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特開2025-8587ユニットブレーキ装置の制輪子取付構造及びユニットブレーキ装置の制輪子
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008587
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】ユニットブレーキ装置の制輪子取付構造及びユニットブレーキ装置の制輪子
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/00 20060101AFI20250109BHJP
   B61H 1/00 20060101ALI20250109BHJP
   F16D 65/06 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
F16D65/00 C
B61H1/00
F16D65/06 J
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110864
(22)【出願日】2023-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 啓佑
(72)【発明者】
【氏名】麻生 昌志
(72)【発明者】
【氏名】久我 崇
(72)【発明者】
【氏名】井原 一征
(72)【発明者】
【氏名】藤原 諒介
【テーマコード(参考)】
3J058
【Fターム(参考)】
3J058AA03
3J058AA06
3J058AA13
3J058AA17
3J058AA23
3J058AA28
3J058AA33
3J058AA37
3J058BA78
3J058CA05
3J058CB28
3J058CC04
3J058CC66
3J058DD09
3J058DE17
3J058FA21
(57)【要約】
【課題】配管が集塵部に接続された状態で、制輪子をシューヘッドから脱着することができるユニットブレーキ装置の制輪子取付構造を提供する。
【解決手段】ユニットブレーキ装置の制輪子取付構造は、制輪子2の取付板44が嵌る凹部37Aが設けられたシューヘッド37と、凹部37A及び取付板44に形成された開口部に挿入されて、制輪子2をシューヘッド37に取り付けるシューコッタ46と、制輪子2が車輪の踏面に押し付けられることで生じる摩耗粉を集塵する第1集塵部50A及び第2集塵部50Bと、を有する。第1集塵部50A及び第2集塵部50Bは、シューコッタ46の挿入経路外に設けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制輪子の凸部が嵌る凹部が設けられたシューヘッドと、
前記凹部及び前記凸部に形成された開口部に挿入されて、前記制輪子を前記シューヘッドに取り付けるシューコッタと、
前記制輪子が車輪の踏面に押し付けられることで生じる摩耗粉を集塵する集塵部と、を有し、
前記集塵部は、前記シューコッタの挿入経路外に設けられる
ユニットブレーキ装置の制輪子取付構造。
【請求項2】
前記シューコッタは、L字形状のシューコッタであり、
前記凹部及び前記凸部に形成された開口部に挿入された前記シューコッタの変位を規制する規制位置と、前記シューコッタの変位を規制しない非規制位置と、の間を移動可能なロック部を更に有し、
前記集塵部は、前記シューコッタの挿入経路外且つ前記ロック部の移動経路外に設けられる
請求項1に記載のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造。
【請求項3】
前記制輪子には、前記摩耗粉を吸引する吸引口が形成され、
前記集塵部は、前記シューヘッドに設けられ、前記吸引口に繋がる流路を有し、
負圧源と接続される前記流路の配管接続口は、前記シューヘッドにおける前記シューコッタの挿入経路外に形成される
請求項1又は2に記載のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造。
【請求項4】
前記集塵部は、前記摩耗粉を吸引する吸引口と、前記吸引口と負圧源とを接続する配管と、を有し、
前記シューヘッドは、前記配管を支持する支持部を有し、
前記支持部は、前記シューコッタの挿入経路外に設けられる
請求項1又は2に記載のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造。
【請求項5】
前記集塵部が有する前記吸引口は、前記車輪の踏面の幅方向におけるフランジが位置する側と反対側に設けられる
請求項4に記載のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造。
【請求項6】
前記集塵部が有する前記吸引口は、前記制輪子取付構造が前記車輪を有する車両に設けられた状態で、前記車両の外側に向かって開口する
請求項4に記載のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造。
【請求項7】
前記集塵部が有する前記吸引口は、前記車輪を有する車両の走行方向の両方向の各々に開口する第1開口部と第2開口部とを有し、
前記集塵部は、前記走行方向に応じて前記第1開口部と前記第2開口部とのうち前方側の開口を開いて、後方側の開口を閉じる切替部を有する
請求項4に記載のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造。
【請求項8】
前記集塵部が有する前記吸引口は、前記シューヘッドの上部及び下部の少なくとも一方に設けられる
請求項4に記載のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造。
【請求項9】
前記吸引口は、前記シューヘッドの上部及び下部の両方に設けられ、
前記集塵部は、
前記シューヘッドの上部及び下部の各々の前記吸引口の吸引力を調整するための調整弁と、
前記車輪の走行方向を示す走行情報を取得する取得部と、
前記走行情報に応じて、前記車輪の回転方向の下流側の前記吸引口の吸引力を所定量小さくし、前記車輪の回転方向の上流側の前記吸引口の吸引力を前記所定量大きくするように前記調整弁を制御する制御部と、を有する
請求項8に記載のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造。
【請求項10】
前記吸引口の幅は、前記制輪子の幅よりも長い
請求項8に記載のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造。
【請求項11】
前記吸引口は、前記制輪子の長手方向の端部よりも外側を覆う
請求項9に記載のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造。
【請求項12】
前記集塵部が有する前記配管は、前記車輪の踏面の幅方向のフランジが位置する側と反対側において前記吸引口に接続される
請求項4に記載のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造。
【請求項13】
湾曲状の板であって、シューヘッドの凹部に嵌まる凸部と、前記シューヘッドと係合して位置決めを行う止め板と、が設けられる台板と、
前記台板の前記凸部及び前記止め板が設けられる面と反対側に設けられ、車輪に押し付けられる摩擦材と、を有し、
前記摩擦材が前記車輪に押し付けられることで生じる摩耗粉を集塵する集塵部が、前記台板の長手方向に沿って前記止め板よりも外側の前記台板上に設けられる
ユニットブレーキ装置の制輪子。
【請求項14】
湾曲状の板であって、一方の面にシューヘッドの凹部に嵌まる凸部が設けられる台板と、
前記台板の前記凸部及び、前記シューヘッドと係合して位置決めを行う止め板が設けられる面と反対側に設けられ、車輪に押し付けられる摩擦材と、を有し、
前記摩擦材は、合成樹脂を主成分とする複合材と、前記複合材を貫通して前記車輪との摩擦面に露出する金属ブロックと、から構成され、
前記摩擦材の摩耗粉を吸引する吸引口が前記金属ブロックに形成される
ユニットブレーキ装置の制輪子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニットブレーキ装置の制輪子取付構造及びユニットブレーキ装置の制輪子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のキャリパブレーキ装置では、ブレーキパッドに溝を設け、ブレーキパッドを支持するシューホルダの中央に、溝と連通する貫通孔が設けられる。貫通孔は、シューホルダの背面に接続される配管を介して負圧源に接続される。そして、ブレーキパッドがディスクに押し付けられることで生じる摩耗粉が貫通孔及び配管を介して吸引される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2020-530087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ユニットブレーキ装置では、制輪子を車輪の踏面に押し付けることで車両を制動する。制輪子の凸部がユニットブレーキ装置のシューヘッドの凹部に嵌り、シューコッタが凹部及び凸部に形成された開口部に挿入されて、制輪子がシューヘッドに取り付けられる。すなわち、制輪子がシューコッタによってシューヘッドに取り付けられた状態では、制輪子とシューヘッドとの間にシューコッタが位置することになる。そのため、負圧源に接続される配管がシューコッタ挿入経路上に設けられると、制輪子を交換する際に、制輪子を取り外す前に配管を外す必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するユニットブレーキ装置の制輪子取付構造は、制輪子の凸部が嵌る凹部が設けられたシューヘッドと、前記凹部及び前記凸部に形成された開口部に挿入されて、前記制輪子を前記シューヘッドに取り付けるシューコッタと、前記制輪子が車輪の踏面に押し付けられることで生じる摩耗粉を集塵する集塵部と、を有し、前記集塵部は、前記シューコッタの挿入経路外に設けられる。
【0006】
上記構成によれば、集塵部が、シューヘッドの凹部及び制輪子の凸部に形成された開口部を通るシューコッタの挿入経路外に設けられる。このため、配管が集塵部に接続された状態で、制輪子をシューヘッドから脱着することができる。
【0007】
上記ユニットブレーキ装置の制輪子取付構造について、前記シューコッタは、L字形状のシューコッタであり、前記凹部及び前記凸部に形成された開口部に挿入された前記シューコッタの変位を規制する規制位置と、前記シューコッタの変位を規制しない非規制位置と、の間を移動可能なロック部を更に有し、前記集塵部は、前記シューコッタの挿入経路外且つ前記ロック部の移動経路外に設けられることが好ましい。
【0008】
上記ユニットブレーキ装置の制輪子取付構造について、前記制輪子には、前記摩耗粉を吸引する吸引口が形成され、前記集塵部は、前記シューヘッドに設けられ、前記吸引口に繋がる流路を有し、負圧源と接続される前記流路の配管接続口は、前記シューヘッドにおける前記シューコッタの挿入経路外に形成されることが好ましい。
【0009】
上記ユニットブレーキ装置の制輪子取付構造について、前記集塵部は、前記摩耗粉を吸引する吸引口と、前記吸引口と負圧源とを接続する配管と、を有し、前記シューヘッドは、前記配管を支持する支持部を有し、前記支持部は、前記シューコッタの挿入経路外に設けられることが好ましい。
【0010】
上記ユニットブレーキ装置の制輪子取付構造について、前記集塵部が有する前記吸引口は、前記車輪の踏面の幅方向におけるフランジが位置する側と反対側に設けられることが好ましい。
【0011】
上記ユニットブレーキ装置の制輪子取付構造について、前記集塵部が有する前記吸引口は、前記制輪子取付構造が前記車輪を有する車両に設けられた状態で、前記車両の外側に向かって開口することが好ましい。
【0012】
上記ユニットブレーキ装置の制輪子取付構造について、前記集塵部が有する前記吸引口は、前記車輪を有する車両の走行方向の両方向の各々に開口する第1開口部と第2開口部とを有し、前記集塵部は、前記走行方向に応じて前記第1開口部と前記第2開口部とのうち前方側の開口を開いて、後方側の開口を閉じる切替部を有することが好ましい。
【0013】
上記ユニットブレーキ装置の制輪子取付構造について、前記集塵部が有する前記吸引口は、前記シューヘッドの上部及び下部の少なくとも一方に設けられることが好ましい。
上記ユニットブレーキ装置の制輪子取付構造について、前記吸引口は、前記シューヘッドの上部及び下部の両方に設けられ、前記集塵部は、前記シューヘッドの上部及び下部の各々の前記吸引口の吸引力を調整するための調整弁と、前記車輪の走行方向を示す走行情報を取得する取得部と、前記走行情報に応じて、前記車輪の回転方向の下流側の前記吸引口の吸引力を所定量小さくし、前記車輪の回転方向の上流側の前記吸引口の吸引力を前記所定量大きくするように前記調整弁を制御する制御部と、を有することが好ましい。
【0014】
上記ユニットブレーキ装置の制輪子取付構造について、前記吸引口の幅は、前記制輪子の幅よりも長いことが好ましい。
上記ユニットブレーキ装置の制輪子取付構造について、前記吸引口は、前記制輪子の長手方向の端部よりも外側を覆うことが好ましい。
【0015】
上記ユニットブレーキ装置の制輪子取付構造について、前記集塵部が有する前記配管は、前記車輪の踏面の幅方向のフランジが位置する側と反対側において前記吸引口に接続されることが好ましい。
【0016】
上記ユニットブレーキ装置の制輪子について、湾曲状の板であって、シューヘッドの凹部に嵌まる凸部と、前記シューヘッドと係合して位置決めを行う止め板と、が設けられる台板と、前記台板の前記凸部及び前記止め板が設けられる面と反対側に設けられ、車輪に押し付けられる摩擦材と、を有し、前記摩擦材が前記車輪に押し付けられることで生じる摩耗粉を集塵する集塵部が、前記台板の長手方向に沿って前記止め板よりも外側の前記台板上に設けられる。
【0017】
上記構成によれば、集塵部が台板の長手方向に沿って止め板よりも外側の台板上に設けられる。このため、配管を吸引口に接続したままの状態で、制輪子をシューヘッドから脱着することができる。
【0018】
上記ユニットブレーキ装置の制輪子について、湾曲状の板であって、一方の面にシューヘッドの凹部に嵌まる凸部が設けられる台板と、前記台板の前記凸部及び、前記シューヘッドと係合して位置決めを行う止め板が設けられる面と反対側に設けられ、車輪に押し付けられる摩擦材と、を有し、前記摩擦材は、合成樹脂を主成分とする複合材と、前記複合材を貫通して前記車輪との摩擦面に露出する金属ブロックと、から構成され、前記摩擦材の摩耗粉を吸引する吸引口が前記金属ブロックに形成される。
【0019】
上記構成によれば、吸引口が制輪子の金属ブロックに形成される。このため、摩擦材の金属ブロックよりも脆い合成樹脂に吸引口を形成する場合と比較して、容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、配管を集塵部又は吸引口に接続したままの状態で、制輪子をシューヘッドから脱着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態のユニットブレーキ装置の概略構成を示す断面図。
図2】同実施形態のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造を示す正面斜視図。
図3】同実施形態のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造を示す背面図。
図4】同実施形態のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造を示す図3の4-4断面図。
図5】第2実施形態のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造を示す正面斜視図。
図6】同実施形態のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造を示す背面図。
図7】同実施形態のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造を示す図6の7-7断面図。
図8】同実施形態のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造を示す下面図。
図9】第3実施形態のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造を示す正面斜視図。
図10】同実施形態のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造を示す背面斜視図。
図11】同実施形態のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造を示す側面図。
図12】同実施形態のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造を示す図11の12-12断面図。
図13】同実施形態のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造を示す図11の12-12断面図。
図14】第4実施形態のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造を示す正面斜視図。
図15】同実施形態のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造を示す正面図。
図16】同実施形態のユニットブレーキ装置のシューヘッドの正面図。
図17】同実施形態のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造を示す側面図。
図18】第5実施形態のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造を示す断面図。
図19】同実施形態のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造を示す正面図。
図20】同実施形態のユニットブレーキ装置のシューヘッドを示す正面図。
図21】同実施形態のユニットブレーキ装置の制輪子を示す断面図。
図22】第6実施形態のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造を示す断面図。
図23】第7実施形態のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造を示す断面図。
図24】同実施形態のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造を示す断面図。
図25】第8実施形態のユニットブレーキ装置の制輪子取付構造を示す断面図。
図26】第9実施形態の集塵装置を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、図1図4を参照して、ユニットブレーキ装置の制輪子取付構造の第1実施形態について説明する。ユニットブレーキ装置は、鉄道車両の台車に取り付けられ、車輪の踏面に制輪子を押し付けることで鉄道車両の制動を得る。
【0023】
(ユニットブレーキ装置1)
図1に示すように、ユニットブレーキ装置1は、空気によるブレーキ力を出力する空気ブレーキシリンダ20を備えている。ユニットブレーキ装置1は、空気ブレーキシリンダ20から出力されたブレーキ力をシューヘッド37に伝達する伝達駆動部30を備えている。伝達駆動部30は、中空状の本体31を備えている。
【0024】
(空気ブレーキシリンダ20)
空気ブレーキシリンダ20は、有底筒状のシリンダ21を備えている。シリンダ21は、本体31の図中左側に接続されている。空気ブレーキシリンダ20は、緩めばね22と、緩めばね22によって付勢されるピストン23とを備えている。ピストン23の先端は、本体31内に突出して、連結ピン23Aを介してブレーキ梃子32に回動可能に連結されている。ブレーキ梃子32は、本体31に固定される支軸33を回転中心として回転する。ブレーキ梃子32の一端(図中上側)は、ピストン23に連結されている。
【0025】
シリンダ21の底部(図中左側)には、圧縮空気をシリンダ21内に供給する供給口20Aが設けられている。圧縮空気は、シリンダ21とピストン23とに囲まれた作動室21Aに供給される。空気ブレーキシリンダ20は、作動室21Aに圧縮空気が供給されると、ピストン23がシリンダ21から突出する方向(図中右側)に移動して、ブレーキ梃子32を図中時計回りに回転させる。一方、空気ブレーキシリンダ20は、作動室21Aから圧縮空気が排出されると、ピストン23が緩めばね22によってシリンダ21の底面側(図中左側)に移動して、ブレーキ梃子32を図中反時計回りに回転させる。
【0026】
(伝達駆動部30)
伝達駆動部30は、上記ブレーキ梃子32と、ブレーキ梃子32の他端に設けられる球面貫通孔32Aに嵌合する球面軸受34と、球面軸受34が外周面に固定される円筒状のさや棒35とを備えている。伝達駆動部30は、さや棒35の内面に螺合して設けられる押棒36を備えている。押棒36の基端側は、さや棒35の内部にねじ結合されている。押棒36の先端側には、シューヘッド37が連結ピン36Aを介して回動可能に取り付けられている。本体31には、連結ピン31Bを介して回転可能にハンガー38が設けられている。シューヘッド37は、連結ピン31Bを介してハンガー38に回動可能に取り付けられている。シューヘッド37には、鉄道車両の車輪3の踏面3Aに押し付けられる制輪子2が取り付けられる。
【0027】
ブレーキ梃子32が支軸33を中心に図中時計回りに回転すると、さや棒35及び押棒36とともに制輪子2が車輪3の踏面3A側へ押されて、制輪子2が車輪3の踏面3Aに押し当てられ、車輪3の回転が制動される。なお、空気ブレーキシリンダ20によってブレーキ梃子32が図中時計回りに回転されるときは、回転量が大きいほど制輪子2が車輪3の踏面3Aに押し付けられる量、言い換えれば摩擦量が大きくなる。一方、ブレーキ梃子32が支軸33を中心に図中反時計回りに回転すると、さや棒35及び押棒36とともに制輪子2が車輪3の踏面3Aから離間する側へ移動して、車輪3の回転の制動が解除される。
【0028】
(集塵装置)
制輪子2が車輪3の踏面3Aに押し付けられると摩耗粉が生じる。このため、摩耗粉を集塵する集塵装置がユニットブレーキ装置1に設けられる。集塵装置は、負圧を発生させる負圧源(図示略)と、負圧源と配管で接続される集塵部とを備える。負圧源は、鉄道車両の車体に設けられる。
【0029】
図2に示すように、集塵部は、制輪子2及びシューヘッド37に設けられる。集塵部は、第1集塵部50A及び第2集塵部50Bを備える。第1集塵部50Aは、制輪子2の上部寄りに設けられる。第2集塵部50Bは、制輪子2の下部寄りに設けられる。
【0030】
(制輪子2)
図3及び図4に示すように、制輪子2は、摩擦材41と台金42とを備える。摩擦材41は、台金42の正面側に固定されている。台金42は、台板43と、取付板44と、止め板45とを備えている。台板43は、シューヘッド37に沿って延びる湾曲状の板である。取付板44は、台板43の背面に設けられる側面視M字状の板部材である。取付板44は、シューヘッド37の凹部37Aに嵌る凸部に相当する。止め板45は、台板43の背面に突出して設けられ、シューヘッド37と係合して位置決めを行う部材である。
【0031】
(制輪子取付構造)
制輪子2は、シューコッタ46によってシューヘッド37に取り付けられる。シューコッタ46は、シューヘッド37の凹部37A及び取付板44に形成された開口部に挿入される。シューコッタ46は、L字形状である。シューヘッド37は、ロック部47を有する。ロック部47は、シューヘッド37の凹部37A及び取付板44に形成された開口部に挿入されたシューコッタ46の変位を規制する規制位置と、シューコッタ46の変位を規制しない非規制位置と、の間を移動可能である。ロック部47は、回転軸47Aを中心に回転する。
【0032】
第1集塵部50A及び第2集塵部50Bは、シューコッタ46の挿入経路外且つロック部47の移動経路外に設けられる。制輪子2の上部寄りには、摩耗粉を吸引する第1吸引口51Aが形成される。第1集塵部50Aは、シューヘッド37の上部寄りに設けられ、第1吸引口51Aに繋がる第1流路52Aを有する。第1流路52Aは、摩擦材41を貫通し、台板43に形成された第1貫通孔53Aと接続される。第1流路52Aには、負圧源と接続される第1配管接続口54Aが設けられる。第1配管接続口54Aは、シューヘッド37におけるシューコッタ46の挿入経路外且つロック部47の移動経路外に形成される。
【0033】
制輪子2の下部寄りには、摩耗粉を吸引する第2吸引口51Bが形成される。第2集塵部50Bは、シューヘッド37の下部寄りに設けられ、第2吸引口51Bに繋がる第2流路52Bを有する。第2流路52Bは、摩擦材41を貫通し、台板43に形成された第2貫通孔53Bと接続される。第2流路52Bには、負圧源と接続される第2配管接続口54Bが設けられる。第2配管接続口54Bは、シューヘッド37におけるシューコッタ46の挿入経路外且つロック部47の移動経路外に形成される。
【0034】
図3において、破線で示した範囲A1がシューコッタ46の挿入経路である。第1配管接続口54Aは、シューヘッド37の背面上部寄りであって、シューヘッド37の背面に突出した止め板45と範囲A1との間に設けられる。第2配管接続口54Bは、シューヘッド37の背面下部寄りであって、シューヘッド37の背面に突出した止め板45と範囲A1との間に設けられる。
【0035】
(作用)
次に、図4を参照して、上記のように構成された集塵装置の作用について説明する。
負圧源が稼働すると、第1集塵部50A及び第2集塵部50Bは、摩耗粉を吸引する。第1吸引口51A及び第2吸引口51Bの近傍に位置する摩耗粉が吸引される。そして、第1吸引口51Aに吸引された摩耗粉は、第1流路52A及び第1配管10Aを通過して回収される。第2吸引口51Bに吸引された摩耗粉は、第2流路52B及び第2配管10Bを通過して回収される。
【0036】
シューコッタ46の挿入経路及びロック部47の移動経路に、第1集塵部50A及び第2集塵部50Bが位置しないとともに、第1配管接続口54A及び第2配管接続口54Bも位置しない。このため、制輪子2を交換する際には、第1配管10Aを第1集塵部50Aに接続したままの状態、及び第2配管10Bを第2集塵部50Bに接続したままの状態で、制輪子2をシューヘッド37から取り外すことができる。
【0037】
次に、第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)第1集塵部50A及び第2集塵部50Bが、シューヘッド37の凹部37A及び制輪子2の取付板44に形成された開口部を通るシューコッタ46の挿入経路外に設けられる。このため、第1配管10Aを第1集塵部50Aに接続したままの状態及び第2配管10Bを第2集塵部50Bに接続したままの状態で、制輪子2をシューヘッド37から脱着することができる。
【0038】
(1-2)L字形状のシューコッタ46を使用することで、シューヘッド37の長手方向における第1集塵部50A及び第2集塵部50Bの配置自由度を高めることができる。
(1-3)シューヘッド37における、シューヘッド37の凹部37A及び制輪子2の取付板44に形成された開口部を通るシューコッタ46の挿入経路外に第1配管接続口54A及び第2配管接続口54Bが形成される。このため、第1配管10Aを第1配管接続口54Aに接続したままの状態及び第2配管10Bを第2配管接続口54Bに接続したままの状態で、制輪子2をシューヘッド37から脱着することができる。
【0039】
(第2実施形態)
以下、図5図8を参照して、ユニットブレーキ装置の制輪子取付構造の第2実施形態について説明する。この実施形態の集塵部は、制輪子2に設けられず、シューヘッド37に設けられている点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0040】
(制輪子取付構造)
図6及び図7に示すように、制輪子2は、シューコッタ48によってシューヘッド37に取り付けられる。シューコッタ48は、台板43に沿って湾曲した板部材であって、上端部が巻かれている。シューコッタ48は、シューヘッド37の凹部37A及び取付板44に形成された開口部に挿入される。
【0041】
(集塵装置)
図5図8に示すように、集塵部は、シューヘッド37に設けられる。集塵部は、第1集塵部60A及び第2集塵部60Bを備える。第1集塵部60A及び第2集塵部60Bは、シューコッタ46の挿入経路外に設けられる。第1集塵部60Aは、開口部を有する箱体状であって、シューヘッド37の上部寄りに設けられる。第1集塵部60Aは、摩耗粉を吸引する第1吸引口61Aと、第1吸引口61Aと負圧源とを接続する第1配管10Aと、を有する。第1集塵部60Aの開口部が第1吸引口61Aに相当する。第1吸引口61Aは、車輪3の踏面3Aの幅方向におけるフランジ3Bが位置する側と反対側に設けられる。第1配管10Aは、フランジ3Bが位置する側と反対側において第1吸引口61Aに接続される。シューヘッド37は、第1配管10Aを支持する第1支持部62Aを有する。第1支持部62Aは、シューコッタ48の挿入経路外に設けられる。第1集塵部60Aは、シューヘッド37の幅方向において止め板45が位置する部分よりも外側に位置している。このため、第1支持部62Aは、シューコッタ48の挿入経路とは異なる位置に設けられている。
【0042】
第2集塵部60Bは、開口部を有する箱体状であって、シューヘッド37の下部寄りに設けられる。第2集塵部60Bは、摩耗粉を吸引する第2吸引口61Bと、第2吸引口61Bと負圧源とを接続する第2配管10Bと、を有する。第2集塵部60Bの開口部が第2吸引口61Bに相当する。第2吸引口61Bは、車輪3の踏面3Aの幅方向におけるフランジ3Bが位置する側と反対側に設けられる。第2配管10Bは、フランジ3Bが位置する側と反対側において第2吸引口61Bに接続される。シューヘッド37は、第2配管10Bを支持する第2支持部62Bを有する。第2支持部62Bは、シューコッタ48の挿入経路外に設けられる。第2集塵部60Bは、シューヘッド37の幅方向において止め板45が位置する部分よりも外側に位置している。このため、第2支持部62Bは、シューコッタ48の挿入経路とは異なる位置に設けられている。
【0043】
(作用)
次に、図7及び図8を参照して、上記のように構成された集塵装置の作用について説明する。
【0044】
負圧源が稼働すると、第1集塵部60A及び第2集塵部60Bは、摩耗粉を吸引する。第1吸引口61A及び第2吸引口61Bの近傍に位置する摩耗粉が吸引される。そして、第1吸引口61Aに吸引された摩耗粉は、第1配管10Aを通過して回収される。第2吸引口61Bに吸引された摩耗粉は、第2配管10Bを通過して回収される。また、車輪3のフランジ3Bに当たって跳ね返って飛散する摩耗粉を効率よく吸引することができる。
【0045】
シューコッタ48の挿入経路及びロック部47の移動経路に、第1集塵部60A及び第2集塵部60Bが位置しないとともに、第1支持部62A及び第2支持部62Bも位置しない。このため、制輪子2を交換する際には、第1配管10Aを第1集塵部60Aに接続したままの状態、及び第2配管10Bを第2集塵部60Bに接続したままの状態で、制輪子2をシューヘッド37から取り外すことができる。
【0046】
次に、第2実施形態の効果について説明する。
(2-1)第1集塵部50A及び第2集塵部50Bがシューコッタ48の挿入経路外に設けられる。このため、第1配管10Aを第1集塵部60Aに接続したままの状態及び第2配管10Bを第2集塵部60Bに接続したままの状態で、制輪子2をシューヘッド37から脱着することができる。
【0047】
(2-2)第1配管10A及び第2配管10Bがシューコッタ48の挿入経路外に支持される。このため、第1配管10A及び第2配管10Bをシューヘッド37に接続したままの状態で、制輪子2をシューヘッド37から脱着することができる。
【0048】
(2-3)第1吸引口61A及び第2吸引口61Bが車輪3の踏面3Aの幅方向におけるフランジ3Bが位置する側と反対側に設けられる。このため、車輪3のフランジ3Bに当たって跳ね返って飛散する摩耗粉を、効率よく吸引することができる。
【0049】
(2-4)第1配管10A及び第2配管10Bが車輪3のフランジ3Bが位置する側と反対側において第1吸引口61A及び第2吸引口61Bに接続される。このため、車輪3のフランジ3Bに邪魔されることなく容易に第1配管10A及び第2配管10Bを第1吸引口61A及び第2吸引口61Bに接続することができる。
【0050】
(第3実施形態)
以下、図9図13を参照して、ユニットブレーキ装置の制輪子取付構造の第3実施形態について説明する。この実施形態の集塵部は、走行方向に応じて開口を切り替える点が上記第2実施形態と異なっている。以下、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
【0051】
(制輪子取付構造)
図10に示すように、制輪子2は、シューコッタ48によってシューヘッド37に取り付けられる。シューコッタ48は、台板43に沿って湾曲した板部材であって、上端部が巻かれている。シューコッタ48は、シューヘッド37の凹部37A及び取付板44に形成された開口部に挿入される。
【0052】
(集塵装置)
図9図11に示すように、集塵部は、シューヘッド37に設けられる。集塵部は、第1集塵部70A及び第2集塵部70Bを備える。第1集塵部70A及び第2集塵部70Bは、シューコッタ48の挿入経路外に設けられる。第1集塵部70Aは、正面側と背面側とに開口部を有する箱体状であって、シューヘッド37の上部寄りに設けられる。第1集塵部70Aは、鉄道車両の走行方向の両方向の各々に開口する第1正面側開口部71A及び第1背面側開口部72Aと、第1正面側開口部71A及び第1背面側開口部72Aと負圧源とを接続する第1配管10Aと、を有する。第1正面側開口部71Aが第1開口部に相当し、第1背面側開口部72Aが第2開口部に相当する。第1正面側開口部71A及び第1背面側開口部72Aは、車輪3の踏面3Aの幅方向におけるフランジ3Bが位置する側と反対側に設けられる。シューヘッド37は、第1配管10Aを支持する第1支持部74Aを有する。第1支持部74Aは、シューコッタ48の挿入経路外に設けられる。第1集塵部70Aは、シューヘッド37の幅方向において止め板45が位置する部分よりも外側に位置している。このため、第1支持部74Aは、シューコッタ48の挿入経路とは異なる位置に設けられている。
【0053】
第2集塵部70Bは、正面側と背面側とに開口部を有する箱体状であって、シューヘッド37の下部寄りに設けられる。第2集塵部70Bは、鉄道車両の走行方向の両方向の各々に開口する第2正面側開口部71B及び第2背面側開口部72Bと、第2正面側開口部71B及び第2背面側開口部72Bと負圧源とを接続する第2配管10Bと、を有する。第2正面側開口部71Bが第1開口部に相当し、第2背面側開口部72Bが第2開口部に相当する。第2正面側開口部71B及び第2背面側開口部72Bは、車輪3の踏面3Aの幅方向におけるフランジ3Bが位置する側と反対側に設けられる。シューヘッド37は、第2配管10Bを支持する第2支持部74Bを有する。第2支持部74Bは、シューコッタ48の挿入経路外に設けられる。第2集塵部70Bは、シューヘッド37の幅方向において止め板45が位置する部分よりも外側に位置している。このため、第1支持部74Aは、シューコッタ48の挿入経路とは異なる位置に設けられている。
【0054】
図12及び図13に示すように、第1集塵部70Aは、走行方向に応じて第1正面側開口部71Aと第1背面側開口部72Aとのうち前方側の開口を開いて、後方側の開口を閉じる第1弁73Aを有する。第1弁73Aは、走行風を受けると位置が切り替わる切替部として機能する。図12に示すように、鉄道車両が図中上方向へ走行して、図中上側から走行風を受けると、第1弁73Aは、第1背面側開口部72Aから入った空気に押されて第1正面側開口部71Aを閉じる。図13に示すように、鉄道車両が図中下方向へ走行して、図中下側から走行風を受けると、第1弁73Aは、第1正面側開口部71Aから入った空気に押されて第1背面側開口部72Aを閉じる。
【0055】
第2集塵部70Bは、走行方向に応じて第2正面側開口部71Bと第2背面側開口部72Bとのうち前方側の開口を開いて、後方側の開口を閉じる第2弁73Bを有する。第2弁73Bは、走行風を受けると位置が切り替わる切替部として機能する。図12に示すように、鉄道車両が図中上方向へ走行して、図中上側から走行風を受けると、第2弁73Bは、第2背面側開口部72Bから入った空気に押されて第2正面側開口部71Bを閉じる。図13に示すように、鉄道車両が図中下方向へ走行して、図中下側から走行風を受けると、第2弁73Bは、第2正面側開口部71Bから入った空気に押されて第2背面側開口部72Bを閉じる。
【0056】
(作用)
次に、図12及び図13を参照して、上記のように構成された集塵装置の作用について説明する。
【0057】
図12に示すように、図中上側から走行風を受けると、第1弁73A(第2弁73B)は、第1正面側開口部71A(第2正面側開口部71B)を閉じて、第1背面側開口部72A(第2背面側開口部72B)を開く。この状態で、負圧源が稼働すると、第1集塵部70A及び第2集塵部70Bは、第1背面側開口部72A及び第2背面側開口部72Bから摩耗粉を吸引する。摩耗粉は、走行風によって走行方向と逆方向に飛ばされる。このため、第1集塵部70A及び第2集塵部70Bが設けられたユニットブレーキ装置1よりも前方に位置するユニットブレーキ装置1において生じた摩耗粉を第1集塵部70A及び第2集塵部70Bが吸引する。そして、第1背面側開口部72Aから吸引された摩耗粉は、第1配管10Aを通過して回収される。第2背面側開口部72Bから吸引された摩耗粉は、第2配管10Bを通過して回収される。
【0058】
図13に示すように、図中下側から走行風を受けると、第1弁73A(第2弁73B)は、第1背面側開口部72A(第2背面側開口部72B)を閉じて、第1正面側開口部71A(第2正面側開口部71B)を開く。この状態で、負圧源が稼働すると、第1集塵部70A及び第2集塵部70Bは、第1正面側開口部71A及び第2正面側開口部71Bから摩耗粉を吸引する。摩耗粉は、走行風によって走行方向と逆方向に飛ばされる。このため、第1集塵部70A及び第2集塵部70Bが設けられたユニットブレーキ装置1において生じた摩耗粉を第1集塵部70A及び第2集塵部70Bが吸引する。そして、第1正面側開口部71Aから吸引された摩耗粉は、第1配管10Aを通過して回収される。第2正面側開口部71Bから吸引された摩耗粉は、第2配管10Bを通過して回収される。また、車輪3のフランジ3Bに当たって跳ね返って飛散する摩耗粉を効率よく吸引することができる。
【0059】
シューコッタ48の挿入経路に、第1集塵部70A及び第2集塵部70Bが位置しないとともに、第1支持部74A及び第2支持部74Bも位置しない。このため、制輪子2を交換する際には、第1配管10Aを第1集塵部70Aに接続したままの状態、及び第2配管10Bを第2集塵部70Bに接続したままの状態で、制輪子2をシューヘッド37から取り外すことができる。
【0060】
次に、第3実施形態の効果について説明する。
(3-1)第1集塵部70A及び第2集塵部70Bがシューコッタ48の挿入経路外に設けられる。このため、第1配管10Aを第1集塵部70Aに接続したままの状態、及び第2配管10Bを第2集塵部70Bに接続したままの状態で、制輪子2をシューヘッド37から脱着することができる。
【0061】
(3-2)第1配管10A及び第2配管10Bがシューコッタ48の挿入経路外に支持される。このため、第1配管10A及び第2配管10Bをシューヘッド37に接続したまま制輪子2をシューヘッド37から脱着することができる。
【0062】
(3-3)第1正面側開口部71A及び第1背面側開口部72Aと第2正面側開口部71B及び第2背面側開口部72Bとが車輪3の踏面3Aの幅方向におけるフランジ3Bが位置する側と反対側に設けられる。このため、車輪3のフランジ3Bに当たって跳ね返って飛散する摩耗粉を、効率よく吸引することができる。
【0063】
(3-4)走行方向に応じて第1弁73A及び第2弁73Bが後方側の開口を閉じる。このため、摩耗粉が走行風によって移動したとしても、走行風に合わせて開口を切り替えることで集塵量の低下を抑制することができる。
【0064】
(3-5)第1配管10A及び第2配管10Bが車輪3のフランジ3Bが位置する側と反対側において第1集塵部70A及び第2集塵部70Bに接続される。このため、車輪3のフランジ3Bに邪魔されることなく容易に第1配管10A及び第2配管10Bを第1集塵部70A及び第2集塵部70Bに接続することができる。
【0065】
(第4実施形態)
以下、図14図17を参照して、ユニットブレーキ装置の制輪子取付構造の第4実施形態について説明する。この実施形態の集塵部は、シューヘッドの上部と下部とに設けられている点が上記第2実施形態と異なっている。以下、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
【0066】
(制輪子取付構造)
制輪子2は、シューコッタ46によってシューヘッド37に取り付けられる。シューコッタ46は、シューヘッド37の凹部37A及び取付板44に形成された開口部に挿入される。シューコッタ46は、L字形状である。シューヘッド37は、ロック部47を有する。ロック部47は、シューヘッド37の凹部37A及び取付板44に形成された開口部に挿入されたシューコッタ46の変位を規制する規制位置と、シューコッタ46の変位を規制しない非規制位置と、の間を移動可能である。
【0067】
(集塵装置)
図14図16に示すように、集塵部は、シューヘッド37に設けられる。集塵部は、第1集塵部80A及び第2集塵部80Bを備える。第1集塵部80A及び第2集塵部80Bは、シューコッタ46の挿入経路外に設けられる。第1集塵部80Aは、開口部を有する箱体状であって、シューヘッド37の上部に設けられる。第1集塵部80Aは、摩耗粉を吸引する第1吸引口81Aと、第1吸引口81Aと負圧源とを接続する2個の第1配管10Aと、を有する。第1集塵部80Aの開口部が第1吸引口81Aに相当する。第1集塵部80Aは、シューヘッド37に一体に設けられる。第1配管10Aは、第1集塵部80Aの両側面に接続される。シューヘッド37は、第1配管10Aを支持する2個の第1支持部82Aを有する。第1支持部82Aは、シューコッタ46の挿入経路外に設けられる。第1集塵部80Aの第1吸引口81Aの幅は、制輪子2の幅よりも長い。第1吸引口81Aは、制輪子2の長手方向の端部よりも外側を覆う。このため、制輪子2の上部に位置する摩耗粉を効率的に吸引することができる。
【0068】
第2集塵部80Bは、開口部を有する箱体状であって、シューヘッド37の上部に設けられる。第2集塵部80Bは、摩耗粉を吸引する第2吸引口81Bと、第2吸引口81Bと負圧源とを接続する2個の第2配管10Bと、を有する。第2集塵部80Bの開口部が第2吸引口81Bに相当する。第2集塵部80Bは、シューヘッド37に一体に設けられる。第2配管10Bは、第2集塵部80Bの両側面に接続される。シューヘッド37は、第2配管10Bを支持する2個の第2支持部82Bを有する。第2支持部82Bは、シューコッタ46の挿入経路外に設けられる。第2集塵部80Bの第2吸引口81Bの幅は、制輪子2の幅よりも長い。第2吸引口81Bは、制輪子2の長手方向の端部よりも外側を覆う。このため、制輪子2の上部に位置する摩耗粉を効率的に吸引することができる。
【0069】
(作用)
次に、図17を参照して、上記のように構成された集塵装置の作用について説明する。
負圧源が稼働すると、第1集塵部80A及び第2集塵部80Bは、摩耗粉を吸引する。第1吸引口81A及び第2吸引口81Bの近傍に位置する摩耗粉が吸引される。そして、第1吸引口81Aに吸引された摩耗粉は、第1配管10Aを通過して回収される。第2吸引口81Bに吸引された摩耗粉は、第2配管10Bを通過して回収される。
【0070】
シューコッタ46の挿入経路及びロック部47の移動経路に、第1集塵部80A及び第2集塵部80Bが位置しないとともに、第1支持部82A及び第2支持部82Bも位置しない。このため、制輪子2を交換する際には、第1配管10Aを第1集塵部80Aに接続したままの状態、及び第2配管10Bを第2集塵部80Bに接続したままの状態で、制輪子2をシューヘッド37から取り外すことができる。
【0071】
次に、第4実施形態の効果について説明する。
(4-1)第1集塵部80A及び第2集塵部80Bがシューコッタ46の挿入経路外に設けられる。このため、第1配管10Aを第1集塵部80Aに接続したままの状態、及び第2配管10Bを第2集塵部80Bに接続したままの状態で、制輪子2をシューヘッド37から脱着することができる。
【0072】
(4-2)第1配管10A及び第2配管10Bがシューコッタ46の挿入経路外に支持される。このため、第1配管10A及び第2配管10Bをシューヘッド37に接続したまま制輪子2をシューヘッド37から脱着することができる。
【0073】
(4-3)第1集塵部80A及び第2集塵部80Bがシューヘッド37の上部及び下部にそれぞれ設けられる。このため、車輪3の回転方向の下流に多く存在する摩耗粉を効率よく吸引することができる。
【0074】
(4-4)第1吸引口81A及び第2吸引口81Bの幅が制輪子2の幅よりも長い。このため、制輪子2の外側へ飛散する摩耗粉も吸引することができるので、吸引口の幅が制輪子2の幅未満の場合と比較して効率よく摩耗粉を吸引することができる。
【0075】
(4-5)第1吸引口81A及び第2吸引口81Bが制輪子2の長手方向の端部よりも外側を覆う。このため、制輪子2の外側へ飛散する摩耗粉も吸引することができるので、吸引口が制輪子2の長手方向の端部よりも外側にない場合と比較して効率よく摩耗粉を吸引することができる。
【0076】
(第5実施形態)
以下、図18図21を参照して、ユニットブレーキ装置の制輪子取付構造の第5実施形態について説明する。この実施形態の集塵部は、合成制輪子の金属ブロックに設けられる点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0077】
(制輪子取付構造)
図18に示すように、制輪子2の摩擦材41は、合成樹脂を主成分とする複合材41Aと、複合材41Aを貫通して車輪3との摩擦面に露出する金属ブロック41Bとから構成される。金属ブロック41Bは、摩擦材41の上部寄りと下部寄りとに設けられる。制輪子2は、シューコッタ46によってシューヘッド37に取り付けられる。シューコッタ46は、シューヘッド37の凹部37A及び取付板44に形成された開口部に挿入される。シューコッタ46は、L字形状である。シューヘッド37は、ロック部47を有する。ロック部47は、シューヘッド37の凹部37A及び取付板44に形成された開口部に挿入されたシューコッタ46の変位を規制する規制位置と、シューコッタ46の変位を規制しない非規制位置と、の間を移動可能である。
【0078】
(集塵装置)
図18及び図19に示すように、集塵部は、制輪子2及びシューヘッド37に設けられる。集塵部は、第1集塵部90A及び第2集塵部90Bを備える。第1集塵部90A及び第2集塵部90Bは、シューコッタ46の挿入経路外且つロック部47の移動経路外に設けられる。制輪子2の上部寄りには、摩耗粉を吸引する第1吸引口91Aが上部寄りの金属ブロック41Bに形成される。第1集塵部90Aは、シューヘッド37の上部寄りに設けられ、第1吸引口91Aに繋がる第1流路92Aを有する。第1流路92Aは、金属ブロック41Bを貫通し、台板43に形成された第1貫通孔93Aと接続される。第1流路92Aには、負圧源と接続される第1配管接続口94Aが設けられる。第1配管接続口94Aは、シューヘッド37におけるシューコッタ46の挿入経路外且つロック部47の移動経路外に形成される。
【0079】
制輪子2の下部寄りには、摩耗粉を吸引する第2吸引口91Bが下部よりの金属ブロック41Bに形成される。第2集塵部90Bは、シューヘッド37の下部寄りに設けられ、第2吸引口91Bに繋がる第2流路92Bを有する。第2流路92Bは、金属ブロック41Bを貫通し、台板43に形成された第2貫通孔93Bと接続される。第2流路92Bには、負圧源と接続される第2配管接続口94Bが設けられる。第2配管接続口94Bは、シューヘッド37におけるシューコッタ46の挿入経路外且つロック部47の移動経路外に形成される。
【0080】
図19に示すように、第1吸引口91A及び第2吸引口91Bは、制輪子2の幅と同じくらいの大きさである。図20に示すように、台金42の第1貫通孔93A及び第2貫通孔93Bの大きさは、第1吸引口91A及び第2吸引口91Bの大きさに比べるとかなり小さい。図21に示すように、金属ブロック41B内に形成される第1流路92A及び第2流路92Bは、第1吸引口91A及び第2吸引口91Bから第1貫通孔93A及び第2貫通孔93Bに向かって縮小するテーパ状になっている。
【0081】
(作用)
次に、図18を参照して、上記のように構成された集塵装置の作用について説明する。
負圧源が稼働すると、第1集塵部90A及び第2集塵部90Bは、摩耗粉を吸引する。第1吸引口91A及び第2吸引口91Bの近傍に位置する摩耗粉が吸引される。そして、第1吸引口91Aに吸引された摩耗粉は、第1流路92A及び第1配管10Aを通過して回収される。第2吸引口91Bに吸引された摩耗粉は、第2流路92B及び第2配管10Bを通過して回収される。
【0082】
シューコッタ46の挿入経路及びロック部47の移動経路に、第1集塵部50A及び第2集塵部50Bが位置しないとともに、第1配管接続口54A及び第2配管接続口54Bも位置しない。このため、制輪子2を交換する際には、第1配管10Aを第1集塵部50Aに接続したままの状態、及び第2配管10Bを第2集塵部50Bに接続したままの状態で、制輪子2をシューヘッド37から取り外すことができる。
【0083】
次に、第5実施形態の効果について説明する。
(5-1)第1集塵部90A及び第2集塵部90Bがシューコッタ46の挿入経路外に設けられる。このため、第1配管10Aを第1集塵部50Aに接続したままの状態、及び第2配管10Bを第2集塵部50Bに接続したままの状態で、制輪子2をシューヘッド37から脱着することができる。
【0084】
(5-2)L字形状のシューコッタ46を使用することで、シューヘッド37の長手方向における第1集塵部90A及び第2集塵部90Bの配置自由度を高めることができる。
(5-3)第1配管10A及び第2配管10Bがシューコッタ46の挿入経路外に支持される。このため、第1配管10A及び第2配管10Bをシューヘッド37に接続したまま制輪子2をシューヘッド37から脱着することができる。
【0085】
(5-4)第1吸引口91A及び第2吸引口91Bが制輪子2の金属ブロック41Bに形成される。このため、摩擦材41の金属ブロック41Bよりも脆い複合材41Aに吸引口を形成する場合と比較して、容易に製造することができる。
【0086】
(第6実施形態)
以下、図22を参照して、ユニットブレーキ装置の制輪子取付構造の第6実施形態について説明する。この実施形態の集塵部は、制輪子2の端部寄りに設けられる点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0087】
(集塵装置)
図22に示すように、集塵部は、制輪子2及びシューヘッド37に設けられる。集塵部は、第1集塵部50A及び第2集塵部50Bを備える。第1集塵部50Aは、制輪子2の上部寄りに設けられる。第2集塵部50Bは、制輪子2の下部寄りに設けられる。
【0088】
第1集塵部50A及び第2集塵部50Bは、シューコッタ46の挿入経路外且つロック部47の移動経路外に設けられる。制輪子2の上部寄りには、摩耗粉を吸引する第1吸引口51Aが形成される。第1集塵部50Aは、台金42の台板43の長手方向に沿って止め板45よりも外側の台板43上に設けられる。第1集塵部50Aは、シューヘッド37の上部寄りに設けられ、第1吸引口51Aに繋がる第1流路52Aを有する。第1流路52Aは、摩擦材41を貫通し、台板43の止め板45よりも外側に形成された第1貫通孔53Aと接続される。第1流路52Aには、負圧源と接続される第1配管接続口54Aが設けられる。第1配管接続口54Aは、シューヘッド37におけるシューコッタ46の挿入経路外且つロック部47の移動経路外に形成される。
【0089】
制輪子2の下部寄りには、摩耗粉を吸引する第2吸引口51Bが形成される。第2集塵部50Bは、台金42の台板43の長手方向に沿って止め板45よりも外側の台板43上に設けられる。第2集塵部50Bは、シューヘッド37の下部寄りに設けられ、第2吸引口51Bに繋がる第2流路52Bを有する。第2流路52Bは、摩擦材41を貫通し、台板43の止め板45よりも外側に形成された第2貫通孔53Bと接続される。第2流路52Bには、負圧源と接続される第2配管接続口54Bが設けられる。第2配管接続口54Bは、シューヘッド37におけるシューコッタ46の挿入経路外且つロック部47の移動経路外に形成される。
【0090】
(作用)
次に、図22を参照して、上記のように構成された集塵装置の作用について説明する。
負圧源が稼働すると、第1集塵部50A及び第2集塵部50Bは、摩耗粉を吸引する。第1吸引口51A及び第2吸引口51Bの近傍に位置する摩耗粉が吸引される。そして、第1吸引口51Aに吸引された摩耗粉は、第1流路52A及び第1配管10Aを通過して回収される。第2吸引口51Bに吸引された摩耗粉は、第2流路52B及び第2配管10Bを通過して回収される。
【0091】
シューコッタ46の挿入経路及びロック部47の移動経路に、第1集塵部50A及び第2集塵部50Bが位置しないとともに、第1配管接続口54A及び第2配管接続口54Bも位置しない。このため、制輪子2を交換する際には、第1配管10Aを第1集塵部50Aに接続したままの状態、及び第2配管10Bを第2集塵部50Bに接続したままの状態で、制輪子2をシューヘッド37から取り外すことができる。
【0092】
次に、第6実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1-1)~(1-3)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(2-1)第1集塵部50A及び第2集塵部50Bが台板43の長手方向に沿って止め板45よりも外側の台板43上に設けられる。このため、第1配管10Aを第1集塵部50Aに接続したままの状態、及び第2配管10Bを第2集塵部50Bに接続したままの状態で、制輪子2をシューヘッド37から脱着することができる。
【0093】
(第7実施形態)
以下、図23及び図24を参照して、ユニットブレーキ装置の制輪子取付構造の第7実施形態について説明する。この実施形態の集塵部は、上部の吸引口の吸引力と下部の吸引口の吸引力とを調整する点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0094】
図23及び図24に示すように、第1集塵部50A及び第2集塵部50Bは、調整弁11と、取得部13Aと、制御部13Bと、を有する。調整弁11は、負圧源と接続されるとともに、第1配管10Aと第2配管10Bとが接続されている。調整弁11は、シューヘッド37の上部に設けられる第1吸引口51Aの吸引力と下部に設けられる第2吸引口51Bの吸引力とを調整する。
【0095】
取得部13A及び制御部13Bは、制御装置13に備えられる。制御装置13は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサとして構成し得る。なお、制御装置13は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、またはその組み合わせを含む回路(circuitry)として構成してもよい。プロセッサは、CPU及び、RAM並びにROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。取得部13Aは、車輪3の走行方向を示す走行情報を取得する。制御部13Bは、走行情報に応じて調整弁11を制御する。制御部13Bは、車輪3の回転方向の下流側の吸引口の吸引力を所定量小さくし、車輪3の回転方向の上流側の吸引口の吸引力を前記所定量大きくするように調整弁11を制御する。
【0096】
(作用)
次に、図23及び図24を参照して、上記のように構成された集塵装置の作用について説明する。
【0097】
負圧源が稼働すると、取得部13Aが走行情報を取得し、制御部13Bが上流側の吸引口の吸引力を下流側の吸引口の吸引力よりも大きくする。すなわち、図23に示すように、車輪3の回転方向が図中上から下の場合には、制輪子2の上が上流で、下が下流となる。制御部13Bは、第1吸引口51Aの吸引力を所定量小さくし、第2吸引口51Bの吸引力を所定量大きくする。調整弁11は、第1配管10Aの流量を所定量小さくすることで、第2配管10Bの流量を所定量大きくする。図24に示すように、車輪3の回転方向が図中下から上の場合には、制輪子2の上が下流で、下が上流となる。制御部13Bは、第1吸引口51Aの吸引力を所定量大きくし、第2吸引口51Bの吸引力を所定量小さくする。調整弁11は、第2配管10Bの流量を所定量小さくすることで、第1配管10Aの流量を所定量大きくする。
【0098】
第1集塵部50A及び第2集塵部50Bは、摩耗粉を吸引する。第1吸引口51A及び第2吸引口51Bの近傍に位置する摩耗粉が吸引される。そして、第1吸引口51Aに吸引された摩耗粉は、第1流路52A及び第1配管10Aを通過して回収される。第2吸引口51Bに吸引された摩耗粉は、第2流路52B及び第2配管10Bを通過して回収される。
【0099】
次に、第7実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1-1)~(1-3)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(7-1)車輪3の回転方向に応じて、調整弁11が車輪3の回転方向の下流の吸引力を増やし、車輪3の回転方向の上流の吸引力をその分減らす。このため、車輪3の回転方向が変わったとしても、車輪3の回転方向の下流に多く存在する摩耗粉を効率よく吸引することができる。
【0100】
(第8実施形態)
以下、図25を参照して、ユニットブレーキ装置の制輪子取付構造の第8実施形態について説明する。この実施形態の集塵部は、調整弁が各配管に設けられている点が上記第7実施形態と異なっている。以下、第7実施形態との相違点を中心に説明する。
【0101】
図25に示すように、第1集塵部50A及び第2集塵部50Bは、第1調整弁15A及び第2調整弁15B、取得部13Aと、制御部13Bと、を有する。第1調整弁15Aは、負圧源と接続されるとともに、第1配管10Aと接続されている。第1調整弁15Aは、シューヘッド37の上部に設けられる第1吸引口51Aの吸引力を調整する。第2調整弁15Bは、負圧源と接続されるとともに、第2配管10Bと接続されている。第2調整弁15Bは、シューヘッド37の下部に設けられる第2吸引口51Bの吸引力を調整する。
【0102】
(作用)
次に、図25を参照して、上記のように構成された集塵装置の作用について説明する。
負圧源が稼働すると、取得部13Aが走行情報を取得し、制御部13Bが下流側の吸引口の吸引力を上流側の吸引口の吸引力よりも大きくする。すなわち、第1調整弁15Aと第2調整弁15Bのうち下流側の調整弁は、流量を所定量大きくする。第1調整弁15Aと第2調整弁15Bのうち上流側の調整弁は、流量を所定量小さくする。
【0103】
次に、第8実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1-1)~(1-3)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(8-1)車輪3の回転方向に応じて、第1調整弁15A及び第2調整弁15Bが車輪3の回転方向の上流の吸引力を減らし、車輪3の回転方向の下流の吸引力をその分増やす。このため、車輪3の回転方向が変わったとしても、車輪3の回転方向の下流に多く存在する摩耗粉を効率よく吸引することができる。
【0104】
(第9実施形態)
以下、図26を参照して、集塵装置の第9実施形態について説明する。
鉄道車両の台車には、車輪やブレーキ装置等の種々の装置が設けられる。このため、集塵装置の配管を設置するスペースが限られる。
【0105】
図26に示すように、車輪3を有する台車100は、軌道方向に延びる側梁101と、軌道と直交する横梁102と、を備える。横梁102には、各車輪3を制動するユニットブレーキ装置1がそれぞれ固定されている。ユニットブレーキ装置1のシューヘッド37に取り付けられる制輪子2が車輪3の踏面3Aに押し付けられる。よって、制輪子2が押し付けられることで摩耗粉が生じる。
【0106】
摩耗粉を吸引するために、台車100に集塵装置が設けられる。集塵装置は、負圧源に接続される第1配管103、第2配管104、第3配管105、第4配管106を備える。第1配管103及び第2配管104は、図中右側の側梁101の内部に設けられる。第3配管105及び第4配管106は、図中左側の側梁101の内部に設けられる。第1配管103の第1吸引口103Aは、側梁101から突出して、図中右上の制輪子2の近傍に位置する。第2配管104の第2吸引口104Aは、側梁101から突出して、図中右下の制輪子2の近傍に位置する。第3配管105の第3吸引口105Aは、側梁101から突出して、図中左上の制輪子2の近傍に位置する。第4配管106の第4吸引口106Aは、側梁101から突出して、図中左下の制輪子2の近傍に位置する。
【0107】
(作用)
次に、図26を参照して、上記のように構成された集塵装置の作用について説明する。
負圧源が稼働すると、第1配管103、第2配管104、第3配管105、第4配管106は、摩耗粉を吸引する。各吸引口の近傍に位置する摩耗粉が吸引される。そして、吸引された摩耗粉は、第1配管103、第2配管104、第3配管105、第4配管106をそれぞれ通過して回収される。
【0108】
次に、第9実施形態の効果について説明する。
(9-1)負圧源に接続される第1配管103、第2配管104、第3配管105、第4配管106が台車100の側梁101の内部に設けられる。このため、配管によるスペースの利用を低減することができる。
【0109】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0110】
・上記第3実施形態において、切替部として走行風で切り換わる第1弁73Aと第2弁73Bとを備えた。しかしながら、鉄道車両の走行情報を取得して、走行情報に応じて制御部が開口部の開閉を切り替えるようにしてもよい。
【0111】
・上記第4実施形態において、第1配管10Aを2個設けたが、第1配管10Aを1個にしてもよい。同様に、第2配管10Bを2個設けたが、第2配管10Bを1個にしてもよい。
【0112】
・上記第4実施形態において、第1集塵部80Aの第1吸引口81Aの幅及び第2集塵部80Bの第2吸引口81Bの幅を制輪子2の幅よりも長くした。しかしながら、第1集塵部80Aの第1吸引口81Aの幅及び第2集塵部80Bの第2吸引口81Bの幅を制輪子2の幅と同じ、又は制輪子2の幅よりも短くしてもよい。
【0113】
・上記各実施形態において、集塵部が有する吸引口を集塵部が設けられた鉄道車両の外側に向かって開口してもよい。このような構成によれば、鉄道車両が軌道上のどちらに向かって走行していても、軌道外に飛んでいく摩耗粉を集塵することができる。
【0114】
・上記各実施形態において、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成することができるように構成されていればよい。
【0115】
・上記各実施形態において、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部又は全部を集約して設けても良く、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部又は全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成することができるように構成されていればよい。
【0116】
次に、上記各実施形態及び変更例から把握することができる技術的思想をその効果と共に記載する。
(A)車輪を有する台車の梁の内部に設けられ、負圧源に接続される配管を備え、前記配管の吸引口は、前記梁から突出して、ブレーキシリンダによって駆動される制輪子の近傍に位置する集塵装置。
【0117】
上記構成によれば、負圧源に接続される配管が台車の梁の内部に設けられる。このため、配管によるスペースの利用を低減することができる。
【符号の説明】
【0118】
1…ユニットブレーキ装置
2…制輪子
3…車輪
3A…踏面
3B…フランジ
10A…第1配管
10B…第2配管
11…調整弁
13…制御装置
13A…取得部
13B…制御部
15A…第1調整弁
15B…第2調整弁
20…空気ブレーキシリンダ
20A…供給口
21…シリンダ
21A…作動室
22…緩めばね
23…ピストン
23A…連結ピン
30…伝達駆動部
31…本体
31A…保持部
31B…連結ピン
32…ブレーキ梃子
32A…球面貫通孔
33…支軸
34…球面軸受
35…さや棒
36…押棒
36A…連結ピン
37…シューヘッド
37A…凹部
38…ハンガー
39…手動調整ナット
41…摩擦材
41A…複合材
41B…金属ブロック
42…台金
43…台板
44…取付板
45…止め板
46…シューコッタ
47…ロック部
47A…回転軸
48…シューコッタ
50A…第1集塵部
50B…第2集塵部
51A…第1吸引口
51B…第2吸引口
52A…第1流路
52B…第2流路
53A…第1貫通孔
53B…第2貫通孔
54A…第1配管接続口
54B…第2配管接続口
60A…第1集塵部
60B…第2集塵部
61A…第1吸引口
61B…第2吸引口
62A…第1支持部
62B…第2支持部
70A…第1集塵部
70B…第2集塵部
71A…第1正面側開口部
71B…第2正面側開口部
72A…第1背面側開口部
72B…第2背面側開口部
73A…第1弁(切替部)
73B…第2弁(切替部)
74A…第1支持部
74B…第2支持部
80A…第1集塵部
80B…第2集塵部
81A…第1吸引口
81B…第2吸引口
82A…第1支持部
82B…第2支持部
90A…第1集塵部
90B…第2集塵部
91A…第1吸引口
91B…第2吸引口
92A…第1流路
92B…第2流路
93A…第1貫通孔
93B…第2貫通孔
94A…第1配管接続口
94B…第2配管接続口
100…台車
101…側梁
102…横梁
103…第1配管
103A…第1吸引口
104…第2配管
104A…第2吸引口
105…第3配管
105A…第3吸引口
106…第4配管
106A…第4吸引口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
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図25
図26