(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025086369
(43)【公開日】2025-06-09
(54)【発明の名称】ディスクハロー型耕耘作業機
(51)【国際特許分類】
A01B 7/00 20060101AFI20250602BHJP
【FI】
A01B7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023200282
(22)【出願日】2023-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 秀樹
【テーマコード(参考)】
2B032
【Fターム(参考)】
2B032AA06
2B032DA01
2B032DA10
2B032DB04
2B032FA06
2B032FB03
2B032FB06
2B032FB17
2B032FB20
(57)【要約】
【課題】左右方向に所定の間隔を空けて回転自在に設けるディスク群が、田畑を耕耘した後の地面に形成して残すディスク通過溝を、埋め戻して消失させることができるディスクハロー型耕耘作業機を提供する。
【解決手段】田畑の土壌の耕起や耕起した土塊の砕土を行う左右方向に所定の間隔を空けて回転自在に設けるディスク群と、このディスク群の後方に位置させてその耕起した土塊を砕土するローラーを備え、また、このローラーには土戻体を付設して、係る土戻体がローラーで砕土した土を用いて、前記ディスク群が耕起や砕土を行った後の地面に生じさせるディスク通過溝を埋め戻すように構成する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
田畑の土壌の耕起や耕起した土塊の砕土を行う左右方向に所定の間隔を空けて回転自在に設けるディスク群と、このディスク群の後方に位置させてその耕起した土塊を砕土するローラーを備え、また、前記ローラーには土戻体を付設して、この土戻体がローラーで砕土した土を用いて、前記ディスク群が耕起や砕土を行った後の地面に生じさせるディスク通過溝を埋め戻すことを特徴とするディスクハロー型耕耘作業機。
【請求項2】
前記ローラーはその外周部に左右方向に長尺な多数の破砕体を設け、この破砕体が前記ディスク群によって耕起又は砕土した土塊を粉砕しながら後方に向けて放擲するようになすと共に、前記土戻体は、前記ローラーの外周部に設ける多数の破砕体の間に設け、前記破砕体や自らが粉砕した土を斜め後方に向けて放擲して、前記ディスク通過溝を埋め戻すことを特徴とする請求項1に記載のディスクハロー型耕耘作業機。
【請求項3】
前記ディスク群を前列のディスク群と後列のディスク群となし、また、この前後のディスク群は、左後方側と右後方側とに耕起又は砕土した土塊の放擲方向を異ならせると共に、前列のディスク群の隣り合うディスク間の後方に後列のディスク群の各ディスクが臨むように配設して、前列のディスク群が残す未耕地を後列のディスク群が耕起又は砕土するようになし、そして以上により、前記ディスク群が耕起や砕土を行った後の地面に生じさせるディスク通過溝は、後列のディスク群の内、左右方向の最外側に位置して自らが耕起又は砕土した土塊をローラー側に向けて放擲するディスクが専ら生じさせることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のディスクハロー型耕耘作業機。
【請求項4】
前記前列と後列のディスク群に、その放擲する土塊や土の自ら耕す耕地を超える左右外方側への放擲を阻止する偏向板を設け、これにより前後のディスク群が耕起又は砕土して左右方向の外方側に放擲する土塊や土が、自ら耕す耕地を超えることによって生じさせる畝状の地面の盛り上がりを防止することを特徴とする請求項3に記載のディスクハロー型耕耘作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の牽引車に連結して圃場を耕耘するディスクハロー型耕耘作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
農作物を栽培する田畑の土壌は、作物の生育中に人や農業機械等に踏みつけられたり雨に打たれたりするから、その表層部が硬く固まってしまうことが往々にしてある。また、作物を収穫した後の刈り株が土壌に残ったり、土壌表面(地面)に作物の茎や葉等の作物残渣が残存したり、堆肥が散布されたり、或いは何も対策しなければ雑草がはびこる。
【0003】
そのため、このような圃場に播種や苗の植付けを行う場合には、先ず硬く締まった土壌を掘り返したり土を反転させて耕す(耕起)ことによって、刈り株、作物残渣、雑草、堆肥などを土中に埋め込んで播種や移植作業の障害とならないようにする。また、耕起した土塊を適切な大きさに砕いて土壌を膨軟にする(砕土)ことによって、土壌の通気性や通水性を良好にして作物の生育に適合する土壌環境を整える必要がある。
【0004】
そして、この土壌の耕起や砕土などの耕耘作業を人手に依らず作業機を用いて行う場合には、プラウ等の耕起作業機を用いて土壌の反転耕を行った後に、ディスクハローやカルチベータなどの砕土や中耕を担う作業機を用いて土塊を砕いて凹凸を無くして均平にすることが行われている。また、プラウで反転耕を行って次に作業機をディスクハロー等に取り代えて砕土耕を行うといった煩わしさや、プラウによる深耕を嫌う場合には、ロータリ耕耘装置を用いることが一般的に行われている。
【0005】
しかし、ここでロータリ耕耘装置は、トラクタに搭載するエンジンの動力によって耕耘爪を回転させて、土壌を砕きながら攪拌して圃場を耕すものであるから、土壌の砕土性に優れてはいるものの、撹拌に伴う耕耘負荷の増大によってトラクタの車速を上げた高速耕耘作業が困難であって、作業者は低速で長時間にわたる耕耘作業を強いられて作業能率が悪く、燃料代も多くかかるという問題がある。
【0006】
一方、前述のディスクハローは、トラクタに搭載するエンジンの動力を使わずに作業機の重量を利用して、皿状の円盤(ディスク)を地面に突き刺し、これをトラクタで牽引することで土や切り株等を切り裂く(切断破壊する)ものであるため、プラウのように土をひっくり返したり、ロータリ耕耘装置のように土を撹拌しないので、耕耘負荷を最小限に抑えて高速作業が可能となり、作業時間の短縮による作業能率の向上や燃料代の節約といった利点がある。
【0007】
そこで、係る有利性に鑑みて昨今、これまで砕土耕を担う作業機として主に畑で使用されてきたディスクハローを、水田や水田転換畑の粗起し等を行う耕耘作業機として用いることが注目されている。但し、ディスクハローは、広大な農地で大規模農業が行われる海外で開発された作業機であるので、農地面積が狭く集約農業を行う国内にあっては、海外から輸入する作業機が大き過ぎて狭い圃場での取り扱いが悪かったり、各地の土壌に対する適応性に問題があったり、その改良の余地が残されている。
【0008】
なお、国内におけるディスクハローを使用した耕耘作業機の特許出願はあまり多くはないが古くから出願されており、例えば、トラクタの油圧三点リンクヒッチに連結する方形フレームに前部デスクハロー、カルチベータ、後部デスクハロー、ケージローラを備える複合作業機(特許文献1参照)や、心土作溝犂体、ディスクプラウ列、砕土鎮圧用ローラを備える耕耘作業機(特許文献2参照)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003-225003号公報
【特許文献2】特開2007-68528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述のように田畑の粗起し等の耕耘作業にディスクハローを用いると、高速耕耘作業によって作業能率を向上させることができると共に、燃料を節約して大幅なコストダウンに繋げることができる。そこで、農地面積が狭い田畑であっても取り扱いに支障がない比較的作業幅の少ないコンパクトなディスクハロー型耕耘作業機の開発を行う。
【0011】
そして、この開発した作業機を用いて耕耘作業を行った場合に、当初の目論見通りの性能を備えた作業機に仕上げることができたが、この作業機を用いて圃場の耕耘を行った後にその耕耘跡を念入りに調べると、この作業機のディスクが土壌を耕起又は砕土して掘り起こした略V字状の窪みが地面上に見て取れ、また、この窪みが耕耘作業を行った進行方向に連続してディスク通過溝を形成していることが確認された。
【0012】
即ち、新たに開発したディスクハロー型耕耘作業機は、従来のディスクハローを用いた耕耘作業機と同様に、トラクタに連結して牽引する作業機フレームを備え、この作業機フレームにはトラクタが前進走行する進行方向(作業方向)に対して直交する左右方向に所定の間隔を空けて多数のディスクを回転自在に取り付けてディスク群を構成する。
【0013】
そして、このディスク群を構成する多数のディスクは、自らの中央部が窪んで皿状となす湾曲面を形成し、また、作業機フレームにディスクアームを介して個々のディスクを回転自在に取り付ける際には、各ディスクの湾曲面が斜め上方を向くと共に、作業方向に対して所定の角度(ギャング角)をもって斜めとなるように取り付ける。
【0014】
而して、このように構成するディスクハロー型耕耘作業機をトラクタに連結して作業走行を行うと、左右方向に所定の間隔を空けて設ける各ディスクは、作業機重量等によって地面に突き刺さって下方の土や切り株、作物残渣等を切り裂く。また、地面に突き刺さったディスクはトラクタの前進走行に伴って回転するので、ディスクの湾曲面に乗り上げさせて上方に持ち上げた土塊や土は、その後に斜め後方側に向けて放擲する。
【0015】
また、この斜め後方側に向けて放擲した土塊や土は、左右方向に隣合うディスクが切断して土塊や土を持ち上げた際に地面に形成する略V字状の窪みやその周辺に落下して、この窪みを埋め戻して隠すので、この窪みが耕耘作業を行った進行方向に連続するディスク通過溝として外見上見て取れることはない。
【0016】
しかし、ディスク群の内、左右方向の最外側に位置して自らが耕起又は砕土した土塊や土を、ディスク群の中央寄りの後方側に向けて放擲するディスクが地面に形成する窪みには、ディスク群の残る何れのディスクも土塊や土を放擲して埋め戻すことがないので、この窪みが耕耘作業を行った進行方向に連続してディスク通過溝とし地面上に明らかに見て取れることになる。
【0017】
なお、ディスクハロー型耕耘作業機は、前述のディスク群の後方に、ディスク群によって耕起又は砕土した土塊を砕土するローラーを備えるが、このローラーは前述のディスク群の内、ディスク通過溝を形成するディスクが後方側に向けて放擲する土塊を砕土するとしても、ディスクが形成した略V字状の窪みを埋め戻すに足る土塊や土が、ローラーのディスク通過溝相当箇所には何等供給されていないので、ディスクが形成した略V字状の窪みをローラーによって埋め戻すことはできず、依然としてディスク通過溝が地面上に残ることになる。
【0018】
そして、このように耕耘を行った後の圃場にディスク通過溝が残ると、このディスク通過溝に作物の種を播種したり苗を植え付けることが出来ないので、別途溝の埋め戻しを行わなければならない。また、このディスク通過溝に水が溜まって周囲の土壌の乾燥を妨げるので、好気性微生物による有機物の分解を促進して窒素肥料の増加を図るといった乾土効果を期待することができないばかりか、圃場の湿田化による透排水性の悪化を招く虞れがある。
【0019】
そこで、本発明は係る問題点等に鑑みて、左右方向に所定の間隔を空けて回転自在に設けるディスク群が田畑を耕耘した後の地面に形成して残すディスク通過溝を埋め戻して消失させることができるディスクハロー型耕耘作業機を提供する、ことを発明が解決しようとする課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明のディスクハロー型耕耘作業機は、上記課題を解決するため第1に、田畑の土壌の耕起や耕起した土塊の砕土を行う左右方向に所定の間隔を空けて回転自在に設けるディスク群と、このディスク群の後方に位置させてその耕起した土塊を砕土するローラーを備え、また、前記ローラーには土戻体を付設して、この土戻体がローラーで砕土した土を用いて、前記ディスク群が耕起や砕土を行った後の地面に生じさせるディスク通過溝を埋め戻すことを特徴とする。
【0021】
また、本発明のディスクハロー型耕耘作業機は第2に、前記ローラーはその外周部に左右方向に長尺な多数の破砕体を設け、この破砕体が前記ディスク群によって耕起又は砕土した土塊を粉砕しながら後方に向けて放擲するようになすと共に、前記土戻体は、前記ローラーの外周部に設ける多数の破砕体の間に設け、前記破砕体や自らが粉砕した土を斜め後方に向けて放擲して、前記ディスク通過溝を埋め戻すことを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明のディスクハロー型耕耘作業機は第3に、前記ディスク群を前列のディスク群と後列のディスク群となし、また、この前後のディスク群は、左後方側と右後方側とに耕起又は砕土した土塊の放擲方向を異ならせると共に、前列のディスク群の隣り合うディスク間の後方に後列のディスク群の各ディスクが臨むように配設して、前列のディスク群が残す未耕地を後列のディスク群が耕起又は砕土するようになし、そして以上により、前記ディスク群が耕起や砕土を行った後の地面に生じさせるディスク通過溝は、後列のディスク群の内、左右方向の最外側に位置して自らが耕起又は砕土した土塊をローラー側に向けて放擲するディスクが専ら生じさせることを特徴とする。
【0023】
そして、本発明のディスクハロー型耕耘作業機は第4に、前記前列と後列のディスク群に、その放擲する土塊や土の自ら耕す耕地を超える左右外方側への放擲を阻止する偏向板を設け、これにより前後のディスク群が耕起又は砕土して左右方向の外方側に放擲する土塊や土が、自ら耕す耕地を超えることによって生じさせる畝状の地面の盛り上がりを防止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明のディスクハロー型耕耘作業機によれば、田畑の土壌の耕起や耕起した土塊の砕土を行う左右方向に所定の間隔を空けて回転自在に設けるディスク群と、このディスク群の後方に位置させてその耕起した土塊を砕土するローラーを備え、また、前記ローラーには土戻体を付設して、この土戻体がローラーで砕土した土を用いて、前記ディスク群が耕起や砕土を行った後の地面に生じさせるディスク通過溝を埋め戻すので、耕起や砕土を行った地面からディスク通過溝を消失させて、作物の生育に適合する土壌に整えることができる。
【0025】
また、本発明のディスクハロー型耕耘作業機によれば、前記ローラーはその外周部に左右方向に長尺な多数の破砕体を設け、この破砕体が前記ディスク群によって耕起又は砕土した土塊を粉砕しながら後方に向けて放擲するようになすと共に、前記土戻体は、前記ローラーの外周部に設ける多数の破砕体の間に設け、前記破砕体や自らが粉砕した土を斜め後方に向けて放擲して、前記ディスク通過溝を埋め戻すので、ローラーに設ける破砕体で圃場を均平に均すことができて後作業を楽に行えると共に、ローラーに土戻体を破砕体と共に簡単安価に且つ効果的に設けることができる。
【0026】
さらに、本発明のディスクハロー型耕耘作業機によれば、前記ディスク群を前列のディスク群と後列のディスク群となし、また、この前後のディスク群は、左後方側と右後方側とに耕起又は砕土した土塊の放擲方向を異ならせると共に、前列のディスク群の隣り合うディスク間の後方に後列のディスク群の各ディスクが臨むように配設して、前列のディスク群が残す未耕地を後列のディスク群が耕起又は砕土するようになし、そして以上により、前記ディスク群が耕起や砕土を行った後の地面に生じさせるディスク通過溝は、後列のディスク群の内、左右方向の最外側に位置して自らが耕起又は砕土した土塊をローラー側に向けて放擲するディスクが専ら生じさせる。
【0027】
そのため、前後2列のディスク群によって作業幅内の土壌を、未耕地を残すことなく一時に耕起又は砕土することができると共に、ディスク群を2つ設けても耕起や砕土を行った後の地面に生じさせるディスク通過溝は、1箇所に抑えることができ、これによりディスク通過溝に埋め戻す土量も少なくてすむので、ローラーの外周部に設ける破砕体の左右方向となる1箇所に土戻体を設けるだけでよく、土戻体の材料費も削減することができる。
【0028】
そして、本発明のディスクハロー型耕耘作業機によれば、前記前列と後列のディスク群に、その放擲する土塊や土の自ら耕す耕地を超える左右外方側への放擲を阻止する偏向板を設け、これにより前後のディスク群が耕起又は砕土して左右方向の外方側に放擲する土塊や土が、自ら耕す耕地を超えることによって生じさせる畝状の地面の盛り上がりを防止するので、耕耘した後の圃場にディスク通過溝が残ったり、ディスクの放擲した土塊の盛り上がりが生じることなく、しかも、耕起又は砕土した耕地はローラーによってその全面を均平に均らして綺麗に仕上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】トラクタにディスクハロー型耕耘作業機を連結して耕耘作業を行う状態を示す側面図である。
【
図2】ディスクハロー型耕耘作業機の平面図である。
【
図3】ディスクハロー型耕耘作業機の正面図である。
【
図4】ディスクハロー型耕耘作業機の斜視図である。
【
図5】ディスクやチゼル砕土体の取り付けを示す斜視図である。
【
図6】土戻体のローラーへの付設状態を示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1乃至
図4に示すようにトラクタ1の後部に設ける三点リンク2(トップリンク2a、左右のロアリンク2b、2b)に連結(直装)して、トラクタ1の前進走行に伴って田畑を耕耘する本発明のディスクハロー型耕耘作業機3は、軽量の角型鋼管(角パイプ)を用いて構造の簡素化を行って軽量化した作業機フレーム4を備える。
【0031】
より詳細に説明すると、この作業機フレーム4は、耕耘作業を行う際のトラクタ1の前進走行方向と一致する前後方向に長尺な左右のメインフレーム4a、4bと、この左右のメインフレーム4a、4bの上面に固着して前進走行方向に直交する左右方向に長尺な前後のディスクフレーム4c、4dと、この前後のディスクフレーム4c、4dの左右端寄りの上面に固着して前後方向に長尺な左右のサブフレーム4e、4fと、左右のメインフレーム4a、4bの後寄り中程を繋ぐ左右方向となる連結フレーム4gから構成する。
【0032】
そして、この作業機フレーム4のうち左右のメインフレーム4a、4bの前部寄りに、鋼板を折り曲げて形成するトップリンクマスト5とサポートプレート6を取り付け、このトップリンクマスト5の上部にトップリンク2aに連結するためのトップリンクピン7を設ける。また、左右のメインフレーム4a、4bの前端面に、コ字状のリンクブラケット8を夫々固着し、このリンクブラケット8に左右のロアリンク2bに連結するためのロアリンクピン9を設ける。
【0033】
ところで、ディスクハローで一般的に用いられる耕耘主体となるディスク10は、凹状の湾曲面を持った皿状の円盤10aで構成し、この円盤10aの外周縁10bは鋭利な切断刃に形成して作物残渣等をこの切断刃によって切断することができる。また、この外周縁10bに円弧状の切欠部10cを多数(10個)設けて、係るディスク10が土壌に突き刺さって自ら回転し易くすることから花形ディスクと称される。そこで、本ディスクハロー型耕耘作業機3もこの花形のディスク10を用いる。
【0034】
そして、このような花形のディスク10を使用して田畑を耕耘する場合に、係るディスク10はその凹状の湾曲面が斜め上方を向くと共に、トラクタ1の前進走行方向となる耕耘作業方向に対して所定の角度をもって斜めとなるようように設けるので、ディスク10で突き刺した土塊は、凹状の下部寄りの湾曲面内に溜まる。また、この溜まった土塊はトラクタ1の前進走行によるディスク10の回転に伴って上方に持ち上げて、その後に湾曲面の開放された側からその側方に向けて放擲する。
【0035】
そのため、作業機フレーム4の下方に多数のディスク10を、そのディスク10の凹状の湾曲面を同じ左向きや右向きに揃えて左右方向に所定の間隔Lを空けて並べて設けると、この多数のディスク10によって耕起又は砕土した土塊や土は、トラクタ1の前進走行方向に直交する左右方向の一側に向けて放擲することになるので、耕起又は砕土した土塊が全体的にその側に移動する。そこで、同数となす多数のディスク(9枚)を前後のディスクフレーム4c、4dの下方に夫々左右方向となるように並べて設けると共に、係る前後2列のディスク群の湾曲面の向きを、前列は左向きに後列は右向きというように互いに異ならせて設ける。
【0036】
そして、このように多数のディスク10を配設すると、前ディスクフレーム4cの下方に設ける前列のディスク群によって左右方向の一側に移動した土塊や土を、後ディスクフレーム4dの下方に設ける後列のディスク群によって元の他側に戻すことができる。また、この場合に、前列のディスク群の隣り合うディスク10間の後方に後列のディスク群の各ディスク10が臨むように配設すると、前列のディスク群が耕起又は砕土することができなかった未耕地を、後列のディスク群で耕起又は砕土することができ、また、作土層Sにおける耕起や砕土を行わなかった下層面の凹凸を少なくして、その全面で安定した耕深を得ることができる。
【0037】
以上、作業機フレーム4の下方に設ける多数のディスク10の基本的な配置形態について説明したが、次に、係るディスク10の具体的な作業機フレーム4への取付構造について説明すると、
図5に示すように鋼板を略三角形状に形成するディスクアーム11の下部にディスク取付軸をナットで締着して、このディスク取付軸にベアリングを介して回転自在に軸架するホルダケース12を装着する。また、このホルダケース12にディスク10を各1枚ずつボルトで取り付けて、ディスクアーム11にディスク10を回転自在に取り付ける。
【0038】
そして、ディスクアーム11はディスクフレーム4c、4dにディスクブラケット13を介して取り付けるが、このディスクブラケット13は左右のプレート片13a、13bを備え、左右のプレート片13a、13bの前面には略L字状となす受金具14aと蓋金具14bとによって構成する角クランプ14を溶接して設ける。そして、角クランプ14はその金具14a、14bでディスクフレーム4c、4dの所定箇所を抱持して、金具14a、14b同士をボルト14cで締結することによって、ディスクブラケット13をディスクフレーム4c、4dに強固に締着することができる。
【0039】
また、ディスクブラケット13の左右プレート片13a、13bの間の下部寄りにディスクアーム11の上部を差し込んで、支点ボルト15及びナットを用いてディスクアーム11をディスクブラケット13に前後回動自在に取り付ける。さらに、左右プレート片13a、13bの上部寄りに固着するスプリング受体13cとディスクアーム11の上部寄りに設けるスプリング受体11aとの間に圧縮コイルスプリング16を装着し、仮にディスク10が石等の障害物に当接すると、ディスクアーム11は圧縮コイルスプリング16を圧縮しながら退避回動して、ディスク10の損傷を防止する。
【0040】
以上、トラクタ1の前進走行に伴って田畑を耕耘する前後のディスク群の作業機フレーム4への取付構造について説明したが、次に、このディスク群によって構成するディスクハローによる耕耘作業を補助するために設けるチゼル砕土体17について説明すると、このチゼル砕土体17は、作業機フレーム4の前部下方に左右方向に離して数体(2体)設ける。
【0041】
そして、チゼル砕土体17は、
図1や
図5に示すように作土層Sに喰い込んでその土壌を浮き上がらせることによって空隙を生じさせて軟らかくする砕土刃18と、この砕土刃18を作業機フレーム4の下方に位置させるシャンク19から構成し、この内、砕土刃18は、鋼板の先端を鋭角な刃部に形成して、その先端から後端に至るに従って左右方向に張り出させて略V字状となす刃体18aを備え、この刃体18aの上面には細長い柄体18bを縦方向を向くように溶接して固着する。
【0042】
また、シャンク19は砕土刃18の柄体18bと同様に細長い鋼板で形成し、このシャンク19の下部と柄体18bの上部には、夫々大小の径を備える2つの孔を穿設する。そして、シャンク19の下部と柄体18bの上部を左右方向に重ねて、夫々の孔に大小の径を備えたボルトb1、b2を通してナットで締結すれば、チゼル砕土体17が完成する。なお、作土層Sに喰い込んで摩耗した砕土刃18は、シャンク19から取り外して新たな砕土刃18に容易に交換することができる。
【0043】
さらに、前述のシャンク19に砕土刃18を取り付ける小径のボルトb2を、砕土刃18が石等の障害物に当たって過大な衝撃力が加わった際に破断するシャーボルトになすと、砕土刃18を大径のボルトb1を中心に後方に向けて退避回動させて、砕土刃18の破損を防止することができる。また、以上のように構成するチゼル砕土体17の砕土刃18には、そのチゼル砕土体17が土壌中を進行する方向に対して斜交する略鉛直となる板面を備える鋼板で形成する抵抗体20を、刃体18aの上面と柄体18bの前下部寄り側面に亘って溶接して設け、この抵抗体20に掛かる耕耘抵抗の分力によってトラクタ1の直進性を改善することができる。
【0044】
そして、以上のように構成するチゼル砕土体17を作業機フレーム4の前部下方に設けるに当たって、作業機フレーム4の前ディスクフレーム4cにチゼルブラケット21を取り付ける。このチゼルブラケット21は、左右の取付板21a、21bと左右の取付板21a、21bの間に溶接する前後の補強体(不図示)によって形成し、その左右の取付板21a、21b前面には、略L字状となす受金具14aと蓋金具14bによって構成する角クランプ14を溶接して設ける。
【0045】
従って、角クランプ14はその金具14a、14bで前ディスクフレーム4cの所定箇所を抱持して、金具14a、14b同士をボルト14cで締結することによって、チゼルブラケット21を前ディスクフレーム4cに強固に締着することができる。また、チゼルブラケット21の左右の取付板21a、21bの間にチゼル砕土体17のシャンク19を通して、左右の取付板21a、21bに穿設する孔とシャンク19の上部寄りと中程の2箇所に穿設する孔の内、上部寄りの孔にピン22を通してRピン23で抜け止めすると、チゼル砕土体17を耕耘作業位置に取り付けることができる。
【0046】
なお、この場合、シャンク19はピン22を中心に前後回動が可能であるが、シャンク19の上部寄り前面が角クランプ14の金具14aの後面に当接するか、或いはシャンク19の上部寄り後面が左右の取付板21a、21bの間に溶接する後側の補強体に当接して、その前後回動が阻止される。そして、このように耕耘作業位置に取り付けたチゼル砕土体17は、そのシャンク19の上部寄りが前ディスクフレーム4cの後面近傍に位置し、また、砕土刃18の先端がトラクタ1の後輪と前列のディスク群の間に位置する前下がりの耕耘作業姿勢となる。
【0047】
また、前述のピン22を取り外してシャンク19を後側の補強体に案内させながら上方に引き上げ、ここで取り外したピン22をシャンク19の中程の孔hに通して取り付けると、チゼル砕土体17を耕耘作業を行わない格納位置に保持することができる。そのため、チゼル砕土体17を最前部に設ける耕耘作業機3をトラクタ1に備える三点リンクの油圧昇降シリンダによって持ち上げて、畦畔や畝越え或いは移動走行する際に、係るチゼル砕土体17を引き上げてその下端がディスク群の下端より高く位置する格納位置に固定しておくと、畦畔や畝等を破壊することなく通過出来たり、障害物との不測な当接による砕土刃18の破損を防止することができる。
【0048】
さらに、チゼル砕土体17は、前述の耕耘作業姿勢を取って田畑を耕耘する際に、前列のディスク群の前方にかなり接近させて設けることによって、チゼル砕土体17を作業機フレーム4に設けることになっても、作業機フレーム4の前後長を短く抑えて狭い圃場での旋回性を保証する。そして、特に重要なことは砕土刃18の刃体18aを前低後高状に設けて、砕土刃18を前下がりに傾斜させて設けることである。
【0049】
すなわち、
図1に示すようにチゼル砕土体17の前下がりに傾斜させる砕土刃18(刃体18a)は、耕耘作業中にディスク群に先行して作土層Sに喰い込んで突き進むので、その前方から後方に向かう耕耘抵抗Rを受ける、そして、この場合に前低後高状に傾斜させる刃体18aには、その傾斜する上面に直交する略下向きの耕耘抵抗の分力Fがかかる。そのため、この分力Fは、同じ作業機フレーム4に取り付けて設ける前後のディスク群に対して、そのディスク10が土壌に深く刺さり込むための助勢力として働く。
【0050】
また、これらの耕耘作業機3の自重とチゼル砕土体17の助勢力によって、左右のチゼル砕土体17と前後のディスク群が作土層Sに沈んで所定の耕耘深さに達すると、作業機フレーム4の後方に設ける、後述するローラー24が接地して、チゼル砕土体17やディスク群の作土層Sにおけるそれ以上の沈み込みを阻止するので、作業者がネジ式伸縮装置の耕深調節ハンドル25を操作して予め設定した耕耘深さで田畑の土壌の耕耘を行うことができる。
【0051】
さらに、このように圃場の耕耘を行っている際に、高速走行するトラクタ1が圃場の凹凸や石等の障害物によってピッチングして、その後部に連結する作業機フレーム4が跳ね上がると耕耘深さが浅くなって安定した耕耘ができないという問題がある。しかし、この場合にチゼル砕土体17の刃体18aに乗り上げる土塊によって砕土刃18の浮き上がりが阻止されるので、ディスク群の土壌表面への浮き上がりが抑制されて、設定した耕耘深さを安定して維持することができる。
【0052】
そして、チゼル砕土体17の作土層Sへの喰い込み深さは、ディスク群の耕耘深さと略同じくするため、チゼル砕土体17の併用による作業負荷の増大も抑えることができる。また、前ディスクフレーム4cに取り付けるチゼル砕土体17は、その砕土刃18をトラクタ1の左右の前輪と後輪、或いは装軌式とするトラクタ1であれば、左右の履帯の後方延長線上に位置するように左右に離して設けるので、耕耘作業を行うトラクタ1の轍跡に係る踏み固められた硬い土壌を、チゼル砕土体17の砕土刃18によって破砕して軟化するので、この土壌を後続するディスク群に過負荷を与えることなく耕起や砕土を行わせることができる。
【0053】
次に、前述の作業機フレーム4の後方に設けるローラー24について説明すると、このローラー24は、前後のディスク群やチゼル砕土体17で耕起又は砕土した土塊や土、或いは作物残渣等をより細かく砕土並びに切断して粉砕するものであって、
図1、
図2、及び
図4に示すようにローラー24は、先ず鋼管で形成する左右方向に長尺なローラーフレーム26を備える。
【0054】
そして、このローラーフレーム26の左右端部には鋼板で形成するローラーアーム27を取り付けて設ける。また、左右のローラーアーム27の下部に孔を穿設し、この孔にベアリングを装着した軸を通してナットで取り付ける。さらに、この軸にベアリングを介して回転自在に設けるハウジング28にローラー24をボルトで取り付けて、ローラー24を最終的にローラーアーム27に回転自在に取り付ける。
【0055】
また、このようにローラーアーム27に回転自在に設けるローラー24は、間隔を空けて左右方向に並べて設ける数個(実施形態にあっては5個)の鋼板で形成する円板29を備え、この円板29の外周縁に形成する数個(実施形態にあっては10個)の切欠に、波型の凹凸を先端部に備える左右方向に長尺な鋼板で形成する破砕体30を溶接固定して、全体として円筒型のローラー24に形成する。
【0056】
なお、上述の破砕体30は、土塊や作物残渣等を砕土/切断して破砕し易くするために、自らの板面を回転方向に多少前進角をもたせて円板29の外周縁に設ける。また、円板29には中央の孔29aとこの孔29aを取り囲むように6個の孔29bを設けて、ローラー24の内部に入った土塊や作物残渣等をこの孔29a、29bの周縁に衝突させて、長尺な破砕体30とともにこれ等をより細かく粉砕するように構成する。
【0057】
そして、以上のように構成するローラー24は、前後のディスク群やチゼル砕土体17の耕耘深さの調節を行えるように、作業機フレーム4の後部にネジ式伸縮装置を用いて上下回動調節自在に取り付けて設ける。
【0058】
つまり、左右のメインフレーム4a、4bの後端部上面に後方に向けて開放するU字状の取付板31を溶接固定し、この取付板31にローラーフレーム26を後方から差し込む。次に、このローラーフレーム26の後面側を、取付板31にボルトで取り付ける押え板32によって抜け止めし、これにより左右のメインフレーム4a、4bの後端部に、ローラー24をその取付板31のU字状部を中心として上下回動自在に取り付ける。
【0059】
また、ローラーフレーム26の左右方向の中央に2枚の取付板33を対向させて溶接固定すると共に、連結フレーム4gの左右方向の中央に2枚の取付板34を同じく対向させて溶接固定する。そして、ローラーフレーム26の取付板33に連結軸35を回転自在に設けると共に、連結フレーム4gの取付板34に連結ピン36を回転自在に設けて、この連結軸35と連結ピン36に螺子軸杆と調整パイプの螺合によるネジ式伸縮装置37を設ける。
【0060】
そのため、前述の耕深調節ハンドル25を正逆回転操作すると、ネジ式伸縮機構37によって前方の連結ピン36と後方の連結軸35との間の芯間長を変化させて、作業機フレーム4に対してローラー24を上下回動調節することができる。また、耕耘作業中にのローラー24は、前後のディスク群等が耕耘した土壌表面に接地して、トラクタ1に連結する作業機フレーム4のそれ以上の下降を阻止するので、ローラー24の上下回動調節によって作業機フレーム4の下方に設ける前後のディスク群等の耕耘深さを調節することができる。
【0061】
ところで、以上のように構成するディスクハロー型耕耘作業機3を用いて田畑の土壌の耕起作業や、或いは、既に耕起された後の砕土作業を行った後にその耕耘跡を調べると、
図7に示ように、この場合、後列のディスク群の内、最も左側に設けるディスク10が土壌を耕起又は砕土して掘り起こした略V字状の窪みが地面上に見て取れ、また、この窪みが耕耘作業を行った進行方向に連続してディスク通過溝Gを形成していることが確認できる。
【0062】
そして、この耕耘跡にディスク通過溝Gができる原因を究明すると、先ず、前列のディスク群は、その耕起又は砕土した土塊や土を耕耘作業方向に対して斜め左後方側に放擲する。また、前列のディスク群の後方に設ける後列のディスク群は、その耕起又は砕土した土塊や土を耕耘作業方向に対して斜め右後方側に放擲する。
【0063】
また、前列と後列のディスク群が斜め左や右の後方側に向けて放擲した土塊や土は、左右方向に隣合うディスク10が切断して土塊を持ち上げた際に地面に形成する略V字状の窪みやその周辺に落下してこの窪みを埋め戻すので、この窪みが耕耘作業を行った進行方向に連続するディスク通過溝Gとして外見上見て取れることはない。
【0064】
しかし、前列のディスク群をみた場合、その前列のディスク群の内、右方向の最外側に位置して自らが耕起又は砕土した土塊や土を、ディスク群の中央寄りの後方側に向けて放擲するディスク10が地面に形成する窪みには、前列のディスク群の残る何れのディスク10であっても土塊や土を放擲して埋め戻すことはない。また、同様に後列のディスク群の内、左方向の最外側に位置して自らが耕起又は砕土した土塊や土を、ディスク群の中央寄りの後方側に向けて放擲するディスク10が地面に形成する窪みには、後列のディスク群の残る何れのディスク10であっても土塊や土を放擲して埋め戻すことはない。
【0065】
但し、前述の前列のディスク群の内、右方向の最外側に位置して自らが耕起又は砕土した土塊や土を、ディスク群の中央寄りの後方側に向けて放擲するディスク10が地面に形成する窪みには、後列のディスク群の内、右方向の最外側に位置するディスク10が右方向の外方側に放擲する土塊や土が落下して、この窪みを無くすように埋め戻すのでディスク通過溝Gとして外見上見て取れることはない。
【0066】
だがしかし、前述の後列のディスク群の内、左方向の最外側に位置して自らが耕起又は砕土した土塊や土を、ディスク群の中央寄り(ローター24寄り)の後方側に向けて放擲するディスク10が地面に形成する窪みには、土塊や土を落下させて埋め戻すための後列のディスク群より更に後方となる第3のディスク群は存在しない。
【0067】
なお、後列のディスク群の後方には、前後のディスク群やチゼル砕土体17によって耕起又は砕土した土塊を砕土するローラー24を設けている。また、このローラー24が位置する左右方向の領域が自らの砕土可能な領域となって、この領域は前後のディスク群によって耕起又は砕土する領域の後方に位置させているので、ローラー24の左右幅は前後のディスク群によって構成する耕耘作業機3の耕耘幅と一致する。
【0068】
従って、ローラー24は、後列のディスク群の内、ディスク通過溝Gを形成する左方向の最外側に位置するディスク10が後方側に向けて放擲する土塊や土を砕土するとしても、このディスク10が形成した略V字状の窪みを埋め戻すに足る土塊や土が、ローラー24のディスク通過溝G相当領域に供給されていないので、ディスク10が形成した略V字状の窪みをローラー24によって埋め戻すことはできず、結局、ディスク通過溝Gは依然として地面上に残ることになる。
【0069】
そして、このように耕耘を行った後の圃場にディスク通過溝Gが残ると、このディスク通過溝Gに作物の種を播種したり苗を植え付けることが出来ないので、別途溝Gの埋め戻しを行わなければならない。また、このディスク通過溝Gに水が溜まって周囲の土壌の乾燥を妨げるので、好気性微生物による有機物の分解を促進して窒素肥料の増加を図るといった乾土効果を期待することができないばかりか、圃場の湿田化による透排水性の悪化を招く虞れがある。
【0070】
そこで、左右方向に所定の間隔を空けて回転自在に設けるディスク群が田畑を耕耘した後の地面に形成して残す、ディスク通過溝Gを埋め戻す土戻体38を前述のローラー24に付設する。即ち、土戻体38は
図6及び
図8に示すように、ローラー24の破砕体30と同程度の幅を備え、また、その長さをディスク10の配設間隔Lより若干長くして形成する例えば、10枚の鋼板で形成するものとして、この土戻体38をローラー24の外周部に設ける隣り合う破砕体30の間に斜めに掛け渡し、また、その左右端面を夫々の破砕体30の板面に溶接して一体に設ける。
【0071】
そして、実施形態の場合、ディスク通過溝Gは後列のディスク群の内、左方向の最外側に位置するディスク10が形成するから、このディスク10が後方側に向けて放擲した土塊や土を主体にしてディスク通過溝Gを埋め戻す。従って、土戻体38のローラー24に対する左右方向の配設位置は、ローラー24の左端から内側に設けることになって、より具体的には土戻体38の右端は後列のディスク群の内、左から2番目のディスク10下端の後方延長線上に略相当し、また、土戻体38の左端はディスク通過溝Gにかかるように設ける。
【0072】
而して、田畑の耕耘を行う場合にローラー24は、ディスク群によって耕起又は砕土した地面に接地して回転するので、特にローラー24に設ける破砕体30は、ディスク群によって耕起又は砕土した土塊や土を細かく砕土、或いは切断して粉砕する。更に、破砕体30は自ら粉砕した土等をローラー24の回転に伴って掻き上げながら後方に放擲する。同様に破砕体30の間に設ける土戻体38は、自ら土塊や土を細かく砕土、或いは切断して粉砕する。
【0073】
しかし、この土戻体38はその板面を斜めに設けて、自らが接地した際にその板面がディスク通過溝Gに向かうようにしているので、土戻体38は破砕体30や自らが粉砕した土等をローラー24の回転に伴って掻き上げながら斜め後方に放擲する。また、この土戻体38が斜め後方に放擲した土は、ディスク通過溝Gに落下してディスク通過溝Gを埋め戻すので、耕起や砕土を行った地面からそのディスク通過溝Gを消失させて、作物の生育に適合する土壌環境に整えることができる。
【0074】
なお、前述の実施形態にあっては、ディスク群を前列のディスク群と後列のディスク群となし、また、この前後のディスク群は、左後方側と右後方側とに耕起又は砕土した土塊の放擲方向を異ならせると共に、前列のディスク群の隣り合うディスク間の後方に後列のディスク群の各ディスクが臨むように配設して、前列のディスク群が残す未耕地を後列のディスク群が耕起又は砕土するようになす。
【0075】
そのため、前後のディスク群が耕起や砕土を行った後の地面に生じさせるディスク通過溝Gは、後列のディスク群の内、左右方向の最外側に位置して自らが耕起又は砕土した土塊や土をローラー24側に向けて放擲するディスク10が生じさせる1条の溝とすることができる。しかし、2列のディスク群であっても例えば、特許文献1に記載されているように左右方向にディスク群を並べて設けるものでは、ディスク通過溝Gが2条となって、この2条のディスク通過溝Gを埋め戻すためには、2箇所に土戻体38を設けなければならない。
【0076】
また、ディスク群を1列だけ設ける場合であっても、左右方向に隣り合うディスク間の配設間隔Lをかなり大きくとると、ディスクが放擲した土塊や土で隣り合うディスクが形成したディスク通過溝Gを埋め戻すことができなくなって、最悪ディスク群のディスク枚数だけディスク通過溝Gが生ずることも想定され、要するにディスク群やディスク自体の配置形態等によってディスク通過溝Gの発生状況は異なることになるので注意を要する。
【0077】
以上、ディスクハロー型耕耘作業機3を用いて田畑の耕耘作業を行った場合に生ずるディスク通過溝Gの埋め戻し対策について説明したが、このディスクハロー型耕耘作業機3には、その前列と後列のディスク群に、その放擲する土塊や土の自ら耕す耕地を超える左右外方側への放擲を阻止する偏向板39を設け、これにより前後のディスク群が耕起又は砕土して左右方向の外方側に放擲する土塊や土が、自ら耕す耕地を超えることによって生じさせる畝状の地面の盛り上がりを防止するように構成している。
【0078】
より詳述すると、偏向板39は鋼板で略々羽子板状に形成して、その後部寄りを若干内側に向けて折り曲げて土塊や土の偏向方向(放出方向)を整えている。また、偏向板39はディスクフレーム4c、4dの角パイプ中に差し込んで固定する取付フレーム40に、その支点ボルト41を介して回動自在に取り付けて、耕深の深浅に拘らずその作用を発揮できるようにすると共に、その取付フレーム40に設けるストッパ42に当接するとそれ以上の下降回動を不能にして非作業時の偏向板39の破損を防止する。
【0079】
そして、以上のように構成する偏向板39は、前列のディスク群にあっては、そのディスク群の最も左側に設けるディスク10の外側方に設け、後列のディスク群にあっては、そのディスク群の最も右側に設けるディスク10の外側方に設ける。そのため、前列のディスク群の最も左側に設けるディスク10が放擲する土塊や土は、偏向板39に阻まれて前列と後列のディスク群が耕す耕地を超えてその左外側方に畝状の地面の盛り上がり(U)を生じさせることを無くす。
【0080】
また、後列のディスク群の最も右側に設けるディスク10が放擲する土塊や土は、偏向板39に阻まれて前列と後列のディスク群が耕す耕地を超えてその左外側方に畝状の地面の盛り上がり(U)を生じさせることを無くす。従って、耕耘した後の圃場に前述のディスク通過溝Gが残ったり、以上説明したディスク10の放擲した土塊や土の盛り上がり(U)が生じることがなく、しかも、耕起又は砕土した耕地はローラー24によってその全面を均平に均らして綺麗に仕上げることができる。
【0081】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、硬く締まった圃場でなければ前述のチゼル砕土体17を取り外して、前後のディスク群によって専ら耕耘するディスクハロー型耕耘作業機としてもよい。また、ディスク群の数やその配置形態を変えたり、花形のディスクを止めたり、或いは波型の凹凸を備える破砕体に代えてロッドとなす例えば、特許文献1や特許文献2に記載されているようなローターを用いてもよく、本発明は前述の実施するための形態に必ずしも限定して解釈されるものではない。
【符号の説明】
【0082】
1 トラクタ(牽引車)
3 ディスクハロー型耕耘作業機
4 作業機フレーム
10 ディスク
17 チゼル砕土体
24 ローラー
30 破砕体
38 土戻体
39 偏向板
G ディスク通過溝