(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008581
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】ウェザーストリップ
(51)【国際特許分類】
B60J 10/40 20160101AFI20250109BHJP
B60J 10/32 20160101ALI20250109BHJP
B60J 10/86 20160101ALI20250109BHJP
B60J 10/18 20160101ALI20250109BHJP
【FI】
B60J10/40
B60J10/32
B60J10/86
B60J10/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110856
(22)【出願日】2023-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】林 裕人
【テーマコード(参考)】
3D201
【Fターム(参考)】
3D201AA12
3D201AA38
3D201BA01
3D201CA27
3D201DA08
3D201DA09
3D201DA23
3D201EA05H
3D201EA09H
3D201FA01
3D201FA04
(57)【要約】
【課題】分離した2つのシール部について、段差を生じない態様により容易に接続可能なウェザーストリップを実現する。
【解決手段】車体(1)の開口(2)を覆う先閉じドア(5)および後閉じドア(4)により構成される両開き式ドア(3)において、先閉じドア(5)が備えるウェザーストリップ(10)であって、後閉じドア(4)に当接する第1シール部(20)と、第1シール部(20)の少なくとも一方の端部側に位置し、第1シール部(20)と分離した第2シール部(30)と、を有し、第2シール部(30)は、第1シール部側に凸となる係合凸部(32)が形成された第2芯部(31)を内部に有し、第1シール部(20)は、係合凸部(32)を挿入可能な係合凹部(24)を有している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車体に形成される開口を開閉可能に覆う、先閉じドアおよび前記先閉じドアの閉止後に閉止される後閉じドアにより構成される両開き式ドアにおいて、前記先閉じドアが備えるウェザーストリップであって、
前記両開き式ドアが閉止した状態において、前記後閉じドアに当接する第1シール部と、
前記第1シール部の上端部側または下端部側の少なくとも一方に位置し、前記第1シール部と分離して形成される第2シール部と、を有し、
前記第2シール部は、前記第2シール部の他の部分よりも剛性が大きく、一部が前記第1シール部側に凸となる係合凸部が形成された第2芯部を内部に有し、
前記第1シール部は、前記係合凸部を挿入可能な係合凹部を有していることを特徴とする、ウェザーストリップ。
【請求項2】
前記係合凸部は、少なくとも一部が前記第2シール部から露出していることを特徴とする、請求項1に記載のウェザーストリップ。
【請求項3】
前記係合凸部は、車内側側面または車外側側面の少なくとも何れかに溝部を有していることを特徴とする、請求項1に記載のウェザーストリップ。
【請求項4】
前記第1シール部は、前記第1シール部の他の部分よりも剛性が大きい第1芯部を内部に有していることを特徴とする、請求項1から3の何れか1項に記載のウェザーストリップ。
【請求項5】
前記係合凹部は、内側側壁に、前記係合凸部に向かって延伸するリップ部を有していることを特徴とする、請求項1から3の何れか1項に記載のウェザーストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェザーストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両において、車体の開口に両開き式ドアを設けたものが知られている。両開き式ドアは一般的に、先閉じドアと、先閉じドアの閉止後に閉止される後閉じドアとにより構成される。
【0003】
このような車両において、両開き式ドアを閉止した状態における、先閉じドアと後閉じドアとの間をシールするウェザーストリップが提案されている。例えば特許文献1には、先閉じドアが有する先閉じシールにおいて、型成形されたコーナーシール部と、押出成形された中間シール部とが一体となった自動車用ウェザーストリップが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、サイドピラーまたはBピラーを伴わないドア間の垂直シール設備であって、ゴム成形体により形成される上端収集器および下端排出器が、ゴム製の長尺本体を備える押し出しプロファイルにより相互接続される構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-000564号公報
【特許文献2】特表2017-505252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のように、コーナーシール部および中間シール部を一体とする場合と比較して、特許文献2に記載のように、上端収集器および下端排出器と押し出しプロファイルとをそれぞれ成形して相互接続すれば、製造コストを低減できる。
【0007】
一方で、特許文献2に記載の構成によれば、上端収集器および下端排出器と押し出しプロファイルとの間に、外観に影響する段差が生じてしまう。また、上端収集器および下端排出器と押し出しプロファイルとを、ドアに組み付けながら接続させる作業は困難であり、製造性にも課題がある。
【0008】
本発明の一態様は、分離した2つのシール部について、段差を生じない態様により容易に接続可能なウェザーストリップを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るウェザーストリップは、車両の車体に形成される開口を開閉可能に覆う、先閉じドアおよび前記先閉じドアの閉止後に閉止される後閉じドアにより構成される両開き式ドアにおいて、前記先閉じドアが備えるウェザーストリップであって、前記両開き式ドアが閉止した状態において、前記後閉じドアに当接する第1シール部と、前記第1シール部の上端部側または下端部側の少なくとも一方に位置し、前記第1シール部と分離して形成される第2シール部と、を有し、前記第2シール部は、前記第2シール部の他の部分よりも剛性が大きく、一部が前記第1シール部側に凸となる係合凸部が形成された第2芯部を内部に有し、前記第1シール部は、前記係合凸部を挿入可能な係合凹部を有している。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、分離した2つのシール部について、段差を生じない態様により容易に接続可能なウェザーストリップを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るウェザーストリップを備える、車両の両開きドアを模式的に示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るウェザーストリップの、先閉じドアへの取り付け状態を模式的に示す側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るウェザーストリップの、先閉じドアにおける第1型成形部の周辺を模式的に示す斜視側面図である。
【
図5】
図3に示す図において、ウェザーストリップの第1押出成形部を取り外した状態を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るウェザーストリップ10を備える車両の一例を模式的に示す斜視図である。本明細書において右側面側または左側面側という場合、それぞれ車両の進行方向に向かって右側または左側の側面を示す。
図1では、車体1の右側面側の両開きドア3が主に図示されている。
【0013】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るウェザーストリップ10は、両開き式ドア3における先閉じドア5に備えられており、先閉じドア5と後閉じドア4との間をシールする部材である。
【0014】
両開き式ドア3は、車両の車体1に形成された開口2を開閉可能に覆うドア部材である。先閉じドア5は、両開きドア3の開放状態から閉止する場合に、先に閉止されるドアである。後閉じドア4は、先閉じドア5の閉止後に閉止されるドアである。このように、両開き式ドア3は、先閉じドア5と後閉じドア4との間にBピラー等の柱部材を備えないドア部材であり、観音開きドアまたはスーサイドドア等と称される場合もある。
【0015】
両開き式ドア3は、
図1に示すように車体1の右側面および左側面に形成される、車室乗降用の開口2を覆うように設けられていてよい。この場合、先閉じドア5は車両のリア側のリアドアであり、後閉じドア4は車両のフロント側のフロントドアであってよい。また、両開き式ドア3は、例えば、車体1の側面ではなく、車体1の背面に形成される荷室の開口を覆うように設けられていてもよく、車体1のその他の位置に設けられていてもよい。
【0016】
図2は、車体1の右側面側に設けられた先閉じドア5が備えるウェザーストリップ10について、先閉じドア5への取り付け状態を模式的に示す、車室内側から見た側面図である。
図2において、ウェザーストリップ10以外の、先閉じドア5等の図示は省略している。
【0017】
図3は、ウェザーストリップ10が、先閉じドア5に組み付けられた状態を模式的に示す、第1型成形部30の周辺を車外側から見た斜視側面図であり、
図4は、
図3に示すA-A線の矢視断面図である。
図5は、
図3に示す図において、ウェザーストリップ10の第1押出成形部20を取り外した状態を模式的に示す斜視図である。なお、
図3では、第2押出成形部50の図示を省略している。
【0018】
(押出成形部および型成形部)
図2に示すように、ウェザーストリップ10は、第1押出成形部(第1シール部)20と、第1型成形部(第2シール部)30とを有している。また、ウェザーストリップ10は、第2型成形部40と、第2押出成形部50とをさらに有していてもよい。
【0019】
第1押出成形部20は、両開き式ドア3が閉止した状態において、後閉じドア4に当接する。第1押出成形部20は、先閉じドア5と後閉じドア4との間をシールする部材である。
図2に示すように、第1押出成形部20は、先閉じドア5において、後閉じドア4側であって車両のフロント側の一辺に沿って、延伸して形成されている。
【0020】
また、
図3および
図4に示すように、第1押出成形部20には、後閉じドア4に当接する中空シール部23が、車外側に向けて形成されている。第1押出成形部20は、中空シール部23と後閉じドア4とが当接することで、先閉じドア5と後閉じドア4との間をシールする。また、第1押出成形部20は、先閉じドア5の車内側側面に組み付けられるドアトリム60に向かって延伸するリップをさらに有していてもよい。
【0021】
第1押出成形部20は、先閉じドア5における後閉じドア4側の、上下のコーナー部にそれぞれ位置する第1型成形部30と第2型成形部40との間に、連続して形成されていてよい。このような第1押出成形部20は、例えば押出成形法により製造してもよく、その他の方法により製造してもよい。
【0022】
第1型成形部30は、先閉じドア5において、第1押出成形部20の下端部22側であって、後閉じドア4側のコーナー部に位置している。第1型成形部30は、例えば型成形法により製造してもよく、その他の方法により製造してもよい。
【0023】
このような第1型成形部30は、第1押出成形部20と分離して形成されている。第1押出成形部20と第1型成形部30とが分離して形成されていれば、これらを一体成形する工程を省略できる。そのため、ウェザーストリップ10の製造コストを低減できる。
【0024】
第2型成形部40は、先閉じドア5において、第1押出成形部20の上端部21側であって、後閉じドア4側のコーナー部に位置している。第2型成形部40は、例えば型成形法により製造してもよく、その他の方法により製造してもよい。このような第2型成形部40は、第1押出成形部20と連続して一体成形されていてもよい。
【0025】
先閉じドア5の上側は、ユーザに視認されやすいため、第1押出成形部20と第2型成形部40とが一体成形されていれば、外観を良好にしやすい。また、第1押出成形部20と第2型成形部40とが一体成形されていれば、第1押出成形部20と第2型成形部40との間に段差または隙間等が生じない。そのため、先閉じドア5の上側から、水滴等が車室内に浸入することを効果的に防止できる。
【0026】
第2押出成形部50は、先閉じドア5において、上側、下側およびリア側の各辺に沿って延伸して形成されており、車体1と先閉じドア5との間をシールする部材である。第2押出成形部50は、例えば押出成形法により製造してもよく、その他の方法により製造してもよい。また、第2押出成形部50は、先閉じドア5におけるリア側のコーナー部等の一部に、型成形法により形成される部分を有していてもよく、全体が型成形法により形成されてもよい。
【0027】
第2押出成形部50は、第2型成形部40から第1型成形部30まで連続して形成されていてよい。この場合、第2押出成形部50は、第2型成形部40および第1型成形部30と一体成形されていてよい。また、第2押出成形部50は、第2型成形部40および第1型成形部30の少なくとも一方と分離していてもよい。第2押出成形部50は、防水性および外観性の観点から、少なくとも第2型成形部40と一体成形されていることが好ましい。
【0028】
第1押出成形部20、第1型成形部30、第2型成形部40および第2押出成形部50の形成材料としては、合成ゴムまたはTPE(熱可塑性エラストマー)等のゴム様弾性体が挙げられる。合成ゴムとしては、例えばEPDM(エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム)が挙げられる。TPEとしては、例えばTPO(オレフィン系熱可塑性エラストマー)およびTPS(スチレン系熱可塑性エラストマー)が挙げられるが、これらの形成材料に限定されない。また、ゴム様弾性体は、発泡材でもよいし、非発泡材でもよい。
【0029】
第1押出成形部20、第1型成形部30、第2型成形部40および第2押出成形部50は、互いに同じ形成材料により形成されていてもよく、それぞれ異なる形成材料により形成されていてもよい。また、例えば、第1押出成形部20および第2押出成形部50が互いに同じ形成材料により形成されており、第1型成形部30および第2型成形部40が、互いに同じ形成材料であって、第1押出成形部20とは異なる形成材料により形成されていてもよい。
【0030】
(第1芯部および第2芯部)
図3から
図5に示すように、第1型成形部30は、第2芯部31を内部に有している。第2芯部31は、第2シール部30の他の部分よりも剛性が大きい芯材である。第1型成形部30は、後閉じドア4と当接した状態、および後閉じドア4の開閉動作による衝撃等が加わった状態等において、形状を維持することが要求される。第1型成形部30が、剛性が大きい第2芯部31を内部に有していれば、後閉じドア4と当接した状態等において、安定して形状を維持できる。
【0031】
第2芯部31の形成材料は、第1型成形部30の他の部分よりも剛性が大きければよい。第2芯部31の形成材料は、例えば、熱可塑性樹脂または金属であってよい。熱可塑性樹脂の例としては、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PVA(ポリビニルアルコール)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PS(ポリスチレン)、ABS(アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン)およびEVA(エチレン酢酸ビニル)が挙げられる。熱可塑性樹脂には、ガラス繊維等の強化材が含まれていてもよい。金属の例としては、アルミ合金および鉄合金が挙げられる。
【0032】
また、第2芯部31の形成材料は、第1型成形部30の他の部分と同様に、合成ゴムまたはTPE等のゴム様弾性体であってもよい。第2芯部31をゴム様弾性体により形成する場合、第2芯部31の剛性が、第1型成形部30のその他の部分よりも大きくなるように、形成材料が選択される。
【0033】
第2芯部31の形成材料は、これらのうち単一の材料であってもよく、複数の材料の組み合わせであってもよい。第2芯部31の形成材料は、軽量化および高剛性を両立する観点から、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
【0034】
また、
図4に示すように、第1押出成形部20は、第1芯部26を内部に有していてもよい。第1芯部26は、第1押出成形部20の他の部分よりも剛性が大きい芯材である。第1押出成形部20が第1芯部26を有していれば、後閉じドア4と当接した状態等において安定して姿勢を維持できる。第1芯部26の形成材料は、第2芯部31において例示した形成材料と同様であってよく、なかでも、第1押出成形部20の姿勢を維持する観点から、金属であることが好ましい。
【0035】
(係合凸部および係合凹部)
第2芯部31には、一部が第1押出成形部20側に凸となる係合凸部32が形成されている。また、第1押出成形部20は、係合凸部32を挿入可能な係合凹部24を有している。
【0036】
図5に示すように、ウェザーストリップ10は、先閉じドア5における後閉じドア4側の端部に形成されるフランジ5aを、第1押出成形部20の係合凹部24に挿入して先閉じドア5と係合することで、先閉じドア5に固定される。
【0037】
係合凸部32は、係合凹部24に挿入された状態で、係合凹部24と係合して固定される。係合凸部32と係合凹部24との固定態様は特に限定されないが、例えば、
図4に示すように、係合凹部24が、内側側壁に、係合凸部32に向かって延伸するリップ部25を有していることが好ましい。
【0038】
図4の例では、係合凹部24は、車外側の内側側壁に3つのリップ部25を有し、車内側の内側側壁に1つのリップ部25を有している。このように、係合凹部24は、複数のリップ部25を有していてもよい。また、係合凹部24に形成されるリップ部25は1つであってもよい。
【0039】
リップ部25が、係合凹部24に挿入された係合凸部32の車外側側面および/または車内側側面に当接することで、係合凸部32は、係合凹部24に安定して固定される。また、リップ部25の少なくとも1つは、係合凸部32に向かって、係合凸部32の挿入方向に傾斜して延伸していてもよい。係合凹部24がこのようなリップ部25を有していれば、係合凸部32を係合凹部24に挿入しやすく、かつ、係合凸部32と係合凹部24との固定を強固にできる。
【0040】
なお、係合凹部24はリップ部25を有していなくてもよい。この場合、係合凸部32は例えば、係合凹部24の内側側壁に当接し、摩擦力により係合凹部24に固定されてもよい。また、係合凹部24および係合凸部32は、上述の構造以外でも、互いに係合可能な構造を有していてもよい。
【0041】
先閉じドア5において、フランジ5aの下端は、先閉じドア5における後閉じドア4側の下端よりも上方に位置している。係合凸部32は、フランジ5aの下側において、フランジ5aと同様に係合凹部24に挿入可能な形状となるように、第1押出成形部20側に突出している。これにより、係合凹部24に係合凸部32を挿入することで、第1押出成形部20と第1型成形部30とを容易に接続することができる。
【0042】
また、従来のウェザーストリップでは、第1押出成形部と第1型成形部とが分離している場合、第1押出成形部の一端部を第1型成形部の係合孔等に挿入して接続しながら、第1押出成形部を先閉じドアのフランジに固定する作業が必要となっていた。このような作業は困難を伴うため、作業者の熟練および作業時間を要する等の、製造上の問題があった。また、このような従来のウェザーストリップでは、第1押出成形部と第1型成形部との接続部分に段差が生じており、外観にも改善の余地があった。
【0043】
一方で、本発明の一実施形態に係るウェザーストリップ10であれば、係合凸部32が、フランジ5aと同様に、第1押出成形部20側に凸となるように形成されている。これにより、フランジ5aおよび係合凸部32を係合凹部24に挿入するという略単一の工程により、ウェザーストリップ10の先閉じドア5への固定と、第1押出成形部20および第1型成形部30の接続とが可能である。そのため、ウェザーストリップ10の先閉じドア5への組み付けが容易となる。また、第1押出成形部20と第1型成形部30との間に段差を生じない設計とすることが容易となるため、優れた外観が得られる。
【0044】
また、第1押出成形部20は、第1芯部26を内部に有している。このような第1押出成形部20を、従来のように第1型成形部の係合孔等に挿入して接続しながら、先閉じドアのフランジにも固定することは、より困難であった。係合凹部24および係合凸部32によれば、第1芯部26の有無および剛性の大きさに関わらず、第1押出成形部20を、先閉じドア5に固定しながら第1型成形部30に接続することが容易である。
【0045】
また、係合凸部32を係合凹部24に挿入する構成によれば、第1押出成形部20と第1型成形部30とが分離していても、先閉じドア5の下端付近まで第1押出成形部20を延伸させやすい。これにより、先閉じドア5と後閉じドア4とのシール性を向上できるため、ウェザーストリップ10は優れた防音性を発揮できる。
【0046】
第1型成形部30では、第2芯部31のうち、係合凸部32の部分が露出している。このように、係合凸部32は、少なくとも一部が第1型成形部30から露出していてもよい。「係合凸部32が露出している」とは、第1型成形部30における係合凸部32以外の部分の形成材料により、係合凸部32が覆われていないことを示す。係合凸部32が係合凹部24に挿入されているか否かは、露出の有無とは関係しない。
【0047】
係合凸部32が露出している場合でも、第2芯部31のその他の部分が主に第1型成形部30の内部に位置していれば、第1型成形部30は第2芯部31を内部に有しているといってよい。
【0048】
係合凸部32は、その全体が第1型成形部30から露出していてもよい。また、係合凸部32は、例えば一方の側面のみ第1型成形部30から露出しており、他方の側面は、第1型成形部30における係合凸部32以外の部分の形成材料により覆われていてもよい。
【0049】
第1型成形部30において、係合凸部32の少なくとも一部が露出していれば、係合凸部32を係合凹部24に挿入しやすい。また、第1型成形部30について、係合凸部32の形状に合わせて複雑な形状に成形する必要がないため、第1型成形部30の製造が容易となる。
【0050】
なお、係合凸部32は露出しておらず、その全体が、第1型成形部30の第2芯部31以外の部分の形成材料により覆われていてもよい。このような構成によれば、係合凸部32と作業者または部品等とが接触しても、係合凸部32がこれらに傷等をつける恐れを低減できる。
【0051】
係合凸部32は、車外側側面に溝部33を有している。このように、係合凸部32は、車内側側面または車外側側面の少なくとも何れかに溝部33を有していてもよい。このような溝部33によれば、第1型成形部30に水滴等が浸入してきても、溝部33を通じて車外側に排出できる。
【0052】
溝部33は、例えば、係合凸部32の車外側側面が車内側側面に向かって凹んでおり、これに伴って車内側側面が突出した、係合凸部32の両側面が立体的に形成される形状であることが好ましい。このような溝部33を有していれば、係合凸部32が平面的ではなく立体的に形成されるため、係合凸部32の剛性を向上しやすい。これにより、係合凸部32による係合凹部24との固定を強固にできる。また、係合凸部32が破損する恐れを低減できる。
【0053】
(変形例)
本発明の一実施形態に係るウェザーストリップ10には、様々なバリエーションが想定される。例えば、第1押出成形部20の上端部21側に位置する第2型成形部40は、第1型成形部30と同様に、第1押出成形部20と分離して形成されていてもよい。
【0054】
この場合、第2型成形部40は、第2型成形部40の他の部分よりも剛性が大きい第2芯部を有しており、当該第2芯部には、第1押出成形部20側に凸となる係合凸部が形成されていてもよい。このような第2型成形部40は、第1型成形部30と同じく、特許請求の範囲に記載の第2シール部の一例である。
【0055】
当該構成によれば、第1押出成形部20の上端部21側において、第1押出成形部20と第2型成形部40とを、接続容易な態様により分離して形成できる。そのため、ウェザーストリップ10の先閉じドア5への良好な組み付け性を確保しながら、ウェザーストリップ10の製造コストを低減できる。
【0056】
また、第2型成形部40は先閉じドア5の上部に位置するため、ユーザの視界に入りやすい。前記の構成によれば、第1押出成形部20と第2型成形部40とを接続しても段差が生じない設計にできるため、先閉じドア5の外観を良好に確保できる。
【0057】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るウェザーストリップは、車両の車体に形成される開口を開閉可能に覆う、先閉じドアおよび前記先閉じドアの閉止後に閉止される後閉じドアにより構成される両開き式ドアにおいて、前記先閉じドアが備えるウェザーストリップであって、前記両開き式ドアが閉止した状態において、前記後閉じドアに当接する第1シール部と、前記第1シール部の上端部側または下端部側の少なくとも一方に位置し、前記第1シール部と分離して形成される第2シール部と、を有し、前記第2シール部は、前記第2シール部の他の部分よりも剛性が大きく、一部が前記第1シール部側に凸となる係合凸部が形成された第2芯部を内部に有し、前記第1シール部は、前記係合凸部を挿入可能な係合凹部を有している。
【0058】
前記構成によれば、両開き式ドアにおいて、後閉じドアに当接する先閉じドアの第1シール部と第2シール部とを分離して形成することで、一体成形品よりも製造コストを低減できる。第1シール部と第2シール部とを分離形成した場合でも、第2シール部の係合凸部を第1シール部の係合凹部に挿入することで、第1シール部と第2シール部とを容易に繋ぎ合せることができる。
【0059】
また、第2シール部は、他の部分よりも剛性が大きい第2芯部を有している。そのため、第2シール部は、第1シール部の上端部側または下端部側において、後閉じドアと当接しても形状を維持しやすい。
【0060】
本発明の態様2に係るウェザーストリップは、前記態様1において、前記係合凸部は、少なくとも一部が前記第2シール部から露出していてもよい。
【0061】
前記構成によれば、係合凸部の少なくとも一部が第2シール部から露出している。これにより、係合凹部への挿入部分の形状の設計自由度が向上する。また、第2シール部の製造が容易である。
【0062】
本発明の態様3に係るウェザーストリップは、前記態様1または2において、前記係合凸部は、車内側側面または車外側側面の少なくとも何れかに溝部を有していてもよい。
【0063】
前記構成によれば、係合凸部が溝部を有している。そのため、第2シール部に浸入した水滴等について、当該溝部を通じて排水しやすい。また、溝部により係合凸部が立体的な形状となり、係合凸部の剛性を向上しやすい。
【0064】
本発明の態様4に係るウェザーストリップは、前記態様1から3の何れかにおいて、前記第1シール部は、前記第1シール部の他の部分よりも剛性が大きい第1芯部を内部に有していてもよい。
【0065】
前記構成によれば、第1シール部は、他の部分よりも剛性が大きい第1芯部を有している。このような第1シール部は、後閉じドアに当接した場合の姿勢が保たれやすい一方で、先閉じドアへの組み付けが困難となる。このような第1シール部でも、係合凸部を第2シール部の係合凹部に挿入することで、容易に先閉じドアに組み付けて第2シール部と接続させることができる。
【0066】
本発明の態様5に係るウェザーストリップは、前記態様1から4の何れかにおいて、前記係合凹部は、内側側壁に、前記係合凸部に向かって延伸するリップ部を有していてもよい。
【0067】
前記構成によれば、係合凹部がリップ部を有している。リップ部により、係合凸部の係合凹部への挿入性を良好に保ちながら、係合凹部による係合凸部の固定を強固にできる。
【符号の説明】
【0068】
1 車体
2 開口
3 両開き式ドア
4 後閉じドア
5 先閉じドア
5a フランジ
10 ウェザーストリップ
20 第1押出成形部(第1シール部)
21 上端部
22 下端部
23 中空シール部
24 係合凹部
25 リップ部
26 第1芯部
30 第1型成形部(第2シール部)
31 第2芯部
32 係合凸部
33 溝部
40 第2型成形部
50 第2押出成形部
60 ドアトリム