3aによって軸支された回転清掃体3と、筐体1の内部に位置し、回転清掃体3を回転させる駆動機構4と、回転清掃体3によって掻き上げられた塵埃等が通過する収容口5aを備えた略箱形状のダストボックス5とを有している。尚、長尺な操作用ハンドル2は、図面上、一方の端部付近を描いており、他の部分は円筒形状であって特に特徴はないので省略している。また、
図2(a)における符号11は、回転清掃体を回転させるための足踏みスイッチであり、符号12は、後述する蓋体5gを開放するための係止ボタンである。
【0027】
そして、ダストボックス5は、回転清掃体3の後方側且つ回転清掃体3と対向する位置に収容口5aを配置した状態で、第2回動軸5bによって筐体1に対して回動可能に軸支されている。本発明に係る清掃装置10は、ダストボックス5が筐体1に対して回動可能に軸支される構成としたことによって、操作用ハンドル2で筐体1が被清掃面から持ち上げられる際に、自重によってダストボックス5の回転清掃体3から離れている側が下方となるように傾斜させることができるので、ダストボックス5に収容されていた塵埃が回転清掃体3に付着、又は筐体1の外部にこぼれ落ちるのを防ぐことができる。また、ダストボックス5内の塵埃を自重によって圧縮させることができるので、塵埃の収容量を増加させることができる。尚、回転清掃体3は、複数の毛材からなるブラシ、エラストマーからなるブレード、不織布からなるロールなどにより形成される構造が考えられ、被清掃面上の塵埃や汚れ等をダストボックス5の内部に移送できる構造であれば、本発明に含まれる。
【0028】
ダストボックス5は、後方端部に緩衝ローラー6を有しており、清掃装置10を被清掃面から垂直方向に離した状態では、ダストボックス5が回動し、緩衝ローラー6がダストボックス5の最下端に位置する状態(被清掃面に最も近くなる状態)となるようにしている。これにより、清掃装置10を被清掃面に設置する際に、緩衝ローラー6が先に当接するため、ダストボックス5が破損するのを防ぐことができる。また、緩衝ローラー6の回転によって清掃装置10と被清掃面との当接をスムーズに行うことができる。
【0029】
ダストボックス5及び回転清掃体3は、筐体1に対して着脱可能に固定されていると共に、ダストボックス5及び回転清掃体3の各々を同時に固定するロック機構7を有している。これにより、ダストボックス5と回転清掃体3のメンテナンスを容易に行うことができる。また、1つのロック機構7でダストボックス5と回転清掃体3を同時に固定することができるので、着脱の際の手間を簡略化することができる。具体的には、ロック機構7は、ロック片7aにより筐体1と着脱自在に固定されており、回転清掃体3を軸支する第1回動軸の一方の端部とダストボックス5を軸支する第2回転軸の一方の端部と嵌合して、筐体1に固定されている。また、このロック片7aを筐体1から取り外すことによってダストボックス5と回転清掃体3を筐体1から取り外すことができる。
【0030】
ダストボックス5は、清掃装置10を被清掃面Xに設置した状態では、内底面5cが被清掃面に対して略平行となるように回動し(
図3(a)参照)、清掃装置10を被清掃面Xから離した状態では、内底面5cが水平面に対して後方に向かい下方に傾斜した状態となるように回動する(
図3(b)参照)構成としている。尚、清掃装置10の前車輪8の直径を緩衝ローラー6の直径よりも大きくすることによって、清掃装置10を被清掃面に設置した状態でダストボックス5の内底面5cが被清掃面に対して後方に向かい下方に傾斜した状態となるように回動させることも可能であり(図示せず)、これも本発明に含まれる。
【0031】
図4(a)は、被清掃面に設置した状態の本発明に係る清掃装置を示す側断面図であり、
図4(b)は、被清掃面から持ち上げた状態の本発明に係る清掃装置を示す側断面図である。筐体1は、駆動機構4を収容する駆動室4aを有し、駆動室4aは、筐体1の底面1b側の下方に突出して形成されており、清掃装置10は、清掃装置10を被清掃面Xに設置した状態(
図4(a)参照)では、駆動室4aの外側に位置する筐体1の底面1bとダストボックス5の外壁面5dとの間に空間9が形成されていると共に、清掃装置10を被清掃面Xから離した状態(
図4(b)参照)では、ダストボックス5が回動することで空間9がつぶれて筐体1の底面1bとダストボックス5の外壁面5dとが当接した状態となる構成としている。尚、ダストボックス5の収容口5aにはダストボックスの後方に上向きとなる傾斜面部5iが形成されている。また、傾斜面部5iの上端から内底面5cに対して垂直方向に段差部5jが形成されている。この傾斜面部5iと段差部5jとによってもダストボックス5に収容されていた塵埃が回転清掃体3に付着、又は筐体1の外部にこぼれ落ちるのを防ぐことができる。
【0032】
これにより、ダストボックス5の回り止めを簡易な構造で行うことができると共に、強固に回り止めすることができる。尚、駆動室4aが筐体1の底面1b側の下方に突出して形成されていない場合であっても本発明を適用することは可能である。
【0033】
図5(a)は、本発明に係る清掃装置を示す側断面図(
図1(a)のC-C断面図)であり、
図5(b)は、操作用ハンドルを回動させた状態の本発明に係る清掃装置を示す側断面図である。操作用ハンドル2は、筐体1に対する摺動抵抗2bを備えた回動機構2aを介して固定されており、操作用ハンドル2を把持して筐体1を被清掃面から持ち上げた場合に、筐体1は、操作用ハンドル2に対する傾きを維持しつつ持ち上がる構成としている。
【0034】
回動機構2aは具体的には操作用ハンドル2の一端の摺動体2dが第3回動軸2cによって筐体1に対して回動可能に軸支されており、摺動体2dの周面の2箇所には凹部2e、2fが形成されている。一方、筐体1側には、ばねで付勢された抵抗体2gが設置されており、この抵抗体2gが凹部2eに嵌合することによって、
図5(a)に示す操作用ハンドル2を垂直にした通常保管状態、又は持ち上げて移動させる際に適した状態、となるように操作用ハンドル2が筐体1に固定される。また、抵抗体2gが凹部2fに嵌合することによって、
図5(b)に示す操作用ハンドル2を傾斜させて筐体1と操作用ハンドル2とを壁に立てかけた保管状態、又は操作用ハンドル2を傾斜させて筐体1と操作用ハンドル2を被清掃面に寝かせた保管状態、となるように操作用ハンドル2が筐体1に固定される。
【0035】
これにより、保管時には、筐体1が操作用ハンドル2に対して過度に傾くのを防ぐことができ、清掃装置10を静置させることができる。また、清掃装置10を持ち上げて移動させる時には、ダストボックス5を安定的に傾斜させることができると共に、筐体1を持ち上げた際に揺れや振動が生じるのを防ぐことができ、ダストボックス5から塵埃がこぼれ落ちるのを防ぐことができる。
【0036】
図6(a)は、蓋体を開放した状態の本発明に係る清掃装置を示す斜視図であり、
図6(b)は、
図6(a)のD-D断面図である。ダストボックス5は、底面に排出口5eを有するダストボックス本体5fと、ダストボックス本体5fに第4回動軸5hによって軸支されると共に、排出口5eを開閉可能に覆う蓋体5gとを有する構成としている。尚、蓋体5g開放時の水平面に対する傾斜角度は、清掃装置10を被清掃面から持ち上げた状態のダストボックス5の水平面に対する傾斜角度よりも大きくなるように設定されている。
【0037】
また、第2回動軸5b、傾斜面部5i、段差部5jは、ダストボックス本体5f側に形成されており、段差部5jよりも後方側に蓄積された塵埃が、蓋体5gを開放することによって外部に排出される。これにより、ダストボックス5内に収容されている塵埃を底面側から簡易に排出することができる。
【0038】
図7は、本発明に係る清掃装置を示す分解斜視図であり、
図8(a)は、本発明に係る清掃装置であって、蓋体の閉状態時を示す断面図、
図8(b)本発明に係る清掃装置であって、蓋体の開状態時を示す断面図である。これらの図を用いてダストボックス本体と蓋体との係合について以下に説明する。
【0039】
本発明に係る清掃装置10は、ダストボックス本体5fと蓋体5gとは係合手段14によって係合されており、係合手段14を構成するダストボックス本体5f側に備えられた係止ボタン12を押圧することによって、係合が解除される構成としている。これにより、ダストボックス5内に収容されている塵埃を容易に排出することができる。また、係合手段14は、蓋体5gを開放側に付勢する弾性部材A13aを有している。これにより、蓋体5gの自重に頼らずとも蓋体5gを最大限の位置まで開放させることができる。
【0040】
係合手段14は、蓋体5g側に備えられると共に、蓋体5gが閉塞する回動方向に向かい延出する先端に係止凸部15aを備えた係止片14aと、ダストボックス本体5f側に備えられると共に、蓋体5gの回動方向に対し交差する方向に弾性部材B13bにて付勢される平面視が円又は楕円にて形成された係止溝15bを備えた規制片14bとが係合する構成であって、具体的には係止凸部15aが係止溝15bに係止される構成としている。これにより、係止ボタン12が押圧されなければダストボックス本体5fと蓋体5gとの係合が解除されることはないので、ダストボックス5内の塵埃がこぼれ落ちて被清掃面が汚れるのを防ぐことができる。尚、本発明に係る清掃装置10は、筐体1に対してダストボックス5が回動する構成としているが、蓋体5gの閉鎖状態では、係止片14aの長手方向と規制片14bの長手方向とは略直交するように構成されており、これはダストボックス5が筐体1に対して回動した場合であっても変わらないので、確実に係合がなされる。
【0041】
ダストボックス5は、収容口5aの下部であって回転清掃体3の近傍に、塵埃等をダストボックス5の内部に誘導する斜面が形成された可動部材16を有し、可動部材16はダストボックス5に対して回動可能に筐体1に軸支されていると共に、ダストボックス5が回動した場合に、可動部材16は筐体1の側面近傍に設けられた規制部材17(仮想点線)と当接することで回動が抑制され、回転清掃体3と当接しない構成としている。これにより、ダストボックスの収容口5aを、より回転清掃体3に近づけることができるため、回転清掃体3によって掻き上げらえた塵埃等を確実にダストボックス5の内部に収容することができる。また、ダストボックス5の回動時に、可動部材16が回転清掃体3と当接することによる回転清掃体3の損傷を防止できる。また、塵埃等を誘導する可動部材16が、ダストボックス5の一部として形成されているため、ダストボックス5のメンテナンス時に容易に清掃をすることができる。
【0042】
本発明に係る清掃装置10は、ダストボックス5と可動部材16とが、筐体1に対して同一軸で軸支されており、より効率的な構造としているが、各々が別の軸で筐体1に軸支されていた場合も、本発明に含まれる。また、筐体1に設けられた規制部材17は、可動部材16が回動した場合に当接する範囲に設けられていれば本発明に含まれるものであり、筐体1の側面近傍に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る清掃装置は、床面等の被清掃面に付着した塵埃等を除去する装置として利用される。
【符号の説明】
【0044】
1 筐体
1a 開口
1b 底面
2 操作用ハンドル
2a 回動機構
2b 摺動抵抗
2c 第3回動軸
2d 摺動体
2e、2f 凹部
2g 抵抗体
3 回転清掃体
3a 第1回動軸
4 駆動機構
4a 駆動室
5 ダストボックス
5a 収容口
5b 第2回動軸
5c 内底面
5d 外壁面
5e 排出口
5f ダストボックス本体
5g 蓋体
5h 第4回動軸
5i 傾斜面部
5j 段差部
6 緩衝ローラー
7 ロック機構
7a ロック片
8 前車輪
9 空間
10 清掃装置
11 足踏みスイッチ
12 係止ボタン
13a 弾性部材A
13b 弾性部材B
14 係合手段
14a 係止片
14b 規制片
15a 係止凸部
15b 係止溝
16 可動部材
17 規制部材
X 被清掃面