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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025086922
(43)【公開日】2025-06-10
(54)【発明の名称】液圧駆動ロボット故障診断システム
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20250603BHJP
   G01M 99/00 20110101ALI20250603BHJP
【FI】
B25J19/06
G01M99/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023201187
(22)【出願日】2023-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
(72)【発明者】
【氏名】長井 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】平野 克彦
【テーマコード(参考)】
2G024
3C707
【Fターム(参考)】
2G024AD01
2G024BA17
2G024BA27
2G024CA01
2G024CA09
2G024CA12
2G024CA22
2G024DA28
2G024FA06
2G024FA15
3C707HS13
3C707HS19
3C707JU03
3C707JU12
3C707KS09
3C707KS16
3C707KS22
3C707KS23
3C707KT01
3C707KT06
3C707LS20
3C707MS21
(57)【要約】
【課題】高放射線量エリアで、液圧駆動ロボット側に電子部品からなるセンサ等が搭載されていない場合であっても、作業を中断することなく故障診断ができる液圧駆動ロボット故障診断システムを提供することを目的とする。
【解決手段】
液圧で動作するアクチュエータを備える液圧駆動ロボット故障診断システムであって、
前記液圧ロボットの動作を測定する少なくとも1台の耐放射性測定器と、前記液圧ロボットの制御信号と動作を記録するデータ保存領域を備え、前記制御信号を入力として前記液圧駆動ロボットの挙動を計算するシミュレータと、実機の液圧駆動ロボットの挙動と前記シミュレータが算出した結果を比較し、故障診断する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧で動作するアクチュエータを備える液圧駆動ロボット故障診断システムであって、
液圧駆動ロボットの動作を測定する少なくとも1台の耐放射性測定器と、
前記液圧駆動ロボットの制御信号と動作を記録するデータ保存領域を備え、
前記制御信号を入力として前記液圧駆動ロボットの挙動を計算するシミュレータと、
前記耐放射性測定器からの情報から得られる実機の液圧駆動ロボットの挙動と前記シミュレータが算出した結果を比較し、故障診断を実施する分析部とを備える液圧駆動ロボット故障診断システム。
【請求項2】
請求項1に記載の液圧駆動ロボット故障診断システムにおいて、
前記シミュレータは、ポンプの吐出流量、液を溜めるタンク、制御バルブや液圧チューブ、コネクタなどの絞りの開口面積、制御バルブの動作、液圧アクチュエータや液圧モータの内部容積、液圧チューブの膨張を考慮した液圧回路として構築された液圧駆動制御部と、
前記液圧駆動ロボットの機構を、部品は剛体や弾性体としてモデル化し、各部品を実機と同じ自由度となるようジョイントで接続し、それらの運動方程式を多慣性モデルとして解くロボット機構モデル部とを有することを特徴とする液圧駆動ロボット故障診断システム。
【請求項3】
請求項2に記載の液圧駆動ロボット故障診断システムにおいて、
前記シミュレータの前記ロボット機構モデル部の摺動部は、
部品同士の相対速度に応じて摩擦力を考慮することを特徴とする液圧駆動ロボット故障診断システム。
【請求項4】
請求項2に記載の液圧駆動ロボット故障診断システムにおいて、
前記シミュレータの前記ロボット機構モデル部の摺動部は、
部品同士の接触力を計算し、
部品同士の相対速度に応じて設定した摩擦係数を設定考慮すること
を特徴とする液圧駆動ロボット故障診断システム。
【請求項5】
請求項1に記載の液圧駆動ロボット故障診断システムにおいて、
前記故障診断には、部品同士の相対速度に応じて設定した摩擦係数を設定し、前記液圧駆動ロボットの各部の速度、加速度、位置などの状態量と前記シミュレータの計算結果とを比較し、前記摩擦係数を考慮して故障診断することを特徴とする液圧駆動ロボット故障診断システム。
【請求項6】
請求項1に記載の液圧駆動ロボット故障診断システムにおいて、
前記液圧駆動ロボットの摺動部の摩擦力、もしくは摩擦係数の前記シミュレータからの計算結果から判断することを特徴とする液圧駆動ロボット故障診断システム。
【請求項7】
請求項1に記載の液圧駆動ロボット故障診断システムにおいて、
前記シミュレータは前記液圧駆動ロボットの挙動を可視化する機能をもち、
前記耐放射性測定器の実機設置位置に合わせた前記シミュレータからの前記液圧駆動ロボットの挙動の可視化結果と前記耐放射性測定器で取得した画像を比較するよう構成することを特徴とする液圧駆動ロボット故障診断システム。
【請求項8】
請求項1に記載の液圧駆動ロボット故障診断システムにおいて、
前記耐放射性測定器から得られた画像から、前記液圧駆動ロボットが把持している物体の重量を推定することを特徴とする液圧駆動ロボット故障診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧駆動ロボットの故障診断システムに係り、特に、液圧で駆動され、例えば、人間の立ち入りが困難な高放射線環境下において利用する液圧駆動ロボットの故障診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、人間の立ち入りが困難な高放射線環境においては、作業を実施するために、遠隔地(低放射線量エリア)にいるオペレータが、高放射線量エリアにあるロボットを操作する必要がある。高放射線環境下では多くの電子部品が短期間で故障する懸念があり、電動モータなどで関節動作を制御するロボットではなく、特許文献1に記載の水圧や油圧で駆動される液圧駆動ロボットが適している。
【0003】
低放射線量エリアにタンクやポンプを有する液圧駆動装置は設置され、高放射線量エリアにある液圧駆動ロボットとは柔軟チューブで接続される。液圧駆動ロボットは複数の液圧アクチュエータを有しており、液圧駆動装置からの液圧で動作する。液圧駆動ロボットが高放射線量エリア内で故障した場合、液圧駆動ロボットにアクセスして直接修理することが困難であり、液圧駆動ロボットを低放射線量エリアに引き戻し、新たな液圧駆動ロボットを再投入して作業を行う必要がある。液圧駆動ロボットが故障によって低放射線量エリアまで自力で戻ることが困難となった場合には、液圧駆動ロボットを回収するためのロボットが別途必要となることや、この回収作業のために本来実施したい作業に大きな遅延が生じることとなる。液圧駆動ロボットを遠隔操作するためには、動作中の液圧駆動ロボットの挙動を把握する必要がある。
【0004】
電子部品を使用したセンサなどは短期間で故障する懸念があるため、挙動の把握には耐放射性を有するカメラやレーザーなどの測定器を使用することが想定されている。ロボットの故障検出は様々な方法があるが、特許文献2では撮影した画像で把握した挙動と、ロボットアームを駆動するモータの回転角度から計算される挙動を比較して、高度な演算をすることなく故障の検出を実現している。人間の立ち入りが困難な高放射線環境下において長時間の遠隔作業が行われるものに好適な液圧駆動ロボットの故障診断システムが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-133440号公報
【特許文献2】特開2011-125976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前述した従来技術のロボットの故障診断システムにおいては、次のような課題がある。高放射線環境で使用する場合、電動のモータや、その回転角を把握するセンサなどが短期間で故障する懸念があり、その診断の成否に影響を及ぼす可能性がある。
【0007】
そこで、本発明では、液圧駆動ロボット側に電子部品からなるセンサなどが搭載されていない場合であっても、故障診断ができる液圧駆動ロボット故障診断システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
液圧で動作するアクチュエータを備える液圧駆動ロボット故障診断システムであって、前記液圧ロボットの動作を測定する少なくとも1台の耐放射性測定器と、前記液圧ロボットの制御信号と動作を記録するデータ保存領域を備え、前記制御信号を入力として前記液圧駆動ロボットの挙動を計算するシミュレータと、前記耐放射性測定器からの情報から得られる実機の液圧駆動ロボットの挙動と前記シミュレータが算出した結果を比較し、故障診断を実施する分析部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の液圧駆動ロボット故障診断システムによれば、液圧駆動ロボットに電子部品からなるセンサが設置されていない状態であっても、故障診断ができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の液圧駆動ロボット故障診断システムを模式的に示す第1の概略構成図
図2】本実施形態の液圧駆動ロボット故障診断システムを模式的に示す第2の概略構成図
図3】本実施形態の液圧駆動ロボット故障診断システムの実施例1の診断方法を示すフロー
図4】本実施形態の液圧駆動ロボット故障診断システムの実施例2の診断方法を示すフロー
図5】実施例3の液圧駆動ロボット実機での故障診断システムの概略図
図6】実施例3の液圧駆動ロボットのシミュレータでの故障診断システムの概略図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る液圧駆動ロボット故障診断システムの実施形態を図面に基づいて説明する。原子力プラント等、人間の立ち入りが困難な高放射線環境において、作業を実施するために、遠隔地(低放射線量エリア9a)にいるオペレータが、高放射線量エリア9bにあるロボットを操作する。
【0012】
図1は、本発明の液圧駆動ロボット故障診断システムを模式的に示す第1の概略構成図である。オペレータ7が介在するケースであり、液圧駆動ロボット1は、複数の液圧アクチュエータおよび液圧モータで動作し、高放射線量エリア9bにて作業を行うよう構成される。
【0013】
液圧駆動部2には、ポンプが含まれ、エンジンやモータによってポンプが回転し、高い液圧を液圧駆動ロボット1へ液圧チューブ3を介して液圧アクチュエータへ送ることで液圧駆動ロボット1は動作する。液圧駆動ロボット1は低放射線量エリア9aから高放射線量エリア9bへ移動し、そこで作業を実施する。このため、液圧チューブ3の少なくとも一部は柔軟であることが必要である。
【0014】
液圧駆動ロボット1は、液圧アクチュエータの伸縮や液圧モータの回転によって動作するが、液圧駆動部2と液圧駆動ロボット1の間には制御バルブがあり、これらの切り替えでどの液圧アクチュエータや液圧モータを動作させるかを決定し、液圧駆動ロボット1の動作部位を切り替える。
【0015】
制御バルブは、液圧駆動部2に配置、もしくは液圧チューブ3の間に配置される。オペレータ7が入力装置6に液圧駆動ロボット1の動作を入力すると、制御バルブの制御演算が演算およびデータ保存用装置4にて行われる。また、表示装置5が設置される。
【0016】
液圧駆動ロボット1の動作は、電子部品で構成されるセンサ等は搭載されている場合でも、これらは短期間での故障の懸念があるため、少なくとも1台のカメラやレーザーなどの耐放射性測定器8で監視される。耐放射性測定器8で得られた画像などのデータから演算およびデータ保存用装置4にて演算を実施し、液圧駆動ロボット1およびその各部位の位置や速度、加速度を把握することが可能である。
【0017】
図2は、本発明の液圧駆動ロボット故障診断システムを模式的に示す第2の概略構成図である。オペレータ7が不要となる完全自動化の場合である。液圧駆動ロボット1の操作が完全自動化の場合、入力装置6は不要となり、耐放射性測定器8で得られた画像などのデータが演算およびデータ保存用装置4に送られ、液圧駆動ロボット1およびその各部位の位置や速度、加速度を把握し、また作業環境やロボットが把持する物体を同時に把握して、演算およびデータ保存用装置4で次の動作を計算し、制御バルブに指令を出すことによって液圧駆動ロボット1を動作させる。
【実施例0018】
図3は、本発明の液圧駆動ロボット故障診断システムの実施例1の診断方法を示すフローである。実機では制御指令が、液圧駆動部2や制御バルブで構成される液圧駆動制御部10に入ると、液圧が液圧駆動ロボット1に伝わり動作する。液圧駆動ロボット1の各部位の動作は耐放射性測定器8によって計測され、演算およびデータ保存用装置4に送られ、演算およびデータ保存用装置4で、各部位の位置や速度、加速度を演算し、それらの状態量は演算およびデータ保存用装置4に保存される。
【0019】
本実施例の液圧駆動ロボット故障診断システムは、液圧駆動制御回路部11およびロボット機構モデル部12からなるシミュレータ13を有する。実機と同じ制御指令は、まずシミュレータ13の液圧駆動制御回路部11へ送られる。液圧駆動制御回路部11では実機ポンプの吐出流量、液を溜めるタンク、制御バルブや液圧チューブ3、コネクタなどの絞りの開口面積、制御バルブの動作、液圧アクチュエータや液圧モータの内部容積を考慮した液圧回路として構成され、演算およびデータ保存用装置4にて、各部の液圧を計算し、液圧アクチュエータの推力や液圧モータの回転トルクを計算する。なお、液圧チューブ3の柔軟部においては、液圧による膨張による体積変化も考慮する。
【0020】
次に、ロボット機構モデル部12は、液圧駆動ロボット1の機構をモデル化する。部品を剛体や弾性体としてモデル化し、各部品を実機と同じ自由度となるようジョイントで接続し、それらの運動方程式を多慣性モデルとして解くことで、実機同様の挙動を計算することができる。
【0021】
ロボット機構モデル部12では各部の摩擦を考慮する。摩擦の考慮については、摺動する部品同士の相対速度に対して、摩擦力を定義する計算負荷が小さい方法と、部品同士の接触力を計算し、相対速度に対して、静摩擦係数、動摩擦係数を設定しておき、接触力から摩擦力を計算するより実施の現象に近いが計算負荷が比較的重い方法がある。短時間での計算が必要な、実機の動作と同じ時間で計算する場合には計算負荷が小さい方法を採用し、計算速度よりも精度を重視する場合には摩擦係数を設定する計算負荷が比較的重い方法を採用するのが望ましい。
【0022】
演算およびデータ保存用装置4にて計算された液圧アクチュエータの推力や液圧モータの回転トルクはロボット機構モデル部12の運動方程式における外力として計算され、これらの構成によって液圧駆動ロボット1の各部位の位置や速度、加速度を演算し、実機同様に計算する。液圧駆動ロボット1の関節や液圧アクチュエータ、液圧モータの摩擦力は、実機とシミュレータ13の挙動が、決められた誤差の範囲で一致するよう、シミュレータ13の摩擦力や摩擦係数をあらかじめ設定しておく。
【0023】
液圧駆動ロボット1を長期間使用していると、関節や液圧アクチュエータ、液圧モータの摩擦力が大きくなり、動きが遅くなることがある。このような場合に、さらに長期間使用を続けると液圧駆動ロボット1の関節や液圧アクチュエータ、液圧モータが動作しなくなり、高放射線量エリア9bから自力で戻れなくなる懸念がある。
【0024】
液圧駆動ロボット1の各部位の位置や速度、加速度の実機状態量と、シミュレータ13が算出する各部位の位置や速度、加速度のモデル状態量を比較する。予め閾値を設定しておく。その設定した閾値以上のずれが生じる場合、この部位の故障と判断する。これにより、液圧駆動ロボット1が高放射線量エリア9bから自力で低放射線量エリア9aに戻れなくなる前に、液圧駆動ロボット1を低放射線量エリア9aへ移動させることが可能となる。このように、本実施例1によれば、液圧駆動ロボットに電子部品からなるセンサが設置されていない状態であっても、故障診断が可能となる。
【0025】
従来、オペレータ7が液圧駆動ロボット1を操作している場合には故障に気づける可能性があるが、個人の技量で判断するため、客観的な、一定の基準で故障を判断することが難しい。つまり個人の技量にかかわらず、適切な客観的な判断が可能となる。また、完全自動化の場合にはオペレータ7が常に監視している状況ではないため気づくことが難しく、本発明の液圧駆動ロボット故障診断システムはより有用である。
【0026】
液圧駆動ロボット1の実機状態量の把握と同時に、シミュレータ13によるモデル状態量の計算を実施し、状態量を比較し続け、液圧駆動ロボット1の動作中は常時故障診断を実施する方法もあるが、シミュレータ13の計算時間が実機動作よりも遅い場合も考えられる。この場合、把握した実機状態量は演算およびデータ保存用装置4に保存しておき、シミュレータ13からモデル状態量が算出された時点で故障診断を実施してもよい。また、特定のタイミングでのみ故障診断を実施しても効果はある。
【0027】
作業状態において、液圧駆動ロボット1が物体を把持している場合と把持していない場合では、慣性の影響などで液圧駆動ロボット1の各部位の位置や速度、加速度の実機状態量が大きく変化する可能性がある。そのため、故障診断は液圧駆動ロボット1が物体を把持していない時に実施するのが望ましい。
【0028】
また、耐放射性測定器8からの画像などのデータから物体の形状や大きさを把握し、把持している物体の重量を推定して、この推定された重量をシミュレータ13に使用すれば、常時故障診断を実施することも可能である。すなわち、液圧駆動ロボット1が物体を把持している場合も含め、故障診断が可能となる。
【実施例0029】
図4は、本発明の液圧駆動ロボット故障診断システムの実施例2の診断方法を示すフローである。実施例1と重複する箇所の説明は省略する。本実施例では、液圧駆動ロボット1の各部位の位置や速度、加速度の実機状態量からシミュレータ13で摩擦力および摩擦係数を推定し、当初の摩擦力および摩擦係数の変化から故障診断をしている。このように、液圧駆動ロボット1の各部位の位置や速度、加速度の実機状態量からシミュレータ13で摩擦力および摩擦係数を推定し、当初の摩擦力および摩擦係数の変化を把握することで、実機の劣化などを把握できる。当初の摩擦力および摩擦係数と運用中もしくは運用後の実機のものと比較し、閾値を設定し、故障判断することができる。
【実施例0030】
画像比較による故障診断につき説明する。図5は、実施例3の液圧駆動ロボット実機での故障診断システムの概略図であり、図6は、実施例3の液圧駆動ロボットのシミュレータでの故障診断システムの概略図である。図5では、液圧駆動ロボット1を、所定の位置、方向から実際の耐放射性測定器8により撮影している。
【0031】
図6では、シミュレータ13での例を説明する。シミュレータ13で表示されるロボットモデル14に対して、実際の耐放射性測定器8を想定した視点15を設定している。この視点15は、実機の耐放射性測定器8と同じ位置、方向に設定する。
こうした場合、実機の耐放射性測定器8から得られる液圧駆動ロボット1の画像と、シミュレータ13が描画するロボットモデル14は同じ位置関係となる。それぞれの画像の比較の差異から故障を診断することも可能である。
【0032】
これらの構造により、液圧駆動ロボット側に電子部品からなるセンサなどが搭載されていない場合であっても、作業を中断することなく故障診断ができる液圧駆動ロボット故障診断システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0033】
1…液圧駆動ロボット
2…液圧駆動部
3…液圧チューブ
4…演算およびデータ保存用装置
5…表示装置
6…入力装置
7…オペレータ
8…耐放射性測定器
9a…低放射線量エリア
9b…高放射線量エリア
10…液圧駆動制御部
11…液圧駆動制御回路部
12…ロボット機構モデル部
13…シミュレータ
14…ロボットモデル
15…視点
図1
図2
図3
図4
図5
図6