(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008590
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】床パネル
(51)【国際特許分類】
E04F 15/024 20060101AFI20250109BHJP
E04F 15/18 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
E04F15/024 601F
E04F15/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110870
(22)【出願日】2023-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 秀行
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA09
2E220AA29
2E220AA51
2E220AA57
2E220AB08
2E220AC03
2E220BA15
2E220BA30
2E220BC06
2E220FA13
2E220GA25X
2E220GB43X
(57)【要約】
【課題】本発明は、所望の位置に用途に合わせた設備部を設けることができる。
【解決手段】床パネル本体2と、床パネル本体2に形成された開口部21に着脱可能な空調設備部(設備部)3と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床パネル本体と、
前記床パネル本体に形成された開口部に着脱可能な設備部と、を有する床パネル。
【請求項2】
前記設備部は、
上下方向に貫通する吹出孔が形成された空調用床パネルと、
前記空調用床パネルの下方に取り付けられて前記吹出孔を介して前記空調用床パネルの上方に空気を送風する送風機と、を有する請求項1に記載の床パネル。
【請求項3】
前記床パネル本体は、上下方向から見た平面視形状が正方形である請求項1または2に記載の床パネル。
【請求項4】
平面視において、前記開口部の中心は、前記床パネル本体の平面形状の中心とずれた位置に配置されている請求項3に記載の床パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
床吹き出し式の空調システムでは、二重床で形成された床下空間をチャンバーとして利用し、床材に設けられた吹出孔を介して床下空間の空気を室内に供給している(例えば、特許文献1および2参照)。また、床下空間を配線スペースとして利用し、床材にフロアコンセントを設けることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-302971号公報
【特許文献2】特開平11-247418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
床材に床吹き出し式の空調システムの吹出孔や、フロアコンセントなどの設備部を設ける場合、所望の位置に用途に合わせた設備部が設けられることが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、所望の位置に用途に合わせた設備部を設けることができる床パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る床パネルは、床パネル本体と、前記床パネル本体に形成された開口部に着脱可能な設備部と、を有する。
【0007】
本発明では、設備部が床パネル本体に形成された開口部に着脱可能であることにより、所望の位置に配置された開口部に用途に合わせた設備部を設けることができる。
床パネルに、設備部の機能を付加できる。設備部は、床パネル本体から取り外せるため、メンテナンスや交換作業を容易にできる。
【0008】
また、本発明に係る床パネルでは、前記設備部は、上下方向に貫通する吹出孔が形成された空調用床パネルと、前記空調用床パネルの下方に取り付けられて前記吹出孔を介して前記空調用床パネルの上方に空気を送風する送風機と、を有していてもよい。
【0009】
このような構成の床パネルを、床吹き出し式の空調システムに採用することにより、床パネルの下方の床下空間の空気を上方の室内に効率よく供給できる。設備部を所望の位置に配置された開口部に設け、送風機の送風量を調整することにより、床パネルの上方の室内をより快適な空調空間にすることができる。
【0010】
また、本発明に係る床パネルでは、前記床パネル本体は、上下方向から見た平面視形状が正方形であってもよい。
【0011】
このような構成とすることにより、複数の床パネルを配列する場合に、鉛直軸周りに90°回転させて向きを変えても、配列できる。
【0012】
また、本発明に係る床パネルでは、平面視において、前記開口部の中心は、前記床パネル本体の平面形状の中心とずれた位置に配置されていてもよい。
【0013】
このような構成とすることにより、床パネルを鉛直軸周りに90°ずつ回転させることにより、開口部すなわち設備部の位置を異なる位置に配置できる。複数の床パネルを配列する場合に、鉛直軸周りに90°ずつ回転させることにより、設備部の位置を調整できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、所望の位置に用途に合わせた設備部を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態による床パネルが敷設された床部の平面図である。
【
図7】設備部が集約された床パネルの配列を示す図である。
【
図8】設備部が離れて配置された床パネルの配列を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態による床パネルについて、
図1-
図12に基づいて説明する。
図1および
図2に示すように、本実施形態による床パネル1は、建物の床部に複数敷設される。床パネル1の上面は、仕上げ面である。床パネル1は、上下方向から見た平面視形状が略正方形である。床パネル1は、床スラブ11(
図2参照)の上に設置された支持部材12の上に設置されている。床パネル1は、床スラブ11の上方に間隔をあけて配置されている。床パネル1は、二重床を形成している。床パネル1と床スラブ11との間の空間を床下空間13(
図2参照)と表記する。
本実施形態では、床下空間13は、床吹き出し式の空調システムのチャンバーとして使用されている。床パネル1には、下方の床下空間13の空気を上方の室内14(
図2参照)に吹出すための吹出孔35が複数設けられている。
【0017】
床パネル1は、床パネル本体2と、空調設備部3(設備部)と、を有する。床パネル本体2は、板状に形成されている。床パネル本体2には、上下方向に貫通する開口部21が形成されている。空調設備部3は、床パネル本体2の開口部21にはめ込まれている。空調設備部3は、床下空間13の空気を床パネル1の上方の室内14に送風する。
【0018】
図3および
図4に示すように、床パネル本体2の平面視形状は、略正方形である。床パネル本体2は、木製である。床パネル本体2は、例えば、一辺が600mm程度の正方形に形成されている。床パネル本体2の外縁部が支持部材12の上に載置されている。開口部21の平面視形状は、略正方形である。開口部21は、例えば、一辺が200mm程度の正方形に形成されている。開口部21の中心21aは、床パネル本体2の中心2a(床パネル1の中心)とずれた位置に配置されている。開口部21は、床パネル本体2の4つの角部のうちの1つの角部近傍に設けられている。開口部21は、平面視形状において床パネル本体2を4等分したうちの1つの領域に配置されている。床パネル本体2には、開口部21の縁部に沿って上下方向(厚さ方向)の下側部分に開口部21の内側に突出する突出部22が形成されている。床パネル本体2の上面は、床部に仕上げ面になる。
【0019】
図5および
図6に示すように、空調設備部3は、空調用床パネル31と、送風機32と、支持軸33と、チャンバーボックス36と、を有する。空調用床パネル31は、床パネル本体2の開口部21にはめ込まれるパネルである。送風機32は、床下空間13の空気を床パネル1の上方の室内14に送風する軸流ファンである。支持軸33は、空調用床パネル31の下面に取り付けられ、送風機32を支持する。チャンバーボックス36は、空調用床パネル31下面に取り付けられチャンバーを形成する。
【0020】
空調用床パネル31は、木製である。空調用床パネル31は、平板状に形成されている。空調用床パネル31の上面は、床部の仕上げ面になる。空調用床パネル31の平面視形状は、開口部21の平面視形状に対応する略正方形である。空調用床パネル31の外縁部には、上下方向(厚さ方向)の上側部分に下側部分よりも外方に突出する突出部34が形成されている。空調用床パネル31が床パネル本体2の開口部21(
図3および
図4参照)にはめ込まれると、空調用床パネル31の突出部34が床パネル本体2の突出部22(
図3および
図4参照)の上に載置される。
【0021】
空調用床パネル31には、上下方向に貫通する吹出孔35が複数形成されている。本実施形態では、複数の吹出孔35は、空調用床パネル31の平面視形状の中心を中心とした複数の同心円を描くように配列されている。
【0022】
支持軸33は、上下方向に延びる棒状の部材である。支持軸33は、空調用床パネル31の下面における中心位置に下方に延びるように固定されている。支持軸33には、送風機32の軸部321が取り付けられる。空調用床パネル31の吹出孔35は、支持軸33と干渉しない位置に形成されていとともに、送風機32の羽322の上方となる位置に形成されている。送風機32には、床下空間13に設けられた電気配線から電源が供給されている。送風機32には、駆動・停止の信号や、風量の信号を受信する受信部が設けられている。送風機32が駆動すると、空調用床パネル31の吹出孔35を介して床下空間13の空気が室内14に吹出される。
【0023】
上述しているように、床パネル本体2の開口部21は、床パネル本体2の中心2aとずれた位置に配置されている。これにより、開口部21にはめ込まれる空調設備部3は、その中心3aが床パネル本体2の中心2aとずれた位置に配置されている。空調設備部3は、床パネル本体2の開口部21に着脱可能である。
【0024】
複数の床パネル1は、それぞれの外縁部が接触するように直交する2つの水平方向に沿って配列されている。床パネル1の平面視形状は正方形であるため、床パネル1を鉛直軸周りに90°ずつ回転させた状態でも回転させていない床パネル1と上記の2つの方向に配列できる。空調設備部3は、中心3aが床パネル本体2の中心2aとずれた位置に配置されていることにより、床パネル1を鉛直軸周りに90°ずつ回転させると、床パネル本体2の中心2aに対する空調設備部3の位置を変えることができる。
【0025】
図1に示すように、配列する床パネル1を同じ向きに配置するとそれぞれの空調設備部3を等間隔に配置できる。
図7に示すように、配列する床パネル1の向きを変え、それぞれの空調設備部3を集約すると、各床パネル1の送風機32および複数の吹出孔35が集約される。これにより、床下空間13の空気を室内14に集中的に吹出させることができる。
図8に示すように、配列する床パネル1の向きを変え、それぞれ空調設備部3を離した状態に配置すると、各床パネル1の送風機32および複数の吹出孔35が離れて配置される。これにより、床下空間13の空気を室内14に拡散的に吹出させることができる。
【0026】
本実施形態による床パネル1は、空調設備部3に代わって
図9および
図10に示す配線設備部4を取り付けることができる。配線設備部4は、配線用床パネル41と、配線接続ユニット42と、を有する。配線用床パネル41は、床パネル本体2の開口部21にはめ込まれるパネルである。配線用床パネル41は、空調用床パネル31と同様の上面が仕上げ面となる木製の板状の部材である。配線用床パネル41には、空調用床パネル31の複数の吹出孔35に代わって、配線接続ユニット42が取り付けられる開口部43が形成されている。配線接続ユニット42には、コンセントや、無線LANの差し込み口などが設けられている。配線接続ユニット42のコンセントや、無線LANの差し込み口は、室内14から使用可能である。配線接続ユニット42には、コンセントや、無線LANの差し込み口を開閉するための蓋が設けられていてもよい。配線接続ユニット42には、床下空間13に設けられた配線が接続されている。
【0027】
本実施形態による床パネル1は、空調設備部3や配線設備部4に代わって、
図11および
図12に示す蓋部材5(設備部)を取り付けることができる。蓋部材5は、床パネル本体2の開口部21にはめ込まれ、開口部21を塞ぐことができる。開口部21は、空調用床パネル31や配線用床パネル41と同様の上面が仕上げ面となる木製の板状の部材である。室内14の用途やレイアウトに合わせて、床パネル1に送風機32や配線接続ユニット42などを設ける必要がない場合に、開口部21を蓋部材5で塞ぐようにしてもよい。
配線設備部4および蓋部材5(設備部)も、空調設備部3と同様に、床パネル本体2の開口部21に着脱可能に構成されている。床パネル本体2の開口部21には、室内14の用途やレイアウトに合わせて、空調設備部3、配線設備部4および蓋部材5のいずれかを選択して設置するようにしてもよい。
【0028】
次に、本実施形態による床パネルの作用・効果について説明する
本実施形態による床パネル1は、設備部6(空調設備部3、配線設備部4および蓋部材5のいずれか)が床パネル本体2に形成された開口部21に着脱可能であることにより、所望の位置に配置された開口部21に用途に合わせた設備部6を設けることができる。
床パネルに、設備部の機能を付加できる。空調設備部3の送風機32は、汎用ファンを使用することによって、安価に空調設備部3を製作することができる。これにより、床吹き出し式の空調システムを安価に、かつ容易に導入できる。複数の床パネル1を敷設することによって、床吹き出し式の空調システムの設備となる送風機32も設置できるため、送風機32の設置が容易である。
設備部6は、床パネル本体2から取り外せるため、メンテナンスや交換作業を容易にできる。
【0029】
本実施形態では、空調設備部3は、上下方向に貫通する複数の吹出孔35が形成された空調用床パネル31と、空調用床パネル31の下方に取り付けられて複数の吹出孔35を介し空調用床パネル31の上方に空気を送風する送風機32と、を有している。
このような空調設備部3が設けられた床パネル1を、床吹き出し式の空調システムに採用することにより、床パネル1の下方の床下空間13の空気を上方の室内14に効率よく供給できる。空調設備部3を所望の位置に配置された開口部21に設け、送風機32の送風量を調整することにより、室内14をより快適な空間にすることができる。
【0030】
本実施形態では、床パネル本体2は、平面形状が略正方形である。このような構成とすることにより、複数の床パネル1を配列する場合に、鉛直軸周りに90°回転させて向きを変えても、配列できる。
【0031】
本実施形態では、平面視において、床パネル本体2の開口部21の中心21aは、床パネル本体2の中心2aとずれた位置に配置されている。このような構成とすることにより、床パネル1を鉛直軸周りに90°ずつ回転させることにより、開口部21すなわち設備部6の位置を異なる位置に配置できる。複数の床パネル1を配列する場合に、鉛直軸周りに90°ずつ回転させることにより、設備部6の位置を調整できる。
【0032】
以上、本発明による床パネルの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、設備部6は、送風機32を有する空調設備部3、配線接続ユニット42を有する配線設備部4や蓋部材5であるが、送風機32や配線接続ユニット42以外の設備機器を有し、所望の機能を有する設備部であってもよい。空調設備部3以外の設備部を有する床パネル1を、床吹き出し式の空調システムを導入しない床部に設けるようにしてもよい。
上記の実施形態では、床パネル1の床パネル本体2には、空調設備部3、配線設備部4および蓋部材5のうちの選択した1つの設備部6を設けているが、敷設される複数の床パネル1それぞれに設けられる設備部6は、同一の設備部6であってもよい。
【0033】
上記の実施形態では、空調用床パネル31に形成された複数の吹出孔35は、空調用床パネル31の平面視形状の中心を中心とした複数の同心円を描くように配列されているが、適宜配列されていてもよい。吹出孔35は、丸孔であってもよいし、長孔やスリットであってもよい。空調用床パネル31に形成される吹出孔35の配置や形状は、空調用床パネル31毎に異なっていてもよい。
【0034】
上記の実施形態では、送風機32は、空調用床パネル31の下面に固定された支持軸33に支持されているが、支持軸33以外の部材に支持されていてもよい。
【0035】
上記の実施形態では、床パネル本体2は、平面形状が略正方形であるが、正方形以外であってもよい。
上記の実施形態では、平面視において床パネル本体2の開口部21の中心21aは、床パネル本体2の中心2aとずれた位置に配置されているが、床パネル本体2の中心2aと重なる位置に配置されていてもよい。
【0036】
上記の実施形態では、床パネル本体2、空調設備部3の空調用床パネル31、配線設備部4の配線用床パネル41および蓋部材5は、木製であるが、木製以外であってもよい。なお、床パネル本体2、空調設備部3の空調用床パネル31、配線設備部4の配線用床パネル41および蓋部材5は、木製であると、製作時の加工が容易である。また、床パネル本体2、空調設備部3の空調用床パネル31、配線設備部4の配線用床パネル41および蓋部材5の上面を、製作時に仕上げ面として制作することにより、現場における床仕上げ工事が不要となり、工期短縮を図ることができる。
【0037】
2015年9月の国連サミットにおいて採択された17の国際目標として「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」がある。
本実施形態に係る床パネルは、このSDGsの17の目標のうち、例えば「11.住み続けられるまちづくりを」の目標などの達成に貢献し得る。
【符号の説明】
【0038】
1 床パネル
2 床パネル本体
2a 中心
3 空調設備部(設備部)
3a 中心
4 配線設備部(設備部)
5 蓋部材(設備部)
6 設備部
21 開口部
21a 中心
31 空調用床パネル
32 送風機
41 配線用床パネル