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特開2025-8630殺菌用ユニット、ユニットセット、細胞培養システム及び殺菌方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008630
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】殺菌用ユニット、ユニットセット、細胞培養システム及び殺菌方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20250109BHJP
   A61L 2/16 20060101ALI20250109BHJP
   C12M 3/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A61L2/10
A61L2/16
C12M3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110950
(22)【出願日】2023-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】小川 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】岡本 真一
(72)【発明者】
【氏名】浅井 由季
(72)【発明者】
【氏名】日比野 雄平
(72)【発明者】
【氏名】小松 洋音
(72)【発明者】
【氏名】松澤 貴司
(72)【発明者】
【氏名】坂田 展康
(72)【発明者】
【氏名】原 智宏
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 彰久
(72)【発明者】
【氏名】杉山 茂広
【テーマコード(参考)】
4B029
4C058
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029BB11
4B029DG10
4C058AA25
4C058AA30
4C058BB06
4C058BB07
4C058EE23
4C058JJ22
4C058KK02
4C058KK28
(57)【要約】
【課題】処理効率を向上させることが可能な殺菌用ユニット、ユニットセット、細胞培養システム及び殺菌方法を提供する。
【解決手段】殺菌用ユニットは、水平方向に延びる底面を有するベースプレートと、前記ベースプレートに設けられ、殺菌光及び殺菌薬の少なくとも一方を出射する出射部を有した殺菌装置と、前記殺菌装置を駆動するための電力を供給する電力供給装置と、を備え、前記ベースプレートは、前記底面よりも上方かつ前記出射部よりも下方に設けられて、下方を向く被支持面を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に延びる底面を有するベースプレートと、
前記ベースプレートに設けられ、殺菌光及び殺菌薬の少なくとも一方を出射する出射部を有した殺菌装置と、
前記殺菌装置を駆動するための電力を供給する電力供給装置と、
を備え、
前記ベースプレートは、
前記底面よりも上方かつ前記出射部よりも下方に設けられて、下方を向く被支持面を有する
殺菌用ユニット。
【請求項2】
前記ベースプレートは、
前記底面を有するベースプレート本体と、
前記ベースプレート上に設けられ前記被支持面を有する被支持部と、を備え、
前記殺菌装置は、前記ベースプレート本体上に設置されている
請求項1に記載の殺菌用ユニット。
【請求項3】
前記ベースプレートは、
前記底面を有するベースプレート本体と、
前記ベースプレート本体上に設けられ前記被支持面を有する被支持部と、を備え、
前記被支持部は、
前記ベースプレート本体から上方に向かって延びる複数の縦壁部と、
前記縦壁部の間を渡るように延びて下面が前記被支持面をなす被支持面形成壁部と、を備え、
前記殺菌装置は、前記被支持面形成壁部上に設置されている
請求項1に記載の殺菌用ユニット。
【請求項4】
前記殺菌装置は、前記殺菌光を出射する紫外線照射装置であって、
前記殺菌光を反射する反射板を備える
請求項1に記載の殺菌用ユニット。
【請求項5】
前記ベースプレートは、上下に貫通する貫通孔を有し、
前記殺菌装置は、前記貫通孔を通じて前記ベースプレートよりも下方に前記殺菌光を出射する
請求項1に記載の殺菌用ユニット。
【請求項6】
前記殺菌光を遮る遮蔽板を備える
請求項1に記載の殺菌用ユニット。
【請求項7】
前記出射部よりも下方に設けられ、側方に殺菌光又は殺菌薬を出射する側面殺菌装置を更に備える
請求項1に記載の殺菌用ユニット。
【請求項8】
培養液が収容されるフラスコと、前記フラスコが載置されるフラスコトレイとを有したフラスコユニットと、
請求項1に記載の殺菌用ユニットと、
を備えるユニットセット。
【請求項9】
前記殺菌用ユニットの前記ベースプレートの平面視の輪郭形状は、
前記フラスコトレイの平面視の輪郭形状と同一形状である
請求項8に記載のユニットセット。
【請求項10】
前記フラスコユニットは、
該フラスコユニットの底面よりも上方に、下方を向くフラスコ搬送用被支持面を有する
請求項9に記載のユニットセット。
【請求項11】
請求項8に記載のユニットセットと、
前記フラスコユニットを保管するストッカと、
前記フラスコユニットに分注操作を行う液操作エリアを有するクリーンベンチと、
前記フラスコユニットに収容された培養液内の細胞を増殖させる培養エリアを有するインキュベータと、
前記液操作エリア内に設けられて前記殺菌用ユニット及び前記フラスコユニットを搬送可能な液操作エリア内搬送装置と、
を備える細胞培養システム。
【請求項12】
前記液操作エリア内搬送装置は、
前記被支持面及び前記フラスコユニットのフラスコ搬送用被支持面を下方から支持可能なグリッパを備える
請求項11に記載の細胞培養システム。
【請求項13】
請求項11に記載の細胞培養システムの殺菌方法であって、
殺菌光及び殺菌薬の少なくとも一方を出射している前記殺菌用ユニットを、前記フラスコユニットの搬送ルートと同一の搬送ルートにより搬送する
細胞培養システムの殺菌方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、殺菌用ユニット、ユニットセット、細胞培養システム及び殺菌方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、移動しながら紫外線照射することで、人が接触する可能性のある領域に付着したウイルスや細菌を不活化、除菌する移動式除菌装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-109461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
細胞培養システムのクリーンベンチ等では、紫外線ランプの交換などメンテナンス時にクリーン環境が破壊されるため、その都度、大掛かりな殺菌作業が必要になってしまう。さらに、細胞培養システムのクリーンベンチ等では、作業者のアクセスが困難な場合があり、また特許文献1に記載されているような移動式除菌装置を走行させるスペースを確保することが困難であるため、殺菌作業を行う作業者の負担が増大してしまうという課題がある。
【0005】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、処理効率を向上させることができる殺菌用ユニット、ユニットセット、細胞培養システム及び殺菌方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る殺菌用ユニットは、水平方向に延びる底面を有するベースプレートと、前記ベースプレートに設けられ、殺菌光及び殺菌薬の少なくとも一方を出射する出射部を有した殺菌装置と、前記殺菌装置を駆動するための電力を供給する電力供給装置と、を備え、ベースプレートは、底面よりも上方かつ出射部よりも下方に設けられて、下方を向く被支持面を有する。
【0007】
本開示の一態様に係るユニットセットは、培養液が収容されるフラスコと、前記フラスコが載置されるフラスコトレイとを有したフラスコユニットと、上記殺菌用ユニットと、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る細胞培養システムは、上記ユニットセットと、前記フラスコユニットを保管するストッカと、前記フラスコユニットに分注操作を行う液操作エリアを有するクリーンベンチと、前記フラスコユニットに収容された培養液内の細胞を増殖させる培養エリアを有するインキュベータと、前記液操作エリア内に設けられて前記殺菌用ユニット及び前記フラスコユニットを搬送可能な液操作エリア内搬送装置と、を備える。
【0009】
本開示の一態様に係る細胞培養システムの除菌方法は、上記細胞培養システムの殺菌方法であって、殺菌光及び殺菌薬の少なくとも一方を出射している前記殺菌用ユニットを、前記フラスコユニットの搬送ルートと同一の搬送ルートにより搬送する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の殺菌用ユニット、ユニットセット、細胞培養システム及び殺菌方法によれば、処理効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の第一実施形態に係る細胞培養システムの概略構成を示す模式的な平面図である。
図2】本開示の第一実施形態に係るフラスコユニットの斜視図である。
図3】本開示の第一実施形態に係る殺菌用ユニットの平面図である。
図4】本開示の第一実施形態に係る殺菌用ユニットを図3のIV方向から見た矢視図である。
図5】本開示の第一実施形態に係る細胞培養システムの殺菌方法を示す図1に相当する平面図である。
図6】本開示の第一実施形態の変形例における殺菌用ユニットの側面図である。
図7】本開示の第二実施形態に係る殺菌用ユニットの側面図である。
図8】本開示の第三実施形態に係る殺菌用ユニットを第二方向から見た図である。
図9】本開示の第四実施形態に係る殺菌用ユニットを第二方向から見た図である。
図10】本開示の第五実施形態に係る殺菌用ユニットを第一方向から見た図である。
図11】本開示の第六実施形態に係る殺菌用ユニットを第一方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第一実施形態>
以下、本開示の第一実施形態について図1図5を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の細胞培養システム100は、フラスコユニット1を処理単位として、無人かつ自動での細胞培養や培養後の細胞の分析等を行うシステムである。
【0013】
フラスコユニット1は、複数(本実施形態では例えば2つ)のフラスコ2を有する。フラスコ2内には細胞及び細胞増殖に必要な栄養素等が添加された培地を含む培養液が収容される。
【0014】
<細胞培養システム>
図1に示すように、細胞培養システム100は、ストッカ110、搬入ブース120、インキュベータ130、クリーンベンチ140、パスボックス150、廃液タンク162及び搬送装置170と、ユニットセット180と、を有する。
【0015】
<ストッカ>
ストッカ110は、ユニットセット180を構成する複数のフラスコユニット1を保管するための施設である。ストッカ110は、ストッカ本体111、ラック112、ストッカ第一ドア113及びストッカ第二ドア114を有している。
ストッカ本体111は、内部に倉庫としての保管エリアR1を形成する筐体である。ストッカ本体111は、例えば、アクリル、ガラス等の透明な部材で構成されている。
ラック112は、保管エリアR1内に配置されており、複数のフラスコユニット1を水平方向及び上下方向に並べて保管可能とされている。
【0016】
ストッカ第一ドア113は、外部からストッカ110内にフラスコユニット1等を搬入するためのドアであって、例えば水平方向にスライドすることで開閉可能とされている。
ストッカ第二ドア114は、ストッカ110内のフラスコユニット1をクリーンベンチ140に搬出するためのドアであって、例えば水平方向にスライドすることで開閉可能とされている。
【0017】
<搬入ブース>
搬入ブース120は、外部からストッカ110内に搬入する直前のフラスコユニット1等を一時的に収容するブースである。搬入ブース120は、ブース本体121及び搬入ドア122を有している。
ブース本体121は、ストッカ110に隣接して配置された筐体であって、例えば透明な部材で構成されている。搬入ブース120内の空間は、搬入エリアR2とされており、ストッカ第一ドア113を介して保管エリアR1と連通可能とされている。搬入エリアR2内は、例えば保管エリアR1の雰囲気よりも負圧に管理されている。これにより、ストッカ第一ドア113の開放時に、搬入エリアR2内の空気等が保管エリアR1内に侵入することが抑えられている。
搬入ドア122は、外部から搬入ブース120内にフラスコユニット1等を搬入するためのドアであって、例えば上下にスライドすることで開閉可能とされている。
【0018】
<インキュベータ>
インキュベータ130は、培養液内の細胞を増殖させるための施設である。インキュベータ130は、インキュベータ本体131及び振盪ステージ132を有する。
インキュベータ本体131は、内部に培養エリアR3を形成する筐体である。培養エリアR3は、細胞培養に適した温度・湿度・二酸化炭素濃度に管理されている。インキュベータ本体131は、例えば、断熱材で構成されている。
振盪ステージ132は、フラスコユニット1を振盪させるための装置である。振盪ステージ132は、培養エリアR3内に複数配置されている。複数の振盪ステージ132は、それぞれ複数のフラスコユニット1を保持している。振盪ステージ132は、例えば鉛直軸線回りに偏芯回転することでフラスコユニット1を振盪可能な構成とされている。
【0019】
<クリーンベンチ>
クリーンベンチ140は、フラスコユニット1に対して各種の操作・処理を行うための施設である。クリーンベンチ140は、クリーンベンチ本体141、分注装置143、廃液抜き取り装置145、及びステージ149を有している。
【0020】
クリーンベンチ本体141は、内部に清浄度が高く無菌状態の空間(バイオクリーンルーム)とされた液操作エリアR4を形成する筐体である。クリーン空間内では、上方から下方に向かうダウンフローとして空気が流通・循環している。クリーンベンチ本体141は、例えば、アクリル、ガラス等の透明な部材で構成されている。
【0021】
分注装置143は、クリールーム内に設けられている。分注装置143は、フラスコユニット1への各種の分注操作、その他の処理を行う。
【0022】
廃液抜き取り装置145は、液操作エリアR4内に設けられており、フラスコユニット1のフラスコから不使用となった培養液を廃液として抜き取るための装置である。
ラベリング装置147は、液操作エリアR4内に設けられており、フラスコユニット1のフラスコ又はトレイにラベリングを行うための装置である。
濾過装置148は、液操作エリアR4内に設けられており、培養液に濾過処理を行うための装置である。
ステージ149は、液操作エリアR4内に複数設けられている。ステージ149上には、フラスコユニット1が一時的に静置される。
【0023】
<パスボックス>
パスボックス150は、インキュベータ130とクリーンベンチ140との間に設けられている。パスボックス150は、インキュベータ130とクリーンベンチ140との間でフラスコユニット1を移動させる。パスボックス150は、ボックス本体151、第一ドア152、第二ドア153を有している。
【0024】
ボックス本体151は、インキュベータ本体131とクリーンベンチ本体141とに挟まれるように形成された筐体である。
第一ドア152は、例えば水平方向に開閉することで、ボックス本体151内の空間と培養エリアR3との連通状状態及び非遮断状態を切り替える。
第二ドア153は、例えば水平方向に開閉することで、ボックス本体151内の空間と液操作エリアR4とのを連通状態及び非連通状態とを切り替える。
第一ドア152及び第二ドア153が同時に開放状態となることはない。これにより、培養エリアR3と液操作エリアR4とが直接的に連通することない。このパスボックス150を介して培養エリアR3と液操作エリアR4との間でのフラスコユニット1の移送が行われる。
なお、パスボックス150には、フラスコユニット1を搬送する搬送装置(不図示)が別途設けられていてもよい。また、フラスコユニット1は、培養エリアR3に設けられた第二搬送ロボット172によりパスボックス150を介して培養エリアR3から液操作エリアR4に移送したり、液操作エリアR4に設けられた第三搬送ロボット173によりパスボックス150を介して液操作エリアR4から培養エリアR3に移送したりしてもよい。さらに、フラスコユニット1は、第二搬送ロボット172及び第三搬送ロボット173の両方を用いて、パスボックス150を介して培養エリアR3と液操作エリアR4との間を移送可能に構成してもよい。
【0025】
<廃液タンク>
廃液タンク162は、クリーンベンチ140に隣接して配置されている。廃液タンク162は、廃液抜き取り装置145と図示しないチューブで接続されている。廃液タンク162には、当該チューブを介して廃液抜き取り装置145からの廃液が移送される。
【0026】
<搬送装置>
搬送装置170は、細胞培養システム100内でフラスコユニット1を無人搬送する。搬送装置170は、第一搬送ロボット171、第二搬送ロボット172、第三搬送ロボット(液操作エリア内搬送装置)173、第四搬送ロボット(液操作エリア内搬送装置)174及びコンベア175を有している。
【0027】
第一搬送ロボット171、第二搬送ロボット172、第三搬送ロボット173及び第四搬送ロボット174は、それぞれ水平移動、旋回移動及び伸縮移動が可能とされており、先端に設けられたグリッパG(図2参照)によってフラスコユニット1を持ち上げて搬送可能な構成とされている。
【0028】
第一搬送ロボット171は、保管エリアR1内に設けられている。第二搬送ロボット172は、培養エリアR3内に設けられている。第三搬送ロボット173及び第四搬送ロボット174は、液操作エリアR4内に設けられている。第三搬送ロボット173及び第四搬送ロボット174は、液操作エリアR4内に設けられてフラスコユニット1及び殺菌用ユニット60(後述する)を搬送可能な液操作エリア内搬送装置である。
【0029】
コンベア175は、液操作エリアR4内に設けられており、上面に載置されるフラスコユニット1を水平方向に移送する。コンベア175は、液操作エリアR4本体の内面に沿って配置されている。
【0030】
<細胞培養システムの動作>
以上のような構成の細胞培養システム100では、インキュベータ130内でフラスコユニット1の培養液が振盪されることで細胞増殖が促進される。細胞増殖が進行したフラスコユニット1は、第二搬送ロボット172、パスボックス150を介して液操作エリアR4に移送される。液操作エリアR4に移送されたフラスコユニット1は、第三搬送ロボット173を介して分注装置143に移送される。分注装置143では、フラスコユニット1のフラスコ2に対して培養液の分注や、培地の供給が行われる。なお、分注装置143には、フラスコ2から分注した培養液内の細胞数の計測、液性の分析等を行う計測装置(不図示)や、分注装置143に培地を供給する培地供給装置(不図示)が接続されてもよい。
【0031】
さらに、新たなフラスコユニット1を用いて細胞増殖を行う際には、例えば以下の手順で行われる。
即ち、まず第一搬送ロボット171が、ラック112上の培養液が入っていないフラスコユニット1を、ストッカ第二ドア114を介して液操作エリアR4内に搬送する。当該フラスコユニット1は、第三搬送ロボット173を介して分注装置143に移送され、培地が供給され、細胞増殖が進んだ増殖済みのフラスコユニット1のフラスコ2内の培養液が、新たなフラスコユニット1のフラスコ2内に分注され、新たなフラスコユニット1のフラスコ2への細胞の植え継ぎ操作が完了する。植え継ぎ操作を経たフラスコユニット1は、インキュベータ130に移送され、細胞の増殖が行われる。
【0032】
<ユニットセット>
ユニットセット180は、フラスコユニット1と殺菌用ユニット60との組み合わせにより構成されている。
【0033】
<フラスコユニット>
図2は、本開示の第一実施形態に係るフラスコユニットの斜視図である。
図2に示すように、フラスコユニット1は、培養液が収容されるフラスコ2と、フラスコ2が載置されるフラスコトレイ10とを有している。
【0034】
<フラスコ>
本実施形態のフラスコ2は、いわゆる三角フラスコであって、鉛直方向に延びるフラスコ軸線O1を中心とする有底筒状をなしている。具体的には、フラスコ2の下部外周面は、上方に向かうに従って縮径するフラスコ軸線O1を中心とした円錐面状をなしており、フラスコ2の上部外周面は、フラスコ軸線O1を中心とする円筒状をなしている。なお、フラスコ2上部の開口には、図示しない蓋部が着脱可能となっている。なお、フラスコ2は、三角フラスコに限られるものでは無い。
【0035】
<フラスコトレイ>
フラスコトレイ10は、二つのフラスコ2を載置可能とされている。本実施形態のフラスコトレイ10は、載置プレート20、支持部40、及び上部フレーム50を少なくとも有している。フラスコトレイ10は、例えばステンレス鋼等の耐食性の高い金属材料や合成樹脂材料によって形成することができる。
【0036】
<載置プレート>
載置プレート20は、上記二つのフラスコ2を下方から支持する部材である。載置プレート20は、フラスコ2が載置される載置面20aを有している。本実施形態の載置プレート20は水平方向に延びる平板状をなしており、平面視にて長方形状をなしている。以下の説明では、この平面視における長方形状の短手方向(一対の短辺が延びる方向)を第一方向D1と称する。さらに、上記平面視における長方形状の長手方向(一対の長辺が延びる方向)を第二方向D2と称する。すなわち、本実施形態における二つのフラスコ2は、第二方向D2に並んで載置プレート20上に載置される。
【0037】
<支持部>
支持部40は、載置プレート20の載置面20a上から上方に向かって延びる棒状の部材である。支持部40は複数(本実施形態では4つ)が設けられている。各支持部40は、載置プレート20の平面視の短辺と長辺とが接続される四つの角部に設けられている。支持部40の上端は、載置面20aに載置されたフラスコ2の上端よりも下方に位置している。複数の支持部40の上端の高さは、互いに同一とされている。
【0038】
<上部フレーム>
上部フレーム50は、支持部40によって下方から支持されている。平面視における上部フレーム50の輪郭形状は、載置プレート20の平面視の輪郭形状と同様に、第一方向D1を短手方向として第二方向D2を長手方向とした長方形状をなしている。上部フレーム50の平面視の大きさは、載置プレート20の大きさと同等とされている。上部フレーム50の四つの角部の下面には、それぞれ支持部40の上端が接続されている。これにより、上部フレーム50は、載置プレート20の上方で該載置プレート20と平行をなすように配置されている。
【0039】
上部フレーム50には、上下に貫通する開口部50aが形成されている。開口部50aは、平面視で第一方向D1を短手方向として第二方向D2を長手方向とした長方形状をなしている。載置面20aに載置されたフラスコ2は、開口部50aを上下に貫通している。上部フレーム50は、開口部50aの周囲を囲む、第一フレーム片51、第二フレーム片52、第三フレーム片53及び第四フレーム片54をそれぞれ有している。
【0040】
第一フレーム片51は、第一方向D1他方側に位置して第二方向D2に延びている。第二フレーム片52は、第一方向D1一方側に位置して第二方向D2に延びている。第三フレーム片53は、第二方向D2一方側に位置して第一方向D1に延びている。第四フレーム片54は、第二方向D2他方側に位置して第一方向D1に延びている。第一フレーム片51、第二フレーム片52、第三フレーム片53及び第四フレーム片54は、互いに接続されて、フラスコ2を水平方向から囲う枠型をなしている。本実施形態では、第一フレーム片51の下面51aと、第二フレーム片52の下面52aとは、フラスコユニット1を搬送する際に、グリッパGによって下方から支持されるフラスコ搬送用被支持面をなしている。これら下面51a,52aは、フラスコユニット1の最も下方に位置する底面1bよりも上方に位置し、何れも下方を向いている。なお、グリッパGの具体的な形状については後述する。
【0041】
<殺菌用ユニット>
図3は、本開示の第一実施形態に係る殺菌用ユニットの平面図である。図4は、本開示の第一実施形態に係る殺菌用ユニットを図3のIV方向から見た矢視図である。
殺菌用ユニット60は、細胞培養システム100の殺菌を行う。本実施形態の殺菌用ユニット60は、主にクリーンベンチ140内の殺菌を行う。
図3図4に示すように、殺菌用ユニット60は、ベースプレート61と、バッテリ(電力供給装置)62と、殺菌装置63と、反射板64と、を備えている。
【0042】
<ベースプレート>
本実施形態におけるベースプレート61の平面視の輪郭形状は、フラスコトレイ10の平面視の輪郭形状と同一形状をなしている。すなわち、ベースプレート61の平面視の輪郭形状は、上部フレーム50の輪郭形状とも同一形状である。
【0043】
ベースプレート61は、ベースプレート本体65と、被支持部66と、を備えている。ベースプレート本体65は、第一方向D1及び第二方向D2(言い換えれば、水平方向)に延びる底面61bを有する。底面61bは、殺菌用ユニット60の最も下方に位置して下方を向く面である。本実施形態の底面61bは、平面状をなしている。殺菌用ユニット60を例えばクリーンベンチ140内のステージ149等の上に静置した際、この底面61bがステージ149の上面に接する。本実施形態におけるベースプレート本体65は、平板状をなしており、その第一方向D1の寸法や第二方向D2の寸法よりも上下方向の寸法が小さい。
【0044】
被支持部66は、底面61bよりも上方に配置されて下方を向く被支持面67を有している。この被支持面67は、フラスコユニット1の上部フレーム50を搬送装置170のグリッパGにより下方から支持するときと同じ要領で、搬送装置170のグリッパGにより下方から支持可能に形成されている。すなわち、ベースプレート61は、フラスコユニット1と同様に搬送装置170によって搬送可能となっている。
【0045】
本実施形態の被支持部66は、第一方向D1の一方側と第一方向D1の他方側とにそれぞれ設けられている。これら二つの被支持部66は、ベースプレート本体65の長辺に沿って第二方向D2に延びている。本実施形態の被支持部66は、ベースプレート本体65の第二方向D2一方側に偏った位置に配置されている。
【0046】
本実施形態の被支持部66は、ベースプレート本体65の上面から上方に向かって延びる縦壁部68と、縦壁部68の上端から第二方向D2に延びる被支持面形成壁部69と、を備えている。より具体的には、被支持部66は、第一方向D1に間隔をあけて配置された二つの縦壁部68と、これら二つの縦壁部68を繋ぐように形成された被支持面形成壁部69を有し、この被支持面形成壁部69の下方を向く面が被支持面67となっている。
【0047】
ここで、図3に示すように、本実施形態の搬送装置170(より具体的には、第三搬送ロボット173及び第四搬送ロボット174)のグリッパGは、一対のアーム部176を備えている。これら一対のアーム部176は、アーム本体部177と、支持片部178とをそれぞれ備えている。アーム本体部177は、互いに平行に延びると共に互いに上下方向の同一位置にて第二方向D2に延びている。アーム本体部177は、被支持部66と同一高さで且つ被支持部66から第一方向D1に離間して配置される離間位置(図3中、二点鎖線で示す位置)と、ベースプレート本体65と同一高さで被支持部66に接近させた接近位置(図示せず)と、の間で変位可能とされる。
【0048】
支持片部178は、一対のアーム本体部177の対向する面から、互いに近づく方向(第一方向D1内側)に突出している。支持片部178は、上述した被支持面67の第二方向D2の寸法に対応した上方を向く支持面を形成している。一対のアーム本体部177を図3に示す離間位置から、上述した接近位置に変位させることで、被支持面67の下方に支持片部178が配置される。そして、この状態から一対のアーム本体部177を上方に変位させることで、支持片部178により被支持面67が押し上げられて、ベースプレート61が上方に持ち上がる。
【0049】
<バッテリ>
バッテリ62は、ベースプレート61に設けられている。バッテリ62は、殺菌装置63に電力を供給する電力供給装置である。本実施形態において例示するバッテリ62は、ベースプレート本体65の第二方向D2の中央よりも一方側の上面65a上に固定されている。より具体的には、バッテリ62は、ベースプレート本体65の第二方向D2中央よりも、第二方向D2一方側の短辺に近い位置に設置されている。本実施形態のバッテリ62は、二次電池であって、クリーンベンチ140の外部に設けられた充電ステーション70(図1参照)に接続することで、繰り返し充電可能となっている。なお、バッテリ62が殺菌装置63よりも上下方向に長い直方体状をなしている場合を例示しているが、バッテリ62の形状や大きさは、これら形状や大きさに限られない。
【0050】
<殺菌装置>
殺菌装置63は、ベースプレート61に設けられている。殺菌装置63は、バッテリ62によって駆動され、殺菌光と殺菌薬の少なくとも一方を出射する。本実施形態で例示する殺菌装置63は、殺菌光のみを出射する紫外線照射装置71である。本実施形態の殺菌用ユニット60は、紫外線照射装置71として、第一紫外線照射装置71Aと第二紫外線照射装置71Bとを有している。本実施形態の第一紫外線照射装置71Aと第二紫外線照射装置71Bとは、同一形状であり、第二方向D2に間隔をあけて並んでいる。具体的には、第二方向D2の一方側に第一紫外線照射装置71Aが配置され、第二方向D2の他方側に第二紫外線照射装置71Bが配置されている。これら第一紫外線照射装置71Aと第二紫外線照射装置71Bとは、ベースプレート本体65上に設置されている。
【0051】
第一紫外線照射装置71A及び第二紫外線照射装置71Bは、装置ベース部72と、出射部73と、を備えている。
装置ベース部72は、複数の出射部73を支持している。装置ベース部72は、ベースプレート本体65の上面65aから上方に向かって突出している。装置ベース部72の上面72aは、第一方向D1及び第二方向D2に延びている。装置ベース部72の上面72aは、上述した被支持部66の上面66aと上下方向で同一の位置、又は上面66aよりも上方に位置する。
【0052】
出射部73は、電力を供給することで紫外線(例えば、UV-C)を出射可能な電球や発光ダイオードからなる。本実施形態の出射部73は、装置ベース部72に取り付けられて、装置ベース部72の上面72aから上方に向かって突出している。本実施形態の紫外線照射装置71は、第二方向D2に三つ並べて配置された出射部73の列を、第一方向D1に三列並べて(言い換えれば、三行三列に)配置させている場合を例示している。なお、一つの紫外線照射装置71における出射部73の個数や配置は上記構成に限られない。また、出射部73は、電球と発光ダイオードとの何れか一方に限られるものではなく、例えば、電球と発光ダイオードとの両方を混在させて用いるようにしてもよい。
【0053】
<反射板>
反射板64は、出射部73から出射された殺菌光を反射する。本実施形態の反射板64は、装置ベース部72よりも上方に向かって出射された殺菌光を反射して、下方に向かわせる。反射板64は、複数の紫外線照射装置71のうちの一部に設けられている。本実施形態では、第二紫外線照射装置71Bの上方に反射板64が設けられている場合を例示している。すなわち、本実施形態の反射板64は、被支持部66よりも第二方向D2の他方側に配置されている。これにより、第一紫外線照射装置71Aの殺菌光が装置ベース部72よりも上方に向かう一方で、第二紫外線照射装置71Bの殺菌光は、装置ベース部72よりも上方に向かった後、反射板64の下面に反射して、第一方向D1におけるベースプレート61の両外側を通ってベースプレート61よりも下方へ向かう。
【0054】
本実施形態の反射板64は、第一反射部74と第二反射部75と支柱76を備えている。第一反射部74は、ベースプレート61の第一方向D1中央よりも他方側に配置されている。第二反射部75は、ベースプレート61の第一方向D1中央よりも一方側に配置されている。これら第一反射部74と第二反射部75とは、何れも平板状をなし、ベースプレート61の第一方向D1中央から第一方向D1で離れるほど下方に位置するように傾斜している。これら第一反射部74と第二反射部75とは、第一方向D1の中央側でつながっており、第二方向D2から見て上下反転したV字状をなしている。
【0055】
支柱76は、反射板64を下方から支持している。支柱76は、ベースプレート本体65の上面65aから上方に向かって延びている。本実施形態の支柱76は、第二紫外線照射装置71Bよりも第二方向D2の他方側に配置されている。支柱76は、第一方向D1の中央に配置されている。支柱76の上端部は、反射板64の第二方向D2の他方側の縁部に接続されている。つまり、本実施形態の反射板64は、支柱76によって片持ち梁の如く支えられている。これにより、第二紫外線照射装置71Bから出射された殺菌光を、支柱76により邪魔されることなく反射板64に到達させることができる。なお、本実施形態では、一本の支柱76によって反射板64を支持する場合について説明したが、この構成に限られるものでは無い。例えば、複数の支柱76を用いて反射板64を支持したり、反射板64を複数の支柱76により両端固定梁の如く支えたりしてもよい。
【0056】
<殺菌方法>
次に、上述した構成の細胞培養システム100における殺菌方法について図面を参照しながら説明する。
図5は、本開示の第一実施形態に係る細胞培養システムの殺菌方法を示す図1に相当する平面図である。
本実施形態の細胞培養システム100では、上述した殺菌用ユニット60を用いてクリーンベンチ140内の殺菌処理を行う。
【0057】
図5に示すように、細胞培養システム100における殺菌方法では、作業者が充電ステーション70から殺菌用ユニット60を取り外すとともに、搬入ブース120の搬入ドア122を開放して搬入ブース120内に殺菌用ユニット60を置いて、搬入ドア122を閉塞する。その後、作業者は、例えば、細胞培養システム100の操作入力部(図示せず)に、殺菌処理を開始する旨の操作入力を行う。ここで、搬入ブース120内では、殺菌用ユニット60自体を殺菌するようにしてもよい。この場合、搬入ブース120内に、例えば、殺菌用ユニット60に紫外線を照射可能な紫外線照射部(図示せず)を設けたり、殺菌用ユニット60の出射部73から出射される紫外線を反射して殺菌用ユニット60自体に照射させる紫外線反射部(図示せず)を設けたりすればよい。
【0058】
上記殺菌処理を開始する旨の操作入力がなされると、ストッカ第一ドア113が開放される。そして、搬入ブース120内に載置された殺菌用ユニット60が、第一搬送ロボット171により持ち上げられて、ストッカ110内に搬入される。殺菌用ユニット60がストッカ110内に搬入されると、ストッカ第一ドア113が閉塞されて、ストッカ第二ドア114が開放される。ストッカ110内に搬入された殺菌用ユニット60は、第一搬送ロボット171によってクリーンベンチ140内に搬入され、ストッカ第二ドア114近傍のステージ149上に載置される。その後、ストッカ第二ドア114が閉塞される。
【0059】
ここで、殺菌用ユニット60による殺菌光の出射開始は、クリーンベンチ140内で搬送装置170によって殺菌用ユニット60が搬送開始されるよりも前であれば良い。殺菌光の出射を開始するタイミングとしては、例えば、充電ステーション70から取り外されたタイミング、搬入ブース120内に載置されたタイミング、ストッカ110内に搬入されたタイミング、クリーンベンチ140内に搬入されたタイミングを例示できる。また、これらタイミングの設定手法としては、例えば、バッテリ62から殺菌装置63への給電タイミングをタイマ等によって変更する構成を例示できる。
【0060】
本実施形態で例示する殺菌方法では、殺菌用ユニット60は、少なくともクリーンベンチ140に搬入された後、クリーンベンチ140から搬出されるまで、殺菌光を出射し続ける。そして、殺菌用ユニット60は、クリーンベンチ140内におけるフラスコユニット1の搬送ルートと同一ルートにて搬送される。すなわち、ステージ149上に静置された殺菌用ユニット60は、第三搬送ロボット173により分注装置143に移送され、分注装置143内に所定の殺菌時間だけ載置される。これにより、分注装置143内は、殺菌用ユニット60から出射された殺菌光により殺菌処理される。
【0061】
分注装置143内の殺菌処理を終えた殺菌用ユニット60は、第三搬送ロボット173によってコンベア175に移送される。コンベア175上に移送された殺菌用ユニット60は、コンベア175によって第四搬送ロボット174に受け渡し可能な位置まで(図5の左方向に向かって)搬送される。そして、殺菌用ユニット60は、第四搬送ロボット174によって廃液抜き取り装置145内に所定の殺菌時間だけ載置される。これにより、廃液抜き取り装置145内が殺菌用ユニット60から出射された殺菌光により殺菌処理される。
【0062】
その後、殺菌用ユニット60は、第四搬送ロボット174、コンベア175、及び第三搬送ロボット173によって、ストッカ第二ドア114近傍のステージ149上に移送される。ここで、本実施形態の殺菌用ユニット60は、第三搬送ロボット173、第四搬送ロボット174及びコンベア175によって搬送される全ての搬送ルートの周囲にも殺菌光を照射して、殺菌処理を行っている。
【0063】
その後、殺菌用ユニット60は、上述した搬入時と逆手順により、ストッカ110を介して搬入ブース120に移送されて、作業者によって搬入ブース120から取り出される。その後、殺菌用ユニット60は、作業者によって充電ステーション70に接続される。
【0064】
本実施形態では、殺菌用ユニット60を分注装置143内に載置して殺菌処理を行う場合について説明したが、この構成に限られない。例えば、第三搬送ロボット173、第四搬送ロボット174によって殺菌用ユニット60を持ち上げたままの状態で殺菌処理を行うようにしてもよい。また、クリーンベンチ140内における殺菌用ユニット60の搬送ルートは上記ルートに限られるものでは無い。
【0065】
(作用効果)
上記第一実施形態によれば、殺菌用ユニット60のベースプレート61が、底面61bよりも上方かつ出射部73よりも下方に設けられて下方を向く被支持面67を有している。これにより、被支持面67を下方から支持して殺菌用ユニット60を搬送することができる。したがって、被支持面67によって殺菌装置63から出射される殺菌光が遮られることを抑えつつ、容易に搬送することができるため、処理効率を向上させることができる。
【0066】
また、上記第一実施形態では、殺菌装置63が、殺菌光を出射する紫外線照射装置71であり、殺菌光を反射する反射板64を備えている。これにより、殺菌光を反射板64に反射させてから殺菌対象物に照射することが可能となる。したがって、ベースプレート本体65の上面65aに殺菌装置63を配置するだけで良いため、殺菌用ユニット60の構成が複雑化することを抑制できる。
さらに、上記第一実施形態では、第二紫外線照射装置71Bの上方にのみ反射板64が配置されている。そのため、第二紫外線照射装置71Bから出射された殺菌光を下方に向けて照射できると共に、第一紫外線照射装置71Aから出射された殺菌光を上方に向けて照射できる。したがって、一つの殺菌用ユニット60における殺菌光の出射方向を異なる複数の方向にすることができるため、一つの殺菌用ユニット60でより広範囲を殺菌処理することができる。
【0067】
さらに、上記第一実施形態では、殺菌用ユニット60のベースプレート61の平面視の輪郭形状が、フラスコトレイ10の平面視の輪郭形状と同一形状になっている。これにより、殺菌用ユニット60を、フラスコトレイ10の搬送ルートと同じルートで搬送することが可能となる。したがって、フラスコトレイ10の搬送ルートの周囲の殺菌対象物を殺菌用ユニット60によって容易に殺菌することが可能となる。
【0068】
また、上記第一実施形態では、フラスコユニット1が、フラスコユニット1の底面1bよりも上方に、下方を向くフラスコ搬送用被支持面としての下面51a,52aを有している。これにより、下面51a,52aを下方より支持してフラスコユニット1を持ち上げることができる。したがって、フラスコユニット1を殺菌用ユニット60と同様の手法で持ち上げて搬送することができる。
【0069】
さらに、上記第一実施形態では、第三搬送ロボット173及び第四搬送ロボット174が、殺菌用ユニット60の被支持面67とフラスコユニット1の51a,52aを下方から支持可能なグリッパGを備えている。したがって、液操作エリアR4内においてフラスコユニット1を搬送する搬送装置170と殺菌用ユニット60を搬送する搬送装置170とを共用して、搬送装置170の装置数を低減できる。
【0070】
<第一実施形態の変形例>
図6は、本開示の第一実施形態の変形例における殺菌用ユニットの側面図である。
上記第一実施形態では、一つの被支持部66が二つの縦壁部68を備える場合について説明した。しかし、被支持部66の形状は、第一実施形態の形状に限られない。例えば、図6に示す第一実施形態の変形例における被支持部166のように、一つの縦壁部68によって片持ち梁の如く被支持面形成壁部69を支持するようにしてもよい。本実施形態の変形例では、被支持面形成壁部69の第二方向D2他方側の縁部を縦壁部68により支持する場合を例示している。
【0071】
このように構成することで、図6に示すように、例えば、グリッパGのアーム部276を第二方向D2に水平移動させて被支持面67の下方に配置させることができる。したがって、アーム部276を第一方向D1に変位させる機構を省略することが可能となる。なお、上述したフラスコユニット1には、上部フレーム50の第一方向D1両側に支柱76よりも外側に張り出している部分が存在するため、アーム部276を第二方向D2に水平移動させて上部フレーム50の下方に配置させることが可能となっている。つまり、フラスコユニット1についてもこの変形例の殺菌用ユニット60と同様に上記アーム部276によって持ち上げて搬送可能である。
【0072】
さらに、この変形例における被支持面67には、下方に向かって突出する位置決め凸部67aが形成され、アーム部276の上面には、位置決め凸部67aに対応するように下方に向かって凹む位置決め凹部67bが形成されている。これにより、アーム部276によって被支持面67を下方から支持した際に、位置決め凸部67aが位置決め凹部67bに入り込み、アーム部276に対して殺菌用ユニット60が第二方向D2に変位することが抑えられる。なお、被支持面67に位置決め凸部67aが形成され、アーム部276の上面に位置決め凹部67bが形成される場合を例示したが、被支持面67に位置決め凹部67bが形成され、アーム部276の上面に位置決め凸部67aが形成されていてもよい。また、位置決め凹部67b、位置決め凸部67aの形状は、位置決め可能であれば上記形状に限られない。
【0073】
<第二実施形態>
次に、本開示の第二実施形態を図面に基づき説明する。なお、この第二実施形態は、上述した第一実施形態に対して、殺菌装置の構成のみ異なる。そのため、上述した第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複する説明を省略する。
<殺菌用ユニット>
図7は、本開示の第二実施形態に係る殺菌用ユニットの側面図である。
図7に示すように、第二実施形態の殺菌用ユニット80は、ベースプレート61と、バッテリ62と、殺菌装置63と、を備えている。
【0074】
<ベースプレート>
本実施形態におけるベースプレート61の平面視の輪郭形状は、フラスコトレイ10の平面視の輪郭形状と同一形状をなしている。すなわち、ベースプレート61の平面視の輪郭形状は、上部フレーム50の輪郭形状と同一形状をなしている。
【0075】
ベースプレート61は、ベースプレート本体65と、被支持部66と、を備えている。被支持部66は、底面61bよりも上方に配置されて下方を向く被支持面67を有している。被支持部66は、第一方向D1の一方側と第一方向D1の他方側とにそれぞれ設けられている。被支持部66は、縦壁部68と、被支持面形成壁部69と、を備えており、被支持面形成壁部69の下方を向く面が被支持面67となっている。
【0076】
<バッテリ>
バッテリ62は、殺菌装置63に電力を供給する。第二実施形態において例示するバッテリ62は、ベースプレート本体65の第二方向D2の中央よりも一方側の上面65a上に設置されている。
【0077】
<殺菌装置>
殺菌装置63は、ベースプレート61に設けられている。殺菌装置63は、バッテリ62によって駆動される。本実施形態の殺菌装置63は、殺菌薬のみを出射する殺菌薬噴射装置81である。殺菌薬噴射装置81から出射される殺菌薬としては、エタノール、次亜塩素酸ナトリウム溶液等を例示できる。本実施形態の殺菌用ユニット80は、殺菌薬噴射装置81として、第一殺菌薬噴射装置81Aと、第二殺菌薬噴射装置81Bと、を有している。これら第一殺菌薬噴射装置81Aと第二殺菌薬噴射装置81Bとは、同一形状である。
【0078】
第一殺菌薬噴射装置81Aと第二殺菌薬噴射装置81Bとは、薬液タンク82と、出射部83と、を備えている。薬液タンク82は、その内部に殺菌薬を貯留する。薬液タンク82は、ベースプレート本体65の上面65aに設置されている。薬液タンク82に貯留された殺菌薬は、薬液タンク82内に設置された薬液ポンプ(図示せず)等により出射部83に供給される。出射部83は、薬液タンク82上に設置されている。薬液タンク82の上面82aは、被支持部66の上面66aと上下方向で同一の位置、又は上面66aよりも上方に位置する。
【0079】
出射部83は、殺菌薬の薬液を霧状にして全方向に出射可能なノズルである。本実施形態の出射部83は、薬液タンク82の上面82aから上方に向かって突出している。本実施形態の殺菌薬噴射装置81は、それぞれ一つの出射部83を備える場合を例示しているが、一つの殺菌薬噴射装置81が複数の出射部83を備えていてもよい。
【0080】
(作用効果)
上記第二実施形態によれば、殺菌用ユニット80のベースプレート61が、底面61bよりも上方かつ出射部83よりも下方に設けられて下方を向く被支持面67を有している。これにより、被支持面67を下方から支持して殺菌用ユニット80を搬送することができる。したがって、被支持面67によって殺菌装置から出射される殺菌薬が遮られることを抑えつつ、容易に搬送することができるため、処理効率を向上させることができる。
【0081】
また、上記第二実施形態では、殺菌装置63が、殺菌薬を出射する殺菌薬噴射装置81である。これにより、殺菌薬を殺菌用ユニット80の周囲の殺菌対象物に接触させることが可能となる。また、空気中に出射された殺菌薬のうちの一部は、重力により下方へ移動して殺菌用ユニット80のベースプレート61よりも下方へ移動することができるため、反射板64等を用いずに、ベースプレート61よりも下方に位置する殺菌対象物も殺菌処理することが可能となる。
【0082】
さらに、上記第二実施形態では、第一実施形態と同様に、殺菌用ユニット80のベースプレート61の平面視の輪郭形状が、フラスコトレイ10の平面視の輪郭形状と同一形状になっている。これにより、殺菌用ユニット80を、フラスコトレイ10の搬送ルートと同じルートで搬送することが可能となる。したがって、フラスコトレイ10の搬送ルートの周囲の殺菌対象物を殺菌用ユニット80によって容易に殺菌することが可能となる。また、紫外線照射により脆化するような殺菌対象物も殺菌処理することができる。
【0083】
<第三実施形態>
次に、本開示の第三実施形態を図面に基づき説明する。なお、この第三実施形態は、上述した第一実施形態に対して、殺菌用ユニットの構成のみ異なる。そのため、上述した第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複する説明を省略する。
図8は、本開示の第三実施形態に係る殺菌用ユニットを第二方向から見た図である。
【0084】
図8に示すように、第三実施形態に係る殺菌用ユニット90は、ベースプレート61と、バッテリ62と、殺菌装置63と、遮蔽板85と、を備えている。なお、第三実施形態では、反射板64の図示を省略しているが、第一実施形態の殺菌用ユニット60と同様に、反射板64を設けるようにしてもよい。
【0085】
遮蔽板85は、殺菌装置63の出射部73から出射された紫外線を遮蔽する。本実施形態では、コンベア175の近傍にアクリル樹脂等からなるクリーンベンチ外壁200が配置されている。アクリル樹脂は、紫外線が照射されることにより脆化する。そのため、遮蔽板85は、第一方向D1でクリーンベンチ外壁200に近い側に配置されて、出射部73から出射された紫外線がクリーンベンチ外壁200に到達することを阻止している。本実施形態の遮蔽板85は、上下方向及び第二方向D2に延びる平板状をなし、出射部73よりも第一方向D1でクリーンベンチ外壁200に近い側のベースプレート61の上面から上方に向かって延びている。第二方向D2における遮蔽板85の長さは、例えば、出射部73の配置される範囲と同等にすることができる。
【0086】
なお、この第三実施形態では、遮蔽板85がクリーンベンチ外壁200への紫外線の照射を阻止する場合について説明した。しかし、この構成に限られるものではない。例えば、クリーンベンチ外壁200以外にも紫外線の照射により脆化し易い材質の構造物が殺菌用ユニット60の搬送ルートの周囲にある場合には、当該構造物への紫外線照射を阻止可能なベースプレート61上の位置に、適宜の形状を有した遮蔽板を設けるようにしてもよい。また、遮蔽板85によって遮蔽する対象物は、紫外線の照射により劣化が促進されるなど悪影響のあるものであれば、上記アクリル樹脂に限られない。
【0087】
<第四実施形態>
次に、本開示の第四実施形態を図面に基づき説明する。なお、この第四実施形態は、上述した第一実施形態に対して、殺菌用ユニットの構成のみ異なる。そのため、上述した第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複する説明を省略する。
図9は、本開示の第四実施形態に係る殺菌用ユニットを第二方向から見た図である。
【0088】
図9に示すように、第四実施形態に係る殺菌用ユニット95は、ベースプレート91と、バッテリ62と、殺菌装置63と、ブラケット86と、を備えている。なお、第四実施形態では、反射板64を備えていない。殺菌装置63は、紫外線照射装置71であり、紫外線照射装置71として、第二方向D2で並んで配置された第一紫外線照射装置71Aと第二紫外線照射装置71Bとを有している。
【0089】
ブラケット86は、第二紫外線照射装置71Bを支持している。ブラケット86は、第二紫外線照射装置71Bの殺菌光が下方に向かうように、装置ベース部72よりも出射部73が下方に配置される姿勢で第二紫外線照射装置71Bを支持している。言い換えれば、第四実施形態の第二紫外線照射装置71Bは、ブラケット86に支持されることで、第一実施形態の第二紫外線照射装置71Bと上下反転した姿勢となっている。
【0090】
ベースプレート本体96は、上下に貫通する貫通孔97を有している。本実施形態における貫通孔97は、平面視における第二紫外線照射装置71Bの外縁よりも一回り大きく形成されている。これにより、第二紫外線照射装置71Bの殺菌光は、貫通孔97を通じて、ベースプレート本体96よりも下方に向けて出射可能となっている。なお、本実施形態では、出射部73が貫通孔97内に配置されている場合を例示しているが、底面91bよりも上方に配置されていればよく、上記配置に限られない。
【0091】
(作用効果)
したがって、第四実施形態によれば、第一実施形態の反射板64を用いずに、ベースプレート本体96上に支持された第二紫外線照射装置71Bから出射された殺菌光をベースプレート91よりも下方に照射することが可能となる。
【0092】
<第五実施形態>
次に、本開示の第五実施形態を図面に基づき説明する。なお、この第五実施形態は、上述した各実施形態に対して、殺菌用ユニットの構成のみ異なる。そのため、上述した各実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複する説明を省略する。
図10は、本開示の第五実施形態に係る殺菌用ユニットを第一方向から見た図である。
【0093】
図10に示すように、第五実施形態に係る殺菌用ユニット98は、ベースプレート191と、バッテリ62と、殺菌装置63と、側面殺菌装置93と、を備えている。
ベースプレート191の平面視の輪郭形状は、上述した各実施形態と同様に、フラスコトレイ10の平面視の輪郭形状と同一形状をなしている。
【0094】
本実施形態のベースプレート191は、ベースプレート本体196と、被支持部266と、を備えている。
ベースプレート本体196は、第一方向D1及び第二方向D2(言い換えれば、水平方向)に延びる底面61bを有する。
被支持部266は、底面61bよりも上方に配置されて下方を向く被支持面67を有している。この被支持面67は、搬送装置170のグリッパGにより下方から支持可能とされている。
【0095】
本実施形態の被支持部266は、二つの縦壁部168と、被支持面形成壁部169と、を備えている。縦壁部168は、ベースプレート本体196の第二方向D2の二つの縁部からそれぞれ上方に向かって延びている。被支持面形成壁部169は、これら二つの縦壁部168の上縁を渡るように第二方向D2に延びている。本実施形態の被支持面形成壁部169は、平面視でベースプレート本体196と同一の輪郭形状をなす平板状に形成され、その下面が被支持面67になっている。被支持面67は、底面61bよりも上方かつ出射部83よりも下方に設けられている。
【0096】
バッテリ62は、ベースプレート本体196上に設けられている。そして、本実施形態のバッテリ62は、被支持面形成壁部169よりも下方に位置する。バッテリ62は、殺菌装置63に電力を供給する。
【0097】
殺菌装置63は、ベースプレート191に設けられている。殺菌装置63は、バッテリ62によって駆動される。本実施形態の殺菌装置63は、殺菌薬を出射する殺菌薬噴射装置81である。本実施形態の殺菌用ユニット98は、殺菌薬噴射装置81として、第一殺菌薬噴射装置81Aと、第二殺菌薬噴射装置81Bと、を有している。
【0098】
第一殺菌薬噴射装置81Aと第二殺菌薬噴射装置81Bとは、出射部83と、ポンプ部87と、薬液タンク82と、を有している。本実施形態の薬液タンク82及びポンプ部87は、第一殺菌薬噴射装置81Aと第二殺菌薬噴射装置81Bとによって共用している。薬液タンク82は、殺菌薬を貯留可能とされており、薬液タンク82の殺菌薬は、ポンプ部87によって複数の出射部83へそれぞれ供給される。薬液タンク82は、バッテリ62と同様に、ベースプレート本体65上に設置されている。出射部83は、被支持面形成壁部169上に設置されている。
【0099】
側面殺菌装置93は、ベースプレート191に設けられている。側面殺菌装置93は、バッテリ62によって駆動される。本実施形態の側面殺菌装置93は、紫外線を出射する。本実施形態の側面殺菌装置93は、第二方向D2を長手方向とする紫外線ランプであり、上下方向に複数配置されている。これら側面殺菌装置93は、第一方向D1でバッテリ62及び薬液タンク82を挟むように、殺菌用ユニット98の両側に配置され、それぞれ紫外線を第一方向D1外側(言い換えれば、側方)に向かって出射している。そして、これら側面殺菌装置93は、グリッパGによる被支持面67へのアクセスを阻害しないように、被支持面67から下方に離間した位置にそれぞれ配置されている。
【0100】
第五実施形態によれば、出射部83から出射される殺菌薬によって殺菌処理することができると共に、側面殺菌装置93により、殺菌用ユニット98から側方すなわち第一方向D1外側に向かって紫外線を出射して殺菌処理することができる。したがって、出射部83から出射される殺菌薬の付着し難い上下方向に延びる殺菌対象物の面に対しても、紫外線によって殺菌処理を行うことが可能となる。
【0101】
なお、上記第五実施形態では、第二方向D2に延びる紫外線ランプを例示したが、紫外線を出射するLEDを、第二方向D2に複数並べて配置するようにしてもよい。さらに、側面殺菌装置93は、紫外線を出射する場合を例示したが、殺菌薬を側方(第一方向D1外側)に出射する構成としてもよい。同様に、殺菌装置63は、紫外線を出射する構成としてもよい。さらに、薬液タンク82及びバッテリ62の配置は、一例であって上記配置に限られない。また、薬液タンク82及びポンプ部87を、第一殺菌薬噴射装置81Aと第二殺菌薬噴射装置81Bとにより共用する場合を例示したが、薬液タンク82及びポンプ部87を個別に設けてもよい。
【0102】
<第六実施形態>
次に、本開示の第六実施形態を図面に基づき説明する。なお、この第六実施形態は、上述した各実施形態に対して、殺菌用ユニットの構成のみ異なる。そのため、上述した各実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複する説明を省略する。
図11は、本開示の第六実施形態に係る殺菌用ユニットを第一方向から見た図である。
【0103】
図11に示すように、第六実施形態に係る殺菌用ユニット99は、ベースプレート291と、バッテリ62と、殺菌装置63と、を備えている。
ベースプレート291の平面視の輪郭形状は、上述した各実施形態と同様に、フラスコトレイ10の平面視の輪郭形状と同一形状をなしている。
【0104】
本実施形態のベースプレート291は、ベースプレート本体296と、被支持部366と、を備えている。
ベースプレート本体296は、第一方向D1及び第二方向D2(言い換えれば、水平方向)に延びる底面61bを有する。
被支持部366は、底面61bよりも上方に配置されて下方を向く被支持面67を有している。この被支持面67は、搬送装置170のグリッパGにより下方から支持可能とされている。
【0105】
本実施形態の被支持部366は、縦壁部268と、被支持面形成壁部269と、を備えている。二つの縦壁部268は、ベースプレート本体296の第二方向D2の二つの縁部からそれぞれ上方に向かって延びている。被支持面形成壁部269は、これら二つの縦壁部268の上縁を渡るように第二方向D2に延びている。本実施形態の被支持面形成壁部269は、平面視でベースプレート本体296と同一の輪郭形状をなす平板状に形成され、その下面が被支持面67になっている。被支持面67は、底面61bよりも上方かつ出射部73よりも下方に設けられている。
【0106】
バッテリ62は、ベースプレート本体296上に設けられている。そして、本実施形態のバッテリ62は、被支持面形成壁部269よりも下方に位置する。バッテリ62は、殺菌装置63に電力を供給する。
【0107】
殺菌装置63は、ベースプレート291に設けられている。殺菌装置63は、バッテリ62によって駆動される。本実施形態の殺菌装置63は、紫外線照射装置71A,71Bである。紫外線照射装置71A,71Bは、装置ベース部72と、出射部73と、を有している。紫外線照射装置71A,71Bは、装置ベース部72から上方に向かって出射部73が突出する姿勢で、被支持面形成壁部269上に設置されている。
【0108】
第六実施形態によれば、バッテリ62がベースプレート本体269よりも下方に配置されている。そのため、出射部73から出射された紫外線がバッテリ62に照射されることを抑制できる。
【0109】
<その他の実施形態>
以上、本開示の各実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0110】
例えば、出射部73,83の出射タイミングは、無線等により制御可能としてもよい。
また、一つの殺菌ユニットに複数の殺菌薬噴射装置81が設けられている場合、それぞれの殺菌薬噴射装置81から噴射される殺菌薬の種類を異なるようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、バッテリ62をベースプレート本体65,96,196上に設置する場合について説明した。しかし、バッテリ62は、ベースプレート本体65,96,196に内蔵したり、バッテリ62を平板状に形成してバッテリ62自体をベースプレート本体65として用いたりしてもよい。
また、上記第一実施形態から第五実施形態の各構成は、適宜組み合わせて用いてもよい。
【0111】
<付記>
各実施形態に記載の殺菌用ユニット、ユニットセット、細胞培養システム及び殺菌方法は、例えば以下のように把握される。
【0112】
(1)第1の態様に係る殺菌用ユニット60,80,90,95,98,99は、水平方向に延びる底面61bを有するベースプレート61,91,191,291と、前記ベースプレート61,91,191,291に設けられ、殺菌光及び殺菌薬の少なくとも一方を出射する出射部73,83を有した殺菌装置63と、前記殺菌装置63を駆動するための電力を供給する電力供給装置62と、を備え、前記ベースプレート61,91,191,291は、前記底面61bよりも上方かつ前記出射部73,83よりも下方に設けられて、下方を向く被支持面67を有する。
電力供給装置62の例としては、バッテリ、太陽光パネル等が挙げられる。
このように構成することで、被支持面67を下方から支持して殺菌用ユニット60,80,90,95,98,99を搬送することができる。したがって、被支持面67によって殺菌装置63から出射される殺菌光及び殺菌薬が遮られることを抑えつつ、容易に搬送することができるため、処理効率を向上させることができる。
【0113】
(2)第2の態様に係る殺菌用ユニットは、(1)の殺菌用ユニット60,80であって、前記ベースプレート61は、前記底面61bを有するベースプレート本体65と、前記ベースプレート本体65上に設けられ前記被支持面67を有する被支持部66と、を備え、前記殺菌装置63は、前記ベースプレート本体65上に設置されている。
このように構成することで、殺菌装置63から出射される殺菌光及び殺菌薬が遮られることを抑えつつ、容易に搬送することができる。
【0114】
(3)第3の態様に係る殺菌用ユニットは、(1)の殺菌用ユニット99であって、前記ベースプレート291は、前記底面61bを有するベースプレート本体296と、前記ベースプレート本体296上に設けられ前記被支持面67を有する被支持部366と、を備え、前記被支持部366は、前記ベースプレート本体296から上方に向かって延びる複数の縦壁部268と、前記縦壁部268の間を渡るように延びて下面が前記被支持面67をなす被支持面形成壁部269と、を備え、前記殺菌装置63は、前記被支持面形成壁部269上に設置されている。
このように構成することで、殺菌装置63から出射される殺菌光及び殺菌薬が遮られることを抑えると共に容易に搬送可能となる。さらに、殺菌光や殺菌薬が被支持面形成壁部269の下方に届かなくなるため、被支持面形成壁部269の下方に配置された物品への殺菌光や殺菌薬による影響を抑制できる。
【0115】
(4)第4の態様に係る殺菌用ユニットは、(1)の殺菌用ユニット60であって、前記殺菌装置63は、前記殺菌光を出射する紫外線照射装置71であって、前記殺菌光を反射する反射板64を備える。
このように構成することで、殺菌光を反射板64に反射させてから殺菌対象物に照射することが可能となる。したがって、殺菌装置63の配置自由度が向上し、殺菌用ユニット60の構成が複雑化することを抑制できる。
【0116】
(5)第5の態様に係る殺菌用ユニットは、(1)の殺菌用ユニット95であって、前記ベースプレート91は、上下に貫通する貫通孔97を有し、前記殺菌装置63は、前記貫通孔97を通じて前記ベースプレート91よりも下方に前記殺菌光を出射する。
このように構成することで、反射板64を用いずに、殺菌光をベースプレート91よりも下方に照射することが可能となる。
【0117】
(6)第6の態様に係る殺菌用ユニットは、(1)から(5)の何れか一つの殺菌用ユニット90であって、前記殺菌光を遮る遮蔽板85を備える。
このように構成することで、紫外線の照射により悪影響のあるものへの紫外線の照射を抑制できる。
【0118】
(7)第7の態様に係る殺菌用ユニットは、(1)から(5)の何れか一つの殺菌用ユニット98であって、前記出射部73,83よりも下方に設けられ、側方に殺菌光又は殺菌薬を出射する側面殺菌装置93を更に備える。
このように構成することで、上下方向に延びる殺菌対象物の面に対しても、効率よく殺菌処理を行うことが可能となる。
【0119】
(8)第8の態様に係るユニットセット180は、培養液が収容されるフラスコ2と、前記フラスコ2が載置されるフラスコトレイ10とを有したフラスコユニット1と、(1)から(7)の何れか一つの殺菌用ユニット60,80,90,95,98と、を備える。
このように構成することで、フラスコユニット1を用いる領域を殺菌用ユニット60,80,90,95,98により殺菌処理することができる。
【0120】
(9)第9の態様に係るユニットセット180は、(8)のユニットセット180であって、殺菌用ユニット60,80,90,95,98の前記ベースプレート61,91,191の平面視の輪郭形状は、前記フラスコトレイ10の平面視の輪郭形状と同一形状である。
このように構成することで、フラスコユニット1の搬送ルートと同じルートで殺菌用ユニット60,80,90,95,98を搬送することが可能となる。
【0121】
(10)第10の態様に係るユニットセット180は、(8)又は(9)のユニットセット180であって、前記フラスコユニット1は、該フラスコユニット1の底面1bよりも上方に、下方を向くフラスコ搬送用被支持面51a,51bを有する。
このように構成することで、フラスコ搬送用被支持面51a,51b下方より支持してフラスコユニット1を持ち上げることができる。したがって、フラスコユニット1を殺菌用ユニット60,80,90,95,98と同様の手法で持ち上げて搬送することができる。
【0122】
(11)第11の態様に係る細胞培養システム100は、(8)から(9)のユニットセット180と、前記フラスコユニット1を保管するストッカ110と、前記フラスコユニット1に分注操作を行う液操作エリアR4を有するクリーンベンチ140と、前記フラスコユニット1に収容された培養液内の細胞を増殖させる培養エリアR3を有するインキュベータ130と、前記液操作エリアR4内に設けられて前記殺菌用ユニット60,80,90,95,98及び前記フラスコユニット1を搬送可能な液操作エリア内搬送装置173,174,175と、を備える。
このように構成することで、クリーンベンチ140内の液操作エリアR4の殺菌処理を容易に行うことが可能となる。
【0123】
(12)第12の態様に係る細胞培養システム100は、(11)の細胞培養システム100であって、前記液操作エリア内搬送装置173,174は、前記被支持面67及び前記フラスコユニット1のフラスコ搬送用被支持面51a,51bを下方から支持可能なグリッパGを備える。
このように構成することで、液操作エリアR4内においてフラスコユニット1を搬送する装置と殺菌用ユニット60,80,90,95,98を搬送する装置とを共用できるため。液操作エリアR4に設置される装置数を低減できる。
【0124】
(13)第13の態様に係る細胞培養システム100は、(11)又は(12)の細胞培養システム100の除菌方法であって、殺菌光及び殺菌薬の少なくとも一方を出射している前記殺菌用ユニット60,80,90,95,98を、前記フラスコユニット1の搬送ルートと同一の搬送ルートにより搬送する。
これにより、人の手の届かないような装置内も殺菌用ユニット60,80,90,95,98により自動的に殺菌処理することが可能となる。
【符号の説明】
【0125】
1…フラスコユニット 1b…底面 2…フラスコ 10…フラスコトレイ 20…載置プレート 20a…載置面 40…支持部 50…上部フレーム 50a…開口部 51…第一フレーム片 51a,52a…下面 52…第二フレーム片 53…第三フレーム片 54…第四フレーム片 60,80,90,95,98,99…殺菌用ユニット 61,91,191,291…ベースプレート 61b,91b…底面 62…バッテリ 63…殺菌装置 64…反射板 65,96,196,296…ベースプレート本体 65a…上面 66,166,266,366…被支持部 67…被支持面 67a…位置決め凸部 67b…位置決め凹部 68,168,268…縦壁部 69,169,269…被支持面形成壁部 70…充電ステーション 71…紫外線照射装置 71A…第一紫外線照射装置 71B…第二紫外線照射装置 72…装置ベース部 72a…上面 73,83…出射部 74…第一反射部 75…第二反射部 76…支柱 81…殺菌薬噴射装置 81A…第一殺菌薬噴射装置 81B…第二殺菌薬噴射装置 82…薬液タンク 85…遮蔽板 86…ブラケット 87…ポンプ部 93…側面殺菌装置 97…貫通孔 100…細胞培養システム 110…ストッカ 111…ストッカ本体 112…ラック 113…ストッカ第一ドア 114…ストッカ第二ドア 120…搬入ブース 121…ブース本体 122…搬入ドア 130…インキュベータ 131…インキュベータ本体 132…振盪ステージ 140…クリーンベンチ 141…クリーンベンチ本体 143…分注装置 145…廃液抜き取り装置 149…ステージ 150…パスボックス 162…廃液タンク 170…搬送装置 171…第一搬送ロボット 172…第二搬送ロボット 173…第三搬送ロボット 174…第四搬送ロボット 175…コンベア 176,276…アーム部 177…アーム本体部 177a…対向面 178…支持片部 180…ユニットセット 200…クリーンベンチ外壁 R1…保管エリア R2…搬入エリア R3…培養エリア R4…液操作エリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11