(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008622
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】レジスタ
(51)【国際特許分類】
B60H 1/34 20060101AFI20250109BHJP
F24F 13/15 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B60H1/34 611B
B60H1/34 611C
F24F13/15 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110937
(22)【出願日】2023-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】308016242
【氏名又は名称】豊和化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188765
【弁理士】
【氏名又は名称】赤座 泰輔
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 康文
(72)【発明者】
【氏名】金田 健太郎
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081AA02
3L081AB02
3L081FA04
3L081FB05
3L081FC01
3L081HA08
3L211BA57
3L211DA14
3L211DA95
(57)【要約】
【課題】意匠性を向上させるとともに、空調性能への影響を低減させることができるレジスタを提供する。
【解決手段】レジスタ1は、調整された空気が流れるリテーナ2内の通風路2aの下流側端部に、左右方向(長手方向)に長く上下方向(短手方向)に短い細長の空気吹出口61が設けられ、通風路2a内に、風向等を調整するための上下に傾動するバレル3と左右に傾動する後フィン50を備える可動ルーバ5とが前後に配設される。バレル3は、前後方向に導風路3aが設けられた枠体であり、短手方向の両端側に並んだ2本の長手方向のブレード30と、長手方向の両端側に並んだ2つの短手方向の側壁31と、から形成される。バレル3内の短手方向に、ブレード30同士を連結する連結フレーム43が設けられ、連結フレーム43の前側に、バレル3と可動ルーバ5を傾動させて空気の吹出方向を調整する操作ノブ4が備えられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通風路の下流側端部に、長手方向に長く短手方向に短い細長の空気吹出口が設けられ、該通風路内に、下流側から、該空気吹出口の短手方向に傾動可能なバレルと、長手方向に傾動可能な後フィンを備える可動ルーバと、が前後に配設された、レジスタにおいて、
該バレルは、前後方向に導風路が設けられた枠体であり、短手方向の両端側に並んだ2本の長手方向のブレードと、長手方向の両端側に並んだ2つの短手方向の側壁と、から形成され、
該バレル内の短手方向に、該ブレード同士を連結する連結フレームが設けられ、該連結フレームの前側に、該バレルと該可動ルーバを傾動させて空気の吹出方向を調整する操作ノブが備えられている、ことを特徴とするレジスタ。
【請求項2】
前記操作ノブは、上流側に、前記可動ルーバを傾動させる操作軸部が備えられ、
前記連結フレームに、ノブ支持部が長手方向に長く設けられるとともに、該ノブ支持部に長手方向に長く開口した細長開口が設けられ、該操作ノブは、該細長開口に長手方向に摺動可能に装入され、
該可動ルーバは、前記後フィンの1本に、該操作軸部が連係される連係部が設けられ、
該操作ノブの該操作軸部が該連係部に連係し、該操作ノブを長手方向に摺動させたとき、該可動ルーバの該後フィンの向きが長手方向に調整される、ことを特徴とする請求項1に記載のレジスタ。
【請求項3】
前記操作ノブは、前側から前記細長開口を覆い隠して設けられた、ことを特徴とする請求項2に記載のレジスタ。
【請求項4】
前記ブレードの内側面に、前後方向に断面円弧状に凹んだ凹部が形成された、ことを特徴とする請求項1に記載のレジスタ。
【請求項5】
前記連結フレームは、前記可動ルーバがニュートラル状態のとき、前記後フィンの1本と前後方向に重なる位置に配置された、ことを特徴とする請求項1に記載のレジスタ。
【請求項6】
前記バレルを形成する前記枠体は、前枠部材と後枠部材とから構成され、前後に接合され、
前記連結フレームは、両端部にT字状の固定部がそれぞれ設けられ、
該固定部が、該前枠部材と該後枠部材とに挟持されて組み付けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のレジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載のレジスタの技術分野は、自動車室内等の換気や空調の空気吹出口に使用されるレジスタにおいて、リテーナの通風路内にバレルと可動ルーバが前後して配設されたレジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
車両室内の空気吹出調整用レジスタとして、通風路を形成するリテーナ内に、バレルと可動ルーバが前後して配設され、空気吹出口から空気を吹き出す際、バレルのブレード、可動ルーバの後フィンの角度を変えて、空気の吹出し方向を上下左右に調整するレジスタが、広く使用されている。この種のレジスタとして、下記特許文献1に、長手方向に長く短手方向に短い細長の空気吹出口を有するレジスタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された従来のレジスタは、バレルに長手方向のブレードが短手方向に3枚並べられ、真ん中の1枚は空気吹出口の中心を横切り、中心を横切るブレードに、バレルと可動ルーバの後フィンの角度を操作する操作ノブが備えられている。このため、従来のレジスタは、空気吹出口の中心を横切るブレードによって、意匠性が損なわれるとともに、圧力損失の増加など、空調性能に与える影響が大きいという課題があった。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、意匠性を向上させるとともに、空調性能への影響を低減させることができるレジスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書の実施形態に係るレジスタは、通風路の下流側端部に、長手方向に長く短手方向に短い細長の空気吹出口が設けられ、該通風路内に、下流側から、該空気吹出口の短手方向に傾動可能なバレルと、長手方向に傾動可能な後フィンを備える可動ルーバと、が前後に配設された、レジスタにおいて、
該バレルは、前後方向に導風路が設けられた枠体であり、短手方向の両端側に並んだ2本の長手方向のブレードと、長手方向の両端側に並んだ2つの短手方向の側壁と、から形成され、
該バレル内の短手方向に、該ブレード同士を連結する連結フレームが設けられ、該連結フレームの前側に、該バレルと該可動ルーバを傾動させて空気の吹出方向を調整する操作ノブが備えられている、ことを特徴とする。
【0007】
ここで、レジスタの前後は、調整された空気が車両室内に流れる下流側が前、調整された空気が導入される上流側が後を示す。本明細書の実施形態に係るレジスタによれば、バレルは導風路が設けられた枠体で形成され、操作ノブがバレルの枠体内の短手方向を連結する連結フレームの前側に備えられている。このため、車室内側の操作者から見ると、後側の連結フレームは後方に隠れ、操作ノブは、バレルの枠体の中に浮いているように見え、意匠性を向上させることができる。また、バレルの導風路内には、操作ノブが備えられた連結フレームのみが設けられているため、空調性能への影響を低減させることができる。
【0008】
ここで、上記レジスタにおいて、前記操作ノブは、上流側に、前記可動ルーバを傾動させる操作軸部が備えられ、
前記連結フレームに、ノブ支持部が長手方向に長く設けられるとともに、該ノブ支持部に長手方向に長く開口した細長開口が設けられ、該操作ノブは、該細長開口に長手方向に摺動可能に装入され、
該可動ルーバは、前記後フィンの1本に、該操作軸部が連係される連係部が設けられ、
該操作ノブの該操作軸部が該連係部に連係し、該操作ノブを長手方向に摺動させたとき、該可動ルーバの該後フィンの向きが長手方向に調整される、構成とすることができる。
【0009】
これによれば、操作ノブの操作軸部が可動ルーバの連係部に連係し、操作ノブを長手方向に摺動させたとき、可動ルーバの後フィンの向きを長手方向に調整することができる。
【0010】
また、上記レジスタにおいて、前記操作ノブは、前側から前記細長開口を覆い隠して設けられた、構成とすることができる。
【0011】
これによれば、操作ノブが前側から細長開口を覆い隠すため、意匠性を向上させることができる。
【0012】
また、上記レジスタにおいて、前記ブレードの内側面に、前後方向に断面円弧状に凹んだ凹部が形成された、構成とすることができる。
【0013】
これによれば、空気吹出口に対して、バレルを短手方向に傾動させた際の送風の指向性を向上させることができる。
【0014】
また、上記レジスタにおいて、前記連結フレームは、前記可動ルーバがニュートラル状態のとき、前記後フィンの1本と前後方向に重なる位置に配置された、構成とすることができる。
【0015】
これによれば、前側から見て、連結フレームが後フィンの1本と重なるため、意匠性を向上させることができる。
【0016】
また、上記レジスタにおいて、前記バレルを形成する前記枠体は、前枠部材と後枠部材とから構成され、前後に接合され、
前記連結フレームは、両端部にT字状の固定部がそれぞれ設けられ、
該固定部が、該前枠部材と該後枠部材とに挟持されて組み付けられる、構成とすることができる。
【0017】
これによれば、連結フレームを容易にバレルに組み付けることができる。
【発明の効果】
【0018】
本明細書のレジスタによれば、操作ノブがバレルの枠体の中に浮いているように見えるため、意匠性を向上させることができ、バレルの導風路内には、操作ノブが備えられた連結フレームのみが設けられているため、空調性能への影響を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図4】同レジスタのバレルの正面図(A)、その平面図(B)、その正面斜視図(C)、その背面斜視図(D)である。
【
図5】同バレルの連結フレームと操作ノブの正面図(A)、その平面図(B)、その正面斜視図(C)、その背面斜視図(D)である。
【
図6】同連結フレームと操作ノブの分解斜視図である。
【
図7】同レジスタの可動ルーバの正面図(A)、その平面図(B)、その正面斜視図(C)、その背面斜視図(D)である。
【
図8】可動ルーバの状態を示す
図1のVIII-VIII線断面図であり、(A)はニュートラル状態の断面図、(B)は可動ルーバを右に振った状態の断面図、(C)は可動ルーバを左に目一杯回動させて送風をシャットアウトさせた状態の断面図である。
【
図9】バレルの状態を示す
図1のIX-IX線断面図であり、(A)はニュートラル状態の断面図、(B)はバレルを上に振った状態の断面図、(C)はバレルを下に振った状態の断面図である。
【
図10】バレルのニュートラル状態の
図1のX-X線断面図である。
【
図11】その他の実施形態のバレルを下に振った状態を示す
図1のXI-XI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本明細書の実施形態に係るレジスタを
図1~
図10に基づいて説明する。なお、本発明の範囲は、実施形態で開示される範囲に限定されるものではない。実施形態に係るレジスタ1は、
図1~
図3に示すように、調整された空気が流れるリテーナ2内の通風路2aの下流側端部に、左右方向(長手方向)に長く上下方向(短手方向)に短い細長の空気吹出口61が設けられ、通風路2a内に、風向等を調整するための上下に傾動するバレル3と左右に傾動する後フィン50を備える可動ルーバ5とが前後に配設される。バレル3は、前後方向に導風路3aが設けられた枠体であり、短手方向の両端側に並んだ2本の長手方向のブレード30と、長手方向の両端側に並んだ2つの短手方向の側壁31と、から形成される。バレル3内の短手方向に、ブレード30同士を連結する連結フレーム43が設けられ、連結フレーム43の前側に、バレル3と可動ルーバ5を傾動させて空気の吹出方向を調整する操作ノブ4が備えられている。操作ノブ4を含めたレジスタ1を構成する各々の部品は、黒色系統の合成樹脂から形成される。
【0021】
なお、本明細書において、レジスタ1の向きは、
図2及び
図3に示すように、ベゼル6の空気吹出口61を有する側を前とし、リテーナ2内の通風路2aの空気吸入口22側を後とする。上下左右は、レジスタを前側から見た際の上下左右とし、図示で使用する、Fは前、Bは後、Uは上、Dは下、Lは左、Rは右を示す。また、調整された空気の流れから、前を下流側、後ろを上流側と表現することがある。さらに、リテーナ2内の通風路2a又はバレル3内の導風路3aを基準に、内側又は外側と表現することがある。
【0022】
図2及び
図3に示すように、レジスタの筐体となるリテーナ2は、内側に通風路2aを設けた略角筒状の筐体であり、前側に、ルーバ収容部23が設けられ、ルーバ収容部23内の下流側(前側)に、風向を上下に調整するバレル3が配設され、その上流側(後側)に、風向を左右に調整する可動ルーバ5が配設される。バレル3のブレード30と可動ルーバ5の後フィン50は、直交する方向に配設される。
【0023】
バレル3は、
図4に示すように、前後方向に導風路3aが設けられた枠体から構成され、左右方向(長手方向)のブレード30が上下の両端側にそれぞれ配置され、ブレード30同士が左右の両端側でそれぞれ側壁31によって連結され、枠体を形成する。バレル3は、空気吹出口61の直ぐ内側に配設され、左右それぞれの側壁31には傾動軸31aが設けられ、傾動軸31aによって、ルーバ収容部23に対して、上下方向(短手方向)に傾動可能に軸支される。
【0024】
図9に示すように、ブレード30は、バレル3の内側面(上側のブレード30においては下側面、下側のブレード30においては上側面)となる導風路3a側に、前後方向に断面円弧状に凹んだ凹部34が左右方向(長手方向)に亘って形成されている。これにより、レジスタ1は、バレル3を上下方向(短手方向)に傾動させた際に、導風路3a内を流れる空気が凹部34によって送風方向に誘導されるため、送風の指向性を向上させることができる。
【0025】
図2及び
図4に示すように、バレル3には、左側の上下方向に、上下のブレード30を連結する連結フレーム43が設けられ、連結フレーム43の前側に、バレル3と可動ルーバ5を傾動させて空気の吹出方向を調整する操作ノブ4が備えられる。連結フレーム43には、
図5及び
図6に示すように、ノブ支持部43cが左右方向に長く設けられるとともに、ノブ支持部43cに、左右方向に長く開口した細長開口43aが設けられ、細長開口43aには、操作ノブ4の後方に延設されたフランジ4aが前方から装入される。操作ノブ4(フランジ4a)は、細長開口43aに対して左右に摺動可能に収容される。操作ノブ4は、連結フレーム43の前側に配置され、細長開口43aを前側から覆う。このため、車室内側の操作者から見ると、細長開口43aは操作ノブに覆われ、操作ノブ4の後側に配置された連結フレーム43は、操作ノブ4の後方に隠れて視認し難くなる。このため、操作ノブ4は、
図2に示すように、バレル3の枠体の中に浮いているように見え、レジスタ1の意匠性を向上させることができる。
【0026】
図3に示すように、バレル3を形成する枠体は、前枠部材35と後枠部材36とから構成され、前枠部材35と後枠部材36とが前後に接合されることによって形成される。前枠部材35の後側には複数の係止爪35aが設けられ、後枠部材36の前側には係止爪35aに対応する係止爪受36aが複数設けられ、係止爪35aが係止爪受36aに係止されることによって、前枠部材35と後枠部材36は接合される。前枠部材35の左側の上下のそれぞれと、後枠部材36の左側の上下のそれぞれとに、連結フレーム43を挟持する挟持孔35b、36bがそれぞれ設けられ、連結フレーム43の上下両端部のT字状の固定部43bが挟持孔35b、36bに挟持され、連結フレーム43は、バレル3に挟持されて組み付けられる。
【0027】
操作ノブ4の大きさは、
図5に示すように、縦(上下)の長さが細長開口43aの縦の長さより長く設けられ、横(左右)の長さが細長開口43aの横の長さより長く設けられている。このため、
図8(B)に示すように、操作ノブ4は、細長開口43aに対して、右に最大限スライドさせた際であっても、正面から細長開口43aの左側を覆う。また、
図8(C)に示すように、左に最大限スライドさせた際であっても、正面から細長開口43aの右側を覆う。このため、車室内側の操作者からは、操作ノブ4によって細長開口43aが覆われるため、レジスタ1の意匠性を向上させることができる。
【0028】
操作ノブ4の大きさは、一例として、縦8mm、横50mm、細長開口43aの大きさが、縦6mm、横35mmとすると、操作ノブ4の摺動幅が15mm以下であることにより、細長開口43aは、操作ノブ4を左右に摺動させても、操作ノブ4によって覆われることになる。なお、この一例におけるバレル3の導風路3aの開口の大きさは、縦20mm、横150mmである。
【0029】
図5(D)に示すように、細長開口43aに装入された操作ノブ4は、フランジ4aの後端の嵌入爪受4bが細長開口43aから後方に突出し、嵌入爪受4bにはジョイント部材45が後方に接続される。ジョイント部材45の後方には可動ルーバ5を操作する操作軸部46が接続される(
図4(D))。
【0030】
図6及び
図9に示すように、フランジ4aには荷重付与部材44が内蔵され、フランジ4a(操作ノブ4)が左右に摺動するとき、荷重付与部材44が細長開口43aに当接して、操作ノブ4は、適度な操作荷重が付与されて摺動するとともに、振動などによる誤作動を防止することができる。
【0031】
図6に示すように、ジョイント部材45は、略長方体形状をなし、前方の左右方向中心の上側から下に向けて嵌入爪45bが設けられ、嵌入爪45bの左右のそれぞれに当接爪45cが設けられている。ジョイント部材45の嵌入爪45bは操作ノブ4の嵌入爪受4bに上から嵌入され、当接爪45cが嵌入爪受4bの左右の背面4cに当接することにより、ジョイント部材45は、操作ノブ4の後方に接続される。嵌入爪45bが操作ノブ4の嵌入爪受4bに上から嵌入されることによって、操作ノブ4に接続されるジョイント部材45は、小型化を図ることができ、操作ノブ4から操作軸部46にかけて、省スペース化を図ることができる。
【0032】
ジョイント部材45の後方の左右には、
図5(B)~(D)に示す如く、後方に突出した支持片45aが設けられ、支持片45aは、操作軸部46の前端から左右に伸びる係合軸46aを上下方向に回動可能に挟持する(
図4(D))。係合軸46aは、上下方向に回動できるようにジョイント部材45に挟持されることによって、バレル3が上下に回動操作された場合であっても、
図9に示すように、バレル3に対して上下に回動し、操作軸部46と後述する連係部51との係合が保たれ、操作ノブ4による可動ルーバ5の操作が可能となる。
【0033】
操作ノブ4は操作軸部46介して可動ルーバ5に連係され、操作者は、操作ノブ4に指を当ててバレル3を上下に傾動させるとともに、左右方向にスライドさせて、可動ルーバ5を左右に傾動させることができる。
【0034】
連結フレーム43は、バレル3に対して固定され、
図8(A)に示す如く、ニュートラル状態の可動ルーバ5の左から2本目の後フィン50と、前後方向に重なる位置に配置される。これにより、レジスタ1は、前側から見られた際に、連結フレーム43が後フィン50の1本と重なって見えるため、レジスタ1の意匠性を向上させることができる。
【0035】
可動ルーバ5は、
図7に示すように、上下方向の後フィン50が左右に7本間隔をおいて並んで配置され、各後フィン50は上下に配設した軸受板53(
図3)の軸孔53aに、上下の支軸50aを介して回動可能に軸支される。また、各後フィン50の後方の一端に突設された連結軸50bに、リンクバー52の連結孔52aが連結され、全ての後フィン50が同期してその向きを左右に変え得る構造となっている。
【0036】
可動ルーバ5には、左から2本目の後フィン50の前部に、円環状の連係部51が設けられ、操作ノブ4の後方に接続された操作軸部46が連係部51と係合し、操作ノブ4を左右方向に摺動させたとき、可動ルーバ5の後フィン50の向きが左右に調整される構造となっている。
【0037】
これらにより、操作ノブ4は、その上下の回動操作により、バレル3の向きを上または下に調整し、操作ノブ4の左右方向の摺動操作により、連係部51を介して可動ルーバ5の向きを左または右に調整する。
【0038】
上記構成のレジスタ1は、自動車の車内のインストルメントパネルやダッシュボードの部分に、そのリテーナ2の後端の空気吸入口22を図示しない通風ダクトに接続するようにして装着される。装着時の図示は省略するが、インストルメントパネルやダッシュボードに、上記構成のレジスタの空気吹出口61を設けたベゼル6が嵌着されて装着される。通風ダクトから送られる空気は、リテーナ2内の通風路2aから導風路3aを通り、空気吹出口61から自動車の車室内に吹き出される。
【0039】
バレル3がニュートラル状態のとき、通風路2a内の空気流は、
図9(A)に示すように直進する。バレル3の導風路3a内の左右方向の一部には、操作ノブ4が備えられた連結フレーム43が設けられているため、この部分では、
図9(A)に示すように、操作ノブ4と連結フレーム43の存在によって、空調性能への影響が生じることがある。しかし、導風路3a内の左右方向の大半は、
図10に示す如く、バレル3の導風路3a内に操作ノブ4と連結フレーム43は配置されることなく、空調性能への影響が低減させられたものとなる。
【0040】
空気の吹出向きを上に調整する場合、
図9(B)に示すように、操作ノブ4を上向きに操作すると、連結フレーム43を介して、ブレード30を有するバレル3が上側に傾動し、空気の吹出方向は、上に調整される。空気の吹出向きを下に調整する場合、
図9(C)に示すように、操作ノブ4を下向きに操作すると、連結フレーム43を介して、バレル3が下側に傾動し、空気の吹出方向は、下に調整される。
【0041】
空気の吹出向きを右に調整する場合、
図8(B)に示すように、操作ノブ4を右にスライドすると、操作軸部46、連係部51及びリンクバー52を介して、可動ルーバ5の全ての後フィン50が右に傾動し、空気の吹出方向は、右に調整される。空気の吹出向きを左に調整する場合、操作ノブ4を左にスライドすると、可動ルーバ5の全ての後フィン50が左に傾動し、空気の吹出方向は、左に調整される。操作ノブ4を左に目一杯スライドすると、
図8(C)に示すように、後フィン50が左右に重なって通風路2aを塞ぎ、送風がシャットアウトされる。
【0042】
本明細書の実施形態に係るレジスタ1によれば、バレル3は導風路3aが設けられた枠体で形成され、操作ノブ4がバレル3の枠体内の短手方向を連結する連結フレーム43の前側に備えられている。このため、車室内側の操作者から見ると、後側の連結フレーム43は後方に隠れ、操作ノブ4は、バレル3の枠体の中に浮いているように見え、意匠性を向上させることができる。また、バレル3の導風路3a内には、操作ノブ4が備えられた連結フレーム43のみが設けられているため、空調性能への影響を低減させることができる。
なお、実施形態のレジスタ1は、以下のような形態であってもその実施をすることができる。
【0043】
実施形態のレジスタ1では、バレル3は、枠体として前枠部材35と後枠部材36とを前後に接合させ、別部材の連結フレーム43を上下に挟持させて組み付けたものを使用したが、バレル3を形成する枠体と連結フレーム43とを一体成型させたバレルを用いて実施することもできる。これにより、レジスタ1を構成する部品数を少なくすることができる。
【0044】
また、枠体と連結フレーム43とを一体成型させたバレルを用いる場合に特に適するものであるが、ブレード30の断面円弧状に凹んだ凹部34は、
図11に示すように、滑らかな曲線を描いた断面円弧状に凹んだ凹部34Aを形成することができる。これにより、空気吹出口61に対して、バレル3を短手方向に傾動させた際の送風の指向性をより向上させることができる。
【0045】
実施形態のレジスタ1では、操作ノブ4を含めたレジスタ1を構成する各々の部品は、黒色系統の合成樹脂から形成したが、操作ノブ4には例えば銀メッキなどの他の色彩のメッキや塗装を施すことができる。これにより、操作ノブ4は、バレルの枠体の中に、より浮いているように見え、意匠性をさらに向上させることができる。
【0046】
実施形態のレジスタ1では、バレル3の連結フレーム43は、ニュートラル状態の可動ルーバ5の左から2本目の後フィン50と、前後方向に重ねて並ぶように配置したが、連結フレーム43の配置される位置は、可動ルーバ5の何れかの後フィン50と、前後方向に重なる位置に配置することができる。例えば、連結フレーム43(操作ノブ4)は、レジスタ1の左右方向の中心となる、可動ルーバ5の左から4本目の後フィン50と、前後方向に重ねて並ぶように配置することもできる。
【0047】
実施形態のレジスタ1では、バレル3の連結フレーム43は、ノブ支持部43cの左右方向の略中心に1本設けたが、ノブ支持部43cの左右に2本設けることができる。この場合、2本の連結フレーム43は、ニュートラル状態の後フィン50の左右の隣に並んだ2本と、前後方向に重ねて並ぶように配置することもできる。
【符号の説明】
【0048】
1 レジスタ
2 リテーナ
2a 通風路
3 バレル
3a 導風路
4 操作ノブ
4a フランジ
4b 嵌入爪受
4c 背面
5 可動ルーバ
6 ベゼル
22 空気吸入口
23 ルーバ収容部
30 ブレード
30A ブレード
31 側壁
31a 傾動軸
33 軸受板
33a 軸孔
34 凹部
34A 凹部
35 前枠部材
35a 係止爪
35b 挟持孔
36 後枠部材
36a 係止爪受
36b 挟持孔
43 連結フレーム
43a 細長開口
43b 固定部
43c ノブ支持部
44 荷重付与部材
45 ジョイント部材
45a 支持片
45b 嵌入爪
45c 当接爪
46 操作軸部
46a 係合軸
50 後フィン
50a 支軸
50b 連結軸
51 連係部
52 リンクバー
52a 連結孔
53 軸受板
53a 軸孔
61 空気吹出口