(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008686
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】車両用シートの駆動装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/07 20060101AFI20250109BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20250109BHJP
H02K 7/00 20060101ALI20250109BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20250109BHJP
F16H 57/025 20120101ALI20250109BHJP
F16B 21/04 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B60N2/07 ZAB
B60N2/90
H02K7/00 A
H02K7/116
F16H57/025
F16B21/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111063
(22)【出願日】2023-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市村 茂樹
【テーマコード(参考)】
3B087
3J037
3J063
5H607
【Fターム(参考)】
3B087AA02
3B087BA02
3B087DE10
3J037AA01
3J037CA04
3J063AA02
3J063AB01
3J063AC01
3J063BA01
3J063BB29
3J063BB48
3J063CD44
5H607BB01
5H607BB14
5H607CC09
5H607DD03
5H607EE36
(57)【要約】
【課題】電動モータの動作中に電動モータの駆動力をギヤボックスに確実に伝達でき、且つ、電動モータをギヤボックスから簡単に分離可能な車両用シートの駆動装置を得る。
【解決手段】モータケース26とギヤケース36の一方の部材に設けられた突起30と、モータケースとギヤケースの他方の部材に設けられた、一方の部材と反対側に向かって延び、突起が反対側に通り抜けることが可能な第1溝40と、他方の部材に設けられた、第1溝を通り抜けた突起が出力軸28の軸線28Xを中心とする周方向の一方側へ回転したときに一方の部材側から突起と対向し、突起と対向することによりモータケースとギヤケースを接続させる抜け止め部41Wと、互いに対向する突起と抜け止め部を接近させる方向にモータケース及びギヤケースを付勢する付勢部材31とを備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な出力軸、及び、モータケースを有する電動モータと、
ギヤ機構を内蔵し、前記モータケースに接続されたときに前記出力軸と前記ギヤ機構とを連係させるギヤケースを有するギヤボックスと、
前記モータケースと前記ギヤケースの一方の部材に設けられた突起と、
前記モータケースと前記ギヤケースの他方の部材に設けられた、前記一方の部材と反対側に向かって延び、前記突起が前記反対側に通り抜けることが可能な第1溝と、
前記他方の部材に設けられた、前記第1溝を通り抜けた前記突起が前記出力軸の軸線を中心とする周方向の一方側へ回転したときに前記一方の部材側から前記突起と対向し、前記突起と対向することにより前記モータケースと前記ギヤケースを接続させる抜け止め部と、
互いに対向する前記突起と前記抜け止め部を接近させる方向に前記モータケース及び前記ギヤケースを付勢する付勢部材と、
を備える車両用シートの駆動装置。
【請求項2】
前記一方の部材に設けられた前記出力軸の軸線方向に延びる凸部と、
前記他方の部材の前記一方の部材側の端面に設けられた、前記凸部を受け入れ可能な凹部と、
前記他方の部材に設けられた、前記軸線に沿って見たときに前記第1溝の前記反対側の端部から前記軸線を中心とする周方向の一方側へ延び、内面の一部が前記抜け止め部を構成する第2溝と、
を備え、
前記第1溝及び前記第2溝の前記凹部側の端部が、前記凹部と連通するように開放された内周側端部であり、
前記突起が、前記凸部から外周側に向かって突出し、前記内周側端部を介して前記第1溝及び前記第2溝に挿入可能であり、前記第1溝に挿入されたアンロック位置と、前記第2溝に挿入されたロック位置とに移動可能なロックピンであり、
前記ロックピンが前記ロック位置にあり且つ前記他方の部材から前記軸線方向に沿って離れる方向の外力が前記一方の部材に及んだとき、前記ロックピンが前記第2溝に沿って前記アンロック位置へ移動するように前記一方の部材を回転させる強制回転機構を備える請求項1に記載の車両用シートの駆動装置。
【請求項3】
前記強制回転機構が、
前記一方の部材の前記他方の部材と反対側の端面である被押圧面と、
前記他方の部材に支持された被支持部材と、
前記被支持部材に、前記周方向の接線に対して直交する回転軸回りに第1位置と第2位置との間を回転可能に支持され、前記第1位置から前記第2位置へ回転するときに、前記被押圧面に前記接線と平行な方向の力を及ぼす回転レバーと、
前記一方の部材に固定され且つ前記回転レバーと連係し、前記外力が及んだときに前記回転レバーを前記第1位置から前記第2位置へ回転させる第1紐部材と、
を備える請求項2に記載の車両用シートの駆動装置。
【請求項4】
前記強制回転機構が、
前記接線と平行な方向に沿うように前記被押圧面に形成されたギヤ溝と、
前記回転レバーの前記被押圧面側の端部に設けられた、前記ギヤ溝と噛み合う回転ギヤと、
を備える請求項3に記載の車両用シートの駆動装置。
【請求項5】
前記第1溝及び前記第2溝の前記凹部と反対側の端部が、前記他方の部材の外周面において開放されている請求項2~4の何れか1項に記載の車両用シートの駆動装置。
【請求項6】
前記第1溝及び前記第2溝の前記凹部と反対側の端部が、前記他方の部材の外周面によって塞がれている請求項2~4の何れか1項に記載の車両用シートの駆動装置。
【請求項7】
前記第1溝及び前記第2溝の前記凹部と反対側の端部が、前記他方の部材の外周面において開放されており、
前記強制回転機構が、
前記第2溝に挿入された前記ロックピンに前記他方の部材の外周面側から接続可能であり、前記外力が及んだときに、前記ロックピンを前記第1溝に移動させる力を前記ロックピンに及ぼす第2紐部材を備える請求項2に記載の車両用シートの駆動装置。
【請求項8】
前記突起が固定され、前記一方の部材に対して、前記突起が前記第1溝に挿入可能な第1回転位置と、前記突起が前記抜け止め部と対向可能な第2回転位置と、の間を、前記出力軸の軸線まわりに回転可能な回転部材と、
前記回転部材に接続され、前記回転部材が前記第2回転位置にある場合に、前記一方の部材を前記他方の部材から前記軸線方向に沿って離す方向の外力が及んだとき、前記回転部材を前記第1回転位置へ回転させる力を前記回転部材に付与する第3紐部材と、
を備える請求項1に記載の車両用シートの駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートの駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートは一般的に、シートの可動部材に駆動力を付与する駆動装置を備える。この駆動装置は、電動モータと、電動モータの駆動力によって動作するギヤボックスと、を備える。
【0003】
車両が廃棄処分される際に、車両の構成部品をリサイクル品として活用するために、一部の構成部品を車両から分離することがある。例えば電動モータをギヤボックスから分離すれば、ギヤボックス等をリサイクル品として活用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の駆動装置では、ギヤボックスと電動モータが強固に固定されていた。そのため、車両が廃棄処分される際に、電動モータをギヤボックスから分離するのが難しかった。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、電動モータの動作中に電動モータの駆動力をギヤボックスに確実に伝達でき、且つ、電動モータをギヤボックスから簡単に分離可能な車両用シートの駆動装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明に係る車両用シートの駆動装置は、回転可能な出力軸、及び、モータケースを有する電動モータと、ギヤ機構を内蔵し、前記モータケースに接続されたときに前記出力軸と前記ギヤ機構とを連係させるギヤケースを有するギヤボックスと、前記モータケースと前記ギヤケースの一方の部材に設けられた突起と、前記モータケースと前記ギヤケースの他方の部材に設けられた、前記一方の部材と反対側に向かって延び、前記突起が前記反対側に通り抜けることが可能な第1溝と、前記他方の部材に設けられた、前記第1溝を通り抜けた前記突起が前記出力軸の軸線を中心とする周方向の一方側へ回転したときに前記一方の部材側から前記突起と対向し、前記突起と対向することにより前記モータケースと前記ギヤケースを接続させる抜け止め部と、互いに対向する前記突起と前記抜け止め部を接近させる方向に前記モータケース及び前記ギヤケースを付勢する付勢部材と、を備える。
【0008】
請求項1に記載の車両用シートの駆動装置は、電動モータとギヤボックスを備える。電動モータは、回転可能な出力軸、及び、モータケースを有する。ギヤボックスは、ギヤ機構を内蔵し、モータケースに接続されたときに出力軸とギヤ機構とを連係させるギヤケースを有する。さらに、モータケースとギヤケースの一方の部材には突起が設けられる。モータケースとギヤケースの他方の部材には、一方の部材と反対側に向かって延び、突起が反対側に通り抜けることが可能な第1溝が設けられる。さらに他方の部材には、第1溝を通り抜けた突起が出力軸の軸線を中心とする周方向の一方側へ回転したときに一方の部材側から突起と対向し、突起と対向することによりモータケースとギヤケースを接続させる抜け止め部を備える。
【0009】
さらに請求項1に記載の車両用シートの駆動装置は、互いに対向する突起と抜け止め部を接近させる方向にモータケース及びギヤケースを付勢する付勢部材を備える。そのため、付勢部材の働きにより、突起と抜け止め部の対向状態が維持される。即ち、付勢部材の働きにより、モータケースとギヤケースの接続状態が維持される。従って、請求項1に記載の車両用シートの駆動装置は、電動モータの動作中に電動モータの駆動力をギヤボックスに確実に伝達できる。
【0010】
さらに請求項1に記載の車両用シートの駆動装置は、突起と抜け止め部が対向している場合に、一方の部材及び突起を、出力軸の軸線を中心とする周方向の一方側と反対側へ回転させることにより、突起を第1溝に挿入させられる。突起が第1溝に挿入した状態で一方の部材に他方の部材から離れる方向の力を付与すると、一方の部材が他方の部材から分離する。即ち、電動モータとギヤボックスが互いに分離する。このように請求項1に記載の車両用シートの駆動装置は、電動モータをギヤボックスから簡単に分離可能である。
【0011】
請求項2に記載の発明に係る車両用シートの駆動装置は、請求項1に記載の車両用シートの駆動装置において、前記一方の部材に設けられた前記出力軸の軸線方向に延びる凸部と、前記他方の部材の前記一方の部材側の端面に設けられた、前記凸部を受け入れ可能な凹部と、前記他方の部材に設けられた、前記軸線に沿って見たときに前記第1溝の前記反対側の端部から前記軸線を中心とする周方向の一方側へ延び、内面の一部が前記抜け止め部を構成する第2溝と、を備え、前記第1溝及び前記第2溝の前記凹部側の端部が、前記凹部と連通するように開放された内周側端部であり、前記突起が、前記凸部から外周側に向かって突出し、前記内周側端部を介して前記第1溝及び前記第2溝に挿入可能であり、前記第1溝に挿入されたアンロック位置と、前記第2溝に挿入されたロック位置とに移動可能なロックピンであり、前記ロックピンが前記ロック位置にあり且つ前記他方の部材から前記軸線方向に沿って離れる方向の外力が前記一方の部材に及んだとき、前記ロックピンが前記第2溝に沿って前記アンロック位置へ移動するように前記一方の部材を回転させる強制回転機構を備える。
【0012】
請求項2に記載の車両用シートの駆動装置は、ロックピンがロック位置にあり且つ他方の部材から軸線方向に沿って離れる方向の外力が一方の部材に及んだとき、ロックピンが第2溝に沿ってアンロック位置へ移動するように一方の部材を回転させる強制回転機構を備える。従って、請求項2に記載の車両用シートの駆動装置は、他方の部材から軸線方向に沿って離れる方向の外力を一方の部材に及ぼすことにより、電動モータをギヤボックスから簡単に分離できる。
【0013】
請求項3に記載の発明に係る車両用シートの駆動装置は、請求項2に記載の車両用シートの駆動装置において、前記強制回転機構が、前記一方の部材の前記他方の部材と反対側の端面である被押圧面と、前記他方の部材に支持された被支持部材と、前記被支持部材に、前記周方向の接線に対して直交する回転軸回りに第1位置と第2位置との間を回転可能に支持され、前記第1位置から前記第2位置へ回転するときに、前記被押圧面に前記接線と平行な方向の力を及ぼす回転レバーと、前記一方の部材に固定され且つ前記回転レバーと連係し、前記外力が及んだときに前記回転レバーを前記第1位置から前記第2位置へ回転させる第1紐部材と、を備える。
【0014】
請求項3に記載の車両用シートの駆動装置では、強制回転機構が簡単な構成によって実現される。
【0015】
請求項4に記載の発明に係る車両用シートの駆動装置は、請求項3記載の車両用シートの駆動装置において、前記強制回転機構が、前記接線と平行な方向に沿うように前記被押圧面に形成されたギヤ溝と、前記回転レバーの前記被押圧面側の端部に設けられた、前記ギヤ溝と噛み合う回転ギヤと、を備える。
【0016】
請求項4に記載の車両用シートの駆動装置の強制回転機構は、他方の部材から軸線方向に沿って離れる方向の外力が一方の部材に及んだときに、電動モータをギヤボックスから確実に分離できる。
【0017】
請求項5に記載の発明に係る車両用シートの駆動装置は、請求項1~4の何れか1項に記載の車両用シートの駆動装置において、前記第1溝及び前記第2溝の前記凹部と反対側の端部が、前記他方の部材の外周面において開放されている。
【0018】
請求項5に記載の車両用シートの駆動装置の電動モータとギヤボックスの組立作業又は分離作業を行う作業者は、第1溝又は第2溝に挿入されたロックピンを、他方の部材の外周側から視認可能である。従って、作業者は、第1溝及び第2溝の凹部と反対側の端部が他方の部材の外周面において開放されていない場合と比べて、電動モータとギヤボックスの組立作業及び分離作業を容易に実行できる。
【0019】
請求項6に記載の発明に係る車両用シートの駆動装置は、請求項1~4の何れか1項に記載の車両用シートの駆動装置において、前記第1溝及び前記第2溝の前記凹部と反対側の端部が、前記他方の部材の外周面によって塞がれている。
【0020】
請求項6に記載の車両用シートの駆動装置の第1溝及び第2溝の凹部と反対側の端部は、他方の部材の外周面によって塞がれている。そのため、例えばギヤ機構の作動音が、第1溝及び第2溝の凹部と反対側の端部を介して他方の部材の外側に漏れない。
【0021】
請求項7に記載の発明に係る車両用シートの駆動装置は、請求項2記載の車両用シートの駆動装置において、前記第1溝及び前記第2溝の前記凹部と反対側の端部が、前記他方の部材の外周面において開放されており、前記強制回転機構が、前記第2溝に挿入された前記ロックピンに前記他方の部材の外周面側から接続可能であり、前記外力が及んだときに、前記ロックピンを前記第1溝に移動させる力を前記ロックピンに及ぼす第2紐部材を備える。
【0022】
請求項7に記載の車両用シートの駆動装置では、強制回転機構が簡単な構成によって実現される。
【0023】
請求項8に記載の発明に係る車両用シートの駆動装置は、請求項1、5及び6の何れか1項に記載の車両用シートの駆動装置において、前記突起が固定され、前記一方の部材に対して、前記突起が前記第1溝に挿入可能な第1回転位置と、前記突起が前記抜け止め部と対向可能な第2回転位置と、の間を、前記出力軸の軸線まわりに回転可能な回転部材と、前記回転部材に接続され、前記回転部材が前記第2回転位置にある場合に、前記一方の部材を前記他方の部材から前記軸線方向に沿って離す方向の外力が及んだとき、前記回転部材を前記第1回転位置へ回転させる力を前記回転部材に付与する第3紐部材と、を備える。
【0024】
請求項8に記載の車両用シートの駆動装置では、強制回転機構が簡単な構成によって実現される。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明に係る車両用シートの駆動装置は、電動モータの動作中に電動モータの駆動力をギヤボックスに確実に伝達でき、且つ、電動モータをギヤボックスから簡単に分離可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る駆動装置を備える車両用シートの前方から見たときの斜視図である。
【
図4】
図3の4-4矢線に沿う模式的な断面図である。
【
図5】
図4の5-5矢線に沿う模式的な断面図である。
【
図6】電動モータのギヤボックスへの接続が完了する前の状態を示す
図4と同じ位置で切断された模式的な断面図である。
【
図7】接続状態にある電動モータ及びギヤボックスの
図6と同様の模式的な断面図である。
【
図8】
図7の8-8矢線に沿う模式的な断面図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る駆動装置の斜視図である。
【
図11】本発明の第3実施形態に係る駆動装置の電動モータ及びモータカバーの回転レバーが第1位置にあるときの斜視図である。
【
図12】駆動装置の電動モータ及びモータカバーの回転レバーが第2位置にあるときの斜視図である。
【
図13】駆動装置の支持部材を省略して示す側面図である。
【
図15】本発明の第4実施形態に係る駆動装置の電動モータ及びモータカバーの一部の斜視図である。
【
図16】本発明の第5実施形態に係る駆動装置の斜視図である。
【
図19】本発明の第6実施形態に係る駆動装置の斜視図である。
【
図20】ギヤボックスと電動モータの分離状態の斜視図である。
【
図21】ギヤボックスの一部と電動モータの分解斜視図である。
【
図22】
図20の22-22矢線に沿う模式的な断面図である。
【
図23】電動モータのギヤボックスへの接続が完了する前の状態を示す駆動装置の模式的な縦断側面図である。
【
図24】接続状態にある駆動装置の一部の模式的な縦断側面図である。
【
図25】
図24の25-25矢線に沿う模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、
図1~
図8を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る車両用シートの駆動装置について説明する。なお、各図中に適宜示される矢印FRは車両前後方向(シート前後方向)の前方向を示し、矢印UPは車両上下方向(シート上下方向)の上方向を示し、矢印LHは車両左右方向(シート左右方向)の左側を示す。以下、単に前後、左右、上下の方向を用いて説明する場合、シート前後方向の前後、シート左右方向(車両幅方向)の左右、シート上下方向の上下を示す。
【0028】
図1に示されたように車両10の車室の床面11には、スライドレール12を介して車両用シート15が設けられている。車両用シート15は、スライドレール12のアッパレールに支持されたシートクッション16と、シートクッション16の後端部にリクライニング機構(図示省略)を介して回転可能に接続されたシートバック17と、シートバック17の上端部に設けられたヘッドレスト18と、を有する。
【0029】
さらに車両用シート15は、スライドレール12のアッパレールをロアレールに対してスライドさせるための駆動力をアッパレールに付与可能な駆動装置20を備える。
図2及び
図3に示されたように、駆動装置20は、電動モータ25(一方の部材)25、ギヤボックス(他方の部材)35及びモータカバー(被支持部材)45を備える。
【0030】
図3に示されたように電動モータ25は、モータケース26、凸部27、出力軸28、ハーネス(第1紐部材)29、ロックピン(突起)30及びパッキン(付勢部材)31を有する。金属製の円筒体であるモータケース26の両端面は閉塞されている。モータケース26の内部にはロータ及びステータ(いずれも図示省略)が設けられている。モータケース26の平面からなる一方の端面である第1端面26aにはモータケース26と同軸をなす円柱形状の凸部27が固定されている。さらにモータケース26の軸線に沿って延び且つ中間部がロータに固定された金属製の出力軸28が、凸部27及び第1端面26aを、自身の軸線回りに回転可能に貫通している。さらにモータケース26の凸部27と反対側の端面である第2端面(被押圧面)26bには、可撓性を有するハーネス29の中間部が固定されている。ハーネス29には図示が省略された車載バッテリの電力が供給される。電力がハーネス29を介して電動モータ25に供給されると、ロータがステータに対して回転し、出力軸28がロータと一緒に回転する。さらに凸部27の外周面には、出力軸28の軸線28Xを中心とする周方向に等角度間隔で4本の金属製のロックピン30の基端部が固定されている。各ロックピン30は凸部27の径方向に沿って延びている。
図6に示されたように、各ロックピン30の外周側端部はモータケース26の外周面より内周側に位置する。円形の環状部材であるパッキン31は弾性材料によって構成されている。
図6に示されたようにパッキン31は、凸部27の外周側に位置するように第1端面26aに固定されている。
【0031】
図3及び
図4に示されたようにギヤボックス35は、ギヤケース36及びギヤ機構38を有する。金属製のギヤケース36は、その後部をなす円柱部36Aと、角柱部36Bと、を備える。
図8に示されたように、軸線28Xに沿って見たときに円柱部36Aと角柱部36Bは同軸をなす。角柱部36Bの軸線28Xに直交する断面で切断したときの形状は略正方形である。角柱部36Bの断面形状を構成する正方形の4つの辺の長さは円柱部36Aの径と略同一である。円柱部36Aの外径はモータケース26の外径より大きい。円柱部36Aの平面からなる端面である被接触面36aには、角柱部36Bの端面36b側に向かって延びる凹部37が形成されている。凹部37は、ギヤケース36の軸線36Xを中心とする円柱形状である。凹部37にはギヤ機構38が設けられている。ギヤケース36の後端部には、周方向に等角度間隔で4個のロック溝39が設けられている。ロック溝39は、被接触面36aから軸線36Xと平行な方向に沿って端面36b側に延びる第1溝40と、第1溝40の端面36b側の端部から軸線36Xを中心とする周方向の一方側に延びる第2溝41と、を備える。
図5に示されたように、軸線36Xに沿って見たときの第2溝41の形状は円弧形である。第1溝40及び第2溝41の軸線36Xを中心とする径方向の寸法は同一である。
図3~
図5から明らかなように、ロック溝39(第1溝40、第2溝41)の内周側端部39aは凹部37の内周面において開口する一方で、ロック溝39の外周側端部は円柱部36Aの外周面において開口しない。即ち、ロック溝39の外周側端部は、円柱部36Aの外周面によって塞がれている。さらに端面36bには連係孔36cが形成されている。
【0032】
図3に示されたように金属製のモータカバー45は、円筒体であるカバー本体46と、カバー本体46の外周面に固定された4個の被支持部47と、を備える。カバー本体46の内径はモータケース26の外径より大きく、カバー本体46の外径は円柱部36Aの外径と同一である。
図2に示されたように、カバー本体46の軸線28X方向の寸法はモータケース26より小さい。4個の被支持部47は、周方向に等角度間隔でカバー本体46の外周面に固定されている。被支持部47の一方の端部は、カバー本体46の一方の平面からなる端面である当接面46aより前方に突出する。被支持部47が自由状態にあるとき、互いに対向する2個の被支持部47の前端部の内面同士の距離は、ギヤケース36の角柱部36Bの断面形状を構成する正方形の各辺の長さより僅かに小さい。
【0033】
次に駆動装置20の組み立て要領について説明する。まず電動モータ25の出力軸28の軸線28Xとギヤケース36の軸線36Xが同軸をなすように、第1端面26aと被接触面36aを対向させる。さらにこのとき各ロックピン30の周方向位置をロック溝39の周方向位置とそれぞれ一致させる。この状態で電動モータ25とギヤボックス35を軸線28X、36Xに沿って互いに接近させる。これにより、凸部27及び出力軸28が凹部37内に進入し、且つ、各ロックピン30が対応するロック溝39の第1溝40に進入する。なお、ロックピン30が第1溝40の何れかに位置するときのロックピン30の位置をアンロック位置と称する。
【0034】
さらに電動モータ25とギヤボックス35を軸線28X、36Xに沿って互いに接近させると、
図6に示されたように、パッキン31が被接触面36aに接触する。この状態でさらに電動モータ25とギヤボックス35を軸線28X、36Xに沿って互いに接近させると、
図7に示されたように、第1端面26aと被接触面36aによって挟まれたパッキン31が自由状態より圧縮されるように弾性変形し、各ロックピン30が対応する第1溝40の端面36b側の端部まで移動する。換言すると、各ロックピン30の軸線36X方向の位置が対応する第2溝41と一致する。さらにこのとき電動モータ25の出力軸28とギヤボックス35のギヤ機構38が互いに連係する。このようにパッキン31が自由状態より圧縮され、電動モータ25の出力軸28とギヤボックス35のギヤ機構38が互いに連係するときの電動モータ25及びギヤボックス35の状態を接続状態と称する。
【0035】
この状態で作業者が手でモータケース26及びギヤケース36を把持しながら、モータケース26をギヤケース36に対して
図2及び
図8の矢印DL方向に回転させる。
図8に示されたようにDL方向は、電動モータ25側からギヤケース36を見たときの時計方向である。これにより
図8に仮想線で示された位置にあった各ロックピン30が対応するロック溝39内をDL方向に回転し、
図8に実線で示されたように各ロックピン30が対応する第2溝41のDL方向の端部まで移動する。これにより各第2溝41の内面の後部である抜け止め部41W(
図7、
図8参照)が対応するロックピン30と微小隙間を形成しながら対向する。さらに電動モータ25から手が離れると、変形したパッキン31が発生した付勢力によって、電動モータ25及びギヤボックス35が軸線28X、36Xに沿って互いに離れようとする。そのため各ロックピン30が対応する抜け止め部41Wに接触する。従って、ロックピン30と抜け止め部41Wによって、電動モータ25とギヤボックス35が軸線36Xに沿って互いに離れる方向に相対移動することが規制される。即ち、パッキン31、ロックピン30及び抜け止め部41Wによって、電動モータ25及びギヤボックス35の接続状態が保持される。なお、ロックピン30が第2溝41の何れかに位置するときのロックピン30の位置をロック位置と称する。
【0036】
さらに
図2及び
図7に示されたように、モータケース26の外周側にモータカバー45のカバー本体46を被せて、カバー本体46の当接面46aを被接触面36aに接触させる。さらに各被支持部47の前端部の内面をギヤケース36の角柱部36Bの4つの外面に接触させる。これにより駆動装置20の組み立て作業が完了する。このとき各被支持部47の前部が自由状態よりも僅かに外周側に弾性変形する。そのため各被支持部47の前部の内面から角柱部36Bの4つの外面に力が及ぶ。そのため意図的にモータカバー45に後ろ向きの外力を与えない限り、モータカバー45はギヤケース36から分離しない。
【0037】
組み立てられた駆動装置20は
図1に示されたようにシートクッション16に設けられる。さらにスライドレール12のアッパレールと連係する連係部材(図示省略)をギヤケース36の連係孔36cを介してギヤ機構38に接続する。これにより電動モータ25の出力軸28が回転したときに、出力軸28の回転力がギヤ機構38及び連係部材を介してアッパレールに伝達され、アッパレールがロアレールに対してスライドする。
【0038】
続いて車両10が廃棄処分される際に、車両10の構成部品をリサイクル品として活用するために電動モータ25をギヤボックス35及びモータカバー45から分離する要領について説明する。
【0039】
まず作業者は、モータカバー45より後方に位置する電動モータ25のモータケース26の後部を手で把持し、モータケース26をギヤボックス35に対して矢印DLと反対側の矢印DU方向に相対回転させる。これにより
図8の実線の位置にあった各ロックピン30が対応する第2溝41内をDU方向に回転し、
図8の仮想線で示された位置まで移動する。これにより各ロックピン30が対応する第1溝40の前端部に位置する。
【0040】
上述のようにパッキン31は自由状態から圧縮された状態にあるので、パッキン31は電動モータ25とギヤボックス35を互いに離す方向の付勢力を発生している。そのためこの付勢力によって電動モータ25がギヤボックス35に対して後方に相対移動し、各ロックピン30が対応する第1溝40内を後方へ相対移動する。このときパッキン31が発生する付勢力が大きい場合は、パッキン31の付勢力によって各ロックピン30が対応する第1溝40から後方へ脱出する。一方、パッキン31が発生する付勢力が小さい場合は、モータケース26を把持した作業者がモータケース26を後方へ移動させて、各ロックピン30を対応する第1溝40から後方へ脱出させる。作業者がモータケース26をさらに後方へ移動させると、電動モータ25の出力軸28とギヤボックス35のギヤ機構38の連係状態が解除され、凸部27及び出力軸28が凹部37からギヤケース36より後方へ脱出し、さらに電動モータ25全体がモータカバー45から後方に脱出する。これにより電動モータ25をギヤボックス35及びモータカバー45から分離する作業が完了する。
【0041】
以上説明したように第1実施形態では、電動モータ25及びギヤボックス35が接続状態にあるときに、電動モータ25をギヤボックス35に対して矢印DU方向に回転させた後に電動モータ25をギヤボックス35に対して後方に移動させることにより、電動モータ25をギヤボックス35から簡単に分離できる。
【0042】
さらに電動モータ25及びギヤボックス35が接続状態にあるときに、互いに対向するロック溝39と抜け止め部41Wを接近させる方向に電動モータ25及びギヤボックス35を付勢するパッキン31を備える。そのためパッキン31の働きにより、ロック溝39と抜け止め部41Wの対向状態が維持される。そのため電動モータ25とギヤボックス35の間でがたつきが発生するおそれは小さい。即ち、パッキン31の働きにより、電動モータ25とギヤボックス35の接続状態及び出力軸28とギヤ機構38の連係状態が保持される。従って、第1実施形態の駆動装置20は、破棄処分がされる前の車両10に搭載された車両用シート15の電動モータ25の駆動力をギヤボックス35のギヤ機構38に確実に伝達できる。
【0043】
さらに駆動装置20は、電動モータ25の外周面を覆うモータカバー45を備える。そのため破棄処分がされる前の車両10に搭載された車両用シート15の構成部品等がモータケース26に接触することにより、モータケース26が不意に矢印DU方向に回転し、電動モータ25及びギヤボックス35の接続状態が不意に解除されるおそれは、駆動装置20がモータカバー45を備えない場合より小さい。
【0044】
さらにギヤボックス35の各ロック溝39(第1溝40、第2溝41)の外周側端部がギヤケース36(円柱部36A)の外周面によって塞がれ、且つ、パッキン31が被接触面36aに弾性変形しながら密着する。そのため電動モータ25の出力軸28が回転するときに、出力軸28及びギヤ機構38の作動音が、各ロック溝39からギヤケース36の外周側に漏れたり、第1端面26aと被接触面36aの間からモータケース26及びギヤケース36の外周側に漏れたりするおそれは小さい。
【0045】
続いて、
図9及び
図10を参照しながら本発明の第2実施形態に係る車両用シートの駆動装置について説明する。なお、第1実施形態と同じ部材には同じ符号を付すにとどめて、その詳細な説明は省略する。
【0046】
第2実施形態の駆動装置50の特徴は、電動モータ25に設けられたロックピン(突起)51と、ギヤボックス35に設けられたロック溝52にある。凸部27の外周面に固定された4本の金属製のロックピン51を軸線28Xに沿って見たときに、各ロックピン51の外周側端部はモータケース26の外周面及びギヤケース36の円柱部36Aの外周面より外周側に位置する。即ち、軸線28Xから各ロックピン51の外周側端部までの距離は、軸線36Xを中心とする円柱部36Aの半径より大きい。また各ロック溝52は、第1溝40に対応する第1溝53と、第2溝41に対応する第2溝54と、を有する。ロック溝52(第1溝53、第2溝54)の内周側端部52aは凹部37の内周面において開口し、ロック溝52の外周側端部52bは円柱部36Aの外周面において開口する。
【0047】
第2実施形態の電動モータ25、ギヤボックス35及びモータカバー45の組み立て要領は第1実施形態と同じである。但し、軸線28Xから各ロックピン51の外周側端部までの距離が軸線36Xを中心とするギヤケース36の円柱部36Aの半径より大きいため、各ロックピン51が対応するロック溝52(第1溝53、第2溝54)の外周側端部(円柱部36Aの外周面)から外周側に突出する。そのため作業者は、ロックピン51を目視しながら電動モータ25とギヤボックス35の接続作業を実行できる。さらに駆動装置50が組み立て状態にあるときに、作業者はカバー本体46とモータケース26との間の環状隙間を通して各ロックピン51の外周側端部を視認できる。そのため作業者は、ロックピン51を目視しながら電動モータ25とギヤボックス35の分離作業を実行できる。従って、第2実施形態の駆動装置50の電動モータ25とギヤボックス35の接続作業及び分離作業を行う作業者は、第1実施形態と比べて、電動モータ25とギヤボックス35の組立作業及び分離作業を容易に実行できる。
【0048】
続いて、
図11~
図14を参照しながら本発明の第3実施形態に係る車両用シートの駆動装置について説明する。なお、第1実施形態と同じ部材には同じ符号を付すにとどめて、その詳細な説明は省略する。
【0049】
第3実施形態の駆動装置60の電動モータ25及びギヤボックス35(図示省略)は第1実施形態と同じ構成である。一方、第3実施形態の金属製のモータカバー(被支持部材)61は、カバー本体62及び被支持部47に加えて、支持部材63、回転軸64及び回転レバー65を備える。カバー本体62はカバー本体46と同径である。カバー本体62の軸線方向の寸法はカバー本体46より長く、モータケース26と略同一である。カバー本体62の外周面には周方向に等角度関係で2個の支持部材63が固定されている。支持部材63の後部はカバー本体62の後端より後方に位置する。一対の支持部材63の後部には、カバー本体62の径方向と平行な回転軸64の2か所がそれぞれ固定されている。
図14に示されたようにカバー本体62の軸線62X方向に見たときに、回転軸64の中心を軸線62Xが通り抜ける。さらに回転軸64には回転レバー65が回転可能に支持されている。
図14に示されたように、回転軸64の一方の端部近傍に回転レバー65が支持されている。回転レバー65は長方形の板状部材である。回転レバー65の外周面の一部は平面からなる第1接触面66によって構成され、回転レバー65の外周面の別の一部は平面からなり且つ第1接触面66と直交する第2接触面67によって構成される。さらに回転レバー65は、第1接触面66と第2接触面67の間に位置する角部68を有する。回転レバー65は
図11及び
図13の実線で示された第1位置と、
図12及び
図13の仮想線で示された第2位置と、の間を回転可能である。
図13に示されたように、回転レバー65が第1位置にあるとき、回転レバー65の第1接触面66がカバー本体62の当接面62aと反対側の端面62bに接触する。
【0050】
第3実施形態の電動モータ25、ギヤボックス35及びモータカバー61の組み立て要領は第1実施形態と同じである。駆動装置60が完成したときに、回転レバー65は第1位置に位置する。さらに回転レバー65に設けられた貫通孔65aをハーネス29が通り抜けている。さらにカバー本体62の軸線62X方向の寸法がモータケース26と略同一である。そのため、
図13に示されたように、電動モータ25及びギヤボックス35が接続状態にあり且つモータカバー61の当接面62aがギヤケース36の被接触面36aに接触したとき、モータケース26の第2端面26bとカバー本体62の端面62bの前後方向位置が一致する。以上説明した構成の中でハーネス29、支持部材63、回転軸64及び回転レバー65が強制回転機構69の構成要素である。
【0051】
続いて車両10が廃棄処分される際に駆動装置60の電動モータ25をギヤボックス35から分離する要領について説明する。
【0052】
まず作業者は、アクチュエータの駆動力によって動作する把持装置(例えば、重機)にハーネス29を把持させ、把持装置を移動させることにより、ハーネス29に
図11、
図12に示された矢印DD方向(後ろ向き)の外力を付与する。するとハーネス29から回転レバー65に及ぶ力によって、第1位置に位置していた回転レバー65が
図13の反時計方向に回転し、
図13に仮想線で示された第2位置まで回転する。このとき回転レバー65の角部68がモータケース26の第2端面26bに回転しながら接触し、第2端面26bに対して
図14に示された矢印RFで示された力を付与する。軸線62Xに沿って見たときの矢印RFの方向は、軸線62Xを中心とする円周CLの接線TL方向である。なお、軸線62Xに沿って見たときにこの接線TL(矢印RF)と回転軸64は直交する。そのため、このとき回転レバー65(第2接触面67)からモータケース26の第2端面26bにDU方向の回転力が付与される。これにより各ロックピン30が対応する第1溝40の前端部へ移動する。把持装置を矢印DD方向にさらに移動させると、ハーネス29から電動モータ25に掛かる力によって電動モータ25がDD方向(後方)へ移動するので、各ロックピン30が対応する第1溝40から後方へ脱出し、電動モータ25全体がギヤボックス35から後方に脱出する。さらに電動モータ25が回転軸64を後方に押圧するので、モータカバー61がギヤボックス35から後方に離れる。これにより電動モータ25をギヤボックス35及びモータカバー61から分離する作業が完了する。
【0053】
以上説明した第3実施形態によれば、強制回転機構69を利用して回転レバー65を第1位置から第2位置へ回転させることにより、電動モータ25をギヤボックス35から簡単に分離できる。
【0054】
さらに強制回転機構69を、ハーネス29、支持部材63、回転軸64及び回転レバー65を備える簡単な構成によって実現できる。
【0055】
続いて、
図15を参照しながら本発明の第4実施形態に係る車両用シートの駆動装置について説明する。なお、第3実施形態と同じ部材には同じ符号を付すにとどめて、その詳細な説明は省略する。
【0056】
第4実施形態の駆動装置70の特徴は、電動モータ25のモータケース26の第2端面26bに設けられたギヤ溝71と、モータカバー61のカバー本体62(
図15では図示省略)に設けられた回転レバー72の形状にある。出力軸28の軸線28Xに沿って見たときに、ギヤ溝71の延長方向は円周CLの接線TL方向と平行である。回転レバー72は、第2端面26b側の端部に回転ギヤ73が設けられている点を除いて回転レバー65と同一構成である。回転レバー72が第1位置と第2位置の間の何れの位置にある場合も回転ギヤ73はギヤ溝71と噛み合う。
【0057】
第4実施形態の駆動装置70の組み立て要領は第3実施形態と同じである。駆動装置70が完成すると、回転レバー72が第1位置に位置し、回転レバー72の貫通孔65aをハーネス29が通り抜ける。以上説明した構成の中でハーネス29、支持部材63、回転軸64、ギヤ溝71及び回転レバー72が強制回転機構74の構成要素である。
【0058】
続いて車両10が廃棄処分される際に駆動装置60の電動モータ25をギヤボックス35及びモータカバー61から分離する要領について説明する。
【0059】
まず作業者は上記把持装置にハーネス29を把持させ、把持装置を移動させることにより、ハーネス29に
図15に示された矢印DD方向の外力を付与する。すると第1位置に位置していた回転レバー72が第2位置まで回転する。このとき回転レバー72の回転ギヤ73がギヤ溝71に対して矢印RFで示された力を付与する。軸線62Xに沿って見たときの矢印RFの方向は円周CLの接線TL方向である。そのため、このとき回転レバー72(回転ギヤ73)からモータケース26の第2端面26bにDU方向の回転力が付与される。これにより各ロックピン30が対応する第1溝40の前端部へ移動する。把持装置を矢印DD方向にさらに移動させると、ハーネス29から電動モータ25に掛かる力によって電動モータ25がDD方向(後方)へ移動するので、各ロックピン30が対応する第1溝40から後方へ脱出し、電動モータ25全体がギヤボックス35から後方に脱出する。さらに電動モータ25が回転軸64を後方に押圧するので、モータカバー61がギヤボックス35から後方に離れる。これにより電動モータ25をギヤボックス35及びモータカバー61から分離する作業が完了する。
【0060】
以上説明した第4実施形態によれば、第2端面26bにギヤ溝71が形成され、回転レバー72がギヤ溝71と噛み合う回転ギヤ73を備えるので、回転レバー72が第1位置から第2位置へ回転するときに、回転ギヤ73からギヤ溝71へ矢印RF方向の力を確実に付与できる。従って、ハーネス29が矢印DD方向に引っ張られたときに、第4実施形態の駆動装置70の強制回転機構74は、電動モータ25をギヤボックス35に対して確実にDU方向に回転させられる。
【0061】
続いて、
図16~
図18を参照しながら本発明の第5実施形態に係る車両用シートの駆動装置について説明する。なお、第2実施形態と同じ部材には同じ符号を付すにとどめて、その詳細な説明は省略する。
【0062】
第5実施形態の駆動装置80の電動モータ25及びギヤボックス35は第2実施形態と同じ構成である。一方、第5実施形態の金属製のモータカバー45は、カバー本体46及び被支持部47に加えて、各被支持部47の外面に固定された金属製の中継ピン81を備える。さらに駆動装置80は後述する4本の牽引紐(第2紐部材)82を有する。
【0063】
第5実施形態の電動モータ25、ギヤボックス35及びモータカバー45の組み立て要領は第2実施形態と同じである。組み立て作業が完了すると、
図16、
図18に示されたように、各中継ピン81がロック位置にある各ロックピン51より前方に位置する。さらに第5実施形態では、電動モータ25、ギヤボックス35及びモータカバー45が組み立てられた後に、
図16に示されたように4本の牽引紐82の一方の端部をハーネス29の中間部に固定し、各牽引紐82の他方の端部をロック溝39の第2溝41に挿入されたロックピン51の外周側端部に固定し、且つ各牽引紐82の中間部を中継ピン81に掛けまわす。ここで前方から軸線28Xに沿って電動モータ25を見たときに、牽引紐82の前端部は、中継ピン81より反時計方向側に位置するロックピン51に固定される。さらにこのとき、ハーネス29の牽引紐82が固定された部位と、ハーネス29のモータケース26側の端部との間の領域29aを弛ませておく。以上説明した構成の中でハーネス29、被支持部47、中継ピン81及び牽引紐82が強制回転機構83の構成要素である。
【0064】
続いて車両10が廃棄処分される際に駆動装置80の電動モータ25をギヤボックス35及びモータカバー45から分離する要領について説明する。
【0065】
まず作業者は上記把持装置にハーネス29を把持させ、把持装置を移動させることにより、ハーネス29に
図16に示された矢印DD方向の外力を付与する。すると各牽引紐82が緊張状態となり、各牽引紐82から各ロックピン51に張力T1(
図16、
図18参照)が及ぶので、各ロックピン51及び電動モータ25が矢印DU方向に回転する。これにより各ロックピン51が対応する第1溝53の前端部に位置する。さらに各ロックピン51に張力T1が及ぶと、電動モータ25がさらに矢印DD方向に移動し、各ロックピン51が対応する第1溝53から後方へ脱出し、且つ、各被支持部47がギヤケース36に対して後方へ相対移動する。
【0066】
各ロックピン51が対応する第1溝53から後方へ脱出すると、ハーネス29の領域29aに存在した弛みがなくなり、ハーネス29が緊張状態になる。そのため、さらにハーネス29に矢印DD方向の外力が及ぶと、矢印DD方向へ移動する各ロックピン51がカバー本体46の当接面46aを後方に押すので、各被支持部47がギヤケース36から後方へ分離する。これにより電動モータ25をギヤボックス35及びモータカバー45から分離する作業が完了する。
【0067】
以上説明した第5実施形態によれば、強制回転機構83を利用して、電動モータ25をギヤボックス35から簡単に分離できる。
【0068】
さらに強制回転機構83を、ハーネス29、被支持部47、中継ピン81及び牽引紐82を備える簡単な構成によって実現できる。
【0069】
続いて、
図19~
図25を参照しながら本発明の第6実施形態に係る車両用シートの駆動装置について説明する。なお、第1実施形態と同じ部材には同じ符号を付すにとどめて、その詳細な説明は省略する。
【0070】
第6実施形態の駆動装置85は、モータカバー45、電動モータ(一方の部材)86及びギヤボックス95を備える。
【0071】
図19~
図23に示されたように電動モータ86は、モータケース87、ロータ88、ステータ89及びガイドパイプ90を有する。金属製の円筒体であるモータケース87の後端面87aは閉塞され、前端面87bには円形孔87cが形成されている。後端面87aには4つの貫通孔87dが形成されている。後端面87aの中心部にはハーネス29の中間部が固定されている。前端面87bにはパッキン31が固定されている。
図20及び
図21に示されたように、出力軸28の大部分はモータケース87内にモータケース87と同軸をなすように収納されており、出力軸28の後端部はモータケース87の内部に設けられた軸受(図示省略)に回転可能に支持されている。さらに
図22に示されたように、モータケース87の内部には、出力軸28の中間部に固定されたロータ88が設けられている。さらにモータケース87の内周面には複数のステータ89が固定されている。さらにモータケース87の内部のロータ88とステータ89との間に形成された環状空間には、4本のガイドパイプ90が設けられている。ガイドパイプ90は出力軸28と平行であり、各ガイドパイプ90の後端部は各貫通孔87dに圧入されている。
【0072】
本実施形態のモータカバー45は、カバー本体46の内部空間の前部に設けられた円盤状の回転部材91を備える。
図20に示されたように、回転部材91の外径はパッキン31の内径より小さい。回転部材91は、カバー本体46に設けられた回転支持機構によって、自身の中心軸まわりに回転可能に支持されている。回転部材91はカバー本体46に対して、
図20、
図21(
図20、
図21ではカバー本体46の図示が省略されている)に示された通常位置(第2回転位置)と、
図25に仮想線で示された解除位置(第1回転位置)と、の間を回転可能である。回転部材91の前面には周方向に等角度間隔で4つの係止部材(突起)92が設けられている。各係止部材92の先端部には、外周側に向かって突出する爪部92aが設けられている。さらに回転部材91には、周方向に等角度間隔で4つの貫通孔91aが設けられている。各貫通孔91aは回転部材91を前後方向に貫通する。さらに回転部材91の中心部を中心孔91bが前後方向に貫通する。
【0073】
電動モータ86にモータカバー45が被せられると、回転部材91の後部がパッキン31の内周側空間に位置し、回転部材91とモータケース87が同軸をなす。さらに回転部材91の中心孔91bを出力軸28が相対回転可能に貫通する。
【0074】
図21及び
図22に示されたように、各ガイドパイプ90の内部及び各貫通孔87dを、4本の牽引紐(第3紐部材)93がスライド可能に貫通している。各牽引紐93の後端部はハーネス29の中間部に固定され、各牽引紐93の前端部は各ガイドパイプ90の前端開口、円形孔87c及び回転部材91の各貫通孔91aを通り抜けて、各係止部材92に固定されている。ここで前方から軸線28Xに沿って電動モータ86を見たときに、貫通孔91aを前方に通り抜けた牽引紐93の前端部は、貫通孔91aより反時計方向側に位置する係止部材92に固定される。
【0075】
図20及び
図23に示されたようにギヤボックス95は、ギヤケース96及びギヤ機構38を有する。金属製のギヤケース96は、円柱部36Aに相当する円柱部96Aと、角柱部36Bに相当する角柱部96Bと、を備える。円柱部96Aの外径はモータケース87の外径より大きい。ギヤケース96の円柱部96Aの平面からなる端面である被接触面96aには、反対側の端面96b側に向かって延びる凹部97が形成されている。端面96bには連係孔96cが形成されている。さらに円柱部96Aの内周面には、被接触面96aよりも前方に位置し且つギヤケース96の軸線96X側に向かって突出する環状フランジ98が設けられている。凹部97の一部であり且つ環状フランジ98より後方に位置する空間は接続用凹部97aであり、凹部97の一部であり環状フランジ98より前方に位置する空間は収納用凹部97bである。接続用凹部97aの内径は回転部材91の外径より大きく、接続用凹部97aの深さ(前後長)は回転部材91の厚み(前後長)より大きい。
図23に示されたように、収納用凹部97bにはギヤ機構38が設けられている。環状フランジ98の内周部には、周方向に等角度間隔で4個のロック解除溝(第1溝)99が設けられている。
図23及び
図25に示されたように、環状フランジ98の内周面の直径をDMと定義し、自由状態にある各係止部材92の爪部92aの先端部(外周側端部)を通る円周CLXの直径をDMXと定義すると、DMX>DMである。
【0076】
以上説明した構成の中でガイドパイプ90、回転部材91、係止部材92及び牽引紐93が強制回転機構100の構成要素である。
【0077】
次に駆動装置85の組み立て要領について説明する。まず電動モータ86にモータカバー45を被せる。さらに電動モータ86の出力軸28の軸線28Xとギヤケース96の軸線96Xが同軸をなすように、前端面87bと被接触面96aを対向させ、且つ回転部材91を通常位置に位置させる。さらにこのとき各係止部材92の周方向位置を、各ロック解除溝99の周方向位置とはずらす。この状態で電動モータ86及びモータカバー45を、軸線28Xに沿ってギヤボックス95に接近させる。これにより回転部材91が接続用凹部97aに進入し、出力軸28が環状フランジ98の内周側空間及び収納用凹部97bに進入する。
【0078】
さらに電動モータ86とギヤボックス95を軸線28X、96Xに沿って互いに接近させると、
図23に示されたように、各係止部材92の爪部92aが環状フランジ98の後面の内周縁部に接触する。この状態でさらに電動モータ86とギヤボックス95を軸線28X、96Xに沿って互いに接近させると、
図24に示されたように、前端面87bと被接触面96aによって挟まれたパッキン31が自由状態より圧縮されるように弾性変形し、各係止部材92が軸線96X側(内周側)に弾性変形しながら各爪部92aが環状フランジ98を前方へ乗り越える。そして各爪部92aが環状フランジ98を前方へ乗り越えたときに各係止部材92が自由状態に復帰する。さらに変形したパッキン31が発生した付勢力によって、
図24に示されたように、各爪部92aが環状フランジ98の前面である抜け止め部98Xに接触する。さらにこのとき電動モータ86の出力軸28とギヤボックス95のギヤ機構38が互いに連係する。このようにパッキン31が自由状態より圧縮され、各爪部92aが抜け止め部98Xに接触し、出力軸28とギヤ機構38が互いに連係するときの電動モータ86とギヤボックス95の状態を接続状態と称する。そして、パッキン31、爪部92a及び抜け止め部98Xによって、電動モータ86とギヤボックス95の接続状態が保持される。
【0079】
さらにこのとき、カバー本体46の当接面46aが被接触面96aに接触し、各被支持部47の前部が、ギヤケース96の角柱部96Bの4つの外面に弾性変形しながら接触する。
【0080】
このようにして組み立てられた駆動装置85はシートクッション16に設けられる。さらにスライドレール12と連係する連係部材(図示省略)をギヤケース96の角柱部96Bの連係孔96cを介してギヤ機構38に接続する。これにより電動モータ86の出力軸28が回転したときに、出力軸28の回転力がギヤ機構38及び連係部材を介してスライドレール12に伝達され、アッパレールがロアレールに対してスライドする。
【0081】
続いて車両10が廃棄処分される際に、車両10の構成部品をリサイクル品として活用するために電動モータ86をギヤボックス95から分離する要領について説明する。
【0082】
まず作業者は、上記把持装置にハーネス29を把持させ、把持装置を移動させることにより、ハーネス29に
図19に示された矢印DD方向の外力を付与する。すると各牽引紐93が各ガイドパイプ90および回転部材91に対して後方へ相対移動するので、各牽引紐93の前端部に固定された各係止部材92及び回転部材91がモータケース87に対して
図25のDU方向に相対回転し、回転部材91が
図25に仮想線で示された解除位置まで移動する。これにより
図25の実線の位置にあった各係止部材92が、
図25の仮想線で示された位置まで移動する。即ち、各係止部材92と環状フランジ98のロック解除溝99との周方向位置が一致する。
【0083】
ハーネス29に矢印DD方向の外力がさらに付与されると、各係止部材92が対応するロック解除溝99を通って環状フランジ98の後方へ脱出する。さらに回転部材91の後面がモータケース87の前端面87bを後方に押すので、電動モータ86がモータカバー45と一緒に後方へ移動する。さらに電動モータ86の出力軸28とギヤボックス95のギヤ機構38の連係状態が解除され、出力軸28がギヤケース96より後方へ脱出し、さらに電動モータ86及びモータカバー45がギヤボックス95から後方に離れる。これにより電動モータ86をギヤボックス95から分離する作業が完了する。
【0084】
以上説明したように第6実施形態によれば、強制回転機構100を利用して、電動モータ86をギヤボックス95から簡単に分離できる。
【0085】
さらに強制回転機構100を、ガイドパイプ90、回転部材91、係止部材92及び牽引紐93を備える簡単な構成によって実現できる。
【0086】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は各実施形態に限定されるものではない。
【0087】
例えば、第1実施形態の駆動装置20を
図26に示された第1変形例の態様で実施してもよい。第2変形例のギヤボックス35Bのロック溝39Aは、第1溝40と、第1溝40の前端部から周方向に延びる第2溝41Aと、を有する。但し、軸線36X(
図27では図示省略)側から凹部37の内周面を見たときの第2溝41Aの形状は軸線36Xに直交する直線形状ではなく、前方に凸の略円弧形である。第2変形例のロックピン30が第2溝41A(又は第1溝40の前端部)にあるときに電動モータ25がギヤボックス35Bに対して相対回転すると、パッキン31の厚み寸法を変化させながら、ロックピン30が第2溝41Aを移動する。
【0088】
なお第1変形例は第2~第5実施形態にも適用可能である。
【0089】
第6実施形態の駆動装置85を組み立てる際に、電動モータ86にモータカバー45を被せ、前端面87bと被接触面96aを対向させ、且つ回転部材91を通常位置に位置させたときに、各係止部材92の周方向位置を各ロック解除溝99の周方向位置と一致させてもよい。この状態で電動モータ86及びモータカバー45を、軸線28Xに沿ってギヤボックス95に接近させると、各爪部92aがロック解除溝99を通り抜けて環状フランジ98より前方へ移動する。この後にモータカバー45を回転させると、各爪部92aが環状フランジ98の抜け止め部98Xに接触する。
【0090】
本発明の駆動装置が駆動力を付与する可動部材は、スライドレールとは異なるシートの構成部品であってもよい。例えば、可動部材はリクライング機構であってもよい。
【0091】
またギヤボックス(一方の部材)に突起(ロックピン、係止部材)を設けて、電動モータ(他方の部材)に第1溝(及び第2溝)を設けてもよい。
【0092】
各実施形態及び変形例の駆動装置が、パッキン31とは異なる構造の付勢部材を備えてもよい。
【符号の説明】
【0093】
15 車両用シート
20 駆動装置
25 電動モータ(一方の部材)(他方の部材)
26 モータケース
26b 第2端面(被押圧面)
27 凸部
28 出力軸
29 ハーネス(第1紐部材)
30 ロックピン(突起)
31 パッキン(付勢部材)
35 35A 35B ギヤボックス(一方の部材)(他方の部材)
36 ギヤケース
37 凹部
38 ギヤ機構
40 第1溝
41W 抜け止め部
45 モータカバー(被支持部材)
50 駆動装置
51 ロックピン(突起)
52a 内周側端部
52b 外周側端部
53 第1溝
60 駆動装置
61 モータカバー(被支持部材)
64 回転軸
65 回転レバー
69 強制回転機構
70 駆動装置
71 ギヤ溝
72 回転レバー
73 回転ギヤ
74 強制回転機構
80 駆動装置
82 牽引紐(第2紐部材)
83 強制回転機構
85 駆動装置
86 電動モータ(一方の部材)(他方の部材)
87 モータケース
91 回転部材
92 係止部材(突起)
93 牽引紐(第3紐部材)
95 ギヤボックス(一方の部材)(他方の部材)
96 ギヤケース
98X 抜け止め部
99 ロック解除溝(第1溝)
100 強制回転機構