(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025086315
(43)【公開日】2025-06-06
(54)【発明の名称】反応性接着剤、積層体、包装材料、及び包装体
(51)【国際特許分類】
C09J 175/06 20060101AFI20250530BHJP
B32B 7/12 20060101ALI20250530BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20250530BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20250530BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20250530BHJP
【FI】
C09J175/06
B32B7/12
B32B27/00 C
B32B27/40
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024091070
(22)【出願日】2024-06-05
(62)【分割の表示】P 2023199543の分割
【原出願日】2023-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 宣仁
(72)【発明者】
【氏名】兵頭 俊寿
(72)【発明者】
【氏名】門田 昌久
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
4J040
【Fターム(参考)】
3E086AD01
3E086BA13
3E086BA14
3E086BA15
3E086BA24
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4F100AJ02B
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4J040JA02
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4J040JB02
4J040MA10
4J040MB03
4J040MB09
4J040NA16
(57)【要約】
【課題】優れたアルカリ脱離性を有し且つ内容物が酸成分、アルカリ成分、揮発性成分、界面活性剤成分等を含む場合であっても、経時での強度低下が発生しない、リサイクル性と経時での耐内容物性とに優れる反応性接着剤、並びにリサイクル性と経時での耐内容物性とを両立する積層体、包装材料及び包装体の提供。
【解決手段】上記課題は、ポリオール組成物とポリイソシアネートとを含む反応性接着剤であって、ポリオール組成物がポリエステルポリオール(A)及び水酸基と酸性基とを有するロジン変性樹脂(B)を含み、ポリエテルポリオール(A)が多塩基酸又はその誘導体と多価アルコールとを必須原料とし、多塩基酸又はその誘導体における芳香族環を有する多塩基酸又はその誘導体の割合が35質量%以上であり、ポリエステルポリオール(A)に対するロジン変性樹脂(B)の質量比((B)/(A))が0.03~1.5である反応性接着剤によって解決される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール組成物とポリイソシアネートとを含む反応性接着剤であって、
前記ポリオール組成物が、ポリエステルポリオール(A)、及び、水酸基と酸性基とを有するロジン変性樹脂(B)を含み、
前記ポリエテルポリオール(A)が、多塩基酸又はその誘導体と多価アルコールとを必須原料とし、前記多塩基酸又はその誘導体における芳香族環を有する多塩基酸又はその誘導体の割合が35質量%以上であり、
前記ポリエステルポリオール(A)に対する前記ロジン変性樹脂(B)の質量比((B)/(A))が0.03~1.5である、反応性接着剤。
【請求項2】
前記ロジン変性樹脂(B)における酸価(AVB)と水酸基価(OHVB)の値が、下記式(1)を満たす、請求項1に記載の反応性接着剤。
式(1):
AVB(mgKOH/g)/OHVB(mgKOH/g)=0.25~1.0
【請求項3】
前記ポリエステルポリオール(A)の酸価(AVA)と前記ロジン変性樹脂(B)の酸価(AVB)の値が、下記式(2)を満たす、請求項1に記載の反応性接着剤。
式2:
AVA(mgKOH/g)/AVB(mgKOH/g)=0.2~1.7
【請求項4】
前記ロジン変性樹脂(B)が、ロジン酸類(b1)に含まれる共役二重結合を有する有機酸とα,β-不飽和カルボン酸又はその酸無水物(b2)とのディールスアルダー反応によって得られる化合物におけるカルボン酸と、ポリオール(b3)との反応によって形成される、エステル結合を有する反応物を含む、請求項1に記載の反応性接着剤。
【請求項5】
前記ポリエステルポリオール(A)は、数平均分子量が5,000~20,000である、請求項1に記載の反応性接着剤。
【請求項6】
前記ポリイソシアネートが、脂肪族ポリイソシアネート、及び、芳香脂肪族ポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1に記載の反応性接着剤。
【請求項7】
請求項1に記載の反応性接着剤が硬化した硬化物。
【請求項8】
少なくとも2つの樹脂層の間に接着剤層を備える積層体であって、該接着剤層が、請求項7に記載の硬化物である積層体。
【請求項9】
請求項8に記載の積層体を用いた包装材料。
【請求項10】
請求項9に記載の包装材料を用いた包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオール組成物とポリイソシアネートとを含む反応性接着剤であって、アルカリ脱離性を有し、経時での強度低下が発生せず耐内容物性に優れる反応性接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチックフィルムを原料とするパッケージ、プラスチックボトル、その他プラスチック製品は、海洋にゴミとして廃棄・投棄され環境汚染問題となっている。これらのプラスチック製品は海水中で分解されてサブミクロンサイズの破片(マイクロプラスチック)となり海水中に浮遊する。当該マイクロプラスチックは、魚類等の海洋生物に摂取されることで生物体内中に濃縮され、当該海洋生物を食料として摂取する海鳥や人間の健康にも影響することが懸念されている。
【0003】
そこで近年、包装材料においてプラスチックフィルムを積層する際に使用する接着剤として、水やアルカリ水溶液のような脱離液を用いてフィルム間を脱離可能な接着剤を用いることで、包装材料からプラスチックフィルムを分離・回収し、リサイクルする取り組みが行われている。
【0004】
このような特定処理液によりリサイクルが可能となる包装材料、脱離性を有する接着剤組成物として、例えば特許文献1には、ポリイソシアネート組成物及びポリオール組成物に、酸性基を有する樹脂や低分子化合物を添加した反応性接着剤を用いることが記載されている。
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1には、アルカリ脱離性と、シャンプーやコンディショナーのような酸成分、アルカリ成分、香料等の揮発性成分、界面活性剤成分等を含む内容物に対する経時での耐内容物性とを両立する、という本願発明の課題は記載されていない。また、特許文献1に記載の酸性基を有する樹脂や低分子化合物を用いた接着剤は、耐内容物性の課題を解決できない。詳細には、該接着剤を用いた包装材料、シャンプー、コンディショナー、衣料用洗剤、風呂用洗剤、台所用洗剤、柔軟剤、漂白剤のような内容物に対して使用した場合、長期間陳列している間に、内容物中の酸成分、アルカリ成分、香料等の揮発性成分、界面活性剤成分等により接着剤層がダメージを受けて接着強度が低下し、脱離性と経時耐内容物性との両立ができないという課題がある。
したがって本発明の課題は、優れたアルカリ脱離性を有し、且つ、内容物が酸成分、アルカリ成分、揮発性成分、界面活性剤成分等を含む場合であっても、経時での強度低下が発生しない、リサイクル性と経時での耐内容物性とに優れる反応性接着剤、並びに、該反応性接着剤を用いた、リサイクル性と経時での耐内容物性とを両立する積層体、包装材料、及び包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
<1>:ポリオール組成物とポリイソシアネートとを含む反応性接着剤であって、前記ポリオール組成物が、ポリエステルポリオール(A)、及び、水酸基と酸性基とを有するロジン変性樹脂(B)を含み、前記ポリエテルポリオール(A)が、多塩基酸又はその誘導体と多価アルコールとを必須原料とし、前記多塩基酸又はその誘導体における芳香族環を
有する多塩基酸又はその誘導体の割合が35質量%以上であり、前記ポリエステルポリオール(A)に対する前記ロジン変性樹脂(B)の質量比((B)/(A))が0.03~1.5である、反応性接着剤。
【0008】
<2>:前記ロジン変性樹脂(B)における酸価(AVB)と水酸基価(OHVB)の値が、下記式(1)を満たす、<1>に記載の反応性接着剤。
式(1):
AVB(mgKOH/g)/OHVB(mgKOH/g)=0.25~1.0
【0009】
<3>:前記ポリエステルポリオール(A)の酸価(AVA)と前記ロジン変性樹脂(B)の酸価(AVB)の値が、下記式(2)を満たす、<1>又は<2>に記載の反応性接着剤。
式2:
AVA(mgKOH/g)/AVB(mgKOH/g)=0.2~1.7
【0010】
<4>:前記ロジン変性樹脂(B)が、ロジン酸類(b1)に含まれる共役二重結合を有する有機酸とα,β-不飽和カルボン酸又はその酸無水物(b2)とのディールスアルダー反応によって得られる化合物におけるカルボン酸と、ポリオール(b3)との反応によって形成される、エステル結合を有する反応物を含む、<1>~<3>いずれか1項に記載の反応性接着剤。
【0011】
<5>:前記ポリエステルポリオール(A)は、数平均分子量が5,000~20,000である、<1>~<4>いずれか1項に記載の反応性接着剤。
【0012】
<6>:前記ポリイソシアネートが、脂肪族ポリイソシアネート、及び、芳香脂肪族ポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、<1>~<5>いずれか1項に記載の反応性接着剤。
【0013】
<7>:<1>~<6>いずれか1項に記載の反応性接着剤が硬化した硬化物。
【0014】
<8>:少なくとも2つの樹脂層の間に接着剤層を備える積層体であって、該接着剤層が、<7>に記載の硬化物である積層体。
【0015】
<9>:<8>に記載の積層体を用いた包装材料。
【0016】
<10>:請求項9に記載の包装材料を用いた包装体。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、優れたアルカリ脱離性を有し、且つ、酸成分、アルカリ成分、揮発性成分又は界面活性剤成分のような接着剤層へのダメージが大きい成分を内容物とした場合でも経時での強度低下が発生しない、リサイクル性と経時での耐内容物性とに優れる反応性接着剤、並びに、該反応性接着剤を用いた、リサイクル性と経時での耐内容物性とを両立する積層体、包装材料、及び包装体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する実施形態又は要件の説明は、本発明の実施形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
【0019】
<<反応性接着剤>>
本発明の反応性接着剤は、ポリエステルポリオール(A)及び水酸基と酸性基とを有するロジン変性樹脂(B)を含むポリオール組成物と、ポリイソシアネートとを含み、ポリエテルポリオール(A)が、多塩基酸又はその誘導体と多価アルコールとを必須原料とし、多塩基酸又はその誘導体における芳香族環を有する多塩基酸又はその誘導体の割合が35質量%以上であり、且つ、ポリエステルポリオール(A)に対するロジン変性樹脂(B)の質量比((B)/(A))が0.03~1.5であることを特徴とする。
芳香族環を有する多塩基酸の割合が35質量%以上であるポリエステルポリオール(A)と、所定範囲量の水酸基と酸性基とを有するロジン変性樹脂(B)と、を組み合わせて用いることで、経時耐内容物性とアルカリ脱離性(リサイクル性)とを両立することができる。
【0020】
上記効果は以下のメカニズムに因ると推察している。
水酸基と酸性基とを有するロジン変性樹脂を所定範囲量で用いることについて、まず、ロジン樹脂を用いることで、タッキファイヤとして密着性が向上する。
さらに、ロジン樹脂の酸性基により、アルカリ水溶液のような脱離液による接着剤の溶解又は膨潤が促進されるだけでなく、アルカリ水溶液が浸透しやすくなる。これにより、ポリエステルポリオールの加水分解が促進され、脱離性が向上する。
また、ロジン樹脂の水酸基とポリイソシアネートのイソシアネート基とが反応することにより、接着剤層にロジン樹脂由来の高結晶性部位が導入され、内容物が接着剤層に浸透することを抑制し、内容物耐性を向上させる。さらに、質量比(B)/(A)が0.03以上1.5以下であると、内容物耐性とリサイクル性とを両立することができる。
また、ポリエステルポリオールにおいて、芳香族環を有する多塩基酸又はその誘導体の割合が35質量%以上であることで、保管中に、内容物成分がプラスチックフィルムを浸透し接着剤層に到達した場合でもダメージを受け難くなり、長期間にわたり接着強度を維持することができる。
【0021】
すなわち、本発明の反応性接着剤は、芳香族環を有する多塩基酸又はその誘導体の割合が35質量%以上であるポリエステルポリオール(A)を用いる点、酸基と酸性基とを有するロジン変性樹脂(B)を用いる点、並びに、(B)/(A)比が所定範囲である点、に基づく効果が相乗的にはたらき、優れたアルカリ脱離性と、接着剤層へのダメージが大きい成分を含む内容物に対する優れた経時耐内容物性と、の両立を達成することができる。
【0022】
<ポリオール組成物>
本発明におけるポリオール組成物は、上述のとおり、多塩基酸又はその誘導体における芳香族環を有する多塩基酸又はその誘導体の割合が35質量%以上であるポリエステルポリオール(A)、及び、水酸基と酸性基とを有するロジン変性樹脂(B)を、(B)/(A)が0.03~1.5の範囲で含むことが重要である。
ポリエステルポリオール(A)が、芳香族環を有する多塩基酸又はその誘導体の割合が35質量%以上であることで、保管中に、内容物成分がプラスチックフィルムを浸透し接着剤層に到達した場合でもダメージを受け難くなり、長期間にわたり接着強度を維持することができる。芳香族環を有する多塩基酸又はその誘導体の割合は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上である。また、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。
また、質量比(B)/(A)が0.03以上1.5以下であることで、ロジン樹脂の水酸基とポリイソシアネートのイソシアネート基とが反応し接着剤層にロジン樹脂由来の高結晶性部位が導入され、内容物が接着剤層に浸透することを抑制することができる。質量比(B)/(A)は、内容物耐性とリサイクル性とを両立する観点から、好ましくは、0.1以上、より好ましくは0.15以上である。また、好ましくは1.25以下、より好ましくは1.0以下である。
【0023】
[ポリエステルポリオール(A)]
ポリエステルポリオール(A)は、多塩基酸又はその誘導体と、多価アルコールと、を必須原料とし、前記多塩基酸又はその誘導体の全質量を基準として、芳香族環を有する多塩基酸又はその誘導体の割合が35質量%以上であることが重要である。このようなポリエステルポリオール(A)を含むことにより、優れた経時耐内容物性を付与できるため好ましい。ポリエステルポリオール(A)は、1種を単独で用いてもよく、塗工性や性能向上の観点から、分子量やガラス転移温度の異なる2種以上を併用してもよい。
【0024】
(多塩基酸又はその誘導体、多価アルコール)
上記多塩基酸又はその誘導体としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、ナフタル酸、無水ナフタル酸等の芳香環を有する多塩基酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ドデカンカルボン酸、フマル酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の脂肪族多塩基酸;それらのアルキルエステル;又はそれらの混合物が挙げられる。
さらに、安息香酸、フェニル酢酸、3-フェニルプロピオン酸のような単官能カルボン酸を分子量調整のため併用してもよい。
【0025】
上記多価アルコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ジネオペンチルグリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエーテルポリオール等のアルキレンオキサイド鎖を有する多価アルコール;エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、1,9-ノナンジオール等のアルキレンオキサイド鎖を有しない多価アルコール;又はそれらの混合物が挙げられる。
また、上記水酸基成分として、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオール又はそれらの混合物を用いてもよい。
さらに、単官能アルコールを分子量調整のため併用してもよい。
【0026】
上記多塩基酸又はその誘導体、及び、多価アルコールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
ポリエステルポリオール(A)は、ポリエステルポリオール中の水酸基にポリイソシアネートを反応させてウレタン結合を導入したものであってもよい。ウレタン結合を有することで、優れた耐熱性、接着性を発揮する。上記ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
【0028】
ポリエステルポリオール(A)は、ポリエステルポリオール中の水酸基の一部を酸変性した酸変性物であってもよく、例えば、酸無水物を反応させてカルボキシ基を導入したであってもよい。上記酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、無水メリト酸、無水トリメリット酸、トリメリット酸エステル無水物が挙げられる。トリメリット酸エステル無水物としては、例えば、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、プロピ
レングリコールビスアンヒドロトリメリテートが挙げられる。
ポリエステルポリオール(A)が酸性基を有することで、アルカリ脱離性が向上するため好ましい。
【0029】
ポリエステルポリオール(A)の酸価(AVA)は、好ましくは5.0mgKOH/g以上、より好ましくは10.0mgKOH/g以上である。また、好ましくは100mgKOH/g以下、より好ましくは80mgKOH/g以下である。ポリエステルポリオール(A)の酸価が上記範囲であると、アルカリ水溶液である脱離液と接触させた際に、アルカリ水溶液の浸透・分解が促進され、より優れた脱離性を発揮する。
【0030】
ポリエステルポリオール(A)の数平均分子量(Mn)は、好ましくは3,000以上、より好ましくは5,000以上、さらに好ましくは7,000以上である。また、好ましくは25,000以下、より好ましくは20,000以下、さらに好ましくは15,000以下である。ポリエステルポリオール(A)の数平均分子量が3,000以上であると、塗工性と内容物耐性が向上する。25,000以下であると、塗工性と脱離性が向上する。例えば、この割合は、3,000~25,000であってよく、5,000~20,000であってよく、7,000~15,000であってよい。
【0031】
ポリオール組成物が、2種以上のポリエステルポリオール(A)を含有する場合、主成分(例えば、60質量%以上)として含まれる少なくとも一つのポリエステルポリオール(A)が、上記酸価、及び数平均分子量であることで、上述する効果を得ることができる。
【0032】
ポリオール組成物が、2種以上のポリエステルポリオール(A)を含有する場合、少なくとも一つのポリエステルポリオール(A)は、基材密着性、及び塗工性の観点から、数平均分子量3,000未満であってよい。数平均分子量が3,000未満のポリエステルポリオールの含有量は、ポリエステルポリオール(A)の全質量を基準として、好ましくは0~40質量%、より好ましくは0~30質量%である。40質量%以下であると、内容物への耐性を維持できる。
すなわち、ポリエステルポリオール(A)の全質量を基準として、数平均分子量が3,000未満のポリエステルポリオールの含有量は、好ましくは40質量%以下であってよく、より好ましくは30質量%以下であってよい。一実施形態において、上記配合量は0質量%であってもよい。
【0033】
[水酸基と酸性基とを有するロジン変性樹脂(B)]
本発明におけるロジン変性樹脂(B)は、樹脂骨格中に、ロジン由来の骨格を含有し、且つ、水酸基と酸性基とを有するものである。ロジン由来の骨格、水酸基、及び酸性基を有することで、接着剤の硬化物である接着剤層に、脱離性と経時内容物耐性を付与することができる。このようなロジン変性樹脂(B)としては、例えば、アビエチン酸、パラストリン酸、イソピマル酸等を主成分とするロジンを出発原料とした種々の誘導体が挙げられ、例えば、ロジンの無水マレイン酸又はフマル酸変性品、ロジンのフェノール樹脂変性品、ロジンのポリオール変性品が挙げられる。
【0034】
一実施形態において、ロジン変性樹脂(B)は、経時耐内容物性の観点から、ロジン酸類(b1)に含まれる共役二重結合を有する有機酸とα,β-不飽和カルボン酸又はその酸無水物(b2)とのディールスアルダー反応によって得られる化合物におけるカルボン酸と、ポリオール(b3)との反応によって形成される、エステル結合を有する反応物を含むことが好ましい。
【0035】
一実施形態において、ロジン変性樹脂(B)は、経時耐内容物性と塗工性の観点から、
ロジン酸類(b1)に含まれる共役二重結合を有する有機酸とα,β-不飽和カルボン酸又はその酸無水物(b2)とのディールスアルダー反応によって得られる化合物、及び、ロジン酸類(b1)のうち共役二重結合を有さない有機酸の、それぞれにおけるカルボン酸と、ポリオール(b3)との反応によって形成される、エステル結合を有する反応物を含むことがより好ましい。
【0036】
一実施形態において、ロジン変性樹脂(B)は、経時耐内容物性と塗工性の観点から、ロジン酸類(b1)に含まれる共役二重結合を有する有機酸とα,β-不飽和カルボン酸又はその酸無水物(a2)とのディールスアルダー反応によって得られる化合物、ロジン酸類(b1)のうち共役二重結合を有さない有機酸、及び、有機酸又はその酸無水物(b4)(ロジン酸(b1)、α,β-不飽和カルボン酸又はその酸無水物(b2)を除く)の、それぞれにおけるカルボン酸と、ポリオール(b3)との反応によって形成されるエステル結合を有する反応物を含むことがさらに好ましい。
【0037】
〔ロジン酸類(b1)〕
本発明におけるロジン酸類(b1)は、環式ジテルペン骨格を有する一塩基酸を指し、ロジン酸、不均化ロジン酸、水添ロジン酸、又は前記化合物のアルカリ金属塩等であってもよい。具体的には、共役二重結合を有するアビエチン酸、及びその共役化合物である、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、及びレボピマル酸等が挙げられる。また、共役二重結合を有さないピマル酸、イソピマル酸、サンダラコピマル酸、及びデヒドロアビエチン酸等が挙げられる。またこれらのロジン酸類(b1)を含有する天然樹脂として、例えば、ガムロジン、トール油ロジン、及びウッドロジンが挙げられる。
【0038】
ロジン系樹脂(B)得るために使用するロジン酸類(b1)の配合量は、ロジン変性樹脂(B)原料の全質量を基準として、好ましくは10~60質量%、より好ましくは20~60質量%である。ロジン酸類(b1)の配合量が10質量%以上であると、アルカリ溶解性が向上し脱離性が良好になる。また、上記ロジン酸類(b1)の配合量が60質量%以下であると、経時耐内容物性が良好になる。
【0039】
〔α,β-不飽和カルボン酸又はその酸無水物(b2)〕
α,β-不飽和カルボン酸又はその酸無水物(b2)としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、及びこれらの酸無水物が挙げられる。ロジン酸類(b1)との反応性の観点から、好ましくはマレイン酸又はその酸無水物である。
【0040】
上記ディールスアルダー反応において、α,β-不飽和カルボン酸又はその酸無水物(b2)の配合量は、ロジン酸類(b1)に対して、好ましくは60~200モル%、より好ましくは70~180モル%、さらに好ましくは80~160モル%の範囲である。α,β-不飽和カルボン酸又はその酸無水物(b2)の配合量が上記範囲内であると、基材密着性、及び経時耐内容物性に優れるロジン変性樹脂(B)を容易に得ることができる。
【0041】
〔有機酸又はその酸無水物(b4)(ロジン酸(b1)、α,β-不飽和カルボン酸又はその酸無水物(b2)を除く)〕
一実施形態において、ロジン変性樹脂を得るために、ロジン酸類(b1)、α,β-不飽和カルボン酸又はその酸無水物(b2)に加えて、これ以外の有機酸又はその酸無水物(a4)の1種を単独又は2種類以上を組合せて使用することもできる。上記有機酸又はその酸無水物(b4)としては、例えば、以下が挙げられる。
【0042】
(有機一塩基酸)
安息香酸、メチル安息香酸、ターシャリーブチル安息香酸、ナフトエ酸、及びオルトベ
ンゾイル安息香酸等の芳香族一塩基酸;共役リノール酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸、及びカレンジン酸等の共役二重結合を有するが環式ジテルペン骨格を有さない化合物。
【0043】
(脂肪酸)
アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ひまし油脂肪酸、大豆油脂肪酸、トール油脂肪酸、ヌカ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、脱水ひまし油脂肪酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸等。
【0044】
(脂環式多塩基酸又はその酸無水物)
1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、3-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、4-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、及びこれらの酸無水物等。
【0045】
(その他の有機多塩基酸又はその酸無水物)
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、o-フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、及びこれらの酸無水物等。
【0046】
上記有機酸又はその酸無水物(b4)の配合量は、ロジン変性樹脂(B)原料の全質量を基準として、好ましくは0~60質量%、より好ましくは0~50質量%である。すなわち、ロジン変性樹脂原料の全配合量を基準として、有機酸又はその酸無水物(b4)の配合量は、好ましくは60質量%以下であってよく、より好ましくは50質量%以下であってよい。一実施形態において、上記配合量は0質量%であってもよい。
【0047】
〔ポリオール(b3)〕
ポリオール(b3)は、ロジン酸類(b1)に含まれる共役二重結合を有する有機酸とα,β-不飽和カルボン酸又はその酸無水物(a2)とのディールスアルダー反応によって得られる化合物、ロジン酸類(b1)のうち共役二重結合を有さない有機酸、及び、有機酸又はその酸無水物(b4)の、それぞれにおけるカルボン酸との反応によってエステル結合を形成する。ポリオール(b3)の具体例として、例えば、以下が挙げられる。
【0048】
(直鎖状アルキレン2価ポリオール)
エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,2-ドデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,2-テトラデカンジオール、1,16-ヘキサデカンジオール、及び1,2-ヘキサデカンジオール等。
【0049】
(分岐状アルキレン2価ポリオール)
2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオ-ル、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ジ
メチロールオクタン、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、及び2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール等。
【0050】
(環状2価ポリオール)
1,2-シクロヘプタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールS、水添カテコール、水添レゾルシン、及び水添ハイドロキノン等の環状アルキレン2価ポリオール;並びにビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン等の芳香族2価ポリオール等。
【0051】
(その他2価のポリオール)
ポリエチレングリコール(n=2~20)、ポリプロピレングリコール(n=2~20)、及びポリテトラメチレングリコール(n=2~20)等の2価のポリエーテルポリオール、並びにポリエステルポリオール等。
【0052】
(3価のポリオール)
グリセリン、トリメチロ-ルプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール、3-メチル
ペンタン-1,3,5-トリオール、ヒドロキシメチルヘキサンジオール、及びトリメチロールオクタン等。
【0053】
(4価以上のポリオール)
ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロ-ルプロパン、ジペンタエリスリト-ル、ソルビトール、イノシトール、及びトリペンタエリスリトール等。
【0054】
〔ロジン変性樹脂(B)の性状〕
本発明におけるロジン変性樹脂(B)は、酸価(AVB)が好ましくは10mgKOH/g以上である。また、好ましくは100mgKOH/g以下、より好ましくは80mgKOH/g以下である。ロジン変性樹脂(B)の酸価が10mgKOH/g以上であるとアルカリ可溶性に優れ脱離性が向上する。100mgKOH/g以下であると内容物耐性が向上する。例えば、この割合は、10~100mgKOH/gであってよく、10~80mgKOH/gあってよい。
【0055】
ロジン変性樹脂(B)の水酸基価(OHVB)は、好ましくは10mgKOH/g以上、より好ましくは15mgKOH/g以上である。また、好ましくは、300mgKOH/g以下、より好ましくは250mgKOH/g以下である。この範囲であると内容物耐性が向上する。例えば、この割合は、10~300mgKOH/gであってよく、15~250mgKOH/gあってよい。
【0056】
ロジン変性樹脂(B)における酸価(AVB)と水酸基価(OHVB)の値は、経時耐内容物性の観点から、下記式(1)を満たすことが好ましい。
式(1):
AVB(mgKOH/g)/OHVB(mgKOH/g)=0.25~1.0
上記式(1)の値は、より好ましくは、0.3~0.8である。
【0057】
ポリエステルポリオール(A)の酸価(AVA)とロジン変性樹脂(B)の酸価(AVB)の値は、下記式(2)を満たすことが好ましい。0.2以上であると脱離性と経時耐内容物性の観点で優れる。1.7以下であると耐内容物性の観点で優れる。
式2:
AVA(mgKOH/g)/AVB(mgKOH/g)=0.2~1.7
上記式(2)の値は、より好ましくは、0.3~1.5である。
【0058】
ロジン変性樹脂(B)の融点は、経時内容物耐性の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上である。また、好ましくは100℃以下である。なお融点は、BUCHI社製のMeltingPointM-565を用い、昇温速度0.5℃/分の条件下で測定できる。
【0059】
ロジン変性樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは3,000~50,000、より好ましくは3,000~30,000である。この範囲であると、経時内容物耐性と脱離性との両立の観点で優れる。
【0060】
ロジン変性樹脂(B)の数平均分子量(Mn)は、好ましくは500~3,000、より好ましくは500~2,500である。この範囲であると、接着剤としての塗工性に優れる。
【0061】
ロジン変性樹脂(B)の数平均分子量に対する重量平均分子量の割合(Mw/Mn)は、好ましくは5~35、より好ましくは7~30である。この範囲であると、接着剤としての塗工性に優れ、さらに経時経時内容物耐性と脱離性の両立の観点で優れる。
【0062】
[ポリオール組成物が含有してもよいその他成分]
ポリオール組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエステルポリオール(A)以外のポリオール(以下、その他ポリオールと記載する。)を含有してもよい。このようなその他ポリオールとしては、例えば、多塩基酸又はその誘導体における芳香族環を有する多塩基酸又はその誘導体の割合が35質量%未満のポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、ヒマシ油系ポリオール、フッ素系ポリオールが挙げられる。
【0063】
ポリオール組成物は、脱離性向上の観点から、酸性基を有する化合物(但し、ポリエステルポリオール(A)及びロジン変性樹脂(B)を除く)を含有してもよい。酸性基を有する化合物としては、例えば、酸性基を有する樹脂又は酸性基を有する低分子化合物を使用できる。
【0064】
酸性基を有する樹脂における「樹脂」とは、重量平均分子量が1,000以上の化合物を意味する。酸性基を有する樹脂としては、例えば、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ケトン樹脂、ポリエステル樹脂、(
メタ)アクリル樹脂が挙げられる。上記酸性基としては、例えば、カルボキシ基、リン酸
基、スルホ基、スルフィノ基等若しくはそれらのエステル又は塩が挙げられる。
酸性基を有する樹脂として、例えば、マレイン化ロジン、及びフマル化ロジン等の酸価を有するロジン変性樹脂を用いることができる。
また、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸等のカルボキシ基を有する重合性モノマー;無水イタコン酸、無水マレイン酸等の酸無水物である重合性モノマー;スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有する重合性モノマー;ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有する重合性モノマー;のような酸性基を有する重合性モノマーを共重合させた、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(無水)マレイン酸樹脂、テルペン-(無水)マレイン酸樹脂等のラジカル共重合体や、酸変性されたポリオレフィン樹脂を用いることができる。
【0065】
酸性基を有する低分子化合物は、分子量が1,000未満の化合物を指す。このような化合物としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ソルビン酸等の不飽和脂肪酸;乳酸、リンゴ酸、クエン酸等のヒドロキシ酸;安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸等の芳香族カルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸等のジカルボン酸;アコニット酸等のトリカルボン酸;ピルビン酸、オキサロ酢酸等のオキソカルボン酸;アミノ酸、ニトロカルボン酸等のカルボン酸誘導体;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の酸無水物が挙げられる。
【0066】
ポリオール組成物全体としての酸価は、好ましくは5~130mgKOH/g、より好ましくは5~100mgKOH/gである。この範囲であると、経時内容物耐性と脱離性との両立の観点で優れる。
【0067】
<ポリイソシアネート>
本発明におけるポリイソシアネートは、1分子中にイソシアネート基を2つ以上有する化合物である。ポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、及び芳香脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。上記ポリイソシアネートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0068】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;上記ジイソシアネートから誘導された、アロファネートタイプ、ヌレートタイプ、ビウレットタイプ、アダクトタイプの誘導体、若しくはその複合体等のポリイソシアネート(例えば、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等)が挙げられる。
【0069】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート等の非環状の脂肪族ジイソシアネート;1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(以下、イソホロンジイソシアネート)等の脂環式ジイソシアネート;上記ジイソシアネートから誘導された、アロファネートタイプ、ヌレートタイプ、ビウレットタイプ、アダクトタイプの誘導体、若しくはその複合体等のポリイソシアネートが挙げられる。
誘導体として好ましくは、ヌレートタイプ、アダクトタイプである。脂肪族ポリイソシアネートとしては、脱離性とラミネート物性のバランスが確保しやすいヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIともいう)から誘導されたポリイソシアネートが好ましい。
【0070】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-又は1,4-キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、ω,ω′-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-又は1,4-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート;上記ジイソシアネートから誘導された、アロファネートタイプ、ヌレートタイプ、ビウレットタイプ、アダクトタイプの誘導体、若しくはその複合体等のポリイソシアネートが挙げられる。
【0071】
ポリイソシアネートは、脱離性の観点から、好ましくは、脂肪族ポリイソシアネート、及び芳香脂肪族ポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むもので
ある。
【0072】
<<反応性接着剤の製造>>
本発明における反応性接着剤は、ポリオール組成物、及びポリイソシアネートに加えて、任意に有機溶剤、その他成分等を混合することで製造することができる。
ポリイソシアネートの配合量は、ポリオール組成物中の全水酸基数に対する、ポリイソシアネート中の全イソシアネート基数の比(NCO/OH)が、0.3~10.0になるよう配合してもよい。比(NCO/OH)は、好ましくは0.3~7.0、より好ましくは0.5~5.0である。
【0073】
<有機溶剤>
本発明の反応性接着剤は、溶剤型又は無溶剤型のいずれであってもよく、必要に応じて有機溶剤を含有してもよい。上記有機溶剤としては、上述するポリオール組成物やポリイソシアネートを溶解可能であり、且つ、ポリイソシアネートに対して不活性なものが好適に用いられる。このような有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤が挙げられ、適宜選択して使用できる。
【0074】
<その他成分>
(シランカップリング剤)
本発明の反応性接着剤は、耐熱水性を高めるため、さらに、シランカップリング剤を含有することができる。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基を有するトリアルコキシシラン;3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するトリアルコキシシラン;3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のグリシジル基を有するトリアルコキシシラン;が挙げられる。シランカップリング剤の配合量は、反応性接着剤の固形分を基準として、好ましくは0.1~5質量%、より好ましくは0.5~3質量%である。
【0075】
(リンの酸素酸又はその誘導体)
本発明の反応性接着剤は、耐酸性を高めるため、さらに、リンの酸素酸又はその誘導体を含有することができる。前記リンの酸素酸としては、遊離の酸素酸を少なくとも1個有しているものであればよく、例えば、次亜リン酸、亜リン酸、オルトリン酸、次リン酸等のリン酸類;メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ポリリン酸、ウルトラリン酸等の縮合リン酸類;が挙げられる。リンの酸素酸の誘導体としては、例えば、上記リンの酸素酸を遊離の酸素酸を少なくとも1個残した状態でアルコール類と部分的にエステル化されたものが挙げられる。該アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等の脂肪族アルコール;フェノール、キシレノール、ハイドロキノン、カテコール、フロログリシノール等の芳香族アルコール;が挙げられる。
リンの酸素酸又はその誘導体は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。リンの酸素酸又はその誘導体の配合量は、反応性接着剤の固形分を基準として、好ましくは0.01~10質量%、より好ましくは0.05~5質量%である、さらに好ましくは0.1~1質量%である。
【0076】
(レベリング剤又は消泡剤)
本発明の反応性接着剤は、積層体の外観を向上させるため、さらにレベリング剤又は消泡剤を含有することができる。レベリング剤としては、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエー
テルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、アクリル系共重合物、メタクリル系共重合物、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、アクリル酸アルキルエステル共重合物、メタクリル酸アルキルエステル共重合物、レシチンが挙げられる。
消泡剤としては、例えば、シリコーン樹脂、シリコーン溶液、アルキルビニルエーテルとアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルとの共重合物が挙げられる。
【0077】
(エポキシ樹脂)
本発明の反応性接着剤は、エポキシ樹脂を含有してもよい。エポキシ樹脂が酸キャッチャーとして作用してポリエステルポリオールの加水分解を抑制し、内容物耐性が向上する。脱離性の観点から、エポキシ樹脂の配合量は、ポリオール組成物中の固形分を基準として、好ましくは3~40質量%である。
【0078】
本発明の反応性接着剤は、さらに、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、防黴剤、増粘剤、可塑剤、顔料、充填剤、硬化反応を調節するための触媒等の添加剤を含有してもよい。
【0079】
本発明の反応性接着剤の粘度は、好ましくは常温~150℃で100~10,000mPa・s、好ましくは常温~100℃で100~10,000mPa・sであり、100~5,000mPa・sの場合は無溶剤型として用いることができる。反応性接着剤の粘度が上記範囲より高い場合は、有機溶剤で希釈してもよい。
【0080】
<<積層体>>
本発明の積層体は、少なくとも2つの樹脂層の間に、反応性接着剤が硬化した硬化物である接着剤層を備えるものである。接着剤層は、反応性接着剤を、ロールコート等の公知の方法でラミネート加工後、例えば20~60℃の条件下で24時間~1週間程度硬化させることで硬化し、硬化物を形成する。
反応性接着剤の乾燥後塗布量は、用途に応じて適宜選択することができ、通常1~10g/m2の範囲であり、好ましくは、無溶剤型で1~2.5g/m2、溶剤型で1~6g/m2の範囲である。また、接着剤層の厚みは、通常1~6μmの範囲であり、好ましくは、無溶剤型で1~2.5μm、溶剤型で1~6μmの範囲である。
【0081】
本発明の積層体における接着剤層は、アルカリ水溶液に対し優れた脱離性を示し、接着剤層を樹脂基材等の樹脂層から脱離(分離)させることができるため、樹脂層を分離回収し、リサイクルすることができる。アルカリ水溶液としては、特に限定されず、公知の塩基性化合物の水溶液を用いることができるが、好ましくは、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む水溶液であり、例えば、25~120℃、0.5~20質量%のものが用いられる。アルカリ水溶液は、分離回収性の向上、再生材とした場合の相溶性向上等の観点から、界面活性剤、消泡剤、相溶化剤等の成分を含有してもよい。
【0082】
本発明の積層体は、優れたアルカリ脱離性を有し、内容物が酸成分、アルカリ成分、揮発性成分、界面活性剤成分等を含む場合であっても、経時での強度低下が発生せず耐内容物性に優れるため、飲料や食品包装用途だけでなく、シャンプー、ヘアコンディショナー、及びヘアリンス等の液状のヘアケア剤、ボディソープ、及びハンドソープ等の液体石鹸、衣類や食器用の液体洗剤、柔軟剤や漂白剤等の仕上げ剤、バストイレや床洗浄用の液体洗浄剤、液状の化粧品、医薬品等の詰替えパウチに好適に使用できる。
【0083】
(樹脂層)
樹脂層としては、例えば、包装用積層体に一般的に使用されているプラスチックフィル
ム、及びシーラント等を使用できる。
プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)等のポリエステル樹脂フィルム;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂フィルム;ポリスチレン樹脂フィルム;ナイロン6、ポリ-p-キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)等のポリアミド樹脂フィルム;ポリカーボネート樹脂フィルム;ポリアクリルニトリル樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;これらの複層体(例えば、ナイロン6/MXD6/ナイロン6、ナイロン6/エチレン-ビニルアルコール共重合体/ナイロン6)や混合体等が用いられる。中でも、機械的強度や寸法安定性を有するものが好ましい。
【0084】
シーラントとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン、酸変性ポリエチレン、未延伸ポリプロピレン(CPP)、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン-ビニルアセテート共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマー等のポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
上記プラスチックフィルム及びシーラントは、アルミニウム、シリカ、アルミナ等の蒸着層であるガスバリア層を有していてもよい。
【0085】
シーラントを積層する方法は特に限定されず、例えば、接着剤層とシーラントフィルムとを熱によってラミネートする方法(熱ラミネート法)、及びシーラント樹脂を溶融させて接着剤層上に押出し、冷却固化させて積層する方法(押出ラミネーション法)が挙げられ、用途に応じて適宜選択できる。
シーラントの厚みは特に限定されないが、加工性、及びヒートシール性等の観点から、好ましくは10~200μm、より好ましくは15~150μmである。シーラントは、高低差5~20μmの凸凹を設けることで、滑り性や引き裂き性を付与してもよい。
【0086】
本発明の積層体は、印刷層を有していてもよい。印刷層は、装飾、美感の付与、内容物、賞味期限、製造者又は販売者の表示等を目的とした、任意の印刷模様を形成する層であり、ベタ印刷層も含む。印刷層は、着色剤、分散剤、及びバインダー樹脂等を含み、単層又は複数の層から形成されていてもよく、アルカリ脱離性を有していてもよい。
【0087】
本発明の積層体は、プライマー層を有していてもよく、公知のアルカリ脱離性を有する層であってもよい。プライマー層がアルカリ脱離性を有する場合、プライマー層は、樹脂層と接して配置され、水溶性樹脂、又は酸性基を有する化合物を有していてもよい。
【0088】
本発明の積層体は、金属箔、紙等の層を有していてもよい。金属箔としては、例えば、アルミニウム箔が挙げられる。金属箔の厚みは、経済的な面から3~50μm程度であることが好ましい。紙としては、天然紙や合成紙等が挙げられる。
【0089】
積層体の構成は特に限定されないが、内容物として酸成分、アルカリ成分、揮発性成分、界面活性剤成分等を含む場合における耐内容物性、及び強度の観点から、プラスチックフィルム、金属箔又はガスバリア層、及びシーラントを有する構成であることが好ましい。
具体的な構成としては、例えば、以下が挙げられるがこれらに限定されない。
2軸延伸ポリプロピレン(OPP)/接着剤層/CPP、OPP/接着剤層/AL蒸着CPP、ナイロン(NY)/接着剤層/LLDPE、NY/接着剤層/CPP、PET/接着剤層/NY/接着剤層/LLDPE、NY/接着剤層/PET/接着剤層/LLDPE、PET/接着剤層/AL蒸着PET/接着剤層/LLDPE、PET/接着剤層/NY/接着剤層/CPP、透明蒸着PET/接着剤層/NY/接着剤層/CPP、PET/
接着剤層/AL/接着剤層/CPP、PET/接着剤層/AL/接着剤層/LLDPE、PET/接着剤層/NY/接着剤層/AL/接着剤層/CPP、PET/接着剤層/AL/接着剤層/NY/接着剤層/CPP。
【実施例0090】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を表す。
【0091】
<分子量及び分子量分布>
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定を行い、ポリスチレンを標準物質に用いた換算分子量として求めた。測定条件を以下に示す。
GPC装置:レゾナック製 Shodex GPC-104
カラム:下記カラムを直列に連結して使用した。
レゾナック製 Shodex LF-404 2本
レゾナック製 Shodex LF-G
検出器:RI(示差屈折計)
測定条件:カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.3mL/分
【0092】
<酸価、水酸基価>
酸価及び水酸基価は、JIS K 0070(1992)に記載の方法に従って測定した。
【0093】
<ガスクロマトグラフ質量分析>
ディールスアルダー付加反応の反応液をガスクロマトグラフィー質量分析計で分析し、原料として使用した、ロジン酸類(b1)、及びα,β-不飽和カルボン酸又はその酸無水物(b2)の検出ピークの減少によって反応の進行を確認した。検出ピークの減少に変化が見られない時点で反応完了を確認した。
【0094】
<プライマー層用樹脂の合成>
[合成例1-1](ポリウレタン樹脂P1)
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌装置、及び温度計を備えた反応器中で窒素ガスを導入しながら、PPA(プロピレングリコールとアジピン酸の重縮合物からなる、数平均分子量2,000のポリエステルポリオール)115.7部、PPG(ポリプロピレングリコールからなる、数平均分子量2,000のポリエーテルポリオール)11.6部、DMPA(2,2-ジメチロールプロパン酸)を19.7部、IPDI(イソホロンジイソシアネート)81.0部、NPAC(酢酸ノルマルプロピル)160部を仕込み、90℃で5時間反応させて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液を得た。
次いで、AEA(2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール)を12.0部、IPA(イソプロピルアルコール)を280部混合したものを、室温で60分間かけて滴下した後、70℃で3時間反応させて、ポリウレタン樹脂溶液を得た。
得られたポリウレタン樹脂溶液に、NPAC64部とIPA56部を加えて固形分を調整し、固形分濃度30%、重量平均分子量25,000、Mw/Mn=3.2、酸価34.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂P1の溶液を得た。
【0095】
[合成例1-2](ポリウレタン樹脂P2)
表1に記載の原料及び仕込み量を用いた以外は合成例1-1と同様の手法により、ポリウレタン樹脂P2の溶液を得た。
【0096】
【0097】
以下に、表1中の略称を示す。
PPA:プロピレングリコールとアジピン酸の重縮合物からなる、数平均分子量2,000のポリエステルポリオール
PPG:ポリプロピレングリコールからなる、数平均分子量2,000のポリエーテルポリオール
DMPA:2,2-ジメチロールプロパン酸
BD:1,4-ブタンジオール
IPDI:イソホロンジイソシアネート
NPAC:酢酸ノルマルプロピル
AEA:2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール
IPA:イソプロピルアルコール
【0098】
<プライマー層形成用組成物の製造>
[製造例1-1](プライマー組成物S1)
ポリウレタン樹脂P1溶液87部、EA(酢酸エチル)5部、IPA5部、シリカ粒子(水澤化学製P-73:平均粒子径3.8μmの親水性シリカ粒子)3部を、ディスパーを用いて撹拌混合して、プライマー組成物S1を得た。
【0099】
[製造例1-2](プライマー組成物S2)
表2に示した原料及び配合比に変更した以外は、製造例1-1と同様の手法により、プライマー組成物S2を得た。
【0100】
【0101】
以下に、表2中の略称を示す。
マレイン化ロジン溶液:荒川化学製 マルキードNo.32(酸価130mgKOH/g、固形分濃度100%品)を酢酸エチルにて固形分濃度30%に希釈した溶液
【0102】
<ポリエステルポリオール(A)の合成>
[合成例2-1](ポリエステルポリオールA1)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、エチレングリコール156部、ネオペンチルグリコール262部、イソフタル酸310部、アジピン酸272部を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら250℃まで昇温し、エステル化反応を行った。所定量の水が留出し、酸価が5以下になるまで反応を続けた後に、徐々に減圧を行って、1mmHg以下で5時間脱グリコール反応を行い、ポリエステルポリオールを得た。このポリエステルポリオール100部に無水トリメリット酸を3.9部添加し、180℃で約2時間反応させ、その後、不揮発分50%になるまで酢酸エチルで希釈することで、数平均分子量(Mn)2,500、酸価22.1mgKOH/gの部分酸変性ポリエステルポリオールA1の溶液を得た。
【0103】
[合成例2-2](ポリエステルポリオールA2)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、エチレングリコール114部、ネオペンチルグリコール143部、1,6-ヘキサンジオール163部、テレフタル酸122部、イソフタル酸244部、アジピン酸215部を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら250℃まで昇温し、エステル化反応を行った。所定量の水が留出し、酸価が5以下になるまで反応を続けた後に、徐々に減圧を行って、1mmHg以下で5時間脱グリコール反応を行い、ポリエステルポリオールを得た。このポリエステルポリオール100部に無水トリメリット酸を7.4部添加し、180℃で約2時間反応させ、その後不揮発分50%になるまで酢酸エチルで希釈することで、Mn5,100、酸価40.2mgKOH/gの部分酸変性ポリエステルポリオールA2の溶液を得た。
【0104】
[合成例2-3](ポリエステルポリオールA3)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、エチレングリコール121部、ネオペンチルグリコール135部、1,6-ヘキサンジオール128部、イソフタル酸419部、アジピン酸53部、セバシン酸146部を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら250℃まで昇温し、エステル化反応を行った。所定量の水が留出し、酸価が5以下になるまで反応を続けた後に、徐々に減圧を行って、1mmHg以下で5時間脱グリコール反応を行い、ポリエステルポリオールを得た。その後、イソホロンジイソシアネート23部を徐々に添加し、150℃で約2時間反応を行い、ポリエステルポリウレタンポリオールを得た。このポリエステルポリウレタンポリオール100部にエチレングリコールビスアンヒドロトリメリテートを13.2部添加し、180℃で約2時間反応させ、その後不揮発分50%になるまで酢酸エチルで希釈することで、Mn10,000、酸価32.2mgKOH/gの部分酸変性ポリエステルポリオールA3の溶液を得た。
【0105】
[合成例2-4](ポリエステルポリオールA4)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、エチレングリコール106部、ネオペンチルグリコール177部、1,6-ヘキサンジオール101部、テレフタル酸177部、イソフタル酸177部、アジピン酸62部、セバシン酸201部を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら250℃まで昇温し、エステル化反応を行った。所定量の水が留出し、酸価が5以下になるまで反応を続けた後に、徐々に減圧を行って、1mmHg以下で5時間脱グリコール反応を行い、ポリエステルポリオールを得た。その後、イソホロンジイソシアネート5.0部を徐々に添加し、150℃で約2時間反応を行い、ポリエステルポリウレタンポリオールを得た。このポリエステルポリウレタンポリオール100部に無水トリメリット酸を0.5部添加し、180℃で約2時間反応させ、その後固形分濃度50%になるまで酢酸エチルで希釈することで、Mn12,000、酸価2.4mgKOH/gの部分酸変性ポリエステルポリオールA4の溶液を得た。
【0106】
[合成例2-5](ポリエステルポリオールA5)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、エチレングリコール88部、ネオペンチルグリコール127部、1,6-ヘキサンジオール96部、ジエチレングリコール65部、テレフタル酸92部、イソフタル酸276部、アジピン酸108部、セバシン酸149部を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら250℃まで昇温し、エステル化反応を行った。所定量の水が留出し、酸価が5以下になるまで反応を続けた後に、徐々に減圧を行って、1mmHg以下で5時間脱グリコール反応を行い、ポリエステルポリオールを得た。その後、イソホロンジイソシアネート28.0部を徐々に添加し、150℃で約2時間反応を行い、ポリエステルポリウレタンポリオールを得た。このポリエステルポリウレタンポリオール100部にエチレングリコールビスアンヒドロトリメリテートを5.6部添加し、180℃で約2時間反応させ、その後固形分濃度50%
になるまで酢酸エチルで希釈することで、Mn19,100、酸価14.7mgKOH/gの部分酸変性ポリエステルポリオールA5の溶液を得た。
【0107】
[合成例2-6](ポリエステルポリオールA6)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、エチレングリコール89部、ネオペンチルグリコール128部、1,6-ヘキサンジオール97部、ジエチレングリコール65部、テレフタル酸93部、イソフタル酸279部、アジピン酸136部、セバシン酸113部を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら250℃まで昇温し、エステル化反応を行った。所定量の水が留出し、酸価が5以下になるまで反応を続けた後に、徐々に減圧を行って、1mmHg以下で5時間脱グリコール反応を行い、ポリエステルポリオールを得た。その後、イソホロンジイソシアネート30.0部を徐々に添加し、150℃で約2時間反応を行い、ポリエステルポリウレタンポリオールを得た。このポリエステルポリウレタンポリオール100部にエチレングリコールビスアンヒドロトリメリテートを3.9部添加し、180℃で約2時間反応させ、その後固形分濃度50%になるまで酢酸エチルで希釈することで、Mn22,600、酸価10.0mgKOH/gの部分酸変性ポリエステルポリオールA6の溶液を得た。
【0108】
[合成例2-7](ポリエステルポリオールA7)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、エチレングリコール124部、ネオペンチルグリコール138部、1,6-ヘキサンジオール131部、イソフタル酸214部、アジピン酸243部、セバシン酸149部を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら250℃まで昇温し、エステル化反応を行った。所定量の水が留出し、酸価が5以下になるまで反応を続けた後に、徐々に減圧を行って、1mmHg以下で5時間脱グリコール反応を行い、ポリエステルポリオールを得た。このポリエステルポリオール100部にエチレングリコールビスアンヒドロトリメリテートを12.8部添加し、180℃で約2時間反応させ、その後固形分濃度50%になるまで酢酸エチルで希釈することで、Mn10,500、酸価31.3mgKOH/gの部分酸変性ポリエステルポリオールA7の溶液を得た。
【0109】
[合成例2-8](ポリエステルポリオールA8)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、エチレングリコール122部、ネオペンチルグリコール137部、1,6-ヘキサンジオール129部、イソフタル酸190部、アジピン酸306部、セバシン酸116部を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら250℃まで昇温し、エステル化反応を行った。所定量の水が留出し、酸価が5以下になるまで反応を続けた後に、徐々に減圧を行って、1mmHg以下で5時間脱グリコール反応を行い、ポリエステルポリオールを得た。このポリエステルポリオール100部にエチレングリコールビスアンヒドロトリメリテートを12.8部添加し、180℃で約2時間反応させ、その後固形分濃度50%になるまで酢酸エチルで希釈することで、Mn11,000、酸価31.0mgKOH/gの部分酸変性ポリエステルポリオールA8の溶液を得た。
【0110】
【0111】
<ロジン変性樹脂(B)の合成>
[合成例3-1](ロジン変性樹脂B1)
撹拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、ガムロジン229部、無水マレイン酸74部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら180℃1時間加熱し、反応混合物を得た。次いで反応混合物をガスクロマトグラフ質量分析によって、ディールスアルダー付加反応が完了したことを確認した。次に、上記反応混合物に、安息香酸215部、ペンタエリスリトール60部、グリセリン27部、ネオペンチルグリコール321部、さらに触媒として、p-トルエンスルホン酸-水和物0.05部を添加し、240℃6時間反応させ、その後固形分濃度50%になるまで酢酸エチルで希釈することで、重量平均分子量(Mw)6,500、数平均分子量(Mn)1,100、Mw/Mn=5.9、酸価61.1mgKOH/g、水酸基価244.0mgKOH/gのロジン変性樹脂B1の溶液を得た。
【0112】
[合成例3-2](ロジン変性樹脂B2)
撹拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、ガムロジン288部、無水マレイン酸124部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら180℃1時間加熱し、反応混合物を得た。次いで反応混合物をガスクロマトグラフ質量分析によって、ディールスアルダー付加反応が完了したことを確認した。次に、上記反応混合物に、安息香酸348部、ペンタエリスリトール161部、グリセリン78部、さらに触媒として、p-トルエンスルホン酸-水和物0.05部を添加し、240℃9時間反応させ、その後固形分濃度50%になるまで酢酸エチルで希釈することで、Mw2,2000、Mn1,200、Mw/Mn=18.3、酸価35.2mgKOH/g、水酸基価51.1mgKOH/gのロジン変性樹脂B2の溶液を得た。
【0113】
[合成例3-3](ロジン変性樹脂B3)
撹拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、ガムロジン619部、無水マレイン酸151部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら180℃1時間加熱し、反応混合物を得た。次いで反応混合物をガスクロマトグラフ質量分析によって、ディールスアルダー付加反応が完了したことを確認した。次に、上記反応混合物に、ネオペンチルグリコール216部、エチレングリコール14部、さらに触媒として、p-トルエンスルホン酸-水和物0.05部を添加し、240℃8時間反応させ、その後固形分濃度50%になるまで酢酸エチルで希釈することで、Mw6,400、Mn900、Mw/Mn=7.1、酸価70.2mgKOH/g、水酸基価72.1mgKOH/gのロジン変性樹脂B3の溶液を得た。
【0114】
[合成例3-4](ロジン変性樹脂B4)
撹拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、ガムロジン230部、無水マレイン酸75部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら180℃1時間加熱し、反応混合物を得た。次いで反応混合物をガスクロマトグラフ質量分析によって、ディールスアルダー付加反応が完了したことを確認した。次に、上記反応混合物に、安息香酸217部、ペンタエリスリトール62部、グリセリン28部、ネオペンチルグリコール285部、エチレングリコール28部、さらに触媒として、p-トルエンスルホン酸-水和物0.05部を添加し、240℃6時間反応させ、その後固形分濃度50%になるまで酢酸エチルで希釈することで、Mw4,700、Mn810、Mw/Mn=5.8、酸価52.6mgKOH/g、水酸基価257.4mgKOH/gのロジン変性樹脂B4の溶液を得た。
【0115】
[合成例3-5](ロジン変性樹脂B5)
撹拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、ガムロジン630部、無水マレイン酸153部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら180℃1時間加熱し、反応混合物を得た。次いで反応混合物をガスクロマトグラフ質量分析によって、ディールスアルダー付加反応が完了したことを確認した。次に、上記反応混合物に、ネオペンチルグリコール196部、エチレングリコール21部、さらに触媒として、p-トルエンスルホン酸-水和物0.05部を添加し、240℃8時間反応させ、その後固形分濃度50%になるまで酢酸エチルで希釈することで、Mw5,300、Mn890、Mw/Mn=6.0、酸価65.0mgKOH/g、水酸基価59.2mgKOH/gのロジン変性樹脂B5の溶液を得た。
【0116】
[合成例3-6](ロジン変性樹脂B6)
撹拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、ガムロジン282部、無水マレイン酸107部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら180℃1時間加熱し、反応混合物を得た。次いで反応混合物をガスクロマトグラフ質量分析によって、ディールスアルダー付加反応が完了したことを確認した。次に、上記反応混合物に、安息香酸380部、ペンタエリスリトール122部、グリセリン66部、エチレングリコール44部、さらに触媒として、p-トルエンスルホン酸-水和物0.05部を添加し、240℃10時間反応させ、その後固形分濃度50%になるまで酢酸エチルで希釈することで、Mw15,000、Mn1,100、Mw/Mn=13.6、酸価25.2mgKOH/g、水酸基価34.0mgKOH/gのロジン変性樹脂B6の溶液を得た。
【0117】
[合成例3-7](ロジン変性樹脂B7)
撹拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、ガムロジン282部、無水マレイン酸107部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら180℃1時間加熱し、反応混合物を得た。次いで反応混合物をガスクロマトグラフ質量分析によって、ディールスアルダー付加反応が完了したことを確認した。次に、上記反応混合物に、安息香酸379部、ペンタエリスリトール134部、グリセリン55部、エチレングリコール44部、さらに触媒として、p-トルエンスルホン酸-水和物0.05部を添加し、240℃10時間反応させ、その後固形分濃度50%になるまで酢酸エチルで希釈することで、Mw17,200、Mn1,100、Mw/Mn=15.6、酸価19.9mgKOH/g、水酸基価28.0mgKOH/gのロジン変性樹脂B7の溶液を得た。
【0118】
[合成例3-8](ロジン変性樹脂B8)
撹拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、重合ロジンB-140(新洲(武平)林化有限公司製)854部、ペンタエリスリトール139部、及びグリセリン7部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら250℃2時間反応後、さらに280℃10時間反応させ、Mw3,200、Mn610、Mw/Mn=5.2、酸価12.
3mgKOH/g、水酸基価39.1mgKOH/gのロジン変性樹脂B8の溶液を得た。
【0119】
(ロジン変性樹脂B9)
荒川化学製 パインクリスタルKR-120(酸価320mgKOH/g、水酸基価0mgKOH/g、固形分濃度100%品)を酢酸エチルにて固形分濃度50%に希釈した溶液を、ロジン変性樹脂B9の溶液とした。
【0120】
【0121】
<ポリイソシアネートの製造>
[製造例2-1](ポリイソシアネートC1)
BASONAT HB 100(ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDI)から誘導されるビウレット型ポリイソシアネート、BASF製)を酢酸エチルに希釈して、不揮発分40%、NCO%=9.4%に調整し、ポリイソシアネートC1の溶液を得た。
【0122】
[製造例2-2](ポリイソシアネートC2)
タケネートD-110NB(キシリレンジイソシアネート(以下、XDI)から誘導されるトリメチロールプロパンアダクト型ポリイソシアネート、三井化学製)を酢酸エチルに希釈して、不揮発分50%、NCO%=7.9%に調整し、ポリイソシアネートC2の溶液を得た。
【0123】
[製造例2-3](ポリイソシアネートC3)
VESTANAT T1890/100(イソホロンジイソシアネート(以下、IPD
I)から誘導されるヌレート型ポリイソシアネート、エボニックコーポレーション製)を酢酸エチルに希釈して、不揮発分50%、NCO%=8.7%に調整し、ポリイソシアネートC3の溶液を得た。
【0124】
[製造例2-4](ポリイソシアネートC4)
タケネートD-103H(トリレンジイソシアネート(以下、TDI)から誘導されるトリメチロールプロパンアダクト型ポリイソシアネート、三井化学製)を酢酸エチルに希釈して、不揮発分50%、NCO%=8.5%に調整し、ポリイソシアネートC4の溶液を得た。
【0125】
[製造例2-5](ポリイソシアネートC5)
ミリオネートMR-200(ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDI)から誘導されるポリメリック型ポリイソシアネート、東ソー製)を酢酸エチルに希釈して、不揮発分25%、NCO%=7.9%に調整し、ポリイソシアネートC5の溶液を得た。
【0126】
<接着剤の製造>
[実施例1~22、比較例1~4]接着剤T1~T26
得られたポリエステルポリオール溶液、ロジン変性樹脂溶液、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート溶液を、表5に示す割合で配合し、酢酸エチルを加えて不揮発分30質量%の接着剤T1~T26を得た。
【0127】
【0128】
以下に、表5中の略称を示す。
エポキシ樹脂溶液E1:三菱ケミカル製 JER1002(固形分濃度100%品)を酢酸エチルにて固形分濃度50%に希釈したもの。
【0129】
<積層体の製造>
以下の積層体の製造において、印刷インキは、リオアルファR681白(東洋インキ(株)社製)を、酢酸エチル/イロプロピルアルコールの混合溶剤(質量比70/30)を用いて、粘度が15秒(25℃、ザーンカップ#3(離合製))になるように希釈したものを使用した。また、プライマー組成物も同様に、酢酸エチル/イロプロピルアルコールの混合溶剤(質量比70/30)を用いて、粘度が15秒(25℃、ザーンカップ#3(離合製))になるように希釈したものを使用した。
【0130】
[実施例101]積層体F1
NYフィルム(厚み15μm)上に、上記印刷インキを、版深さ30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて全面に印刷し、50℃で乾燥して、印刷物(NY/印刷層)を得た。印刷層の厚みは1.5μmとなるように調整した。
次いで、印刷層上に接着剤T1を、ドライラミネート機を用いて乾燥後塗布量が3.5g/m2になるように塗布・乾燥した後、AL蒸着PET(厚み12μm)のAL面と貼り合わせ、中間積層体(NY/印刷層/接着剤層/AL蒸着PET)を得た。
さらに、中間積層体のPET面に、上記と同様にして接着剤T1を塗布、乾燥した後、LLDPEフィルム(厚み150μm)と貼り合わせ、40℃で4日間保温して接着剤を硬化させ、積層体F1(NY/印刷層/接着剤層/AL蒸着PET/接着剤/LLDPE)を得た。
【0131】
[実施例102]積層体F2
NYフィルム(厚み15μm)上に、プライマー組成物S1希釈液、次いで印刷インキを、版深さ30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて全面に印刷し、50℃で乾燥して、印刷物(NY/プライマー層/印刷層)を得た。プライマー層、及び印刷層の厚みは、各々1.5μmとなるように調整した。
次いで、印刷層上に接着剤T1を、ドライラミネート機を用いて乾燥後塗布量が3.5g/m2になるように塗布・乾燥した後、AL蒸着PET(厚み12μm)のAL面と貼り合わせ、中間積層体(NY/プライマー層/印刷層/接着剤層/AL蒸着PET)を得た。
さらに、中間積層体のPET面に、上記と同様にして接着剤T1を塗布、乾燥した後、LLDPEフィルム(厚み150μm)と貼り合わせ、40℃で4日間保温して接着剤を硬化させ、積層体F2(NY/プライマー層/印刷層/接着剤層/AL蒸着PET/接着剤/LLDPE)を得た。
【0132】
[実施例103]積層体F3
プライマー組成物を表6に示す内容に変更した以外は、実施例102と同様にして、積層体F3を得た。
【0133】
[実施例104~124、比較例101~104]積層体F4~F28
接着剤を表6に示す内容に変更した以外は、実施例101と同様にして、積層体F4~F28を得た。
【0134】
<積層体の評価>
得られた積層体を用いて以下の評価を行った。結果を表6に示す。
【0135】
[初期接着強度]
得られた積層体を15mm×300mmの大きさにカットして試験片とした。引張り試験機を用い、温度20℃、相対湿度65%の条件下、剥離速度30cm/分で、T型剥離を行い、AL蒸着PET/LLDPE間の接着強度(N/15mm)を測定した。接着強度の実用範囲は4N/15mm以上である。
【0136】
[経時での耐内容物性]
得られた積層体を9cm×13cmの大きさに2枚カットし、LLDPEが内側となるように配置し、内容物としてコンディショナーを充填したパウチを作製した。得られたパウチを60℃2週間保管した後、内容物を取り出した後、15mmの大きさにカットして試験片とした。初期接着強度と同様にして、AL蒸着PET/LLDPE間の接着強度(N/15mm)を測定した。接着強度の実用範囲は3N/15mm以上である。
【0137】
[接着強度の変化率]
上記[初期接着強度]から[経時での耐内容物性]への接着強度の変化率を以下の式より算出し求めた。
変化率(%):
[(経時での耐内容物性での接着強度)-(初期接着強度)]/(初期接着強度)×100
【0138】
[アルカリ脱離性]
得られた積層体を1.5cm×1.5cmの大きさにカットして試験片とした。2000mlフラスコ中に試験片45gを仕込み、水酸化ナトリウム2%水溶液1500mlを加え、70℃、回転速度200rpmで2時間撹拌を行った。撹拌終了後に、目視でLLDPEが含まれるフィルムを無作為に30枚サンプリングし、厚みを測定した。測定した厚みから、LLDPEとAL蒸着PET間が剥離していないサンプルの枚数をカウントし、以下の基準で評価した。
S(優) :0~1枚
A(良) :2~3枚
B(可) :4~6枚
C(不可):7枚以上
【0139】
【0140】
上記の評価結果によれば、多塩基酸又はその誘導体における芳香族環の割合が35%質量以上のポリエステルポリオール(A)と、水酸基価と酸性基を有するロジン変性樹脂(B)とを、所定の割合で含むポリオール組成物を用いた本願発明の反応性接着剤は、優れたアルカリ脱離性(リサイクル性)、及び経時耐内容物性を示した。
一方、芳香族環を有する多塩基酸又はその誘導体の割合が35質量%以上であるポリエ
ステルポリオール(A)を用いる点、酸基と酸性基とを有するロジン変性樹脂(B)を用いる点、並びに、(B)/(A)比が所定範囲である点、のいずれかを満たさない比較例は、いずれも経時で接着強度が低下し、実用可能範囲外の値を示した。